JP2003170289A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents

レーザ加工装置およびレーザ加工方法

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JP2003170289A
JP2003170289A JP2001372230A JP2001372230A JP2003170289A JP 2003170289 A JP2003170289 A JP 2003170289A JP 2001372230 A JP2001372230 A JP 2001372230A JP 2001372230 A JP2001372230 A JP 2001372230A JP 2003170289 A JP2003170289 A JP 2003170289A
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laser processing
laser
processing
processing method
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Tadahiro Omi
忠弘 大見
Tatsuo Ito
辰夫 伊藤
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 レーザを利用した加工に際し、加工噴出物の
再付着を抑制し、加工速度の向上や、加工形状の改善、
高アスペクト加工を実現する。 【解決手段】 少なくともレーザ発生装置100により
発生させたレーザ光110によって被加工物を加工する
レーザ加工装置120であって、加工時に前記被加工物
104の帯電状態を制御する帯電状態制御手段を具備し
ているものであるレーザ加工装置120。および被加工
物にレーザ光を照射して被加工物の加工を行うレーザ加
工方法において、加工時に前記被加工物の帯電状態を制
御しつつ被加工物のレーザ加工を行うレーザ加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ加工装置およ
びレーザ加工方法に係る。より詳細には、加工に伴う被
加工物や加工周辺部への加工噴出物の付着を防止し、加
工形状や加工速度を改善することが可能なレーザ加工装
置およびレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高ピークパワーレーザや短波長の
エキシマレーザなどの登場により、光化学反応をベース
とする高精度レーザ加工が活用されている。ところが一
般的なレーザ加工においては、高いアスペクト加工が困
難であるという欠点がある。これは、レーザ光の広がり
角の問題など様々な要因に起因するものであるが、その
主な原因の一つとして、加工に伴い噴出した材料である
加工噴出物が加工面に再付着することがあげられる。す
なわち、このようなレーザによる加工方法では、レーザ
加工により発生した原子状物質(加工噴出物)が加工面
等に再付着して、加工面の平坦性が得られず加工形状が
劣化したり、加工速度が低下するといった問題があっ
た。
【0003】これに対し、先に提案された特願2000
−210192号においては、加工部周辺に、加工に伴
う加工噴出物に対し、反応性の高い気体分子やラジカル
を供給して安定化させ、加工面への吸着を抑制するとい
う技術が用いられている。しかしながら、この方式で
は、アスペクト比が高く、かつ高速の加工を行った場
合、反応させるラジカル等の供給が律速して十分な効果
が得られない場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、レーザを利用し
た加工に際し、レーザによる化学反応もしくは熱反応・
アブレーション・熱電子放出などの現象を伴い噴出した
原子・分子・ラジカル・クラスタ等の加工噴出物の加工
面への再付着を抑制し、加工速度の向上や加工形状の改
善、高アスペクト加工を実現することを主たる目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、少なくともレーザ発生装置により発生させ
たレーザ光によって被加工物を加工するレーザ加工装置
であって、加工時に前記被加工物の帯電状態を制御する
帯電状態制御手段を具備しているものであることを特徴
とするレーザ加工装置である(請求項1)。
【0006】このように、本発明のレーザ加工装置は加
工時に被加工物の帯電状態を制御する帯電状態制御手段
を有する。これは、例えば加工に際して生じる電荷を除
去する機構であり、これにより被加工物や加工レーザ経
路等への加工噴出物の再付着を防止する。加工面から噴
出した原子・分子・クラスタ等の粒子は高いエネルギ状
