JP2003186008A

JP2003186008A - フロントライト用シートおよびそれを用いたディスプレイ装置

Info

Publication number: JP2003186008A
Application number: JP2001381308A
Authority: JP
Inventors: Masahiro Goto; 正浩後藤
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 2001-12-14
Filing date: 2001-12-14
Publication date: 2003-07-03

Abstract

(57)【要約】【課題】表面の損傷、汚れの問題を解消し、画像のコ
ントラストの向上が容易で、表面に種々の加工をしやす
い形状とし、ディスプレイ界面での外光反射やニュート
ンリング発生を防止可能なフロントライト用シートを提
供することを課題とする。【解決手段】傾斜面２ａ、垂直面２ｂからなる溝２と
平坦部Ｆを交互に設け、傾斜面２ａに反射層９、光吸収
層１０を設ける等してフロントライト用シート３とし
た。溝２は充填して平らにならすか、平らなシートで被
覆してもよい。液晶ディスプレイ５との積層には、好ま
しくは屈折率の低い接着剤層４を用い、外光反射の抑
制、ニュートンリングの発生防止ができた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイの前
面側部に配置した照明装置の光を、ディスプレイの方向
に向けることにより、周囲が暗いときでもディスプレイ
の表示を見えるようにするフロントライト用シート（も
しくはフロントライト用導光シート）に関するものであ
る。また、本発明は、そのようなフロントライト用シー
トを備えたディスプレイ装置をも含むものである。

【０００２】

【従来の技術】画像信号に基づいて画像を表示するディ
スプレイ装置には、ＣＲＴディスプレイ、プラズマディ
スプレイ、もしくはエレクトロルミネッセンスディスプ
レイのように、自身が発光するタイプのものと、液晶デ
ィスプレイのように自身は発光しないタイプのものがあ
る。

【０００３】後者のタイプのものは、暗いところでは表
示を全く見ることができず、また、明るいところでも、
十分には見えないことが多いので、通常、照明装置を伴
なって、照明により画像が常に見える状態としている。

【０００４】このようなディスプレイの表示を見えるよ
うにするための照明装置には、ディスプレイの背面側に
設置するタイプのバックライトと、前面側に設置するタ
イプのフロントライトがあり、特に、最近では、必要時
に点灯でき、また、極端に明るい屋外でも表示が明瞭に
見えるフロントライトがよく用いられるようになってき
ている。

【０００５】従来、フロントライトとしては、図７に示
すようなものが用いられている。例えば、反射板１０６
を背面側に備えた液晶ディスプレイ１０５の観察側の前
面にフロントライト用シート１０３が配置されており、
フロントライト用シート１０３は、観察側に、断面形状
が緩斜面１０２ａおよび急斜面１０２ｂ（いずれも、図
中上部の楕円で囲んだ部分を下部の楕円内に引出し拡大
して示す。）とからなる屋根型のプリズムが配列したプ
リズム面１０２を有しており、フロントライト用シート
１０３の、屋根型のプリズムの緩斜面側の端部には、端
面からフロントライト用シート内に光を導入できるよ
う、棒状ランプおよび反射鏡等からなる照明光源１０７
が設置されて、前面設置型の照明装置（＝フロントライ
ト）１０８を構成している。このフロントライトにおい
ては、フロントライト用シート内を進む光が急斜面１０
２ｂで反射して下方の液晶ディスプレイ１０５を照明
し、液晶ディスプレイ１０５からの反射光が緩斜面１０
２ａを通じて観察側に出光することにより、液晶ディス
プレイ１０５の表示を見ることができる。

【０００６】しかし、従来のフロントライト用シート１
０３は、観察側の全面にプリズム面１０２を有している
ので、プリズムのエッジが欠けやすく、凹部には塵埃や
汚れが付着しやすく、除去しにくい。また、従来のフロ
ントライト用シート１０３は、液晶ディスプレイ１０５
と接着されてないので、フロントライト用シート１０３
と液晶ディスプレイ１０５との界面で反射が起きやす
く、画像のコントラストを低下させると共に、ニュート
ンリングが発生することもある。さらに、観察側の全面
にプリズム面１０２を有しているので、外光の反射が避
けられず、画像のコントラストを低下させる一因となる
上、コーティング等により反射防止処理を行なおうとし
ても、プリズム面１０２の存在が障害となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、フロントラ
イト用シートの表面のエッジが欠けやすく、凹部には塵
埃や汚れが付着しやすく、かつ除去しにくかった点を解
消することを課題とするものである。また、本発明にお
いては、フロントライト用シートの機能を向上させて、
より画像のコントラストを向上すること、種々の表面処
理を行なうのに適した表面形状を実現することも課題と
し、さらに、本発明は、上記のような欠点が解消された
フロントライト用シートを備えたディスプレイ装置にお
いて、フロントライト用シートとディスプレイとの界面
での外光反射やニュートンリングの発生を防止すること
も課題とする。

