JP2003183222A - 含フッ素ジカルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素ジカルボニル化合物の製造方法

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JP2003183222A
JP2003183222A JP2001380140A JP2001380140A JP2003183222A JP 2003183222 A JP2003183222 A JP 2003183222A JP 2001380140 A JP2001380140 A JP 2001380140A JP 2001380140 A JP2001380140 A JP 2001380140A JP 2003183222 A JP2003183222 A JP 2003183222A
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group
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fluorine
reaction
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Takashi Okazoe
隆 岡添
Kazuya Oharu
一也 大春
Daisuke Shirakawa
大祐 白川
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フッ素化工程における損失を低減させ、空間効
率が高く、分離操作を簡略化させ、反応操作がしやす
く、経済性においても有利な含フッ素ジカルボニル化合
物(5)の製造方法の提供。 【解決手段】化合物(1)と化合物(2)をエステル化
反応させて、単位(3a)と単位(3b)とが交互に連
なったポリエステルを得て、つぎに該ポリエステルを液
相フッ素化することにより単位(4a)と単位(4b)
とが交互に連なったフッ素化ポリエステルを得て、つぎ
に該フッ素化ポリエステルのエステル結合の分解反応を
行い化合物(5)を得る。ただし、R、Rは水素原
子、アルキル基等;R1F、R2Fはフッ素原子、ペル
フルオロアルキル基等;X、Xはハロゲン原子等;
、Qは単結合、2価有機基;Q1F、Q2Fは単
結合、フッ素化された2価有機基等。ただし、R1F
2F、およびQ1Fから選ばれる1つ以上の基は、フ
ッ素化反応によって形成した基。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に有用な含
フッ素ジカルボニル化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素原子が炭素原子に結合した化学構造
(C−H)を含有する化合物の該水素原子をフッ素化す
る方法として、フッ素ガスを用いる方法が知られてい
る。
【0003】化合物が高分子化合物である場合には、気
相反応を行うことは困難であることから固体または液体
で反応を行う方法としてつぎの方法が知られている。
(1)高分子化合物をそのままフッ素ガスと接触させて
フッ素化する方法(La Mar法)。(2)高分子化
合物を媒体に含ませて、媒体にフッ素ガスを導入してフ
ッ素化する液相フッ素化法。
【0004】また、出願人はこれまでに、液相フッ素化
を高収率かつ安全に実施して、種々の低分子化合物を得
る方法として、アルコールと−COF基等の反応性基を
1個有する化合物(以下、反応性化合物とも記す。)と
の反応によって部分フッ素化されたエステルを製造し、
つぎにフッ素ガスを用いた液相フッ素化を行うことによ
って、フッ素原子がより多く導入された含フッ素エステ
ルを製造する方法を提供してきた(WO00/5669
4号、WO01/16085号、WO01/46093
号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法で
製造する含フッ素エステルが低分子量である場合には、
液相フッ素化に用いるフッ素ガスや、フッ素ガスを希釈
するために用いる不活性ガスに同伴された含フッ素エス
テルが反応系外に排出される問題があった。そして、こ
の問題を解決するために、部分フッ素化エステルの分子
量を大きくする方法は、単位体積あたりの反応効率が低
下する問題や、経済的でない問題があった。また、アル
コールが2以上の水酸基を有する化合物である場合に
は、エステル化反応に2倍モル量以上の反応性化合物を
反応させる必要があるため、空間効率が低下する問題が
あった。また、含フッ素エステルを分解させて生成する
生成物から、ジカルボニル化合物と、該化合物以外の化
合物の分離が必須であり、製造コストが高くなる問題も
あった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、含フッ素
ジカルボニル化合物の製造において、目的化合物に対応
する特定構造のポリエステルとしたうえで液相フッ素化
を行った後にエステル結合の分解反応を行う方法を見出
した。そして該方法は、フッ素化工程における損失を低
減させ、空間効率が高く、分離操作を簡略化させうる方
