JP2003154612A - 多層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

多層フィルムおよびその製造方法

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JP2003154612A JP2001358721A JP2001358721A JP2003154612A JP 2003154612 A JP2003154612 A JP 2003154612A JP 2001358721 A JP2001358721 A JP 2001358721A JP 2001358721 A JP2001358721 A JP 2001358721A JP 2003154612 A JP2003154612 A JP 2003154612A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた汚れ防止機能、可塑剤移行防止機能お
よびエンボス加工等への加工適性を併せ持ち、かつ、有
機溶剤を含む接着剤等を使用しない場合においても塩化
ビニル系重合体フィルムからなる基材との熱接着性に優
れた熱接着用共押出多層フィルムを得ること。 【解決手段】 エチレン含有量20〜65モル%、ケン
化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
からなる組成物(A)層および、エチレン−ビニルエス
テル共重合体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン
化度50〜95%のエチレン−ビニルエステル共重合体
ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メ
タ)アクリル酸アルキル系重合体、熱可塑性ポリウレタ
ン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンおよび
低結晶性ポリエステルからなる群より選ばれる少なくと
も1種の熱可塑性樹脂(B)層の少なくとも2層からな
る、塩化ビニル系重合体との熱接着用共押出多層フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた汚れ防止機
能、可塑剤移行防止機能およびエンボス加工等への加工
適性を併せ持ち、かつ、有機溶剤を含む接着剤等を使用
しない場合においても塩化ビニル系重合体フィルムから
なる基材との優れた熱接着性を示す、熱接着用共押出多
層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン含有量20〜65モル%、ケン
化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
(以下EVOHと略記することがある)は、強度、耐薬
品性に優れ、かつ、各種気体や有機化合物の多くを実質
的に透過せず、静電気を帯びにくくほこりなどが付きに
くいなどの優れた特性を有する。また、EVOHは透明
度が高く、しかも、外観にプラスチック特有の安っぽさ
が無く人間の感覚になじみやすいなど高度の審美性を持
つ。そのため単体、あるいは他種材料と複合化し、各種
積層体の耐久性、防汚性、審美性向上材として好んで用
いられる。
【0003】かかるEVOHの好適な用途としては、特
公平4−56744などで述べられているように塩化ビ
ニル系重合体フィルムに対して複合化し、壁紙のような
内装材等が挙げられる。EVOHを塩化ビニル系重合体
フィルムなどの基材に積層する際には、EVOHフィル
ムを単層製膜したものに接着剤を塗布し、塩化ビニル系
重合体とドライラミネートする方法が一般的に採用され
ている。
【0004】前記接着剤は、通常トルエン、酢酸エチ
ル、メチルエチルケトン、ヘキサンなどの有機溶剤で希
釈され用いられている。接着剤の塗布工程で用いる有機
溶剤は、塗布後、蒸散、気化させており、気化した溶剤
は工場内の環境を悪化させる虞がある。また、多層フィ
ルムにこれらのごく微量の有機溶剤が残留する虞もあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、優れ
た汚れ防止機能、可塑剤移行防止機能およびエンボス加
工等への加工適性を併せ持ち、かつ、有機溶剤を含む接
着剤等を使用しない場合においても塩化ビニル系重合体
フィルムからなる基材との優れた熱接着性を示す、熱接
着用共押出多層フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、エチレン含
有量20〜65モル%、ケン化度85%以上のエチレン
−ビニルアルコール共重合体からなる組成物(A)層お
よび、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン含
有量70〜99モル%、ケン化度50〜95%のエチレ
ン−ビニルエステル共重合体ケン化物、エチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル系重
合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩
素化ポリプロピレンおよび低結晶性ポリエステルからな
る群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)
層の少なくとも2層からなる、塩化ビニル系重合体との
熱接着用共押出多層フィルムによって解決される。
【0007】好適な実施態様では、(A)層および
(B)層が、(A)および(B)からなる樹脂組成物
(C)層を介して積層されてなる。
【0008】好適な実施態様では、エチレン含有量20
〜65モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニル
アルコール共重合体からなる組成物(A)が、エチレン
含有量20〜65モル%、ケン化度85%以上のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体50〜95重量%およ
び、ポリオレフィンおよびスチレン系重合体からなる群
より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂5〜50重
量%からなる樹脂組成物である。
【0009】好適な実施態様では、前記(A)層および
(B)層からなる熱接着用共押出多層フィルムが、その
(B)層と、塩化ビニル系重合体フィルムとを熱接着し
てなる複合多層フィルムとして用いられる。さらに好適
な実施態様では、前記複合多層フィルムが、内装材とし
て用いられる。
【0010】好適な実施態様では、前記複合多層フィル
ムが、熱接着用共押出多層フィルムの(B)層と、塩化
ビニル系重合体フィルムとを温度80〜170℃で熱接
着することにより製造される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、エチレン含有量20〜
65モル%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルア
ルコール共重合体からなる組成物(A)層および、エチ
レン−ビニルエステル共重合体、エチレン含有量70〜
99モル%、ケン化度50〜95%のエチレン−ビニル
エステル共重合体ケン化物、エチレン−(メタ)アクリ
ル酸アルキル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル系重合体、熱可
塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプ
ロピレンおよび低結晶性ポリエステルからなる群より選
ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)層の少なく
とも2層からなる、塩化ビニル系重合体との熱接着用共
押出多層フィルムに関する。かかる多層フィルムは、優
れた汚れ防止機能、可塑剤移行防止機能およびエンボス
加工等への加工適性を併せ持ち、かつ、塩化ビニル系重
合体フィルムからなる基材との熱接着性に優れている。
このため、本発明の多層フィルムを、塩化ビニル系重合
体フィルムからなる基材との熱接着により積層して複合
多層フィルムを製造することにより、有機溶剤の使用が
不要となる。さらに有機溶剤の揮散による工場内の環境
負荷がなくなり、かつ、製品への溶剤の残留の問題が完
全に排除できる。また、接着剤コート工程が省略される
ことにより、コスト的なメリットを享受できる他、接着
剤の塗布・乾燥工程がなくなるため、生産性の向上が見
込まれる。
【0012】従来の手法では、EVOHは単層製膜さ
れ、得られた単層EVOHフィルムと塩化ビニル系共重
