JP2003192320A - フラーレンの製造炉 - Google Patents

フラーレンの製造炉

Info

Publication number
JP2003192320A
JP2003192320A JP2001391846A JP2001391846A JP2003192320A JP 2003192320 A JP2003192320 A JP 2003192320A JP 2001391846 A JP2001391846 A JP 2001391846A JP 2001391846 A JP2001391846 A JP 2001391846A JP 2003192320 A JP2003192320 A JP 2003192320A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerene
carbon
combustion
gas
containing compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001391846A
Other languages
English (en)
Inventor
Takaharu Yamamoto
隆晴 山本
Hiroaki Takehara
弘明 武原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001391846A priority Critical patent/JP2003192320A/ja
Publication of JP2003192320A publication Critical patent/JP2003192320A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼法によるフラーレンの製造において、フ
ラーレンの製造炉内の燃焼生成ガスの流れの状態を制御
し、フラーレンを大量に且つ安価に、そして簡便に製造
することが可能なフラーレンの製造炉を提供する。 【解決手段】 炭素含有化合物の供給口と酸素含有ガス
の供給口が製造炉本体11に設けられ、炭素含有化合物
が酸素含有ガスの下で燃焼して燃焼生成ガス流を形成
し、燃焼生成ガス流内でフラーレンを製造するフラーレ
ンの製造炉10であって、燃焼生成ガス流の平均レイノ
ルズ数Reが、0<Re≦2300である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラーレンの製造
炉に関する。
【0002】
【従来の技術】フラーレンは、ダイヤモンド、黒鉛に次
ぐ第三の炭素同素体の総称であり、C60、C70などに代
表されるように5員環と6員環のネットワークで閉じた
中空殻状の炭素分子である。フラーレンの存在が最終的
に確認されたのは比較的最近の1990年のことであ
り、比較的新しい炭素材料であるが、その特殊な分子構
造ゆえに特異的な物理的性質を示すことが認められ、例
えば以下のような広範囲な分野に渡り、革新的な用途開
発が急速に展開されつつある。 (1)超硬材料への応用:フラーレンを前駆体とするこ
とで微細結晶粒子をもつ人工ダイヤモンドの製造が可能
なため、付加価値のある耐摩耗材料への利用が期待され
ている。 (2)医薬品への応用:C60誘導体、光デバイスを用い
ることで抗癌剤、エイズ・骨粗鬆症・アルツハイマー治
療薬、造影剤、ステント材料等の用途としての研究が進
められている。 (3)超伝導材料への応用:フラーレン薄膜に金属カリ
ウムをドープすると18Kという高い転移温度を持つ超
伝導材料をつくり出すことができることが発見され、多
方面から注目を集めている。 (4)半導体製造への応用:レジストにC60を混ぜるこ
とでレジスト構造がより一層強化されることを利用し、
次世代半導体製造への応用が期待されている。
【0003】各種炭素数のフラーレンの中でもC60及び
70は比較的合成が容易であり、それゆえ今後の需要も
爆発的に高まることが予想されている。現在知られてい
るフラーレンの製造方法としては以下に示す方法が挙げ
られる。 (1)レーザ蒸着法 希ガス中に置かれた炭素ターゲットに高エネルギー密度
のパルスレーザを照射し、炭素原子を蒸発させてフラー
レンを合成する方法。電気炉内に不活性ガスが流れる石
英管を貫通させ、グラファイト試料をその石英管の中に
置く。ガスの流れの上流側からグラファイト試料にレー
ザを照射し炭素原子を蒸発させると、電気炉出口付近の
石英管の内壁にC60やC70などのフラーレンを含む煤が
付着する。しかし、パルスレーザの1ショット当たりの
蒸発量がわずかであり、フラーレンの大量製造には不向
きである。 (2)抵抗加熱法 大気圧以下のヘリウムガス雰囲気中でグラファイト棒を
通電加熱し、炭素原子を昇華させる方法。グラファイト
棒で構成した通電回路での電気抵抗ロスが大きいので、
フラーレンの大量製造には不向きである。 (3)アーク放電法 数十kPaに保持したヘリウムガス雰囲気中で2本のグ
ラファイト電極を軽く接触させたり、あるいは1〜2m
m程度離した状態でアーク放電を起こし、陽極側の炭素
原子を昇華させる方法。現在、工場規模でのフラーレン
の大量製造に用いられている。 (4)高周波誘導加熱法 高周波誘導により原料グラファイトに渦電流を流し、発
生するジュール熱により原料グラファイトを加熱して炭
素原子を蒸発する方法。 (5)燃焼法 ヘリウム等の不活性ガスと酸素との混合ガス中でベンゼ
ン等の炭化水素原料を不完全燃焼させる方法。ベンゼン
燃料の数%が煤となり、その内の10%程度がフラーレ
ンとなる点で製造効率は良くない。しかし、副製する煤
を液体燃料等に使用可能なこと、製造装置が単純である
こと等の点で、アーク合成法に対抗するフラーレンの大
量生産法として注目されている。 (6)ナフタレン熱分解法 ナフタレンを約1000℃で熱分解させる方法。
【0004】以上のように、現在までにさまざまなフラ
ーレンの合成法が提案されているが、いずれの方法にお
いても、これまでにフラーレンを安価に大量に製造する
方法は確立されていない。これらの方法のうち、最も安
価で、効率的な製造方法の一つと考えられるのは燃焼法
であり、特表平6−507879号公報には、炭素含有
物を火炎中で燃焼させ凝縮物を収集することによるフラ
ーレンの製造方法が記載されている。この製造方法は、
炭素含有物を火炎中で燃焼させることによりフラーレン
を製造するもので、実質的に燃焼のための燃料とフラー
レンの原料は同一の炭素含有物となっている。フラーレ
ンはすす状物質中に含まれて生成されるが、このすす状
物質の一部はいわゆるカーボンブラックである。カーボ
ンブラックの製造方法としては、ファーネス法、チャン
ネル法、サーマル法、アセチレン法などが知られてお
