JP2003188131A - 研磨方法 - Google Patents

研磨方法

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JP2003188131A
JP2003188131A JP2001383076A JP2001383076A JP2003188131A JP 2003188131 A JP2003188131 A JP 2003188131A JP 2001383076 A JP2001383076 A JP 2001383076A JP 2001383076 A JP2001383076 A JP 2001383076A JP 2003188131 A JP2003188131 A JP 2003188131A
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JP2001383076A
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Norio Okuya
憲男 奥谷
Masashi Hamanaka
雅司 濱中
Mitsunari Satake
光成 佐竹
Katsuki Shingu
克喜 新宮
Shoji Nakatani
祥二 中谷
Naomi Nishiki
直巳 西木
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 基板に形成された膜の表面を被研磨面とし、
被研磨面に凹凸が形成されているワークのより正確な研
磨速度を求めるとともに、当該ワークの研磨時間をより
適切に設定する。 【解決手段】 基板に形成された膜の表面を被研磨面と
し、被研磨面に凹凸8が形成されているワーク201を
研磨パッド202に押し付けながら、研磨パッドをワー
クに対して相対運動させることにより被研磨面を研磨す
る研磨方法において、ワークAの前に研磨されたワーク
aの研磨速度を、研磨時間、研磨前後の膜厚の変化量、
および研磨前後の被研磨面の形状の変化量に基づいて決
定し、ワークAの研磨時間を、ワークaの研磨速度、ワ
ークAの初期膜厚および目標残膜厚、ならびにワークA
について予測される研磨前後の被研磨面の形状の変化量
に基づいて決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の表面に形成
された膜の表面を被研磨面とするワークの研磨方法に関
する。本発明は特に、半導体デバイス(半導体集積回路
装置)の製造工程で採用されるCMP(化学的機械研
磨)に適用される。
【0002】
【従来の技術】近年、ワークの表面を研磨により平坦化
する技術は、多種多様な分野において利用されている。
その一例としてICおよびLSI等の半導体デバイスの
製造工程における研磨加工を挙げることができる。
【0003】半導体デバイスの製造過程において、研磨
加工は、例えば、配線およびトランジスタ等の素子の上
に層間絶縁膜が形成された基板(この基板を半導体デバ
イス用基板とも呼ぶ)の表面(即ち、層間絶縁膜の露出
表面)を平坦化するために実施される。配線は、アルミ
ニウムまたは銅等の導電材料を用いてエッチング等によ
り形成される。層間絶縁膜は配線等の上にCVD等によ
り積層される。層間絶縁膜の平坦化は、表面の凹凸段差
を露光工程における焦点深度よりも小さくするために実
施される。半導体デバイスには、配線等と層間絶縁膜が
交互に積層された多層構造のものがある。かかる構造の
半導体デバイスの製造工程においては、各層間絶縁膜の
露出表面が平坦化される。
【0004】層間絶縁膜の研磨手法として、最近では、
層間絶縁膜と研磨剤の化学反応を伴うケミカルメカニカ
ルポリッシング(化学的機械研磨;CMP)法が採用さ
れつつある。CMP法によれば層間絶縁膜の表面全体を
極めて平滑にできる。
【0005】また、半導体デバイスの製造工程において
は、金属材料を基板等に形成された溝に埋め込んだ後、
研磨加工して、溝部外にある余剰金属を除去するととも
に表面を平坦化することにより配線パターンを形成する
ことも行われている。このようにして配線パターンを形
成する方法は、ダマシン法と呼ばれる。ダマシン法にお
いても余剰金属の除去にCMP法が利用される。
【0006】このように、CMPに代表される研磨加工
は半導体デバイスの製造過程において種々の工程で実施
されている。そして、半導体デバイスの分野において
は、CMPによって、より平坦な表面を、より効率的に
得ようとするための試みがなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】CMPにより層間絶縁
膜を平坦化する工程においては、研磨後の層間絶縁膜の
厚さが所定の厚さとなるまで、層間絶縁膜を研磨する。
層間絶縁膜の厚さは、一般に、ウエハの表面から層間絶
縁膜の露出表面までの距離で表される。多層構造の半導
体デバイス用基板において、2層目から上の層間絶縁膜
の厚さは、その下の層間絶縁膜の表面(ウエハから最も
遠い面)から当該層間絶縁膜の露出表面までの距離で表
される。層間絶縁膜の厚さはまた、一般に、ウエハ(ま
たはその下の層間絶縁膜)の表面と層間絶縁膜の露出表
面との間に配線および素子等が存在しない部分にて測定
される。また、研磨(加工)前の膜の厚さは、初期膜厚
とも呼ばれ、研磨(加工)後の膜の厚さは残膜厚とも呼
ばれる。
【0008】CMPの実施に際しては、残膜厚が所定の
範囲内にあるように、ワークを研磨する必要がある。残
膜厚が所定範囲内にないと、例えば層間絶縁膜の表面に
大きな段差が残り、後の工程に好ましくない影響を及ぼ
す。したがって、CMPにおいては、ワークが所望の量
だけ研磨され、残膜厚が目標の厚さとなるように、研磨
終点を正しく検出することが要求される。
【0009】そこで、CMP法による平坦化加工におい
て、加工中計測法による研磨終点検出技術が種々検討さ
れている。例えば、特開平6−342778号公報に
は、研磨時の機械的な振動をモニタして研磨終点を判定
しようとする技術が開示されている。しかし、振動と終
点との相関関係が必ずしも明瞭ではないため、当該公報
に記載の方法で正確な終点を検出することは原理的に困
難であると考えられる。別法として、温度測定およびト
ルク測定等による研磨終点の検出が提案されている。こ
れらは、研磨終点において材料が変化する加工には適し
ている。しかし、研磨前後で被研磨面の材料が変化しな
い平坦化加工(例えば配線等の上に形成された層間絶縁
膜の平坦化)に、これらの研磨終点検出技術を適用する
ことは困難である。このように、正確な研磨終点を検出
することは難しく、加工中計測法による研磨終点技術は
未だ確立していないのが実情である。
【0010】そのため、研磨終点は、一般に研磨時間
(加工時間)で管理される。具体的には、研磨すべきワ
ークの研磨速度を予め実験的に求め、研磨速度から所望
の研磨量(即ち、厚さ)を除去するのに必要な研磨時間
(以下、所要研磨時間ともいう)を算出し、算出した研
磨時間に従って平坦化加工を実施し、それにより研磨終
点を制御している。ここで、研磨速度とは、単位時間あ
たりに除去されるワークの厚さに相当し、表面除去速度
または研磨レートと称されることもある。研磨速度は、
半導体デバイス用基板の層間絶縁膜を研磨する場合に
は、単位時間あたりに除去される層間絶縁膜の厚さに相
当する。
【0011】以下、半導体デバイス用基板の層間絶縁膜
をCMP法により研磨するときの研磨時間の決定方法の
一例を図面を参照して説明する。
【0012】図8に半導体デバイス用基板の一例の平面
図を、図9にその断面の一部を拡大して模式的に示す。
半導体デバイス用基板(1)は、直径8インチまたは1
2インチの円盤形態である。半導体デバイス用基板
(1)は1枚の基板に50〜1000個のセル(100)
を有し、最終的に各セル(100)は分割されて半導体デ
バイスを形成する。図示した半導体デバイス用基板
(1)は、半導体ウエハ(2)の上に配線等(4)が形
成され、配線等(4)の上に層間絶縁膜(6)が形成さ
れたものである。この基板(1)においては、層間絶縁
膜(6)の表面が被研磨面となる。被研磨面は、配線の
パターン等に起因して形成された凹凸を有する。凹凸の
凸部(8)はその下に配線等(4)が位置する部分であ
る。図9において、研磨前の層間絶縁膜の露出表面は実
線(12)で示され、研磨後の層間絶縁膜の露出表面は実
線(14)で示される。
【0013】さらに、図10に半導体デバイス用基板を
CMP法により研磨する研磨装置の一例を示す。図10
に示す研磨装置において、研磨パッド(202)はステン
レススチールベルト(204)に接着され、ワーク(201)
はホルダ(206)に装着されている。ワーク(201)の裏
面(被研磨面とは反対の面)には、エアー(図示せず)
の圧力が加えられ、それによりワーク(201)が研磨パ
ッド(202)に押し付けられている。ステンレススチー
ルベルト(204)の裏面にもエアーにより圧力が加えら
れ、それにより研磨パッド(202)がワーク(201)に押
し付けられている。このように、ワーク(201)と研磨
パッド(202)が互いに押し付けられた状態にて、ベル
ト駆動ドラム(208)を回転させてスチールベルト(20
4)を走行させるとともに、研磨パッド(202)の表面に
スラリー(図示せず)を供給しながら、CMP法による
研磨を実施する。このとき、ホルダー(206)を中心軸
(k)を回転軸として回転(自転)させることにより、
ワーク(201)の被研磨面において、研磨パッド(202)
の走行方向と直交する方向で研磨ムラが発生することを
抑制できる。研磨パッド(202)が走行している間に、
ベルト駆動ドラム(208)上に配置されたドレッサー(2
10)により、研磨パッド(202)のフォーミング、即ち
ドレッシングが行われる。
【0014】研磨時間の決定に際しては、最初に、製品
となる半導体デバイスの層間絶縁膜と同じ材料を使用し
て、いわゆるベタ膜のワーク(配線等が形成されていな
い半導体ウエハに平坦な層間絶縁膜を形成したワーク)
を作製し、このベタ膜のワークを、実際の研磨に用いら
れる所定条件下で所定時間研磨したときの研磨量(膜厚
の変化量)を求める。求めた研磨量を研磨時間で除すこ
とにより、研磨速度(PR)が求められる。
【0015】次に、製品となる半導体デバイス用基板に
