JP2003146350A - 合成樹脂製のキャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シェルの天板上面に施された印刷などの表示
物の傷つきや表示剥がれが効果的に防止される合成樹脂
製のキャップを提供する。 【解決手段】 天板５とスカート壁６とからなる合成樹
脂製のキャップＣにおいて、天板１５の上面に表示を付
与した後に、天板上面に合成樹脂材料による透明のオー
バーコート１８を施している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種の飲料用など
の容器の口部に装着される合成樹脂製のキャップに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂製のキャップとして、天板とス
カート壁とからなるものがあり、この他にも、合成樹脂
製のシェルと、このシェル内に挿入されて容器口部を密
封する合成樹脂製のパッキンとからなる所謂ピルファー
プルーフキャップがある。

【０００３】この内のピルファープルーフキャップのシ
ェルは、天板とスカート壁およびスカート壁の下端に複
数のブリッジを介して連結されたタンパーエビデンスバ
ンドからなり、一般には、インジェクション成形法等に
より、例えばポリプロピレン系の合成樹脂材料によって
成形されている。

【０００４】一方、容器口部の密封用パッキンは、容器
口部の上端面に載接されるパッキン天板と、このパッキ
ン天板に垂下連接されて、閉栓時に容器口部の開口内に
密封可能に嵌入される中足とからなるものがあり、耐内
容物性ならびに機械的強度に優れることから、一般に
は、ポリエチレン（ＰＥ）やポリプロピレン（ＰＰ）等
のオレフィン系の合成樹脂材料によって成形されてい
る。

【０００５】かゝる構成のピルファープルーフキャップ
においては、シェルの開栓に伴ってブリッジが切断され
る前または切断後もしくは切断と同時に、シェル側のガ
イド部がパッキンに当接して、パッキンの持ち上げが開
始されるのであって、パッキン中足が容器口部の気密機
能を逸するまでの間は、シェルのブリッジが切断されて
も、容器の気密性が確実に維持される。

【０００６】この他にも、容器口部の密封用パッキンと
して中足を備えないものもあり、これら何れの構成によ
るキャップにおいても、一般には、天板上面に、例えば
フレーム処理やコロナ放電の処理を施して、印刷インキ
の所謂のりを良化させた上で、このシェルの天板上面
に、メーカー名や商品名、その他シンボルマークなどの
印刷が施される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、容器を合成
樹脂製のカートンケースに納めて、このカートンケース
を段積みにして運搬し、運搬先で容器を子細に目視した
ところ、稀にではあるが、印刷剥がれが見られたのであ
り、その他、段ボール製のケースに納めた容器について
も、同じような印刷剥がれが見られたのであって、特に
長距離運搬の際に顕著であった。

【０００８】これは運搬時に、容器が飛び跳ねるように
揺れ動いて、キャップ上面の印刷物がカートンケースに
擦れて生じるものであって、このように印刷剥がれが生
じることは、例えば飲料を容器に所謂ホットパックする
ラインにおいて、印刷物が高温下に晒されて、印刷物の
界面剥離が生じ気味になることが原因であると推測され
る。

【０００９】即ち、パッカーラインでは、例えば飲料を
８５〜９３℃の高温にして、これを容器にホットパック
し、この容器を３０〜５０秒間ほど横倒しにして、内容
物の飲料でキャップ内面を殺菌し、その後、容器を正立
させて、キャップ殺菌のために、容器上方から７３〜８
０℃のシャワリングを、３〜１５分間にわたって行う形
態がとられるのであるが、この際に、印刷物の界面剥離
が生じ気味になることが、印刷剥がれの原因であると推
測されるのであるが、ホットパック以外の容器について
も、ごく稀に印刷剥がれが見られることがあり、この他
にも、印刷物に掠れ傷が見られることもあって、いずれ
にしても、見栄えが悪くなって商品価値を損ねる点で問
題があった。

【００１０】別の問題点として、容器口部へのキャップ
の自動装着機には、キャップの向きを一定にして整列さ
せるソーターと、キャップの天板側を支持して、このキ
ャップを順次、キャップの自動装着部に送り込むシュー
ターとが備えられているが、印刷インキの所謂のりを良
化させるためのフレーム処理やコロナ放電の処理によっ
て、シェルの天板上面がざらつくことに加えて、印刷物
が摩擦抵抗を大きくすることが関係して、キャップがシ
ューターで詰まり易い問題もあった。

