JP2003161684A - 押込試験装置 - Google Patents

押込試験装置

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JP2003161684A
JP2003161684A JP2001361571A JP2001361571A JP2003161684A JP 2003161684 A JP2003161684 A JP 2003161684A JP 2001361571 A JP2001361571 A JP 2001361571A JP 2001361571 A JP2001361571 A JP 2001361571A JP 2003161684 A JP2003161684 A JP 2003161684A
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JP2001361571A
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Inventor
Seigo Motome
精吾 本目
Yoshikazu Shima
義和 島
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Elionix Kk
Original Assignee
Elionix Kk
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  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧子を試料表面に垂直方向のみに変位させ、
なおかつ広い荷重レンジを確保しつつ圧子部の動特性を
良くし、ナノメートルオーダーの押し込み深さを対象と
する測定においても、高精度で測定することが可能な押
込試験装置を提供する。 【解決手段】 先端に圧子1を設けた圧子支持棒2と、
圧子支持棒2を運動可能に支持する支持機構3と、圧子
支持棒2を圧子支持棒の軸方向に駆動するアクチュエー
タ4とを備えた押込試験装置であって、支持機構3は、
圧子支持棒2の軸方向に離間して設けられるとともに圧
子支持棒2を固定部に対して連結する複数のバネからな
り、バネは、一方側から他方側に向かって延びる少なく
とも二つのバネ片を一端部で連結し、この連結部を折り
返し端とし、他端部を開放端とした往復型バネからな
り、開放端の一方13,13を固定部18に固定し、他
方14を圧子支持棒2に固定し、折り返し端12を自由
端とし、圧子支持棒2を軸方向に直進運動可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、押込試験装置に関する
ものである。さらに詳しくは、本発明は、薄膜、材料表
面の酸化膜、積層膜およびイオン注入層などの表面層に
圧子を、ナノメートル(nm)オーダーの押し込み深さ
で押し込み、表面層の硬さなどの機械的性質の測定を可
能とする押込試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気電子、通信などの諸産業にお
いては種々の工業材料が用いられており、これらの工業
材料の高性能化および高度化を支える技術のひとつとし
て、材料表面の硬さやヤング率などの機械的性質を測定
することが重要な課題となっている。
【0003】従来、材料の表面硬度を測定する装置とし
ては、ビッカース硬さ試験機等が用いられている。例え
ば、ビッカース硬さ試験機では、ダイヤモンド製の圧子
を材料表面に一定荷重で押し込み、その荷重を徐荷した
後に残る圧痕の表面積を用いて、表面の硬度を測定して
いる。しかしながら、このようなビッカース硬さ試験機
に代表される従来の硬さ試験では、ナノメートルオーダ
ーの押し込み深さで測定を試みても、その圧痕はもはや
光学顕微鏡では観察できず、走査電子顕微鏡ですら当該
圧痕を探し出し、面積を計測するのはきわめて困難であ
り、事実上不可能であった。
【0004】一方、最近になり、このレベルの硬さを評
価する手法のひとつとしてナノインデンテーション試験
法が注目されている。この手法は、圧子を試料表面に垂
直に侵入させた際の、μN(マイクロニュートン)オー
ダーの押し込み荷重およびnm(ナノメートル)オーダ
ーの押し込み変位を逐一測定し、その時に得られる荷重
と変位の関係から硬さを測定する手法である。また、こ
の試験法は、材料の硬さだけでなく、試験の全過程にわ
たる荷重と変位の関係を記録することにより、圧子の押
し込みおよび引抜きの過程における材料の挙動を知るこ
