JP2003156609A - 光学フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム及び液晶表示装置

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JP2003156609A
JP2003156609A JP2001352843A JP2001352843A JP2003156609A JP 2003156609 A JP2003156609 A JP 2003156609A JP 2001352843 A JP2001352843 A JP 2001352843A JP 2001352843 A JP2001352843 A JP 2001352843A JP 2003156609 A JP2003156609 A JP 2003156609A
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light
optical film
light emitting
emitting means
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JP2001352843A
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Riyouji Kinoshita
亮児 木下
Toshihiko Ariyoshi
俊彦 有吉
Seiji Umemoto
清司 梅本
Yuuki Nakano
勇樹 中野
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶表示パネルの側面より入射させた無色の光
を効率よく視認方向に光路変換できて、その照明光が着
色化し難く、明るくてその均一性に優れると共に、見易
い表示の薄型軽量性に優れる液晶表示装置を形成しうる
光学フィルムの開発。 【解決手段】面内の最大屈折率をnx、それに直交する
方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnz、フィルム
厚をdとしたとき、(nx−ny)×dに基づく面内位相
差が50nm以下の透明フィルム(1B)の片面に、フィ
ルム面に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面
(a)を具備する光出射手段(A)の複数を有する光学
フィルム(1)及びその光学フィルムを液晶セルの少な
くとも片側に配置してなる液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、液晶表示パネルの側面よ
り入射させた光を効率よく視認方向に光路変換し、薄型
軽量で明るく、像の乱れが少なくて見易い表示の液晶表
示装置を形成しうる光学フィルムに関する。
【0002】
【発明の背景】従来、サイドライト型導光板を液晶表示
パネルの視認側に配置してなるフロントライト式の反射
型液晶表示装置では厚さと重量の増大を招くことから、
その薄型軽量化を目的に、液晶表示パネルの視認側セル
基板を介し側面方向からの入射光を反射させて照明光と
して利用しうるようにした反射型液晶表示装置が知られ
ていた(特開平5−158033号公報)。
【0003】しかしながら粗面を介した反射光を照明光
とするため、明るい表示を得ることが困難な問題点があ
った。すなわち斯かる反射光は、光の伝送方向に対し正
反射方向に強く反射されて光強度は角度に対し正規分布
的に小さくなるため、液晶表示パネルの正面方向から大
きく傾いた方向に強く出射され、正面方向の普通の視認
方向では暗い表示となる問題点があった。
【0004】一方、前記した難点に鑑みて、光出射手段
を設けた光学フィルムを液晶表示パネル表面に設けたも
のも提案されている(特開2000−147499号公
報)。しかしながらパネル側面から入射させた無色の伝
送光を光路変換させてパネル照明光として利用した場合
に、その照明光が着色化したり、パネル側面に配置され
た光源から遠離るほど輝度が大きく低下して液晶表示が
暗く、コントラストに乏しくなる問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】本発明は、液晶表示パネルの側面
より入射させた無色の光を効率よく視認方向に光路変換
できて、その照明光が着色化し難く、明るくてその均一
性に優れると共に、見易い表示の薄型軽量性に優れる液
晶表示装置を形成しうる光学フィルムの開発を課題とす
る。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は、面内の最大屈折率をn
x、それに直交する方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折
率をnz、フィルム厚をdとしたとき、(nx−ny)×
dに基づく面内位相差が50nm以下の透明フィルムの片
面に、フィルム面に対する傾斜角が35〜48度の光路
変換斜面を具備する光出射手段の複数を有することを特
徴とする光学フィルム、及びその光学フィルムを液晶セ
ルの少なくとも片側に配置してなることを特徴とする液
晶表示装置を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、光学フィルムを液晶表
示パネルに組み込むことで、液晶表示パネルの側面より
入射させた無色の光を光出射手段の光路変換斜面を介し
効率的に、かつ指向性よく視認方向に光路変換でき、そ
の照明光が着色化し難く、明るくてその均一性に優れる
と共に、見易い表示の薄型軽量性に優れる液晶表示装置
を形成することができる。
【0008】前記の効果は、光学フィルムの位相差を低
減したことに基づく。すなわち本発明者等は、上記した
着色化や輝度のバラツキ問題を克服するために鋭意研究
を重ねた結果、光学フィルムに大きな位相差のあること
が原因であることを究明した。ちなみに光学フィルムに
大きな位相差があると、パネル側面から入射させた伝送
光がその位相差の影響で受けて、パネルの照明光が着色
化する。また偏光板を通過した直線偏光からなる伝送光
が位相差の影響で楕円偏光化や円偏光化し、再び偏光板
に入射した際にその一部が吸収されて透過光の輝度が低
下する。そのためパネル側面に配置された光源から遠離
るほど輝度低下が大きくなって、明るさがバラツクこと
となり、後方での液晶表示が暗くなってコントラストに
乏しくなる。
【0009】
【発明の実施形態】本発明による光学フィルムは、面内
位相差が50nm以下の透明フィルムの片面に、フィルム
