JP2003185654A - 擬似便およびそれを用いる便潜血試験の精度管理方法 - Google Patents

擬似便およびそれを用いる便潜血試験の精度管理方法

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JP2003185654A
JP2003185654A JP2002298344A JP2002298344A JP2003185654A JP 2003185654 A JP2003185654 A JP 2003185654A JP 2002298344 A JP2002298344 A JP 2002298344A JP 2002298344 A JP2002298344 A JP 2002298344A JP 2003185654 A JP2003185654 A JP 2003185654A
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powder
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stool
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JP2002298344A
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Shigeji Okada
茂治 岡田
Kazuto Inora
一人 猪浦
Masaru Matsuoka
優 松岡
Aya Saito
綾 斎藤
Harumi Miyahara
晴美 宮原
Toshihiro Iwata
敏弘 岩田
Hidetoshi Yamamoto
英俊 山本
Yutaka Nara
豊 奈良
Yasuyuki Kudo
康之 工藤
Soichiro Tsuda
聡一郎 津田
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Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 便中の潜血検査において、大量調製および長
期保存が可能で同一規格で安価かつ安定に供給でき、検
査試薬の種類に拘わらず、共通で使用でき、検査担当者
による誤差が少なく、精度管理およびコントロールサー
ベイの安価で簡便な実施を可能とする擬似便基質および
擬似便を提供する。 【解決手段】 小麦粉、そば粉、白玉粉、だんご粉、さ
らしあん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、うぐいす
きな粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスターチおよ
び無機粉末から選択される一種以上の基材粉末および着
色剤を含むことを特徴とする擬似便基質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、便潜血試験の精度
管理方法およびそれに有用な擬似便とその擬似便の基質
に関する。
【0002】
【従来の技術】大腸がんは、欧米に多い疾患であった
が、食生活の欧米化などに伴って近年日本においても患
者が急増している疾患である。したがって、その特に初
期段階における診断は重要である。
【0003】現在、日本では40歳以上の人を対象に大
腸がん検診が行われている。大腸がん検診は、二段階で
行われている。まず、一次スクリーニングとして便中の
潜血(ヘモグロビン)の免疫学的検出が行われる。そし
て、この試験により陽性とされた受診者について、さら
に二次精検(内視鏡検査および注腸検査)が行われる。
【0004】一次スクリーニングにおける陽性率は、検
査機関によって異なるが、3〜12%(平均約7%)で
ある。陽性者の半数が実際に二次精検を受け、約0.3
%(すなわち一次スクリーニング受診者の約0.15
%)にがんが見つかっている。また、これらの検査の結
果、がん以外の疾患が発見されることも多く、結局、精
検受診者の約4〜5割に何らかの異常が発見されてい
る。
【0005】一方、二次精検の際に、大腸ファイバーに
よる事故が年間数件発生している。
【0006】したがって、一次スクリーニングの感度お
よび特異性を適正に管理し、疾患を見落とさず、しかも
無用の二次精検を避けることは、受診者の健康および安
全の面から非常に重要である。また、社会的には、二次
精検受診者の増大は医療コスト(検査費用)の増大を招
くので、このコストの面からも、一次スクリーニングの
精度管理は重要である。
【0007】しかし、一次スクリーニング検査の精度管
理、コントロールサーベイは、その重要性にもかかわら
ず、これまでのところ行われていない。その理由は、以
下のとおりである。現在検査機関で行われている便潜血
検査は、抗原抗体反応の原理に基づいており、そのため
の検査用試薬を数社が製造販売している。各検査機関
は、それらのうちのいずれかの検査用試薬を任意に用い
て検査を行っている。これらの検査用試薬は、同じ測定
原理に基づいてはいる。しかし、それぞれ検出系に特徴
があるため、異なる試薬を用いて得られた検査結果を互
いに比較することはできない。また、検査における陽性
試料としては、その都度採取されたヒト血液由来ヘモグ
ロビンを緩衝液、水等に添加したものが使用されてい
る。このような状況のため、検査機関間での結果の比較
ができず、また、陽性率が機関によってばらつく要因と
なっている。
【0008】便潜血検査の精度管理方法およびそれに使
用し得る擬似便は、既に提案されている(例えば、特許
文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。しか
し、特許文献1に記載された擬似便は、一成分として1
0〜30%の釣魚用配合飼料を含有する。この釣魚用配
合飼料は、それ自体がイモ類、グルテン、おから、大麦
等の植物性材料、鰯ミンチ、エビ類、卵黄等の動物性材
料およびそれらの発酵物といった多種類の天然原料から
なるため、ロット間の品質の均一性の管理が困難であ
り、その結果、擬似便の品質が安定しないことになる。