とができるため、ヤング率などの材料の機械的性質も評
価できる。
【0005】このナノインデーテーション試験法に用い
られる押込試験装置は、圧子を試料表面に垂直に押し込
むための支持機構と、圧子を駆動させるためのアクチュ
エータと、圧子の押し込み荷重を測定する荷重検出機構
と、押し込み深さを測定する変位測定機構とから構成さ
れている。圧子の支持機構と駆動方法にはいくつかの種
類があり、例えば、以下に示す方法が知られている。第
1の方法は、2組の平行板バネを用いたいわゆるロバー
バル機構を支持機構とし、駆動源として永久磁石と電磁
コイルによる磁力の相互作用による力をてこを介して圧
子に伝達する方法である。図9は、上述の第1の方法を
示す図であり、図9(a)は圧子の駆動前の状態を示す
模式図であり、図9(b)は圧子の駆動後の状態を示す
模式図である。図9(a)に示すように、圧子101は
2組の平行板バネ102を用いたロバーバル機構により
支持されている。ヨーク103には永久磁石104が設
けられ、電磁コイル105は支持部材108に固定され
ている。支持部材108は、支点106を介して、固定
フレーム107に固定された水平部材109により支持
されている。
【0006】上述の構成において図9(b)に示すよう
に、永久磁石104と電磁コイル105による磁力の相
互作用による力をてこを介して圧子101に伝達し、圧
子101を下方に駆動することにより圧子101を試料
(図示せず)の表面に押し込むようにしている。
【0007】第2の方法は、1枚の板バネの一端に圧子
を固定し、板バネのもう一方の端をフレームに固定する
片持ち梁構造の支持機構を用い、駆動源として圧電素子
を用いて試料を圧子に向かって押し上げる方法である。
図10は、上述の第2の方法を示す模式図である。図1
0に示すように、圧子101は板バネ102の一端に固
定されており、板バネ102の他端は固定フレーム10
7に固定されている。試料110は圧電素子109上に
固定されている。上述の構成において、圧電素子109
に電圧を印加することにより試料110を圧子101に
向かって押し上げ、圧子101を試料110の表面に押
し込むようにしている。
【0008】第3の方法は、回転対称形状を有する板バ
ネの周囲又は両端を固定し、中心を貫くように圧子の支
持棒を結合する支持構造を用い、駆動源として永久磁石
と電磁コイルによる磁力の相互作用、あるいは圧電素子
の膨張/収縮力を利用する方法である。図11は、上述
の第3の方法を示す図であり、図11(a)はその上面
図、図11(b)は側面図である。図11に示すよう
に、円形の板バネ111の外周縁は固定フレーム107
に固定されている。板バネ111には複数の円弧状のス
リット112が形成されており、板バネ111の中央に
は圧子101が固定されている。上述の構成において、
永久磁石と電磁コイルによる磁力の相互作用又は圧電素
子の膨張/収縮力を利用し、板バネ111を下方に変形
させ、圧子101を試料(図示せず)の表面に押し込む
ようにしている。
【0009】しかしながら、図9に示す第1の方法にお
いては、圧子は一定方向を向きながら移動するが、その
軌跡は平行板バネの長さを半径とする円運動である。こ
のため、圧子は被測定面に対して垂直の向きを保っては
いるが、その軌道は垂線からずれた円運動の一部とな
り、ナノメーターの微小領域では無視できない誤差を生
ずる。図10に示す第2の方法では、軌跡が円運動であ
る上に、圧子の向きは常に、その軌跡の接線の方向を向
いている。圧子の向き、運動ともに被測定面に垂直にな
るのは一瞬であり、第1の方法より誤差が大きくなる。
図11に示す第3の方法は圧子の向きは被測定面に対し
常に同じ向きであり、運動方向も直進運動であるため、
第1および第2の方法で述べた種類の欠点は軽減されて
いる。しかしながら、板バネの周囲を固定しているた
め、板バネが熱膨張すると、圧子が軸方向に運動するこ
とになり、駆動源の力以外に定量化できない力が発生す
ることになる。このことは付加荷重に誤差が加わること
になり、やはり測定誤差要因となる。つまり、このよう
な支持機構を用いて、圧子が試料表面に押し込まれる過
程の押し込み荷重および押し込み深さを測定しても、そ
の値は真の値を示していないこととなる。
【0010】また、第1の方法においては、てこを介し
て圧子を駆動するため、支点周りのモーメントにより、
押し込み方向の動特性が悪く、意図している以外の動き
が加わり、試料と圧子が接触した時に、試料表面にダメ
ージ(損傷)を与え、付加荷重に対する押し込み深さに
ばらつきが生じ、誤差要因となる。第2の方法では、高
