JP2003149143A - ビリルビン濃度測定調整用溶液、ビリルビン濃度測定調整用毛細管、ビリルビン濃度測定調整用試験片、およびビリルビン濃度測定用機器の調整方法 - Google Patents

ビリルビン濃度測定調整用溶液、ビリルビン濃度測定調整用毛細管、ビリルビン濃度測定調整用試験片、およびビリルビン濃度測定用機器の調整方法

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JP2003149143A
JP2003149143A JP2001344964A JP2001344964A JP2003149143A JP 2003149143 A JP2003149143 A JP 2003149143A JP 2001344964 A JP2001344964 A JP 2001344964A JP 2001344964 A JP2001344964 A JP 2001344964A JP 2003149143 A JP2003149143 A JP 2003149143A
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Susumu Ito
進 伊藤
Kiyoshi Kidouchi
清 木戸内
Hiroshi Takagi
宏 高木
Masao Miura
征男 三浦
Katsuichi Nagayama
勝一 永山
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光分析によるビリルビン測定機器のばらつき
を現在よりも小さくするため、ビリルビン濃度測定にお
ける精度調整に用いるのに適した試薬を採択する。 【解決手段】 血液を採取して血液中のビリルビン濃度
を光分析によって測定する測定機器を調整するための溶
液を密封した毛細管につき、その毛細管は、血液を血清
と血球部分へ分離するための遠心分離器へ固定可能なも
のとし、密封された溶液は、CI.ダイレクトイエロー
86を含有した溶液としたビリルビン濃度測定調整用毛
細管とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、新生児の核黄疸の
診断に際して、血中総ビリルビン値を測定するための光
分析測定機に対して、標準値を設定するための技術に関
する。
【0002】
【先行技術】新生児の核黄疸の原因となる高ビリルビン
血症の診断とその治療効果の判定には、血液中成分の総
ビリルビンの測定分析が必要である。その血液成分の測
定分析は、採取した血液を遠心分離器(12000rp
mにて5分間の遠心分離)にて血清と血球部分へ分離
し、血液における血漿部分を光分析し、ビリルビンの濃
度を測定する、という手法を用いるのが一般的である。
新生児や未熟児では、血液中のアルブミン濃度が低く、
低アルブミン血症状態である。その場合には、ヒト血清
アルブミンに結合せずに遊離しているビリルビンが多い
と考えられ、そのビリルビンが脳に入ることによって核
黄疸を引き起こすと考えられているためである。そし
て、一般的には正期産新生児において、その遊離ビリル
ビン濃度と総ビリルビン濃度との間には平衡関係がある
ため、広く総ビリルビン濃度が測定されている。
【0003】光分析による血漿成分のビリルビン分析の
ためには、ビリルビンの最大吸収波長である波長450
〜460ナノメーターを測定し、ヘモグロビン値を測定
する570(または575)ナノメーターの分析光など
が、主に用いられる。測定法としては、その光分析を利
用した総ビリルビンの測定法である比色法(毛細管
法)、ジアゾ法、ホワイト法、アンバウンドアナライザ
ーなどがある。なお、毛細管法を採用する場合、現状の
測定機器の性能では、これらの光を測定方法ASTMD
1003において90%以上透過することが、毛細管に
は要求される。光による測定誤差を減らすための透明度
と均質性、寸法精度などの条件を満たす材質として、ガ
ラス製毛細管が主に選定されている。
【0004】続いて、前記のガラス製毛細管を用いて、
血液を採取してから分析する手順について説明する。ま
ず、検査対象者の人体の一部、例えば足の裏へ穿刺など
をすることによって出血させ、その出血へ、ガラス製毛
細管の一方の開口を接触させる。すると、毛細管現象に
よって管内へ血液が吸い込まれる。吸い込まれたら、他
方の開口へパテ材など押し込んで毛細管現象を停止させ
る。すると、両開口からの血液の漏れはなくなる。この
状態のガラス製毛細管を遠心分離器へ移動させ、遠心分
離器の固定枠へ固定し、12000rpmで5分間回転
