JP2003179114A - 半導体ウェーハの抵抗率測定方法 - Google Patents

半導体ウェーハの抵抗率測定方法

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JP2003179114A JP2001379103A JP2001379103A JP2003179114A JP 2003179114 A JP2003179114 A JP 2003179114A JP 2001379103 A JP2001379103 A JP 2001379103A JP 2001379103 A JP2001379103 A JP 2001379103A JP 2003179114 A JP2003179114 A JP 2003179114A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】空乏状態又は弱反転状態のままでもAC−SP
V法で抵抗率を測定する方法を提供する。 【解決手段】表面光電圧法を用いて半導体ウェーハの抵
抗率を測定する方法であって、(a)測定対象である半
導体ウェーハへの入射光の周波数によらず一定の表面光
電圧値が得られる低周波数領域と入射光の周波数に反比
例する表面光電圧値が得られる高周波数領域との両領域
において表面光電圧値を測定し、得られた測定値から遮
断周波数fcを算出するステップと、(b)前記高周波
数領域における表面光電圧値から算出されるキャパシタ
ンスCdpから空乏層幅Wdを算出するステップと、
(c)前記遮断周波数fcと前記キャパシタンスCdp
ら多数キャリアコンダクタンスgmjを算出するステップ
と、(d)前記遮断周波数fc、前記キャパシタンスC
dp、前記空乏層幅Wd及び前記多数キャリアコンダクタ
ンスgmjとから表面電位Us及びフェルミ電位UFを算出
するステップと、を有するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、表面光電圧法を用
いて半導体ウェーハ(以下、ウェーハということがあ
る)の抵抗率を測定する方法に関する。 【0002】 【関連技術】半導体ウェーハの抵抗率を非接触で測定す
る方法としては、表面光電圧(Surface Pho
to Voltage:以下、SPVという)を利用す
る方法がエミル・カミエニエキらによって、例えば、
J.Appl. Phys.Vol 54(11)、N
ov. 1983 p.6481で提案されている。S
PVは半導体に光を照射した時に生じる表面電位の変化
を意味する。入射光として適当な周波数で断続した光子
線を用いることにより励起されるSPVのことを交流S
PV(AC−SPV)という。本明細書中では、以下、
特にことわりがないかぎり、SPVとはAC−SPVを
意味する。 【0003】まず、SPVの測定装置の一例を図4を用
いて説明する。図4において、10はSPVの測定装置
で、その光源としては断続が容易であるため通常は発光
ダイオード12(以下LED)が用いられる。適当な周
波数で断続されたLED12の光12aは開口14とレ
ンズ16を通して収束されて、SiウェーハWの表面に
照射される。18はLEDドライバーで、LED12を
駆動するとともにロックイン増幅器20に接続されてい
る。AC−SPVはSiウェーハWの表面上にマイラー
膜22を挿入して設置された透明電極24に接続したL
EDの駆動周波数に同調したロックイン増幅器20で計
測する。マイラー膜22はなくてもよく、Siウェーハ
Wの表面と数十μm〜200μm程度の空隙を介して設
置された透明電極24でも計測できる。透明電極24と
しては、例えばガラス基板にインジウム酸化物を蒸着さ
せてつくることができる。なお、符号26は透明電極2
4の上面に設けられたガラスプレート、28は金属電極
である。 【0004】図5にp型Siウェーハを例にとり、その
抵抗率を測定する原理図を示す。SiウェーハWの表面
に正電荷Qs(Qs>0)が存在する場合、バルク表面
近傍の自由正孔は静電的に反発されて、バルク内部に押