法であることを見出した。また該方法は、反応操作がし
やすく、経済性においても有利であることを見出した。
【0007】すなわち本発明は、下式(1)で表される
化合物と下式(2)で表される化合物をエステル化反応
させて、下式(3a)で表される単位と下式(3b)で
表される単位が交互に連なった構造を必須とするポリエ
ステルを得て、つぎに該ポリエステルを液相フッ素化す
ることにより式(4a)で表される単位と下式(4b)
で表される単位が交互に連なった構造を必須とするフッ
素化ポリエステルを得て、つぎに該フッ素化ポリエステ
ルのエステル結合の分解反応を行うことを特徴とする下
式(5)で表される含フッ素ジカルボニル化合物の製造
方法を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R、R:それぞれ独立に水素原子または1価有機
基。 R1F、R2F:R1FはRに、R2FはRに対応
する基であり、R、Rがそれぞれ水素原子である場
合のR1F、R2Fは、水素原子またはフッ素原子、R
、Rがそれぞれ1価有機基である場合のR1F、R
2Fは、フッ素化された1価有機基またはR、R
同一の基。 X、X:それぞれ独立にハロゲン原子または水酸
基。 Q、Q:それぞれ独立に単結合または2価有機基。 Q1F、Q2F:Q1FはQに、Q2FはQに対応
する基であり、Q、Qがそれぞれ単結合である場合
のQ1F、Q2Fは単結合であり、Q、Qがそれぞ
れ2価有機基である場合のQ1F、Q2Fはフッ素化さ
れた2価有機基またはQ、Qと同一の基。ただし、
1F、R2F、およびQ1Fから選ばれる1つ以上の
基は、フッ素化反応によって形成した基を示す。
【0010】
【発明の実施の態様】本明細書においては、式(1)で
表される化合物を、化合物(1)と記す。他の式で表さ
れる化合物においても同様に記す。
【0011】本明細書における有機基とは、炭素原子を
必須とする基をいう。有機基としては、炭化水素基、ヘ
テロ原子含有炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、また
はハロゲン化(ヘテロ原子含有炭化水素)基が挙げられ
る。有機基としては、飽和の基であるこれらの基が好ま
しい。また有機基としては、フッ素化反応時に用いる液
相への溶解性の観点から、炭素数は1〜20であるのが
好ましく、特に炭素数は1〜10であるのが好ましい。
【0012】炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が
好ましい。また、ハロゲン化された基におけるハロゲン
原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、また
はヨウ素原子であり、フッ素原子、塩素原子、または臭
素原子が好ましく、とりわけ化合物の有用性の観点から
フッ素原子、またはフッ素原子と塩素原子が好ましく、
さらにフッ素原子が好ましい。
【0013】1価炭化水素基としては、アルキル基が挙
げられ、その構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、ま
たは部分的に環である構造のいずれであってもよい。2
価炭化水素基としては、アルキレン基が挙げられ、その
構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または環部分を
有する構造、のいずれであってもよい。アルキル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イ
ソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基等が挙げられる。また、アルキレン基と
しては、上記アルキル基の水素原子の1個が結合手とな
った基が挙げられる。
【0014】フッ素化された炭化水素基のうち1価の基
としては、フルオロアルキル基が挙げられ、2価の基と
しては、フルオロアルキレン基が挙げられる。本明細書
におけるペルフルオロ化とは、フッ素化されうる構造の
全てがフッ化されたことをいう。ペルハロゲン化炭化水
素基のうち1価の基としては、ペルフルオロアルキル基
が好ましく、2価の基としては、ペルフルオロアルキレ
ン基が好ましい。
【0015】ヘテロ原子炭化水素基としては、エーテル
性酸素原子含有基が特に好ましい。特に入手しやすさ、
製造しやすさ、および生成物の有用性の点から、1価の
基としてはエーテル性酸素原子を含むアルキル基(たと
えば、アルコキシアルキル基等。)が好ましく、2価の
基としてはエーテル性酸素原子を含むアルキレン基(た
とえば、アルキレンオキシアルキレン基、ポリオキシア
ルキレン基等。)が好ましい。
【0016】フッ素化されたヘテロ原子含有炭化水素基
のうち、1価の基としてはフルオロ(ヘテロ原子含有ア
ルキル)基が好ましく、2価の基としては、フルオロ
(ポリオキシアルキレン)基が好ましい。また、ペルフ
ルオロ化されたヘテロ原子含有炭化水素基のうち1価の
基としてはペルフルオロ(アルコキシル)基、2価の基
としてはペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)基が好
