JP2003164982A - 肉盛溶接方法 - Google Patents

肉盛溶接方法

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JP2003164982A
JP2003164982A JP2001360421A JP2001360421A JP2003164982A JP 2003164982 A JP2003164982 A JP 2003164982A JP 2001360421 A JP2001360421 A JP 2001360421A JP 2001360421 A JP2001360421 A JP 2001360421A JP 2003164982 A JP2003164982 A JP 2003164982A
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welding
overlay
welding method
forming material
surface forming
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JP2001360421A
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Yukio Doge
幸雄 道下
Yasuyuki Fujitani
泰之 藤谷
Kazuhiko Kamo
鴨  和彦
Shuho Tsubota
秀峰 坪田
Kazuo Asada
和雄 浅田
Atsushi Ono
淳 大野
Shigeru Matsumoto
繁 松元
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 任意の厚さで肉盛溶接ができ、平滑な肉盛表
面が得られ、溶接および機械加工の工数を低減し高能率
な肉盛溶接方法を提供する。 【解決手段】 肉盛溶接方法を、肉盛溶接を行なう母材
の肉盛面1aから肉盛厚さの位置に表面形成材2の外側
表面2aを位置させ、肉盛面1aと表面形成材2の内側
表面2bとの間に溶加材4を充填するように溶接を行な
うように構成し、表面形成材2の外側表面2aの位置を
肉盛厚さに合わせて位置させて設置することで、肉盛厚
さを任意に設定でき、従来のように機械加工仕上げのた
めに余計に肉盛溶接を行う必要がなく、溶接および機械
加工の工数が著しく低減し、高能率な肉盛溶接を行なう
ことができる。また、母材と異なる材質の肉盛溶接が可
能で、肉盛面に対し1層目と2層目で材質を変えた肉盛
溶接も、溶加材の途中変更等の煩雑な作業なしに行なう
事ができ、肉盛溶接の高能率化が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉盛溶接方法に関
し、特に任意の厚さに平滑な肉盛表面が得られる改良さ
れた肉盛溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力燃料のキャスク等では、強度上炭
素鋼または低合金鋼で作られた本体に、防錆上、ステン
レス鋼を肉盛溶接する場合がある。しかし、従来の肉盛
溶接においては溶接後の機械加工による表面仕上げのた
めに、必要厚さ以上余分に肉盛溶接をしており、例え
ば、キャスクのシート面ではステンレス鋼の肉盛必要厚
さ5mmに対し肉盛溶接厚さ10mm、肉盛必要厚さ8
mmに対し肉盛溶接厚さ13mm等となる。このため、
肉盛溶接および機械加工の工数が増大するという問題が
あった。
【0003】また、炭素鋼または低合金鋼にステンレス
鋼を肉盛する場合、炭素鋼または低合金鋼表面に対し1
層目は成分の希釈が起こるため、例えばより高いレベル
のSUS309で肉盛を行い、2層目以降はSUS30
8で肉盛を行なうことが行なわれるが、この場合、肉盛
溶接中に溶接材料を変更する必要が生じ、手間がかかり
肉盛溶接の能率を低下させる問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の肉盛溶接の問題を解消し、任意の厚さで肉盛溶接がで
き、平滑な肉盛表面が得られ、溶接および機械加工の工
数を低減し高能率な肉盛溶接方法を提供することを課題
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】(1)本発明は、上記の
課題を解決するためになされたものであって、その第1
の手段として、肉盛溶接を行なう母材の肉盛面から肉盛
厚さの位置に表面形成材の外側表面を位置させ、前記肉
盛面と前記表面形成材の内側表面との間に溶加材を充填
するように溶接を行なうことを特徴とする肉盛溶接方法
を提供する。
【0006】上記の第1の手段によれば、表面形成材の