面に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面を具備
する光出射手段の複数を有するものからなる。その例を
図1に示した。1が光学フィルムで、1Aが光出射手段
形成層、1Bが透明フィルムであり、またAが光出射手
段で、aがその光路変換斜面である。さらに1Cは接着
手段、1Dは剥離シートである。なお前記した面内位相
差は、面内の最大屈折率をnx、それに直交する方向の
屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnz、フィルム厚をd
としたとき(以下同じ)、式:(nx−ny)×dにて算
出される。
【0010】光出射手段を設ける対象の透明フィルムと
しては、上記した如く、無色の光の着色化や輝度のバラ
ツキの防止等を目的に、面内位相差が50nm以下のもの
が用いられる。色ムラや輝度ムラ等の表示ムラの少ない
液晶表示装置を得る点より好ましい透明フィルムは、面
内位相差が30nm以下、就中20μm以下、特に10μm
以下のものである。
【0011】また透明フィルムに対する伝送光の入射角
が45度を超えやすいことを考慮すると、透明フィルム
の厚さ方向位相差も前記の面内位相差と同様に影響しや
すく、従って前記した表示ムラ防止等の点より、その厚
さ方向位相差が50nm以下、就中30nm以下、特に10
nm以下の透明フィルムであることが好ましい。なお厚さ
方向位相差は、上記の定義に基づいて、式:{(nx+
ny)/2−nz}×dにて算出される。
【0012】さらに透明フィルムは、前記した色ムラや
輝度ムラの防止等の点より、面内位相差や厚さ方向位相
差の場所毎のバラツキが可及的に小さいものであること
がより好ましい。なお透明フィルムにおける前記した位
相差は、可視域の光、就中、波長450〜650nmの
光、特に波長550nmの光に基づくものであることが好
ましい。
【0013】透明フィルムは、照明装置等を介して入射
させる光の波長域に応じ、それに透明性を示す適宜な材
料の1種又は2種以上を用いて形成することができる。
ちなみに可視光域では、例えばアクリル系樹脂やポリカ
ーボネート系樹脂、セルロース系樹脂やノルボルネン系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂等で代表される透明樹脂、
熱や紫外線、電子線等の放射線で重合処理しうる硬化型
樹脂などがあげられる。接着処理にて透明フィルムに発
生しやすい内部応力を抑制して、その内部応力による位
相差の発生を防止する点よりは、光弾性係数の小さい材
料が好ましく用いうる。
【0014】前記した低位相差の透明フィルムの形成
は、例えば既成のフィルムを焼鈍処理する方式等にて、
内部の光学歪みを除去する方式などの適宜な方式にて行
いうる。好ましい形成方式は、キャスティング方式にて
位相差の小さい透明フィルムを形成する方式である。そ
の場合、複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料が好
ましく用いうる。透明フィルムの厚さは、薄型軽量化等
の点より5〜300μm、就中10〜200μm、特に2
0〜100μmが好ましい。
【0015】なお光出射手段の光路変換斜面への入射光
率を高めて、明るくてその均一性に優れる面発光を得る
点よりは、支持基板と同等以上、就中1.49以上、特
に1.52以上の屈折率を有する透明フィルムであるこ
とが好ましい。なお上記したフロントライト方式の表示
装置とする場合には、表面反射による視認妨害を抑制す
る点より、透明フィルムの屈折率は、1.6以下、就中
1.56以下、特に1.54以下であることが好まし
い。なお斯かる屈折率は、可視光域の場合、D線に基づ
くことが一般的であるが、入射光の波長域に特異性など
がある場合には、それに限定されずその波長域に応じる
こともできる(以下同じ)。
【0016】光学フィルム1は、図5に例示した如く、
側面に照明装置51を有する液晶表示パネル100等の
装置平面に沿う方向に配置し、前記照明装置による側面
方向からの入射光ないしその伝送光を矢印αの如く、光
出射手段Aの光路変換斜面aを介し反射させて透明フィ
ルムの光出射手段を有しない面側に、従って液晶表示パ
ネル等の視認方向に光路変換し、必要に応じ反射層31
を介し反射反転させて視認側より出射させ、その出射光
を液晶表示パネル等の照明光(表示光)として利用でき
るようにすることを目的とする。
【0017】前記の目的を達成する点より図1に例示し
た如く、光学フィルム1は、側面方向からの入射光ない
しその伝送光を所定方向に反射して光路変換する斜面a
を透明フィルムの片面に有するものとして形成される。
その場合、本発明にては光路変換を介して正面方向への
指向性に優れる照明光を得る点より、図1に示した如
く、フィルム面に対する傾斜角θ1が35〜48度の光
路変換斜面aを具備する光出射手段Aの複数を有するも
のとされる。
【0018】光路変換斜面の当該傾斜角が35度未満で
は、液晶セルの背面側に反射板を配置して当該光路変換
光を反射させた場合などに、その反射光に基づく表示光
の液晶表示パネル等より出射する角度が30度を越える
こととなり、視認に不利となる。一方、光路変換斜面の
当該傾斜角が48度を超えると、全反射されずにその斜
面から光洩れが生じやすくなり、光利用効率が低下す
る。
【0019】前記において光路変換斜面による反射方式
に代えて、表面を粗面化した光出射手段による散乱反射
方式とした場合には、垂直方向に反射しにくくて液晶表
示パネル等から、その正面方向より大きく傾いた方向に
出射され、液晶表示が暗くてコントラストに乏しくな
る。
【0020】光路変換斜面を介し、側面からの入射光乃
至その伝送光を効率よく全反射させて光学フィルムよ
り、そのフィルム面の法線方向に指向性よく出射させ、
液晶セル等を効率よく照明して明るくて見やすい液晶表
示等を達成する点より、光路変換斜面の好ましい当該傾
斜角θ1は38〜45度、就中40〜43度である。
【0021】光出射手段は、前記した光路変換斜面を一
面又は二面以上有する適宜な形態、例えば光路変換斜面
に対する横断面に基づいて、三角形〜五角形等の形態を
有する凹部又は凸部にて形成することができる。ちなみ
に図1の例では、光路変換斜面aと当該傾斜角θ2が大
きい立面bを具備する断面三角形の光出射手段を示した
が、二面の光路変換斜面aを有する断面二等辺三角形の
光出射手段などであってもよい。なお前記断面の多角形
は、厳密な意味ではなく、辺の角度変化や辺の交点から
なる角の円化等の変形は許容される。
【0022】前記の如く光出射手段は、凸部にて形成す
ることもできるが、光の利用効率や傷付き難さ等の点よ
