JP2003180372A - 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用 - Google Patents

植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用

Info

Publication number
JP2003180372A
JP2003180372A JP2001388307A JP2001388307A JP2003180372A JP 2003180372 A JP2003180372 A JP 2003180372A JP 2001388307 A JP2001388307 A JP 2001388307A JP 2001388307 A JP2001388307 A JP 2001388307A JP 2003180372 A JP2003180372 A JP 2003180372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
cell
plant
gene
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001388307A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Sato
茂 佐藤
Keiji Tomita
啓治 冨田
Kiyotaka Okada
清孝 岡田
Ryuji Tsukiki
竜二 槻木
Kuni Fushikida
地 伏木田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP2001388307A priority Critical patent/JP2003180372A/ja
Publication of JP2003180372A publication Critical patent/JP2003180372A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与
するACW7/VW331遺伝子を単離・同定することで、該遺伝
子やその類似遺伝子を提供することを課題とする。ま
た、これらの遺伝子を利用することにより細胞壁成分ま
たは細胞形態が改変された形質転換植物体を提供するこ
とをも課題とする。 【解決手段】 ポジショナルクローニングの手法を用い
ることにより、植物の細胞壁合成と細胞伸長に異常をも
たらすACW7/VW331変異の原因となる単一の遺伝子を広大
な染色体領域において同定し、単離することに成功し
た。また、本発明者らは、単離したACW7/VW331遺伝子が
植物の細胞壁合成や細胞伸長に影響を与えていることか
ら、ACW7/VW331遺伝子やその類似遺伝子を利用すること
により、植物の細胞壁成分や細胞形態を改変することが
可能であることを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の細胞壁合成
および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用に関す
る。
【0002】
【従来の技術】植物において細胞壁合成と細胞形態形成
を制御することは、工業や農業の分野において、様々な
重要な意義を有する。例えば、植物の細胞璧成分の改変
は、セルロース・ヘミセルロース含量を高めることによ
るパルプ等の優良繊維原材料供給や、有用な農作物およ
び飼料作物の消化吸収効率の向上などをもたらし、経済
性や収益性の点で有意義である。また、細胞壁成分であ
る多糖の構造変化により、新たな産業的価値を有する原
材料植物の作出をもたらすことも可能である。さらに細
胞形態の改変は、パルプ等繊維原材料の繊維特性の向上
などの点で有意義である。
【0003】細胞壁およびそれに類する多糖成分の合成
は、バクテリア・菌類・植物だけでなく動物でも行われ
ている。細胞壁合成の分子レベルでの研究は、産業上重
要であるにもかかわらず、あまり解析は行われていな
い。植物の細胞壁合成の分子レベルでの研究に関して
は、近年、分子遺伝学の手法を用いて解析が行われはじ
めてきた。細胞壁合成に関与する遺伝子としては、これ
までに例えば、セルロース合成酵素などが報告されてい
る(T. Arioli et al. Molecular analysis of cellulo
se biosynthesis in Arabidopsis. Science, 1998, 27
9, 717-720.)。しかし、細胞壁合成に関わる遺伝子と
しては、いまだ単離されていない多くの遺伝子が存在す
ると考えられ、細胞壁合成に関しては未知の機構が存在
すると考えられている(参考文献:Y. Kawagoe and D.
P. Delmer, Pathway and genes involved in cellulose
biosynthesis; Genetic engineering 19 Plenum Pres
s, New York, 1997;K. Nishitani, Construction and
Restructuring of the cellulose-xyloglucan framewor
k in the apoplast as mediated by the xyloglucan-re
lated protein family-A hypothetical scheme. J. Pla
nt Res., 1998,111, 159-166.)。
【0004】一方、エンド型キチナーゼはN-アセチルグ
ルコサミンから構成される多糖であるキチンを分解する
酵素であり、菌類、植物などの生物に存在し、遺伝子フ
ァミリーを形成している。高等植物ではアラビドプシ
ス、タバコ、ダイズなどからホモローグが取られてお
り、非常に高いホモロジーを示している。植物のエンド
型キチナーゼは、アミノ酸配列の特徴から、C末に液胞
移行シグナルを持つタイプと、N末に細胞外への分泌シ
グナルを持つタイプの2つに分類される。機能として
は、前者は抗菌活性を持つことから耐病性に関係してい
ることが証明されているが、後者についてはPRタンパク
質として病原菌の細胞壁に作用しエリシターを生成する
と言われているが、未だ明確にされていない(Collinge
D. B, et al., Plant chitinases. Plant J, 1993, 3,
31-40.、 Benhamou N., Immunocytochemistry of plant
defense mechanisms induced upon microbial attack.
Microsc Res Tech, 1995, 31, 63-78.、Kang M. K. et
al., Coordinated expression ofdefense-related gen
es by TMV infection or salicylic acid treatment in
tobacco. Mol Cells, 1998, 8, 388-392.)。
【0005】ところで化学突然変異剤EMSによって処理
されたシロイヌナズナの集団の中に、#631という検索番
号が付けられた、細胞や器官の形、細胞壁合成が異常な
突然変異体が見出された。この突然変異はaltered cell
wall (acw)7と名付けられ、この突然変異の原因となっ
ている遺伝子がACW7遺伝子と命名された。電子顕微鏡に
よる組織化学的解析から、ACW7遺伝子は細胞壁合成に関
与していることが示唆された。さらに遺伝学的な解析に
より、acw7変異体は細胞形態形成(胚軸と根の伸長)に
異常が生じるvw331変異体(「伏木田 地、槻木 竜
二、岡田 清孝、胚軸と根の細胞伸長に異常のあるvw33
1突然変異体の解析、日本植物生理学会2001年度年会、
九州産業大学にて、平成13年3月26日」)とアリルであ
ることがわかった。
【0006】しかしながら、ACW7/VW331遺伝子について
はいまだ単離・同定されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の
細胞壁合成および細胞形態形成に関与するACW7/VW331遺
伝子を単離・同定することで、該遺伝子やその類似遺伝
子を提供することにある。また、これらの遺伝子を利用
することにより細胞壁成分または細胞形態が改変された
形質転換植物体を提供することをも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行い、ポジショナルクローニン
グの手法を用いることにより、植物の細胞壁合成と細胞
伸長に異常をもたらすACW7/VW331変異の原因となる単一
の遺伝子を広大な染色体領域において同定し、単離する
ことに成功した。また、本発明者らは、単離したACW7/V
W331遺伝子が植物の細胞壁合成や細胞伸長に影響を与え
ていることから、ACW7/VW331遺伝子やその類似遺伝子を
利用することにより、植物の細胞壁成分や細胞形態を改
変することが可能であることを見出した。
【0009】植物の細胞壁成分と細胞形態の改変は、例
えば、パルプ等繊維原材料植物の供給効率の増加、細胞
壁合成制御による新素材の開発、農作物の有用成分の増
加、飼料作物の消化吸収効率の増加、細胞壁合成量増大
による植物の成長量の増加、繊維細胞形態の変化による
新たな価値を有する植物の作出などをもたらすことがで
きるため、農業や工業・園芸の分野において有益であ
る。
【0010】即ち、本発明は、植物の細胞壁合成および
細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用に関し、より
具体的には、〔1〕以下の(a)〜(e)のいずれかに
記載の植物のエンド型キチナーゼをコードするDNA、
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
パク質をコードするDNA、(b)配列番号:1または3
に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、(c)配列
番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と71
%以上の相同性を有するタンパク質をコードするDNA、
(d)配列番号:1または3に記載の塩基配列からなる
DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするD
NA、(e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において
1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/
または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコ
ードするDNA、〔2〕〔1〕に記載のDNAによりコードさ
れるタンパク質、〔3〕以下の(a)〜(e)のいずれ
かに記載のDNA、(a)〔1〕に記載のDNAの転写産物と
相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA、(b)
〔1〕に記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボ
ザイム活性を有するRNAをコードするDNA、(c)RNAi効
果により、〔1〕に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコ
ードするDNA、(d)共抑制効果により、〔1〕に記載
のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA、(e)
〔1〕に記載のDNAの転写産物に対してドミナントネガ
ティブな形質を有するタンパク質をコードするDNA、
〔4〕〔1〕に記載のDNAを含むベクター、〔5〕
〔3〕に記載のDNAを含むベクター、〔6〕〔1〕に記
載のDNA、または〔4〕に記載のベクターを保持する形
質転換細胞、〔7〕〔1〕もしくは〔3〕に記載のDN
A、または〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクターを保
持する形質転換植物細胞、〔8〕〔7〕に記載の形質転
換細胞を含む形質転換植物体、
〔9〕〔8〕に記載の形
