JP2003187732A - 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路 - Google Patents

磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路

Info

Publication number
JP2003187732A
JP2003187732A JP2001379827A JP2001379827A JP2003187732A JP 2003187732 A JP2003187732 A JP 2003187732A JP 2001379827 A JP2001379827 A JP 2001379827A JP 2001379827 A JP2001379827 A JP 2001379827A JP 2003187732 A JP2003187732 A JP 2003187732A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
current
magnetic field
field type
type lens
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001379827A
Other languages
English (en)
Inventor
Muneyuki Kawazoe
宗之 川添
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2001379827A priority Critical patent/JP2003187732A/ja
Publication of JP2003187732A publication Critical patent/JP2003187732A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な回路で、しかも少ない電流で磁界型レン
ズの最終残留磁束密度を原理的には0(G)とする。 【解決手段】減衰交流電圧生成手段10は、周波数がf
で、その振幅が時間と共に減衰して、減衰時間Tで0
(V)に収束する減衰交流電圧を生成する。加算回路4
0は、その減衰交流電圧と、制御回路11から出力され
たバイアス電圧−△Vを加算する。加算回路40の出力
は消磁電流発生手段20に入力され、消磁用電流が発生
され、その消磁用電流は、消磁の対象である磁界型レン
ズのコイル30に供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡等の荷
電粒子を用いた分析装置に係り、特に荷電粒子にレンズ
作用を及ぼす磁界型レンズの消磁方法、及び消磁回路に
関する。
【0002】
【従来の技術】透過型電子顕微鏡では様々な試料の観察
/分析が真空中で行われるが、磁性材料の磁区の観察/
分析等を行う場合がある。試料は、通常、対物レンズの
上下のポールピースの間のギャップの位置に載置され、
対物レンズは励磁されるが、磁性材料の磁区の観察/分
析を行う場合の一手法として、試料を上下のポールピー
スの間に配置した状態で対物レンズの励磁を零にし、対
物レンズ以降のレンズを用いて結像を行う方法がある。
【0003】しかし、この方法で磁性材料の観察/分析
を行おうとするとき、対物レンズのポールピースが、そ
れまでの磁性材料以外の試料の観察/分析時に励磁され
ていることによって、励磁を零にしても残留磁場が生じ
ていることがある。このように残留磁場が存在した状態
で磁性材料の観察/分析を行うと、磁性材料の磁区が当
該ポールピースの残留磁場の影響を受けることになる。
【0004】そこで、対物レンズの励磁を零にして磁性
材料の観察/分析を行う場合には、観察/分析に先立っ
て対物レンズのポールピースの消磁を行うのが通常であ
る。図4に磁界型レンズの消磁を行うための消磁回路の
従来の構成例を示す。なお、以下においては、アンペ
ア、ボルト等の単位は括弧書きして記すことにする。
【0005】図4は、所定の周波数の交流電流の振幅が
時間と共に減衰して最終的には0(A)に収束する減衰
交流電流を、磁界型レンズに巻回されたコイルに供給す
ることによって消磁を行う消磁回路の例を示す図であ
り、図中、1は入力手段、10は減衰交流電圧生成手
段、11は制御回路、12はミラー積分回路、13は正
弦波発生回路、14は乗算回路、20は消磁電流発生手
段、21は誤差増幅回路、22は電流増幅回路、23は
電流検出回路、30は消磁を行う磁界型レンズに巻回さ
れている励磁用のコイルを示す。
【0006】入力手段1は、制御回路11に対して消磁
の実行開始等の種々の指示を与えるものであり、キーボ
ードや操作スイッチ等により構成される。
【0007】減衰交流電圧生成手段10は、減衰交流電
圧を生成するものであり、制御回路11、ミラー積分回
路12、正弦波発振回路13、乗算回路14で構成され
る。
【0008】制御回路11は、ミラー積分回路12に対
して減衰時間Tを与え、正弦波発振回路13に対して、
発振する正弦波の周波数f、振幅Aを与える。減衰時間
T、及び発振周波数fの値は予め制御回路11に記憶さ
れている。なお、減衰時間T、及び発振周波数fは、周
知のように、消磁を行う磁界型レンズのポールピースの
材料、大きさ、磁界型レンズに巻回されるコイル30の
応答特性等によって決定されるが、実際には、観察/分
