JP2003183765A - 高清浄マルエージング鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄マルエージング鋼の製造方法

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JP2003183765A JP2001386109A JP2001386109A JP2003183765A JP 2003183765 A JP2003183765 A JP 2003183765A JP 2001386109 A JP2001386109 A JP 2001386109A JP 2001386109 A JP2001386109 A JP 2001386109A JP 2003183765 A JP2003183765 A JP 2003183765A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルエージング鋼の10の7乗回を超える高
サイクル疲労における疲労強度を高めるために、マルエ
ージング鋼中に残留する、Al2O3等の酸化物系非金属介
在物やTiN、TiCNやAlN等の非金属介在物を少なく且つ大
きさを小さくできる高清浄マルエージング鋼の製造方法
を提供する。 【解決手段】 エレクトロスラグ再溶解を行い、非金属
介在物の最大長が20μm以下とする高清浄マルエージン
グ鋼の製造方法であって、前記エレクトロスラグ再溶解
時の条件を下式に従うA値が15A/mm以上になるようにす
ることを特徴とする高清浄マルエージング鋼の製造方
法。 A値[A/mm]=(投入電流)/(モールド内径)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高清浄マルエージ
ング鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マルエージング鋼は、2000MPa前後の非
常に高い引張強さをもつため、高比強度が要求される部
材、例えば、ロケット用部品、遠心分離機部品、航空機
部品、自動車用無段変速用部品等種々の用途に使用され
ている。その代表的な組成には、18%Ni-8%Co-5%Mo-0.45
%Ti-0.1%Al-bal.Feが挙げられる。そして、マルエージ
ング鋼は、強化元素として、Mo、Tiを適量含んでおり、
時効処理を行うことによって、Ni3Mo、Ni3Ti、Fe2Mo等
の金属間化合物を析出させて高強度を得ることのできる
鋼である。
【0003】このマルエージング鋼を構造用材料として
用いる場合の設計強度としては、繰返し回数10の7乗
回での疲労強度が用いられる。しかし、最近では繰返し
応力が10の7乗回を超えて負荷される場合があり、従
来の10の7乗回での疲労強度を設計強度として用いた
マルエージング鋼では信頼性が低く、10の7乗回を超
える繰返し回数、例えば10の8乗回程度の繰返し数を
設計強度とした場合にでも充分使用に耐え得るマルエー
ジング鋼が求められるようになった。ところで、10の
7乗回以下の繰返し数での疲労強度を評価した従来の技
術では、最終熱処理方法等が疲労強度を決定する重要な
要素であった。しかし、マルエージング鋼において通
常、10の7乗回以下の繰返し数では表面起点の疲労破
断が起こるが、10の7乗回を超える繰返し数では特定
の大きさより大きな非金属介在物を起点として疲労破壊
を起すため、破壊のメカニズムが大きく異なる。従っ
て、10の7乗回を超える繰返し数の使用をする場合、
従来に増して非金属介在物の大きさが問題となり、非金
属介在物は特定の大きさ以下とする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでマルエージン
グ鋼は、真空誘導溶解(以下、VIMと呼ぶ)等の後、真
空アーク再溶解(以下、VARと呼ぶ)もしくはエレクト
ロスラグ再溶解(以下、ESRと呼ぶ)を施すと、均質(成
分偏析が少ない)でしかも、非金属介在物の少ない鋼と
なることが知られている。しかしながら、上記の二重溶
解で製造するマルエージング鋼にも、絶対数は少ないも
のの特定の大きさより大きなAl2O3等の酸化物系非金属
介在物やTiN、TiCNやAlN等の窒化物系非金属介在物が残
留し、残留した特定の大きさより大きな非金属介在物