り、工業的な一般的製造方法としてはファーネス法が挙
げられる。この方法では、例えば、円筒状の反応炉を使
用し、第1反応帯域で炉軸に対して水平方向又は垂直方
向に空気などの酸素含有ガスと燃料を供給して燃焼ガス
流を生じさせ、得られた燃焼ガス流を炉軸方向の下流に
設置され第1反応帯域と比較して縮小された断面積を有
する第2反応帯域に移動させ、そこで燃焼ガス流中に原
料炭化水素(原料油)を供給し反応させてカーボンブラ
ックを生成させる。次いで、カーボンブラックを含有し
た燃焼ガス流を、第2反応帯域の下流にある第3反応帯
域に移動させ、燃焼ガス流に冷却水の噴霧などの冷却処
理を行って燃焼ガスを急冷して反応を停止させ、カーボ
ンブラックを回収している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
通常のカーボンブラックの製造方法では、フラーレンは
ほとんど生成しない。従って、フラーレンの製造におい
ては、得られるすす状物質中に含まれるフラーレンの含
有割合をいかに高めるかが、大きな課題となっている。
通常、フラーレンの製造は減圧下で行われ、更に、反応
領域中に希釈剤を導入する場合もある。これらの減圧
度、希釈剤濃度はフラーレンの収率に影響を及ぼすこと
が知られている。そして特表平6−507879号公報
には、フラーレンの収率及び組成は火炎中の滞留時間に
依存して変化すると記載されており、フラーレンを燃焼
法で製造する場合、火炎中の滞留時間を均一に保つこと
がフラーレンの収率を上げ、組成を一定にすることにつ
ながると考えられる。一般的に、閉じられた容器の中に
火炎を形成させると、燃焼反応が活発に行われる火炎中
心部の流速は速く、火炎外周部の流速は遅くなる。この
ため、火炎外周部で上流からの燃焼生成ガスの逆流・巻
き込みが起こり、自己循環が発生し易くなる。このよう
な燃焼生成ガスの自己循環は、火炎温度の局所的な高温
化を防ぎ、NOxの発生を抑制するという効果がある一
方、フラーレンの生成過程においてはフラーレン前駆体
の滞留時間の不均一化をもたらす要因ともなる。すなわ
ち、燃焼生成ガスの自己循環が発生すると、燃焼生成ガ
ス中でフラーレンが生成している段階において、この循
環する燃焼生成ガス流に乗ったフラーレン前駆体の滞留
時間は長くなり、循環する燃焼生成ガス流に乗らなかっ
たフラーレン前駆体の滞留時間は短くなる。このため、
滞留時間の不均一に伴って、フラーレンの収率が低下す
る。フラーレンは次世代を担う新材料、新素材として多
方面から注目されており、このようなフラーレンの滞留
時間を制御し、フラーレンを大量に且つ安価に、そして
簡便に製造可能となる技術の開発が望まれている。本発
明はかかる事情に鑑みてなされたもので、燃焼法による
フラーレンの製造において、フラーレンの製造炉内の燃
焼生成ガスの流れの状態を制御し、フラーレンを大量に
且つ安価に、そして簡便に製造することが可能なフラー
レンの製造炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、燃焼法に
よるフラーレンの大量かつ安価な製造方法において、フ
ラーレンの製造における原料の最適な燃焼状態を種々検
討した結果、フラーレンの製造炉内のフラーレンの生成
領域における燃焼生成ガスの流れの状態を制御すること
で、燃焼生成ガス中のフラーレン前駆体の滞留時間を一
様にすることができることを見出し、本発明を完成させ
た。前記目的に沿う第1の発明に係るフラーレンの製造
炉は、炭素含有化合物の供給口と酸素含有ガスの供給口
が製造炉本体に設けられ、該炭素含有化合物が該酸素含
有ガスの下で燃焼して燃焼生成ガス流を形成し、該燃焼
生成ガス流内でフラーレンを製造するフラーレンの製造
炉であって、前記燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数R
eが、0<Re≦2300である。
【0007】炭素含有化合物を酸素含有ガスの下で燃焼
及び熱分解させて形成した燃焼生成ガス流の平均レイノ
ルズ数Reを、0<Re≦2300に制御することによ
り、燃焼生成ガス流内に自己循環流が発生することを防
止できる。燃焼生成ガス流内に自己循環流が発生するこ
とを防止できると、燃焼生成ガス流内に発生したフラー
レン前駆体の不均一な移動が抑制されて、フラーレン前
駆体の燃焼生成ガス流内での滞留時間を全て一様とする
ことができる。
【0008】前記目的に沿う第2の発明に係るフラーレ
ンの製造炉は、炭素含有化合物の供給口と酸素含有ガス
の供給口とを有し製造炉本体に設けられたバーナと、前
記炭素含有化合物を前記酸素含有ガスの下で燃焼させて
燃焼ガス流が形成される第1反応帯域と、前記第1反応
帯域に連続し該第1反応帯域から移入する前記燃焼ガス
流中に吹き込み管から主に原料となる炭素含有化合物を
供給して燃焼生成ガス流を形成させ、該燃焼生成ガス流
内でフラーレンが製造される第2反応帯域とを有するフ
ラーレンの製造炉であって、前記第2反応帯域内での前
記燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数Reが、0<Re
≦2300である。
【0009】第2反応帯域内での燃焼生成ガス流の平均
レイノルズ数Reを、0<Re≦2300に制御するこ
とにより、第2反応帯域内で燃焼生成ガス流の自己循環
流が発生することを防止できる。燃焼生成ガス流の自己
循環流の発生が防止できると、燃焼生成ガス流内に発生
したフラーレン前駆体の不均一な移動が抑制されて、フ
ラーレン前駆体の第2反応帯域内での滞留時間を一様と
することができる。
【0010】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記平均レイノルズ数Reが0<Re≦1
500であることが好ましい。燃焼生成ガス流の平均レ
イノルズ数Reを0<Re≦1500とすることによ
り、燃焼生成ガス流内での自己循環流の発生をより抑え
ることができる。このため、燃焼生成ガス流内で形成さ
れたフラーレン前駆体の燃焼生成ガス流内での滞留時間
をより一様とすることができる。
【0011】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記平均レイノルズ数Reが0<Re≦1
300であることが更に好ましい。燃焼生成ガス流の平
均レイノルズ数Reを0<Re≦1300とすることに
より、燃焼生成ガス流内での自己循環流の発生を更に抑
えることができる。このため、燃焼生成ガス流内で形成
されたフラーレン前駆体の燃焼生成ガス流内での滞留時
間を更に一様とすることができる。
【0012】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記炭素含有化合物の供給口と、前記酸素
