JP2003140712A - 水処理プラント制御システム - Google Patents

水処理プラント制御システム

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JP2003140712A JP2001341817A JP2001341817A JP2003140712A JP 2003140712 A JP2003140712 A JP 2003140712A JP 2001341817 A JP2001341817 A JP 2001341817A JP 2001341817 A JP2001341817 A JP 2001341817A JP 2003140712 A JP2003140712 A JP 2003140712A
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中 理 山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理水の水処理を行う水処理プラントの運
転を適切かつ安定に制御して、信頼性の高い水処理プラ
ントの運転を可能とする水処理プラント制御システムを
提供する。 【解決手段】 水処理プラント制御システム1は、水処
理プラント2と、水処理プラント2の有する複数の水処
理装置3を制御する下位レベル制御系4と、下位レベル
制御系4の有する複数の下位レベル制御装置5を制御す
る上位レベル制御系6とを備えている。各下位レベル制
御装置5は、1入力1出力のフィードバック制御方式に
よって水処理装置3を制御している。上位レベル制御系
6は上位レベル制御装置8、10、11とを有し、上位
レベル制御系6にはデータベース9および運転状態報知
手段12が接続されている。水処理プラント2と上位レ
ベル制御系6との間には計測装置7が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理水の水処理
を行う水処理プラントを制御する水処理プラント制御シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、下水や上水等の被処理水は、嫌
気処理プロセス、無酸素処理プロセス、好気(AO)
処理プロセス等の様々な処理プロセスを経て、浄化等の
水処理が行われている。このとき、信頼性の高いプロセ
ス制御によって各水処理プロセスを行うためには、各処
理プロセスを実行する水処理プラントの入出力関係を物
理化学的あるいは統計的に数理モデル化して、計測信号
や操作出力の選定、安定性の解析、水処理プラントの制
御装置に対するパラメータの決定等を適切に実行させる
ことができる水処理プラント制御システムを設計するこ
とが求められている。
【0003】しかしながら、各処理プロセスでは複雑な
処理が必要とされ、例えば、下水中の有機物を標準活性
汚泥法を用いて除去する処理プロセスをプロセス制御に
よって行う場合には、被制御量である有機物量(BOD
やCOD等)をプロセスモデリングに基づいて直接制御
することは非常に複雑となるため難しい。また、水処理
プラント制御システムに用いられる計測機器の性能面か
らも、このような直接制御を行うことは非常に難しいの
で、実際にこのような制御方法が用いられることは稀で
あった。
【0004】このため、水処理プラント制御システム
は、各水処理プラントで行われる曝気槽への酸素供給や
汚泥返送等といった部分プロセス(サブプロセス)に対
して、PID制御に代表される1入力1出力のフィード
バック制御を行う制御系を採用して、DO(溶存酸素濃
度)制御やMLSS(混合液浮遊物質濃度)制御等を行
うことにより有機物量(BODやCOD等)を間接的に
制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、下水や
上水等の被処理水の水処理には非常に複雑な処理プロセ
スが必要とされ、各処理プロセスでは、様々な生物学的
要因や化学的要因が複雑に絡まり合って水処理に影響を
及ぼしている。
【0006】このため、水処理プラント制御システム
は、被処理水の状態計測量や水処理プラント制御システ
ムを構成する各装置の操作量といった複数の変量を考慮
する必要があるため本質的に多入力多出力制御となる。
また、各処理プロセスにおいて、どの変量がどの程度影
響を与えるのかということを特定して水処理プロセスを
制御する必要がある。
【0007】しかしながら、各変量が各処理プロセスに
与える影響を正確に特定することは非常に難しく、無駄
のない高精度な水処理プラント制御システムのモデルを
構築することは極めて困難である。
【0008】また、水処理プラント制御システムの運転
は、運転員の経験に基づいて行われていたり、初期運転
時から同一の運転内容で行われていたりする場合もあ
る。このような水処理プラント制御システムでは、気象
状況が変化したり被処理水の流入量負荷が変動した場合
に十分に対応することができず、水処理プラントで水処
理された被処理水の水質が劣化する場合もある。
【0009】また、最近では、水質環境基準の厳格化、
湖沼等の閉鎖性水域における富栄養化の防止、処理水の
再利用化等の要請が高まっており、例えば下水処理にお
いては、従来から行われている活性汚泥法による有機物
の除去に加えて、いわゆる高度下水処理技術を利用する
ことにより被処理水中の窒素やリンを除去することも強
く求められている。このため、このような高度下水処理
技術を利用した複雑な処理プロセスを実行することがで
きる水処理プラント制御システムが求められている。