りは、図例の如く凹部にて形成されていることが好まし
い。就中、サイズの小型化による視覚性の低減や製造効
率などの点より、断面三角形の凹部からなる光出射手段
が好ましい。なお凹部は、光学フィルム内に凹んでいる
こと(溝)を意味し、凸部は光学フィルム外に突出して
いること(山)を意味する。
【0023】また光出射手段は、その小型化、ひいては
薄層化を目的に複数形成される。その場合、図2〜4に
平面図として例示した如く、一辺から他辺にわたり連続
した光出射手段をストライプ状に配列させたものや、不
連続に断続する状態で複数の光出射手段を分布させたも
のとして形成することができる。
【0024】光出射手段は、前記した連続又は不連続の
状態にてその光路変換斜面に基づき図2の例の如く平行
に分布していてもよいし、図3の例の如く不規則に分布
していてもよい。さらに図4の例の如く、仮想中心に対
してピット状に配置された分布状態にあってもよい。そ
の場合、ピット状配置にて光出射手段の光路変換斜面が
対面するように向くこととなる仮想中心は、透明フィル
ムにおける辺の角部や角部間、あるいは辺の外側にあっ
てよく、またその仮想中心は、異なる位置に2個以上が
あってもよい。
【0025】複数の光出射手段の配置状態は、その形態
などに応じて適宜に決定することができる。上記したよ
うに光路変換斜面aは、照明モードにおいて照明装置に
よる側面方向からの入射光を所定方向に反射して光路変
換するものであることより、斯かる光路変換斜面を具備
する光出射手段を全光線透過率が75〜92%で、ヘイ
ズが4〜20%となるように透明フィルムに分布させる
ことが、照明装置を介した側面方向からの光を光路変換
して液晶セルを効率よく照明する面発光装置を得て、明
るくてコントラストに優れる液晶表示等を達成する点よ
り好ましい。
【0026】斯かる全光線透過率とヘイズの特性は、光
出射手段のサイズや分布密度等の制御にて達成でき、例
えば透明フィルムにおける光出射手段の形成面に占め
る、光出射手段の投影面積に基づく占有面積を1/10
0〜1/8、就中1/50〜1/10、特に1/30〜
1/15とすることにより達成することができる。
【0027】より具体的には光路変換斜面のサイズが大
きいと、観察者にその斜面の存在が認識されやすくなっ
て表示品位を低下させやすくなり、液晶セル等に対する
照明の均一性も低下しやすくなることなども考慮して、
図2の例の如く連続する光出射手段を平行に分布させる
場合には、その繰返しピッチを2mm以下、就中20μm
〜1mm、特に50〜500μmとし、フィルム面に対す
る光路変換斜面の投影幅を40μm以下、就中3〜20
μm、特に5〜15μmとすることが好ましい。
【0028】なお連続する光出射手段の平行分布は、光
学フィルムの一辺に対して平行であってもよいし、30
度以内の交差状態で配列していてもよい。後者は、液晶
セル等の画素との干渉によるモアレの防止等に有効であ
る。またモアレ防止は、平行配列のピッチの調節にても
行うことができる。従って当該ピッチは、一定ピッチで
あってもよいし、変化していてもよい。
【0029】一方、図3、4の例の如く、不連続な光出
射手段を平行に又は不規則に分布させる場合や、仮想中
心に対してピット状に分布させる場合には、前記した特
性の達成に加え、光路変換斜面による反射効率も考慮し
て、光路変換斜面の長さを光出射手段の深さ又は高さの
5倍以上、就中8以上、特に10以上の光出射手段とす
ることが好ましい。
【0030】また光路変換斜面の長さは10〜500μ
m以下、就中200μm以下、特に20〜100μm、光
出射手段の深さ又は高さと、幅は、2〜100μm、就
中5〜40μm、特に10〜20μmとすることが好まし
い。なお前記の長さは、光路変換斜面の長辺方向の長さ
に基づき、深さ又は高さは、透明フィルムの光出射手段
形成面を基準とする。また幅は、光路変換斜面の長辺方
向と、光出射手段の深さ又は高さ方向とに直交する方向
の長さに基づく。
【0031】なお光出射手段を形成する面であって、所
定傾斜角の光路変換斜面aを満足しない面、例えば図1
における光路変換斜面aに対向する立面b等は、側面方
向からの入射光を有効な照明光として出射することに寄
与するものではなく、表示品位や光伝送ないし光出射に
可及的に影響しないことが好ましい。
【0032】ちなみにフィルム面に対する立面の傾斜角
θ2が小さいと、フィルム面に対する立面の投影面積が
大きくなり、図5に例示した如く光学フィルム1を視認
側に配置するフロントライト方式による外光モードで
は、その立面による表面反射光が観察方向に戻って表示
品位を阻害しやすくなる。
【0033】従って立面等の当該傾斜角θ2は大きいほ
ど有利であり、それによりフィルム面に対する投影面積
を小さくできて、全光線透過率の低下等を抑制できる。
また光路変換斜面と立面による頂角も小さくできて表面
反射光を低減でき、その反射光を光学フィルムの平面方
向に傾けることができて、液晶表示等への影響を抑制す
ることができる。斯かる点より立面等の好ましい傾斜角
θ2は、60度以上、就中70度以上、特に75〜90
度である。
【0034】光出射手段Aを形成する斜面は、直線面や
屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形成されていてよ
い。また光出射手段の断面形状は、その傾斜角等がシー
トの全面で一定な形状であってもよいし、吸収ロスや先
の光路変換による伝送光の減衰に対処して光学フィルム
上での発光の均一化を図ることを目的に、光が入射する
側の側面から遠離るほど光出射手段を大きくしてもよ
い。
【0035】また一定ピッチの光出射手段とすることも
できるし、図3、4の例の如く光が入射する側(矢印)
の側面から遠離るほど徐々にピッチを狭くして、光出射
手段の分布密度を多くしたものとすることもできる。さ
らにランダムピッチにて光学フィルム上での発光の均一
化を図ることもできる。ランダムピッチは、画素との干
渉によるモアレの防止の点よりも有利である。よって光
出射手段は、ピッチに加えて形状等も異なるものの組合
せからなっていてもよい。
【0036】光出射手段における光路変換斜面は、図1
の例の如く液晶セル等の側面方向より入射させる光の方
向(矢印)に対面していることが、出射効率の向上の点
より好ましい。従って線状の照明装置を用いる場合には
図2、3に例示の如く、光路変換斜面は、光学フィルム
の一辺に対する方向又は一定の方向を向いていることが
好ましい。また発光ダイオード等の点状の照明装置を用
いる場合には、図4の例の如く光路変換斜面は、その点
状の照明装置の発光中心の方向を向いていることが好ま
しい。
