JP2003176429A - インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物およびインクジェット記録方法

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JP2003176429A
JP2003176429A JP2002033982A JP2002033982A JP2003176429A JP 2003176429 A JP2003176429 A JP 2003176429A JP 2002033982 A JP2002033982 A JP 2002033982A JP 2002033982 A JP2002033982 A JP 2002033982A JP 2003176429 A JP2003176429 A JP 2003176429A
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JP2002033982A
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Tei Daimatsu
禎 大松
Masaki Noro
正樹 野呂
Keiichi Tateishi
桂一 立石
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】取り扱い性、臭気および安全性等の点から有利
な水性インクを用いて、吐出安定性が高く、発色が良
く、しかも得られる画像の色相、保存性、安定性および
耐水性に優れ、細線の滲みなどが改善された高画質の画
像が得られ、長期間あるいは過酷な条件下に経時しても
これらの優れた性能が低下しないインク組成物およびこ
のインク組成物を用いたをインクジェット記録方法を提
供する。 【解決手段】酸化電位が1.0V(vs SCE)より
も貴であるフタロシアニン染料が水性媒体中に溶解また
は分散しており、かつ特定構造の含窒素化合物を含有し
ているインク組成物およびこのインク組成物を用いたイ
ンクジェット記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録画像の品質が
高く、吐出安定性に優れ、しかも得られた画像の保存性
が優れたインク組成物及びこのインク組成物を用いたイ
ンクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューターの普及に伴いイン
クジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、
フィルム、布等に印字するために広く利用されている。
インク組成物は油性、水性、固体状インクが知られてい
るが、製造、取り扱い性、臭気、安全性等の点から水性
インクが主流となっている。しかしながら、多くの水性
インクは分子状態で溶解する水溶性染料を用いているた
め、透明性、色濃度が高いという利点を有するものの、
耐水性が悪くいわゆる普通紙に印字すると滲み(ブリー
ド)を生じ著しい印字品質の低下や、更に耐光性、耐酸
化性ガス(SOx、NOx、オゾン等)性などの画像保存
性が著しく悪いという欠点を有していた。
【0003】上記欠点を改良するために顔料や分散染料
を用いた水性インクが種々提案されている。例えば特開
昭56−157468号公報、特開平4−18468号
公報、特開平10−110126号公報、特開平10−
195355号公報に記載されている。これらの方法に
よって耐水性は改良されるものの完全ではなく、特に顔
料インクの場合は染料インクに比べ発色が劣ること、分
散物の保存安定性に欠けるため吐出口での目詰まりを起
こしやすいなどの欠点を有していた。また、分散染料を
用いた場合は透明性や色濃度の点では水溶性染料と同等
であるが、画像保存性について水溶性染料に比較して大
きく良化することはなかった。
【0004】また特開昭58−45272号公報ではウ
レタンポリマーラテックス粒子に染料を内包させる方法
が提案されているが、所望の濃度に染料を内包すると分
散安定性に優れた着色粒子が得にくいという欠点を有し
ていた。更に、特開平10−279873号公報にはア
クリル系ポリマーと油溶性染料を有機溶媒に溶かし、分
散後有機溶媒を除去することで着色ポリマー微粒子を作
る方法が開示されているが、記録画像品質、特に写真画
質用の紙媒体に記録した際の品質や連続記録における安
定性に問題があった。一方、特公平5−76977号公
報には、有機溶媒に油溶性染料を溶解し分散させたイン
ク組成物が開示されているが、ここで規定された有機溶
媒は一般に油溶性染料との相溶性が不充分なために記録
濃度が低く、場合によっては保存中に染料が析出しノズ
ルの目詰まりの原因となる事が明らかになった。
【0005】耐水性、発色、画像保存性を並立させる方
法として、特開平2−16171号公報では発色および
画像保存性に優れる染料を用いることが提案されている
が、色調の不十分さによって色再現性が十分でなく、ま
た得られる画像の保存安定性についても十分ではなかっ
た。また、画像保存性を改良するために、特開平1−1
70674号公報には紫外線吸収剤及び/または酸化防
止剤を含有したインクジェット用記録液が開示されてい
る。しかし、耐光性の点で十分とは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況におい
て、耐水性、発色、画像保存性を並立させる方法とし
て、発色、画像保存性に優れる染料と、更にその染料に
対して画像堅牢性を十分に改良しうる退色防止剤を併用
したインクを使用することで、画質が良く、耐水性と画
像保存性についても十分に優れる画像を得る技術が望ま
れていた。本発明の目的は、取り扱い性、臭気および安
全性等の点から有利な水性インクを用いて、吐出安定性
が高く、発色が良く、しかも得られる画像の色相、保存
性、安定性および耐水性に優れ、細線の滲みなどが改善
された高画質の画像が得られるインク組成物を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、長期間あるいは過酷
な条件下で経時しても、吐出安定性が高く、色相、保存
性、安定性、耐水性や画質面での性能の低下がないイン
ク組成物を提供することである。さらに本発明の他の目
的は、上記諸特性に優れたインク組成物を用いたインク
ジェット記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成のインク組成物およびインクジェット記録方法に
より達成される。 1.酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であ
るフタロシアニン染料が水性媒体中に溶解または分散し
ており、かつ下記一般式(I)で表される化合物を含有
することを特徴とするインク組成物。一般式(I)
【0008】
【化5】
【0009】上記一般式(I)中:R101およびR
102は、各々独立して、水素原子、脂肪族基、芳香族
基、複素環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、
芳香族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、芳香
族スルホニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル
基、または置換もしくは無置換のチオカルバモイル基を
表す。R103は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、脂肪
族オキシ基、芳香族オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チ
オ基、アシルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ
基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、置換もしくは無
置換のアミノ基、またはヒドロキシ基を表す。R101
102、R102とR103、R103とR101は、互いに結合
し、5〜7員環を形成してもよい。 2.前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式
(IA)または下記一般式(IB)で表される化合物で
あることを特徴とする上記1に記載のインク組成物。
【0010】
【化6】
【0011】上記一般式(IA)および一般式(IB)にお
いて、R101、R102及びR111〜R1 13は、各々独立し
て、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル
基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニ
ル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、置換
もしくは無置換のカルバモイル基、または置換もしくは
無置換のチオカルバモイル基を表す。 3.フタロシアニン染料が、下記一般式(A−I)で表
される染料であることを特徴とする上記1または2に記
載のインク組成物。
【0012】
【化7】
【0013】一般式(A−I)中:X1、X2、X3およ
びX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、
−SO2NR12およびスルホ基から選択される基を表
す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置
換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無
置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無
置換のヘテロ環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立
に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換
もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置
換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無
置換のヘテロ環基を表す。ただしR1、R2の両方が水素
原子であることはない。Mは、水素原子、金属元素、金
属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表
す。Y1、Y2、Y3およびY4は、それぞれ独立に、水素
原子または一価の置換基を表す。a1〜a4、b1〜b
4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表し、それぞれ独立
に、0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2
以上である。 4.フタロシアニン染料が、一般式(A−II)で表され
る染料であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに
記載のインク組成物。
【0014】
【化8】
【0015】一般式(A−II)中:X11〜X14、Y11
18およびMは、一般式(A−I)の中のX1〜X4、Y
1〜Y4、Mとそれぞれ同義である。a11〜a14は、それ
ぞれ独立に、1または2の整数を表す。 5.インクジェット記録に用いられることを特徴とする
上記1〜4のいずれかに記載のインク組成物。 6.白色無機顔料粒子を含有する受像層を支持体上に有
する受像材料に、インク滴を記録信号に応じて吐出し
て、受像材料に画像を記録するインクジェット記録方法
であって、該インク滴が、上記1〜5のいずれかに記載
のインク組成物からなることを特徴とするインクジェッ
ト記録方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明で用いるフタロシアニン染料には、
求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、フタ
ロシアニン骨格に電子求引性基を導入して酸化電位を
1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望まし
い。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.
