JP2003201503A - 気孔を有する金属体の封孔処理方法 - Google Patents
気孔を有する金属体の封孔処理方法Info
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- JP2003201503A JP2003201503A JP2002003527A JP2002003527A JP2003201503A JP 2003201503 A JP2003201503 A JP 2003201503A JP 2002003527 A JP2002003527 A JP 2002003527A JP 2002003527 A JP2002003527 A JP 2002003527A JP 2003201503 A JP2003201503 A JP 2003201503A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 焼結体などの気孔の蝋による封孔を蝋液への
どぶ漬け法で十分に行えるようにする。 【解決手段】 気孔を有する金属体を好ましくは蝋液の
温度以上に予熱して蝋液に浸漬し、金属体の表層部での
蝋の固化を防止して蝋の含浸性を向上させるようにし
た。
どぶ漬け法で十分に行えるようにする。 【解決手段】 気孔を有する金属体を好ましくは蝋液の
温度以上に予熱して蝋液に浸漬し、金属体の表層部での
蝋の固化を防止して蝋の含浸性を向上させるようにし
た。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、気孔を有する金
属体の封孔処理方法に関する。
属体の封孔処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】気孔を有する金属体、例えば、焼結金属
製機械部品などにメッキを施す場合、メッキ液が焼結体
の気孔内に浸透して腐食の原因となる。それを防止する
ため、特開昭53−88607号は、メッキを施す前
に、メッキ浴の液温よりも融点の高い蝋(ワックス)で
焼結体の気孔を封孔することを提案している。
製機械部品などにメッキを施す場合、メッキ液が焼結体
の気孔内に浸透して腐食の原因となる。それを防止する
ため、特開昭53−88607号は、メッキを施す前
に、メッキ浴の液温よりも融点の高い蝋(ワックス)で
焼結体の気孔を封孔することを提案している。
【0003】封孔方法については、選択した蝋を、その
融点よりもなるべく高温の溶融状態にしておき、その中
に焼結体を数分間どぶ漬けするとしている。
融点よりもなるべく高温の溶融状態にしておき、その中
に焼結体を数分間どぶ漬けするとしている。
【0004】この方法は、樹脂含浸などで通常行われる
減圧−浸漬−加圧含浸の面倒な工程を必要とせず、設備
も簡単なもので済む利点がある。
減圧−浸漬−加圧含浸の面倒な工程を必要とせず、設備
も簡単なもので済む利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法では、焼結
体が常温であり、これを加熱溶融させた蝋液にどぶ漬け
すると、周囲の蝋が熱を奪われて凝固し、そのために、
焼結体の表面が固化した蝋に覆われて空孔内に蝋が十分
に浸透しない。
体が常温であり、これを加熱溶融させた蝋液にどぶ漬け
すると、周囲の蝋が熱を奪われて凝固し、そのために、
焼結体の表面が固化した蝋に覆われて空孔内に蝋が十分
に浸透しない。
【0006】上記公報が述べているように、数分間(十
分間)浸漬してみたが、浸透性は改善されなかった。
分間)浸漬してみたが、浸透性は改善されなかった。
【0007】蝋の浸透が少なく、封孔が十分でなけれ
ば、メッキ液が気孔内に浸入し、メッキ層の欠陥も生じ
て焼結体が腐食し易くなる。
ば、メッキ液が気孔内に浸入し、メッキ層の欠陥も生じ
て焼結体が腐食し易くなる。
【0008】この発明は、気孔を有する金属体の耐食性
向上等のために、上述した方法の欠点を無くして気孔の
封孔を確実化することを課題としている。
向上等のために、上述した方法の欠点を無くして気孔の
封孔を確実化することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、気孔を有する金属体を予熱し