は、二重溶解後に行う熱間鍛造、熱処理、熱間圧延、冷
間圧延等を行った後の素材中にもそのまま残留し、残留
する特定の大きさより大きな非金属介在物を起点とした
疲労破壊を生じることが心配される。本発明の目的は、
マルエージング鋼の10の7乗回を超える高サイクル疲
労における疲労強度を高めるために、マルエージング鋼
中に残留する、Al2O3等の酸化物系非金属介在物やTiN、
TiCNやAlN等の非金属介在物を少なく且つ大きさを小さ
くできる高清浄マルエージング鋼の製造方法を提供する
ことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、マル
エージング鋼を製造する場合において、二重溶解を行う
ことで、成分を均質にでき易いという利点がある。本発
明者等は、この利点を損なうことなく、酸化物系非金属
介在物と窒化物系非金属介在物の両方の大きさを特定の
大きさ以下にする製造条件について鋭意検討を行った。
この検討を行うに際して、例えば、ロケット用部品、遠
心分離機部品、航空機部品、自動車用無段変速用部品
等、最近繰返し応力が10の7乗回を超える疲労強度が
求められるようになった種々の用途の使用に耐え得る非
金属介在物の大きさを検討した結果、鋼中に残留する非
金属介在物の大きさが最大で20μm以下の長さのもので
あれば、繰返し応力が10の7乗回を超える疲労強度が
求められる用途にも適用できることを見出した。
【0006】そして、この非金属介在物の最大長さを20
μm以下にする方法について検討した結果、最も効果的
な方法として再溶解をESRで行うことで最終製品に近い
状態で非金属介在物が20μm程度まで小さくできること
を知見した。そして、更にESRの条件を詳細に検した結
果、投入電流とモールド内径とを調整することで非金属
介在物の最大長さを20μm以下にすることができること
を見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、ESRを行
い、非金属介在物の最大長が20μm以下とする高清浄マ
ルエージング鋼の製造方法であって、前記エレクトロス
ラグ再溶解時の条件を下式に従うA値が15A/mm以上にな
るようにする高清浄マルエージング鋼の製造方法であ
る。 A値[A/mm]=(投入電流)/(モールド内径)
【0007】好ましくは、上記のESRを行った後、鋼塊
状態または熱間鍛造後の何れか若しくは両方で、1000〜
1300℃で少なくとも5時間以上の保持を行う高清浄マル
エージング鋼の製造方法である。更に好ましくは、上記
のマルエージング鋼は質量%で、C:0.01%以下、Ni:8.0〜
22.0%、Co:5.0〜20.0%、Mo:2.0~9.0%、Ti:2.0%以下、A
l:1.7%以下、N:0.003%以下、O:0.002%以下、残部は実質
的にFeからなる高清浄マルエージング鋼の製造方法であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴は、ESRを行
う際に投入電流とモールド内径とを調整することでAl2O
3等の酸化物系非金属介在物やTiN、TiCNやAlN等の窒化
物系非金属介在物の両方の大きさを小さく制御できるこ
とにある。以下に、本発明を詳しく説明する。
【0009】先ず、はじめに酸化物系非金属介在物を小
さくする方法について説明する。マルエージング鋼に存
在する酸化物系非金属介在物は、例えば高真空のVIMで
作製した電極鋼塊においても皆無にすることは不可能で
あり、再溶解により除去する必要がある。再溶解方法と
して、ESRとVARが挙げられる。ESRでは電極鋼塊を再溶
解し、フラックスと呼ばれる溶解酸化物中を通過させ、
その後再凝固する。この際、フラックスは酸化物系非金
属介在物をこしとるフィルターの役目を果たし、電極鋼
塊中に含まれていた粗大な酸化物系非金属介在物はフラ
ックスに吸収され除去される。一方、VARでは酸化物系
非金属介在物を高真空下での酸化物還元反応、または溶
鋼プール内の浮上分離によって除去するが、マルエージ
ング鋼のように酸素溶解度の低い鋼種では酸化物の還元
反応は維持できず、加えて対流が発生している溶解プー
ルにおいて完全に浮上分離することも困難であるため、
一部の酸化物系非金属介在物は鋼塊中に残存する。従っ
て、ESRを用いた場合、15μm以上の大きさより大きなAl