【０００８】

【課題を解決する手段】本発明においては、従来のフロ
ントライト用シートのプリズム面に替えて、平面の中
に、垂直面と緩斜面とからなる溝を間隔をあけて有する
形状としたこと、好ましくは緩斜面に反射層および光吸
収層を設けたこと、溝を充填して平らにならすか、もし
くは平らなシートで被覆したこと、もしくはフロントラ
イト用シートとディスプレイとを、好ましくはフロント
ライト用シートよりも屈折率の低い接着剤を使用して接
着したこと等により、課題を解決することができた。

【０００９】第１の発明は、透明シートの片面に、前記
シートにほぼ垂直な垂直面および前記シートに対して傾
斜を有する傾斜面とから構成される溝が、間隔を有して
多数形成されていることを特徴とするフロントライト用
シートに関するものである。第２の発明は、第１の発明
において、前記傾斜面には光反射層が積層されているこ
とを特徴とするフロントライト用シートに関するもので
ある。第３の発明は、第１の発明において、前記傾斜面
には光反射層および光吸収層が順に積層されていること
を特徴とするフロントライト用シートに関するものであ
る。第４の発明は、第１〜第３いずれかの発明におい
て、前記溝が充填されることにより、前記溝が形成され
ている側が平坦化されていることを特徴とするフロント
ライト用シートに関するものである。第５の発明は、第
４の発明において、前記溝が前記透明シートよりも低い
屈折率の樹脂で充填されていることを特徴とするフロン
トライト用シートに関するものである。第６の発明は、
第１〜第５いずれかの発明において、前記シートの前記
溝が形成されている側には、前記シートとは別の第２の
透明シートが積層されていることを特徴とするフロント
ライト用シートに関するものである。第７の発明は、第
４〜第６いずれかの発明において、前記溝が着色樹脂で
充填されて着色されているか、または前記第２の透明シ
ートの少なくとも前記溝に相当する部分が着色されてい
ることを特徴とするフロントライト用シートに関するも
のである。第８の発明は、第４〜第７いずれかの発明に
おいて、前記シートの前記溝が形成されている側の最表
層には、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層もし
くは防眩層が積層されていることを特徴とするフロント
ライト用シートに関するものである。第９の発明は、第
１〜第８いずれかの発明のフロントライト用シートが反
射型ディスプレイの観察側に接着剤層を介して積層され
ており、かつ照明装置が前記フロンライト用導光板の前
記溝の傾斜面側の端部に前記フロンライト用シート内に
光を導入可能に設置されていることを特徴とするディス
プレイ装置に関するものである。第１０の発明は、第９
の発明において、前記接着剤層が、前記フロントライト
用シートよりも屈折率の低い接着剤で構成されているこ
とを特徴とするディスプレイ装置に関するものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は、本発明のフロントライト
用シートおよび、それを用いたディスプレイ装置の好ま
しい実施例を示す図である。本発明のディスプレイ装置
１は、反射型ディスプレイである液晶ディスプレイ５の
観察側（以降も含め、図では上面側である。）にフロン
トライト用シート３が接着剤層４を介して積層されたも
ので、液晶ディスプレイ５は、背面側に反射板６が接着
剤層を介する等により積層されて伴なうことにより反射
型とされたものである。

【００１１】フロントライト用シート３は、観察側に溝
２を間隔をあけて多数有しており、溝２どうしは間に平
坦部Ｆを有していて、溝２を有する部分を除けば、一定
厚みの透明シートで構成されているが、この透明シート
は一層とは限らず、図中、下部に破線で示すように、下
部に透明基材フィルム３ａを伴なったものであってもよ
い。

【００１２】フロントライト用シート３の一方の側（図
１では向かって左側）の端部には、棒状の光源（ランプ
等）および反射鏡等からなる照明光源７が、フロントラ
イト用シート３の端面より内部に光を導入できるよう、
設置されている。

【００１３】図１中、上部の楕円で囲んだ部分を下部の
大きい楕円内に引出し拡大して示すように、フロントラ
イト用シート３の各々の溝２を構成する二面のうち、向
かって左側の面が傾斜面２ａをなし、また、向かって右
側の面がほぼ垂直な垂直面２ｂをなしており、各々の溝
２は、図の手前側から奥側へ向かって平行に設けられて
いる。各々の溝２の傾斜面２ａには、フロントライト用
シート３側から反射層９および光吸収層１０が順に積層
されていてもよい。また、照明光源７は、各々の溝２の
傾斜面２ａ側の端部に設置されている。