1V(vs SCE)よりも貴であるものがより好まし
く、1.2V(vs SCE)より貴であるものが最も
好ましい。
【0017】酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測
定することができる。この方法に関しては、例えばP.
Delahay著“New Instrumental
Methods in Electrochemis
try”(1954年 Interscience P
ublishers社刊)やA.J.Bard他著“E
lectrochemical Methods”(1
980年 JohnWiley & Sons社刊)、
藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年技報堂出版
社刊)に記載されている。
【0018】具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウム
や過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電
解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのよ
うな溶媒中に、被験試料を1×10-4〜1×10-6モル
/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや
直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル
電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位
差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト
程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロ
キノン)を入れて電位の再現性を保証することができ
る。なお、電位を一義的に規定するため、本発明では、
0.1moldm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニ
ウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中
(染料の濃度は0.001moldm-3)で直流ポーラ
ログラフィーにより測定した値(vs SCE)を染料
の酸化電位とする。
【0019】Eoxの値は試料から電極への電子の移りや
すさを表し、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほ
ど試料から電極への電子が移りにくい、言い換えれば、
酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連で
は、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより
貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位
はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンと
の反応性を下げるために、フタロシアニン骨格に電子求
引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望まし
い。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度で
あるハメットの置換基定数σp値を用いれば、スルフィ
ニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp
値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより
貴とすることができると言える。
【0020】本発明に用いるフタロシアニン染料として
は、一般式(A−I)で表されるフタロシアニン染料を
用いることが好ましい。
【0021】
【化9】
【0022】上記一般式(A−I)において、X1
2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、
−SO2−Z、−SO2NR12及びスルホ基から選択さ
れた基を表す。Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無
置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキ
ル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしく
は無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリー
ル基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好まし
く、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換
へテロ環基が最も好ましい。
【0023】R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、
置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル
基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは
無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基
を表し、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無
置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置
換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も
好ましい。ただし、R1およびR2の両方が水素原子であ
ることはない。
【0024】R1、R2およびZが表すヘテロ環基として
は、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に
縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても
非芳香族ヘテロ環であっても良い。以下に、R1、R2
よびZで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘ
テロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるもので
はなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で
置換することが可能である。 (ヘテロ環基の具体例)ピリジン、ピラジン、ピリミジ
ン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリ
ン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリ
ン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チ
オフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾー
ル、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾー
ル、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾー
ル、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジア
ゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジ
ン、チアゾリンなど。中でも、芳香族ヘテロ環基が好ま
しく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジ
ン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、
ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリ
アゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾ
ール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げら
れる。それらはさらに後述する置換基を有していてもよ
い。
【0025】Y1、Y2、Y3およびY4は、各々独立に、
水素原子または一価の置換基を表す。Y1、Y2、Y3
よびY4で表される一価の置換基としては、ハロゲン原
子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ア
ラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒド
ロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリール
アミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルア
ミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘ
テロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイ
ルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、
ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシ
ル基、またはスルホ基を挙げることができ、各々はさら
に置換基を有していてもよい。
【0026】なかでも、Y1、Y2、Y3およびY4として
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、
スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル
基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、および
スルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シ
アノ基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、
水素原子が最も好ましい。
【0027】Z、R1、R2、Y1、Y2、Y3およびY4
更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下
のような置換基を更に有してもよい。 (置換基の具体例)ハロゲン原子(例えば、塩素原子、
臭素原子)、炭素数1〜12の直鎖あるいは分岐鎖アル
キル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜1
2のアルケニル基、炭素数2〜12の直鎖あるいは分岐
鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐鎖
シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐
鎖シクロアルケニル基など(例えばメチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホ
ニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメ
チル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニ
ル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミル
フェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラ
ゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2
−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、
ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、
アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−
メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、
アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフ
ェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェ
ノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキ
シ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例
えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、ア
ルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミ
ノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ
基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、
ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイ
ド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミ
ノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミ
ノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチル
チオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基
(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オク
チルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、ア
ルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカ
ルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタン
スルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエ
ンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エ
チルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、
スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイ
ル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニル
スルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスル
ホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、ト
ルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例
えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニ
ル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラ
ゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキ
シ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフ
ェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−
ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシル
オキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ
基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェ
ニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、
トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキ
シ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フ
ェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−
スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基
(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フ
ェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−
ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノ
キシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、
フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フ
ェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例
えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、ア
セチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イ
オン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、
および4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0028】一般式(A−I)で表されるフタロシアニ
ン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有
していていることが好ましい。中でも、フタロシアニン
染料一分子中に、イオン性親水性基を少なくとも4個以
上有するものが好ましく、イオン性親水性基がスルホ基
および/またはカルボキシル基であるものが更に好まし
い。その中でもスルホ基および/またはカルボキシル基
を少なくとも4個以上有するものが特に好ましい。
【0029】a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1
4の数を表わし、それぞれ独立に0〜4の整数であ
る。また、既に定義したことから当然に、a1、b1は、
1+b1=4の関係を満たす、それぞれ独立の0〜4の
整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上とする。
特に好ましいのは、a1が1または2であり、b1が3ま
たは2である組み合わせであり、その中でもa1が1で
あり、b1が3である組み合わせが最も好ましい。
【0030】a2およびb2、a3およびb3、a4および
4の各組み合わせにおいても、a1およびb1の場合と
同様の関係であり、好ましい組み合わせも同様である。
【0031】Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、
金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
【0032】好ましいMついては、水素原子の他、金属
原子として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、P
t、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、S
n、Pb、Sb、Bi等が、酸化物として、VO、GeO等が、水酸
化物として、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が、さらに、
ハロゲン化物として、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、
FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。なかでも特に、C
u、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0033】また、L(2価の連結基)を介してPc
(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L
-M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時の
Mはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよ
い。
【0034】Lで表される2価の連結基は、オキシ基−
O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニ
ル基−SO2−、イミノ基−NH−、またはメチレン基
−CH2−が好ましい。
【0035】一般式(A−I)で表されるフタロシアニ
ン染料として特に好ましい組み合わせは以下の通りであ
る。
【0036】X1〜X4は、それぞれ独立に、−SO2
Zまたは−SO2NR12であることが特に好ましい。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無
置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル
基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは
無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール
基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その
中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置
換へテロ環基が最も好ましい。Y1〜Y4は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、
スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル
基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、および
スルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シ
アノ基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、
水素原子が最も好ましい。a1〜a4は、それぞれ独立
に、1または2であることが好ましく、特に1であるこ
とが好ましい。b1〜b4は、それぞれ独立に、3または
2であることが好ましく、特に3であることが好まし
い。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸
化物またはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが
好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。また、
一般式(A−I)で表されるフタロシアニン染料は、イ
オン性親水性基を含むことが好ましく、フタロシアニン
染料一分子中、イオン性親水性基を少なくとも4個以上
有するものがより好ましく、特に、イオン性親水性基が
スルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を少
なくとも4個以上有するものが最も好ましい。
【0037】一般式(A−I)で表される化合物の好ま
しい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも
1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より
多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより
好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が
最も好ましい。
【0038】一般式(A−I)で表されるフタロシアニ
ン染料の中でも、下記一般式(A−II)で表される構造
のフタロシアニン染料が更に好ましい。以下に本発明の
一般式(A−II)で表されるフタロシアニン染料につい
て詳しく述べる。
【0039】
【化10】
【0040】上記一般式(A−II)において、X11〜X
14、Y11〜Y18は、一般式(A−I)の中のX1〜X4
1〜Y4とそれぞれ同義であり、好ましい例も同じであ
る。また、Mは一般式(I)中のMと同義であり、好ま
しい例も同様である。
【0041】一般式(A−II)中、a11〜a14はそれぞ
れ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4
≦a11+a12+a13+a14≦6を満たすことであり、そ
の中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1
のときである。
【0042】一般式(A−II)で表されるフタロシアニ
ン染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、
以下の通りである。
【0043】X1〜X4は、それぞれ独立に、−SO2
Zまたは−SO2NR12が特に好ましい。Zは、それ
ぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換も
しくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテ
ロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換ア
リール基、置換へテロ環基が最も好ましい。R1、R
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換
のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換
もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水
素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ
環基が最も好ましい。ただし、R1、R2が共に水素原子
であることはない。Y11〜Y18は、水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ
基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバ
モイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル
基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基お
よびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。a
11〜a14は、それぞれ独立に、1または2であることが
好ましく、特に全てが1であることが好ましい。Mは、
水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または
金属ハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好まし
く、なかでも特に特にCuが最も好ましい。一般式(A−
II)で表されるフタロシアニン染料がイオン性親水性基
を含む場合には、フタロシアニン染料一分子中、イオン
性親水性基を少なくとも4個以上有するものがより好ま
しい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ
基、ホスホノ基、カルボキシル基および4級アンモニウ
ムが含まれる。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状
態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、ア
ルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイ
オン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジ
ニウムイオン)が含まれる。中でも、スルホ基およびカ
ルボキシル基が好ましい。さらに、イオン性親水性基が
スルホ基であるのが最も好ましい。
【0044】一般式(A−II)で表される化合物の好ま
しい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも
1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より
多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより
好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が
最も好ましい。
【0045】また、スルフィニル基、スルホニル基、ス
ルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニ
ンの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、σp値の合計
で1.6以上となるように導入することが好ましい。
【0046】ハメットの置換基定数σp値について若干
説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平
衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために193
5年L.P.Hammettにより提唱された経験則で
あるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメ
ット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があ
り、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことがで
きるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’
s Handbook of Chemistry」第
12版、1979年(Mc Graw−Hill)や
「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、19
79年(南光堂)に詳しい。
【0047】前記一般式(A−I)および(A−II)で
表されるフタロシアニン染料の具体例(例示化合物AI
−1〜AI−12およびAII−1〜AII−50)を下記
に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン染料は、
下記の例に限定されるものではない。
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】本発明のインク組成物は、前記フタロシア
ニン染料を好ましくは0.1〜20重量%、より好まし
くは0.2〜15重量%含有する。また、本発明のイン
ク組成物には、前記フタロシアニン染料とともにフルカ
ラーの画像を得るための色調を整えるために、他の染料
を併用してもよい。併用することができる染料の例とし
ては以下の染料を挙げることができる。
【0062】適用できるイエロー染料としては、任意の
ものを使用することができる。例えばカップリング成分
としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラ
ゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を
有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカッ
プリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有す
るアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチ
ンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフ
トキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系
染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロ
ン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アク
リジノン染料等を挙げることができる。
【0063】適用できるマゼンタ染料としては、任意の
ものを使用することができる。例えばカップリング成分
としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有す
るアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリ
ング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類
を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、ス
チリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のよ
うなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニル
メタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染
料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピ
リドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン
染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができ
る。
【0064】適用できるシアン染料としては、任意のも
のを使用することができる。例えばインドアニリン染
料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分と
してピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シ
アニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のよ
うなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェ
ニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム
染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例え
ばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール
類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ
染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができ
る。
【0065】前記の各染料は、クロモフォアの一部が解
離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈す
るものであっても良く、その場合のカウンターカチオン
はアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオ
ンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム
塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそ
れらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよ
い。
【0066】なかでも、以下のイエロー、マゼンタ、シ
アンカプラーと芳香族第一級アミン現像主薬の酸化体と
の反応により形成される染料を用いるのが好ましい。
【0067】イエローカプラー:米国特許3,933,501号明
細書、同4,022,620号明細書、同4,326,024号明細書、同
4,401,752号明細書、同4,248,961号明細書、特公昭58-1
0739号公報、英国特許1,425,020号明細書、同1,476,760
号明細書、米国特許3,973,968号明細書、同4,314,023号
明細書、同4,511,649号明細書、欧州特許249,473A号明
細書、同502,424A号明細書の式(I),(II)で表されるカプ
ラー、同513,496A号明細書の式(1),(2)で表されるカプ
ラー(特に18頁のY-28)、同568,037A号明細書のクレーム
1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号明
細書のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプ
ラー、特開平4-274425号公報の段落0008の一般式(I)で
表されるカプラー、欧州特許498,381A1号明細書の40頁
のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD-35)、同4
47,969A1号明細書の4頁の式(Y)で表されるカプラー
(特に、Y-1(17頁),Y-54(41 頁))、米国特許4,476,219
号明細書のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表され
るカプラー(特にII-17,19( カラム17),II-24(カラム1
9))。
【0068】マゼンタカプラー;米国特許4,310,619号明
細書、同4,351,897号明細書、欧州特許73,636号明細
書、米国特許3,061,432号明細書、同3,725,067号明細
書、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6
月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60-33552号公報、
同60-43659号公報、同61-72238号公報、同60-35730号公
報、同55-118034号公報、同60-185951号公報、米国特許
4,500,630号明細書、同4,540,654号明細書、同4,556,63
0号明細書、国際公開WO88/04795号明細書、特開平3-397
37号公報(L-57(11頁右下),L-68(12頁右下),L-77(13頁右
下)、欧州特許456,257号明細書の〔A-4〕-63(134頁),
〔A-4〕-73,-75(139頁)、同486,965号明細書のM-4,-6(2
6頁),M-7(27頁)、同571,959A号明細書のM-45(19頁)、特
開平5-204106号公報の(M-1)(6頁)、同4-362631号公報の
段落0237のM-22、米国特許3,061,432号明細書、同3,72
5,067号明細書に記載のカプラー。
【0069】シアンカプラー:米国特許4,052,212号明細
書、同4,146,396号明細書、同4,228,233号明細書、同4,
296,200号明細書、欧州特許73,636号明細書、特開平4-2
04843号公報のCX-1,3,4,5,11,12,14,15(14 〜16頁);特
開平4-43345号公報のC-7,10(35 頁),34,35(37頁),(I-
1),(I-17)(42 〜43頁);特開平6-67385号公報の請求項1
の一般式(Ia)または(Ib)で表されるカプラー。
【0070】次いで、一般式(I)で表される化合物に
ついて説明する。一般式(I)で表される化合物は、本
発明のインク組成物中に含有させることにより、画像堅
牢性、特に耐光性の向上に格別な効果を有するものであ
る。一般式(I)
【0071】
【化17】
【0072】一般式(I)中、R101およびR102は、水
素原子、脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、t−ブ
チル基、オクチル基、メトキシエトキシ基)、芳香族基
(例えばフェニル基、p−クロロフェニル基、ナフチル
基)、複素環基(例えば2−ピリジル基、4−ピリジル
基、1−ピペリジノ基、1−モルホリノ基)、アシル基
(例えばアセチル基、ピバロイル基、メタクリロイル
基、ベンゾイル基)、脂肪族オキシカルボニル基(例え
ばメトキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニ
ル基)、芳香族オキシカルボニル基(例えばフェノキシ
カルボニル基)、脂肪族スルホニル基(例えばメタンス
ルホニル基、ブタンスルホニル基)、芳香族スルホニル
基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホ
ニル基)、置換および無置換のカルバモイル基(例えば
カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェ
ニルカルバモイル基)、または置換および無置換のチオ
カルバモイル基(例えばチオカルバモイル基、N−メチ
ルチオカルバモイル基、N−フェニルチオカルバモイル
基)を表す。R103は、脂肪族基(例えばメチル基、エ
チル基、t−ブチル基、オクチル基、メトキシエトキシ
基)、芳香族基(例えばフェニル基、p−クロロフェニ
ル基、ナフチル基)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ
基、オクチルオキシ基)、芳香族オキシ基(例えばフェ
ノキシ基、p−メトキシフェノキシ基)、脂肪族チオ基
(例えばメチルチオ基、オクチルチオ基)、芳香族チオ
基(例えばフェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ
基)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ピバロイ
ルオキシ基、p−クロロベンゾイル基)、脂肪族オキシ
カルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ
基、オクチルオキシカルボニルオキシ基)、芳香族オキ
シカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオ
キシ基)、置換もしくは無置換のアミノ基(置換基とし
ては例えば脂肪族基、芳香族基、アシル基、脂肪族スル
ホニル基、芳香族スルホニル基等の置換したアミノ
基)、複素環基(例えば2−ピリジル基、4−ピリジル
基、1−ピペリジノ基、1−モルホリノ基)、ヒドロキ
シ基を表す。可能な場合には、R101とR102、R102
103、R103とR101は、互いに結合し、5〜7員環
(例えばピペリジン環、ピラゾリジン環)を形成しても
よい。
【0073】また、これらの置換基は更に置換されてい
てもよく、例えばハロゲン原子、アルキル基(シクロア
ルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基
(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含
む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ
基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ
環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、
アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボ
ニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシル
アミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカル
ボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、
スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホ
ニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ
基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及
びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィ
ノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフ
ィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0074】本発明の一般式(I)で表される化合物
は、特公平6−97332号公報の一般式(I)、特公平6−9
7334号公報の一般式(I)、特開平2−148037号公報の
一般式(I)、同2−150841号公報の一般式(I)、同2
−181145号公報の一般式(I)、同3−266836号公報の
一般式(I)、同4−350854号公報の一般式(IV)、同5
−61166号公報の一般式(I)等で表される化合物を包
含する。
【0075】本発明の目的を達成する観点から、一般式
(I)で表される化合物は下記一般式(IA)および(I
B)で表される化合物が好ましい。
【0076】
【化18】
【0077】一般式(IA)および(IB)において、R
101およびR102は一般式(I)で定義したものと同じで
ある。また、R111〜R113はR101と同義である。
【0078】一般式(IA)中、R101およびR102は、水
素原子、脂肪族基、または芳香族基であることが好まし
く、脂肪族基または芳香族基であることがより好まし
い。またR111とR112は、水素原子、アシル基、脂肪族
オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、スル
ホニル基、置換および無置換のカルバモイル基または置
換および無置換のチオカルバモイル基であることが好ま
しく、水素原子、アシル基、スルホニル基、置換および
無置換のカルバモイル基または置換および無置換のチオ
カルバモイル基であることがより好ましい。
【0079】一般式(IB)中、R101は、脂肪族基、芳
香族基、複素環基、アシル基、脂肪族スルホニル基また
は芳香族スルホニル基であることが好ましく、脂肪族、
複素環基、アシル基であることがより好ましい。またR
102は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であること
が好ましく、水素原子または脂肪族基であることがより
好ましい。R113は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、
複素環基またはアシル基であることが好ましく、水素原
子または脂肪族基であることがより好ましい。
【0080】一般式(IA)で表される化合物は、ヒドラ
ジン誘導体のアルキル化、アシル化、スルホニル化、ま
たはカルバモイル化などにより合成することができる。
また一般式(IB)で表される化合物は、ヒドロキシルア
ミン誘導体のアルキル化、アシル化などにより合成する
ことができる。
【0081】一般式(I)で表される化合物の具体的化
合物例を以下に示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0082】
【化19】
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】
【化22】
【0086】
【化23】
【0087】
【化24】
【0088】
【化25】
【0089】
【化26】
【0090】
【化27】
【0091】
【化28】
【0092】
【化29】
【0093】
【化30】
【0094】
【化31】
【0095】一般式(I)で表される化合物は、フタロ
シアニン染料に対して、1〜10000mol%用いら
れることが好ましく、10〜5000mol%用いられ
ることがより好ましく、20〜1000mol%用いら
れることがさらに好ましい。
【0096】本発明は、染料画像の保存性を向上させる
ために、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を
併用することができる。有機系褪色防止剤としてはハイ
ドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシ
フェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、
インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素
環類等があり、金属錯体系褪色防止剤としてはニッケル
錯体、亜鉛錯体等があり、リサーチディスクロージャー
No17643の第VIIのI乃至J項、同No15162、
同No18716の650頁左欄、同No36544の52
7頁、同No307105の872頁、同No15162に
特許が引用されている。また、特開昭62-215272号広報
の127頁から137頁に記載された代表的化合物の一般式お
よび化合物例に含まれる化合物も併用することができ
る。
【0097】これらの化合物のほかに、アルケン化合物
の米国特許第4713317号明細書の一般式(I)、ホウ素
化合物の特開平4−174430号公報の一般式(I)、エポ
キシ化合物の米国特許第5183731号明細書の一般式(I
I)、特開平8−53431号公報の一般式(S1)、ジスルフ
ィド系化合物のヨーロッパ特許271322B1号明細書の一般
式、特開平4−19736号公報の一般式(I)、(II)、
(III)、(IV)、スルフィン酸系化合物の米国特許第4
770987号明細書の一般式(1)、反応性化合物の米国特
許第5242785号明細書の一般式(I)、(II)、(II
I)、(IV)、環状リン化合物の特開平8−283279号公報
の一般式(1)で表される化合物を使用することができ
る。
【0098】また、本発明には金属錯体を使用しても良
い。金属錯体としては、ジチオレート系ニッケル錯体、
サリチルアルドキシム系ニッケル錯体等多くが知られて
おり、特公昭61−13736号公報の一般式(I)、特公昭6
1−13737号公報の一般式(I)、特公昭61−13738号公
報の一般式(I)、特公昭61−13739号公報の一般式
(I)、特公昭61−13740号公報の一般式(I)、特公
昭61−13742号公報の一般式(I)、特公昭61−13743号
公報の一般式(I)、特公昭61−13744号公報の一般式
(I)、特公平5−69212号公報の一般式、同5−88809号
公報の一般式(I)、(II)、特開昭63−199248号公報
の一般式、同64−75568号公報の一般式(I)、(I
I)、特開平3−182749号公報記載の一般式(I)、(I
I)、米国特許第4590153号明細書記載の一般式(II)、
(III)、(IV)、(V)、米国特許第4912027号明細書
記載の一般式(II)、(III)、(IV)等が使用するこ
とができる。
【0099】本発明の効果の観点から、金属錯体として
一般式(IIIA)で表される化合物が使用することがで
きる。
【0100】
【化32】
【0101】一般式(IIIA)において、R91,R92,R