て蝋液に浸漬し、その金属体の気孔を含浸した蝋で封孔
する方法を採る。
め、この発明においては、気孔を有する金属体を予熱し
て蝋液に浸漬し、その金属体の気孔を含浸した蝋で封孔
する方法を採る。
【0010】かかる方法での金属体の予熱温度は、蝋液
の温度よりも高いことが好ましい。より好ましくは、蝋
液の温度以上、蝋液の気化温度以下がよい。蝋液の温度
との温度差が大きいほど好ましく、その温度差を広げる
ために、蝋液の温度を蝋材の融点近くに設定するのも好
ましい。
の温度よりも高いことが好ましい。より好ましくは、蝋
液の温度以上、蝋液の気化温度以下がよい。蝋液の温度
との温度差が大きいほど好ましく、その温度差を広げる
ために、蝋液の温度を蝋材の融点近くに設定するのも好
ましい。
【0011】なお、蝋は、油脂、ワックス、脂肪酸など
適当なものを利用できるが、封孔がメッキの前処理とし
て行われる場合には、メッキ浴の液温よりも融点の高い
蝋を使用する。
適当なものを利用できるが、封孔がメッキの前処理とし
て行われる場合には、メッキ浴の液温よりも融点の高い
蝋を使用する。
【0012】
【作用】金属体を予熱して蝋液に浸漬すると、蝋液の温
度低下とそれによる金属体表層部での蝋の固化が抑えら
れ、蝋の浸透性が良くなる。
度低下とそれによる金属体表層部での蝋の固化が抑えら
れ、蝋の浸透性が良くなる。
【0013】また、予熱により気孔内の空気が膨張す
る。これにより金属体を蝋液に浸漬して冷却される際に
気孔内が残留空気の収縮で負圧状態になり、蝋液が引き
込まれて気孔深くまで浸入する。
る。これにより金属体を蝋液に浸漬して冷却される際に
気孔内が残留空気の収縮で負圧状態になり、蝋液が引き
込まれて気孔深くまで浸入する。
【0014】金属体を蝋液温度以上に予熱しておくと、
蝋液に浸漬したときに金属体の熱が奪われるため、この
段階で残留空気の収縮が起こり、蝋の含浸がより促進さ
れる。この効果は、金属体の予熱温度と蝋液温度の差が
大きいほど大きくなり、封孔がより確実になされる。
蝋液に浸漬したときに金属体の熱が奪われるため、この
段階で残留空気の収縮が起こり、蝋の含浸がより促進さ
れる。この効果は、金属体の予熱温度と蝋液温度の差が
大きいほど大きくなり、封孔がより確実になされる。
【0015】ボイル・シャルルの法則による気体(空
気)の膨張は1℃について1/273であり、蝋液との
温度差が例えば60℃あるとすれば予熱により60/2
73の膨張が起こり、その分、冷却時に蝋を吸い込む量
が多くなる。
気)の膨張は1℃について1/273であり、蝋液との
温度差が例えば60℃あるとすれば予熱により60/2
73の膨張が起こり、その分、冷却時に蝋を吸い込む量
が多くなる。
【0016】また、金属体の予熱温度を蝋液の気化温度
以下にすれば蝋液は気化せず、安全な作業環境を保て
る。
以下にすれば蝋液は気化せず、安全な作業環境を保て
る。
【0017】
【発明の実施の形態】気孔を有する金属体として、図1
に示す内接歯車ポンプ用の焼結金属製ロータ1を用意
し、そのロータに対するメッキの前処理として蝋による
気孔の封孔処理を行った。ロータは重量27g、密度
7.0g/cm3 である。蝋は、メッキ浴の液温よりも
融点の高いもの(融点89℃)を使用した。また、蝋液
の量は360ccとした。
に示す内接歯車ポンプ用の焼結金属製ロータ1を用意
し、そのロータに対するメッキの前処理として蝋による
気孔の封孔処理を行った。ロータは重量27g、密度
7.0g/cm3 である。蝋は、メッキ浴の液温よりも
融点の高いもの(融点89℃)を使用した。また、蝋液
の量は360ccとした。
【0018】−実施例−
上記のロータを蝋液よりも高温の180℃(蝋液温度1
20℃)に予熱して蝋液に浸漬し、蝋液の温度が安定し
た後に引き上げた。その間の浸漬時間は2分間であっ
た。この方法によると、浸漬時間は短いが、気孔内深く
まで蝋液が浸透する。この方法による蝋の含浸量は0.
18gであった(ショットブラスト後のロータ重量から
計算)。
20℃)に予熱して蝋液に浸漬し、蝋液の温度が安定し
た後に引き上げた。その間の浸漬時間は2分間であっ
た。この方法によると、浸漬時間は短いが、気孔内深く
まで蝋液が浸透する。この方法による蝋の含浸量は0.
