JP2003177414A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2003177414A
JP2003177414A JP2002340954A JP2002340954A JP2003177414A JP 2003177414 A JP2003177414 A JP 2003177414A JP 2002340954 A JP2002340954 A JP 2002340954A JP 2002340954 A JP2002340954 A JP 2002340954A JP 2003177414 A JP2003177414 A JP 2003177414A
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JP
Japan
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thin film
crystalline
tft
layer
electrode
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JP2002340954A
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English (en)
Inventor
Akihiro Shindo
晶弘 進藤
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MegaChips Corp
Original Assignee
MegaChips Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価であってしかも精細な画像を表示する。 【解決手段】 画素電極1036と信号線1033とが
異なる層に設けられているので、それらの間のクロスト
ークを抑えつつ画素密度を高めることが可能である。す
なわち品質の高い画像が得られる。この場合において、
画素電極と信号線との間に一定電位を印加可能な導電性
薄膜を設けるようにすれば、画素電極と信号線の間のク
ロストークがさらに効果的に抑えられる。さらに、導電
性薄膜に、シリサイドなどの半導体金属化合物層を有す
るようにすれば、その抵抗を低くするとともに、クロス
トーク低減効果を一層高くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、薄膜トランジス
タを備える液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】電気絶縁性の透明基板の上
に液晶素子の画素電極と当該液晶素子を駆動する薄膜状
の能動素子(アクティブ・エレメント)とが画素毎に形
成され、しかもこれらの画素がマトリクス状に配列され
て成る液晶表示装置(LCD)は、アクティブ・マトリ
クス型LCDと称され、現在市販される液晶表示装置の
主流をなしている。液晶素子を駆動する能動素子には、
代表的には薄膜トランジスタ(TFT)が使用される。
【0003】図120は、アクティブ・マトリクス型L
CDの1画素分の回路構成を示す回路図である。この例
では、マトリクス状に配置された信号線51と走査線5
2の交点に、直列に接続された1画素分の液晶素子53
とこの液晶素子53を駆動するTFT54とが配置され
ている。この例では、TFT54はMOS型の電界効果
トランジスタ(MOS・FET)である。液晶素子53
とTFT54の直列回路は信号線51と接地電位の間に
介挿され、TFT54の制御電極であるゲート電極Gは
走査線52へ接続されている。走査線52がハイ・レベ
ルの電位にあるときは、TFT54が導通状態となり、
信号線51が担う映像信号が液晶素子53へ書き込まれ
る。
【0004】一方、走査線52がロウ・レベルの電位に
ある時には、TFT54は遮断状態となり、液晶素子5
3に書き込まれた映像信号が保持される。多数の走査線
52を、例えば1本毎に順次ハイ・レベルにすることに
よって、装置が表示する画像が順次更新される。液晶素
子53に書き込まれた画像信号がつぎの書込みまでの期
間にわたって十分に保持されるように、液晶素子53に
備わる静電容量を補完すべく液晶素子53に並列に保持
容量55が接続されている。
【0005】種々のLCDの中で、画像の濃淡を表示可
能な多階調表示型のLCDが、現在最も普及している。
多階調表示を実現する方法として、信号線51が伝達す
る映像信号がデジタル信号でありながら、空間変調等の
手法によって実効的に多階調表示を実現する疑似多階調
表示方式と、映像信号自身がアナログの多階調信号であ
る(真性の)多階調表示方式とが知られる。前者の方式
では、画像にフリッカノイズが現れたり、解像度が低い
という問題点があり、画像品質においては後者の方式が
優れている。
【0006】また、アクティブ・マトリクス型LCDに
使用されるTFT54には、その能動層にアモルファス
Siを用いたアモルファス・シリコンTFTと、多結晶
Si(ポリ・シリコン)を用いたポリ・シリコンTFT
の2つのタイプが知られている。なおトランジスタなど
の素子における「能動層」とは、異なる導電形式の半導
体領域とそれらの間の接合部とを有し、素子に特有の主
電流の挙動を実現する素子の主要部分を意味する。
【0007】<1.アモルファス・シリコンTFTの一
般的特徴>これらの中で、アモルファス・シリコンTF
Tの能動層は、例えば化学気相成長法(CVD)を用い
て低温下で形成することができる。このため、アモルフ
ァス・シリコンTFTを形成する際のプロセス最高温度
は、400゜C以下とすることが可能である。このた
め、TFT54等が形成される透明基板に耐用温度(耐
熱性)の低い安価なガラス基板を使用することが可能で
ある。すなわち、アモルファス・シリコンTFTは比較
的安価に製造し得るという利点を有する。
【0008】一方、アモルファス・シリコンTFTは、
能動層がアモルファスSiで構成されるために、能動層
の移動度が0.2〜0.5cm2/(V・sec)程度
と低いので、オン電流すなわち導通したときの電流が小
さいという欠点がある。このため、アモルファス・シリ
コンTFTをLCDに用いた場合に、コントラストが高
くフリッカ雑音の少ない画像を得ることが困難であると
いう問題点があった。また、移動度が小さいために素子
を微細化することが困難であるので画素を緻密に配列し
難く、その結果精細な画像を得ることが困難であるとい
う問題点があった。
【0009】また、能動層がアモルファスSiで構成さ
れるので、ゲート電極がチャネル部の下方すなわち透明
基板側に位置するいわゆる逆スタガ構造が採用される。
このため、ゲート電極をマスクとして不純物を導入する
という自己整合(セルフ・アライン)技術を用いること
が困難である。その結果、5μm程度の冗長設計が要求
されるので、TFT54を大きくせざるを得ないという
欠点があった。このことも、精細な画像が得難い要因の
一つとなっていた。また、TFT54が大きいために電
極の間の寄生容量が大きいので、スイッチング特性が良
好とはいえず、そのことも画像品質の低下をもたらして
いた。
【0010】さらに、LCDにおいて、アモルファス・
シリコンTFTを駆動する回路(駆動回路)をアモルフ
ァス・シリコンTFTとともに、1枚の透明基板の上に
形成することが困難であるという問題点があった。特
に、信号線51が伝達すべき映像信号がアナログの多階
調信号である場合には、駆動回路はバイポーラトランジ
スタで構成されるが、従来のアモルファス・シリコンT
FTでは内部欠陥が多いためにバイポーラトランジスタ
を構成することは困難であるという問題点があった。
【0011】<2.ポリ・シリコンTFTの一般的特徴
>他方のポリ・シリコンTFTは、以下のような特徴点
を有する。すなわち、ポリ・シリコンTFTは、能動層
が多結晶Siで構成されるために、能動層の移動度が1
0〜50cm2/(V・sec)程度と高いので、オン
電流すなわち導通したときの電流が大きいという利点が
ある。このため、精細でコントラストが高くフリッカ雑
音が少ない画像を得ることが容易である。
【0012】また、能動層が多結晶Siで構成されるの
で、ゲート電極がチャネル部の上方すなわち透明基板と
は反対の側に位置する構造を採用することができる。し
たがって、ゲート電極を構成する材料に多結晶Siを用
いることによって、このゲート電極をマスクとして不純
物を導入するという自己整合技術を用いることが可能で
あるので、冗長設計が不要であるという利点がある。こ
のことも精細な画像に寄与する。また、ポリ・シリコン
TFTを駆動する回路をポリ・シリコンTFTととも
に、1枚の透明基板の上に形成することが容易であるの
で、小型で使い易い装置を構成することができるという
利点がある。
【0013】一方、ポリ・シリコンTFTでは、多結晶
Si薄膜を形成する必要があるので、従来の製造方法に
よる限りプロセス最高温度は、600゜Cを超える。こ
のため、TFT54等が形成される透明基板に耐用温度
の高いSiO2(石英)基板を使用しなければならな
い。すなわち、ポリ・シリコンTFTを用いた装置は、
製造コストが高価であるという問題点があった。
【0014】以上のように、アモルファス・シリコンT
FTを用いた装置では製造コストは低廉であるが、画像
品質は劣るという問題点があり、一方ポリ・シリコンT
FTでは、画像品質は良好であるが、製造コストが高価
であるという問題点があった。さらに、ポリ・シリコン
TFTの代わりに単結晶Siで能動層が構成されるトラ
ンジスタを用いた装置では、画像品質は一層高いが、製
造コストも一層高価であるのに加えて、トランジスタを
薄膜状とすることができず、バルク・トランジスタとし
て形成できるのみであるので、反射型LCDしか構成す
ることができないという問題点があった。
【0015】さらに、駆動回路がバイポーラ型トランジ
スタを備え、しかもこのトランジスタの能動層が単結晶
Siで構成されるLCDを製造しようとすると、単結晶
Siの下地層の上に新たに単結晶Siをエピタキシャル
成長させる工程が必要となる。エピタキシャル成長は、
1100゜C〜1200゜Cもの高温下で、しかも、長
時間をかけることによって遂行される。特に、下地層に
埋め込み層(バリッド・レイヤ)が設けられている場合
には、エピタキシャル成長を遂行する際に、この埋め込
み層の拡散を考慮する必要がある。
【0016】しかしながら、その制御は容易ではなく、
このことが微細な単結晶のバイポーラトランジスタを形
成する際のネックとなっている。しかも、エピタキシャ
ル成長は、下地層の主面の法線方向から傾斜した方向へ
と成長する傾向があるために、後続する工程で、他のパ
ターンとの重ね合わせの問題を生じることがあった。さ
らには、結晶軸の方向とトランジスタの配列方向との間
の関係にトランジスタの特性が大きく依存するために、
LCDの製品としての歩留まりが安定しないという問題
点があった。
【0017】<3.従来装置の具体例>以上に述べた問
題点を改善するために様々な改良型のアモルファス・シ
リコンTFT、ポリ・シリコンTFT、あるいは、それ
らを組み込んだLCDの製作が試みられている。以下で
は、これらの改良型のTFTを含めた従来のアモルファ
ス・シリコンTFT、ポリ・シリコンTFT、およびL
CDのいくつかの具体例について説明する。
【0018】<3-1.第1従来例>アモルファス・シリ
コンTFTでは、前述したように逆スタガ構造が採用さ
れ、そのために自己整合技術の適用が困難であるという
問題点があったが、逆スタガ構造でありながら自己整合
技術を適用して製造され得るアモルファス・シリコンT
FTが登場している。図121は、このようなアモルフ
ァス・シリコンTFTの一例を示す正面断面図である。
【0019】図121に示すように、このTFT500
では、透明のガラス基板501の上に選択的にゲート電
極503が形成されており、ガラス基板501の上に
は、このゲート電極503を覆うように、ゲート絶縁膜
502が積層されている。ゲート電極503は、MoT
a、Mo、MoAlなどの金属(合金を含む)の薄膜で
構成されており、ゲート絶縁膜502はSiNx(シリ
コン窒素化合物)あるいはSiOx(シリコン酸素化合
物)で構成されている。
【0020】ゲート絶縁膜502の上には、アモルファ
スSi薄膜510が選択的に形成されている。アモルフ
ァスSi薄膜510は、チャネルとして機能するその中
央領域がゲート電極503の上方に位置するように形成
される。チャネル領域511の上には、上部絶縁膜50
6が形成されている。この上部絶縁膜506は、SiN
xで構成されている。アモルファスSi薄膜510にお
けるチャネル領域511の両側は、それぞれソース領域
512およびドレイン領域513であり、これらの層に
はn型不純物が高濃度にドープされている。
【0021】ソース領域512およびドレイン領域51
3の上には、高融点金属であるMoとSiとが反応して
なる反応層514および515が形成されている。ソー
ス領域512およびドレイン領域513には、電気抵抗
の低いこれらの反応層514および515を介してソー
ス電極504およびドレイン電極505が接続されてい
る。これらのソース電極504およびドレイン電極50
5は、AlまたはMoなどの金属で構成されている。ま
た、これらのソース電極504およびドレイン電極50
5は、TFT500の上面に配設され、TFT500の
主電流の経路をなす配線の一部をなしている。
【0022】アモルファスSiは、結晶質Siに比べて
電気抵抗率が高いので、ソース領域512などのn型不
純物をドープされたn+領域を、配線として使用するこ
とができない。したがって、図121に示したように、
配線として金属層が用いられる。また、アモルファスS
i薄膜510では、ソース領域512などのn+領域と
ソース電極504などの金属配線との間のコンタクト部
の抵抗が大きいために、図121に示したように、n+
領域と金属配線との間に反応層514、515が形成さ
れる。このように、アモルファス・シリコンTFTで
は、アモルファスSi薄膜の抵抗率の高さに起因する複
雑な構成を有する。
【0023】図122〜図124は、図121に示した
アモルファス・シリコンTFT500の製造方法の主要
部を示す製造工程図である。図122に示すように、T
FT500の製造工程のある段階において、ゲート絶縁
膜502の上にアモルファスSi薄膜520をプラズマ
CVDで堆積した後、上部絶縁膜506が形成される。
上部絶縁膜506は、SiNxなどをアモルファスSi
薄膜520の上の全面にわたってプラズマCVDで堆積
した後、ガラス基板501の裏面すなわちアモルファス
Si薄膜520とは反対の側から露光する裏面露光を用
いた写真製版技術を実行し、このSiNx層をゲート電
極503の直上部のみを残して選択的に除去することに
よって形成される。
【0024】その後、この上部絶縁膜506をマスクと
してn型不純物を導入することによって、アモルファス
Si薄膜520の中に、チャネル領域511およびその
両側のn+領域が形成される。すなわち、裏面露光を用
いることによって、セルフアライン(自己整合)的に、
アモルファスSi薄膜520の中のゲート電極503に
対向する部分にチャネル領域511が形成されるととも
にその両側にn+領域が形成される。
【0025】n型不純物の導入は、水素で希釈された濃
度10%のホスフィンを放電分解することによって生成
されるPHx +、Hy +などを含んだイオンのすべてを加速
し、ガラス基板501へ向かって上方から打ち込むこと
によって達成される。
【0026】つぎに、アモルファスSi薄膜520と上
部絶縁膜520の上に高融点金属であるMoを堆積した
後、このMo層とアモルファスSi薄膜520とを反応
させることによって、それらの間の境界面に、Mo−S
i反応層を形成する。その後、Mo層と反応後のアモル
ファスSi薄膜520とに選択的エッチングを施すこと
によって、図123に示すように、アモルファスSi薄
膜510および反応層514、515が形成される。こ
のときMo層は、図123に示すMo層521の形状と
なる。その後、Mo層521を除去する。
【0027】つぎに、上面全体にAlまたはMoをスパ
ッタ法を用いて堆積した後、選択的にエッチングを施す
ことによって、図124に示すように、ソース電極50
4およびドレイン電極505を形成する。
【0028】以上の工程によって、TFT500が製造
される。以上に示したように、アモルファス・シリコン
TFT500を製造する工程は、自己整合技術が導入さ
れるという利点はあるものの、Mo−Si反応層51
4、515を形成するための複雑な工程を必要としてお
り、アモルファス・シリコンTFTの製造方法の本来の
利点である工程の容易さ、コストの低廉さが損なわれて
いる。また、Moなどの高価な材料を必要としており、
このことも製造コストを高める一要因となっている。
【0029】さらに、図示を略するが、図122の工程
の先だって、ゲート絶縁膜502を形成する工程では、
プラズマCVD法を用いてガラス基板501の上にSi
xまたはSiO2が堆積される。このときの処理温度は
300゜C〜350゜Cである。その後、プラズマCV
D法を用いてゲート絶縁膜502の上にアモルファスS
iを堆積する工程が後続するが、このときの処理温度は
230゜C〜260゜Cである。このように、各工程毎
に処理温度が異なるために、一つの工程からつぎの工程
へ移行する際に、基板の温度を変化させるのに余分な時
間を要する。すなわち、製造工程が非能率的であるとい
う問題点がある。
【0030】また、いうまでもなく、移動度が低く画像
品質の高いLCDを構成するには不適当であるというア
モルファス・シリコンTFTに共通の問題点は、このT
FT500においても解消されてはいない。
【0031】<3-2.第2従来例>図125は、自己整
合技術が適用可能な逆スタガ構造のアモルファス・シリ
コンTFTのもう一つの例を示す正面断面図である。図
125に示すように、このTFT530では、アモルフ
ァスSi薄膜510とソース電極534との間、および
アモルファスSi薄膜510とゲート電極535との間
には、n型不純物が高濃度にドープされた微結晶Si層
544、545が介挿されている。この微結晶Si層5
44、545は、TFT500における反応層514、
515と同様に、アモルファスSi薄膜510とソース
電極504、ゲート電極505との間のコンタクト抵抗
を低減することを目的として設けられたものである。
【0032】微結晶Si層544、545は、高濃度の
2ガスによってSiH4を希釈したガスを、高周波と基
板温度を精密にコントロールしつつプラズマCVD法を
実行することによって形成される。その工程は複雑であ
るとともに、形成されるn+Si層は、あくまで微結晶
であるために、コンタクト抵抗の低減効果も十分とはい
えない。
【0033】以上のように、TFT530においても、
微結晶Si層544、545を形成する必要があるため
に、その製造工程は複雑であり、また製造コストは高価
なものとなる。なお、TFT530では、SiNxで構
成されるゲート絶縁膜532とTaで構成されるゲート
電極533の間に、Ta25で構成されるもう一つのゲ
ート絶縁膜538が介挿されている。これは、ゲート絶
縁膜532に生じ得るピンホールによってアモルファス
Si薄膜510とゲート電極533との間の電気絶縁性
が不完全となることを防止し、そのことによって製品の
歩留まりを高めることを目的として設けられたものであ
る。
【0034】<3-3.第3従来例>図126は、自己整
合技術が適用可能な逆スタガ構造のアモルファス・シリ
コンTFTのさらにもう一つの例を示す正面断面図であ
る。図126に示すように、このTFT550では、ゲ
ート絶縁膜532の上面には、チャネル領域として機能
するi型(真性)のアモルファスSi薄膜561が形成
されている。そして、ゲート電極533の真上に設けら
れた上部絶縁膜506の両側には、ソース領域562お
よびドレイン領域563として機能するn+領域が、i
型Si薄膜561の上面に設けられている。
【0035】これらのソース領域562およびドレイン
領域563には、Moで構成される配線554、555
が接続されており、さらに、配線555には液晶素子の
画素電極556が接続されている。画素電極556は、
透明なITO(インジウム・ティン・オキサイド)で構
成されている。また、TFT550の上面はSiNで構
成される保護膜557で覆われている。
【0036】TFT550では、ソース領域562およ
びドレイン領域563が直接に配線554、555に接
続されている。すなわち、TFT500における反応層
514、515等は設けられていない。その分、製造工
程は簡単なものとなるが、ソース領域562およびドレ
イン領域563と、配線554、555との間のコンタ
クト抵抗が高いという問題は残されたままである。
【0037】<3-4.第4従来例>一般に、能動層がア
モルファスSi薄膜で構成されるアモルファス・シリコ
ンTFT、あるいは能動層が多結晶Siで構成されるポ
リ・シリコンTFTでは、能動層が単結晶Siで構成さ
れる単結晶シリコンTFTとは異なり、オフ(遮断)時
に不必要に流れる主電流すなわち遮断電流が高いという
問題点がある。このことは単結晶Siほどには高いオン
オフ比が得られないことを意味しており、このことも、
アモルファス・シリコンTFTあるいはポリ・シリコン
TFTが、単結晶シリコンTFTほどの高精細・高画質
のLCDを提供し得ない要因の一つとなっている。特
に、アモルファス・シリコンTFTでは、この問題点は
一層顕著である。
【0038】図127は、この問題点を改善することを
目的としたTFTの回路構成を示す回路図である。この
TFT570では、2つのゲート電極(G)が設けら
れ、これらのゲート電極に対向する2つのチャネル領域
が直列に接続されたいわゆるデュアル・ゲート構造をな
している。
【0039】図128は、TFT570が組み込まれた
LCDの主要部を示す正面断面図である。このLCD5
90は、TFT570とともに、このTFT570を駆
動する駆動回路580が共通のガラス基板501の上に
形成されている。駆動回路580はCMOS型電界効果
トランジスタ(CMOSトランジスタ)の構造を有し、
nチャネルMOS型のTFT581とpチャネルMOS
型のTFT582とが相補的に結合して成る。なお、図
128では、これらのTFT570、581、582が
いずれもポリ・シリコンTFTである。
【0040】TFT570の能動層であるポリSi薄膜
571、TFT581の能動層であるポリSi薄膜58
3、およびTFT582の能動層であるポリSi薄膜5
84は、ガラス基板501の上に形成されたバッファ層
592の上に選択的に形成されている。バッファ層59
2は耐熱性(耐用温度)に優れるSiO2で構成されて
いる。ポリSi薄膜571、583、584およびバッ
ファ層592は、同じくSiO2で構成されるゲート絶
縁膜595で覆われている。このゲート絶縁膜595を
挟んで、ポリSi薄膜571には2つのゲート電極57
2、573が対向しており、同様に、ポリSi薄膜58
3にはゲート電極585、ポリSi薄膜584にはゲー
ト電極586が、それぞれ対向している。
【0041】ポリSi薄膜571は延長部分571aを
有しており、この延長部分571aには容量電極574
が対向している。これらの延長部分571aおよび容量
電極574は、保持容量55の一対の電極を構成してい
る。ゲート電極572、573、585、586、およ
び容量電極574は、いずれもTaで構成されている。
【0042】ポリSi薄膜571には、画素電極576
と主電極575が接続されており、同様に、ポリSi薄
膜583には主電極578、588、ポリSi薄膜58
4には主電極588、589が接続されている。各TF
Tのドレイン電極またはソース電極として機能する主電
極575、587、588、589は、Alで構成され
ており、画素電極576はITOで構成されている。こ
れらの各電極間は、SiO2で構成される絶縁層596
で電気的に絶縁されている。
【0043】なお、図128における符号Ldsは画素電
極576と主電極575の間の間隔を示しており、符号
dsはそれらの間に寄生的に生じている寄生容量を示し
ている。これらのついては、第8従来例の中で説明す
る。
【0044】TFT570は、デュアル・ゲート構造を
なしているために、ドレイン端部に印加される電界が緩
和されるので、遮断電流が小さいという利点がある。し
かしながら、TFT570では、ゲート電極が単一であ
るシングル・ゲート構造のTFTに比べて、素子の占め
る面積が略2倍となるために、LCD590における光
が透過する領域の比率、すなわち開口率が低下する。こ
のため、LCD590は、高輝度が要求されるLCDに
は不向きであるという問題点がある。
【0045】図129〜図135は、LCD590の製
造工程図である。LCD590を製造するには、まず図
129に示すように、準備されたガラス基板501の上
にプラズマCVD法を用いてSiO2を堆積することに
よってバッファ層592を形成する。そして、同じくプ
ラズマCVD法を用いてバッファ層592の上にアモル
ファスSiを堆積した後、エキシマレーザを照射するこ
とによって、アモルファスSi薄膜をポリSi膜601
へと転換する。レーザの照射は、レーザビームをアモル
ファスSi薄膜の表面に沿って走査することによって行
われる。
【0046】つぎに、図130に示すように、ポリSi
膜601を選択的にエッチングすることによって、アイ
ランド(島)状のポリSi薄膜602、603、604
を形成する。その後、図131に示すように、プラズマ