質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植
物体、〔10〕細胞壁成分の改変がなされている、
〔8〕または
〔9〕に記載の形質転換植物体、〔11〕
細胞壁成分の改変がグルカン量の変化である、〔10〕
に記載の形質転換植物体、〔12〕細胞壁成分の改変が
セルロース量の変化である、〔10〕に記載の形質転換
植物体、〔13〕細胞形態の改変がなされている、
〔8〕または
〔9〕に記載の形質転換植物体、〔14〕
細胞形態の改変が細胞伸長の変化である、〔13〕に記
載の形質転換植物体、〔15〕細胞形態の改変が細胞の
大きさの変化である、〔13〕に記載の形質転換植物
体、〔16〕〔8〕〜〔15〕のいずれかに記載の形質
転換植物体の繁殖材料、〔17〕〔8〕〜〔15〕のい
ずれかに記載の形質転換植物体の製造方法であって、
〔1〕もしくは〔3〕に記載のDNA、または〔4〕もし
くは〔5〕に記載のベクターを植物細胞に導入し、該植
物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法、〔1
8〕〔6〕に記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換
細胞またはその培養上清から、発現させたタンパク質を
回収する工程を含む、〔2〕に記載のタンパク質の製造
方法、〔19〕〔2〕に記載のタンパク質に結合する抗
体、〔20〕〔1〕に記載のDNAと特異的にハイブリダ
イズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するDN
A、を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、植物の細胞壁合成
および細胞形態形成に関与するACW7/VW331遺伝子を単離
・同定し、該遺伝子が植物の新規なエンド型キチナーゼ
をコードしていることを見出した。本発明は、植物の新
規なエンド型キチナーゼをコードするDNAを提供する。
【0012】本発明において、エンド型キチナーゼと
は、N-アセチルグルコサミンから構成される多糖である
キチンを分解する活性を有する酵素を意味する。エンド
型キチナーゼの活性は、粘度計もしくはゲルクロマトグ
ラフィーを使用することで測定可能である。
【0013】本発明のDNAによりコードされるエンド型
キチナーゼは、典型的には、植物の細胞壁合成や細胞伸
長において機能する。該エンド型キチナーゼが植物の細
胞壁合成や細胞伸長において機能するか否かは、変異株
におけるタンパク質の発現による機能相補試験や、イン
ビボにおけるタンパク質の機能阻害による細胞壁合成や
細胞伸長の変化(細胞壁成分の変化や器官・細胞形態の
変化)の検出により、決定することが可能である。
【0014】本発明のDNAの由来する植物としては、こ
れらに制限されないが、例えば、穀類、野菜、果樹等の
有用農作物(飼料作物を含む)、パルプ等の繊維原材料
植物、観葉植物等の鑑賞用植物等が挙げられる。具体的
には、該植物として、イネ、綿、ケナフ、ユーカリ、ア
カシア、ポプラ、松、タバコ、トウモロコシ、コムギ、
オオムギ、ナタネ、シロイヌナズナ、ダイズ、トマト、
ジャガイモ、キク、バラ、カーネーション、シクラメン
等を例示することができる。
【0015】本発明者らが単離したシロイヌナズナのAC
W7/VW331遺伝子の cDNAの塩基配列を配列番号:1に、
ゲノムDNAの塩基配列を配列番号:3に、これら遺伝子
がコードするACW7/VW331タンパク質のアミノ酸配列を配
列番号:2に示す。
【0016】シロイヌナズナ以外の植物における本発明
のDNAは、当業者においては、一般的に公知の方法によ
り単離することが可能である。例えば、ハイブリダイゼ
ーション技術(Southern, EM., J Mol Biol, 1975, 98,
503.)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, R
K. et al., Science, 1985, 230, 1350.、Saiki, RK. e
t al., Science 1988, 239, 487.)を利用する方法が挙
げられる。すなわち、配列番号:1または3に記載の塩
基配列からなるDNAもしくはその一部をプローブとし
て、また配列番号:1または3に記載の塩基配列からな
るDNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチ
ドをプライマーとして、他の植物から配列番号:1また
は3に記載の塩基配列からなるDNAと高い相同性を有す
るDNAを単離することは、当業者にとって通常行い得る
ことである。このように、ハイブリダイゼーション技術
やPCR技術によって単離し得る、配列番号:1または3
に記載の塩基配列からなるDNAとハイブリダイズするDNA
もまた、本発明のDNAに含まれる。
【0017】このようなDNAを単離するためには、好ま
しくはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーシ
ョン反応を行う。本発明においてストリンジェントなハ
イブリダイゼーション条件とは、6M 尿素、0.4% SDS、
0.5×SSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシー
のハイブリダイゼーション条件を指す。よりストリンジ
ェンシーの高い条件、例えば、6M 尿素、0.4% SDS、0.
1×SSCの条件下では、より相同性の高いDNAを単離でき
ることが期待される。こうして単離されたDNAは、アミ
ノ酸レベルにおいて、配列番号:2に記載のアミノ酸配
列と高い相同性を有すると考えられる。高い相同性と
は、アミノ酸配列全体で少なくとも70%以上の配列の同
一性を指す。
【0018】アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カー
リンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Pro
c. Natl. Acad. Sei. USA, 1990, 87, 2264-2268.、Kar
lin,S. & Altschul, SF., Proc. Natl. Acad. Sei. US
A, 1993, 90, 5873.)を用いて決定できる。BLASTのア
ルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログ
ラムが開発されている(Altschul, SF. et al., J Mol
Biol, 1990, 215, 403.)。BLASTNを用いて塩基配列を
解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、
wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸
配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore
=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプロ
グラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラ
メーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は
公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。
【0019】また、本発明のDNAには、植物のACW7/VW33
1タンパク質のアミノ酸配列において1または複数のア
ミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入された
アミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが含
まれる。
【0020】上記のDNAを調製するために、当業者によ
く知られた方法としては、例えば、DNAに対し、site-di
rected mutagenesis法(Kramer, W. & Fritz, HJ., Met
hodsEnzymol, 1987, 154, 350.)により変異を導入する
方法が挙げられる。また、自然界においても、塩基配列
の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変
異することは起こり得ることである。
【0021】タンパク質におけるアミノ酸の改変は、通
常、全アミノ酸の50アミノ酸以内であり、好ましくは30
アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内
であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。アミ
ノ酸の改変は、例えば、変異や置換であれば「Transfor
mer Site-directed Mutagenesis Kit」や「ExSite PCR-
Based Site-directed Mutagenesis Kit」(Clontech社
製)を用いて行うことが可能であり、また、欠失であれ
ば「Quantum leap Nested Deletion Kit」(Clontech社
製)などを用いて行うことが可能である。
【0022】また、塩基配列が変異していても、その変
異がタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わない場合(縮
重変異)があり、このような縮重変異DNAも本発明に含
まれる。
【0023】本発明のDNAは、本発明のタンパク質をコ
ードし得るものであれば特に制限はなく、ゲノムDNA、c
DNA、化学合成DNAなどが含まれる。ゲノムDNAは、例え
ば、文献(Rogers and Bendich, Plant Mol. Biol., 19
85, 5, 69.)記載の方法に従って調製したゲノムDNAを
鋳型として、本発明のDNAの塩基配列(例えば、配列番
号:1に記載の塩基配列)を基に作製したプライマーを
用いてPCR(Saiki et al. Science, 1988, 239, 487.)
を行うことにより調製することが可能である。また、cD
NAであれば、常法(Maniatis et al. Molecular Clonin
g Cold Spring harbor Laboratry Press)により植物か
らmRNAを調製し、逆転写反応を行い、上記と同様のプラ
イマーを用いてPCRを行うことにより調製することが可
能である。また、ゲノムDNAやcDNAは、常法によりゲノ
ムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーを作製し、
このライブラリーに対し、例えば本発明のDNAの塩基配
列(例えば、配列番号:1に記載の塩基配列)を基に合
成したプローブを用いてスクリーニングすることによっ
ても調製することが可能である。なお、得られたDNAの
塩基配列は、例えば「シークエンサーModel373」(ABI
社製)を利用することにより容易に決定することが可能
である。
【0024】本発明は、本発明のDNAによりコードされ
るタンパク質を提供する。本発明のタンパク質は、当業
者に公知の方法により、天然のタンパク質としての他、
遺伝子組み換え技術を利用して調製した組み換えタンパ
ク質として調製することができる。天然のタンパク質
は、例えば、下記の方法により調製された組み換えタン
パク質をウサギなどの小動物に免疫して得た抗体を適当
な吸着体(CNBr活性化アガロースやトシル活性化アガロ
ース)に結合させてカラムを作製し、得られたカラムを
利用してイネの葉のタンパク質抽出液を精製することに
より調製することが可能である。一方、組み換えタンパ
ク質は、常法、例えば、本発明のタンパク質をコードす
るDNAを適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適
当な細胞に導入し、該形質転換細胞から精製することに
より調製することが可能である。組み換えタンパク質を
生産するために用いられる細胞としては、例えば、植物
細胞、大腸菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞などが挙げら
