JP2003197100A - カラー陰極線管の製造方法 - Google Patents

カラー陰極線管の製造方法

Info

Publication number
JP2003197100A
JP2003197100A JP2001395123A JP2001395123A JP2003197100A JP 2003197100 A JP2003197100 A JP 2003197100A JP 2001395123 A JP2001395123 A JP 2001395123A JP 2001395123 A JP2001395123 A JP 2001395123A JP 2003197100 A JP2003197100 A JP 2003197100A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
color selection
selection electrode
tensile force
content
color
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001395123A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Hayashi
正夫 林
Takashi Kanehisa
孝 兼久
Koji Fujimoto
康治 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001395123A priority Critical patent/JP2003197100A/ja
Publication of JP2003197100A publication Critical patent/JP2003197100A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の基準を満足する色選別電極と支持体と
のNi含有量の組み合わせを、あらかじめ求めておくこ
とにより、振動不良やしわ発生防止し、歩留まりを向上
させることができるカラー陰極線管の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 支持体11のNi含有量と、色選別電極
16の熱処理後の引張力との関係を、異なるNi含有量
の色選別電極16毎に測定して、色選別電極16のNi
含有量と支持体11のNi含有量との組み合わせのう
ち、所定の基準を満足する組み合わせをあらかじめ求め
ておき、色選別電極構体を形成する工程における色選別
電極16のNi含有量と支持体11のNi含有量との組
み合わせを、前記所定の基準を満足する組み合わせとす
る。このことにより、振動不良やしわ不良が発生する色
選別電極と支持体とのNi含有量の組み合わせを効率的
に排除でき、歩留まりを大幅に向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータモニ
タやテレビジョンセット等のディスプレイ装置に用いら
れるカラー陰極線管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラー陰極線管においては、反射
外光の範囲を小さくでき、画像の歪みも防止できるとい
った利点があることからパネルの平面化が進められてい
る。これに伴い、電子銃から発射される3本の電子ビー
ムに対して色選別の役割を果たす色選別電極(シャドウ
マスク)も平面に近い状態で保持される必要がある。
【0003】この場合、陰極線管動作時においては、電
子ビームの射突による熱膨張によって、色選別電極の開
孔が変位して、開孔を通過する電子ビームが所定の蛍光
体に正しく当たらなくなり、色むらが発生するというド
ーミング現象が生じる。
【0004】このため、色選別電極の温度上昇による熱
膨張を吸収できるような引張力をあらかじめ加えて、色
選別電極を支持体に架張保持することが行われている。
このような、架張保持によれば、色選別電極の温度が上
昇しても、色選別電極の開孔と蛍光体スクリーン面の蛍
光体との相互位置のずれを低減することができる。
【0005】一方、色選別電極の材料には、一般的に鉄
材料を使用しているが、ニッケル(Ni)を含有した熱
膨張係数の小さいNi−Fe合金を用いれば、陰極線管
動作時のシャドウマスクの熱膨張を抑えることができ
る。この場合、色選別電極に接合されているフレーム材
料についてもNi−Fe合金を用いることにより、色選
別電極のしわ発生防止を図ることができる。
【0006】また、架張保持の際の色選別電極への引張
力印加は、周辺部に対して中央部を大きくすることが行
われている。このことにより、カラー陰極線管を例えば