態にあり、その多くは帯電(イオン化)している。また
同時に発生しているラジカルも、周辺に反応しうる分子
やクラスタがある場合には反応を繰り返しながら、荷電
粒子を形成する。一方、同時に噴出する電子の多くは質
量が軽いために加工壁へ急速に吸収され、結果的に被加
工物を負に帯電させる。この結果、正に帯電した粒子は
クーロン力により被加工物表面へ静電吸着され、再付着
を起こしてしまう。これに対し、本発明では被加工物の
帯電状態を制御する帯電状態制御手段を設け、例えば被
加工物に生じる電荷を外部に排出して被加工物の帯電を
防止することにより、加工噴出物の再付着が抑制され
る。このような装置であれば、前述のラジカル等を供給
して加工噴出物を安定化するような装置と異なり、ラジ
カル等の供給速度や反応速度には関係なく加工噴出物の
再付着を防止できるため、加工形状の改善、高アスペク
ト比、高速度の加工が可能なものとなる。
【0007】この場合、前記帯電状態制御手段は、前記
被加工物の電位を制御する電位制御手段を具備している
ものとすることができる(請求項2)。このように本発
明における一形態として、帯電状態制御手段は被加工物
の電位を制御する電位制御手段を具備しているものであ
る。このような電位制御手段により被加工物の電位を制
御すれば、容易に被加工物の帯電状態を制御でき、例え
ば被加工物に生じる電荷を外部に排出して除去したり、
あるいは所望の極性に帯電させることにより、加工噴出
物の再付着を防止することができるものとなる。
【0008】この場合、前記電位制御手段は、前記被加
工物をアースに接続するものとすることができる(請求
項3)。このように電位制御手段が被加工物をアースに
接続するものであれば、電圧源等を特に設けなくとも、
被加工物を容易に地電位として電荷を除去することがで
きる。再付着を防止したい加工噴出物の粒子が正負両方
のイオンを同程度含む場合、もしくは電圧源等での消費
電力を低減したい場合は、このように電位制御手段が被
加工物をアースに接続するものであることが望ましい。
【0009】また、この場合、前記電位制御手段は、前
記被加工物が加工噴出物と同極性に帯電するように被加
工物にバイアスをかけるものとすることができる(請求
項4)。このように電位制御手段が被加工物が加工噴出
物と同極性に帯電するように被加工物にバイアスをかけ
るものであれば、加工噴出物と被加工物間の静電斥力に
より、加工噴出物の再付着を効果的に防止することがで
きる。具体的には、再付着を防止したい粒子のうち多数
が正の電荷を帯びている場合は正の電圧、負の電荷を帯
びている場合は負の電圧を印加することが望ましい。な
おこの場合、帯電状態の保存のみを目的とする場合は定
電圧源を用いることができる。また、加工深さに対して
電圧を制御することにより深さ方向の加工形状を改善す
ることができる。
【0010】また、前記帯電状態制御手段は、前記被加
工物付近にプラズマを発生させるプラズマ発生手段を具
備しているものとすることができる(請求項5)。この
ように本発明における一形態として、帯電状態制御手段
は、被加工物付近にプラズマを発生させるプラズマ発生
手段を具備しているものとし、例えばレーザ加工時に被
加工物から加工に際して生じる電荷を、プラズマを介し
て除去するようにしても良い。このプラズマは別のプラ
ズマ源を用いて発生させてもよいが、高エネルギレーザ
を用い、レーザ光照射により副次的に発生したプラズマ
を用いてもよい。また、被加工物を電極としてプラズマ
を形成してもよい。
【0011】また本発明の装置は、加工噴出物を偏向誘
導する偏向誘導手段および/または加工噴出物を捕集す
る捕集手段を具備しているものとすることができる(請
求項6)。このように、加工時に発生した加工噴出物を
偏向誘導する偏向誘導手段と、加工噴出物を捕集する捕
集手段を設けることにより、加工装置内に噴出した加工
噴出物が被加工物やレーザ光取りこみ窓等の加工装置機
器に付着することを効果的に防止することができる。
【0012】この場合、前記レーザ発生装置は、VUV
レーザ光を発生するものとすることが好ましい(請求項
7)。このように本発明における一形態として、前記レ
ーザはVUV(真空紫外:Vacuum Ultrav
iolet)レーザである。より具体的には、XeCl
・KrF・ArF・F等の波長40nmから400n
mを有するレーザを差す。この波長域においては電磁波
と物質の干渉が大きく(吸収係数が大きい)、例えばシ
リコンの場合10/cm程度の吸収係数をとる。ま
た、エネルギ的にも単体の光子で31から3.1eVと
いう、あらゆる物質の原子間結合エネルギやイオン化エ
ネルギと同レベルのエネルギを持ち、原子間結合切断時
のエネルギ効率的にも有利である。
【0013】この場合、前記被加工物の加工の終了した