しやられる。この結果表面近傍には負にイオン化したア
クセプター原子のみが出現するため負の電荷Qsc(Q
sc<0)を形成する。バルク表面近傍には自由正孔の
存在しない領域、即ち空乏層領域36が形成される。こ
の空乏層領域36には表面の正電荷QsとSiバルク内
部の負電荷Qscにより内部電界が形成されている。A
C−SPV測定用の透明電極30はSiウェーハWと1
00μmの空隙(エアーギャップ)32を介して設置さ
れており、これによりSiウェーハ表面と非接触で測定
可能となるメリットがある。光源34からの入射光34
a〔チョッピングされた断続光(40〜50KHz)〕
としてはSiのエネルギーギャップに対応する波長より
も短波長の光が用いられ、このように短波長の光を用い
る理由は以下のとおりである。 【0005】例えば、波長450nmの光の場合のSi
中での吸収係数が大きいため、SiウェーハW中への侵
入深さは約0.5μm程度である。仮にSiウェーハW
の表面近傍に形成された空乏層36の巾が1μmであれ
ば、入射された光は空乏層36内で全て吸収される。そ
の結果、入射光によってSiウェーハ中に励起される過
剰キャリアは空乏層36のみで発生することになる。 【0006】空乏層36内に励起された過剰キャリア
〔電子(e)、正孔(h)〕は内部電界によってのみ電
荷分離されるため、得られるSPVはSiウェーハのキ
ャリア拡散長Lや裏面での表面再結合速度などの基板特
性の影響を受けなくなり、光電流Jphは次式で表され
る。 【0007】 【数1】Jph=qΦ(1−R)・・・・・(1) 【0008】ここで、qは電荷素量、Φは入射光子密
度、Rは光反射率である。 【0009】このような状態で試料表面に一様に照射さ
れると、AC−SPVは次のような関係式で表すことが
できる(例えばエミル・カミエニエキ等、J.App
l.Phys.Vol 54(11)、Nov. 19
83 P6481)。 【0010】 【数2】 δVs=−jδφω-1(1−R)qCdp -1・・・・・(2) 【0011】ここで、Vsは表面の電位障壁高さ、ωは
入射光の角周波数(ω=2πf、fは変調周波数)、q
は電荷素量、Cdpは試料表面に形成された空乏層のキャ
パシタンス、Rは光反射率、φは入射光子束である。δ
sはVsの変化量であり、図5中の試料より100μm
程度の空隙32を介して設置された透明電極30にてA
C−SPV信号として観測される。なお、図5におい
て、38はグランド電極である。 【0012】このように空乏層36内でのみ過剰キャリ
アが発生する条件下で測定される一般的なAC−SPV
の変調周波数依存性を図6に示す。AC−SPVを説明
するために何人かの人々は等価回路を使う試みをしてい
る。例えば、R.S.Nakhmason他、Soli
d−St.Electron、18(1975)、pp
627−634や、C.Munakata他、Jpn.
J.A.P.23、(1984)、pp.1451−1
460がある。一例としてMunakata等によって
提案されている半導体表面に強反転層が形成された場合
の等価回路を図7に示す。半導体表面は表面処理によっ
て中性状態、空乏状態、弱反転状態、強反転状態の各状
態を作り出すことができることが一般的に知られてい
る。 【0013】ここでは、強反転状態についてのみ等価回
路を用いて図6に示したAC−SPV信号を説明する。
これは、AC−SPVを用いて抵抗率を測定する従来の
技術が強反転状態を前提にした理論に基づいて構築され
ているからである。詳細な説明は上記した各論文中にあ
るのでここでは避けるが、図7中でCinは反転層キャパ
シタンス、ginは反転層コンダクタンス、Cdpは空乏層
キャパシタンス、gdpは空乏層コンダクタンスである。
等価回路よりAC−SPV信号は以下のとおり記述され
る。 【0014】 【数3】δVs=δJph|Z|・・・・・(3) 【0015】 【数4】 Z=1/(gin+gdp+jω(Cin+Cdp))・・・・・(4) 【0016】ここでVsは表面の電位障壁高さ、Jph
光電流、Zはインピーダンスである。 【0017】等価回路からも明白なようにキャパシタン