おいて、研磨により除去すべき層間絶縁膜の量(研磨
量)を決定する。まず、層間絶縁膜の初期膜厚tiを測
定する。一般に、層間絶縁膜の厚さは、その下に配線等
が存在しない凹部にて光学的な方法で測定される。半導
体デバイス用基板の層間絶縁膜の膜厚測定部(10)は、
膜厚測定ポイントとして各セルごとに予め設けられてい
る。膜厚は、例えばオプティプローブで測定される。な
お、凸部(8)の層間絶縁膜の厚さは、配線が存在する
ために光学的な方法で測定することは困難である。
【0016】次に、研磨後の膜厚規格中心値をtsを決
定する。tsは、所定の厚さの層間絶縁膜が配線の上に
残るように決定される。それから、残膜厚tfをtsと
するために必要な研磨量を求める。その際、留意すべき
ことは、図9に示すように、所定の残膜を得るために必
要な研磨量(即ち、研磨される厚さ)が膜厚測定部(1
0)と凹凸の凸部(8)とでは異なることである。即
ち、凸部(8)においては、図9に示す凸部(8)の部
分の突出高さ(d)にほぼ相当する量だけ、膜厚測定部
(10)より多く層間絶縁膜を研磨する必要がある。した
がって、研磨すべき層間絶縁膜の量(厚さ)は、初期膜
厚から膜厚規格中心値を差し引いた(ti−ts)に、
凸部に相当する量を加えた量となる。
【0017】一般に、余分に研磨すべき量は、配線
(4)の高さ(d)に相当すると仮定される。また、一
般に、凸部が除去される間の研磨速度はベタ膜のワーク
で測定した研磨速度PRよりも大きい。即ち、高さ
(d)の凸部を除去するのに必要な研磨時間は、ベタ膜
のワークから同じ厚さ(d)の層間絶縁膜を除去するの
に必要な時間よりも短い。そこで、凸部(8)がウエハ
(2)上でその高さよりも薄い平坦な膜を形成している
と仮定し、この仮定した平坦な膜の厚さを(ti−t
s)に加えて研磨すべき層間絶縁膜の量を決定し、その
研磨すべき量に基づいて研磨時間を求めることが行われ
ている。
【0018】上述のように凸部により形成されたと仮定
される平坦な膜の厚さをRsとし、これと先に求めた研
磨速度PRとから、研磨時間Tは、下記の式(a):
【数7】 T=(Rs+(ti−ts))/PR ...(a) に従って決定される。
【0019】上式(a)において、Rsは凸部の高さよ
りも小さい値をとるから、これをPRで除した値は、凸
部の高さをPRで除した値よりも小さい。即ち、式
(a)において、Rsは、ある高さを有する凸部の除去
に必要な研磨時間が、その高さと同じ厚さのベタ膜を除
去するのに必要な研磨時間よりも短いことを反映させる
ために用いられる項である。換言すれば、Rsは、凸部
が除去される間の研磨速度がベタ膜のワークのそれより
も大きいことについての補正項とも呼べるものである。
Rsは、例えば、配線等(4)の高さ(d)等に基づい
て経験的に求めることが多い。
【0020】しかし、このようにして研磨時間を決定し
ても、残膜厚が膜厚規格中心値からずれることがある。
その理由の1つとして、Rsが余分に研磨すべき層間絶
縁膜の量を正確に示していないことが挙げられる。
【0021】さらに別の理由として、研磨パッドの目詰
まり、摩耗および変形等による研磨速度の低下が挙げら
れる。研磨パッドの目詰まり等は、研磨パッドの使用時
間が長くなるほどひどくなり、それに伴って研磨速度も
低下する。したがって、例えば、1ロット(1ロットは
一般に25〜50枚)中のワークを同じ研磨パッドで連
続的に研磨すると、後で加工されるワークにおいては研
磨不足が生じやすい。
【0022】半導体デバイスの製造現場においては、こ
れらの原因により研磨速度が変化することを考慮して、
上記の式(a)で求められた研磨時間にさらに補正を加
えることが行われている。具体的には、例えば、1つの
ロットの中で後で研磨されるワークの研磨時間がより長
くなるような補正、あるいは配線のパターン密度に応じ
て研磨時間が長く又は短くなるような補正が加えられて
いる。しかし、かかる補正は、一般に、多くの時間を要
する作業であり、場合によっては多くのテストワークを
必要とする。このことはCMP工程の処理能力(スルー
プット)の低下および製品コストの上昇を招いている。
【0023】このように、製造現場において採用されて
いる研磨時間の決定手法は、CMP工程のスループット
およびコスト、ならびに研磨終点の制御の精度の点で、
なお改善を要するものである。そこで、本発明者らは、
より簡易な作業手順で、より高い精度で残膜厚を制御し
得る手法について検討した。その結果、凹凸が形成され
た被研磨面を有するワークの研磨速度をより正確に決定
する手法を見出し、これに基づいて研磨時間を決定する
ことにより、精度良く研磨を実施できることを見出し、
本発明を案出するに至った。
【0024】
【課題を解決するための手段】第1の要旨において、本
発明は、基板に形成された膜の表面を被研磨面とし、被
研磨面に凹凸が形成されているワークを研磨パッドに押
し付けながら、研磨パッドをワークに対して相対運動さ
せることにより被研磨面を研磨する研磨方法であって、
研磨すべきワークの研磨条件を、研磨したワークの研磨
速度を用いて決定する研磨方法において、研磨したワー
クの研磨速度を、研磨時間、研磨前と研磨後の膜厚の変
化量、および研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量
に基づいて決定することを特徴とする研磨方法を提供す
る。
【0025】本発明の研磨方法において、研磨されるワ
ークは被研磨面に凹凸を有する。この凹凸は、その段差
量(即ち、凸部の頂面と凹部の底面との間の距離)が5
0〜500nm程度のものである。この凹凸は、例えば、
ワークが半導体デバイス用基板である場合において、ウ
エハ上に形成された配線に起因して形成されるものであ
る。
【0026】本発明の研磨方法は、研磨したワークの研
磨速度を、研磨時間、研磨前と研磨後の膜厚の変化量、
および研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量に基づ
いて決定することを特徴とする。「研磨したワーク」と
は、これから研磨すべきワークの前に研磨した別のワー
ク、又は後述するように、これから所定量だけ研磨すべ
きワークを一部(即ち、所定量よりも少ない量だけ)研
磨したワークを指す。本発明の研磨方法は、既に研磨さ
れたワークについて研磨速度を求めた後、求めたこの研
磨速度を利用して、これから研磨すべきワークの研磨条
件を決定し、その研磨条件に従ってワークを研磨する研
磨方法である。
【0027】膜厚は、研磨によりその一部が除去されて
平坦化される膜の厚さをいい、基板の表面から膜の露出
表面(即ち、被研磨面)までの距離に相当する。多層配
線構造の半導体デバイス用基板のように、膜が複数層形
成されている場合、2層目から上の膜の厚さは、その下
に位置する膜の表面(基板から最も遠い面)から当該膜
の露出表面までの距離で表される。膜厚は、ワークの被
研磨面の凹部から選択される膜厚測定部にて測定され
る。膜厚測定部は、その底面(即ち、凹部を形成する被
研磨面に平行な面)の寸法が比較的大きい(例えば50
〜100μm□である)凹部から選択される。膜厚測定
部は1つのワークにおいて1または複数選択してよい。
ワークが半導体デバイス用基板である場合、前述のよう
に膜厚は膜厚測定ポイントとして予め設けられた膜厚測
定部にて測定される。
【0028】研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量
は、研磨前後の被研磨面の三次元的な輪郭の変化に基づ
いて求められる量である。この変化量は、本発明におい
ては凹凸の凸部全体または一部の体積の変化量に相当す
る。
【0029】この研磨方法においては、研磨前後の膜厚
の変化量、および実際に研磨される被研磨面の研磨前後
の形状の変化量に基づいて、既に研磨したワークの研磨
速度が決定される。それにより、従来、研磨速度を求め
ることが困難であった凹凸を有するワークの研磨速度
を、より精度良く決定することが可能となる。
【0030】さらに、本発明は、第1の要旨の1つの態
様として、研磨前の膜の領域を、厚さ方向で、2つの部
分、即ち、研磨により凹凸の段差が最終的に緩和される
までの部分であるパターン部と、膜全体が均一に研磨さ
れる部分である平坦部とに区分し、研磨時間および研磨
前と研磨後の膜厚の変化量に基づいて、平坦部の研磨速
度を決定し、研磨時間および研磨前と研磨後の被研磨面
の形状の変化量に基づいて、パターン部の研磨速度を決
定し、平坦部の研磨速度とパターン部の研磨速度の和を
研磨速度とする研磨方法を提供する。
【0031】この態様においては、研磨前のワークの膜
がパターン部および平坦部の2つの部分から構成される
と想定したモデルを導入する。このモデルにおいて、パ
ターン部および平坦部は互いに影響を及ぼすことなく、
独立して研磨される。このようなモデルの導入は、研磨
パッドが2つの異なる作用を及ぼしながらワークを研磨
する、即ち、研磨パッドが、固定砥粒のような剛体とし
て作用するとともに、軟質体として作用しながら、ワー
クを研磨すると考えることにより、可能となる。
【0032】ここで、研磨パッドが剛体として作用して
ワークを研磨するとは、ワークに存在する凹凸の段差を
専ら無くすように、ワークを研磨することをいう。一
方、研磨パッドが軟質体として作用してワークを研磨す
るとは、ワークに存在する凹凸に追随しながら、凹凸の
段差を変化させることなく、ワークを研磨することをい
う。凹凸を有する膜の表面を被研磨面として研磨すると
き、研磨パッドは、これらの2つの作用を同時に及ぼし
ながらワークを研磨する。なお、研磨パッドは、ワーク
が例えば半導体デバイス用基板のようにうねり(即ち、
グローバルな凹凸)を有する場合には、ワークのうねり
に追随する性質を有する。この追随性は、研磨パッドが
剛体として作用する場合および軟質体として作用する場
合のいずれにおいても発揮される。したがって、研磨速
度の決定に際し、この追随性を考慮しなくても問題は生
じない。
【0033】この態様で導入されるモデルにおいて、パ
ターン部は、研磨パッドが剛体として作用して凹凸の凸
部だけが先に除去されるように研磨が進行すると仮定し
たときに、研磨により凹凸の段差が最終的に緩和される
までに、研磨によって除去される部分である。凹凸の段