【００１４】図２は、上記のフロントライト用シート３
の光学的機能を示す図である。簡単のため、図１中の液
晶ディスプレイ５および反射板６をまとめて、反射型デ
ィスプレイ５’としてあり、ここでは、その上面側で反
射するものとする。フロントライト用シート３の向かっ
て左側に設置された照明光源７からの光は、フロントラ
イト用シート３内に様々な角度で入射して向かって右側
方向に進行するが、このうち最も左側の溝の傾斜面に向
かった光Ｌ₁は、反射層９にて反射した後、右斜め下方
向に進み、フロントライト用シート３の下方より出光す
る。出光した光は、下側に接着剤層４を介して積層して
ある反射型ディスプレイ５’で反射し、再び、接着剤層
４およびフロントライト用シート３を透過し、フロント
ライト用シート３の溝２どうしの間の平坦部Ｆから、図
の上方である観察側に出光する光Ｌ₁’となる。

【００１５】また、最も左側の反射層９のある位置のフ
ロントライト用シート３の下方に向かった光Ｌ₂は、フ
ロントライト用シート３の下面で全反射し、その後、右
斜め上方向に進んで、例えば、向かって左側から２番目
の溝２に向かい、反射層９で反射した後、右斜め下方向
に進み、以降は、先の光Ｌ₁の反射層９での反射光とほ
ぼ同様にして、反射型ディスプレイ５’の異なる箇所で
反射し、フロントライト用シート３の観察側より出光す
る光Ｌ₂’となる。

【００１６】フロントライト用シート３内を向かって右
側方向に進行する光は、いずれかの溝２の傾斜面２ａの
反射層９に直接当たって反射するか、もしくはフロント
ライト用シート３の下面で全反射した後にいずれかの溝
２の傾斜面２ａの反射層９に当たって反射する等によ
り、下方に出光して反射型ディスプレイ５’で反射し、
フロントライト用シート３の観察側より出光する光とな
る。

【００１７】上記のような断面形状を有するフロントラ
イト用シート３は、溝２および平坦部Ｆを有する側の面
の逆型形状の金型を切削等により作成して使用し、好ま
しくは、この金型の片面に紫外線硬化性樹脂を介して透
明基材フィルムを貼り付け、透明基材フィルム側より紫
外線を照射して樹脂を硬化させると共に透明基材フィル
ムに接着させた後、賦型された紫外線硬化性樹脂の硬化
物の層が透明基材フィルムに積層したフロントライト用
シート３を得ることができる。透明基材フィルムを剥離
して、賦型された紫外線硬化性樹脂の硬化物の層のみに
することもできるし、アクリル樹脂の注型重合のよう
に、金型面を内面とする型を用いて、賦型された板状体
を得ることもできる。

【００１８】図２を引用した以上の説明においては、傾
斜面２ａには反射層９が積層されていることを前提に説
明したが、傾斜面２ａに何も積層されていない場合で
も、全反射により、入射光を下方に向けて反射すること
ができる。ただし、出光する光もあるから、反射層９を
積層した方がよい。なお、傾斜面２ａからは、内部で光
が全反射する場合を除き、光が全く出光しない訳ではな
いが、出光は、主に平坦部Ｆからである。

【００１９】図３は、上記のフロントライト用シート３
の形状を説明するための図である。既に説明してきたよ
うに、溝２どうしは間に平坦部Ｆを介しており、従っ
て、本発明のフロントライト用シート３は、溝２のある
側であっても、この平坦部Ｆの存在に基づき、接着やコ
ーティングを行なうことが可能である。本発明のフロン
トライト用シートは、本来的には大きさを制限するもの
ではないが、フロントライト自体が、それほど大きくな
い、デスクトップタイプ型、もしくはラップトップ型の
パーソナルコンピュータ用ディスプレイや、小さいもの
では、掌サイズ等の電子手帳、電子辞書、もしくは携帯
用コンピュータ等のＰＤＡ（ＰｅｒｓｏｎａｌＤｉｇ
ｉｔａｌＡｓｓｉｓｔａｎｔｓ＝個人用デジタル補助
装置）に適用するものであり、画面の対角線のインチ表
示の長さで表す大きさが３型（７．６ｃｍ）〜１０型
（２５．４ｃｍ）程度のものや、さらに小型の携帯電
話、腕時計等に適するものであり、そのような用途に用
いる場合、本発明のフロントライト用シートは、次のよ
うな寸法を有するものであることが好ましい。

【００２０】溝２を設けるピッチｐ（図３に示すように
溝２の一端どうしの間でなく、溝の最深部どうしの間と
してもよい。）は、０．００５ｍｍ〜０．１ｍｍである
ことが好ましい。下限未満では、加工精度を保ちにく
く、上限を超えると、非出光部で傾斜面の存在が目立つ
ため、好ましくない。なお、ここではピッチｐは一定で
あることを前提にして図示したが、照明光源７側では、
ピッチを比較的大きくし、光源から遠ざかるに従い、ピ
ッチを次第に小さくして、光量の減少を緩和するよう構
成してもよい。