含有ガスの供給口はそれぞれ複数ずつ設けられ、これら
の各供給口は各々独立し距離を隔てて前記製造炉本体内
に開口していることが好ましい。各々独立し距離を隔て
分散配置された複数の供給口から、それぞれ炭素含有化
合物と酸素含有ガスを製造炉本体内に供給することによ
り、製造炉本体内における燃焼状態をより均一にするこ
とができ、その結果、製造炉本体内の温度を均一化する
ことができる。
【0013】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記炭素含有化合物の供給口から供給され
る炭素含有化合物は予熱されていることが好ましい。炭
素含有化合物の温度を高めることにより、例えば、炭素
含有化合物の自己着火温度以上まで高めることにより、
炭素含有化合物の燃焼を均一に行うことができ、製造炉
本体内での温度分布をより均一にすることができる。
【0014】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記酸素含有ガスは不活性ガスを含有して
いることが好ましい。酸素含有ガス中の酸素濃度が不活
性ガスにより希釈されて低下するため、製造炉本体内で
の燃焼を、いわゆる高温空気燃焼状態と類似した状態に
することができる。このため、製造炉本体内の温度はよ
り均一かつ高温にすることができる。ここで、酸素含有
ガスの酸素源としては、酸素ガス、空気を使用すること
ができる。また、不活性ガスとしては、ヘリウムガス、
アルゴンガス等の不燃性ガスを用いる。不燃性ガスを用
いるため、燃焼時に余分な副製ガスが発生せずフラーレ
ンの生成には好ましい。フラーレンの前駆体が形成され
てこれがフラーレンまで成長するのに十分な熱エネルギ
ーが発生すればよいので、酸素含有ガス中における不活
性ガスの含有割合には特に制限はない。なお、燃焼火炎
温度が高いほどフラーレンの収率は高くなることが知ら
れている。火炎温度を高める方法としては酸素の添加が
有効であるので、フラーレンの収率という観点からは酸
素源としては酸素ガスが好ましい。
【0015】第1、第2の発明に係るフラーレンの製造
炉において、前記製造炉本体内の圧力を大気圧未満とす
ることが好ましい。製造炉本体内の圧力を大気圧未満に
して、炭素含有化合物と酸素含有ガスの混合状態を希薄
にすることにより、いわゆる高温空気燃焼と類似した状
態を出現させることが可能となる。このため、燃焼が均
一に進行して、製造炉本体内の温度はより均一かつ高温
にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(A)、(B)はそれ
ぞれ本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造
炉の全体概略断面図、炭素含有化合物と酸素含有ガスの
供給口の配置を示したバーナの説明図、図2(A)、
(B)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係るフラ
ーレンの製造炉の全体概略断面図、炭素含有化合物と酸
素含有ガスの供給口の配置を示したバーナの説明図であ
る。図1(A)に示すように、本発明の第1の実施の形
態に係るフラーレンの製造炉10は、製造炉本体11
と、製造炉本体11の下部に設けられたバーナ12とを
有している。以下、これらについて詳細に説明する。製
造炉本体11は、円筒形状の側壁部13と、側壁部13
の一端側に接続して徐々に外径が縮小して排出口14を
形成している端部壁15とを備えている。側壁部13と
端部壁15は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で構成さ
れている。更に、側壁部13の他端側の内周面には耐火
物16がライニングされている。耐火物16としては、
例えばアルミナ質の耐火煉瓦やアルミナ質の不定形耐火
物を使用することができる。また、排出口14には図示
しない排気管の一端側が接続され、他端側は排気ポンプ
に接続されている。このため、製造炉本体11内を大気
圧未満の減圧状態にすると共に、製造炉本体11内で生
成したフラーレンを含む燃焼生成ガスを製造炉本体11
内から外部に排出することができる。
【0017】側壁部13の他端側に取付けられたバーナ
12は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で形成された基
盤17と、基盤17に設けられ炭素含有化合物を吐出す
る複数の供給口18、19と、酸素含有ガスを吐出する
複数の供給口20、21とを備えている。図1(B)に
示すように、炭素含有化合物の供給口18、19と、酸
素含有ガスの供給口20、21は、各々独立に分散して
基盤17に設けられている。そして、各供給口18、1
9、20、21の一方側は製造炉本体11の内側に開口
し、他方側は製造炉本体11の外側に開口していずれも
図示しない炭素含有化合物の供給管、酸素含有ガスの供
給管にそれぞれ接続されている。なお、炭素含有化合物
の供給管には加熱器が設けられており、製造炉本体11
の内部に吐出される際の炭素含有化合物の温度を、例え
ば200℃まで加温することができる。製造炉本体11
の内側に開口している各供給口18、19、20、21
の形状は任意であり、略円形、楕円状、三角形や四角形
などの多角形状、ひょうたん型などの不定形状であって
もよい。本発明者らの知見によれば、円形よりも、長円
径や長方形のように長径と短径を持つ形状の方が、酸素
含有ガスの加熱や希釈の速度がより速まる。従って、炭
素含有化合物の供給口18、19としては、楕円状や略
円形が好ましく、酸素含有ガスの供給口20、21とし
ては、スリット状などの長方形状が好ましく、これらを
組み合わせるのが特に好ましい。
【0018】炭素含有化合物の供給口18、19と、酸
素含有ガスの供給口20、21の配置は、各々独立に製
造炉本体11の内側に開口していれば任意とできる。炭
素含有化合物の種類や、各供給口18、19、20、2
1の数などのフラーレンの製造炉10の設計条件に合わ
せていろいろな配置を採用することができるが、例え
ば、各々の供給口をフラーレンの製造炉10の軸心に対
して同心円周上に、周方向に交互に配置するならば、製
造炉本体11内での燃焼状態がより均一となるので好ま
しい。この際に、酸素含有ガスの供給口の形状が長径及
び短径を持つような場合には、長径から延びた直線が円
の中心を通るように配置するのが好ましい。また、製造
炉本体11の内側に開口している何れの供給口18、1
9、20、21も、その開口端部が基盤17の表面と実
質的に同一平面上にあっても、突出していてもよいが、
好ましくは実質的に同一平面上がよい。炭素含有化合物