差が最終的に緩和されるとは、研磨によって凹凸の段差
量が最大限緩和されることをいう。凹凸の段差量が緩和
されるとは、凹凸の段差量が小さくなることをいう。凹
凸の段差量が最大限に緩和されるとは、研磨を続けても
凹凸の段差量がそれ以上実質的に小さくならないことを
いう。凹凸の段差量が最大限に緩和される場合には、例
えば凹凸の段差量が実質的に0になる場合も含まれる。
【0034】平坦部は、研磨により膜の厚さが膜の全面
にわたって均一に減少していく領域をいう。平坦部は、
パターン部の下に位置する。平坦部は、凹凸を有する場
合でも、その凹凸の段差が維持されたまま研磨される。
平坦部は、ベタ膜のワークを構成する平坦な膜に相当す
るといえる。
【0035】この態様においては、平坦部の研磨速度を
研磨時間と研磨前と研磨後の膜厚の変化量に基づいて決
定し、パターン部の研磨速度を研磨時間と研磨前と研磨
後の被研磨面の形状の変化量に基づいて決定し、2つの
研磨速度の和をワークの研磨速度として決定する。この
ようにしてワークの研磨速度を決定することは、研磨パ
ッドの2つの作用による研磨が、ワークの被研磨面の位
置および研磨時間の長短に拘らず、即ち、空間的および
時間的に相互に影響を及ぼすことなく、互いに独立して
並行的に進行するという仮定に基づく。本発明者らは、
このように仮定しても問題のないことを見出した。即
ち、本発明者らは、基板に形成された膜の領域のうち、
研磨パッドが剛体として作用することにより研磨される
部分をパターン部とし、研磨パッドが軟質体として作用
することにより研磨される部分を平坦部として区分し、
各部分の研磨速度を求め、それらの和をワークの研磨速
度とすることによって、精度良く研磨速度を決定できる
ことを見出した。
【0036】さらには、平坦部の研磨速度とパターン部
の研磨速度の和は、常に一定であると考えてよいことが
判明した。例えば、ワークの研磨速度を求めるために、
研磨時間を60秒に設定し、全研磨時間の一部(例えば
20〜30秒の10秒間)に着目したときに、当該10
秒間に生じた膜厚の変化量および被研磨面の形状の変化
量からそれぞれ求めた平坦部の研磨速度およびパターン
部の研磨速度の和は、全研磨時間(即ち60秒間)に生
じた膜厚の変化量および被研磨面の形状の変化量からそ
れぞれ求めた平坦部の研磨速度およびパターン部の研磨
速度の和に等しい。
【0037】平坦部の研磨速度およびパターン部の研磨
速度の和が一定であるのは、研磨時間の長さに応じて、
全体の研磨速度に占める平坦部の研磨速度およびパター
ン部の研磨速度の割合が変化するためであると考えてよ
い。例えば、未研磨のワークを研磨して研磨速度を決定
する場合を想定する。この場合において、研磨開始から
の時間が短いとき、研磨パッドは専ら剛体として作用し
て凹凸の段差を緩和し、平坦部を殆ど研磨しない。即
ち、研磨時間を短く設定して研磨速度を求めると、全体
の研磨速度に占めるパターン部の研磨速度の割合が大き
くなり、平坦部の研磨速度の割合は小さくなる。但し、
研磨開始からの時間が短いときでも、ワークが軟質体と
して全く作用しないわけではなく、平坦部も若干研磨さ
れることに留意すべきである。このことは、特に化学反
応を伴うCMPにおいて当てはまる。研磨開始から時間
が経過するにつれて、ワークは軟質体としての作用をよ
り示すようになる。即ち、研磨速度の決定に際して研磨
時間を長く設定するほど、全体の研磨速度において平坦
部の研磨速度の占める割合が大きくなり、パターン部の
研磨速度の占める割合は小さくなる。
【0038】上記第1の要旨に係る発明において、研磨
前と研磨後の被研磨面の形状の変化量は、具体的には、
研磨前の膜の領域を、厚さ方向で、研磨により凹凸の段
差が最終的に緩和されるまでの部分であるパターン部
と、膜全体が均一に研磨される部分である平坦部の2つ
の部分に区分し、ワークの被研磨面の少なくとも一部分
を形状測定部として選択したときに、凹凸の段差が最終
的に緩和されるまでに形状測定部において研磨により除
去される膜の体積、即ちパターン部の体積(この体積は
「パターン部除去体積」とも称される)を形状測定部全
体の面積で除した値tpとすることができる。
【0039】「パターン部」および「平坦部」の意味は
先に説明したとおりである。形状測定部は、ワークの被
研磨面から代表的に選択される領域であって、パターン
部および平坦部を含む。上述のように、パターン部は凹
凸を有し、パターン部の厚さ(または突出高さ、即ち、
パターン部と平坦部との境界からパターン部の表面まで
の厚さ方向の距離)は形状測定部において一定でない。
したがって、形状測定部におけるパターン部除去体積
(即ち、研磨により除去されるパターン部の体積)を形
状測定部の面積で除した値tpは、形状測定部に含まれ
るパターン部全体の体積に等しい体積を有し、かつ形状
測定部の面積と同じ面積を有する凹凸のない平坦な膜を
有するワーク(ベタ膜のワーク)から、そのような膜を
除去したとみなしたときの除去量(除去された厚さ)に
相当する。即ち、tpは、パターン部の凹凸を形状測定
部全体にわたって均すことにより形成される膜(この膜
はパターン部の体積に等しい体積を有する)の厚さに相
当する。
【0040】本発明において、tpを採用する理由は次
のとおりである。一般に、研磨パッドと凸部との間に生
じる圧力は、ベタ膜と研磨パッドとの間に生じる圧力よ
りも大きく、そのため、高さdの凸部の研磨速度は同じ
厚さdのベタ膜のそれよりも大きくなる。tpは、形状
測定部において、凹凸の凸部がその高さよりも薄い平坦
な膜を形成していると仮定した項であり、高さdの凸部
を除去するのに必要な研磨時間が、同じ厚さdのベタ膜
を除去するのに必要な研磨時間よりも短いことを、研磨
速度の決定において反映させるために用いられる。
【0041】以下の説明を含む本明細書において、tp
はパターン部除去体積等価膜厚とも呼ぶ。「パターン部
除去体積等価膜厚」という用語は、本明細書において、
パターン部全部の体積を形状測定部の面積で除したもの
を指すために用いるが、後述のように、パターン部の一
部の体積を形状測定部の面積で除したものもまたパター
ン部除去体積等価膜厚と呼ぶ場合がある。
【0042】形状測定部は、tpを決定するために、所
定の面積を有する部分として意図的に選択される領域で
ある。形状測定部をより広い面積を有するように選択す
ると、被研磨面の形状変化をより正確に把握することが
できる。また、形状測定部としては、凹凸の凸部の占め
る割合が他の部分と比較して小さすぎる又は大きすぎる
部分ではなく、凹凸の凸部の占める割合が平均的である
部分(即ち、ワークの代表的な部分)を選択することが
好ましい。
【0043】前述したように、膜厚は凹部で測定される
から、膜厚の変化量のみに基づいて正確な研磨量を求め
ることはできない。本発明の研磨方法においては、膜厚
の変化量に加えてパターン部除去体積等価膜厚が求めら
れるため、ワークから実際に除去される膜の量(即ち、
研磨量)がより正確に求められ、また、求めた研磨量
(厚さ)を当該研磨量を達成するために要した時間で除
すことにより、より正確な研磨速度が決定される。
【0044】第1の要旨に係る本発明の研磨方法におい
て、研磨したワークの研磨速度PRは具体的には、ワー
クの被研磨面の少なくとも一部分であって、かつ凹凸を
含む部分を形状測定部として選択し、また、ワークの被
研磨面の凹部から膜厚測定部を選択し、ワークを研磨時
間Tだけ研磨し、膜厚測定部で予め測定される初期膜厚
tiと、研磨後に測定される残膜厚tfの差を、研磨前
と研磨後の膜厚の変化量とし、形状測定部のパターン部
除去体積を形状測定部の面積で除した値tpを、研磨前
と研磨後の被研磨面の形状の変化量とし、下記の式:
【数8】PR=(ti−tf+tp)/T (式中、PRはワークの研磨速度を示す)に基づいて決
定される。
【0045】また、第1の要旨に係る本発明の研磨方法
の1つの態様において、研磨したワークの研磨速度PR
は、ワークの被研磨面の少なくとも一部分であって、か
つ凹凸を含む部分を形状測定部として選択し、また、ワ
ークの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選択し、ワーク
を研磨時間Tだけ研磨し、膜厚測定部で予め測定される
初期膜厚tiと、研磨後に測定される残膜厚tfの差
を、研磨前と研磨後の膜厚の変化量とし、形状測定部の
パターン部除去体積を形状測定部の面積で除した値tp
を、研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量とし、平
坦部の研磨速度PReを下記の式:
【数9】PRe=(ti−tf)/T に基づいて決定し、パターン部の研磨速度PRpを下記
の式:
【数10】PRp=tp/T に基づいて決定し、式PR=PRe+PRp(式中、PR
はワークの研磨速度を示す)に基づいて決定される。
【0046】前述のように、第1の要旨に係る本発明の
研磨方法は、既に研磨されたワークについて研磨速度を
求めた後、求めたこの研磨速度を利用して、これから研
磨すべきワークの研磨条件を決定し、その研磨条件に従
ってワークを研磨する研磨方法である。ワークの研磨条
件は、ワークに対する研磨パッドの相対速度(図10に
示す装置においてはワークの回転数)、ワークを研磨パ
ッドに押し付けるときの圧力(研磨圧力)、研磨液の温
度および研磨時間等である。これらのうち、研磨パッド
の相対速度および研磨圧力は研磨速度を決める主な因子
であり、研磨圧力および/または研磨パッドの相対速度
が大きいほど、研磨速度は大きくなる。
【0047】したがって、本発明の研磨方法には、例え
ば、 1)研磨パッドの回転数、研磨圧力、および研磨液の温
度等、研磨時間以外の研磨条件が予め設定されている場
合に、既に研磨したワークの研磨速度をこれから研磨す
べきワークの研磨速度と仮定して、これから研磨すべき
ワークの研磨時間を決定する研磨方法、ならびに 2)既に研磨したワークの研磨速度をこれから研磨すべ
きワークの研磨速度と仮定して、研磨圧力および/また
は研磨パッドの相対速度を適宜選択することにより、こ
れから研磨すべきワークの研磨速度を所望の速度とする
研磨方法が含まれる。本発明の研磨方法は、上記1)の
研磨方法であることが好ましく、以下にその研磨方法を
第2の要旨に係る発明として説明する。
【0048】第2の要旨において、本発明は、基板に形