【0010】このような高度下水処理技術を応用した水
処理プロセスに関して、最近、生物学的かつ物理化学的
な理論モデルである活性汚泥モデルNO.1〜3(AS
M1〜3)がIWA(International Water Associatio
n)により提案され、高度下水処理技術を応用した処理
プロセスを採用する水処理プラント制御システムの制御
系設計の指針が示された。
【0011】しかしながら、このASM1〜3は、十数
個の変量と、数十個のパラメータを含んでいること等か
ら、実際の処理プロセスへの合わせ込みとそれに基づく
水処理プラント制御システムの設計が、相当に複雑で困
難なものとなる。
【0012】一方、このような複雑な処理プロセスをブ
ラックボックス化して、各処理プロセスにおける入出力
データ等に関する統計情報からモデルを構築するという
プロセスモデリングを利用したアプローチ方法も考えら
れる。しかしながら、このようなアプローチ方法を採用
する場合であっても、処理プロセスの複雑さは、実際に
処理プロセスを制御する際に注目する変数の選定やモデ
ルの検証を困難にしてしまうことがある。また、プロセ
スモデリングを利用したアプローチ方法を用いて水処理
プラント制御システムを構築した場合には、各処理プロ
セスに対する入出力データ等の統計情報が線形かつ定常
なモデルで与えられることが一般的である。これに対
し、実際の処理プロセスに対する入出力情報等の統計情
報は必ずしも線形かつ定常なものではなく、例えば、大
規模降雨時等のように通常と異なる運転状態の際には、
各処理プロセスに対する入出力データ等の統計情報は非
線形で非定常なものとなる。このため、実際の被処理水
に適合した処理プロセスを実行させることが難しい。
【0013】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、被処理水の水処理を行う水処理プラントの
運転を適切かつ安定に制御して、信頼性の高い水処理プ
ラントの運転を可能とする水処理プラント制御システム
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも1
つの水処理装置を有する水処理プラントと、水処理装置
の運転を制御する下位レベル制御装置を有する下位レベ
ル制御系と、下位レベル制御装置の制御量である下位レ
ベル制御値を演算して各下位レベル制御装置を制御する
上位レベル制御装置を有する上位レベル制御系と、水処
理プラントで水処理された現在の被処理水の状態データ
を計測し、上位レベル制御系の上位レベル制御装置に計
測した状態データを送る計測装置と、上位レベル制御装
置とアクセス自在に設けられ、過去の被処理水の状態デ
ータおよび過去の下位レベル制御値を含む過去のプラン
ト運転情報を保持するデータベースと、を備え、上位レ
ベル制御系の上位レベル制御装置は、計測装置から送ら
れてくる現在の被処理水の状態データと、上位レベル制
御装置から下位レベル制御装置に送られる現在の下位レ
ベル制御値と、データベースに保持されている過去のプ
ラント運転情報と、を統計的に処理して、現在および過
去の水処理プラントの運転状態を示す統計データを作成
する統計データ作成機能と、統計データに基づいて現在
の水処理プラントの運転状態を識別する運転状態識別機
能と、統計データと運転状態識別機能により識別された
現在の水処理プラントの運転状態とに基づいて、新たな
下位レベル制御値を演算する制御量演算機能と、を有す
ることを特徴とする水処理プラント制御システムであ
る。
【0015】本発明によれば、上位レベル制御系におい
て、現在の被処理水の状態データと現在の下位レベル制
御値と過去のプラント運転情報とを統計的に処理した統
計データを考慮して下位レベル制御装置を制御してお
り、下位レベル制御系において、水処理プラントの水処
理装置を制御している。
【0016】好ましくは、上位レベル制御系の統計デー
タ作成機能は、現在の被処理水の状態データと現在の下
位レベル制御値とからなる現在の水処理プラントの運転
状態、およびデータベースに保持されている水処理プラ
ントの過去のプラント運転情報、を、計測データ空間で
表したプラント運転データを作成するプラント運転デー
タ作成機能と、プラント運転データに主成分分析を行っ
て、計測データ空間よりも次元数の少ない主成分データ
空間で表される統計データを作成する主成分データ作成
機能と、を有する。
【0017】好ましくは、上位レベル制御系の運転状態
識別機能は、統計データに対してファジィ・c−mea
ns・クラスタリングを行って、現在の水処理プラント
の運転状態が、各プラント状態要素に対してどの程度帰
属しているかを表す状態帰属度を求めることにより、現
在の水処理プラントの運転状態を識別する。
【0018】好ましくは、上位レベル制御系の運転状態
識別機能は、メンバシップ関数を用いて、現在の水処理
プラントの運転状態の状態帰属度を求める。
【0019】好ましくは、上位レベル制御系の制御量演
算機能は、運転状態識別機能で求められた現在の水処理
プラントの運転状態に関する各プラント状態要素への状
態帰属度に基づいて重み付けをして、新たな下位レベル
制御値を演算する。
【0020】好ましくは、上位レベル制御系の運転状態
識別機能は、主成分データ空間で表される統計データに
対応するサンプルと、主成分データ空間で表される各プ
ラント状態要素に対応するクラスタの重心と、の関係を
求めて、現在の水処理プラントの運転状態の状態帰属度
を求めており、上位レベル制御系の制御量演算機能は、