また、特許文献2および文献1にはマッシュポテトとき
な粉からなる擬似便が記載されているが、着色剤の使用
は記載されていない。
【0009】
【特許文献1】特開平10−319022号公報
【特許文献2】特開平11−242027号公報
【非特許文献1】Therapeutic Resea
rch vol.15, suppul.2,pp13
3〜138
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、便中の潜血
検査において、大量調製および長期保存が可能で、同一
規格で安価かつ安定に供給でき、検査試薬の種類に拘わ
らず、共通で使用でき、検査担当者による誤差が少な
く、精度管理およびコントロールサーベイの安価で簡便
な実施を可能とする擬似便基質および擬似便を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の態様の擬
似便基質は、小麦粉、そば粉、白玉粉、だんご粉、さら
しあん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、うぐいすき
な粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスターチおよび
無機粉末から選択される一種以上の基材粉末および着色
剤を含むことを特徴とする。本発明の第二の態様の擬似
便基質は、上新粉、白玉粉、だんご粉等の米粉、さらし
あん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、うぐいすきな
粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスターチ、無機粉
末から選択される二種以上の基材粉末および着色剤を含
むことを特徴とする。本発明の第三の態様の擬似便基質
は、構成粒子の40%以上が粒径100μm未満である
上新粉、および着色剤を含むことを特徴とする。上記の
第一〜第三の態様の擬似便は、マッシュポテト用ポテト
粉末をさらに含むことができる。
【0012】これらの擬似便基質において、着色剤は、
肉眼で異なる色として識別し得る二色以上の着色剤であ
って、混合されたときに各々単独で存在するときの色と
異なる色を呈する着色剤であることが好ましい。
【0013】本発明の擬似便基質は粉末であり、使用に
際しては、擬似便基質に水性溶液を添加し混和すること
により、擬似便を調製する。擬似便を潜血陽性試料とす
るには、擬似便基質または水性溶液にヘモグロビンを含
有させて擬似便を調製する。擬似便基質にヘモグロビン
を含有させる場合には、粉末ヘモグロビンの使用が好ま
しい。
【0014】本発明の精度管理方法は、本発明の擬似便
基質と水性溶液とを含む擬似便を用いることを特徴とす
る。
【0015】
【発明の実施の形態】1.原料 本発明の擬似便基質に使用する基材粉末としては、上新
粉、小麦粉、そば粉、白玉粉、だんご粉等の米粉、さら
しあん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、うぐいすき
な粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスターチ等の食
用粉、無機粉末(シリカ等)等が挙げられる。粉末自体
が不活性であり、タンパク分解酵素の含有量が少ないも
のが好ましい。
【0016】上新粉のような穀物粉は、一般に、購入し
たままのものは粒径が大きく、粒径にばらつきがある状
態であるため、一定の粒径になるよう処理して用いるこ
とが好ましい。処理は、2℃〜42℃の範囲の温度、好
ましくは室温で、混合する粉末量に応じて1〜24時
間、例えばボールミルを用いて粉を攪拌することにより
行うことができる。処理は、着色剤等と混合する前に穀
物粉のみについて行うこともできるが、着色剤等の他の
粉末と一緒にしてから行うと、他の粉末との混合も同時
に行うことができるので、好ましい。処理後、例えば計
数法(顕微鏡観察、コールターカウンター法、光散乱法
等)、ふるい分け法、沈降法(比重天秤法、光透過法
等)を用いて粒径を確認することができる。
【0017】本発明の擬似便基質において、上新粉のよ
うな基材粉末は、粉末を構成する粒子の40%以上が粒
径100μm未満の粒子であることが好ましく、さらに
好ましくは粉末を構成する粒子の60%以上が粒径10
0μm未満の粒子である。特に、粉末を構成する粒子の
80%以上が粒径100μm未満の粒子であることが最
も好ましい。
【0018】本発明の擬似便基質は、着色剤も含む。本
発明に使用する好適な着色剤の例としては、表1および
表2に挙げられる合成または天然由来の着色剤が含まれ
る。
【0019】
【表1】
【0020】
【0021】
【表2】
【0022】
【0023】着色剤としては、肉眼で異なる色として識
別し得る、混合されたときに各々単独で存在するときの
色と異なる色を呈する二色以上または三色以上の着色剤
を選択して含有させることが好ましい。例えば、赤色色
素と、黄色色素または橙色色素(以下、総称して「黄色
系色素」という)と、青色色素または緑色色素(以下、
総称して「青色系色素」という)とを使用することが好
ましい。三種以上の着色剤を含有させると、擬似便調製
時に擬似便基質と水性溶液とを一緒にすることにより虹
色となる。この虹色が均一色になることによって混和が
充分行われたことが容易にわかり、作業者が違っても均
質な混和状態が再現されることになる。入手が容易で安
価であることから、食用色素(食紅)を用いてもよい。
例えば、食紅「緑」には黄色系色素と青色系色素とが含
まれているので、食紅「赤」および食紅「緑」を使用す
ると、三種の着色剤を含有させることができる。しか
し、食用色素に含まれるデキストリンは、色素と共存す
る場合に擬似便中のヘモグロビン測定値の低下を起こす
ので、ヘモグロビン測定値の安定性および擬似便の保存
安定性のためには、食用色素よりも、市販されている個
別の各色素を必要に応じて適宜混合する方が好ましい。
【0024】含有量は、含有される各々の色素につい
て、基質全体を100重量%として、0.001〜0.