【００２１】溝２の幅ｗ₂のピッチｐに対する割合は、
ｗ₂／ｐが１／３０〜１／３であることが好ましい。下
限未満では、下方の反射型ディスプレイにもたらされる
光量が不足し、上限を超えると、平坦部の幅ｗ₁のピッ
チｐに対する割合が低くなるので、観察側に出光する光
量が少なくなるからである。また、平坦部Ｆを利用し
て、様々な加工を行なう観点からも、ｗ₂／ｐが過大と
ならないことが好ましい。なお、溝２の幅ｗ₂のピッチ
ｐに対する割合は、フロントライト用シートの全面に渡
って一定でなくてもよく、適宜にこの割合を増減するこ
とにより、光量の調節を行ない、例えば、光量の減少を
緩和することもできる。

【００２２】このほか、フロントライト用シート３の厚
みは０．２ｍｍ〜１０ｍｍ程度であることが好ましい。
この厚みは、フロントライト用シート３が透明基材フィ
ルム３ａを伴なう場合には、透明基材フィルム３ａの厚
みを含んだ値である。フロントライト用シート３の厚み
が下限未満では、照明光源７にもよるが、フロントライ
ト用シート３の一端から照明すると、他端側に近づくほ
ど、光が減少し、反射型ディスプレイ５（もしくは
５’）を照明する光の光量、反射して観察側に出光する
光量が不十分になるからである。また、上限を超える
と、フロントライト用シート３内における光の透過距離
が増加するため、光量の透過減衰を無視できなくなる。

【００２３】溝２を構成する傾斜面２ａの勾配は、フロ
ントライト用シート３のシート方向（実際的には、上面
の平坦部や下面の表面を基準とすることができる。）に
対する角度θ₁が、３０°〜６０°であることが好まし
く、より好ましくは、４０°〜５０°である。この角度
θ₁は、図３において、基準とするシート方向から時計
回りに測定するものとする。角度θ₁が下限未満では、
傾斜面２ａで反射して下方に向かう光が、フロントライ
ト用シート３の法線方向よりも右側に向かって大きく開
いた角度で出光するため、反射型ディスプレイで反射し
た後にフロントライト用シート３の上面側から出光する
光も、法線方向から右側に向かって大きく開いた角度で
出光し、結果として、画像の観察可能な方向が法線方向
よりも大きく傾くこととなり、好ましくない。また、角
度θ₁が上限を超えると、上記の点は解消するものの、
溝２が深くなりすぎ、フロントライト用シート３の厚み
が増す上、フロントライト用シート３内を進行する光が
傾斜面２ａに当りにくくなり、下方の反射型ディスプレ
イ５（もしくは５’）へ向かう光量が不十分となる。

【００２４】溝２を構成する垂直面２ｂの勾配は、フロ
ントライト用シート３のシート方向に対する角度θ
₂が、９０°であることが本来的には望ましい。この角
度θ₂は、図３において、基準とするシート方向から反
時計回りに測定するものとする。角度θ₂が９０°未満
であると、反射型ディスプレイ５’からの反射光が、フ
ロントライト用シート３の平坦部Ｆから出光する割合が
減少するからである。しかしながら、フロントライト用
シート３を金型等を用いて製作する際には、溝２の部分
の脱型が難しくなるため、脱型の観点のみからは、角度
θ₂は、９０°よりも若干小さい方が好ましく、角度θ₂
は溝２の深さにもよるが、９０°よりも３°程度小さい
角度であることが好ましい。脱型の観点を除けば、角度
θ₂は、８０°〜９５°が好ましく、より好ましくは、
８５°から９２°、最も好ましくは、８７°〜９０°で
ある。従って、本発明のフロントライト用シート３の垂
直面２ｂは、角度θ₂がこのような角度範囲の「ほぼ垂
直なもの」である。

【００２５】図４は、フロントライト用シート３の溝２
の傾斜面２ａに積層された、反射層および光吸収層を示
す図である。図４（ａ）に示すように、溝２の傾斜面に
は、反射層７のみが積層してあってもよいし、図４
（ｂ）に示すように、反射層７および光吸収層１０の二
種類の層が順に積層してあってもよい。また、図示して
ないが、傾斜面２ａに反射層７を伴なうことなく、光吸
収層１０のみを積層してあってもよい。

【００２６】反射層７は、金属薄膜で形成することが好
ましく、金属薄膜を構成する金属としては、アルミニウ
ム、銀、ニッケル、もしくはクロム等を挙げることがで
き、厚みとしては、０．１μｍから１０μｍであること
が好ましく、より好ましくは数μｍ以下である。金属薄
膜の形成は、めっき法、真空蒸着法、もしくはスパッタ
リング法、イオンプレーティング法などの薄膜形成法に
よる。

