JP2003175794A - 乗員保護装置の作動制御装置 - Google Patents

乗員保護装置の作動制御装置

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JP2003175794A
JP2003175794A JP2001377796A JP2001377796A JP2003175794A JP 2003175794 A JP2003175794 A JP 2003175794A JP 2001377796 A JP2001377796 A JP 2001377796A JP 2001377796 A JP2001377796 A JP 2001377796A JP 2003175794 A JP2003175794 A JP 2003175794A
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Takaaki Enomoto
高明 榎本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、作動条件を乗員の保護要請に応じ
て簡易且つ迅速に決定できる乗員保護装置の作動制御装
置の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明による乗員保護装置の作動制御装
置80は、車両周辺状況から自車両が衝突する可能性の
ある障害物を検出する障害物検出手段16と、上記障害
物に対する上記自車両の相対速度を算出する相対速度算
出手段18とを有し、更に、上記相対速度算出手段18
により算出された上記相対速度の値に基づいて上記乗員
保護装置52の作動条件を決定する作動条件決定手段7
0を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバック等の乗
員保護装置に係り、より詳細には、乗員保護装置の作動
を制御するための作動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、衝突時に検出される加速度セ
ンサからの加速度信号により衝突の激しさ(車両の変形
速度)を演算し、この演算結果に基づいて乗員保護装置
であるエアバックの展開圧力の大きさを設定する、車両
前部の加速度センサによる衝突初期段階の検出信号を受
けて、フロア部の加速度センサからの加速度信号に対す
る点火判定マップ閾値を下方修正する、といった特徴を
有する乗員保護装置の起動を制御する装置が知られてい
る。上記の従来の装置は、加速度センサの加速度信号に
基づいて、実際の衝突の激しさに応じた乗員保護装置の
起動出力を決定すると共に、衝突初期段階の検出により
乗員保護装置を確実に起動しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、単一の加速
度センサにより実際の衝突の激しさを精度よく検出する
ことは困難である。また、エアバックやシートベルトプ
リテンショナーのような乗員保護装置の起動判定におい
て、誤判定は許されない。それ故に、上記従来の装置の
ように、点火判定用の加速度センサとは別に、当該点火
判定用加速度センサと協働して正確な判定及び検出を行
うための判定補助用加速度センサを設ける必要があり、
その結果、コストが嵩んでしまうという問題点があっ
た。
【0004】また、実際の衝突の激しさは、一般的に、
車体の加速度伝達特性に大きく影響を受けるものであ
る。従って、衝突時に検出された加速度信号により衝突
の激しさを予測演算するためには、予め当該車体の加速
度伝達特性を予測及び確認する必要がある。このため、
各種の車体ごとに解析及び実験を行い、予測演算値を実
際の衝突の激しさに適合させる必要があり、時間と費用
を要してしまうという問題点があった。また、かかる予
測演算は複雑であり、より簡易且つ高精度に衝突の激し
さを予測できる手段に対する必要性があった。
【0005】そこで、本発明は、複雑な演算が省略さ
れ、且つ、センサの種類及び数が低減され、それ故にコ
ストが低減され、更には、信頼性が一層向上された乗員