5重量%、好ましくは0.004〜0.3重量%、さら
に好ましくは0.009〜0.1重量%である。例え
ば、赤色色素0.018〜0.5重量%、黄色系色素
0.01〜0.3重量%、青色系色素0.004〜0.
1重量%であることができる。特に、例えば赤色色素
0.0375重量%、黄色系色素0.021重量%、青
色系色素0.009重量%が好ましい。着色剤の総量
は、基質全体を100重量%として、0.001〜0.
6重量%であることができるが、0.03〜0.5重量
%であることが好ましい。
【0025】三種以上の着色剤を使用する場合、その量
はそれぞれ適宜決定することができる。例えば、赤色色
素と黄色系色素と青色系色素とを使用する場合、その量
比は、赤色色素:黄色系色素:青色系色素=0.01〜
0.06:0.01〜0.04:0.004〜0.02
であることができ、例えば0.0375:0.021:
0.009である。
【0026】本発明の擬似便基質に添加するマッシュポ
テト用ポテト粉末は、食用、釣り餌用等のいずれの等級
のものであってもよい。入手が容易で安価であることか
ら、釣り餌用マッシュポテト用ポテト粉末が好ましい。
マッシュポテト用ポテト粉末を添加すると、擬似便に含
有させ得る水分量が多くなり、サンプリングに関して有
利である一方、精度は同程度以上である。マッシュポテ
ト用ポテト粉末を添加する場合、その添加量は、擬似便
基質全体を100重量%として、0〜98重量%、好ま
しくは5〜50重量%、特に10〜30重量%程度であ
る。擬似便基質中のマッシュポテト用ポテト粉末の含有
量が増大すると、溶解用水性溶液の添加可能な量が増大
する。したがって、マッシュポテト用ポテト粉末の添加
量は、目的とする試料の必要量に合わせ、適宜決定する
ことができる。
【0027】本発明の擬似便基質に使用する粉末ヘモグ
ロビンとしては、ヒト等のヘモグロビンの凍結乾燥粉末
が挙げられる。粉末ヘモグロビンは、粉末状態で本発明
の擬似便基質に添加しておくこともでき、また、水性溶
液に溶解させて、ヘモグロビンを含まない本発明の擬似
便基質に、擬似便調製時に添加することもできる。粉末
ヘモグロビンを添加する場合、添加量は、便中に通常見
出される量の範囲をカバーする量で添加する。例えば、
擬似便1g当たり0〜100μg、または0〜400μ
gとなる範囲内で、いくつかの異なる濃度で添加するこ
とができる。
【0028】擬似便調製時に添加する水性溶液として
は、中性域のpHの水性液体、例えば水、生理食塩水等
の塩類水溶液、およびリン酸緩衝生理食塩水(PB
S)、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、リン酸ナトリウ
ム緩衝液、ホウ酸・ホウ砂緩衝液、トリス・マレイン酸
緩衝液、トリス・ホウ酸緩衝液(TBS)、グッド緩衝
液等の緩衝液が挙げられる。pHは、具体的にはpH5
〜10であることができ、ヘモグロビンの安定性の点か
らはpH6〜8が好ましい。これらの水性溶液は、生物
学的試料の検査、生化学的試験等において通常用いられ
るものでよい。各社の便潜血試薬キットに添付のものを
用いることもできる。水を用いる場合は、擬似便の安定
性が劣るため、調製後短時間のうちに使用することが必
要となる。したがって、安定性の点からは、緩衝液を使
用することが好ましい。緩衝液を使用する場合、擬似便
は、調製後数日間安定である。水性溶液は、擬似便基質
5.0gに対し2.5〜10.0mlの量で擬似便基質
に添加する。上述のように、マッシュポテト用ポテト粉
末が含まれている場合、水性溶液の添加量は、マッシュ
ポテト用ポテト粉末の含量に応じて増大することができ
る。例えば、上新粉4.0gとマッシュポテト用ポテト
粉末1.0gを含む基質(5.0g)に対して、2.5
〜20.0mlの水性溶液を添加することができる。
【0029】本発明の擬似便基質または擬似便には、ア
ジ化ナトリウム、塩化ベンゼトニウム(防腐剤);BS
A等のアルブミン;ポリエチレングリコール(PE
G)、ポリビニルピロリドン等の高分子化合物;安息香
酸類、ソルビン酸類等の保存料;オルトフェニルフェノ
ール類、ジフェニル、チアベンタゾール等の防かび剤等
の付加的成分を添加することができる。具体的には、安
息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸
ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息
香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パ
ラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、
パラオキシ安息香酸プロピル、プロピオン酸、プロピオ
ン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、オルトフェ
ニルノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、ジ
フェニル、チアンベンタゾール等が挙げられる。
【0030】2.擬似便基質および擬似便の作製 本発明の擬似便基質を作製するには、基材粉末、着色剤
(例えば赤色色素、黄色系色素および青色系色素)、さ
らに場合によりヘモグロビン、マッシュポテト用ポテト
粉末、保存料等の付加的成分の粉末を、攪拌、振とう等
によってよく混合し、均一に混ざった状態にすればよ
い。粒径に関して予め均一化処理していない基材粉末を
用いる場合は、他の成分との混合中に粒径が均一になる
ように充分に混合する。ヘモグロビン以外の原料粉末を
混合しておき、いくつかに分け、各々に異なる量の粉末
ヘモグロビンを添加して、さらに混合することもでき
る。また、ヘモグロビン含量の多いマスターバッチを調
製しておき、それを、ヘモグロビンを含まない擬似便基
質と混合して、ヘモグロビン含量の異なる擬似便を調製
することもできる。
【0031】混合終了後、基質を容器(例えばポリスチ
レン製容器)に小分けして、保存する。保存は、室温で
もよいが、2℃〜10℃程度で冷蔵するとより長期間安
定に保存することができる。本発明の擬似便基質は、組
成によっては変動し得るが、ヘモグロビンを含有しない
場合、少なくとも1年、ヘモグロビンを含有する場合、
少なくとも6ヵ月、品質の劣化なしに保存することがで
きる。
【0032】本発明の擬似便と、水性溶液とを一緒に
し、混合することにより、本発明の擬似便を作製するこ
とができる。本発明の擬似便基質には、着色剤(例えば
赤色色素、黄色系色素および青色系色素)が含有されて
いるので、水性溶液を添加すると虹色となり、これが均
一の色になるまで混合すればよい。混合は、容器を転倒
混和すればよいが、必要に応じて竹串等を使用して混合
することもできる。本発明の擬似便は、水性溶液に緩衝
剤が含有されている場合、室温で3日、冷蔵で7日程度
安定に使用することができる。必要であれば、擬似便基
質または水性溶液に公知の保存料や安定剤を添加するこ
とにより、さらに長期間安定に保存することができる。
【0033】本発明の精度管理方法は、通常、以下の工
程を含む:ヘモグロビンを含有しない本発明の擬似便お
よび所定の量のヘモグロビンを含有する本発明の擬似便
を用意する工程、前記各擬似便について便潜血試験を行
う工程、および得られた結果を統計処理する工程。コン
トロールサーベイを行う場合は、ヘモグロビンの含有量
を示さずに前記擬似便試料または擬似便基質と水性溶液
とを複数の検査機関に配布し、各検査機関において潜血
検査を行わせ、その結果を集計する。
【0034】
【実施例】例1:上新粉を用いる擬似便の製造 1−1.擬似便基質の作製 上新粉(鷹印上新粉;みたけ食品工業(株)製)298
5g、食紅(赤)(食用色素、赤;共立食品(株)
製))7.5g、食紅(緑)(食用色素、緑;共立食品
(株)製))7.5gを、電子天秤(モデルEP−32
00D、島津製作所製)で秤取した。ボールミル中(外
径360mm、磁器製)の底が見えなくなる程度に粉砕
用ボール(直径30mm)を敷き詰め(約58個)、秤
取した原料を添加した。万能型ボールミル懸架台を用い
て、原料を室温で16〜20時間混合し、擬似便基質と
した。
【0035】この基質作製の過程において、適当な時間
に上新粉の試料を少量採取して粒径を測定し、その各々
の試料を用いて作製した擬似便を比較した(1−3.参
照)。
【0036】上記で作製した基質1.0kgを電子天秤
(モデルEP−3200D;島津製作所製)で秤取し
た。電子天秤(モデルLABTOP BALANCE
LW−320;ヤマト化学製)を用いてポリスチレン製
容器(佐藤化成製ホルマリン用容器)に5.0gずつ分
注し、2〜10℃で冷蔵保管した(0μg/g便)。
【0037】ヘモグロビン陽性擬似便基質は、以下のよ
うにして作製した。なお、粉末ヘモグロビンはシアンメ
トHb法で実測、補正後使用した。上記で作製した基質
1.0kgを電子天秤(モデルEP−3200D;島津
製作所製)で秤取した。ヘモグロビン(ヒトヘモグロビ
ン;SIGMA社製)を、30μg/g試料については
79.73mg、90μg/g試料については239.
