JP2003181283A - 有害物質の吸収剤及び吸収固定化方法 - Google Patents

有害物質の吸収剤及び吸収固定化方法

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JP2003181283A
JP2003181283A JP2001386470A JP2001386470A JP2003181283A JP 2003181283 A JP2003181283 A JP 2003181283A JP 2001386470 A JP2001386470 A JP 2001386470A JP 2001386470 A JP2001386470 A JP 2001386470A JP 2003181283 A JP2003181283 A JP 2003181283A
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Hisaharu Kataoka
久治 片岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術の難点を解消し、従来の活性炭を使
用する方法と比較して性能、コスト面で遜色のない、ゴ
ミ焼却時に発生するダイオキシン類等の有害物質を吸収
固定化して除去するための吸収剤、及び、当該有害物質
の吸収固定化方法を提供する。 【解決手段】 本発明の有害物質の吸収剤は、主として
籾殻粉炭よりなることを特徴とするものであり、有害物
質の吸収固定化方法は有害物質の吸着のための吸収固定
剤として、籾殻粉炭を用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有害物質の吸収剤及
び吸収固定化方法に関するものであり、更に詳しくは、
従来の活性炭を使用する方法と比較して性能及びコスト
面で遜色のない、ゴミ焼却時に発生するダイオキシン類
等の有害物質を吸収固定化して除去するための吸収剤、
及び、当該有害物質の吸収固定化方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ゴミ焼却時には、その中に含まれる塩素
系成分が元で合成される猛毒のダイオキシン類の環境へ
の排出が大きな社会問題となっている。ダイオキシン類
は焼却炉中のみでなく、温度等の影響により焼却設備の
各部での生成も確認されている。従って、現在、その生
成を抑制乃至は除去するために種々の方法が採用されは
じめている。
【0003】即ち、一般的にゴミの均一化、含塩素系ゴ
ミの除去、燃焼温度、ガス滞留時間、一酸化炭素濃度等
の管理及び十分な排ガス処理設備の設置により、ダイオ
キシン類の生成を最小限にとどめているのである。
【0004】上記ダイオキシン類の合成メカニズムは完
全には解明されていないが、炭化水素類などの前駆体物
質と塩素が酸素リッチの条件下で250〜350℃の温
度域において一定の時間滞留することにより合成される
といわれている。
【0005】生成したダイオキシン類の除去方法は、
(1)完全燃焼と(2)再合成防止と(3)吸収除去に
大別され、まず(1)燃焼時に未燃物質を残さないよう
にできるだけ完全燃焼させ、(2)その後排ガスを速や
かに再合成温度以下まで冷却することにより、ボイラ内
で再合成を促進するといわれているダストを伝熱管に付
着させたままにしないようにする。
【0006】上記(1)完全燃焼と(2)再合成防止と
を試みても尚発生してしまうダイオキシン類について、
(3)吸収除去して外部への放出を防止するのである。
【0007】現在、一般に使用されている焼却炉の排ガ
ス処理用集塵機は、バグフィルタ方式と電気集塵機とに
分けられるが、このうち電気集塵機はダイオキシン類の
再合成の問題があり姿を消しつつある。
【0008】バグフィルタ方式は、排ガス煙道の上流に
硝石灰を噴霧して、バグフィルタのロ布上に硝石灰層を
形成させ、その層内で塩化水素、硫黄酸化物を反応させ
除去する方法であり、この際、硝石灰と同時に一定量の
