JP2003160534A - ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法 - Google Patents

ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法

Info

Publication number
JP2003160534A
JP2003160534A JP2001358624A JP2001358624A JP2003160534A JP 2003160534 A JP2003160534 A JP 2003160534A JP 2001358624 A JP2001358624 A JP 2001358624A JP 2001358624 A JP2001358624 A JP 2001358624A JP 2003160534 A JP2003160534 A JP 2003160534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethylene glycol
group
acid ester
carbon atoms
dibenzoic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001358624A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003160534A5 (ja
Inventor
Toshiyuki Kamogawa
俊之 加茂川
Kazuhiro Hattori
和弘 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Japan Chemical Co Ltd
Original Assignee
New Japan Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New Japan Chemical Co Ltd filed Critical New Japan Chemical Co Ltd
Priority to JP2001358624A priority Critical patent/JP2003160534A/ja
Publication of JP2003160534A publication Critical patent/JP2003160534A/ja
Publication of JP2003160534A5 publication Critical patent/JP2003160534A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エチレングリコールジ安息香酸エステルの含
有量が少なく、かつ色調の良好なポリエチレングリコー
ル安息香酸エステル類の製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) [式中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10の
アルコキシ基、フェニル基又は塩素原子を表し、mは1
〜3の整数を表す。]で表される安息香酸類と一般式
(2) [式中、nは2〜200の整数を表す。]で表されるポ
リエチレングリコールとを、触媒の存在下にエステル化
反応させてポリエチレングリコールジ安息香酸エステル
類を製造する方法において、該触媒として錫化合物を用
いることを特徴とするポリエチレングリコールジ安息香
酸エステル類の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安息香酸類とポリ
エチレングリコールとのエステル化反応によるポリエチ
レングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレングリコールジ安息香酸エス
テル類(以下、「該エステル類」と略記する。)は、各
種樹脂(例えば、塩化ビニル、ナイロンなど)のガラス
転移点を低下させ、樹脂に柔軟性を付与する可塑剤とし
て有用であり、フィルム、シート、各種成形品などの可
塑剤として広く使用されている。該エステル類の製造方
法としては、安息香酸類とポリエチレングリコールとを
硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リ
ン酸、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体などの酸
触媒存在下、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤
中若しくは無溶剤下でエステル化反応させる方法が知ら
れている(例えば、特開昭52−139003号公
報)。
【0003】上記記載の酸触媒を用いたエステル化反応
では、1)安息香酸類及びポリエチレングリコール自体
の反応性が低いためエステル化反応を円滑に進行させる
ためには多量の酸触媒を必要とする、2)目的のエステ
ル化反応と同時にポリエチレングリコールのエーテル結
合が酸触媒によって切断されてエチレングリコールが生
成する副反応が起こり、それがエステル化されたエチレ
ングリコールジ安息香酸エステルが多量に副成する、
3)副成したエチレングリコールジ安息香酸エステルを
目的とする該エステル類から除去するのが困難である、
及び4)該エステル類が黄色を呈するなどの問題点を有
しており、これらに関して未だ満足できるものではな
い。
【0004】従って、上記の酸触媒を用いたエステル化
反応では、目的とするエステル化反応とポリエチレング
リコールのエーテル結合の切断とは並行して進行するた
め、1)目的とするエステル化反応のみを選択的に行な
い、2)副成物エチレングリコールジ安息香酸エステル
の生成を抑制し、及び3)着色の少ない該エステル類を
得ることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エチレング
リコールジ安息香酸エステルの含有量が少なく及び色調
の良好なポリエチレングリコールジ安息香酸類を製造し
うる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の事実を
見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0007】(1)安息香酸類とポリエチレングリコー
ルとのエステル化反応において、特定の触媒を使用する
ことにより、高収率で該エステル類が得られる。 (2)上記従来公知の触媒と比較して該触媒を使用した
場合、ポリエチレングリコールのエーテル結合の切断が
抑制されるためエチレングリコールジ安息香酸エステル
の副成が著しく少なくなる。 (3)上記従来の公知の触媒と比較して該触媒を使用し
た場合、得られる該エステル類の着色が少ない。
【0008】即ち、本発明は、次の発明を提供するもの
である。 項1 一般式(1) [式中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10の
アルコキシ基、フェニル基又は塩素原子を表し、mは1
〜3の整数を表す。]で表される安息香酸類と一般式
(2) [式中、nは2〜200の整数を表す。]で表されるポ
リエチレングリコールとを、触媒の存在下にエステル化
反応させてポリエチレングリコールジ安息香酸エステル
類を製造する方法において、該触媒として錫化合物を用
いることを特徴とするポリエチレングリコールジ安息香
酸エステル類の製造方法。
【0009】項2 錫化合物が、酸化錫、水酸化錫、粉
末錫及び下記一般式(3) [式中、Rは炭素数1〜17の直鎖状若しくは分岐状
アルキル基、炭素数3〜17の直鎖状若しくは分岐状ア
ルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素
数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30の芳香
族基を表す。]で表される有機酸錫化合物からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載のポリ
エチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法。
【0010】項3 ポリエチレングリコールジ安息香酸
エステル類が、一般式(4) [式中、nは2〜200の整数を表す。]で表されるポ
リエチレングリコールジ安息香酸エステルである上記項
1〜3のいずれかに記載のポリエチレングリコールジ安
息香酸エステル類の製造方法。
【0011】項4 エチレングリコールジ安息香酸エス
テルの含有量が、3000ppm以下である上記項1〜
3のいずれかに記載のポリエチレングリコールジ安息香
酸エステル類の製造方法。
【0012】項5 上記項4に記載の方法により製造さ
れるポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類。
【0013】項6 ハーゼン色数が、100以下である
上記項1〜4のいずれかに記載のポリエチレングリコー
ルジ安息香酸エステル類の製造方法。
【0014】項7 上記項6に記載の方法より製造され
るポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類。
【0015】
【発明の実施の形態】安息香酸類 本発明に係る一般式(1)で表される安息香酸類のR
としては、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数
3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコ
キシ基、フェニル基、及び塩素原子が例示されるが、こ
れら置換基の置換位置は、特に限定されない。
【0016】炭素数1〜10のアルキル基としては、具
体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブ
チル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチ
ル基などの直鎖状又は分岐状アルキル基が例示される。
【0017】炭素数3〜10のシクロアルキル基として
は、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシク
ロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチ
ルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが例示され
る。
【0018】炭素数1〜10のアルコキシ基としては、
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブト
キシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基などの
直鎖状又は分岐状アルコキシ基が例示される。
【0019】具体的な安息香酸類としては、例えば、安
息香酸、2−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、4
−メチル安息香酸、2−エチル安息香酸、4−エチル安
息香酸、4−n−プロピル安息香酸、4−t−ブチル安
息香酸、4−シクロヘキシル安息香酸、4−フェニル安
息香酸、2−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、2
−メトキシ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、4−エト
キシ安息香酸、4−t−ブトキシ安息香酸、3,4−ジ
メチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,5−
ジメチル安息香酸、4−クロロ−2−メトキシ安息香
酸、5−クロロ−2−メトキシ安息香酸、2,4,6−
トリメチル安息香酸、2,3,4−トリメトキシ安息香
酸、2,4,5−トリメトキシ安息香酸、3,4,5−
トリメトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0020】本発明において、上記一般式(1)で表さ
れる安息香酸類は、単独で又は2種以上適宜組み合わせ
て用いることもできる。
【0021】上記一般式(1)で表される安息香酸類の
中でも、1)mが0である一般式(1)で表される化合
物、2)Rが炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メ
チル基、エチル基、i−プロピル基等)であり、mが1
又は2である一般式(1)で表される化合物、及び3)
が炭素数1〜3のアルコキシ基(例えば、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロポキシ基等)であり、mが1
又は2である一般式(1)で表される化合物が好まし
い。
【0022】これらの安息香酸類は、いずれも公知であ
るか又は従来から慣用されている合成法に従って容易に
製造することができる(例えば、A. I.Vogel著,「Pra
ctical Organic Chemistry」,p755(1959))。
【0023】ポリエチレングリコール 本発明に係る一般式(2)で表されるポリエチレングリ
コールとしては、エチレンオキシドの平均付加モル数n
が、通常、2〜200、好ましくは3〜100、さらに
好ましくは3〜50のポリエチレングリコールが例示さ
れる。
【0024】かかるポリエチレングリコールは、市販さ
れているものを使用できるほか、従来公知の製造方法に
よっても容易に製造可能である。
【0025】触媒 本発明に係る錫化合物触媒は、酸化錫、水酸化錫、粉末
錫、及び一般式(3)で表される有機酸錫化合物からな
る群から選ばれる少なくとも1種である。一般式(3)
におけるRとしては、a)メチル基、エチル基、n−
プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ウン
デシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシ
ル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等の直鎖状又は
分岐状の炭素数1〜17のアルキル基、b)アリル基、
2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基等
の炭素数3〜17のアルケニル基、c)シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロ
ヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプチル基等の
炭素数3〜10のシクロアルキル基、及びd)フェニル
基、メチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフ
ェニル基、p−クミルフェニル基、メトキシフェニル
基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数7〜30のアラ
ルキル基及び炭素数6〜30芳香族基が例示される。
【0026】これらの有機酸錫化合物の具体例として
は、特に限定されるものではないが、ジ酢酸錫、ジプロ
ピオン酸錫、ジオクチル酸錫、ジラウリン酸錫、ジミリ
スチン酸錫、ジパルミチン酸錫、ジステアリン酸錫、ジ
オレイン酸錫、ジ安息香酸錫、α−ナフトエ酸錫、β−
ナフトエ酸錫等が挙げられる。これらの中でも、特に、
酸化錫、ジオクチル酸錫が好ましい。これらの触媒は、
それぞれ単独で又は2種以上適宜組み合わせて用いるこ
ともできる。
【0027】かかる錫化合物触媒は、市販されているも
のを使用できるほか、従来公知の製造方法によっても容
易に製造可能である。
【0028】エステル化反応 本発明にかかる該エステル類の製造方法は、種々の条件
で行うことができるが、一般的には以下の工程、仕込
量、製造条件等を用いて行うのが好ましい。
【0029】エステル化反応工程では、通常、反応生成
水を分離除去可能な還流冷却器を備えた反応器に、安息
香酸類、ポリエチレングリコール、触媒、及び必要に応
じて溶媒、酸化防止剤若しくは還元剤を仕込み、加熱す
ることによりエステル化させる。このとき、反応生成水
を溶媒との共沸により系外へ除去することにより反応を
促進させる。安息香酸類とポリエチレングリコールとの
仕込み割合は、特に限定されるものではないが、通常、
一般式(2)で表されるポリエチレングリコール1モル
に対して安息香酸類2〜5モル、好ましくは2.05〜
3モル使用してエステル化反応を行うことが好ましい。
【0030】溶媒の使用に関しては、本発明の効果が得
られる限り特に制限はないが、生成水を系外に除きなが
ら反応を行う。この際必要に応じて、シクロヘキサン、
n−へキサン、i−プロピルシクロヘキサン、n−ヘプ
タン、n−オクタン、n−デカン、ウンデカン、イソパ
ラフィン系混合溶剤(例えば、「IPソルベント162
0」(商品名)、エクソン化学社製)、ナフテン系混合
溶剤(例えば、「エクソールD40」(商品名)、エク
ソン化学社製)、デカリン等の飽和炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プソイドキ
ュメン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類
及びそれらの混合物(例えば、「エクソンナフサNo.