テレビジョンセットに組み込んだ際の、スピーカ等の振
動による色選択電極の振動を抑えることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような従来の架張保持には、以下のような問題があっ
た。色選別電極を架張保持した後の高温の熱処理工程と
して、例えばパネルとファネルとをシールするフリット
シール工程(440〜470℃程度)がある。
【0008】このような高温熱処理工程においては、フ
レームの弾性限度が低下し、塑性変形が進行するクリー
プ現象が発生し、常温に戻した際には、色選別電極の当
初の引張力は低下する。このような塑性変形により、色
選別電極に印加されていた当初の引張力は低下してしま
う。この場合、色選別電極の引張力が低下しても、その
低下自体が通常の範囲であり、中央部の引張力に対する
周辺部の引張力が例えば80%程度であるという関係が
確保されていれば、振動不良は防止できることになる。
【0009】しかしながら、熱処理後の引張力分布には
ばらつきがあり、周辺部の引張力に対して、中央部の引
張力が大きくなり過ぎる場合や、逆に引張力の大小関係
が逆転し、周辺部の引張力に対して中央部の引張力が小
さくなる場合がある。引張力の低下自体は通常の範囲で
あったとしても、前者の場合は、色選別電極にしわが発
生し易くなるという問題があり、後者の場合は、振動不
良が発生するという問題があった。
【0010】本発明は、前記のような従来の問題を解決
するためのものであり、所定の基準を満足する色選別電
極と支持体とのNi含有量の組み合わせを、あらかじめ
求めておくことにより、振動不良やしわ発生を防止し、
歩留まりを向上させることができるカラー陰極線管の製
造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のカラー陰極線管の製造方法は、対向する一
対の支持体間に、色選別電極を架張保持して色選別電極
構体を形成する工程と、前記色選別電極構体を熱処理す
る工程とを備え、前記支持体及び前記色選別電極の材料
は、Ni−Fe合金であり、支持体のNi含有量と、色
選別電極の前記熱処理後の引張力との関係を、異なるN
i含有量の色選別電極毎に測定して、色選別電極のNi
含有量と支持体のNi含有量との組み合わせのうち、所
定の基準を満足する組み合わせをあらかじめ求めてお
き、前記色選別電極構体を形成する工程における色選別
電極のNi含有量と支持体のNi含有量との組み合わせ
を、前記所定の基準を満足する組み合わせとすることを
特徴とする。
【0012】前記のようなカラー陰極線管の製造方法に
よれば、振動不良やしわ不良が発生する色選別電極のN
i含有量と支持体のNi含有量との組み合わせを効率的
に排除することができ、歩留まりを大幅に向上させるこ
とができる。
【0013】前記カラー陰極線管の製造方法において
は、前記支持体のNi含有量と色選別電極の引張力との
関係における色選別電極の引張力は、前記色選別電極の
少なくとも2箇所の異なる部分における引張力であるこ
とが好ましい。前記のようなカラー陰極線管の製造方法
によれば、引張力分布に基いて所定の基準値を設定でき
るので、特に振動不良の防止に有効である。
【0014】また、前記異なる部分は、少なくとも前記
色選別電極の横方向の中央部、及び横方向の周辺部であ
ることが好ましい。前記のようなカラー陰極線管の製造
方法によれば、振動不良の防止により有効である。
【0015】また、前記色選別電極の周辺部の引張力に
対して、中央部の引張力が所定の大きさだけ大きいこと
を前記所定の基準とすることが好ましい。前記のような
カラー陰極線管の製造方法によれば、周辺部の引張力に
対して、中央部の引張力が大きくなり過ぎたり、中央部
の引張力対して、周辺部の引張力が大きくなることを防
止でき、色選別電極のしわ発生や、振動不良の防止に有
効である。
【0016】また、前記熱処理後の色選別電極の中央部
の引張力が所定値以上であることを前記所定の基準とす
ることが好ましい。前記のようなカラー陰極線管の製造
方法によれば、熱処理後の引張力の確保を重視する場合
に有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施
形態に係るカラー陰極線管の断面図を示している。本図
に示したカラー陰極線管1は、内面に蛍光体スクリーン
面2aが形成された実質的に長方形状のフェイスパネル
2と、フェイスパネル2の後方に接続されたファンネル
3とで外囲器が形成されている。ファンネル3のネック
部3aには、3本の電子ビームを射出する電子銃4が内
蔵されており、電子銃4から射出した電子ビームは、フ
ァンネル3の外周面上に配置された偏向ヨーク5によっ
て、偏向されて蛍光体スクリーン面2aに到達する。
