JP2003172452A - 金属ガスケットによる密封構造および密封方法 - Google Patents

金属ガスケットによる密封構造および密封方法

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JP2003172452A JP2001370512A JP2001370512A JP2003172452A JP 2003172452 A JP2003172452 A JP 2003172452A JP 2001370512 A JP2001370512 A JP 2001370512A JP 2001370512 A JP2001370512 A JP 2001370512A JP 2003172452 A JP2003172452 A JP 2003172452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属ガスケットを繰り返し使用しても密封性
能の低下が少ない密封構造を提供する。 【解決手段】 一方の密封面16は、金属ガスケット4
0の当接個所に配置された平坦部を有し、他方の密封面
26は、金属ガスケット40が収容されるガスケット収
容溝30を有し、ガスケット収容溝30は、金属ガスケ
ット40が当接する側壁に配置され底側から開口側へと
開く拡開部32と、金属ガスケット40よりも底側に配
置される空隙部34とを有し、金属ガスケット40は、
一方の密封面16に有する平坦部と、他方の密封面26
のガスケット収容溝30に有する左右の側壁の拡開部3
2との3個所に当接し、ガスケット収容溝30に収容さ
れたときに、金属ガスケット40の一部がガスケット収
容溝30の外に突出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属ガスケットに
よる密封構造および密封方法に関し、詳しくは、配管接
続部における気密封止などに利用され、特に気密性に優
れているとされる金属ガスケットを用いた密封構造と、
そのような密封構造を用いた密封方法とを対象にしてい
る。
【0002】
【従来の技術】各種の密封構造で使用されている一般的
なガスケットには、金属ガスケット、セミ金属ガスケッ
トおよび非金属ガスケットがある。金属ガスケットは、
気密性、耐熱性に優れるため、原子力分野、半導体分野
などにおける各種配管、機械設備など、高温、低温、高
圧、高真空などの過酷な条件下において、広範に用いら
れている。ガスケット、特に金属ガスケットは、継ぎ手
などの密封構造に使用したあと、密封構造を分解してし
まうと、金属ガスケットの再使用はできないとされてい
る。
【0003】ガスケットは、密封使用時に強い締め付け
力を受けて変形するので、変形復元量の小さな金属ガス
ケットは、一旦、密封構造を開放した後、再使用のため
に、既に変形してしまった金属ガスケットを再度締め付
けても、新たな「なじみ」を得るための十分な締め付け
ができず、所定のシール性が得られないのである。した
がって、従来は、密封構造の開閉を行なうたびに、使用
済みの金属ガスケットを廃棄し、新たな金属ガスケット
に交換していた。そのため、フランジ開閉頻度が高いフ
ランジ継ぎ手などに、金属ガスケットを使用すると、フ
ランジの開閉作業のたびに、ガスケットの交換が必要に
なり、高コストとなっていた。
【0004】そこで、金属ガスケットを再使用できるよ
うにする技術が、いくつか提案されている。例えば、特
開平5−248542号公報に開示された技術は、一対
のフランジの両方に、内側側壁部が傾斜しているシール
溝を設け、断面矩形で比較的硬質の金属ガスケットと組
み合わせている。金属ガスケットの断面矩形の角部がシ
ール溝の傾斜面に当接することで密封性が向上し、金属
ガスケットの繰り返し使用も可能であるとされている。
特開昭59−200869号公報に開示された技術は、
金属ガスケットの材料に形状記憶合金を使用し、再使用
する前に金属ガスケットを加熱して原形に復元させるこ
とで、金属ガスケットの繰り返し使用を可能できるとさ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の繰り返し使用を
意図した金属ガスケットの技術は何れも、実用性に乏し
いものであった。前記特開平5−248542号公報の
技術は、金属ガスケットの復元性が向上するわけではな
いので、フランジ面が接触するまで金属ガスケットを圧
締めする使用方法では、再使用時に、締め付け量を増や
すことができないので、密封性が十分に発揮できなくな
る。そこで、この技術では、締め付けトルクを制御しな
がらボルト締めを行うトルク管理を行ない、フランジ面
が接触するまでは締め付けないようにし、再使用のたび
に、金属ガスケットの矩形角部の変形を徐々に増やして
いくような使い方がされる。しかし、厳密なトルク管理
は非常に手間がかかり、ボルト締め作業が煩雑で難しく
なる。フランジ面を締めきらない上記方法では、ボルト
の応力緩和やガスケットクリープによってシール性が低
下する問題がある。ガスケットの変形は再使用のたびに
増えるため、繰り返し使用は数回が限界である。
【0006】前記特開昭59−200869号公報の技
術は、形状記憶合金のコストが非常に高くつく。再使用
の前に加熱して十分に復元させるための作業工程が増
え、過熱設備も必要になる。しかも、密封使用時の環境
温度が、形状記憶合金の変態温度以下としなければなら
ないという制限があり、使用場面が限定されてしまう。
本発明の課題は、金属ガスケットを繰り返し使用して
も、密封性能の低下が少なく、実用的に何度も繰り返し