5」(商品名)、エクソン社製)が例示され、それぞれ
単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用することもで
きる。
【0031】溶剤の使用量は、特に限定されるものでは
ないが、通常、安息香酸類とポリエチレングリコールの
合計重量に対して、3〜200重量%、特に3〜50重
量%の量が好ましい。該使用量が、3重量%未満になる
と、共沸効果の低下により反応性が低下する傾向にあ
る。一方、200重量%を越えると、反応終了後の溶媒
回収に長時間を要する傾向にある。
【0032】本発明に係る触媒の使用量は、安息香酸類
に対して、通常、0.001〜10重量%であり、好ま
しくは0.005〜5重量%、さらに好ましくは0.0
1〜1重量%である。0.001重量%未満だと充分な
反応活性が得られにくく、10重量%を越えて使用して
も触媒量の増加に見合うだけの活性向上は見られず、不
経済である。
【0033】本発明のエステル化反応においては、必要
に応じて、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、
モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブ
チルハイドロキノン等のハイドロキノン系化合物、2−
t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェノール、ジ−t−ブチルヒド
ロキシトルエン等のヒンダードフェノール系化合物等の
酸化防止剤、次亜リン酸ソーダ、水素化ホウ素ナトリウ
ム等の還元剤を着色防止や熱劣化防止の目的で添加して
反応を行うこともできる。酸化防止剤及び/又は還元剤
の使用量は、反応系全体(原料及び溶媒)の重量を基準
として、通常それぞれ0.001〜1%、好ましくは
0.001〜0.1%である。
【0034】反応時の圧力は、常圧又は減圧が推奨さ
れ、反応温度と溶媒の沸点に依存して、反応生成水を共
沸させて除去できる程度に適宜設定できる。減圧下で反
応させる場合、通常、5kPa〜100kPa、特に10kPa
〜70kPaに調節するのが好ましい。また、加圧下で反
応させる場合(原料である安息香酸類が昇華性を有する
場合)、50kPa〜500kPaに調節してエステル化する
方法も採用することもできる。
【0035】反応時の雰囲気は、特に限定されるもので
はないが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下でエ
ステル化を行うことが好ましい。
【0036】上記のエステル化反応の反応温度は、原料
の種類や反応時の溶剤の使用の有無によって適宜選択さ
れるが、通常、150〜250℃の範囲である。反応温
度が150℃未満だと充分な触媒活性が得られにくく、
また、250℃を越えると生成物が黄色を呈し、副成す
るジエチレングリコールジ安息香酸エステルの量が多く
なる傾向が見られる。
【0037】また、反応時間は、原料の種類や仕込量、
反応温度等に依存するが、一般的には、通常、留出した
生成水量、又は反応系の酸価をエステル化反応の終点の
指標とすることにより適宜決定することができる。
【0038】かくして得られるエステル化反応粗物は、
未反応原料、溶媒、触媒、重合禁止剤若しくは還元剤等
の不純物を含んでいる。かかる反応粗物から溶媒だけを
除去して得られるエステル化反応粗物及び無溶媒で反応
を行って得られるエステル化反応粗物は、後処理をする
ことなくそのまま乳酸系ポリマーの可塑剤として使用す
ることもできるが、通常、かかる不純物を除去する後処
理工程を行う。
【0039】反応粗物中の未反応原料、触媒及び酸化防
止剤(還元剤)等の不純物は、通常、アルカリにより中
和処理し、必要に応じて温水又は水洗浄、濾過、脱水等
の工程を適宜組み合わせて除去する方法が例示される。
かかるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属又はアル
カリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩及びこれらの水溶
液、アンモニア等が例示できる。かかる中和処理は、通
常、反応粗物と上記アルカリの水溶液とを混合し、得ら
れる混合物を常温〜100℃の温度範囲で0.1〜1時
間撹拌することにより実施される。
【0040】溶媒の除去は、減圧下に蒸留することによ
り行い、通常、中和工程に引き続いて行うか又は上記エ
ステル化工程後に行うこともできる。蒸留の際の圧力
は、通常、0.1kPa〜4kPa、特に0.1kPa〜1kPaと
するのが好ましく、蒸留温度は、通常、50〜150
℃、特に100〜150℃が好ましい。
【0041】さらに必要に応じて活性炭、ハイドロタル