れる。
【0025】また、細胞内で組み換えタンパク質を発現
させるためのベクターとしては、例えば、植物、酵母細
胞用にはプラスミド「pBI121」や「pBI101」(Clontech
社製)、大腸菌用にはプラスミド「pET Expression sys
tem」(Stratagene社製)や「GST gene fusion Vector
s」(Pharmacia社製)、ほ乳類細胞用にはプラスミド
「pMAM」(Clontech社製)、昆虫細胞用にはプラスミド
「pBacPAK8.9」(Clontech社製)などが挙げられる。ベ
クターへのDNAの挿入は、常法、例えば、Molecular Clo
ning(Maniatis et al. Cold Spring harbor Laboratry
Press)に記載の方法により行うことができる。また、
宿主細胞へのベクターの導入は、常法により宿主細胞に
応じてエレクトロポレーション法、マイクロインジェク
ション法、パーティクルガン法などの方法で行うことが
可能である。
【0026】得られた形質転換細胞からの本発明の組み
換えタンパク質の精製は、タンパク質の性質に応じ、塩
析や有機溶媒による沈殿、イオン交換クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー、免疫吸着体に
よるカラムクトマトグラフィー、ゲルろ過、SDS電気泳
動、等電点電気泳動などを適宜組み合わせて行うことが
可能である。また、本発明の組み換えタンパク質をグル
タチオンS-トランスフェラーゼなどの標識との融合タン
パク質として発現させた場合には、該標識に対するアフ
ィニティークロマトグラフィーなどにより精製すること
も可能である。本発明においては、このような本発明の
タンパク質の製造方法も提供する。
【0027】本発明では、植物の細胞壁成分と細胞伸長
に異常な表現型をもたらすacw7/vw331変異遺伝子座にお
いて、acw7変異では本発明者らが単離したACW7/VW331遺
伝子領域の塩基の欠失として見出された(実施例2)。
一方、vw331変異ではエンド型キチナーゼ遺伝子の1065
位〜1084位の塩基の欠失と、それによる248位〜255位の
アミノ酸の欠失として見出された(実施例2)。この事
実は、本発明者らが単離したACW7/VW331遺伝子が、植物
の細胞壁合成と細胞伸長において機能しており、その変
異により植物の細胞壁成分と細胞伸長に異常な表現型を
もたらすことを証明するものである。このようなACW7/V
W331遺伝子と植物の細胞壁合成や細胞伸長との密接な関
係は、植物においてACW7/VW331遺伝子の発現を調節する
ことにより、植物の細胞壁成分や細胞形態を改変しうる
ことを証明するものである。従って、「ACW7/VW331」タ
ンパク質および「ACW7/VW331」遺伝子は、植物の細胞壁
成分や細胞形態の改変を行うために、もしくは改変を行
うための標的として利用することが可能である。
【0028】本発明における細胞壁成分の改変として
は、特に制限されるものではなく、例えば、セルロース
やグルカンなどの細胞壁成分の量的変化、質的変化が挙
げられる。また、細胞形態の改変としては、細胞伸長の
変化、細胞の大きさの変化(体積の量的変化)などが例
示できるが、これらに限定されるものではない。
【0029】また、上記DNAを過剰発現させることで、
細胞壁成分や細胞形態形成が促進的に改変された形質転
換植物体を作製できる。具体的には、上記のDNAを適当
なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これ
により得られた形質転換植物細胞を再生させる。このよ
うにして作製された形質転換植物体は、細胞壁合成量増
大による植物の成長量の増加、繊維細胞形態の変化、農
作物の有用成分の増加などの新たな価値を有する植物と
して有用である。
【0030】また、後述するDNAによって内在性遺伝子
の発現を抑制することで、細胞壁成分や細胞形態形成が
抑制的に改変された形質転換植物体を作製できる。具体
的には、後述するDNAを適当なベクターに挿入して、こ
れを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植
物細胞を再生させる。このようにして作製された形質転
換植物体は、細胞壁合成制御による新素材の開発、飼料
作物の消化吸収効率の増加、繊維細胞形態の変化などの
新たな価値を有する植物として有用である。
【0031】内在性遺伝子の発現を抑制するためのDNA
の好ましい態様としては、本発明のDNAの転写産物と相
補的なアンチセンスRNAをコードするDNA、本発明のDNA
の転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有する
RNAをコードするDNA、RNAi効果または共抑制効果によ
り、本発明のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDN
A、本発明のDNAの転写産物に対してドミナントネガティ
ブな形質を有するタンパク質をコードするDNA等を例示
することができる。上記「内在性遺伝子の発現抑制」に
は、遺伝子の転写の抑制、および/または該遺伝子から
コードされるタンパク質への翻訳の抑制が含まれる。ま
た、該遺伝子の発現の完全な停止のみならず発現の減少
も含まれる。
【0032】植物における特定の内在性遺伝子の発現を
抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方
法が当業者に最もよく利用されている。植物細胞におけ
るアンチセンス効果は、電気穿孔法で導入したアンチセ
ンスRNAが植物においてアンチセンス効果を発揮するこ
とをエッカーらが示したことで初めて実証された(Ecke
r, JR. & Davis, RW., Proc Natl Acad Sci USA, 1986,
83, 5372.)。その後、タバコやペチュニアにおいても
アンチセンスRNAの発現により標的遺伝子の発現が低下
した例が報告されており(van der Krol AR. et al., N
ature, 1988, 333, 866.)、現在では、アンチセンス技
術は植物における遺伝子発現を抑制させる手段として確
立している。
【0033】アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑
制する作用としては、以下のような複数の要因が存在す
る。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポ
リメラーゼによって局部的に開状ループ構造が作られた
部位とのハイブリッド形成による転写阻害、合成の進み
つつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イ
ントロンとエキソンとの接合点におけるハイブリッド形
成によるスプライシング阻害、スプライソソーム形成部
位とのハイブリッド形成によるスプライシング阻害、mR
NAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行阻
害、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリ
ッド形成によるスプライシング阻害、翻訳開始因子結合
部位とのハイブリッド形成による翻訳開始阻害、開始コ
ドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成に
よる翻訳阻害、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位と
のハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻害、およ
び核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド
形成による遺伝子発現阻害などである。このようにアン
チセンス核酸は、転写、スプライシングまたは翻訳など
様々な過程を阻害することで、標的遺伝子の発現を抑制
する(平島および井上, 新生化学実験講座2 核酸IV遺伝
子の複製と発現, 日本生化学会編, 東京化学同人, 199
3, 319-347.)。
【0034】本発明で用いられるアンチセンス配列は、
上記のいずれの作用により標的遺伝子の発現を抑制して
もよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍
の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれ
ば、遺伝子の翻訳阻害に効果的と考えられる。また、コ
ード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使
用することができる。このように、遺伝子の翻訳領域だ
けでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDN
Aも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。
使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの
下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを
含む配列が連結される。このようにして調製されたDNA
は、公知の方法を用いることで、所望の植物へ形質転換
できる。アンチセンスDNAの配列は、形質転換される植
物が持つ内在性遺伝子またはその一部と相補的な配列で
あることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に抑制でき
る限りにおいて、完全に相補的でなくてもよい。転写さ
れたRNAは、標的遺伝子の転写産物に対して好ましくは9
0%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。
アンチセンス配列を用いて標的遺伝子の発現を効果的に
抑制するには、アンチセンスDNAの長さは少なくとも15
塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さら
に好ましくは500塩基以上である。通常用いられるアン
チセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kb
よりも短い。
【0035】また、内在性遺伝子の発現の抑制は、リボ
ザイム、またはリボザイムをコードするDNAを利用して
行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有す
るRNA分子のことを指す。リボザイムには種々の活性を
有するものが存在するが、中でもRNAを切断する酵素と
してのリボザイムに焦点を当てた研究により、RNAを部
位特異的に切断するリボザイムの設計が可能となった。
リボザイムには、グループIイントロン型やRNase Pに含
まれるM1 RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさの
ものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれ
る40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもあ
る(小泉誠および大塚栄子, 蛋白質核酸酵素, 1990, 3
5, 2191.)。
【0036】例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自
己切断ドメインは、G13U14C15という配列のC15の3'側を
切断するが、その活性にはU14とA9との塩基対形成が重
要とされ、C15の代わりにA15またはU15でも切断され得
ることが示されている(Koizumi, M. et al., FEBS Let
t, 1988, 228, 228.)。基質結合部位が標的部位近傍の
RNA配列と相補的なリボザイムを設計すれば、標的RNA中
のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRN
A切断リボザイムを作出することができる(Koizumi, M.