の供給口18、19及び酸素含有ガスの供給口20、2
1から製造炉本体11内に供給される炭素含有化合物及
び酸素含有ガスの各流は、各々の供給口18、19、2
0、21の端部から製造炉本体11内に対して任意の角
度で供給してよいが、好ましくは基盤17に対して実質
的に垂直となるように、更には、供給される炭素含有化
合物及び/又は酸素含有ガスが供給口18、19、2
0、21の開口端部の中心から実質的に同心円状に拡散
するように供給するのが好ましい。
【0019】次に、本発明の第1の実施の形態に係るフ
ラーレンの製造炉10を適用したフラーレンの製造方法
について詳細に説明する。炭素含有化合物の供給口1
8、19から、炭素含有化合物である炭化水素のガス
を、酸素含有ガスの供給口20、21から酸素含有ガス
を供給し、これらを燃焼させることで高温の燃焼ガス流
を製造炉本体11の下流に向かって発生させる。酸素含
有ガスとしては、酸素源である酸素ガスにアルゴンガス
等の不活性ガスを任意の割合で混合したガス(例えば、
不活性ガスの濃度を0、又は0を超えて90モル%以下
の範囲で調整できる)を使用することができる。酸素源
としては、フラーレンの収率という観点からは酸素ガス
が好ましく、酸素源の入手のし易さ等の観点からは空気
が好ましい。特に燃焼温度を上げるため、これらの酸素
含有ガスは炉内に供給される前に予熱することが好まし
い。予熱の方法としては、熱交換器を使用した燃焼生成
ガスとの熱交換、いわゆるリジェネレーションバーナ
等、公知のいかなる方法を用いても良い。この予熱の温
度は常温以上であればいかなる温度でも良いが、フラー
レンの収率を上げるためには極力高温度の方が好まし
い。より好ましくは、炭素含有化合物の自己着火温度以
上であることが好ましい。炭素含有化合物としては、一
酸化炭素、天然ガス、石油ガス等の燃料ガス、重油など
の石油系液体燃料、クレオソート油などの石炭系液体燃
料を使用することができる。中でもこれらを精製した芳
香族系炭化水素を用いることが好ましく、特にベンゼン
やトルエン等の芳香族系炭化水素が好ましい。原料の純
度は高い方が好ましく、中でも芳香族系炭化水素を用い
る際には純度が100%に近いほど好ましい。またフラ
ーレンの収率を上げるためには、炭素含有化合物も不活
性ガス等を用いて希釈することが好ましい。
【0020】続いて、炭素含有化合物が酸素含有ガスの
下で燃焼及び熱分解して形成される燃焼生成ガス流につ
いて説明する。炭素含有化合物の供給口18、19から
供給する炭素含有化合物の量と酸素含有ガスの供給口2
0、21から供給する酸素ガス量を調整して炭素含有化
合物が不完全燃焼する条件で製造炉本体11内に供給す
ると共に、排出口14に接続された図示しない排出管を
介して排気ポンプで製造炉本体11内を大気圧未満、よ
り好ましくは10〜300torrの状態に保持して、
図示しない着火手段で炭素含有化合物の燃焼を開始す
る。ここで、炭素含有化合物と酸素含有ガスは各々独立
し距離を隔て分散配置されたそれぞれ複数の供給口1
8、19、20、21から製造炉本体11内に吐出され
るため、製造炉本体11内における燃焼状態を均一にす
ることができる。また、炭素含有化合物の温度を、例え
ば、200℃に高めることにより、炭素含有化合物が均
一に燃焼することを助長できる。更に、酸素含有ガス中
の酸素ガス濃度はアルゴンガス等の不活性ガスにより希
釈されて低下していることに加えて、製造炉本体11内
の圧力が大気圧未満となっているため、製造炉本体11
内での燃焼状態を高温空気燃焼状態と類似した状態にす
ることができる。その結果、炭素含有化合物の燃焼が均
一に進行して、製造炉本体11内の温度を均一かつ高温
(例えば、1000〜1900℃、好ましくは1700
〜1900℃)にすることができる。
【0021】炭素含有化合物の燃焼により製造炉本体1
1内での燃焼領域の温度は、例えば、1000〜190
0℃、好ましくは1700〜1900℃の高温になる。
このため、未燃焼の炭素含有化合物は容易に熱分解して
気化して、炭素含有化合物の燃焼により発生した燃焼ガ
ス内に拡散して燃焼生成ガスを形成する。製造炉本体1
1内の圧力が大気圧未満で酸素ガス濃度が低い希薄状態
での燃焼であること、更に、均一燃焼が促進されて燃焼
生成ガスの温度が製造炉本体11の軸方向に垂直な方向
では実質的に一様になっていることから、燃焼生成ガス
により形成される燃焼生成ガス流内では自己循環流が発
生しにくくなっている。そして、燃焼生成ガスは排出口
14から排気ポンプで排気されているので、燃焼生成ガ
ス流はバーナ12から排出口14に向かう一様な流れが
主体となる。ここで、燃焼生成ガスの密度は0.01〜
0.006kg/m3 、燃焼生成ガスの粘性は5.3×
10 -6〜1.4×10-4kg/m/sec、燃焼生成ガ
スの平均流速は0.01〜4m/sec、製造炉本体1
1の代表内径の範囲としては0.35〜10mと見積も
ることができる。その結果、燃焼生成ガス流の平均レイ
ノルズ数Reは0<Re≦2300とすることができ
る。
【0022】平均レイノルズ数Reを0<Re≦230
0とすることにより、燃焼生成ガス流内に発生したフラ
ーレン前駆体の不均一な移動が抑制されて、フラーレン
前駆体の燃焼生成ガス流内での滞留時間を一様とするこ
とができる。その結果、フラーレンの収率を向上させる
ことが可能となる。また、製造炉本体11の代表内径と
燃焼状態を制御することで、燃焼生成ガスの密度、燃焼
生成ガスの粘性、燃焼生成ガスの平均流速をそれぞれ調
整して、燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数Reを0<
Re≦1500、更に、0<Re≦1300とすること
ができる。平均レイノルズ数Reを0<Re≦150
0、更に0<Re≦1300とすることにより、燃焼生
成ガス流内での自己循環流の発生をより抑えて燃焼生成
ガス流内で形成されたフラーレン前駆体の燃焼生成ガス
流内での滞留時間をより一様とすることができる。その
結果、フラーレンの収率をより向上させることが可能と
なる。
【0023】図2(A)に示すように、本発明の第2の
実施の形態に係るフラーレンの製造炉22は、製造炉本
体23と、製造炉本体23の下部に設けられたバーナ2
4とを有している。以下、これらについて詳細に説明す
る。製造炉本体23は、円筒形状の側壁部25と、側壁
部25の一端側に接続して徐々に外径が縮小して排出口
26を形成している端部壁27とを備えている。側壁部
25と端部壁27は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で
構成されている。更に、側壁部25の他端側の内周面に
