JP2003190186A - 義歯床とその部品及びそれらの調製方法 - Google Patents

義歯床とその部品及びそれらの調製方法

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JP2003190186A
JP2003190186A JP2001392174A JP2001392174A JP2003190186A JP 2003190186 A JP2003190186 A JP 2003190186A JP 2001392174 A JP2001392174 A JP 2001392174A JP 2001392174 A JP2001392174 A JP 2001392174A JP 2003190186 A JP2003190186 A JP 2003190186A
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Naoki Nishihama
直樹 西浜
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無歯顎症や多数歯欠損症等に対する歯科治療
に採用するに適した義歯床とその能率的な調製方法を提
供する。 【解決手段】 患者の側頭部のレントゲン写真等から求
められる最適な歯列の曲率半径Rと、咬合時に生じる力
の標準的な合力の方向を表す合力線上に設定した中心点
とに基づいて表現される咬合曲線に沿って義歯をプラス
チック又は金属の床に列状に配列した義歯床。この義歯
床は、患者の口腔内から転写した顎模型に基づいて、患
者の顎に装着する義歯床の床部分を製作するとともに、
当該患者に適した複数の義歯を前記床部分上に作られた
堤体に固定した義歯床用部品を別途製作し、前記床部分
に前記義歯床用部品を固有の曲率半径に従い固定一体化
することにより調製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無歯顎症や多数歯
欠損症等に対する歯科治療に採用するに適した義歯床と
その調製方法及び義歯床の製作に使用する部品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】無歯顎症や多数歯欠損症等に対する義歯
床治療やインプラント治療では、義歯や架工歯に理想的
な咬合を付与するのがきわめて重要である。従来は、こ
の咬合付与を、口腔や口腔周囲の主として硬組織の解剖
学的形態と、その平均値を割り出し、いくつかの仮想基
準線や平面と合わせて下顎骨の普遍的な咀嚼運動を捉え
ようとしてきた。そして、実際の治療では、このような
普遍的咀嚼運動に基づいて、医師や技工士が各患者の咬
合を再構築しているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記医師や技工士によ
る各患者の咬合の再構築は、主として医師や技工士の経
験と感に頼って行われているが、実際の咬合時における
強力な噛み締め力の方向と大きさに対する基準となるも
のがないので、患者の個別の理想的な咬合を定量的に構
築することはきわめて困難であり、例えば無歯顎症患者
用の義歯床を製作する場合に、患者が満足する義歯床を
製作するにはかなりの長時間と手間を要するという問題
点があった。そこで本発明は、実際の咬合によって生じ
る力の合力に着目し、理想的な咬合を短時間で簡単に得
られるようにすることにより、各患者用の特に総義歯床
を簡単かつ短時間で能率よく製作できるようにすること
を課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本
発明にかかる義歯床は、複数の義歯をプラスチック又は
金属の床に列状に固定してなる義歯床であって、患者の
側頭部のレントゲン写真から求められる最適な歯列の曲
率半径Rと、咬合時に生じる力の標準的な合力の方向を
表す合力線上に設定した中心点とに基づいて表現される
咬合曲線に沿って義歯を配列したことを特徴としてい
る。
【0005】前記標準的な合力線としては、側頭部のX
線写真上における前頭洞前縁中央部に設定した点と下顎
角とを結ぶ線を採用するのが好ましい。