運転状態識別機能において求められた主成分データ空間
で表されるクラスタの重心を計測データ空間に線形変換
して再変換運転状態データを求め、この再変換運転状態
データに基づいて上位レベル制御装置による下位レベル
制御装置の制御量を演算する。
【0021】好ましくは、上位レベル制御系の運転デー
タ加工機能は、プラント運転データを主成分変換行列を
用いて統計データを作成し、上位レベル制御系の制御量
演算機能は、主成分変換行列の転置行列を用いて、主成
分データ空間で表されるクラスタの重心を計測データ空
間に線形変換して再変換運転状態データを求める。
【0022】好ましくは、下位レベル制御系の下位レベ
ル制御装置は、各水処理プラントの運転を1入力1出力
のフィードバック制御方式によって制御する。
【0023】好ましくは、各水処理プラントの現在の運
転状態を運転員に知らせる運転状態報知手段をさらに備
え、運転状態報知手段は、上位レベル制御系の統計デー
タ作成機能、運転状態識別機能、および制御量演算機能
のうち少なくともいずれか一つの機能に基づいて、現在
の水処理プラント制御システムの状態を運転員に知らせ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0025】図1乃至図4は、本発明による水処理プラ
ント制御システムの一実施の形態を示す図である。この
うち、図1は本発明の水処理プラント制御システム全体
を示す構成図であり、図2は水処理プラント制御システ
ムの上位レベル制御系における各機能を示す機能ブロッ
ク図およびデータフローを示す図である。また、図3は
上位レベル制御系で行われるファジィ・c−means
・クラスタリングの概念図であり、図4は下位レベル制
御装置を制御する下位レベル制御値の演算の流れ図であ
る。
【0026】以下、嫌気・無酸素・好気的手段によって
下水を浄化する高度下水処理を行う水処理プラントを有
する水処理プラント制御システムについて説明するが、
水処理プラントで行われる処理プロセスは高度下水処理
に限定されるものではなく、様々な水処理を行う各種の
処理プロセスに応用することができる。また、下水の他
に上水等の他の被処理水の水処理の場合にも同様に適用
することができる。
【0027】まず、本発明の水処理プラント制御システ
ムの全体の構成について概説する。
【0028】図1に示すように、水処理プラント制御シ
ステム1は、嫌気・無酸素・好気的手段によって高度下
水処理を行う水処理プラント2と、水処理プラント2の
有する複数の水処理装置3を制御する下位レベル制御系
4と、下位レベル制御系4の有する複数の下位レベル制
御装置5をオンラインによって制御する上位レベル制御
系6とを備えている。
【0029】水処理プラント2の有する各水処理装置3
は、水処理プラント2で行われる高度下水処理プロセス
のサブプロセスを行うものであって、各サブプロセス
は、例えば曝気風量、汚泥返送率、余剰汚泥引抜量、汚
水流量等の1入力1出力方式もしくは小数個の入出力を
有するものである。
【0030】下位レベル制御系4の有する各下位レベル
制御装置5は、水処理プラント2の各水処理装置3に対
して1対1の関係で割り当てられており、それぞれ、P
ID制御方法によって対応する水処理装置3を直接制御
している。なお、PID制御方法は、1入力1出力のフ
ィードバック制御方式を採用している。
【0031】水処理プラント2と上位レベル制御系6と
の間には計測装置7が設けられており、計測装置7は、
水処理プラント2で高度下水処理が施された下水の状態
データを計測し、この計測した状態データを上位レベル
制御系6へ送るようになっている。なお、状態データ
は、例えば、化学的酸素要求量(COD)、生物学酸素
要求量(BOD)、アンモニア濃度(NH)、リン酸
濃度(PO)、混合液浮遊物質濃度(MLSS)、溶
存酸素濃度(DO)、pH、酸化還元電位(ORP)、
といった下水の各種状態を示す様々なデータが考えられ
る。このため、下水に関するこれらの状態データを計測
する計測装置7の設置台数は、1台に限定されるもので
はなく複数台設置される場合もある。
【0032】上位レベル制御系6は、計測装置7から送
られてくる状態データを受け入れる入力装置8と、計測
装置7から送られてくる下水の状態データを入力装置8
を介して受け入れる演算装置10と、演算装置10で演
算した下位レベル制御値を下位レベル制御系4の各下位
レベル制御装置5に送る出力装置11と、を有してい
る。なお、入力装置8と演算装置10と出力装置11と
により、上位レベル制御装置が構成されている。
【0033】また、上位レベル制御系の演算装置10に
は、過去のプラント運転情報を保持するデータベース9
が接続され、演算装置10は、データベース9に保持さ
れた過去のプラント運転情報にアクセス自在に設けられ
ている。データベース9に保持された過去のプラント運
転情報は、過去の水処理プラント2の運転の際におけ
る、下位レベル制御装置5に送られた下位レベル制御値
と水処理プラント2での高度下水処理を経た下水の被制
御量を含む状態データとから構成されるl項目の運転デ
ータ要素を時系列毎に収集したものである。なお、計測
装置7が計測した現在の下水の状態データおよび各下位
レベル制御装置5に現在送られている下位レベル制御値
は、データベース9に記憶されるようになっている。
【0034】演算装置10は、データベース9に保持さ
れている過去のプラント運転情報と、計測装置7から送
られてくる現在の下水の状態データおよび上位レベル制
御系6から各下位レベル制御装置5に現在送られている