保護装置の作動制御装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1に
記載の如く、車両周辺状況から自車両が衝突する可能性
のある障害物を検出する障害物検出手段と、上記障害物
に対する上記自車両の相対速度を算出する相対速度算出
手段とを有した、乗員保護装置の作動制御装置であっ
て、上記相対速度算出手段により算出された上記相対速
度の値に基づいて、上記乗員保護装置の起動可否、作動
出力及び起動判定閾値を含む作動条件を決定する作動条
件決定手段を更に有したことを特徴とする作動制御装置
によって達成される。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、乗員保護
装置の作動条件は衝突した際の衝突の激しさと相関する
相対速度に基づいて決定されるので、衝突の激しさに応
じた適切な作動条件を決定することができる。また、相
対速度は良好な精度で算出されるので、従来例のような
判定補助用加速度センサを必要とすることなく、信頼性
の高い乗員保護装置を実現することができる。更に、乗
員保護装置の作動条件は、予測される乗員保護の要請度
合いに応じて、相対速度に予め対応付けられることがで
きるので、複雑な演算を使用することなく、作動条件を
簡易且つ迅速に決定することができる。
【0008】更に、作動条件決定手段は、乗員保護装置
の起動を完全に禁止すべきか否かを指示する起動可否
と、乗員保護装置の起動時の出力のみならず起動中の出
力をも指示してよい作動出力と、乗員保護装置が起動す
べき衝撃加速度を指示する起動判定閾値とからなる乗員
保護装置の多様な作動条件を、相対速度に応じて各々に
決定することができる。このように多様な作動条件が各
々的確に決定されることにより、乗員保護装置は、乗員
の保護の要請に一層適合した態様で乗員を多面的に保護
できるようになる。尚、乗員保護装置の起動を禁止する
ことは、乗員保護装置に対する起動判定閾値を相当な高
い値に設定し乗員保護装置の起動を実質的に禁止せしめ
ることを含む。
【0009】また、上記目的は、請求項2に記載の如
く、請求項1記載の作動制御装置において、上記乗員保
護装置は、可逆的に作動する可逆保護装置と不可逆的に
作動する不可逆保護装置とを含んでおり、上記作動条件
決定手段は、上記可逆保護装置及び上記不可逆保護装置
の上記作動条件の上記起動可否及び/又は上記起動判定
閾値を独立に決定することを特徴とする作動制御装置に
よって達成される。
【0010】請求項2に記載の発明によれば、多様な乗
員保護装置の特性に応じて、即ち可逆性を有するか否か
に応じて、当該乗員保護装置の作動条件を各々独立に決
定することができる。これにより、例えば、衝突した際
に可逆性のない保護装置が起動すべきでないが可逆性の
ある保護装置が起動すべきである相対速度において、可
逆保護装置の起動を確保する一方で、不可逆保護装置の
起動を禁止することができる。この結果、乗員保護装置
のそれぞれの特性に応じた的確な状況での起動が、より
信頼性の高い態様で保証されるようになる。
【0011】尚、請求項2に記載の発明には、作動条件
決定手段が、究極的に「不可逆保護装置及び可逆保護装
置の作動条件のうちの一方の作動条件のみしか決定しな
い」場合も含まれる。例えば、作動条件決定手段は、あ
る相対速度で不可逆性保護装置の起動を禁止するが、可
逆性保護装置の起動については、相対速度の如何にかか
わらず禁止しない(即ち、可逆性保護装置の起動可否に
ついては、決定を一切しない)とすることもできる。
【0012】また、上記目的は、請求項3に記載の如
く、請求項1又は2記載の作動制御装置において、上記
相対速度算出は、少なくとも車両が衝突に至るまで、複
数回反復されることを特徴とする作動制御装置によって
達成される。
【0013】請求項3に記載の発明によれば、相対速度
の精度が向上するので、作動条件決定手段は、常時、衝
突直前の最も有効な相対速度を、最新且つ高精度な状態
で利用することができ、その結果、乗員保護装置の信頼