領域に反射体を挿入する手段を具備しているものである
ことが好ましい(請求項8)。レーザ加工において、被
加工物の加工の終了した方向へ反射された反射光は切断
に使用されず、加工効率が高くならない。そこで、加工
の終了した領域に例えば高反射率のシート材等から成る
反射体を挿入する手段を具備していることにより、反射
光をレーザ加工に再利用でき、加工効率を向上させるこ
とができる。
【0014】この場合、被加工物がシリコンであるもの
とすることができる(請求項9)。このように本発明に
おける一形態として、前記被加工物はシリコンとするこ
とができる。シリコンは単結晶がよく使用されている
が、通常の機械加工では劈開しやすくレーザ加工が最適
なアプリケーションの一つである。劈開が発生しないレ
ーザ加工を用いて高いアスペクト加工が可能となる本発
明による産業上のメリットは大きい。なお、その他の化
合物等の半導体や酸化物、単結晶などでも同様な効果が
得られるが、金属などに関しても変質の少ない精密加工
が可能となることはいうまでもない。
【0015】また本発明は、被加工物にレーザ光を照射
して被加工物の加工を行うレーザ加工方法において、加
工時に前記被加工物の帯電状態を制御しつつ被加工物の
レーザ加工を行うことを特徴とするレーザ加工方法であ
る(請求項10)。
【0016】このように被加工物の帯電状態を制御しつ
つ被加工物の加工を行うことにより、加工時に発生する
加工噴出物が被加工物に付着することを防止することが
できる。このような方法であれば、前述した特願200
0−210192号のような噴出物に対し反応性の高い
気体分子やラジカルを供給して安定化させるような方法
と異なり、ラジカル等の供給速度により影響されるとい
うことがないので、効果的に加工噴出物の再付着を防止
し、アスペクト比が高く高速の加工を行うことができ
る。
【0017】また、この場合の被加工物の帯電状態の制
御は、前記被加工物の電位を制御することにより行うこ
とができる(請求項11)。このように被加工物の電位
を制御することにより、被加工物の帯電状態を容易に制
御し、被加工物の帯電した電荷を除去したり、所望の極
性に帯電させたりして、加工噴出物の再付着を防止する
ことができる。
【0018】この場合、前記被加工物の電位の制御は、
被加工物をアースに接続することにより行うことができ
る(請求項12)。具体的に被加工物の電位の制御を行
うには、被加工物をアースに接続することによって被加
工物の電位を地電位とし、被加工物の電荷を取り除くこ
とができる。このようにすれば、再付着を防止したい加
工噴出物の粒子が正負両方のイオンを同程度含む場合
に、被加工物が常に電荷を帯びない状態となるため、簡
単に加工噴出物の再付着を防止することができる。さら
に、この方法では、別途電圧源等を使用する必要もない
ため、消費電力が増加することもない。
【0019】あるいは、被加工物の電位の制御は、被加
工物が加工噴出物と同極性に帯電するように被加工物に
バイアスをかけることにより行うことができる(請求項
13)。このようにして、加工時に生じた帯電した加工
噴出物と同極性に被加工物を帯電させることにより、加
工噴出物の大部分の極性が正負のいずれかである場合に
は、静電斥力を利用し、効果的に加工噴出物の再付着を
防止することができる。
【0020】また、被加工物の帯電状態の制御は、前記
被加工物付近にプラズマを発生させることにより行うこ
とができる(請求項14)。このように被加工物付近に
プラズマを発生させることにより、被加工物の帯電状態
を制御することができる。具体的には、別個のプラズマ
源を被加工物に近接させ、被加工物の帯電状態を制御す
ることができる。また加工に用いるレーザ照射により生
じたプラズマを利用できる場合もある。これは発生した
電荷を中性化させる能力のあるプラズマが発生する高エ
ネルギレーザを用いる。例えばArFレーザを狭面積に
集光した場合などである。あるいは、被加工物を電極と
してプラズマを発生させることもできる。
【0021】この場合、加工時に生じる加工噴出物を偏
向誘導および/または捕集することが好ましい(請求項
15)。このように加工時に生じる加工噴出物を偏向誘
導し捕集するようにすれば、さらに効果的に加工噴出物
の被加工物への再付着や周辺の機器への付着を防止する
ことができる。具体的には、例えば、帯電した加工噴出
物に対しては電界を設けて、加工噴出物が飛散する方向
を偏向誘導し、帯電させた捕集手段により捕集すること
により、加工噴出物の偏向誘導・捕集を行うことができ
る。
【0022】この場合、前記被加工物にVUVレーザ光
を照射することが好ましい(請求項16)。このように
被加工物に、物質との相互作用が効果的に発生し、かつ
高エネルギであるVUVレーザ光を照射することによ