活性炭粉を吹込むことにより、ロ布上に硝石灰と活性炭
粉の混合層をつくり、活性炭粉中にダイオキシン類を効
率よく吸着除去させる方法が広まりつつある。
【0009】即ち、集塵機のバグフィルター部でダスト
を捕獲し、吸着されているダイオキシン類を捕集し、更
に排ガスを各種有害物質(塩化水素、SOx、NOx
等)の除去装置に通すと共に活性炭粒充填塔を通過させ
て、上記(3)のダイオキシン類の吸収除去をおこなう
のであるが、被焼却物であるゴミが多種にわたるなど種
々の影響により、その抑制管理は十分なものとはいえな
いのが現状である。
【0010】一方、排ガス処理設備の中でも最近注目さ
れている方法に、集塵機前に粉末活性炭を吹き込む方法
があり、これは集塵機であるバグフィルター前に排ガス
量に応じた量の粉末活性炭を連続的に吹込み、フィルタ
ー上に硝石灰と粉末活性炭の混合層を形成させ、排ガス
がこれを通過する際に、当該排ガスが含有するダイオキ
シン類を活性炭中に取込む方法で、これによりダイオキ
シン類の除去効率をより高くすることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この方法は、ダイオキ
シン類を効率よく除去できる反面、バグフィルターの取
扱い上、堆積したダストを一定時間で除去する必要があ
るため、この際に含有活性炭粉も同時に焼却廃棄される
ことになるという問題がある。
【0012】即ち、現在、吹き込み用に使用されている
活性炭の原料は椰子殻、木粉、石炭等であり、これらを
原料とした活性炭の一般的な製造方法は、賦活の仕方に
より二種類に分けられるが、何れの方法によるも得られ
る活性炭の価格は、その製造方法上、高価にならざるを
得ないのである。
【0013】活性炭の第一の製造方法は、上記の各種原
料の炭化物を薬品(酸化亜鉛等)により賦活する方法で
あるが、現在は公害による環境汚染やコスト等の問題か
ら精糖やでんぷん精製用の用途以外にはあまり採用され
ていない。
【0014】第二の方法は、上記の各種原料の炭化物
を、水蒸気やCO2ガス等を通しながら1,000℃近
くで数時間加熱し、加熱後は希塩酸と水で繰り返し洗
い、灰分などの不純物を洗い流し、乾燥後製品とする方
法である。
【0015】以上の製法上の理由から、活性炭は一般的
に高価であって、しかも吹込み用活性炭粉は先に述べた
堆積ダストの除去と同時に焼却廃棄されるため、一度き
りの使用であり、従って、焼却炉の被焼却物の処理量に
よっては吹込み用活性炭の使用量は相当な量にのぼり、
運転のためのコスト負担は、ゴミ焼却炉の運営母体の大
部分を占める各自治体でのゴミ焼却炉での安定使用に障
害となる。
【0016】このためダイオキシン類除去用に十分供す
る性能を持ち、かつ安価な活性炭粉又は代替品の登場が
待たれていた。
【0017】本発明は、上記のような従来技術を背景と
してなされたもので、従来の活性炭を使用する方法と比
較して性能、コスト面で遜色のない、ゴミ焼却時に発生
するダイオキシン類等の有害物質を吸収固定化して除去
するための吸収剤、及び、当該有害物質の吸収固定化方
法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用した有害物質の吸収剤の構成は、主とし
て籾殻粉炭よりなることを特徴とするものであり、有害
物質の吸収固定化方法の構成は有害物質の吸着のための
吸収固定剤として、籾殻粉炭を用いることを特徴とする
ものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0020】本発明の有害物質の吸収剤の主成分である
籾殻粉炭としては、米生産者から排出される籾殻から製
造されるが、この籾殻については米の種類に関係なく、
制限なしで利用することができる。
【0021】籾殻炭の一般的な製法としては、例えば、
銅製の浅い容器に籾殻を厚さ10cm位に敷き詰め、容
器の外低部よりガスバーナー等で加熱し、一定時間後、