et al., FEBS Lett, 1988, 239, 285.、小泉誠および
大塚栄子, 蛋白質核酸酵素, 1990, 35, 2191.、Koizum
i, M. et al., Nucl Acids Res, 1989, 17, 7059.)。
例えば、ACW7/VW331遺伝子のコード領域中には、標的と
なり得る部位が複数存在する。
【0037】また、ヘアピン型リボザイムも本発明の目
的に有用である。このリボザイムは、例えばタバコリン
グスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見
出される(Buzayan, JM., Nature, 1986, 323, 34
9.)。ヘアピン型リボザイムからも、標的特異的なRNA
切断リボザイムを作出できることが示されている(Kiku
chi, Y. & Sasaki, N., Nucl Acids Res, 1991, 19, 67
51.、菊池洋, 化学と生物,1992, 30, 112.)。
【0038】標的を切断できるように設計されたリボザ
イムは、植物細胞中で転写されるように、カリフラワー
モザイクウイルスの35Sプロモーターなどのプロモータ
ーおよび転写終結配列に連結される。このとき、転写さ
れたRNAの5'端や3'端に余分な配列が付加されている
と、リボザイムの活性が失われることがあるが、こうい
った場合は、転写されたリボザイムを含むRNAからリボ
ザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部
分の5'側や3'側にシスに働く別のトリミングリボザイム
を配置させることも可能である(Taira, K. et al., Pr
otein Eng, 1990,3, 733.、Dzianott, AM. & Bujarski,
JJ., Proc Natl Acad Sci USA, 1989, 86, 4823.、Gro
sshans, CA. & Cech, TR., Nucl Acids Res, 1991, 19,
3875.、Taira, K. et al., Nucl Acids Res, 1991, 1
9, 5125.)。また、このような構成単位をタンデムに並
べ、標的遺伝子内の複数の部位を切断できるようにする
ことで、より効果を高めることもできる(Yuyama, N. e
t al., Biochem Biophys ResCommun, 1992, 186, 127
1.)。このように、リボザイムを用いて本発明における
標的遺伝子の転写産物を特異的に切断することで、該遺
伝子の発現を抑制することができる。
【0039】内在性遺伝子の発現の抑制は、さらに、標
的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二本
鎖RNAを用いたRNA干渉(RNA interferance;RNAi)によ
っても行うことができる。RNAiとは、標的遺伝子配列と
同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNAを細胞内
に導入すると、導入した外来遺伝子および標的内在性遺
伝子の発現がいずれも抑制される現象のことを指す。RN
Aiの機構の詳細は明らかではないが、最初に導入した二
本鎖RNAが小片に分解され、何らかの形で標的遺伝子の
指標となることにより、標的遺伝子が分解されると考え
られている。RNAiは植物においても効果を奏することが
知られている(Chuang, CF. & Meyerowitz, EM., Proc
Natl Acad Sci USA, 2000, 97, 4985.)。例えば、植物
体におけるACW7/VW331遺伝子の発現をRNAiにより抑制す
るためには、ACW7/VW331遺伝子、または、これらと類似
した配列を有する二本鎖RNAを目的の植物へ導入すれば
よい。RNAiに用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一
である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは
80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは
95%以上の配列の同一性を有する。また、配列の同一性
は上述した手法により決定できる。
【0040】内在性遺伝子の発現の抑制は、標的遺伝子
配列と同一もしくは類似した配列を有するDNAの形質転
換によって起こる共抑制によっても達成できる。「共抑
制」とは、植物に標的内在性遺伝子と同一もしくは類似
した配列を有する遺伝子を形質転換により導入すると、
導入した外来遺伝子および標的内在性遺伝子の発現がい
ずれも抑制される現象のことを指す。共抑制の機構の詳
細は明らかではないが、少なくともその機構の一部はRN
Aiの機構と重複していると考えられている。共抑制も植
物において観察される(Smyth, DR., Curr Biol, 1997,
7, R793.、Martienssen, R., Curr Biol, 1996, 6, 81
0.)。例えば、ACW7/VW331遺伝子が共抑制された植物体
を得るためには、ACW7/VW331遺伝子、または、これらと
類似した配列を有するDNAを発現できるように作製した
ベクターDNAを目的の植物へ形質転換すればよい。共抑
制に用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一である必
要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以
上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以
上の配列の同一性を有する。また、配列の同一性は上述
した手法により決定できる。
【0041】さらに、本発明における内在性遺伝子の発
現の抑制は、標的遺伝子がコードするタンパク質に対し
てドミナントネガティブの形質を有するタンパク質をコ
ードする遺伝子を、植物へ形質転換することによっても
達成することができる。「ドミナントネガティブの形質
を有するタンパク質をコードする遺伝子」とは、該遺伝
子を発現させることによって、植物体が本来持つ内在性
の野生型タンパク質の活性を消失もしくは低下させる機
能を有する遺伝子のことを指す。
【0042】また、本発明は、上記DNAを含むベクター
を提供する。
【0043】本発明のベクターとしては、植物細胞で転
写可能なプロモーター配列と転写産物の安定化に必要な
ポリアデニレーション部位を含むターミネーター配列を
含んでいれば特に制限されず、例えば、プラスミド「pB
I121」、「pBI221」、「pBI101」(いずれもClontech社
製)などが挙げられる。本発明のベクターは、本発明の
タンパク質を恒常的または誘導的に発現させるためのプ
ロモーターを含有しうる。恒常的に発現させるためのプ
ロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウ
イルスの35Sプロモーター(Odell et al., Nature, 198
5, 313, 810.)、イネのアクチンプロモーター(Zhang
et al., Plant Cell, 1991, 3, 1155.)、トウモロコシ
のユビキチンプロモーター(Cornejo et al., Plant Mo
l. Biol., 1993, 23, 567.)などが挙げられる。また、
誘導的に発現させるためのプロモーターとしては、例え
ば糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入、低温、高温、
乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの外因に
よって発現することが知られているプロモーターなどが
挙げられる。このようなプロモーターとしては、例え
ば、糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入によって発現
するイネキチナーゼ遺伝子のプロモーター(Xu et al.,
Plant Mol.Biol., 1996, 30, 387.)やタバコのPRタ
ンパク質遺伝子のプロモーター(Ohshima et al., Plan
t Cell, 1990,2, 95.)、低温によって誘導されるイネ
の「lip19」遺伝子のプロモーター(Aguan et al., Mo
l. Gen Genet., 1993, 240,1.)、高温によって誘導さ
れるイネの「hsp80」遺伝子と「hsp72」遺伝子のプロモ
ーター(Van Breusegem et al., Planta, 1994, 193, 5
7.)、乾燥によって誘導されるシロイヌナズナの「rab1
6」遺伝子のプロモーター(Nundy et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 1990, 87, 1406.)、紫外線の照射に
よって誘導されるパセリのカルコン合成酵素遺伝子のプ
ロモーター(Schulze-Lefert et al., EMBO J., 1989,
8, 651.)、嫌気的条件で誘導されるトウモロコシのア
ルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(Walk
er et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1987, 84, 6
624.)などが挙げられる。また、イネキチナーゼ遺伝子
のプロモーターとタバコのPRタンパク質遺伝子のプロモ
ーターはサリチル酸などの特定の化合物によって、「ra
b16」は植物ホルモンのアブシジン酸の散布によっても
誘導される。
【0044】また、本発明のDNAの導入により形質転換
した細胞を効率的に選択するために、上記組み換えベク
ターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選
抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に細胞
へ導入するのが好ましい。この目的に使用する選抜マー
カー遺伝子は、例えば抗生物質ハイグロマイシンに耐性
であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝
子、カナマイシンまたはゲンタマイシンに耐性であるネ
オマイシンホスホトランスフェラーゼ、および除草剤ホ
スフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子等が挙げられる。
【0045】また、本発明は、本発明のDNAまたはベク
ターを保持する形質転換細胞を提供する。本発明のベク
ターが導入される細胞には、組み換えタンパク質の生産
に用いる上記した細胞の他に、形質転換植物体作製のた
めの植物細胞が含まれる。植物細胞としては特に制限は
なく、例えば、イネ、綿、ケナフ、ユーカリ、アカシ
ア、ポプラ、松、タバコ、トウモロコシ、コムギ、オオ
ムギ、ナタネ、シロイヌナズナ、ダイズ、トマト、ジャ
ガイモ、キク、バラ、カーネーション、シクラメンなど
の細胞が挙げられる。本発明の植物細胞には、培養細胞
の他、植物体中の細胞も含まれる。また、プロトプラス
ト、苗条原基、多芽体、毛状根も含まれる。
【0046】また、本発明は、上記の形質転換植物細胞
を含む形質転換植物体、該形質転換植物体の子孫または
クローンである形質転換植物体、および該形質転換植物
体の繁殖材料を提供する。
【0047】さらに、本発明は、上記の形質転換植物体
の製造方法であって、本発明のDNA、または本発明のベ
クターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再
生させる工程を含む方法を提供する。
【0048】植物細胞へのベクターの導入は、例えば、
アグロバクテリウムを利用した導入方法(Hood et al.,
Transgenic Res., 1993, 2, 218.、Hiei et al., Plan
t J., 1994, 6, 271.)、エレクトロポレーション法(T
ada et al., Theor. Appl. Genet., 1990, 80, 47
5.)、ポリエチレングリコール法(Lazzeri et al., Th
eor. Appl. Genet., 1991, 81, 437.)、パーティクル
ガン法(Sanford et al., J.Part. Sci. tech., 1987,
5, 27.)などの方法を用いることが可能である。
【0049】形質転換された植物細胞は、再分化させる
ことにより植物体を再生させることが可能である。再分
化の方法は植物細胞の種類により異なるが、例えば、イ
ネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett.,
1995, 2, 74.)の方法が挙げられ、トウモロコシであれ
ばShillitoら(Bio/Technology, 1989, 7, 581.)の方
法やGorden-Kammら(Plant Cell, 1990, 2, 603.)が挙
げられ、ジャガイモであればVisserら(Theor. Appl. G
enet., 1989, 78, 594.)の方法が挙げられ、タバコで
あればNagataとTakebe(Planta, 1971, 99, 12.)の方
法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant
Cell Reports, 1992, 12, 7-11.)の方法が挙げられ、
ユーカリであれば土肥ら(特許番号 特開平8-89113)の
方法が挙げられる。
【0050】なお、再生され、かつ栽培した形質転換植
物体中の導入された外来DNAまたは核酸の存在は、公知
のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、
または植物体中の核酸の塩基配列を解析することによっ
て確認することができる。この場合、形質転換植物体か
らのDNAまたは核酸の抽出は、公知のJ.Sambrookらの方
法(Molecular Cloning, 第2版, Cold SpringHarbor la
boratory Press, 1989)に準じて実施することができ
る。
【0051】再生させた植物体中に存在する本発明のDN
Aよりなる外来遺伝子を、PCR法を用いて解析する場合に
は、上記のように再生植物体から抽出した核酸を鋳型と