性が一層向上される。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による乗員保護装
置の作動制御装置80の一実施例を示すシステム構成図
である。本実施例のシステムは、レーダ用電子制御ユニ
ット10(以下、「レーダ用ECU10」という)と、
作動条件決定手段70とを備える。また、図1には、作
動制御装置80の作動条件決定手段70に接続され、乗
員保護装置52を制御する乗員保護装置電子制御ユニッ
ト50(以下、「乗員保護装置ECU50」という)が
示されている。
【0015】レーダ用ECU10には、例えば車両のフ
ロントグリル付近に配設されたミリ波レーダセンサ14
が接続される。ミリ波レーダセンサ14は、車両前方の
所定領域に向けてミリ波を搬送波とする電波を照射する
送信部と、前方に照射されたミリ波の反射を受信する受
信部とを備える。ミリ波レーダセンサ14は、車両前方
が所定周期で1次元的又は2次元的にスキャニングされ
るように構成される。
【0016】レーダ用ECU10の構成は、自車両の周
辺領域の障害物状況から衝突の可能性の最も高い対象物
(先行車両、後続車両、停止車両、落石、ガードレール
等)を検出する障害物検出手段16と、自車両の当該障
害物に対する相対速度を算出する相対速度算出手段18
とに機能的に区分することができる。
【0017】障害物検出手段16は、ミリ波レーダセン
サ14から供給される信号に適当な処理を施すことによ
り、自車両の周辺領域の障害物状況から危険性の最も高
い対象物を検出する機能を果たす。かかる障害物検出手
段16は、例えば特開平9−178849号に開示され
るような公知となっているアルゴリズムを使用して、衝
突する危険性の最も高い対象物を特定するものであって
もよい。
【0018】相対速度算出手段18は、ミリ波レーダセ
ンサ14のミリ波の照射波及び反射波に適当な処理を施
す等により、障害物検出手段16により検出された障害
物に対する自車両の相対速度を算出する機能を果たす。
かかる相対速度算出手段18に関しては、いわゆるドッ
プラー効果を利用する公知のアルゴリズムを使用するも
のであってよい。
【0019】乗員保護装置ECU50には、衝突を検知
する衝突検知装置51、及び衝突時に乗員を保護するた
めの乗員保護装置52が接続される。衝突検知装置51
は、実際の衝突時の衝撃加速度を検出する加速度センサ
により構成される。本実施例では、この加速度センサ
は、車両のフロア部に配設される。
【0020】車両に装備される乗員保護装置52は多岐
にわたり存在するが、可逆性のある駆動方式により起動
される可逆保護装置と、可逆性のない起動方式により起
動される不可逆保護装置とに区分できる。可逆保護装置
の代表的な例としてモータ駆動シートベルト、モータ駆
動バンパー及び電動式ニーパッドが、不可逆保護装置の
代表的な例として火薬により起動されるエアバック及び
シートベルトプリテンショナーが挙げられる。
【0021】乗員保護装置ECU50は、衝突検知装置
51が検出する衝撃加速度に対してデジタルフィルタリ
ング処理等のような適当な処理を施し、加速度信号を得
る。乗員保護装置ECU50は、この加速度信号を各々
の乗客保護装置52に対して付与される起動判定マップ
閾値と比較して、各々の乗員保護装置52を起動させる
か否かを各々独立に判定する。
【0022】図3は、起動判定マップ閾値の一実施例を
示す。図3には、3通りの起動判定マップ閾値TH1,
TH2,TH3が、加速度信号と共に示されている。乗
員保護装置ECU50は、加速度信号が起動判定マップ
閾値を超えるか否かを判定する。加速度信号が起動判定
マップ閾値を超える場合には、乗員保護装置ECU50
は、乗客保護装置52を所定の作動出力で作動させる。
【0023】ここで、衝突時に乗員が必要とする保護の
度合いに応じて、起動判定マップ閾値、作動出力、及び
起動可否を含む乗員保護装置52の作動条件を決定する
ことは有用であり、かかる作動条件決定が、簡易且つ信
頼性を有する形態で達成されることが有用である。本実
施例の特徴部である有用な作動条件決定手段70が、以
下詳細に説明される。