スと抵抗の並列回路である。従って、入射光の変調周波
数が低い領域ではコンダクタンスginとgdpによって制
限されたSPVが現れる。この領域ではSPVは変調周
波数によらず一定値をとることがわかる(図6の“A”
領域、以下低周波数領域という)。 【0018】逆に変調周波数が高い領域(図6の“B”
領域、以下高周波数領域という)ではキャパシタンスC
inとCdpによってAC−SPVは制限されるため観測さ
れるSPV信号は変調周波数fに反比例することが分か
る。両者の中間の変調周波数領域(図6の“C”領域、
以下遷移周波数領域という)はコンダクタンスに制限さ
れる領域からキャパシタンスに制限される領域へ移る遷
移領域である。 【0019】これより明確なように、変調周波数fの逆
数にAC−SPV信号が比例する高い変調周波数領域の
AC−SPV信号を測定すれば、観測されたAC−SP
Vより、試料表面に形成されたキャパシタンス成分であ
るCinとCdpの合成キャパシタンスが測定できる。強反
転状態においてはCin<<Cdpであるから観測されたA
C−SPV信号はCdpのみに依存することになり、結果
として空乏層キャパシタンスが算出できる。空乏層キャ
パシタンスCdpと空乏層幅Wdの間には一般的に次式が
成り立つ。 【0020】 【数5】Cdp=ε/Wd・・・・・(5) 【0021】ここでεはSiの比誘電率である。 【0022】したがって、変調周波数fの逆数にAC−
SPV信号が比例する高い変調周波数領域のAC−SP
V信号を測定すれば(2)式より被測定物(Si)の空
乏層キャパシタンスCdpを算出できる。さらに(5)式
より空乏層巾Wdが算出できる。仮に被測定物の表面が
強反転状態であれば、空乏層巾Wdは最大値Wmaxになり
次式で表すことができる。 【0023】 【数6】 【0024】ここで、Wmaxは強反転状態での最大空乏
層幅、εsはSiの比誘電率、kはボルツマン定数、N
scはドーパント濃度、niはSiの真性キャリア密度、
qは電荷素量である。 【0025】この関係式を用いて被測定物のドーパント
濃度を算出することができるのである。現在市販されて
いるAC−SPVを用いたSiウェーハの抵抗率を測定
する装置、例えばQC Solution社より市販さ
れている抵抗率測定器(商品名“SCP”)は入射光と
して波長450nmの光をチョッピングし(チョッピン
グ周波数40kHz)たものを用いており、光照射によ
り発生する過剰キャリアを空乏層内のみで発生できると
ともにチョッピング周波数40kHzはAC−SPV信
号がチョッピング周波数fに反比例する領域であり、上
述したように空乏層キャパシタンスを測定することがで
きる。 【0026】本装置はp型のSiウェーハを測定する場
合、測定前の前処理としてROST(Rapid Op
tical Surface Treatment)と
いう処理を実施している。これはハロゲンランプで30
0℃前後の温度で30秒程度の急速加熱処理を行なって
いる。この前処理により試料表面に正電荷が形成され
て、表面が強反転状態になるとしている。試料表面が強
反転状態の場合は、前述したようにCdpから被測定物の
ドーパント濃度が算出でき、ドーパント濃度から抵抗率
への換算は、例えば、ASTM(723−81)によっ
て行なえばよく、結果として抵抗率を算出することが原
理的に可能である。 【0027】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者がROST処理したウェーハの表面状態を計測した結
果、表面は強反転状態ではなく空乏状態又は弱反転状態
であるため、必ずしも正確な測定結果が得られていない
ことが判明した。 【0028】この問題を解決するためには、測定試料の
表面を強反転状態にする方法が考えられる。例えば、p
型Siの場合は表面に相当量の正電位を出現させればよ
い。表面に正電荷を出現させる具体的な方法としては、
上述したROST処理以外に(1)HF水溶液に浸漬す
る。(C.Munakata、Semicond.Sc