合体フィルムとをドライラミネートにより積層すること
で複合多層フィルムが製造されていた。しかしながら、
EVOHの単層製膜を行う場合、安定した製膜を行うに
際して、一定以上のフィルム厚みが必要であった。これ
に対して、本発明の多層フィルムは共押出成形により製
造されるため、通常の単層製膜では製膜困難な程の極薄
のEVOH層を有する多層フィルムを製造することがで
きるという利点がある。
【0013】本発明に用いられるEVOHは、エチレン
およびビニルエステルを共重合して得られるエチレン−
ビニルエステル共重合体をケン化して得られるものが好
ましい。本発明において、EVOH製造時に用いられる
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとし
て挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用でき
る。また、EVOHに共重合体成分としてビニルシラン
系化合物0.0002〜0.2モル%を含有することが
できる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げら
れる。さらに本発明の効果が阻害されない範囲で、他の
共重合体、例えば、プロピレン、ブチレン、不飽和カル
ボン酸またはそのエステル(メタアクリル酸およびその
メチルあるいはエチルエステルなど)、ビニルピロリド
ン(N−ビニルピロリドンなど)などを共重合すること
もできる。
【0014】本発明に用いられるEVOHはエチレン含
有量20〜65モル%、ケン化度85%以上のエチレン
−ビニルアルコール共重合体である。EVOHのエチレ
ン含有量はより好適には25〜60モル%である。ま
た、EVOHのケン化度の下限は、より好適には90%
以上である。EVOHのエチレン含有量が20モル%未
満の場合は得られるフィルムの耐水性、耐熱水性等の性
能が低下する。一方、EVOHのエチレン含有量が65
モル%を超える場合は得られたフィルムの耐汚染性が低
下する。さらに、本発明の熱接着性多層フィルムを、可
塑剤を含む塩化ビニル系重合体フィルムに積層して壁紙
などの内装材に使用する場合において、可塑剤移行防止
機能が低下する。また、EVOHのケン化度が85%に
満たない場合も、得られたフィルムの耐汚染性が低下
し、本発明の熱接着性多層フィルムを、可塑剤を含む塩
化ビニル系重合体フィルムに積層して壁紙などの内装材
に使用する場合において、可塑剤移行防止機能が低下す
る。
【0015】本発明に用いられるEVOHのメルトイン
デックス(以下MIと記す)は0.01〜20g/10
min(190℃、2160g荷重下)であることが好
ましく、より好適には0.1〜10g/10min(1
90℃、2160g荷重下)である。ただし、融点が1
90℃付近もしくはそれ以上のものは2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、MIの対数を縦軸にプロットし、
190℃に外挿した値で表す。
【0016】本発明に用いられるEVOHからなる組成
物(A)は、EVOHのみからなるものであってもよ
い。また、本発明に用いられるEVOHからなる組成物
(A)はエチレン含有量、ケン化度および重合度の内、
少なくとも一つが異なる2種以上のEVOHの組成物で
あっても良い。また、本発明に用いられるEVOHから
なる組成物(A)として、ホウ素化合物(ホウ酸、ホウ
酸塩など)、酸化防止剤、スリップ剤、着色剤、消臭
剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤な
どを配合したEVOHを用いても良い。
【0017】また、本発明に用いられるEVOHからな
る組成物(A)として、エチレン含有量20〜65モル
%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール
共重合体50〜95重量%および、ポリオレフィンおよ
びスチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも
1種の熱可塑性樹脂5〜50重量%からなる樹脂組成物
を用いても良い。かかる樹脂組成物をEVOHからなる
組成物(A)として用いることにより、得られる多層フ
ィルムの光沢度を効果的に抑制させることができる。前
記樹脂組成物の配合比は、エチレン−ビニルアルコール
共重合体60〜90重量%および、ポリオレフィンおよ
びスチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも
1種の熱可塑性樹脂10〜40重量%であることがより
好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体70〜
80重量%および、ポリオレフィンおよびスチレン系重
合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性
樹脂20〜30重量%であることが特に好ましい。ポリ
オレフィンおよびスチレン系重合体からなる群より選ば
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂の配合量が5重量%
に満たない場合は、十分な艶消し効果が得られないこと
がある。一方、前記の熱可塑性樹脂の配合量が50重量
%を超える場合は、多層フィルムの汚れ防止機能および
可塑剤移行防止性能が不満足なものとなる虞がある。
【0018】また、ポリオレフィンおよびスチレン系重
合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性
樹脂の中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体と
の相容性の観点からは、不飽和ジカルボン酸変性ポリオ
レフィンまたは不飽和ジカルボン酸変性スチレン系重合
体が特に好ましい。さらに、得られる多層フィルムの柔
軟性の観点からは、不飽和ジカルボン酸変性ポリエチレ
ンを用いることが最適である。
【0019】ここで、不飽和ジカルボン酸変性ポリオレ
フィンまたは不飽和ジカルボン酸変性スチレン系重合体
とは、エチレン性不飽和ジカルボン酸、その無水物、そ
の塩、そのエステル等を化学的に結合(たとえば付加反
応またはグラフト反応など)させて得られるポリオレフ
ィンまたはスチレン系重合体である。エチレン性不飽和
ジカルボン酸、その無水物、その塩、そのエステル等の
うち、エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物が特に好
適である。エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物とし
ては、具体的には無水マレイン酸、無水イタコン酸など
が好適なものとして例示される。なかでも無水マレイン
酸が好適である。
【0020】また、本発明に用いられるEVOHからな
る組成物(A)として、エチレン含有量20〜65モル
%、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール
共重合体50〜95重量%およびフィラー5〜50重量
%からからなる樹脂組成物を用いても良い。前記フィラ
ーとしては有機フィラーおよび無機フィラーのいずれも
使用することができる。前記有機フィラーとしては熱硬
化性樹脂の粉砕物などが例示される。また、前記無機フ
ィラーとしては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シ
リカおよびガラスフレークからなる群より選ばれる少な
くとも1種が好適なものとして例示される。以上のよう
な樹脂組成物をEVOHからなる組成物(A)として用
いることによっても、得られる多層フィルムの光沢度を
効果的に抑制させることができる。
【0021】EVOHと、上述した熱可塑性樹脂または
フィラーをブレンドする方法に関しては、特に限定され
るものではない。EVOHと、上述した熱可塑性樹脂ま
たはフィラーをドライブレンドしてそのまま溶融成形に
供することもできるし、より好適にはバンバリーミキサ
ー、単軸又は二軸スクリュー押出機などで混練し、ペレ
ット化してから溶融成形に供することもできる。分散状
態を均一なものとし、ゲル、ブツの発生や混入を防止す
るためには、混練ペレット化操作時に混練度の高い押出
機を使用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出す
ことが望ましい。
【0022】本発明の熱接着用多層フィルムを構成する
EVOHからなる組成物(A)層は、その表面の光沢度
が50%以下であることが好ましく、40%以下である
ことがより好ましい。なお、表面の光沢度とは、村上式