2mg、それぞれ電子天秤(モデルAE−200;ME
TTLER社製)を用いて秤取した。ボールミル小(外
径210mm、磁器製)の底が見えなくなる程度に粉砕
用ボール(直径30mm)を敷き詰め(約20個)、こ
こに上記基質およびヘモグロビンを添加した。卓上型ボ
ールミル懸架台を用い、室温で2.5〜3.0時間混合
した。その後、電子天秤(モデルLABTOP BAL
ANCE LW−320;ヤマト化学製)を用いてポリ
スチレン製容器に5.0gずつ分注し、2〜10℃で冷
蔵保管した(30μg/g便および90μg/g便)。
【0038】1−2.擬似便の作製 基質を溶解する水性溶液は、以下のようにして製造し
た。UHP水を1L秤取し、NaCl 8.0g(試薬
特級、最終濃度137mM)、NaHPO・12H
O 2.9g(試薬特級、最終濃度8.1mM)、K
Cl 0.2g(試薬特級、最終濃度2.68mM)、
およびKHPO 0.2g(試薬特級、最終濃度
1.47mM)を添加し、スターラーで攪拌しながら溶
解した。目視で溶解を確認後、Millex−GSフィ
ルター(0.22μm;ミリポア製)を用いて、溶液を
ろ過した。得られた溶液(PBS、pH7.4)をポリ
スチレン製容器に5mlずつ分注し、2〜10℃で冷蔵
保管した。
【0039】基質5.0gに水性溶液5mlを添加し
た。基質に添加されている色素が虹色の縞模様に発色す
るので、これが消えて均一な色になるまで転倒混和する
ことによって擬似便とした。
【0040】1−3.上新粉の粒径の測定 上記1−1で使用した上新粉について、ボールミルでの
粉砕前(0時間)、粉砕中(4、8、12、16時間)
に少量の試料を採取し、レーザー回折/散乱粒子径分布
測定装置モデルLA−920(島津製作所製)を使用し
て、それらの試料の粒径を2回ずつ測定した。測定条件
は、以下のとおりであった:循環速度=3、超音波=O
FF、粒子径基準=体積、分散媒=エタノール、分散処
理=循環のみ、測定方式=湿式、フロー式、相対屈折率
=1.18〜0.00i(試料屈折率/分散媒屈折
率)。
【0041】また、それらの試料を使用して、上記1−
2と同様に擬似便を作製し、その外観、粘度等の特徴を
比較した。その結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】以上の結果から、上新粉のような基材粉末
の粒径は、構成粒子の40%以上が粒径100μm未満
であることが好ましく、粒子の粒径が小さく均一になる
ほど外観、粘度、形態安定性が優れていることがわかっ
た。
【0044】例2:マッシュポテト用ポテト粉末添加擬
似便の製造 2−1.基質の作製 マッシュポテト用ポテト粉末(マルキュー(株)製)6
20gを、電子天秤(モデルEP−3200D、島津製
作所製)で秤取した。ボールミル小(外径210mm、
磁器製)の底が見えなくなる程度に粉砕用ボール(直径
30mm)を敷き詰め(約20個)、秤取したマッシュ
ポテト用ポテト粉末を添加した。万能型ボールミル懸架
台を用いて、室温で16〜20時間粉砕し、粉状にし
た。
【0045】上新粉(鷹印上新粉;みたけ食品工業
(株)製)2388g、上記で前粉砕したマッシュポテ
ト用ポテト粉末597g、食紅(赤)(食用色素、赤;
共立食品(株)製))7.5g、食紅(緑)(食用色
素、緑;共立食品(株)製))7.5gを、電子天秤
(モデルEP−3200D、島津製作所製)で秤取し
た。ボールミル中(外径360mm、磁器製)の底が見
えなくなる程度に粉砕用ボール(直径30mm)を敷き
詰め(約58個)、秤取した原料を添加した。万能型ボ
ールミル懸架台を用いて、原料を室温で16〜20時間
混合し、擬似便基質とした。
【0046】上記で作製した基質1.0kgを電子天秤
(モデルEP−3200D;島津製作所製)で秤取し
た。電子天秤(モデルLABTOP BALANCE
LW−320;ヤマト化学製)を用いてポリスチレン製
容器に5.0gずつ分注し、2〜10℃で冷蔵保管した
(0μg/g便)。
【0047】ヘモグロビン陽性擬似便基質は、以下のよ
うにして作製した。なお、粉末ヘモグロビンはシアンメ
トHb法で実測、補正後使用した。上記で作製した基質
1.0kgを電子天秤(モデルEP−3200D;島津
製作所製)で秤取した。ヘモグロビン(ヒトヘモグロビ
ン;SIGMA社製)を、30μg/g試料については
119.60mg、90μg/g試料については35
8.8mg、それぞれ電子天秤(モデルAE−200;
METTLER社製)を用いて秤取した。ボールミル小
(外径210mm、磁器製)の底が見えなくなる程度に
粉砕用ボール(直径30mm)を敷き詰め(約20
個)、ここに基質およびヘモグロビンを添加した。卓上