i.Technol. 5(1990)、pp842−
846、(2)熱酸化する。(B.E.Deal、IE
EE Trans.Electron Device、
ED−27、(1980)、pp606−608他)な
どがある。 【0029】しかしながら、(1)の方法では正電荷は
発生するがやはり強反転状態にはならない。また、
(2)の方法では抵抗率が比較的高い領域では強反転状
態になるが、熱酸化をしなければならず、検査コストの
上昇を招く。またエピタキシャルウェーハの場合は加熱
熱処理によって基板とエピタキシャル層界面のドーパン
ト濃度が変化してしまうといった問題がある。その他の
方法も強反転状態が得られなかったり、処理によって汚
染が生じてしまうなど測定したウェーハをそのまま製品
ウェーハとして出荷するには問題があった。その結果、
本発明者は、Siウェーハの品質を低下させずに強反転
状態を形成することは難しいとの認識に達した。 【0030】本発明は、これらの問題に鑑みなされたも
のであり、空乏状態又は弱反転状態のままでもAC−S
PV法で抵抗率を測定する方法を提供することを目的と
する。 【0031】上記問題を解決するため、本発明の半導体
ウェーハの抵抗率測定方法は、表面光電圧法を用いて半
導体ウェーハの抵抗率を測定する方法であって、(a)
測定対象である半導体ウェーハへの入射光の周波数によ
らず一定の表面光電圧値が得られる低周波数領域と、入
射光の周波数に反比例する表面光電圧値が得られる高周
波数領域との両領域において表面光電圧値を測定し、得
られた測定値から遮断周波数fcを算出するステップ
と、(b)前記高周波数領域における表面光電圧値から
算出されるキャパシタンスCdpから空乏層幅Wdを算出
するステップと、(c)前記遮断周波数fcと前記キャ
パシタンスCdpから多数キャリアコンダクタンスgmj
算出するステップと、(d)前記遮断周波数fc、前記
キャパシタンスCdp、前記空乏層幅Wd及び前記多数キ
ャリアコンダクタンスgmjとから表面電位Us及びフェ
ルミ電位UFを算出するステップと、を有することを特
徴とする。 【0032】すなわち、本発明は、AC−SPV法にお
いて、コンダクタンスでAC−SPVが制限される低変
調周波数領域とキャパシタンスでAC−SPVが制限さ
れる高変調周波数領域の少なくとも2つの領域のAC−
SPV信号を測定することに特徴を有する非破壊抵抗率
測定法である。 【0033】以下、本発明を完成させるに至った経緯に
ついてさらに詳細に説明する。図8、図9は、前述のQ
C Solution社より市販されている抵抗率測定
器(商品名“SCP”)を用いて、p/p+構造のエピ
タキシャルウェーハ(p型の低抵抗率基板上にp型通常
抵抗率のエピタキシャル層を形成したエピタキシャルウ
ェーハ)の抵抗率を測定した結果を示す。測定に用いた
エピタキシャルウェーハのエピ層の抵抗率は約10Ωc
mである。これは現在広く一般的に用いられているショ
ットキーCV法で確認を行なった。またエピタキシャル
層の厚さは約10μmである。 【0034】図8は試料を測定前に1回だけROST処
理をしてその後AC−SPVを繰り返し測定してエピタ
キシャル層のドーパント濃度を算出した結果である。横
軸は測定回数を示しており、1回の測定には約1分を要
する。エピタキシャル層のドーパント濃度は時間ととも
に減少しており、測定値が経時変化してしまっている。
一方、図9はROST処理+AC−SPV測定を繰り返
し測定した場合である。横軸は図8と同様に測定回数を
示しているが、毎回ROST処理を行なってから測定す
るので、1回の測定には約2分を要する。こちらの場合
には、ドーパント濃度は測定回数の増加とともに増加し
ており、やはり安定した測定ができていないことを示し
ている。 【0035】本発明者はROST処理したウェーハの無
単位の表面電位Us(表面電位Φs(v)を熱電圧kT
/qで割った物理量、ここでkはボルツマン定数、Tは
絶対温度、qは電荷素量である)を、例えば、Muna
kata他が提案している方法(Jpn.J.A.P
Vol.26、No2. Feb. 1987、pp.