て使用することが可能な密封構造および密封方法を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる金属ガス
ケットによる密封構造は、一対の密封面の間に環状の金
属ガスケットを挟み込んで金属ガスケットの内外周空間
を遮断する密封構造であって、前記一方の密封面は、前
記金属ガスケットの当接個所に配置された平坦部を有
し、前記他方の密封面は、前記金属ガスケットが収容さ
れるガスケット収容溝を有し、前記ガスケット収容溝
は、前記金属ガスケットが当接する側壁に配置され底側
から開口側へと開く拡開部と、前記金属ガスケットより
も底側に配置される空隙部とを有し、前記金属ガスケッ
トは、前記一方の密封面に有する平坦部と、前記他方の
密封面のガスケット収容溝に有する左右の側壁の拡開部
との3個所に当接し、ガスケット収容溝に収容されたと
きに、金属ガスケットの一部がガスケット収容溝の外に
突出する。
【0008】〔密封面〕互いに開閉あるいは分離結合で
きるようになった一対の部材間で、互いに対面して配置
され、密着して閉じ合わせることができ、中間に配置さ
れる金属ガスケットによる密封を行なう面である。通常
の密封構造あるいは密封装置における密封面であれば、
その材料や構造は特に限定されない。例えば、配管のフ
ランジ継手における、一対のフランジの対向面、真空容
器と蓋の開閉面などが挙げられる。密封面は、基本的に
は平坦面であるが、湾曲面の場合もある。
【0009】密封面の材質は、特に限定されないが、通
常は、鋼やステンレスその他の金属からなるものであ
る。セラミックやガラス質の場合もある。金属の表面に
セラミックなどのコーティングが施される場合もある。
〔金属ガスケット〕基本的には、通常の密封構造で使用
されているガスケットと同様の材料および形状構造を有
するものでよい。金属ガスケットの材料として、変形お
よび復元性の観点から、比較的硬度が小さい材料が好ま
しい。具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、
金などが挙げられる。硬度として、ビッカース硬度20
0Hv以下の材料が好ましい。耐腐食性および耐熱性の
面からSUSなども好ましい。ガスケットの硬度は、ガ
スケットが当接する密封面の硬度よりも小さいことが望
ましい。
【0010】金属ガスケットの断面形状として、一般的
な円形や楕円形、多角形などが採用される。中空円形や
C形なども採用できる。材質の異なる部材で二重構造に
したものや、部分的に別の材料からなる部材を組み合わ
せたものもある。金属部分とセラミックなどの非金属部
分とを組み合わせることもできる。本発明では、一部に
非金属材料が使用されていても、基本的に金属で構成さ
れているものを、金属ガスケットと称する。金属ガスケ
ットは、密封面において密封遮断すべき領域を囲む環状
に構成される。例えば、配管フランジであれば、配管あ
るいは流体通路を囲むことのできる形状寸法に設定され
る。環状とは、円環状のほか、楕円や長円さらには矩形
や多角形状のものも含まれる。
【0011】金属ガスケットの断面形状として、ガスケ
ット収容溝あるいは密封面に対する当接が良好に行なえ
たり、使用時の変形による密封機能の発現および再使用
時の変形復元が良好に行なわれたりするものが好まし
い。例えば、ガスケット収容溝の側壁との当接個所が、
側壁と同じ形状になっているものが好ましい。ガスケッ
ト収容溝の側壁が傾斜面の場合、傾斜面と同じ傾斜角度
を有するものが好ましい。金属ガスケットの断面形状
が、環状の金属ガスケットの中心線に対して表裏で対称
形状を有するものが好ましい。この条件を満足する形状
として、円形や楕円形、六角形、八角形などがある。
【0012】金属ガスケットとして、中空OリングやC
リングなども使用できる。これらの金属ガスケットは、
比較的に低い締め付け荷重で使用することができる。 〔密封面の平坦部〕一対の密封面のうち、一方の密封面
は、金属ガスケットの当接個所に配置された平坦部を有
する。金属ガスケットの配置形状によって、平坦部の配
置も変える。密封面の全面が平坦であってもよいし、金
属ガスケットの環形状に沿う領域のみに平坦部が設けら
れていて、それ以外の領域には段差や凹凸を有するもの
であってもよい。
【0013】〔ガスケット収容溝〕一対の密封面のう
ち、他方の密封面は、全体は前記一方の密封面と密着し
て当接できる形状を有するとともに、金属ガスケットが
収容されるガスケット収容溝を有する。ガスケット収容
溝は、基本的には、通常の密封構造におけるガスケット
収容溝あるいはシール溝と呼ばれる構造と同様のもので
ある。ガスケット収容溝は、金属ガスケットの環形状に
合わせて環状に配置されている。前記一方の密封面の平
坦部に対応する位置に配置される。
【0014】ガスケット収容溝には、金属ガスケットが
当接する側壁を有する。側壁は、金属ガスケットの左右
両側に存在する。この側壁の少なくとも一部に、底側か
ら開口側へと開く拡開部を有する。拡開部は、直線状の
傾斜面であってもよいし、円弧状などの曲線状をなすも
のであってもよい。拡開部が、傾斜や曲率の異なる複数
の部分に分割されてあってもよい。直線と曲線とを組み
合わせた形状であってもよい。拡開部は、左右の側壁で
対称形に配置されていてもよいし、非対称形であっても
よい。例えば、左右の拡開部で傾斜角度が異なる傾斜面
を配置することもできる。
【0015】ガスケット収容溝のうち、拡開部以外の側
壁および底壁の形状については、金属ガスケットの収容
ができれば、特に限定されない。例えば、拡開部よりも
開口側になる側壁が垂直であってもよい。拡開部よりも