【0006】また、本発明にかかる義歯床の調製方法
は、患者の口腔内から転写した顎模型に基づいて、患者
の顎に装着する義歯床の床部分を製作するとともに、当
該患者に適した複数の義歯を前記床部分上に作られた堤
体に固定した義歯床用部品を別途製作し、前記床部分に
前記義歯床用部品を固有の曲率半径に従い固定一体化す
ることを特徴としている。
【0007】具体的には、患者の口腔内から転写した顎
模型に基づいて、患者の顎に装着する義歯床の床部分を
製作するとともに、当該患者に適した複数の義歯を前記
床部分上に作られた上顎堤体前歯部における当該患者の
口腔内での審美的位置に固定することにより、これら複
数の義歯に基づいて固有の曲率半径を決定し、その曲率
半径によって描かれた堤体面上の円弧のサイズに従い、
あらかじめ義歯列を固定した義歯床用部品を選択し、同
位置に固定一体化して所望の義歯床を得る方法がある。
【0008】前記義歯床用部品としては、咬合時に生じ
る力の標準的な合力の方向を表す合力線上にあって、加
齢とともに下顎角寄りに変位する点を中心点とする曲率
半径Rの曲線を咬合曲線とし、該咬合曲線に沿って配列
した義歯列を堤体に固定したものを用いるのが好まし
い。
【0009】異なる咬合曲線に基づいて製作した種類の
異なる多数の義歯床用部品をあらかじめ用意しておき、
その中から患者の歯列として最も適したものを選択し
て、実際の患者の口腔模型から得られた床体に固定する
ことにより義歯床を完成するようにシステム化しておく
と、その都度歯列を床体に配列して固定する煩雑かつ熟
練を要する作業が不要となるので、所望の義歯床を短時
間で能率的に製作することが可能となる。
【0010】なお、咬合時に作用する力のベクトルで表
された合力の方向に基づいて咬合曲線(オクルーザルカ
ーブ)を設定し、当該設定された咬合曲線に沿って義歯
を固定する上記義歯床では、対向する上下顎間及びそれ
ぞれの歯間においてモーメントが生じない。このため患
者に固有の理想的な咬合を備えた義歯床を比較的簡単に
製作することができるのである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された本発明の実
施形態に基づいて、具体的に説明する。図1乃至図5は
本発明の義歯床や義歯床用部品(歯列ユニット)の製作
に使用する咬合器の1例を表すもので、この咬合器1
は、平面上に設置されるベース2を備え、該ベース2の
後端部には支柱3が立設され、前端部には下顎支持部材
4とフェースボウ取り付け部5が設けられている。下顎
支持部材4は、ベース2に前後位置調節可能に取り付け
られており、軸6の操作によってその前後位置及び咬合
器の前後方向の中心軸に対する傾きを調節することがで
きるようになっている。なお、フェースボウ取り付け部
5は、上下位置調節可能に下顎支持部材4に設けられて
いるので、両者は一体となって前後移動する。
【0012】支柱3は、間隔をおいて並設した左右1対
のフレームからなり、支柱3の間隔部に回動部材(移動
支柱)7が軸10によって回動可能に支持されている。
軸10のつまみ10aは顎関節に相当するもので、回動
部材7の左右にそれぞれ固定して設けられており、支柱
3に設けた横方向の長穴8に前後移動自在に嵌合してい
る。前記つまみ10aの端部には、フェースボウの耳に
係合させる部分が取り付け可能となっている。ボルト1
1は、この軸10の前後位置を決める前後位置調節手段
であり、支柱3の左右に設けられ、それぞれが長穴8内
に設けたスプリングを介して弾力的に軸10を押圧して
いる。上記回動部材7の上部は前向きに屈曲しており、
下部には脚部7bが設けられている。この回動部材7の
脚部は、軸15によって後方移動が規制されていて、こ
の軸によって回動部材7の回転が拘束され、該回動部材
の上下方向の角度が所定の角度に保持されるようになっ
ている。
【0013】なお、軸15は、支柱3に設けた前後方向
の長穴16内に設けたバネによって常時後向きに押圧付
勢されている。軸15は左右に設けられていて、これに
より回動部材の向きを調節することができる。回動部材
7の上部前側には上顎模型が取り付けられるので、その
重量により図1の反時計方向に回転する力が作用する