CVD法を用いてバッファ層592およびポリSi薄膜
602、603、604を覆うように、SiO2を堆積
することによってゲート絶縁膜595を形成する。
【0047】つぎに、図132に示すように、写真製版
技術を用いてゲート絶縁膜595の上にフォトレジスト
膜606を選択的に形成した後、このフォトレジスト膜
606をマスクとしてn型不純物を選択的に導入するこ
とによって、ポリSi薄膜602の一部に保持容量55
の電極を形成する。n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。
【0048】つぎに、図133に示すように、Taを上
面全体に堆積した後、これを選択的にエッチングするこ
とによって、容量電極574、およびゲート電極57
2、573、585、586を島状に形成する。
【0049】つぎに、図134に示すように、ゲート絶
縁膜595の上面にフォトレジスト膜607を選択的に
形成する。フォトレジスト膜607は、ポリSi薄膜6
04を覆うように形成される。そして、このフォトレジ
スト膜607をマスクとしてn型不純物を導入すること
によって、ポリSi薄膜602、603にドレイン領域
およびソース領域を形成し、その結果、ポリSi薄膜5
71、583を得る。
【0050】つぎに、図135に示すように、ゲート絶
縁膜595の上面にフォトレジスト膜608を選択的に
形成する。フォトレジスト膜608は、ポリSi薄膜5
71、583を覆うように形成される。そして、このフ
ォトレジスト膜608をマスクとしてp型不純物を導入
することによって、ポリSi薄膜604にドレイン領域
およびソース領域を形成し、その結果、ポリSi薄膜5
84を得る。p型不純物の導入は、B26 +およびH2 +
のイオンを上方から打ち込むことによって遂行される。
【0051】つぎに、図128に戻って、容量電極57
4、およびゲート電極572、573、585、586
を覆うようにゲート絶縁膜595の上にSiO2を堆積
し、その後、当該SiO2層にコンタクトホールを形成
することによって絶縁層596を得る。そして、絶縁層
596の上にAlを堆積し、選択的に除去することによ
って、コンタクトホールを通じてポリSi薄膜583、
584と接続する主電極575、587、588、58
9を得る。同様に、絶縁層596の上にITOを堆積
し、選択的に除去することによって、ポリSi薄膜57
1と接続される画素電極576を得る。
【0052】以上の工程によって、LCD590が製造
される。この製造方法では、アモルファスSi薄膜を堆
積した後、レーザ照射を用いてアモルファスSi薄膜を
加熱することによってポリSi薄膜601を得ている。
すなわち、ポリSi薄膜を形成する際のガラス基板50
1の温度上昇を抑えるような改善が施されている。
【0053】しかしながら、レーザビームがアモルファ
スSi薄膜の表面上を走査する際には、アモルファスS
i薄膜の局所的な温度は1500゜Cもの高温度にまで
上昇する。このため、ポリSi薄膜601を耐熱性の低
い安価なガラス基板501の上に直接形成することはで
きない。このため、耐熱性に優れたSiO2のバッファ
層592をポリSi薄膜601とガラス基板501の間
に介挿する必要があった。しかも、ガラス基板501自
身にも、400゜C以上の耐熱性を備えるもの、例えば
コーニング社の耐熱ガラスである#7059を用いる必
要があった。この#7059はSiO2に比べると遥か
に安価であるが、通常の非耐熱ガラスに比べるとなお高
価である。
【0054】また、ポリSi薄膜を形成するために、レ
ーザ照射という工程を新たに必要とする。このため、以
上に述べたLCD590を製造する方法においても、ポ
リ・シリコンTFTを製造する上での工程の複雑さ、製
造コストの高さの問題は十分には解消されてはいない。
【0055】さらに、図示を略するが、図129の工程
の先だって、バッファ層592を形成する工程では、プ
ラズマCVD法を用いてガラス基板501の上にSiO
2が堆積される。このときの処理温度は300゜C〜3
50゜Cである。あるいは、減圧CVD法を用いる場合
には、処理温度は350゜C〜500゜Cである。その
後、プラズマCVD法を用いてバッファ層592の上に
アモルファスSiを堆積する工程が後続するが、このと
きの処理温度は230゜C〜260゜Cである。
【0056】さらに、図131に示したように、ゲート
絶縁膜595を形成する工程では、300゜C〜350
゜Cの範囲の処理温度の下でプラズマCVD法を実行す
るか、あるいは、350゜C〜500゜Cの範囲の処理
温度の下で減圧CVD法を実行することによって、Si
2がバッファ層592の上に堆積される。
【0057】このように、各工程毎に処理温度または処
理方法が異なるために、一つの工程からつぎの工程へ移
行する際に、基板の温度を変化させるのに余分な時間を
要したり、別の処理装置を用いる必要があった。一つの
処理装置から別の処理装置へと試料を移し替える際に
は、各処理装置が備える真空室から大気中へと試料を取
り出す必要がある。このときに、試料の搬送にともなっ
て汚染物質が試料へ付着することによって試料の汚染が
生じ、その結果、製品の歩留まりが悪化するという問題
点がある。また、試料が挿入された真空室を真空にする
ためには、余分な時間を要する。
【0058】以上のように、LCD590を製造する方
法では、製造工程が非能率的であるとともに、製品の歩
留まりを引き下げる大きな要因を抱えているという問題
点があった。
【0059】<3-5.第5従来例>図136は、逆スタ
ガ構造のTFTを備えた従来のLCDの一例を示す平面
図である。このLCD610では、制御された電流をI
TOで構成される画素電極611に供給するTFTの能
動層としてのアモルファスSi薄膜612には、金属で
構成された信号線614が接続されている。また、同じ
く金属で構成された走査線613が信号線614と立体
交差するように配設されており、その一部がそのままT
FTのゲート電極616を構成している。アモルファス
Siは抵抗が大きいので、アモルファス・シリコンTF
Tを用いたLCDでは、このように信号線および走査線
には金属が用いられる。
【0060】縦横方向に沿ってそれぞれ配設されるこれ
らの信号線614と走査線613は二層状に立体配線せ
ざるを得ないので、信号線614とアモルファスSi薄
膜612とは、コンタクトホール615を通じて接続さ
れる。すなわち、一個のアモルファスSi薄膜612毎
にコンタクトホールが一個ずつ設けられる。このため、
製造工程が複雑であり、製造コストが高価であるという
問題点がある。
【0061】<3-6.第6従来例>図137は、逆スタ
ガ構造のTFTを備えた従来のLCDのもう一つの例を
示す平面図である。このLCD620では、TFTのゲ
ート電極621が、金属で構成された走査線623とは
別個に、アモルファスSiあるいはポリSiで構成され
ている。このため、走査線623とゲート電極621と
は、もう一つのコンタクトホール625を通じて接続さ
れている。すなわち、一個のアモルファスSi薄膜61
2毎にコンタクトホールが2個ずつ設けられる。このた
め、LCD610よりもさらに製造工程が複雑であり、
製造コストが高価であるという問題点がある。
【0062】<3-7.第7従来例>図138は、逆スタ
ガ構造のTFTを備えた従来のLCDのさらに別の例を
示す平面図である。図139は、このLCDの一つのT
FTについて画素電極631を部分的に除去した平面図
である。
【0063】このLCD630では、画素電極631に
制御された電流を供給するTFTの能動層としてのアモ
ルファスSi薄膜632には、ITOで構成された信号
線634が接続されている。また、金属で構成された走
査線633が信号線634と立体交差するように配設さ
れており、その一部がそのままTFTのゲート電極63
6を構成している。信号線634と走査線633は二層
状に立体配線されるので、信号線634とアモルファス
Si薄膜632とは、コンタクトホール635を通じて
接続される。
【0064】ITOで構成される信号線634と同じく
ITOで構成される画素電極631とは、同一層内に形
成される。このため、製造工程におけるパターンずれや
異物の存在による画素電極631と信号線634の間の
短絡を回避するために、それらの間の間隔を広く設定す
る冗長設計を必要とした。その間隔は、代表的には10
μmに設定される。このため、LCD630は、精細な
画像を得る上で不利であるという問題点があった。
【0065】<3-8.第8従来例>図140は、LCD
における寄生容量を説明する等価回路図である。図14
0に示すように、LCDでは、画素電極641と走査線
52との間には寄生容量C addが生じており、画素電極
641と信号線51との間にも寄生容量Cdsが生じてい
る。図128に示したLCD590を例として、主電極
575と画素電極576との間の間隔Ldsと寄生容量C
dsとの間の関係をグラフに表すと、図141のようにな
る。図141のグラフが示すように、間隔Ldsが狭まる
にともない、寄生容量Cdsは急速に上昇する。
【0066】光の透過率を高めることによって高輝度の
LCDを得るための一つの方策は、LCDの開口率を高
めることである。開口率を高めるには、この間隔Lds
狭くする必要がある。しかしながら、図141のグラフ
に示されるように、間隔Ldsを狭くすると寄生容量Cds
が高くなる。その結果、信号線51と画素電極641の
間のクロストーク、すなわち、信号線51に印加される
電圧信号の変化にともなって画素電極641の電圧に変
動が引き起こされる現象が強まる。また、縦スミアと呼
ばれる現象、すなわち表示画面上の表示パターンの上下
に尾を引くような不具合を生じることがある。
【0067】このことは、第7従来例のLCD630に
おいて、同一層内に設けられる画素電極631と信号線
634の間の間隔が、10μm以上に設定されるもう一
つの理由ともなっている。すなわち、TFTを備える従
来のLCDでは、高輝度と高画質とを両立的に達成する
ことが困難であるという問題点があった。
【0068】<3-9.第9従来例>信号線と画素電極と
の間のクロストークを低減するために、静電シールドが
設けられたLCDが登場している。図142および図1
43は、そのようなLCDの一例を示す。図142は、
図143の平面図におけるA−A’折れ線に沿った断面
図である。
【0069】図142に示すように、このLCD650
は、逆スタガ構造のTFTを備えている。LCD650
では、ガラス基板651の上に、ゲート電極654とと
もにシールド電極652が設けられている。ガラス基板
651の上には、これらの電極を覆うようにゲート絶縁
膜655が形成されている。
【0070】ゲート絶縁膜655の上には、TFT66
0の能動層として機能するアモルファスSi薄膜65
6、画素電極653、および信号線662が形成されて
いる。そして、アモルファスSi薄膜656は、n+
ープ層657を通じて信号線662に接続されるととも
に、もう一つのn+ドープ層658を通じて画素電極配
線661に接続されている。画素電極配線661は、n
+ドープ層658と画素電極653との間を接続してい
る。
【0071】また、図示しない構成によって、シールド
電極652には、一定の電位が付与されている。LCD
650では、シールド電極652が設けられるので、信
号線662と画素電極653の間のクロストークが低減
される。
【0072】しかしながら、LCD650では、信号線
662と画素電極653とが同一層内に配設されてお
り、しかもマスクパターンのずれ等を考慮する必要があ
るので、これらの間の間隔をある一定以下に狭めること
は困難である。すなわち、TFTを備える従来のLCD
では、開口率を高め輝度の高いLCDを得る上で限界が
あった。
【0073】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、様々な
改良型のTFTを含めて、従来のTFTでは製造コスト
の低廉さと、画像品質の高いLCDを構成することと
を、両立的に実現することができないという問題点があ
った。
【0074】この発明は、従来の装置およびその製造方
法が有する上述の問題点を解決するためになされたもの
で、高品質の画像を表示し得るとともに低廉なコストで
製造し得る液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0075】
【課題を解決するための手段】第1の発明の装置は、光
透過性の基板の上に複数の液晶素子と当該複数の液晶素
子を個別に駆動する複数の薄膜トランジスタとがマトリ
クス状に配列され、行方向に配列する前記薄膜トランジ
スタの制御電極同士が導電性の走査線で接続され、列方
向に配列する前記薄膜トランジスタの主電極同士が導電
性の信号線で接続されたアクティブマトリクス型の液晶
表示装置であって、前記液晶素子が画素電極を有してお
り、当該画素電極と前記信号線とが前記基板の上におい
て互いに異なる層に設けられていることを特徴とする。
【0076】第2の発明の装置は、第1の発明の液晶表
示装置であって、前記信号線と前記画素電極との間の層
において、当該信号線と当該画素電極との間の境界を覆
うように導電性薄膜が設けられており、しかも、当該導
電性薄膜には一定の電位を印加可能であることを特徴と
する。
【0077】第3の発明の装置は、第2の発明の液晶表
示装置であって、前記導電性薄膜が、半導体金属化合物
層を有することを特徴とする。
【0078】
【作用】第1の発明の装置では、画素電極と信号線とが
異なる層に設けられているので、それらの間のクロスト
ークを抑えつつ画素密度を高めることが可能である。す
なわち品質の高い画像が得られる。
【0079】第2の発明の装置では、画素電極と信号線
との間に一定電位を印加可能な導電性薄膜が設けられて
いるので、画素電極と信号線の間のクロストークがさら
に効果的に抑えられる。
【0080】第3の発明の装置では、導電性薄膜がシリ
サイドなどの半導体金属化合物層を有するので、その抵
抗が低く、クロストーク低減効果が一層高い。
【0081】
【発明の実施の形態】<A.単結晶薄膜または多結晶薄
膜の形成方法>ここでは、この発明の液晶表示装置の製
造方法を構成する単結晶薄膜または多結晶薄膜の形成方
法についてあらかじめ説明する。
【0082】<A-1.装置101の基本構成>図1は単
結晶薄膜を形成するための装置の基本構成の一例を示す
正面断面図である。この装置101は、基板11の上に
あらかじめ形成された非結晶薄膜を単結晶薄膜へ転換す
ることによって、基板上に単結晶薄膜を形成する。
【0083】この装置101では、処理容器1の上部
に、電子サイクロトロン共鳴型(ECR)のイオン源2
が組み込まれている。ECRイオン源2は、プラズマ室
4を内部に規定するプラズマ容器3を備えている。プラ
ズマ容器3の周囲には、プラズマ室4に直流の高磁場を
印加する磁気コイル5が設置されている。プラズマ容器
3の上面には、マイクロ波をプラズマ室4へ導入する導
波管6、およびNeなどの不活性ガスを導入する不活性
ガス導入管7が設けられている。
【0084】処理容器1は、その内部に照射室8を規定
する。プラズマ容器3の底部はその中央部に、プラズマ
が通過する引出口9を規定する。照射室8とプラズマ室
4とは、この引出口9を介して互いに連通している。照
射室8の内部には、引出口9の直下の位置に試料台10
が設置されている。試料台10の上には基板11が載置
され、さらに反射板12が基板11の上方に位置するよ
うに設置される。試料台10は、図示しないヒータを備
えており、このヒータの作用により基板11を加熱し、
適正な高温度に保持する。
【0085】照射室8には、真空排気管14が連通して
いる。この真空排気管14の一端には、図示しない真空
装置が連結しており、真空排気管14を介して、照射室
8に存在する気体が排気されることにより、照射室8に
おける真空度が所定の高さに保持される。照射室8にお
ける真空度を表示する真空計15が、照射室8に連通し
て設置されている。
【0086】<A-2.反射板の構成>図2は、反射板12
の一例における斜視図である。この反射板12aは、単
結晶Siなどの、ダイヤモンド構造を有する単結晶を形
成するための反射板の一例である。反射板12aは、平
板状の基台21の中央部に開口部を規定する。この開口
部の周囲に、3個の直方体のブロック22が固定的に設
置され、それらの内側にそれぞれ反射用ブロック23が
固定されている。その結果、基台21の中央部には、こ
れらの反射用ブロック23で縁どりされた正三角形状の
開口部24が形成される。反射用ブロック23におい
て、開口部24に面する斜面25が、気体ビームを反射
する反射面として機能する。したがって、斜面25の傾
斜角度は、形成すべき単結晶の結晶軸の方向に対応して
適切な大きさに設定される。
【0087】図3は、ブロック22と反射用ブロック2
3とで構成される反射板12aの一部分の三面図であ
り、図3(a)、図3(b)、および図3(c)は、そ
れぞれ平面図、側面図、および正面図である。図3
(b)に図示するように、斜面25の傾斜角度は、55
゜に設定される。
【0088】<A-3.ECRイオン源の動作>図1に戻っ
て、ECRイオン源2の動作について説明する。不活性
ガス導入管7からプラズマ室4へ、Ne、Ar等の不活
性ガスを導入しつつ、同時に導波管6からプラズマ室4
へマイクロ波が導入される。更に同時に、磁気コイル5
に直流電流が供給されることにより、プラズマ室4およ
びその周囲に直流磁場が形成される。プラズマ室4で
は、マイクロ波と直流磁場とによってサイクロトロン共
鳴と称される現象が引き起こされる。この現象によっ
て、螺旋運動する高エネルギーの電子が生成されるとと
もに、供給されたガスがこの電子によってプラズマ化さ
れる。
【0089】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方向、つまり、磁力線に添って電子流を形成
する。磁気コイル5は反応室8に発散磁場を生成するの
で、引き出し口9から発散する磁力線に沿って下方へと
広がりつつ流れる電子流が形成される。そして、電気的
中性を維持するために、この電子流にともなって正イオ
ンも、磁力線にそってイオン流を形成する。このイオン
流と電子流は、互いに再結合しながら流れるため、徐々
に中性原子流へと変化する。
【0090】以上のように、ECRイオン発生器2を用
いることによって、進行方向の揃った平行流に近い状態
で基板11上に降り注ぐイオン流あるいは中性原子流を
比較的簡単に得ることができる。
【0091】<A-4.装置101の基本的動作>図1を参
照しつつ、装置101の基本的な動作について説明す
る。反射板12として図2および図3に示した反射板1
2aを用い、基板11としてガラス基板を用い、この基
板11の上に単結晶Si薄膜を形成する例を取り上げ
る。基板11の上には、Siの結晶化温度よりも十分に
低い温度、例えば略常温度のもとでプラズマCVD(C
VD:化学気相成長法)等の既知の方法を実行すること
により、非晶質であるアモルファスSi薄膜があらかじ
め形成されている。
【0092】まず、試料を試料台10と反射板12a
(12)の間へ装着する。試料台10が備えるヒータ
は、試料すなわち基板11およびアモルファスSi薄膜
を、550゜Cの温度に保持する。この温度は、シリコ
ンの結晶化温度よりも低い温度であるために、この温度
の下では生成された単結晶Siが多結晶Siへと劣化す
ることはない。同時にこの温度は、種結晶が存在すれ
ば、この種結晶を核としてアモルファスSiが単結晶S
iへと成長し得るほどには高温度である。
【0093】不活性ガス導入管7から導入される不活性
ガスとしては、好ましくはSi原子よりも原子量の小さ
いNeガスが選択される。ECRイオン源2の働きによ
り、引出口9から下方に向かってNe+イオン流と電子
流が形成される。引出口9から反射板12a(12)ま
での距離は、好ましくは、Ne+イオン流が殆ど中性N
e原子流に転換されるのに十分なだけの大きさに設定さ
れる。また、反射板12a(12)は、この下方向へ向
かうNeビーム(Ne原子流あるいはNeイオン流)が
降り注ぐ位置に設置される。
【0094】下方向へ向かうNeビームの一部は、反射
板12aに形成されている3つの斜面25によって反射
され、更に開口部24を通って、基板11上のアモルフ
ァスSi薄膜へ照射される。また、Neビームの他の一
部は、斜面25へ入射せずに開口部24を通過してアモ
ルファスSi薄膜へ直接に照射される。すなわち、アモ
ルファスSi薄膜には、引出口9から直進して来た成分
と、3つの斜面25によって反射されて来た3成分とか
らなる4成分のNeビームが照射される。斜面25の傾
斜角が55゜に設定されているために、これら4成分の
Neビームの照射方向は、形成すべきSi単結晶の4個
の独立な最稠密結晶面、すなわち(111)面に垂直な
4方向に対応する。
【0095】ところで、ECRイオン源2によって形成
されるプラズマのエネルギーは、基板11に到達するN
eの原子またはイオンのエネルギーが、Neの原子また
はイオンの照射によるSiのスパッタリングにおけるス
レッショルド・エネルギー(=27eV)よりも低くな
るように設定される。このため、アモルファスSi薄膜
にブラベの法則が作用する。すなわち、アモルファスS
i薄膜に照射されるNeビームの入射方向に垂直な面が
最稠密結晶面となるように、アモルファスSi薄膜の表
面近傍におけるSi原子が再配列する。
【0096】照射されるNeビームは4つの成分を有し
ており、しかもそれぞれの成分の入射方向は、単結晶S
iの独立な4つの最稠密面に垂直な方向に対応するの
で、Si原子の再配列は、これらの入射方向に垂直な面
がいずれも最稠密面となるように行われる。すなわち、
互いに独立な入射方向を有する4本のNeビームによっ
て、4つの独立な(111)面の再配列方向が一定方向
に規制され、その結果、結晶方位が一義的に決定づけら
れる。このため、アモルファスSi薄膜の表面近傍の層
が、結晶方位の揃った単結晶Si層へと転換される。
【0097】アモルファスSi薄膜の温度は、前述のよ
うに550゜Cすなわち種結晶が成長するに適した範囲
内の温度に調整されている。このため、アモルファスS
i薄膜の表面に形成された単結晶Si層が種結晶として
機能し、単結晶Si層がアモルファスSi薄膜の深部に
向かって成長する。そして、アモルファスSi薄膜の全
領域が単結晶Si層へ転換される。このようにして、基
板11の上に結晶方位の揃った単結晶Si層が形成され
る。
【0098】<A-5.好ましい条件>アモルファスSi薄
膜に照射するビームを構成する元素として、上述したよ
うにSi原子よりも軽いNeを選択するのが望ましい。
これは、Ne原子がSi薄膜に照射された際に、比較的
重いSi原子が比較的軽いNe原子を後方へ散乱する確
率が高いので、その結果、Ne原子がSi薄膜の中に侵
入し残留するということが起こりにくいからである。被
照射薄膜がSiのような単体ではなく、例えばGaAs
のような化合物で構成される場合には、原子量が最大の
元素よりも軽い原子を照射するとよい。また、単原子の
ビームを照射する代わりに、化合物のビーム、例えばN
2などを照射しても良い。このときには、化合物を構成
する元素(例えばN原子)が、被照射薄膜を構成する原
子量最大の元素よりも軽いことが望ましい。
【0099】また、照射するビームを構成する元素に
は、Neなどの不活性元素を選択するのが望ましい。な
ぜならば、不活性元素がSi薄膜の中に残留しても、S
i等の薄膜を構成するいずれの元素とも化合物を形成す
ることがないので、Si薄膜の電子物性には余り影響を
及ぼさない上に、出来上がった単結晶Si薄膜をある程
度昇温することによって、容易に外部へ除去され得るか
らである。
【0100】反射板12は、好ましくは金属で構成され
る。中性Ne原子流に混在するNe +イオン流が導電性
の反射板12で反射されたときに、Ne+イオンが中性
原子に変換され、基板11には変換された中性Ne原子
流が照射される。中性原子流はイオン流と異なり、進行
方向が発散し難いので、方向の揃った流れとして基板1
1へ入射するという利点がある。
【0101】<A-6.装置100の基本構成と基本動作>
図4は、基板上に単結晶薄膜を形成するもう1つの装置
の基本構成を示す正面断面図である。この装置100
は、基板11の上に非晶質の薄膜を形成しつつ、それと
同時にビームを照射することによって、成長しつつある
非晶質薄膜を単結晶薄膜へ逐次的に転換する。装置10
0では、照射室8に反応ガス供給管13が連通してい
る。この反応ガス供給管13を通して、プラズマCVD
により基板11上に所定の物質の薄膜を形成するための
反応ガスが供給される。図4の例では、3本の反応ガス
供給管13a、13b、および13cが設けられてい
る。
【0102】以下に、装置100の動作について説明す
る。反射板12として図2および図3に示した反射板1
2aを用い、基板11としてガラス基板を用い、この基
板11の上に単結晶Siの薄膜を形成する例を取り上げ
る。反応ガス供給管13a、13b、および13cのそ
れぞれから、単結晶Siの主材料であるSiを供給する
SiH4(シラン)ガス、p型不純物をドープするため
のB26(ジボラン)ガス、およびn型不純物をドープ
するためのPH3(ホスフィン)ガスが供給される。ま
た、不活性ガス導入管7からプラズマ室4へ、Neガス
が導入される。
【0103】以上のようなガスを導入して、装置100
を動作させると、既に述べたようにECRイオン発生器
2で形成されたNeイオン流と電子流が引き出し口9か
ら、基板11の方向に流れる。これらのNeのイオン流
あるいは中性原子流と電子流とによって、反応ガス供給
