JP2003172835A - 導波路を有する光学素子及びその製造方法 - Google Patents

導波路を有する光学素子及びその製造方法

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JP2003172835A
JP2003172835A JP2001373962A JP2001373962A JP2003172835A JP 2003172835 A JP2003172835 A JP 2003172835A JP 2001373962 A JP2001373962 A JP 2001373962A JP 2001373962 A JP2001373962 A JP 2001373962A JP 2003172835 A JP2003172835 A JP 2003172835A
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optical element
waveguide
polyimide
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Junji Nishii
準治 西井
Kenji Kanetaka
健二 金高
Seiji Kojima
誠司 小島
Takuji Hatano
卓史 波多野
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Original Assignee
Minolta Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな熱光学定数(dn/dT)を有する導波
路中に屈折率差の大きいパターンの回折格子が形成され
た光学素子と、それを高い量産性で安価に作製すること
ができる製造方法を提供する。 【解決手段】 光学素子(10)はポリイミドから成る導波
路を有し、導波路中にはポリイミドの吸収帯を長波長化
させた部分(P)が周期的に設けられることにより屈折率
変調型の回折格子(4G)が形成されている。長波長化させ
た部分(P)は光照射とそれに続く加熱処理により形成さ
れており、回折格子(4G)による波長選択的な反射により
光学素子(10)は波長選択フィルターとして機能する。ペ
ルチェ素子(13)で回折格子(4G)の温度を変化させること
により、回折格子(4G)からの反射光(DP)の波長を任意に
選択することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導波路を有する光学
素子及びその製造方法に関するものであり、例えば波長
多重光通信等に波長選択フィルター等として用いること
のできる光学素子と、その製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】様々な波長の光を導波路(光ファイバ
ー,平面導波路等)に入れて情報を伝達する波長多重光
通信においては、特定の波長の光のみを取り出すための
波長選択フィルターが必要とされる。波長選択フィルタ
ーの一例としては、紫外光照射により石英ファイバー中
に回折格子が形成された構造の光ファイバー回折格子が
知られている(応用物理:第67巻,第9号,1029
頁,1998年)。この光ファイバー回折格子のように
導波路中に回折格子が形成されたデバイスは、導波路の
屈折率,回折格子パターンの屈折率差,回折格子の格子
間隔等によって決まる波長の光を回折格子部分で選択的
に反射することができるため、波長選択フィルターとし
て機能する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記回折格子部分の波
長選択的な反射率は、回折格子パターンの屈折率差が大
きいほど高くなり、また回折格子長が長いほど高くな
る。したがって、屈折率差の大きい回折格子パターンを
形成することができれば、短い回折格子長で目的の反射
率を得ることができる。そして回折格子長が短くなれ
ば、デバイスの小型化を達成することが可能である。ま
た、温度変化による屈折率変化が大きければ、温度制御
により目的の波長を任意に選択することができる。例え
ば、導波路中に回折格子が形成されたデバイスに温度可
変素子を装着して回折格子部分の温度を可変にすれば、
当該デバイスを波長可変フィルターとして機能させるこ
とが可能である。
【0004】しかし、石英の熱光学定数(温度に対する
屈折率変化:dn/dT;n:屈折率,T:温度)は比
較的小さいため、温度可変素子で回折格子の温度を変え
ても得られる波長可変範囲は小さい。ポリマーのように
石英に比べて熱光学定数の大きい材料で導波路を構成す
れば、波長可変範囲を石英導波路よりも大きくすること
ができる。例えば、特開平11−223735号公報や
特開平11−223740号公報で提案されているよう
に導波路をポリイミドで構成すれば、大きな波長可変範
囲が得られる。しかしながら、特開平11−22373
5号公報等で提案されている回折格子は、照射源の高価