下位レベル制御値を含む現在のプラント運転情報とに基
づいて、後述の演算プロセスを実行することにより、各
下位レベル制御装置5に送られる新たな下位レベル制御
値を演算するようになっている。演算装置10で演算さ
れた新たな下位レベル制御値は、出力装置11を介して
各下位レベル制御装置5に送られる。なお、このような
演算装置10には、汎用計算機やマイクロコンピュータ
を利用することができる。
【0035】また、上位レベル制御系6の演算装置10
には表示装置12(運転状態報知手段)が接続されてお
り、この表示装置12は、演算装置10において新たな
下位レベル制御値を求める際の一連の演算プロセス(統
計データ作成機能、運転状態識別機能、制御量演算機
能)に基づいて、現在の下水の状態データや現在の下位
レベル制御値や新たな下位レベル制御値といった水処理
プラント制御システム1に関する様々な運転情報を、水
処理プラント制御システム1の運転員に知らせることが
できるようになっている。
【0036】次に、図2乃至図4を用いて、上位レベル
制御系6の演算装置10が行う下位レベル制御値の演算
プロセスについて詳説する。
【0037】演算装置10では、現在および過去のプラ
ント運転情報から新たな下位レベル制御値を演算してお
り、具体的には以下のようにして演算している。
【0038】すなわち、図2に示すように、演算装置1
0は、まず、データベース9に時系列毎に保持された過
去の被処理水の状態データおよび下位レベル制御値から
なるプラント運転情報と、計測装置7から送られてくる
現在の下水の状態データおよび上位レベル制御系6から
各下位レベル制御装置5に現在送られている下位レベル
制御値から求められる現在のプラント運転情報とを統計
的に処理して、現在および過去の水処理プラント2の運
転の状態を示すプラント運転データを作成する(S1、
S2)(プラント運転データ作成機能)。
【0039】このプラント運転データは、状態データや
下位レベル制御値といったl項目のプラント運転データ
要素からなるプラント運転データ情報が時系列毎に収集
されて形成されており、具体的には、データベース9に
保持されているk−1個の過去のプラント運転データ情
報と1個の現在のプラント運転データ情報とから構成さ
れる計k個のプラント運転データ情報を有している。
【0040】次に、演算装置10は、l項目のプラント
運転データ要素、k個のプラント運転データ情報からな
るプラント運転データに対して主成分分析を行い、l項
目よりも少ないn項目(l>n)の主成分データ要素、
k個の主成分情報からなる統計データに加工する(S
3、S4)(主成分データ作成機能)。
【0041】これにより、プラント運転データは、プラ
ント運転データ要素に比べて項目数が少ないn項目の主
成分データ要素からなる統計データに加工されることと
なり、l次元の計測データ空間で表されていたプラント
運転データから、n次元の主成分データ空間で表される
統計データが作成される。このように、統計データは、
プラント運転データに比べて小次元数で表すことができ
るので、その後の演算処理の負荷が低減される。以下、
演算装置10が行う主成分分析についてさらに詳述す
る。
【0042】主成分分析とは、多変量解析の一手法であ
り、多変量データの有する情報を小数個の総合的特性値
に要約するものである。本発明では、主成分分析によっ
てl次元のプラント運転データがn次元の統計データに
加工されることとなる(l>n)。
【0043】すなわち、演算装置10は、まず、l項目
のプラント運転データ要素に関するk個のプラント運転
データ情報を有するプラント運転データを、k*lの行
列Xで表す。これにより、行列Xの行ベクトルx(i
=1,・・・,k)は、時系列毎のプラント運転データ
情報を表すこととなり、例えば、xは現在のプラント
運転データ情報を表しており、xは現在からq−1ス
テップ前の過去のプラント運転データ情報を表している
(1≦q≦k)また、x=[xi,1,・・・,x
i,s,・・・,xi,l](s≦l)において、x
i,1,・・・,xi, 、は、下位レベル制御系4の各
下位レベル制御装置5を制御する下位レベル制御値を表
している。
【0044】次に、k*lの行列Xは、l*nの行列A
(主成分変換行列)を用いて以下の式(1)のようにし
てk*nの行列Yに線形写像される。
【0045】Y=XA (1) この時、行列Aは、プラント運転データの相関行列に関
する固有ベクトルa(j=1,・・・,l)のうち、
,・・・,a、を列ベクトルとして並べたものと
定義する。なお、各固有ベクトルa(j=1,・・
・,l)に対応する固有値λ(j=1,・・・,l)
は、λ≧λ≧・・・≧λ≧・・・≧λ、となっ
ているものとする。
【0046】演算装置10は、上述の式(1)によって
k*nの行列Yを得ることにより、l項目のプラント運
転データ要素についてk個のプラント運転データ情報を
有するプラント運転データを、n項目(l>n)の主成
分データ要素についてk個の主成分情報を有する統計デ
ータに加工する。
【0047】なお、プラント運転データを統計データに
加工する際に生じる情報損失量は、以下の式(2)で表
される累積寄与率pで評価され、p≧0.8となるよう
に主成分データ要素の次数nを選択することが好まし
い。
【0048】
【数1】 次に、演算装置10は、図2に示すように、統計データ
に対してファジィ・c−means・クラスタリングを
行って、現在の水処理プラント2の運転状態が、予め想
定されている各プラント状態要素に対してどの程度帰属