管13から供給されたシラン等の反応ガスのプラズマC
VD反応が進行して、ガラス基板11の上面にSi薄膜
が成長する。また、ジボランガスまたはホスフィンガス
をその流量を適正に調整しつつ供給することによって、
これらのガスによるプラズマCVD反応も同時に進行
し、B(ボロン)またはP(燐)を所望の濃度で含有す
るSi薄膜が形成される。
【0104】このとき、基板11は、通常のプラズマC
VDでは、Siの結晶化が起こらない低温度下(例え
ば、基板加熱を行なわない)に保っておく。したがっ
て、Si薄膜は、まず非晶質であるアモルファスSi膜
として基板11上に形成される。
【0105】下方向へ向かうNeビームは、装置101
の場合と同様に反射板12aの作用によって4成分に分
離され、基板11の上面に形成されつつあるSi薄膜へ
入射する。これら4成分のNeビームの入射方向は、形
成すべきSi単結晶の4個の独立な最稠密結晶面、すな
わち(111)面に垂直な4方向に対応する。また、E
CRイオン源2によって形成されるプラズマのエネルギ
ーは、これらの4成分の入射エネルギーが、Siに対す
るスレッショルド・エネルギー(=27eV)よりも低
くなるように設定される。
【0106】したがって、成長しつつあるアモルファス
Si薄膜にブラベの法則が作用する。すなわち、アモル
ファスSiに照射される4成分から成るNeビームの入
射方向に垂直な面が、いずれも最稠密結晶面となるよう
にアモルファスSi内のSi原子が再配列する。その結
果、単一の結晶方位を有する単結晶Siが形成される。
すなわち、プラズマCVDによって成長しつつあるアモ
ルファスSi薄膜は、結晶方位の揃った単結晶Si薄膜
へ逐次転換される。
【0107】反応ガス供給管13より、ジボランガスま
たはホスフィンガスを、シランガスと同時に供給するこ
とによって、BまたはPが添加されたp型またはn型の
単結晶Si薄膜が形成される。また、不純物元素を含有
するこれらの反応ガスを、交互に供給することによっ
て、例えばp型単結晶Si層の上に、等軸のn型単結晶
Si層を形成することも可能である。
【0108】装置100では、プラズマCVDによりS
i薄膜が成長する過程で、同時に単結晶への転換が逐次
進行する。このため、膜厚の大きい単結晶Si薄膜を、
しかも装置101よりも更に低い温度下で形成すること
が可能である。
【0109】<A-7.他の単結晶薄膜形成の例>ダイヤモ
ンド構造以外の結晶構造を有する単結晶薄膜を形成する
ことも可能であり、そのためには、これらの反射板12
a、12b以外の、それぞれの結晶構造に適した構成を
有する反射板を用意するとよい。また、結晶構造は同一
であっても、様々な結晶方位を有する単結晶薄膜を形成
することも可能である。そのためには、それぞれの結晶
方位に適した反射板を用意するとよい。
【0110】また、装置100、101では、上述の例
のようなSi単結晶薄膜だけではなく、例えばGaA
s、GaN等の化合物単結晶薄膜、更にSi02などの
絶縁体の単結晶薄膜など、多種類の単結晶薄膜を基板の
上に形成することが可能である。
【0111】例えば、GaNの単結晶薄膜を形成するに
は、N原子を含むN2(窒素)ガスまたはNH3(アンモ
ニア)ガスを、装置101、または100の不活性ガス
導入管7へ導入し、これらの分子流または解離してなる
N原子流などの気体のビームを照射してもよい。照射さ
れたN原子がGaN単結晶薄膜の内部に残留しても、G
aNの構成元素として単結晶の中に組み込まれるので、
GaNの特性に悪影響を及ぼす恐れがない。また、Ga
Asの単結晶薄膜を形成するには、装置101または1
00を用い、照射ガスとしては安価なArガスを使用
し、反射板にはTa板を使用し、さらに装置101を使
用する場合には基板温度を500゜Cに保ち、その他は
Si単結晶薄膜を形成する際と同じ条件を用いるとよ
い。
【0112】<A-8.多結晶薄膜形成の方法>以上は単結
晶薄膜を形成する方法であったが、非晶質のSi薄膜の
上にNeなどの気体のビームを、一方向から照射するこ
とによって、多結晶のSi薄膜を形成することが可能で
ある。Si以外の物質、例えばGaAsの薄膜等におい
ても同様である。この方法を実行するには、例えば反射
板12が除去された装置101、100の何れかを用い
ることによって、ビームを基板11の上に一方向から照
射すればよい。以下において、基板11の上に多結晶S
i薄膜を形成する例を説明する。
【0113】まず、装置101を用いる場合には、Si
の結晶化温度よりも十分に低い温度、例えば略常温度の
もとでプラズマCVDを実行することにより、基板11
の上に非晶質であるアモルファスSi薄膜をあらかじめ
形成しておく。つぎに、反射板12を除去された装置1
01を用いて、Neビームの照射を一方向から行う。基
板11を、試料台10の上に例えば水平に載置すること
によって、基板11に垂直な方向からNeビームの照射
を実行することが可能である。Neビームの照射によっ
て、基板11の上のアモルファスSi薄膜の上面近傍が
多結晶層に転換される。すなわち、Neビームの照射に
よって、アモルファスSi薄膜にブラベの法則が作用
し、1つの最稠密面がNe原子流の入射方向に垂直な方
向に配向し、他の最稠密面の方向は任意であるような結
晶粒が集合して成る多結晶層(すなわち軸配向多結晶
層)が形成される。
【0114】アモルファスSi薄膜の温度は、試料台1
0が備えるヒータの作用により、550゜Cすなわち種
結晶が成長するに適した範囲内の温度に調整されてい
る。このため、アモルファスSi薄膜の表面に形成され
た多結晶Si層が種結晶として機能し、多結晶Si層が
アモルファスSi薄膜の深部に向かって成長する。そし
て、アモルファスSi薄膜の全領域が多結晶Si層へ転
換される。このようにして、基板11の上に多結晶Si
層が形成される。
【0115】つぎに、装置100を用いる場合には、試
料台10の上に載置された基板11を例えば加熱するこ
となく、基板11の上に反応ガスを供給することによっ
てアモルファスSi薄膜を成長させると同時に、反射板
12を用いることなくNeビームを一方向から照射す
る。その結果、成長しつつあるアモルファスSi薄膜
が、ブラベの法則の作用により多結晶Si薄膜へ逐次転
換される。この多結晶薄膜は、1つの最稠密面がNeビ
ームの入射方向に垂直な方向に配向し、他の最稠密面の
方向は任意であるような結晶粒が集合して成る。
【0116】このように、装置100、101等を用い
て多結晶層を形成する方法は、単結晶層を形成する方法
において、単に照射方向を一方向に限定するのみである
ので、単結晶層を形成する方法よりも容易であるという
利点がある。さらに、この多結晶層は、各結晶粒の方位
が任意である通常の多結晶層とは異なり、一つの最稠密
面の方位が各結晶粒の間で揃った軸配向多結晶層として
形成されるという利点がある。軸配向多結晶層は、通常
の多結晶層よりも規則性が高いので、あらゆる点で単結
晶層がもつ優れた特性に近い特性を有している。例え
ば、後述する能動層のキャリアの移動度、レジスト露光
の際の乱反射の抑制、エッチングの制御性等において、
軸配向多結晶層は通常の多結晶層よりも単結晶層に近い
優れた特性を有する。
【0117】<A-9.多結晶層を更に単結晶層へ転換する
方法>ビーム照射によって一旦形成した軸配向多結晶層
をさらに単結晶層へと転換してもよい。この単結晶層へ
の転換には、例えば装置101を用いるとよい。軸配向
多結晶層の形成は単結晶層の形成に比べて容易であり、
しかもその特性は単結晶層の特性に近い。このため、単
結晶層を形成する際に、まず軸配向多結晶層を形成する
ことによって、軸配向多結晶層に相応する良好な特性を
確保することができる。その後、装置101などを用い
て軸配向多結晶層へ複数方向からのビームを照射するこ
とによって、軸配向多結晶層が単結晶層へ転換される度
合いに応じて、その特性がより良好な特性へと向上す
る。すなわち、この方法では、単結晶層への転換が必ず
しも十分に行われなくても、少なくとも軸配向多結晶構
造に相応する良好な特性が保証されるという利点があ
る。
【0118】また、軸配向多結晶層を形成する際におけ
るビーム照射の方向と、軸配向多結晶層を単結晶層へと
転換する際におけるビーム照射の複数方向の1つとを、
互いに同一にするとさらに望ましい。このとき、軸配向
多結晶層における方位の揃った最稠密面については、単
結晶化に際してその方向が維持されるので、単結晶層へ
の転換が円滑に進行する。
【0119】以上に述べたように、単結晶Si薄膜およ
び多結晶Si薄膜の何れを製造する際においても、装置
101を用いる方法においては、基板11はSiの種結
晶が成長するのに必要な温度である550゜Cを超える
温度に加熱されることはない。また、装置100を用い
る方法においては、基板11は加熱されずに略常温度に
保たれるか、あるいは少なくとも550゜C以下の温度
に保たれる。すなわち、ビームの照射を用いたこれらの
方法では、低温度下で単結晶薄膜および多結晶薄膜を形
成することができるという利点がある。このことは、例
えば基板11の代わりに、耐用温度の低い安価なガラス
基板を用いることを可能にする。Si以外の他の物質の
単結晶または多結晶薄膜を製造する場合においても同様
である。
【0120】<B.液晶表示装置およびその製法に関す
る実施例>以下では、液晶表示装置および上述の方法を
用いてこの液晶表示装置を製造する方法に関する実施例
について説明する。
【0121】<B-1.第1実施例>はじめに、第1実施
例の装置および製造方法について説明する。
【0122】<B-1-1.装置の構成と動作>図5は、第
1実施例における液晶表示装置の全体構成を示す斜視図
である。図120に示した従来の装置と同一の部分には
同一の符号を付して、その詳細な説明を略する。この装
置では、透明なガラス基板111の上にTFT54、液
晶素子の画素電極112、信号線51、および走査線5
2が形成されている。TFT54および画素電極112
は1画素毎に設置され、しかもマトリクス状に配列され
ている。ガラス基板111の上方には共通電極117が
配設されている。すなわち、この装置はアクティブ・マ
トリクス型の液晶表示装置である。ガラス基板111と
共通電極117の間には液晶115が充填されている。
ガラス基板111の下には偏光板113が設置され、共
通電極117の上にはカラーフィルタ119、ガラス板
121、およびもう一つの偏光板125が順に設置され
ている。カラーフィルタ119は、赤色(R)、緑色
(G)、青色(B)の3原色に対応した3種類の各1
が、画素電極112に対向して配置される。
【0123】この装置は以下のように動作する。偏光板
113の下方から白色光123が上方に向かって照射さ
れる。この白色光123は、偏光板113〜偏光板12
5を順次通過する。偏光板113を通過した白色光12
3の偏光面は、白色光123が液晶115を通過する際
には回転する。回転したこの偏光は、カラーフィルタ1
19を通過することによって、赤色光、緑色光、青色光
のいずれかに変換される。
【0124】ところで、TFT54が動作することによ
って画素電極112に画像信号が入力されると、その大
きさに応じた電圧が画素電極112と共通電極117と
の間、すなわち液晶115の各画素における上面と下面
との間に印加される。液晶115を通過する際の偏光面
の回転の大きさは、この液晶115に印加される電圧の
大きさに応答して変化する。2つの偏光板113、12
5が規定する偏光角度は、互いに一定の角度をなしてい
るので、偏光板125を通過する光の強さは、液晶11
5を通過する際の偏光面の回転量に依存して変化する。
その結果、偏光板125の上面からは、画像信号に応じ
て強度が変調された3原色が現れる。
【0125】<B-1-2.TFTの構成>図6および図7
は、第1実施例の装置の正面断面図および平面図であ
る。図6は、図7に示すA−A線に沿った断面図であ
り、TFT54の近傍を拡大して示す。図6に示すよう
に、ガラス基板111の上に形成されるTFT54は、
例えばnチャネル型のMOS型電界効果トランジスタで
あり、2つのゲート電極133、134を有する。その
能動層131はガラス基板111の上に形成され、2つ
のゲート電極133、134がゲート絶縁膜135を介
してこの能動層131に対向している。すなわち、この
トランジスタはデュアル・ゲート構造をなしている。既
に述べたように、デュアル・ゲート構造のトランジスタ
では、ドレイン端部に印加される電界が緩和されるの
で、遮断電流が小さいという利点がある。
【0126】能動層131は、キャリア移動度が10c
2/(V・sec)を超える単結晶または多結晶のS
iで構成されている。能動層131の中のゲート電極1
33、134に対向する2つのチャネル領域131d、
131eはp型Si領域であり、ソース領域131a、
およびドレイン領域131b、さらに2つのチャネル領
域に挟まれた中継領域131cは、いずれもn型Si領
域である。ソース領域131aにはソース電極141が
接続され、ソース電極141は信号線51に接続されて
いる。一方、ドレイン領域131bには画素電極112
が接続されている。すなわち、この装置の回路構成は、
保持容量55が設けられていない点を除けば、図120
の回路図に示されるとおりである。この装置において
も、図120に示すように、液晶素子53に並列に保持
容量55を接続して設けてもよい。なお、画素電極11
2、共通電極117、およびこれらの間に充填された液
晶115とによって、図120に示す液晶素子53が構
成される。
【0127】ガラス基板111、能動層131、および
ゲート電極133、134は、保護を目的とするSiO
2絶縁膜137に覆われている。ソース電極141およ
び画素電極112は、SiO2絶縁膜137に形成され
た開口部を通じて能動層131と接続されている。ま
た、画素電極112はガラス基板111の上に直接形成
されるのではなく、SiO2絶縁膜137を間に介して
形成されている。
【0128】ガラス基板111には、耐用温度が600
゜C以下である安価なガラスを用い、好ましくはコーニ
ング社の#7059として知られるガラスを用いる。こ
のガラスは、薄膜回路用に開発されたもので、歪点が5
90゜Cであり、膨張係数はシリコンに合わせてあり、
500゜C近くまで適合する。このガラスは、SiO 2
(石英)ガラスに比べると各段に安価である。
【0129】この装置では、TFT54の能動層131
が、キャリア移動度の高い単結晶または多結晶のSiで
構成されるので、高画質の画像を表示することができる
という利点がある。しかも、ガラス基板111に耐用温
度が600゜C以下の安価なガラスが使用されているの
で、製造コストが安価であるという利点がある。すなわ
ち、この実施例の装置は、高い画像品質と低廉な価格と
を両立的に実現している。
【0130】<B-1-3.装置の製造方法>図8〜図19
は、第1実施例の装置を製造する方法例を示す工程図で
ある。この実施例の装置を製造するには、まず図8に示
すように、透明なガラス基板111を準備する。ガラス
基板111には、例えば前述の#7059を用いる。
【0131】つぎに、図9に示すように、例えばプラズ
マCVDを実行することにより、p型のアモルファスS
i薄膜211をガラス基板111の上に形成する。プラ
ズマCVDは、反応ガスとしてSiH4(シラン)ガス
と微量のB26(ジボラン)ガスを用い、例えば300
゜C〜450゜Cの反応温度下で実行される。この反応
温度は、#7059の耐用温度の範囲内である。
【0132】つづいて、装置101を用いることによ
り、図10に示すように、アモルファスSi薄膜211
の上面にNeの気体ビーム213を照射する。このと
き、試料の温度は550゜Cに保たれる。この温度も#
7059の耐用温度の範囲内である。気体ビーム213
を照射することによって、アモルファスSi薄膜211
は結晶質のSi薄膜215へ転換される。気体ビーム2
13は、一方向のみから照射してもよく、反射板12を
用いて複数方向から照射しても良い。前者の場合には、
Si薄膜215は多結晶となり、後者の場合には単結晶
となる。なお、アモルファスSi薄膜211を形成し終
えた後に装置100を用いて結晶質Si薄膜215を形
成する代わりに、装置101を用いることにより、アモ
ルファスSi薄膜211を形成しつつその中で気体ビー
ム213の照射を行うことによって最終的に結晶質Si
薄膜215を形成しても良い。すなわち、図9の工程と
図10の工程は、同時に実行してもよい。
【0133】つづいて、図11に示すように、結晶質S
i薄膜215を選択的に除去することによって、TFT
54の能動層131に相当する結晶質Si薄膜217を
形成する。結晶質Si薄膜215の選択的除去は、写真
製版によって形成されたレジスト・マスクを遮蔽体とし
て選択的にエッチングを施すことによって実行される。
この選択的エッチングの技術は周知であるので、図11
では詳細を図示しない。
【0134】つぎに、図12に示すように、結晶質Si
薄膜217の上面に絶縁膜219を形成する。この絶縁
膜219は、例えばプラズマCVDによって結晶質Si
薄膜217の上面に酸化物(SiO2)または窒化物
(Si34)を形成することにより実現する。あるい
は、陽極酸化法を用いてTaOx(タンタル酸化物)を
形成しても良い。
【0135】つぎに、図13に示すように、試料の上面
全体に単結晶または多結晶のSi薄膜221を形成す
る。この結晶質Si薄膜221の形成は、結晶質Si薄
膜215の形成と同様の工程で実現される。すなわち、
例えばプラズマCVDを実行することによりアモルファ
スSi薄膜を試料の上面全体に形成すると同時に、ある
いは形成した後に、気体ビームの照射を行いアモルファ
スSi薄膜を多結晶または単結晶のSi薄膜に転換する
ことにより、結晶質Si薄膜221を形成する。その
後、結晶質Si薄膜221の全面にわたって、高濃度の
P(燐)を注入する。なお、結晶質Si薄膜221の上
に、Ti(チタン)などの高融点金属の膜を形成した
後、後述するランプ・アニール等を用いて結晶質Si薄
膜221の上面にシリサイドを形成してもよい。
【0136】つぎに、図14に示すように、結晶質Si
薄膜221と絶縁膜219とをともに選択的に除去する
ことによって、それぞれゲート電極133、134およ
びゲート絶縁膜135とを形成する。すなわち、ゲート
電極113、134と結晶質Si薄膜217とはゲート
絶縁膜135によって電気的に絶縁される。
【0137】結晶質Si薄膜221および絶縁膜219
の選択的除去は、写真製版で形成されたレジスト・マス
ク(遮蔽膜)を遮蔽体として選択的にエッチングを施す
ことによって実行される。このとき、結晶質Si薄膜2
21が特に単結晶であれば、結晶質Si薄膜221の上
に塗布されたレジストを露光する際に結晶質Si薄膜2
21の結晶粒による乱反射がないので、ゲート電極13
3、134等に対応した所定のパターンを有するレジス
ト・マスクが容易に形成できるという利点がある。ま
た、エッチングを施す際にも、結晶粒に起因したエッチ
ングの不均一な進行がないので、エッチングの制御が行
い易いという利点がある。また、前述のシリサイド膜を
結晶質Si薄膜221の上に形成する際にも、シリサイ
ド膜が均一に形成し易いという利点がある。これらの結
果、製造工程が容易になるだけでなく、製造された装置
における品質の均一性および信頼性が向上する。
【0138】つづいて、図15に示すように、試料の上
面からP(燐)などのn型不純物を注入する。このとき
ゲート電極133、134、およびゲート絶縁膜135
が遮蔽体として機能することによって、不純物の導入は
選択的に行われる。その結果、ソース領域131a、ド
レイン領域131b、および中継領域131cが形成さ
れることにより、結晶質Si薄膜217から能動層13
1が完成する。ソース領域131a、ドレイン領域13
1b、および中継領域131cの形成は、このように自
己整合技術を用いて行われるので、冗長設計を必要とし
ない。
【0139】つぎに、図16に示すように、SiO2
縁膜225を試料の上面全体に形成する。SiO2絶縁
膜225の形成は、ガラス基板111の耐用温度を超え
て加熱することのないように、例えばプラズマCVDを
用いて行われる。その後、ガラス基板111が溶解しな
い600゜Cよりも低い範囲の高温下で、試料をアニー
ルすることによって、SiO2絶縁膜225にいわゆる
デンシファイ(densify)処理を施す。この処理によ
り、SiO2絶縁膜225が緻密化される。同時に試料
のアニールによって、ゲート電極133、134、ソー
ス領域131a、ドレイン領域131b、および中継領
域131cに導入された不純物が活性化される。アニー
ルは、いわゆるランプアニールを用いて行ってもよい。
すなわち、強力な赤外線を試料の上面から瞬時に照射す
ることにより、ガラス基板111が溶解しない短時間で
600゜Cを超える高温化でアニールを実行しても良
い。これによっても、SiO2絶縁膜225のデンシフ
ァイ、およびゲート電極133、134等における不純
物の活性化が行われる。
【0140】つぎに、図17に示すようにソース領域1
31aおよびドレイン領域131bの上の所定の部位に
おいてSiO2絶縁膜225にそれぞれ開口部227、
229が形成される。これにより、SiO2絶縁膜22
5からSiO2絶縁膜137(図6)が完成する。開口
部227、229の形成は、写真製版で形成されたレジ
スト・マスクを遮蔽体として、SiO2絶縁膜225を
選択的にエッチングすることによって実行される。
【0141】つぎに、図18に示すように、SiO2
縁膜137の上に所定のパターンを有するソース電極1
41および画素電極112を配設する。ソース電極14
1は開口部227を通じてソース領域131aと接続さ
れ、画素電極112は開口部229を通じてドレイン領
域131bと接続される。これらのソース電極141お
よび画素電極112の配設と同時に、信号線51と走査
線52も配設される。これらの電極及び配線は、例えば
アルミニウムなどの配線材料を試料の全面に塗布し、そ
の後、写真製版で形成されたレジスト・マスクを遮蔽体
として、この配線材料を選択的にエッチングすることに
より配設される。少なくとも画素電極112の配線材料
には、アルミニウムに代えてITO(インジウム錫酸化
物)を用いるのが望ましい。
【0142】つづいて、図19に示すように、共通電極
117、カラーフィルタ119、およびガラス板121
を重ね合わせてなる上部板材231を試料の上方に配設
し、この上部板材231と試料との間に液晶115を充
填する。その後、偏光板113をガラス基板111の下
方に設置し、偏光板125を上部板材231の上に設置
することにより、図5に示した液晶表示装置が完成す
る。
【0143】以上の工程で形成されるTFT54の能動
層131におけるキャリアの移動度は、10cm2
(V・sec)を十分に超える。このことは、装置が高
品質の画像を表示することを保証する。しかも以上の工
程では、最高プロセス温度が600゜C以下であるの
で、ガラス基板111に安価なガラスを用いることが可
能である。すなわち、この実施例の製造方法では、高品
質な画像を表示する装置を低廉なコストで製造する可能
である。また、この実施例の製造方法では、ゲート電極
133、134を結晶質Siで構成することにより、ソ
ース領域131a等を自己整合的に形成するので、微細
なTFT54を実現し得るという利点がある。このこと
は、より一層精細な画像を表示する装置を実現すること
を可能にする。
【0144】また、能動層131が単結晶である場合に
は多結晶である場合にくらべて、能動層131における
キャリア移動度は更に高い。このため、能動層131が
単結晶である装置は、一層高品質の画像を表示すること
ができる。すなわち、この実施例の製造方法によれば、
高画質を保証する単結晶であって、しかも薄膜状である
能動層131を備える透過型の装置を製造することがで
き、しかも安価に製造できるという利点がある。また、
ゲート電極133、134が単結晶である場合には、多
結晶である場合に比べてゲート電極133、134にお
けるキャリア移動度が高いので、制御信号の伝搬遅延が
小さいという利点がある。
【0145】<B-2.第2実施例>つぎに、第2実施例
の装置について説明する。
【0146】<B-2-1.装置の構成と動作>図20は、
この第2実施例の装置の構成を示す部品配置図である。
この装置では、TFT54と液晶素子53とがマトリク
ス状に配列されてなる画素アレイ301と、その周辺に
配置されTFT54を駆動する駆動回路303とが、1
枚のガラス基板111の上に形成されている。ガラス基
板111には、第1実施例の装置と同様に、耐用温度が
600゜C以下である安価なガラスが用いられ、好まし
くは#7059が使用される。また、画素アレイ301
の構成は第1実施例の装置と同様であるので、その詳細
な説明を略する。
【0147】駆動回路303は、Y−ドライバ311、
X−ドライバ313、およびサンプル・ホールド回路3
15とを備える。Y−ドライバ311は、周期的に立ち
上がるクロックパルス信号Y−CLKに同期して、多数
の走査線52に所定の順序でハイ・レベルの電圧信号を
送出する。サンプル・ホールド回路315には、多数の
信号線51の各1に対応したサンプル・ホールド素子
(図示を略する)が配列されている。これらのサンプル
・ホールド素子は、X−ドライバ313から送出される
選択信号に応答して画像信号VSをサンプリングすると
同時に保持する。保持された画像信号VSは信号線51
に送出される。
【0148】X−ドライバ313は、周期的に立ち上が
るクロックパルス信号X−CLKに同期して、サンプル
・ホールド回路315の中に配列されるサンプル・ホー