ましい。
【0017】化合物(1)におけるRおよびRは水
素原子または1価有機基であり、R およびRは、い
ずれも水素原子であるか、または、RおよびRが同
一であっても異なっていてもよい1価有機基である(特
に同一の1価有機基である)のが好ましい。さらに本発
明における化合物(1)としては、入手しやすさから、
フッ素原子を含まない化合物であるのが好ましいことか
ら、R、Rは、水素原子またはアルキル基が好まし
く、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
【0018】Qは単結合または2価有機基であり、Q
が単結合である場合には、−CH(R)−と−CH
(R)−とは直接結合している。Qが2価有機基で
ある場合には、アルキレン基、またはエーテル性酸素原
子を含むアルキレン基が好ましい。
【0019】化合物(1)の具体例としては、下記化合
物が挙げられる。ただし、a、b、c、d、k、rはそ
れぞれ独立に1以上の整数であり、aは1〜10が好ま
しく、bは1〜3が好ましく、dは1〜5が好ましく、
kは1〜10が好ましく、rは1〜3が好ましい。eお
よびhは、それぞれ0以上の整数であり、かつ(e+
h)は1以上の整数を示す。eおよびhは、それぞれ1
〜10の整数が好ましい。
【0020】HO(CHOH、HO(CH(CH
)CHOH、HO((CHO)H、H
O(CH(CH)CHO)(CHCH(C
)O)H、HO(CHCHO)(CH
OH。
【0021】
【化3】
【0022】化合物(1)は、種々の構造の市販品が入
手でき、また公知の方法により多様な構造の化合物が入
手できる。この化合物(1)は、通常吸湿しやすい性質
を有する化合物であって水を含むものとして入手される
ことが多いが、本発明の液相フッ素化反応を円滑に実施
するためには、この水をできるだけ除いておくのが好ま
しい。水は通常の脱水処理により除去でき、たとえば、
減圧下に置く、モレキュラシーブ等の乾燥剤を添加する
等の方法が挙げられる。またつぎの液相フッ素化反応を
安定に進行させるために、化合物(1)中の水の量は5
0質量ppm以下にするのが好ましく、特に5質量pp
m以下にするのが好ましい。
【0023】本発明における化合物(2)において、X
、Xはそれぞれ独立にハロゲン原子または水素原子
であり、XおよびXは同一の原子であるのが好まし
く、両方がハロゲン原子であるのが入手しやすさの観点
から好ましい。さらにXおよびXの両方がハロゲン
原子である場合には、両方がフッ素原子または塩素原子
であるのが好ましく、とりわけ後述する連続反応を実施
するうえでXおよびXの両方がフッ素原子であるの
が好ましい。
【0024】化合物(2)におけるQは単結合または
2価有機基であり、Qが単結合である場合には、−C
OXと−COXとが直接結合していることを意味す
る。化合物(2)の入手しやすさの観点から、Qは2
価有機基であるのが好ましい。さらに化合物(2)は、
後述するフッ素化反応における液相への溶解性の観点か
ら、フッ素原子を含む化合物であるのが好ましく、Q
が含フッ素2価有機基であるのが好ましく、特に含フッ
素飽和2価有機基であるのが好ましい。該含フッ素2価
有機基としては、含フッ素アルキレン基または含フッ素
(エーテル性酸素原子含有アルキレン)基が好ましく、
特に含フッ素(エーテル性酸素原子含有アルキレン)基
が好ましく、とりわけペルフルオロ(エーテル性酸素原
子含有アルキレン)基が好ましい。
【0025】化合物(2)の具体例としては、下記化合
物が挙げられる。ただし、s、t、v、wおよびzはそ
れぞれ1〜10の整数を示し、2〜10の整数が好まし
い。FCO(CFCOF、FCO(CF
(CFCOF、FCOCF(CF)O(C
COF、FCOCFCF(CF)O(CF
COF、FCO((CFO)COF。
【0026】本発明においては、化合物(1)と化合物
(2)のエステル化反応を行い、ポリエステルを得る。
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合を2以
上有する化合物をいう。エステル化反応は、通常のエス
テル化反応の条件を適用して実施できる。エステル化反
応は溶媒(以下、溶媒1という。)の存在下に実施する
のが好ましい。溶媒1としては、ジクロロペンタフルオ
ロプロパン、または、ペルフルオロアルカン類、また
は、塩素原子、窒素原子、および酸素原子から選ばれる
1種以上の原子を構造中に有する公知の有機溶剤のう
ち、化合物(1)、化合物(2)と相溶性であり、か
つ、つぎのエステル化反応で生成するポリエステルを溶
解しうる溶媒を用いるのが好ましい。また、化合物
(2)がペルフルオロ化された化合物である場合(以
下、化合物(2F)という。)において、エステル化反
応おいて該化合物(2F)を化学量論量よりも過剰量使
用したときには、過剰量の化合物(2F)は溶媒として
作用しうる。すなわち、化合物(2F)もまた、溶媒1
として使用できる。
【0027】本発明における溶媒1としては、化合物
(2F)を、化合物(1)と反応させる化合物(2)と
し、これを化学量論量よりも過剰量用いることによって