【００２７】反射層７は、フロントライト用シート３の
溝２の傾斜面２ａにのみ形成することが好ましいが、一
般的な薄膜形成法により薄膜を形成すると、部位を限っ
た選択的な薄膜形成は困難であり、斜方蒸着を利用する
場合でも、垂直面以外の、傾斜面２ａおよび平坦部Ｆ
に、一様に薄膜が形成される。従って、傾斜面２ａのみ
に薄膜を形成するためには、印刷、コーティング、もし
くは熱転写等の転写により平坦部に剥離剤層や、溶剤等
で膨潤しやすい材料の膨潤性層等を形成しておき、その
上から一様に薄膜を形成した後、研摩や溶剤の作用によ
り、薄膜を除去するか、または、剥離剤層ごと、もしく
は膨潤性層ごと薄膜を除去すればよい。

【００２８】光吸収層１０は、傾斜面２ａの上方からの
外光反射を防止するためのものである。特に下層に反射
層７が積層してあるときは、反射層７は、上方からの光
を上方に反射するから、外光があるときの画像のコント
ラストを損なう原因となるので、反射層７が積層してあ
るときは、さらに、光吸収層１０を傾斜面２ａの最表面
に積層することが好ましい。もちろん、光吸収層１０が
存在する部分では、外光が遮られるが、本発明のフロン
トライト用シート３においては、平坦部Ｆから外光が入
射するので、導入される外光の量を確保することができ
る。

【００２９】光吸収層１０は、種々の素材で構成するこ
とが可能であるが、薄膜で形成可能とするためには、金
属酸化物もしくは金属炭化物で構成することが好ましい
が、金属以外の、例えば、炭素等の薄膜で構成すること
もでき、厚みとしては、０．１μｍから１０μｍである
ことが好ましく、より好ましくは数μｍ以下である。光
吸収層１０の形成も、めっき法、真空蒸着法、もしくは
スパッタリング法、イオンプレーティング法などの薄膜
形成法によることができるが、反応性ガスを使用可能な
ＣＶＤ法がより適している。

【００３０】本発明のフロントライト用シート３は、従
来のものに比べれば、平坦部を有しているので、表面の
エッジの欠けの防止性、凹部の汚れ等の防止性等、ま
た、種々の表面処理を行なう加工性が向上しているが、
さらに、これらの性質を向上させる目的で、次に説明す
るように、溝２の充填、もしくは溝２のある側を別のシ
ートで被覆することが好ましい。

【００３１】図５は、フロントライト用シート３の溝２
に充填材を充填したもの、および溝の上方を含む全面を
別のシートで被覆したものを示す図である。図５（ａ）
に示すように、溝２の内部に充填材１１を充填して平ら
にならす、即ち、充填した充填材１１の上面と平坦部の
上面とを連続的な面になるようにすると、従来のものに
比べて、表面のエッジの欠けの防止性、凹部の汚れ等の
防止性等、もしくは種々の表面処理を行なう加工性が向
上する。充填材１１は、フロントライト用シート３を構
成する素材よりも屈折率の低い透明樹脂を用いて構成す
ることもできるが、溝２を埋める充填材１１には透明性
は必ずしも必要なく、適宜な樹脂を染料、顔料もしくは
着色粒子等の着色剤により着色した着色樹脂からなる充
填材１１を充填するか、もしくは樹脂をつや消し性にし
た充填材１１を充填することが好ましい。なお、溝２の
傾斜面２ａには、反射層９が積層してあってもよい。溝
２に充填材１１が充填されたフロントライト用シート３
には、さらに、フロントライト用シート３とは別のシー
ト１２が、平坦部Ｆおよび充填材１１が充填された溝２
を覆って積層されていてもよく、表面の平坦さがより完
全なものとなる。

【００３２】図５（ｂ）に示すように、本発明のフロン
トライト用シート３には、充填材を充填することなく、
溝２の上方および平坦部Ｆの上方を含む前面を覆って、
フロントライト用シート３とは別のシート１２が積層し
てあってもよく、表面の平坦さがより完全なものとなる
ので、従来のものに比べて、表面のエッジの欠けの防止
性、凹部の汚れ等の防止性等、もしくは種々の表面処理
を行なう加工性が向上する。溝２の傾斜面には、反射層
９が積層されていてもよいし、反射層９および光吸収層
１０が順次積層されていてもよい。この場合、別のシー
ト１２の上面であって、少なくとも溝２の直上に相当す
る箇所を、着色すると、溝２に由来する支障を除くこと
ができ、しかも、溝の傾斜面に反射層や光吸収層を積層
するのにくらべて、平面に着色するので、容易であり、
また、必ずしも、面倒な薄膜形成法によらなくてもよ
い。図５（ａ）および図５（ｂ）を引用した以上の説明
において、別のシート１２とは、好ましくはポリエチレ
ンテレフタレート樹脂フィルム等の透明プラスチックフ
ィルムである。

