JP2003204716A - 甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法 - Google Patents
甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法Info
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Abstract
節の部分に多数集中的に群生させ、これにより苗用枝茎
の採取を効率的に行うこと。 【解決手段】頂芽成長点を含む上側茎を切除した母茎の
節に発芽する一次腋芽が、展開葉を少なくとも7枚有す
る一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎を第4芽苞と
第5芽苞の重合部分の中間でカットすることにより、母
茎の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存
させ、その一次枝茎基部の節に発芽する二次腋芽を二次
枝茎に成長させ、上記一次枝茎基部に二次枝茎を集中群
生させて二次枝茎塊とし、上記一次枝茎基部を母茎の着
生部分で切断することにより上記二次枝茎塊全体を母茎
から切り離し、それから二次枝茎を、その各々に芽基お
よび根基組織部分を付けた状態にして切り離す。
Description
栽培生産法に関するものである。
た蔗茎を刈り取った後の残存切株から発芽させて行う株
出し栽培方法、(b)成熟した蔗茎を上下2節毎に切断
して得たいわゆる2節苗を各期(春期−1〜4月,夏期
−8〜11月)毎に新規に植え付け、それに発芽させて
行う2節苗新植栽培方法がよく知られている。
側芽が発芽する催芽現象を連続的に起こさせることによ
って得た所要長さの側芽成長茎、すなわち、展開葉が所
要枚数になるまで成長した側芽の第10節等より上部で
ある梢頭部を切除することを繰り返し行うことによって
得た所要長さの側芽成長茎を、基苗(側枝苗)とし、こ
れを本圃に植え付ける側枝苗移植栽培方法ともいうべき
栽培方法が特開平8−280244号公報に開示されて
いる。
法は、同じ切株が数年にわたって用いられ、発芽、成長
および刈取りが繰り返されるから、年を経るにつれて発
芽率が劣り、蔗茎が老化、病弱化し、収穫量、糖分も低
減する。
採取すなわち苗作りはもちろん植付けそのものにも多大
な労力を要し、また、その2節苗の発芽率が、蔗茎の成
熟度、気象条件または土壌条件等の影響を受け通常50
〜60%であり、かつ、一旦発芽、成長した苗であって
も枯死することがある。さらに、甘蔗栽培農家は、各期
毎に収穫量の10%以上を次期のための2節苗の採取に
供しなければならないものであるが、実質的には、その
分だけ収穫減となる。
(b)の栽培方法の上記の如き欠点を殆ど解消すると認
められる。しかし、この(c)の栽培方法では、展開葉
が所要枚数になるまで成長した側芽の第10節等より上
部である梢頭部を切除することを繰り返し行うものであ
るから、目的の側芽成長茎は、順次枝分かれ拡開状態に
なりながら本数を増やし、母茎に対して放射状分散状態
になる。したがって、その採取に手間が掛かる。
記(c)の側枝苗移植栽培方法における側枝苗に相当す
る苗用枝茎、すなわち、二次,三次または四次枝茎を蔗
茎(母茎)の節の部分に多数集中的に群生させ、これに
より苗用枝茎の採取をあまり手間を掛けることなく効率
的に行うことができるようにしたものである。
蔗の苗用枝茎の栽培生産法は、次の構成からなる。 (1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要
の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除す
るとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aと
すること。 (2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8
〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで
成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有す
る一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5
節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中
間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含
む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの
各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残
存させること。 (3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽
を、二次枝茎cに成長させ、上記一次枝茎基部b″に二
次枝茎cを集中群生させて二次枝茎塊とすること。 (4) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切
断することにより上記二次枝茎塊全体を母茎aから切り
離し、その二次枝茎塊から二次枝茎cを、その各々に芽
基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこ
と。