【0018】フェイスパネル2の内部には、蛍光体スク
リーン面2aに対向して設けられた色選別電極(シャド
ウマスク)6が配置されている。色選別電極6は、電子
銃4から発射される3本の電子ビームに対して色選別の
役割を果たすものである。Aは、電子ビーム軌跡を示し
ている。本実施形態に係る色選別電極6には、平板に電
子ビーム通過孔である略スロット形の開孔がエッチング
により多数形成されている。また、支持体であるフレー
ム7には、色選別電極6が固定されており、色選別電極
6及びフレーム7により、色選別電極構体が形成されて
いる。この色選別電極構体は、フレーム7に設けられた
スプリング材8によってフェイスパネル2のパネルピン
9に掛止されている。
【0019】以下、本発明の一実施形態に係るカラー陰
極線管の製造方法について製造工程順に説明する。図2
(a)は、フレーム組立工程を経て完成した枠状フレー
ムの斜視図を示している。枠状フレーム10(図1のフ
レーム7に相当)は、色選別電極の支持体である長辺フ
レーム11の下面に、弾性部材である短辺フレーム12
の上面を溶接により接合して形成されている。
【0020】長辺フレーム11は、板厚1.4〜1.8
mm程度のプレス打ち抜き材料を曲げ加工したものであ
る。また、剛性を高めて所定強度を確保するため、断面
形状が三角状となるような曲げ加工部11aを有してい
る。さらに、曲げ加工部11aの終端部11bは長手方
向に沿って溶接されている。短辺フレーム12は、長辺
フレーム11と同様に、板厚1.4〜1.8mm程度の
プレス打ち抜き材料を曲げ加工したものである。
【0021】枠状フレーム10は、次のフレーム熱処理
工程において、溶接時の加工歪を除去するために、例え
ば550℃以上で15分間の条件で熱処理する。その
後、ミーリング工程において、フレーム上面11cを切
削加工する。この加工により、スクリーン面2a(図
1)と、色選別電極との間の距離を適正値にすることが
でき、電子ビームの位置ずれによる色ずれを防止するこ
とができる。また、このような切削加工により、フレー
ム上面11cが滑らかになるので、後の色選別電極との
溶接が容易になる。
【0022】このような処理を経た後、架張工程へと移
行する。図2(b)は、架張工程における斜視図を示し
ている。カラー陰極線管では、電子ビームの射突による
熱膨張によって、色選別電極16の開孔17が変位し
て、開孔17を通過する電子ビームが所定の蛍光体に正
しく当たらなくなり、色むらが発生するというドーミン
グ現象が生じる。このため、色選別電極16の温度上昇
による熱膨張を吸収できるような引張力をあらかじめ加
えて、色選別電極16を枠状フレーム10に架張保持す
ることが行われている。架張保持によれば、色選別電極
16の温度が上昇しても、色選別電極16の開孔17と
蛍光体スクリーン面2a(図1)の蛍光体との相互位置
のずれを低減することができる。
【0023】このような架張保持を行なうのが架張工程
であり、架張工程を経て、色選別電極16が、枠状フレ
ーム10に、引張力が印加された状態で接合される。架
張工程においては、色選別電極16には、矢印A方向に
引張力を加え、枠状フレーム10には、矢印B方向に圧
縮力が加えられる。
【0024】図3(a)は、溶接工程における斜視図を
示している。本図の状態では、図2(b)に示した色選
別電極16への引張力、及び枠状フレーム10への圧縮
力の引加状態は、維持されたままである。本工程におい
て、フレーム上面11cに沿って、ローラ電極20を回
転させながら、色選別電極16をフレーム上面11cに
接合させる。
【0025】この溶接による接合後、色選別電極を所定
長さに切断して、色選別電極16と、枠状フレーム10
との接合体である色選別電極構体が形成される。図3
(b)は、この状態の斜視図を示している。本図の状態
では、色選別電極16の復元力(縮む方向)と、枠状フ
レーム10の復元力(伸びる方向)とがつりあってお
り、色選別電極16は、矢印A方向に引張力が印加され
た状態で、枠状フレーム10に固定されている。
【0026】また、本実施形態では、色選別電極16、
長辺フレーム11、及び短辺フレーム12の材料とし
て、Ni−Fe合金を用いている。例えば、色選別電極
16及び長辺フレーム11に36%Ni−Fe合金、短
辺フレーム12に42%Ni−Fe合金の組み合わせが
ある。なお、元素記号の前の数字は成分の質量%を示し
ている。Ni−Fe合金は、熱膨張係数が小さいので、
陰極線管動作時の色選別電極16の熱膨張を抑えること
ができる。このため、架張時の引張力も小さくできるの
で、色選別電極構体の軽量化を図ることができる。
【0027】次に、熱処理工程に移る。この熱処理工程
は、ガラス材であるフェイスパネル2(図1)とファン