籾殻に直火で着火し、撹拌しながら全量を炭化させ、冷
却後粉砕、ふるい分けし所定の籾殻炭を得るという方法
を挙げることができる。
【0022】このようにして製造した籾殻粉炭の一例の
性状を次表に示す。
【表1】
【0023】次に上記の製法により製造された籾殻粉炭
のダイオキシン類の吸着性能について述べる。尚、ダイ
オキシン類の吸着試験は、その有害性等により、ダイオ
キシンそのものを用いての実験室的な試験は非常に困難
であるため、表1に示した諸性状を現在一般的に使用さ
れている吹込用粉末活性炭と比較し、その吸着性能を推
測することとした。
【0024】現在、ゴミ焼却炉の排ガス中のダイオキシ
ン類の吸着剤として使用されている吹込用木粉系粉末活
性炭の一般的性状を次表に示す。尚、ここで本発明の有
害物質の吸収剤としての籾殻粉炭との比較対称品を、木
粉系粉末活性炭としたのは、現状でのダイオキシン類の
吸着用活性炭粉の原料は木粉、石炭系粉、ヤシ殻粉の三
種類であり、価格、性能面等から木粉系活性炭粉が主に
使用されているからである。
【0025】
【表2】
【0026】次に、ダイオキシン類の分子径を次表に示
す。
【表3】
【0027】表3からダイオキシン類の必要最小限の細
孔直径は2nm付近と思われるが、一般に焼却設備にお
ける活性炭によるダイオキシン類の吸着能力は、細孔直
径に着目した場合、種々の実測データから1〜5nm以
下が大半を占める活性炭が最適とされている。
【0028】木粉系活性炭は5nm以下の細孔が全細孔
容積の80%近くを占めており、一方、籾殻炭は同様に
5nm以下の細孔が全細孔容積の60%を占めている。
次に両者の比表面積に着目すると、籾殻炭のそれは19
0m2/gで木粉系活性炭の800m2/gの約1/4で
ある。
【0029】尚、一般に括性炭の吸着能力は比表面積の
みで決定するものではなく、先に述べた被吸着物質の分
子径による最適な細孔直径の分布や細孔容積、粉炭の粒
径による表面積の程度及び、細孔内に存在する官能基等
種々の要因があり、その吸着機構は非常に複雑である。
【0030】一方、生籾殻に対してその炭化物、即ち籾
殻炭は、55重量%の減量を示し、籾殻炭のおおよその
組成は、炭素分60%、珪酸質分40%である。尚、通
常の活性炭はほぼ全量が炭素分であり、細孔は多孔性固
体粒子内部に存在する微妙な孔である。
【0031】又、籾殻炭の炭素分は粗蛋白質、粗脂肪、
可溶性窒素物、粗繊維、生籾殻の灰分に由来する珪酸質
分であり、紬孔はその径によって、ウルトラミクロ細孔
(0.7nm以下)、スーパーミクロ細孔(07〜2n
m)、メソ細孔(2〜50nm)、マクロ細孔(50n
m以上)に分けられる。
【0032】表1の籾殻粉炭と表2の木粉系粉末活性炭
の比表面積以外の値は、ほぼ類似値を示しているので、
両者の比表面積のみを比較し、その結果、集塵機前の籾
殻粉炭を木質系活性炭粉の3〜4倍量使用することで、
同等の吸着能力を発起することが予想された。そこで、
籾殻粉炭と活性炭との吸着能力の比較をした。
【0033】吸着物質としては性状がダイオキシン額と
類似しているO−ジクロロベンゼンを使用した。 A:木粉系粉末活性炭 3g B:籾殻粉炭 3g C:籾殻粉炭 7.5g(Bの2.5倍量) D:ブランク 上記の四種類を各々硝子容器(1000cc)に取り、
O−ジクロロベンゼン濃度400PPM中にさらした。
時間経過による容器中のO−ジクロロベンゼンの濃度変
化を図1に示す。
【0034】図1からわかるように、2.5倍量の籾殻
粉炭(C)と木粉系粉末活性炭(A)はほぼ同一の濃度
変化を示した。
【0035】実際の焼却炉の排ガス中のダイオキシン類
の濃度は非常に希薄であり、したがって活性炭と籾殻炭
との吸着能力の差は軽微であると推察される。又、籾殻
炭はその組成が前記のようにおおよそ炭素分60%、珪
酸質分40%であり、細孔を形成する構成物の構造は、
前者の無定形炭素と、後者のモノ珪酸が三次元的に結合
した無定形のゲル状構造物で、両者が複雑に入りくんだ
立体構造を形成したものであると推測される。