【0037】光出射手段の断続端の形状等については特
に限定はないが、その部分への入射光の低減化等による
影響の抑制の点より、30度以上、就中45度以上、特
に60〜90度の面とすることが好ましい。
【0038】また透明フィルム、さらに光学フィルムの
表面は、光出射手段の部分を除きその表裏面が可及的に
平滑な平坦面であること、就中±2度以下の角度変化、
特に0度の平坦面であることが好ましい。またその角度
変化が長さ5mmあたり1度以内であることが好ましい。
【0039】斯かる平坦面とすることにより、透明フィ
ルムないし光学フィルムの大部分を角度変化が2度以下
の平滑面とすることでき、液晶セル等の内部を伝送する
光を効率よく利用できて、画像を乱さない均一な光出射
を達成することができる。また光学フィルムをセル基板
や偏光板等の他部材と接着処理する際の作業のしやすさ
などの点よりも好ましい。
【0040】上記したように、図4に例示した如き光出
射手段Aのピット状配置は、点状の照明装置を液晶表示
パネルの側面等に配置し、その点状の照明装置による側
面方向からの放射状の入射光、ないしその伝送光を光路
変換斜面aを介し光路変換して、光学フィルムを可及的
に均一に発光させ、液晶セル等に対し法線方向の指向性
に優れる光を照明装置光の利用効率よく、光学フィルム
から出射させることを目的とする。
【0041】従ってそのピット状配置は、点状の照明装
置の配置が容易となるように、上記した如く光学フィル
ムの端面又はその外側に、仮想中心が形成されるように
行うことが好ましい。また仮想中心は、上記したように
同じ又は異なる光学フィルムの端面に対して一箇所又は
二箇所以上を形成することができる。
【0042】光出射手段を有する透明フィルムの形成
は、適宜な方法で行うことができる。ちなみにその例と
しては、熱可塑性樹脂からなる透明フィルムを所定の光
出射手段を形成しうる型に加熱下に押付て形状を転写す
る方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂、あるいは熱や溶
媒を介して流動化させた樹脂を所定の光出射手段を形成
しうる型に充填する方法、熱や紫外線、あるいは電子線
等の放射線で重合処理しうる液状樹脂やモノマーやオリ
ゴマー等を所定の光出射手段を形成しうる型に充填ない
し流延して、重合処理する方法があげられる。
【0043】また透明フィルムに、熱や紫外線、あるい
は電子線等の放射線で重合処理しうる液状樹脂やモノマ
ーやオリゴマー等を塗工し、その塗工層を所定の光出射
手段を形成しうる型に押しつけて成形したのち重合処理
する方法、前記の液状樹脂等を所定の光出射手段を形成
しうる型に充填し、その充填層の上に透明フィルムを密
着配置して紫外線や放射線等の照射で重合処理する方法
などもあげられる。
【0044】上記した方法は、光出射手段具備の透明フ
ィルムを一体成形して、光出射手段を同体に有する光学
フィルムの形成に特に有利である。特に後者の透明フィ
ルムを用いる方法は、図1の例の如く透明フィルム1B
に、それとは別体の光出射手段形成層1Aを付加したも
のが形成される。その場合、付加する光出射手段形成層
と透明フィルムの屈折率差が大きいと、界面反射等にて
出射効率が大きく低下する場合がある。
【0045】従って前記の出射効率の低下を抑制する点
より、透明フィルムと光出射手段形成層との屈折率差を
可及的に小さくすること、就中0.10以内、特に0.
05以内とすることが好ましい。またその場合、透明フ
ィルムよりも、付加する光出射手段形成層の屈折率を高
くすることが出射効率の点より好ましい。なお光出射手
段形成層の形成には、透明フィルムに準じ入射光の波長
域に応じた適宜な透明材料を用いうる。
【0046】なお前記のフィルムを用いる方法において
は、フィルムに剥離剤で処理したものなどを用いて重合
処理後に、形成された光出射手段形成層とフィルムとを
分離する方法も採ることができる。その場合、用いるフ
ィルムは透明でなくてもよい。また透明フィルムとして
の部分は、光出射手段形成層に内在するものとして形成
される。
【0047】透明フィルムにおける光出射手段形成面に
は、必要に応じて外光の表面反射による視認阻害の防止
を目的としたノングレア処理や反射防止処理、傷付き防
止を目的としたハードコート処理などを施すことができ
る。斯かる処理を施した透明保護層を有する光学フィル
ムは、特にフロントライト方式に好ましく用いうる。
【0048】前記したノングレア処理は、サンドブラス
ト方式やエンボス加工方式等の粗面化方式、シリカ等の
前記した透明粒子を配合した樹脂の塗工方式などの種々
の方式で、表面を微細凹凸構造化することにより施すこ
とができる。また反射防止処理は、干渉性の蒸着膜を形
成する方式などにて施すことができる。更にハードコー
ト処理は、硬化型樹脂等の硬質樹脂を塗工する方式など
にて施すことができる。ノングレア処理や反射防止処理
やハードコート処理は、その1種又は2種以上の処理を
施したフィルムの接着方式などにても施すことができ
る。
【0049】光学フィルムは、透明フィルムの光出射手
段を有する側とは反対側に接着手段を有するものとして
形成することができる。光学フィルムは、上記したよう
に側面からの入射光を伝送する基板に対して配置される
ものである。その場合に、光学フィルムを接着手段を介
して基板に密着させることにより、光出射手段Aの光路
変換斜面aを介した反射効率、ひいては側面方向よりの
入射光の有効利用による輝度を向上させることができ
る。
【0050】接着界面での全反射を抑制して、液晶セル
等の基板を介した伝送光の透明フィルムへの入射効率を
高め、明るくてその均一性に優れる液晶表示等を得る点
より好ましい接着手段は、透明フィルムよりも0.07
低い屈折率以上の屈折率を有して、基板よりも高いかそ
れに近い屈折率を有するものである。
【0051】ちなみに液晶セルのセル基板等からなる基
板よりも低い屈折率の接着手段では側面からの入射光が
その伝送の際に全反射を受けやすい。基板には通例、樹
脂板や光学ガラス板が用いられ、エボキシ樹脂基板や無
アルカリガラス板の場合、その屈折率は1.50〜1.
52程度が一般的であるから、理想的にはそれ以上の屈
折率を有する接着手段を介し接着処理することで、基板
から透明フィルムに入射しうる角度を有する伝送光の殆
どを接着界面で全反射させずに透明フィルムに入射させ
ることができる。
【0052】全反射に基づく閉込め作用で出射できない
損失光量の抑制による、表示輝度や面内での明るさの均
一性の向上などの点より、接着手段や基板や透明フィル
ム等の光透過型光学層の間の各界面における好ましい屈
折率差は、0.15以内、就中0.10以内、特に0.