が、上記軸15によってその回転が拘束され、上下傾斜
角度が所定の角度に保たれる。一方、回動部材7には上
下方向のロッド25が挿通されている。このロッド25
は、外筒26と中軸27の二重構造となっており、中軸
27は上下位置調節可能かつ軸回りに回転可能に支持さ
れていて、その上部にはアーム30が軸31によって上
下回動自在に取り付けられている。28は外筒26と中
軸27を固定する螺子である。
【0014】アーム30は長さ調節可能で、その自由端
部には、円弧状の爪35が設けられている。前記爪35
は、形状・寸法の異なるアーム30に対し着脱自在であ
る。なお、長さの異なるアーム(爪35付き)を複数組
用意しておき、患者の体格や老化程度等に応じて適宜交
換できるようにしておくのが好ましい。
【0015】前記回動部材7の前方への張出部の前端部
には、上顎支持部40が設けられている。なお、上顎支
持部の下面と下顎支持部材4の上面には、鉄片を埋め込
んだ模型を吸着固定するためのマグネット45が取り付
けられている。
【0016】つぎに、この咬合器1を用いて、理想的な
咬合を構築する方法の原理と手順について説明する。こ
の咬合器は、咀嚼筋による咬合時の合力に着目して咬合
を構築する点に特徴がある。すなわち、咬合時に作用す
る筋肉は、図6に示すように、咬筋(M.masset
er)Mmと側頭筋(M.temporlis)Mtで
ある。これらによって生じる力は、所定の方向と大きさ
を有するベクトルであり、本発明者の研究によると、こ
れらの合力は、個々の患者によって若干の差はあるが、
標準的には、図7に示すように、前頭洞の前縁部(ナジ
オンの直上部)付近の点(「N点」と呼ぶ)に向かうこ
とがわかった。
【0017】頭部側面を2次元的に表した図8におい
て、Paは前歯の咬合点、Pbは奥歯の咬合点、Pcは
関節頭の点をそれぞれ表す。同図において、奥歯の咬合
点Pbに作用する咬合力N1 と関節頭の点Pcに作用す
る咬合力N2 は図に示す方向を有するベクトルであり、
これらの力とその合力Fとの関係は、次式に示すとおり
である。図中のOは、前記N点を表す。
【0018】
【数式1】
【0019】また、すべての患者の咬合時の合力が必ず
しもO(N点)に向かうわけではなく、加齢による骨の
老化・吸収等により、咬合時の合力の向かう点は、上記
N点と下顎角の点Pとを結ぶ線L(「合力線」又は「ベ
クトル軸」と呼ぶ)上を点P側へ徐々に近づくこともわ
かった。
【0020】そこで、上記合力線L上の点(患者によっ
てその位置は多少異なる)を中心とする円弧を描けば、
理想的な咬合における各咬合点は当該円弧上に並ぶはず
である。本発明は、このような知見に基づいて完成され
たもので、上記円弧に基づいて義歯床を製作することに
より、理想的な咬合を得るものである。
【0021】ところで、上記各力は、実際には図9に示
すように3次元的に作用するもので、義歯床における歯
軸の方向は、この力の方向に適合するように設定するの
が好ましい。なお、咬合時に作用する各力は、図10及
び次式に示すような関係となる。図10において、矢印
Zが正面を表す。なお、同図の添え字(R )と(L )は
それぞれ右と左を表し、ベクトルN1RとベクトルN1L
なす角を2xΦ1 としている。また、二つの円E1 ,E
2 のうち一方の円E1 は2本の歯とN点Oを含む円であ
り、他方の円E2 は顎関節と前記Oを含む円である。図
のθ1 とθ2 は射影された角である。同図における合力
Fを表す線Lは鉛直線であり、この線と、ベクトルN1R
とベクトルN1Lの和を表す線G及びベクトルN2Rとベク
トルN2Lの和を表す線Hは、いずれも頭蓋骨を左右に分
ける鉛直面内にある。
【0022】
【数式2】
【0023】つぎに、上記の原理を応用して患者に義歯
床を製作する方法について具体的に説明すると、概略つ
ぎのようになる。まず、患者の頭部の側面写真(セファ
ロ規格写真)を撮影するとともに、公知の方法で床を製
作する。床の製作方法は、まず、所定のトレイに印象剤
を載せて患者の上下の歯茎の形状の印象をとる。この印
象の上から石膏を流し込み、石膏模型を作製する。この
石膏模型の上にレジン床を作り、ワックスでおおよその