18gであった(ショットブラスト後のロータ重量から
計算)。
【0019】−比較例1−
常温(20℃)の前述のロータを180℃の蝋液に10
分間浸漬した。この方法での蝋含浸量は0.11gであ
った。
分間浸漬した。この方法での蝋含浸量は0.11gであ
った。
【0020】−比較例2−
常温(20℃)の前述のロータを160℃の蝋液に浸漬
した。また、このときに液温が127℃まで低下したの
で、追加熱を行って150℃まで昇温させ、この状態で
5分間浸漬を維持した。常温のロータを蝋液に漬ける
と、ロータの表層部の蝋が固化するが、追加熱により気
孔内の空気が膨張し、気泡が発生した。追加熱後の5分
間の浸漬で気泡が止まって飽和状態となり、この後、蝋
液から引き上げて冷却した結果、蝋含浸量は0.15g
であった。その量は比較例1よりは多いが、実施例より
は少ない。
した。また、このときに液温が127℃まで低下したの
で、追加熱を行って150℃まで昇温させ、この状態で
5分間浸漬を維持した。常温のロータを蝋液に漬ける
と、ロータの表層部の蝋が固化するが、追加熱により気
孔内の空気が膨張し、気泡が発生した。追加熱後の5分
間の浸漬で気泡が止まって飽和状態となり、この後、蝋
液から引き上げて冷却した結果、蝋含浸量は0.15g
であった。その量は比較例1よりは多いが、実施例より
は少ない。
【0021】次に、上記実施例と比較例1、2の方法で
封孔したロータをショットブラスト処理後、Zn−Cメ
ッキを施して5%塩化ナトリウム水、噴霧連続24時間
の塩水噴霧試験に供して耐食性の評価を行った。その結
果、実施例のロータは錆が見られず、良好な性状を保っ
ていた。これに対し、比較例1、2のロータは、内周エ
ッジ、端面、外周面などに錆が発生していた。
封孔したロータをショットブラスト処理後、Zn−Cメ
ッキを施して5%塩化ナトリウム水、噴霧連続24時間
の塩水噴霧試験に供して耐食性の評価を行った。その結
果、実施例のロータは錆が見られず、良好な性状を保っ
ていた。これに対し、比較例1、2のロータは、内周エ
ッジ、端面、外周面などに錆が発生していた。
【0022】上記の試験結果を以下の表1にまとめた。
テスト品:焼結体ロータ(重量27g、密度7.0g/
cm3 ) 蝋液量 :360cc
cm3 ) 蝋液量 :360cc
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】上記の実験結果からも判るように、この
発明の封孔処理方法によれば気孔に対する蝋の含浸が効
果的になされて封孔状態が良くなり、メッキの前処理に
利用した場合、メッキ後の製品の耐食性が向上する。
発明の封孔処理方法によれば気孔に対する蝋の含浸が効
果的になされて封孔状態が良くなり、メッキの前処理に
利用した場合、メッキ後の製品の耐食性が向上する。
【0025】また、蝋液に対する浸漬時間も短縮でき、
生産性の向上にもつながる。
生産性の向上にもつながる。
【図1】封孔処理に供した試料(ロータ)の斜視図
1 ロータ
Claims (3)
- 【請求項1】 気孔を有する金属体を予熱して蝋液に浸
漬し、その金属体の気孔を含浸した蝋で封孔する気孔を
有する金属体の封孔処理方法。 - 【請求項2】 金属体の予熱温度を、蝋液の温度以上と
する請求項1記載の気孔を有する金属体の封孔処理方
法。 - 【請求項3】 金属体の予熱温度を、蝋液の温度以上、
蝋液の気化温度以下とする請求項1記載の気孔を有する
金属体の封孔処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002003527A JP2003201503A (ja) | 2002-01-10 | 2002-01-10 | 気孔を有する金属体の封孔処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002003527A JP2003201503A (ja) | 2002-01-10 | 2002-01-10 | 気孔を有する金属体の封孔処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003201503A true JP2003201503A (ja) | 2003-07-18 |
Family
ID=27643092
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002003527A Pending JP2003201503A (ja) | 2002-01-10 | 2002-01-10 | 気孔を有する金属体の封孔処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003201503A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114450109A (zh) * | 2019-09-25 | 2022-05-06 | 赢创运营有限公司 | 金属体及其制备方法 |
-
2002
- 2002-01-10 JP JP2002003527A patent/JP2003201503A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114450109A (zh) * | 2019-09-25 | 2022-05-06 | 赢创运营有限公司 | 金属体及其制备方法 |
CN114450109B (zh) * | 2019-09-25 | 2024-05-17 | 赢创运营有限公司 | 金属体及其制备方法 |
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