05以内である。従って接着手段の好ましい屈折率は、
1.49以上、就中1.50以上、特に1.51以上で
ある。よって光学フィルムを偏光板等と接着する場合に
も、その接着手段は前記の屈折率条件を満足することが
好ましい。
【0053】接着手段としての接着層の形成には、例え
ば紫外線や放射線等の照射又は加熱で硬化する接着剤な
どの適宜なものを用いることができ、特に限定はない。
就中、透明性に優れるものが好ましい。また簡便接着性
等の取扱性や内部応力の発生を抑制する応力緩和性など
の点よりは、粘着層が好ましく用いうる。
【0054】粘着層の形成には、例えばゴム系やアクリ
ル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリ
エステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やポリア
ミド系、スチレン系などの適宜なポリマーをベースポリ
マーとする粘着剤などを用いうる。就中、アクリル酸な
いしメタクリル酸のアルキルエステルを主体とするポリ
マーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤の如く透
明性や耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用い
られる。
【0055】また接着層は、それに例えばシリカやアル
ミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウ
ム、酸化カドミウムや酸化ノンモン等の導電性のことも
ある無機系粒子や、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系
粒子などの適宜な透明粒子を1種又は2種以上含有させ
て光拡散型のものとすることもできる。
【0056】光出射手段を設けた透明フィルムは、偏光
板の透明保護層として用いることもできる。すなわち図
5の例の如く、その透明フィルムを光出射手段Aを有し
ない側を介して偏光板25に積層してなる光学フィルム
1とすることもできる。その場合、透明フィルムと偏光
板は、上記に準じた接着手段を介して接着積層されてい
ることが、光出射手段Aの光路変換斜面aを介した反射
効率、ひいては側面方向よりの入射光の有効利用による
輝度向上の点より好ましい。
【0057】前記した偏光板一体型の光学フィルムは、
そのまま液晶表示パネル等に適用することができる。そ
の場合、透明フィルムに設けた光出射手段が外側に位置
するように光学フィルムを配置する方式が、通例であ
る。位相差の小さい透明フィルムの使用にて、図5の矢
印γの如く、偏光板25を介した直線偏光が入射した場
合にその偏光状態を良好に維持できて、偏光板に再入射
した際の吸収や、表示品位の低下を有効に防止すること
ができる。
【0058】偏光板としては、適宜なものを用いること
ができ特に限定はない。高度な直線偏光の入射による良
好なコントラスト比の表示を得る点などよりは、例えば
ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポ
リビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル
共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィ
ルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させ
て延伸したものからなる吸収型偏光フィルムなどの如
く、偏光度の高い偏光板が好ましく用いうる。
【0059】偏光板は、前記偏光フィルムの片側又は両
側に透明保護層を有するものであってもよい。その透明
保護層は、照明装置等を介して入射させる光の波長域に
応じそれに透明性を示す、上記の透明フィルムで例示し
たものなどの適宜な材料の1種又は2種以上を用いて形
成することができる。就中、透明性や機械的強度、熱安
定性や水分遮蔽性などに優れる透明保護層が好ましい。
【0060】透明保護層は、単層物として形成されてい
てもよいし、同種又は異種の材料からなる積層体などと
して形成されていてもよい。透明保護層の厚さは、薄型
軽量化等の点より、5〜500μm、就中10〜300
μm、特に20〜100μmが好ましい。上記した偏光板
一体型の光学フィルムは、その光出射手段を有する透明
フィルムが薄型化を目的に、当該透明保護層を兼ねるも
のとして積層されていてもよいし、透明保護層の外側に
付加する状態で積層されていてもよい。
【0061】偏光板一体型の光学フィルムにも、液晶セ
ル等の他部材と接着するための透明な接着層等の接着手
段を、必要に応じて設けることができる。その接着層
は、上記に準じることができる。なお光学フィルムに設
けた接着層に対しては、図1の例の如くそれを実用に供
するまでの間、異物の混入等の防止を目的に剥離シート
1Dを仮着して、カバーしておくことが好ましい。
【0062】本発明による光学フィルムは、その光出射
手段(光路変換斜面)を介して、照明装置による側面方
向からの入射光ないしその伝送光を、視認に有利な垂直
性に優れる方向(法線方向)に光路変換して光の利用効
率よく出射し、また外光に対しても良好な透過性を示す
ものとすることができ。
【0063】従って例えば、従来の透過型や反射型ない
し半透過型等の各種の液晶表示パネル等に適用して、明
るくて見やすい薄型軽量の透過型、又は外光・照明両用
式の液晶表示装置などの種々の装置を形成することがで
きる。その液晶表示装置の例を図5に示した。
【0064】図5は、光学フィルム1を反射層具備の従
来の反射型液晶表示パネルの視認側に適用して、フロン
トライト方式の外光・照明両用式液晶表示装置とした例
を示したものである。20、30が液晶セルにおけるセ
ル基板、40が液晶層、31が反射層である。
【0065】図例の如く液晶表示装置は、光学フィルム
1を液晶セルの少なくとも片側に配置することにより形
成することができる。その場合、光学フィルムは、その
光出射手段を有する側が外側となるように、液晶表示パ
ネルの視認側又は背面側の少なくとも一方に配置するこ
とが一般的である。また光学フィルムは、接着層を介し
液晶セル等に接着することが明るい表示を達成する点よ
り好ましい。
【0066】照明機構は、図例の如く液晶セルの1又は
2以上の側面、特に光学フィルム1を配置した側のセル
基板20の1又は2以上の側面に、1個又は2個以上の
照明装置51を配置することにより形成することができ
る。その形成に際し図4の例の如きピット状配置の光出
射手段を有する光学フィルムの場合には、点状の照明装
置による放射状入射光を効率よく利用して明るい表示を
達成する点より、ピット状配置の光出射手段の仮想中心
を含む垂直線上における液晶セルの側面に点状の照明装
置を配置することが好ましい。
【0067】仮想中心に対応した点状の照明装置の斯か
る配置に際しては、光出射手段の仮想中心が光学フィル
ムの端面にあるか、その外側にあるかに応じて図5の例
の如く、セル基板20の点状の照明装置を配置する側を
突出させる方式などの適宜な対応策を採ることができ
る。線状の照明装置等の他の照明装置を配置する場合も
同様である。
【0068】液晶セルの側面に配置する照明装置として
は、適宜なものを用いることができる。例えば前記した
発光ダイオード等の点状照明装置のほか、(冷,熱)陰
極管等の線状照明装置、点状照明装置を線状や面状等に
配列したアレイ体、あるいは点状照明装置と線状導光板
を組合せて点状照明装置からの入射光を線状導光板を介
し線状照明装置に変換するようにしたものなどが好まし
く用いうる。
【0069】また照明装置は、光学フィルムの光路変換
斜面が対面することとなるセル側面に配置することが、
出射効率の点より好ましい。上記したピット状配置の場