光沢度計で入射角75度で測定した任意の5個所の測定
値の平均の値である。
【0023】本発明の熱接着用多層フィルムを構成する
EVOHからなる組成物(A)層の厚みは、好ましくは
1〜20μmであり、より好適には3〜15μmであ
る。EVOHからなる組成物(A)層の厚みが1μmに
満たない場合は、多層フィルムの汚れ防止機能および可
塑剤移行防止機能が不充分となる虞がある。また、EV
OHからなる組成物(A)層の厚みが20μmを超える
場合は、多層フィルムを塩化ビニル系重合体フィルムに
熱接着する際の熱接着性が不充分となる虞がある。ま
た、コスト的に不利になることがある。
【0024】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)
は、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン含有
量70〜99モル%、ケン化度50〜95%のエチレン
−ビニルエステル共重合体ケン化物、エチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル系重
合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩
素化ポリプロピレンおよび低結晶性ポリエステルからな
る群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であ
る。本発明においては、上記に示した樹脂を熱可塑性樹
脂(B)として用いることが極めて重要である。たとえ
ば、EVOHを他の熱可塑性樹脂と積層する際には、通
常、不飽和ジカルボン酸変性ポリエチレンまたは不飽和
ジカルボン酸変性ポリプロピレンが用いられるが、熱可
塑性樹脂(B)として不飽和ジカルボン酸変性ポリエチ
レンまたは不飽和ジカルボン酸変性ポリプロピレンのみ
からなる樹脂を用いた場合は、本発明の効果を奏するこ
とができない(本願比較例3参照)。
【0025】本発明に用いられるエチレン−ビニルエス
テル共重合体のビニルエステルとしては酢酸ビニルが代
表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニル
エステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルな
ど)も使用できる。さらに本発明の効果が阻害されない
範囲で、他の共重合体、例えば、プロピレン、ブチレ
ン、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンなど)、
スチレン、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、アク
リロニトリルなどを共重合することもできる。また、2
種以上の、エチレン含有率や重合度等の異なるエチレン
−ビニルエステル共重合体の組成物であってもかまわな
い。ビニルエステルの含有量は、好ましくは10モル%
以上であり、より好ましくは14モル%以上である。エ
チレン−ビニルエステル共重合体のエチレン含有量が1
0モル%未満である場合は、多層フィルムの塩化ビニル
系重合体との熱接着性が不充分になる虞がある。
【0026】本発明に用いられるエチレン含有量70〜
99モル%、ケン化度50〜95%のエチレン−ビニル
エステル共重合体ケン化物としては、上記のようなエチ
レン−ビニルエステル共重合体のビニルエステルの一部
をケン化したものが挙げられる。ケン化度は95%以下
であることが重要であり、ケン化度が95%を超える場
合は、塩化ビニル系重合体フィルムとの十分な接着力が
得られない。また、2種以上の、エチレン含有率やケン
化度や重合度の異なるエチレン含有量70〜99モル
%、ケン化度50〜95%のエチレン−ビニルエステル
共重合体ケン化物の組成物であってもかまわない。
【0027】本発明に用いられるエチレン−(メタ)ア
クリル酸アルキル共重合体を製造する際に用いられる共
重合成分である(メタ)アクリル酸アルキルとしては、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチルなどが好適なものとして挙げ
られるが、その他の(メタ)アクリル酸脂肪族アルキル
(アクリル酸プロピルなど)も使用できる。また、これ
らの(メタ)アクリル酸アルキルの2種以上を共重合成
分として用いることもできる。さらに、本発明の効果が
阻害されない範囲であれば、他の共重合成分、例えば、
プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドン(N−ビニル
ピロリドンなど)、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニ
トリルなどを共重合成分として用いることもできる。ま
た、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体と
して、エチレン含有率や重合度等の異なる2種以上のエ
チレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の組成物
を用いても良い。本発明に用いられるエチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキル共重合体の(メタ)アクリル酸
アルキル含有量は、好適には10モル%以上であり、よ
り好適には、12モル%以上である。(メタ)アクリル
酸アルキル含有量が10モル%未満の場合は、多層フィ
ルムの塩化ビニル系重合体との熱接着性が不充分になる
虞がある。
【0028】本発明に用いられるエチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体を製造する際に用いられる共重合成分
である(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタ
クリル酸などが好適なものとして挙げられる。本発明の
効果が阻害されない範囲であれば、他の共重合体、例え
ば、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ビニルピロリ
ドン(N−ビニルピロリドンなど)、スチレン、酢酸ビ
ニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル
などを共重合することもできる。また、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体として、エチレン含有率や重合
度等の異なる2種以上のエチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体の組成物を用いても良い。
【0029】本発明に用いられる(メタ)アクリル酸ア
ルキル系重合体としては、ポリアクリル酸メチル、ポリ
メタクリル酸メチル等が好適なものとして挙げられる
が、その他の(メタ)アクリル酸脂肪族アルキル(アク
リル酸プロピル、メタクリル酸プロピル等)も使用でき
る。(メタ)アクリル酸アルキル系重合体として、2種
以上の異なる(メタ)アクリル酸アルキルを共重合して
得られる共重合体を用いても良い。また、(メタ)アク
リル酸アルキル系重合体として、重合度または組成等が
異なる2種以上の(メタ)アクリル酸アルキル系重合体
の組成物を用いても良い。さらに、本発明の効果を阻害
しない範囲であれば、(メタ)アクリル酸アルキル以外
の成分例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニ
ルピロリドン(N−ビニルピロリドンなど)、スチレ
ン、アクリロニトリルなどを共重合成分として用いても
良い。
【0030】ポリ(メタ)アクリル酸アルキル系重合体
に、柔軟性および/または靭性を付与する為に改質剤を
配合してもよい。このような改質剤の例としては、ジエ
ン系ゴムや(メタ)アクリル系ゴム等を含むコア部と、
スチレン、(メタ)アクリル酸アルキル、アクリロニト
リル等から選ばれる重合体を含むシェル部とを含む多層
構造重合体粒子が挙げられる。同じく改質剤として、不
飽和ジカルボン酸変性オレフィン系重合体、不飽和ジカ
ルボン酸変性スチレン−エチレン−プロピレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
のような熱可塑性エラストマー等を用いることもでき
る。
【0031】また、ジエン系重合体やアクリル酸アルキ
ル系重合体等を含むコア部と(メタ)アクリル酸アルキ
ル系重合体を含むシェル部を含む多層構造重合体粒子
を、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル系重合体として用