226)で評価した結果、Usは15程度であり、強反
転層を形成するのに必要なUsはp型10Ω・cmの場
合は23.1以上であることから、ROST処理では表
面は強反転状態にはならず、空乏状態又は弱反転状態に
しかなっていないことを確認するに至った。 【0036】さらに、p型Siを例にとれば、表面電位
UsはSi表面への水分の吸着や、自然酸化膜の形成な
どのため常に変化することが一般的に知られている。下
記に示す表1は上記のサンプルをROST処理直後と5
時間経過後の無単位の表面電位Usを測定した結果であ
る。表1から明白なようにUsはいずれも23.1未満
であり、Si表面が強反転状態ではなく空乏状態又は弱
反転状態にしかなっていないことが分かる。またUsは
ROST直後に対して5時間経過後では小さくなってお
り表面電位が時間とともに低下、変化していることがわ
かる。 【0037】 【表1】 【0038】たとえ表面電位が多少変動しても、表面が
強反転状態を保っている範囲内であれば、最大空乏層巾
Wmaxは一定であり、よってAC−SPVで測定され
る空乏層キャパシタンスも一定であるため問題は生じな
いが、表面が空乏状態又は弱反転状態の場合は表面電位
が変化すると空乏層巾も変化してしまうことは、例えば
A.S.Groove、“Physics and T
echnologyof Semiconductor
Device”などで記載されており、広く一般的に
公知である。 【0039】このように、表面が空乏状態又は弱反転状
態の場合に表面電位が変化すると、結果として観測され
るAC−SPV信号も変化してしまう。従って、従来の
測定法のように変調周波数fの逆数にAC−SPVが正
比例する領域だけの測定では、表面電位が変化したの
か、試料の抵抗率が変化したのを区分けすることは不可
能である。更に、表面が強反転しているとの仮定からこ
のAC−SPV信号の変化を測定対象ウェーハのドーパ
ント濃度の変化として取り扱ってしまうといった問題点
のために、結果として、測定対象ウェーハのドーパント
濃度が経時変化するといった誤った解釈をしてしまうと
いう問題点があった。 【0040】以上のような従来の測定法の厳密なる分析
結果から、本発明者は、SPV法による抵抗率(ドーパ
ント濃度)の測定結果が安定しない根本原因は、ROS
T処理では表面は強反転状態にはならず空乏状態又は弱
反転状態にしかなっていないにもかかわらず、強反転状
態を仮定した計算を行なっているところにあることを確
信した。そして、測定対象ウェーハの表面が強反転状態
ではなく空乏状態又は弱反転状態であっても正確に抵抗
率(ドーパント濃度)を算出できる測定方法について鋭
意研究し、本発明を完成させたものである。 【0041】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
とともに説明するが、本発明の技術思想から逸脱しない
限りこれらに限定されるものではない。 【0042】図1は、本発明の半導体ウェーハの抵抗率
(ドーパント濃度)測定方法の工程順を示すフローチャ
ートである。まず、ステップ100では、測定対象ウェ
ーハをSPV法による測定装置にセットし、入射光の変
調周波数を変化させることにより、低周波数領域と高周
波数領域のそれぞれの領域において、SPVを測定す
る。低周波数領域におけるSPVは一定であり、高周波
数領域におけるSPVは周波数に反比例するので、それ
ぞれの領域において、少なくとも1点(1周波数)の測
定を行なえば、次のステップで遮断周波数を決定するこ
とができる。もちろん、それぞれの領域において複数の
周波数を用い、複数点の測定を行なうこともできる。低
周波数領域としては、例えば、0.1Hz〜1000H
zを選択し、高周波数領域としては、例えば、0.5k
Hz〜500kHzを選択すればよい。高周波数領域に
おけるSPVの測定結果からは、ウェーハ表面に形成さ
れた空乏層キャパシタンスCdpを算出することもでき、
その値から前述の式(5)を用いて空乏層幅Wdを求め
ることができる。 【0043】次にステップ102において、遮断周波数
fcを求める。遮断周波数fcは、後述する(9)式か
ら明確なように、低周波数領域と高周波数領域において
それぞれ測定されたSPVの外挿線の交点の周波数とな
る。図2に遮断周波数fcの求め方の概念図を示す。 【0044】ステップ104では、ステップ100で求
めた空乏層キャパシタンスCdpと、ステップ102で求
められた遮断周波数fcとから、多数キャリアコンダク
タンスgmjを算出する。その詳細な算出方法は以下の通
りである。 【0045】図3にC.Munakata他(J.J.