底側に、垂直な側壁や平坦な底面、U字形の底部などを
配置することもできる。ガスケット収容溝に金属ガスケ
ットが収容された状態で、金属ガスケットよりも底側に
空隙部が配置されるようにする。金属ガスケットの底部
は、ガスケット収容溝の内面には当接しないようにす
る。空隙部が大きいほど、金属ガスケットに締め付け圧
力を加えたときの底部側への変形が行い易く、再使用時
の締め代も大きくできる。
【0016】〔密封構造の使用〕基本的には、通常の金
属ガスケットを用いた密封構造と同じように使用する。
一方の密封面に有するガスケット収容溝に金属ガスケッ
トを収容する。ガスケット収容溝の左右の側壁に設けた
拡開部に、金属ガスケットが当接して支持される。拡開
部と金属ガスケットとの当接は、線接触であっても、面
接触であってもよい。面接触のほうが密封性は高まる。
金属ガスケットの底部は、ガスケット収容溝の底には当
接せず、空隙部が存在する状態である。金属ガスケット
は、ガスケット収容溝の開口よりも上に一部が突出した
状態になる。このときの、密封面から金属ガスケットの
上端までの距離が、締め代になる。
【0017】他方の密封面に有する平坦部を、金属ガス
ケットの上端に当接させて、密封面同士を閉じる方向に
締め付ける。例えば、配管フランジの場合、一対のフラ
ンジをボルトなどで締め付ければよい。密封面同士の締
め付けによって、金属ガスケットが変形する。密封面同
士が当接して完全に閉じられる状態になるまで締め付け
る。金属ガスケットは、全体がガスケット収容溝の内部
に収まるような形状に変形する。この変形に伴なう反発
力で、金属ガスケットと両側の密封面とが、隙間なく圧
接され、密封機能が発現する。
【0018】環状の金属ガスケットに対して、内周側の
空間と外周側の空間とが確実に遮断される。内外空間に
大きな圧力差が生じても、密封性が損なわれることがな
い。 〔再使用〕金属ガスケットによる密封構造は、必要に応
じて密封を解除し、再び密封することがある。例えば、
配管フランジの場合、配管レイアウトの変更、配管内の
清掃や配管部品の洗浄などの作業を行う際には、フラン
ジの密封を解除し分解することになる。
【0019】密封構造の密封を解除すると、金属ガスケ
ットに加わっていた締め付け力は取り除かれる。金属ガ
スケットは、ある程度までは元の形状に戻る方向に復元
する。しかし、完全に復元することはない。通常は、ガ
スケット収容溝の形状に沿って変形した形が、わずかに
戻る程度である。変形した金属ガスケットは、ガスケッ
ト収容溝から取り出す。その後、密封構造を再び閉じて
密封状態にする際に、新たな金属ガスケットを使用する
のではなく、前記取り出した変形済みの金属ガスケット
を使用する。変形した金属ガスケットを裏返して、ガス
ケット収容溝に取り付ける。すなわち、前の使用状態で
は、ガスケット収容溝の底側に存在していた側を、ガス
ケット収容溝の開口側になるように上下を入れかえる。
【0020】金属ガスケットのうち、前の使用状態で、
一方の密封面の平坦部に当接して平坦に変形させられた
部分が、ガスケット収容溝の拡開部に当接する。金属ガ
スケットのうち、前の使用状態で、ガスケット収容溝の
拡開部に当接して拡開形状に変形させられた部分は、ガ
スケット収容溝の上方に突出して配置される。この突出
量が、締め代になる。金属ガスケットの上端に、相手側
の密封面が当接し、前記同様の締め付けを行なって、密
封面同士を密着して当接させる。この状態で、金属ガス
ケットによる密封機能が発現する。
【0021】金属ガスケットは、前回の使用状態と同様
に、一方の密封面の平坦部とガスケット収容溝の内部形
状とにしたがって変形させられる。 〔繰り返し使用〕前記した最初の使用状態および再使用
状態の何れでも、金属ガスケットは、ガスケット収容溝
の内部形状に沿って変形させられる。したがって、再使
用状態から、さらに密封状態の解除あるいは密封構造の
分解を行ない、変形した金属ガスケットを取り出して裏
返し、ガスケット収容溝に収容すれば、まったく同じよ
うにして密封機能を発現させることができる。
【0022】金属ガスケットの、ガスケット収容溝と前
記平坦部とによる変形が繰り返される限り、同じ金属ガ
スケットを用いて、密封状態と解除状態とを繰り返すこ
とが可能になる。但し、金属ガスケットの変形は、全く
同じ形状で繰り返されるわけではない。通常は、金属ガ
スケットが締め付け方向に厚みが薄くなるように徐々に
形が変化することになる。その結果、金属ガスケットを
ガスケット収容溝に収容したときに、ガスケット収容溝
の上に突出する部分の高さ、すなわち、締め代が少なく
なる。必要とされる密封機能が発揮できなくなるまで、
締め代が少なくなれば、その金属ガスケットについては
使用できなくなる。
【0023】金属ガスケットが使用できなくなるまでの
使用回数は、使用条件や要求性能によっても異なるが、
従来の金属ガスケットと同等の締め代に設定するなど、
通常の使用条件では、2回以上、15回程度までであ
る。好ましくは、5〜10回まで使用することができ
る。 〔保持部材〕互いの対向面にそれぞれ密封面を有する一
対の密封部材と、前記一対の密封部材の中間に配置さ
れ、両面に密封面を有するガスケット保持部材とを組み
合わせて使用することができる。
【0024】密封部材とは、前記した配管フランジのフ
ランジ板や気密蓋と開口枠など、密封面を備えた部材で
ある。保持部材は、密封部材とは別の部材である。保持
部材の材料は、密封部材と同様でよい。鋼やステンレス
などの金属が使用できる。保持部材の両面には、密封部
材と同様の密封面を設けておく。一対の密封部材の中間