させる。回転させると、毛細管の中の血液は血漿と血清
とに分離される。そして、その血漿部分のみ取り出して
検査をする。
【0005】図5には、ビリルビンとヒト血清アルブミ
ンとの複合体のスペクトルグラムを示したものである。
450〜460ナノメーターの分析光を用いるのは、ビ
リルビンとヒト血清アルブミンとの複合体における最大
吸収波長だからである。570ナノメーターの分析光を
用いるのは、採血時に赤血球が壊れて血清に混入する場
合(いわゆる「溶血」)が生じた場合に補正するためで
ある。すなわち、ヘモグロビンの最大吸収波長である5
70ナノメーターを測定しておくことによって、溶血が
生じた場合に、ヘモグロビンの吸収がビリルビンとヒト
血清アルブミンとの複合体の最大吸収波長(455ナノ
メーター)の吸収と重なる部分の補正が行えるからであ
る。
【0006】図6は、ビリルビンとヒト血清アルブミン
との複合体(ビリルビン18mg/dL、ヒト血清アル
ブミン3g/dL)に対して、治療用の光(46μW/
平方センチメートル/nm)を照射した場合の変化を示
すスペクトルグラムである。上から、照射時間が、0
分、5分、10分、15分、30分である。最大吸収波
長はほぼ一定であるが、光化学変化によってピーク値は
時間とともに下がる。
【0007】具体的な血液成分測定装置について、図7
および図8を参照させながら説明する。この血液成分測
定装置は、特開平6−43158号に開示されたもので
ある。すなわち、円板状に形成されて中心から外周に向
って放射状に貫設されるスリット(12)を有するロータ
(1)と、検体となる全血を封入した毛細管(6,11)を前記
スリット(12)の上側に載置して前記ロータ(1)を回転す
る駆動体(2)と、該回転によりその成分が遠心分離され
た検体を透過する光を投射する光源(13)と、前記スリッ
ト(12)が前記光源(13)下にきたときに前記透過する光を
受けるべく前記ロータ(1)下に列設される複数の受光素
子からなる光センサ(14)と、該光センサ(14)が透過光を
光電変換した電気量に基づき透過光の明暗の境界を検出
してヘマトクリット値を算出する処理部(プリアンプ15,
対数アンプ16,演算回路17,ディスプレイ18,プリンタ19)
とを備えて構成されることを特徴とする血液成分測定装
置である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さて、216施設を調
査対象とした「新生児黄疸の実態調査」(以下、「実態
調査レポート」と略記する)から抜粋する。(大西鐘久
氏著) 95施設においてビリルビン濃度を、精度調整に提供さ
れている「ビリルビン水溶性標準液」にて測定したとこ
ろを図9に示す。7〜17mg/dl の範囲に正規分布し、
この平均±標準偏差は、13.3±1.5mg/100mlと
なっており、明らかなのばらつきが認められた。
【0009】このデータにおけるばらつきの原因は、そ
のプール血清の測定までの取り扱いのばらつきや、経時
変化をしていたりすると考えられている。まず、測定機
器の出荷時において、ゼロ点調整などにばらつきが生じ
てしまう。更に、実態調査レポートにおいても指摘され
ているように、上記データを収集する際に、各施設にお
いて全く同一のビリルビン水溶性標準液を使用して構成
していないので、ばらつきが生じてしまう。そして、そ
のビリルビン水溶性標準液なるものの安定性が問題とな
る。
【0010】ビリルビン水溶性標準液には、例えば株式
会社アズウェルが製造発売する「ビリルビンスタンダー
ド20」という商品があるが、ばらつきを更に少なくす
ることができる試薬として、以下のようなものが検討さ
れた。まず、食紅のイエローエッグモック、黄色4号2
号については、安定性が認められたが、液体に沈降して
しまうといった溶解性に難点がある。このため、液体と
して保管され、必要なときにセットして使用するという
仕様には不向きである。また、ヒアルロン酸溶液は、安
定性、溶解性とも優れているが、安定性を保持するため
には摂氏4〜10度にて保管しなければならず、保管可
能期限も最大で1年半と短い。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、光分析
によるビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さ
くするため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用
いるのに適した試薬を採択することである。
【0012】請求項1記載の発明の目的は、光分析によ
るビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さくす
るため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用いる
のに適したビリルビン濃度測定調整用溶液を提供するこ
とである。請求項2から請求項4記載の発明の目的は、
光分析によるビリルビン測定機器のばらつきを現在より
も小さくするため、ビリルビン濃度測定における精度調
整に用いるのに適したビリルビン濃度測定調整用毛細管
を提供することである。
【0013】請求項5記載の発明の目的は、光分析によ
るビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さくす
るため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用いる
のに適したビリルビン濃度測定調整用試験片を提供する
ことである。請求項6および請求項7記載の発明の目的
は、光分析によるビリルビン測定機器のばらつきを現在
よりも小さくするため、ビリルビン濃度測定における精
度調整に用いるのに適したビリルビン濃度測定用機器の
調整方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、ビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さ
くするため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用
いるのに適した試薬として、CI.ダイレクトイエロー
86の水溶液を採択した。
【0015】(請求項1)請求項1記載の発明は、血液
を採取して血液中のビリルビン濃度を光分析によって測
定する測定機器を調整するための溶液であって、その溶
液は、CI.ダイレクトイエロー86を含有した溶液と
したビリルビン濃度測定調整用溶液に係る。
【0016】(用語説明)「測定機器」としては、先行
技術の欄において記述したように、波長455ナノメー
ターの分析光や、ヘモグロビン値を測定する570(ま
たは575)ナノメーターの分析光を照射分析可能な測
定器である。
【0017】「CI.ダイレクトイエロー86」の含有
量は、一般には、全重量に対して重量パーセントで0.
005〜2%、好ましくは0.01〜1%、より好まし
くは0.02〜0.2%の範囲である。あまり薄くて
は、分析光が弱い場合に測定誤差が出やすい。また、あ
まり濃くても測定誤差が出やすく、且つ溶液作製に必要
なCI.ダイレクトイエロー86の必要量が増えてしま
うからである。
【0018】CI.ダイレクトイエロー86の溶媒は、
一般的には純水である。光分析をする溶媒となるので、
浮遊物などが混入していないことが必要である。価格を
抑えるため、例えば、濾過水、蒸留水などを用いること
も可能ではある。
【0019】(作用)CI.ダイレクトイエロー86を
希釈した溶液を、光分析によって測定する測定機器を調
整するために用いる。例えば、検査用の血液を入れる容
器(通常は毛細管)へ吸い上げて密封する。その溶液
は、常温で長期間保管しても変質せず、沈殿なども生じ
ないため、測定機器の調整を行って基準値を設定すると
いった用途に優れている。
【0020】(請求項2)請求項2記載の発明は、血液
を採取して血液中のビリルビン濃度を光分析によって測
定する測定機器を調整するための溶液を密封した毛細管
であって、その毛細管は、血液を血清と血球部分へ分離
するための遠心分離器へ固定可能なものとし、密封され
た溶液は、CIダイレクトイエロー86を含有した溶液
としたビリルビン濃度測定調整用毛細管に係る。
【0021】CI.ダイレクトイエロー86を含有した
溶液の濃度は、請求項1記載の発明にて前記した濃度と
同じである。血液中のビリルビン濃度を光分析によって
測定する測定機器は、血液を血清と血球部分へ分離する
ための遠心分離器と一体に構成されているものが多い。
そのため、遠心分離と光り分析による測定という作業を
効率化するため、遠心分離器へ固定可能な毛細管へ測定
機器を調整するための溶液を密封したものである。C
I.ダイレクトイエロー86は、毛細管の内壁に吸着す
ることなく、均一に分布する。密封には、毛細管がガラ
ス製であれば、例えば、従来から用いられているパテ材
や粘土を用いる。
【0022】(請求項3)請求項3記載の発明は、請求
項2記載のビリルビン濃度測定調整用毛細管を限定した
ものである。すなわち、毛細管は、測定方法ASTMD
790による曲げ強度が70から160メガパスカル