【００３３】図５（ａ）に示すように、充填材１１を溝
２の内部に充填し、かつ反射層９を積層して使用する場
合には、フロントライト用シート３の屈折率と充填材１
１の屈折率を等しいか、ごく近いものとしておくと、界
面での反射を抑制できて好ましい。逆に反射層を有しな
い場合は、フロントライト用シート３の屈折率よりも低
い屈折率の透明樹脂からなる充填材を充填するか、もし
くは何も充填しない方が、溝２の傾斜面で全反射を起こ
させる意味で好ましい。いずれの場合においても、充填
する充填材を着色してもよいが、光吸収層を設ける場合
には、充填材を着色しなくてもよい。

【００３４】また、溝２の内部に、フロントライト用シ
ート３の屈折率と等しいか、ごく近い透明な充填材１１
を充填し、かつ反射層９のみを積層する場合にも、反射
層９の角度（＝傾斜面の角度）によっては、ディスプレ
イの画像のコントラストを向上させることができる。屈
折率が等しいか、ごく近い場合には、光学的な界面は実
質的に存在しないので、あたかも、図６に示すように、
一様な平板状のフロントライト用シート３の表面から内
部にかけて、角度θ₁の反射層９が挿入されたものが形
成されることになる。仮に角度θ₁が４５°付近である
とすると、照明光源からの光の反射については図２を引
用して説明したのとほぼ同様だが、図６中、上側から入
射する外光Ｌも、反射層９の上面で反射してフロントラ
イト用シートの下面で全反射した後、別の反射層９の下
面で反射して、下方に出射し、反射型ディスプレイで反
射した後に、フロントライト用シート３の上側へ出射し
得るため、画像のコントラストの向上に寄与するからで
ある。

【００３５】本発明のフロントライト用シート３は、溝
２を充填材１１で充填して平らにならすことにより形成
された平面上に、種々の機能を有する層が積層されてい
てもよい。あるいは、溝２が充填材１１で充填されてい
るか否かを問わず、溝２上を含む全面を覆う別のシート
１２が積層されているときには、その別のシート１２上
に、種々の機能を有する層が積層されていてもよい。

【００３６】上記の種々の機能を有する層としては、ハ
ードコート層、反射防止層、帯電防止層、もしくは防眩
層を挙げることができる。これら、各層は必要に応じて
重ねて積層してあってもよく、あるいは、一つの層がこ
れら各層の機能のうちの幾つかを兼ね備えたものであっ
てもよい。

【００３７】これらの種々の機能を有する層は、対象と
なる面上に、これら機能を備えるための材料が溶解もし
くは分散された塗料組成物を、直接に塗付することによ
り積層することができる。また、フロントライト用シー
ト３の上面に、別のシート１２が積層された構成とする
ときは、上記の種々の機能を有する層をシート１２上に
予め積層した複合シートを、積層する手順によってもよ
い。

【００３８】以上のような本発明のフロントライト用シ
ート３は、図１を引用して既に説明したように、反射型
ディスプレイ５（もしくは５’）の観察側に、フロント
ライト用シート３の溝２のある側が向くようにして、接
着剤層４により積層されたものである。従来は、単に配
置されたのみで、接着剤層４による積層がなされていな
かったので、フロントライト用シートとディスプレイと
の界面での反射やニュートンリングの発生を防止する効
果が乏しかったが、接着剤層４による積層により、それ
らの防止効果が高まっている。

【００３９】特に、接着剤層４をフロントライト用シー
ト３を構成する素材の屈折率よりも低い屈折率を有する
接着剤で構成すると、照明光源７からフロントライト用
シート３内に導入された光は、フロントライト用シート
３と接着剤層４との界面で全反射するが、この界面への
入射角の違いから、外光はほとんど反射されずに、表示
装置に届き、外光の利用効率を挙げることができる。屈
折率の低い接着剤としては、屈折率が１．３５前後の、
例えば、屈折率が１．３０〜１．４０程度のものを使用
することが好ましい。

【００４０】本発明は基本的に以上の構成を有するが、
本発明における基本的な考えは、種々の変形例にも応用
できる。以上の説明においては、長方形のフロントライ
ト用シート３の一方の辺側から棒状ないし線状の光源を
用いて照明することを念頭において説明したが、ＬＥＤ
等の点光源を用いる場合には、フロントライト用シート
３の形状を細部で改変することが好ましい。上記の例で
は、溝２は、平行な直線状のものであったが、小型で四
角形のフロントライト用シート３を想定し、その一つの
隅からＬＥＤ等により光を導入する場合には、光源を中
心とする同心円状に溝を形成することが好ましい。やは
り、溝の照明光源側が傾斜面で、照明光源から離れた側
が垂直面である。同心円のピッチは一定でもよいが、円
の中心から離れるほど、間隔を詰める等の一定でないピ
ッチであってもよい。また、四角形の隣り合う二つの隅
から導入するときは、それぞれの光源から、同心円状に
溝を形成することが好ましく、結果的に、中心の異なる
溝どうしが交差した形状となる。