93,R94は置換基を表し、R95は水素原子、脂肪族基、
芳香族基を表し、R96は水素原子、脂肪族基、芳香族
基、ヒドロキシ基を表す。Mは、Cu、Co、Ni、P
d、Ptを表す。2つのR96は互いに結合し、5〜7員
環を形成しても良く、隣接しているR91とR92、R92
93、R93とR94、R94とR95は、互いに結合し、5〜
6員環を形成しても良い。
【0102】R91,R92,R93,R94の置換基として
は、例えば脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニ
ル基、芳香族スルホニル基、アシルアミノ基等があげら
れ、R95、R96の脂肪族基としては、例えばメチル基、
エチル基、ウンデシル基等が挙げられ、芳香族基として
は例えばフェニル基が挙げられ、好ましいMとしてNi
が挙げられる。
【0103】また、前記一般式(I)の化合物は、特開
平07−104448号公報(第39欄第50行〜第7
0欄第9行)、特開平07−77775号公報(第61
欄第50行〜第62欄第49行)、特開平07−301
895号公報(第87欄第49行〜第88欄第48行)
記載のステイン防止剤、特開昭62−215272号公
報(第125頁右上欄第2行〜第127頁左下欄末
行)、特開平2−33144号公報(第37頁右下欄第
14行〜第38頁左上欄第11行)、欧州特許第035
5600A2号明細書(第85頁第22行〜第31行)
記載の紫外線吸収剤、特開平07−104448号公報
(第70欄第10行〜第71欄第2行)記載の退色防止
剤と併用することもできる。
【0104】本発明のインク組成物は、水性媒体中に前
記のフタロシアニン染料と一般式(I)で表される化合
物を溶解および/または分散させることによって作製す
ることができる。本発明における「水性媒体」とは、水
又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に
応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したも
のを意味する。
【0105】本発明において用いることができる水混和
性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−
ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキ
サノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類
(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキ
サンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサ
ントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体
(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、
エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノー
ルアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレ
ンジアミンン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレ
ンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルム
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N
−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリ
ル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水混和性有機溶
剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0106】前記フタロシアニン染料が油溶性染料の場
合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水
性媒体中に乳化分散させることによって調製することが
できる。さらに、該油溶性染料と同時に一般式(I)の化
合物を乳化分散して同一油滴中で該油溶性染料と共存し
てもよいし、別途それぞれ乳化分散した乳化物を混合し
てもよいし、一般式(I)の化合物を水性媒体中に溶解ま
たは分散させていてもよいが、該油溶性染料と同一油滴
中に共存することが好ましい。上記高沸点有機溶媒と
は、沸点は150℃以上のものを指すが、好ましくは1
70℃以上のものである。例えば、フタール酸エステル
類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ
−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス
(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又
はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフ
ェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、
ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホ
スフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、
トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフ
ェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、
2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベ
ンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシ
ル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例え
ば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチ
ルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類
(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−
アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、
コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘ
キシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸
トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラク
テート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体
(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オ
クチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有
量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エス
テル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシル
ベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類
(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、
4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカ
ルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニ
ルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、
2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、
2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類
(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニ
ルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性
染料に対して質量比で0.01〜20倍量、好ましくは
0.05〜5倍量で使用できる。これらの高沸点有機溶
媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジ
ルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホ
スフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ
ブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミ
ド)〕で使用してもよい。
【0107】本発明において用いられる高沸点有機溶媒
の前記以外の化合物例及び/またはこれら高沸点有機溶
媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,5
33,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,
594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第
3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同
第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、
同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413
号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,71
1号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,9
79号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,
422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,54
0,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,7
45,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特
許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同
第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第
509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、
同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国
特許第2,091,124A号、特開昭48-47335号、同50-26530
号、同51-25133号、同51-26036号、同51-27921号、同51
-27922号、同51-149028号、同52-46816号、同53-1520
号、同53-1521号、同53-15127号、同53-146622号、同54
-91325号、同54-106228号、同54-118246号、同55-59464
号、同56-64333号、同56-81836号、同59-204041号、同6
1-84641号、同62-118345号、同62-247364号、同63-1673
57号、同63-214744号、同63-301941号、同64-9452号、
同64-9454号、同64-68745号、特開平1-101543号、同1-1
02454号、同2-792号、同2-4239号、同2-43541号、同4-2
9237号、同4-30165号、同4-232946号、同4-346338号等
に記載されている。上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料
に対し、好ましくは質量比で0.01〜3.0倍量、よ
り好ましくは0.01〜1.0倍量で使用することがで
きる。
【0108】本発明では、油溶性染料や高沸点有機溶媒
は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の
際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を
用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で
沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒が挙げられ
る。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチ
ルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエ
チルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アル
コール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、sec−ブチルアルコール)、ケトン類
(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例
えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用
いられるが、これに限定されるものではない。
【0109】乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっ
ては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相
を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を
作るために行われる。この際、水相、油相のいずれかま
たは両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化
剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応
じて添加することができる。乳化法としては、水相中に
油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を
滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いるこ
とができる。
【0110】本発明では、乳化分散する際に、種々の界
面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アル
キル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、
アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコ
ハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
アミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオ
キシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面
活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチ
レンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(A
irProducts&Chemicals社)も好ま
しく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキ
ルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面
活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,63
6号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャー
No.308119(1989年)記載の界面活性剤とし
て挙げたものも使うことができる。
【0111】また、乳化直後の安定化を図る目的で、上
記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加すること
もできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共
重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、
ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好まし