は、第1の実施の形態と同様の耐火物16がライニング
されている。また、排出口26には図示しない排気管の
一端側が接続され、他端側は排気ポンプに接続されてい
る。このため、製造炉本体23内を大気圧未満の減圧状
態にすると共に、製造炉本体23内で生成したフラーレ
ンを含む燃焼生成ガスを製造炉本体23内から外部に排
出することができる。更に、側壁部25の端部壁27
側、及び端部壁27の側壁部25側には、それぞれ主に
原料となる炭素含有化合物を製造炉本体23内に吐出す
る複数の吹き込み管28、29が設けられている。吹き
込み管28、29の一端側は製造炉本体23の内側に開
口し、他端側には加熱器が設けられた図示しない供給管
が接続されており、製造炉本体23の内部に吹き込む主
に原料となる炭素含有化合物の温度を、例えば200℃
まで加温することができる。そして、バーナ24と側壁
部25の他端側から吹き込み管28が設けられている位
置までの側壁部分で囲まれる領域から第1反応帯域が構
成されている。また、吹き込み管28が設けられている
位置から排出口26までの領域から第2反応帯域が構成
されている。
【0024】バーナ24は、例えばステンレス鋼等の耐
熱鋼で形成された基盤30と、基盤30に設けられた炭
素含有化合物を吐出する複数の供給口31、32と、酸
素含有ガスを吐出する複数の供給口33とを備えてい
る。図2(B)に示すように、炭素含有化合物の供給口
31、32と、酸素含有ガスの供給口33は、各々独立
に分散して基盤30に設けられている。そして、各供給
口31、32、33の一方側は製造炉本体23の内側に
開口し、他方側は製造炉本体23の外側に開口していず
れも図示しない炭素含有化合物の供給管、及び酸素含有
ガスの供給管にそれぞれ接続されている。なお、炭素含
有化合物の供給管には加熱器が設けられており、炭素含
有化合物の供給口31、32から炭素含有化合物が製造
炉本体23の内部に吐出される際の温度を、例えば20
0℃まで加温することができる。
【0025】製造炉本体23内側に開口している各供給
口31、32、33の形状は任意であり、略円形、楕円
状、三角形や四角形などの多角形状、ひょうたん型など
の不定形状であってもよい。炭素含有化合物の供給口3
1、32と、酸素含有ガスの供給口33の配置は、各々
独立に製造炉本体23の内側に開口していれば任意であ
る。炭素含有化合物の種類や、炭素含有化合物及び酸素
含有ガスの各供給口の数などのフラーレンの製造炉22
の設計条件に合わせていろいろな配置を採用することが
できるが、例えば、各々の供給口をフラーレンの製造炉
22の軸心に対して同心円周上に配置するならば、製造
炉本体23内での燃焼状態がより均一となるので好まし
い。また、製造炉本体23の内側に開口している何れの
供給口31、32、33も、その開口端部が基盤30の
表面と実質的に同一平面上にあっても、突出していても
よいが、好ましくは実質的に同一平面上がよい。炭素含
有化合物の供給口31、32及び酸素含有ガスの供給口
33から製造炉本体23内に供給される炭素含有化合物
及び酸素含有ガスの各流は、各々の供給口31、32、
33の端部から製造炉本体23内に対して任意の角度で
供給してよいが、好ましくは基盤30に対して実質的に
垂直となるように、更には、供給される炭素含有化合物
及び/又は酸素含有ガスが供給口31、32、33の開
口端部の中心から実質的に同心円状に拡散するように供
給するのが好ましい。
【0026】次に、本発明の第2の実施の形態に係るフ
ラーレンの製造炉22を適用したフラーレンの製造方法
について詳細に説明する。炭素含有化合物の供給口3
1、32から、例えば炭化水素ガスを、酸素含有ガスの
供給口33から酸素含有ガスを供給し、これらを燃焼さ
せることで高温の燃焼ガス流を製造炉本体23の下流に
向かって発生させる。酸素含有ガスとしては、酸素源で
ある酸素ガスにアルゴンガス等の不活性ガスを任意の割
合で混合したガス(例えば、不活性ガスの濃度を0、又
は0を超えて90モル%以下の範囲で調整できる)を使
用することができる。酸素源としては、フラーレンの収
率という観点からは酸素ガスが好ましく、酸素源の入手
のし易さ等の観点からは空気が好ましい。特に燃焼温度
を上げるため、これらの酸素含有ガスは炉内に供給され
る前に予熱することが好ましい。予熱の方法としては、
熱交換器を使用した燃焼生成ガスとの熱交換、いわゆる
リジェネレーションバーナ等、公知のいかなる方法を用
いても良い。この予熱の温度は常温以上であればいかな
る温度でも良いが、フラーレンの収率をあげるためには
極力高温度の方が好ましい。より好ましくは、炭素含有
化合物の自己着火温度以上であることが好ましい。
【0027】続いて、供給口31、32から供給された
炭素含有化合物が燃焼して形成される燃焼ガス流と、吹
き込み管28、29から供給された主に原料となる炭素
含有化合物が燃焼ガス流中で熱分解して形成される燃焼
生成ガス流について説明する。第1反応帯域では、製造
炉本体23の内部に供給口31、32から供給した炭素
含有化合物を、供給口33から供給した酸素含有ガスに
より燃焼させて高温の燃焼ガス流を製造炉本体23の下
流に向かって発生させる。この第1反応帯域では、高温
の燃焼ガスを発生させることが目的であり、その燃焼方
法は予混合燃焼、拡散燃焼、層流燃焼、乱流燃焼、高温
空気燃焼等、公知のいかなる燃焼方法であってもよい。
燃焼は完全燃焼であっても、不完全燃焼であっても良
い。しかし、好ましくは第1反応帯域における燃焼は、
燃焼に必要な酸素が、量論酸素量以上である、希薄混合
気での燃焼の方がよい。酸素含有ガスとしては、酸素源
である空気、酸素ガスにアルゴンガス等の不活性ガスを
任意の割合で混合したガスを使用することができる。特
に高温燃焼におけるNOxの発生を抑えるためには、純
酸素を使用してもよい。フラーレンの収率を上げるため
には、燃焼過程において不活性ガスを用いて希釈するこ
とが好ましい。なお、不活性ガスは、酸素含有ガスとし
てあらかじめ混合させて供給してもよいが、供給用の専
用ノズルから供給しても、供給口31、32から供給さ
れる炭素含有化合物に混合させて供給してもよい。
【0028】バーナ24から供給する炭素含有化合物と
しては、一酸化炭素、天然ガス、石油ガス等の燃料ガ
ス、重油、ベンゼン、トルエンなどの石油系液体燃料、
クレオソート油などの石炭系液体燃料を使用することが
できる。特に、炭化水素ガスが好ましい。また、フラー
レン製造時の第1反応帯域における平均温度は、得よう
とする目的のフラーレンによって適宜調整すればよい
が、好ましくは1300℃以上、更に好ましくは160
0℃以上がよい。これは、燃焼ガスの温度が高温である
程、フラーレンの生産性が上がるからである。なお、温