に保持部材を配置した状態で、一方の密封部材の密封面
と、この密封面と対向する保持部材の片側の密封面との
間に、前記同様の密封構造からなる第1の密封構造が構
成できる。他方の密封部材の密封面と、この密封面と対
向する保持部材の他側の密封面との間にも、もうひとつ
の密封構造すなわち第2の密封構造が構成できる。それ
ぞれの密封構造には、金属ガスケットが使用されること
になる。
【0025】上記構造では、一対の密封部材の間を、2
個所の密封構造で強力に密封することができる。保持部
材および金属ガスケットの形状や材料などを変更するこ
とで、密封部材のほうには変更を加えることなく、密封
構造の機能や性能などを変えることができる。2個所の
密封構造の何れでも、ガスケット収容溝を保持部材側に
設けておけば、密封部材側には平坦部を設けておくだけ
でよい。密封部材側には、高コストになる、ガスケット
収容溝の加工が不要になる。ガスケット収容溝の形状変
更を行なうときには、保持部材だけを取りかえればよ
い。設備装置などに連結された状態の密封部材のほう
は、取り外しなどの作業を行うことなく、そのまま使用
しつづけることができる。
【0026】保持部材の両面に有するガスケット収容溝
に金属ガスケットを収容した状態で、全体をまとめて、
一対の密封部材の中間に装着する作業や取り出す作業を
行うことができる。特に、既に密封使用したあとで、ガ
スケット収容溝内で変形して固着した状態の金属ガスケ
ットでも、保持部材に収容したままであれば、まとめて
容易に取り扱うことができる。金属ガスケットのガスケ
ット収容溝からの取り出し、裏返し、再装着する作業
が、密封部材から離れたところで、作業性良く行なえ
る。保持部材の両面に配置されるガスケット収容溝の位
置を、内側と外側とにずらせておくことができる。これ
によって、深いガスケット収容溝であっても配置できる
ことになる。
【0027】保持部材は、全体が一体構造であってもよ
いし、複数の部材に分割構成されていて使用時に組み合
わせるものであってもよい。このような組み立て構造の
保持部材は、製造を容易にしたり、ガスケット収容溝へ
の金属ガスケットの収容および取り出しを容易にしたり
するのに有効である。保持部材を、ガスケット収容溝の
位置を境界にして、内外周に2分割しておくことができ
る。この構造では、ガスケット収容溝の左右の側壁が、
内外の分割部材の内周または外周の端面で構成されるこ
とになる。内外の分割部材は、互いの位置決めを正確に
するために位置決め用の凹凸や当接面を備えておくこと
ができる。
【0028】保持部材の厚みは、密封時に加わる締め付
け圧力などの外力に耐えて金属ガスケットを保持し密封
機能を発揮させることができるように設定しておく。
【0029】
【発明の実施の形態】図1−図6に示す実施形態は、配
管のフランジ継手個所における密封構造に適用した場合
である。 〔全体構造〕図1に示すように、一対の円盤状をなすフ
ランジ10、20にはそれぞれ、配管12、22が接続
されている。配管12、22には、各種のガスが流通す
る。一対のフランジ10、20は、鋼材で構成され、互
いに閉じ合わされる平坦な密封面16、26を有してい
る。両フランジ10、20の外周には、周方向の複数個
所に、互いに連通するボルト孔14、24が貫通してい
る。図2に示すように、互いのボルト孔14、24に、
ボルト50を挿通してナットで締め付けることで、フラ
ンジ10、20が固定され、密封面16、26が閉じ合
わされる。
【0030】図1の上側に配置された密封面16は、全
体が平坦である。下側の密封面26は、配管22とボル
ト孔24との間に、環状のガスケット収容溝30を有す
る。ガスケット収容溝30は、断面が2等辺三角形をな
し、左右の側壁が底側から開口側へと開く傾斜面32に
なっている。ガスケット収容溝30には、金属ガスケッ
ト40が収容される。金属ガスケット40は、アルミニ
ウムからなり、断面円形状をなし、ガスケット収容溝3
0の周長さに対応する環状をなしている。金属ガスケッ
ト40は、ガスケット収容溝30に収容された状態で、
ガスケット収容溝30の左右に存在する傾斜面の途中に
それぞれ当接して支持される。ガスケット収容溝30の
うち、金属ガスケット40よりも底側には、下方に尖っ
た三角形状の空隙34があいている。金属ガスケット4
0の上部は、ガスケット収容溝30の開口面すなわち密
封面26よりも上方に突出している。金属ガスケット4
0の上端と密封面26との高さ位置の差が、いわゆる締
め代になる。
【0031】〔密封構造〕図1に示すように、ガスケッ
ト収容溝30に金属ガスケット40を装着したあと、図
2に示すように、上下のフランジ10、20を閉じて、
ボルト50で締め付ける。このとき、上側のフランジ1
0の密封面16を、金属ガスケット40の上端に当接さ
せて、ボルト50による締め付け圧力を加える。金属ガ
スケット40が変形し、密封面16が下側の密封面26
と密着する。変形した金属ガスケット40が、上下の密
封面16、26に圧接されることで、金属ガスケット4
0の内周側になる配管12、22の空間を、金属ガスケ
ット40よりも外周側の空間に対して、確実に遮断して
密封することができる。
【0032】金属ガスケット40の変形は、上側の密封
面16の平坦面と、下側のガスケット収容溝30とで囲
まれた三角形状の空間に規制されて起こる。変形したあ
との金属ガスケット40は、断面が概略三角形で各頂点
が丸くなった「三角おむすび形」になる。 〔再使用〕上記した配管のフランジ継手では、配管のレ
イアウト変更があったり、配管内の清掃、洗浄などの作
業を行なったりする際に、フランジ10、20を開くこ