溶媒1として作用させるのが好ましい。溶媒1が化合物
(2F)以外の有機溶媒である場合の使用量は、化合物
(1)と化合物(2)の総量に対して50〜500質量
%とするのが好ましい。
【0028】また、化合物(1)と化合物(2)との反
応では、HXおよびHXで表される酸が発生する。
化合物(2)として、XおよびXがフッ素原子であ
る化合物を用いた場合にはHFが発生するため、HFの
捕捉剤としてアルカリ金属フッ化物(フッ化ナトリウム
等)やトリアルキルアミンを反応系中に存在させてもよ
い。HFの捕捉剤は、化合物(1)または化合物(2)
が酸に不安定である場合には使用するのが特に好まし
い。また、HFの捕捉剤を使用しない場合には、HFを
窒素気流に同伴させて反応系外に排出するのが好まし
い。アルカリ金属フッ化物を用いる場合の量は化合物
(2)に対して1〜10倍モルとするのが好ましい。
【0029】XまたはXが水酸基である場合には、
化合物(1)と化合物(2)との脱水縮合反応により水
が生成する。この水はつぎの液相フッ素化反応において
望ましくない反応を引き起こすおそれがあることから、
エステル化反応後の生成物からは水を除去するのが好ま
しい。エステル化反応後の生成物中に含まれる水の量
は、50wtppm以下であるのが好ましく、特に5w
tppm以下であるのが好ましい。水は、上記と同様の
通常の脱水処理により除去できる。
【0030】化合物(1)と化合物(2)との反応にお
ける反応温度は、通常の場合は−50℃以上であるのが
好ましく、+100℃以下であるのが好ましい。また、
該反応の反応時間は化合物の供給速度と供給量に応じて
適宜変更されうる。反応圧力(ゲージ圧、以下同様。)
は常圧〜2MPaが好ましい。
【0031】本発明のポリエステルは、式(3a)で表
される単位の1単位以上と式(3b)で表される単位の
1単位以上とが交互に連なった構造を必須とする。これ
らの単位が2単位以上存在する場合には、それぞれの単
位の左右の向きは限定されない。また、ポリエステルの
末端は、下式(2−1)〜式(2−4)で表される構造
のいずれかになりうる。XCO−Q−COO−(2
−1)、XCO−Q−COO−(2−2)、HO−
CH(R)−Q−CH(R)−OCO−(2−
3)、HO−CH(R)−Q−CH(R)−OC
O−(2−4)。
【0032】本発明におけるエステル化反応は、化合物
(2)の量が過剰量になるように用いて反応を行うのが
好ましい。反応後に化合物(1)が残留すると、次の液
相フッ素化工程において望ましくない反応が進行するお
それがある。
【0033】一方、化合物(1)に対する化合物(2)
の量を過剰量にしてエステル化反応を行った場合には、
ポリエステルの両末端は、式(2−1)で表される構
造、または式(2−2)で表される構造、のいずれかに
なる。上記式(2−1)または式(2−2)で表される
構造においてXおよびXがハロゲン原子である場合
には、次工程の液相フッ素化時の望ましくない反応を防
止でき、良好な反応を実施できる点でより好ましい。す
なわち、化合物(1)に対する化合物(2)の量は過剰
量であるのが好ましく、特に1.5倍モル以上とするの
が好ましく、1.5〜5倍モルとするのが特に好まし
い。
【0034】さらにエステル化反応における化合物
(2)としては、前述のごとく、ペルフルオロ化された
化合物である場合の化合物(2F)を過剰量用いて、こ
れを溶媒として作用させるのが好ましい。過剰量の化合
物(2F)を用いることによって、エステル化反応生成
物中の化合物(1)の残留量を減らすことができる。ま
た、過剰量の化合物(2F)は、液相フッ素化工程での
溶媒としても機能しうることから、エステル化反応後の
溶媒の除去工程を省略できる。
【0035】本発明における化合物(1)と化合物
(2)のエステル化反応で生成するポリエステル中のR
、R、Q、およびQは、上記と同じ意味を示
し、反応に使用した化合物(1)と化合物(2)におけ
るものと同一である。
【0036】ポリエステルの末端部分の構造が式(2−
1)または式(2−2)で表される構造であり、かつ、
およびXがハロゲン原子である場合には、ポリエ
ステルをそのまま次の工程のフッ素化に用いてもよい
が、末端に水酸基が存在する構造である場合(すなわ
ち、末端が式(2−1)または式(2−2)で表される
構造であり、かつ、XおよびXが水酸基である場
合。または、式(2−3)、式(2−4)で表される構
造である場合。)には、該水酸基を、フッ素化反応にお
いて安定な構造に変換しておくのが好ましい。変換の方
法としては、下式(10)で表される化合物を反応させ
る方法が挙げられる。ただし、Xはハロゲン原子を示
し、Qはフッ素化反応で変化しないu価有機基を示
し、uは1以上の整数を示し、1または2が好ましい。
【0037】(XCO)・・・・(10) 化合物(10)としては、化合物(2)、化合物(2
F)であってもよい。また、フッ素化反応の系中の水の
量は50wtppm以下に保つのが好ましく、特に5w
tppm以下に保つのが好ましいことから、水の量が該
量の範囲になるように、エステル化反応の生成物、また
水酸基末端を反応させた後の生成物からは水を除去して