上下の歯槽堤(ロウ堤)を製作する。
【0024】このロウ堤を患者の口腔内に入れて、実際
に咬み合わせてもらい、上下顎のセントリックポジショ
ンを確定する。ロウ堤を咬んだ状態で上下のロウ堤をワ
ックスで互いに接合一体化する。この状態で、頬粘膜と
のなじみ具合や美観等を調製する。
【0025】つぎに、互いに固定一体化された上下のロ
ウ堤を石膏模型にあてがって仮止めした状態で、フェイ
スボウ40を用いて咬合器1にセットする。これに先立
って、予め患者に取り付けたフェイス棒のベクトル軸
(合力線)に対する角度を実際に計測しておく。この計
測は、患者の側頭部に前記N点と下顎角を結ぶ線を描
き、この線と患者に取り付けたフェースボウ40とのな
す角度を計測すればよい。咬合器1に対するフェイスボ
ウ40のセットは、図2において鎖線で示すように、フ
ェイスボウ(石膏模型を省略)の基部41を咬合器の顎
関節部(軸10の端部10a)に取り付け、フェイスボ
ウ取り付け部5の高さを調節してフェイスボウを所定角
度に支持する。この咬合器1では、合力線すなわちベク
トル軸を垂直なロッド25で表すので、垂直方向に対し
前記計測角度となるようにフェイスボウ40を支持す
る。フェイスボウの計測角度はベクトル軸に対し直角に
近いので、ロウ堤を取り付けた石膏模型を咬合器1にセ
ットした時に、模型の堤が水平に近い状態で支持される
ことになり、各種の作業を容易に行うことができる。フ
ェイスボウ40の角度を調節したら、この角度のまま石
膏模型を咬合器1に固定し、フェイスボウは取り外す。
【0026】一方、撮影したセファロ写真上に、上記N
点(合力が向かう点)と下顎角の点Pとを結ぶ合力線L
を書き込み、上記セファロ写真から患者の咬合曲線(咬
合点を通る曲線)を求め、その中心点Oの位置を上記合
力線L上に設定する。そして、この中心点Oと患者の咬
合曲線との距離(咬合曲線の半径)Dを求める。また、
患者の側頭部セファロ規格写真で測定した半径Dが模型
に転写されるように、咬合器のアーム30と爪35を調
節しておく。咬合器にセットされている上顎と下顎が一
体化したロウ堤に上記アームの先端部の爪35で曲線を
描く。この時、アーム30を支持する軸部25はその軸
心回りに回転可能であり、かつアーム30は、軸31を
中心に回動自在に支持されているので、軸31を中心と
して回動させることにより、ロウ堤に3次元の円弧を描
くことができる。上記アームを支持する軸31はN点に
相当し、描かれた円弧は患者の咬合曲線(オクルーザル
カーブ)を表す。上記アーム30は、自在継手を用いて
3次元的に回動自在に軸部25bに取り付けておくこと
もできる。
【0027】なお、患者の頭蓋骨には個人差があるの
で、咬合器1におけるアーム30の長さ、爪35の形状
・寸法(爪は複数種用意しておき、適宜交換するように
すれば便利である)、回動部材7の前後位置と上下傾斜
角度、下顎支持部材4の前後位置、上顎支持部材40の
前後位置等を適宜調節して、理想的な咬合が得られるよ
うにする必要がある。
【0028】描かれたオクルーザルカーブに沿って上下
のロウ堤を正確に上下分割する。しかるのち、当該ロウ
堤に円弧に沿って義歯を取り付けて行く。具体的には、
まず下顎のロウ堤上に上顎側の義歯列を載せて仮止めす
る。一方、上顎のロウ堤は湯で洗い流してレジン床を露
出させておく。歯列とレジン床との隙間を咬合器1上で
レジンを用いて仮止めする。しかるのち、上顎だけを咬
合器から取り外し、そのまま隙間にレジンを流し込んで
歯列を一体化する。
【0029】つぎに、下顎の歯列を固定するが、この固
定は、上記上顎に合わせて歯列を配置し、固定すればよ
い。その手順は上記上顎の場合とほぼ同様である。この
ようにして床と義歯列とが一体化した義歯床が得られ
る。この義歯床に必要な研磨等の仕上げ処理を施して製
品とする。
【0030】ところで、上記の方法では、患者の側頭部
セファロ規格写真を基に歯列用の円弧を描いたが、より
簡便な方法としては、このようなセファロ規格写真を用
いず、患者の口腔内から転写した上下の歯槽堤(ロウ
堤)に、数本の義歯を仮止めし、実際に患者に噛み締め
てもらって、最も患者に適した状態に義歯の高さや角度