度が高くなり過ぎると、フラーレンの生産性が落ちる場
合がある。また、製造炉本体23内の炉内圧力は大気圧
未満であることが好ましく、より好ましい範囲は10〜
300torrである。
【0029】第2反応帯域では第1反応帯域で形成され
た燃焼ガス流に吹き込み管28、29から主に原料とな
る炭素含有化合物を供給し、この炭素含有化合物の一部
を燃焼させることによって更に高温にすると共に、残り
の炭素含有化合物を熱分解し燃焼ガス流内に拡散させて
燃焼生成ガス流を形成して、この燃焼生成ガス流内でフ
ラーレンを生成させる。主に原料となる炭素含有化合物
を部分燃焼させるために、酸素が残存するように第1反
応帯域における燃焼を酸素過剰としてもよい。また、第
2反応帯域に酸素含有ガスの供給ノズルを設置しても良
い。この際、燃焼ガス中に供給される主に原料となる炭
素含有化合物は、極力均一に製造炉本体23内に供給さ
れることが好ましい。このため、第2反応帯域に設置す
る炭素含有化合物の吹き込み管28、29の本数は多い
ほどよく、また炉内に均等に配置されることが望まし
い。また、第2反応帯域の形状も任意であるが、流炉の
断面形状は変化しないほうが好ましい。その理由は、第
1反応帯域と第2反応帯域とで流路の断面形状が変化す
ると、燃焼ガス流が第2反応帯域に移入する際に流れが
乱れ、その結果、主に原料となる炭素含有化合物を供給
して形成する燃焼生成ガスの流れも乱れることになって
生成するフラーレンの収率が低下するためである。フラ
ーレンが生成する過程で燃焼生成ガスの流路の断面形状
が変化することにより流れの乱れが生じると、生成する
フラーレンの収率が低下するためである。
【0030】第2反応帯域の平均温度は、製造するフラ
ーレンによって適宜選択すればよいが、主に原料となる
炭素含有化合物が熱分解し均一に気化して反応するため
に、充分高温であることが好ましい。具体的には100
0℃以上であることが好ましく、中でも1000〜16
00℃、特に1700〜1900℃であることが好まし
い。また、第2反応帯域においては、燃焼生成ガス中の
酸素濃度をできるだけ抑制することが好ましい。燃焼生
成ガス中に酸素が多量に存在すると、反応帯域すなわち
第2反応帯域での主に原料となる炭素含有化合物の一部
燃焼が活発に起こり、そのため、反応帯域の不均一が生
じることがあるからである。燃焼生成ガス中の酸素濃度
は、好ましくは3vol%以下、更に好ましくは0.0
5〜1vol%である。主に原料となる炭素含有化合物
としては、従来公知の任意のものを使用することが出
来、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレ
ン、アントラセン等の芳香族系炭化水素、クレオソート
油、カルボン酸油などの石炭系炭化水素、エチレンヘビ
ーエンドオイル、FCCオイル(流動接触分解残渣油)
等の石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、エチ
レン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭
化水素などが挙げられ、これらを単独又は任意の割合で
混合して使用してもよい。中でも精製した芳香族系炭化
水素を用いることが好ましく、特にベンゼンやトルエン
等の芳香族系炭化水素が好ましい。主に原料となる炭素
含有化合物の純度は高い方が好ましく、中でも芳香族系
炭化水素を用いる際には純度が100%に近いほど良
い。
【0031】第2反応帯域の温度は、例えば、1000
〜1900℃、好ましくは1700〜1900℃の高温
になっている。このため、第1反応帯域から移入する燃
焼ガス流中に供給された主に原料となる炭素含有化合物
は容易に熱分解し気化して拡散し、燃焼生成ガス流を形
成する。製造炉本体23内の圧力が大気圧未満で酸素ガ
ス濃度が低い希薄状態での燃焼であること、更に、燃焼
生成ガスの温度が製造炉本体11の軸方向に垂直方向で
は実質的に一様になっていることから、燃焼生成ガスに
より形成される燃焼生成ガス流内では自己循環流が発生
しにくくなっている。そして、燃焼生成ガスは排出口2
6から排気ポンプで排気されているので、燃焼生成ガス
流はバーナ24から排出口26に向かう一様な流れが主
体となる。ここで、燃焼生成ガスの密度は0.01〜
0.006kg/m3 、燃焼生成ガスの粘性は5.3×
10-6〜1.4×10-4kg/m/sec、燃焼生成ガ
スの平均流速は0.01〜4m/sec、製造炉本体2
3の代表内径の範囲としては0.35〜10mと見積も
ることができる。その結果、燃焼生成ガス流の平均レイ
ノルズ数Reは0<Re≦2300とすることができ
る。
【0032】平均レイノルズ数Reを0<Re≦230
0とすることにより、燃焼生成ガス流内に発生したフラ
ーレン前駆体の不均一な移動が抑制されて、フラーレン
前駆体の燃焼生成ガス流内での滞留時間を一様とするこ
とができる。その結果、フラーレンの収率を向上させる
ことが可能となる。また、製造炉本体23の代表内径と
燃焼状態を制御することで、燃焼生成ガスの密度、燃焼
生成ガスの粘性、燃焼生成ガスの平均流速をそれぞれ調
整して、燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数Reを0<
Re≦1500、更に、0<Re≦1300とすること
ができる。平均レイノルズ数Reを0<Re≦150
0、更に0<Re≦1300とすることにより、燃焼生
成ガス流内での自己循環流の発生をより抑えて燃焼生成
ガス流内で形成されたフラーレン前駆体の燃焼生成ガス
流内での滞留時間をより一様とすることができる。その
結果、フラーレンの収率をより向上させることが可能と
なる。
【0033】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、
例えば、第2反応帯域の長さは、反応炉の大きさ、製造
するフラーレンの種類などによって適宜選択すればよ
い。また、図2(A)に示すように、第2反応帯域の位
置を第1反応帯域の上部側に設けたが、第2反応帯域は
第1反応帯域で形成した燃焼ガス流の流れに対して下流
側に連続して設けられていればよいので、燃焼ガス流の
流れ方向を制御することにより、第1反応帯域を取り囲
むように第一反応帯域の外側に形成しても、第1反応帯
域に取り囲まれるように第1反応帯域の内側に形成して
もよい。更に、主に原料となる炭素含有化合物の供給に
より燃焼生成ガスに乱流などの不規則な流れが発生しな
いように制御すれば、吹き込み管の位置は任意に設定す
ることができる。
【0034】
【発明の効果】請求項1及びこれに従属する請求項3〜
8記載のフラーレンの製造炉においては、燃焼生成ガス
流の平均レイノルズ数Reが、0<Re≦2300であ