な放射光照射やX線照射により形成されるため、得られ
るデバイスのコストアップを招いてしまう。また、回折
格子パターンの屈折率差も十分ではない。
【0005】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであって、大きな熱光学定数(dn/dT)を有する
導波路中に屈折率差の大きいパターンの回折格子が形成
された光学素子と、それを高い量産性で安価に作製する
ことができる製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の光学素子は、ポリイミドから成る導波
路を有する光学素子であって、前記導波路中にポリイミ
ドの吸収帯を長波長化させた部分が周期的に設けられる
ことにより、屈折率変調型の回折格子が形成されている
ことを特徴とする。
【0007】第2の発明の光学素子は、上記第1の発明
の構成において、前記長波長化させた部分が、光照射と
それに続く加熱処理により形成されていることを特徴と
する。
【0008】第3の発明の光学素子は、上記第1又は第
2の発明の構成において、前記回折格子による波長選択
的な反射により波長選択フィルターとして機能すること
を特徴とする。
【0009】第4の発明の光学素子は、上記第1〜第3
のいずれか1つの発明の構成において、前記回折格子の
温度を変化させる温度可変素子が設けられていることを
特徴とする。
【0010】第5の発明の光学素子の製造方法は、コア
層とそれに隣接するクラッド層とで前記導波路を構成す
る上記第1〜第4のいずれか1つの発明に係る光学素子
の製造方法であって、前記回折格子を形成するための光
照射を前記コア層上から行い、その後加熱処理を行って
からコア層上に前記クラッド層を形成することを特徴と
する。
【0011】第6の発明の光学素子の製造方法は、コア
層とそれに隣接するクラッド層とで前記導波路を構成す
る上記第1〜第4のいずれか1つの発明に係る光学素子
の製造方法であって、前記コア層上にクラッド層を形成
した後、前記回折格子を形成するための光照射を前記ク
ラッド層上から行い、その後加熱処理を行うことを特徴
とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した光学素子
及びその製造方法を、図面を参照しつつ説明する。ま
ず、ポリイミドから成る導波路中に屈折率変調型の回折
格子を形成するために行う光照射と加熱処理について、
それらがポリイミド膜に及ぼす影響を実験例に基づいて
説明する。
【0013】ガラス基板上にポリアミド酸塗液{日立化
成工業(株)製「N3305」}をスピンコートした後、加熱イ
ミド化することによって、膜厚約5μmのポリイミド膜
を得た。得られたポリイミド膜から3つの試料S0,S
1,S2を作製した。試料S0は無処理のままとし、試
料S1には光照射を行い、試料S2には光照射を行った
後に加熱処理を行った。試料S1,S2に対する光照射
では波長254nmの光(40mW/cm2)の照射を1
時間行い、試料S2に対する加熱処理では355℃の加
熱を90分間行った。
【0014】図1に試料S0,S1,S2の吸収スペク
トルを示し、図2に試料S0,S1,S2の屈折率(波
長1550nmのTE波で測定した屈折率)を示す。図
1に示す吸収スペクトル変化によれば、試料S0,S1
の吸収スペクトルはほとんど変わらないが(目視では薄
黄色)、試料S2の吸収スペクトルは長波長化している
(目視では茶褐色)。また図2に示す屈折率変化によれ
ば、試料S0(屈折率:1.5294),試料S1(屈折
率:1.5299),試料S2(屈折率:1.5322)
の順に屈折率が増大している。この実験例から分かるよ
うに、ポリイミド膜に光照射及び加熱処理を施すことに
より、吸収スペクトルは大きく長波長化し、屈折率は大
きく増加する。光照射及び加熱処理によってポリイミド
膜内でどのような変化が生じているかは不明であるが、
吸収帯を大きく長波長化させることによって屈折率が大
きく増加することは明らかである。なお365nm、4
13nmの波長の光で実験した場合についても、254
nmの場合と同様の結果を得た。すなわち光照射のみで
は屈折率変化、吸収スペクトル変化は小さいが、その後
の加熱処理によって大きく屈折率変化、吸収スペクトル
変化することを確認した。
【0015】上記のようにポリイミドの吸収帯を長波長
化させると屈折率が増加することから、ポリイミドから
成る導波路(以下「ポリイミド導波路」という。)の作製
過程において、回折格子パターンに対応する部分のポリ
イミドの吸収帯を長波長化させれば、導波路中に屈折率
変調型の回折格子を形成することができる。しかも、上
述したように光照射とそれに続く加熱処理を行うことに
よりポリイミドの吸収帯を大きく長波長化させれば、大
きな屈折率変化を誘起できるため、屈折率差のより一層
大きいパターンの回折格子を形成することができる。回
折格子の波長選択的な反射率は、回折格子パターンの屈
折率差が大きいほど高くなり回折格子長が長いほど高く