【００４１】

【実施例】（実施例１）厚みが１８８μｍのポリエチレ
ンテレフタレート樹脂フィルム上に、屈折率が１．５８
の紫外線硬化性樹脂を金型を用いて適用し、紫外線照射
により硬化させて、図３に示す角度θ₁が４５°で、角
度θ₂が９０°の断面を有し、ピッチｐが０．０３ｍ
ｍ、ピッチｐに対する溝２の開口部の幅ｗ₂の比ｗ₂／ｐ
が１／１０である多数の溝２を平行に有し、合計厚みが
０．５ｍｍのシートを作成し、溝２どうしの間の平坦部
に、予め剥離剤を熱転写により転写してから、銀の金属
光沢薄膜（反射層）、および酸化アルミニウムの黒色薄
膜（光吸収層）を順次、一面に蒸着した後、粘着フィル
ムを蒸着面に貼り合わせて剥離することにより、平坦部
上の反射層および光吸収層を除去して、溝の傾斜面２ａ
上にのみ、反射層および光吸収層を設けた。さらに、溝
２のある側の面の全面を覆って、厚み１００μｍのトリ
アセチルセルロースフィルムにハードコート層が施さ
れ、反射防止性および帯電防止性が付与されたフィルム
を、トリアセチルセルロースフィルム側が溝のある側を
向くようにし、先の紫外線硬化性樹脂と同じ樹脂を接着
剤として用いてラミネートし、フロントライト用シート
を得た。このフロントライト用シートを、屈折率が１．
３８の低屈折率の接着剤を用いて、反射型液晶ディスプ
レイの観察側に接着し、ディスプレイ装置とした。

【００４２】得られたディスプレイ装置を使用し、全面
を黒色表示としたときに求めた外光反射率は５％であっ
た。フロントライト用シートには、表面に別のフィルム
が積層されているので、従来のフロントライト用シート
の表面のプリズム面が有していたエッジが欠けやすく、
凹部には塵埃や汚れが付着しやすく、かつ除去しにくか
った点が解消され、また、表面に接着したフィルムによ
り、ハードコート層が施され、反射防止性および帯電防
止性が付与されており、さらに、フロントライト用シー
トとディスプレイとの界面での反射が抑制されており、
界面でのニュートンリングの発生も見られなかった。

【００４３】（比較例）フロントライト用シートとして
は、従来のプリズム面を有するものを用い、プリズム面
側には、実施例で用いたのと同様な、ハードコート層が
施され、反射防止性および帯電防止性が付与されたフィ
ルムを重ね、これらを反射型液晶ディスプレイの観察側
に、接着剤層を介することなく設置して比較例のディス
プレイ装置とした。この比較例のディスプレイ装置で全
面を黒色表示としたときに求めた外光反射率は１５％で
あり、フロントライト用シートと反射型液晶ディスプレ
イの間でニュートンリングが発生した。

【００４４】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、傾斜面と垂直
面とからなる溝を間隔を有して形成された構造としたの
で、表面のエッジが欠けやすく、凹部には塵埃や汚れが
付着しやすく、かつ除去しにくかった点が緩和され、ま
た、溝の間に平坦部を有しているので、種々の表面処理
を有効に行なうことが可能なフロントライト用シートを
提供することができる。請求項２の発明によれば、請求
項１の発明の効果に加え、傾斜面に反射層が積層されて
いるので、シート内を進行する光が、反射層のある反対
側に効率よく出光させることが可能なフロントライト用
シートを提供することができる。請求項３の発明によれ
ば、請求項１の発明の効果に加え、傾斜面に反射層が積
層されているので、シート内を進行する光が、反射層の
ある反対側に効率よく出光させることが可能で、かつ、
反射層上には光吸収層が積層されているので、傾斜面に
おける外光反射を抑制可能なフロントライト用シートを
提供することができる。請求項４の発明によれば、請求
項１〜請求項３いずれかの発明の効果に加え、溝が充填
剤で充填されているので、表面のエッジが欠けやすく、
凹部には塵埃や汚れが付着しやすく、かつ除去しにくか
った点が解消され、また、種々の表面処理を一層、有効
に行なうことが可能なフロントライト用シートを提供す
ることができる。請求項５の発明によれば、溝が透明シ
ートよりも屈折率の低い樹脂で充填されているため、界
面での全反射がおきやすいフロントライト用シートを提
供することができる。請求項６の発明によれば、請求項
１〜請求項５いずれかの発明の効果に加え、溝のある側
の溝上を含む全面が第２の透明シートで被覆されている
ので、表面のエッジが欠けやすく、凹部には塵埃や汚れ
が付着しやすく、かつ除去しにくかった点がなく、ま
た、種々の表面処理を第２の透明シート上に行なうこと
が可能なフロントライト用シートを提供することができ
る。請求項７の発明によれば、請求項４〜請求項６いず
れかの発明の効果に加え、より容易な手段で着色するこ
とが可能なフロントライト用シートを提供することがで
きる。請求項８の発明によれば、請求項４〜請求項７い
ずれかの発明の効果に加え、溝への充填、もしくは上面
への第２のシートの積層により平坦とされた面にハード
コート層、反射防止層、帯電防止層もしくは防眩層が有
効に積層されて、それらの機能を発揮し得るフロントラ
イト用シートを提供することができる。請求項９の発明
によれば、請求項１〜請求項８いずれかの発明のフロン
トライト用シートが接着剤層を介して反射型ディスプレ
イに適用されているので、各々のフロントライト用シー
トの硬化が発揮されると共に、フロントライト用シート
とディスプレイとの界面での反射やニュートンリングの
発生が解消されたディスプレイ装置を提供することがで
きる。請求項１０の発明によれば、請求項９の発明の効
果に加え、接着剤層が、前記フロントライト用シートよ
りも屈折率の低い接着剤で構成されているので、フロン
トライト用シートと接着剤層との界面での全反射が起き
やすく、しかも、フロントライト用シートとディスプレ
イとの界面での反射がより一層抑制されたディスプレイ
装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のフロントライト用シートおよびディス
プレイ装置を示す図である。