ネル3(図1)とを接合するフリット工程前に、フリッ
ト工程と同様の設定条件で、色選別電極構体をあらかじ
め、熱処理しておくものである。
【0028】この熱処理工程においては、フレームの弾
性限度が低下し、塑性変形が進行するクリープ現象が発
生し、常温に戻した際には、色選別電極の当初の引張力
は低下する。しかしながら、いったん高温熱処理を行な
っておけば、次のガラスフリット工程における高温熱処
理の際には、新たにクリープ現象が進行することはな
く、ガラスフリット工程における色選別電極の引張力低
下を防止できる。
【0029】したがって、あらかじめ高温熱処理を経た
状態で、色選別電極と蛍光体スクリーン面との位置合わ
せを行なっておけば、ガラスフリット工程を経た後にお
いても、この状態が保たれることになり、色選別電極と
蛍光体スクリーン面との位置ずれが起こることを防止で
きる。
【0030】ここで、前記の架張工程において、色選別
電極16の横方向(画面水平方向)の引張力が均一とな
るように架張した場合は、カラー陰極線管を例えばテレ
ビジョンセットに組み込んだとき、スピーカからの振動
が色選択電極を振動させる現象が生じ、電子ビームが正
規位置に当らず、他の色を選択し結果的に色ずれ現象が
発生する場合がある。
【0031】色選択電極の振動防止には、高温熱処理を
経た後において、色選別電極の周辺部の引張力に対し
て、中央部の引張力が大きくなるようにしておくことが
有効である。より具体的には、中央部の引張力に対し
て、周辺部の引張力が80%程度となっていることが好
ましい。
【0032】このような引張力分布と合わせて、色選別
電極両端の無孔部に振動防止を目的としたダンパを取り
付けることによって、色選別電極の振動を抑えることが
でき色ずれを防止できる。ダンパの一例として、棒状体
を折り曲げた枠状体を用いることができ、この枠状体を
色選別電極に形成した孔に差し込んで取り付けておくこ
とにより、枠状体と色選別電極との間の摺動により、色
選別電極の振動を吸収することができる。
【0033】図4は、架張工程における引張力分布と、
その後の熱処理後における引張力分布との関係の実験結
果を示している。実験は色選別電極、長辺フレーム共に
Ni−Fe合金を用い、色選別電極のNi含有量を36
%に固定し、長辺フレームのNi含有量が36.2%
(線22)、35.9%(線23)、及び35.6%
(線24)の3種類のサンプルについて行なった。ま
た、色選別電極は、68cm型カラー陰極線管用のもの
を用いた。
【0034】線21は、架張工程後(熱処理前)におけ
る引張力分布を示しており、色選別電極の中央部の引張
力が100%に対して、周辺部の引張力の引張力が60
%になるように設定している。線22〜25は、熱処理
後における引張力分布を示している。熱処理後におい
て、引張力が全体的に低下しているのは、前記のよう
に、高温熱処理におけるフレームの塑性変形によるもの
である。
【0035】線25は、熱処理後における引張力分布の
基準線を示している。この分布では、熱処理前の中央部
の引張力に対して熱処理後の中央部の引張力は32%に
低下している。また、熱処理前の中央部の引張力に対し
て、熱処理後の周辺部(中央からの距離が±250mm
部分)の引張力は約27%に低下している。よって、熱
処理後の分布についてみると、中央部の引張力に対し
て、周辺部の引張力が約80%となっている。
【0036】すなわち、熱処理後においては、中央部の
引張力は、熱処理前の引張力の1/3程度を確保しつ
つ、引張力分布は、中央部の引張力に対して周辺部の引
張力が約80%となる関係が確保できている。このよう
な中央部の引張力、及び引張力分布を満足していれば、
振動不良、しわ不良共に防止できる。
【0037】長辺フレームのNi含有量が35.6%
(線24)のサンプルは、振動不良が発生した。これ
は、架張工程における引張力分布が逆転し、色選別電極
の周辺部の引張力に対して、中央部の引張力が小さくな
ったためと考えられる。
【0038】長辺フレームのNi含有量が36.2%
(線22)のサンプルは、色選別電極の周辺部の引張力
に対して、中央部の引張力が大きいという関係は保たれ
ており、振動不良は発生しなかったが、しわ不良が発生
した。これは、色選別電極の周辺部の引張力に対して、
中央部の引張力が大き過ぎるためと考えられる。
【0039】これらサンプルに対して、長辺フレームの
Ni含有量が35.9%(線23)のサンプルは、引張
力分布は基準線と同様であり、中央部の引張力は基準線
より大きい値が確保されている。このため、振動不良、
しわ不良共に発生しなかった。
【0040】以上のような実験結果によれば、架張工程
における引張力分布が同じであっても、長辺フレームの