いることもできる。ここで、ジエン系重合体としては、
ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。また、アク
リル酸アルキル系重合体としては、アクリル酸エチル、
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の重合体が挙げ
られる。また、(メタ)アクリル酸アルキル系重合体と
しては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、メタクリル酸エチル等の重合体が挙げら
れるが、その他の(メタ)アクリル酸脂肪族アルキル
(アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピルなど)の
重合体も使用できる。また、2種以上の異なる(メタ)
アクリル酸アルキルを共重合して得られる共重合体を用
いてもよい。さらに、コア部およびシェル部のいずれ
も、他の共重合成分、例えば、エチレン、プロピレン、
ブチレン、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンな
ど)、スチレン、アクリロニトリルなどを共重合成分と
して用いることもできる。さらに、多層構造重合体粒子
として、組成および/または多層構造重合体粒子の層構
成等が異なる、2種以上の多層構造重合体粒子の組成物
を用いてもかまわない。さらに、多層構造重合体粒子と
上述の(ポリ)アクリル酸エステル系重合体との組成物
を用いることもできる。
【0032】上述のように、本発明に用いられる熱可塑
性樹脂(B)として、エチレン−ビニルエステル共重合
体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度50〜
95%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体および(メタ)アク
リル酸アルキル系重合体からなる群より選ばれる少なく
とも1種を用いる場合は、それらの樹脂に対して、エチ
レン性不飽和ジカルボン酸、その無水物、その塩、また
はそのエステル等を化学的に結合(たとえば付加反応ま
たはグラフト反応など)させて得られる不飽和ジカルボ
ン酸変性樹脂を用いることもできる。すなわち、不飽和
ジカルボン酸変性エチレン−ビニルエステル共重合体、
エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度50〜95
%の不飽和ジカルボン酸変性エチレン−ビニルエステル
共重合体ケン化物、不飽和ジカルボン酸変性エチレン−
(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、不飽和ジカルボ
ン酸変性エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体または
不飽和ジカルボン酸変性(メタ)アクリル酸アルキル系
重合体を、熱可塑性樹脂(B)として用いることもでき
る。
【0033】エチレン性不飽和ジカルボン酸、その無水
物、その塩、そのエステル等のうち、エチレン性不飽和
ジカルボン酸の無水物が特に好適である。エチレン性不
飽和ジカルボン酸の無水物としては、具体的には無水マ
レイン酸、無水イタコン酸などが好適なものとして例示
される。なかでも無水マレイン酸が好適である。
【0034】本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン
は、高分子ジオールおよび/または低分子ジオール、お
よび有機ジイソシアネートなどの2または3成分よりな
る。高分子ジオールの代表的なものとしては、ポリエス
テルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネー
トジオール等が挙げられ、または、これらの共縮合物
(たとえば、ポリエステル・ポリエーテルジオール)が
挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種
以上を混合して使用してもかまわない。
【0035】上記ポリエステルジオールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペン
タンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの混合
物と、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸などの脂
肪族もしくは芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物
とから得られるポリエステルジオール、あるいはポリカ
プロラクトングリコール、ポリプロピオラクトングリコ
ール等のポリラクトンジオールが挙げられる。また、上
記ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレンエーテ
ルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコールなど
のポリアルキレンエーテルジオールが挙げられる。さら
に、上記ポリカーボネートジオールとしては、1、4−
ブタンジオール、1、5−ペンタンジオールなどの脂肪
族もしくは脂環式ジオールまたはこれらの混合物に、炭
酸ジフェニルやホスゲンを作用させて得られるポリカー
ボネートジオールが挙げられる。低分子ジオールとして
は、分子量が500未満の低分子量ジオール、たとえ
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、
4−ビスヒドロキシエチルベンゼンなどの、脂肪族、脂
環族、芳香族ジオールが挙げられる。これらは、単独で
使用しても良いし、2種以上組み合わせて使用してもか
まわない。
【0036】有機ジイソシアネートとしては、4、4−
ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、2、2−ジメチル−4、4−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4、
4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族、または脂
肪族ジイソシアネートが挙げられる。これらの有機ジイ
ソシアネートは、単独で用いても良いし、2種以上を使
用してもかまわない。
【0037】本発明に用いられる塩素化ポリエチレン
は、ポリエチレンを塩素化した重合体である。また、本
発明に用いられる塩素化ポリプロピレンは、ポリプロピ
レンを塩素化した重合体である。前記塩素化ポリエチレ
ンとして、重合度および/または塩素化度が異なる2種
以上の塩素化ポリエチレンを配合してなる組成物を用い
ても良い。同様に、前記塩素化ポリプロピレンとして、
重合度および/または塩素化度が異なる2種以上の塩素
化ポリプロピレンを配合してなる組成物を用いても良
い。さらに、塩素化ポリエチレンまたは塩素化ポリプロ
ピレンとして、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなど
に例示される可塑剤および/または安定剤を配合してな
る組成物を用いても良い。
【0038】本発明に用いられる低結晶性ポリエステル
としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、あ
るいはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸およびそれらの誘導体と、ジオール成分
としてエチレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族
ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオ
ール、およびそれらの誘導体よりなるポリエステルが挙
げられる。ポリエステルの結晶化度を低下させる観点か
らは、2種以上のジカルボン酸成分および/または2種
以上のジオール成分を共重合させることが望ましい。さ
らに、低結晶性ポリエステルとして、重合度および/ま
たは組成が異なる2種以上のポリエステルの組成物を用
いても良い。
【0039】上記低結晶性ポリエステルとして、柔軟性
および/または靭性を付与するために、上述したような
多層構造重合体粒子や、熱可塑性エラストマー等の改質
剤を低結晶性ポリエステルに配合してなる組成物を用い
ても良い。
【0040】本発明に用いられる低結晶性ポリエステル
とは、DSC法(JIS K7122)によって測定さ
れる結晶融解熱が20cal/g以下のポリエステルで