型ボールミル懸架台を用い、室温で2.5〜3.0時間
混合した。その後、電子天秤(モデルLABTOP B
ALANCE LW−320;ヤマト化学製)を用いて
ポリスチレン製容器に5.0gずつ分注し、2〜10℃
で冷蔵保管した(30μg/g便および90μg/g
便)。
【0048】2−2.擬似便の作製 例1と同じ組成の水性溶液を作製し、ポリスチレン製容
器に10mlずつ分注した。
【0049】基質5.0gに水性溶液10mlを添加し
た。基質に添加されている色素が虹色の縞模様に発色す
るので、これが消えて均一な色になるまで転倒混和する
ことによって擬似便とした。
【0050】例3:基材粉末の種類 小麦粉(日清フラワー薄力小麦粉;日清製粉(株)
製)、だんご粉(だんごの粉;群馬製粉(株)製)、上
新粉(鷹印上新粉(米の粉)みたけ食品工業(株)
製)、片くり粉(片栗粉;(有)永井萬冶商店製)、白
玉粉(白玉粉;川光物産(株)製)、コーンスターチ
(餅とり粉;(有)永井萬冶商店製)、きな粉(くらし
モアきな粉;日本流通産業(株)製)、さらしあん粉末
(さらしあん;川光商事(株)製)、マッシュポテト用
ポテト粉末(マッシュポテト;マルキュー(株)製)、
うぐいすきな粉(うぐいすきな粉;カトウ食品(株)
製)、山芋粉(やまいもの粉;日本製粉(株)製)、そ
ば粉(そば粉;カトウ食品(株)製)、シリカ(二酸化
けい素;純正化学(株)製)をそれぞれ単独で基材粉末
として用いて、例1と同様にして、300ng/gのヘ
モグロビンを含有する擬似便を作製した。作製した擬似
便について、外観、粘度(触感、採便スティックへの付
着)、形態安定性、ヘモグロビンの保存安定性を、評価
した。保存安定性は、擬似便を、それぞれ4℃で保存し
て、調製後1日後および3日後に、ラテックス凝集法を
用いてヘモグロビン量を測定することにより評価した。
結果を、調製直後のヘモグロビン検出量を100として
換算して表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4から、試験した粉末材料は、いずれも
擬似便基質の基材粉末として使用し得ることがわかっ
た。しかし、コーンスターチおよびシリカは、ヘモグロ
ビンの安定性は優れているが、単独では擬似便の形態が
やや不安定になるので、適宜他の基材粉末と混合して用
いることが好ましい。
【0053】例4:着色剤の検討 4−1.含有量の検討 上新粉(鷹印上新粉;みたけ食品工業(株)製)、食紅
(赤)(食用色素、赤;共立食品(株)製))、および
食紅(緑)(食用色素、緑;共立食品(株)製))を用
いて、擬似便基質を作製した。各成分の含有量は以下の
表5のとおりである:
【0054】
【表5】
【0055】ここで使用した食紅(赤)は、赤色104
号(ニューコクシン)15%とデキストラン85%から
構成されていた。同様に、食紅(緑)は、黄色4号(タ
ートラジン)8.4%。青色1号(ブリリアントブルー
FCF)3.6%、およびデキストラン88%から構成
されていた。
【0056】NaCl 8.0g(試薬特級、最終濃度
137mM)、NaHPO・12HO 2.9g
(試薬特級、最終濃度8.1mM)、KCl 0.2g
(試薬特級、最終濃度2.68mM)、およびKH
0.2g(試薬特級、最終濃度1.47mM)を
UHP水1Lに溶解し、0.22μmのフィルターでろ
過して水性溶液(PBS、pH7.4)を作製した。表
5にしたがって各原料を秤取し、乳鉢で混合した。充分
に混合された粉末基質をポリスチレン製容器にそれぞれ
5gずつ分注した。
【0057】調製した水性溶液を5mlずつ添加し、溶
解を開始した。擬似便基質と水性溶液とを混合しなが
ら、色素の混合状態を観察した。
【0058】その結果、パターン2〜6の範囲の色素含
有量の擬似便について、虹色の発色が見られた。したが
って、調べた範囲では、基質中の食紅含有量で0.25
〜3.86重量%の範囲、擬似便基質中の全色素量で
0.03380重量%〜0.52176重量%の範囲
(赤色色素0.01880〜0.28986重量%、黄
色色素0.0105〜0.1623重量%、青色色素
0.0045〜0.0696重量%の範囲)は、特に良
好な発色を示した。
【0059】4−2.混合比の検討 同様に、以下の表6のとおりの成分を用い、上記のよう
にして擬似便を作製して、色素の混合状態を観察した。
【0060】
【表6】
【0061】結果として、パターン2〜4の範囲で発色
が得られた。したがって、食紅混合比で赤:緑=1.2
5〜3.75:3.75〜1.25の範囲、色素含有量
比で赤色102号:黄色4号:青色1号=0.0187
5:0.0315〜0.0105:0.0135〜0.