しているかを表す状態帰属度を求める(S5、S6)。
ここでプラント状態要素とは、水処理プラント2の運転
に影響を及ぼす様々な外部環境を示すものである。例え
ば、通常の晴天時というプラント状態要素(C)、通
常の雨天時というプラント状態要素(C)、大雨時と
いうプラント状態要素(C)、初期降雨時の高SS負
荷状態というプラント状態要素(C)、長時間降雨の
際の汚水の希釈状態というプラント状態要素等、様々な
プラント状態要素が考えられる。以下、統計データに対
して行われるファジィ・c−means・クラスタリン
グについて詳述する。
【0049】一般に、ファジィ・c−means・クラ
スタリングとは、複数のサンプルを似たもの同士の集合
(クラスタ)に分類するクラスタリングという分類手法
の一種を意味する。本発明において、サンプルは、統計
データから導き出される現在および過去の各時における
水処理プラント2の運転状態に対応し、クラスタはプラ
ント状態要素に対応する。また、図3の概念図に示され
るように、ファジィ・c−means・クラスタリング
における各クラスタは互いに排他的な関係を有するもの
ではなく、1つのサンプルが複数個(c個)のクラスタ
に属することを許容しており、サンプルの各クラスタへ
の帰属の程度(状態帰属度)はメンバシップ関数を用い
て表すことができる。なお、このメンバシップ関数は、
通常、非線形的なものとなる。
【0050】この時、サンプルy(i=1,・・・,
k)に関するクラスタC(j=1,・・・,c)への
帰属の程度を表すメンバシップ関数μi,j(0≦μi,j
1)は、重み付き偏差平方和J(c,m)の最小化問題
として求められる以下の式(3)のように定式化するこ
とができる。
【0051】
【数2】 ここで、式(3)におけるm(m>1)は一種のパラメ
ータであり、mが1に近づく程、クラスタリングとして
排他的な側面が強くなり、各クラスタは相互に排他的な
存在となる。他方、mが大きくなるほどファジィ・クラ
スタリングとしての側面が強くなり、各クラスタ相互間
の排他性は弱まる。
【0052】式(3)において、di,jは、図3における
サンプルy(i=1,・・・,k)と各クラスタの重
心v(j=1,・・・,c)との距離関係を意味して
おり、以下の式(4)で定義することができる。また、
クラスタの重心v(j=1,・・・,c)は以下の式
(5)で定義することができる。
【0053】
【数3】 また、帰属度の正規化のために付加した以下に示す式
(6)という条件の下で、式(3)を局所的に最小化す
るための必要条件は式(7)で与えられる。
【0054】
【数4】 従って、式(3)で表される最小化問題を式(4)〜
(7)を用いた繰り返し法等を利用して解くことによ
り、メンバシップ関数μi,j(0≦μi,j≦1)を適切に
求めることができる。
【0055】上述のようにして、演算装置10は、統計
データに対してファジィ・c−means・クラスタリ
ングを行い、現在および過去の各時における水処理プラ
ント2の運転状態(サンプル)が、各プラント状態要素
(クラスタ)C、C、・・・、Cに、どの程度帰
属しているかを示すメンバシップ関数μi,j(0≦μi ,j
≦1)を求めることができ、特に現在の水処理プラント
2の運転状態の各プラント状態要素への帰属度はμ
[μ1,1,・・・,μ1,c]で表すことができる。これ
により、現在の水処理プラント2の運転状態の扱いがさ
らに容易となる。
【0056】次に、演算装置10は、図2に示すよう
に、現在の水処理プラント2の運転状態の各プラント状
態要素への帰属度を示すメンバシップ関数μに基づい
て、下位レベル制御系4の各下位レベル制御装置5を制
御するための下位レベル制御値を演算する(S7、S
8)。以下、メンバシップ関数μに基づいて下位レベ
ル制御値を演算する方法について詳述する。
【0057】すなわち、図4に示すように、演算装置1
0は、まず、以下の式(8)に示すように、n個の各主
成分データ要素について前述のファジィ・c−mean
s・クラスタリングを行う際に求めたクラスタの重心v
(j=1,・・・,c)を行ベクトルとして並べたc
*nの行列Vと、式(1)で用いた行列Aの転置行列で
あるn*lの行列A’とによって、c*lの行列Zを求
める(T1、T2)。
【0058】Z=VA’ (8) 行列Zは、n次元の主成分データ空間で表されている行
列Vをl次元の計測データ空間で表したものである。こ
のようにして得られた行列Zは、主成分データ空間で表
される統計データを示す行列Yを計測データ空間で表し
たものと、近似的にみなすことができる(再変換運転状
態データ)。
【0059】ところで、式(8)によって得られた行列
Zの行ベクトルz=[zj,1,・・・・・,
j,l](1≦j≦c)のうち下位レベル制御値に関
する要素を抽出した抽出運転データ情報s=[z
j,1,・・・・・,zj,s](s<l)は、対応する
プラント状態要素において各下位レベル制御装置5に与
えるべき下位レベル制御値とみなすことができる(T
3)。
【0060】この時、演算装置10は、以下の式(9)
に示すように、上述の各プラント状態要素におけるそれ
ぞれの抽出運転データ情報s(1≦j≦c)を行ベク
トルとして並べたc*sの行列S(抽出運転データ)に
対して、現在の水処理プラント2の運転状態の各プラン
ト状態要素への帰属度を表すメンバシップ関数μによ
って重み付けしたsを求めて、このsを各下位レベ
ル制御装置5に与える新たな下位レベル制御値とするこ
とができる(T4)。
【0061】
【数5】 このようにして求められた下位レベル制御装置5に与え