なるため、屈折率差の大きい回折格子パターンを形成す
ることにより、短い回折格子長で目的の反射率を得るこ
とができる。そして回折格子長が短くなれば、光学素子
及びそれを搭載した装置の小型化を達成することが可能
である。この考え方を適用したポリイミド導波路の作製
方法を2例(,)挙げて以下に説明する。
【0016】図3は、ポリイミド導波路の作製方法を
断面的に示す工程図である。まず、図3(A)に示すシリ
コン基板(1)上にカップラー{例えば、日立化成工業(株)
製「OPI-coupler」}をスピンコートした後、加熱処理を
行うことによって、図3(B)に示すようにカップラー層
(2)を形成する。このカップラー層(2)は、シリコン基板
(1)と下部クラッド層{3a,図3(C)}との密着性を高め
るためのものであり、適宜省略可能である。次に、カッ
プラー層(2)の上にポリイミド前駆体{例えば、日立化成
工業(株)製「N3205」}をスピンコートした後、加熱処理
を行うことによって、図3(C)に示すように膜厚約20
μmの下部クラッド層(3a)を形成する。
【0017】下部クラッド層(3a)上に、ポリイミド前駆
体{例えば、日立化成工業(株)製「N3305」}をスピンコ
ートした後、加熱処理を行うことによって、図3(D)に
示すように膜厚約7μmのコア層(4)を形成する。そし
て、コア層(4)上にレジストを塗布し、光導波部に該当
する領域以外のレジストを除去した後、ドライエッチン
グ(例えばRIE:Reactive Ion Etching)によりコア層
(4)をパターニングする{図3(E)}。残っているレジス
トを剥離した後、後述する回折格子の形成(図5)を行う
{図3(F)}。そして、ポリイミド前駆体{例えば、日立
化成工業(株)製「N3205」}をスピンコートした後、加熱
処理を行うことによって、図3(G)に示すように膜厚約
20μmの上部クラッド層(3b)を形成する。その結果、
コア層(4)とそれに隣接するクラッド層(3)とで構成され
たポリイミド導波路が得られる。
【0018】図4は、ポリイミド導波路の作製方法を
断面的に示す工程図である。まず、図4(A)に示すシリ
コン基板(1)上にカップラー{例えば、日立化成工業(株)
製「OPI-coupler」}をスピンコートした後、加熱処理を
行うことによって、図4(B)に示すようにカップラー層
(2)を形成する。このカップラー層(2)は、シリコン基板
(1)と下部クラッド層{3a,図4(C)}との密着性を高め
るためのものであり、適宜省略可能である。次に、カッ
プラー層(2)の上にポリイミド前駆体{例えば、日立化成
工業(株)製「N3205」}をスピンコートした後、加熱処理
を行うことによって、図4(C)に示すように膜厚約20
μmの下部クラッド層(3a)を形成する。
【0019】下部クラッド層(3a)上に、ポリイミド前駆
体{例えば、日立化成工業(株)製「N3305」}をスピンコ
ートした後、加熱処理を行うことによって、図4(D)に
示すように膜厚約7μmのコア層(4)を形成する。そし
て、コア層(4)上にレジストを塗布し、光導波部に該当
する領域以外のレジストを除去した後、ドライエッチン
グ(例えばRIE)によりコア層(4)をパターニングし{図
4(E)}、残っているレジストを剥離する。そして、ポ
リイミド前駆体{例えば、日立化成工業(株)製「N320
5」}をスピンコートした後、加熱処理を行うことによっ
て、図4(F)に示すように膜厚約20μmの上部クラッ
ド層(3b)を形成する。その結果、コア層(4)とそれに隣
接するクラッド層(3)とで構成されたポリイミド導波路
が得られ、それに後述する回折格子の形成(図5)を行う
{図4(G)}。なお、上部クラッド層(3b)の一部を形成し
てから回折格子を形成し、その後に残りの上部クラッド
層(3b)を形成しても構わない。また、必要に応じて回折
格子をコア層(4)周辺部分のクラッド層(3)にまで形成し
ても構わない。
【0020】次に、上述したポリイミド導波路の作製方
法,における回折格子の形成{図3(F),図4(G)}
を図5に基づいて説明する。図5は、いわゆる二光束干
渉露光法と呼ばれる方法で回折格子を形成する装置のシ
ステム構成を示している。図5中、Lは波長325nm
の光を放射するHe−Cdレーザー光源、Mは光路を折
り曲げるミラー、HMはビームを2つに分割するハーフミ
ラーであり、Wは回折格子が形成されるポリイミド導波
路に相当する。このシステムにおいて、2つのビームの
出力はそれぞれ約7mWであり、2つのビームの交差部
での面積は約5mm×0.1mmである。
【0021】作製方法では、回折格子を形成するため
の光照射をコア層(4)上から行い{図3(F)}、その後加
熱処理を行ってからコア層(4)上に上部クラッド層(3b)
を形成する{図3(G)}。作製方法では、コア層(4)上
に上部クラッド層(3b)を形成した後{図4(F)}、回折格
子を形成するための光照射を上部クラッド層(3b)上から
行い、その後加熱処理を行う{図4(G)}。いずれの作製