成された膜の表面を被研磨面とし、被研磨面に凹凸が形
成されているワークを研磨パッドに押し付けながら、研
磨パッドをワークに対して相対運動させることにより被
研磨面を研磨する研磨方法において、ワークAの前に研
磨されたワークaの研磨速度を、研磨時間、研磨前と研
磨後の膜厚の変化量、および研磨前と研磨後の被研磨面
の形状の変化量に基づいて決定し、ワークAの研磨時間
を、ワークaの研磨速度、ワークAの初期膜厚および目
標残膜厚、ならびにワークAについて予測される研磨前
と研磨後の被研磨面の形状の変化量に基づいて決定する
ことを特徴とする研磨方法を提供する。
【0049】この研磨方法において、ワークAの研磨時
間を決定するために用いられる研磨速度は、ワークAを
研磨する前に研磨したワークaの研磨速度である。ワー
クaの研磨速度は、ワークAを研磨する前、好ましくは
直前に研磨されたワークであり、このワークaの研磨速
度は研磨装置の状態(研磨パッドの摩耗および変形等)
を反映した研磨速度を与える。また、ワークAの研磨時
間の決定には、初期膜厚および目標残膜厚に加えて、実
際に研磨されるワークAについて予測される研磨前と研
磨後の被研磨面の形状の変化量が用いられる。それによ
り、被研磨面に凹凸が形成されている膜について、研磨
すべき量をより正確に決定できる。したがって、この研
磨方法によれば、所望の残膜厚を得るのに必要な研磨時
間がより正確に求められ、ワークの残膜厚をより高い精
度で制御することが可能となる。
【0050】この研磨方法において、ワークAについて
予測される研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量
は、研磨前の膜の領域を、厚さ方向で、2つの部分、即
ち、研磨により凹凸の段差が最終的に緩和されるまでの
部分であるパターン部と、膜全体が均一に研磨される部
分である平坦部とに区分し、また、ワークAの被研磨面
の少なくとも一部分であって、かつ凹凸を含む部分を形
状測定部として選択したときに、ワークAの形状測定部
において予測されるパターン部除去体積を形状測定部の
面積で除した値upAとすることが好ましい。ワークA
の形状測定部において予測されるパターン部除去体積
は、例えば、ワークAの前に研磨されたワークaの研磨
後の形状と、ワークAの研磨前の形状とから求めること
ができる。
【0051】upAは、ワークAについて予測されるパ
ターン部除去体積等価膜厚といえる。パターン部除去体
積等価膜厚の意味は先に説明したとおりである。ここで
は、研磨前に「予測される」パターン部除去体積等価膜
厚を「up」で表し、ワークを実際に研磨することによ
って求める「実際の」パターン部除去体積等価膜厚(t
p)との混同を避けている。
【0052】upは、ワークAを実際に研磨した後で求
められる被研磨面の形状の変化量(実測値)により近い
ものとなる。したがって、upは、従来、配線等の高さ
等に基づいて経験的に求められていた補正項Rsと比較
して、除去すべき凸部の量をより正確に与える。
【0053】第2の要旨において提供される研磨方法に
おいて、ワークAの研磨時間は、具体的には次のように
して決定される。まず、ワークAの前に研磨されたワー
クaの研磨速度PRaを上記第1の要旨に係る本発明の
研磨方法において用いられる研磨速度決定方法に従って
決定し、ワークAの被研磨面の少なくとも一部であっ
て、かつ凹凸を含む部分を形状測定部として選択し、ま
た、ワークAの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選択
し、ワークAの形状測定部において予測されるパターン
部除去体積を形状測定部の面積で除した値upAを、ワ
ークAについて予測される研磨前と研磨後の被研磨面の
形状の変化量とし、ワークAの研磨時間TAを、下記の
式:
【数11】TA=(tiA−tsA+upA)/PRa (式中、tiAおよびtsAはそれぞれワークAの膜厚測
定部における初期膜厚および目標残膜厚を示す)に基づ
いて決定する。
【0054】ワークaの研磨速度PRaは、具体的に
は、ワークaの被研磨面の少なくとも一部であって、か
つ凹凸を含む部分を形状測定部として選択し、また、ワ
ークaの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選択し、ワー
クaを研磨時間Taだけ研磨し、ワークaの膜厚測定部
で予め測定される初期膜厚tiaと、研磨後に測定され
る残膜厚tfaの差を、ワークaの研磨前と研磨後の膜
厚の変化量とし、ワークaの形状測定部のパターン部除
去体積を形状測定部の面積で除した値tpaを、ワーク
aの研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量とし、下
記の式:
【数12】PRa=(tia−tfa+tpa)/Ta に基づいて決定される。
【0055】あるいは、ワークaの研磨速度PRaは、
ワークaの被研磨面の少なくとも一部であって、かつ凹
凸を含む部分を形状測定部として選択し、また、ワーク
aの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選択し、ワークa
を研磨時間Taだけ研磨し、ワークaの膜厚測定部で予
め測定される初期膜厚tiaと、研磨後に測定される残
膜厚tfaの差を、ワークaの研磨前と研磨後の膜厚の
変化量とし、ワークaの形状測定部のパターン部除去体
積を形状測定部の面積で除した値tpaを、ワークaの
研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量とし、平坦部
の研磨速度PReaを下記の式:
【数13】PRea=(tia−tfa)/Ta に基づいて決定し、パターン部の研磨速度PRpaを下記
の式:
【数14】PRpa=tpa/Ta に基づいて決定し、PReaおよびPRpaから、式PRa
=PRea+PRpaに基づいて決定される。
【0056】第2の要旨において提供される研磨方法に
おいて、ワークaはワークAの前に研磨されたものであ
れば、いつ研磨されたものであってよい。例えば、1つ
の研磨装置において1つのロットのワークを連続的に研
磨する場合、各ワークの研磨速度を求め、求めた研磨速
度に基づいて次のワークの研磨時間を順次決定してよ
い。あるいは、研磨速度は一定枚数ごと(例えば5枚ご
と、または10枚ごと)に決定してよい。例えば、1枚
目のワークの研磨速度を求め、この研磨速度に基づいて
2〜11枚目のワークの研磨時間を決定し、次に11枚
目のワークの研磨速度を求め、この研磨速度に基づいて
12〜21枚目のワークの研磨時間を決定してよい。ワ
ークaの研磨後の被研磨面の形状に基づいて、ワークA
について予測される研磨前と研磨後の形状の変化量(例
えばupA)を求め、これをワークAの研磨時間の決定
に利用する場合も同様である。
【0057】あるいは、1ロットの最後のワークをワー
クaとして、これの研磨速度を決定し、次のロットに含
まれる全てのワークをワークAとして、ワークaの研磨
速度に基づいてワークAの研磨時間を決定してよい。ワ
ークaの研磨後の被研磨面の形状に基づいて、ワークA
について予測される研磨前と研磨後の形状の変化量(例
えばupA)を求め、これをワークAの研磨時間の決定
に利用する場合も同様である。
【0058】ワークaとワークAの間に研磨されるワー
クの数が少ないほど、より高い精度で残膜厚を制御でき
る。前述のように、研磨速度は研磨装置の状態(例えば
研磨パッドの摩耗および変形)の影響を受けるため、ワ
ークaの研磨速度がワークAを研磨する直前に測定した
ものであれば、当該速度はワークAの研磨時における研
磨装置の状態がより正確に反映されたものとなる。
【0059】本発明の研磨方法は、配線等の素子の上に
形成された層間絶縁膜の露出表面を被研磨面とする半導
体デバイス用基板の研磨に好ましく適用される。したが
って、本発明の研磨方法は、半導体デバイスの製造工程
に含まれる研磨工程(平坦化工程)に好ましく適用され
る。本発明の研磨方法はまた、CMPに好ましく適用さ
れる。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明の一態様として、半導体デ
バイス用基板をワークとして研磨する研磨方法を以下に
説明する。本発明の研磨方法で研磨される半導体デバイ
ス用基板を、図1および図2に示す。図1は先に説明し
た図8と同様のものであり、図1において図8で使用し
た符号と同じ符号は同じ要素を示す。図1には、さらに
膜厚が測定される5つのセル(100a〜100e)を示して
いる。図2は、半導体デバイス用基板の断面を示す。図
2において図9で使用した符号と同じ符号は同じ要素を
示す。図2には、後述するパターン部初期段差量(H
i)およびパターン部残存段差量(Hf)をさらに示
し、層間絶縁膜(6)内の一点鎖線によって層間絶縁膜
(6)のパターン部(6a)と平坦部(6b)との境界
を示している。この半導体デバイス用基板もまた、図1
0に示す研磨装置で研磨される。
【0061】最初に、本発明の研磨方法においてワーク
の研磨速度を決定する手順を説明する。まず、研磨速度
を求めようとするワークaの初期膜厚tiaを、測定分
解能が1nmである膜厚測定器(例えばオプティプロー
ブ)を用いて測定する。初期膜厚は、1枚のワークにお
いて複数の膜厚測定部にて測定した初期膜厚の平均値と
することが好ましい。初期膜厚は、例えば図1に示す5
箇所のセル(100a〜100e)に設けられた膜厚測定部に
て測定される。
【0062】次に、ワークの被研磨面の形状測定部の形
状を測定する。形状測定部は適当な面積を有するように
選択される。ここでは1つのセル(約7mm□)を形状
測定部として選択する。別の態様においては、セルの一
部または複数のセルを合わせた領域を、1つの形状測定
部として選択してよい。
【0063】形状測定部の形状は、例えば、原子間力顕
微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)を用いて測
定される。使用できるAFMは、例えば、日立製作所社
製の「WA200」である。形状測定部の形状は、AF
Mの平面2D分解能を10μm、縦分解能を1nmに設定
して、図3に示すようなAFM3D画像が得られるよう
に測定する。