外側表面の位置を肉盛厚さに合わせて位置させて設置す
ることで、肉盛厚さを任意に設定でき、従来のように機
械加工仕上げのために余計に肉盛溶接を行なっておいて
機械加工をする必要がない。また、母材と異なる材質の
肉盛溶接を行なうことが可能な上、肉盛面に対し1層目
と2層目で材質を変えた肉盛溶接も、溶加材と表面形成
材材質をそれに合わせて選定することで、溶加材の途中
変更等の煩雑な作業なしに行なうことができる。
【0007】(2)第2の手段としては、第1の手段の
肉盛溶接方法において、前記表面形成材の外側表面に冷
却部材または加熱部材を当接させた状態で前記溶加材を
充填する溶接を行なうことを特徴とする肉盛溶接方法を
提供する。
【0008】第2の手段によれば、第1の手段の作用に
加え、冷却部材または加熱部材が、溶加材の溶融に対し
溶接部の温度を適正化し、肉盛溶接の状態を最適に維持
できる。
【0009】(3)また、第3の手段として、第1の手
段または第2の手段の肉盛溶接方法において、前記表面
形成材が板状部材であることを特徴とする肉盛溶接方
法。
【0010】第3の手段によれば、第1の手段または第
2の手段の作用に加え、表面形成材が板状部材で、その
外側表面の位置が定まり平滑なので、さらに表面の機械
仕上げを要さず、肉盛幅が大きい場合も、表面形成材の
板幅方向の継ぎ足しで容易に対処できる。
【0011】(4)第4の手段として、第3の手段の肉
盛溶接方法において、前記溶加材が複数の溶加材添加ノ
ズルから供給される溶接ワイヤであることを特徴とする
肉盛溶接方法を提供する。
【0012】第4の手段によれば、第3の手段の作用に
加え、溶接ワイヤが複数供給されることで、溶加材の供
給量が増大し、また、溶接ワイヤ間に溶接電流とは別に
電流を通電して加熱するワイヤ加熱を行なえる。
【0013】(5)第5の手段として、第3の手段の肉
盛溶接方法において、前記溶加材を充填する溶接におい
て、溶接トーチを前記肉盛面と前記表面形成材の内側表
面との間でウィービングを行うことを特徴とする肉盛溶
接方法を提供する。
【0014】第5の手段によれば、第3の手段の作用に
加え、肉盛溶接の溶接部厚さが比較的厚い場合でもウィ
ービングによりその両端を良く溶融させることができ、
母材および表面形成材との溶接部の結合が良くなる。
【0015】(6)第6の手段として、第3の手段の肉
盛溶接方法において、前記溶加材を充填する溶接を、前
記肉盛面と前記表面形成材の内側表面との間隔以下に細
く絞られた溶接用のレーザビームを同肉盛面と同表面形
成材の内側表面との間に照射することによって行うこと
を特徴とする肉盛溶接方法を提供する。
【0016】第6の手段によれば、第3の手段の作用に
加え、肉盛溶接の溶接部厚さが薄い場合、肉盛面と表面
形成材の内側表面との間が狭隘であっても溶接部を形成
できる。
【0017】(7)第7の手段として、第3の手段の肉
盛溶接方法において、前記溶加材が前記肉盛面と前記表
面形成材の内側表面との間に置かれた置き溶加材である
ことを特徴とする肉盛溶接方法を提供する。
【0018】第7の手段によれば、第3の手段の作用に
加え、溶加材の添加、溶融を安定的に行なえる。
【0019】(8)第8の手段として、第3の手段の肉
盛溶接方法において、前記表面形成材の外側に温度検出
手段を設けて溶接部の温度を検知しつつ前記溶加材を充
填する溶接を行なうことを特徴とする肉盛溶接方法を提
供する。
【0020】第8の手段によれば、第3の手段の作用に
加え、溶接中の温度計測をする事により溶接部の溶接状
態の監視、および溶け込み量制御等が可能となる。
【0021】(9)第9の手段として、第1の手段の肉
盛溶接方法において、前記表面形成材を帯板状部材と
し、溶接トーチの移動に伴って移動し従動回転支持され
たドラム状の冷却部材または加熱部材により前記表面形
成材を母材の肉盛面に向けて押し付けつつ、前記溶加材
を充填する溶接を行なうことを特徴とする肉盛溶接方法
を提供する。
【0022】第9の手段によれば、第1の手段の作用に
加え、常に冷却部材または加熱部材により適切な温度に
よる溶接が行なわれるとともに、長いスパンにわたって
1本の帯板状の表面形成材で肉盛溶接ができる。
【0023】(10)第10の手段として、第1の手段
ないし第9の手段のいずれかの肉盛溶接方法において、
前記母材が炭素鋼または低合金鋼、前記溶加材がSUS
309系ステンレス鋼、前記表面形成材がSUS304
ステンレス鋼板であることを特徴とする肉盛溶接方法を
提供する。
【0024】第10の手段によれば、第1の手段ないし
第9の手段の作用を、炭素鋼または低合金鋼の母材上に
ステンレス鋼を肉盛溶接する場合に奏することができ、
1層目となる溶接部は成分の希釈を考慮しSUS309