とがある。必要な作業が終わった後、配管の再接続が行
なわれる。
【0033】図2の状態で、ボルト50を緩めて取り外
し、フランジ10、20を開いたときには、金属ガスケ
ット40は、ガスケット収容溝30の形状にしたがって
埋め込まれた状態であり、下向きに尖った三角形状をな
している。ガスケット収容溝30から金属ガスケット4
0を取り出しても、前記三角形状のままである。図3に
示すように、配管の再接続を行なうまえに、ガスケット
収容溝30に再び金属ガスケット40を装着する。この
とき、金属ガスケット40を、先の使用状態とは上下が
逆になるように裏返して、ガスケット収容溝30に装着
する。金属ガスケット40の三角形の頂点が上を向く姿
勢になる。
【0034】下向き三角形のガスケット収容溝30に、
上向き三角形の金属ガスケット40が配置されるので、
金属ガスケット40は、その一部のみしかガスケット収
容溝30に収められない。金属ガスケット40の底辺
が、ガスケット収容溝30の左右に存在する傾斜面32
の途中に当接する。金属ガスケット40の上部は、ガス
ケット収容溝30の開口面すなわち密封面26よりも、
かなり上に突出した状態になる。この状態で、金属ガス
ケット40の上端と密封面26との距離が、次に密封使
用する際の締め代になる。図5は、金属ガスケット40
とガスケット収容溝30との関係を詳しく示している。
2点鎖線で示す金属ガスケット40が、前記図2の状態
を表す。金属ガスケット40は、三角形の底辺44が上
側の密封面16に当接し、残りの2辺がガスケット収容
溝30の左右の傾斜面32に当接している。ガスケット
収容溝30の底側では、金属ガスケット40の三角形の
頂点42よりも下側には空隙34があく。
【0035】図5に実線で示す金属ガスケット40は、
図3の状態を表す。金属ガスケット40の三角形状のう
ち、頂点42が平坦な上側の密封面16に当接し、三角
形の底辺44が、ガスケット収容溝30の左右に存在す
る傾斜面32の途中に当接している。図4に示すよう
に、前回の使用時と同様に、ボルト50を取り付けてフ
ランジ10、20を締め付け、密封面16、26を圧接
して密封する。金属ガスケット40は、平坦な密封面1
6と三角形状のガスケット収容溝30との間に収まるよ
うに変形する。この状態は、前回の密封状態である図2
とほぼ同じ状態であり、金属ガスケット40による密封
機能は十分に果たされる。
【0036】金属ガスケット40の変形を詳しくみる
と、前記図3あるいは図5に示す、金属ガスケット40
の三角形の頂点42が、平坦な密封面16で押し潰され
て、平坦な底辺42になる。この変形に伴ない、ガスケ
ット収容溝30の内部では、左右の傾斜面32に沿っ
て、金属ガスケット40が底側に膨れるように変形す
る。金属ガスケット40の底側には空隙34があいてい
るので、金属ガスケット40は比較的に容易に変形でき
る。その結果、金属ガスケット40の下部中央が膨出し
て、三角形の頂点を形作ることになる。なお、図4に示
す今回使用時における金属ガスケット40の形状と、図
2の前回使用時における金属ガスケット40の形状と
は、厳密に一致するものではない。今回使用時のほう
が、前回使用時よりも、高さ方向に押し潰された形状に
なるものと推定できる。
【0037】〔繰り返し使用〕図4に示す再使用状態か
ら、前回の使用時と同様に、フランジ10、20を開い
て、金属ガスケット40を取り出せば、さらに次回の使
用も可能である。すなわち、再使用状態から取り出した
金属ガスケット40も、断面形状は前回と同様に三角形
状をなしているのであるから、もう一度、図5における
頂点42と底辺44とが逆になるように裏返して使用す
ればよいのである。フランジ10,20を開くたびに、
金属ガスケット40を取り出して、上下を逆に裏返して
装着し直すという作業を行なうことで、同じ金属ガスケ
ット40を何度も繰り返し使用することが可能になる。
【0038】金属ガスケット40が、前記した三角形状
を維持していて、上下を逆にしてガスケット収容溝30
に収容したときに、ガスケット収容溝30の上方に突出
する部分の高さ、すなわち締め代が十分に確保されてい
る限り、金属ガスケット40による密封機能は発揮でき
る。但し、金属ガスケット40の使用を繰り返している
うちに、前記した三角形状が徐々に変化する。密封使用
時に締め付け圧力が加わる上下方向に、三角形が扁平に
なるように変形する傾向がある。ガスケット収容溝30
に収容したときに、密封面26よりも上方に突出する高
さ、すなわち締め代が少なくなる。
【0039】その結果、金属ガスケット40の密封機能
は徐々に弱くなる。したがって、必要とされる密封機能
が達成できなる限界回数を予測しておき、限界回数に達
した金属ガスケット40は廃棄するようにすればよい。
新たな使用の前に、ガスケット収容溝30に収容したと
きの金属ガスケット40の突出量すなわち締め代を測定
して、金属ガスケット40の寿命あるいは性能低下を推
測することもできる。 〔寸法条件〕上記したような金属ガスケット40の繰り
返し使用を可能にするために、好ましい寸法条件があ
る。
【0040】金属ガスケット40の変形は、金属ガスケ
ット40の材料特性、金属ガスケット40およびガスケ
ット収容溝30の形状などの条件が決まれば、有限要素
法などを適用して数値解析することで求められる。図6
に示すように、密封面26のガスケット収容溝30に金
属ガスケット40を収容し、金属ガスケット40の上端
に上側の密封面16を配置した状態で、各部の寸法を規
定する。断面円形をなす金属ガスケット40の直径が
D、V字形をなすガスケット収容溝30の開口幅がW、