Ni含有量が異なれば、熱処理後における中央部の引張
力も異なり、引張力分布も異なることが分かる。このこ
とから、長辺フレームのNi含有量は、引張力分布に影
響を与える要因であることが分かる。そこで、長辺フレ
ームのNi含有量を変化させて、熱処理後における長辺
フレームの中央部における色選別電極の引張力の変化を
調べてみた。実験は、Ni含有量が異なる3種類の色選
別電極について、長辺フレームのNi含有量を変化させ
て行なった。以下の表1に実験結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1中、%で示した数値は、色選別電極
(平板)のNi含有量が35.8%で、長辺フレームの
Ni含有量が35.7%のサンプルの熱処理後における
中央部の引張力値を100%として、各引張力値を換算
した値である。
【0043】表1の結果に基づき、長辺フレームのNi
含有量と、中央部の引張力との関係を図示したのが、図
5である。線26、27、28はそれぞれ、色選別電極
(平板)のNi含有量が35.8%、36%、36.4
%の場合のグラフである。表1及び図5の結果より、色
選別電極のNi含有量が35.8%、36%、及び3
6.4%のいずれの場合においても、長辺フレームのN
i含有量が大きくなるにつれて、中央部の引張力も大き
くなることが分かる。
【0044】一方、表1の実験に用いた同じサンプルに
ついて周辺部の引張力も測定した。以下の表2に、中央
部と周辺部とのそれぞれについて、長辺フレームのNi
含有量を変化させた場合の、長辺フレームの中央部にお
ける色選別電極の引張力の変化を示している。表2中、
%で示した数値の基準値は、表1と同じである。また、
表2の結果は、平板のNi含有量が36%の場合であ
り、中央部の欄の各値は、表1の平板Ni(%)が36
%の欄の値と同じである。
【0045】
【表2】
【0046】これら実験結果に基づき、長辺フレームの
Ni含有量と、引張力との関係を図示したのが、図6で
ある。本図は色選別電極のNi含有量が36%の場合に
おける長辺フレームのNi含有量と、引張力との関係を
図示しており、線29は中央部の引張力を、線30は周
辺部の引張力を示している。
【0047】図6から分かるように、長辺フレームのN
i含有量が小さい範囲では、周辺部の引張力に対して、
中央部の引張力が小さく、長辺フレームのNi含有量が
増加するにつれて、その差は縮まり、Ni含有量が約3
5.8%で、周辺部と中央部の引張力が一致する。ま
た、長辺フレームのNi含有量が約35.8%より大き
い範囲では、周辺部の引張力に対して、中央部の引張力
が大きく、長辺フレームのNi含有量が増加するにつれ
て、その差は大きくなっていく。
【0048】したがって、図6を用いれば、図4の線2
5で示した基準値のように、色選別電極の周辺部の引張
力が、中央部の引張力に対して80%の関係となる長辺
フレームのNi含有量を見出すことができる。
【0049】すなわち、図6の関係を用いることによ
り、所定のNi含有量の色選別電極に対して、熱処理後
の引張力分布が基準値に収まるような長辺フレームのN
i含有量を選定することができる。例えば、Ni含有量
が36%の色選別電極に対して、Ni含有量が35.6
〜36.2%の範囲内で任意に選定した長辺フレームを
用いると、前記のように、振動不良やしわ不良が発生す
るものも混在することになり、歩留まりも低くなること
になる。しかしながら、長辺フレームのNi含有量が3
6〜36.1%程度のものに対して、Ni含有量が36
%の色選別電極を用いれば、図6のグラフより、色選別
電極の周辺部の引張力が、中央部の引張力に対して80
%前後の関係となることが分かる。すなわち、熱処理後
の引張力分布が基準値内に収まる割合は著しく大きくな
り、歩留まりも大幅に向上させることができる。
【0050】また、熱処理後の引張力の確保を重視する
場合は、基準を熱処理後の中央部の引張力が所定値以上
であるとしてもよい。例えば、熱処理後の中央部の引張
力が、熱処理前の引張力の1/3以上とする基準や、熱
処理後の中央部の引張応力が24.5N/mm2以上と
する基準が考えられる。また、引張力分布の基準、中央
部の引張力の基準の双方を用いてもよい。これら基準に
ついては、色選別電極のNi含有量が35.8%、3
6.4%の場合においても同様である。
【0051】以上のことから、Ni含有量と熱処理後の
色選別電極の引張力に着眼した色選別電極構体の歩留ま
りの向上を図るためには、以下の工程〜を備えてい
ればよいことになる。
【0052】支持体のNi含有量と、色選別電極の熱
処理後の引張力との関係を、異なるNi含有量の色選別
電極毎に求める。
【0053】前記の関係を用いて、色選別電極のNi