を用い、2層目となる表面形成材は板材として市販され
ている低コストのSUS304板を用いることにより、
希釈制御を加えた2材質構造の溶接部を形成できる。
【0025】(11)第11の手段として、第1の手段
ないし第9の手段のいずれかの肉盛溶接方法において、
前記母材が炭素鋼または低合金鋼、前記表面形成材が耐
食耐熱超合金板NCF690またはNCF625である
ことを特徴とする肉盛溶接方法を提供する。
【0026】第11の手段によれば、第1の手段ないし
第9の手段の作用を、炭素鋼または低合金鋼の母材上に
耐食耐熱超合金を肉盛溶接する場合に奏することがで
き、特に肉盛表面に強固な耐食性をもたせたい場合に有
効であり、2層目となる表面形成材の耐食性を高めた表
面を形成できる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1に基づき、本発明の実施の第
1形態に係る肉盛溶接方法を説明する。図1は本実施の
形態の溶接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説
明図である。
【0028】図1において、1は肉盛溶接を行なう母材
であり、図示の肉盛面1aに対して肉盛厚さtcの肉盛
溶接を行なう。2は肉盛面1aに対して平行に設置され
た板状の表面形成材であり、肉盛面1aから肉盛厚さt
cの位置にその外側表面2aが位置している。表面形成
材2は要所に仮止め溶接されるか適宜の溶接治具によっ
て位置を規定される。
【0029】3は肉盛面1aと表面形成材2の内側表面
2bとの間に溶加材4を充填するように形成された溶接
部である。表面形成材2の板厚をtpとすると、肉盛厚
さtcから板厚tpを引いた厚さtw=tc−tpが溶
接部厚さとなる。なお、各厚さは例えば、tc=8mm
の場合、tp=3mm、tw=5mm程度である。
【0030】5は溶接トーチ、6は溶加材4のワイヤを
供給する溶加材添加ノズルであり、溶加材添加ノズル6
から供給されるワイヤ状の溶加材4が溶接トーチ5によ
り溶融して溶接部3に充填される。
【0031】7は、溶接に際し表面形成材2の外側表面
2aに接して置かれ外側表面2aおよび溶接部3を冷却
する冷却部材であり、たとえば水冷銅板等である。外側
表面2aおよび溶接部3を加熱する必要がある場合は、
冷却部材7に代えてヒータ内蔵銅板等の加熱部材8を置
き、加熱する。
【0032】以上のように設定された態様の溶接箇所に
おいて、本実施の形態の肉盛溶接方法は、縦向きに配さ
れた肉盛面1aと表面形成材2の内側表面2bとの間に
下方から順次図中3−1、3−2、3−3、……と示す
ように第1パス、第2パス、第3パス溶接部、……が形
成され、所定の肉盛幅wcで肉盛りされる。
【0033】そのとき、冷却部材7または加熱部材8
は、溶加材4の溶融に対し溶接部3の温度を適正化し、
肉盛溶接の状態を最適に維持し効率と品質が向上する。
【0034】表面形成材2の板幅(溶接時は、図1中上
下方向)wpは、溶接トーチ5のリーチの限界や溶接作
業性から制約されるため概して肉盛幅wcに比べ小さく
なるが、肉盛幅wcが表面形成材2の板幅wpより大き
いときは、表面形成材2を板幅wp方向(図1中上方
向)に継ぎ足して行くことで対処できる。
【0035】本実施の形態においては、以上のように肉
盛溶接を行なう結果、表面形成材2の外側表面2aの位
置を肉盛厚さtcに合わせて設置位置することで、肉盛
厚さtcを任意に設定できるとともに、表面形成材2は
通常は板材であり、その外側表面2aは位置が定まり平
滑なので、さらに表面の機械仕上げを要さない。また、
肉盛幅wcが大きい場合も、表面形成材2の板幅wp方
向(図中上下方向)の継ぎ足しに伴う継ぎ足し線のなめ
つけ溶接とその仕上げ加工が加わるのみである。
【0036】したがって、従来のように、機械加工仕上
げのために余計に肉盛溶接を行なっておいて機械加工を
する必要がなく、溶接および機械加工の工数が著しく低
減し、高能率で低コストな肉盛溶接を行なうことができ
る。
【0037】また、上記のキャクスの例のように、母材
1と異なる材質の肉盛溶接を行なうことが可能な上、肉
盛面1aに対し1層目と2層目で材質を変えた肉盛溶接
も、溶加材4と表面形成材2の材質をそれに合わせて選
定することで、溶加材4の途中変更等の煩雑な作業なし
に行なう事ができ、肉盛溶接の高能率化できる。
【0038】例えば、炭素鋼または低合金鋼の母材1上
にステンレス鋼を肉盛溶接する場合、1層目となる溶接
部3は成分の希釈を考慮し例えばSUS309を用い、
2層目となる表面形成材2は板材として市販されている
低コストのSUS304板を用いることにより、希釈制
御を加えた2材質構造の溶接部を低コストで形成でき