して増幅反応を行う。また、本発明の核酸がDNAである
場合には、該DNAの塩基配列に従って適当に選択された
塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして用い、これらを混合させた反応液中おいて増幅
反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの
変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、本
発明のDNA配列を含むDNA断片の増幅生成物を得ることが
できる。増幅生成物を含む反応液を、例えばアガロース
電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画
されて、そのDNA断片が本発明のDNAに対応することを確
認することが可能である。
【0052】一旦、染色体内に本発明のDNAが導入され
た形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖
または無性生殖により子孫を得ることが可能である。ま
た、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料
(例えば種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、
プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量
産することも可能である。
【0053】以上により作出された植物体は、本発明の
DNAの発現などの調節により、細胞壁や細胞形態が正常
の個体と比較して変化しうる。よって、例えば、パルプ
等繊維原材料植物の供給効率の増加、細胞壁合成制御に
よる新素材の開発、農作物の有用成分の増加、飼料作物
の消化吸収効率の増加、細胞壁合成量増大による植物の
成長量の増加、細胞形態の変化による新たな価値を有す
る植物の作出などを行うことが可能である。
【0054】また、本発明は、上記本発明のタンパク質
に結合する抗体を提供する。本発明の抗体には、抗血
清、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および
これら抗体の断片が含まれる。本発明の抗体の調製は当
業者に公知の方法(例えば、Molecular cloning(Maniat
is et al. Cold Spring harbor Laboratry Press)に記
載の方法)により行うことができる。本発明の抗体の調
製を行う場合には、本発明のタンパク質全体を免疫する
方法の他に、部分ペプチドを免疫して調製することも可
能である。本発明の抗体は、本発明のタンパク質の精製
や検出などに用いることが可能である。
【0055】また、本発明は、本発明のタンパク質をコ
ードするDNAと特異的にハイブリダイズし、少なくとも1
5ヌクレオチドの鎖長を有するDNAを提供する。ここで
「特異的にハイブリダイズする」とは、本発明のタンパ
ク質をコードするDNAに実質的にハイブリダイズし、他
のタンパク質をコードするDNAに実質的にハイブリダイ
ズしないことを指す。このようなDNAは、例えば、本発
明のタンパク質をコードするDNAを検出、単離するため
のプローブとして、また増幅するためのプライマーとし
て利用することが可能である。
【0056】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものでは
ない。なお、DNAの切断、連結、大腸菌の形質転換、遺
伝子の塩基配列決定、ハイブリダイゼーション等一般の
遺伝子組換えに必要な方法は、各操作に使用する市販の
試薬、機械装置等に添付されている説明書や、実験書
(例えば「Molecular cloning (Maniatis T. et al. Co
ld Spring Harbor Laboratory Press)」)に基本的に従
った。また、シロイヌナズナの寒天培地や土壌を用いた
育成、交配、ゲノムDNAの調製は実験書(例えば「モデ
ル植物の実験プロトコール(秀潤社)」)に基本的に従
った。
【0057】[実施例1] acw7/vw331変異体の細胞壁の
分析 細胞壁粗精製サンプルの調整は、Zablackis(Zablacki
s, E. et al., Characterization of cell-wall polysa
ccharides of Arabidopsis thaliana leaves. Plant Ph
ysiol, 1995, 107, 1129-1138.)らの方法に従った。調
整した細胞壁粗精製サンプルは-80℃で保存し、必要な
量を解凍して分析に用いた。
【0058】調整した細胞壁サンプルをガラス管に適当
量測り取り、2Mのトリフルオロ酢酸(TFA)を加え、121
℃・1時間非結晶多糖(ヘミセルロース・ペクチン)を
加水分解した。室温まで自然冷却した後、遠心して上清
と結晶多糖(セルロース)に分けた。セルロースは72%
H2SO4で完全に加水分解した。糖定量は、全糖量をフェ
ノール硫酸法 (Dubois, M. et al., Colorimetric meth
od for determinationof sugars and related substanc
es. Anal. Biochem., 1956, 28, 350-356.)で、ウロン
酸量をm-ヒドロキシビフェニル法 (Blumenkrantz, N. a
nd Asboe-hansen, H. M. New method for quantitaive
determination of uronic acids. Anal.Biochem., 197
3, 54, 484-489.) で行った。その結果、acw7/vw331変
異体のセルロース画分の全糖量が著しく減少しているこ
とがわかった。
【0059】減少の原因を詳細に調べるため、アルディ
トールアセテート法(York, W. S.,et al., Isolation a
nd characterization of plant cell wall and plant c
ellcomponents. Methods enzymol, 1986, 118, 3-40.)
による構成等分析を行った。その結果、acw7/vw331変異
体のglucoseの量(281.2±17.6nmol/mg cell wall)
は、wt(1342.5±31.5nmol/mg cell wall)より著しく
減少していた。TFA不溶画分のglucoseは、セルロース由
来である。したがって、acw7/vw331変異体はセルロース
合成変異体であることが明らかになった。
【0060】[実施例2] ACW7/VW331遺伝子の単離 まず、ACW7/VW331遺伝子の染色体上の位置を決定するた
めに、分子マーカーを用いてマッピングを行った。
【0061】acw (altered cell wall) 7変異体はシロ
イヌナズナのWS(Wassilewskija)エコタイプにおいて見
出されているので、この同変異体に、別のエコタイプで
あるランズバーグ・エレクタを交配し、次世代の種子を
採種し、それを生育させ、自殖させてF2世代の種子を得
た。このF2世代の種子を発芽させ、育成した植物(220
個体)からゲノムDNAを抽出した。これらのゲノムDNA
を、マーカーとして既知のnga59、nga63、yUP8H12Rおよ
び自ら作製したT2D23、T25N20を用いて、同ゲノムDNAに
対して、PCR法により組換価を算出した。
【0062】具体的には、nga59を増幅することができ
る2種類のPCRプライマー「配列番号:4/5-GCATCTGTG
TTCACTCGCC-3」、「配列番号:5/5-TTAATACATTAGCCCA
GACCCG-3」を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて
増幅させ、アガロース電気泳動で遺伝子型を調べた。そ
の結果、ACW7/VW331遺伝子と同マーカーとの間には4染
色体で組み換えが認められた。
【0063】次にnga63を増幅することができる2種類の
PCRプライマー「配列番号:6/5-AACCAAGGCACAGAAGCG-
3」、「配列番号:7/5-ACCCAAGTGATCGCCACC-3」を用
いて、F2世代のゲノムDNAをPCRにより増幅させ、アガロ
ース電気泳動で遺伝子型を調べた。その結果、ACW7/VW3
31遺伝子と同マーカーとの間には8染色体で組み換えが
認められた。
【0064】さらに詳細なマッピングを行うため、yUP8
H12Rを増幅することができる2種類のPCRプライマー「配
列番号:8/5-AAATTTCAAAATGCGTATCC-3」、「配列番
号:9/5-GTGTTGCGTGTCGACCC-3」を合成し、これらを
用いて、F2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、
アガロース電気泳動で調べた。その結果、ACW7/VW331遺
伝子と同マーカーとの間には4染色体で組み換えが認め
られた。
【0065】次にT2D23-f1,r1を増幅することができる2
種類のPCRプライマー「配列番号:10/5-CTACCATTAAT
GATGCTCTAACATC-3」、「配列番号:11/5-TAAACTATCG
AACAACCCATCCC-3」を合成し、これらを用いて、F2世代
のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気
泳動で調べた。その結果、ACW7/VW331遺伝子と同マーカ
ーとの間には1染色体で組み換えが認められた。
【0066】次にT25N20-f1,r1を増幅することができる
2種類のPCRプライマー「配列番号:12/5-TAGTTTCCCC
ATTCTTTATGCAG-3」、「配列番号:13/5-TGCTTGTTTCA
TTTCTCTCAGTG-3」を合成し、これらを用いて、F2世代の
ゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳
動で調べた。その結果、ACW7/VW331遺伝子と同マーカー
との間には組み換えが認められなかった。
【0067】vw331変異体はシロイヌナズナのWS(Wassil
ewskija)エコタイプにおいて見出されているので、この
同変異体に、別のエコタイプであるコロンビアを交配
し、次世代の種子を採種し、それを生育させ、自殖させ
てF2世代の種子を得た。このF2世代の種子を発芽させ、
育成した植物(772個体)からゲノムDNAを抽出した。こ
れらのゲノムDNAを、マーカーとして自ら作製したF3F20
m2XbI、T21E18mERIを用いて、同ゲノムDNAに対して、PC
R法により組換価を算出した。具体的には、F3F20m2XbI
を増幅することができる2種類のPCRプライマー「配列
番号:14/5-TTTTGGACGTTCCTCATGATTAGATCTAG-3」、
「配列番号:15/5-TGACAGTATCGAGTTCGGTATTCA-3」を
用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、ア
ガロース電気泳動で遺伝子型を調べた。その結果、ACW7
/VW331遺伝子と同マーカーとの間には2個の染色体で組
み換えが認められた。次にT21E18mERIを増幅することが
できる2種類のPCRプライマー「配列番号:16/5-CTC
CCTCTAATTTCACTCTCTTAATCCATT-3」、「配列番号:17
/5-TTCTTGATGGCATATTCTTGTTTGCTGAAT-3」を用いて、F2
世代のゲノムDNAをPCRにより増幅させ、アガロース電気
泳動で遺伝子型を調べた。その結果、ACW7/VW331遺伝子
と同マーカーとの間には3個の染色体で組み換えが認め
られた。
【0068】以上のようにして得られたacw7変異とvw33
1変異の分子遺伝学的解析の結果から、ACW7/VW331遺伝
子を含む染色体上の領域が、F3F20m2XbI、T21E18mERIの
2つの分子マーカーによって挟まれていることが確認さ
れた。そこで、F3F20m2XbI、T21E18mERIマーカー間に推
定される遺伝子領域の塩基配列チェックを行った。その
結果、acw7変異ではエンド型キチナーゼと推定されてい
る遺伝子全領域の塩基の欠失として見出された。一方vw
331変異では、エンド型キチナーゼ遺伝子の1065位〜108
4位の塩基の欠失と、それによる248位〜255位のアミノ
酸の欠失として見出された。該エンド型キチナーゼ遺伝
子の全長cDNAを、λZAPIIcDNAライブラリー(STRATAGENE
社)より単離し、これをpBI121ベクターにサブクローニ
ング後、アグロバクテリアを介しFloral Dip法 (Clough
S.J., Bent A.F. Floral dip: asimplified method fo
r Agrobacterium-mediated transformation of Arabido
psis thaliana. Plant J, 1998, 16, 735-743.) によ
り、acw7/vw331変異体に導入した。その結果、acw7/vw3
31表現型を野生型に回復することができた。したがっ
て、該エンド型キチナーゼ遺伝子が、ACW7/VW331遺伝子
であることが明らかになった。
【0069】エンド型キチナーゼはN-アセチルグルコサ
ミンから構成される多糖であるキチンを分解する酵素で
あり、菌類、植物などの生物に存在し、遺伝子ファミリ
ーを形成している。高等植物ではアラビドプシス、タバ
コ、ダイズなどからホモローグが取られており、非常に
高いホモロジーを示している。植物のエンド型キチナー
ゼは、アミノ酸配列の特徴からとしてC末に液胞移行シ
グナルを持つタイプと、N末に細胞外への分泌シグナル
を持つタイプの2つに分類される。機能としては、前者
は抗菌活性を持つことから耐病性に関係していることが
証明されているが、後者についてはPRタンパク質として
病原菌の細胞壁に作用しエリシターを生成すると言われ
ているが証明されていない(Collinge D. B, et al., Pl
ant chitinases. Plant J, 1993, 3, 31-40.、Benhamou
N., Immunocytochemistry of plant defense mechanis
ms induced upon microbial attack. Microsc Res Tec
h, 1995, 31, 63-78.、Kang M. K. et al., Coordinate