ある。低結晶性ポリエステルの結晶融解熱は、好ましく
は10cal/g以下であり、最適には0cal/gで
ある。ポリエステルの結晶融解熱が20cal/gを超
える場合は、多層フィルムの塩化ビニル系重合体との熱
接着性が不充分になる虞がある。
【0041】また、本発明の効果を阻害しない範囲であ
れば、本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)として、
酸化防止剤、スリップ剤、抗菌剤、着色剤、消臭剤、紫
外線吸収剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、安定剤などを配合
したものを用いても良い。
【0042】また、EVOHからなる組成物(A)層と
の接着性を改善するために、本発明に用いられる熱可塑
性樹脂(B)として、不飽和ジカルボン酸変性重合体お
よび/またはエポキシ基含有重合体を配合してなる樹脂
組成物を用いることができる。不飽和ジカルボン酸変性
重合体としては、不飽和ジカルボン酸変性オレフィン系
重合体、不飽和ジカルボン酸変性エチレン−ビニルエス
テル共重合体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン
化度50〜95%の不飽和ジカルボン酸変性エチレン−
ビニルエステル共重合体ケン化物、不飽和ジカルボン酸
変性エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、
不飽和ジカルボン酸変性エチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体または不飽和ジカルボン酸変性(メタ)アクリ
ル酸アルキル系重合体などが挙げられる。また、エポキ
シ基含有重合体としては、エチレン−グリシジルメタク
リレートなどが例示される。本発明に用いられる熱可塑
性樹脂(B)として、エチレン−ビニルエステル共重合
体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度50〜
95%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル
酸アルキル系重合体、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポ
リエチレン、塩素化ポリプロピレン、および低結晶性ポ
リエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の未
変性の樹脂に対し、上述の不飽和ジカルボン酸変性重合
体またはエポキシ基含有重合体を配合してなる樹脂組成
物を用いることにより、熱可塑性樹脂(B)層と、EV
OHからなる組成物(A)層との層間接着性を向上させ
ることができる。
【0043】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)の
MIは好適には0.01〜20g/10min(190
℃、2160g荷重下)であり、より好適には0.1〜
10g/10minである。ただし、融点が190℃付
近もしくはそれ以上のものは2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、MIの対数を縦軸にプロットし、190℃に
外挿した値で表す。
【0044】さらに、熱可塑性樹脂(B)のMI(以
下、MI(B)と略記することがある)とEVOHから
なる組成物(A)のMI(以下、MI(A)と略記する
ことがある)との比(MI(B)/MI(A))が、
0.01〜10であることが好ましく、より好ましくは
0.1〜5である。MI(B)/MI(A)が0.01
に満たない場合、または10を超える場合は、共押出成
形によりEVOHからなる組成物(A)および熱可塑性
樹脂(B)からなる多層フィルムを製造する際に、成形
性が不充分となる虞があり、フィルム外観が不良となる
虞がある。
【0045】本発明の熱接着用多層フィルムを構成する
熱可塑性樹脂(B)の層厚みとしては、1〜20μmで
あることが好ましく、3〜10μmであることがより好
ましい。熱可塑性樹脂(B)の厚みが1μmに満たない
場合は、塩化ビニル系重合体との熱接着性が不充分にな
る虞がある。また、熱可塑性樹脂(B)の厚みが20μ
mを超える場合は、コストアップに繋がる虞がある。
【0046】本発明の多層フィルムにおいて、EVOH
からなる組成物(A)層と熱可塑性樹脂(B)層とをよ
り強固に接着する観点からは、前記多層フィルムが
(A)層と(B)層とを、(A)および(B)からなる
樹脂組成物(C)層を介して積層する構成を有すること
が好ましい。樹脂組成物(C)を得る方法は特に限定さ
れず、EVOHからなる組成物(A)および熱可塑性樹
脂(B)を単軸又は二軸スクリュー押出機などで混練
し、ペレット化しても良い。また、(A)および(B)
からなる共押出フィルム成形時のトリムを回収してペレ
ット化しても良い。上記に示したような実施態様を採用
した場合は、コスト的に有利であるだけでなく、廃棄物
を減少させることも可能である。
【0047】樹脂組成物(C)には、(A)および
(B)の相容性を向上させるために、相容化剤を配合す
ることもできる。相容化剤の例として不飽和ジカルボン
酸変性重合体およびエポキシ基含有重合体などが挙げら
れる。不飽和ジカルボン酸変性重合体の例としては、不
飽和ジカルボン酸変性オレフィン系重合体、不飽和ジカ
ルボン酸変性エチレン−ビニルエステル共重合体、エチ
レン含有量70〜99モル%、ケン化度50〜95%の
不飽和ジカルボン酸変性エチレン−ビニルエステル共重
合体ケン化物、不飽和ジカルボン酸変性エチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキル共重合体、不飽和ジカルボン酸
変性エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体または不飽
和ジカルボン酸変性(メタ)アクリル酸アルキル系重合
体などが挙げられる。一方、エポキシ基含有重合体とし
ては、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体な
どが例示される。
【0048】樹脂組成物(C)のMIは好適には0.0
1〜20g/10min(190℃、2160g荷重
下)であり、より好適には0.1〜10g/10min
である。ただし、樹脂組成物(C)の融点が190℃付
近もしくはそれ以上の場合は2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、MIの対数を縦軸にプロットし、190℃に
外挿した値で表す。
【0049】さらに、EVOHからなる組成物(A)の
MI(MI(A))、熱可塑性樹脂(B)のMI(MI
(B))および樹脂組成物(C)のMI(MI(C))
が、以下の関係を示すことが好ましい。すなわち、樹脂
組成物(C)のMIとEVOHからなる組成物(A)の
MIとの比(MI(C)/MI(A))が0.01〜1
0であり、かつ、樹脂組成物(C)のMIと熱可塑性樹
脂(B)のMIとの比(MI(C)/MI(B))が
0.01〜10であることが好ましい。MI(C)/M
I(A)およびMI(C)/MI(B)は、0.1〜5
であることがより好ましい。MI(C)/MI(A)ま
たはMI(C)/MI(B)が0.01に満たない場合
は、共押出成形によりEVOHからなる組成物(A)、
熱可塑性樹脂(B)および樹脂組成物(C)からなる多
層フィルムを製造する際に、成形性が不充分となる虞が
あり、フィルム外観が不良となる虞がある。MI(C)
/MI(A)またはMI(C)/MI(B)が10を超
える場合も、同様に、多層フィルムを製造する際に、成
形性が不充分となる虞があり、フィルム外観が不良とな
る虞がある。
【0050】樹脂組成物(C)の層厚みとしては、1〜
20μmであることが好ましく、3〜10μmであるこ
とがより好ましい。樹脂組成物(C)の厚みが1μmに
満たない場合は、(A)層と(B)層とを接着する際の
強度が不充分になる虞がある。また、樹脂組成物(C)
の厚みが20μmを超える場合は、コストアップに繋が
る虞がある。
【0051】また、本発明の多層フィルムにおいて、E
VOHからなる組成物(A)層と熱可塑性樹脂(B)層
とをより強固に接着する観点からは、前記多層フィルム
が(A)層と(B)層とを、接着性樹脂(D)層を介し
て積層する構成を有することも好ましい。接着性樹脂
(D)としては、不飽和ジカルボン酸変性重合体または
エポキシ基含有重合体などが例示される。不飽和ジカル
ボン酸変性重合体の例としては、不飽和ジカルボン酸変
性オレフィン系重合体、不飽和ジカルボン酸変性エチレ