A.P、26、(1987)pp226−230)によ
って提案されている半導体表面が空乏状態又は弱反転状
態の場合のAC−SPV信号の等価回路を示す。図3
中、Citは界面捕獲キャパシタンス、gitは界面捕獲コ
ンダクタンス、Cdpは空乏層キャパシタンス、gmjは多
数キャリアコンダクタンスであるが詳細は本発明の本質
ではないので割愛する。 【0046】この等価回路から明確なように、空乏状態
/弱反転状態の場合も強反転状態と同様にキャパシタン
スと抵抗の並列回路であり、図6に示したように3つの
変調周波数領域で特徴づけられるAC−SPV信号が現
れる。この場合のAC−SPV信号は以下のとおり記述
される。 【0047】 【数7】δVs=δJph|Z|・・・・・(3) 【0048】 【数8】 Z=1/(git+gmj+jω(Cit+Cdp))・・・・・(7) 【0049】ここで、AC−SPVがコンダクタンスで
制限される低周波数領域においてはgit<<gmjであ
り、他方AC−SPVがキャパシタンスで制限される高
周波数領域ではCit<<Cdpであることが知られてい
る。したがって、この低周波数領域と高周波数領域のA
C−SPVを論じる場合はgmjとCdpのみを考慮すれば
よいことになり、 【0050】 【数9】Z=1/(gmj+jωCdp)・・・・・(8) 【0051】となる。 【0052】よって、インピーダンスZの変調周波数依
存性は次式で表される遮断周波数fcを有する。 【0053】 【数10】 fc=(1/2π)×(gmj/Cdp)・・・・・(9) 【0054】このことはAC−SPVでgmjを決定する
上で重要な意味がある。そのことについて説明すると以
下のようになる。 【0055】通常、空隙やマイラー膜を介した容量結合
の非接触AC−SPV法で半導体表面電位の変化量を電
圧信号として測定することは簡単であるが、光電流jph
を正確に測定することは困難である。このためAC−S
PV法では(3)、(8)式を用いてgmjを正確に求め
るためにはJphを正確に測定する必要があると言った理
由でgmjの測定は困難である。しかしながら(9)式の
関係はgmjは遮断周波数fcと空乏層キャパシタンスC
dpで一義的に決まり、Jphが未知のままでgmjが測定で
きることになる。一方、Cdpは(2)式で表されるよう
に電圧信号の変化を測定すれば測定できるため正確に測
定可能である。 【0056】以上のステップ100〜104によりAC
−SPV法を用いて空乏状態/弱反転状態の空乏層キャ
パシタンスCdp、遮断周波数fc、多数キャリアコンダ
クタンスgmjが容易に計測/算出できる。そして、これ
らのパラメーターは例えばp型半導体の場合には、以下
の関係が成り立つことが知られている。 【0057】 【数11】 【0058】 【数12】ps=pp0exp(−Us)・・・・・(11) 【0059】 【数13】 【0060】 【数14】 【0061】 【数15】β=q/kT・・・・・(14) 【0062】 【数16】E0=vpdm/μp・・・・・(15) 【0063】 【数17】 【0064】 【数18】 【0065】ここでpsはウェーハ表面の正孔濃度、μp
は正孔の移動度、Usは表面電位、UFはフェルミ電位、
Diは真性デバイ長、pp0はp型Siバルク中の正孔濃
度、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電荷素
量、Vpdmは正孔の最大飽和速度、Wdは空乏層巾であ
る。 【0066】そこで、ステップ106においては、既に
求めた遮断周波数fc、キャパシタンスCdp、空乏層幅
d及び多数キャリアコンダクタンスgmjを、(10)
式から(17)式に代入して、連立方程式を解くことに
よって表面電位Us、フェルミ電位UFを算出する(ス
テップ108)。フェルミ電位UFが求まれば、公知の
フェルミ電位とドーパント濃度の関係(例えば、菅野卓
雄著、「半導体物性と素子(I)」、p.319、昭晃
堂)によりドーパント濃度を算出し、抵抗率に換算する
ことができる(ステップ110)。 【0067】 【実施例】以下に本発明の実施例をあげて説明するが、
この実施例は例示的に示されるもので、限定的に解釈さ
れるべきでないことはいうまでもない。 【0068】(実施例1)導電型p型で抵抗率が未知の
エピタキシャル層(厚さ3μm)を有するエピタキシャ
ルウェーハの抵抗率(ドーパント濃度)を本発明の測定
方法により以下の通り測定した。 【0069】まず、エピタキシャル成長直後のエピタキ