で、且つ測定方法ASTMD1003による全光線透過
度が90%以上であるように、透明な熱可塑性樹脂を押
出成型して形成したビリルビン濃度測定調整用毛細管に
係る。
【0023】毛細管一般に採用されているガラスという
材質に基づく欠点、すなわちガラスはほとんど弾性変形
しないため、一定以上の外力が加わると破損してしまう
という欠点を補うための発明である。前述の曲げ強度お
よび全光線透過度を満たす材質としては熱可塑性樹脂、
具体的には、ポリエステル系のポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリオレ
フイン系の環状オレフインコポリマー、非結晶性のシク
ロオレフインポリマーなどある。曲げ強度および全光線
透過度の条件に加え、外径・内径の寸法精度や仕上がり
の得やすさなどを考慮した場合、最適な材料としては非
結晶性のPETであった。
【0024】測定方法ASTMD790による曲げ強度
として「70メガパスカル」以上を条件としたのは、血
液採取の作業時、遠心分離器への移動の際、遠心分離器
への着脱作業の際、遠心分離器の作動時などにおいて要
求される経験的な強度である。好ましくは80メガパス
カル以上である。なお、ガラスと異なり、熱可塑性樹脂
には弾性があるので、ガラスに要求された曲げ強度とは
異なる。また、曲げ強度について160メガパスカルの
上限を設けたのは、必要以上の強度とすると毛細管の外
形が太くなり、現状普及している遠心分離器へ装着でき
なくなるなどの問題が発生するからである。
【0025】非結晶性のPETを採用した場合に、上述
のような曲げ強度を実現するためには、外径1.80〜
2.00mm、内径1.30〜1.50mm、長さ7
0.0〜90.0mmとした毛細管とする場合が多い。
外径、内径および長さについての限定を行ったのは、現
状普及している遠心分離器へ装着が可能であるからであ
る。100マイクロミリリットルの容量を確保し、上記
の数値限定の範囲に入る血液採取用毛細管は、例えば、
外径1.90mm、内径1.40mm、長さ80.0m
m とした。なおこの場合、それぞれの精度は、外径お
よび内径が±0.05mm、長さが±0.10mmとし
た。
【0026】本請求項の限定により、病院の検査室や検
査専門会社において既に設置されている遠心分離器や溶
存ガス濃度分析用機器を、改造することなくそのまま使
用することができる。
【0027】測定方法ASTMD1003による全光線
透過度として「90%以上」を条件としたのは、現状普
及している分析器の性能に基づいたものである。この条
件を達成していれば、現状普及している分析器に対し
て、そのまま使用することができる。なお、光分析器の
性能が向上した場合には、ここで要求した透過度は90
%を下回ることとなるが、光分析器の性能が向上したと
しても透過度が高いほど分析精度を高められる。
【0028】上述の寸法を備えた毛細管については、測
定方法ASTMD790による曲げ強度は、70メガパ
スカルを越えている。このため、血液採取の作業時、遠
心分離器への移動の際、遠心分離器への着脱作業の際、
遠心分離器の作動時などにおいて、通常の使用ならば破
損する確率は非常に低い。
【0029】(請求項4)請求項4記載の発明は、請求
項3記載のビリルビン濃度測定調整用毛細管を限定した
ものである。すなわち、毛細管は、外径1.80〜2.
00mm、内径1.30〜1.50mm、長さ70.0
〜90.0mmとしたビリルビン濃度測定調整用毛細管
に係る。
【0030】(請求項5)請求項5記載の発明は、血液
を採取して血液中のビリルビン濃度を光分析によって測
定する測定機器を調整するための試験片であって、C
I.ダイレクトイエロー86を均質に含有し、且つ測定
方法ASTMD1003による全光線透過度が90%以
上であるように、透明な熱可塑性樹脂を押出成型して形
成したビリルビン濃度測定調整用試験片に係る。
【0031】本請求項に係る発明は、測定機器を調整す
るための試験片を樹脂成型品として提供するため、測定
機器の形態に合わせた形状にて提供することが可能であ
る。また、請求項3または請求項4の発明が液体にて保
持しているCI.ダイレクトイエロー86の溶液よりも
安定であり、強度に寄与しない液体部分を構成していな
いため、破損の確率も小さくなる。熱可塑性樹脂にC
I.ダイレクトイエロー86を含有させてから押出成型
をしても、押出成型時の高温に対しても均質性を保持
し、安定しているという特性がある。
【0032】(請求項6)請求項6記載の発明は、光分
析によって血液中のビリルビン濃度を光分析によって測