ルド素子に、所定の順序で選択信号を送出する。クロッ
クパルス信号Y−CLKの1周期の間に、X−ドライバ
313によって全ての信号線51の選択が完了する。
【0149】以上のように、この実施例の装置では、T
FT54を順次駆動することによって液晶素子53に画
像信号VSを入力する駆動回路303が、画素アレイ3
01とともにガラス基板111の上に形成されているの
で、外部に駆動回路303を設置することなく画像を表
示することができる。すなわち、装置をコンパクトにか
つ容易に、しかも安価に使用することができるという利
点がある。
【0150】Y−ドライバ311、X−ドライバ31
3、およびサンプル・ホールド回路315は、いずれも
結晶質の能動層を有するTFTで構成される。図21
は、これらの回路を構成するTFTの1つとTFT54
とが、1つのガラス基板111の上に形成された様子を
示す断面図である。駆動回路303を構成するTFT4
01はCMOSトランジスタの構造を有し、nチャネル
MOS型のTFT403とpチャネルMOS型のTFT
405とが相補的に結合して成る。一方、TFT54の
構造は第1実施例におけるTFT54と同一であるの
で、その詳細な説明を略する。
【0151】TFT403では、能動層411がガラス
基板111の上に形成され、ゲート電極413がゲート
絶縁膜415を介してこの能動層411に対向してい
る。能動層411は、TFT54の能動層131と同一
の結晶質のSiで構成されている。能動層411の中の
ゲート電極413に対向するチャネル領域411cはp
型Si領域であり、ソース領域411aおよびドレイン
領域411bは、いずれもn型Si領域である。ソース
領域131aにはソース電極421が接続され、ドレイ
ン領域411bにはドレイン電極422が接続されてい
る。
【0152】TFT405は、導電形式が逆である以外
は、TFT403と同様の構造を有する。すなわちTF
T405では、能動層431がガラス基板111の上に
形成され、ゲート電極433がゲート絶縁膜435を介
してこの能動層431に対向している。能動層431
は、能動層131と同一の結晶質のSiで構成されてい
る。能動層431の中のゲート電極433に対向するチ
ャネル領域431cはn型Si領域であり、ドレイン領
域431aおよびソース領域431bは、いずれもp型
Si領域である。ドレイン領域431aにはドレイン電
極441が接続され、ソース領域431bにはソース電
極442が接続されている。2つのドレイン電極422
と441は互いに接続され、2つのゲート電極413と
433も互いに接続されている(図示を略する)。すな
わちこれら2つのTFT403、405は互いに相補的
に結合している。また、TFT401が例えばY−ドラ
イバ311を構成する最終段の回路素子である場合に
は、ドレイン電極422、441は走査線52を介して
TFT54のゲート電極133、134へ接続される。
【0153】SiO2絶縁膜137は、TFT54のみ
ならず、能動層411、431およびゲート電極41
3、433をも覆うことによってそれらを保護してい
る。ソース電極421、442、およびドレイン電極4
22、441は、いずれもSiO 2絶縁膜137に形成
された開口部を通じて能動層411または能動層431
と接続されている。
【0154】以上のようにこの実施例の装置では、TF
T54を駆動する駆動回路303を構成するTFT40
3、405が、いずれもTFT54と同様にMOS型電
界効果トランジスタの構造を有し、しかもそれらの能動
層は同一の結晶質である。このため、これらのTFT5
4、403、および405を製造する際に、共通の工程
を適用することができるので、製造が容易であるという
利点がある。
【0155】また、この装置においても第1実施例の装
置と同様に、TFT54の能動層131が単結晶または
多結晶のSiで構成されるので、高画質の画像を表示す
ることができるという利点がある。さらに、ガラス基板
111に耐用温度が600゜C以下の安価なガラスが使
用されているので、製造コストが安価であるという利点
がある。すなわち、この実施例の装置は、コンパクトで
取扱の容易さ、製造の容易さ、高い画像品質、および低
廉な価格とを同時的に実現している。
【0156】<B-2-2.装置の製造方法>図22〜図3
1は、図21に示した装置を製造する方法を示す工程図
である。この装置を製造するには、まず図8に示したよ
うに、透明なガラス基板111を準備する。ガラス基板
111には、例えば前述の#7059を用いる。つづい
て、図9に示したように、例えばプラズマCVDを実行
することにより、p型のアモルファスSi薄膜211を
ガラス基板111の上に形成する。プラズマCVDは、
反応ガスとしてSiH4(シラン)ガスと微量のB26
(ジボラン)ガスを用い、例えば300゜C〜450゜
Cの反応温度下で実行される。この反応温度は、#70
59の耐用温度の範囲内である。
【0157】つづいて、装置100を用いることによ
り、図22に示すように、アモルファスSi薄膜211
の上面にNeの気体ビーム213を照射する。このと
き、試料の温度は550゜Cに保たれる。この温度も#
7059の耐用温度の範囲内である。気体ビーム213
を照射することによって、アモルファスSi薄膜211
は結晶質のSi薄膜215へ転換される。気体ビーム2
13は、一方向のみから照射してもよく、反射板12を
用いて複数方向から照射しても良い。前者の場合には、
Si薄膜215は多結晶となり、後者の場合には単結晶
となる。なお、アモルファスSi薄膜211を形成し終
えた後に装置100を用いて結晶質Si薄膜215を形
成する代わりに、装置101を用いることにより、アモ
ルファスSi薄膜211を形成しつつその中で気体ビー
ム213の照射を行うことによって最終的に結晶質Si
薄膜215を形成しても良い。すなわち、図9の工程と
図22の工程は、同時に実行してもよい。
【0158】つづいて、図23に示すように、結晶質S
i薄膜215を選択的に除去することによって、TFT
54の能動層131に相当する結晶質Si薄膜217、
TFT403の能動層411に相当する結晶質Si薄膜
451、およびTFT405の能動層431に相当する
結晶質Si薄膜453を形成する。結晶質Si薄膜21
5の選択的除去は、写真製版によって形成されたレジス
ト・マスクを遮蔽体として選択的にエッチングを施すこ
とによって実行される。すなわち、1つのレジスト・マ
スクを用いてこれらの結晶質Si薄膜217、451、
453が同時に形成される。
【0159】その後、同じく図23に示すように、結晶
質Si薄膜453を残し、結晶質Si薄膜217と45
1の上面に、写真製版によってレジスト・マスク455
を選択的に形成する。このレジスト・マスク455を遮
蔽体として、例えばP(燐)などのn型不純物を注入す
る。この工程によって、p型の結晶質Si薄膜453が
n型の結晶質Siに転換される。
【0160】つぎに、図24に示すように、結晶質Si
薄膜217、451、および453の上面に、それぞれ
絶縁膜219、457、および459を形成する。これ
らの絶縁膜219、457、459は、例えばプラズマ
CVDによって結晶質Si薄膜217、451、453
の上面に酸化物(SiO2)または窒化物(Si34
を形成することにより実現する。あるいは、陽極酸化法
を用いてTaOx(タンタル酸化物)を形成しても良
い。
【0161】つぎに、図25に示すように、試料の上面
全体に単結晶または多結晶のSi薄膜221を形成す
る。この結晶質Si薄膜221の形成は、結晶質Si薄
膜215の形成と同様の工程で実現される。すなわち、
例えばプラズマCVDを実行することによりアモルファ
スSi薄膜を試料の上面全体に形成すると同時に、ある
いは形成した後に、気体ビームの照射を行いアモルファ
スSi薄膜を多結晶または単結晶のSi薄膜に転換する
ことにより、結晶質Si薄膜221を形成する。その
後、結晶質Si薄膜221の全面にわたって、高濃度の
P(燐)を注入する。
【0162】なお、結晶質Si薄膜221の上に、Ti
(チタン)などの高融点金属の膜を形成した後、ランプ
・アニール等を用いて結晶質Si薄膜221の上面にシ
リサイドを形成してもよい。
【0163】つぎに、図26に示すように、結晶質Si
薄膜221と絶縁膜219、457、459とをともに
選択的に除去することによって、それぞれゲート電極1
33、134、413、433およびゲート絶縁膜13
5、415、435とを形成する。すなわち、ゲート電
極113、134と結晶質Si薄膜217とはゲート絶
縁膜135によって電気的に絶縁され、同様にゲート電
極413と結晶質Si薄膜451、およびゲート電極4
33と結晶質Si薄膜453とは、それぞれゲート絶縁
膜415および435によって電気的に絶縁される。
【0164】結晶質Si薄膜221および絶縁膜21
9、457、459の選択的除去は、写真製版で形成さ
れたレジスト・マスク(遮蔽膜)を遮蔽体として選択的
にエッチングを施すことによって実行される。このと
き、結晶質Si薄膜221が特に単結晶であれば、第1
実施例におけると同様に、レジスト・マスクが容易に形
成できるとともに、エッチングの制御が行い易いという
利点がある。また、前述のシリサイド膜を結晶質Si薄
膜221の上に形成する際にも、シリサイド膜が均一に
形成し易いという利点がある。これらの結果、製造工程
が容易になるだけでなく、製造された装置における品質
の均一性および信頼性が向上する。
【0165】つづいて、図27に示すように、結晶質S
i薄膜453を選択的に覆うようにレジスト・マスク4
61を形成する。その後、試料の上面からP(燐)など
のn型不純物を注入する。このときレジスト・マスク4
61に加えてゲート電極133、134、413および
ゲート絶縁膜135、415が遮蔽体として機能するこ
とによって、不純物の導入は選択的に行われる。その結
果、ソース領域131a、ドレイン領域131b、およ
び中継領域131cが形成されることにより、結晶質S
i薄膜217から能動層131が完成する。同様に、ソ
ース領域411aおよびドレイン領域411bが形成さ
れることにより、結晶質Si薄膜451から能動層41
1が完成する。その後、レジスト・マスク461を除去
する。これらの、ソース領域131a、ドレイン領域1
31b、中継領域131c、ソース領域411a、およ
びドレイン領域411bの形成は、このように自己整合
技術を用いて行われるので、冗長設計を必要としない。
【0166】つぎに、図28に示すように、能動層13
1および411を選択的に覆うようにレジスト・マスク
463を形成する。その後、試料の上面からB(ホウ
素)などのp型不純物を注入する。このときレジスト・
マスク463に加えてゲート電極433およびゲート絶
縁膜435が遮蔽体として機能することによって、不純
物の導入は選択的に行われる。その結果、ドレイン領域
431aおよびソース領域431bが形成されることに
より、結晶質Si薄膜453から能動層431が完成す
る。その後、レジスト・マスク463を除去する。これ
らのドレイン領域431aおよびソース領域431bの
形成もまた、このように自己整合技術を用いて行われる
ので、冗長設計を必要としない。
【0167】つぎに、図29に示すように、SiO2
縁膜225を試料の上面全体に形成する。SiO2絶縁
膜225の形成は、ガラス基板111の耐用温度を超え
て加熱することのないように、例えばプラズマCVDを
用いて行われる。その後、ガラス基板111が溶解しな
い600゜Cよりも低い範囲の高温下で試料をアニール
することによって、SiO2絶縁膜225にいわゆるデ
ンシファイ(densify)処理を施す。この処理により、
SiO2絶縁膜225が緻密化される。同時に試料のア
ニールによって、ゲート電極133、134、413、
433、ソース領域131a、411a、431b、ド
レイン領域131b、411b、431a、および中継
領域131cに導入された不純物が活性化される。アニ
ールは、いわゆるランプアニールを用いて行ってもよ
い。すなわち、強力な赤外線を試料の上面から瞬時に照
射することにより、ガラス基板111が溶解しない短時
間で600゜Cを超える高温化でアニールを実行しても
良い。これによっても、SiO 2絶縁膜225のデンシ
ファイ、およびゲート電極133、134等における不
純物の活性化が行われる。
【0168】つぎに、図30に示すように、ソース領域
131aおよびドレイン領域131bの上の所定の部位
においてSiO2絶縁膜225にそれぞれ開口部22
7、229が形成される。同時に、ソース領域411
a、431b、ドレイン領域411b、431aの上の
所定の部位において、それぞれ開口部465、471、
467、および469が形成される。これにより、Si
2絶縁膜225からSiO2絶縁膜137(図21)が
完成する。開口部227、229、465、471、4
67、および469の形成は、写真製版で形成されたレ
ジスト・マスクを遮蔽体として、SiO2絶縁膜225
を選択的にエッチングすることによっていずれも同時に
実行される。
【0169】つぎに、図31に示すように、SiO2
縁膜137の上に所定のパターンを有するソース電極1
41、421、442、ドレイン電極422、441、
および画素電極112を配設する。ソース電極141、
421、442はそれぞれ開口部227、465、47
1を通じてソース領域131a、411a、431bと
接続され、画素電極112およびドレイン電極411
b、431aはそれぞれ開口部229、467、469
を通じてドレイン領域131b、411b、431aと
接続される。これらの電極の配設と同時に、信号線51
と走査線52も配設される。これらの電極及び配線は、
例えばアルミニウムなどの配線材料を試料の全面に塗布
し、その後、写真製版で形成されたレジスト・マスクを
遮蔽体として、この配線材料を選択的にエッチングする
ことにより配設される。少なくとも画素電極112の配
線材料には、アルミニウムに代えてITO(インジウム
錫酸化物)を用いるのが望ましい。
【0170】つづいて、図32に示すように、共通電極
117、カラーフィルタ119、およびガラス板121
を重ね合わせてなる上部板材231を試料の上方に配設
し、この上部板材231と試料との間に液晶115を充
填する。その後、偏光板113をガラス基板111の下
方に設置し、偏光板125を上部板材231の上に設置
することにより、図21に示した液晶表示装置が完成す
る。
【0171】以上の工程で形成されるTFT54の能動
層131におけるキャリアの移動度は、10cm2
(V・sec)を十分に超える。TFT403、405
の能動層411、431においても同様である。しかも
以上の工程では、最高プロセス温度が600゜C以下で
あるので、ガラス基板111に安価なガラスを用いるこ
とが可能である。また、この実施例の製造方法では、T
FT54、403、および405の各部材が、共通の工
程を用いて同時に形成されるので、駆動回路303を備
えた装置が効率よく製造される。また、この実施例の製
造方法では、ゲート電極133、134、413、およ
び433を結晶質Siで構成することにより、ソース領
域131a等を自己整合的に形成するので、微細なTF
T54、403、405を実現し得るという利点があ
る。
【0172】<B-3.第3実施例>つぎに、第3実施例
の装置について説明する。
【0173】<B-3-1.装置の構成と動作>図33は、
第3実施例のTFTの正面断面図である。このTFT7
00は、結晶質シリコンTFTであり、しかも逆スタガ
構造をなしている。
【0174】図33に示すように、TFT700では、
透明のガラス基板701の上に、選択的にゲート電極7
03が形成されている。ガラス基板701の上にはさら
に、このゲート電極703を覆うように、ゲート絶縁膜
702が形成されている。ゲート電極703には、A
l、Crのような低融点かつ低抵抗の金属が用いられ
る。ゲート絶縁膜702は、SiNxあるいはSiOx
構成されている。
【0175】ゲート絶縁膜702の上には、結晶質Si
薄膜710が形成されている。結晶質Si薄膜710
は、チャネルとして機能するその中央領域がゲート電極
703の上方に位置するように形成される。チャネル領
域711の上には、上部絶縁膜706が形成されてい
る。この上部絶縁膜706は、SiNxで構成されてい
る。結晶質Si薄膜710におけるチャネル領域711
の両側は、それぞれソース領域712およびドレイン領
域713であり、これらの層にはn型不純物が高濃度に
ドープされている。
【0176】ソース領域712およびドレイン領域71
3には、抵抗率が低くしかも低融点金属であるAl、あ
るいはCrで構成されるソース電極704およびドレイ
ン電極705が、直接にそれぞれ接続されている。
【0177】結晶質Si薄膜710では、ソース領域7
12などのn+領域とソース電極704などの金属電極
との間のコンタクト抵抗が低いので、図33に示すよう
に、それらの間を直接に接続した構成が可能である。し
たがって、TFT500(図121)と比較すれば明ら
かなように、このTFT700は、アモルファス・シリ
コンTFTより構造が簡単である。
【0178】また、TFTの能動層が結晶質Siで構成
されているので、移動度が大きいという利点がある。結
晶質Si薄膜710が多結晶Si薄膜である場合には、
移動度は10cm2/Vsec以上であり、特に単結晶
Si薄膜である場合には、100cm2/Vsec以上
となる。したがって、結晶質シリコンTFT700を用
いることによって、精細な画像を表示するLCDを実現
することが可能である。すなわち、従来のアモルファス
・シリコンTFTよりも簡単な構成で、ポリ・シリコン
TFTと同程度の性能を得ることができる。さらに、結
晶質Si薄膜710が特に単結晶Si薄膜である場合に
は、従来のポリ・シリコンTFTを越える高画質のLC
Dが実現する。
【0179】<B-3-2.第1の製造方法>さらに、以下
に示すように、その製造方法は、従来のアモルファス・
シリコンTFTの製造方法よりも遥かに簡単であり、低
コストである。
【0180】図34〜図38は、図33に示した結晶質
シリコンTFT700の製造方法を示す製造工程図であ
る。TFT700を製造するには、まず、ガラス基板7
01を準備する。ガラス基板701には、例えば、普通
硬質ガラス、超硬質ガラス一級など、350゜C以上の
耐熱性を有する材料が広く使用可能である。この準備さ
れたガラス基板701の上に、図34に示すように、A
lまたはCrを堆積した後、このAlまたはCrの薄膜
に選択的なエッチングを施すことによってゲート電極7
03を形成する。
【0181】つぎに、図35に示すように、ゲート電極
703を覆うように、ガラス基板701の上にSiO2
またはSiNxを堆積することによって、ゲート絶縁膜
702を形成する。SiO2またはSiNxは、例えば3
00゜C、好ましくは300゜C〜350゜Cの処理温
度の下でプラズマCVD法を実行することによって堆積
される。
【0182】その後、装置100を用いることによっ
て、ゲート絶縁膜702の上面に結晶質Si薄膜720
を形成する。装置100を使用する際に、Neビーム
は、一方向のみから照射してもよく、反射板12を用い
て複数方向から照射してもよい。前者の場合には、結晶
質Si薄膜720は多結晶となり、後者の場合には単結
晶となる。装置100を用いて結晶質Si薄膜720を
形成するときの処理温度は、好ましくは230゜C〜2
60゜Cに設定されるなど、300゜C以下への設定が
可能である。処理温度の設定は、試料台10が備えるヒ
ータの動作を調整することによって行われる。また、ヒ
ータの動作を停止することによって、試料の温度を略常
温度(例えば100゜C以下)に保っても、結晶質Si
薄膜の形成は可能である。
【0183】つぎに、図36に示すように、ゲート絶縁
膜702および結晶質Si薄膜720の双方を、選択的
エッチングによって所定のパターンに成型する。
【0184】つぎに、図37に示すように、結晶質Si
薄膜720およびガラス基板701の上面全体にSiN
xを堆積することによって、絶縁膜721を形成する。
絶縁膜721の形成は、300゜C〜350゜Cの処理
温度の下でプラズマCVD法を実行することによって遂
行される。
【0185】つぎに、ガラス基板701の裏面すなわち
結晶質Si薄膜720とは反対の側から露光する裏面露
光を用いた写真製版技術によって、絶縁膜721をゲー
ト電極703の直上部のみ残して除去する。その結果、
図38に示すように、上部絶縁膜706が形成される。
その後、この上部絶縁膜706をマスクとして、上方か
らn型不純物を導入する。その結果、結晶質Si薄膜7
20に、ゲート電極703に対向するチャネル領域71
1、その両側に位置するソース領域712、およびドレ
イン領域713が、自己整合的に形成される。すなわ
ち、結晶質Si薄膜710が出来上がる。なお、図38
に示す工程で、n型不純物の導入は、P+などのn型不
純物のイオンを加速して上方から打ち込むことによって
達成される。
【0186】つぎに、図33に戻って、AlまたはCr
を上面全体に堆積した後、これを選択的に除去すること
によって、ソース電極704およびドレイン電極705
が形成される。
【0187】以上に示したように、TFT700を製造
するための全工程を、350゜Cを超えない処理温度下
で遂行することが可能である。したがって、ガラス基板
701には350゜Cの耐熱性を有するすべてのガラス
が使用可能である。結晶質TFTに用いるには従来困難
であった#7059などの600゜C以下の耐熱性を有
する安価なガラスを用いることが可能であり、さらに
は、普通硬質ガラスなどの400゜C以下の耐熱性を有
するさらに安価なガラスを用いることも可能である。こ
のように、TFT700では、製造工程における処理温
度が低いために、安価な材料が使用可能であり、製造コ
ストが低廉である。
【0188】また、処理温度が低いために、ゲート電極
703の材料として、AlあるいはCr、Taなどの比
較的融点の低い金属が使用可能であり、ポリシリコンを
用いる必要がない。ポリシリコンは不純物を高濃度にド
ープしても抵抗率は1000μΩcm程度である。それ
に対して、Alでは4μΩcm、Crでは15μΩc
m、Taでは180μΩcmと、ポリシリコンに比べて
抵抗率がはるかに低い。このため、大画面に高精細な画
像を表示し得るLCDが実現する。
【0189】なお、以上の製造方法では、結晶質Si薄
膜を形成するのに装置100を用いたが、代わりに装置
101を用いても良い。すなわち、プラズマCVD等に
よってあらかじめアモルファスSi薄膜を形成した後、
装置101を用いてこの薄膜を結晶質Si薄膜へと転換
しても良い。この場合においても、製造方法の全工程が
550゜C以下で遂行される。このため、ガラス基板7
01として、比較的安価な#7059などが使用可能で
ある。
【0190】以上に述べたように、TFT700は、従
来のアモルファス・シリコンTFT、ポリ・シリコンT
FTのいずれよりも、簡単かつ低コストで製造可能であ
り、しかも、従来のポリ・シリコンTFTないしそれを
超える特性(TFT自体の高移動度、LCDにおける高
精細画像、など)を実現する。
【0191】<B-3-3.第2の製造方法>図39〜図4
1は、TFT700を製造するもう一つの方法の工程図
である。この方法では、まず図34に示した工程を終了
した後に、図39に示す工程へ移行する。図39の工程
では、一つの装置100を用いて、ガラス基板701お
よびゲート電極703の上に、ゲート絶縁膜702、結
晶質Si薄膜720、および絶縁膜721を、この順に
連続的に形成する。その間には、試料は装置100の反
応室8から外部へ取り出されることはない。したがっ
て、試料はこれらの多層状の薄膜が形成される期間を通
じて、常に真空環境下に置かれる。
【0192】ゲート絶縁膜702を形成する際には、S
iO2あるいはSiNxの原料ガス(例えばSiH4とO2
の混合ガス)を含む反応ガスを反応ガス供給管13より
供給するとともに、不活性ガス導入管7からのNeガス
の供給を停止する。そして、試料台10が備えるヒータ
の動作を調節することによって、試料の温度を例えば3
00゜Cに保つ。あるいは、ヒータの動作を停止するこ
とによって、試料の温度を略常温度(例えば100゜C
以下)に保ってもよい。
【0193】ゲート絶縁膜702の上に結晶質Si薄膜
720を形成する際には、シランガスを含む反応ガスを
反応ガス供給管13より供給するとともに、不活性ガス
導入管7からNeガスを供給する。そして、試料台10
が備えるヒータの動作を調節することによって、試料の
温度を300゜C以下に保つ。あるいは、ヒータの動作
を停止することによって、試料の温度を略常温度(例え
ば100゜C以下)に保ってもよい。
【0194】結晶質Si薄膜720の上に絶縁膜721
を形成する際には、ゲート絶縁膜702を形成する際と
同一条件下で装置100を動作させるとよい。
【0195】絶縁膜721の形成が完了すると、試料を
装置100の照射室8から外部へ取り出す。その後、図
40に示すように、選択的エッチングを施すことによっ
て、ゲート絶縁膜702、結晶質Si薄膜72、および
絶縁膜721から成る3層の薄膜を所定のパターンに成
型する。
【0196】つぎに、裏面露光を用いた写真製版技術に
よって、絶縁膜721をゲート電極703の直上部のみ
残して除去する。その結果、図41に示すように、上部
絶縁膜706が形成される。
【0197】つぎに、図38に示した工程を実行するこ
とによって、結晶質Si薄膜710を形成する。その
後、ソース電極704およびドレイン電極705を形成