る新たな下位レベル制御値を示すsは、過去および現
在のプラント運転情報から統計的に決定されることとな
る。
【0062】なお、式(8)によって求められる行列Z
は、厳密な意味では、主成分データ空間で表されている
行列Yを計測データ空間に逆写像したものではない。す
なわち、厳密な意味で行列Yを計測データ空間に逆写像
した行列Xは、以下の式(10)で示され、行列Yを、
行列A’と主成分打ち切りの際に生じる誤差を示す行列
Eとによって逆変換したもので表すことができる。
【0063】X=YA’+E (10) しかしながら、計測データ空間上のデータz’を主成分
分析するとクラスタの重心v(j=1,・・・,c)
を表す主成分データ空間上のデータとなるデータz’の
存在を仮定した場合には、式(8)により得られる行列
Zをこの元データと便宜上見なすこととしている。
【0064】上述のように、演算装置10は、過去およ
び現在のプラント運転情報(状態データ、下位レベル制
御値)とに基づいて、上述の一連の演算プロセスを実行
することにより、各下位レベル制御装置5に送られる新
たな下位レベル制御値を演算するようになっている。な
お、図2に示すS1〜S4によって運転データ加工機能
が構成され、S5〜S6によって運転状態識別機能が構
成され、S7〜S9によって制御量演算機能が構成され
ることとなる。
【0065】次に、このような構成からなる本実施の形
態の作用について説明する。
【0066】本発明による作用の概略は、上位レベル制
御系6において、水処理プラント2の運転を制御する際
の基本となる情報である過去および現在のプラント運転
情報を演算しやすいように加工した後、現在の水処理プ
ラント2の運転状態を自動的に識別し、これに基づいて
下位レベル制御系4の下位レベル制御装置5を制御する
下位レベル制御値を演算する。そして、下位レベル制御
系4において、上位レベル制御系6からの下位レベル制
御値に基づいて水処理プラント2の各水処理装置3を安
定に制御し、各水処理装置3において高度下水処理のサ
ブプロセスを確実に実行させる。
【0067】以下、本発明の作用について詳述する。
【0068】図1に示すように、水処理プラント2にお
いて高度下水処理された現在の下水は、計測装置7によ
って状態データが計測される。計測装置7により計測さ
れた現在の下水の状態データは、計測装置7から、上位
レベル制御系6の入力装置8を介して演算装置10に送
られる。
【0069】演算装置10は、データベース9に保持さ
れた過去のプラント運転情報と、計測装置7から送られ
てきた現在の下水の状態データと、演算装置10から出
力装置11を介して各下位レベル制御装置5に現在送ら
れている下位レベル制御値と、に基づいて、各下位レベ
ル制御装置5に送る新たな下位レベル制御値を演算す
る。
【0070】この時、演算装置10では、図2乃至図4
に示すように、上述した主成分分析およびファジィ・c
−means・クラスタリングが用いた一連の演算プロ
セスが利用されて、各下位レベル制御装置5に送る新た
な下位レベル制御値が演算されている(S1〜S9)。
【0071】すなわち、データベース9に保持された過
去のプラント運転情報と、計測装置7から送られてきた
現在の下水の状態データと、演算装置10から出力装置
11を介して各下位レベル制御装置5に現在送られてい
る下位レベル制御値とが、統計処理されてプラント運転
データが作成される(S1、S2)。そして、プラント
運転データに対して主成分分析を行うことにより統計デ
ータを作成して(S3、S4)、この統計データに対し
てファジィ・cーmeans・クラスタリングを行うこ
とにより現在の水処理プラント2の運転状態を複数のプ
ラント状態要素への状態帰属度を示すメンバシップ関数
μを求める(S5、S6)。そして、各プラント状態
要素への帰属度を示すメンバシップ関数μに基づい
て、下位レベル制御系4の下位レベル制御装置5を制御
するための下位レベル制御値を演算する(S7、S
8)。
【0072】このようにして、演算装置10で演算され
た各下位レベル制御装置5に送られる新たな下位レベル
制御値は、出力装置11を介して下位レベル制御系4の
各下位レベル制御装置5に送られる(S9)。
【0073】また、この間、表示装置12では、演算装
置10における一連の演算プロセスに基づいて、現在の
水処理プラント2の運転状態や新たな下位レベル制御値
といった水処理プラント制御システム1に関する様々な
運転情報が示される。これにより、水処理プラント制御
システム1の運転員は、水処理プラント制御システム1
に関する様々な運転情報を容易にリアルタイムで知るこ
とができ、異常発生時においても迅速に対応することが
できる。
【0074】各下位レベル制御装置5は、演算装置10
から送られてきた下位レベル制御値に基づいて、水処理
プラント2の各水処理装置3のうち対応する水処理装置
3をPID制御方法により直接制御する。
【0075】このとき、下水に高度下水処理を施すため
には、有機物の除去、脱窒、脱リンといった複雑な浄化
処理プロセスが必要とされる。しかし、これらの浄化処
理プロセスに対して直接的な指標となるCOD、BO
D、窒素量、およびリン量を被制御量として、各水処理
装置3を制御することは非常に難しい。このため、下位
レベル制御装置5がPID制御方法により水処理装置3
を制御する際には、各水処理装置3で行われる各サブプ
ロセスの被制御量を予め設定されている値に追従させる
ようにして制御する。
【0076】このようにして、水処理プラント制御シス