る。
【0039】逆に、肉盛表面に強固な耐食性をもたせ、
全体の強度を維持しコストを低減したい場合は、2層目
となる表面形成材2のみ耐食性の高い高コストの材料、
例えば、耐食耐熱超合金板NCF690またはNCF6
25とすることもできる。
【0040】本実施の形態において、溶接法自体は、レ
ーザ溶接、TIG溶接、プラズマ溶接、MIG溶接、M
AG溶接、サブマージアーク溶接、エレクトロスラグ溶
接、エレクトロガスアーク溶接、電子ビーム溶接、被覆
アーク溶接等、広く多種の溶接法が適用できる。
【0041】特に、レーザ溶接、TIG溶接、プラズマ
溶接、電子ビーム溶接においては、溶接ワイヤ(溶加材
4のワイヤ)と母材1の間、または複数の溶接ワイヤ間
に溶接電流とは別の過熱用電流を通電して加熱するワイ
ヤ加熱を行なうと、高能率化上有効である。
【0042】また、溶加材添加ノズル6は1本でなく、
更に1本または複数本追加設置して、溶接ワイヤを複数
本同時に供給すれば、溶加材4の供給量が増大し高能率
化上有効である。
【0043】図2に基づき、本発明の実施の第2形態に
係る肉盛溶接方法を説明する。図2は本実施の形態の溶
接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説明図であ
る。
【0044】図2において、前述の実施の第1形態の図
1と同じ部分には、同じ符号を付して説明を省略し、異
なる部分を主に以下説明する。このことは、後述の他の
実施の形態において同様である。
【0045】図2に示すように、本実施の形態において
は、溶接トーチ5のウィービング(図中W)を行い溶接
部3を形成している。
【0046】このため、溶接部3の溶接部厚さtw(図
中左右幅方向)が比較的厚い場合でもウィービングW
(揺動)によりその両端を良く溶融させることができ、
母材1および表面形成材2との溶接部3の結合が良くな
り、良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0047】本実施の形態は、レーザ溶接、電子ビーム
溶接の場合、そのビームを溶加材添加ノズル6とともに
ウィービングして実施でき、その他のアークまたはプラ
ズマを溶接熱源とする場合も熱源をウィービングして実
施できる。
【0048】図3に基づき、本発明の実施の第3形態に
係る肉盛溶接方法を説明する。図3は本実施の形態の溶
接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説明図であ
る。
【0049】図3に示すように、本実施の形態において
は、溶接用のレーザビーム9を、肉盛面1aと表面形成
材2の内側表面2bとの間隔以下に光学系9a等で細く
絞って、肉盛面1aと表面形成材2の内側表面2bとの
間に照射し溶接部3を形成している。
【0050】このため、溶接部3の溶接部厚さtw(図
中左右幅方向)が薄い場合、肉盛面1aと表面形成材2
の内側表面2bとの間が狭隘であっても溶接部3を形成
でき、良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0051】本実施の形態は、レーザ溶接の場合、好ま
しく実施できる。
【0052】図4に基づき、本発明の実施の第4形態に
係る肉盛溶接方法を説明する。図4は本実施の形態の溶
接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説明図であ
る。
【0053】図4に示すように、本実施の形態において
は、肉盛面1aと表面形成材2の内側表面2bとの間
に、添加するワイヤ状の溶加材4に相当する置き溶加材
10を予め設置して溶接を行い溶接部3を形成する。
【0054】このため、溶加材の添加、溶融を安定的に
行なえ、良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0055】本実施の形態は、溶加材の添加を行なう溶
接法全般に有効に実施できる。
【0056】図5に基づき、本発明の実施の第5形態に
係る肉盛溶接方法を説明する。図5は本実施の形態の溶
接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説明図であ
る。
【0057】図5に示すように、本実施の形態において
は溶接部3の温度を検出するために、表面形成材2の外
側に温度検出手段を設けたものである。温度検出手段は
具体的には、例えば、表面形成材2の外側表面2aに設
置した熱電対11であり、溶接中の温度計測をする事に
より溶接部3の温度を検知し(又は検知温度から演算に
より検出し)、溶接部3の溶接状態の監視、および溶け
込み量(希釈)制御等を可能としている。