鉛直線に対する傾斜角度がθ、密封面16、26の間隔
すなわち締め代がGである。
【0041】有限要素解析の前提条件として、以下の条
件を想定した。 金属ガスケットの材質:純アルミニウム相当の強塑性
体。 密封面の材質:SUS304相当の剛体、表面粗さRm
ax=2S。 摩擦係数:0.3、相対滑り速度:0.1。 ガスケット収容溝の溝中心径Dm:40mm。 <解析結果>有限要素解析によって求められた各部の好
ましい寸法とその理由は、以下のとおりである。
【0042】ガスケット収容溝30の開口幅W=3〜1
0mm。 開口溝Wが大きくなると、ガスケット収容溝30に収容
する金属ガスケット40の直径Dが大きくなり、密封面
16、26を閉じるための締め付け荷重が大きくなる。
金属ガスケット40の直径Dが小さ過ぎると、取り扱い
難いという問題がある。適切な直径Dの金属ガスケット
40を使用して、適度な締め付け荷重で使用するには、
前記開口幅Wの範囲が好ましい。 傾斜角度θ=20〜45°、好ましくは25〜40°。 傾斜角度θによって、繰り返し使用したときの締め代量
の減少度が変わる。締め代減少度を比較的小さい適度な
範囲に設定するために、前記した傾斜角度範囲が好まし
い。
【0043】第1回目使用時の締め代G/金属ガスケッ
ト直径D=10〜40%、好ましくは20〜30%。 締め代Gが大きいほど締め付け荷重は大きくなる。第1
回目使用時の締め代Gが変わっても、繰り返し使用によ
る締め代の減少傾向の変化は少ない。第1回目使用時の
締め代Gが大きいほど、その後の使用回でも締め代Gが
大きくなり、繰り返し使用に有利である。金属ガスケッ
ト40の断面積が、ガスケット収容溝30の断面積より
も大きくなってしまうと、密封面16、26の締め切り
ができない。このような条件を考慮して、前記締め代G
の範囲が設定できる。
【0044】なお、有限要素解析の設定条件が変わる
と、前記各部寸法の好ましい条件も変わる可能性はある
が、実用的使用の範囲では、前記寸法条件の範囲に設定
しておけばよい。後述する断面八角形の金属ガスケット
40など、金属ガスケット40の形状や寸法を変更した
場合には、前記同様の有限要素解析を適用することで、
それぞれの条件において、より適切な寸法範囲を求める
ことができる。 〔ガスケット収容溝の変更例〕図7に示す実施形態は、
ガスケット収容溝30の形状を変更している。
【0045】図7(a)に示すガスケット収容溝30
は、概略ラッパ状をなす。ガスケット収容溝30の左右
の側壁が、底側から開口側へと曲線状に拡がる傾斜面3
2になっている。図7(b)に示すガスケット収容溝3
0は、2段V字形をなす。ガスケット収容溝30の左右
の側壁が、2段の傾斜面32になっている傾斜面32の
鉛直方向に対する傾斜角度が、底側では小さく、開口側
では大きい。この場合、金属ガスケット40を収容した
ときには、傾斜面32の上段側あるいは下段側の何れが
当接してもよい。要求される密封機能に合わせて金属ガ
スケット40の寸法形状を変えることで、金属ガスケッ
ト40の当接個所の傾斜角度を選択的に変更し、密封性
能を調整することが可能である。
【0046】〔多角形状の金属ガスケット〕図8に示す
実施形態は、多角形状の金属ガスケット40を使用す
る。図8(a)に示す金属ガスケット40は、正四角形
の対向する2辺を端から一定の距離まで斜めに切り落と
して、概略八角形にした形状を有する。金属ガスケット
40の四方の傾斜辺の傾斜角度θaが、ガスケット収容
溝30の傾斜面32の傾斜角度θに合わせてある。ガス
ケット収容溝30に収容された金属ガスケット40は、
左右下部の傾斜辺が、ガスケット収容溝30の傾斜面に
当接して配置される。金属ガスケット40の下辺より底
側には空隙34が構成される。金属ガスケット40の上
辺が上側の密封面16に当接する。
【0047】この実施形態では、第1回目の使用時か
ら、平坦な密封面16およびガスケット収容溝30の傾
斜面32に対して、金属ガスケット40が、広い範囲で
確実に当接することができる。前記した図6の実施形態
における断面円形の金属ガスケット40は、第1回目の
密封使用時には、密封面16およびガスケット収容溝3
0傾斜面32に対して、線接触している。図5に示す2
回目の使用時にも、やはり、線接触になる。これに対
し、図8に示すように、この実施形態では、第1回目の
使用時でも、金属ガスケット40が密封面16および傾
斜面32の何れに対しても、面接触をしている。その結
果、接触個所におけるなじみが良くなり、高い密封性能
を発揮することができる。
【0048】金属ガスケット40を裏返して再使用する
ときにも、八角形の傾斜辺がガスケット収容溝30の傾
斜面32に確実に当接できる。使用を繰り返しても、常
に、金属ガスケット40と密封面16および傾斜面32
との接触は十分な面積での面接触になる。なお、この実
施形態では、繰り返し使用しているうちに、金属ガスケ
ット40の八角形のうち、前記した傾斜辺が徐々に広く
なり、高さ方向には短くなり、横方向に拡がるように変
形するものと推測できる。上記した実施形態は、八角形
状の金属ガスケット40を使用しているが、八角形以外
の多角形でも同様の機能を果たすことができる。
【0049】例えば、図8(b)に示す六角形の金属ガ
スケット40が使用でき、12角形なども採用できる。 〔保持部材の使用〕図9に示す実施形態は、一対のフラ
ンジ10、20の中間に保持部材60を配置する。保持
部材60は、フランジ10、20と同様の材料からな
り、概略円板状をなし、中心に貫通孔62を有してい
る。貫通孔62は、上下の配管12、22を連通させて