2O3等の酸化物系非金属介在物を除去することができる
が、VARの場合は20μmを超える非金属介在物の残存が生
じ易いため、本発明ではESRを行うと規定した。
【0010】次に、窒化物系非金属介在物を小さくする
方法について説明する。マルエージング鋼は窒素との親
和力が大きいTi或いは更にAlを含有していることから、
VIMにて作製したESR用の電極鋼塊製造段階でTiN、TiCN
やAlN等の窒化物系非金属介在物が存在する。これらの
窒化物系非金属介在物は再溶解時に、一部はTiN→Ti+
N、TiCN→Ti+C+NやAlN→Al+Nの反応により溶鋼中へ溶
解し、溶存窒素や溶存炭素が増加する。また一部は完全
には溶解せずにTiN、TiCNやAlN等の窒化物系非金属介在
物の状態で溶鋼プール内に浮遊する。溶鋼プール内では
凝固殻への抜熱により逐次凝固が進行していくが、凝固
前面付近では溶鋼温度が低下し、溶鋼中に溶存している
窒素や炭素は溶解度の低下に伴ない上述の未固溶のTi
N、TiCNやAlN表面上に晶出し成長していく。このように
ESR時には溶鋼プール内を浮遊するTiN、TiCNやAlNの存
在により、TiN、TiCNやAlNが大きくなる。従って鋼塊内
のTiN、TiCNやAlNを微細にするには、鋼塊中に含まれる
窒素量を下げると供に、ESR時に溶解せずに残存するTi
N、TiCNやAlNをなくす、もしくはできるだけ小さくする
方法をとることが必要である。
【0011】このためには溶鋼プールやスラブ浴の熱容
量を大きくすることが必要である。溶鋼プールやスラブ
浴の熱容量を大きくするには、ESRの入熱を大きし、か
つ抜熱を小さくすることが有効であり、入熱を大きくす
るには電流密度を大きくすればよく、また、抜熱を小さ
くするには単位重量当りの冷却モールドとの接触面積を
小さくする、即ちモールド内径を大きくするとよい。こ
のようなことから、溶鋼プールおよびスラブ浴の熱容量
を高めるためには、{(電流密度)×(モールド内
径)}を大きくすればよく、{(電流密度)×(モール
ド内径)}∝{(投入電流)/(モールド面積)×(モ
ールド内径)}∝{(投入電流)/(モールド内径)}
であるので、前式に従うA値を大きくすればよい。この
ため、ESRにおいてTiNやTiCN等の窒化物系非金属介在物
を20μm以下に制御するためにはA値が15A/mm以上である
必要がある。A値が大きすぎると凝固偏析が大きくなり
問題となるが、実用上偏析許容範囲内であれば特にA値
の上限はないが、30A/mm以下にすると成分偏析も抑制で
き、好ましい。
【0012】なお、鋼塊内の窒素値は窒化物サイズに影
響するので、ESRは外気を遮断しArで置換した雰囲気も
しくは減圧下で行い、かつフラックスを追加する場合に
はAr雰囲気を壊さないようArガスにてシールした管内を
通して装入することにより操業中の窒素ピックアップを
防止すると更に好ましい。これは、マルエージング鋼中
に含まれる窒素が再溶解中に増加し、TiN、TiCNやAlNが
大きくなるのを防ぐことができ、上述のA値を大きくす
る効果をより高めることができるためである。また、ES
Rに使用するフラックスについては目的とするマルエー
ジング鋼の成分が達成できれば基本的にはどのようなも
のであってもよいが、例えばCaF2-Al2O3-TiO2系又はCaF
2-CaO-Al2O3-TiO2系が好ましい。
【0013】次に、本発明では上記のESRを行った後、
鋼塊状態または熱間鍛造後の何れか若しくは両方で、10
00〜1300℃で少なくとも5時間以上の保持を行うと良い
(この高温保持を以下ソーキングと呼ぶ)。これは、ES
Rで均質となった鋼塊をより成分偏析の少ないものとす
ることで、疲労強度を更に向上させることができるため
である。このソーキングはESR後の鋼塊状態または熱間
鍛造後の何れで行っても良く、より高温でより長時間行
うとより成分偏析は少なくなる。しかし、保持温度が13
00℃を超えると部分的に溶解が生じる可能性があり、逆
に1000℃より低いとその効果は低くいため、1000℃〜13
00℃の範囲で行うと良い。
【0014】また、ソーキングの保持時間が5時間より
短いと均質化の効果が低いため、保持時間は少なくとも
5時間以上必要である。また、ソーキングは二回以上行
ってもよく、例えば、ESR後の鋼塊状態と熱間鍛造後の
両方で行っても合計の保持時間が5時間以上であればよ