を調節する。理想的な咬み合わせが得られたら、これら
数本の義歯に基づいて患者に適したオクルーザルカーブ
を求めることができる。
【0031】すなわち、患者の口腔内から転写した顎模
型に基づいて、患者の顎に装着する義歯床の床部分を製
作し、当該患者に適した複数の義歯を前記床部分上に作
られた上顎堤体前歯部における当該患者の口腔内での審
美的位置に固定することにより、これら複数の義歯に基
づいて固有の曲率半径を決定する。そして、この曲率半
径によって描かれた堤体面上の円弧のサイズに従い、義
歯列を固定一体化することにより所望の義歯床を得るこ
とができるのである。上記円弧の計測や曲率半径の決定
には、上記咬合器1のアームと爪を使用することができ
る。
【0032】つぎに、以上に述べた義歯床の製作方法で
は、ロウ堤にオクルーザルカーブに沿って多数の義歯を
取り付けなければならないので、かなりの時間と熟練を
要する煩雑な作業が必要である。この作業を簡略化する
ことができれば、義歯床の製作ははるかに簡単となり、
製作時間を大幅に短縮することができる。そこで、この
簡略化を実現できる改良された製作方法について以下に
説明する。
【0033】この改良された方法は、種々の咬合曲線
(オクルーザルカーブ)に沿って配列し床材の堤体に固
定した義歯床用部品(歯列ユニット)50をあらかじめ
製作しておく。図11はこの義歯床用部品である歯列ユ
ニット50を例示するもので、義歯T,…をオクルーザ
ルカーブに沿って堤体Pに固定したものである。この歯
列ユニット50の義歯配列に使用されるオクルーザルカ
ーブは患者の年齢や体格等により種々異なり、義歯自体
の種類も多いので、患者が最適なものを選択できるため
には、歯列ユニットの種類はできるだけ多い方がよい。
しかしながら、種類をあまり多くすると、在庫が増える
とともに、管理の手間等が増えて不経済であるので、患
者の咬合の変化に対応できる範囲でできるだけ少ない方
が好ましい。用意しておく義歯床用部品としての歯列ユ
ニットの種類は、数十種程度が好ましく、現実的には3
0〜50種類程度とするのが適当であろう。
【0034】上記用意されている義歯床用部品(歯列ユ
ニット)の中から、患者の好みを考慮して最適なものを
選択する。そして、選択した歯列ユニットを前記患者の
口腔から採取した模型に基づいて製作した床60(図1
1の鎖線で示す)に取り付けるのである。この場合、上
記複数種の歯列ユニットのなかから選択した患者の咬合
曲線に適した曲線を有する歯列ユニットを、その患者の
側頭部レントゲン写真上における関節頭中央部の一点な
いしそれより外耳道寄り2〜3mmの一点を通過する曲
線と、患者の口腔内で決定された固有の歯弓面上に3次
元的に交叉する線上に配置して、前記床部分に固定す
る。具体的な固定の手順は次のとおりである。まず、オ
クルーザルカーブに沿って上下に分割したロウ堤付きの
模型を前記咬合器1にセットし、その下側の歯に合わせ
て上側の歯列ユニット50をセットする。
【0035】つぎに、上顎のロウ堤のワックスを除去
し、上側のプラスチック床60のみを残して、当該プラ
スチック床と下顎側に載置している歯列ユニット50と
の間に歯科用の高品質即時重合樹脂を流し込んで重合さ
せる。これにより、プラスチック床と義歯列が一体化し
た図に示すような義歯床70が得られるのである。
【0036】この改良された義歯床調製方法によれば、
患者の口腔内の形状に基づいて製作した床60にその都
度義歯を植え付けてゆく作業が不要であるから、義歯床
をきわめて能率的に製作することができる。また、用意
されている歯列は、患者の咬合力のベクトルを考慮した
咬合曲線に沿って義歯を植え付けたものであるから、ほ
ぼ理想的な咬合が得られるのである。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、各患者にとって最も好ましいと考えられる咬
合が得られる義歯床をきわめて能率的に製作することが
可能となった。なお、以上の説明では主に樹脂製の義歯
床について説明したが、金属製の義歯床の場合も同様の
原理で製作することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の咬合器の1例の斜視図である。