り、アスペクト比が高く、かつ高速の加工を効率良く行
うことができる。
【0023】この場合、前記被加工物の加工が終了した
領域に反射体を挿入しつつ被加工物のレーザ加工を行う
ことが好ましい(請求項17)。このように、前記被加
工物の加工が終了した領域に反射体を挿入しつつ被加工
物のレーザ加工を行うことにより、加工が終了した領域
に反射した反射光を再利用して、加工効率を向上させる
ことができる。
【0024】また、前記被加工物をシリコンとすること
ができる(請求項18)。本発明の加工方法は、機械加
工では劈開しやすいシリコンを従来のレーザ加工方法よ
りも高いアスペクト比でより高速で加工ができるため、
半導体シリコンを加工する方法として最適なものとな
る。
【0025】以下、本発明について更に詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。レーザ
加工においては、一般的にはレーザ光と物質の相互作用
による熱反応(光熱反応)さらには化学反応(光化学反
応)により物質が加工されていく。例えば炭酸ガスレー
ザなどは熱反応によるアブレーションや蒸発が加工の主
要因であるが、このような場合は局所的に高温となるた
め、被加工物周辺に熱によるプラズマが形成される。結
果的に、熱プラズマの発生→電子の被加工物への吸収→
被加工物の帯電→正の電荷を帯びた加工噴出物の粒子の
吸着が発生し、加工噴出物の被加工物への再付着の問題
が発生する。
【0026】また、短波長レーザや軟X線・X線加工に
おいては、光子のエネルギが数eV〜数十eVとなり、
1光子で原子間の結合を完全に切断できるエネルギを持
つ。さらに、高エネルギピーク超短パルスレーザ等を用
いると、非線形現象の多光子吸収が発生し、さらに反応
時間が短い場合は熱へのエネルギ遷移が禁止されるた
め、同様に熱を介すことなく原子間結合を切断すること
が可能となる。しかし、これらの場合も、レーザ光の照
射による加工噴出物の多くは帯電しており、かつ同時に
大量の電子も放出されプラズマを形成する。そのため電
子が被加工物へ吸収され被加工物が帯電し、この場合も
前記の炭酸ガスレーザと同様に加工噴出物の再付着の問
題が発生する。
【0027】これに対し、本発明では加工時に被加工物
の帯電状態を制御することにより、加工噴出物の再付着
を防止するようにする。具体的には、被加工物の電位を
制御することにより、実現することができる。例えば、
被加工物をアースに接続するか、所定電圧の電圧源に接
続することにより、被加工物に蓄積される電荷を外部に
除去する機構を設け、被加工物の帯電を防止し、噴出物
の静電吸着による再付着を防止することが可能となる。
また、加工噴出物の帯電の状態により被加工物にバイア
ス電圧を印加し、加工噴出物と同極性に帯電させること
により、クーロン斥力を利用した積極的な再付着防止を
図ることも可能となる。
【0028】一例として、VUVレーザであるArFエ
キシマレーザを用いてSiインゴットからウエーハを切
断するプロセスについて検討する。口径300mmのイ
ンゴットから切断厚み(切りしろ)10μmで切り出す
場合、光子により噴出するSiの原子数は3.5×10
22個である。ArFの光子エネルギは6.4eVであ
り、価電子帯にある電子(Si結合に寄与する電子)を
単光子で真空準位まで励起可能であることから、結合に
寄与していた電子がSiインゴットに流れ込む(実際は
一部の電子は浮遊粒子と再結合するためより少なくな
る)と仮定し、仮に5分間でインゴットを切断すると、
平均電流は75Aにも達する。このような場合、電荷を
逃がすパスを確保しなければ、インゴットは急速にチャ
ージアップし、加工噴出物の再付着の原因となる。この
ことからも、前述したような電荷を除去する機構の重要
性が分かる。
【0029】このような加工中の被加工物の帯電状態
は、前述のような被加工物の電位を制御する他に、被加
工物付近にプラズマを発生させ、そのプラズマを介して
被加工物の電荷を除去することもできる。この場合のプ
ラズマの発生は、別途、プラズマ発生装置を配置しても
良いし、加工用のレーザ発生装置により発生したプラズ
マを利用することも可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面等を用いて本発明の実
施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。図1は、本発明のレーザ加工装置の
一例を示した概要図である。レーザ発生装置100から
放出されたレーザ光110は、被加工物104の加工面
112に照射され、被加工物104を薄円板状にスライ
ス加工を行ってゆく。このレーザ加工装置120では加
工噴出物の再付着を防止するため、帯電状態制御手段と
して、電位制御手段でありプラズマ発生手段としても用