い。よって、ソーキングを行う場合は、鋼塊サイズ、熱
間鍛造比、ソーキング加熱炉の容量、加工工程、求めら
れる強度等を考慮して、鋼塊状態または熱間鍛造後の何
れか若しくは両方で、少なくとも一回以上のソーキング
を適宜行えば良く、勿論、熱間鍛造→ソーキング→熱間
鍛造→ソーキングと言った工程でも良い。
【0015】本発明により製造したマルエージング鋼を
使用するには、上述の工程後に、熱間加工または冷間加
工の何れか若しくは両方を、最終製品の用途形状に応じ
て、適時組み合わせ成形するとよい。例えば、鋼板が必
要な場合は、1100℃にて熱間圧延を施したのち、Fe、Mo
を主成分とする未固溶の金属間化合物を残留させないた
めに、760〜950℃で固溶化処理を行い、その後、冷間圧
延に形を整えると供に加工歪を付加して、その後、二回
目の固溶化処理を実施する事によって微細に再結晶さ
せ、その後、時効処理を施すと良い。
【0016】次に、本発明の組成の限定理由について述
べる。Cは炭化物を形成し、金属間化合物の析出量を減
少させて疲労強度を低下させるため本発明ではCの上限
を0.01%以下とした。Niは靱性の高い母相組織を形成さ
せるためには不可欠の元素であるが、8.0%未満では靱性
が劣化する。一方、20%を越えるとオーステナイトが安
定化し、マルテンサイト組織を形成し難くなることか
ら、Niは8.0〜22.0%とした。
【0017】Coは、マトリックスであるマルテンサイト
組織を安定性に大きく影響することなく、Moの固溶度を
低下させることによってMoが微細な金属間化合物を形成
して析出するのを促進することによって析出強化に寄与
するが、その含有量が5.0%未満では必ずしも十分効果が
得られず、また20.0%を越えると脆化する傾向がみられ
ることから、Coの含有量は5.0〜20.0%にした。Moは時効
処理により、微細な金属間化合物を形成し、マトリック
スに析出することによって強化に寄与する元素である
が、その含有量が2.0%未満の場合その効果が少なく、
また9.0%を越えて含有すると延性、靱性を劣化させるF
e、Moを主要元素とする粗大析出物を形成しやすくなる
ため、Moの含有量を2.0〜9.0%とした。
【0018】Tiは、Moと同様に時効処理により微細な金
属間化合物を形成し、析出することによって強化に寄与
する元素であるが、2.0%を越えて含有させると延性、
靱性が劣化する。また、Moで十分硬さが得られている場
合は無添加でも良いため、Tiの含有量を2.0%以下とし
た。Alは脱酸作用を持つだけでなく、時効析出して強化
に寄与するが、1.7%を越えて含有させると靱性が劣化す
ることから、その含有量を1.7%以下とした。
【0019】Nは窒化物系非金属介在物を形成するた
め、0.003%を超えて含有すると窒化物系非金属介在物を
20μm以下とすることが困難となる。よって、その含有
量を0.003%以下に制限する。Oは酸化物系非金属介在物
を形成するため、0.002%を超えて含有すると酸化物系非
金属介在物を20μm以下とすることが困難となる。よっ
て、その含有量を0.002%以下にした。
【0020】なお、本発明ではこれら規定する元素以外
は実質的にFeとしているが、例えばBは、結晶粒を微細
化するのに有効な元素でるため、靱性が劣化しない0.01
%以下で含有させても良い。また、不可避的に含有する
不純物元素のSi、MnはFe、Moを主用元素とする金属間化
合物を粗大化させ靭性に悪影響をもたらすため、Si、Mn
共に0.10%以下とすれば良い。また、P、Sも粒界脆化さ
せたり熱間加工性を低下させるので、0.01%以下とする
と良い。
【0021】
【実施例】以下、実施例として更に詳しく本発明を説明
する。真空溶解で鋳造した表1に示す化学組成の消耗電
極鋼塊を用意し、電流密度を25000A/m2〜140000A/m2
モールド径を300mm〜750mmの範囲で変化させることによ
り、前式のA値を14A/mm〜17A/mmの範囲で変化させてESR
を行って鋼塊を作製した。なお、ESRのフラックスはCaF
2-CaO-Al2O3-TiO2系のものを予めモールド内に全量装入
しておき、Arにより完全に外気を遮断した状態で通電を
開始した。また、その後の溶解もArで置換した雰囲気で
行い、Fill Ratio(電極径/鋼塊径の比)を0.8とした。