るので、燃焼生成ガス流内でのフラーレン前駆体の滞留
時間の均一化が達成でき、フラーレンの収率を向上させ
ることが可能となる。
【0035】請求項2及びこれに従属する請求項3〜8
記載のフラーレンの製造炉においては、第2反応帯域内
での燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数Reが、0<R
e≦2300であるので、第2反応帯域内でのフラーレ
ン前駆体の滞留時間の均一化が達成でき、フラーレンの
収率を向上させることが可能となる。
【0036】特に、請求項3記載のフラーレンの製造炉
においては、平均レイノルズ数Reが0<Re≦150
0であるので、燃焼生成ガス流内で形成されたフラーレ
ン前駆体の滞留時間がより一様となって、フラーレンの
収率を向上させることが可能となる。
【0037】請求項4記載のフラーレンの製造炉におい
ては、平均レイノルズ数Reが0<Re≦1300であ
るので、燃焼生成ガス流内でのフラーレン前駆体の滞留
時間を更に一様にすることができ、フラーレンの収率を
更に向上させることが可能となる。
【0038】請求項5記載のフラーレンの製造炉におい
ては、炭素含有化合物の供給口と、酸素含有ガスの供給
口はそれぞれ複数ずつ設けられ、これらの各供給口は各
々独立し距離を隔てて製造炉本体内に開口しているの
で、製造炉本体内における燃焼状態を均一化させること
により製造炉本体内での温度分布を均一にして燃焼生成
ガス流内に自己循環流が発生することが防止でき、フラ
ーレンの生成を効率的に行うことが可能となる。
【0039】請求項6記載のフラーレンの製造炉におい
ては、炭素含有化合物の供給口から供給される炭素含有
化合物は予熱されているので、炭素含有化合物が均一に
燃焼して製造炉本体内での温度分布をより均一にして燃
焼生成ガス流内に自己循環流が発生することが防止で
き、フラーレンの生成をより効率的に行うことが可能と
なる。
【0040】請求項7記載のフラーレンの製造炉におい
ては、酸素含有ガスは不活性ガスを含有するので、酸素
濃度を低下させて燃焼を行うことで製造炉本体内の温度
をより均一化させることにより燃焼生成ガス流内に自己
循環流が発生することが防止でき、フラーレンの生成を
効率的に行うことが可能となる。また、酸素濃度を低下
させて燃焼を行うことで製造炉本体内の温度をより高温
にしてフラーレン前駆体の形成を促進でき、フラーレン
の収率をより高めることが可能となる。
【0041】請求項8記載のフラーレンの製造炉におい
ては、製造炉本体内の圧力が大気圧未満であるので、炭
素含有化合物と酸素が希薄な状態で燃焼反応を進行させ
ることで製造炉本体内の温度をより均一化させて燃焼生
成ガス流内に自己循環流が発生することが防止でき、フ
ラーレンの生成を効率的に行うことが可能となる。ま
た、炭素含有化合物と酸素が希薄な状態で燃焼反応を進
行させることで製造炉本体内の温度をより高温にしてフ
ラーレン前駆体の形成を促進でき、フラーレンの収率を
より高めることが可能となる。更に、容易に高温が得ら
れることから、純酸素のような高価なガスを用いずと
も、例えば空気のように入手容易な酸素源を用いてフラ
ーレンの生成が可能となって、フラーレン製造における
コストを大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第1の実施
の形態に係るフラーレンの製造炉の全体概略断面図、炭
素含有化合物と酸素含有ガスの供給口の配置を示したバ
ーナの説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第2の実施
の形態に係るフラーレンの製造炉の全体概略断面図、炭
素含有化合物と酸素含有ガスの供給口の配置を示したバ
ーナの説明図である。
【符号の説明】
10:フラーレンの製造炉、11:製造炉本体、12:
バーナ、13:側壁部、14:排出口、15:端部壁、
16:耐火物、17:基盤、18、19:炭素含有化合
物の供給口、20、21:酸素含有ガスの供給口、2
2:フラーレンの製造炉、23:製造炉本体、24:バ
ーナ、25:側壁部、26:排出口、27:端部壁、2
8、29:吹き込み管、30:基盤、31、32:炭素
含有化合物の供給口、33:酸素含有ガスの供給口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有化合物の供給口と酸素含有ガス
    の供給口が製造炉本体に設けられ、該炭素含有化合物が
    該酸素含有ガスの下で燃焼して燃焼生成ガス流を形成
    し、該燃焼生成ガス流内でフラーレンを製造するフラー
    レンの製造炉であって、前記燃焼生成ガス流の平均レイ
    ノルズ数Reが、0<Re≦2300であることを特徴
    とするフラーレンの製造炉。
  2. 【請求項2】 炭素含有化合物の供給口と酸素含有ガス
    の供給口とを有し製造炉本体に設けられたバーナと、前
    記炭素含有化合物を前記酸素含有ガスの下で燃焼させて
    燃焼ガス流が形成される第1反応帯域と、前記第1反応
    帯域に連続し該第1反応帯域から移入する前記燃焼ガス
    流中に吹き込み管から主に原料となる炭素含有化合物を
    供給して燃焼生成ガス流を形成させ、該燃焼生成ガス流
    内でフラーレンが製造される第2反応帯域とを有するフ
    ラーレンの製造炉であって、前記第2反応帯域内での前
    記燃焼生成ガス流の平均レイノルズ数Reが、0<Re
    ≦2300であることを特徴とするフラーレンの製造
    炉。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のフラーレンの製造
    炉において、前記平均レイノルズ数Reが0<Re≦1
    500であることを特徴とするフラーレンの製造炉。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のフラーレンの製造
    炉において、前記平均レイノルズ数Reが0<Re≦1
    300であることを特徴とするフラーレンの製造炉。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフ
    ラーレンの製造炉において、前記炭素含有化合物の供給
    口と、前記酸素含有ガスの供給口はそれぞれ複数ずつ設
    けられ、これらの各供給口は各々独立し距離を隔てて前
    記製造炉本体内に開口していることを特徴とするフラー
    レンの製造炉。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフ
    ラーレンの製造炉において、前記炭素含有化合物の供給