いることができる接地された電圧源103とプラズマ発
生手段である外部プラズマ発生装置101を具備してい
る。
【0031】スライス加工のように被加工物104の切
断および分離を伴う加工の場合は、被加工物104が分
離した後も被加工物104の帯電状態を制御して加工噴
出物の付着を防止することを考慮し、図示のように電圧
源103から複数箇所に電気的な接続を取ることが必要
とされるが、穴あけ加工等切断・分離を伴わない加工の
場合は必ずしも複数の接点を取る必要はない。なお、ア
ルミニウム等により被加工物104を支持すれば簡単に
電気的な接続を取ることができる。また、被加工物への
接点の確保が困難な場合は、電解液などの導電性を持つ
液体、もしくはプラズマを介して接地すればよい。
【0032】被加工物104は電圧源103を介して接
地されるが、電圧源103を介さず、直接アースに接地
されることもある。加工に伴う被加工物104の帯電電
位の変動を抑制する場合は、電圧源として定電圧源が用
いられる。また、電圧源103により被加工物104表
面にプラズマを形成し、被加工物の中性化を計る場合
は、帯電電位変動抑制のためのバイアス電圧とプラズマ
励起のための高周波電圧を同時に印加する。なお、単に
定電圧源を用いる場合でも、電圧や対向電極を適宜選択
することにより、被加工物104表面にプラズマを形成
することができる。定電圧源を用いる場合の電圧の極性
や大きさは、本来加工噴出物の荷電状態により、被加工
物が加工噴出物と同極性に帯電するようにして決定され
るが、実用上は複数の電圧を用いて加工を行い、最も加
工速度が早い電圧か、加工形状が良好な電圧を選択すれ
ばよい。
【0033】加工面112から噴出した噴出物はすでに
加工された加工側面111を通過し、チャンバ102内
空間へ放出される。その間に加工側面111が噴出物と
逆極性に帯電している場合には静電吸着し、再付着が生
じやすい。これに対し、前述したような帯電状態制御手
段により加工側面111が帯電していない場合は静電吸
着は発生しない。さらに、加工噴出物と同極性に帯電し
ている場合はクーロン斥力により、被加工物104表面
への付着が抑制される。この効果により、加工噴出物の
再付着が防止され、加工速度の向上や加工形状の改善が
計れる。さらに加工側面111への再付着が防止される
ため、より高アスペクト比の加工が可能となる。なお、
本効果が顕著に現れるのは加工側面111であるが、被
加工物104のチャンバ102内雰囲気へのあらゆる暴
露面に対しても同様の効果があることは言うまでもな
い。
【0034】本発明では、電気的に中性の加工噴出物、
すなわち原子・分子・ラジカル・クラスタ等の吸着を抑
制するために、チャンバ102内にこれら中性でかつ活
性の噴出物を化学的に安定化させる、もしくは反応生成
物がより物理吸着しにくい化合物となるような分子やラ
ジカル、プリカーサを導入しておくことにより、より効
果的に再付着を抑制することができる。
【0035】本発明の装置においては、さらに外部プラ
ズマ発生装置101によりプラズマを形成し、被加工物
104の中性化を行う。本装置においては、外部プラズ
マ発生装置101近辺でプラズマを形成し加工面へ供給
するリモートプラズマ型や、対向電極を被加工物104
とし被加工物104との間で放電を行う対向電極型等を
用いることができる。なお、高エネルギレーザのように
加工に使用するレーザ光110そのものが導波路に存在
する分子を励起し、充分な密度のプラズマを形成する場
合は、外部プラズマ発生装置101そのものを設置しな
くてもよい場合がある。このように被加工物104付近
にプラズマを励起することで加工噴出物の被加工物10
4への再付着をさらに抑制することができる。
【0036】次に、図2を用いて本発明の別の実施形態
について説明する。本実施形態においては、シリコンを
VUVレーザである波長193nmのArFレーザを用
いて切断する例を示す。また本実施形態では、図1で示
した装置に、電極による加工噴出物を偏向誘導する偏向
誘導手段および噴出物の捕集手段を設けており、被加工
物および加工レーザ経路への付着防止機構を付与してい
る。被加工物104はアルミニウム等の支持部材105
で支持している。なお、図1に示されている項目と共通
する部位については基本的に説明・図示ともに省略す
る。
【0037】図2は本発明におけるレーザ加工装置の別
の一例を示した概要図であり、加工部周辺の詳細図であ
る。このレーザ加工装置220では、取り込み窓200
から集光されたレーザ光110が、被加工物104に照
射されスライス加工を行う。加工部から噴出した加工噴
出物である荷電粒子ビーム210は、誘導手段であるイ
オン化物誘導電極202に印加された電界によって軌跡
を曲げられ、捕集手段であるイオン化物捕集機構201