サイト、活性白土などの吸着剤処理を行い精製すること
もできる。
【0042】かくして得られる本発明のエステル類に含
まれる不純物であるエチレングリコールジ安息香酸エス
テルは、通常、高速液体クロマトグラフィー又はガスク
ロマトグラフィー分析によって定量することができ、そ
の含有量は、通常、3000ppm以下、好ましくは1
500ppm以下、特に好ましくは500ppm以下で
ある。3000ppmを越えると、該エステル類を乳酸
系ポリマー用可塑剤として用いた場合に、乳酸系ポリマ
ー成形物の低温での柔軟性の低下やクレージング(ひび
割れ)などの低温特性が悪化する傾向が見られる。
【0043】また、該エステル類のハーゼン色数は、通
常、100以下、好ましくは50以下である。100を
越えると、かかるエステル類を乳酸系ポリマー用可塑剤
として用いた場合に、乳酸系ポリマー成形物(例えば、
透明成形体、白色系成形体など)の色調を悪化させる傾
向にある。
【0044】用途 かくして得られた本発明のエステル類は、乳酸系ポリマ
ー用可塑剤として用いられる。該エステル類を含有する
乳酸系ポリマー成形物は、具体的には、農業用袋、マル
チフィルム、トンネルフィルム、植生シート、種紐、養
生シート、苗木用ポット、釣糸、漁網などの農水産業・
園芸用資材、食器用容器、食品包装用フィルム、トレ
ー、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、飲料用
ボトルなどの食品包装用材料、断熱材、型枠、土留め、
保水シート、土嚢などの土木・建築資材、紙おむつ、生
理用品包装などの衛生用材料、食品袋、レジ袋、ゴミ
袋、一般規格袋、シート、テープ、ラベル、シャンプー
ボトル、リンスボトル、化粧品容器などの日用雑貨品、
梱包材、緩衝材、結束テープ、紐などの産業用資材等の
素材として好適である。
【0045】尚、乳酸系ポリマーとしては、(a)乳酸
ホモポリマー、(b)乳酸コポリマー、及び(c)乳酸
ホモポリマー及び乳酸コポリマーからなる群から選ばれ
た少なくとも1種と他のポリマーとのブレンドポリマー
等が挙げられる。
【0046】
【実施例】以下の実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。得られ
た生成物の酸価、ケン化価、及びハーゼン色数は下記の
方法に準拠して測定した。また、副成成物のジエチレン
グリコールジ安息香酸は、ガスクロマトグラフィー分析
にて定量した。 (1)酸価 JIS K 0070に準拠して測定した。 (2)ケン化価 JIS K 0070に準拠して測定した。 (3)ハーゼン色数 JIS K 4101に準拠して測定した。
【0047】実施例1 攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導
入管を備えた2Lのガラス製反応容器に安息香酸37
8.6g(3.1モル)、数平均分子量400のポリエ
チレングリコール600.0g(1.5モル)、酸化錫
1.96g(0.015モル:対安息香酸 0.52重
量%)、キシレン50gを仕込み、窒素を30ml/m
inの流量で反応液中に吹き込みながら220℃まで昇
温した。220℃到達後、その温度で8〜10時間エス
テル化反応を行い、反応生成水はキシレンとの共沸によ
り反応系外へ除去した。得られたエステル化反応粗物を
5%水酸化ナトリウム水溶液で中和後、温水洗浄し、次
いで、1.5kPaの減圧下、120〜135℃でキシレ
ンを留去し、エステル894.1g(収率98.0%)
を得た。得られたエステルのケン化価は184であり、
酸価は0.08、ハーゼン色数は20であった。ガスク
ロマトグラフィーによる分析から主成分はポリエチレン
グリコールジ安息香酸エステルであり、また、副成物の
エチレングリコールジ安息香酸エステルの含有量は85
ppmであることを確認した。
【0048】実施例2 数平均分子量400のポリエチレングリコールに代え
て、数平均分子量600のポリエチレングリコール90
0.0g(1.5モル)を用いる以外は実施例1と同様
にエステル化反応を行った。得られたエステルは118
8.1g(収率98.0%)であり、そのケン化価は1
39であり、酸価は0.10、ハーゼン色数は30であ
った。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分は
ポリエチレングリコールジ安息香酸エステルであり、副
成物のエチレングリコールジ安息香酸エステルの含有量
は95ppmであることを確認した。
【0049】実施例3 酸化錫に代えて、ジオクチル酸錫1.96g(0.52
重量%/対安息香酸)を用いる以外は実施例1と同様に
エステル化反応を行った。得られたエステルは893.