d expression of defense-related genes by TMV infec
tion or salicylic acid treatment in tobacco. MolCe
lls, 1998, 8, 388-392.)。エンド型キチナーゼが、細
胞壁合成に関与しているという報告は未だない。
【0070】植物にはキチンは存在しないが、キチナー
ゼの基質となるようなN-アセチルグルコサミンやグルコ
サミンからなる糖鎖は存在する(Buchanan B. B., Gruis
semW., Jones R. L. eds. Biochemistry & Molecular B
iology of Plants. American Society of Plant Physio
logists, 2000, Rockville, Maryland.)。それらの糖鎖
は、糖タンパク質と結合することでそのタンパク質の機
能発現等に関与していることが示されている。例えば、
ニンジンのアラビノガラクタン糖タンパク質をキチナー
ゼで処理し培地に加えることで、プロトプラストからの
不定胚形成が促進されることが報告されている(Hengel
A. J. et al., N-acetylglucosamineand glucosamine-c
ontaining arabinogalactan proteins control somatic
embryogenesis. Plant Physiol, 2001, 125, 1880-189
0.)。また、セルロース合成酵素は糖鎖が付加すること
で機能することが示唆されている(Pear J. R. et al.,H
igher plants contain homologs of the bacterial cel
A genes encoding thecatalytic subunit of cellulose
synthesis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1996, 93,
12637-12642.)。したがって、ACW7/VW331エンドキチナ
ーゼは、セルロース合成に関わるタンパク質の修飾に関
与しているものと考えられる。
【0071】以上の結果から我々は、ACW7/VW331エンド
型キチナーゼが、細胞壁主成分であるセルロースの合成
に関与しているという新規な機能を初めて明らかにし
た。
【0072】
【発明の効果】本発明により、植物の細胞壁合成に関与
するタンパク質および遺伝子、並びに該遺伝子の発現を
調節することにより細胞壁成分と細胞形態が改変された
植物を作出する技術が提供された。植物の細胞壁成分と
細胞形態の改変は、例えば、パルプ等繊維原材料植物の
供給効率の増加、細胞壁合成制御による新素材の開発、
農作物の有用成分の増加、飼料作物の消化吸収効率の増
加、細胞壁合成量増大による植物の成長量の増加、繊維
細胞形態の変化による新たな価値を有する植物の作出な
どをもたらすことができるため、農業や工業・園芸の分
野において有益である。
【0073】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Oji Paper Company Limited <120> The gene involved in cell wall synthesis and cell morphogenesis of plants and use thereof <130> OJI-A0101 <140> <141> <160> 17 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 966 <212> DNA <213> Arabidopsis thaliana <220> <221> CDS <222> (1)..(963) <400> 1 atg gtg aca atc agg agt ggt tca atc gtg att ttg gtt ctg ctg gct 48 Met Val Thr Ile Arg Ser Gly Ser Ile Val Ile Leu Val Leu Leu Ala 1 5 10 15 gta tca ttt ctg gcc ttg gtt gcc aat gga gag gac aaa acg att aaa 96 Val Ser Phe Leu Ala Leu Val Ala Asn Gly Glu Asp Lys Thr Ile Lys 20 25 30 gtg aag aaa gtg agg gga aat aag gtg tgc acg caa gga tgg gaa tgc 144 Val Lys Lys Val Arg Gly Asn Lys Val Cys Thr Gln Gly Trp Glu Cys 35 40 45 agc tgg tgg tct aaa tac tgc tgt aac cag acg ata tca gat tac ttt 192 Ser Trp Trp Ser Lys Tyr Cys Cys Asn Gln Thr Ile Ser Asp Tyr Phe 50 55 60 cag gtt tat cag ttt gag caa ctc ttt tcc aaa agg aac act ccc att 240 Gln Val Tyr Gln Phe Glu Gln Leu Phe Ser Lys Arg Asn Thr Pro Ile 65 70 75 80 gct cat gct gtt ggt ttc tgg gac tac cag tct ttc att act gct gct 288 Ala His Ala Val Gly Phe Trp Asp Tyr Gln Ser Phe Ile Thr Ala Ala 85 90 95 gcc ctc ttt gag cct ctt ggt ttt ggt acc act gga gga aag ctc atg 336 Ala Leu Phe Glu Pro Leu Gly Phe Gly Thr Thr Gly Gly Lys Leu Met 100 105 110 gga cag aaa gaa atg gct gcc ttt ctc ggt cat gta gcc agc aaa acg 384 Gly Gln Lys Glu Met Ala Ala Phe Leu Gly His Val Ala Ser Lys Thr 115 120 125 tcc tgt ggc tat gga gtt gca aca gga ggg cct tta gct tgg ggt ctg 432 Ser Cys Gly Tyr Gly Val Ala Thr Gly Gly Pro Leu Ala Trp Gly Leu 130 135 140 tgc tac aac agg gaa atg agc cca atg caa tcc tac tgt gac gag tcc 480 Cys Tyr Asn Arg Glu Met Ser Pro Met Gln Ser Tyr Cys Asp Glu Ser 145 150 155 160 tgg aaa ttc aag tac ccc tgc agc cct gga gct gaa tac tac gga cgc 528 Trp Lys Phe Lys Tyr Pro Cys Ser Pro Gly Ala Glu Tyr Tyr Gly Arg 165 170 175 ggt gcc tta ccc att tac tgg aac ttc aac tac gga gca gct ggg gaa 576 Gly Ala Leu Pro Ile Tyr Trp Asn Phe Asn Tyr Gly Ala Ala Gly Glu 180 185 190 gcc ctg aaa gct gat ctc ttg aac cac cct gag tac att gag caa aac 624 Ala Leu Lys Ala Asp Leu Leu Asn His Pro Glu Tyr Ile Glu Gln Asn 195 200 205 gcg aca ctt gca ttc caa gct gca atc tgg aga tgg atg act cca atc 672 Ala Thr Leu Ala Phe Gln Ala Ala Ile Trp Arg Trp Met Thr Pro Ile 210 215 220 aag aga gct cag ccc tca gct cac gac atc ttt gtc gga aac tgg aaa 720 Lys Arg Ala Gln Pro Ser Ala His Asp Ile Phe Val Gly Asn Trp Lys 225 230 235 240 cct aca aag aac gac act ttg tcc aag cgt ggc ccg act ttt ggc agc 768 Pro Thr Lys Asn Asp Thr Leu Ser Lys Arg Gly Pro Thr Phe Gly Ser 245 250 255 acc atg aac gtc ctc tac gga gag tac aca tgt ggt caa ggt tcc att 816 Thr Met Asn Val Leu Tyr Gly Glu Tyr Thr Cys Gly Gln Gly Ser Ile 260 265 270 gat cca atg aac aac ata atc tca cac tac tta tac ttc ctt gac ctc 864 Asp Pro Met Asn Asn Ile Ile Ser His Tyr Leu Tyr Phe Leu Asp Leu 275 280 285 atg ggt att gga aga gaa gac gcg gga cca aac gat gag ctc agc tgc 912 Met Gly Ile Gly Arg Glu Asp Ala Gly Pro Asn Asp Glu Leu Ser Cys 290 295 300 gca gaa cag aaa cct ttc aac cct tca act gta cct tcc tct tcc tct 960 Ala Glu Gln Lys Pro Phe Asn Pro Ser Thr Val Pro Ser Ser Ser Ser 305 310 315 320 tcg taa 966 Ser <210> 2 <211> 321 <212> PRT <213> Arabidopsis thaliana <400> 2 Met Val Thr Ile Arg Ser Gly Ser Ile Val Ile Leu Val Leu Leu Ala 1 5 10 15 Val Ser Phe Leu Ala Leu Val Ala Asn Gly Glu Asp Lys Thr Ile Lys 20 25 30 Val Lys Lys Val Arg Gly Asn Lys Val Cys Thr Gln Gly Trp Glu Cys 35 40 45 Ser Trp Trp Ser Lys Tyr Cys Cys Asn Gln Thr Ile Ser Asp Tyr Phe 50 55 60 Gln Val Tyr Gln Phe Glu Gln Leu Phe Ser Lys Arg Asn Thr Pro Ile 65 70 75 80 Ala His Ala Val Gly Phe Trp Asp Tyr Gln Ser Phe Ile Thr Ala Ala 85 90 95 Ala Leu Phe Glu Pro Leu Gly Phe Gly Thr Thr Gly Gly Lys Leu Met 100 105 110 Gly Gln Lys Glu Met Ala Ala Phe Leu Gly His Val Ala Ser Lys Thr 115 120 125 Ser Cys Gly Tyr Gly Val Ala Thr Gly Gly Pro Leu Ala Trp Gly Leu 130 135 140 Cys Tyr Asn Arg Glu Met Ser Pro Met Gln Ser Tyr Cys Asp Glu Ser 145 150 155 160 Trp Lys Phe Lys Tyr Pro Cys Ser Pro Gly Ala Glu Tyr Tyr Gly Arg 165 170 175 Gly Ala Leu Pro Ile Tyr Trp Asn Phe Asn Tyr Gly Ala Ala Gly Glu 180 185 190 Ala Leu Lys Ala Asp Leu Leu Asn His Pro Glu Tyr Ile Glu Gln Asn 195 200 205 Ala Thr Leu Ala Phe Gln Ala Ala Ile Trp Arg Trp Met Thr Pro Ile 210 215 220 Lys Arg Ala Gln Pro Ser Ala His Asp Ile Phe Val Gly Asn Trp Lys 225 230 235 240 Pro Thr Lys Asn Asp Thr Leu Ser Lys Arg Gly Pro Thr Phe Gly Ser 245 250 255 Thr Met Asn Val Leu Tyr Gly Glu Tyr Thr Cys Gly Gln Gly Ser Ile 260 265 270 Asp Pro Met Asn Asn Ile Ile Ser His Tyr Leu Tyr Phe Leu Asp Leu 275 280 285 Met Gly Ile Gly Arg Glu Asp Ala Gly Pro Asn Asp Glu Leu Ser Cys 290 295 300 Ala Glu Gln Lys Pro Phe Asn Pro Ser Thr Val Pro Ser Ser Ser Ser 305 310 315 320 Ser <210> 3 <211> 4285 <212> DNA <213> Arabidopsis thaliana <220> <221> promoter <222> (1)..(2000) <220> <221> exon <222> (2001)..(2388) <220> <221> intron <222> (2389)..(2606) <220> <221> exon <222> (2607)..(2766) <220> <221> intron <222> (2767)..(2867) <220> <221> exon <222> (2868)..(3285) <220> <221> terminator <222> (3285)..