析に使用するポールピース及びコイルを用いて実験を行
って減衰時間T、発振周波数f、及び振幅Aの最適値を
求め、その値を制御回路11に記憶するようにすればよ
い。
【0009】また、正弦波発振回路13で発生する正弦
波の振幅Aは、消磁を行う前にコイル30に供給してい
た励磁電流によって決定される。従って、実際に用いる
ポールピースとコイル30からなる磁界型レンズについ
て実験を行い、コイル30に供給する励磁電流を種々に
変えた場合に消磁を行うのに必要な振幅を求め、その励
磁電流に振幅Aを対応させたテーブルを作成して、予め
制御回路11に記憶させておくようにすればよい。
【0010】乗算回路14は、ミラー積分回路12の出
力と、正弦波発振回路13の出力とを乗算する。
【0011】消磁電流発生手段20は、減衰交流電圧生
成手段10から出力される減衰交流電圧に基づいて、消
磁用電流である減衰交流電流を生成、安定化して、消磁
を行う磁界型レンズに巻回されているコイル30に供給
するものであり、誤差増幅回路21、電流増幅回路2
2、電流検出回路23で構成される。
【0012】電流増幅回路22はパワーアンプであり、
誤差増幅回路21から出力される電圧を電流に変換して
コイル30に出力する。電流検出回路23はコイル30
に流れるコイル電流を電圧として検出するものであり、
例えば、コイル30に直列に接続された抵抗の電圧降下
を検出する構成となされている。そして、電流検出回路
23の出力は誤差増幅回路21に負帰還される。誤差増
幅回路21は、コイル30に供給する消磁電流を安定化
するためのものであり、乗算回路14の出力と、電流検
出回路23の出力との誤差を0になるように動作する。
なお、このような誤差増幅回路21は通常の負帰還回路
においては周知である。
【0013】以下、図4に示す消磁回路の動作につい
て、図5に示す波形図を参照して説明する。消磁を行う
場合には、作業者は入力手段1により、消磁以前のコイ
ル30に供給していた励磁電流値を入力して、消磁の実
行を入力する。これによって、制御回路11は、前記テ
ーブルを参照して、入力された励磁電流値に対応した振
幅Aを適宜な補間演算により求め、その振幅A及び発振
周波数fを正弦波発振回路13に出力すると共に、ミラ
ー積分回路12に対して減衰時間Tを出力する。
【0014】これによって、ミラー積分回路12は、図
5(a)に示すように、減衰時間Tの間に1から0に直
線的に減衰する電圧を発生し、正弦波発振回路13は、
周波数f、振幅Aの正弦波を発生する。そして、ミラー
積分回路12の出力と正弦波発振回路13の出力は、乗
算回路14において乗算され、図5(b)に示すよう
に、周波数がfで、その振幅が最大値A(V)から時間
と共にミラー積分回路12の出力に応じて減衰して、最
終的には0(V)に収束する正弦波形の減衰交流電圧が
出力される。なお、図5(b)では波形は途中までしか
示していないが、時間がTのときには電圧は0(V)に
なるものである。
【0015】乗算回路14の出力である減衰交流電圧は
消磁電流発生手段20に入力され、消磁電流発生手段2
0において減衰交流電流が生成され、コイル30に供給
される。この減衰交流電流の波形は図5(b)に示すと
同じであり、周波数がfで、その振幅が時間と共にミラ
ー積分回路12の出力に応じて減衰して、最終的には0
(A)に収束する。
【0016】このような減衰交流電流がコイル30に流
れることにより、ポールピース及びコイル30で構成さ
れる磁界型レンズでは、1/2f時間毎に正負の符号が
反転する磁界が発生され、その磁界強度の絶対値は減衰
交流電流の大きさが時間と共に小さくなるに従って小さ
くなる。そして、コイル30に減衰交流電流が供給され
始めてから時間T後には、減衰交流電流は0(A)とな
るので、当該磁界型レンズによる磁界強度は0(Oe)
となる。
【0017】なお、上記の説明では、消磁以前にコイル
30に供給していた励磁電流値を作業者が入力手段1か
ら入力するものとしたが、磁性材料以外の試料を観察/
分析する場合には励磁電流値は作業者により操作つまみ
等により設定されるので、そのとき設定された励磁電流
値を自動的に制御回路11で記憶するようにすることも
でき、このようにすれば上記のように消磁を行う際に作
業者が励磁電流値を入力する必要はなくなる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の実験によると、図4に示す従来の消磁回路を用いた
場合、磁界型レンズを完全に消磁することはできず、磁
区の観察/分析に影響が出る数ガウス程度の磁束密度が
残留していることが分かった。
【0019】このことを図6を参照して説明すると次の
ようである。図6は、減衰交流電流をコイル30に供給
したときの磁界型レンズが発生する磁界強度H(Oe)
と、磁界型レンズの磁束密度B(G)との関係を示すB
−H曲線の例を示す図であり、消磁を行う際に、それ以
前の励磁条件によって磁界型レンズにaという残留磁束
密度(本明細書ではこれを初期残留磁束密度と称す)が
あった場合を示している。この状態で当該磁界型レンズ
のコイル30に上述した減衰交流電流を供給すると、磁
界強度Hと磁束密度Bは、図6のaから矢印のように変
化していき、最終的に減衰交流電流値が0(A)となっ
たとき、磁束密度Bは0(G)にはならず△B(G)と
いう磁束密度が残留していることが確認されたのであ
る。本明細書では、このように減衰交流電流を供給した