ガスなどの流通を図る。
【0050】保持部材60の上下の平坦な表面51、5
3のそれぞれに、ガスケット収容溝30が設けられ、金
属ガスケット40が装着される。ガスケット収容溝30
は、前記した図1の実施形態と同様に左右対称の傾斜面
32を有しているとともに、平坦な底面を有しており、
全体が逆台形状をなしている。上下のフランジ10、2
0には何れも、平坦な密封面16、26が設けられる。
保持部材60の上面61と、上側のフランジ10の密封
面16との間に、一つの密封構造が構成され、保持部材
60の下面63と、下側のフランジ20の密封面26と
の間に、別のもう一つの密封構造が構成される。
【0051】上記の実施形態では、既存設備の一部品で
あるフランジ10、20の密封面16、26には、ガス
ケット収容溝30を設けなくても良いので、製造や加工
の手間が省ける。ガスケット収容溝30がない一般的な
フランジ継手に、本発明の密封構造を追加することも可
能になる。フランジ10、20の開け閉めおよび金属ガ
スケット40の裏返し作業などを行う際には、フランジ
10、20の間から、保持部材60とともに金属ガスケ
ット40を出し入れすることができる。フランジ10、
20の外で、保持部材60から金属ガスケット40を取
り出したり、裏返して再装着したりする作業を行えば、
作業が容易である。フランジ10、20の設置個所に作
業スペースが取れなかったり、作業環境が良くなかった
りする場合でも、保持部材60を作業に適した場所に移
動して必要な作業を行うことができる。
【0052】〔保持部材の変更例〕図10に示す実施形
態は、前記実施形態と構造が異なる保持部材60を使用
する。図10(a)では、ガスケット収容溝30の位置
を、上下で内周側と外周側とに少しずらせて配置してい
る。これによって、保持部材60の厚みを薄くすること
ができ、フランジ10、20による継手構造全体も短く
なる。上下の金属ガスケット40は環径が違うので、繰
り返し使用しても、上下のガスケット収容溝30に入れ
間違うことがない。繰り返し使用の際に、保持部材60
を上下に裏返して使用すると、フランジ10、20の密
封面16、26に対して金属ガスケット40が当接する
位置が変わることになり、密封面16、26の同じ位置
ばかりに負荷が加わるのを軽減することができる。
【0053】図10(b)では、保持部材60を、内外
周に2分割している。内周部材60bの傾斜した外周端
面と、外周部材60aの傾斜した内周端面との間に、V
字形のガスケット収容溝30が構成される。この実施形
態では、密封使用後に、ガスケット収容溝30から変形
した金属ガスケット40を取り出すのが容易になる。す
なわち、変形した金属ガスケット40が、ガスケット収
容溝30の内部に密着して埋め込まれた状態になってし
まった場合には、金属ガスケット40を傷付けないよう
に、ガスケット収容溝30から引き出すのは、かなり技
術あるいは力を要する。
【0054】しかし、内周部材60bと外周部材60a
とを、軸方向〔図10(b)の上下方向)にずらすよう
に動かして、内周部材60bと外周部材60aとを引き
離せば、金属ガスケット40はガスケット収容溝30か
ら容易に取り出せる。内周部材60bと外周部材60a
とに操作力を加えるので、金属ガスケット40に直接に
大きな力を加えて損傷させる心配もない。図10(c)
の構造は、前記図10(a)の構造と図10(b)の構
造を組み合わせている。内周部材60bと外周部材60
aとに分割構成され、両者の間に構成されるV字形のガ
スケット収容溝30は、内外周にずらせて配置されてい
る。
【0055】特に、内周部材60bと外周部材60aと
は、上下のガスケット収容溝30を結ぶ線64で分割さ
れている。分割線64で示される位置合わせ面を有する
ことで、内周部材60bと外周部材60aとの位置決め
が正確になり、内周部材60bと外周部材60aとの密
封面61、63が上下にずれたり姿勢が傾いたりするよ
うなことが防げる。
【0056】
〔実施例1〕
金属ガスケット:断面円形(図6参照)、直径D=2m
m、純アルミニウム製(硬度Hv=27)、環中心径4
0mm。 フランジ:SUS304製(表面粗さRmax=2S)、
直径60mm、厚み20mm。
【0057】ガスケット収容溝:V字溝(図6参照、傾
斜角度θ=30°、溝開口幅W=3mm)。 したがって、金属ガスケットをガスケット収容溝に配置
した図6の状態における初期締め代G=0.4mmにな
る。 〔実施例2〕 金属ガスケット:断面8角形〔図8(a)参照〕、幅2
mm、高さ2mm、傾斜角度θa=30°、環中心径4
0mm、材質は実施例1と同じ。締め代G=0.4m
m。
【0058】フランジおよびガスケット収容溝は、実施
例1と同じ。 〔比較例1〕 ガスケット:バネ入りCリング、外被材質アルミニウ
ム、外被厚さ0.4mm、コイルバネ材質インコネル、
バネ巻径2.6mm、バネ線径0.4mm、内径37m
m、断面径3.8mm。 フランジ:実施例1と同じ。 ガスケット収容溝:矩形溝、溝幅5.0mm、溝深さ
3.0mm。 〔密封性試験〕アムスラー圧縮試験機を用い、一対のフ
ランジの間にガスケットを装着した状態で、厚み方向に
圧縮負荷を加え、フランジの密封面同士が完全に密着す
る締めきり状態にした。ガスケットの内側になるフラン
ジの中央空間にヘリウムリークディテクターを接続し
た。ガスケットの外側になるフランジの外部空間にヘリ
ウムガスを供給した。ヘリウムリークディテクターで検
出されたヘリウム量を、ガスケットの漏洩量として測定
した。
【0059】上記測定を繰り返した。実施例1、2で
は、各測定回毎に、ガスケット収容溝から取り出したガ