することによって、TFT700が完成する。
【0198】この製造方法では、全ての工程が350゜
C以下の処理温度で遂行されるのに加えて、ゲート絶縁
膜702、結晶質Si薄膜720、および絶縁膜721
からなる多層薄膜が、同一装置を用いて、しかも常に真
空環境の中で連続的に形成される。このため、製造工程
が一層簡略であるととともに、各層の間に大気中の水分
等の不純物が混入する恐れがないという利点がある。こ
のため、製品としてのTFT700の歩留まりが向上す
る。
【0199】<B-4.第4実施例>図42は、第4実施
例のTFTの正面断面図である。このTFT730も、
逆スタガ構造の結晶質シリコンTFTである。
【0200】図42に示すように、このTFT730で
は、ガラス基板701とその上に選択的に形成されたゲ
ート電極733とを覆うように、ゲート絶縁膜732が
形成されており、さらに、このゲート絶縁膜732の上
面には、チャネル領域として機能するi型(真性)の結
晶質Si薄膜741が形成されている。ゲート電極73
3は、AlまたはAl−Siで構成されている。
【0201】そして、ゲート電極733の真上に設けら
れた上部絶縁膜736の両側には、ソース領域742お
よびドレイン領域743として機能するn+領域が、i
型Si薄膜741の上面に設けられている。これらのn
+領域も、結晶質Si薄膜741と同様に、結晶質Si
で構成されている。
【0202】これらのソース領域742およびドレイン
領域743には、AlまたはAl−Siで構成される配
線734、735が接続されており、さらに、配線73
5には液晶素子の画素電極736が接続されている。画
素電極736は、透明なITOで構成されている。ま
た、TFT730の上面全体はSiNで構成される保護
膜737で覆われている。
【0203】このTFT730では、ソース領域742
およびドレイン領域743は、i型の結晶質Si薄膜7
41の上に積層することによって形成される。このた
め、ソース領域742およびドレイン領域743は、イ
オン注入法に替えて、装置100を用いて結晶質Siを
形成する中で、反応ガス供給管13からホスフィンガス
などのn型不純物を含んだガスを反応ガスに混入して供
給することによって形成可能である。このため、活性化
の工程を略することができるので、製造方法の全工程が
300゜Cの処理温度下で遂行可能である。
【0204】このため、ガラス基板701に耐熱性が3
00゜C以上の広い範囲の材料が使用可能である。例え
ば、普通硬質ガラスよりもさらに低価格の並板ガラス、
あるいは、ポリイミド系樹脂などの耐熱性樹脂をも使用
可能である。
【0205】また、処理温度が低いために、ゲート電極
733および配線734、735がAlまたはAl−S
iで構成可能である。さらに、図示を略するが、走査線
もゲート電極733と一体的にAlまたはAl−Siで
形成され、同様に、信号線は配線734と一体的に同一
材料で形成される。
【0206】以上のように、TFT730は容易かつ低
コストで製造可能であるとともに、能動層が結晶質Si
で構成されるために、高画質のLCDを実現する。
【0207】<B-5.第5実施例>図43は、第5実施
例のTFTの正面断面図である。このTFT750も、
逆スタガ構造の結晶質シリコンTFTである。
【0208】図43に示すように、このTFT750で
は、ゲート絶縁膜732の上面に結晶質Si薄膜760
が形成されている。この結晶質Si薄膜760の中のゲ
ート電極に対向する中央部分761は、チャネル領域と
して機能するi型Si領域であり、その両側は、ソース
領域762およびドレイン領域763として機能するn
+領域となっている。
【0209】これらのソース領域762およびドレイン
領域763には、AlまたはAl−Siで構成される配
線754、755が接続されており、さらに、配線75
5には画素電極736が接続されている。
【0210】このTFT750では、ソース領域762
およびドレイン領域763は、第3実施例と同様に、イ
オン注入法を用いて形成される。このため、製造方法の
全工程が350゜Cの処理温度下で遂行可能である。こ
のため、ガラス基板701に耐熱性が350゜C以上の
広い範囲の材料が使用可能である。また、処理温度が低
いために、ゲート電極753および配線754、755
がAlまたはAl−Siで構成可能である。さらに、図
示を略するが、走査線もゲート電極753と一体的にA
lまたはAl−Siで形成され、同様に、信号線は配線
754と一体的に同一材料で形成される。
【0211】以上のように、TFT750も容易かつ低
コストで製造可能であるとともに、能動層が結晶質Si
で構成されるために、高画質のLCDを実現する。
【0212】<B-6.第6実施例>図44は、第6実施
例のTFTの正面断面図である。このTFT770は、
第5実施例のTFT750とは、ゲート電極773がn
+結晶質Siで構成される点が特徴的に異なっている。
n型不純物を高濃度にドープされた結晶質Siは、キャ
リア濃度が高い上に移動度が高いので、導電性に優れて
いる。このため、金属材料に代わって、ゲート電極ある
いはゲート電極と一体に形成される走査線をn+結晶質
Siで構成することが可能である。
【0213】しかも、このn+結晶質Siのゲート電極
773等は、装置100を用いて、反応ガス供給管13
からシランガスなどのSiの原料ガスとともに、ホスフ
ィンガスなどのn型不純物を含んだガスを同時に供給す
ることによって形成可能である。このため、ゲート電極
773等は、300゜C以下の処理温度下で形成可能で
あり、100゜C程度以下での形成も可能である。
【0214】したがって、TFT770の製造方法にお
ける全工程が、350゜Cの処理温度下で遂行可能であ
る。このため、ガラス基板701に耐熱性が350゜C
以上の広い範囲の材料が使用可能である。
【0215】なお、ゲート電極がn+Si薄膜で構成さ
れるTFTの製造方法については、第10実施例で具体
的に例示する。
【0216】<B-7.第7実施例>図45は、第7実施
例のTFTの正面断面図である。このTFT780は、
配線の一部がn+結晶質Siで構成される点が、第6実
施例のTFT760とは、特徴的に異なっている。すな
わち図45に示すように、ドレイン領域763と画素電
極736とを接続する配線785は、ドレイン領域76
3と一体的に同一材料であるn+結晶質Siで構成され
ている。前述したように、n+結晶質Siは導電性が良
好であるために、このTFT780のように、TFTの
主電流の経路である配線の材料にも使用可能である。
【0217】配線785がドレイン領域763と一体に
構成されるので、結晶質Si薄膜760を形成する製造
工程の中で、同時に配線785を形成し得る。すなわ
ち、製造方法が一層簡略であるという利点がある。
【0218】なお、このTFT780の製造方法におい
ても、その全工程が、350゜Cの処理温度下で遂行可
能である。このため、ガラス基板701に耐熱性が35
0゜C以上の広い範囲の材料が使用可能である。
【0219】<B-8.第8実施例>例えば、第3実施例
において、n型不純物を結晶質Si薄膜720の中に導
入する工程(図38)で、PH3 +などのn型不純物を含
んだイオンをH2 +のイオンとともに上方から打ち込むド
ーピング法を採用してもよい。このときには、n型不純
物の導入が終了した後にn+領域を活性化するために行
われるアニールは、高くても300゜Cで行うことが可
能である。
【0220】したがって、このドーピング法を用いるこ
とによって、第3実施例のTFT700の製造方法にお
ける全工程が、300゜C以下の処理温度下で遂行可能
となる。その結果、ガラス基板701の材料として、さ
らに安価なガラスを用いることが可能となる。
【0221】図46は、様々なガラス材料とその耐熱温
度を示す表形式の説明図である。この実施例の方法を用
いることによって、耐熱性が300゜C以上の材料を広
く使用可能となる。例えば、安価な並板ガラス、あるい
はポリイミド系樹脂、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイ
ミダゾールなどの耐熱性樹脂が使用可能となる。
【0222】第3実施例に限らず、結晶質シリコンTF
Tを製造する工程の中で不純物を導入する際に、この実
施例の方法を用いることによって、活性化のためのアニ
ールに要する温度を300゜Cにまで引き下げることが
可能となる。
【0223】<B-9.第9実施例>図47は、第9実施
例のTFTの回路構成を示す回路図である。このTFT
590では、単一のゲート電極(G)が設けられたいわ
ゆるシングル・ゲート構造をなしている。
【0224】図48は、TFT790が組み込まれたL
CDの主要部を示す正面断面図である。このLCD81
0は、TFT790とともに、このTFT790を駆動
する駆動回路800が共通のガラス基板701の上に形
成されている。駆動回路800はCMOSトランジスタ
の構造を有し、nチャネルMOS型のTFT801とp
チャネルMOS型のTFT802とが相補的に結合して
成る。なお、図48では、これらのTFT790、80
1、802がいずれも結晶質シリコンTFTであり、し
かも、その中の少なくともTFT790は単結晶シリコ
ンTFTである。
【0225】TFT790の能動層である単結晶Si薄
膜791、TFT801の能動層である結晶質Si薄膜
803、およびTFT802の能動層である結晶質Si
薄膜804は、ガラス基板701の上に選択的に形成さ
れている。SiO2で構成された島状のゲート絶縁膜8
15を挟んで、単結晶Si薄膜791には単一のゲート
電極792が対向しており、同様に、結晶質Si薄膜8
03にはゲート電極805、結晶質Si薄膜804には
ゲート電極806が、それぞれ対向している。
【0226】単結晶Si薄膜791は延長部分791a
を有しており、この延長部分791aには容量電極79
4が対向している。これらの延長部分791aおよび容
量電極794は、保持容量55の一対の電極を構成して
いる。ゲート電極792、805、806、および容量
電極794は、いずれも例えばTaで構成されている。
【0227】単結晶Si薄膜791には、画素電極79
6と主電極795が接続されており、同様に、結晶質S
i薄膜803には主電極807、808、結晶質Si薄
膜804には主電極808、809が接続されている。
各TFTのドレイン電極またはソース電極として機能す
る主電極795、807、808、809は、Alで構
成されており、画素電極796はITOで構成されてい
る。これらの各電極間は、SiO2で構成される絶縁層
816で電気的に絶縁されている。
【0228】TFT790は、その能動層が単結晶Si
薄膜で構成されているので、遮断電流が十分に小さい。
このため、ゲート電極をデュアル・ゲート構造とする必
要がなく、図48に示したように、シングル・ゲート構
造を採用することが可能である。TFT790は、シン
グル・ゲート構造であるために、デュアル・ゲート構造
を有する従来のアモルファス・シリコンTFTあるいは
ポリ・シリコンTFTに比べて、素子の占める面積が略
半分となるために、LCD810における開口率が高い
という利点がある。このため、LCD810は、高輝度
が要求されるLCDには好適である。
【0229】また、TFT790、800ともに、能動
層が単結晶Si薄膜で構成されるので、移動度が高く、
高速動作が可能であり、そのため、従来のポリ・シリコ
ンTFTを用いたLCDと比較してもはるかに高精細な
画像の表示が可能となる。
【0230】図49〜図54は、LCD810の製造工
程図である。LCD810を製造するには、まず図49
に示すように、装置100を用いて、ガラス基板701
の上に、単結晶Si薄膜821を形成する。その後、プ
ラズマCVD法を用いて、単結晶Si薄膜821の上
に、SiO2を堆積することによってゲート絶縁膜81
5を形成する。ゲート絶縁膜815を形成する工程は、
単結晶Si薄膜821を形成する工程に引き続き、試料
を照射室8に挿入したまま、装置100を用いて遂行す
るのが望ましい。
【0231】つぎに、図50に示すように、ゲート絶縁
膜815および単結晶Si薄膜821を選択的にエッチ
ングすることによって、アイランド(島)状の単結晶S
i薄膜822、823、824を形成する。
【0232】つぎに、図51に示すように、単結晶Si
薄膜823、824の全体と、単結晶Si薄膜822の
一部を覆うように、フォトレジスト膜826を試料の上
面に選択的に形成する。その後、このフォトレジスト膜
826をマスクとしてn型不純物を選択的に導入するこ
とによって、単結晶Si薄膜822の一部に保持容量5
5の電極791aを形成する。その後、フォトレジスト
膜826は除去される。
【0233】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0234】つぎに、図52に示すように、Taを上面
全体に堆積した後、これをゲート絶縁膜815とともに
選択的にエッチングすることによって、容量電極79
4、およびゲート電極792、805、806を島状に
形成する。
【0235】つぎに、図53に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜827を選択的に形成する。フォト
レジスト膜827は、単結晶Si薄膜824を覆うよう
に形成される。そして、このフォトレジスト膜827を
マスクとしてn型不純物を導入することによって、単結
晶Si薄膜822、823にドレイン領域およびソース
領域を形成し、その結果、単結晶Si薄膜791、80
3を得る。
【0236】つぎに、図54に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜828を選択的に形成する。フォト
レジスト膜828は、単結晶Si薄膜791、803を
覆うように形成される。そして、このフォトレジスト膜
828をマスクとしてp型不純物を導入することによっ
て、単結晶Si薄膜824にドレイン領域およびソース
領域を形成し、その結果、単結晶Si薄膜804を得
る。その後、フォトレジスト膜828は除去される。
【0237】なお、p型不純物の導入は、B26 +およ
びH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって遂行さ
れる。このため、活性化のためのアニール工程は、30
0゜Cで実行可能である。
【0238】つぎに、図48に戻って、プラズマCVD
法を用いて、容量電極794、ゲート電極792、80
5、806、および、単結晶Si薄膜791、803、
804を覆うように、SiO2を試料の上面に堆積す
る。その後、このSiO2堆積層にコンタクトホールを
形成することによって絶縁層816を得る。そして、絶
縁層816の上にAlを堆積し、選択的に除去すること
によって、コンタクトホールを通じて単結晶Si薄膜8
03、804と接続する主電極795、807、80
8、809を得る。同様に、絶縁層816の上にITO
を堆積し、選択的に除去することによって、単結晶Si
薄膜791と接続される画素電極796を得る。
【0239】以上の工程によって、LCD810が製造
される。この製造方法では、全工程が300゜C以下の
処理温度下で遂行される。このため、ガラス基板701
などに安価な材料を使用可能である。また、単結晶Si
薄膜とガラス基板701との間にSiO2などで構成さ
れるバッファ層を必要としない。このことも、製造方法
の簡略化、低廉化に寄与する。
【0240】また、TFT790の部品と、これを駆動
する駆動回路のTFT800の部品とが、各工程の中で
同時に形成されるので、駆動回路を備えるLCD810
を効率よく製造可能である。
【0241】なお、ガラス基板701と単結晶Si薄膜
791、803、804の間に、SiO2などで構成さ
れるバッファ層を設けてもよい。このときには、図49
の製造工程において、単結晶Si薄膜821を形成する
のに先だって、ガラス基板701の上にまずSiO2
どを堆積することによってバッファ層を形成し、その上
に、単結晶Si薄膜821を形成するとよい。このと
き、バッファ層、単結晶Si薄膜821、および、ゲー
ト絶縁膜815は、試料としてのガラス基板701を照
射室8に挿入したまま、装置100を用いて連続的に遂
行するのが望ましい。
【0242】バッファ層を設けることによって、ガラス
基板701の中に含有される不純物が単結晶Si薄膜7
91、803、804の中に侵入することが防止される
という利点がある。
【0243】<B-10.第10実施例>ここでは、第6実
施例で例示したTFT、すなわちゲート電極がn+結晶
質Siで構成される逆スタガ構造のTFTの製造方法に
ついて説明する。そのようなTFTの一例として、図5
5に示すように、第1実施例のTFT700(図33)
と基本的には同一構造であり、ゲート電極833がn+
結晶質Siで構成される点が特徴的に異なるTFT83
0を取り上げる。
【0244】図56および図57は、このTFT830
の製造工程図である。TFT830を製造するには、ま
ず図56に示すように、ガラス基板701を準備する。
その後、ガラス基板701を装置100の照射室8へ挿
入することによって、ガラス基板701の上に結晶質S
i薄膜834を形成する。このとき、反応ガス供給管1
3からはシランガスなどのSiの原料ガスとともに、ホ
スフィンガスなどのn型不純物を含んだガスを同時に供
給する。その結果、結晶質Si薄膜834は、n型不純
物を高濃度に含んだn+Si薄膜として形成される。
【0245】つぎに、図57に示すように、結晶質Si
薄膜834を選択的に除去することによって、ゲート電
極833の形状に成型する。その後の工程は、第1実施
例で説明した図35〜図38および図33の工程と同様
である。
【0246】以上のように、n+結晶質Siのゲート電
極833は、装置100を用いて形成されるので、ゲー
ト電極833は、300゜C以下の処理温度下で形成可
能であり、100゜C程度以下での形成も可能である。
したがって、第6実施例で既に述べたように、TFT8
30の製造方法における全工程が、350゜C以下の処
理温度下で遂行可能である。このため、ガラス基板70
1に耐熱性が350゜C以上の広い範囲の材料が使用可
能である。
【0247】図57の工程を終了した後、図35〜図3
7の工程を実行する代わりに、図39〜図41の工程を
実行してもよい。そうすることによって、全ての工程が
350゜C以下の処理温度で遂行されるのに加えて、ゲ
ート絶縁膜702、結晶質Si薄膜720、および絶縁
膜721からなる多層薄膜が、同一装置を用いて、しか
も常に真空環境の中で連続的に形成される。このため、
製造工程が一層簡略であるととともに、各層の間に大気
中の水分等の不純物が混入する恐れがないという利点が
ある。このため、製品としてのTFT830の歩留まり
が向上する。
【0248】<B-11.第11実施例>つぎに、ゲート電
極が結晶質n+Siで構成されたTFTと、このTFT
を駆動する駆動回路が共通のガラス基板の上に形成され
たLCDの構成例と、その製造方法について説明する。
【0249】図58は、その一例としてのLCDの主要
部を示す正面断面図である。このLCD840は、第9
実施例のTFT810(図48)と基本的には同一構造
であり、容量電極841およびゲート電極842、84
3、844がn+結晶質Siで構成される点が特徴的に
異なっている。また、SiO2で構成されるゲート絶縁
膜845によって、容量電極841およびゲート電極8
42、843、844と、単結晶Si薄膜791、80
3、804との間が電気的に絶縁されている。
【0250】図59〜図66は、LCD840の製造工
程図である。LCD840を製造するには、まず図59
に示すように、装置100を用いて、ガラス基板701
の上に、単結晶Si薄膜851を形成する。
【0251】つぎに、図60に示すように、単結晶Si
薄膜851に選択的エッチングを施すことにより、島状
の単結晶Si薄膜852、853、854を形成する。
【0252】つぎに、図61に示すように、単結晶Si
薄膜852、853、854を覆うように、ガラス基板
701の上にSiO2を堆積することによって、ゲート
絶縁膜845を形成する。
【0253】つぎに、図62に示すように、単結晶Si
薄膜853、854の全体と、単結晶Si薄膜852の
一部を覆うように、フォトレジスト膜856を、試料の
上面すなわちゲート絶縁膜845の上面に、選択的に形
成する。その後、このフォトレジスト膜856をマスク
としてn型不純物を選択的に導入することによって、単
結晶Si薄膜852の一部に保持容量55の電極791
aを形成する。その後、フォトレジスト膜856は除去
される。
【0254】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0255】つぎに、図63に示すように、再び装置1
00を用いて、ゲート絶縁膜845の上面に、結晶質S
i薄膜846を形成する。このとき、反応ガス供給管1
3からはシランガスなどのSiの原料ガスとともに、ホ
スフィンガスなどのn型不純物を含んだガスを同時に供
給する。その結果、結晶質Si薄膜846は、n型不純
物を高濃度に含んだn+Si薄膜として形成される。
【0256】つぎに、図64に示すように、結晶質Si
薄膜846の上にフォトレジスト膜847を塗布した
後、写真製版技術を用いてパターン成型する。そして、
このパターン成型されたフォトレジスト膜847をマス
クとして結晶質Si薄膜846を選択的にエッチングす
ることによって、容量電極841、およびゲート電極8
42、843、844を島状に形成する。
【0257】つぎに、図65に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜857を選択的に形成する。フォト
レジスト膜857は、単結晶Si薄膜854を覆うよう
に形成される。そして、このフォトレジスト膜857を
マスクとしてn型不純物を導入することによって、単結
晶Si薄膜852、853にドレイン領域およびソース
領域を形成し、その結果、単結晶Si薄膜791、80
3を得る。
【0258】つぎに、図66に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜858を選択的に形成する。フォト
レジスト膜858は、単結晶Si薄膜791、803を
覆うように形成される。そして、このフォトレジスト膜
858をマスクとしてp型不純物を導入することによっ
て、単結晶Si薄膜854にドレイン領域およびソース
領域を形成し、その結果、単結晶Si薄膜804を得
る。その後、フォトレジスト膜858は除去される。
【0259】なお、p型不純物の導入は、B26 +およ
びH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって遂行さ
れる。このため、活性化のためのアニール工程は、30
0゜Cで実行可能である。
【0260】つぎに、図58に戻って、プラズマCVD
法を用いて、容量電極794、ゲート電極792、80
5、806、および、単結晶Si薄膜791、803、
804を覆うように、SiO2を試料の上面に堆積して
絶縁層816を得る。その後、この絶縁層816とゲー
ト絶縁膜845とを貫通するコンタクトホールを形成す
る。そして、絶縁層816の上にAlを堆積し、選択的
に除去することによって、コンタクトホールを通じて単
結晶Si薄膜803、804と接続する主電極795、
807、808、809を得る。同様に、絶縁層816
の上にITOを堆積し、選択的に除去することによっ
て、単結晶Si薄膜791と接続される画素電極796
を得る。
【0261】以上の工程によって、LCD840が製造
される。この製造方法では、全工程が300゜C以下の
処理温度下で遂行される。このため、ガラス基板701
などに安価な材料を使用可能である。また、単結晶Si
薄膜とガラス基板701との間にSiO2などで構成さ
れるバッファ層を必要としない。このことも、製造方法
の簡略化、低廉化に寄与する。
【0262】なお、ガラス基板701と単結晶Si薄膜
791、803、804の間に、SiO2などで構成さ
れるバッファ層を設けてもよい。このときには、図59
の製造工程において、単結晶Si薄膜851を形成する
のに先だって、ガラス基板701の上にまずSiO2
どを堆積することによってバッファ層を形成し、その上
に、単結晶Si薄膜851を形成するとよい。このと
き、バッファ層と単結晶Si薄膜821は、試料として
のガラス基板701を照射室8に挿入したまま、装置1
00を用いて連続的に遂行するのが望ましい。
【0263】<B-12.第12実施例>図67は、第12
実施例のLCDの構成を示す部品配置図である。このL
CD860は、図20に示した第2実施例のLCDと、
基本的な回路構成においては同一である。LCD860
は、TFT864と液晶素子53とがマトリクス状に配
列されてなる画素アレイ861において、TFT864
のゲート電極と走査線862とが、同一の材料で構成さ
れ、しかもn型不純物を高濃度にドープされた結晶質S
i薄膜で構成されている点において、第2実施例のLC
Dとは特徴的に異なる。
【0264】n型不純物を高濃度にドープされた結晶質
Siは、キャリア濃度が高い上に移動度が高いので、導
電性に優れている。このため、金属材料に代わって、ゲ
ート電極あるいはゲート電極と一体に形成される走査線
862をn+結晶質Siで構成することが可能である。
しかも、ゲート電極と走査線862とが同一材料で一体
的に構成されているので、構造が簡単であり、製造工程
が簡略化される。また、ゲート電極と走査線との間を接
続するためのコンタクトホールを必要としないので、こ