【0064】得られたAFM3D画像から、凹凸の段差
量を求める。凹凸の段差量とは、凸部(8)の頂面(8
a)とそれに隣接する凹部の底面(8b)との間の距離
をいう。研磨前の形状測定部において段差量の異なる凹
凸が存在する場合、最も大きい段差量を求める。このよ
うにして求めた段差量は、パターン部初期段差量と呼
ぶ。一般に、図2に示すような半導体デバイス用基板に
おいて、パターン部初期段差量は膜厚測定部(10)の底
面(10a)と凸部(8)の頂面(8a)との間の距離に
相当し、図2において符号Hiで示される距離に相当す
る。パターン部初期段差量もまた、初期膜厚と同様に複
数箇所(図1に示す5箇所のセル(100a〜100e))に
て測定した形状から求めた平均値とすることが好まし
い。
【0065】図2に示すように、半導体デバイス用基板
において、例えば配線等が密に形成された部分の上に
は、段差量が数〜数十nmの微細な凹凸(16)が形成さ
れることがある。図2において、微細な凹凸(16)は
1つの大きな凸部(8)の頂面に形成されているともい
える。この微細な凹凸(16)は研磨の初期段階で平坦
化されるため、研磨速度を決定するに際し、その段差量
の変化は無視することができる。
【0066】次に、ワークaを研磨時間Taだけ研磨
し、研磨後の膜厚(即ち、残膜厚)tfaおよび研磨後
の被研磨面の形状を測定する。残膜厚tfaは初期膜厚
tiaと同様にして測定する。研磨後の被研磨面の形状
は、後述のパターン部残存段差量を求めるために測定す
る。
【0067】一般に、半導体デバイス用基板を研磨によ
り平坦化するとき、凹凸は完全に平坦化されず、数〜数
十nmの段差が残ったまま平坦化が進行する。そのため、
半導体デバイス用基板は完全に平坦化されず、段差が残
る。この最終的に残る段差の高さをパターン部残存段差
量と呼ぶ。パターン部残存段差量は図2においてHfで
示される距離に相当する。
【0068】図2に示すような半導体デバイス用基板に
おいて、パターン部のみが先に除去されてから平坦部が
除去されるように研磨が進行すると仮定すれば、凸部
(8)が研磨されて、凹凸の段差量がパターン部残存段
差量(Hf)に等しくなったときに、パターン部が除去
された状態(図中の一点鎖線で示される)となる。その
後、研磨される部分は膜の厚さが膜の全面にわたって均
一に減少していく。即ち、図2の層間絶縁膜(6)内の
一点鎖線はパターン部(6a)と平坦部(6b)との境
界に相当するといえる。
【0069】上記の仮定は理解を容易にするためのもの
であり、前述のように、実際の研磨は平坦部とパターン
部が同時に研磨されるように進行する。但し、前述のよ
うに平坦部における研磨とパターン部における研磨は互
いに独立しており、平坦部における研磨の進行は、凹凸
の段差量の緩和に影響を及ぼさない。平坦部が研磨され
ると、それに伴って、凸部の頂面および凹部の底面の位
置(レベル)が同じだけ変化するからである。したがっ
て、図2に示すワークにおいてパターン部と平坦部とが
同時に研磨されるとしても、図2に示すパターン部と平
坦部との境界の位置(レベル)は変わらない。パターン
部と平坦部との境界は、研磨後の凹部の底面の包絡面
を、研磨前の凹部の底面の包絡面に仮想的に一致させる
まで平行移動させたときの、研磨後の被研磨面の表面で
あるともいえる。
【0070】次に、パターン部除去体積およびパターン
部除去体積等価膜厚tpを求める方法を説明する。パタ
ーン部除去体積は、形状測定部の等高線面積を所定の段
差増分(例えば10nm)ごとに、パターン部残存段差量
からパターン部初期段差量まで(即ち、図2において層
間絶縁膜の表面から一点鎖線に至るまで)求め、求めた
等高線面積と段差増分の積の和を算出することにより求
められる。ここで、形状測定部の等高線面積とは、基板
表面に平行な面であって基準点(例えば基板の表面)か
ら所定距離だけ離れた面に沿って形状測定部を切断した
ときの切断面の面積をいう。
【0071】したがって、パターン部除去体積は、段差
増分をdhとしたときに下記の式(1):
【数15】 により求められる。
【0072】先に例示したAFM「WA−200」によ
れば、研磨前の形状測定部のAFM3D画像から、凹凸
の段差量がパターン部初期段差量およびパターン部残存
段差量であるときの被研磨面の形状を、2次元うねり補
正処理および画像解析処理コマンドで求めることができ
る。等高線面積は、図3に示すような3D画像を、高さ
情報を画像の濃淡に置き換えた2D画像に変換したの
ち、画像解析処理および二値化処理コマンドにより図4
に示すような二値画像を得、二値画像において白く表示
される部分の面積をデジタイジングすることにより求め
られる。二値画像は段差増分ごとに得る。
【0073】AFM3D画像から二値画像を得る具体的
な手順は次のとおりである。一般に、半導体デバイス用
基板に形成された膜に存在する凹凸は、うねりを有する
面、即ち傾斜した曲面上に存在する場合が多い。そこ
で、3D画像から2D画像に変換するに際しては、凹凸
の凸部の頂面の包絡面を平面化してAFM測定基準面と
ワークの被研磨面を一致させるために、AFMの画像処
理ソフトを用いて2次元傾斜補正および2次元うねり補
正処理を施す必要がある。これらの補正により、傾斜を
有する曲面が平面化される。
【0074】2D画像の濃淡データは、一旦高さデータ
に変換する。この変換したデータを処理して、ほぼノイ
ズ除去できる量(凹凸の最も高い部分から10nm)だけ
凹部側によったオフセット面について等高線面積が求め
られるようにする。さらに、処理したデータを濃淡デー
タに再変換し、濃淡値に基づいて画像処理ソフトで二値
化処理し、図4に示すような二値画像を得る。二値化処
理は、適当な画像処理ソフト(例えば市販の「プリント
ショップ」等)を利用して実施する。
【0075】パターン部除去体積等価膜厚tpは、形状
測定部のパターン部除去体積を形状測定部の面積で除す
ことにより求められる。したがって、パターン部除去体
積等価膜厚tpは、下記の式(2)に従って算出され
る。
【数16】
【0076】上記の等高線面積は、研磨中、研磨パッド
とワークとが接触する部分の面積と考えることもでき
る。また、等高線面積を形状測定部の面積で除した値
は、研磨パッドとワークが接触する面積の割合、即ち、
研磨パッドにより実際に研磨される面積の割合を示す研
磨面積率と考えることができる。したがって、上記の式
(1)および式(2)をまとめて、パターン除去体積等
価膜厚tpを下記の式(3)に従って算出することもで
きる。
【数17】
【0077】上記のようにして求めた、初期膜厚t
a、残膜厚tfa、およびパターン部除去体積等価膜厚
tpaから、ワークaの研磨速度PRaは下記の式
(4):
【数18】 PRa=(tia−tfa+tpa)/Ta ...(4) に従って求めることができる。
【0078】上記の式において、(tia−tfa)/T
aを平坦部の研磨速度PReaとし、tpa)/Taをパタ
ーン部の研磨速度PRpaとすれば、ワークaの研磨速度
は、下記の式(5):
【数19】PRa=PRea+PRpa ...(5) のように、平坦部の研磨速度とパターン部の研磨速度の
和として求めることができる。
【0079】研磨速度を決定するに際し、パターン部全
部を完全に除去しないで、即ち、パターン部の凹凸の段
差量がパターン部残存段差量よりも大きい状態にて、研
磨を止めて研磨速度を決定してもよい。その場合、式
(1)または式(3)において、パターン部残存段差量
に代えて、研磨後のパターン部の凹凸の段差量(この段
差量を「研磨後パターン部段差量」とも呼ぶ)を代入す
るとよい。そのようにして求められる値もまた、研磨パ
ッドが剛体として作用することにより除去されたパター
ン部を、形状測定部全体にわたって均すことにより形成
される膜(この膜は除去されたパターン部の体積に等し
い体積を有する)の厚さに相当し、パターン部除去体積
等価膜厚と呼べる。
【0080】あるいは、式(1)および式(2)または
式(3)に従ってパターン部除去体積等価膜厚tpを求
める代わりに、形状測定部における研磨前の凹凸の凸部
の体積を形状測定部の面積で除した値tqから、形状測
定部における研磨後の凹凸の凸部の体積を形状測定部の
面積で除した値trを引いて得た値tqrを求め、これを
tpに代えて用いてよい。ここで、凹凸の凸部の体積
は、凹部(微細な凹凸の凹部を除く)の底面を連続的に
つないだ包絡面(一般には膜厚測定部の表面)よりも上
側に位置する膜の体積に相当する。
【0081】研磨前の凹凸の凸部の体積は、下記の式
(6)に従って求められる。
【数20】
【0082】式(6)は、上記の式(1)において、パ
ターン部初期段差量を研磨前の凹凸の段差量とし、パタ
ーン部残存段差量を0としたものに相当する。研磨前の
凹凸の段差量および等高線面積はAFMを用いて求め
る。tqは、式(6)に従って求めた研磨前の凹凸の凸
部の体積を形状測定部の面積で除すことにより求められ
る。このように求められるtqは、研磨前の凸部を形状
測定部全体にわたって均すことにより形成される膜の厚
さに相当し、研磨前の凸部体積等価膜厚とも呼べる。t
qは、tpと同様に、等高線面積を形状測定部の面積で
除した研磨面積率を用いて、下記の式(7)に従って求
めることもできる。
【数21】
【0083】研磨後の凹凸の凸部の体積は、下記の式
(8)に従って求められる。
【数22】
【0084】式(8)は、上記の式(1)において、パ
ターン部初期段差量を研磨後の凹凸の段差量とし、パタ
ーン部残存段差量を0としたものに相当する。研磨後の
凹凸の段差量および等高線面積はAFMを用いて求め
る。trは、式(8)に従って求めた研磨後の凹凸の凸
部の体積を形状測定部の面積で除すことにより求められ
る。このように求められるtrは、研磨後の凸部を形状
測定部全体にわたって均すことにより形成される膜の厚
さに相当し、研磨後の凸部体積等価膜厚とも呼べる。t
rは、tpと同様に、等高線面積を形状測定部の面積で
除した研磨面積率を用いて、下記の式(9)に従って求
めることもできる。
【0085】
【数23】
【0086】このようにして得たtqからtrを引いて
求めたtqrは、研磨パッドが剛体として作用することに
より除去されたパターン部を形状測定部全体にわたって
均すことにより形成される膜(この膜の体積は除去され