【0058】このため、溶接部3の形成を最適化でき、
良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0059】なお、溶接部の温度の検出は、溶接部3の
温度を演算できるものであれば,表面形成材2の外側表
面2a上に設けた熱電対11に限らず、外側表面2aに
当接させる冷却部材7または加熱部材8の当接面に設け
た熱電対により行なってもよく、また冷却部材7の冷却
媒体温度の温度検出器によってもよい。
【0060】本実施の形態は、種々の溶接法全般に有効
に実施できる。
【0061】図6に基づき、本発明の実施の第6形態に
係る肉盛溶接方法を説明する。図6は本実施の形態の溶
接箇所周辺を一部断面で示す肉盛溶接方法の説明図であ
る。
【0062】図6に示すように、本実施の形態において
は、溶接トーチ5の移動に伴って移動し従動回転支持さ
れたドラム状の冷却部材17または加熱部材18を用い
て溶接を行なうものである。
【0063】冷却部材17または加熱部材18は溶接ト
ーチ5の移動Mに伴って移動Mし、帯板状の表面形成材
21の外側表面21a上を従動的に転動Rしつつ、表面
形成材21を母材1の肉盛面1aに向けて押し付け、溶
接トーチ5により溶接部3を形成する。
【0064】肉盛面1aと表面形成材21の内側表面2
1bの間隔、すなわち溶接部厚さtwは、少なくとも溶
接の第1パス3−1は肉盛面1aと表面形成材21との
間にtwの幅を有する置き溶加材12を置いて溶接を行
なうことにより、置き溶加材12自体の幅によって規定
することができる。第2パス3−2以降、第3パス3−
3、……は同間隔が保持されるが、溶接部3の冷却また
は加熱のため冷却部材17または加熱部材18を伴った
溶接を行なう。
【0065】以上のような、本実施の形態においては、
常に冷却部材17または加熱部材18により適切な温度
による溶接が行なわれるとともに、長いスパンにわたっ
て1本の表面形成材21(たとえば帯状材)で肉盛溶接
ができるので、表面加工の工数がより低減され、コスト
低減とともに良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0066】本実施の形態は、種々の溶接法全般に有効
に実施できる。
【0067】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本
発明の範囲内でその具体的構成に種々の変更を加えてよ
いことはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】(1)請求項1の発明によれば、肉盛溶
接方法を、肉盛溶接を行なう母材の肉盛面から肉盛厚さ
の位置に表面形成材の外側表面を位置させ、前記肉盛面
と前記表面形成材の内側表面との間に溶加材を充填する
ように溶接を行なうように構成したので、表面形成材の
外側表面の位置を肉盛厚さに合わせて位置させて設置す
ることで、肉盛厚さを任意に設定でき、従来のように機
械加工仕上げのために余計に肉盛溶接を行なっておいて
機械加工をする必要がなく、溶接および機械加工の工数
が著しく低減し、高能率な肉盛溶接を行なうことができ
る。また、母材と異なる材質の肉盛溶接を行なうことが
可能な上、肉盛面に対し1層目と2層目で材質を変えた
肉盛溶接も、溶加材と表面形成材材質をそれに合わせて
選定することで、溶加材の途中変更等の煩雑な作業なし
に行なう事ができ、肉盛溶接の高能率化が達成できる。
【0069】(2)請求項2の発明によれば、請求項1
に記載の肉盛溶接方法において、前記表面形成材の外側
表面に冷却部材または加熱部材を当接させた状態で前記
溶加材を充填する溶接を行なうように構成したので、請
求項1の発明の効果に加え、冷却部材または加熱部材
が、溶加材の溶融に対し溶接部の温度を適正化し、肉盛
溶接の状態を最適に維持し効率と品質が向上する。
【0070】(3)請求項3の発明によれば、請求項1
または請求項2に記載の肉盛溶接方法において、前記表
面形成材が板状部材であるように構成したので、請求項
1または請求項2の発明の効果に加え、表面形成材が板
状部材で、その外側表面の位置が定まり平滑なため、さ
らに表面の機械仕上げを要さず、肉盛幅が大きい場合
も、表面形成材の板幅方向の継ぎ足しで容易に対処で
き、材料コストと加工コストが低減する。
【0071】(4)請求項4の発明によれば、請求項3
に記載の肉盛溶接方法において、前記溶加材が複数の溶
加材添加ノズルから供給される溶接ワイヤであるように
構成したので、請求項3の発明の効果に加え、溶接ワイ
ヤが複数供給されることで、溶加材の供給量が増大し溶
接が高効率化し、また、溶接ワイヤ間に溶接電流とは別
に電流を通電して加熱するワイヤ加熱を行なうと、より