スケットを上下に裏返してから、再装着を行なった。 〔試験結果〕
【0060】
【表1】
【0061】 評価基準: × =ヘリウム漏洩量10-6Pa・m3/s以上 ○ =ヘリウム漏洩量10-6〜10-9Pa・m3/s ○○ =ヘリウム漏洩量10-9〜10-11Pa・m3/s ○○○=ヘリウム漏洩量10-11Pa・m3/s以下 <評価> (1) 比較例1(従来のバネ入りCリング)は、1回目の
使用では、必要とされる密封性能が発揮できるが、繰り
返し使用するごとに、急激に性能が低下して、第4回以
後は、十分な密封性能は発揮できなくなる。
【0062】(2) 本発明の実施形態のうち、実施例1
(断面円形)の場合、1回目の使用では、実用上は十分
であるが、比較例1に比べると少し密封性能が劣る。し
かし、使用回数が第2回から第3回と増えるにつれ、密
封性能が向上している。その後は、第16回まで繰り返
しても、優れた密封性能を継続して発揮することができ
る。実施例1の場合、数回の試験運用あるいは慣らし使
用のあとで、実用に供すれば、最初の実用的使用回から
高い密封性能を発揮させることができる。 (3) 実施例2(断面8角形)では、第1回から高い密封
性能を発揮できており、第16回まで安定した性能が発
揮できている。
【0063】
【発明の効果】本発明にかかる金属ガスケットによる密
封構造では、前記平坦部を有する密封面と、前記拡開部
と空隙部とを有するガスケット収容溝を備えた密封面と
の間に金属ガスケットを装着して使用する。一旦使用し
変形した金属ガスケットを裏返してガスケット収容溝に
装着することで、再び、良好な密封性能を発揮すること
ができる。その結果、金属ガスケットを裏返すという操
作を行なうだけで、同じ金属ガスケットを何度も繰り返
し使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す密封構造の密封前に
おける断面図
【図2】 密封状態における断面図
【図3】 再密封前における断面図
【図4】 再密封状態における断面図
【図5】 金属ガスケットの収容状態を示す拡大断面図
【図6】 金属ガスケットの寸法関係を説明する断面図
【図7】 ガスケット収容溝の別の実施形態を示す断面
【図8】 金属ガスケットの別の形態を示す断面図
【図9】 保持部材を使用する実施形態を示す断面図
【図10】 保持部材の別の実施形態を示す断面図
【符号の説明】
10、20 フランジ 16、26、61、63 密封面 30 ガスケット収容溝 32 傾斜面 34 空隙 40 金属ガスケット 50 ボルト 60 保持部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の密封面の間に環状の金属ガスケット
    を挟み込んで金属ガスケットの内外周空間を遮断する密
    封構造であって、 前記一方の密封面は、前記金属ガスケットの当接個所に
    配置された平坦部を有し、 前記他方の密封面は、前記金属ガスケットが収容される
    ガスケット収容溝を有し、 前記ガスケット収容溝は、前記金属ガスケットが当接す
    る側壁に配置され底側から開口側へと開く拡開部と、前
    記金属ガスケットよりも底側に配置される空隙部とを有
    し、 前記金属ガスケットは、前記一方の密封面に有する平坦
    部と、前記他方の密封面のガスケット収容溝に有する左
    右の側壁の拡開部との3個所に当接し、ガスケット収容
    溝に収容されたときに、金属ガスケットの一部がガスケ
    ット収容溝の外に突出する密封構造。
  2. 【請求項2】前記ガスケット収容溝が、直線状の傾斜面
    からなる拡開部を左右の側壁に対称形状で備える請求項
    1に記載の密封構造。
  3. 【請求項3】互いの対向面にそれぞれ密封面を有する一
    対の密封部材と、前記一対の密封部材の中間に配置さ
    れ、両面に密封面を有するガスケット保持部材とを備
    え、 前記一方の密封部材の密封面と、この密封面と対向する
    前記ガスケット保持部材の片側の密封面との間に、前記
    請求項1または2に記載の密封構造からなる第1の密封
    構造を備え、 前記他方の密封部材の密封面と、この密封面と対向する
    前記ガスケット保持部材の他側の密封面との間に、前記
    請求項1または2に記載の密封構造からなる第2の密封
    構造を備える密封構造。
  4. 【請求項4】一対の密封面の間に環状の金属ガスケット
    を挟み込んで金属ガスケットの内外周空間を遮断する密
    封方法であって、 請求項1〜3に記載の密封構造において、一方の密封面
    に有するガスケット収容溝に金属ガスケットを収容し、
    ガスケット収容溝から突出する金属ガスケットに他方の
    密封面の平坦部を当接させ、一対の密封面が密着するま
    で締め付けて、金属ガスケットの内外周空間を遮断する
    第1の使用段階と、 先の使用段階の後で、前記一対の密封面を互いに開き、
    一方の密封面のガスケット収容溝に収容された金属ガス
    ケットを取り出し、金属ガスケットを裏返す工程と、 裏返した金属ガスケットを、前記一方の密封面に有する
    ガスケット収容溝に収容し、ガスケット収容溝から突出
    する金属ガスケットに他方の密封面の平坦部を当接さ
    せ、一対の密封面が密着するまで締め付けて、金属ガス
    ケットの内外周空間を遮断する第2の使用段階とを含む
    密封方法。
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