おくのが好ましい。
【0038】液相フッ素化反応を良好に実施させるため
には、化合物(3)のフッ素含有量は、20質量%以上
にするのが好ましく、20〜86質量%にするのが特に
好ましく、とりわけ20〜76質量%にするのが好まし
い。フッ素含有量が少なすぎると液相中への溶解性が極
端に低くなり、フッ素化反応の反応系が不均一になる問
題や、化合物(3)をうまく反応系中フィードすること
ができない問題がある。また、フッ素含有量の上限は限
定されないが、あまりに高すぎるものは、化合物(3)
の製造価格が高く経済的ではない問題がある。
【0039】エステル化反応で生成するポリエステルの
分子量は600〜1×10であるのが好ましい。分子
量が小さすぎると蒸気圧を持ち、ガスによって気相に同
伴されるおそれがある。一方、分子量が大きすぎると液
相に溶解しにくくなり、液相フッ素化が実施しにくくな
るおそれがある。
【0040】次に本発明においては、化合物(3)を液
相中でフッ素と反応させて式(4a)で表される単位と
式(4b)で表される単位が交互に連なった構造を必須
とするフッ素化ポリエステルを得る。本発明でいうフッ
素化反応とは、化合物(3)の分子中にフッ素原子が1
原子以上結合する反応をいう。
【0041】本発明において、液相中でのフッ素化は、
フッ素ガスをポリエステルを含む液相中に導入する方法
によるのが好ましい。フッ素ガスは、そのままを用いて
も、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよ
い。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好
ましく、経済的な理由から窒素ガスが特に好ましい。窒
素ガス中のフッ素ガス量は特に限定されず、10vol
%以上とするのが効率の点で好ましく、20vol%以
上とするのが特に好ましい。
【0042】媒体としてはフッ素(F)を溶解し得る
溶媒(以下、溶媒2という)を用いることができる。該
溶媒2としては、C−H結合を含まずC−F結合を必須
とする溶媒が好ましく、さらに、ペルフルオロアルカン
類、または、塩素原子、窒素原子、および酸素原子から
選ばれる1種以上の原子を構造中に有する公知の有機溶
剤をペルフルオロ化した有機溶剤が好ましい。溶媒2は
ポリエステル量を1質量%以上溶解しうる溶媒が、特に
5質量%以上溶解しうる溶媒が好ましい。また溶媒2の
量は、ポリエステルに対して、5倍質量以上が好まし
く、特に10〜100倍質量が好ましい。
【0043】さらに溶媒2としては、化合物(2F)で
あるのが好ましい。化合物(2F)を溶媒2とする場合
には、化合物(2F)を過剰に用いて行ったエステル化
反応の生成物を、化合物(2F)を含むままフッ素化反
応に用いるのが好ましい。
【0044】化合物(2F)以外の溶媒2の例として
は、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロエーテル
類、ペルフルオロポリエーテル類、クロロフルオロカー
ボン類、クロロフルオロポリエーテル類、ペルフルオロ
アルキルアミン、不活性流体等が挙げられる。
【0045】液相フッ素化反応は、公知の液相フッ素化
の手法を適用して実施するのが好ましい。フッ素ガス
は、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したフッ素ガスを使
用してもよい。
【0046】液相フッ素化反応においては、ポリエステ
ル中の水素原子に対して、フッ素の量が常に過剰当量と
なる状態で反応を行うのが好ましく、特に1.5倍当量
以上(すなわち、1.5倍モル以上)になるようにフッ
素を使用するのが選択率の点から好ましい。また、フッ
素量は反応の開始時点から終了時点まで常に過剰量を維
持し続けるのが好ましい。
【0047】フッ素化反応の反応温度は、通常は−60
℃以上が好ましく、反応収率、選択率、および工業的実
施のしやすさの点から−50℃〜+100℃が特に好ま
しく、−20℃〜+50℃がとりわけ好ましい。フッ素
化反応の反応圧力は特に限定されず、0〜2MPaが、
反応収率、選択率、工業的な実施のしやすさの観点から
特に好ましい。
【0048】さらに、フッ素化反応を効率的に進行させ
るためには、反応系中に低分子のC−H結合含有化合物
を添加する、または、紫外線照射を行う、のが好まし
い。これにより、反応系中に存在するポリエステルを効
率的にフッ素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。
【0049】低分子のC−H結合含有化合物としては、
芳香族炭化水素が好ましく、とりわけベンゼン、トルエ
ン等が好ましい。該C−H結合含有化合物の添加量は、
ポリエステル中の水素原子に対して0.1〜10モル%
であるのが好ましく、特に0.1〜5モル%であるのが
好ましい。
【0050】C−H結合含有化合物は、反応系中にフッ
素ガスが存在する状態で添加するのが好ましい。さら
に、C−H結合含有化合物を加えた場合には、反応系を
加圧するのが好ましい。加圧時の圧力としては、0.0
1〜5MPaが好ましい。