合も含めて、光路変換斜面が照明装置に対して可及的に
垂直に対面するように配置することにより、照明装置を
介した側面からの入射光を効率よく面状に変換して高効
率に面発光させることができる。
【0070】従って横断面が二等辺三角形の如く二面の
光路変換斜面を具備するものなどの、複数の光路変換斜
面を具備する光出射手段を有する光学フィルムの場合に
は、セル基板の対向する側面の両方などの、複数の光路
変換斜面に対応した数の照明装置を配置することもでき
る。またピット状配置の場合には、光学フィルムにおけ
る光出射手段の仮想中心に対応した1個所又は2個所以
上に点状の照明装置を配置することもできる。
【0071】照明装置は、その点灯による照明モードで
の視認を可能とするものであり、外光・照明両用式の液
晶表示装置の場合に、外光による外光モードにて視認す
るときには点灯の必要がないので、その点灯・消灯を切
り替えうるものとされる。その切り替え方式には任意な
方式を採ることができ、従来方式のいずれも採ることが
できる。なお照明装置は、発光色を切り替えうる異色発
光式のものであってもよく、また異種の照明装置を介し
て異色発光させうるものとすることもできる。
【0072】図5の例の如く照明装置51に対しては、
必要に応じ発散光を液晶セルの側面に導くためにそれを
包囲するリフレクタ52などの適宜な補助手段を配置し
た組合せ体とすることもできる。リフレクタとしては、
高反射率の金属薄膜を付設した樹脂シートや白色シート
や金属箔などの適宜な反射シートを用いうる。リフレク
タは、その端部をセル基板等の端部に接着する方式など
にて、照明装置の包囲を兼ねる固定手段として利用する
こともできる。
【0073】液晶表示装置は一般に、液晶シャッタとし
て機能する液晶セルとそれに付随の駆動装置、フロント
ライト又はバックライト(光学フィルム)及び必要に応
じての反射層や補償用位相差板等の構成部品を適宜に組
立てることなどにより形成される。本発明においては上
記した光学フィルムと照明装置を用いて照明機構を形成
する点を除いて特に限定はなく、従来のフロントライト
型やバックライト型のものに準じて形成することができ
る。
【0074】従って用いる液晶セルについては特に限定
はなく、図例の如くセル基板20、30の間に封止材4
1を介し液晶40を封入し、その液晶等による光制御を
介して表示光を得るようにした、適宜な透過型や反射
型、ないしハーフミラーの如く光を透過し、かつ反射す
る半透過型反射層を用いた半透過型のものを用いること
ができる。
【0075】ちなみに前記液晶セルの具体例としては、
TN型液晶セルやSTN型液晶セル、IPS型液晶セル
やHAN型液晶セル、OCB型液晶セルやVA型液晶セ
ルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や
強誘電性液晶系の液晶セル、あるいは内部拡散式等の光
拡散型の液晶セルなどがあげられる。
【0076】また液晶の駆動方式も、例えばアクティブ
マトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な
ものであってよい。液晶の駆動は通例、図5の例の如
く、セル基板の内側に設けた電極21、31を介して行
われる。
【0077】反射型ないし半透過型の液晶表示装置で
は、反射層ないし半透過型反射層の配置が必須である
が、その配置位置については図5に例示の如く、液晶セ
ルの内側に設けることもできるし、液晶セルの外側に設
けることもできる。従って図5の例で電極31は、反射
層も兼ねている。
【0078】反射層についは、例えばアルミニウムや
銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ
樹脂中に含有する塗工層や蒸着方式等による金属薄膜の
付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シー
ト、金属箔や透明導電膜、誘電体多層膜などの、従来に
準じた適宜な反射層として形成することができる。また
半透過型反射層についても、例えばハーフミラーや反射
材含有シート、前記反射層に多数の孔を設けたなどの、
従来に準じた適宜な半透過型反射層として形成すること
ができる。
【0079】一方、透過型の液晶表示装置は、液晶セル
の背面側に光学フィルムを配置してバックライト機構を
形成することにより製造しうる。その場合に、光出射手
段の背面側(外側)に反射層を設けることにより、光路
変換斜面等から洩れる光を反射させて液晶セルの方向に
戻すことでセル照明に利用でき、輝度の向上を図ること
ができる。またその反射層を拡散反射面とすることで、
反射光を拡散させて正面方向に向けることができ、視認
により有効な方向に向けることができる。
【0080】さらに前記した反射層の配置により、透過
型で、かつ外光・照明両用式の液晶表示装置を形成する
ことも可能である。透過型液晶表示装置に配置する反射
層は、上記した反射型液晶表示装置で例示した反射層に
準じることができる。
【0081】他方、半透過型反射層を用いた半透過型液
晶表示装置の場合には、前記したフロントライト方式及
びバックライト方式のいずれにても照明機構を形成する
ことができる。従って液晶表示パネルの視認側と背面側
の両方に光学フィルムを配置して、フロントライトとバ
ックライトの両方の照明機構を設けた、外光・照明両用
式の半透過型液晶表示装置を形成することもできる。
【0082】なお前記の透過型において、反射層を液晶
セルの外側に配置する場合、そのセル基板や電極は、液
晶表示を可能とするために透明基板や透明電極として形
成することが必要である。一方、図5の例の如く、液晶
セルの内部に反射層を兼ねる電極31を設ける場合に
は、液晶表示を可能とするためにその視認側のセル基板
20や電極21は透明基板や透明電極として形成する必
要があるが、背面側のセル基板30はその反射層31と
同様に透明である必要はなく、不透明体にて形成されて
いてもよい。半透過型の場合には、前記の透過型や反射
型に準じうる。
【0083】セル基板の厚さについては、特に限定はな
く液晶の封入強度や、配置する照明装置の大きさなどに
応じて適宜に決定しうる。一般には光伝送効率と薄型軽
量性のバランスなどの点より10μm〜5mm、就中50
μm〜2mm、特に100μm〜1mmの厚さとされる。また
セル基板の厚さは、照明装置を配置する側と配置しない
側とで相違していてもよいし、同厚であってもよい。輝
度向上の点よりは、照明装置を配置する側のセル基板を
厚くすることが有利である。
【0084】液晶表示パネルの形成に際しては、必要に
応じ図5の例の如く、液晶を配向させるためのラビング
膜等の配向膜22、32や、カラー表示を実現するため
のカラーフィルタ23、低屈折率層24、偏光板25、
位相差板26などを設けることができる。配向膜は液晶
層に隣接するように配置し、カラーフィルタはセル基板
と電極の間に配置する方式が一般的である。なお直線偏
光を介した表示光の制御を目的とした偏光板は、液晶セ
ルの視認側及び背面側の一方又は両方の適宜な位置に配
置することができる。
【0085】前記した低屈折率層は、図5の矢印βの如
く、照明装置51を介した側面方向よりの入射光を界面
反射させて、照明装置より遠離る方向の後方に効率よく
伝送し、後方にある光路変換斜面にも光が効率よく入射
して、セル表示面の全面での明るさの均一性の向上を目
的とする。低屈折率層は、フッ素化合物等の無機物や有
機物からなる適宜な低屈折率材料による透明層として形
成することができる。
【0086】低屈折率層の配置位置は、図5の例の如く
照明装置51を配置したセル基板20の内側、すなわち
基板の光学フィルム付設側とは反対の面がセル表示の明
るさの向上の点より好ましい。またセル基板よりも屈折
率が0.01以上、就中0.02〜0.15、特に0.