の点でも構造が簡単であり、しかも製造工程が簡略とな
る。さらに、コンタクト不良の発生も少ないので、製品
としての装置の歩留まりが向上する。
【0265】<B-13.第13実施例>図68は、第13
実施例のLCDの構成を示す部品配置図である。このL
CD870も、図20に示した第2実施例のLCDと、
基本的な回路構成においては同一である。LCD870
は、画素アレイ871において、TFT874のドレイ
ン電極と信号線872とが、同一の材料で構成され、し
かもn型不純物を高濃度にドープされた結晶質Si薄膜
で構成されている点において、第2実施例のLCDとは
特徴的に異なる。
【0266】第12実施例で述べたように、n+結晶質
Siは導電性が良好であるために、このLCD870の
ように、TFTの主電流の経路である配線の材料にも使
用可能である。しかも、ドレイン電極と信号線872と
が同一材料で一体的に構成されているので、構造が簡単
であり、製造工程が簡略化される。また、ドレイン電極
と信号線との間を接続するためのコンタクトホールを必
要としないので、この点でも構造が簡単であり、しかも
製造工程が簡略となる。さらに、コンタクト不良の発生
も少ないので、製品としての装置の歩留まりが向上す
る。
【0267】<B-14.第14実施例>図69は、第14
実施例のLCDの構成を示す部品配置図である。このL
CD880は、第12実施例のLCD860と第13実
施例のLCD870との双方の特徴を合わせ持ってい
る。すなわち、LCD880は、画素アレイ881にお
いて、TFT884のゲート電極と走査線862とが、
+結晶質Si薄膜で一体的に構成され、TFT884
のドレイン電極と信号線872とが、同じくn+結晶質
Si薄膜で一体的に構成されている。
【0268】したがって、第12実施例および第13実
施例のいずれよりも、さらに構造が簡単であり、製造工
程が簡略化される。また、ゲート電極と走査線とを接続
するコンタクトホールと、ドレイン電極と信号線とを接
続するコンタクトホールのいずれをも必要としないの
で、この点でも、双方の実施例のいずれよりもLCDの
構造が簡単であり、しかも、製造工程が簡略となる。ま
た、コンタクト不良の発生もさらに少ないので、双方の
実施例のいずれよりも製品としての装置の歩留まりが良
好である。
【0269】図70は、このことを明確にするための画
素アレイ881の平面図である。この画素アレイ881
では、制御された電流をITOで構成される画素電極8
83に供給するTFT884の能動層としての結晶質S
i薄膜882には、n+結晶質Si薄膜で構成された信
号線872が接続されている。また、同じくn+結晶質
Si薄膜で構成された走査線862が信号線872と立
体交差するように配設されており、その一部がそのまま
TFT884のゲート電極886を構成している。この
ように、画素アレイ881では、ゲート電極と走査線と
を接続するコンタクトホールと、ドレイン電極と信号線
とを接続するコンタクトホールのいずれをも必要としな
い。
【0270】図71は、画素アレイ881の正面断面図
である。この画素アレイ881では、ガラス基板701
の上に、SiO2で構成されるバッファ層891が設け
られており、このバッファ層891の上に結晶質Si薄
膜882が形成されている。バッファ層891の上に
は、結晶質Si薄膜882を覆うように、SiO2で構
成されるゲート絶縁膜892が形成されている。そし
て、結晶質Si薄膜882に対向するゲート電極894
が、このゲート絶縁膜892を挟んで設けられている。
また、結晶質Si薄膜882の延長部分882aに対向
するように、容量電極893が設けられている。この延
長部分882aと容量電極893とは、保持容量の一対
の電極を構成している。
【0271】ゲート絶縁膜892の上には、ゲート電極
894および容量電極893を覆うように、SiO2
構成される絶縁層895が形成されている。そして、こ
の絶縁層895およびゲート絶縁膜892の双方を貫通
するコンタクトホールを通じて、ITOで構成される画
素電極配線896が結晶質Si薄膜882に接続されて
いる。画素電極配線896は、結晶質Si薄膜882と
画素電極883とを接続するための配線である。
【0272】また、図71に示すように、結晶質Si薄
膜882の延長部分882aは、信号線872と一体的
につながっている。さらに、図示を略するが、ゲート電
極894は走査線862と一体的につながっている。
【0273】図72〜図78は、この画素アレイ881
の製造工程図である。画素アレイ881を製造するに
は、まず図72に示すように、準備されたガラス基板7
01の上にSiO2を堆積することにより、バッファ層
891を形成する。その後、装置100を用いて、バッ
ファ層891の上に結晶質Si薄膜901を形成する。
望ましくは、バッファ層891の形成と結晶質Si薄膜
901の形成とが、ともに装置100を用いて照射室8
の中で連続的に遂行される。
【0274】つぎに、図73に示すように、結晶質Si
薄膜901に選択的エッチングを施すことにより、TF
T884の能動層となるべき結晶質Si薄膜902と、
信号線872となるべき結晶質Si配線903とを、一
体的にパターン成型する。
【0275】つぎに、図74に示すように、結晶質Si
薄膜902と結晶質Si配線903とを覆うように、バ
ッファ層891の上にSiO2を堆積することによっ
て、ゲート絶縁膜904を形成する。
【0276】つぎに、図75に示すように、結晶質Si
薄膜902の一部を覆うように、フォトレジスト膜91
1を、試料の上面すなわちゲート絶縁膜904の上面
に、選択的に形成する。その後、このフォトレジスト膜
911をマスクとしてn型不純物を選択的に導入するこ
とによって、結晶質Si薄膜902の延長部分に保持容
量の電極882aを形成するとともに、結晶質Si配線
903に信号線872を形成する。その後、フォトレジ
スト膜911は除去される。
【0277】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0278】つぎに、図76に示すように、再び装置1
00を用いて、ゲート絶縁膜904の上面に、結晶質S
i薄膜905を形成する。このとき、反応ガス供給管1
3からはシランガスなどのSiの原料ガスとともに、ホ
スフィンガスなどのn型不純物を含んだガスを同時に供
給する。その結果、結晶質Si薄膜905は、n型不純
物を高濃度に含んだn+Si薄膜として形成される。
【0279】つぎに、図77に示すように、結晶質Si
薄膜905の上にフォトレジスト膜912を塗布した
後、写真製版技術を用いてパターン成型する。そして、
このパターン成型されたフォトレジスト膜912をマス
クとして結晶質Si薄膜905を選択的にエッチングす
ることによって、容量電極893、およびゲート電極8
94を島状に形成するとともに、走査線862を所定の
形状にパターン成型する。
【0280】つぎに、図78に示すように、容量電極8
93およびゲート電極894をマスクとしてn型不純物
を導入することによって、結晶質Si薄膜902にドレ
イン領域およびソース領域を自己整合的に形成し、その
結果、TFT884の能動層としての結晶質Si薄膜8
82を得る。その後、フォトレジスト膜912は除去さ
れる。
【0281】つぎに、図71に戻って、容量電極893
およびゲート電極894を覆うように、SiO2をゲー
ト絶縁膜892の上に堆積して絶縁層895を得る。そ
の後、この絶縁層895とゲート絶縁膜892とを貫通
するコンタクトホールを形成する。そして、絶縁層89
5の上にITOを堆積し、選択的に除去することによっ
て、コンタクトホールを通じて結晶質Si薄膜882と
接続する画素電極配線896を得る。
【0282】以上の工程によって、画素アレイ881が
製造される。この製造方法では、全工程が300゜C以
下の処理温度下で遂行される。このため、ガラス基板7
01などに安価な材料を使用可能である。また、結晶質
Si薄膜882とガラス基板701との間に設けられた
バッファ層891はなくてもよい。そうすることによっ
て、製造方法が一層簡略となり、製造コストが低廉とな
る。
【0283】また、ゲート電極894と走査線862と
が一つの工程で同時に形成されるとともに、結晶質Si
薄膜882と信号線872とが一つの工程で同時に形成
される。このことも、製造工程の簡略化、および製造コ
ストの低廉化をもたらす。
【0284】<B-15.第15実施例>図79は、第15
実施例の画素アレイ920の平面図である。この画素ア
レイ920では、制御された電流をマトリクス状に配列
された画素電極933に供給するTFTの能動層として
の結晶質Si薄膜932が、画素電極933毎に設けら
れている。この結晶質Si薄膜932は、第1層に形成
されており、第2層には、結晶質Si薄膜932に対向
するゲート電極936が形成されている。このゲート電
極936はn+結晶質Siで構成されている。
【0285】結晶質Si薄膜932には信号線が接続さ
れ、ゲート電極936には走査線が接続される。これら
の信号線と走査線は、画素アレイ920内に所定の画素
の集まりとして規定されるブロック毎に、金属配線とn
+結晶質Si配線のいずれかが選択的に配設されてい
る。そして、また、金属配線は第3層に配設されてお
り、各ブロック間における第3層の金属配線と第1層ま
たは第2層のn+結晶質Si配線とは、コンタクトホー
ルを通じて接続されている。
【0286】図79には、4つのブロック921〜92
4が例示されている。図79において、3行2列の6画
素を有するブロック921と5行2列の10画素を有す
るブロック924では、第1層に位置する結晶質Si薄
膜932は、同じく第1層に配設されるn+結晶質Si
信号線942と一体的に形成されており、第2層に位置
するゲート電極936は、第3層に配設される金属走査
線943に接続されている。
【0287】他方、3行2列の6画素を有するブロック
922と5行2列の10画素を有するブロック923で
は、第1層に位置する結晶質Si薄膜932は、第3層
に配設される金属信号線944に接続されており、第2
層に位置するゲート電極936は、同じく第2層に配設
されるn+結晶質Si走査線941と一体的に形成され
ている。
【0288】そして、ブロック921のn+結晶質Si
信号線942とブロック923の金属信号線944と
は、コンタクトホール946を通じて接続されている。
同様に、ブロック922の金属信号線944とブロック
924のn+結晶質Si信号線942とは、コンタクト
ホール947を通じて接続されている。
【0289】さらに、ブロック921の金属走査線94
3とブロック922のn+結晶質Si走査線941と
は、コンタクトホール948を通じて接続されている。
同様に、ブロック923のn+結晶質Si走査線941
とブロック924の金属走査線943とは、コンタクト
ホール949を通じて接続されている。
【0290】この画素アレイ920は、以上のように構
成されるので、配線抵抗、コンタクトホールの個数、お
よび、金属配線の面積と長さを最適に選択することが可
能である。その結果、高精細でコントラストが高く、多
階調の画像を表示するLCDが容易かつ安価に製造可能
である。
【0291】<B-16.第16実施例>図80は、第16
実施例の画素アレイ950の平面図である。この画素ア
レイ950では、制御された電流をITOで構成される
画素電極951に供給するTFTの能動層としての結晶
質Si薄膜952は、シリサイドを有する信号線954
と一体に構成されいる。また、結晶質Si薄膜952に
対向し、n+結晶質Siで構成されるゲート電極956
は、同じくシリサイドを有する走査線953と一体に構
成されている。走査線953と信号線954は、互いに
立体交差するように配設されている。
【0292】ゲート電極と走査線とが一体に構成され、
能動層と信号線とが一体に構成されるので、それらの間
を接続するためのコンタクトホールを必要としない。し
たがって、画素アレイ950は構造が簡単であるととも
に、製造工程が簡略化される。また、コンタクトホール
におけるコンタクト不良の発生も少ないので、製品とし
ての装置の歩留まりが良好である。さらに、シリサイド
(金属−Si化合物)は、導電率が高いので、走査線あ
るいは信号線の配線抵抗を低く抑えることができるとい
う利点がある。
【0293】図81は、画素アレイ950と駆動回路と
が共通のガラス基板の上に形成されたLCDの主要部を
示す正面断面図である。図81には、画素電極951へ
制御された電流を供給するTFT970と、このTFT
970を駆動する駆動回路980とが、図示されてい
る。駆動回路980はCMOSトランジスタの構造を有
し、nチャネルMOS型のTFT980aとpチャネル
MOS型のTFT980bとが相補的に結合して成る。
これらのTFT970、980a、980bは、いずれ
も結晶質シリコンTFTである。
【0294】ガラス基板701の上にはSiO2で構成
されるバッファ層961が形成されており、このバッフ
ァ層961の上には、TFT970の能動層である結晶
質Si薄膜952、TFT980aの能動層である結晶
質Si薄膜963、およびTFT980bの能動層であ
る結晶質Si薄膜964が、選択的に形成されている。
そして、SiO2で構成された島状のゲート絶縁膜96
5を挟んで、結晶質Si薄膜952にはゲート電極97
2が対向しており、同様に、結晶質Si薄膜963には
ゲート電極973、結晶質Si薄膜964にはゲート電
極974が、それぞれ対向している。
【0295】結晶質Si薄膜952は延長部分952a
を有しており、この延長部分952aには、ゲート絶縁
膜965を挟んで容量電極971が対向している。これ
らの延長部分952aaおよび容量電極971は、保持
容量の一対の電極を構成している。ゲート電極972、
973、974、および容量電極971は、いずれもn
+結晶質Si薄膜で構成されている。また、ゲート電極
972、973、974、および、容量電極971の上
部には、シリサイド層976、977、978、およ
び、975がそれぞれ形成されている。
【0296】結晶質Si薄膜952には、画素電極99
2が接続されている。また、結晶質Si薄膜952のド
レイン領域およびソース領域には、シリサイド層98
1、982がそれぞれ形成されている。同様に、結晶質
Si薄膜980aのソース領域およびドレイン領域に
は、シリサイド層983、984がそれぞれ形成されて
おり、結晶質Si薄膜980bのドレイン領域およびソ
ース領域には、シリサイド層985、986がそれぞれ
形成されている。また、結晶質Si薄膜980aのドレ
イン領域と結晶質Si薄膜980bのドレイン領域と
は、高融点金属の窒化物で構成される架橋987を通じ
て互いに接続されている。
【0297】さらに、各結晶質Si薄膜952、980
a、980b、および容量電極971、ゲート電極97
2、973、974は、SiO2で構成される絶縁層9
91で覆われており、画素電極992はこの絶縁層99
1に設けられたコンタクトホールを通じて結晶質Si薄
膜952と接続されている。
【0298】なお、図示を略するが、シリサイド層98
1を含むゲート電極972は、走査線953と一体的に
構成されており、結晶質Si薄膜952におけるシリサ
イド層982を含むドレイン領域は、信号線954と一
体的に構成されている。
【0299】また、画素電極992は、信号線954、
走査線953のいずれとも異なる最上層に配設されるの
で、異物の介在やパターンズレによってそれらが短絡す
る恐れがない。また、図81に示すように画素電極99
2と信号線954との間には、縦方向(ガラス基板70
1の主面に垂直な方向)に一定の距離があるので、水平
方向(ガラス基板701の主面に沿った方向)の間隔L
dsを狭くしても、寄生容量Cdsは低い値にとどまる。
【0300】このため、LCD960では、水平方向の
間隔Ldsを従来装置に比べて、少なくとも縦方向の距離
分、すなわち絶縁層991の厚さ分だけ、短縮すること
が可能である。例えば、図80に示すように、信号線9
54と画素電極992との間の平面上の間隔を、例えば
2μm〜3μm程度にまで狭く設定することが可能であ
る。このため、LCD960では、開口率を従来装置に
おける値である40%から、例えば50%にまで改善す
ることが可能である。
【0301】図82〜図89は、LCD960の製造工
程図である。LCD960を製造するには、まず図82
に示すように、装置100を用いて、ガラス基板701
の上に、SiO2で構成されるバッファ層961、結晶
質Si薄膜1001、および、SiO2で構成されるゲ
ート絶縁膜965を、この順に連続的に形成する。これ
らの3層の薄膜が形成される期間では、ガラス基板70
1は照射室8へ挿入されたままである。
【0302】つぎに、試料を照射室8の外に取り出した
後、図83に示すように、ゲート絶縁膜965および結
晶質Si薄膜1001を選択的にエッチングすることに
よって、島状の結晶質Si薄膜1002、1003、1
004、および所定のパターンを有する信号線954を
形成する。
【0303】つぎに、図84に示すように、結晶質Si
薄膜1003、1004の全体と、結晶質Si薄膜10
02の一部を覆うように、フォトレジスト膜1006を
試料の上面に選択的に形成する。その後、このフォトレ
ジスト膜1006をマスクとしてn型不純物を選択的に
導入することによって、結晶質Si薄膜1002の一部
に保持容量の電極952aを形成する。その後、フォト
レジスト膜1006は除去される。
【0304】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0305】つぎに、再び装置100を用いて、ゲート
絶縁膜965の上面に、結晶質Si薄膜を形成する。こ
の結晶質Si薄膜は、容量電極971、ゲート電極97
2、973、974に加えて走査線953となるべき薄
膜である。このとき、反応ガス供給管13からはシラン
ガスなどのSiの原料ガスとともに、ホスフィンガスな
どのn型不純物を含んだガスを同時に供給する。
【0306】その結果、結晶質Si薄膜は、n型不純物
を高濃度に含んだn+Si薄膜として形成される。その
後、この結晶質Si薄膜とゲート絶縁膜965とに選択
的エッチングを施すことによって、図85に示すよう
に、島状の容量電極971、およびゲート電極972、
973、974、並びに、所定のパターンを有する走査
線953を形成する。
【0307】つぎに、図86に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜1007を選択的に形成する。フォ
トレジスト膜1007は、結晶質Si薄膜1004を覆
うように形成される。そして、このフォトレジスト膜1
007をマスクとしてn型不純物を導入することによっ
て、結晶質Si薄膜1002、1003にドレイン領域
およびソース領域を形成し、その結果、結晶質Si薄膜
952、963を得る。このとき同時に、信号線954
にもn型不純物が導入される。
【0308】つぎに、図87に示すように、試料の上面
にフォトレジスト膜1008を選択的に形成する。フォ
トレジスト膜1008は、結晶質Si薄膜952、96
3を覆うように形成される。そして、このフォトレジス
ト膜1008をマスクとしてp型不純物を導入すること
によって、結晶質Si薄膜1004にドレイン領域およ
びソース領域を形成し、その結果、結晶質Si薄膜96
4を得る。その後、フォトレジスト膜1008は除去さ
れる。
【0309】なお、p型不純物の導入は、B26 +およ
びH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって遂行さ
れる。このため、活性化のためのアニール工程は、30
0゜Cで実行可能である。
【0310】つぎに、図88に示すように、容量電極9
71とその下層に位置するゲート絶縁膜965の側壁に
サイドウォール1009を形成する。同時に、容量電極
972、973、974とそれらの下層に位置するゲー
ト絶縁膜965の側壁にも、サイドウォール1009を
形成する。サイドウォール1009は、試料表面に酸化
膜を形成した後、この酸化膜にエッチバックを施すとい
う周知技術を用いて形成される。
【0311】つぎに、例えばMoなどの高融点金属を蒸
着等によって試料の上面に堆積した後、Siとの化合反
応(シリサイデーション)を行わせる。シリサイデーシ
ョンは、N2(窒素)ガスまたはNH3ガスの雰囲気中
で、ランプアニール処理を施すことによって遂行され
る。その結果、高融点金属の中でSi薄膜と接触する部
分においてシリサイドが形成されると同時に、Si薄膜
と接触しない部分では高融点金属の窒化物が生成され
る。
【0312】その後、不要な高融点金属窒化物を選択的
に除去する。その結果、図89に示すように、容量電極
971、および、ゲート電極972、973、974の
上面に、シリサイド層975、976、977、978
がそれぞれ形成される。また、結晶質Si薄膜952、
963、964のドレイン領域およびソース領域の上面
にも、シリサイド層981〜986が形成される。ま
た、図示を略するが、走査線953および信号線954
の上面にも、同様にシリサイド層が形成される。
【0313】高融点金属の窒化物の除去を行う際にマス
クを施すことによって、結晶質Si薄膜963のドレイ
ン領域と結晶質Si薄膜964のドレイン領域との間に
形成された高融点金属の窒化物のみは選択的に残され
る。その結果、高融点窒化物で構成される架橋987が
形成される。
【0314】つぎに、図81に戻って、プラズマCVD
法を用いて、容量電極971、ゲート電極972、97
3、974、および、結晶質Si薄膜952、980
a、980bを覆うように、SiO2を試料の上面に堆
積することによって絶縁層991を得る。その後、この
絶縁層991にコンタクトホールを形成した後、絶縁層
991の上にITOを堆積する。そして、堆積されたI
TOを選択的に除去することによって、コンタクトホー
ルを通じて結晶質Si薄膜952と接続する画素電極9
92が得られる。以上の工程によって、LCD960が
製造される。
【0315】以上のように、ゲート電極972と走査線
953とが一つの工程で同時に形成されるとともに、結
晶質Si薄膜952と信号線954とが一つの工程で同
時に形成される。このため、製造工程が簡略であり、し
かも製造コストが低廉である。
【0316】図90は、各種のシリサイドとその特性を
示す表形式の説明図である。図90から解るように、シ
リサイドを構成する高融点金属として、Mo、Cr、C
o、あるいはPtを使用するならば、LCD960を製
造するための全工程を550゜C以下の処理温度で遂行
可能である。このときには、ガラス基板701としてコ
ーニング社の#7059を使用可能である。さらに、高
融点金属として、Ptを使用するならば、全工程を30
0゜C以下の処理温度で遂行可能である。このときに
は、ガラス基板701として、さらに安価な並板ガラス
あるいは耐熱樹脂等も使用可能となる。
【0317】また、Si層の上へのシリサイド層の形成
と、窒化物による架橋987の形成とが同時に行われ
る。このように、シリサイド化にともなって、Siのな
い領域における配線パターンを同時に形成可能である。
このため、配線の自由度が拡大するとともに、少ない手
間で自由に配線を行うことができるという利点がある。
【0318】以上のように、LCD960は容易かつ低
廉な方法で製造可能である。また、結晶質Si薄膜とガ
ラス基板701との間に設けられたバッファ層961は
なくてもよい。そうすることによって、製造方法が一層
簡略となり、製造コストが低廉となる。
【0319】<B-17.第17実施例>図91は、第17
実施例のTFTの正面断面図である。このTFT101
0は、画素アレイ950を構成可能な別のTFTの一例
である。図91に示すように、TFT1010は逆スタ
ガ構造を有しており、したがって、このTFT1010
を画素アレイ950へ使用する際には、走査線953が
第1層に配設され、信号線954がその上の第2層に配
設される。すなわち、走査線953と信号線954の上
下関係が、LCD960とは逆の関係となる。
【0320】図91に示すように、TFT1010で
は、ガラス基板701の上に、SiO 2で構成されるバ
ッファ層1011が形成されている。そして、このバッ
ファ層1011の上には、n+結晶質Siで構成される
ゲート電極1012が形成されている。このゲート電極
1012の表面には、シリサイド層1013が形成され
ている。
【0321】バッファ層1011の上にはさらに、この
ゲート電極1012を覆うように、ゲート絶縁膜101
4が形成されている。ゲート絶縁膜1014は、SiN
xあるいはSiO2で構成されている。このゲート絶縁膜
1014の上には、結晶質Si薄膜1020が形成され
ている。結晶質Si薄膜1020は、チャネルとして機
能するその中央領域がゲート電極1012の上方に位置
するように形成される。
【0322】チャネル領域1021の上には、上部絶縁
膜1015が形成されている。この上部絶縁膜1015
は、SiNxまたはSiO2で構成されている。結晶質S
i薄膜1020におけるチャネル領域1021の両側
は、それぞれソース領域1022およびドレイン領域1
023であり、これらの層にはn型不純物が高濃度にド
ープされている。ソース領域1022およびドレイン領
域1023の上面には、シリサイド層1025、102
6がそれぞれ形成されている。
【0323】また、図示を略するが、シリサイド層10
13を含むゲート電極1012は、走査線953と一体
的に構成されており、シリサイド層1026を含むドレ