9g(収率98.0%)であり、そのケン化価は184
であり、酸価は0.09、ハーゼン色数は20であっ
た。ガスクロマトグラフィーによる分析から主成分はポ
リエチレングリコールジ安息香酸エステルであり、副成
物のエチレングリコールジ安息香酸エステルの含有量は
90ppmであることを確認した。
【0050】比較例1 酸化錫に代えて、p−トルエンスルホン酸4.86g
(1.28重量%/対安息香酸対安息香酸)を用いる以
外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。得
られたエステルは890.3g(収率97.6%)であ
り、そのケン化価は188であり、酸価は0.32、ハ
ーゼン色数は200であった。ガスクロマトグラフィー
による分析から主成分はポリエチレングリコールジ安息
香酸エステルであり、また、副成物のエチレングリコー
ルジ安息香酸エステルの含有量は82300ppmであ
ることを確認した。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、副成するエチレングリ
コールジ安息香酸エステルの含有量が少なく、色調良好
なポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類が製造
できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) [式中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、
    炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10の
    アルコキシ基、フェニル基又は塩素原子を表し、mは1
    〜3の整数を表す。]で表される安息香酸類と一般式
    (2) [式中、nは2〜200の整数を表す。]で表されるポ
    リエチレングリコールとを、触媒の存在下にエステル化
    反応させてポリエチレングリコールジ安息香酸エステル
    類を製造する方法において、該触媒として錫化合物を用
    いることを特徴とするポリエチレングリコールジ安息香
    酸エステル類の製造方法。
  2. 【請求項2】 錫化合物が、酸化錫、水酸化錫、粉末錫
    及び下記一般式(3) [式中、Rは炭素数1〜17の直鎖状若しくは分岐状
    アルキル基、炭素数3〜17の直鎖状若しくは分岐状ア
    ルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素
    数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30の芳香
    族基を表す。]で表される有機酸錫化合物からなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリ
    エチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレングリコールジ安息香酸エス
    テル類が、一般式(4) [式中、nは2〜200の整数を表す。]で表されるポ
    リエチレングリコールジ安息香酸エステルである請求項
    1又は2に記載のポリエチレングリコールジ安息香酸エ
    ステル類の製造方法。
  4. 【請求項4】 エチレングリコールジ安息香酸エステル
    の含有量が、3000ppm以下である請求項1〜3の
    いずれかに記載のポリエチレングリコールジ安息香酸エ
    ステル類の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法により製造される
    ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類。
  6. 【請求項6】 ハーゼン色数が、100以下である請求
    項1〜4のいずれかに記載のポリエチレングリコールジ
    安息香酸エステル類の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法より製造されるポ
    リエチレングリコールジ安息香酸エステル類。
JP2001358624A 2001-11-26 2001-11-26 ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法 Pending JP2003160534A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001358624A JP2003160534A (ja) 2001-11-26 2001-11-26 ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001358624A JP2003160534A (ja) 2001-11-26 2001-11-26 ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003160534A true JP2003160534A (ja) 2003-06-03
JP2003160534A5 JP2003160534A5 (ja) 2005-06-23

Family

ID=19169772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001358624A Pending JP2003160534A (ja) 2001-11-26 2001-11-26 ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003160534A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008231079A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Mitsui Chemicals Inc レゾルシン系ジエステル化合物の製造方法