【００１１】これらの問題は、天板の上面に印刷を施す
場合に限られたものではなく、印刷に代えて、天板上面
にラベルやシールを貼付したり、スタンプを押印させた
りした場合にも生じることであって、天板の上面に印刷
等の表示を付与させる上での課題であった。

【００１２】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、その第１の目的は、天板上面に付与された
印刷物などの表示の傷つきが効果的に防止されるキャッ
プを提供する点にあり、これに加えて第２の目的は、シ
ューターでの滑りが良くて、自動装着部への高速での送
り込みを可能としたキャップを提供する点にある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、天板と
スカート壁とからなる合成樹脂製のキャップにおいて、
天板上面に表示を付与した後に、天板上面に合成樹脂材
料による透明のオーバーコートを施した点に特徴がある
（請求項１）。

【００１４】このように、天板上面の表示上にオーバー
コートしたことで、容器の運搬時などにおいて、キャッ
プ上面がカートンケースなどに擦れても、表示剥がれや
表示物の傷つきが生じ難くなり、見栄えの点で商品価値
を損ねることが確実に防止されるのである。そして、透
明のオーバーコートであることから、表示物を見え難く
することもないのである。

【００１５】このオーバーコートの表面の摩擦抵抗を天
板上面の摩擦抵抗よりも小に設定すれば（請求項３）、
キャップの滑りが良くなることから、例えばキャップを
自動装着機に送り込む上で、シューターでのキャップの
詰まりが生じ難くなり、自動装着機へのキャップの高速
送りが可能になる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は合成樹脂製のピルファープ
ルーフキャップＣの断面図を示し、このピルファープル
ーフキャップＣは、それぞれが合成樹脂製のシェル１
と、このシェル１内に挿入されて容器２の口部３を密封
するパッキン４とからなる。

【００１７】上記のシェル１は、平面視で円形状の天板
５と、この天板５の周縁から垂下されたスカート壁６
と、このスカート壁６の下端に複数のブリッジ７を介し
て連結されたタンパーエビデンスバンド（以下、ＴＥバ
ンドという）８と、このＴＥバンド８の内面の下端側に
連接された係止部材９と、開栓時に密封用パッキン４を
持ち上げるパッキン案内部１０とを備えて成り、かつ、
スカート壁６の内面部には、容器口部３の外周面に形成
された容器ねじ部１１に螺着されるキャップねじ部１２
が形成されている。

【００１８】この実施の形態では、キャップねじ部１２
の最上位部分（雌ねじのねじ山の上端部分）をパッキン
案内部１０としているが、天板５とキャップねじ部１２
との間に、専用のパッキン案内部を形成してもよい。

【００１９】上記のブリッジ７は、例えば次のようにし
て形成されている。即ち、インジェクション成形法等に
より、例えばポリプロピレン系の樹脂によってシェル１
を成形する際に、スカート壁６とＴＥバンド８との間に
わたって内面部側に、複数の連結片ａを周方向に所定間
隔おきに形成しておき、この連結片ａに対応する部位の
外面部に、連結片ａの一部を残して全周にわたるスリッ
ト１３をカッターにより形成し、この一部を残した連結
片ａによってブリッジ７を形成しているのである。

【００２０】ＴＥバンド８に連接の係止部材９は、開栓
時において、容器口部３のねじ部１２よりも下部側に形
成された環状突起１４に、その上端が係止するもので、
上端側が拡径方向に弾性変形可能に形成されており、閉
栓時には拡径方向に弾性変形して環状突起１４を乗り越
え、この後、環状突起１４の下方に係止可能な姿勢に弾
性復帰するように構成されている。

【００２１】容器口部３の密封用パッキン４は、図２に
示すように、容器口部３の上端面に外周縁が載接される
パッキン天板１５と、この天板１５の周縁部に垂下連接
されて、閉栓時に容器口部３の開口内に密封可能に嵌入
される中足１６とからなり、例えばＰＥやＰＰ等のオレ
フィン系の樹脂材料によって成形されている。

【００２２】そして、中足１６の上下中間部の外周面に
は、湾曲させた形状の気密機能部ｂを膨出させており、
また、パッキン天板１５の外周端部に、下方への曲がり
部分によるトップサイドシール部１７を形成して、この
トップサイドシール部１７を容器口部３の外周面に密接
させるようにし、更に、パッキン天板１５の上面で且つ
中足１６の付け根部の外周部に、パッキン天板１５の外
周縁に沿った環状凹入部ｃを形成している。