【0024】作動条件決定手段70は、上述したレーダ
用ECU10の相対速度算出手段18と乗員保護装置E
CU50との間に介在される。作動条件決定手段70
は、乗員保護装置52の作動条件を決定する際、衝突時
に乗員が必要とする保護の度合いに相関する相対速度を
考慮する。例えば、相対速度が非常に大きい場合には衝
突時の乗員保護の要請が高く、それ故、作動条件決定手
段70は、乗員保護装置52が比較的小さい起動判定マ
ップ閾値(例えば、図2のTH1)により比較的高い出
力で作動されるように作動条件を決定してよい。
【0025】また、作動条件決定手段70は、好ましく
は相対速度と共に乗員保護装置52の特性をも考慮し
て、多種多様な乗員保護装置52の作動条件を各々独立
に決定する。例えば、可逆保護装置は、可逆保護装置と
は対照的に、その可逆的な特性故に、相対速度が非常に
小さくなって初めて起動が禁止されてよい。一方、不可
逆保護装置は、その不可逆的な特性故に、相対速度が比
較的高くなって初めて起動の禁止が解除されてよい。
【0026】また、作動条件決定手段70は、好ましく
は相対速度と作動条件とが予め対応付けられた参照テー
ブル形式の作動条件決定テーブルを利用して、作動条件
を決定する。作動条件決定テーブルを利用することによ
って、相対速度から作動条件を一義的に導出することが
できるので、複雑な演算を用いることなく容易で且つ迅
速な決定を行うことができる。
【0027】図3は、作動条件決定テーブルの一実施例
を示す。図3において、作動条件決定テーブルで使用さ
れている6つの設定値V0,V1,V2,V3,V4,
及びV5は、0<V0<V1<V2<V3<V4<V5
なる関係を満たす。また、本実施例では、不可逆保護装
置のエアバック及びシートベルトプリテンショナーは、
「大」、「中」、「小」の3段階の拘束力で作動される
ように制御可能である。また、相対速度を示す信号は、
車両走行開始後少なくとも車両が衝突に至るまで連続的
に、作動条件決定手段70に相対速度算出手段18から
供給されている。
【0028】本実施例の作動条件決定テーブルによる
と、作動条件決定手段70は、例えば相対速度の大きさ
がV5より大きい場合、不可逆保護装置に対する点火判
定マップ閾値を初期値より下げ(例えば、図2のTH2
からTH1に変更し)且つ不可逆保護装置の拘束力を
「大」に設定するための制御信号を生成する。これによ
り、衝突時の衝撃値が所定値より大きいと予測される相
対速度においては、不可逆保護装置を確実に起動でき、
且つ、乗員を適切な拘束力により保護できるようにな
る。
【0029】同様に、相対速度の大きさがV4より大き
く且つV5より小さい場合、作動条件決定手段70は、
作動条件決定テーブルに従い、点火判定マップ閾値を初
期値より下げ且つ不可逆保護装置の拘束力を「中」に設
定するための制御信号を生成する。以下同様に、作動条
件決定手段70は、相対速度の大きさに応じて作動条件
決定テーブル中○印で指示される制御信号を生成する。
【0030】また、本実施例の作動条件決定テーブルに
おいては、相対速度の大きさが減少するにつれて、不可
逆保護装置に対する点火判定マップ閾値が上昇してい
き、不可逆保護装置の拘束力が減少していく。これは、
相対速度が減少するにつれて、不可逆保護装置の起動の
必要性が減少していくこと、及び、衝突した際に乗員を
拘束するのに必要な力が低減していくことに基づく。
【0031】相対速度が更に減少して相対速度の大きさ
がV0より大きく且つV1より小さくなるとき、不可逆
保護装置の起動が禁止される。これにより、不可逆保護
装置の不要な起動を確実に防止することができる。
【0032】但し、このとき、可逆保護装置の起動は禁
止されていない。これは、可逆保護装置は、起動された
場合であっても、起動の停止若しくは起動前の状態への
復帰が可能であること、及び拘束力が比較的小さく依然
として乗員を有効に保護できることに基づく。
【0033】相対速度が更に減少して相対速度の大きさ
が0より大きく且つV0より小さくなるとき、不可逆保
護装置の起動と同様に可逆保護装置の起動が禁止され
る。これにより、乗員が保護を一切必要としない状態で