後に残る残留磁束密度△Bを最終残留磁束密度と称す
る。
【0020】なお、図6では最終残留磁束密度△Bの符
号は正としているが、この最終残留磁束密度△Bの符号
はコイル30に供給する電流の向きによって変わり、あ
る方向の電流を流したときに最終残留磁束密度△Bの符
号が正であるとすると、逆方向の電流を流すと最終残留
磁束密度△Bの符号は負となる。
【0021】この最終残留磁束密度△Bは数ガウス程度
であり、磁性材料以外の試料の観察/分析においては問
題とはならないが、上述したように磁界型レンズのポー
ルピースのギャップ内に試料となる磁性材料を載置し、
対物レンズの励磁を零にして磁区の観察/分析を行う場
合には、数ガウス程度でも磁性材料の磁区に対して悪影
響を及ぼすので、観察/分析結果のデータの信頼性の点
で問題となる。
【0022】このような、磁界型レンズのコイル30に
減衰交流電流を供給した後に残る最終残留磁束密度△B
は、消磁のための減衰交流電流の最大値を、当該磁界型
レンズの使用条件での励磁電流値まで引き上げれば改善
できるのであるが、そのためには電流容量の大きい正負
の電源を新たに設ける必要があり、装置のコストアップ
と大型化が問題となる。
【0023】そこで、本発明は、簡単な回路で、しかも
少ない電流で磁界型レンズの最終残留磁束密度を原理的
には0(G)、実際にも限りなく小さくすることができ
る磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路を提供すること
を目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の磁界型レンズの消磁方法は、所定
の周波数を有し、その振幅が時間と共に減衰して、所定
の減衰時間で0(A)に収束する減衰交流電流を、消磁
を行う磁界型レンズのコイルに供給して消磁する方法に
おいて、前記減衰交流電流に、当該磁界型レンズの最終
残留磁束密度をキャンセルできる符号と大きさを有する
バイアス電流を加算して前記コイルに供給することを特
徴とする。請求項2記載の磁界型レンズの消磁回路は、
所定の周波数を有し、その振幅が時間と共に減衰して、
所定の減衰時間で0(V)に収束する減衰交流電圧を生
成する減衰交流電圧生成手段と、前記減衰交流電圧に、
磁界型レンズの最終残留磁束密度をキャンセルできるバ
イアス電流に対応するバイアス電圧を加算して出力する
加算回路と、前記加算回路の出力に基づいて前記磁界型
レンズのコイルに供給する消磁用電流を発生する消磁電
流発生手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明に係る磁界型
レンズの消磁回路の一実施形態を示す図であり、図中、
40は加算回路を示す。なお、図1において、図4に示
すものと同じものについては同一の符号を付している。
そして、上述した説明と重複する説明は最小限に留める
ことにする。
【0026】図1に示す構成は、図4に示す構成に加算
回路40を付加した構成である。この加算回路40は、
乗算回路14から出力された減衰交流電圧と、制御回路
11から出力されたバイアス電圧を加算するものであ
る。
【0027】制御回路11は、入力手段1により消磁の
実行開始が指示されると、上記のように、ミラー積分回
路12に減衰時間Tを出力すると共に、正弦波発振回路
13に発振周波数f及び振幅Aを出力するが、更に加算
回路40に対してバイアス電圧を出力する。
【0028】このバイアス電圧の符号は、最終残留磁束
密度△Bの符号と逆の符号であり、その大きさ(絶対
値)は、最終残留磁束密度△Bをキャンセルできる電流
値に対応したものである。即ち、図6において、最終残
留磁束密度△B=0とするには、B−H曲線全体を磁束
密度の負側に|△B|だけシフトさせればよく、そのた
めには、減衰交流電流に、ある直流電流を加算してコイ
ル30に供給すればよい。この直流電流の符号は、最終
残留磁束密度△Bの符号が正であれば負とし、最終残留
磁束密度△Bの符号が負であれば正とすることは当然で
あり、また、この直流電流の絶対値は、それだけをコイ
ル30に供給したとき、当該磁界型レンズの磁束密度の
絶対値が|△B|となるものである必要があることも当
然である。そして、消磁電流発生手段20において当該
直流電流を発生することができる電圧が制御回路11か
ら出力するバイアス電圧なのである。つまり、制御回路
11から加算回路40に出力するバイアス電圧は、B−
H曲線全体を残留磁束密度△Bの符号と反対側に、|△
B|だけシフトさせて最終残留磁束密度をキャンセルす
ることができる電流(本明細書ではこの電流をバイアス
電流と称する)に対応したものということができる。
【0029】本発明者の実験によると、最終残留磁束密
度△Bの絶対値は、消磁以前にコイル30に供給してい
た励磁電流値に関係し、励磁電流が大きければ最終残留
磁束密度の絶対値も大きくなることが確認された。
【0030】従って、制御回路11からバイアス電圧を
出力するためには、実際に用いるポールピースとコイル
30からなる磁界型レンズについて実験を行い、コイル
30に供給する励磁電流の方向及び大きさを種々に変え
た場合の最終残留磁束密度を測定し、その最終残留磁束
密度の絶対値と同じ大きさの磁束密度を発生できるバイ
アス電流値を求め、更にそのバイアス電流値を発生する
ことができるバイアス電圧値を求め、励磁電流値と、各
励磁電流に対応するバイアス電圧値を対応して書き込ん