高能率化される。
【0072】(5)請求項5の発明によれば、請求項3
に記載の肉盛溶接方法において、前記溶加材を充填する
溶接において、溶接トーチを前記肉盛面と前記表面形成
材の内側表面との間でウィービングを行うように構成し
たので、請求項3の発明の効果に加え、肉盛溶接の溶接
部厚さが比較的厚い場合でもウィービングによりその両
端を良く溶融させることができ、母材および表面形成材
との溶接部の結合が良くなり、良好な肉盛溶接を行なう
ことができる。
【0073】(6)請求項6の発明によれば、請求項3
に記載の肉盛溶接方法において、前記溶加材を充填する
溶接を、前記肉盛面と前記表面形成材の内側表面との間
隔以下に細く絞られた溶接用のレーザビームを同肉盛面
と同表面形成材の内側表面との間に照射することによっ
て行うように構成したので、請求項3の発明の効果に加
え、肉盛溶接の溶接部厚さが薄い場合、肉盛面と表面形
成材の内側表面との間が狭隘であっても溶接部を形成で
き、良好な肉盛溶接を行なうことができる。
【0074】(7)請求項7の発明によれば、請求項3
に記載の肉盛溶接方法において、前記溶加材が前記肉盛
面と前記表面形成材の内側表面との間に置かれた置き溶
加材であるように構成したので、請求項3の発明の効果
に加え、溶加材の添加、溶融を安定的に行なえ、良好な
肉盛溶接を行なうことができる。
【0075】(8)請求項8の発明によれば、請求項3
に記載の肉盛溶接方法において、前記表面形成材の外側
に温度検出手段を設けて溶接部の温度を検知しつつ前記
溶加材を充填する溶接を行なうように構成したので、請
求項3の発明の効果に加え、溶接中の温度計測をする事
により溶接部の溶接状態の監視、および溶け込み量制御
等が可能となり、溶接部の形成を最適化でき、良好な肉
盛溶接を行なうことができる。
【0076】(9)請求項9の発明によれば、請求項1
に記載の肉盛溶接方法において、前記表面形成材を帯板
状部材とし、溶接トーチの移動に伴って移動し従動回転
支持されたドラム状の冷却部材または加熱部材により前
記表面形成材を母材の肉盛面に向けて押し付けつつ、前
記溶加材を充填する溶接を行なうように構成したので、
請求項1の発明の効果に加え、常に冷却部材または加熱
部材により適切な温度による溶接が行なわれるととも
に、長いスパンにわたって1本の帯板状の表面形成材で
肉盛溶接ができるので、表面加工の工数がより低減さ
れ、コスト低減とともに良好な肉盛溶接を行なうことが
できる。
【0077】(10)請求項10の発明によれば、請求
項1ないし請求項9のいずれかに記載の肉盛溶接方法に
おいて、前記母材が炭素鋼または低合金鋼、前記溶加材
がSUS309系ステンレス鋼、前記表面形成材がSU
S304ステンレス鋼板であるように構成したので、請
求項1ないし請求項9のいずれかの発明の効果を、炭素
鋼または低合金鋼の母材上にステンレス鋼を肉盛溶接す
る場合に奏することができ、1層目となる溶接部は成分
の希釈を考慮しSUS309を用い、2層目となる表面
形成材は板材として市販されている低コストのSUS3
04板を用いることにより、希釈制御を加えた2材質構
造の溶接部を低コストで形成できる。
【0078】(11)請求項11の発明によれば、請求
項1ないし請求項9のいずれかに記載の肉盛溶接方法に
おいて、前記母材が炭素鋼または低合金鋼、前記表面形
成材が耐食耐熱超合金板NCF690またはNCF62
5であるように構成したので、請求項1ないし請求項9
のいずれかの発明の効果を、炭素鋼または低合金鋼の母
材上に耐食耐熱超合金板NCF690またはNCF62
5を肉盛溶接する場合に奏することができ、特に肉盛表
面に強固な耐食性をもたせたい場合に有効であり、全体
の強度を維持しコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【図2】本発明の実施の第2形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【図3】本発明の実施の第3形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【図4】本発明の実施の第4形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【図5】本発明の実施の第5形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【図6】本発明の実施の第6形態に係る肉盛溶接方法の
説明図であり、本実施の形態の溶接箇所周辺を一部断面
で示す。
【符号の説明】