剛性の圧電素子を用いるため、押込み方向の動特性が良
く、第1の方法で述べた欠点は軽減される。しかしなが
ら、試料を圧子へ押し上げた際のバネのたわみを用いて
荷重を発生させる機構のため、大きな荷重を得るために
は試料を押し上げる長いストロークを必要とする。しか
し、圧電素子は長いストロークが取れないため、負荷荷
重に対応してばね定数の違うバネを複数枚交換する必要
が生ずる。すなわち、1枚のバネで広い荷重レンジを補
うことができないため、測定条件ごとにバネの交換を必
要とするなど使用上において難点があり、また、交換作
業の際にバネを破損あるいは変形させる可能性もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の問題点に鑑み、圧子を試料表面に垂直方向のみ
に変位させ、なおかつ広い荷重レンジを確保しつつ圧子
部の動特性を良くし、ナノメートルオーダーの押し込み
深さを対象とする測定においても、高精度で測定するこ
とが可能な押込試験装置を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明は、先端に圧子を設けた圧子支持部材と、該
圧子支持部材を運動可能に支持する支持機構と、前記圧
子支持部材を該圧子支持部材の軸方向に駆動するアクチ
ュエータとを備えた押込試験装置であって、前記支持機
構は、前記圧子支持部材の軸方向に離間して設けられる
とともに該圧子支持部材を固定部に対して連結する複数
のバネからなり、前記バネは、一方側から他方側に向か
って延びる少なくとも二つのバネ片を一端部で連結し、
この連結部を折り返し端とし、他端部を開放端とした往
復型バネからなり、前記開放端の一方を前記固定部に固
定し、他方を前記圧子支持部材に固定し、前記折り返し
端を自由端とし、前記圧子支持部材を軸方向に直進運動
可能にしたことを特徴とするものである。
【0013】本発明では、支持機構に用いるバネは、2
つ以上のバネ片を組み合わせた往復型バネで構成し、折
り返し端をバネ片の連結部とする。この折り返し端を自
由端とし、開放端の一方を固定部に固定し、他方を圧子
支持部材、例えば、圧子支持棒に固定する。これによ
り、一方のバネ片を一端が固定部に固定された固定部バ
ネ片、他方のバネ片を一端が圧子支持部材(圧子支持
棒)を運動可能に支持する運動部バネ片として機能させ
るようにする。この往復型バネを圧子支持棒の軸上に平
行に2枚以上配置し、圧子支持棒に軸方向に力を加えた
とき固定部バネ片および運動部バネ片のいずれもが変形
する。この変形とともに、平行に配置された往復型バネ
の運動部バネ片および固定部バネ片におけるそれぞれの
円運動が打ち消しあい、圧子支持棒は直進運動をするこ
とになる。結果として、圧子は被測定面に対し、常に同
じ向きを保持し、運動は直進方向の運動だけになる。ま
た、温度変化に対しては、往復型バネにおける固定部バ
ネ片が熱膨張または収縮したとき、運動部バネ片がその
変化分を打ち消す方向に膨張または収縮することにな
り、圧子の位置は不変となる。以上述べたように、本発
明は圧子支持棒の軸方向に平行に配置した往復型バネを
採用することにより、圧子の向きの保持、圧子の直進運
動の確保、熱変形の補償をおこなうことができ、ナノメ
ーター領域での測定が可能になる。
【0014】また、本発明の一態様では、先端に圧子を
固定した圧子支持棒に、電磁コイルと永久磁石を対とし
て用いたアクチュエータの対の一方を固定し、他方を固
定フレームに固定して、直接的に圧子を駆動させること
により、圧子部の動特性が向上する。つまり、動特性が
向上することで、付加荷重に対する押し込み深さの誤差
要因である接触した時の試料表面のダメージ(損傷)が
軽減される。さらに、アクチュエータに用いた電磁コイ
ルに流す電流はnA(ナノアンペア)オーダーから数十
mA(ミリアンペア)程度の電流制御は容易に行えるた
め、きわめて大きな荷重範囲の試験が可能となる優位性
も兼ね備える。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る押込試験装置
の実施形態を図1乃至図8を参照して説明する。図1
は、本発明に係る押込試験装置の全体構成を示す概略図
である。図1に示すように、押込試験装置は、圧子1を
支持する圧子支持部材を構成する圧子支持棒2と、圧子
支持棒2を支持する上下一対の板バネを用いた支持機構
3と、圧子支持棒2を下方に駆動するアクチュエータ4
と、試料5を保持してX,Y,Z方向に移動可能なXY
Zステージ6とを備えている。押込試験装置は、さら