【0036】実際にも、籾殻炭の比表面積と細孔径分布
を求めるために行なった窒素ガスの吸着試験の吸着等温
線は、活性炭のそれと類似のカーブを描き、このことか
ら、籾殻炭は細孔を有した無定形炭素とシリカゲルの混
合物であるということができ、準活性炭とみなしてもさ
しつかえないといえる。
【0037】活性炭の吹込み量は通常、煙道排ガス1N
mあたり0.1〜0.3gが適当とされており、これに
より99%近くのダイオキシン類が吸着除去されてい
る。本発明は吹込み用活性炭を数倍量の籾殻粉炭に替え
ることにより、同様のダイオキシン類の吸着除去を達成
させるものである。
【0038】又、従来の活性炭は、製造時の賦活の際に
高温に曝されるため、製品の硬度が高く、煙道やその他
の機器部分の摩耗の原因となることが指摘されていた。
そこで、籾殻粉炭と木粉系粉末活性炭とを用いて、金属
に対する摩耗試験を行った。
【0039】即ち、籾殻粉炭と木粉系粉末活性炭とを7
5μmパス90%以上の微粉に調整し、それぞれを空気
圧40Kg/cmでアルミニウム板に10秒間隔でブラ
ストし、表面の摩耗の発現時間を観察したのである。
【0040】その結果、籾殻粉炭では80秒後に表面の
摩耗が観察されたのに対し、木粉系粉末活性炭では10
秒後に表面の摩耗が観察された。
【0041】従って、本発明は吹込み用活性炭を数倍量
の籾殻粉炭に替えるものではあるが、籾殻粉炭は金属に
対する摩耗度合いが低いので、煙道やその他の機器部分
の摩耗の原因となる可能性は低いということができる。
【0042】
【発明の効果】近年、米生産者や加工業者は初殻の処分
に頭をいためている。即ち、籾殻は種子の外被としての
役目上、長期にわたり腐敗しにくく、かつ焼却に際して
は籾殻の形状に由来する空隙の多さから非常に燃焼しに
くい性質をもっている。現在、日本国内の籾殻の発生量
は年間約200万トンにものぼり、そのうち30%(6
0万トン)が焼却及び廃棄処分されている。
【0043】従って、本発明で使用する籾殻炭のための
籾殻は非常に安価に入手可能であり、又、空気中で単純
燃焼させるだけで炭化を終了することができ、かつ他の
活性炭と比べてその硬度が非常に低く、容易に粉化でき
る等の特長を有している。これらの理由から従来の吹込
用活性炭のおおよそ1/7程度の価格で提供することが
可能である。
【0044】よって、先に述べたように、吹込用籾殻粉
炭の使用量が活性炭粉に較べて3倍程度であっても、価
格面で活性炭粉使用法に十分対抗できるものであり、結
果的には従来の活性炭粉使用法の約半分以下のコストで
運転可能である。
【0045】加えて、籾殻の廃棄物としての処理問題な
どの面から考察しても、本発明は社会上有意義なもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は籾殻粉炭と木粉系活性炭との吸着能力
の比較結果を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として籾殻粉炭よりなることを特徴と
    する有害物質の吸収剤。
  2. 【請求項2】 有害物質の吸着のための吸収固定化剤と
    して、籾殻粉炭を用いることを特徴とする有害物質の吸
    収固定化方法。
  3. 【請求項3】 吸収固定化剤が、焼却炉の排ガス処理設
    備である集塵機の前で使用されるものである請求項2に
    記載の有害物質の吸収固定化方法。
  4. 【請求項4】 有害物質が、ダイオキシン類等である請
    求項2又は3に記載の有害物質の吸収固定化方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013054697A1 (ja) * 2011-10-12 2013-04-18 ソニー株式会社 吸着剤及びその製造方法、並びに、水浄化用吸着剤、マスク及び吸着シート
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