培生産法は、次の構成からなる。 (1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要
の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除す
るとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aと
すること。 (2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8
〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで
成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有す
る一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5
節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中
間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含
む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの
各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残
存させること。 (3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽
が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎cに成長したと
き、その二次枝茎cを、第5節部分であってかつ第4芽
苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部
分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切
除し、これにより、母茎aの各節の上記一次枝茎基部
b″に二次枝茎基部c″を残存させること。 (4) その二次枝茎基部c″の第5節以降の節に発芽
する三次腋芽を、展開葉が最多で5枚となる三次枝茎d
に成長させ、その三次枝茎dを上記一次枝茎基部b″に
二次枝茎基部c″を介し集中群生させて三次枝茎塊とす
ること。 (5) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切
断することにより上記三次枝茎塊全体を母茎aから切り
離し、その三次枝茎塊から三次枝茎dを、その各々に芽
基および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこ
と。
培生産法は、次の構成からなる。 (1) 母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが所要
の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む上側茎を切除す
るとともに、残存する下側茎の葉を取り払って母茎aと
すること。 (2) 上記母茎aの節に発芽する一次腋芽3が、第8
〜14芽苞より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで
成長したとき、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有す
る一次枝茎bに成長したとき、その一次枝茎bを、第5
節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中
間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含
む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの
各節の一次腋芽3の着生部に一次枝茎基部b″だけを残
存させること。 (3) その一次枝茎基部b″の節に発芽する二次腋芽
が、展開葉5〜6枚有する二次枝茎cに成長したとき、
その二次枝茎cを、第5節部分であってかつ第4芽苞と
第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部分に
位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除
し、これにより、母茎aの各節の一次枝茎基部に二次枝
茎基部c″を残存させること。 (4) その二次枝茎基部c″の第5節以降の節に発芽
する三次腋芽を、展開葉が5〜6枚となる三次枝茎dに
成長させ、その三次枝茎dを、第5節部分であってかつ
第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その
重合部分に位置する頂芽成長点を含む三次枝茎上側茎
c′を切除し、これにより、上記二次枝茎基部c″に三
次枝茎基部を残存させること。 (5) その三次枝茎基部の第5節以降の節に発芽する
四次腋芽を、展開葉を最多で5枚有する四次枝茎dに成
長させ、その四次枝茎dを上記一次枝茎基部b″に二次
枝茎基部c″および三次枝茎基部を介し集中群生させて
四次枝茎塊とすること。 (6) 上記一次枝茎基部b″を母茎aの着生部分で切
断することにより上記四次枝茎塊全体を母茎aから切り
離し、その四次枝茎塊から四次枝茎を、その各々に芽基
および根基組織部分を付けた状態にして切り離すこと。
用する甘蔗を栽培し、それが所要の茎丈となったとき、