ン−ビニルエステル共重合体、エチレン含有量70〜9
9モル%、ケン化度50〜95%の不飽和ジカルボン酸
変性エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、不飽
和ジカルボン酸変性エチレン−(メタ)アクリル酸アル
キル共重合体、不飽和ジカルボン酸変性エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体または不飽和ジカルボン酸変性
(メタ)アクリル酸アルキル系重合体などが挙げられ
る。一方、エポキシ基含有重合体としては、エチレン−
グリシジルメタクリレート共重合体などが例示される。
【0052】接着性樹脂(D)のMIは好適には0.0
1〜20g/10min(190℃、2160g荷重
下)であり、より好適には0.1〜10g/10min
である。ただし、接着性樹脂(D)の融点が190℃付
近もしくはそれ以上の場合は2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、MIの対数を縦軸にプロットし、190℃に
外挿した値で表す。
【0053】さらに、EVOHからなる組成物(A)の
MI(MI(A))、熱可塑性樹脂(B)のMI(MI
(B))および接着性樹脂(D)のMIが、以下の関係
を示すことが好ましい。すなわち、接着性樹脂(D)の
MIとEVOHからなる組成物(A)のMIとの比(M
I(D)/MI(A))が0.01〜10であり、か
つ、接着性樹脂(D)のMIと熱可塑性樹脂(B)のM
Iとの比(MI(D)/MI(B))が0.01〜10
であることが好ましい。MI(D)/MI(A)および
MI(D)/MI(B)は、0.1〜5であることがよ
り好ましい。MI(D)/MI(A)またはMI(D)
/MI(B)が0.01に満たない場合は、共押出成形
によりEVOHからなる組成物(A)、熱可塑性樹脂
(B)および樹脂組成物(D)からなる多層フィルムを
製造する際に、成形性が不充分となる虞があり、フィル
ム外観が不良となる虞がある。MI(D)/MI(A)
またはMI(D)/MI(B)が10を超える場合も、
同様に、多層フィルムを製造する際に、成形性が不充分
となる虞があり、フィルム外観が不良となる虞がある。
【0054】接着性樹脂(D)の層厚みとしては、1〜
20μmであることが好ましく、3〜10μmであるこ
とがより好ましい。接着性樹脂(D)の厚みが1μmに
満たない場合は、(A)層と(B)層とを接着する際の
強度が不充分になる虞がある。また、接着性樹脂(D)
の厚みが20μmを超える場合は、コストアップに繋が
る虞がある。
【0055】EVOHからなる組成物(A)層と熱可塑
性樹脂(B)層を含む多層フィルムの製造方法は、各々
の樹脂をそれぞれの押出機で溶融させ、1つのサーキュ
ラーダイまたはTダイより多層で吐出・冷却する共押出
成形による方法が工程を簡略化でき、また、各層の厚み
を非常に薄いものにできることから、製造コストを抑え
られる面で最適である。各層の厚みは前記した範囲で制
御し、さらに、外観、層間接着力、機械的強度、取り扱
い性、及び製膜性を基に各層構成を決める。界面不安定
現象が生じて外観不良となる場合は、流路に接触する層
の厚みを増し、層間接着力が不足する場合は、中間層の
厚みを増加させたり、ダイ高温化、急冷の徐冷化を実施
したり、フィルム化後熱処理を施すことができる。フィ
ルムにカールが生じる場合には、共押出後のフィルム冷
却固体化時に、カール外側層の冷却を実施する等、製造
条件の適切化を図ることが好ましい。
【0056】また、Tダイ成形法においては、フィルム
両端が単一材料であり、他の部分が多層となるような断
面構造とすることにより、異なった材料の交じり合った
トリムの回収量を低減することもできる。
【0057】さらに、EVOHからなる組成物(A)お
よび熱可塑性樹脂(B)からなる本発明の多層共押出フ
ィルムは、延伸してあっても無延伸であってもかまわな
いが、延伸してある場合は、塩ビフィルムとの熱接着の
際に、熱による収縮などの問題が危惧されるため、無延
伸であることが好ましい。
【0058】本発明の熱接着用多層共押出フィルムは、
有機溶剤を含む接着剤等を使用しない場合においても塩
化ビニル系重合体フィルムとの優れた熱接着性を有す
る。このため、接着剤を使用することなく、熱接着用多
層共押出フィルムの(B)層と塩化ビニル系重合体フィ
ルムとを熱接着することにより複合多層フィルムを容易
に得ることができ、環境負荷が低く安全な内装用多層フ
ィルムの製造が可能となる。かかる複合多層フィルム
は、壁紙または化粧板等の、内装材として好適に用いら
れる。本発明の多層フィルムを塩化ビニル系重合体フィ
ルムと熱接着させる時の温度は、好適には80〜170
℃であり、より好適には、100〜150℃である。熱
接着させる時の温度が80℃に満たない場合は、本発明
の多層フィルムと、塩化ビニル系重合体フィルムとの、
十分な層間接着力が得られない虞がある。また、熱接着
させる時の温度が170℃を超える場合は、コスト高に
なるだけでなく、得られた積層品に皺が生じたりするな
ど、外観不良となる虞がある。
【0059】上記の塩化ビニル系重合体フィルムとは、
塩化ビニル成分を含む重合体よりなるフィルムをいう。
塩化ビニル成分を含む重合体とは、ポリ塩化ビニルでも
良いし、塩化ビニルとエチレン、酢酸ビニル等との共重
合体であってもかまわない。さらに、該塩化ビニル成分
を含む重合体には、必要に応じて、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレートなどの可塑剤、顔料、充填剤、安定剤、
着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合し
てもかまわない。特に、EVOHからなる組成物(A)
は可塑剤や安定剤などの表面への移行を阻止することが
できるため、該共押出多層フィルムは、これらを含む塩
化ビニル系重合体フィルムに対して適している。塩化ビ
ニル系重合体フィルムの厚みは特に限定されないが、1
0μm〜5mmであることが好ましい。
【0060】さらに、塩化ビニル系重合体フィルムとし
て、発泡剤を含有する塩化ビニル系重合体フィルムを用
いることもできる。発泡方法は特に限定されないが、2
00℃程度に加熱された発泡炉を用いて、発泡剤を含有
する塩化ビニル系重合体フィルムを発泡させる方法が好
ましい。発泡の程度も特に限定されないが、発泡後のフ
ィルム厚みが発泡前の1.5〜15倍程度になるように
発泡させることが好ましい。
【0061】かかる発泡剤を含有する塩化ビニル系重合
体フィルムに対して、本発明の共押出多層フィルムを積
層させる場合、積層工程は塩化ビニル系重合体フィルム
の発泡前でも良く、発泡後であっても良い。しかしなが
ら、塩化ビニル形重合体は一般的には加熱により発泡さ
れるため、前記共押出多層フィルムの積層後に発泡工程
を行った場合、共押出多層フィルムを構成するEVOH
からなる組成物(A)が加熱により劣化する虞がある。
このため、発泡後の塩化ビニル系重合体フィルムに前記
共押出多層フィルムを積層することが好ましい。
【0062】本発明の熱接着用共押出多層フィルムと、
塩化ビニル系重合体フィルムとを熱接着して複合多層フ
ィルムを製造する方法は特に限定されない。好適な方法
としては、適切な大きさに切り取った前記多層フィルム
および塩化ビニル系重合体フィルムを、それぞれ80〜
170℃に加熱した後、ヒートシーラーによって圧着す
る方法が挙げられる。また、速度5〜50m/分で走行
している塩化ビニル系重合体フィルムを80〜170℃
に加熱した後、前記多層フィルムと熱ラミロールによっ
て熱圧着する方法や、速度5〜50m/分で走行してい
る塩化ビニル系重合体フィルムと、前記多層フィルムと
を、80〜170℃に加熱した熱ラミロールによって圧
着する方法などが挙げられる。
【0063】このようにして得られた複合多層フィルム
にエンボス加工等を施し、意匠性を付与することも可能
である。特に、複合多層フィルムを内装材として用いる
場合には、エンボス加工を施すことによって商品価値が
高まるので好ましい。多層フィルムと塩化ビニル系重合
体フィルムとを熱圧着する工程と、エンボス加工を行う
工程は、同時に行うこともできる。本発明者らが特に推
奨する実施態様は、以下の通りである。すなわち、第一
段階において、速度5〜50m/分で走行している塩化
ビニル系重合体フィルムを発泡炉に導入し、200℃以
上で発泡を行う。続く第二段階において、発泡後の余熱
で80〜170℃に加熱された塩化ビニル系重合体フィ
ルムに対し、エンボスロールを用いて、エンボス加工を
行うと同時に、前記多層フィルムと塩化ビニル系重合体