0045の範囲で好適であった。
【0062】4−3.組み合わせの検討 同様に、上新粉9.95gおよび色素0.05gを用
い、上記のようにして擬似便を作製して、色素の混合状
態を観察した。
【0063】二色の組み合わせ色素としては、以下の組
み合わせの赤色色素0.025gおよび緑色色素0.0
25gを用いた: −1 ニューコクシン(赤色102号)+ライトグリ
ーンSF黄(緑色205号) −2 ニューコクシン(赤色102号)+ファストグ
リーンFCF黄(緑色3号) −3 ニューコクシン(赤色102号)+ナフトール
グリーンB(緑色401号) −1 エリスロシン(赤色3号)+ライトグリーンS
F黄(緑色205号) −2 エリスロシン(赤色3号)+ファストグリーン
FCF黄(緑色3号) −3 エリスロシン(赤色3号)+ナフトールグリー
ンB(緑色401号) −1 フロキシンB(赤色104−1号)+ライトグ
リーンSF黄(緑色205号) −2 フロキシンB(赤色104−1号)+ファスト
グリーンFCF黄(緑色3号) −3 フロキシンB(赤色104−1号)+ナフトー
ルグリーンB(緑色401号) −1 アマランス(赤色2号)+ライトグリーンSF
黄(緑色205号) −2 アマランス(赤色2号)+ファストグリーンF
CF黄(緑色3号) −3 アマランス(赤色2号)+ナフトールグリーン
B(緑色401号)
【0064】三色の組み合わせ色素としては、以下の組
み合わせの赤色色素0.025g、黄色または橙色色素
0.014gおよび青色または緑色色素0.006gを
用いた: ニューコクシン(赤色102号)+タートラジン
(黄色4号)+ブリリアントブルーFCF(青色1号) アマランス(赤色2号)+タートラジン(黄色4
号)+ブリリアントブルーFCF(青色1号) ニューコクシン(赤色102号)+ウラニン(黄色
202−1号)+ブリリアントブルーFCF(青色1
号) ニューコクシン(赤色102号)+オレンジII(橙
色205号)+ブリリアントブルーFCF(青色1号) ニューコクシン(赤色102号)+タートラジン
(黄色4号)+インジゴカルミン(青色2号) ニューコクシン(赤色102号)+タートラジン
(黄色4号)+ファストグリーンFCF(緑色3号) ニューコクシン(赤色102号)+タートラジン
(黄色4号)+ナフトールグリーンB(緑色401号)
【0065】その結果、二色の組み合わせではいずれも
虹色の発色が見られなかったのに対し、三色の組み合わ
せではすべての場合において虹色の発色が観察され、二
色の場合よりも混和の程度の判断が容易であった。
【0066】4−4.ヘモグロビン測定に対するデキス
トリンの影響 ヘモグロビン測定に対するデキストリンの影響を調べる
ために、濃度100μg/mlのヘモグロビン水溶液を
作製し、これに表7に示す各着色剤を添加して均一にな
るまで混合した。対照として、着色剤を添加しない試料
(「ヘモグロビンのみ」)、また、デキストリンのみを
添加した試料(「デキストリン純品」)も同様に作製し
た。これらの試料を、1%BSA/PBSで100倍希
釈した後、ラテックス免疫測定法を使用して試料中のヘ
モグロビン量を測定した。表7および図1に結果を示
す。
【0067】
【表7】
【0068】デキストリンを含有する着色剤(食用色素
(赤)または(緑)、およびそれらの両方の食用色素、
ならびに図1および表7中「3色素純品+デキストリン
純品」)を添加した試料については、それらに含まれる
各色素純品をそれぞれ単独でまたは混合して添加した試
料の場合と比較して、検出されたヘモグロビン濃度が大
幅に低下していた。賦形剤として食用色素に含有されて
いるデキストリンは、単独で添加してもヘモグロビン濃
度の低下を起こさなかったが、他の色素と共存させると
ヘモグロビン濃度の低下を起こした。したがって、ヘモ
グロビン測定値の安定化および擬似便の保存安定性の向
上のためには、食用色素よりもデキストリンを含有しな
い着色剤またはその混合物を用いることが好ましい。
【0069】例5:精度管理 例2と同様にして、擬似便基質および水性溶液を製造し
た。ただし、この例においては擬似便基質のヘモグロビ
ン含有量は0、25、50、75、100μg/g便の
5種類とした(それぞれ試料J1〜J5)。同じよう
に、上新粉のかわりにそば粉(そば粉;カトウ食品
(株)製)を使用して、ヘモグロビン含有量0、25、
50、75、100μg/g便の5種類の擬似便基質
(それぞれ試料S1〜S5)を作製した。
【0070】作製した各試料を、A〜Iまでの臨床検査
機関に、各試料中のヘモグロビン濃度を知らせずに配布
した。各機関で、配布した擬似便基質に水性溶液を加え
て擬似便を調製してもらい、これらの試料について、各
機関が通常使用している便潜血試験キット(イ〜リ)で
通常どおりにヘモグロビン検査を行ってもらった。具体
的な手順は、以下のとおりであった。擬似便基質に溶解
用緩衝液を全量加え、3分間静置する。その後、竹串等
を用いて色素が均一になるまで混和する。混和後、15
分間静置し、再度充分に混和した後、各キットに添付の
採便スティック等を用いて正確な量の試料を採取する。
試料を採便容器に採取した後、30分間静置してヘモグ
ロビンを抽出・溶血させる。採便容器中の懸濁液の最初
の3〜5滴は捨て、日常検査のとおりにヘモグロビンを
検出する。
【0071】各機関から報告された結果を集計したもの
を表8に示す。表8において、結果は、各キットの説明
書にしたがって+(陽性)、−(陰性)、またはヘモグ
ロビンの濃度値で示されている。
【0072】
【表8】
【0073】表8からキットや測定機関によってかなり
異なった結果が得られ、同じキットで測定しても測定機
関によって結果にかなりのばらつきがある場合(キット
「ニ」)や、測定機関によらず同様の結果が得られる場
合(キット「リ」)があること、同じ測定機関でも使用
キットによって結果が異なる場合(測定施設「C」)が
あることがわかる。これらには、施設間差とメーカーに
よって採便容器やカットオフ値が違うこと、便中ヘモグ