【0051】フッ素化ポリエステルの単位中のR1F
に対応する基、R2FはRに対応する基であり、
1FはQに対応する基、Q2FはQに対応する基
である。フッ素化反応の前後で該基の炭素原子の並び方
は変化せず、ポリエステルに対応する炭素骨格を有する
フッ素化ポリエステルが生成する。ただし、化合物
(3)中に炭素−炭素不飽和結合がある場合には、不飽
和結合の1個以上にフッ素原子が付加して結合状態が変
化してもよい。
【0052】R1Fは、Rが水素原子であってフッ化
されなかった場合は水素原子であり、またはRがフッ
素に置換されうる原子または原子団を有していない1価
有機基であってフッ素化されなかった場合には、R
同一の基になる。R1Fは、Rが水素原子でありフッ
素化された場合にはフッ素原子であり、Rがフッ素原
子に置換されうる原子または原子団を有する1価有機基
でありフッ素化された場合にはRがフッ素化された1
価有機基である。R2Fにおいても同様である。
【0053】Q1Fは、Qが単結合である場合には単
結合、Qがフッ素に置換されうる原子または原子団を
有していない2価有機基であってフッ素化されなかった
場合にはQと同一の基である。一方Q1Fは、Q
フッ素に置換されうる原子または原子団を有する2価有
機基でありフッ素化された場合には、Qはフッ素化さ
れた2価有機基である。
【0054】本発明における液相フッ素化は、ポリエス
テルをペルフルロ化する反応であるのが好ましい。ポリ
エステル中のRおよびRは、水素原子またはアルキ
ル基が好ましいことから、フッ素化ポリエステルにおけ
る対応するR1FおよびR は、フッ素原子またはペ
ルフルオロアルキル基が好ましい。また、Qはアルキ
レン基、またはエーテル性酸素原子を含むアルキレン基
が好ましいことから、Q1Fは、ペルフルオロアルキレ
ン基またはペルフルオロ化された(エーテル性酸素原子
を含むアルキレン)基が好ましい。Qとしては、含フ
ッ素アルキレン基または含フッ素(エーテル性酸素原子
含有アルキレン)基が好ましいことから、これらの基
(Q)がフッ素化されうる基である場合には、Q2F
はペルフルオロ化されたこれらの基(Q)が好まし
く、特にペルフルオロアルキレン基が好ましい。またこ
れらの基(Q)がペルフルオロ化された基である場合
には、Q2Fはこれらの基(Q)と同一の基になり、
ペルフルオロアルキレン基が好ましい。
【0055】式(4a)で表される単位の具体例として
は、以下の例が挙げられる。ただし下式中の記号は、上
記と同じ意味を示す。 −[O(CFO]−、 −[O(CF(CF)CFO]−、 −[O((CFO)]−、 −[O(CF(CF)CFO)(CFCF(C
)O)]−、 −[O(CFCFO)(CFO]−。
【0056】式(4b)で表される単位の具体例として
は、以下の例が挙げられる。ただし下式中の記号は、上
記と同じ意味を示す。 −[CO(CFCO]−、 −[CO(CFO(CFCO]−、 −[COCF(CF)O(CFCO]−、 −[COCFCF(CF)O(CFCO]
−、 −[CO((CFO)CO]−。
【0057】フッ素化ポリエステルの末端構造は、ポリ
エステルの末端がハロゲン化アシル基である場合には維
持され、水酸基である場合には、隣接するトリフルオロ
メチル基等になりうる。
【0058】つぎに本発明においては、ポリエステルの
エステル結合を分解して含フッ素ジカルボニル化合物
(5)を得る。化合物(4)のエステル結合を分解する
反応は、液相反応で実施することが好ましい。該反応
は、加熱する方法、または、求核剤の存在もしくは求電
子剤の存在下に加熱する方法、によって実施するのが特
に好ましい。
【0059】加熱することによりエステル結合を分解す
る場合(以下、熱分解という)、反応器内で含フッ素ポ
リエステルの溶液を、加熱する液相熱分解法により実施
するのが好ましい。熱分解反応の反応圧力は限定されな
い。エステル結合分解反応で生成物する化合物(5)の
沸点が、蒸留しうる程度の沸点である場合には、熱分解
反応を、蒸留塔が付いた反応装置を用いて蒸留しながら
反応を行い、化合物(5)を気化させて連続的に抜き出
す形式により反応を行うのが好ましい。生成物は、加熱
終了後に反応器中から一括して生成物を抜き出す方法で
あってもよい。液相熱分解法の反応温度は50〜300
℃が好ましく、特に100〜250℃が好ましい。
【0060】熱分解反応は、化合物(4)が反応温度に
おいて液状である場合は、溶媒を使用してもしなくても
よく、固体である場合には溶媒(以下、溶媒3とい
う。)に溶解させて溶液状にした後に反応を行うのが好
ましい。
【0061】溶媒3としては、化合物(5)の精製時、
または後述する化合物(6)の精製時に分離しやすいも
のを選定するのが好ましい。溶媒3の具体例としては、
ペルフルオロトリアルキルアミンなどの不活性溶媒、ク
ロロフルオロカーボン類等のなかでも高沸点であるクロ
ロトリフルオロエチレンオリゴマー(たとえば、商品
名:フロンルーブ)、が好ましい。また、溶媒3の量は
含フッ素ポリエステルに対して10〜1000質量%が
好ましい。
【0062】また、エステル結合の分解反応を求核剤ま
たは求電子剤と反応させる方法で行う場合、該反応は、