テム1は水処理プラント2を適切に運転制御して、水処
理プラント2は下水の性状に適合した高度下水処理を行
う。
【0077】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、現在のプラント運転情報とデータベース9に保持さ
れた過去のプラント運転情報とから、統計的に作成され
た入出力モデル(プラント運転データ、統計データ)に
基づいて、水処理プラント2の各水処理装置3の運転は
制御される。これにより、下水の高度下水処理を簡潔か
つ迅速に行うとともに、信頼性の高い高度下水処理を行
うことができる。特に、統計的に作成された入出力モデ
ルを採用しているので、ASM1〜3のような理論モデ
ルに比べて、水処理プラント2の制御に伴うパラメータ
の合わせ込み等の手間が低減され、水処理プラント制御
システム1の構成を簡潔なものとすることができる。
【0078】また、水処理プラント2を制御する制御系
を上位レベル制御系6と下位レベル制御系4とに分け
て、上位レベル制御系6では過去および現在のプラント
運転情報に基づいて統計的な複雑な演算を行うととも
に、下位レベル制御系4では安定した実績のある1入力
1出力のフィードバック制御方式を採るPID制御方法
によって水処理プラント2の各水処理装置3を制御して
いる。これにより、水処理プラント2における高度下水
処理は、現在の下水の性状に十分に適合させることがで
きるとともに、安定した高度下水処理を可能とすること
ができる。
【0079】特に、下位レベル制御装置5の制御量であ
る下位レベル制御値は、上位レベル制御系6において、
過去および現在のプラント運転情報に基づいた統計的な
演算によって決定されている。このため、水処理プラン
ト2では、下水の性状に迅速かつ柔軟に適応した高度下
水処理が可能となっており、例えば、降雨の増減等とい
った非定常な気象状況の変化が生じた場合でも、水処理
プラント2は下水に対して適切な高度下水処理を行うこ
とができる。
【0080】また、下位レベル制御系4では、1入力1
出力のフィードバック制御方法を用いたPID制御方法
を採用することにより、データベース9における過去の
プラント運転情報の蓄積量が不十分で統計的な入出力モ
デルを十分に構築することができない場合や、水処理プ
ラント2の初期運転時において現在のプラント運転情報
を十分に計測することができない場合であっても、水処
理プラント2を安定に運転することができる。
【0081】なお、水処理プラント2の水処理装置3の
制御方法はPID制御方法に限定されるものではなく、
PID制御方法と同様に1入力1出力のフィードバック
制御方式を採る制御方法であれば、本実施の形態におけ
る場合と同様の作用効果を期待することができる。
【0082】さらに、上位レベル制御系6で行われる過
去および現在のプラント運転情報に基づいた統計的な演
算は、主成分分析を用いることにより、水処理プラント
2に関する情報の情報損失量を必要十分な範囲内で抑え
た上で、扱う情報の項目数を減らして、演算負荷を低減
させることができる。また、主成分分析によって、水処
理プラント2の運転に影響を及ぼす統計データの抽出作
業は自動的に行われることとなるため、運転員がこのよ
うな統計データの抽出作業を行う必要がなく、手続の簡
素化が図られる。
【0083】また、水処理プラント2の運転は、様々な
外的要因が複合的に組み合わさって影響されている。こ
のため、現在の水処理プラント2の運転状態を識別する
際に、現在の水処理プラント2の運転状態がどのような
運転状態に属しているかということを決定論的(真か偽
か)によって特定の運転状態に分類する手法では、様々
な外的要因が複合的に組み合わさって水処理プラント2
の運転状態に影響している場合に十分に対応することが
できない。しかしながら、現在の水処理プラント2の運
転状態を、ファジィ・c−means・クラスタリング
によって識別してファジィ測度を用いて表現することに
より、様々な外的要因が複合的に組み合わさって水処理
プラント2の運転状態に影響を及ぼしている場合でも柔
軟に対応することができる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水処理プラントの運転は上位レベル制御系と下位レベル
制御系とが役割を分担して制御しており、上位レベル制
御系において、現在および過去のプラント運転情報を考
慮して下位レベル制御系を制御しており、下位レベル制
御系において、水処理プラントの水処理装置を制御して
いる。これにより、実際の被処理水の性状に柔軟に対応
した適切な水処理プラントの運転が可能となり、安定か
つ信頼性の高い水処理プラントの運転の制御を行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水処理プラント制御システム全体を示
す構成図である。
【図2】水処理プラント制御システムの上位レベル制御
系における各機能を示す機能ブロック図およびデータフ
ローを示す図である。
【図3】水処理プラント制御システムで用いられるファ
ジィ・c−means・クラスタリングの概念図であ
る。
【図4】下位レベル制御装置を制御する下位レベル制御
値の演算の流れ図である。
【符号の説明】