に、圧子1の付加荷重を検出する付加荷重検出機構(図
示せず)と、圧子1の変位を測定する変位測定機構7を
備えている。アクチュエータ4は、電磁コイル8と、永
久磁石9とを備え、電磁コイル8は圧子支持棒2に直接
取り付けられ、この電磁コイル8を囲むように永久磁石
9を具備したヨーク10が配置されている。永久磁石9
を具備したヨーク10は固定フレーム18に固定されて
いる。なお、符号19は圧子支持棒2に固定されたター
ゲットである。前記変位測定機構7はターゲット19と
の間の距離を測定して圧子1の変位を測定するようにな
っている。
【0016】上述の構成において、試料5の表面硬度の
測定に際しては、まず初めに試料5が固定されたXYZ
ステージ6を移動させ、測定個所を選定する。次に、駆
動用アクチュエータ4の電磁コイル8に流す電流を徐々
に増加させ、電磁コイル8と永久磁石9による磁力の相
互作用により圧子1を試料5の表面に垂直に押し込む。
このときの圧子1の押し込み変位を変位測定機構7によ
り測定し、押し込み荷重を電磁コイル8に流す電流から
算出し、材料の機械的性質を評価するために必要な押し
込み荷重−押し込み変位曲線を求めることができる。
【0017】図2は、図1に示す押込試験装置における
支持機構3の詳細を示す斜視図である。図2に示すよう
に、支持機構3は、圧子支持棒2の上部および下部を支
持する2枚のE字型板バネ11から構成されている。こ
れらE字型板バネ11は、上下2枚、圧子支持棒の軸上
に平行かつ同方向に配置されており、各E字型板バネ1
1における両側部バネ片13,13の開放端が固定フレ
ーム18に固定され、中央部バネ片14の開放端が圧子
1を支持した圧子支持棒2に固定されている。
【0018】図3は、図2に示すE字型板バネの平面図
である。図3に示すように、E字型バネ11は1枚の板
バネ材料を打抜き等により成形するものであり、E字型
バネ11は、一方側から他方側に延びる一対の矩形状の
側部バネ片13,13と、一対の側部バネ片13,13
の中間に位置するとともに一方側から他方側に延びる矩
形状の中央部バネ片14と、側部バネ片13,13と中
央部バネ片14とを一端部で連結する連結部12とから
構成されている。一対の側部バネ片13,13は、同一
形状および同一寸法に形成されており、連結部12から
の長さがL、幅がWに設定されている。これに対し、中
央部バネ片14は、連結部12からの長さがL、幅が2
Wに設定されている。連結部12、側部バネ片13、中
央部バネ片14は、同一厚さtに設定されている。これ
により、一対の側部バネ片13,13を合わせたばね定
数が中央部バネ片14のばね定数と同一になっている。
【0019】図3に示すように構成した各E字型バネ1
1を図2に示すように配置する。即ち、一対の側部バネ
片13,13の開放端側に形成された孔13a,13a
にボルト15を挿通し、一対の側部バネ片13,13の
開放端を固定フレーム18に固定する。そして、中央部
バネ片14の開放端に形成された孔14aに圧子支持棒
2を挿通し、中央部バネ片14の開放端に圧子支持棒2
を固定する。即ち、連結部12を自由端とし、開放端の
一方(側部バネ片13,13)を固定部(固定フレーム
18)に固定し、他方(中央部バネ片14)を圧子支持
棒2に固定する。これにより、一方のバネ片13,13
を一端が固定部に固定された固定部バネ片、他方のバネ
片14を一端が圧子支持棒2を運動可能に支持する運動
部バネ片として機能させる。そして、E字型バネ11は
圧子支持棒2の軸上に平行に2枚以上配置される(図2
ではE字型バネ11を2枚配置した例を示している)。
【0020】図2に示す構成において、圧子支持棒2に
軸方向に力を加えたとき、固定部バネ片としての側部バ
ネ片13,13および運動部バネ片としての中央部バネ
片14がともに変形する。この変形とともに、平行に配
置された一対のE字型バネ11における、固定部バネ片
としての側部バネ片13,13および運動部バネ片とし
ての中央部バネ片14で円運動が打ち消し合い、圧子支
持棒2は上下方向に直進運動することになる。結果とし
て、圧子1は試料5の被測定面に対し、常に同じ向きを
保持し、運動は直進方向の運動だけになる。
【0021】図4は圧子支持棒2に軸方向に力を加えた
とき、E字型バネ11が変形した状態を示す模式図であ
る。図4に示すように、側部バネ片13および中央部バ
ネ片14は変形し、連結部12の端部は、側部バネ片1
3を固定フレーム18へ固定した固定点P1を中心とし
て円運動M1を行なう。また圧子支持棒2を中央部バネ
片14に固定した運動点P2は、連結部12の端部を中