第1節から第12節までを残して、その上方部分、すな
わち頂芽成長点を含む上側茎を切除するとともに、残存
する下側茎の葉を取り払って母茎aとする請求項1,2
または3記載の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法である。
する甘蔗を、成熟した蔗茎から得た2節苗1を植え付け
ることによって栽培する請求項1,2,3または4記載
の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法である。
の甘蔗としては、成熟した蔗茎から得た2節苗を植え付
けることが最も好ましいし、蔗茎が約300cmに成長
したとき上側茎を切除して、下側茎を母茎aとすること
は、その母茎aが適度に成熟しているので、本圃への活
着度の高い高次枝茎苗hを成長採取するのに適している
ものである。この場合、蔗茎を茎丈120cmでカット
すると、作業員の平均的な背丈等からして、その後の各
種作業を行うのに好適である。
bを、その展開葉が少なくとも7枚となるまで成長させ
たとき、それの頂芽成長点を含む一次枝茎上側茎b′を
切除し、母茎aに一次枝茎基部b″を残存させることに
よって、その一次枝茎基部b″に二次腋芽を効率よく発
芽させ、二次枝茎cに成長させることができるものであ
る。
るまで成長させたとき、それの頂芽成長点を含む二次枝
茎上側茎c′を切除し、上記一次枝茎基部b″に二次枝
茎基部c″を残存させ、また、その二次枝茎基部c″の
三次腋芽から成長する三次枝茎dを、その展開葉が最多
で5枚となるまで成長させたとき、それの頂芽成長点を
含む三次枝茎上側茎を切除し、上記二次枝茎基部c″に
三次枝茎基部を残存させることによって、あるいは、同
様にして四次枝茎を成長させることによって、上記母茎
aに残存している一次枝茎基部b″に上記三次枝茎dま
た四次枝茎である高次枝茎を、それらにより高次枝茎塊
eを形成するように集中群生させることができるもので
ある。
の栽培生産法の実施形態を説明し、つづいてその苗用枝
茎から得た枝茎苗の移植栽培方法について説明する。
た蔗茎を上下2節毎に切断して得た2節苗1を、畦幅約
140cm,深さ約25cmで形成した畦溝2内に、約
50cm間隔で横置きする(図1)とともに所要の覆土
をして植え付け、その2節苗1から発芽し、茎丈が約3
00cmに成長するまで約7ケ月間栽培する(図2)。
背丈等を考慮し、爾後の作業が行い易いように、たとえ
ば茎丈約120cmのところでカットすることによっ
て、第1節から第12節までを残して、その上方部分、
すなわち甘蔗の頂芽成長点を含む上側茎約180cmを
切除する。そして、上記カット部を消毒するとともに、
着生している葉を取り払ういわゆる剥葉処理を行う。こ
れにより、病害虫の発生を防ぐとともに各節に太陽光が
十分に照射されるようになった母茎aを得る(図3)。
は、頂芽成長点が切除され、頂芽優勢が破れていること
によって、上記上側茎切除と剥葉処理の後、5日後に
は、通常2〜6個、平均5個の腋芽を発芽させる。本例
では、第4,6,8,10および12節に各1個計5個
の一次腋芽3が発芽した場合を示した(図4)。
より第1〜7展開葉4〜10が伸長するまで成長したと
き、すなわち、展開葉を少なくとも7枚有する一次枝茎
bに成長したとき(図5)、その一次枝茎bを、第5節
部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間
点でカットし、その重合部分に位置する頂芽成長点を含
む一次枝茎上側茎b′を切除し、これにより、母茎aの
各節の一次腋芽3の着生部には、第1〜5節からなる一
次枝茎基部b″だけを残存させる(図6)。
としているときには、第6節以降の第6,7,8……と
いった各節が、未だ第5節に内包された同心状態、換言
すると年輪のように同心の輪を成して位置する。ちなみ
に、一次枝茎bの頂芽成長点は、第5節部分に存在する
が、それは芽苞で覆われているので外方から目視判断す
ることはできない。しかし、第4芽苞と第5芽苞の重合
部分の中間点でカットすると、その頂芽成長点を切除で
きることは経験則上確認されている。また、一般に甘蔗
の枝茎においては、第5節以降のものに、初めて芽基お
よび根基組織部分が存在するものである。
6,7,8……の各節が、その節間を各々伸長させる
(図7)とともに、第5〜8節に各1個計4個の二次腋
芽を発芽する。各節の二次腋芽が、上記一次腋芽3の場
合と同じようにして、展開葉を5〜6枚となるまで伸長
し二次枝茎cに成長したとき(図8)、その二次枝茎c
を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合
部分の中間点でカットし、その重合部分に位置する頂芽
成長点を含む二次枝茎上側茎c′を切除し、これによっ
て、一次枝茎基部b″の各節の二次腋芽の着生部には、
第1〜5節からなる二次枝茎基部c″を残存させる(図
9)。
は、頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎c′の切除によっ
て、第6,7,8……の各節が、その節間を伸長させる
とともに、第6,7節に各1個計2個の三次腋芽を発芽
する。各節の三次腋芽を、上記一次腋芽3または二次腋
芽の場合と同じようにして、展開葉が最多で5枚となる
まで育成し三次枝茎dに成長させる。以上によって、本
例の1本の母茎a全体では、三次枝茎dは、5×4×2
=40本が成長し、かつ、それらは、母茎aの第5,
6,8,10,12節の部分、さらに具体的には、その
各節に着生している一次枝茎基部b″に二次枝茎基部