溶媒(以下、溶媒4という。)の存在下に行うのが好ま
しい。溶媒4としては、溶媒3と同様の例が挙げられ
る。求核剤としてはFが好ましく、特にアルカリ金属
のフッ化物由来のFが好ましい。アルカリ金属のフッ
化物としては、NaF、NaHF、KF、CsFがよ
く、これらのうち経済性の面からNaFがとくに好まし
い。
【0063】求核剤(たとえばF)を用いる場合の量
は触媒量であってもよく、過剰に用いてもよい。F
の求核剤の量はポリエステルのエステル結合に対して1
〜500モル%が好ましく、10〜100モル%が特に
好ましく、とりわけ5〜50モル%が好ましい。反応温
度は、50〜200℃が特に好ましい。この方法も、蒸
留塔をつけた蒸留装置で実施するのが好ましい。
【0064】含フッ素エステルのエステル分解反応では
化合物(5)が生成する。化合物(5)中のR1F、R
2F、およびQ1Fは、式(4)におけるこれらと同一
である。
【0065】化合物(5)の具体例としては、つぎの例
が挙げられる。FCOC(O)(CF)、FC(O)
CFCFCFCFC(O)F。
【0066】含フッ素エステルのエステル分解反応の反
応生成物中には、通常の条件では化合物(5)ととも
に、下記化合物(6)が含まれる。ただし、Q2Fは上
記と同じ意味を示す。
【0067】FCO−Q2F−COF(6) 化合物(6)は化合物(2)におけるQがQ2Fであ
りかつXおよびXがフッ素原子である化合物であ
り、その具体例としては、化合物(2)において例示し
た化合物が挙げられる。
【0068】化合物(6)は化合物(1)と反応させる
化合物(2)として再利用するのが好ましい。化合物
(2)を再利用することにより、化合物(5)を連続製
造できる。該方法はすなわち、化合物(1)と化合物
(2)をエステル化反応させて式(3a)で表される単
位と式(3b)で表される単位が交互に連なった構造を
有するポリエステルとし、該ポリエステルを液相フッ素
化して式(4a)で表される単位と式(4b)で表され
る単位が交互に連なった構造を有する含フッ素ポリエス
テルとし、該含フッ素ポリエステルのエステル結合を分
解した反応生成物から化合物(5)とともに化合物
(6)を得て、該化合物(6)の一部または全部を、化
合物(1)と反応させる化合物(2)として用いる方法
である。
【0069】本発明の製造方法において、R1FとR
2Fがフッ素原子であり、かつQ1FとQ2Fが同一構
造である場合には、化合物(5)と化合物(6)とは同
一化合物となることから、生成物は化合物(5)のみ
(または化合物(6)のみ)となり、生成物の分離の手
間を省略できる利点がある。
【0070】本発明の方法によれば、入手が容易な化合
物(1)から、該化合物(1)の構造に対応する含フッ
素ジカルボニル化合物(5)が製造できる。特にR
が水素原子である場合において、Q1FとQ2F
同一構造になるように化合物(1)と化合物(2)の構
造を構造を選択した場合には、含フッ素ジカルボニル化
合物(5)を連続製造できる。得られた含フッ素ジカル
ボニル化合物において、末端部分が−COF基である化
合物は、公知の方法によって不飽和二重結合に導くこと
ができる、該化合物は、重合性の不飽和基を2個有する
化合物であり、これを重合させた重合体は、含フッ素イ
オン交換膜製造モノマーの原料等として有用な化合物で
ある。また、両末端がケトンである化合物は、これを還
元することにより、水酸基を2個有する含フッ素ジオー
ルに導くことができる。
【0071】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。 [例1]CFCO−COFの製造例 (例1−1)プロピレングリコールとアジピン酸フルオ
リドのエステル化体の製造例 市販のパーフルオロアジピン酸フルオリド(168.6
g)を、あらかじめ窒素で充分に置換された500mL
のハステロイ製オートクレーブに投入した。さらに、内
温を30℃に保ち、窒素をバブリングしながら、激しく
撹拌を行った。オートクレーブガス出口には、20℃に
保持した冷却器、NaFペレット充填層、およびアルカ
リ除去用のトラップを、直列に設置した。同オートクレ
ーブに、エバポレータを用いて脱水処理(70℃、2時
間)を行ったプロピレングリコール(23g)を1時間
かけて滴下した。滴下終了後、内温を50℃に昇温し
て、窒素をバブリングしながら12時間撹拌して、粗液
(164.1g)を回収した。回収した粗液の一部をエ
パポレーターで濃縮したところ、全粗液中には室温で液
状の重合体(57.1g)が含まれていた。
【0072】該重合体をH−NMRおよび19F−N
MRで分析した結果、式−[O−CHCH(CH
O]−で表される単位と、式−[C(O)CFCF
CF CFC(O)]−で表される単位が交互に連な
ったポリエステルであることが確認された。また、−
[O−CHCH(CH)−O]−で表される単位
と、−[C(O)CFCFCFCFC(O)]
−で表される単位との比は1:1.88(モル比)であ
った。また、IRスペクトルにより粗液中に未反応の水
酸基が残存しないことを確認した。 H−NMR(300.4MHz,溶媒:CDCl
基準:TMS)δ(ppm):1.45(3H),4.