定する測定機器の調整方法であって、CI.ダイレクト
イエロー86を希釈した溶液を毛細管へ密封し、ビリル
ビン濃度を光分析によって測定する測定機器へ前記毛細
管を設置し、前記毛細管に密封された溶液を光分析の基
準値として調整することとしたビリルビン濃度測定用機
器の調整方法に係る。
【0033】本請求項記載の発明を採用すれば、病院の
検査室や検査専門会社において既に設置されている遠心
分離器や溶存ガス濃度分析用機器を、改造することなく
そのまま使用することができる。
【0034】(請求項7)請求項7記載の発明は、光分
析によって血液中のビリルビン濃度を光分析によって測
定する測定機器の調整方法であって、CI.ダイレクト
イエロー86を均質に含有した透明な熱可塑性樹脂を押
出成型して形成したビリルビン濃度測定調整用試験片
を、ビリルビン濃度を光分析によって測定する測定機器
へ設置し、光分析の基準値として調整することとしたビ
リルビン濃度測定用機器の調整方法に係る。
【0035】本請求項記載の発明を採用すれば、病院の
検査室や検査専門会社において既に設置されている遠心
分離器や溶存ガス濃度分析用機器を、改造することなく
そのまま使用することができる。
【0036】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を図面に基
づいて、さらに詳しく説明する。使用する図面は、図1
から図4である。図1は、樹脂毛細管、標品色素測定
(ビリルビン換算)値の関係を示すグラフである。
【0037】樹脂毛細管に関する寸法は、後に詳述す
る。1ミリリットル当たりのCI.ダイレクトイエロー
86の粉末0.125〜1.25ミリグラムを純粋に溶
かして水溶液を作製する。その水溶液を、樹脂毛細管へ
封入し、ビリルビン測定のための測定器にて測定したも
のである。10種類の水溶液につき、ビリルビンの測定
値であるとすると、2.6〜28.4ml/dlという測定
値が得られた。この結果からビリルビン換算値とCI.
ダイレクトイエロー86の濃度との関係を割り出すと、
直線性につき、P=0.0001以下となり、 Y=22.8X+0.03 という関係式が得られるに至った。以上の結果から、ビ
リルビンの測定測定における精度調整に用いるのに適し
た試薬として、CI.ダイレクトイエロー86の水溶液
を採択できる可能性が実証された。
【0038】続いて、CI.ダイレクトイエロー86の
水溶液についての経時変化について検証する。核黄疸の
治療に用いる種類の光につき、治療に用いる強さの10
倍をCI.ダイレクトイエロー86の水溶液へ照射し、
ビリルビン換算値の変化を観察した。その様子を示すの
が、図2である。ビリルビンであれば急激に減少する光
を照射し、経時変化が存在するのであれば、保存性に問
題があるということになるが、本実験の結果、30分の
光照射に対して、ビリルビン換算値に変動がほとんど見
られなかった。
【0039】比較のため、予め18.0mg/dlのビリル
ビンを含む人血に同じ光を照射したところ、5分後に1
7.5mg/dl、10分後に15.9mg/dl、15分後に1
5.3mg/dl、30分後に13.4mg/dlと減少した。こ
の実験結果から、本発明の試薬は、外界からの光に対し
て経時的に変化をしにくい試薬であることが判明した。
【0040】続いて、毛細管の材質について検証する。
図3に示すのは、ビリルビン換算値につき、樹脂製毛細
管とガラス製毛細管とを比較したものである。溶液の種
類として、1.25mg/mlの溶液を1とし、それを希釈
した溶液にて検証した。なお、比較のため、50.0mg
/mlの溶液についても測定した。ここで採用した樹脂製
の毛細管は、非結晶性のポリエチレンテレフタレートを
押出成型したものである。この毛細管の寸法は、外径
1.90mm、内径1.40mm、長さ80.0mm
となっており、測定方法ASTMD790による曲げ強
度は、70メガパスカルを越えている。このため、血液
採取の作業時、遠心分離器への移動の際、遠心分離器へ
の着脱作業の際、遠心分離器の作動時などにおいて、通
常の使用ならば破損する確率は非常に低い。一方のガラ
ス製毛細管は、外径1.0mm、内径0.5mm、長さ
80.0mm である。
【0041】測定の結果、樹脂製毛細管およびガラス製
毛細管とも、6/10に希釈した水溶液(0.75mg/m
l)以下では、ほぼ直線となった。樹脂製毛細管につい
ては、直線性につき、P=0.0037以下となり、 Y=3.91x−0.79 という関係式が得られるに至った。また、ガラス製毛細
管については、直線性につき、P=0.0035以下と