【００２３】トップサイドシール部１７の形状は特に限
定されるものではなく、この実施の形態では、図２に一
部を取り出して拡大図示したように、トップサイドシー
ル部１７の内周面を、外拡がりに適当角度（例えば、３
３°）θで傾斜した傾斜面に形成しており、かつ、その
下端面を、蓋本体１の中心軸線に対して直角な水平面に
形成すると共に、内角の内面Ｓを、容器口部３の外周コ
ーナー部の曲面に合わせるように円弧面に形成してい
る。

【００２４】従って、この構成によれば、容器内圧の上
昇に伴ってシェル天板５の所謂ドーミング現象（図１の
仮想線図を参照）が生じた際には、このドーミングに伴
う蓋本体１のスカート壁６の収縮によって、スカート壁
６の上端部がトップサイドシール部１７を、Ｆなる押圧
力で容器口部３の外周コーナー部に押圧することで、容
器２の気密性を高く保持することができる。

【００２５】この際、パッキン天板１５に環状凹入部ｃ
を形成したことで、トップサイドシール部１７が容器口
部３の中心に向けて弾性変形し易くなり、この結果、容
器口部３の外周コーナー部に対するトップサイドシール
部１７の気密機能が高くなり、更に、環状凹入部ｃの存
在によって上記の押圧力Ｆが中足１６に及び難くなるこ
とから、容器口部３の内面に対する中足１６の気密機能
も高く保持できるのであって、このピルファープルーフ
キャップＣを、例えばホットパック用に採用するにして
も、その容器２の気密性をより高め得るのである。

【００２６】上記の構成によるピルファープルーフキャ
ップＣによれば、ＴＥバンド８に連接の係止部材９が拡
径方向に弾性変形可能であって、閉栓時には容器口部３
の環状突起１４を容易に乗り越えることから、ブリッジ
７の切断は確実に防止されるのであり、かつ、閉栓完了
の状態では、係止部材９は、環状突起１４の下方に係止
可能な姿勢に弾性復帰する（図１に示す状態）。

【００２７】ここで、容器口部３に密嵌されるパッキン
４は、開栓に伴ってパッキン天板１５のトップサイドシ
ール部１７がパッキン案内部１０によって持ち上げられ
て、これに伴って中足１６が容器口部３から抜け出すの
であって、パッキン４の持ち上げの開始がブリッジ７の
切断後に成されるように、係止部材９または／およびパ
ッキン案内部１０の位置を特定している。

【００２８】即ち、開栓に際して、キャップＣを開栓方
向に回転させると、先ずは係止部材９が容器口部３の環
状突起１４に当接して、ブリッジ７が切断され、その切
断後に、パッキン天板１５のトップサイドシール部１７
ひいてはパッキン４がパッキン案内部１０によって持ち
上げられ、かつ、更なるパッキン４の持ち上げに伴っ
て、パッキン中足１６の気密機能部ｂが、やがては容器
口部３の気密機能を逸するのであって、ここで始めてパ
ッキン４による容器２の気密が解除されるように構成し
ているのである。

【００２９】より詳しくは、ブリッジ７が切断された後
にパッキン４が持ち上がっても、中足１６の気密機能部
ｂが容器口部３の気密機能を逸するまでの距離分だけ、
パッキン４が持ち上がらない限りは、容器２の気密漏れ
が生じないのであって、気密機能を逸するまでの距離を
調整することによって、ブリッジ７の切断後から気密解
除までの時間をコントロールすることができる。

【００３０】上記の構成より、ブリッジ７が切断されな
い限りは容器２の気密が確実に保持されることから、ブ
リッジ７の切断を伴わない例えば悪戯や不注意によるキ
ャップの僅かな開栓（所謂ちょい回し）によるガス漏れ
や外気の吸い込み、或いは内容物の漏れ出しは確実に防
止されることになる。

【００３１】ここで、本発明によるピルファープルーフ
キャップＣでは、シェル１の天板５の上面に、例えばフ
レーム処理やコロナ放電の処理を施して、印刷インキの
所謂のりを良化させた上で、このシェル天板５の上面
に、メーカー名や商品名、その他シンボルマークなどの
印刷を施し、この後に、シェル天板５の上面に合成樹脂
材料による透明のオーバーコート１８を施している。

【００３２】具体的には、この実施の形態では、シェル
１の天板５の上面に、ＵＶ硬化インキを用いて印刷を施
した後に、この天板５の上面に、感光性樹脂を用いて透
明のオーバーコート１８を施して、印刷物を見やすくす
るとともに、印刷剥がれや印刷物の傷つきを生じ難くし
ているのであり、そして、この実施の形態では、シェル
１の天板５上面のみに透明のオーバーコート１８を施し
ているが、スカート壁６を含めて、更には、ＴＥバンド
８を含めて、シェル１外面の全面に透明のオーバーコー
ト１８を施してもよいのである。