フィルムとを熱圧着させる方法である。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例で使用した各樹脂のMIは、JIS−
K7210に準じて、温度190℃、荷重2160gで
実施した。
【0065】実施例1 EVOHからなる組成物(A)として、エチレン含有量
44モル%、ケン化度99.5%、MI5.5g/10
分のEVOHを用い、熱可塑性樹脂(B)として、不飽
和ジカルボン酸変性エチレン−アクリル酸エチル共重合
体(日本ユニカー製、ナックエースGB301、アクリ
ル酸エチル含有量12モル%、MI4.0g/分)を用
いた。
【0066】EVOHからなる組成物(A)を直径40
mm、L/D=27の1軸スクリューを備えた押出機を
用いて溶融温度170〜220℃で溶融押出し、熱可塑
性樹脂(B)を直径40mm、L/D=22の1軸スク
リューを備えた押出機を用いて溶融温度100〜220
℃で溶融押出し、幅600mmのフィードブロック型2
種2層ダイ(ダイ温度:220℃)を用いて共押出し、
(A)/(B)(膜厚み:10μm/5μm)の2種2
層共押出多層フィルムを得た。なお、フィルムの引取条
件は、冷却ロール(縦2本ポリシングロール方式、直径
300mm)の温度を40℃とし、引取速度を16m/
分とした。
【0067】基材となる塩化ビニル系重合体フィルムと
しては、裏打ち紙上にポリ塩化ビニル100重量部、炭
酸カルシウム50重量部、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート55重量部、水酸化アルミニウム20重量部、ス
テアリン酸亜鉛2重量部、アゾジカルボンアミド2重量
部の配合物を積層したものを、210℃で発泡処理した
ものを用いた。
【0068】上記作製した共押出多層フィルムと上記塩
化ビニル系重合体フィルムとの熱接着性を、以下のよう
にして評価した。発泡処理した塩化ビニル系重合体フィ
ルムと、共押出多層フィルムの(B)層を向かい合わせ
て重ね、ヒートシーラー(安田精機製 YSSタイプ)
を用いて1kg/cm、130℃、3秒で熱圧着を行
い、複合多層フィルムを製造した。なお、熱圧着を行う
にあたっては、ヒートシーラの圧着部分にEVOHから
なる組成物(A)層が付着することを防ぐために、EV
OHからなる組成物(A)層とヒートシーラーの圧着部
の間に厚み50μmのポリエステルフィルムを配置し
て、熱圧着を行った。
【0069】得られた複合多層フィルムを用いて、塩化
ビニル系重合体フィルムと共押出フィルムとの間で、オ
ートグラフにより引張速度250mm/分でT字剥離を
実施し、熱接着性を以下の基準に従って判定した。 判定 基準 ◎(合格) :(B)層と塩化ビニル系重合体フィルムとの間で剥離が発生する 前に、塩化ビニル系重合体フィルムの破壊が起こった。 ×(不合格):(B)層と塩化ビニル系重合体フィルムとの間で剥離した。
【0070】また、上記作製した共押出多層フィルムを
用いて、以下のようにして防汚性を評価した。まず、共
押出多層フィルムの(A)層表面を、黒水性ペン(ペン
テル製)で汚染し、20℃で24時間放置した。放置
後、黒水性ペンによる汚染を水性洗剤(ライオン製ママ
レモン)で拭き取り、拭き取り後のフィルム表面の状態
を目視で観察し、以下の基準にしたがって判定した。 判定 基準 ◎ (合格) :汚れが全く残らない。 ○ (合格) :汚れがほとんど残らない。 △ (合格) :汚れがやや残る。 × (不合格):汚れがかなり残る。 ××(不合格):汚れが濃く残る。
【0071】さらに、共押出多層フィルムの(A)層表
面を、黒油性ペン(ゼブラ製ハイマッキー太)で汚染
し、20℃で24時間放置した。放置後、黒油性ペンに
よる汚染をラッカーシンナー(アサヒペン製)で拭き取
り、拭き取り後のフィルム表面の状態を目視で観察し、
以下の基準にしたがって判定した。 判定 基準 ◎ (合格) :汚れが全く残らない。 ○ (合格) :汚れがほとんど残らない。 △ (合格) :汚れがやや残る。 × (不合格):汚れがかなり残る。 ××(不合格):ラッカーシンナーで表面が侵され、外
観不良となる。
【0072】上記作製した共押出多層フィルムの可塑剤
移行防止機能の評価は、以下のようにして行った。上述
の方法で作製した、塩化ビニル系重合体フィルムと共押
出多層フィルムとを熱接着してなる複合多層フィルムの
EVOHからなる組成物(A)層表面に硬質塩化ビニー
ルシートを乗せ、100g/cmの荷重をかけ、40
℃で4日放置した。放置後の硬質塩化ビニールシートの
重量を測定し、放置前後での硬質塩化ビニールシートの
重量増加量を求め、可塑剤の移行量とした。得られた可
塑剤の移行量から、共押出多層フィルムの可塑剤移行防
止機能を以下のように判定した。 判定 基準 ◎(合格) :共押出フィルムの単位表面積当たりの可塑剤の移行量が0.1g /m未満。 △(合格) :共押出フィルムの単位表面積当たりの可塑剤の移行量が1g/m 未満。 ×(不合格):共押出フィルムの単位表面積当たりの可塑剤の移行量が1g/m 以上。
【0073】上記作製した共押出多層フィルムのエンボ
ス加工性の評価は、以下のようにして行った。上記作製
した共押出多層フィルムの(B)層側に、上述の発泡処
理した塩化ビニル系重合体フィルムを向かい合わせて、
エンボスロールを装着した卓上ラミネーター(東京ラミ
ネックス(株)製 DX350)を用いて130℃でエ
ンボス加工と同時に熱接着を実施し、複合多層フィルム
を得た。この際、熱圧着を行うにあたっては、エンボス
ロールの圧着部分にEVOHからなる組成物(A)層が
付着することを防ぐために、EVOHからなる組成物
(A)層とエンボスロールの圧着部の間に厚み50μm
のポリエステルフィルムを配置して、熱圧着を行った。
得られたエンボス加工後の複合多層フィルムの表面(E
VOHからなる組成物(A)層側)を目視観察し、エン
ボス加工性を以下の基準にしたがって判定した。 判定 基準 ◎(合格) :充分に賦形されている。 ○(合格) :やや賦形されている ×(不合格):賦形されていない。
【0074】実施例2 エチレン含有量44モル%、ケン化度99.5%、MI
5.5g/10分のEVOH77部および不飽和ジカル
ボン酸変性ポリエチレン(三菱化学製、モデックAP−
H511、MI0.3g/10分)23部を、2軸押出
機を用いて、220℃で溶融ブレンドし、樹脂組成物の
ペレットを得た。前記樹脂組成物のMIは、1.9g/
10分であった。得られた樹脂組成物を、EVOHから
なる組成物(A)として用いた。
【0075】熱可塑性樹脂(B)としては、不飽和ジカ
ルボン酸変性エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日
本ユニカー製、ナックエースGB301、アクリル酸エ
チル含有量12モル%、MI4.0g/分)を用いた。
【0076】さらに、エチレン含有量44モル%、ケン
化度99.5%、MI5.5g/10分のEVOH3
0.8部、不飽和ジカルボン酸変性ポリエチレン(三菱
化学製、モデックAP−H511、MI;0.3g/1
0分)9.2部および不飽和ジカルボン酸変性エチレン
−アクリル酸エチル共重合体(日本ユニカー製、ナック
エースGB301、アクリル酸エチル含有量;12モル
%、MI;4.0g/分)60部を、2軸押出機によ
り、200℃で溶融ブレンドし、EVOHからなる組成
物(A)および熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂組成物
(C)ペレットを得た。前記樹脂組成物(C)のMI
は、1.4g/10分であった。
【0077】EVOHからなる組成物(A)を直径40
mm、L/D=27の1軸スクリューを備えた押出機を
用いて溶融温度170〜220℃で溶融押出し、熱可塑
性樹脂(B)を直径40mm、L/D=22の1軸スク
リューを備えた押出機を用いて溶融温度100〜220
℃で溶融押出し、樹脂組成物(C)を直径40mm、L
/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を用いて溶
融温度100〜220℃で溶融押出し、幅600mmの
フィードブロック型3種3層ダイ(ダイ温度:220
℃)を用いて共押出し、(A)/(C)/(B)(膜厚
み:5μm/5μm/5μm)の3種3層共押出多層フ
ィルムを得た。なお、フィルムの引取条件は、冷却ロー
ル(縦2本ポリシングロール方式、直径300mm)の
温度を40℃とし、引取速度を16m/分とした。得ら
れた共押出多層フィルムを用いて、実施例1と同様にし
て評価した。評価結果を表1に示す。
【0078】実施例3 EVOHからなる組成物(A)として、実施例2で作製
したEVOH77部および不飽和ジカルボン酸変性ポリ
エチレン23部からなる樹脂組成物を用い、熱可塑性樹