なり、 Y=3.40x−1.31 という関係式が得られるに至った。樹脂製毛細管のほう
がガラス製毛細管よりも高い換算値が出るのは、樹脂製
毛細管のほうが肉厚が厚いためである。また、溶液が濃
くなると比例値よりも値が小さくなったのは、計測用の
光が弱かったためと考えられる。
【0042】なお、樹脂製毛細管を、検査用血液を採取
するための毛細管を兼ねる場合、プラズマ低温処理を施
して濡れ性を向上させた後、内壁には血液凝固防止剤を
コーティングしたものとしている。毛細管の材料として
の熱可塑性樹脂のほとんどは、ガラスよりも濡れ性に劣
り、毛管力が弱い。一方、ビリルビン濃度測定調整用溶
液をより速く毛細管に吸い込むことができれば、製造手
法によっては、製造時間の短縮が可能となる。その場
合、毛管力を高める「濡れ性向上処理」が必要となる。
【0043】「濡れ性向上処理」とは、血液を素早く毛
細管の中に吸い上げるために毛細管現象の速度を速める
ための処理であり、例えば低温プラズマ処理である。こ
のプラズマ低温処理は、常温下で減圧した環境の中で、
放電により、プラズマの雰囲気を作り、そのプラズマ中
の荷電粒子のもつ強力な運動エネルギーが、粒子間に働
くクーロン力のポテンシャルエネルギーよりも大きいの
を利用して、表面層の化学結合を切断し、雰囲気中の活
性酸素が表面層の分子に結合して、親水性の高い官能基
(例えば、−OH、−CHO、−COOH)を形成する
ことにより、物の表面層を改質する作用を利用したもの
である。
【0044】低温プラズマ処理の実験例について説明す
る。この低温プラズマ処理は、前述の実施形態に係るP
ET製の毛細管を摂氏50度で8時間乾燥後、常温下で
30秒、通常の雰囲気下でプラズマ処理した。毛管力の
テスト方法は、生理食塩水に、管の一端を10秒触れさ
せた際、管端からの液面の高さを判定する、という手法
とした。管の内径は同一として、得られた結果は、以下
のとおりであった。
【0045】 資料の種類 管端からの液面高さ ガラス製毛細管(未処理) 10mm PET製の毛細管(処理前) 3mm PET製の毛細管(処理後) 10mm 結果は、上記のように、毛細管の内表面の濡れ性が向上
し、ガラス製の既存品と同等の毛管力が得られた。
【0046】図4は、CI.ダイレクトイエローの溶液
についてのスペクトルグラムである。最大吸収波長は、
約380nmである。測定する波長に吸収帯が存在すれ
ばよく、最大吸収波長が450〜460nmにある必要
はない。
【0047】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、光分析に
よるビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さく
するため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用い
るのに適したビリルビン濃度測定調整用溶液を提供する
ことができた。請求項2から請求項4記載の発明によれ
ば、光分析によるビリルビン測定機器のばらつきを現在
よりも小さくするため、ビリルビン濃度測定における精
度調整に用いるのに適したビリルビン濃度測定調整用毛
細管を提供することができた。
【0048】請求項5記載の発明によれば、光分析によ
るビリルビン測定機器のばらつきを現在よりも小さくす
るため、ビリルビン濃度測定における精度調整に用いる
のに適したビリルビン濃度測定調整用試験片を提供する
ことができた。請求項6および請求項7記載の発明によ
れば、光分析によるビリルビン測定機器のばらつきを現
在よりも小さくするため、ビリルビン濃度測定における
精度調整に用いるのに適したビリルビン濃度測定用機器
の調整方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂毛細管、ビリルビン換算値の関係を示すグ
ラフである。
【図2】CI.ダイレクトイエロー86の水溶液へ照射
した場合のビリルビン換算値の変化を示すグラフであ
る。
【図3】ビリルビン換算値につき、樹脂製毛細管とガラ
ス製毛細管とを比較したグラフである。
【図4】CI.ダイレクトイエローの溶液についてのス
ペクトルグラムである。
【図5】ビリルビンとヒト血清アルブミンとの複合体の
スペクトルグラムを示したものである。
【図6】ビリルビンとヒト血清アルブミンとの複合体に
対して、治療用の光を照射した場合の変化を示すスペク
トルグラムである。
【図7】特開平6−43158号に開示された血液成分
測定装置の平面および側断面図である。
【図8】特開平6−43158号に開示された血液成分
測定装置のブロック図および主要部の断面図である。