05〜0.10低い低屈折率層がセル表示の明るさの向
上の点より好ましい。
【0087】液晶表示装置の形成に際しては必要に応
じ、上記したノングレア層等のほかに光拡散層や位相差
板などの適宜な光学層の1層又は2層以上を付加した液
晶表示パネルとすることもできる。光拡散層は、表示光
の拡散による表示範囲の拡大や発光の平準化による輝度
の均一化、液晶セル内の伝送光の拡散による光学フィル
ムへの入射光量の増大などを目的とする。なお前記の付
加する光学層は、必要に応じ接着層等を介し光学フィル
ムと積層一体化して液晶セルに適用することもできる。
【0088】光拡散層は、上記のノングレア層に準じた
表面微細凹凸構造を有する塗工層や拡散シートなどによ
る適宜な方式にて設けることができる。光拡散層は、接
着層に透明粒子を配合して接着層を兼ねる層として配置
することもでき、これにより液晶表示装置の薄型化を図
かることができる。光拡散層は、光学フィルムと視認側
のセル基板の間などの適宜な位置に、1層又は2層以上
を配置することができる。
【0089】また前記した位相差板は、光学補償による
視野角の拡大や着色防止等を目的とし通例、図5の如く
視認側又は/及び背面側の偏光板とセル基板の間に配置
される。補償用の位相差板には、波長域などに応じて適
宜なものを用いることができ1層又は2層以上の位相差
層の重畳層として形成されていてもよい。
【0090】位相差板は、適宜な透明ポリマーからなる
フィルムを一軸や二軸等の適宜な方式で延伸処理してな
る複屈折性フィルム、ネマチック系やディスコティック
系等の適宜な液晶ポリマーの配向フィルムやその配向層
を透明基材で支持したものなどとして得ることができ、
熱収縮性フィルムの加熱収縮力の作用下に厚さ方向の屈
折率を制御したものなどであってもよい。
【0091】なお上記した図5の反射型液晶表示装置に
おいて、外光・照明両用による視認は、照明装置51の
点灯による照明モードにおいて図例の矢印αの如く、光
学フィルム1の裏面より出射した光が、液晶セルを経由
してその反射層31で反射された後、液晶セル内を逆経
由して光学フィルムに至り、光出射手段A以外の部分よ
り透過した表示光が視認される。
【0092】一方、照明装置の消灯による外光モードに
おいては、光学フィルム1の光出射手段形成面における
光出射手段以外の部分より入射した光が反射層31を介
し、前記に準じ液晶セル内を逆経由して光学フィルムに
至り、光出射手段以外の部分より透過した表示光が視認
される。
【0093】他方、透過型液晶表示装置において外光・
照明両用による視認は、照明装置の点灯による照明モー
ドにおいて、背面側に配置した光学フィルムより出射し
た光が液晶セル内に入射し、偏光板等を透過した表示光
が視認される。また照明装置の消灯による外光モードで
は、視認側表面より入射した外光が液晶セルを透過して
光学フィルムに至り、その光出射手段形成面の光出射手
段以外の部分より入射した光が背面に設けた反射層を介
し反転し、液晶セル内を逆経由して透過した表示光が視
認される。なお半透過型液晶表示装置では、前記の反射
型と透過型に準じて外光・照明両用による視認が行われ
る。
【0094】本発明において、上記した液晶表示装置を
形成する各部品は、全体的又は部分的に積層一体化され
て固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置され
ていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低
下防止などの点よりは、固着状態にあることが好まし
く、少なくとも光学フィルムと偏光板ないし液晶セルが
固着密着状態にあることが好ましい。前記の固着処理に
は、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、
その透明接着層に透明粒子等を含有させて拡散機能を示
す接着層などとすることもできる。
【0095】また前記の形成部品、特に視認側のそれに
は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノ
ン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアク
リレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸
収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせる
こともできる。
【0096】
【実施例】参考例 屈折率1.52の無アルカリガラス板の上に酸化インジ
ウム・スズ(ITO)透明導電層をスパッタリング方式
にて形成し、その上にポリビニルアルコール溶液をスピ
ンコートしてその乾燥膜をラビング処理し視認側と背面
側のセル基板を得た。なお視認側セル基板では、ガラス
板上にフッ化マグネシウムを蒸着して低屈折率層を形成
しアルゴン雰囲気中でプラズマ処理を施した後、その上
にITO透明導電層を形成した。
【0097】ついで、前記の視認側と背面側のセル基板
をそのラビング面をラビング方向が直交するように対向
させて球形のガラスビーズよりなるギャップ調節材を配
した後、周囲をエポキシ樹脂でシールしたのち液晶(B
DH社製、E−7:200重量部に、カイラル剤(メル
ク社製、MC−32)1重量部の混合物)を注入して液
晶セルを形成した。
【0098】実施例1 厚さ60μmのポリカーボネート(PC)フィルムに紫
外線硬化性のアクリル系樹脂を約100μmの厚さで塗
工し、その塗工層を予め所定形状に加工した金型にゴム
ローラにて密着させると共に余分な樹脂と気泡を押し出
した後、メタルハライドランプにて紫外線を照射し硬化
させて金型から剥離した後、PCフィルムを分離して所
定のサイズに切りだし、光出射手段を具備する屈折率が
1.515の光学フィルムを得た。
【0099】前記の光学フィルムは、サイズが30mm角
であり、面内位相差が2nmで、厚さ方向位相差が3nmの
ものであり、多数の光出射手段を、その光路変換斜面に
基づいて光学フィルムの一辺に対して平行に配列した状
態で有するものである。また各光出射手段は、長さが約
100μmで、幅と深さが約10μmの横断面三角形の凹
部からなり、フィルム面に対する光路変換斜面の傾斜角
は43度で、対向する立面の傾斜角は78度である。な
お前記面内等の位相差は、王子計測機器社製、KOBR
A−21ADHによて測定した(以下同じ)。
【0100】次に前記の光学フィルムを光出射手段を有
しない側を介してポリビニルアルコール系偏光板と、屈
折率1.523のアクリル系粘着層にて接着した後、そ
れを光出射手段を外側にして参考例で得た液晶セルの視
認側に接着し、セルの背面側に反射層具備の偏光板を同
様に接着して反射型液晶表示装置を得た。
【0101】実施例2 PCフィルムに代えて、ポリオレフィンからなる透明フ
ィルムを用いると共に、その透明フィルムと光出射手段
が一体化してなる光学フィルムを用いたほかは、実施例
1に準じて反射型液晶表示装置を得た。光学フィルムの
面内位相差は5nmで、厚さ方向位相差は8nmであった。
【0102】比較例1 PCフィルムとして、一軸延伸処理した透明フィルムを
用いると共に、その透明フィルムと光出射手段が一体化
してなる光学フィルムを用いたほかは、実施例1に準じ
て反射型液晶表示装置を得た。光学フィルムの面内位相
差は307nmで、厚さ方向位相差は320nmであった。
【0103】比較例2 PCフィルムに代えて、ポリエステルからなる二軸延伸