心として円運動M2を行なう。この結果、点P2は点P
1の垂直方向の下方に位置する。即ち、固定部バネ片と
しての側部バネ片13,13および運動部バネ片として
の中央部バネ片14で円運動が打ち消し合い、圧子支持
棒2は上下方向に直進運動することになる。結果とし
て、圧子1は試料5の被測定面に対し、常に同じ向きを
保持し、運動は直進方向の運動だけになる。
【0022】また、温度変化が起きた場合に、E字型バ
ネ11における固定部バネ片としての側部バネ片13,
13が熱膨張又は収縮したとき、運動部バネ片としての
中央部バネ片14がその変化分を打ち消す方向に膨張又
は収縮することになる。その結果、圧子1の水平面上
(XY方向)の位置は不変となる。このように、圧子支
持棒の支持機構として、図2および図3に示すような平
行に配置した往復型バネを採用することにより、圧子の
向きの保持、圧子の直進運動の確保、熱変形の補償を行
うことができ、ナノメーター領域での測定が可能とな
る。
【0023】図5は、図1に示す押込試験装置における
支持機構の他の実施形態を示す斜視図である。図5に示
すように、支持機構3は、圧子支持棒2の上部および下
部を支持するW字型棒状バネ21から構成されている。
これらW字型棒状バネ21は、上下2個、圧子支持棒の
軸上に平行かつ同方向に配置されており、各W字型棒状
バネ21における両側部バネ片23,23の開放端が固
定フレーム18に固定され、中央部バネ片24,24の
開放端が圧子1を支持した圧子支持棒2に固定されてい
る。
【0024】図6は、図5に示すW字型棒状バネの平面
図である。図6に示すように、W字型棒状バネ21は円
形断面を有する棒状のバネ材料を折り曲げることにより
成形するものであり、W字型棒状バネ21は、一方側か
ら他方側に延びる両側部の側部バネ片23,23と、側
部バネ片23,23の中間に位置するとともに一方側か
ら他方側に延びる中央部バネ片24,24とから構成さ
れている。側部バネ片23と中央部バネ片24とは連結
部25を介して連結され、中央部バネ片24と中央部バ
ネ片24とは連結部26を介して連結されている。図6
に示すように、側部バネ片23と中央部バネ片24の長
さLは同一長さに設定され、かつ側部バネ片23と中央
部バネ片24の断面積は同一断面積に設定されている。
これにより、一対の側部バネ片23,23を合わせたば
ね定数が一対の中央部バネ片24,24のばね定数と同
一になっている。
【0025】図6に示すように構成した各W字型棒状バ
ネ21を図5に示すように配置する。即ち、一対の側部
バネ片23,23の開放端をボルト15により固定フレ
ーム18に固定する。そして、一対の中央部バネ片2
4,24の連結部26に圧子支持棒2を固定する。即
ち、連結部25,25を自由端とし、開放端の一方(側
部バネ片23,23)を固定部(固定フレーム18)に
固定し、他方(中央部バネ片24,24)を圧子支持棒
2に固定する。これにより、一方のバネ片23,23を
一端が固定部に固定された固定部バネ片、他方のバネ片
24,24を一端が圧子支持棒2を運動可能に支持する
運動部バネ片として機能させる。図5および図6に示す
ように構成した支持機構は、図2および図3に示ように
構成した支持機構と同様の作用効果を奏する。
【0026】図7は、往復型バネの他の実施形態を示す
斜視図である。図7に示す往復型バネにおいては、同じ
材質で異なる形状の板バネを複数用いて、それぞれのバ
ネを剛体からなる連結部により連結することで往復型バ
ネを構成している。即ち、一対の側部バネ片33,33
と中央部バネ片34とを連結部35により連結すること
により、E字型バネ31を構成する。一対の側部バネ片
33,33を合わせたばね定数が中央部バネ片34のば
ね定数と同一になっている。図7に示すように構成した
往復型バネを用いて支持機構を構成しても、図2乃至図
6に示す支持機構と同様の作用効果を奏する。
【0027】図2乃至図7に往復型バネの例を示した
が、往復型バネの形状および材質と、配置する枚数の組
み合わせは、以下の条件を満たす範囲で自由である。 2つ以上のバネ片を組み合わせた往復型バネである
こと。 往復型バネにおける運動部バネ片、固定部バネ片の
連結部が自由端であること。 往復型バネは、2つ以上を並行に配置すること。 1つの往復型バネの運動部バネ片と固定部バネ片に
おいて、連結部の自由端を結んだ延長線上から各バネ片
固定部までの最短距離が同じであること。 1つの往復型バネにおいて、運動部バネ片のばね定
数が、固定部バネ片のばね定数の合算値と同じであるこ
と。 運動部バネ片の移動方向に垂直で、かつ、往復型バ