ロビン測定法の基準測定法(リファレンスメソッド)や
標準物質がないため各メーカーにより測定基準値が違う
ことなど多くの要因がある。全体として、本発明の擬似
便は、検査試薬の種類に拘わらず使用することができ、
各メーカーの検査方法・試薬間でのデータの比較が可能
となることがわかる。更に詳細な解析にあたりメーカー
ごとの実測基準値を評価基準値とし、定性結果について
は(−)(+)の一致、定量結果については%評価基準
値による解析を行い、メーカー間の誤差要因や特性等を
比較評価することも可能である。
【0074】
【発明の効果】本発明の擬似便基質および擬似便は、便
潜血試験の精度管理およびコントロールサーベイ試料と
して、以下のような利点を有する。すなわち、原料が安
価であるため、安価に供給することができる。また、乾
燥粉末を原料とするため、原料の大量購入、長期保存が
可能であり、一度に大量に作製できるため、長期間にわ
たって同一の規格で品質の安定な試料を供給することが
できる。
【0075】さらに、従来のものではヘモグロビン最終
濃度が一定とならないのに対し、本発明の擬似便基質お
よび擬似便では、ヘモグロビンの添加量を設定し、粉末
を混合するので、シアンメトヘモグロビン法による値付
けができ、理論的基準値(ターゲットバリュー)を持つ
精度管理やコントロールサーベイが可能となる。
【0076】本発明の擬似便基質および擬似便は、種々
の分析法やヘモグロビン検出試薬ごとに異なる反応系に
対して方法や試薬の種類を問わずに使用することができ
る。したがって、本発明の擬似便を用いれば、方法・試
薬間でのデータの比較が可能となる。また、採便容器は
メーカーごとに採取量と緩衝液量が違うため、ng/m
lでは相互比較ができない。しかし、本発明の擬似便に
おける単位表示は、ng/mlとμg/g便の両方が可
能である。すなわち、試料採取用スティックの形状、材
質、採取量、緩衝液量等はメーカーごとに異なるが、本
発明の擬似便を使用すると、それらに左右されず、採取
量が安定であることから、相互比較が可能なμg/g便
単位による比較および精度管理、データ解析等が可能で
ある。
【0077】また、本発明の擬似便基質および擬似便
は、保存安定性に優れ、サーベイ試料搬送時の温度変化
等の影響を受け難い。すなわち、凍結品や冷蔵品では搬
送時の温度変化による劣化や試料調製後および凍結融解
時の劣化が起こるが、本発明の擬似便基質および擬似便
にはそのような問題がない。本発明の擬似便は、用時調
製も可能であり、擬似便調製後の安定がよく、タンパク
分解酵素によるヘモグロビンの失活が少ない。さらに半
練り状の試料を混和し均一にする作業が試料調製の際に
は重要であるが、本発明の擬似便基質に含有される添加
色素が、均一に混和されたことの目安となるため、調製
する作業者が異なっても均一な試料作成が可能となり、
検査担当者による誤差が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ヘモグロビン測定に対するデキストリ
ンの影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 綾 埼玉県さいたま市大和田町1−1424−5 (72)発明者 宮原 晴美 埼玉県さいたま市大東1−35−22 (72)発明者 岩田 敏弘 埼玉県熊谷市下川上1357−2 (72)発明者 山本 英俊 埼玉県さいたま市上峰2−2−14 グリー ンハイツ陣屋103 (72)発明者 奈良 豊 埼玉県比企郡鳩山町大字赤沼2353−4 (72)発明者 工藤 康之 東京都東村山市久米川町3−9−5−301 (72)発明者 津田 聡一郎 埼玉県狭山市北入曽1276−27 Fターム(参考) 2G045 AA20 AA21 BA13 BB25 BB51 BB54 DA51 FB03 FB11 JA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦粉、そば粉、白玉粉、だんご粉、さ
    らしあん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、うぐいす
    きな粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスターチおよ
    び無機粉末から選択される一種以上の基材粉末および着
    色剤を含むことを特徴とする擬似便基質。
  2. 【請求項2】 上新粉、小麦粉、そば粉、白玉粉、だん
    ご粉、さらしあん粉末、片くり粉、すりごま、きな粉、
    うぐいすきな粉、粉末ピーナッツ、山芋粉、コーンスタ
    ーチおよび無機粉末から選択される二種以上の基材粉末
    および着色剤を含むことを特徴とする擬似便基質。
  3. 【請求項3】 構成粒子の40%以上が粒径100μm
    未満である上新粉、および着色剤を含むことを特徴とす
    る擬似便基質。
  4. 【請求項4】 マッシュポテト用ポテト粉末をさらに含
    む、請求項1〜3のいずれか1項記載の擬似便基質。
  5. 【請求項5】 粉末ヘモグロビンをさらに含む、請求項
    1〜4のいずれか1項記載の擬似便基質。
  6. 【請求項6】 前記着色剤が、肉眼で異なる色として識
    別し得る二色以上の着色剤であって、混合されたときに
    各々単独で存在するときの色と異なる色を呈する着色剤
    である、請求項1〜5のいずれか1項記載の擬似便基
    質。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の擬似
    便基質と水性溶液とを含むことを特徴とする擬似便。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の擬似便を使用する便潜血
    試験の精度管理方法。
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