本発明のA値を17A/mmとしてESRを行ったものはA、本発
明のA値を15.5A/mmとしてESRを行ったものはB、比較例
のA値を14A/mmとしてESRを行ったものはCし、それぞれ
下記表1のNo.の後に1A、1B、1Cと言うように記号として
付して、以後説明する。
【0022】
【表1】
【0023】No.1A、1B、1Cの材料は、再溶解後の鋼塊
で1250℃×20時間のソーキングを行い、次いで熱間鍛造
を行い熱間鍛造品とした。また、No,2A、2B、2Cの材料
は、再溶解後の鋼塊に熱間鍛造を行い、1250℃×20時間
のソーキングを行った。次に、これら材料に熱間圧延、
820℃×2時間の固溶化処理、冷間圧延、820℃×1時間の
固溶化処理と480℃×3時間の時効処理を行い、マルエー
ジング鋼の鋼帯を作製した。
【0024】得られたマルエージング鋼の鋼帯から介在
物測定用の試験片を50g採取した。採取した試験片を混
酸(硝酸+塩酸)で溶解後、フィルターで濾過し、濾過面
全面を走査型電子顕微鏡で観察し、最大の酸化物系非金
属介在物および窒化物系非金属介在物をそれぞれ探し
た。その後、最大の酸化物系非金属介在物および窒化物
系非金属介在物について1000倍で観察し、最長部の長さ
を測定し、酸化物系非金属介在物および窒化物系非金属
介在物の大きさとして、それぞれ表2に示した。表2よ
り、酸化物系非金属介在物はESR材では比較例No.1C、2C
を含め20μm以下である。また、ESR材において、A値が
大きいほど窒化物系非金属介在物が微細になっており、
本発明のNo.1A、2A、1B、2Bでは20μm以下である。
【0025】
【表2】
【0026】次に、上述のマルエージング鋼帯の圧延方
向における中央部について、試験片を採取し、化学組成
を分析した。化学組成を表3に示す。表3より、再溶解
による化学成分変化はほとんど起こっていない。マルエ
ージング鋼帯の圧延方向における先・後端部についても
中央部と同様に化学組成を分析したが、中央部と差違が
無かった。
【0027】次に、上述のマルエージング鋼帯の圧延方
向における中央部について、試験片を採取し、圧延方向
および板圧方向を含む面を鏡面研磨し、EPMAの面分析で
Ti、Moについて成分偏析を評価した。表3に縞状偏析が
みられたものを×、縞状偏析がみられず均質であったも
のを○と表示する。表3より、No.1A、1B、1C、2A、2
B、2C、の何れの試料にも縞状の偏析がみられず均質で
ある。マルエージング鋼帯の圧延方向における先・後端
部についても中央部と同様に面分析を行ったが、中央部
と同様、縞状の偏析がなく均質であった。
【0028】
【表3】
【0029】また、本発明の製造方法を適用したNo.1
A、1B、2A、2Bの鋼帯では、TiNやTiCNの窒化物系非金属
介在物の大きさも、表2に示すレベルで小さいことが、
EPMA用に作製した鏡面仕上げ試料の断面観察からも確認
できた。一方、比較例のNo.1C、2Cでは、EPMA用に作製
した鏡面仕上げ試料の断面観察からも比較的大きなTi
N、TiCNの窒化物系非金属介在物が確認され、この非金
属介在物を起点とした疲労破壊が起こる可能性が大きい
結果となった。また、酸化物系非金属介在物について
は、EPMA用に作製した鏡面仕上げ試料の全ての断面観察
で確認できるものは5μm以下であり、断面観察によっ
ては差違が確認されなかった。
【0030】
【発明の効果】以上のような結果から、本発明の製造方
法を適用すると、Al2O3等の酸化物系非金属介在物とTi
N、TiCNやAlN等の窒化物系非金属介在物の両方の大きさ
が小さく、しかも、成分偏析も少なくすることができる
ため、繰返し応力が10の7乗回を超える例えば10の
8乗回程度の疲労強度が求められる用途にも適用でき
る、優れた疲労強度を有する高清浄マルエージング鋼を
製造することが出来る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月16日(2002.1.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】好ましくは、上記のESRを行った後、鋼塊
状態または熱間鍛造後の何れか若しくは両方で、1000〜
1300℃で少なくとも5時間以上の保持を行う高清浄マル
エージング鋼の製造方法である。更に好ましくは、上記