1 母材 1a 肉盛面 2 表面形成材 2a 外側表面 2b 内側表面 3 溶接部 4 溶加材 5 溶接トーチ 6 溶加材添加ノズル 7 冷却部材 8 加熱部材 9 レーザビーム 9a 光学系 10 置き溶加材 11 熱電対 12 置き溶加材 17 冷却部材 18 加熱部材 21 表面形成材 21a 外側表面 21b 内側表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鴨 和彦 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 坪田 秀峰 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 浅田 和雄 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 大野 淳 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 松元 繁 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 4E068 BA06 BB02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉盛溶接を行なう母材の肉盛面から肉盛
    厚さの位置に表面形成材の外側表面を位置させ、前記肉
    盛面と前記表面形成材の内側表面との間に溶加材を充填
    するように溶接を行なうことを特徴とする肉盛溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記表面形成材の外側表面に冷却部材または加熱部
    材を当接させた状態で前記溶加材を充填する溶接を行な
    うことを特徴とする肉盛溶接方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の肉盛溶
    接方法において、前記表面形成材が板状部材であること
    を特徴とする肉盛溶接方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記溶加材が複数の溶加材添加ノズルから供給され
    る溶接ワイヤであることを特徴とする肉盛溶接方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記溶加材を充填する溶接において、溶接トーチを
    前記肉盛面と前記表面形成材の内側表面との間でウィー
    ビングを行うことを特徴とする肉盛溶接方法。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記溶加材を充填する溶接を、前記肉盛面と前記表
    面形成材の内側表面との間隔以下に細く絞られた溶接用
    のレーザビームを同肉盛面と同表面形成材の内側表面と
    の間に照射することによって行うことを特徴とする肉盛
    溶接方法。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記溶加材が前記肉盛面と前記表面形成材の内側表
    面との間に置かれた置き溶加材であることを特徴とする
    肉盛溶接方法。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記表面形成材の外側に温度検出手段を設けて溶接
    部の温度を検知しつつ前記溶加材を充填する溶接を行な
    うことを特徴とする肉盛溶接方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の肉盛溶接方法におい
    て、前記表面形成材を帯板状部材とし、溶接トーチの移
    動に伴って移動し従動回転支持されたドラム状の冷却部
    材または加熱部材により前記表面形成材を母材の肉盛面
    に向けて押し付けつつ、前記溶加材を充填する溶接を行
    なうことを特徴とする肉盛溶接方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかに
    記載の肉盛溶接方法において、前記母材が炭素鋼または
    低合金鋼、前記溶加材がSUS309系ステンレス鋼、
    前記表面形成材がSUS304ステンレス鋼板であるこ
    とを特徴とする肉盛溶接方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項9のいずれかに
    記載の肉盛溶接方法において、前記母材が炭素鋼または
    低合金鋼、前記表面形成材が耐食耐熱超合金板NCF6
    90またはNCF625であることを特徴とする肉盛溶
    接方法。
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