イン領域1023は、信号線954と一体的に構成され
ている。このため、それらの間を接続するためのコンタ
クトホールを必要としない。
【0324】図92〜図97は、図91に示したTFT
1010の製造方法を示す製造工程図である。TFT1
010を製造するには、まず図92に示すように、装置
100を用いて、ガラス基板701の上に、SiO2
たはSiNxで構成されるバッファ層1011および結
晶質Si薄膜1031を、この順に連続的に形成する。
これらの二層の薄膜が形成される期間を通じて、ガラス
基板701は照射室8へ挿入されたままである。
【0325】この結晶質Si薄膜1031は、ゲート電
極1012に加えて走査線953となるべき薄膜であ
る。結晶質Si薄膜1031を形成する工程では、反応
ガス供給管13からはシランガスなどのSiの原料ガス
とともに、ホスフィンガスなどのn型不純物を含んだガ
スを同時に供給する。その結果、結晶質Si薄膜103
1は、n型不純物を高濃度に含んだn+Si薄膜として
形成される。
【0326】つぎに、この結晶質Si薄膜1031に選
択的エッチングを施すことによって、図93に示すよう
に、島状のゲート電極1012を形成する。その後、M
oなどの高融点金属を試料の上面に堆積した後、シリサ
イデーションを施す。その結果、ゲート電極1012の
表面にはシリサイド層1013が形成される。シリサイ
デーションの後、未反応の高融点金属は除去される。
【0327】つぎに、図94に示すように、再び装置1
00を用いて、バッファ層1011の上に、SiO2
たはSiNxで構成されるゲート絶縁膜1014、結晶
質Si薄膜1030、およびSiO2またはSiNxで構
成される上部絶縁膜1015を、この順に連続的に形成
する。これらの3層の薄膜が形成される期間を通じて、
試料は照射室8へ挿入されたままである。ゲート絶縁膜
1014は、シリサイド層1013を覆うように形成さ
れる。
【0328】つぎに、試料を照射室8の外に取り出した
後、図95に示すように、形成された3層の薄膜に選択
的エッチングを施す。その結果、結晶質Si薄膜103
0が、TFT1010の能動層としての結晶質Si薄膜
1020、および信号線954の形状にパターン成型さ
れる。
【0329】つぎに、図96に示すように、裏面露光を
用いた写真製版技術によって、上部絶縁膜1015をゲ
ート電極1012の直上部のみ残して除去する。その
後、図97に示すように、上部絶縁膜1015をマスク
として、上方からn型不純物を導入する。その結果、結
晶質Si薄膜1030に、ゲート電極1012に対向す
るチャネル領域1021、その両側に位置するソース領
域1022、およびドレイン領域1023が、自己整合
的に形成される。すなわち、結晶質Si薄膜1020が
出来上がる。また、この工程によって、信号線954に
もn型不純物が導入される。
【0330】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0331】つぎに、図91に戻って、Moなどの高融
点金属を試料の上面に堆積した後、シリサイデーション
を施す。その結果、ソース領域1022およびドレイン
領域1023の上面にシリサイド層1025、1026
がそれぞれ形成される。また、図示を略するが、この工
程によって、信号線954の上面にもシリサイド層が形
成される。シリサイデーションの後、未反応の高融点金
属は除去される。以上の工程によって、TFT1010
が形成される。
【0332】以上のように、ゲート電極1012と走査
線953とが一つの工程で同時に形成されるとともに、
結晶質Si薄膜1020と信号線954とが一つの工程
で同時に形成される。このため、製造工程が簡略であ
り、しかも製造コストが低廉である。また、LCD96
0の製造方法と同様に、シリサイドを構成する高融点金
属として、Mo、Cr、Co、あるいはPtを使用する
ならば、TFT1010を製造するための全工程を55
0゜C以下の処理温度で遂行可能である。さらに、高融
点金属として、Ptを使用するならば、全工程を300
゜C以下の処理温度で遂行可能である。
【0333】以上のように、TFT1010は容易かつ
低廉な方法で製造可能である。また、結晶質Si薄膜と
ガラス基板701との間に設けられたバッファ層101
1はなくてもよい。そうすることによって、製造方法が
一層簡略となり、製造コストが低廉となる。
【0334】<B-18.第18実施例>上述した各実施例
において、装置100を用いて二層あるいは多層の薄膜
を連続的に形成する期間を通じて、試料としての基板1
1の温度(基板温度)を一定に保持することによって、
さらに効率の良い成膜が可能となる。
【0335】例えば、第3実施例のTFT700を製造
する方法において、装置100を用いて図39の工程を
実行する際に、基板温度を一定温度、例えば100゜C
に保持しつつ、ゲート絶縁膜702、結晶質Si薄膜7
20、および絶縁膜721を、この順に連続的に形成し
てもよい。そうすることによって、基板温度が所定の温
度へ変化するのを待つことなく、一つの層の形成後につ
ぎの新たな層の形成に直ちに移行することが可能とな
る。すなわち、この実施例の方法では、多層構造の薄膜
の形成を、さらに能率的に行い得るという利点がある。
【0336】<B-19.第19実施例>図98は、第19
実施例のLCDの正面断面図である。このLCD103
0の平面構造は、図143に示したLCD650と同様
であり、図98は図143におけるA−A’切断線に沿
った断面図に相当する。
【0337】図98に示すように、LCD1030で
は、ガラス基板701の上に、画素電極1036へ制御
された電流を供給するためのTFTの能動層としての結
晶質Si薄膜1040が形成されている。結晶質Si薄
膜1040のドレイン領域1042とソース領域104
3に挟まれたチャネル領域1041には、例えばSiO
2で構成されるゲート絶縁膜1044を挟んで、結晶質
Siで構成されるゲート電極1045が対向している。
【0338】ガラス基板701の上には、さらに、信号
線1033が配設されている。この信号線は結晶質Si
薄膜で構成されており、LCD1030の製造工程にお
いて、結晶質Si薄膜1040と同時に形成される。こ
の信号線1033の上層には、ゲート絶縁膜1044と
同一材料で構成される絶縁膜1032を挟んで、シール
ド電極1031が設けられている。このシールド電極
は、ゲート電極1045と同一材料で構成されており、
LCD1030の製造工程において、ゲート電極104
5と同時に形成される。
【0339】ガラス基板701の上にはさらに、結晶質
Si薄膜1040、ゲート電極1045、シールド電極
1031、および信号線1033等を覆うように、Si
2等で構成される絶縁層1035が形成されている。
画素電極1036は、この絶縁層1035の上に形成さ
れており、しかも絶縁層1035に設けられたコンタク
トホールを通じてソース領域1043と接続されてい
る。
【0340】シールド電極1031は、図143の平面
図上で画素電極1036と信号線1033との境界を覆
うように設けられており、しかも、画素電極1036が
設けられる層と信号線1033が設けられる層の間の層
内に設けられている。また、シールド電極1031に
は、例えば接地電位などの安定電位が接続される。そう
することによって、シールド電極1031は信号線10
33と画素電極1036の間のクロストークを抑える働
きをなす。
【0341】なお、ゲート電極1045、ドレイン領域
1042、ソース領域1043、およびシールド電極1
031の上面には、シリサイド層が形成されている。そ
うすることで、これらの各層における抵抗率が低減され
る。シールド電極1031の抵抗率が低減することによ
って、クロストークを抑える効果も高まる。絶縁膜で構
成されるサイドウォール1034は、これらのシリサイ
ド層を形成するために設けられたものである。
【0342】以上に説明したように、シールド電極10
31は、画素電極1036と信号線1033の間の層内
に設けられている。このため、信号線1033とシール
ド電極1031との間、および、画素電極1036とシ
ールド電極1031との間の距離を十分に狭く設定する
ことが可能である。そうすることによって、シールド電
極1031の効果、すなわち画素電極1036と信号線
1033との間のクロストークを抑える効果が、従来装
置に比べて飛躍的に高められる。
【0343】図99は、信号線と画素電極との間の間隔
dsと寄生容量Cdsとの間の関係をグラフに表したもの
であり、従来装置であるLCD950とこの実施例のL
CD1030とを比較して示している。図99から解る
ように、LCD1030では、LCD950に比べて、
寄生容量Cdsが著しく低減されている。
【0344】<B-20.第20実施例>つぎに第20実施
例の装置について説明する。
【0345】<B-20-1.装置の構成>図100は、第2
0実施例のLCDの正面断面図である。このLCD10
50では、制御された電流を画素電極へ供給するTFT
1052と、このTFT1052を駆動する駆動回路を
構成するバイポーラ型のTFT1051とが、共通のガ
ラス基板701の上に形成されている。TFT1051
はさらに、NPN型のTFT1053とPNP型のTF
T1054とを有している。TFT1052は、NMO
S型のFETである。また、ガラス基板701の上には
さらに、TFT1052に隣接して保持容量1055が
設けられている。
【0346】ガラス基板701の上にはSiO2で構成
されるバッファ層1061が形成されている。NPN型
のTFT1053では、このバッファ層1061の上
に、金属薄膜で構成されるコレクタ電極1081を挟ん
で、結晶質Si薄膜で構成されるコレクタ層1062が
形成されている。このコレクタ層1062の上に、同じ
く結晶質Si薄膜で構成されるベース層1064が形成
されており、さらにこのベース層1064の上に、結晶
質Si薄膜で構成されるエミッタ層1066が形成され
ている。
【0347】第2層に位置するベース層1064は、S
iO2で構成される絶縁膜1068に設けられた開口部
を通じて、最下層(第1層)のコレクタ層1062と接
続されており、最上層(第3層)に位置するエミッタ層
1066は、同じくSiO2で構成される絶縁層107
6に設けられた開口部を通じて第2層のベース層106
4に接続されている。コレクタ層1062は、n-領域
1062aとn+領域1062bとを有しており、ベー
ス層1064は、p-領域1064aとp+領域1064
bとを有している。そして、エミッタ層1066は、n
+領域で構成されている。
【0348】PNP型である他方のTFT1054は、
TFTとは対称的な構成となっている。すなわち、バッ
ファ層1061の上に、金属薄膜で構成されるコレクタ
電極1082を挟んで、結晶質Si薄膜で構成されるコ
レクタ層1063が形成されている。そして、このコレ
クタ層1063の上に、同じく結晶質Si薄膜で構成さ
れるベース層1065が形成されており、さらにこのベ
ース層1065の上に、結晶質Si薄膜で構成されるエ
ミッタ層1067が形成されている。
【0349】第2層に位置するベース層1065は、絶
縁膜1068に設けられた開口部を通じて、最下層のコ
レクタ層1063と接続されており、最上層に位置する
エミッタ層1067は、絶縁層1076に設けられた開
口部を通じて第2層のベース層1065に接続されてい
る。コレクタ層1063は、p-領域1063aとp+
域1063bとを有しており、ベース層1065は、n
-領域1065aとn+領域1065bとを有している。
そして、エミッタ層1067は、p+領域で構成されて
いる。
【0350】NMOS型のTFT1052では、能動層
として機能する結晶質Si薄膜1071が、バッファ層
1061の上に形成されている。この結晶質Si薄膜1
071は、ソース領域1071a、チャネル領域107
1b、およびドレイン領域1071cを有している。こ
れらの中のソース領域1071aおよびドレイン領域1
071cには、n型不純物が高濃度にドープされてい
る。そして、チャネル領域1071bには、ゲート絶縁
膜1074を挟んでゲート電極1074が対向してい
る。ゲート絶縁膜1074はSiO2で構成されてお
り、ゲート電極1074はn型不純物を高濃度にドープ
された結晶質Si薄膜で構成されている。
【0351】ソース領域1071aには、n型不純物を
高濃度にドープされた結晶質Si薄膜で構成される信号
線1075が接続されている。この信号線1075は、
絶縁層1076によって、ゲート電極1072と電気的
に絶縁されている。
【0352】保持容量1055では、n-結晶質Si薄
膜で構成される容量電極1077が、金属薄膜1083
を挟んでバッファ層1061の上に形成されている。こ
の容量電極1077は、結晶質Si薄膜1052とは一
体的に構成されている。そして、この容量電極1077
には、ゲート絶縁膜1074を挟んで、もう一つの容量
電極1073が対向している。この容量電極1073
は、ゲート電極1072と同様にn+結晶質Si薄膜で
構成されている。そして、容量電極1073は絶縁層1
076で覆われている。
【0353】TFT1051は、その能動層が結晶質S
i薄膜で構成されるので、内部欠陥の少ない実用的なバ
イポーラ型のTFTとして機能する。すなわち、LCD
1050では、特性の良好なバイポーラ型のTFT10
51を備えることによってアナログ信号による多階調表
示を可能にする駆動回路が、画素電極等と共通のガラス
基板701の上に設けられている。しかも、LCD10
50は、以下に例示するように、アモルファスTFTを
備えるLCDと同程度ないしそれよりも容易に製造可能
である。
【0354】<B-20-2.製造方法>図101〜図113
は、このLCD1050の製造工程図である。LCD1
050を製造するには、まず、図101に示すように、
ガラス基板701の上に、SiO2で構成されるバッフ
ァ層1061を形成する。その後、金属を蒸着等によっ
て堆積した後、これを選択的に除去することによって、
所定のパターンに成型された金属薄膜1092を形成す
る。つづいて、装置100を用いて、バッファ層106
1および金属薄膜1092の上に、結晶質Si薄膜10
91を形成する。なお、バッファ層1061も、好まし
くは装置100を用いて形成される。
【0355】つぎに、図102に示すように、金属薄膜
1092および結晶質Si薄膜1091を選択的に除す
ることによって、それらを所定のパターンに成型する。
その結果、コレクタ電極1081、1082、金属薄膜
1083、および、結晶質Si薄膜1093、109
4、1095が形成される。結晶質Si薄膜1093、
1094は、それぞれコレクタ層1062、1063の
形状に成型された結晶質Si薄膜であり、結晶質Si薄
膜1095は、結晶質Si薄膜1071と容量電極10
77とが一体化された形状に成型された結晶質Si薄膜
である。
【0356】つぎに、図103に示すように、フォトレ
ジスト膜1101を試料の上面に選択的に形成する。フ
ォトレジスト膜1101は、結晶質Si薄膜1094の
全体と、結晶質Si薄膜1095の一部を覆うように形
成される。その後、このフォトレジスト膜1101をマ
スクとして低濃度のn型不純物を選択的に導入する。そ
の結果、結晶質Si薄膜1093がn-結晶質Si薄膜
へと転換される。同時に、結晶質Si薄膜1095の一
部にn-結晶質Siで構成される容量電極1077が形
成されるとともに、容量電極1077を含む結晶質Si
薄膜1095の一部領域がn-結晶質Siへと転換され
る。その後、フォトレジスト膜1101は除去される。
【0357】なお、n型不純物の導入は、PH3 +および
2 +のイオンを上方から打ち込むことによって達成され
る。このため、活性化のためのアニール工程は、300
゜Cで実行可能である。
【0358】つぎに、図104に示すように、試料の上
面にフォトレジスト膜1102を選択的に形成する。フ
ォトレジスト膜1102は、結晶質Si薄膜1093の
全体と、容量電極1077を含む結晶質Si薄膜109
5の一部、を覆うように形成される。そして、このフォ
トレジスト膜1102をマスクとして低濃度のp型不純
物を導入する。その結果、結晶質Si薄膜1093はp
-結晶質Si薄膜へ転換される。同時に、結晶質Si薄
膜の残りの一部、すなわち図103の工程でn -結晶質
Siへと転換されなかった領域が、p-結晶質Si薄膜
へと転換される。その後、フォトレジスト膜1102は
除去される。
【0359】なお、p型不純物の導入は、B26 +およ
びH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって遂行さ
れる。このため、活性化のためのアニール工程は、30
0゜Cで実行可能である。
【0360】つぎに、SiO2で構成される絶縁膜10
68を試料の全面に堆積した後、結晶質Si薄膜109
3および1094の上面の一部において、この絶縁膜1
068に開口部を設ける。その後、再び装置100を用
いて、絶縁膜1068の上面に、結晶質Si薄膜109
6を形成する。この結晶質Si薄膜1096は、後工程
でベース層1064、1065、容量電極1073、お
よびゲート電極1072となるべき薄膜である。
【0361】つぎに、図106に示すように、結晶質S
i薄膜1096および絶縁膜1068に選択的エッチン
グを施すことによって、ベース層1064の形状の結晶
質Si薄膜1121、ベース層1065の形状の結晶質
Si薄膜1094、容量電極の形状の結晶質Si薄膜1
123、および、ゲート電極1072の形状の結晶質S
i薄膜1124が形成される。また、それと同時に、絶
縁膜1068からゲート絶縁膜1074が形成される。
【0362】その後、結晶質Si薄膜1121を覆うよ
うに、フォトレジスト膜1103を試料の上面に選択的
に形成し、このフォトレジスト膜1103をマスクとし
て低濃度のn型不純物を導入する。その結果、結晶質S
i薄膜1122、1123、1124がn-結晶質Si
薄膜へと転換される。なお、n型不純物の導入は、PH
3 +およびH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって
達成される。
【0363】つぎに、図107に示すように、フォトレ
ジスト膜1104を試料の上面に選択的に形成する。フ
ォトレジスト膜1104は、結晶質Si薄膜1121を
露出させるとともに、結晶質Si薄膜1122、112
3、1124を覆うように形成される。その後、このフ
ォトレジスト膜1104をマスクとして、比較的濃度の
低いp型不純物を導入する。その結果、結晶質Si薄膜
1121がp-結晶質Si薄膜へと転換される。なお、
p型不純物の導入は、B26 +およびH2 +のイオンを上
方から打ち込むことによって遂行される。
【0364】つぎに、図108に示すように、フォトレ
ジスト膜1105を試料の上面に選択的に形成する。こ
のフォトレジスト膜1105は、結晶質Si薄膜112
1の全体、および、結晶質Si薄膜1122のn+領域
1065bに相当する領域を除く部分を覆うように形成
される。また、結晶質Si薄膜1093のn+領域10
62bに相当する部分では、絶縁膜1068が選択的に
除去される。
【0365】その後、フォトレジスト膜1103をマス
クとして、高濃度のn型不純物を導入する。その結果、
結晶質Si薄膜1093が、n+領域1062bとn-
域1062aとから成るコレクタ層1062へと転換さ
れるとともに、結晶質Si薄膜1122がn+領域11
65bとn-領域1065aとから成るベース層106
5へと転換される。また同時に、結晶質Si薄膜112
3、1124がそれぞれ、n+結晶質Siで構成される
容量電極1073およびゲート電極1074へと転換さ
れる。
【0366】さらに、結晶質Si薄膜1124がマスク
として機能することによって、チャネル領域1071
b、および、n+結晶質Siで構成されるソース領域1
071a、ドレイン領域1071cを有する結晶質Si
薄膜1071が、自己整合的に形成される。その後、フ
ォトレジスト膜1103は除去される。なお、n型不純
物の導入は、PH3 +およびH2 +のイオンを上方から打ち
込むことによって達成される。
【0367】つぎに、図109に示すように、フォトレ
ジスト膜1106を試料の上面に選択的に形成する。こ
のフォトレジスト膜1106は、ベース層1065の全
体、結晶質Si薄膜1121のp+領域1064bに相
当する領域を除く部分、結晶質Si薄膜1071、容量
電極1073、および、ゲート電極1074を覆うよう
に形成される。また、結晶質Si薄膜1094のn+
域1063bに相当する部分では、絶縁膜1068が選
択的に除去される。
【0368】その後、フォトレジスト膜1106をマス
クとして、高濃度のp型不純物を導入する。その結果、
結晶質Si薄膜1094が、p+領域1063bとp-
域1063aとから成るコレクタ層1063へと転換さ
れるとともに、結晶質Si薄膜1121がp+領域11
64bとp-領域1064aとから成るベース層106
4へと転換される。その後、フォトレジスト膜1106
は除去される。なお、p型不純物の導入は、B26 +
よびH2 +のイオンを上方から打ち込むことによって遂行
される。
【0369】つぎに、図110に示すように、試料の上
面全体にSiO2が堆積される。その後、ベース層10
64および1065の上面の一部において、このSiO
2堆積層に選択的に開口部が設けられることによって、
絶縁層1076が形成される。つづいて、再度装置10
0を用いて、試料の上面に結晶質Si薄膜1125を形
成する。結晶質Si薄膜1125は、絶縁層1076に
設けられた開口部を通じてベース層1064および10
65に接続される。
【0370】つぎに、図111に示すように、最上層の
結晶質Si薄膜1125に、選択的エッチングを施すこ
とによって、結晶質Si薄膜1125をエミッタ層10
66、1067、および信号線1075の形状に成型す
る。
【0371】つぎに、図112に示すように、フォトレ
ジスト膜1107を試料の上面に選択的に形成する。こ
のフォトレジスト膜1107は、結晶質Si薄膜112
5の中で、エミッタ層1067に相当する部分を覆うよ
うに形成される。その後、このフォトレジスト膜110
7をマスクとして、高濃度のn型不純物を導入する。そ
の結果、n+結晶質Siで構成されるエミッタ層106
6および信号線1075が形成される。その後、フォト
レジスト膜1107は除去される。なお、n型不純物の
導入は、PH3 +およびH2 +のイオンを上方から打ち込む
ことによって達成される。
【0372】つぎに、図113に示すように、フォトレ
ジスト膜1108を試料の上面に選択的に形成する。こ
のフォトレジスト膜1108は、結晶質Si薄膜112
5の中で、エミッタ層1067に相当する部分を露出さ
せるとともに、既に形成されたエミッタ層1066およ
び信号線1075を覆うように形成される。その後、こ
のフォトレジスト膜1108をマスクとして、高濃度の
p型不純物を導入する。その結果、p+結晶質Siで構
成されるエミッタ層1067が形成される。その後、フ
ォトレジスト膜1108を除去することによって、図1
00に示したLCD1050が完成する。なお、p型不
純物の導入は、B26 +およびH2 +のイオンを上方から
打ち込むことによって遂行される。
【0373】以上のように、この製造方法ではバイポー
ラ型のTFT1053、1054を備える駆動回路と、
画素電極を直接駆動するMOS型のTFT1052と
を、共通のガラス基板701の上に形成することが可能
である。しかも、バイポーラトランジスタを含めて、各
TFTの能動層は結晶質Si薄膜で構成されるととも
に、ガラス基板701の上に、あたかもアモルファスS
i薄膜を形成するように容易に形成される。しかも、以
上の説明から解るように、すべての工程が300゜C以
下の処理温度のもとで遂行される。したがって、ガラス
基板701として、安価な並板ガラスあるいは耐熱樹脂
等も使用可能である。
【0374】また、装置100を用いて、各結晶質Si
薄膜を形成する際にビームを複数方向から照射すること
によって、それらの結晶質Si薄膜は、容易に単結晶の
Si薄膜として得られる。このとき、各TFTの特性は
移動度、その他の点において最も優れたものとなる。し
かも、従来実現不能であった単結晶TFTを有する透過
型のLCDが実現する。
【0375】さらに、バイポーラトランジスタ型のTF
T1053、1054を製造する工程と、MOS型のT
FT1052を製造する工程とを組み合わせることによ
って、BiMOS型のTFTで構成される駆動回路をガ
ラス基板701の上に形成することも可能である。
【0376】<B-21.第21実施例>つぎに第21実施
例について説明する。バイポーラトランジスタ、あるい
はBiMOS(バイポーラトランジスタとMOSトラン
ジスタとが組み合わされたトランジスタ)は、結晶質S
iの下地層に拡散層が形成されていて、その上に新たな
結晶質Si薄膜が形成された構造を有する場合がある。
この実施例は、このような構造を形成するための方法に
関するものである。
【0377】図114および図115は、この実施例の
方法を示す製造工程図である。この方法を実施するに
は、まず図114に示すように、下地層としての結晶質
Si基板1131の上に、フォトレジスト膜1133を
選択的に形成し、その後、フォトレジスト膜1133に
設けられた開口部を通じて、下地層1131の上面にn
型不純物を選択的に導入することによって、拡散層11
32を形成する。その後、フォトレジスト膜1133を
除去する。
【0378】つぎに、図115に示すように、装置10
0を用いて、拡散層1132が作り込まれた下地層11