に衝突し、電荷を失い吸着する。イオン化物補集機構2
01は例えばイオンを吸着しやすい導電性部材をアース
に接地したものである。
【0038】シリコンの波長193nmにおける屈折率
は実部が0.86、虚部が2.69である。このように
損失が大きい場合、P偏光光の反射の最も少なくなる角
度は擬ブリュースタ角(第1ブリュースタ角)で与えら
れ、この場合、68.8度となる。なお、垂直入射の場
合の反射率は67.8%であるが、擬ブリュースタ角で
入射したP偏光光の反射率は50.1%と低減される。
なお、一般に全ての入射角でS偏光の方が反射率が高く
なるため、切断等の加工を行う際は、加工方向に垂直な
方向に偏光した光を用いることにより、切断方向に垂直
な方向の加工速度が低減し、より少ない切りしろで加工
を行うことができる。なお、このとき例えば回転系を用
いることにより、加工面に対し常に擬ブリュースタ角の
角度で入射するようにして加工を行うことで、より加工
効率を向上することができる。
【0039】なお、一方向に切断を行うような加工を行
う場合、切断が終了した方向へ反射された反射光は切断
に使用されず、加工効率が高くならない。このような場
合、反射光による加工効率の低減を防止する手段とし
て、図3に示すように、被加工物104の加工の終了し
た領域に、高反射率の材料をシート状に加工した反射体
203を挿入するという手段をとることができる(図3
は、紙面に対して上からレーザ光を照射し、被加工物1
04を右手側から左に向けて切断した所を現してい
る。)。この場合、反射体203表面に多層膜などの反
射膜を形成し、反射効率を向上しても良い。もし、反射
体203がレーザ光110により損傷を受け汚染源とな
る場合は、被加工物104と同じ材質(例えば被加工物
104がシリコンの場合、シリコン板)を選べばよい。
【0040】レーザ光110により、高アスペクトの加
工が行われると、加工部よりレーザ光照射方向に荷電粒
子ビーム210が噴出してくる。この荷電粒子ビーム2
10は取り込み窓200に衝突し、窓200を帯電させ
る。このような状態では、窓200の帯電状態により荷
電粒子ビーム210の挙動が変わり、窓200にシリコ
ンが付着することによりレーザ光110の照射強度が弱
まるなど、加工特性に経時変化が発生してしまう。これ
に対し、イオン化物誘導電極202に、例えば被加工物
104に印加される電圧から対称にバイアスすると、荷
電粒子ビーム210の軌跡を加減速することなく任意の
方向に曲げられる。さらに荷電粒子ビーム210を曲げ
た方向にイオン化物捕集機構201を設置しておくこと
で、荷電粒子ビーム210中のシリコンを効果的に回収
することができ、取り込み窓200への付着を防止でき
る。
【0041】上記イオン化物誘導電極202は平行平板
型の電極を用いても良いが、ビームを十分曲られる場合
は、図示のような対向電極型の電極が用いられる。この
ような場合、電極間に形成される電界分布は双曲線分布
に近いものが好ましい。具体的には双曲線状電極や図示
のような電極先端にR加工を施した電極等が好ましい。
【0042】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】
【発明の効果】本発明により従来困難であったレーザに
よる高アスペクト加工が可能となり、かつ加工効率が高
く、加工形状が良好な加工が可能となる。これにより、
従来不可能であった厚膜の切断や微細な高アスペクト比
の穴あけ加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるレーザ加工装置の一例を示した
概要図である。
【図2】本発明におけるレーザ加工装置の別の一例を示
した概要図である。
【図3】本発明において加工の終了した領域に反射体を
挿入する方法を示した図である。
【符号の説明】
100…レーザ発生装置、 101…外部プラズマ発生
装置、102…チャンバ、 103…電圧源、 104
…被加工物、105…支持部材、 110…レーザ光、
111…加工側面、112…加工面、 120…レー
ザ加工装置、200…取り込み窓、 201…イオン化
物捕集機構、202…イオン化物誘導電極、 203…
挿入する反射体、210…加工噴出物の荷電粒子ビー
ム、 220…レーザ加工装置。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 辰夫 東京都千代田区丸の内1丁目4番2号 信 越半導体株式会社内 Fターム(参考) 4E068 CG04 DB01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともレーザ発生装置により発生さ
    せたレーザ光によって被加工物を加工するレーザ加工装