含有量と支持体のNi含有量との組み合わせのうち、所
定の基準を満足する組み合わせをあらかじめ求めてお
く。このことにより、長辺フレームのNi含有量が分か
れば、これに対応する色選別電極のNi含有量が分かる
ことになる。
【0054】陰極線管の製造工程において、長辺フレ
ームのNi含有量をロット単位又は個々に測定する。こ
の測定は、架張工程前に行なう必要があるが、長辺フレ
ーム単品で測定しても、枠状フレームの形成後に測定し
てもよい。
【0055】測定した長辺フレームのNi含有量に対
応するNi含有量の色選別電極を用いて架張工程に移行
する。
【0056】熱処理工程を経た後は、蛍光面形成工程に
おいて、パネル内面に蛍光面を形成する。この蛍光面の
形成は、パネル内面に塗布したフォトレジストを、色選
別電極を用いて露光した後、赤、緑、青の蛍光体を、そ
れぞれパネル内面に塗布して行なう。
【0057】次のガラスフリット工程(図2の熱処理
3)においては、440〜470℃、20分程度の条件
下で、パネルとファンネルとを熱処理して接合を行い外
囲器が完成する。
【0058】なお、前記実施形態において、熱処理後の
引張力分布の基準値は、中央部の引張力に対して、周辺
部の引張力が80%であるものの例で説明したが、80
%に限るものではなく、振動防止やしわ発生防止が図れ
るような基準値であればよく、製造品種に応じて適宜決
定すればよい。また、中央部と周辺部の引張力を基準に
したが、これに限るものではなく、振動防止やしわ発生
防止の観点から最も有効な部分を選定すればよく、基準
箇所についても、さらに多くの箇所としてもよい。
【0059】また、架張工程(熱処理前)における引張
力分布を、色選別電極の中央部の引張力が100%に対
して、周辺部の引張力が60%の例で説明したが、これ
に限るものではなく、製造品種に応じて、中央部の引張
力が100%に対して、周辺部の引張力が、例えば60
〜90%の範囲内で適宜決定してもよい。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、所定の
基準を満足する色選別電極のNi含有量と支持体のNi
含有量との組み合わせをあらかじめ求めているので、振
動不良やしわ不良が発生する色選別電極のNi含有量と
支持体のNi含有量との組み合わせを効率的に排除する
ことができ、歩留まりを大幅に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラー陰極線管の全
体断面図
【図2】(a)本発明の一実施形態に係る枠状フレーム
の斜視図 (b)本発明の一実施形態に係る架張工程の斜視図
【図3】(a)本発明の一実施形態に係る溶接工程の斜
視図 (b)本発明の一実施形態に係る色選別電極構体の斜視
【図4】架張工程における引張力分布と、熱処理前後に
おける引張力分布との関係の実験結果を示す図
【図5】熱処理後における長辺フレームのNi含有量
と、中央部の引張力との関係の実験結果を示す図
【図6】熱処理後における長辺フレームのNi含有量
と、中央部及び周辺部の引張力と関係を示す図
【符号の説明】
1 カラー陰極線管 6,16 色選別電極 7,10 枠状フレーム 11 長辺フレーム 12 短辺フレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 康治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C027 HH02 HH21 HH23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の支持体間に、色選別電極
    を架張保持して色選別電極構体を形成する工程と、前記
    色選別電極構体を熱処理する工程とを備え、 前記支持体及び前記色選別電極の材料は、Ni−Fe合
    金であり、支持体のNi含有量と、色選別電極の前記熱
    処理後の引張力との関係を、異なるNi含有量の色選別
    電極毎に測定して、色選別電極のNi含有量と支持体の
    Ni含有量との組み合わせのうち、所定の基準を満足す
    る組み合わせをあらかじめ求めておき、前記色選別電極
    構体を形成する工程における色選別電極のNi含有量と
    支持体のNi含有量との組み合わせを、前記所定の基準
    を満足する組み合わせとすることを特徴とするカラー陰
    極線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記支持体のNi含有量と色選別電極の
    引張力との関係における色選別電極の引張力は、前記色
    選別電極の少なくとも2箇所の異なる部分における引張