い。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性
媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル
酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニ
ルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られ
るポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することが
できる。これらのポリマーは−SO2-、−COO-を含
有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中
に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒
の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量
%以下で用いられることがより好ましい。
【0112】乳化分散により油溶性性染料や高沸点有機
溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なの
はその粒子サイズのコントーロールである。インクジェ
ットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高める
には平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体
積平均粒子サイズで好ましくは1μm以下、より好まし
くは5〜100nmである。前記分散粒子の体積平均粒
径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光
散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の41
7〜418ページに記載されている方法を用いるなど、
公知の方法で容易に測定することができる。例えば、イ
ンク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留
水で希釈して、市販の体積平均粒子サイズ測定機(例え
ば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容
易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用
した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であ
り特に好ましい。体積平均粒径とは、粒子体積で重み付
けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒
子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の
総体積で割ったものである。体積平均粒径については
「高分子ラテックスの化学」(室井宗一著 高分子刊行
会)」119ページに記載がある。
【0113】また、粗大粒子の存在も印刷性能に非常に
大きな役割を示すことが明らかになった。即ち、粗大粒
子がヘッドのノズルを詰まらせる、あるいは詰まらない
までも汚れを形成することによってインクの不吐出や吐
出のヨレを生じ、印刷性能に重大な影響を与えることが
分かった。これを防止するためには、インクにした時に
インク1μl中で5μm以上の粒子を10個以下、1μ
m以上の粒子を1000個以下に抑えることが重要であ
る。これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の
遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これ
らの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分
散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種添加剤を加えた後、
インクカートリッジに充填する直前でもよい。平均粒子
サイズを小さくし、且つ粗大粒子を無くす有効な手段と
して、機械的な乳化装置を用いることができる。
【0114】乳化装置としては、簡単なスターラーやイ
ンペラー撹拌方式、インライン撹拌方式、コロイドミル
等のミル方式、超音波方式など公知の装置を用いること
ができるが、高圧ホモジナイザーの使用は特に好ましい
ものである。高圧ホモジナイザーは、US−45332
54号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載
されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナ
イザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイ
クロフルイダイザー(MICROFLUIDEX IN
C.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等
がある。また、近年になってUS−5720551号に
記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化
する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分
散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳
化装置の例として、DeBEE2000(BEE IN
TERNATIONAL LTD.)が挙げられる。
【0115】高圧乳化分散装置で乳化する際の圧力は5
0MPa以上であり、好ましくは60MPa以上、更に
好ましくは180MPa以上である。例えば、撹拌乳化
機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で
2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法で
ある。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、
湿潤剤や界面活性剤等の添加剤を添加した後、カートリ
ッジにインクを充填する間に再度高圧ホモジナイザーを
通過させる方法も好ましい方法である。高沸点有機溶媒
に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及
び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ま
しい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて
各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発
法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機
溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うの
が好ましい。
【0116】本発明で得られたインク組成物をインクジ
ェット記録などに用いる場合には、インクの噴射口での
乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、イン
クを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分
散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡
剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用する
ことができる。
【0117】本発明に使用される乾燥防止剤としては水
より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な
例としてはエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリ
オール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、ト
リメチロールプロパン等に代表される多価アルコール
類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エー
テル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)
エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブ
チル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエー
テル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エ
チルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルス
ルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセ
トンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合
物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリ
ン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好
ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし
2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク
中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0118】本発明に使用される浸透促進剤としてはエ
タノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)
エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキ
サンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウ
ム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を
用いることができる。これらはインク中に10〜30質
量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け
(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用す
るのが好ましい。
【0119】本発明で画像の保存性を向上させるために
使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−1856
77号公報、同61−190537号公報、特開平2−
782号公報、同5−197075号公報、同9−34
057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合
物、特開昭46−2784号公報、特開平5−1944
83号公報、米国特許第3214463号等に記載され
たベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号
公報、同56−21141号公報、特開平10−881
06号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−
298503号公報、同8−53427号公報、同8−
239368号公報、同10−182621号公報、特
表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン
系化合物、リサーチディスクロージャーNo.2423
9号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサ
ゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発
する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができ
る。
【0120】本発明に使用される防黴剤としては、デヒ
ドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウム
ピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香
酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3
−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中
に0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
尚、これらの詳細については「防菌防黴剤事典」(日本
防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載されている。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫
酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロ
ピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト
ール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベン
ゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に
0.02〜5.00質量%使用するのが好ましい。
【0121】本発明に使用されるpH調整剤は、pH調
節、分散安定性付与などの点で好適に使用することがで
き、pH4.5〜10.0となるように添加するのが好
ましく、pH6〜10.0となるよう添加するのがより
好ましい。pH調整剤としては、塩基性のものとして有
機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、
無機酸等が挙げられる。上記有機塩基としては、トリエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエ
タノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げ
られる。上記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水
酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、
水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニアなどが挙げ
られる。また、上記有機酸としては、酢酸、プロピオン
酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げ
られる。前記無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸など
が挙げられる。
【0122】本発明に使用される表面張力調整剤として
は、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が
挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては脂肪
酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキ
ルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフ
タレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることが出来、ノニ
オン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリ
ン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブ
ロックコポリマー等を挙げることが出来る。アセチレン
系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSUR
FYNOLS(AirProducts&Chemic
als社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメ
チル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキ
シド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭5
9−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディ
スクロージャーNo.308119(1989年)記載
の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。本
発明のインクの表面張力は、これらを使用してあるいは
使用しないで20〜60mN/mが好ましい。さらに2
5〜45mN/mが好ましい。
【0123】本発明に用いられるインクの粘度は30m