たパターン部の体積に等しい体積を有する)の厚さに相
当する。なお、上記の式(6)または式(7)におい
て、研磨前の凹凸の段差量がパターン部初期段差量であ
り、かつ式(8)または式(9)において研磨後の凹凸
の段差量がパターン部残存段差量であれば、tqrは式
(1)および式(2)または式(3)に従って求めるパ
ターン部除去体積等価膜厚に等しくなる。
【0087】上記においては、パターン部除去体積膜厚
を求めるためにAFMを使用する方法を説明した。別の
態様においては、ウエハ上に形成される配線およびデバ
イス等の設計に用いたCADデータを使用してパターン
部除去体積等価膜厚を求めてよい。以下、CADデータ
を使用してパターン部除去体積等価膜厚を求める方法を
説明する。
【0088】CADデータによれば、ウエハの上に形成
された配線等の寸法(幅、長さ、高さ等)および配線等
の形成パターン(密度を含む)がわかる。図5に示すよ
うに、配線等(4)の上に層間絶縁膜(6)(例えばB
PSG膜)を形成したとき、通常、層間絶縁膜の凸部の
寸法は配線等の寸法とは一致しない。一般に、層間絶縁
膜の凹凸の等高線面積は、いずれのレベルの面において
も、配線等の頂面の面積をすべて合わせた面積より大き
くなる傾向にある。即ち、ワークの研磨面積率は、配線
等がワークの表面積に占める割合(パターン密度)より
大きくなる。そのため、CADデータを用いてパターン
部除去体積等価膜厚等を求めるには、研磨面積率がパタ
ーン密度と比較して、どの程度大きくなるかを決定する
必要がある。
【0089】研磨面積率とパターン密度との関係は次の
ようにして求める。まず、CADデータが既知であるワ
ークについて、研磨開始時における研磨面積率(初期研
磨面積率とも呼ぶ)および研磨終了時における研磨面積
率(残存研磨面積率とも呼ぶ)をそれぞれ、AFMで測
定した3Dデータを使用して求める。初期研磨面積率
は、凹凸の段差量がパターン部初期段差量であるときの
研磨面積率であり、残存研磨面積率は凹凸の段差量がパ
ターン部残存段差量であるときの研磨面積率である。次
に、CADソフトの演算機能であるエキスパンド機能を
使用して、ワークの被研磨面と平行な二次元方向におい
て配線等の寸法を所定量ずつエキスパンドし、エキスパ
ンドした配線等のパターン密度を求める演算処理を行
う。この処理を、パターン密度が初期研磨面積率に等し
くなるまで繰り返し、初期研磨面積率を得るためのエキ
スパンド量を求める。同様にして、残存研磨面積率を得
るためのエキスパンド量を求める。図5において、初期
研磨面積率を得るためのエキスパンド量はEiで示さ
れ、残存研磨面積率を得るためのエキスパンド量はEf
で示されている。別法として、エキスパンド量は、ワー
クの断面を電子顕微鏡等で観察することにより求めてよ
い。
【0090】このようにして求めたエキスパンド量はそ
れぞれ、配線等の高さおよび膜厚が略同じであれば、配
線等のパターンが異なるワークにも適用できる。したが
って、求めたエキスパンド量を使用して、別のワークの
CADデータについてエキスパンド演算処理を実施すれ
ば、AFM測定によらずに、当該別のワークの初期研磨
面積率および残存研磨面積率を求めることができる。
【0091】続いて、求めたワークの初期研磨面積率お
よび残存研磨面積率から、パターン部除去体積等価膜厚
を求める手順を示す。パターン部除去体積等価膜厚を求
めるために、本発明者らは、研磨面積率とパターン部の
凹凸の段差量との関係が図6に示すグラフで表されるモ
デルを導入した。このモデルは、パターン部の凹凸の段
差量が研磨前(即ち、研磨開始時)の凹凸の段差量(即
ち、パターン部初期段差量)Hiの略半分になるまで、
研磨面積率が初期研磨面積率に等しい状態で研磨され、
その後、研磨面積率が線形的に増加するように研磨され
るとしたモデルである。図6のグラフから、このモデル
において、研磨前の凹凸の段差量がHiである場合に、
研磨面積率を求めるために選択した領域(即ち、形状測
定部)全体にわたって凹凸の凸部を均すことにより形成
される膜の厚さtcは下記の式(10)により求められ
ることが理解されよう。
【数24】 tc=Hi×{初期研磨面積率+(残存研磨面積率−初期研磨面積率)×0.5 ×0.5}=Hi×{0.75×初期研磨面積率+0.25×残存研磨面積率} ・・・(10)
【0092】式(10)のHiにパターン部初期段差量
を代入すれば、パターン部残存段差量が0であると仮定
したときのパターン部除去体積等価膜厚を得ることがで
きる。これをそのまま当該ワークのパターン部除去体積
等価膜厚tpとして、研磨速度を求めるために使用して
よい。あるいは、式(10)のHiにパターン部初期段
差量を代入して得た値から、式(10)のHiに研磨後
の凹凸の段差量(即ち、パターン部残存段差量)を代入
して得た値を引いて得た値を、パターン部除去体積等価
膜厚tpとして研磨速度を求めるために使用してよい。
【0093】
【0094】CADデータをエキスパンド演算処理して
求めるパターン部除去体積等価膜厚は、研磨前および研
磨後の被研磨面の形状を実際に測定して求めるものでは
なく、一種の推定値である。かかる推定値に基づいて決
定した研磨速度は、AFMを用いて実際に測定した研磨
前および研磨後の被研磨面の形状に基づいて決定した研
磨速度と比較して、精度の点において劣る傾向にある。
しかしながら、AFMによる被研磨面の形状測定は多く
の時間を要するのに対し、CADによれば短時間で簡易
にパターン部除去体積等価膜厚を求めることができると
いう利点があり、その点においてCADの利用は有利で
ある。
【0095】以上において説明した研磨速度の決定手法
を利用して、あるワークの研磨時間を決定する方法を次
に説明する。ここでは、1つのロットに含まれる50枚
の半導体デバイス用基板(W1〜W50)をワークとして
順次研磨する方法を説明する。
【0096】最初にロットの1枚目のワークW1の研磨
時間を決定し、研磨後の膜厚等から研磨速度を決定す
る。1枚目のワークW1を研磨する場合、同じロット内
に先に研磨されたワークは存在しない。そこで、ワーク
1の研磨時間は、例えば、ワークW1の前に研磨したベ
タ膜のワークの研磨速度を用いて決定される。以下にそ
の手順を説明する。
【0097】まず、1枚目のワークW1の初期膜厚ti1
を測定する。膜厚の測定方法は、先に研磨速度の決定方
法に関連して説明したとおりであるから、ここではその
詳細な説明を省略する。
【0098】次に、ワークW1の形状測定部の被研磨面
の形状を測定する。形状測定部は、先に研磨速度の決定
方法に関連して説明したように、1つのセル(約7mm
□)であってよく、その被研磨面の形状はAFMを用い
て測定される。先に研磨速度の決定方法に関連して説明
したように、研磨前の形状測定部の被研磨面の形状を測
定することにより、パターン部初期段差量を求める。形
状測定部の被研磨面の形状は、先に研磨速度の決定方法
に関連して説明した方法に従って測定できるから、その
詳細な説明はここでは省略する。
【0099】本発明の研磨方法においては、研磨時間を
決定するためにパターン部除去体積等価膜厚を求めるこ
とが好ましい。パターン部除去体積等価膜厚は、先に研
磨速度の決定方法に関連して説明したように、パターン
部初期段差量とパターン部残存段差量とから求めること
ができる。しかしながら、あるワークのパターン部残存
段差量は、実際に研磨しなければ知ることができず、研
磨前のワークから求めることはできない。そのため、ワ
ークの研磨時間を決定するためにはパターン部残存段差
量を予測する必要がある。
【0100】1つのロットの1枚目のワークについて
は、2枚目以降のワークと異なり、同じロット内の先に
研磨したワークの被研磨面の形状等からパターン部残存
段差量を予測することができない。そこで、過去に同じ
研磨装置で同一種類の半導体デバイス用基板を研磨した
ときに測定したパターン部残存段差量を、1枚目のワー
クについて予測されるパターン部残存段差量としてよ
い。あるいは、この半導体デバイス用基板と同じものを
テストワークとして用意し、これを研磨して求めたパタ
ーン部残存段差量を1枚目のワークについて予測される
パターン部残存段差量としてよい。
【0101】研磨前の被研磨面の形状から求めたパター
ン部初期段差量と、予測されるパターン部残存段差量と
から、上記の式(1)および(2)、または式(3)に
従ってワークW1のパターン部除去体積等価膜厚を求め
る。この時点で求められるワークW1のパターン部除去
体積等価膜厚は、別のワークから予測されるパターン部
残存段差量に基づいて求められた値であるから、ワーク
1について「予測される」パターン部除去体積等価膜
厚に相当する。即ち、ここで求めた値は、up 1として
表すべきものである。
【0102】ワークの研磨時間T、ワークの研磨速度P
R、初期膜厚ti、残膜厚tf、およびパターン部除去
体積等価膜厚tpの間には、下記の関係式(11):
【数25】 が成立する。したがって、上記の式(11)のti、t
fおよびtpに、ワークW1の初期膜厚ti1、目標残膜
厚(膜厚規格中心値)ts1および予測されるパターン
部除去体積等価膜厚up1をそれぞれ代入し、さらに研
磨速度PRとしてベタ膜のワークから求めた研磨速度P
bを代入すれば、所要研磨時間T1が求められる。ワー
クW1は、この研磨時間T1の間、研磨される。
【0103】ワークW1の研磨が終了した後、ワークW1
の研磨速度を求める。その手順は次のとおりである。ま
ず、研磨後のワークW1の残膜厚tf1および形状測定部
の被研磨面の形状をそれぞれ測定する。研磨後の形状測
定部の被研磨面の形状は、ワークW1における実際のパ
ターン部残存段差量を求めるために測定する。研磨前に
測定したパターン部初期段差量と実際のパターン部残存
段差量とから、式(1)および式(2)、または式
(3)に従って、ワークW1における実際のパターン部
除去体積等価膜厚tp1が求められる。
【0104】これらの研磨後に求めた値を下記の式(1
2):
【数26】 に代入すれば、ワークW1の研磨速度PR1が求められ
る。
【0105】上記の式(12)において、(ti−t
f)/Tを平坦部の研磨速度PReとし、tp/Tをパ
ターン部の研磨速度PRpとすれば、ワークW1の研磨速
度は、下記の式:
【数27】PR=PRe+PRp のように、平坦部の研磨速度とパターン部の研磨速度の