CN101492532B (zh) * 2006-01-27 2012-05-16 浙江海正生物材料股份有限公司 苯甲酸亚锡作为催化剂的用途
CN106496078A (zh) * 2016-10-13 2017-03-15 天津市富特斯科技发展有限公司 一种棕榈油酸环己基甲酸聚乙二醇酯磺酸盐制造方法
WO2019197175A1 (de) * 2018-04-09 2019-10-17 Basf Se Verfahren zur herstellung eines gemisches von mono- und dibenzoaten
CN113234220A (zh) * 2021-05-19 2021-08-10 浙江海洋大学 一种光降解环丙沙星用花状结构Fe3O4/Bi2WO6催化剂的制备方法
KR102663816B1 (ko) 2021-10-26 2024-05-14 전북대학교산학협력단 중합 후 변성법을 이용한 기능성 폴리에틸렌글리콜의 합성방법

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101492532B (zh) * 2006-01-27 2012-05-16 浙江海正生物材料股份有限公司 苯甲酸亚锡作为催化剂的用途
JP2008231079A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Mitsui Chemicals Inc レゾルシン系ジエステル化合物の製造方法
CN106496078A (zh) * 2016-10-13 2017-03-15 天津市富特斯科技发展有限公司 一种棕榈油酸环己基甲酸聚乙二醇酯磺酸盐制造方法
WO2019197175A1 (de) * 2018-04-09 2019-10-17 Basf Se Verfahren zur herstellung eines gemisches von mono- und dibenzoaten
CN113234220A (zh) * 2021-05-19 2021-08-10 浙江海洋大学 一种光降解环丙沙星用花状结构Fe3O4/Bi2WO6催化剂的制备方法
KR102663816B1 (ko) 2021-10-26 2024-05-14 전북대학교산학협력단 중합 후 변성법을 이용한 기능성 폴리에틸렌글리콜의 합성방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0091180A2 (en) Catalyst system for polycondensation of ethylene terephthalate prepolymer
KR100217259B1 (ko) 분해성 공중합체의 제조방법
JP2004523637A (ja) 安定化されたポリエステルの調製方法
CN1820043A (zh) 将紫外线吸收剂以最大利用率加入到pet中的方法
JP2003160534A (ja) ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル類の製造方法
AU2005219636B2 (en) Aliphatic ester compounds as slip agents in polyester polymers
JP4345327B2 (ja) 生分解性高分子及びその製造方法、並びに成形体
EP1148075B1 (en) Process for producing aliphatic polyester with excellent stability
CA2599237C (en) Aliphatic ester compounds as slip agents in polyester polymers
JP3501249B2 (ja) 乳酸系ポリエーテル共重合体樹脂組成物
TW583264B (en) Improved copolyester with improved extrusion processing and color for extrusion blow molding
JP3503260B2 (ja) 乳酸系ポリエーテルポリエステルの製造方法
JP2004059517A (ja) ヒドロキシ安息香酸エステル類の製造方法
JP2004124085A (ja) 脂肪族ポリエステルの製造法
JP3689983B2 (ja) 抗菌性高分子及び抗菌性を有する包装材料
JP5135740B2 (ja) ポリエステル及びその製造方法、並びにポリエステルブロック共重合体
KR930006256B1 (ko) 폴리에스테르 결합제의 제조방법
GB2423768A (en) Ester slip agents
JP4237104B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸共重合体
JPH08302163A (ja) 生分解性脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法
CN113698583A (zh) 一种直接合成高分子量聚乳酸的方法
US8653226B2 (en) Polyesteracetals
JP2001049099A (ja) ポリヒドロキシカルボン酸ペレット
JPH10204159A (ja) 脂肪族ポリエステルおよびその製造方法
JPH0570568A (ja) 高い晶化率を示すポリエステルと、それらの調製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040929

A621 Written request for application examination

Effective date: 20040929

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080226

A521 Written amendment

Effective date: 20080408

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080527