Pa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調
整することがより好ましいので、粘度を調製する目的
で、粘度調整剤が使用されることがある。粘度調整剤と
しては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコール
などの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げ
られる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協
会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用
ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」
(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されてい
る。
【0124】また本発明では分散剤、分散安定剤として
上述のカチオン、アニオン、ノニオン系の各種界面活性
剤、消泡剤としてフッソ系、シリコーン系化合物やED
TAに代表されるれるキレート剤等も必要に応じて使用
することができる。
【0125】本発明の画像記録方法に用いられる記録紙
及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フ
ィルムおける支持体はLBKP、NBKP等の化学パル
プ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CM
P、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等を
からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダ
ー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添
加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で
製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の
他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであ
ってもよく、支持体の厚み10〜250μm、坪量は1
0〜250g/m2が望ましい。支持体にそのまま受像
層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい
し、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレス
やアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコー
ト層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体に
は、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレン
ダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよ
い。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン
(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)で
ラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好
ましく用いられる。ポリオレフィンポリオレフィン中
に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味
付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウ
ム)を添加することが好ましい。
【0126】支持体上に設けられる受像層には、多孔質
材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には
顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好
ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリ
ン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸
アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜
鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメン
ト、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等
の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の
白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質
シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造
法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得
られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水
珪酸を使用することが望ましい。これらの顔料は2種以
上を併用してもよい。
【0127】受像層に含有される水性バインダーとして
は、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニル
アルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイ
ン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアル
キレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等
の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アク
リルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
これらの水性バインダーは単独または2種以上併用して
用いることができる。本発明においては、これらの中で
も特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニ
ルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐
剥離性の点で好適である。
【0128】受像層は、顔料及び水性バインダーの他に
媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、硬膜剤
その他の添加剤を含有することができる。
【0129】受像層中に添加する媒染剤は、不動化され
ていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤
が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤については、特
開昭48−28325号、同54−74430号、同5
4−124726号、同55−22766号、同55−
142339号、同60−23850号、同60−23
851号、同60−23852号、同60−23853
号、同60−57836号、同60−60643号、同
60−118834号、同60−122940号、同6
0−122941号、同60−122942号、同60
−235134号、特開平1−161236号の各公
報、米国特許2484430号、同2548564号、
同3148061号、同3309690号、同4115
124号、同4124386号、同4193800号、
同4273853号、同4282305号、同4450
224号の各明細書に記載がある。特開平1−1612
36号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤
を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリ
マー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、か
つ画像の耐光性が改善される
【0130】耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、
これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望まし
い。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリ
アミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロラ
イド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダル
シリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特に
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適であ
る。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の
全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜
10質量%であることが好ましい。
【0131】耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜
鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系
やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられ
る。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0132】界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、
スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界
面活性剤については、特開昭62−173463号、同
62−183457号の各公報に記載がある。界面活性
剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機
フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機
フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル
状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素
化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。
有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053
号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同6
2−135826号の各公報に記載がある。
【0133】硬膜剤としては特開平1−161236号
公報の222頁に記載されている材料等を用いることが
出来る。
【0134】その他の受像層に添加される添加剤として
は、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、
防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられ
る。尚、受像層は1層でも2層でもよい。
【0135】記録紙及び記録フィルムには、バックコー
ト層を設けることもでき、この層に添加可能な成分とし
ては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げ
られる。バックコート層に含有される白色顔料として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サ
チンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシ
ウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダ
ルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化
アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水
ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム
等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメン
ト、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレ
ン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有
機顔料等が挙げられる。
【0136】バックコート層に含有される水性バインダ
ーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレ
ン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオ
ン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテ
ックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が
挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分
としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐
剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0137】インクジェット記録紙及び記録フィルムの
構成層(バック層を含む)には、ポリマー微粒子分散物
を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定
化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような
膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物
については、特開昭62−245258号、同62−1
36648号、同62−110066号の各公報に記載
がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマ
ー微粒子分散物を媒染剤を含む層に添加すると、層のひ
び割れやカールを防止することができる。また、ガラス
転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加
しても、カールを防止できる。
【0138】本発明では、インクジェットの記録方式に
制限はなく、公知の方式例えば静電誘引力を利用してイ
ンクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力
を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方
式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放
射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット
方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力
を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット
(登録商標))方式等に用いられる。インクジェット記
録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを
小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃
度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や
無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0139】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】(実施例1) (インクセット101の作製)下記の成分に脱イオン水
を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しなが
ら1時時間撹拌した。その後KOH 10mol/lに
て、pH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロ
フィルターで減圧濾過しライトシアン用インク液を調製