だ励磁電流対バイアス電圧テーブルを作成して、そのテ
ーブルを予め制御回路11に記憶させておくようにすれ
ばよい。
【0031】以下、動作を説明する。ここでは、消磁の
対象である磁界型レンズの初期残留磁束密度、及び最終
残留磁束密度は図6に示すと同じであるとする。即ち、
初期残留磁束密度はa、最終残留磁束密度は△Bで符号
は正であるとする。
【0032】消磁を行う場合には、作業者は入力手段1
により、消磁以前のコイル30に供給していた励磁電流
値を入力して、消磁の実行を入力する。これによって、
制御回路11は、上述したように、振幅A及び発振周波
数fを正弦波発振回路13に出力すると共に、ミラー積
分回路12に対して減衰時間Tを出力し、更に、前記励
磁電流対バイアス電圧テーブルを参照して、入力された
励磁電流値に対応したバイアス電圧値を適宜な補間演算
により求め、そのバイアス電圧値を加算回路40に出力
する。ここではバイアス電圧は−△Vであるとする。
【0033】従って、加算回路40から出力される減衰
交流電圧は図2(a)に示すようであり、減衰交流電圧
生成手段10から出力された減衰交流電圧が−△Vだけ
シフトされたものとなる。即ち、その波形は、周波数が
fで、バイアス電圧である−△Vから立ち上がり、振幅
が時間と共にミラー積分回路12の出力に応じて減衰し
て、時間Tで最終的にバイアス電圧である−△V(V)
に収束する正弦波形となる。なお、図2(a)では波形
は途中までしか示していないが、時間がTのときには電
圧は−△V(V)になるものである。
【0034】そして、加算回路40の出力は消磁電流発
生手段20に入力され、消磁電流発生手段20におい
て、消磁用電流である減衰交流電流が生成され、コイル
30に供給されるが、コイル30に供給される減衰交流
電流の波形は図2(b)に示すようにであり、従来の減
衰交流電流が−△Iだけシフトされたものとなる。ここ
で、−△Iは、消磁電流発生手段20においてバイアス
電圧−△Vに基づいて発生されたバイアス電流であるこ
とは当然である。従って、コイル30に供給される減衰
交流電流の波形は、周波数がfで、バイアス電流−△I
から立ち上がり、振幅が時間と共にミラー積分回路12
の出力に応じて減衰して、時間Tで最終的にバイアス電
流−△Iに収束する正弦波形となる。なお、図2(b)
では波形は途中までしか示していないが、時間がTのと
きには電流は−△I(A)になるものである。
【0035】このような減衰交流電流がコイル30に流
れることにより、ポールピース及びコイル30で構成さ
れる磁界型レンズでは、1/2f時間毎に正負の符号が
反転する磁界が発生され、その磁界強度の絶対値は減衰
交流電流の大きさが時間と共に小さくなるに従って小さ
くなる。そして、バイアス電流−△I(A)によりコイ
ル30に当該減衰交流電流を供給したときの当該磁界型
レンズのB−H曲線は−△Bだけシフトされるから、当
該減衰交流電流を供給してから時間T後には、当該磁界
型レンズによる磁界強度は0(Oe)となり、磁束密度
も0(G)となって最終残留磁束密度は0(G)とな
る。
【0036】このことを図3を参照して説明すると次の
ようである。図3は、図1の消磁電流発生手段20から
出力される減衰交流電流をコイル30に供給したときの
磁界型レンズが発生する磁界強度H(Oe)と、磁界型
レンズの磁束密度B(G)との関係を示すB−H曲線の
例を示す図であり、バイアス電流−△Iによって磁束密
度Bが(a−△B)の位置から矢印のように変化してい
き、最終的に減衰交流電流値が−△I(A)となったと
き、磁束密度Bは0(G)となる。
【0037】このように、この磁界型レンズの消磁回路
では、減衰交流電流を消磁を行う磁界型レンズのコイル
に供給して消磁する方法において、減衰交流電流に、最
終残留磁束密度をキャンセルできる符号と大きさを有す
るバイアス電流を加算して当該コイルに供給するという
方法を用いているのである。そして、このような消磁方
法によって、当該磁界型レンズの最終残留磁束密度を原
理的には0(G)、実際にも限りなく小さくすることが
できるので、消磁後の最終残留磁束密度を原理的には0
(G)、実際にも限りなく0(G)に近づけることがで
き、以て磁性材料サンプルの観察/分析誤差を改善する
ことができる。
【0038】また、この消磁回路によれば、大容量の電
源を用いる必要はなく、従来の消磁回路に加算回路を付
加し、この加算回路にバイアス電圧を出力するようにす
ればよいので、コストアップを最小限に留めることがで
き、装置の大型化も避けることができる。
【0039】以上、本発明の一実施形態について説明し
たが、本発明は上記実施形態に限定されるものではな
く、種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態
では、消磁以前にコイル30に供給していた励磁電流値
を作業者が入力手段1から入力するものとするが、上述
したように、制御回路11が励磁電流値を自動的に記憶
できるようにしてもよい。消磁以前のコイル30の励磁
電流値をどのように制御回路11に与えるかはこの消磁
回路において本質的な事項ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁界型レンズの消磁回路の一実施
形態を示す図である。
【図2】図1の加算回路40から出力される減衰交流電
圧、及びこの減衰交流電圧に基づいて消磁電流発生手段