の乗員保護装置52の起動を完全に防止することができ
る。尚、乗員保護装置52の起動を禁止するための制御
信号は、点火判定マップの閾値を相当な高い値までつり
上げることにより、起動を実質的に禁止せしめるもので
あってもよい。
【0034】図4は、乗員保護装置ECU50が行う処
理のフローチャートを示す。ステップ100では、乗員
保護装置ECU50は、作動条件決定手段70から制御
信号を受け、乗員保護装置52の作動条件を変更する。
尚、この作動条件は、作動条件決定手段70から随時供
給される制御信号に従って更新される。
【0035】ステップ101では、乗員保護装置ECU
50は、衝突検知装置51の検出結果から加速度信号を
得る。ステップ102では、乗員保護装置ECU50
は、加速度信号が起動判定マップ閾値を超えるか否かを
判定すると共に、乗員保護装置52の起動が禁止されて
いるか否かを判定する。
【0036】加速度信号が起動判定マップ閾値を超えて
いないと判定されるか、又は乗員保護装置52の起動が
禁止されていると判定されると、ステップ103に進
む。ステップ103では、乗員保護装置ECU50は、
乗員保護装置52を起動することなく、ステップ100
に戻る。
【0037】一方、加速度信号が起動判定マップ閾値を
超えたと判定され、且つ、乗員保護装置52の起動が禁
止されていないと判定されると、ステップ104に進
む。ステップ104では、乗員保護装置ECU50は、
直近に変更された作動条件の作動出力で乗員保護装置5
2を作動させる。
【0038】以上の通り、本実施例の乗員保護装置の作
動制御装置80によれば、多様な乗員保護装置52の作
動条件を、複数の加速度情報に基づく演算を用いること
なく、相対速度情報に応じた作動条件が各々に予め規定
されたルールを用いて、決定できるので、乗員保護の要
請及び乗員保護装置52の特性に応じた最適な作動条件
を決定することができると共に、簡易且つ迅速に信頼性
のある作動条件を決定することができる。
【0039】以上、本発明の好ましい実施例について詳
説したが、本発明はかかる実施例に限定されるものでな
いことは明らかである。
【0040】例えば、上記実施例において、衝突検知装
置51は、フロア部に配設され、主に正面衝突を検知す
るように構成されているが、対象となる衝突形態に対応
して異なる位置に配設されてもよい。例えば側面衝突に
対しては、衝突検知装置51はドアサイドビームに配設
される等、車両の側部に配設されてよい。
【0041】また、上記実施例において、作動条件決定
手段70が決定する「作動出力」として不可逆保護装置
の「拘束力」が例示されているが、この拘束力には、不
可逆保護装置の起動時の出力のみならず起動中の出力が
含まれてよい。例えばエアバックの拘束力は、エアバッ
クの展開時の圧力だけでなく展開後の圧力をも含んでよ
い。より具体的には、作動条件決定手段70は、エアバ
ックの展開圧力を変更すべく、起動させるインフレータ
の数を決定してもよく、或いは、エアバックの展開後で
あって乗員との衝突の過程におけるエアバック圧を変更
すべく、エアバック展開後のバックから排出されるガス
量を決定してもよい。従って、「作動出力」とは、衝突
前段階から衝突終了までにおいて何らかの形で乗員を保
護している如何なる「作動中の出力」をも含むものと解
釈されるべきである。
【0042】また、上記実施例において、作動条件決定
手段70が決定する起動判定マップ閾値は、乗員保護装
置52の起動タイミングをも調整できる閾値のパターン
を含んでよい。例えば、相対速度が大きいときには乗員
保護装置52の起動タイミングを速くするといったよう
に、適切なタイミングで起動させることができる閾値パ
ターンが相対速度に応じて予め用意されてよい。
【0043】また、上記実施例において、作動条件決定
手段70は、所与の作動条件決定テーブルを利用して作
動条件を決定するものであったが、相対速度と作動条件
との関係を定義する関数等の他の手段を利用して作動条
件を決定するものであってもよい。また、上記実施例の
作動条件決定テーブルにおいては、不可逆保護装置の拘