のマルエージング鋼は質量%で、C:0.01%以下、Ni:8.0〜
22.0%、Co:5.0〜20.0%、Mo:2.09.0%、Ti:2.0%以下、A
l:1.7%以下、N:0.003%以下、O:0.002%以下、残部は実質
的にFeからなる高清浄マルエージング鋼の製造方法であ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】次に、本発明の組成の限定理由について述
べる。Cは炭化物を形成し、金属間化合物の析出量を減
少させて疲労強度を低下させるため本発明ではCの上限
を0.01%以下とした。Niは靱性の高い母相組織を形成さ
せるためには不可欠の元素であるが、8.0%未満では靱性
が劣化する。一方、22.0%を越えるとオーステナイトが
安定化し、マルテンサイト組織を形成し難くなることか
ら、Niは8.0〜22.0%とした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【実施例】以下、実施例として更に詳しく本発明を説明
する。真空溶解で鋳造した表1に示す化学組成の消耗電
極鋼塊を用意し、電流密度を25000A/m2〜140000A/m2
モールド径を300mm〜750mmの範囲で変化させることによ
り、前式のA値を14A/mm〜17A/mmの範囲で変化させてESR
を行って鋼塊を作製した。なお、ESRのフラックスはCaF
2-CaO-Al2O3-TiO2系のものを予めモールド内に全量装入
しておき、Arにより完全に外気を遮断した状態で通電を
開始した。また、その後の溶解もArで置換した雰囲気で
行い、Fill Ratio(電極径/鋼塊径の比)を0.8とし
た。本発明のA値を17A/mmとしてESRを行ったものはA、
本発明のA値を15.5A/mmとしてESRを行ったものはB、比
較例のA値を14A/mmとしてESRを行ったものはCし、そ
れぞれ下記表1のNo.の後に1A、1B、1Cと言うように記号
として付して、以後説明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】次に、上述のマルエージング鋼帯の圧延方
向における中央部について、試験片を採取し、圧延方向
および板方向を含む面を鏡面研磨し、EPMAの面分析で
Ti、Moについて成分偏析を評価した。表3に縞状偏析が
みられたものを×、縞状偏析がみられず均質であったも
のを○と表示する。表3より、No.1A、1B、1C、2A、2
B、2C、の何れの試料にも縞状の偏析がみられず均質で
ある。マルエージング鋼帯の圧延方向における先・後端
部についても中央部と同様に面分析を行ったが、中央部
と同様、縞状の偏析がなく均質であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA01 AA04 AA10 AA20 AA21 AA24 AA25 AA26 AA35 CA02 CA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレクトロスラグ再溶解を行い、非金属
    介在物の最大長が20μm以下とする高清浄マルエージン
    グ鋼の製造方法であって、前記エレクトロスラグ再溶解
    時の条件を下式に従うA値が15A/mm以上になるようにす
    ることを特徴とする高清浄マルエージング鋼の製造方
    法。 A値[A/mm]=(投入電流)/(モールド内径)
  2. 【請求項2】 エレクトロスラグ再溶解を行った後、鋼
    塊状態または熱間鍛造後の何れか若しくは両方で、1000
    〜1300℃で少なくとも5時間以上の保持を行うことを特
    徴とする請求項1に記載の高清浄マルエージング鋼の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のマルエージン
    グ鋼は、質量%で、C:0.01%以下、Ni:8.0〜22.0%、Co:5.
    0〜20.0%、Mo:2.0~9.0%、Ti:2.0%以下、Al:1.7%以下、
    N:0.003%以下、O:0.002%以下、残部は実質的にFeからな
    ることを特徴とする高清浄マルエージング鋼の製造方
    法。
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