の透明フィルムを用いると共に、その透明フィルムと光
出射手段が一体化してなる光学フィルムを用いたほか
は、実施例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。光学
フィルムの面内位相差は1522nmで、厚さ方向位相差
は3056nmであった。
【0104】評価試験 実施例、比較例で得た反射型液晶表示装置の視認側セル
基板の側面に冷陰極管を配置し、銀蒸着のポリエステル
フィルムで包囲してフィルム端部をセル基板の上下面に
両面粘着テープで接着し冷陰極管を保持固定したものに
ついて、暗室にて液晶セルに電圧を印加しない状態で冷
陰極管を点灯させ、入射側面より10mmと20mmの位置
での正面輝度を輝度計(トプコン社製、BM7)にて調
べた。その結果を次表に示した。
【0105】 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 輝 度 10mm 159 155 137 123 (cd/m 20mm 158 150 115 90
【0106】表より、実施例では比較例と比べて明るさ
に優れており、かつ光源から遠離る位置での輝度の維持
に優れて面発光の均一性にも優れていることが判る。ま
た目視による着色化の評価において、実施例1では色変
化が殆どなく、実施例2では許容範囲で僅かに色変化す
るのみであったが、比較例1、2では大きく着色して色
変化し、実用できる範囲を超えるものであった。また実
施例では外光モードにおいても明るくてその均一性に優
れる表示であった。
【0107】以上より位相差を抑制した本発明にて、従
来のサイドライト型導光板の使用による嵩高化、高重量
化を回避しつつ、光学フィルムを配置した液晶表示パネ
ルの側面に照明装置を設けるだけで面発光が可能であ
り、輝度ムラや色ムラ等の表示ムラが少なく、明るくて
良好な表示品位の外光・照明両用式等の薄型軽量性に優
れる液晶表示装置を形成できることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルムの説明側面図
【図2】光出射手段の説明平面図
【図3】他の光出射手段の説明平面図
【図4】さらに他の光出射手段の説明平面図
【図5】液晶表示装置の説明側面図
【符号の説明】
1:光学フィルム 1A:光出射手段形成層 A:光出射手段 a:光路変換斜面 b:立面 1B:透明フィルム 1D:接着手段 20、30:セル基板 40:液晶層 51:照明装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13357 G02F 1/13357 (72)発明者 梅本 清司 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電 工株式会社内 (72)発明者 中野 勇樹 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電 工株式会社内 Fターム(参考) 2H042 DA01 DA11 DA21 DA22 DB08 DC08 DC12 DD01 DD04 DE04 2H049 BA02 BA27 BA42 BB06 BB43 BB63 BB65 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA15Z FA16X FA16Z FA32X FA32Z FA37X FA41X FA41Y FA41Z FA42Y FA45Y FB03 FB04 FC23 FD06 FD14 FD21 HA06 HA07 HA08 HA09 HA10 HA12 KA02 KA10 LA11 LA17 LA18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面内の最大屈折率をnx、それに直交す
    る方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnz、フィル
    ム厚をdとしたとき、(nx−ny)×dに基づく面内位
    相差が50nm以下の透明フィルムの片面に、フィルム面
    に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面を具備す
    る光出射手段の複数を有することを特徴とする光学フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、透明フィルムの、
    {(nx+ny)/2−nz}×dに基づく厚さ方向位相
    差が50nm以下である光学フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、光出射手段を
    有する側とは反対側に接着手段を有する光学フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項3において、接着手段が粘着層で
    ある光学フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4において、光出射手段が凹
    部からなる光学フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項5において、凹部の形状が光路変
    換斜面に対する横断面に基づいて三角形である光学フィ
    ルム。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において、凹部の深さと
    幅が2〜100μmであり、かつ長さが10〜500μm
    で、前記深さの5倍以上である光学フィルム。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7において、横断面三角形
    の凹部にける光路変換斜面に対向する面が、フィルム面
    に対する傾斜角60〜90度の立面からなる光学フィル
    ム。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8において、光出射手段がそ
    の光路変換斜面に基づいて平行、又は1若しくは2以上
    の仮想中心に対してピット状に分布する光学フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9において、透明フィルム
    の光出射手段を有しない側に偏光板が積層されてなる光
    学フィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10に記載の光学フィルム
    を液晶セルの少なくとも片側に配置してなることを特徴
    とする液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 請求項11において、光学フィルムが
    その光出射手段を有する側が外側となるように接着層を
    介して液晶表示パネルの視認側又は背面側の少なくとも
    一方に接着されてなる液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12において、液晶表
    示パネルが透過型、又は反射層若しくは半透過型反射層
    を具備する外光・照明両用式のものである液晶表示装
    置。
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