    口から供給される炭素含有化合物は予熱されていること
    を特徴とするフラーレンの製造炉。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフ
    ラーレンの製造炉において、前記酸素含有ガスは不活性
    ガスを含有することを特徴とするフラーレンの製造炉。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフ
    ラーレンの製造炉において、前記製造炉本体内の圧力が
    大気圧未満であることを特徴とするフラーレンの製造
    炉。
JP2001391846A 2001-12-25 2001-12-25 フラーレンの製造炉 Pending JP2003192320A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001391846A JP2003192320A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 フラーレンの製造炉

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001391846A JP2003192320A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 フラーレンの製造炉

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003192320A true JP2003192320A (ja) 2003-07-09

Family

ID=27599317

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001391846A Pending JP2003192320A (ja) 2001-12-25 2001-12-25 フラーレンの製造炉

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003192320A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7396520B2 (en) 2001-08-31 2008-07-08 Nano-C, Inc. Method for combustion synthesis of fullerenes
US7435403B2 (en) 2002-07-03 2008-10-14 Nano-C Llc Separation and purification of fullerenes
JPWO2022130834A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7396520B2 (en) 2001-08-31 2008-07-08 Nano-C, Inc. Method for combustion synthesis of fullerenes
US7771692B2 (en) 2001-08-31 2010-08-10 Nano-C, Inc. Method for combustion synthesis of fullerenes
US7833493B2 (en) 2001-08-31 2010-11-16 Nano-C, Inc. Combustor for combustion synthesis of fullerenes
US7435403B2 (en) 2002-07-03 2008-10-14 Nano-C Llc Separation and purification of fullerenes
US7833497B2 (en) 2002-07-03 2010-11-16 Nano-C, Llc. Separation and purification of fullerenes
JPWO2022130834A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23
JP7396516B2 (ja) 2020-12-17 2023-12-12 株式会社レゾナック フラーレンの製造装置及び製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5226428B2 (ja) フラーレンの燃焼合成のための方法
KR970001466B1 (ko) 분리영역을 사용한 연소방법
JP3984956B2 (ja) カーボンナノ材料の製造用バーナーと燃焼装置
JP2005501794A5 (ja)
AU2002326799A1 (en) Method for combustion synthesis of fullerenes
JPH02247406A (ja) 炭化水素燃料燃焼装置の輻射熱の発生を増加するための方法及び装置
KR100443385B1 (ko) 역 확산화염을 이용한 탄소 나노튜브의 연소합성 장치 및방법
Shi et al. A novel combustion system for liquid fuel evaporating and burning
JP2003192320A (ja) フラーレンの製造炉
CN1314585C (zh) 利用辅助燃烧反应器制备纳米二氧化硅的方法
JP2003221216A (ja) フラーレン類の製造方法及びその装置
JP2003160316A (ja) フラーレン類の製造方法およびフラーレン類の製造装置
JP2003192318A (ja) フラーレンの製造装置及びその製造方法
CN115551802B (zh) 通过浮力诱导的拉伸流动形成cnt丝
JP2003171106A (ja) フラーレン類の製造方法およびフラーレン類の製造装置
JP2003192321A (ja) フラーレンの製造装置
KR100385574B1 (ko) 쉘 형상의 탄소 미세입자 제조방법
KR200398220Y1 (ko) 탄소나노튜브의 대량 생산을 위한 대량합성 장치
US20110008246A1 (en) System and method for generating nanoparticles
JP2003160317A (ja) フラーレン類の製造方法およびフラーレン類の製造装置
JP2003192319A (ja) フラーレンの製造装置
JPH10292126A (ja) カーボンブラックの製造方法
JP2003238132A (ja) フラーレン類の製造用バーナー及びこれを用いたフラーレン類の製造方法
JP3664951B2 (ja) 固形燃料用燃焼装置
JP3718516B2 (ja) フラーレンの製造方法