脂(B)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)
(三井・デュポンポリケミカル製、エバフレックスEV
40LX、酢酸ビニル含有量19モル%、MI;2.0
g/10分)を用いた。さらに、接着性樹脂(D)とし
て、不飽和ジカルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重
合体(東ソー製、メルセンMX13、酢酸ビニル含有量
7モル%、MI2.0g/10分)を用いた。
【0079】EVOHからなる組成物(A)を直径40
mm、L/D=27の1軸スクリューを備えた押出機を
用いて溶融温度170〜220℃で溶融押出し、熱可塑
性樹脂(B)を直径40mm、L/D=22の1軸スク
リューを備えた押出機を用いて溶融温度100〜220
℃で溶融押出し、接着性樹脂(D)を直径40mm、L
/D=22の1軸スクリューを備えた押出機を用いて溶
融温度100〜220℃で溶融押出し、幅600mmの
フィードブロック型3種3層ダイ(ダイ温度:220
℃)を用いて共押出し、(A)/(D)/(B)(膜厚
み:5μm/5μm/5μm)の3種3層共押出多層フ
ィルムを得た。なお、フィルムの引取条件は、冷却ロー
ル(縦2本ポリシングロール方式、直径300mm)の
温度を40℃とし、引取速度を16m/分とした。得ら
れた共押出多層フィルムを用いて、実施例1と同様にし
て評価した。評価結果を表1に示す。
【0080】実施例4 実施例3において、熱可塑性樹脂(B)として低結晶性
ポリエステル(イーストマン製、PETG6763、M
I1.4g/10分、結晶融解熱0cal/g)を用
い、接着性樹脂(D)として不飽和ジカルボン酸変性ポ
リエチレン(D)(三井化学製、アドマーSF731、
MI2.6g/10分)を用い、熱可塑性樹脂(B)の
押出温度を170〜230℃とし、3種3層ダイのダイ
温度を230℃とした以外は、実施例3と同様にして3
種3層共押出多層フィルムを得た。得られた共押出多層
フィルムを用いて、実施例1と同様にして評価した。評
価結果を表1に示す。
【0081】実施例5 実施例4において、熱可塑性樹脂(B)としてメタクリ
ル酸エステル系多層構造重合体粒子((株)クラレ製、
パラペットGR−F、MI0.03g/10分)を用い
た以外は、実施例4と同様にして3種3層共押出多層フ
ィルムを得た。得られた共押出多層フィルムを用いて、
実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示
す。
【0082】実施例6 実施例1において、熱可塑性樹脂(B)として熱可塑性
ポリウレタン((株)クラレ製、クラミロン8175Z
18Y1、MI2.0g/10分)を用い、EVOHか
らなる組成物(A)の押出温度を170〜200℃と
し、熱可塑性樹脂(B)の押出温度を100〜200℃
として、200℃の2種2層ダイにて共押出成形を行っ
た以外は、実施例1と同様にして2種2層共押出多層フ
ィルムを得た。得られた共押出多層フィルムを用いて、
実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示
す。
【0083】比較例1 不飽和ジカルボン酸変性エチレン−アクリル酸エチル共
重合体(日本ユニカー製、ナックエースGB301、ア
クリル酸エチル含有量12モル%、MI4.0g/分)
を直径40mm、L/D=26の一軸押出機に仕込み、
200℃の550mmの単層ダイを用い、単層フィルム
(膜厚み:20μm)を得た。得られた単層フィルム
は、塩化ビニル系重合体フィルムとの熱接着性は良好で
あったが、防汚性が劣り、粘着性が有り、内装用材の表
面に使用するには適さないものであった。
【0084】比較例2 低結晶性ポリエステル(イーストマン製、PETG67
63、MI;1.4g/10分、結晶融解熱0cal/
g)を一軸押出機に仕込み、230℃の単層ダイを用
い、単層フィルム(膜厚み;20μm)を得た。得られ
た低結晶性ポリエステルからなる単層フィルムは、塩化
ビニル系重合体フィルムとの熱接着性は良好であった。
しかしながら、低結晶性ポリエステルからなる単層フィ
ルムと、塩化ビニル系重合体フィルムとを熱接着して得
られる複合多層フィルムの低結晶性ポリエステル側の表
面を油性ペンで汚染した場合、油性ペンの汚れを除去す
る際に、ラッカーシンナーにより表面が侵され、外観が
不良になった。
【0085】比較例3 実施例1において、熱可塑性樹脂(B)として不飽和ジ
カルボン酸変性ポリエチレン(B)(三井化学製、アド
マーNF500、MI;1.8g/10分)を用いた以
外は、実施例1と同様にして2種2層共押出多層フィル
ムを得た。得られた共押出多層フィルムの熱接着性を評
価したところ、熱接着性は×判定だった。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明の共押出多層フィルムは、優れた
汚れ防止機能、可塑剤移行防止機能およびエンボス加工
等への加工適性を併せ持ち、かつ、有機溶剤を含む接着
剤等を使用しない場合においても塩化ビニル系重合体フ
ィルムからなる基材との熱接着性に優れている。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03A AK04B AK04C AK12A AK15D AK41B AK41C AK51B AK51C AK69A AK69B AK69C AK71B AK71C AL06B AL06C BA02 BA03 BA04 BA07 BA10A BA10B BA10D EC032 EH202 GB08 JL12 YY00A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量20〜65モル%、ケン
    化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    からなる組成物(A)層および、エチレン−ビニルエス
    テル共重合体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン
    化度50〜95%のエチレン−ビニルエステル共重合体
    ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重
    合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メ
    タ)アクリル酸アルキル系重合体、熱可塑性ポリウレタ
    ン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンおよび
    低結晶性ポリエステルからなる群より選ばれる少なくと
    も1種の熱可塑性樹脂(B)層の少なくとも2層からな
    る、塩化ビニル系重合体との熱接着用共押出多層フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 熱接着用共押出多層フィルムが、(A)
    層と(B)層とが、(A)および(B)からなる樹脂組
    成物(C)層を介して積層されてなる熱接着用共押出多
    層フィルムである請求項1に記載の塩化ビニル系重合体
    との熱接着用共押出多層フィルム。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール共重合体か
    らなる組成物(A)が、エチレン含有量20〜65モル
    %、ケン化度85%以上のエチレン−ビニルアルコール
    共重合体50〜95重量%および、ポリオレフィンおよ
    びスチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも
    1種の熱可塑性樹脂5〜50重量%からなる樹脂組成物
    である請求項1または2に記載の熱接着用共押出多層フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱
    接着用共押出多層フィルムの(B)層と、塩化ビニル系
    重合体フィルムとを熱接着してなる複合多層フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の複合多層フィルムから
    なる内装材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱
    接着用共押出多層フィルムの(B)層と、塩化ビニル系
    重合体フィルムとを温度80〜170℃で熱接着するこ
    とを特徴とする複合多層フィルムの製造方法。
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