    力である請求項1に記載のカラー陰極線管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記異なる部分は、少なくとも前記色選
    別電極の横方向の中央部、及び横方向の周辺部である請
    求項2に記載のカラー陰極線管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記色選別電極の周辺部の引張力に対し
    て、中央部の引張力が所定の大きさだけ大きいことを前
    記所定の基準とする請求項3に記載のカラー陰極線管の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理後の色選別電極の中央部の引
    張力が所定値以上であることを前記所定の基準とする請
    求項1から4のいずれかに記載のカラー陰極線管の製造
    方法。
JP2001395123A 2001-12-26 2001-12-26 カラー陰極線管の製造方法 Withdrawn JP2003197100A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001395123A JP2003197100A (ja) 2001-12-26 2001-12-26 カラー陰極線管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001395123A JP2003197100A (ja) 2001-12-26 2001-12-26 カラー陰極線管の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003197100A true JP2003197100A (ja) 2003-07-11

Family

ID=27601637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001395123A Withdrawn JP2003197100A (ja) 2001-12-26 2001-12-26 カラー陰極線管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003197100A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3649744B2 (ja) テンションマスクフレーム用ディテンションロッドアセンブリを有する陰極線管
JP2985797B2 (ja) カラー陰極線管、陰極線管の色選別機構及び色選別機構用フレーム
JP2003197100A (ja) カラー陰極線管の製造方法
US6590326B2 (en) Apparatus for maintaining tension in a shadow mask
KR20010102331A (ko) 인장 마스크를 포함하는 컬러 음극선관
JPH0896726A (ja) カラー受像管
JP3361742B2 (ja) カラー陰極線管
JP4030873B2 (ja) 陰極線管用ダンパーワイヤばね
JP2001068035A (ja) 多機能なフレーム/マスク支持具を有する陰極線管
JP2770355B2 (ja) カラーブラウン管の製造方法
JP3476686B2 (ja) カラー受像管
JP2003059419A (ja) カラー陰極線管
JPH04248227A (ja) カラー陰極線管
JPH117902A (ja) 展張マスク方式カラー陰極線管およびその製造方法並びに該カラー陰極線管に用いる展張マスクの製造方法
JP2000011867A (ja) 陰極線管の色選別電極製造方法
JP2003151459A (ja) カラー陰極線管の製造方法
KR0122806Y1 (ko) 음극선관용 후크 스프링
JP2003151458A (ja) カラー陰極線管
JPH10326575A (ja) 色選別装置
JPH1050210A (ja) 陰極線管のシャドウマスク用平面部材およびそれを用いたシャドウマスクの製造方法
JP2001176385A (ja) カラー陰極線管用色選別電極及びその製造方法
JPH01169847A (ja) カラー陰極線管用シャドウマスク
JP2003346678A (ja) カラー陰極線管およびその製造方法
JP2004022509A (ja) 陰極線管及び色選別機構
JP2002304953A (ja) カラー陰極線管およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041101

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20061102