方法,においても、図5のシステムによる二光束干
渉露光によって光照射が行われた後、加熱処理が施され
る。その結果、導波路中にポリイミドの吸収帯を長波長
化させた部分が周期的に設けられることにより、屈折率
変調型の回折格子が形成される。このように光照射を採
用することによって、一度に多くの回折格子の形成が可
能となる。したがって、ポリイミド導波路中に回折格子
が形成された光学素子を、放射光照射やX線照射等に比
べて高い量産性で安価に製造することができる。
【0022】上記のようにして光照射を30分間行った
後、加熱処理を355℃で90分間行った結果、ポリイ
ミドの吸収帯を長波長化させた部分が約520nmの周
期で形成された屈折率変調型の回折格子が得られた。ポ
リイミドは本来薄黄色であるが、光照射と加熱処理を行
った部分のみ茶褐色に変化していた。また、レーザーと
してHe−Cdレーザー光源ではなく、YAGレーザー
第3高調波(355nm)、Krイオンレーザー(413
nm)を用いた場合についても屈折率変調型の回折格子
が得られることを確認した。ここでも光照射、加熱処理
を行った部分は茶褐色に変化していた。なお、ここでは
二光束干渉露光により光照射を行っているが、位相マス
クを介して光照射を行ってもよい(位相マスク法)。ま
た、回折格子パターンを導波路方向に(導波路の端から
中央にかけて)徐々に変化させてもよい。例えば、回折
格子の周期を導波路方向に徐々に変化させれば、2つ以
上の波長の光を選択的に反射させて取り出すことが可能
になる。また、ポリイミドの吸収の変調度を導波路方向
に徐々に変化させれば、導波光がクラッド層(3)に逃げ
て損失となるのを防ぐことができる。
【0023】次に、上述した作製方法,によりポリ
イミド導波路に回折格子が形成された光学素子とその応
用を説明する。図6に、ポリイミド導波路を有する光学
素子(10)と、ポリイミド導波路に形成されている回折格
子(4G)の温度を変化させるペルチェ素子(13)と、光路の
切り換えを行う第1,第2サーキュレータ(11,12)と、
を備えた波長可変フィルターを示す。光学素子(10)に設
けられているポリイミド導波路は、コア層(4)とそれに
隣接するクラッド層(3)とで構成されており、ポリイミ
ド導波路を構成しているコア層(4)中には、ポリイミド
の吸収帯を長波長化させた部分(P)の周期的配置によ
り、屈折率変調型の回折格子(4G)が形成されている。温
度可変素子であるペルチェ素子(13)は、コア層(4)の両
側に位置するクラッド層(3)の上面に貼り付けられてお
り、印加される電流の方向に応じて発熱又は吸熱するこ
とによりポリイミド導波路の加熱又は冷却を行う。第
1,第2サーキュレータ(11,12)は、複屈折プリズム,
磁気光学結晶等を利用して入射位置に応じた方向に光を
導く光学素子である。
【0024】第1サーキュレータ(11)に入力光(EN)を入
射させると、入力光(EN)は第1サーキュレータ(11)を通
過して、ポリイミド導波路の光導波部であるコア層(4)
に入射する。コア層(4)中の回折格子(4G)は、入力光(E
N)のうち特定の波長の光のみを選択的に反射させ、他の
波長の光を透過させる。つまり、光学素子(10)は回折格
子(4G)による波長選択的な反射により波長選択フィルタ
ーとして機能することになる。回折格子パターンの屈折
率差が大きいため、波長選択フィルターとしての消光比
は大きなものとなる。回折格子(4G)からの反射光(DP)
は、第1サーキュレータ(11)に入射し、光路を折り曲げ
られて取り出される。室温(約25℃)下にてハロゲンラ
ンプ光を入力光(EN)として第1サーキュレータ(11)に入
射させたところ、回折格子(4G)による反射光(DP)として
中心波長1540.4nmの光を得ることができた。な
お、第2サーキュレータ(12)は光路を合流させるように
構成されているため、回折格子(4G)を透過した出力光(E
X)に対し別の入射光(AD)を第2サーキュレータ(12)で付
加することができる。
【0025】ポリイミド等のポリマーは熱光学定数(d
n/dT)が石英等に比べて大きいため、ポリイミドか
ら成る回折格子(4G)の温度が変化すると屈折率も大きく
変化する。したがって、波長選択フィルターとして機能
する光学素子(10)は大きな波長可変範囲を持つことにな
り、回折格子(4G)の近くに搭載されているペルチェ素子
(13)で回折格子(4G)の温度を変化させることにより、取
り出す反射光(DP)の波長を任意に選択することができ
る。ペルチェ素子(13)で回折格子(4G)を加熱していった
ところ、約50℃の温度変化で回折格子(4G)による反射
光(DP)の中心波長が5nm短波長側へシフトすることを
確認した。
【0026】なお、回折格子(4G)の温度を変えるペルチ
ェ素子(13)等の温度可変素子は、必ずしも光学素子(10)
に搭載される必要はない。例えば、光学素子(10)に対し
て離れた位置から回折格子(4G)の温度を変化させるよう
に構成してもよい。また、特定波長の反射光(DP)を回折