束力及び点火判定マップ閾値のみが決定されているが、
同様に可逆保護装置の拘束力及び/又は起動判定マップ
閾値が更に決定されてもよい。例えば、可逆保護装置の
拘束力として、モータ駆動シートベルトのシートベルト
巻き取り量若しくは作動強度が決定されてもよい。その
他、上記実施例の作動条件決定テーブルに関して種々の
変更等がなされうることは、当然に理解されるべきであ
る。
【0044】また、上記実施例において、作動条件決定
手段70は、レーダ用ECU10の相対速度算出手段1
8と乗員保護装置ECU50との間に介在されている
が、作動条件決定手段70がレーダ用ECU10若しく
は乗員保護装置ECU50に組み込まれてよいことは勿
論である。
【0045】更に、上記実施例において、作動条件決定
手段70は作動条件決定テーブルに対応した制御信号を
乗員保護装置ECU50に供給するものであったが、作
動条件決定手段70は、更新された作動条件を指示する
参照テーブルを随時作成してもよく、かかる場合、乗員
保護装置ECU50が、更新された作動条件を得るため
この参照テーブルにアクセスすることになる。
【0046】尚、特許請求の範囲に記載された「乗員保
護装置起動手段」は、上記実施例に記載された「乗員保
護装置ECU50」により実現されている。
【0047】
【発明の効果】本発明は、以上説明したようなものであ
るから、以下に記載されるような効果を奏する。請求項
1及び3記載の発明によれば、高精度に算出される相対
速度に基づいて、乗員保護装置の種々の作動条件を的確
に各々決定することで、衝突の激しさに応じて的確に乗
員を保護することができる。また、相対速度のみを使用
して作動条件を簡易且つ迅速に決定することができるの
で、コストの低減をも図ることができる。
【0048】請求項2記載の発明によれば、相対速度と
共に乗員保護装置の特性を考慮して作動条件を決定でき
るので、乗員保護の要請に最も適合された乗員保護装置
の作動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である乗員保護装置の作動制
御装置80のシステム構成図である。
【図2】起動判定マップ閾値の一実施例を示す図であ
る。
【図3】作動条件決定テーブルの一実施例を示す図であ
る。
【図4】乗員保護装置ECU50が行う処理のフローチ
ャートである。
【符号の説明】
10 レーダ用ECU 14 ミリ波レーダセンサ 16 障害物検出手段 18 相対速度算出手段 50 乗員保護装置ECU 51 衝突検知装置 52 乗員保護装置 70 作動条件決定手段 80 作動制御装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両周辺状況から自車両が衝突する可能
    性のある障害物を検出する障害物検出手段と、上記障害
    物に対する上記自車両の相対速度を算出する相対速度算
    出手段とを有した、乗員保護装置の作動制御装置であっ
    て、 上記相対速度算出手段により算出された上記相対速度の
    値に基づいて、上記乗員保護装置の起動可否、作動出力
    及び起動判定閾値を含む作動条件を決定する作動条件決
    定手段を更に有したことを特徴とする、作動制御装置。
  2. 【請求項2】 上記乗員保護装置は、可逆的に作動する
    可逆保護装置と不可逆的に作動する不可逆保護装置とを
    含んでおり、上記作動条件決定手段は、上記可逆保護装
    置及び上記不可逆保護装置の上記作動条件の上記起動可
    否及び/又は上記起動判定閾値を独立に決定することを
    特徴とする、請求項1記載の作動制御装置。
  3. 【請求項3】 上記相対速度算出は、少なくとも車両が
    衝突に至るまで、複数回反復されることを特徴とする、
    請求項1又は2記載の作動制御装置。
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Cited By (3)

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