した。 (ライトシアン用インク液組成) シアン染料(AII-38) 8.75g/l ジエチレングリコール 130g/l グリセリン 150g/l トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/l 一般式(I)の化合物 (I−4) (染料に対して100mol%) 2.0g/l サーフィノール465 11.1g/l トリエタノールアミン 6.0g/l ベンゾトリアゾール 0.08g/l PROXEL XL2 1.8g/l
【0141】さらに染料種、添加剤を変えることによ
り、ライトマゼンタインク、マゼンタインク、シアンイ
ンク、イエローインク、ブラックインクを調製し、表8
に示すインクセット101を作成した。
【0142】
【表8】
【0143】
【化33】
【0144】
【化34】
【0145】次にインクセット101において、ライト
シアンおよびシアンのインク成分の内、染料の種類、一
般式(I)の化合物の種類および量を表9〜12に記載
されるようにした以外は、インクセット101の場合と
同様にして、インクセット102〜174を作製した。
なお、染料の種類を変更する場合は、添加量がインクセ
ット101に対して等モルとなるように使用した。染料
を2種以上併用する場合は等モルづつ使用し、全体の添
加モル量がインクセット101に対して等モルとなるよ
うにした。一般式(I)で表される化合物の添加量は、
染料に対するモル比を表9〜12の記載通りにした。2
種以上併用する場合もモル比が表8〜11に従うように
した。この際に、比較用のインクセットとしてインクセ
ット121、128、135、142、149、15
6、163,173,174を作製した。
【0146】
【表9】
【0147】
【表10】
【0148】
【表11】
【0149】
【表12】
【0150】次にこれらのインクセット101〜174
をインクジェットプリンターPM670C(EPSON
社製)のカートリッジに詰め、同機にて富士写真フイル
ム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに
画像を印刷し、以下の評価を行った。
【0151】1)印刷性能はカートリッジをプリンタ
ーにセットし全ノズルのからのインクの吐出を確認した
後、A4 20枚出力し、印字の乱れを評価した。 A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し B:印字の乱れのある出力が発生する C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり 2)印刷性能はカートリッジを60℃にて2日放置し
た後、印刷性能と同様の方法にて印字の乱れを評価し
た。 3)乾燥性は印刷直後に、指で触ったときの汚れを目視
にて評価した。 4)細線の滲みについては、イエロー、マゼンタ、シ
アン及びブラックの細線パターンを印字し目視にて評価
を行った。ブラックについてはシアンをベタに印字し
た後、ブラックの細線を印字し、2色の接触による滲み
の評価も行った。 5)耐水性については、得られた画像を10秒間脱イオ
ン水に浸漬した後、画像の滲みを評価した。 6)画像保存性については、シアンのベタ画像印字サン
プルを作成し、以下の評価を行った。 光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX-rite 310にて
測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像
にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した
後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率(Cf/Ci×100)
を求め評価を行った。 暗熱保存性については、80℃15%RHの条件下に
14日間、試料を保存する前後での濃度を、X-rite 31
0にて測定し、光堅牢性の評価と同様の計算方法で染料
残存率を求め評価した。 耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条
件下に試料を3日間保存する前後での濃度を、X-rite
310にて測定し染料残存率を求め評価した。 得られた結果を表13、14に示す。
【0152】
【表13】
【0153】
【表14】
【0154】<酸化電位>酸化電位の値は、本発明のフ
タロシアニン化合物を一定量(分子量に換算)秤量し
て、0.1moldm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモ
ニウムを支持電解質として含むN,N−ジメチルホルム
アミド中(色素の濃度は0.001moldm-3)で直流
ポーラログラフィーにより測定した。ポーラログラフィ
ー装置には、作用極として炭素(GC)電極を、対極と
して回転白金電極を用いて、酸化側(貴側)に掃引して
得た酸化波を直線近似してそのピーク値との交点と残余
電流値との交点の中点を酸化電位の値(vs SCE)と
した。実施例に用いたフタロシアニン化合物及び比較化
合物の測定結果を下記表15に示す。
【0155】
【表15】
【0156】表13、14に示されている結果から、一
般式(I)で表される化合物を用いた本発明のインク組
成物は、特に、光堅牢性の画像保存性に優れることが明
らかである。インクセット174と他のインクセットを
比較すると、酸化電位(vsSCE)が1.0よりも貴
であるフタロシアニン染料を用いることでオゾン耐性が
著しく向上し、さらに一般式(I)で表される化合物も
用いた本発明のインク組成物では、印刷時、高濃度でも
ノズルの目詰まりに起因するスジの発生が少なく、かつ
細線の滲みもなく、乾燥性、耐水性に優れるなど総合的
な性能に優れていることが分かる。
【0157】(実施例2)実施例1で作製した同じイン
クを、インクジェットプリンターBJ−F850(CA
NON社製)のカートリッジに詰め、同機にて画像を富
士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト
光沢紙EXにプリントし、実施例1と同様な評価を行っ
たところ、実施例1と同様な結果が得られた。
【0158】(実施例3) (インクセット201の作製)染料(AI-4)8g、ジオ
クチルスルホコハク酸5gを、高沸点有機溶媒(s−
1))6g、高沸点有機溶媒(s−2)10g、及び酢
酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液
中に500mlの脱イオン水をマグネチックスターラー
で撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を作製
した。次にこの粗粒分散物を、マイクロフルイダイザー
(MICROFLUIDEXINC)にて60MPaの
圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更に出
来上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸
エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。こうして
得られた油溶性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコ
ール140g、グリセリン64g、SURFYNOL4
65(AirProducts&Chemicals
社)7g、及び尿素等の添加剤を加えた後、脱イオン水
900mlを加え、KOH 10mol/lにてPH=
9に調整することにより表16に記載されるライトシア
ンインクを作製した。得られた乳化分散インクの体積平
均粒子サイズをマイクロトラックUPA(日機装株式会
社)を用いて測定したところ51nmであった。
【0159】さらに使用する染料種を変更し、表16に
示すインクセット201のマゼンタインク、ライトマゼ
ンタインク、シアンインク、イエローインク、ブラック
インクを作製した。
【0160】
【表16】
【0161】
【化35】
【0162】
【化36】
【0163】次にインクセット201の染料を添加モル
量がインクセット201と同量になるように表17〜1
9に示す染料に変更し(同一色インクに2種以上の染料
を併用する場合は、等モルづつ使用し、全体の添加モル
量がインクセット201に対して等モルとなるようにし
た)、一般式(I)で表わされる化合物の添加量が染料
に対するモル比で表17〜19に記載される量になるよ
うに添加し、またブラックインク中で使用する染料のう
ちのシアン染料(インクセット201の場合、ブラック
の(AI-4))は同じインクセット中のシアンインクで使用
した染料を使用し、その使用量は添加モル量がインクセ
ット201のブラックインク中のシアン染料と同量にな
るように添加する以外は、インクセット201と同様の
インクセット201〜236を作製した。さらに乳化時
の圧力を変えることにより、体積平均粒子サイズ体積を
変更したインクセット237および238を作成した。
【0164】
【表17】
【0165】
【表18】
【0166】
【表19】
【0167】<酸化電位>また、使用した染料の酸化電
位を、実施例1と同様の方法で測定したところ、下記に
示す表20のように得られた。
【0168】
【表20】
【0169】次にこれらのインクセット201〜238
をインクジェットプリンターPM670C(EPSON
社製)のカートリッジに詰め、同機にて富士写真フイル
ム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに
画像を印刷し、実施例1と同様な評価を行った。得られ
た結果を表21に示す。
【0170】
【表21】
【0171】表21に示される結果から、本発明の一般
式(I)で表される化合物を含有するインク組成物を用
いた場合、印刷性能を得られることが分かり、耐水性、
光や暗熱堅牢性に優れる。さらには、本発明の特定の酸
化電位を有するフタロシアニン染料を使用した場合、オ
ゾン耐性についても優れた性能を示すことが分かる。ま
た、本発明のインク組成物では細線を出力する際の性能
も滲みがなく優れている。
【0172】(実施例4)実施例3で作製した同じイン
クを、インクジェットプリンターBJ−F850(CA
NON社製)のカートリッジに詰め、同機にてに画像を
富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォ
ト光沢紙EXにプリントし、実施例3と同様な評価を行
ったところ、実施例3と同様な結果が得られた。
【0173】
【発明の効果】本発明のインク組成物は、取り扱い性・
臭気・安全性等の点から有利な水性インクであり、しか
も吐出安定性が高く、発色が良く、かつ得られる画像
は、色相、保存性、とりわけ光堅牢性に優れ、安定性、
耐水性にも優れ、細線の滲みなど画質についての欠点が
解消されている。さらに、本発明のインク組成物は、長
期間、あるいは過酷な条件下に経時したときでも吐出安
定性が高く、色相、保存性、安定性、耐水性や画質面で
の欠点がないインクである。また、本発明のインクジェ
ット記録方法は、本発明の上記インク組成物を用いてい
るため、上記諸特性に優れた画像が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立石 桂一 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC01 2H086 BA15 BA33 BA53 BA56 BA59 BA60 4J039 BC32 BC33 BC54 BC56 BC60 BC73 BC74 BC75 BC77 BC79 BE12 CA03 CA06 GA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化電位が1.0V(vs SCE)よ
    りも貴であるフタロシアニン染料が水性媒体中に溶解ま
    たは分散しており、かつ下記一般式(I)で表される化
    合物を含有することを特徴とするインク組成物。一般式
    (I) 【化1】 上記一般式(I)中:R101およびR102は、各々独立し
    て、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル
    基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニ
    ル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、置換
    もしくは無置換のカルバモイル基、または置換もしくは
    無置換のチオカルバモイル基を表す。R103は、脂肪族
    基、芳香族基、複素環基、脂肪族オキシ基、芳香族オキ
    シ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、アシルオキシ基、
    脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボ
    ニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基、または
    ヒドロキシ基を表す。R101とR102、R102とR103、R
    103とR101は、互いに結合し、5〜7員環を形成しても
    よい。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で表される化合物が、
    下記一般式(IA)または下記一般式(IB)で表され
    る化合物であることを特徴とする請求項1に記載のイン
    ク組成物。 【化2】 上記一般式(IA)および一般式(IB)において、
    101、R102及びR111〜R1 13は、各々独立して、水素
    原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、脂肪
    族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、脂
    肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、置換もしくは
    無置換のカルバモイル基、または置換もしくは無置換の
    チオカルバモイル基を表す。
  3. 【請求項3】 フタロシアニン染料が、下記一般式(A
    −I)で表される染料であることを特徴とする請求項1
    または2に記載のインク組成物。 【化3】 一般式(A−I)中:X1、X2、X3およびX4は、それ
    ぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1
    2およびスルホ基から選択される基を表す。ここで、
    Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無
    置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケ
    ニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もし
    くは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ
    環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、
    置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換
    のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル
    基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは
    無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基
    を表す。ただしR1、R2の両方が水素原子であることは
    ない。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水
    酸化物または金属ハロゲン化物を表す。Y1、Y2、Y3
    およびY4は、それぞれ独立に、水素原子または一価の
    置換基を表す。a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1
    〜Y4の数を表し、それぞれ独立に、0〜4の整数であ
    る。ただし、a1〜a4の総和は2以上である。
  4. 【請求項4】 フタロシアニン染料が、一般式(A−I
    I)で表される染料であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のインク組成物。 【化4】 一般式(A−II)中:X11〜X14、Y11〜Y18およびM
    は、一般式(A−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4、Mと
    それぞれ同義である。a11〜a14は、それぞれ独立に、
    1または2の整数を表す。
  5. 【請求項5】 インクジェット記録に用いられることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成
    物。
  6. 【請求項6】 白色無機顔料粒子を含有する受像層を支
    持体上に有する受像材料に、インク滴を記録信号に応じ
    て吐出して、受像材料に画像を記録するインクジェット
    記録方法であって、 該インク滴が、請求項1〜5のいずれかに記載のインク
    組成物からなることを特徴とするインクジェット記録方
    法。
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