    置であって、加工時に前記被加工物の帯電状態を制御す
    る帯電状態制御手段を具備しているものであることを特
    徴とするレーザ加工装置。
  2. 【請求項2】 前記帯電状態制御手段は、前記被加工物
    の電位を制御する電位制御手段を具備しているものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 【請求項3】 前記電位制御手段は、前記被加工物をア
    ースに接続するものであることを特徴とする請求項2に
    記載のレーザ加工装置。
  4. 【請求項4】 前記電位制御手段は、前記被加工物が加
    工噴出物と同極性に帯電するように被加工物にバイアス
    をかけるものであることを特徴とする請求項2に記載の
    レーザ加工装置。
  5. 【請求項5】 前記帯電状態制御手段は、前記被加工物
    付近にプラズマを発生させるプラズマ発生手段を具備し
    ているものであることを特徴とする請求項1ないし請求
    項4のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載のレーザ加工装置であって、加工噴出物を偏向誘
    導する偏向誘導手段および/または加工噴出物を捕集す
    る捕集手段を具備しているものであることを特徴とする
    レーザ加工装置。
  7. 【請求項7】 前記レーザ発生装置は、VUVレーザ光
    を発生するものであることを特徴とする請求項1ないし
    請求項6のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれか1項
    に記載のレーザ加工装置であって、前記被加工物の加工
    の終了した領域に反射体を挿入する手段を具備している
    ものであることを特徴とするレーザ加工装置。
  9. 【請求項9】 前記被加工物がシリコンであることを特
    徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載
    のレーザ加工装置。
  10. 【請求項10】 被加工物にレーザ光を照射して被加工
    物の加工を行うレーザ加工方法において、加工時に前記
    被加工物の帯電状態を制御しつつ被加工物のレーザ加工
    を行うことを特徴とするレーザ加工方法。
  11. 【請求項11】 前記被加工物の帯電状態の制御は、前
    記被加工物の電位を制御することにより行うことを特徴
    とする請求項10に記載のレーザ加工方法。
  12. 【請求項12】 前記被加工物の電位の制御は、被加工
    物をアースに接続することにより行うことを特徴とする
    請求項11に記載のレーザ加工方法。
  13. 【請求項13】 前記被加工物の電位の制御は、被加工
    物が加工噴出物と同極性に帯電するように被加工物にバ
    イアスをかけることにより行うことを特徴とする請求項
    11に記載のレーザ加工方法。
  14. 【請求項14】 前記被加工物の帯電状態の制御は、前
    記被加工物付近にプラズマを発生させることにより行う
    ことを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれ
    か1項に記載のレーザ加工方法。
  15. 【請求項15】 請求項10ないし請求項14のいずれ
    か1項に記載のレーザ加工方法であって、加工時に生じ
    る加工噴出物を偏向誘導および/または捕集することを
    特徴とするレーザ加工方法。
  16. 【請求項16】 請求項10ないし請求項15のいずれ
    か1項に記載のレーザ加工方法であって、前記被加工物
    にVUVレーザ光を照射することを特徴とするレーザ加
    工方法。
  17. 【請求項17】 請求項10ないし請求項16のいずれ
    か1項に記載のレーザ加工方法であって、前記被加工物
    の加工が終了した領域に反射体を挿入しつつ被加工物の
    レーザ加工を行うことを特徴とするレーザ加工方法。
  18. 【請求項18】 前記被加工物をシリコンとすることを
    特徴とする請求項10ないし請求項17のいずれか1項
    に記載のレーザ加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017189823A (ja) * 2016-04-11 2017-10-19 株式会社豊田中央研究所 成形装置、及び成形方法
WO2018029842A1 (ja) * 2016-08-10 2018-02-15 三菱電機株式会社 レーザ加工機

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