31の上面に新たな結晶質Si薄膜1134を形成す
る。以上の工程によって、拡散層1132を有する下地
層1131の上に、新たな結晶質Si薄膜1134を形
成することが可能である。しかも、装置100が用いら
れるので、300゜C以下の比較的低温下で結晶質Si
薄膜1134が形成されるので、拡散層1132の熱拡
散の影響を考慮する必要がない。また、結晶質Si薄膜
1134の形成に要する期間も3〜4時間程度でよく、
従来のエピタキシャル成長における約20時間の処理時
間が大幅に短縮される。
【0379】<B-22.第22実施例>図116は、画素
電極へ制御された電流を画素電極へ供給するTFTを駆
動する駆動回路の回路構成の一例を示す回路図である。
この駆動回路1140は、電流増幅ブロック1141、
ホールドブロック1142、および、フィードバックブ
ロック1143が縦続接続されて成る。電流増幅ブロッ
クでは、入力端子1151に入力される画像信号が、入
力端子1152、1153に入力されるサンプリングク
ロックに同期してサンプリングされるとともに、サンプ
リングされた画像信号が、相補的に組み合わされたトラ
ンジスタ1154、1155で構成される初段の増幅器
と、同じく相補的に組み合わされたトランジスタ116
1、1162で構成される第2段の増幅器とによって、
電流増幅される。電流増幅された画像信号はホールドブ
ロック1142へと入力される。
【0380】電流増幅ブロック1141において、画像
信号のサンプリングは、入力端子1152、1153に
入力されたサンプリングクロックに同期してオン・オフ
動作を行うスイッチ回路1156、1157によって行
われる。また、スイッチ回路1156、1157がオン
したときには、トランジスタ1154、1155には、
それぞれ電流源1158、1159から一定の直流電流
が供給される。
【0381】ホールドブロック1142は、電流増幅器
1164とその入力端子に介挿される保持容量1163
とを備えている。このため、電流増幅ブロック1141
から送出される画像信号が、サンプル周期に相当する一
定期間にわたって保持される。保持された画像信号は、
最終段のフィードバックブロック1143へと入力され
る。
【0382】フィードバックブロック1143は、相補
的に組み合わされたトランジスタ1165、1166
と、これらに一定電流を供給する電流源1167、11
68とを備えている。各トランジスタ1165、116
6のエミッタ電極には、フィードバック線1171、1
172の一端が接続され、それらの他の一端はトランジ
スタ1161、1162のベース電極へと接続されてい
る。すなわち、フィードバックブロック1143は、ホ
ールドブロックが出力する画像信号を電流増幅するとと
もに、電流増幅ブロックへと画像信号を帰還させる(フ
ィードバックする)機能を果たしている。
【0383】駆動回路1140を構成するバイポーラト
ランジスタ等の各素子は、TFTとしてガラス基板の上
に形成される。第20実施例のバイポーラ型のTFT1
162、1163は、例えば、この駆動回路1140に
おける最終段のトランジスタ1165、1166に相当
する。第20実施例で例示したように、バイポーラ型の
トランジスタを構成要素とするこの駆動回路1140
と、画素電極へ制御された電流を直接供給するMOS型
のTFTとを、同一の製造工程を実施する中で、共通の
ガラス基板の上に形成することが可能である。そうする
ことによって、LCDとしての特性の向上とともに、製
造工程の簡略化が実現する。
【0384】<B-23.第23実施例>バイポーラTFT
あるいはBiMOS型のTFTとMOSTFTとを同一
の基板の上に形成する方法を用いて、LCDだけでなく
種々の半導体装置を製造することができる。ここでは、
その2つの例を挙げる。
【0385】<B-23-1.例の1>図117は、テレビジ
ョン装置、VTR(ビデオテープレコーダ)装置、ある
いは、各種通信機器の復調回路のブロック図である。こ
の復調回路1180は、高周波(RF)を受信するとと
もに中間周波(IF)へと変換するRF回路1181、
中間周波を検波することによって映像信号を取り出すI
F回路、および、取り出された映像信号に処理を施す信
号処理回路1183を備えている。そして、RF回路1
181は高速応答性に優れたGaAs半導体素子で構成
され、IF回路1182はSiを母材とするバイポーラ
トランジスタで構成され、さらに、デジタル信号を処理
する信号処理回路1183は、Siを母材とするCMO
Sトランジスタで構成されている。
【0386】図118は、RF回路1181に用いられ
るHEMT1190の正面断面図である。このHEMT
1190は、絶縁基板1191の上に、薄膜状に真性の
(i型の)GaAs層1192、同じく真性のAlx
1-xAs層1193、および、n型のAlxGa1-x
s層1194が順に積層されており、最上層のAlx
1-xAs層1194の上面に、ソース電極1195、
ゲート電極1196、およびドレイン電極1197が形
成されている。なお、絶縁基板1190は、例えばガラ
ス基板であってもよく、また、Si基板であってもよ
い。
【0387】第A−8項において例示したように、装置
100を用いることによって、GaAsなどのSi以外
の結晶質薄膜を形成することができる。したがって、装
置100を用いることによって、HEMT1190を絶
縁基板1191の上に容易に形成することが可能であ
る。また、第20実施例〜第21実施例で例示した製造
方法を用いることによって、バイポーラ型トランジスタ
とMOS型トランジスタが混在した装置を共通の基板の
上に形成することも可能である。したがって、装置10
0を用いることによって、復調回路1180を、共通の
基板の上に形成すること、すなわちシングルチップの形
で構成することができる。共通の基板は、ガラス基板で
あってもよく、Siなどの半導体基板であってもよい。
【0388】<B-23-2.例の2>図119は、非接触型
のICカード用LSIのブロック図である。このICカ
ード用LSI1200は、検波回路1202および信号
処理回路1203を備えている。検波回路1202は、
アンテナ1201で受信された電波を検波することによ
って通信信号を取り出す働きをなす。信号処理回路12
03は、取り出された通信信号に所定の処理を施した上
で、RAMなどのメモリ1203へ格納する。
【0389】検波回路1202はSiを母材とするバイ
ポーラトランジスタで構成され、さらに、デジタル信号
を処理する信号処理回路1203は、Siを母材とする
CMOSトランジスタで構成されている。このようにバ
イポーラ型トランジスタとMOS型トランジスタが混在
したカード用LSIを、第20実施例で例示した方法を
用いることによって、共通の基板の上に形成すること、
すなわちシングルチップの形で構成することが可能であ
る。共通の基板は、ガラス基板であってもよく、Si基
板であってもよい。
【0390】<B-24.変形例> (1)例えばTFT54の能動層131には結晶質Si
の代わりに、例えばGaAs、GaNなど、他の結晶質
半導体を用いてもよい。この場合にも、結晶質Siを用
いた場合と同様の効果を奏する。すなわち高画質と低価
格との双方を実現することができる。他の実施例におい
ても同様である。
【0391】(2)結晶質のSi薄膜を形成する際に、
ECRイオン源の代わりに、ケージ型、カウフマン型等
の他のイオン源を用いてもよい。このときには、イオン
流の経路に、イオンを中性化することによってイオン流
を原子流へと転換する手段を設置することが望ましい。
【0392】(3)また、ECRイオン源の代わりに、
中性の原子流、あるい中性のラジカル流を発生するビー
ム源を使用してもよい。このような中性の原子流、ラジ
カル流を発生するビーム源がすでに市販されている。
【0393】(4)例えば結晶質Si薄膜217、22
1、215を単結晶として形成する際に、一方向からの
ビーム照射によってまず(軸配向)多結晶として形成
し、その後、複数方向からのビーム照射を行って単結晶
化してもよい。このとき、単結晶化が仮に十分に行われ
なくても、これらの薄膜において、少なくとも軸配向多
結晶に相当する特性が保証されるという利点がある。ま
た、多結晶層を形成する際におけるビーム照射の方向
と、この多結晶層を単結晶層へと転換する際におけるビ
ーム照射の複数方向の1つとを、互いに同一にするとさ
らに望ましい。この場合には、単結晶化に際して共通の
照射方向に垂直な最稠密面の方向は維持されるので、単
結晶化が円滑に進行する。
【0394】
【発明の効果】第1の発明の装置では、画素電極と信号
線とが異なる層に設けられているので、それらの間のク
ロストークを抑えつつ画素密度を高めることが可能であ
る。すなわち品質の高い画像が得られる。
【0395】第2の発明の装置では、画素電極と信号線
との間に一定電位を印加可能な導電性薄膜が設けられて
いるので、画素電極と信号線の間のクロストークがさら
に効果的に抑えられる。
【0396】第3の発明の装置では、導電性薄膜がシリ
サイドなどの半導体金属化合物層を有するので、その抵
抗が低く、クロストーク低減効果が一層高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各実施例で用いられる単結晶薄膜形成装置の
正面断面図である。
【図2】 図1の装置で用いられる反射板の一例を示す
斜視図である。
【図3】 図1の装置で用いられる反射板の一例を示す
三面図である。
【図4】 各実施例で用いられるもう一つの単結晶薄膜
形成装置の正面断面図である。
【図5】 第1実施例の装置の斜視図である。
【図6】 第1実施例の装置の部分正面断面図である。
【図7】 第1実施例の装置の平面図である。
【図8】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図9】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図10】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図11】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図12】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図13】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図14】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図15】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図16】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図17】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図18】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図19】 第1実施例の装置の製造工程図である。
【図20】 第2実施例の装置の平面図である。
【図21】 第2実施例の装置の正面断面図である。
【図22】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図23】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図24】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図25】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図26】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図27】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図28】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図29】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図30】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図31】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図32】 第2実施例の装置の製造工程図である。
【図33】 第3実施例の装置の正面断面図である。
【図34】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図35】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図36】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図37】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図38】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図39】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図40】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図41】 第3実施例の装置の製造工程図である。
【図42】 第4実施例の装置の正面断面図である。
【図43】 第5実施例の装置の正面断面図である。
【図44】 第6実施例の装置の正面断面図である。
【図45】 第7実施例の装置の正面断面図である。
【図46】 第8実施例の説明図である。
【図47】 第9実施例の装置の回路図である。
【図48】 第9実施例の装置の正面断面図である。
【図49】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図50】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図51】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図52】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図53】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図54】 第9実施例の装置の製造工程図である。
【図55】 第10実施例の装置の正面断面図である。
【図56】 第10実施例の装置の製造工程図である。
【図57】 第10実施例の装置の製造工程図である。
【図58】 第11実施例の装置の正面断面図である。
【図59】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図60】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図61】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図62】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図63】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図64】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図65】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図66】 第11実施例の装置の製造工程図である。
【図67】 第12実施例の装置の部品配置図である。
【図68】 第13実施例の装置の部品配置図である。
【図69】 第14実施例の装置の部品配置図である。
【図70】 第14実施例の装置の平面図である。
【図71】 第14実施例の装置の正面断面図である。
【図72】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図73】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図74】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図75】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図76】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図77】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図78】 第14実施例の装置の製造工程図である。
【図79】 第15実施例の装置の平面図である。
【図80】 第16実施例の装置の平面図である。
【図81】 第16実施例の装置の正面断面図である。
【図82】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図83】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図84】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図85】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図86】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図87】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図88】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図89】 第16実施例の装置の製造工程図である。
【図90】 第16実施例の装置の説明図である。
【図91】 第17実施例の装置の正面断面図である。
【図92】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図93】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図94】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図95】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図96】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図97】 第17実施例の装置の製造工程図である。
【図98】 第19実施例の装置の正面断面図である。
【図99】 第19実施例の装置の説明図である。
【図100】 第20実施例の装置の正面断面図であ
る。
【図101】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図102】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図103】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図104】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図105】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図106】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図107】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図108】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図109】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図110】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図111】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図112】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図113】 第20実施例の装置の製造工程図であ
る。
【図114】 第21実施例の製造方法を示す製造工程
図である。
【図115】 第21実施例の製造方法を示す製造工程
図である。
【図116】 第22実施例の装置の回路図である。
【図117】 第23実施例の装置のブロック図であ
る。
【図118】 第23実施例の装置の正面断面図であ
る。
【図119】 第23実施例のもう一つの装置のブロッ
ク図である。
【図120】 従来の液晶表示装置の回路図である。
【図121】 第1従来例の装置の正面断面図である。
【図122】 第1従来例の装置の製造工程図である。
【図123】 第1従来例の装置の製造工程図である。
【図124】 第1従来例の装置の製造工程図である。
【図125】 第2従来例の装置の正面断面図である。
【図126】 第3従来例の装置の正面断面図である。
【図127】 第4従来例の装置の回路図である。
【図128】 第4従来例の装置の正面断面図である。
【図129】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図130】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図131】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図132】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図133】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図134】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図135】 第4従来例の装置の製造工程図である。
【図136】 第5従来例の装置の平面図である。
【図137】 第6従来例の装置の平面図である。
【図138】 第7従来例の装置の平面図である。
【図139】 第7従来例の装置の部分切断平面図であ
る。
【図140】 第8従来例の装置の説明図である。
【図141】 第8従来例の装置の特性を示すグラフで
ある。
【図142】 第9従来例の装置の正面断面図である。
【図143】 第9従来例の装置の平面図である。
【符号の説明】
53 液晶素子 54、403、405、700、730、750、77
0、801、802、830、980a、980b、1
010、1055、1052 TFT(薄膜トランジス
タ) 790、970、1053、1054 TFT(駆動回
路素子) 111、701 ガラス基板(透明基板) 112、796、883、951、992、1036、
1045 画素電極115 液晶 131、411、431、710、760、791、8
03、804、710、882、952、963、96
4、1020、1040、1062、1063、106
4、1065、1066、1067、1071 能動層 133、134、413、433、703、733、7
53、773、792、805、806、833、84
2、843、844、886、894、956、97
6、977、978、1012、1072、1073
ゲート電極(制御電極) 213 気体ビーム(気体のビーム) 303 駆動回路 862、941、943、953 走査線 872、942、944、954、1033 信号線 1031 シールド電極(導電性薄膜) 1132 埋込み層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性の基板の上に複数の液晶素子と
    当該複数の液晶素子を個別に駆動する複数の薄膜トラン
    ジスタとがマトリクス状に配列され、行方向に配列する
    前記薄膜トランジスタの制御電極同士が導電性の走査線
    で接続され、列方向に配列する前記薄膜トランジスタの
    主電極同士が導電性の信号線で接続されたアクティブマ
    トリクス型の液晶表示装置であって、 前記液晶素子が画素電極を有しており、 当該画素電極と前記信号線とが前記基板の上において互
    いに異なる層に設けられていることを特徴とする液晶表
    示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液晶表示装置であっ
    て、 前記信号線と前記画素電極との間の層において、当該信
    号線と当該画素電極との間の境界を覆うように導電性薄
    膜が設けられており、 しかも、当該導電性薄膜には一定の電位を印加可能であ
    ることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の液晶表示装置であっ
    て、 前記導電性薄膜が、半導体金属化合物層を有することを
    特徴とする液晶表示装置。
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