【００３３】上記の感光性樹脂によるオーバーコート１
８では、その表面の摩擦抵抗が、ポリプロピレン系の樹
脂製によるシェル１の天板上面の摩擦抵抗よりも小さい
ことから、シェル天板５の滑りが良くなり、従って、例
えばシューターによってシェル１の天板５側を支持した
状態で、キャップＣを自動装着機に送り込む上で、シュ
ーターでのキャップＣの詰まりが生じ難くなり、これに
よって自動装着機へのキャップＣの高速送りが可能にな
る。

【００３４】尚、ピルファープルーフキャップＣとし
て、これのブリッジ７の切断後に、パッキン案内部１０
をパッキン４のトップサイドシール部１７に当接させる
ように構成しているが、パッキン４にトップサイドシー
ル部１７を備えないで、パッキン案内部１０をパッキン
４の天板１５に当接させるように構成してもよいのであ
る。

【００３５】また、トップサイドシール部１７を備える
か否かのいずれの構成をとる場合であっても、ブリッジ
７の切断前に、パッキン案内部１０をトップサイドシー
ル部１７または天板１５に当接させるように構成しても
よいのであり、或いは、ブリッジ７の切断と同時に、パ
ッキン案内部１０をトップサイドシール部１７または天
板１５に当接させるように構成してもよいのである。

【００３６】更に、中足１６を備えない密封用パッキン
４をシェル１内に挿入し、このピルファープルーフキャ
ップＣを対象にして、更には、天板とスカート壁とを備
えるだけのキャップを対象にして、これのシェル天板５
の上面に印刷を施した後に、この天板上面に透明のオー
バーコート１８を施す実施の形態をとってもよいのであ
る。

【００３７】また、天板１５の上面に印刷を施すことに
代えて、ラベルやシールの貼付やスタンプの押印などに
よる表示の付与を選択してもよいのである。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、第１の発明による
キャップでは、天板上面の表示物を覆うようにオーバー
コートを施して、表示物の傷つきや表示剥がれを生じ難
くしたことで、見栄えの点で商品価値を損ねることが確
実に防止されるようになり、しかも、オーバーコートが
透明であることから、表示物を見え難くすることもない
のである。

【００３９】これに加えて、第２の発明によるキャップ
では、オーバーコートの表面の摩擦抵抗を小に設定し
て、キャップの滑りを良くしたことで、例えばキャップ
を自動装着機に送り込む上で、シューターでのキャップ
の詰まりが生じ難くなり、因みに、オーバーコートを施
していないキャップでは、１分間当たりで８００個程度
が送りの限界であったのに対して、本発明によるキャッ
プでは、１分間当たりで１０００個を越えても、シュー
ターでのキャップの詰まりが生じないとのテスト結果を
得ており、キャップの高速送りが可能になることが判明
している。

【図面の簡単な説明】

【図１】主要部を取り出して拡大図示したピルファープ
ルーフキャップの断面図である。

【図２】パッキンの一部を取り出して拡大図示したピル
ファープルーフキャップの分解断面図である。

【符号の説明】

１…シェル、３…容器口部、４…密封用パッキン、５…
天板、６…スカート壁、７…ブリッジ、８…ＴＥバン
ド、１８…オーバーコート。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3E084 AA12 AB01 BA01 BA08 CA01 CC03 CC05 DA01 DB02 DB12 DC03 DC05 EA04 EC03 FA09 FB01 FC04 GA01 GA08 GB01 HA02 HB05 HC03 HD01 HD04 JA19

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天板とスカート壁とからなる合成樹脂製
   のキャップであって、天板上面に表示を付与した後に、
   天板上面に合成樹脂材料による透明のオーバーコートを
   施してなることを特徴とするキャップ。
2. 【請求項２】 天板とスカート壁およびスカート壁の下
   端に複数のブリッジを介して連結されたタンパーエビデ
   ンスバンドを備えたシェルと、このシェル内に挿入され
   て容器の口部を密封するパッキンとからなる合成樹脂製
   のキャップであって、シェルの天板上面に表示を付与し
   た後に、天板上面に合成樹脂材料による透明のオーバー
   コートを施してなることを特徴とするキャップ。
3. 【請求項３】 オーバーコートの表面の摩擦抵抗を天板
   上面の摩擦抵抗よりも小に設定してなる請求項１または
   ２に記載されたキャップ。