c″を介して8本の三次枝茎dが集中群生するところと
なる(図10)。
三次枝茎dをもって目的の高次枝茎とし、これを採取す
るものであるが、それには、上記一次枝茎基部b″を母
茎aの上記各節の着生部分で切断することにより、8本
の三次枝茎dを持った高次枝茎塊e全体を母茎aから切
り離す(図11)。この高次枝茎塊eは、約8℃の低温
であれば、後記する集合育苗器具への挿し植えの前10
日程度の保存が可能なものであるが、本例では、その低
温による保存を行った後の高次枝茎塊eから8本の三次
枝茎dを個々に切り離した。この三次枝茎dの切り離し
に当たっては、たとえば、2本の三次枝茎dが着生して
いる二次枝茎基部c″を二つ割りした後で(図12)、
その二次枝茎基部c″の節(第5節以降)に存在する前
記芽基および根基組織部分11が、切り離される三次枝
茎dの三次枝茎基部d″側に付いた状態にして、切り離
すことが大事である(図13)。以上により、1本の母
茎aから目的の三次枝茎dである高次枝茎を5×4×2
本すなわち40本採取することができるものである。
は、5×6×4本すなわち120本が可能な場合等もあ
り、本例の5×4×2本すなわち40本は平均的なもの
ということができる。また、1本の母茎からの高次枝茎
の採取本数を増やすには、上記した本例の三次枝茎dま
での育成と同じようにして、四次枝茎を育成し、これを
採取することも可能で、その場合には、5×4×2×2
本すなわち80本、あるいは、5×6×4×2本すなわ
ち240本を採取できる。
葉処理〕上記要領により多数の母茎から採取した大量の
高次枝茎である三次枝茎dは、本圃への移植により活着
し自立成長するのに必要な根が伸長した高次枝茎苗に育
苗されるものであるが、その育苗前処理として、まず、
葉数が同じもの毎に、すなわち、1葉,2葉,3葉,4
葉,5葉の各々のもの同士に予め区分される。これは、
この後の育苗管理において、同じ1個の集合育苗器具で
葉数の異なるものが混在する状態で育苗しようとする
と、葉数の少ないものは日陰になり光合成が十分でない
ために発根が著しく遅れ枯死するのを回避するためであ
る。
を茎丈15〜20cmのところで剪葉処理する(図1
4)。これは、育苗中に葉が邪魔して通気が不十分にな
るようなことをなくし、早期の発根を促すためである。
したがって、特に葉数の多いものに対するこの剪葉処理
は不可欠なことである。
る高次枝茎を、これに発根させ、上記のように本圃に活
着し成長するのに必要な根が伸長した高次枝茎苗にする
ために、発明者らは各種の集合育苗器具を使用して実験
した。その結果、前記した3種類の集合育苗器具中、多
数の収容部が多数の紙筒により形成されているととも
に、その収容部の各々を分離することができるようにし
た構成のもの(日本甜菜製糖株式会社製、登録商標「ペ
ーパーポット」)であって、しかも、1個が、直径3c
m,高さ10cmの紙筒12を、縦列に12本,横列に
22本にして合計264本をハニカム配列にしてなる集
合育苗器具fが本例の育苗に最適であるとの知見を得
た。
2に、肥料を混入していない培土、すなわち、無肥料の
培土を充填するとともに、その各々に、上記三次枝茎d
を深さ約3cmにして挿し植えした(図15)。この場
合、1個の集合育苗器具fには、同じ葉数の三次枝茎d
を挿し植えし、葉数の異なるものが混在しないようにし
た。また、集合育苗器具fを育苗ハウスg内に配列する
についても、同じ葉数の三次枝茎dを挿し植えした集合
育苗器具f同士毎にグループ化して、しかも、集合育苗
器具f各々の間隔を少なくとも15cm程度にして配列
した(図16)。
持し、急激な温度変化を避けるようにし、かつ、灌水
は、集合育苗器具fの育苗ハウス内配列を終えたところ
で直ちに行うとともに、特に当日は昼夜にわたり十分に
行い、2日目からは昼間のみ1時間毎に約10分間行
い、夜間の灌水を行わなかった。これにより、三次枝茎
dは、春期においては挿し植え後4〜7日で、夏期にお
いては同じく挿し植え後3〜5日で発根した。春期の挿
し植え10日以降、また、夏期の挿し植え7日以降は、
葉が萎れない程度に灌水すると足りた。
土に肥料を混入していないとともに挿し植え後の施肥を
行っていないことが、却って発根を促進したものであ
る。発根後は週に1回の割合で所要の施肥を行うことに
より根のその後の伸長が一層促進された。
週間の育苗期間で、上記三次枝茎dは、1葉のものがそ
の葉数を4葉とし、2葉のものがその葉数を4〜5葉と
し、3葉のものがその葉数を5〜6葉とし、4葉のもの
がその葉数を5〜6葉とし、5葉のものがその葉数を6
〜7葉とし、かつ、これらはいずれも、主根13に多数
の分岐根14を伸長させた根部に土を付けたいわゆる根
鉢を形成した高次枝茎苗hに成長した(図17)。
移植の約1週間前(したがって、春期では挿し植え後3
週間、夏期では同2週間を経たとき)に、集合育苗器具
fを育苗ハウスgから外に出し、高次枝茎苗hの順化、
すなわち、高次枝茎苗hを環境変化に順応させる。これ
によって、各苗の本圃への活着が容易確実となる。
をほぼ25〜35cmになるように剪葉して揃え(図1
8)、これにより、専用移植機による本圃への自動移植
作業を円滑に行えるように準備する。ただし、苗丈を上
記のようにほぼ25〜35cmに剪葉したとき、第1展
開葉が殆どなくなる高さまで成長してしまっている高次
枝茎苗hは、本圃に移植しても活着することなく枯死す
るので、そのような高次枝茎苗hについては剪葉するこ
となく、それを含む1個の集合育苗器具fごと除き、そ
のままで補植用苗として使用するのに備える。
走行にともなって自動駆動する苗列分離機構、苗個別分