格子(4G)によって正確に取り出すためには、回折格子(4
G)の温度制御が重要である。そこで、回折格子(4G)の温
度をモニターするための温度センサー(熱電対等)を更に
設けたり、その検知結果をペルチェ素子(13)等の温度可
変素子へフィードバックする機構等を更に設けたりする
ことが望ましい。また、より正確な温度制御を行うため
に、取り出した反射光(DP)や光学素子(10)からの出力光
(EX)の波長を検出したりモニターしたりする機構・手段
を設けることが更に望ましい。
【0027】図7に、上述の光学素子(10)を搭載した波
長多重光通信用のアド・ドロップフィルターを示す。こ
のアド・ドロップフィルターは、特定の波長の光信号の
みを抽出(ドロップ)したり付加(アド)したりする光学装
置であり、図6の光学装置と同様、光学素子(10)、ペル
チェ素子(13)及び第1,第2サーキュレータ(11,12)を
備えている。このアド・ドロップフィルターによれば、
特定波長の光信号の抽出のみを行うことも付加のみを行
うことも可能であるが、以下に説明するように抽出した
特定波長の光信号に対して変調を行った後、他の波長の
光信号に付加することも可能である。また、図6の光学
装置と同様、波長可変フィルター機能を有しているた
め、回折格子(4G)の温度を変化させることによって、付
加・抽出できる光信号の波長を変えることも可能であ
る。
【0028】例えば、複数の波長(λ1,λ2,…,λk-
1,λk,λk+1,…λn)の光が多重された光信号を、入
力光(EN)として第1サーキュレータ(11)に入射させる
と、入力光(EN)は第1サーキュレータ(11)を通過してコ
ア層(4)に入射する。コア層(4)中の回折格子(4G)は、入
力光(EN)のうち特定の波長(λk)の光のみを選択的に反
射させ、他の波長(λ1,λ2,…,λk-1,λk+1,…λ
n)の光を透過させる。波長(λk)の反射光(DP)は、第1
サーキュレータ(11)に入射し、光路を折り曲げられて取
り出される。
【0029】取り出された波長(λk)の反射光(DP)は、
所定の変調を受けた後、入射光(AD)として第2サーキュ
レータ(12)に入射する。波長(λk)の入射光(AD)は、第
2サーキュレータ(12)で光路を折り曲げられてコア層
(4)に入射する。コア層(4)中の回折格子(4G)は波長(λ
k)の光を選択的に反射させるため、入射光(AD)は回折格
子(4G)で反射されて、第2サーキュレータ(12)に別の位
置から再入射する。一方、回折格子(4G)を透過した波長
(λ1,λ2,…,λk-1,λk+1,…λn)の光も、回折格
子(4G)で反射された入射光(AD)と同じ位置から第2サー
キュレータ(12)に入射する。したがって、波長(λk)の
入射光(AD)と波長(λ1,λ2,…,λk-1,λk+1,…λ
n)の光は、共に第2サーキュレータ(12)を射出する。し
たがって、第2サーキュレータ(12)から射出する出力光
(EX)は、入力光(EN)と同じ波長(λ1,λ2,…,λk-1,
λk,λk+1,…λn)の光が多重された光信号となる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、導
波路中に形成されている屈折率変調型の回折格子が、ポ
リイミドの吸収帯を長波長化させた部分の周期的配置に
より構成されているため、屈折率差の大きいパターンの
回折格子が導波路中に形成された光学素子を安価に実現
することができる。光照射とそれに続く加熱処理により
ポリイミドの吸収帯を大きく長波長化させることができ
るので、回折格子パターンの屈折率差をより一層大きく
することが可能である。また、回折格子の波長選択的な
反射率は、回折格子パターンの屈折率差が大きいほど高
くなり回折格子長が長いほど高くなるため、屈折率差の
大きい回折格子パターンを形成することにより、短い回
折格子長で目的の反射率を得ることができる。そして回
折格子長が短くなれば、光学素子及びそれを搭載した装
置の小型化を達成することが可能である。
【0031】回折格子による波長選択的な反射を利用す
れば、光学素子を波長選択フィルターとして使用するこ
とができる。回折格子パターンの屈折率差が大きいた
め、波長選択フィルターとしての消光比は大きなものと
なる。導波路を構成するポリイミドは大きな熱光学定数
(dn/dT)を有するため、回折格子の温度を変化させ
ると回折格子の屈折率が大きく変化する。したがって温
度可変素子で回折格子の温度を変化させることにより、
回折格子で取り出される光の波長を大きな波長可変範囲
において任意に選択することが可能である。また、光照
射を採用することにより一度に多くの回折格子の形成が
可能となるため、放射光照射やX線照射等に比べて高い
量産性で安価に光学素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光照射や加熱処理によるポリイミド膜の吸収ス
ペクトル変化を示すグラフ。
【図2】光照射や加熱処理によるポリイミド膜の屈折率