【図9】多数の施設においてビリルビン濃度を、精度調
整に提供されている「ビリルビン水溶性標準液」にて測
定した結果のばらつきを示すグラフである。
【符号の説明】
1 ロータ 2 駆動体 3 駆動体の回転
軸 4 孔 5 スリット 5a スリットの面取り部
11 毛細管 12 スリット 13 光源 14 受光器
15 プリアンプ 16 対数アンプ 17 演算回路 18 ディスプレ
イ 19 プリンタ 20 フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/483 G01N 33/483 C 33/72 33/72 B // C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 三浦 征男 静岡県小笠郡小笠町赤土1895 三邦ポリマ ー工業株式会社内 (72)発明者 永山 勝一 静岡県小笠郡小笠町赤土1895 三邦ポリマ ー工業株式会社 Fターム(参考) 2G045 AA13 BA01 BB31 CA25 CA26 DA53 FA05 FA11 FA13 GC10 HA04 HA14 HB05 2G057 AA01 AB01 AC01 BA01 BB06 BD06 CA01 2G059 AA01 BB13 DD13 DD20 EE01 EE12 MM01 MM12 4F071 AA46 AF17Y AF30Y AH02 BC05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血液を採取して血液中のビリルビン濃度を
    光分析によって測定する測定機器を調整するための溶液
    であって、 その溶液は、CI.ダイレクトイエロー86を含有した
    溶液としたビリルビン濃度測定調整用溶液。
  2. 【請求項2】血液を採取して血液中のビリルビン濃度を
    光分析によって測定する測定機器を調整するための溶液
    を密封した毛細管であって、 その毛細管は、血液を血清と血球部分へ分離するための
    遠心分離器へ固定可能なものとし、 密封された溶液は、CI.ダイレクトイエロー86を含
    有した溶液としたビリルビン濃度測定調整用毛細管。
  3. 【請求項3】毛細管は、測定方法ASTMD790によ
    る曲げ強度が70から160メガパスカルで、且つ測定
    方法ASTMD1003による全光線透過度が90%以
    上であるように、透明な熱可塑性樹脂を押出成型して形
    成した請求項2に記載のビリルビン濃度測定調整用毛細
    管。
  4. 【請求項4】毛細管は、外径1.80〜2.00mm、
    内径1.30〜1.50mm、長さ70.0〜90.0
    mmとした請求項3記載のビリルビン濃度測定調整用毛
    細管。
  5. 【請求項5】血液を採取して血液中のビリルビン濃度を
    光分析によって測定する測定機器を調整するための試験
    片であって、 CI.ダイレクトイエロー86を均質に含有し、且つ測
    定方法ASTMD1003による全光線透過度が90%
    以上であるように、透明な熱可塑性樹脂を押出成型して
    形成したビリルビン濃度測定調整用試験片。
  6. 【請求項6】光分析によって血液中のビリルビン濃度を
    光分析によって測定する測定機器の調整方法であって、 CI.ダイレクトイエロー86を希釈した溶液を毛細管
    へ密封し、 ビリルビン濃度を光分析によって測定する測定機器へ前
    記毛細管を設置し、 前記毛細管に密封された溶液を光分析の基準値として調
    整することとしたビリルビン濃度測定用機器の調整方
    法。
  7. 【請求項7】光分析によって血液中のビリルビン濃度を
    光分析によって測定する測定機器の調整方法であって、 CI.ダイレクトイエロー86を均質に含有した透明な
    熱可塑性樹脂を押出成型して形成したビリルビン濃度測
    定調整用試験片を、ビリルビン濃度を光分析によって測
    定する測定機器へ設置し、光分析の基準値として調整す
    ることとしたビリルビン濃度測定用機器の調整方法。
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JP2011520107A (ja) * 2008-04-30 2011-07-14 インストゥルメンテーション ラボラトリー カンパニー ヘモグロビンベースのビリルビン参照材料

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