離機構,苗植付け機構および作溝機構等を搭載してい
る。移植は、上記苗列分離機構によって集合育苗器具f
の紙筒12を、列単位ですなわち横列22本毎に一括分
離するとともに、それを苗個別分離機構により個別に分
離して苗植付け機構に送給し、作溝機構により、畦幅1
40〜150cmで先行掘削する溝幅75〜80cm,
深さ約25cmの畦溝15の底部に、上記紙筒12ごと
高次枝茎苗hを、所要の株間隔で、しかも、紙筒12の
上部約2cmを露出させた状態にして連続的に植え付け
ることによって行った(図19)。
着率は95%以上であった。これは従来の2節苗新植栽
培方法の発芽率そのものが、蔗茎の成熟度、気象条件ま
たは土壌条件等の影響で通常50〜60%にすぎなかっ
たのに比べると、格段の進歩であり、収穫量の向上に寄
与できること明らかである。
cmを土中に埋め込むことなく露出させた浅植え状態に
なっていることと、その植付け深さが一定であることに
よって、根に近い茎の部分からする枝分かれ、すなわ
ち、分蘖(ぶんけつ)が、従来の栽培方法による場合に
比較すると約10%多くなり、収穫量の向上にさらに大
きく寄与した。
本発明によれば、多数の枝茎を蔗茎(母茎)の節の部分
に集中的に群生させるので、枝茎の採取をあまり手間を
掛けることなく効率的に行うことができ、また、育苗ハ
ウス内での育苗において、葉数の同じ枝茎別に集合育苗
器具に挿し植えし、しかも、葉数の同じ枝茎を収容した
集合育苗器具同士を所要の間隔をあけて設置し、かつ、
当初は敢えて施肥をしないことにより発根を促す管理を
行うから、ほぼ同じ苗丈に揃いかつ活着に必要な分岐根
を多数伸長させた枝茎苗を得ることができる。
苗を植え付けている状態の説明図である。
面図である。
さを切除して12節目までを残すとともに剥葉処理して
なる母茎の説明図である。
1本計5本の一次枝茎が成長している状態を示す説明図
である。
分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合部分に位置さ
せ、展開葉を7〜8枚にするところまで成長した状態の
説明図である。
合部分の中間点でカットし、頂芽成長点を含む一次枝茎
上側茎を切除し、一次枝茎基部だけを母茎に残した状態
を示す説明図である。
6節〜第8節が伸長した状態を示す説明図である。
各1本計4本の二次枝茎が成長している状態を示す斜視
図である。
上の二次枝茎を、一次枝茎の場合と同様に、第4芽苞と
第5芽苞との重合部分の中間点でカットし、頂芽成長点
を含む二次枝茎上側茎を切除し、二次枝茎基部だけを一
次枝茎基部に残した状態を示す説明図である。
に各1本計8本の三次枝茎が展開葉を最多のもので5枚
になるまで成長した状態であって、前記一次枝茎基部が
着生している母茎に高次枝茎塊を形成した状態を示す斜
視図である。
斜視図である。
高次枝茎)に切り離している状態の説明図である。
4葉の三次枝茎、(2)は5葉の三次枝茎を示す。
面図で(1)は4葉の三次枝茎、(2)は5葉の三次枝
茎を示す。
ている状態の説明図である。
ハウス内における配置状態の説明図である。
状態を示す説明図である。
所定の剪葉処理をした状態を示す高次枝茎苗の説明図で
ある。
である。
カム配列にした集合育苗器具(日本甜菜製糖株式会社
製、登録商標「ペーパーポット」) g 育苗ハウス h 高次枝茎苗 1 2節苗 2 畦溝 3 一次腋芽 4 第1展開葉 5 第2展開葉 6 第3展開葉 7 第4展開葉 8 第5展開葉 9 第6展開葉 10 第7展開葉 11 芽基および根基組織部分 12 紙筒 13 主根 14 分岐根
Claims (5)
- 【請求項1】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培
し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む
上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り
払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽す
る一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸
長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくと
も7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎
を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合
部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成
長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎
の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存さ
せること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二
次腋芽を、二次枝茎に成長させ、上記一次枝茎基部に二
次枝茎を集中群生させて二次枝茎塊とすること、(4)
上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切断することに
より上記二次枝茎塊全体を母茎から切り離し、その二次
枝茎塊から二次枝茎を、その各々に芽基および根基組織
部分を付けた状態にして切り離すことを特徴とする甘蔗