ネを平行に配置し、平行に配置された往復型バネ間の距
離は運動部バネ片と固定部バネ片で同じであること。 以上の条件を満たせば、E字型やW字型の往復型バネに
限らず、種々の形状の往復型バネを用いることができ
る。
【0028】図8は、本発明に係る押込試験装置の他の
実施形態を示す概略図である。図8に示す押込試験装置
においては、アクチュエータ4のみが図1に示すものと
異なっている。即ち、永久磁石9を圧子支持棒2に固定
し、その周りに電磁コイル8を配置している。図8に示
す押込試験装置は、図1に示す押込試験装置と同様の作
用効果を奏する。
【0029】図1および図8に示す押込試験装置におい
て、圧子を駆動させる方式として、電磁コイルに流す電
流を徐々に増加させるのではなく、変位計による計測に
基づき、圧子変位を徐々に増加させるフィードバック制
御を行ってもよい。また、図1乃至図8に示す装置は、
圧子を試料表面に押し込んだ状態で、試料をXY平面方
向に移動させて引っかき試験を行う引っかき試験機とし
て用いてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の押込試験
装置によれば、圧子を試料表面に垂直に押し込むことが
でき、かつ広い荷重レンジを確保しつつ圧子部の動特性
を向上することができる。このため、ナノメートルオー
ダーの圧子押し込み深さを対象とする測定においても、
高精度に材料の機械的性質を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る押込試験装置の全体構成を示す概
略図である。
【図2】図1に示す押込試験装置における支持機構の詳
細を示す斜視図である。
【図3】図2に示すE字型板バネの平面図である。
【図4】圧子支持棒に軸方向に力を加えたとき、E字型
バネ片が変形した状態を示す模式図である。
【図5】図1に示す押込試験装置における支持機構の他
の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示すW字型棒状バネの平面図である。
【図7】往復型バネの他の実施形態を示す斜視図であ
る。
【図8】本発明に係る押込試験装置の他の実施形態を示
す概略図である。
【図9】圧子の支持機構と駆動方法の第1の方法を示す
図であり、図9(a)は圧子の駆動前の状態を示す模式
図であり、図9(b)は圧子の駆動後の状態を示す模式
図である。
【図10】圧子の支持機構と駆動方法の第2の方法を示
す模式図である。
【図11】圧子の支持機構と駆動方法の第3の方法を示
す図であり、図11(a)はその上面図、図11(b)
は側面図である。
【符号の説明】
1 圧子 2 圧子支持棒 3 支持機構 4 アクチュエータ 5 試料 6 XYZステージ 7 変位測定機構 8 電磁コイル 9 永久磁石 10 ヨーク 11 E字型板バネ 12,25,26,35 連結部 13,23,33 側部バネ片 13a,14a 孔 14,24,34 中央部バネ片 15 ボルト 18 固定フレーム 21 W字型棒状バネ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端に圧子を設けた圧子支持部材と、該
    圧子支持部材を運動可能に支持する支持機構と、前記圧
    子支持部材を該圧子支持部材の軸方向に駆動するアクチ
    ュエータとを備えた押込試験装置であって、 前記支持機構は、前記圧子支持部材の軸方向に離間して
    設けられるとともに該圧子支持部材を固定部に対して連
    結する複数のバネからなり、 前記バネは、一方側から他方側に向かって延びる少なく
    とも二つのバネ片を一端部で連結し、この連結部を折り
    返し端とし、他端部を開放端とした往復型バネからな
    り、 前記開放端の一方を前記固定部に固定し、他方を前記圧
    子支持部材に固定し、前記折り返し端を自由端とし、前
    記圧子支持部材を軸方向に直進運動可能にしたことを特
    徴とする押込試験装置。
  2. 【請求項2】 前記往復型バネはE字型バネ又はW字型
    バネからなることを特徴とする請求項1記載の押込試験
    装置。
  3. 【請求項3】 前記アクチュエータは電磁コイルと永久
    磁石からなり、該電磁コイルと永久磁石のいずれか一方
    を圧子支持部材に固定し、他方を固定フレームに固定し
    たことを特徴とする請求項1記載の押込試験装置。
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