5(2H),5.47(1H)。19 F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDC
、基準:CFCl)δ(ppm):24.5(1
F),−117.8(4F),−118.5(4F)。
【0073】(例1−2)例1−1で得た重合体のフッ
素化例 500mLのハステロイ製オートクレーブに、ペルフル
オロアジピン酸フルオリド(354g)を溶媒として加
え、撹拌して25℃に保った。オートクレーブガス出口
には、−20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填
層、およびアルカリ除去用トラップを直列に設置した。
窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希
釈したフッ素ガス(以下、希釈フッ素ガスと記す。)
を、流速5.34L/hで1時間吹き込んだ。
【0074】つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き
込みながら、例1−1で得た重合体を5wt%の濃度で
含む粗液(20.4g)を3.25時間かけて注入し
た。つぎに、希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みなが
ら、ペルフルオロアジピン酸フルオリドを6mL注入し
た。さらに、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
【0075】反応終了後、ペルフルオロアジピン酸フル
オリドを蒸留で留去して、室温で液体の生成物(8.3
1g)を得た。生成物を分析した結果、式−[O−CF
CF(CF)O]−で表される単位と式−[C
(O)CFCFCFCFC(O)]−で表され
る単位が交互に連なった重合体が生成していることを確
認した。また該生成物中には、例1−1で得た重合体の
水素原子の一部がフッ素化された重合体の生成も認めら
れ、得られた重合体のフッ素化率(フッ素化率とは例1
−1で得た重合体の水素原子のうちフッ素化された水素
原子の割合)は、97.5%(モル%)であった。重合
体のNMRデータは、以下のとおりである。
【0076】H−NMR(300.4MHz、溶媒:
13、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)
δ(ppm):6.4〜7.0。19 F−NMR(282.7MHz、溶媒:R13、
基準:CDCl、内部標準:ヘキサフルオロベンゼ
ン)δ(ppm):−81.0,−86.0,−11
7.8,−118.5,−144.3。
【0077】(例1−3)例1−2で得た重合体のエス
テル結合の分解反応(液相熱分解反応)の例 例1−2で得た重合体(7.5g)と、充分に乾燥した
KF粉末(0.23g)を、アンプル管(10mL)に
仕込み、激しく撹拌しながら120℃まで加熱し、4時
間保持した。冷却後、アンプル管にフッ素樹脂製捕集用
容器を設置し、ガス状サンプル(2.3g)を回収し
た。該ガス状サンプルをGC−MSで分析した結果、C
C(O)COFおよびFCO(CFCOFの
生成を確認した。CFC(O)COFの収率は82.
3%であった。
【0078】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、フッ素化工
程における損失を少なくして、高い空間効率で含フッ素
ジカルボニル化合物を製造できる。本発明の方法は、分
離操作が簡略化されており、反応操作がしやすく、経済
性においても有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 63/91 C08G 63/91 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC26 AC44 AC47 AC48 BE61 BM10 BM71 BR10 BS90 4J029 AA03 AB07 AC01 AD10 AE18 BA01 BA02 BA07 BA08 BD04A CG01 CG21 CG23Y CG24Y CG25Y HB05 JA061 JF031 KB02 KB05 KD02 KE08 KH01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(1)で表される化合物と下式(2)
    で表される化合物をエステル化反応させて、下式(3
    a)で表される単位と下式(3b)で表される単位が交
    互に連なった構造を必須とするポリエステルを得て、つ
    ぎに該ポリエステルを液相フッ素化することにより式
    (4a)で表される単位と下式(4b)で表される単位
    が交互に連なった構造を必須とするフッ素化ポリエステ
    ルを得て、つぎに該フッ素化ポリエステルのエステル結
    合の分解反応を行うことを特徴とする下式(5)で表さ
    れる含フッ素ジカルボニル化合物の製造方法。 【化1】 ただし、式中の記号は以下の意味を示す。 R、R:それぞれ独立に水素原子または1価有機
    基。 R1F、R2F:R1FはRに、R2FはRに対応
    する基であり、R、Rがそれぞれ水素原子である場
    合のR1F、R2Fは、水素原子またはフッ素原子、R
    、Rがそれぞれ1価有機基である場合のR1F、R
    2Fは、フッ素化された1価有機基またはR、R
    同一の基。 X、X:それぞれ独立にハロゲン原子または水酸
    基。 Q、Q:それぞれ独立に単結合または2価有機基。 Q1F、Q2F:Q1FはQに、Q2FはQに対応
    する基であり、Q、Qがそれぞれ単結合である場合
    のQ1F、Q2Fは単結合であり、Q、Qがそれぞ
    れ2価有機基である場合のQ1F、Q2Fはフッ素化さ
    れた2価有機基またはQ、Qと同一の基。ただし、
    1F、R2F、およびQ1Fから選ばれる1つ以上の
    基は、フッ素化反応によって形成した基を示す。
  2. 【請求項2】式(5)で表される含フッ素ジカルボニル
    化合物とともに下式(6)で表される化合物を得る請求
    項1に記載の製造方法。ただし、Q2Fは上記と同じ意
    味を示す。 FCO−Q2F−COF(6)
  3. 【請求項3】ポリエステル中のQおよび/またはQ
    が、フッ化された2価有機基であり、かつポリエステル
    のフッ素含有量が20質量%以上である請求項1または
    2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】液相フッ素化を、媒体にポリエステル溶解
    させ、つぎにフッ素ガスを導入することにより行う請求
    項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】媒体に0.1質量%以上のポリエステルを
    溶解させる請求項3に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】R、Rが、それぞれ独立に水素原子ま
    たはメチル基であり、R、Rがそれぞれ水素原子で
    ある場合のR1F、R2Fがフッ素原子であり、R
    がそれぞれメチル基である場合のR1F、R2F
    トリフルオロメチル基であり、Q、Qがそれぞれ独
    立にアルキレン基であり、Q1F、Q2Fが、それぞれ
    、Qに対応するフッ素化アルキレン基である請求
    項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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