(4285) <400> 3 ggttttggac aagttattgc tttcgactga gctctgcatg aacaatgtga ccacatagag 60 ttagaataaa gctgattata taattatcac atgctcattg cactccgcaa tgcaaaaatt 120 taagttcttt ccaatcaggg atatcaaagc acagatgaca cagacatctc acatctgctc 180 catttttatc accaatttac cataatagct agaccaccat cacagtaaga acttcataat 240 gatataatca tgcagacaat cctaactcct atcatcttcg cccattacga tacaaacaat 300 gcaaagtact ttcaattcct caccacgaaa caaaaccaaa accagtatca aggaactgaa 360 atttcacaga atcataaaaa cagattagca tttattgaag cacctattat ttcctaatgc 420 gagagaatat gatgcgaatc aaaaggaaaa aactatgaaa ctcgaaattg tgaacgaacc 480 ttttattgac gtaagtacaa gacgtataaa gcttctgctt tttatccatg aggatatgaa 540 gctgacagta attggtgagt gccatggcct tagatttgca tccactacca caagcaacac 600 aattaccagc cttaacgcca tcgttgttgt tattatcatt atctccgcta ccttcaattt 660 catccccagt ttgtccttca accttacgtc tcttgttttg gtgataattc tcatctttga 720 aaggactaac accatagttc cagctataat atctatgttg tgccttgaga tcctccatta 780 gagcccagta atggtctctg tagcatctag agagctgctt caggttgtgc gatctgcgtc 840 ggagaagctc cgggcgagtg aggtgattgg aatttcccag gatctgatcc tccaccgcca 900 tcgaaatcgg tgaattcgat gacgtcgacg ggttattagg gtttcgaaat tgggattcct 960 ccaatacacc ggatttcgag ggggttgaag caatgatcgg agatggatgc ctaggaggtt 1020 tggaagaaga agggttttgc ttggaagctg acgccattgt tactgttgga aaacaaggga 1080 gagagaaaga gagtggcgaa gagtggctag aggaaagaca aggacgagac aggaaactct 1140 ggcaaaattg acatttatag aaaggcctta cttaaaagcc caatgggcca taacatgaac 1200 cgaaaaccca tgaaaaaaat cgaagtagac cgattggttt aaatcaggtt ctgctggtgt 1260 gcggctgtcg gtggaaggct ccacttcagt aaagtagggc ccacaacacg aaccaggctg 1320 tcttgtctaa ccgacacata cattacacca aacgcaatct tcaccgttga ttgttctcta 1380 atccaacggt tgatagagac tgctgatccg tcacccgctt tagtttagtg tttcttcttc 1440 ctcctctctt tcccaagaat ctcttcctta ttttctcggc aacgaagcaa aaagggtaat 1500 ttttgtcggt tgaattcaca agctagtttt ctcgatctct ctctggatct atagctgatc 1560 tgcattgcgg gtaagcattt tttccacaag tacttatgcc taattttggt aacgatttag 1620 ctaaatcttg actagagaat tttgtttcgt tgcttggtta ttgaattcgt gatctcacat 1680 ttgaagtctt cgcatatctt atacatcaat ctctccaagt tggtataata ttggtcaatc 1740 taacaatttt tcttagtttt ttcacttaag aacttagaga gttccatgtt tttggtttaa 1800 ttcttccttt gttgtttcta atcagctttt tggcattaag tgcctattgt ataaggtaga 1860 tctgtattgt tagtaatttg tgttctgttt tctttatagt aatgttcaga tgcttacttg 1920 ggattaatgg atgtttctaa atttgttttt ttgttgatgt ttgcagcttg tagctggtat 1980 ttgttccata gttgtaagct atggtgacaa tcaggagtgg ttcaatcgtg attttggttc 2040 tgctggctgt atcatttctg gccttggttg ccaatggaga ggacaaaacg attaaagtga 2100 agaaagtgag gggaaataag gtgtgcacgc aaggatggga atgcagctgg tggtctaaat 2160 actgctgtaa ccagacgata tcagattact ttcaggttta tcagtttgag caactctttt 2220 ccaaaaggaa cactcccatt gctcatgctg ttggtttctg ggactaccag tctttcatta 2280 ctgctgctgc cctctttgag cctcttggtt ttggtaccac tggaggaaag ctcatgggac 2340 agaaagaaat ggctgccttt ctcggtcatg tagccagcaa aacgtcctgt aagttttcct 2400 tcattttagt cctctttcta catagttgac catctaacta tgaatagaaa aaaggatgct 2460 ttaagcttac ctccatagct ataccattat attaatctga tcaaactcga cattcagaat 2520 catgaaaatg gatatgccct aagttgcagt tggtggtttc tatgttgtaa gaagctgcat 2580 atgagtgtta ctgtgatgtc ttataggtgg ctatggagtt gcaacaggag ggcctttagc 2640 ttggggtctg tgctacaaca gggaaatgag cccaatgcaa tcctactgtg acgagtcctg 2700 gaaattcaag tacccctgca gccctggagc tgaatactac ggacgcggtg ccttacccat 2760 ttactggtac acatttctct tctactttga agctctagat aaaaactgtg tcaaacaatt 2820 tgcattcgtc catactgaag gtatttttac ctgtgtgtta tttgaaggaa cttcaactac 2880 ggagcagctg gggaagccct gaaagctgat ctcttgaacc accctgagta cattgagcaa 2940 aacgcgacac ttgcattcca agctgcaatc tggagatgga tgactccaat caagagagct 3000 cagccctcag ctcacgacat ctttgtcgga aactggaaac ctacaaagaa cgacactttg 3060 tccaagcgtg gcccgacttt tggcagcacc atgaacgtcc tctacggaga gtacacatgt 3120 ggtcaaggtt ccattgatcc aatgaacaac ataatctcac actacttata cttccttgac 3180 ctcatgggta ttggaagaga agacgcggga ccaaacgatg agctcagctg cgcagaacag 3240 aaacctttca acccttcaac tgtaccttcc tcttcctctt cgtaagtctt atgatatatc 3300 gccgttgctc tcaagtctct cttgcttaat gttacgtaat aagtgaaatt gcttgtggta 3360 aaaaaagaag aagtgtgttt ttgtccctct agaacttata atgcaaacaa cattacattt 3420 tatatttttc tgtatgtaaa accatattta attattgtat tggaagaatg tgtgtaaaat 3480 agagaaagag caaggaaaca taaatgtggt ttgcgaatga tatttgtttc tattcgtttg 3540 ttataaattt gttcacatgg tttttagtct taaactcata acctaatact taaattaagg 3600 aaacaaattc ctatgattta taattttgtt acaattgaaa gttgaaacga caaaaaggat 3660 aatataactg aacagtaaaa tatgagttgt aacagcgtca gtaacaccta agtttacatg 3720 taataaattt acctgaatga aaccataaaa atatcgaatt aatgggtcga aagaaaaaga 3780 aaagtccacg ctggaaataa aaaataataa aatacgggaa ttggtggaag aagtgaccaa 3840 acaaactctg taatttctga acttcctcgt cgtcgtcgtc gtcgccgccg gtccggtggt 3900 ttctttcaac ttctccgccg agacgactga cgctgtaaac atcaggcacg tgggaagaag 3960 aaagaagatg actttatcaa tcgtatcttt ccccatctgc ggaagattca cgctgatttg 4020 gtttctcact gctcttgttt ccgtctcttg taatcccgga gtgttcaatg taaagtaccg 4080 ttatccaagg cttcaagggt ccttgaccgc cttaaaggag cacgatgacc ggcgtcagct 4140 cacaattctc gctggaatcg atctacccct tggtggaact ggtcgccctg atatccccgg 4200 gtcagtttca gattcctcta aagagttgtt attgtttctt tagcgtctct gatcactgct 4260 gatttcgagc cttttgagag gaatt 4285 <210> 4 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 4 gcatctgtgt tcactcgcc 19 <210> 5 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 5 ttaatacatt agcccagacc cg 22 <210> 6 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 6 aaccaaggca cagaagcg 18 <210> 7 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 7 acccaagtga tcgccacc 18 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 8 aaatttcaaa atgcgtatcc 20 <210> 9 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 9 gtgttgcgtg tcgaccc 17 <210> 10 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 10 ctaccattaa tgatgctcta acatc 25 <210> 11 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 11 taaactatcg aacaacccat ccc 23 <210> 12 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 12 tagtttcccc attctttatg cag 23 <210> 13 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 13 tgcttgtttc atttctctca gtg 23 <210> 14 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 14 ttttggacgt tcctcatgat tagatctag 29 <210> 15 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 15 tgacagtatc gagttcggta ttca 24 <210> 16 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 16 ctccctctaa tttcactctc ttaatccatt 30 <210> 17 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: an artificially synthesized primer sequence <400> 17 ttcttgatgg catattcttg tttgctgaat 30
【図面の簡単な説明】
【図1】 acw7/vw331変異体のロゼットの形態を示す実
体顕微鏡写真である。Aは野生型、Bはacw7/vw331変異