【図2】その側面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】その正面図である。
【図5】その背面図である。
【図6】咬合筋を表す頭蓋骨の側面図である。
【図7】咬合力の合力を二次元的に表す頭蓋骨の側面図
である。
【図8】咬合力の合力と咬合曲線を表す説明図である。
【図9】咬合力の方向を示す頭蓋骨の正面図である。
【図10】咬合時に作用する力を3次元的に表す図であ
る。
【図11】歯列ユニットの平面図(a)及び斜視図
(b)である。
【図12】義歯床の平面図である。
【符号の説明】
1 咬合器 2 ベース 3 支柱 4 下顎支持部材 5 フェイスボウ取り付け部 6 軸 7 回動部材 15 軸 25 ロッド 30 アーム 31 軸 35 爪 40 上顎支持部材 50 義歯床部品(歯列ユニット) 60 床 70 義歯床

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の義歯をプラスチック又は金属の床
    に列状に固定してなる義歯床であって、患者の側頭部の
    レントゲン写真等から求められる最適な歯列の曲率半径
    Rと、咬合時に生じる力の標準的な合力の方向を表す合
    力線上に設定した中心点とに基づいて表現される咬合曲
    線に沿って義歯を配列したことを特徴とする義歯床。
  2. 【請求項2】 側頭部のX線写真上における前頭洞前縁
    中央部の点と下顎角とを結ぶ線を標準的な合力線とする
    請求項1に記載の義歯床。
  3. 【請求項3】 咬合曲線の中心点が、加齢とともに下顎
    角寄りに変位する点である請求項1又は2に記載の義歯
    床。
  4. 【請求項4】 咬合時に生じる力の標準的な合力の方向
    を表す合力線上にあって、加齢とともに下顎角寄りに変
    位する点を中心点とする曲率半径Rの曲線を咬合曲線と
    し、該咬合曲線に沿って配列した義歯列を義歯床の床材
    料で作られた堤体に固定したことを特徴とする義歯床用
    部品。
  5. 【請求項5】 患者の口腔内から転写した顎模型に基づ
    いて、患者の顎に装着する義歯床の床部分を製作すると
    ともに、当該患者に適した複数の義歯を前記床部分上に
    作られた堤体に固定した義歯床用部品を別途製作し、前
    記床部分に前記義歯床用部品を固有の曲率半径に従い固
    定一体化することを特徴とする義歯床の調製方法。
  6. 【請求項6】 患者の口腔内から転写した顎模型に基づ
    いて、患者の顎に装着する義歯床の床部分を製作すると
    ともに、当該患者に適した複数の義歯を前記床部分上に
    作られた上顎堤体前歯部における当該患者の口腔内での
    審美的位置に固定することにより、これら複数の義歯に
    基づいて固有の曲率半径を決定し、その曲率半径によっ
    て描かれた堤体面上の円弧のサイズに従い、あらかじめ
    義歯列を固定した義歯床用部品を選択し、同位置に固定
    一体化して所望の義歯床を得ることを特徴とする義歯床
    の調製方法。
  7. 【請求項7】 義歯床用部品の歯列が、咬合時に生じる
    力の標準的な合力の方向を表す合力線上にあって、加齢
    とともに下顎角寄りに変位する点を中心とする曲率半径
    Rの咬合曲線に沿って配列されている請求項5又は6に
    記載の義歯床の調製方法。
  8. 【請求項8】 咬合曲線の異なる複数種の義歯床用部品
    を用意しておき、そのなかから患者の咬合曲線に適した
    義歯床用部品を選択し、その患者の側頭部レントゲン写
    真上における関節頭中央部の一点ないしそれより外耳道
    寄り2〜3mmの一点を通過する曲率線が、患者の口腔
    内で決定された固有の歯弓面上に3次元的に交叉する線
    上に前記選択した義歯床用部品を配置し、前記床部分に
    固定する請求項5乃至7のいずれかに記載の義歯床の調
    製方法。
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