和で表すことができる。
【0106】次に、ワークW2の研磨時間T2を決定す
る。ワークW2の研磨時間T2も、上記の式(11)のt
iおよびtfに、ワークW2の初期膜厚ti2および目標
残膜厚ts2を代入し、tpにワークW2について予測さ
れるパターン部除去体積等価膜厚up2を代入し、PR
にワークW1の研磨速度PR1を代入することにより求め
られる。ワークW2の初期膜厚ti2は、ワークW1の初
期膜厚ti1と同様に膜厚測定部にて測定される。ワー
クW2のup2を求めるためのパターン部残存段差量(予
測されるパターン部残存段差量)は、研磨後に測定した
ワークW1の形状測定部の被研磨面の形状から求める。
【0107】ワークW2の研磨が終了した後、研磨後の
残膜厚tf2および形状測定部の被研磨面の形状を測定
し、ワークW1と同様にして、ワークW2の研磨速度PR
2を決定する。以後、同様の手順で、後のワークW3〜W
50の研磨時間および研磨速度を決定し、各ワークを研磨
する。この研磨方法において、ワークWnの研磨時間
は、ワークWn-1の研磨速度およびパターン部残存段差
量がフィードバックされて求められるともいえる。
【0108】この研磨方法のフローを図7に示す。図7
は、ワークWnを研磨するときのフローに相当する。図
7における2つの式は、研磨前および研磨後に成立する
モデル式に相当する。ワークWnの研磨時間は、研磨前
モデル式に基づいて決定される。求めた研磨時間だけワ
ークWnを研磨した後、膜厚および被研磨面の形状が測
定されて、ワークWnの研磨速度が研磨後モデル式に基
づいて決定される。ワークWnの研磨速度および研磨後
の被研磨面の形状は、フィードバックされて、次のワー
クWn+1の研磨時間の決定に用いられる。
【0109】以上において説明した研磨方法は本発明の
一態様にすぎない。別の態様においては、ワークW1
研磨時間を決定するために、ベタ膜のワークに代えて、
ウエハの上に形成された配線等の上にワークW1の膜の
材料と同じ材料から成る膜が形成されたワークを使用し
てよい。そのようなワークは、配線等に起因する凹凸を
有するから、その研磨速度は上記の式(12)に従って
求める。なお、本発明者らが比較検討したところ、その
ようなワークの研磨速度はベタ膜のワークの研磨速度と
実質的に同一となることが判った。即ち、膜の材料が同
じであるワークの研磨速度は、パターンの有無およびパ
ターンの密度によらず、研磨装置によって決定されるこ
とが判った。
【0110】さらに別の態様において、ワークの研磨速
度は所定枚数ごとに求めてよい。例えば、ワークW1
11、W21、W31、W41の研磨速度を求めて、ワークW
2〜W 10の研磨時間をワークW1の研磨速度に基づいて決
定し、ワークW12〜W20の研磨時間をワークW11の研磨
速度に基づいて決定し、ワークW22〜W30の研磨時間を
ワークW21の研磨速度に基づいて決定し、ワークW32
40の研磨時間をワークW31の研磨速度に基づいて決定
し、ワークW42〜W50の研磨時間をワークW41の研磨速
度にに基づいて決定してよい。
【0111】さらにまた別の態様においては、予測され
るパターン部除去体積等価膜厚upに代えて、研磨前の
形状測定部における研磨前の凹凸の凸部の体積を形状測
定部の面積で除した値tqから、形状測定部において予
測される研磨後の凹凸の凸部の体積を形状測定部の面積
で除した値urを引いて得た値uqrを用いてよい。tq
の求め方は先に研磨速度の決定方法に関連して説明した
とおりである。urを求めるには、まず、研磨時間を求
める対象となるワークの形状測定部において、研磨後の
凹凸の段差量を予測する必要がある。研磨後の凹凸の段
差量は、前述のように、研磨時間を求める対象となるワ
ークの前に研磨したワークの被研磨面の形状から予測さ
れる。urは、この予測した研磨後の凹凸の段差量を、
先に示した式(8)または式(9)の研磨後の凹凸の段
差量に代入することにより求められる。
【0112】さらにまた別の態様においては、予測され
るパターン部除去体積等価膜厚upを、CADを利用し
て求めてよい。CADを利用してパターン部除去体積等
価膜厚を求める方法は、研磨速度の決定方法に関連して
説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を
省略する。
【0113】さらにまた別の態様においては、1枚目の
ワークW1の前に別のワークを研磨することなく、ワー
クW1を適当な時間T1”だけ研磨することにより、その
研磨速度PR1を求めてよい。PR1は、具体的には、研
磨後の残膜厚tf1’を測定するとともに、研磨後の被
研磨面の形状をAFMで測定して、これと研磨前の被研
磨面の形状から、T1”だけ研磨したときのパターン部
除去体積等価膜厚tp1’を式(1)および式(2)ま
たは式(3)から求め、式(12)のT、ti、tfお
よびtpに、T1”、tf1’、ti1’およびtp1’を
それぞれ代入することにより求める。T1”は残膜厚t
1’が目標残膜厚ts1になるのに要する時間よりも短
くなるように選択される。tf1’がts1よりも小さく
なると、そのワークは不良品となり、製品となり得な
い。
【0114】研磨速度PR1を決定した後、残膜厚t
1’を目標残膜厚とするために、ワークAを追加的に
研磨する必要がある。追加の研磨時間T1’は、求めた
研磨速度PR1、追加の研磨前の膜厚tf1’、目標残膜
厚ts1、および追加の研磨前のワークAの形状測定部
において予測した追加の研磨により除去されるパターン
部の体積を形状測定部の面積で除した値up1’を、上
記の式(11)のti、tfおよびtpに代入すること
により求めるとよい。研磨速度を決定するためにT 1
だけ研磨した後のワークにおいてパターン部が完全に除
去されていると、up1’は0となる。
【0115】このようにしてPR1を求め、求めたPR1
に基づいて1枚目のワークの研磨時間を決定すれば、他
のワーク(例えばベタ膜のワーク)を用いる必要がない
ため、研磨に要する全体の時間および費用を節約でき
る。ロットの1枚目のワークを用いて研磨速度を決定
し、これを用いて研磨時間を決定する研磨方法は、特に
研磨装置の状態が大きく変化した後(例えば、研磨パッ
ドを交換した直後)に、ワークの研磨時間を決定する場
合に有用である。
【0116】このようにしてPR1を求める場合にも、
up1’はCADを利用して求めてよい。また、up1
に代えて、ワークW1を追加的に研磨する前の形状測定
部における凹凸の凸部の体積を形状測定部の面積で除し
た値tq1’から、形状測定部において予測される追加
研磨後の凹凸の凸部の体積を形状測定部の面積で除した
値ur1’を引いて得た値uqr1’を用いてよい。
【0117】本発明の研磨方法を実施するに際し、膜厚
を測定することが難しい場合には、膜厚測定部における
研磨前および研磨後のワーク全体の厚さを測定し、これ
らの差を膜厚の変化量としてよい。
【0118】形状測定部において凹凸パターンが異なる
少なくとも2箇所の位置(スポットまたはライン)にお
ける凹凸の段差緩和量とパターン部除去体積との関係が
予めわかっている場合には、そのような少なくとも2箇
所の位置における研磨前後の凹凸の段差緩和量を測定す
るだけで、パターン部除去体積を求めることができる。
一般に、AFM等を用いた被研磨面の形状測定は多くの
時間を要するため、AFM等により測定する部分をより
小さくすれば(例えばスポットまたはラインとすれ
ば)、より効率良く研磨を実施できる。凹凸パターンが
異なる少なくとも2箇所の位置としては、例えば、研磨
後の段差緩和量が互いに異なる凹凸を含む位置が選択さ
れる。
【0119】
【発明の効果】本発明の研磨方法においては、被研磨面
に凹凸が形成されているワークの研磨前および研磨後の
ワークの被研磨面の形状をAFM等で測定し、測定した
形状を利用して、研磨速度および研磨時間を決定する。
実際に研磨されるワークの被研磨面の形状は、除去され
るパターン部の膜の量をより正確に与えるから、これに
基づいて求めた研磨速度はより正確である。また、実際
に研磨されるワークの被研磨面の形状に基づいて研磨時
間を決定し、この時間だけ研磨を実施すれば、残膜厚を
目標残膜厚により近くすることができ、研磨過剰または
研磨不足が抑制される。
【0120】さらに、本発明の研磨方法によれば、研磨
時間の決定に際して、ワークの研磨速度および被研磨面
の形状がロットまたは所定枚数のワークごとにフィード
バックされるから、現在の研磨装置の状態がより反映さ
れた最新の情報に基づいて研磨時間が適切に決定され
る。
【0121】したがって、本発明の研磨方法を含む半導
体デバイスの製造方法に従って半導体デバイスを製造す
ると、製造効率が高くなるとともに、研磨不良に起因す
る不良品の発生が有効に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研磨方法で研磨される半導体デバイ
ス用基板の一例の平面図である。
【図2】 本発明の研磨方法で研磨される半導体デバイ
ス用基板の一例の平面図である。
【図3】 AFMで測定した被研磨面の形状を示す3D
画像である。
【図4】 等高線面積を求めるための二値画像である。
【図5】 半導体デバイス用基板の配線等の上に形成さ
れた層間絶縁膜を拡大して示す断面図である。
【図6】 1つのモデルにおける研磨面積率とパターン
部の凹凸の段差量の関係を示すグラフである。
【図7】 本発明の研磨方法のフロー図である。
【図8】 従来の研磨方法で研磨される半導体デバイス
用基板の一例の平面図である。
【図9】 従来の研磨方法で研磨される半導体デバイス
用基板の一例の断面図である。
【図10】 半導体デバイス用基板をCMP法により研
磨する研磨装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
1...デバイス用基板、2...半導体ウエハ、4...配線
等、6...層間絶縁膜、8...凸部、8a...凸部の頂
面、8b...凹部の底面、10...膜厚測定部、12...研磨
前の層間絶縁膜の露出表面、14...研磨後の層間絶縁膜
の露出表面、16...微細な凹凸、100...セル、201...ワ
ーク、202...研磨パッド、204...ステンレススチールベ
ルト、206...ホルダ、208...ベルト駆動ドラム、210...