の苗用枝茎の栽培生産法。 - 【請求項2】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培
し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む
上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り
払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽す
る一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸
長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくと
も7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎
を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合
部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成
長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎
の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存さ
せること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二
次腋芽が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎に成長した
とき、その二次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽
苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部
分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎を切除
し、これにより、母茎の各節の上記一次枝茎基部に二次
枝茎基部を残存させること、(4) その二次枝茎基部
の節に発芽する三次腋芽を、展開葉が最多で5枚となる
三次枝茎に成長させ、その三次枝茎を上記一次枝茎基部
に二次枝茎基部を介し集中群生させて三次枝茎塊とする
こと、(5) 上記一次枝茎基部を母茎の着生部分で切
断することにより上記三次枝茎塊全体を母茎から切り離
し、その三次枝茎塊から三次枝茎を、その各々に芽基お
よび根基組織部分を付けた状態にして切り離すことを特
徴とする甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。 - 【請求項3】(1) 母茎として利用する甘蔗を栽培
し、それが所要の茎丈となったとき、頂芽成長点を含む
上側茎を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り
払って母茎とすること、(2) 上記母茎の節に発芽す
る一次腋芽が、第8〜14芽苞より第1〜7展開葉が伸
長するまで成長したとき、すなわち、展開葉を少なくと
も7枚有する一次枝茎に成長したとき、その一次枝茎
を、第5節部分であってかつ第4芽苞と第5芽苞の重合
部分の中間でカットし、その重合部分に位置する頂芽成
長点を含む一次枝茎上側茎を切除し、これにより、母茎
の各節の一次腋芽の着生部に一次枝茎基部だけを残存さ
せること、(3) その一次枝茎基部の節に発芽する二
次腋芽が、展開葉を5〜6枚有する二次枝茎に成長した
とき、その二次枝茎を、第5節部分であってかつ第4芽
苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、その重合部
分に位置する頂芽成長点を含む二次枝茎上側茎を切除
し、これにより、母茎の各節の一次枝茎基部に二次枝茎
基部を残存させること、(4) その二次枝茎基部の節
に発芽する三次腋芽を、展開葉が5〜6枚となる三次枝
茎に成長させ、その三次枝茎を、第5節部分であってか
つ第4芽苞と第5芽苞の重合部分の中間でカットし、そ
の重合部分に位置する頂芽成長点を含む三次枝茎上側茎
を切除し、これにより、上記二次枝茎基部に三次枝茎基
部を残存させること、(5) その三次枝茎基部の第5
節以降の節に発芽する四次腋芽を、展開葉を最多で5枚
有する四次枝茎に成長させ、その四次枝茎を上記一次枝
茎基部に二次枝茎基部および三次枝茎基部を介し集中群
生させて四次枝茎塊とすること、(6) 上記一次枝茎
基部を母茎の着生部分で切断することにより上記四次枝
茎塊全体を母茎から切り離し、その四次枝茎塊から四次
枝茎を、その各々に芽基および根基組織部分を付けた状
態にして切り離すことを特徴とする甘蔗の苗用枝茎の栽
培生産法。 - 【請求項4】母茎として利用する甘蔗を栽培し、それが
所要の茎丈となったとき、第1節から第12節までを残
して、その上方部分、すなわち頂芽成長点を含む上側茎
を切除するとともに、残存する下側茎の葉を取り払って
母茎とすることを特徴とする請求項1,2または3記載
の甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法。 - 【請求項5】母茎として利用する甘蔗を、成熟した蔗茎
から得た2節苗を植え付けることによって栽培すること
を特徴とする請求項1,2,3または4記載の甘蔗の苗
用枝茎の栽培生産法。
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