【図２】フロントライト用シートの光学的機能を示す図
である。

【図３】フロントライト用シートの形状を説明するため
の図である。

【図４】溝の傾斜面に積層された反射層、光吸収層を示
す図である。

【図５】溝に充填材を充填したもの、全面を別のシート
で被覆したものを示す図である。

【図６】溝に充填材を充填したほかの例を示す図であ
る。

【図７】従来のフロントライト用シートおよびディスプ
レイ装置を示す図である。

【符号の説明】

１ディスプレイ装置２溝（２ａ；傾斜面、２ｂ；垂直面）３フロントライト用シート４接着剤層５液晶ディスプレイ６反射板７照明光源８照明装置９反射層１０光吸収層１１充填材１２第２のシート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 2H038 AA55 BA06 2H091 FA14X FA23X FA34X FA37X FA41X FA45X FB08 FC02 FC03 FC06 FC12 FC22 FC23 FD06 FD14 GA17 KA10 LA02 LA07 LA17 LA21 LA30 5C094 AA06 BA43 ED20 FA04 5G435 AA02 BB12 BB16 EE22 FF02 FF08 FF12 GG03 GG24

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透明シートの片面に、前記シートにほぼ
垂直な垂直面および前記シートに対して傾斜を有する傾
斜面とから構成される溝が、間隔を有して多数形成され
ていることを特徴とするフロントライト用シート。
【請求項２】前記傾斜面には光反射層が積層されてい
ることを特徴とする請求項１記載のフロントライト用シ
ート。
【請求項３】前記傾斜面には光反射層および光吸収層
が順に積層されていることを特徴とする請求項１記載の
フロントライト用シート。
【請求項４】前記溝が充填されることにより、前記溝
が形成されている側が平坦化されていることを特徴とす
る請求項１〜３いずれか記載のフロントライト用シー
ト。
【請求項５】前記溝が前記透明シートよりも低い屈折
率の樹脂で充填されていることを特徴とする請求項４記
載のフロントライト用シート。
【請求項６】前記シートの前記溝が形成されている側
には、前記シートとは別の第２の透明シートが積層され
ていることを特徴とする請求項１〜５いずれか記載のフ
ロントライト用シート。
【請求項７】前記溝が着色樹脂で充填されて着色され
ているか、または前記第２の透明シートの少なくとも前
記溝に相当する部分が着色されていることを特徴とする
請求項４〜請求項６いずれか記載のフロントライト用シ
ート。
【請求項８】前記シートの前記溝が形成されている側
の最表層には、ハードコート層、反射防止層、帯電防止
層もしくは防眩層が積層されていることを特徴とする請
求項４〜請求項７いずれか記載のフロントライト用シー
ト。
【請求項９】請求項１〜請求項８いずれか記載のフロ
ントライト用シートが反射型ディスプレイの観察側に接
着剤層を介して積層されており、かつ照明装置が前記フ
ロンライト用導光板の前記溝の傾斜面側の端部に前記フ
ロンライト用シート内に光を導入可能に設置されている
ことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項１０】前記接着剤層が、前記フロントライト
用シートよりも屈折率の低い接着剤で構成されているこ
とを特徴とする請求項９記載のディスプレイ装置。