20で発生される減衰交流電流を説明するための波形図
である。
【図3】図1の消磁電流発生手段20から出力される減
衰交流電流をコイル30に供給したときの磁界型レンズ
が発生する磁界強度H(Oe)と、磁界型レンズの磁束
密度B(G)との関係を示すB−H曲線の例を示す図で
ある。
【図4】従来の消磁回路の構成例を示す図である。
【図5】図4の消磁回路の各部の波形を説明するための
図である。
【図6】発明が解決しようとする課題を説明するための
図で、図4の消磁電流発生手段20から出力される減衰
交流電流をコイル30に供給したときの磁界型レンズが
発生する磁界強度H(Oe)と、磁界型レンズの磁束密
度B(G)との関係を示すB−H曲線の例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…入力手段、10…減衰交流電圧生成手段、11…制
御回路、12…ミラー積分回路、13…正弦波発生回
路、14…乗算回路、20…消磁電流発生手段、21…
誤差増幅回路、22…電流増幅回路、23…電流検出回
路、30…コイル、40…加算回路。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の周波数を有し、その振幅が時間と共
    に減衰して、所定の減衰時間で0(A)に収束する減衰
    交流電流を、消磁を行う磁界型レンズのコイルに供給し
    て消磁する方法において、 前記減衰交流電流に、当該磁界型レンズの最終残留磁束
    密度をキャンセルできる符号と大きさを有するバイアス
    電流を加算して前記コイルに供給することを特徴とする
    磁界型レンズの消磁方法。
  2. 【請求項2】所定の周波数を有し、その振幅が時間と共
    に減衰して、所定の減衰時間で0(V)に収束する減衰
    交流電圧を生成する減衰交流電圧生成手段と、 前記減衰交流電圧に、磁界型レンズの最終残留磁束密度
    をキャンセルできるバイアス電流に対応するバイアス電
    圧を加算して出力する加算回路と、 前記加算回路の出力に基づいて前記磁界型レンズのコイ
    ルに供給する消磁用電流を発生する消磁電流発生手段と
    を備えることを特徴とする磁界型レンズの消磁回路。
JP2001379827A 2001-12-13 2001-12-13 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路 Withdrawn JP2003187732A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001379827A JP2003187732A (ja) 2001-12-13 2001-12-13 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001379827A JP2003187732A (ja) 2001-12-13 2001-12-13 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003187732A true JP2003187732A (ja) 2003-07-04

Family

ID=27591180

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001379827A Withdrawn JP2003187732A (ja) 2001-12-13 2001-12-13 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003187732A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008192521A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Hitachi High-Technologies Corp 荷電粒子線装置
JP2009004245A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Jeol Ltd 透過電子顕微鏡の収差補正方法
EP3309814A2 (en) 2016-09-21 2018-04-18 Jeol Ltd. Objective lens and transmission electron microscope
WO2022269757A1 (ja) * 2021-06-22 2022-12-29 株式会社日立ハイテク 荷電粒子線装置及び磁界レンズの消磁方法
JP7515021B2 (ja) 2021-06-22 2024-07-11 株式会社日立ハイテク 荷電粒子線装置及び磁界レンズの消磁方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008192521A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Hitachi High-Technologies Corp 荷電粒子線装置
JP2009004245A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Jeol Ltd 透過電子顕微鏡の収差補正方法
EP3309814A2 (en) 2016-09-21 2018-04-18 Jeol Ltd. Objective lens and transmission electron microscope