ドレッサー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐竹 光成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 新宮 克喜 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中谷 祥二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西木 直巳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3C034 BB91 CA01 CB01 DD01 DD10 3C049 AA07 AC02 BA02 BA04 BA09 BB09 BC02 CA01 CB03 3C058 AA07 AC02 BA02 BA04 BA09 BB09 BC02 CA01 CB03 DA12 DA13 DA17

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に形成された膜の表面を被研磨面と
    し、被研磨面に凹凸が形成されているワークを研磨パッ
    ドに押し付けながら、研磨パッドをワークに対して相対
    運動させることにより被研磨面を研磨する研磨方法であ
    って、研磨すべきワークの研磨条件を、研磨したワーク
    の研磨速度を用いて決定する研磨方法において、研磨し
    たワークの研磨速度を、研磨時間、研磨前と研磨後の膜
    厚の変化量、および研磨前と研磨後の被研磨面の形状の
    変化量に基づいて決定することを特徴とする研磨方法。
  2. 【請求項2】 研磨前の膜の領域を、厚さ方向で、2つ
    の部分、即ち、研磨により凹凸の段差が最終的に緩和さ
    れるまでの部分であるパターン部と、膜全体が均一に研
    磨される部分である平坦部とに区分し、 ワークの被研磨面の少なくとも一部分であって、かつ凹
    凸を含む部分を形状測定部として選択し、 形状測定部において研磨により除去されるパターン部の
    体積であるパターン部除去体積を形状測定部の面積で除
    した値tpを、研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化
    量とする請求項1に記載の研磨方法。
  3. 【請求項3】 研磨前の膜の領域を、厚さ方向で、2つ
    の部分、即ち、研磨により凹凸の段差が最終的に緩和さ
    れるまでの部分であるパターン部と、膜全体が均一に研
    磨される部分である平坦部とに区分し、 研磨時間および研磨前と研磨後の膜厚の変化量に基づい
    て、平坦部の研磨速度を決定し、 研磨時間および研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化
    量に基づいて、パターン部の研磨速度を決定し、 平坦部の研磨速度とパターン部の研磨速度の和を研磨速
    度とする請求項1に記載の研磨方法。
  4. 【請求項4】 ワークの被研磨面の少なくとも一部分で
    あって、かつ凹凸を含む部分を形状測定部として選択
    し、 形状測定部において研磨により除去されるパターン部の
    体積であるパターン部除去体積を形状測定部の面積で除
    した値tpを、研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化
    量とする請求項3に記載の研磨方法。
  5. 【請求項5】 ワークの被研磨面の少なくとも一部分で
    あって、かつ凹凸を含む部分を形状測定部として選択
    し、また、ワークの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選
    択し、 ワークを研磨時間Tだけ研磨し、 膜厚測定部で予め測定される初期膜厚tiと、研磨後に
    測定される残膜厚tfの差を、研磨前と研磨後の膜厚の
    変化量とし、 形状測定部のパターン部除去体積を形状測定部の面積で
    除した値tpを、研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変
    化量とし、 研磨したワークの研磨速度PRを下記の式: 【数1】PR=(ti−tf+tp)/T に基づいて決定する請求項2に記載の研磨方法。
  6. 【請求項6】 ワークの被研磨面の少なくとも一部分で
    あって、かつ凹凸を含む部分を形状測定部として選択
    し、また、ワークの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選
    択し、 ワークを研磨時間Tだけ研磨し、 膜厚測定部で予め測定される初期膜厚tiと、研磨後に
    測定される残膜厚tfの差を、研磨前と研磨後の膜厚の
    変化量とし、 形状測定部のパターン部除去体積を形状測定部の面積で
    除した値tpを、研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変
    化量とし、 平坦部の研磨速度PReを下記の式: 【数2】PRe=(ti−tf)/T に基づいて決定し、 パターン部の研磨速度PRpを下記の式: 【数3】PRp=tp/T に基づいて決定し、 研磨したワークの研磨速度PRをPR=PRe+PRpと
    して求める請求項4に記載の研磨方法。
  7. 【請求項7】 tpに代えて、形状測定部における研磨
    前の凹凸の凸部の体積を形状測定部の面積で除した値t
    qから、形状測定部における研磨後の凹凸の凸部の体積
    を形状測定部の面積で除した値trを引いて得た値tqr
    を用いる請求項2、4、5または6のいずれか1項に記
    載の研磨方法。
  8. 【請求項8】 選択した形状測定部において凹凸パター
    ンが異なる少なくとも2箇所の位置を選択し、各位置の
    凹凸の段差緩和量から、パターン部除去体積を算出する
    請求項2、4、5または6のいずれか1項に記載の研磨
    方法。
  9. 【請求項9】 凹凸パターンが異なる少なくとも2箇所
    の位置が、段差緩和量が互いに異なる凹凸を含む位置で
    ある請求項8に記載の研磨方法。
  10. 【請求項10】 基板に形成された膜の表面を被研磨面
    とし、被研磨面に凹凸が形成されているワークを研磨パ
    ッドに押し付けながら、研磨パッドをワークに対して相
    対運動させることにより被研磨面を研磨する研磨方法に
    おいて、 ワークAの前に研磨されたワークaの研磨速度を、研磨
    時間、研磨前と研磨後の膜厚の変化量、および研磨前と
    研磨後の被研磨面の形状の変化量に基づいて決定し、 ワークAの研磨時間を、ワークaの研磨速度、ワークA
    の初期膜厚および目標残膜厚、ならびにワークAについ
    て予測される研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量
    に基づいて決定することを特徴とする研磨方法。
  11. 【請求項11】 ワークAの研磨前の膜の領域を、厚さ
    方向で、2つの部分、即ち、研磨により凹凸の段差が最
    終的に緩和されるまでの部分であるパターン部と、膜全
    体が均一に研磨される部分である平坦部とに区分し、 ワークAの被研磨面の少なくとも一部分であって、かつ
    凹凸を含む部分を形状測定部として選択し、 ワークAの形状測定部において研磨により除去されるパ
    ターン部の体積であるパターン部除去体積を予測し、予
    測したパターン部除去体積を形状測定部の面積で除した
    値upAを、ワークAについて予測される研磨前と研磨
    後の被研磨面の形状の変化量とする請求項10に記載の
    研磨方法。
  12. 【請求項12】 ワークaの研磨速度PRaを請求項1
    〜9のいずれか1項に記載の方法に従って求め、 ワークAの被研磨面の凹部から膜厚測定部を選択し、 ワークAの研磨時間TAを、下記の式: 【数4】TA=(tiA−tsA+upA)/PRa (式中、tiAおよびtsAはそれぞれワークAの膜厚測
    定部における初期膜厚および目標残膜厚を、upAはワ
    ークAの形状測定部において予測したパターン部除去体
    積を形状測定部の面積で除した値を示す)に基づいて決
    定する請求項11に記載の研磨方法。
  13. 【請求項13】 upAに代えて、ワークAの形状測定
    部における研磨前の凹凸の凸部の体積を形状測定部の面
    積で除した値tqAから、形状測定部において予測され
    る研磨後の凹凸の凸部の体積を形状測定部の面積で除し
    た値urAを引いて得た値uqrAを用いる請求項11また
    は請求項12のいずれか1項に記載の研磨方法。
  14. 【請求項14】 ワークAの前に研磨されたワークaの
    研磨後の被研磨面の形状と、ワークAの研磨前の被研磨
    面の形状とから、ワークAの研磨前と研磨後の被研磨面
    の形状の変化量を予測する請求項10〜13のいずれか
    1項に記載の研磨方法。
  15. 【請求項15】 ワークAの被研磨面の凹部から膜厚測
    定部を選択し、 ワークaの研磨速度に代えてワークAの研磨速度PRA
    を、ワークAの残膜厚が目標残膜厚よりも大きくなるよ
    うに設定した研磨時間だけ研磨することにより、請求項
    1〜9のいずれか1項に記載の方法に従って求め、 研磨速度を決定するために研磨した後のワークAの膜厚
    を目標残膜厚とするために追加的に研磨する研磨時間T
    A’を、 【数5】 TA’=(tiA’−tsA+upA’)/PRA (式中、tiA’は追加的に研磨する前のワークAの膜
    厚測定部における膜厚を、tsAはワークAの目標残膜
    厚を、upA’はワークAの形状測定部において予測し
    た追加的に研磨することにより除去されるパターン部の
    体積を形状測定部の面積で除した値を示す)に基づいて
    決定する請求項11に記載の研磨方法。
  16. 【請求項16】 upA’に代えて、ワークAの形状測
    定部における追加的に研磨する前の凹凸の凸部の体積を
    形状測定部の面積で除した値tqA’から、形状測定部
    において予測される追加的に研磨した後の凹凸の凸部の
    体積を形状測定部の面積で除した値urA’を引いて得
    た値uqrA’を用いる請求項15に記載の研磨方法。
  17. 【請求項17】 研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変
    化量を原子間力顕微鏡を用いて求める又は予測する請求
    項1〜16のいずれか1項に記載の研磨方法。
  18. 【請求項18】 研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変
    化量をCADを用いたデータ処理により求める又は予測
    する請求項1〜16のいずれか1項に記載の研磨方法。
  19. 【請求項19】 CADを用いたデータ処理により、研
    磨開始時においてワークと研磨パッドとが接触する面積
    の割合である初期研磨面積率と、研磨終了時においてワ
    ークと研磨パッドとが接触する面積の割合である残存研
    磨面積率を求め、下記の式(I): 【数6】 tc=Hi×(0.75×初期研磨面積率+0.25×残存研磨面積率)...( I) のHiに研磨前の凹凸の段差量を代入して求めた値を、
    研磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量とする請求項
    18に記載の研磨方法。
  20. 【請求項20】 式(I)のHiに研磨前の凹凸の段差
    量を代入して求めた値から、式(I)のHiに研磨後の
    凹凸の段差量を代入して求めた値を引いて得た値を、研
    磨前と研磨後の被研磨面の形状の変化量とする請求項1
    9に記載の研磨方法。
  21. 【請求項21】 ワークが半導体デバイス用基板であ
    り、層間絶縁膜の表面を被研磨面とする請求項1〜20
    のいずれか1項に記載の研磨方法。
  22. 【請求項22】 ワークが化学的機械研磨(CMP)に
    より研磨される請求項21に記載の研磨方法。
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