変化を示すグラフ。
【図3】ポリイミド導波路の作製方法を断面的に示す
工程図。
【図4】ポリイミド導波路の作製方法を断面的に示す
工程図。
【図5】ポリイミド導波路に回折格子を形成する装置構
成を示すシステム構成図。
【図6】ポリイミド導波路中に回折格子が形成された光
学素子を有する波長可変フィルターを示す平面図。
【図7】ポリイミド導波路中に回折格子が形成された光
学素子を有する波長多重光通信用のアド・ドロップフィ
ルターを示す平面図。
【符号の説明】
1 …シリコン基板 2 …カップラー層 3 …クラッド層 3a …下部クラッド層 3b …上部クラッド層 4 …コア層 4G …回折格子 P …長波長化させた部分 10 …光学素子(波長選択フィルター) 11 …第1サーキュレータ 12 …第2サーキュレータ 13 …ペルチェ素子 EN …入力光 EX …出力光 DP …反射光 AD …入射光
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/12 A (72)発明者 西井 準治 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所 関西センター 内 (72)発明者 金高 健二 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所 関西センター 内 (72)発明者 小島 誠司 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪 国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 波多野 卓史 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪 国際ビル ミノルタ株式会社内 Fターム(参考) 2H038 AA22 BA23 BA24 BA25 2H047 KA03 LA02 PA21 PA22 PA24 QA05 TA02 TA12 TA43 2H049 AA06 AA12 AA33 AA43 AA59 AA61 AA62

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミドから成る導波路を有する光学
    素子であって、前記導波路中にポリイミドの吸収帯を長
    波長化させた部分が周期的に設けられることにより、屈
    折率変調型の回折格子が形成されていることを特徴とす
    る光学素子。
  2. 【請求項2】 前記長波長化させた部分が、光照射とそ
    れに続く加熱処理により形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の光学素子。
  3. 【請求項3】 前記回折格子による波長選択的な反射に
    より波長選択フィルターとして機能することを特徴とす
    る請求項1又は2記載の光学素子。
  4. 【請求項4】 前記回折格子の温度を変化させる温度可
    変素子が設けられていることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 コア層とそれに隣接するクラッド層とで
    前記導波路を構成する請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の光学素子の製造方法であって、前記回折格子を形成
    するための光照射を前記コア層上から行い、その後加熱
    処理を行ってからコア層上に前記クラッド層を形成する
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 コア層とそれに隣接するクラッド層とで
    前記導波路を構成する請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の光学素子の製造方法であって、前記コア層上にクラ
    ッド層を形成した後、前記回折格子を形成するための光
    照射を前記クラッド層上から行い、その後加熱処理を行
    うことを特徴とする光学素子の製造方法。
JP2001373962A 2001-12-07 2001-12-07 導波路を有する光学素子及びその製造方法 Withdrawn JP2003172835A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013507792A (ja) * 2009-10-13 2013-03-04 スコーピオズ テクノロジーズ インコーポレイテッド チューナブルレーザのハイブリッド集積のための方法及びシステム
US9774164B2 (en) 2014-03-07 2017-09-26 Skorpios Technologies, Inc. Tunable laser with directional coupler
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