シャルウェーハをSPV測定装置に載置し、ROST処
理を施した後、低周波数領域及び高周波数領域において
SPVを測定した。入射光の低周波数領域と高周波数領
域の周波数は、それぞれ100Hz、50kHzとし
た。 【0070】測定されたそれぞれの領域におけるSPV
値を基に図2のように外挿線を引くことにより、遮断周
波数fc=3.31kHzとなった。また、高周波数領
域における測定値から、空乏層キャパシタンスCdp
6.19nFが求められ、式(5)から空乏層幅Wd
1.67μmと算出された。そして、fc=3.31k
Hz、Cdp=6.19nFを式(9)に代入することに
より、多数キャリアコンダクタンスgmj=1.29S/
2を得た。 【0071】以上のようにして得られたWd、Cdp、f
c、gmjを式(10)〜(17)に代入して連立方程式
を解くことにより、表面電位Us=15、フェルミ電位
F=0.25を算出した。得られたフェルミ電位から
エピタキシャル層のドーパント濃度を算出した結果、
1.5×1015/cm3となり、これを抵抗率に換算す
ると10Ωcmであることが判明した。 【0072】次に、このエピタキシャルウェーハを10
時間放置した後、再度前回と同様の測定を行なった結
果、fc=9.13kHz、Cdp=6.40nF、Wd
=1.62μm、gmj=3.67S/m2、Us=14と
なり、放置時間の影響により表面電位に経時変化が見ら
れた結果、前回と異なる測定値となったが、フェルミ電
位UFは前回と同一の0.25が得られた。すなわち、
表面電位の経時変化にかかわらず、エピタキシャル層の
真のドーパント濃度(1.5×1015/cm3)が測定
できることがわかった。 【0073】 【発明の効果】以上述べたごとく、本発明の半導体ウェ
ーハの抵抗率を測定する方法によれば、空乏状態又は弱
反転状態のままでもSPV法で抵抗率を測定することが
でき、さらに、経時変化のない測定結果を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の半導体ウェーハの抵抗率測定方法の
工程順を示すフローチャートである。 【図2】 本発明方法における遮断周波数fcの求め方
を示す概念図である。 【図3】 半導体表面が空乏状態又は弱反転状態の場合
のAC−SPV信号の等価回路を示す図面である。 【図4】 SPVの測定装置の一例を示す説明図であ
る。 【図5】 p型Siウェーハの抵抗率を測定する原理図
である。 【図6】 AC−SPV信号を示すグラフである。 【図7】 半導体表面に強反転層が形成された場合の等
価回路を示す図面である。 【図8】 p/p+構造のエピタキシャルウェーハの抵
抗率を測定(ROST処理1回+AC−SPVの繰り返
し測定)した結果を示すグラフである。 【図9】 p/p+構造のエピタキシャルウェーハの抵
抗率を測定(ROST処理+AC−SPVの繰り返し測
定)した結果を示すグラフである。 【符号の説明】 10:SPV測定装置、12:LED、12a:光、1
4:開口、16:レンズ、18:LEDドライバー、2
0:ロックイン増幅器、22:マイラー膜、24,3
0:透明電極、26:ガラスプレート、28:金属電
極、32:空隙、34:光源、34a:入射光、36:
空乏層、W:Siウェーハ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 表面光電圧法を用いて半導体ウェーハの
    抵抗率を測定する方法であって、(a)測定対象である
    半導体ウェーハへの入射光の周波数によらず一定の表面
    光電圧値が得られる低周波数領域と、入射光の周波数に
    反比例する表面光電圧値が得られる高周波数領域との両
    領域において表面光電圧値を測定し、得られた測定値か
    ら遮断周波数fcを算出するステップと、(b)前記高
    周波数領域における表面光電圧値から算出されるキャパ
    シタンスC dpから空乏層幅Wdを算出するステップと、
    (c)前記遮断周波数fcと前記キャパシタンスCdp
    ら多数キャリアコンダクタンスgmjを算出するステップ
    と、(d)前記遮断周波数fc、前記キャパシタンスC
    dp、前記空乏層幅Wd及び前記多数キャリアコンダクタ
    ンスgmjとから表面電位Us及びフェルミ電位UFを算出
    するステップと、を有することを特徴とする半導体ウェ
    ーハの抵抗率測定方法。
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