WO2022269757A1 (ja) * 2021-06-22 2022-12-29 株式会社日立ハイテク 荷電粒子線装置及び磁界レンズの消磁方法
DE112021007384T5 (de) 2021-06-22 2024-01-18 Hitachi High-Tech Corporation Mit einem strahl geladener teilchen arbeitende vorrichtung und verfahren zur entmagnetisierung einer magnetischen linse
JP7515021B2 (ja) 2021-06-22 2024-07-11 株式会社日立ハイテク 荷電粒子線装置及び磁界レンズの消磁方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hiebert et al. Direct observation of magnetic relaxation in a small permalloy disk by time-resolved scanning Kerr microscopy
Guo et al. Nonlinear ferromagnetic resonance shift in submicron Permalloy ellipses
JP2010286490A (ja) ヘリウム3で動作する原子時計
Schultheiss et al. Direct current control of three magnon scattering processes in spin-valve nanocontacts
US3638074A (en) Fluxgate magnetometer drive circuit including a sensor demagnetizer
JP2003187732A (ja) 磁界型レンズの消磁方法及び消磁回路
Steinbach et al. Efficient scheme for the deterministic maximal entanglement of N trapped ions
US5687141A (en) Method and apparatus for recording information on magnetooptical recording medium while canceling external stray magnetic field
Goleman et al. High sensitive orthogonal fluxgate magnetometer using a metglas ribbon
US4185237A (en) Continuous measurement method and device
Previtali et al. Numerical simulations of a proposed hollow electron beam collimator for the LHC upgrade at CERN.
JP5937834B2 (ja) 磁気探傷用磁化装置
JPS6248345B2 (ja)
JPWO2015182564A1 (ja) 磁気力顕微鏡用探針の評価装置および評価方法、ならびに磁気力顕微鏡および磁気力顕微鏡の制御用磁場調整方法
Sommer et al. Interaction of rf phase modulation and coupled-bunch instabilities at the DELTA storage ring
Zhang et al. Efficient compensation method for reducing ripple of Cockcroft–Walton generator in an ultrahigh‐voltage electron microscope
JPS59173714A (ja) 電磁流量計の励磁方式
Paperno et al. Suppression of Barkhausen noise in magnetoresistive sensors employing AC bias
US2831929A (en) Magnetic amplifier
JP2020505745A (ja) 電子エネルギー損失分光器のための高調波ラインノイズ補正関連出願の相互参照
Yang et al. Research on Automatic Demagnetization for Cylindrical Magnetic Shielding
JPH05232050A (ja) 表面分析装置
Zhao et al. An efficient fixed-point harmonic-balanced method taking account of hysteresis effect based on the consuming function
Thong et al. Improving the dynamic response of magnetic electron lenses
RU2103703C1 (ru) Феррозондовый магнитометр

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050301