体を示す。葉柄や根の伸長阻害が観察される。スケール
バーは5mmを示す。
【図2】 acw7/vw331変異体の根の細胞伸長阻害を示す
光学顕微鏡写真である。Aは野生株、Bはacw7/vw331変
異体を示す。細胞伸長が阻害された結果、根が太く根毛
が密になっている様子が観察される。スケールバーは10
0μmを示す。
【図3】 acw7/vw331変異体の細胞壁微細構造の異常を
示す電子顕微鏡写真である。Aは野生株、Bはacw7/vw3
31変異体を示す。野生株の細胞壁表面は滑らかであるの
に対し、acw7/vw331変異体のそれは粗く凸凹しているこ
とが観察される。スケールバーは200nmを示す。
【図4】 細胞壁TFA不溶画分の構成糖分析の結果を示
す図である。白いバーは野生型、黒いバーはacw7/vw331
変異体における結果をそれぞれ示す。Araはアラビノー
ス、Xylはキシロース、Manはマンノース、Glcはグルコ
ースを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/24 C12N 5/00 C (72)発明者 岡田 清孝 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学大学院理学研究科植物学教室内 (72)発明者 槻木 竜二 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学大学院理学研究科植物学教室内 (72)発明者 伏木田 地 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学大学院理学研究科植物学教室内 Fターム(参考) 2B030 CA15 CA17 CA19 4B024 AA08 BA12 CA04 DA01 EA04 FA02 GA11 HA01 4B050 CC01 CC03 DD13 LL10 4B065 AA88X AA88Y AB01 BA02 CA31 CA53 4H045 AA11 CA30 DA75 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)〜(e)のいずれかに記載
    の植物のエンド型キチナーゼをコードするDNA。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
    パク質をコードするDNA。 (b)配列番号:1または3に記載の塩基配列のコード
    領域を含むDNA。 (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタン
    パク質と71%以上の相同性を有するタンパク質をコード
    するDNA。 (d)配列番号:1または3に記載の塩基配列からなる
    DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするD
    NA。 (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1ま
    たは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/また
    は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコード
    するDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDNAによりコードされ
    るタンパク質。
  3. 【請求項3】 以下の(a)〜(e)のいずれかに記載
    のDNA。 (a)請求項1に記載のDNAの転写産物と相補的なアン
    チセンスRNAをコードするDNA。 (b)請求項1に記載のDNAの転写産物を特異的に開裂
    するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。 (c)RNAi効果により、請求項1に記載のDNAの発現を
    抑制するRNAをコードするDNA。 (d)共抑制効果により、請求項1に記載のDNAの発現
    を抑制するRNAをコードするDNA。 (e)請求項1に記載のDNAの転写産物に対してドミナ
    ントネガティブな形質を有するタンパク質をコードする
    DNA。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のDNAを含むベクター。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のDNAを含むベクター。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のDNA、または請求項4
    に記載のベクターを保持する形質転換細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1もしくは3に記載のDNA、また
    は請求項4もしくは5に記載のベクターを保持する形質
    転換植物細胞。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の形質転換細胞を含む形
    質転換植物体。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の形質転換植物体の子孫
    またはクローンである、形質転換植物体。
  10. 【請求項10】 細胞壁成分の改変がなされている、請
    求項8または9に記載の形質転換植物体。
  11. 【請求項11】 細胞壁成分の改変がグルカン量の変化
    である、請求項10に記載の形質転換植物体。
  12. 【請求項12】 細胞壁成分の改変がセルロース量の変
    化である、請求項10に記載の形質転換植物体。
  13. 【請求項13】 細胞形態の改変がなされている、請求
    項8または9に記載の形質転換植物体。
  14. 【請求項14】 細胞形態の改変が細胞伸長の変化であ
    る、請求項13に記載の形質転換植物体。
  15. 【請求項15】 細胞形態の改変が細胞の大きさの変化
    である、請求項13に記載の形質転換植物体。
  16. 【請求項16】 請求項8〜15のいずれかに記載の形
    質転換植物体の繁殖材料。
  17. 【請求項17】 請求項8〜15のいずれかに記載の形
    質転換植物体の製造方法であって、請求項1もしくは3
    に記載のDNA、または請求項4もしくは5に記載のベク
    ターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生
    させる工程を含む方法。
  18. 【請求項18】 請求項6に記載の形質転換細胞を培養
    し、該形質転換細胞またはその培養上清から、発現させ
    たタンパク質を回収する工程を含む、請求項2に記載の
    タンパク質の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項2に記載のタンパク質に結合す
    る抗体。
  20. 【請求項20】 請求項1に記載のDNAと特異的にハイブ
    リダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有する
    DNA。
JP2001388307A 2001-12-20 2001-12-20 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用 Pending JP2003180372A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001388307A JP2003180372A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001388307A JP2003180372A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003180372A true JP2003180372A (ja) 2003-07-02

Family

ID=27596867

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001388307A Pending JP2003180372A (ja) 2001-12-20 2001-12-20 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003180372A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014164389A1 (en) * 2013-03-11 2014-10-09 Pioneer Hi-Bred International, Inc. Compositions and methods to enhance mechanical stalk strength in plants

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014164389A1 (en) * 2013-03-11 2014-10-09 Pioneer Hi-Bred International, Inc. Compositions and methods to enhance mechanical stalk strength in plants
CN105247055A (zh) * 2013-03-11 2016-01-13 先锋国际良种公司 用于增强植物茎机械强度的组合物和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1681349B1 (en) Genetic control of plant growth and development
CA3049172A1 (en) Plant grain trait-related protein, gene, promoter and snps and haplotypes
AU2005336142A1 (en) A transgenic plant having enhanced drought tolerance
WO2019038417A1 (en) METHODS FOR INCREASING GRAIN YIELD
US11479784B2 (en) Modulation of seed vigor
EP2044107A1 (en) Use of plant chromatin remodeling genes for modulating plant architecture and growth
US20140068811A1 (en) Drought tolerant plants and related constructs and methods involving genes encoding zinc-finger (c3hc4-type ring finger) family polypeptides
AU778179B2 (en) Gibberellin 3 beta-hydroxylase genes of rice and uses thereof
EP2090650B1 (en) Grain incomplete filling gene (gif1) and uses thereof
US6635811B1 (en) Pre-harvest sprouting
JP3283850B2 (ja) 花成制御遺伝子と花成制御方法
CA2901927A1 (en) Drought tolerant plants and related constructs and methods involving genes encoding ring-h2 polypeptides
US20160369295A1 (en) Drought tolerant plants and related constructs and methods involving genes encoding dtp4 polypeptides
KR100832257B1 (ko) 식물 디옥시하이푸신 신타제, 식물 진핵성 개시 인자5에이를 인코딩하는 디엔에이, 형질전환 식물 및식물에서의 프로그램화된 노화와 세포 사멸의 조절방법
CN101665803B (zh) 具有改变的生长特性的植物及其生产方法
US20130160164A1 (en) Crop grain filling gene (gif1) and the applications thereof
JP2003180372A (ja) 植物の細胞壁合成および細胞形態形成に関与する遺伝子とその利用
AU2001288118B2 (en) Modification of plant cell wall components and method for regulating plant development/differentiation
CN114656537B (zh) Grmzm2g071330蛋白及其应用
CN114644699B (zh) 调控ZmARP1基因表达的物质在调控植物抗旱中的应用
AU2002250729B2 (en) Modification of plant defense, disease/pest resistance and protein storage
Kuluev et al. Role of PtrXTH1 and PnXTH1 Genes Encoding Xyloglucan Endo-Transglycosylases in Regulation of Growth and Adaptation of Plants to Stress Factors
WO1999007857A1 (en) Pectin degrading enzymes
Jordano et al. Stress tolerant plants
JP2001238686A (ja) イネ由来のジベレリン3β水酸化酵素遺伝子およびその利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061025

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061225

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081105

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090401