1 水処理プラント制御システム 2 水処理プラント 3 水処理装置 4 下位レベル制御系 5 下位レベル制御装置 6 上位レベル制御系 7 計測装置 8 入力装置 9 データベース 10 演算装置 11 出力装置 12 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長 岩 明 弘 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 初 鹿 行 雄 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番30号 株式会社東芝関西支社内 Fターム(参考) 4D040 BB01 BB51 BB91 5H004 GA08 GA15 GA16 GB08 HA02 HA04 HA16 HB02 HB04 JA13 JB08 JB09 KA80 KB02 KB04 KB06 KC12 KD02 KD24 LA15 LA18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1つの水処理装置を有する水処
    理プラントと、 水処理装置の運転を制御する下位レベル制御装置を有す
    る下位レベル制御系と、 下位レベル制御装置の制御量である下位レベル制御値を
    演算して各下位レベル制御装置を制御する上位レベル制
    御装置を有する上位レベル制御系と、 水処理プラントで水処理された現在の被処理水の状態デ
    ータを計測し、上位レベル制御系の上位レベル制御装置
    に計測した状態データを送る計測装置と、 上位レベル制御装置とアクセス自在に設けられ、過去の
    被処理水の状態データおよび過去の下位レベル制御値を
    含む過去のプラント運転情報を保持するデータベース
    と、を備え、 上位レベル制御系の上位レベル制御装置は、 計測装置から送られてくる現在の被処理水の状態データ
    と、上位レベル制御装置から下位レベル制御装置に送ら
    れる現在の下位レベル制御値と、データベースに保持さ
    れている過去のプラント運転情報と、を統計的に処理し
    て、現在および過去の水処理プラントの運転状態を示す
    統計データを作成する統計データ作成機能と、 統計データに基づいて現在の水処理プラントの運転状態
    を識別する運転状態識別機能と、 統計データと運転状態識別機能により識別された現在の
    水処理プラントの運転状態とに基づいて、新たな下位レ
    ベル制御値を演算する制御量演算機能と、を有すること
    を特徴とする水処理プラント制御システム。
  2. 【請求項2】上位レベル制御系の統計データ作成機能
    は、 現在の被処理水の状態データと現在の下位レベル制御値
    とからなる現在の水処理プラントの運転状態、およびデ
    ータベースに保持されている水処理プラントの過去のプ
    ラント運転情報、を、計測データ空間で表したプラント
    運転データを作成するプラント運転データ作成機能と、 プラント運転データに主成分分析を行って、計測データ
    空間よりも次元数の少ない主成分データ空間で表される
    統計データを作成する主成分データ作成機能と、を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の水処理プラント制御
    システム。
  3. 【請求項3】上位レベル制御系の運転状態識別機能は、
    統計データに対してファジィ・c−means・クラス
    タリングを行って、現在の水処理プラントの運転状態
    が、各プラント状態要素に対してどの程度帰属している
    かを表す状態帰属度を求めることにより、現在の水処理
    プラントの運転状態を識別することを特徴とする請求項
    2に記載の水処理プラント制御システム。
  4. 【請求項4】上位レベル制御系の運転状態識別機能は、
    メンバシップ関数を用いて、現在の水処理プラントの運
    転状態の状態帰属度を求めることを特徴とする請求項3
    記載の水処理プラント制御システム。
  5. 【請求項5】上位レベル制御系の制御量演算機能は、運
    転状態識別機能で求められた現在の水処理プラントの運
    転状態に関する各プラント状態要素への状態帰属度に基
    づいて重み付けをして、新たな下位レベル制御値を演算
    することを特徴とする請求項3または4のうちいずれか
    1項に記載の水処理プラント制御システム。
  6. 【請求項6】上位レベル制御系の運転状態識別機能は、
    主成分データ空間で表される統計データに対応するサン
    プルと、主成分データ空間で表される各プラント状態要
    素に対応するクラスタの重心と、の関係を求めて、現在
    の水処理プラントの運転状態の状態帰属度を求めてお
    り、 上位レベル制御系の制御量演算機能は、運転状態識別機
    能において求められた主成分データ空間で表されるクラ
    スタの重心を計測データ空間に線形変換して再変換運転
    状態データを求め、この再変換運転状態データに基づい
    て上位レベル制御装置による下位レベル制御装置の制御
    量を演算することを特徴とする請求項5に記載の水処理
    プラント制御システム。
  7. 【請求項7】上位レベル制御系の運転データ加工機能
    は、プラント運転データを主成分変換行列を用いて統計
    データを作成し、 上位レベル制御系の制御量演算機能は、主成分変換行列
    の転置行列を用いて、主成分データ空間で表されるクラ
    スタの重心を計測データ空間に線形変換して再変換運転
    状態データを求めることを特徴とする請求項6記載の水
    処理プラント制御システム。
  8. 【請求項8】下位レベル制御系の下位レベル制御装置
    は、各水処理プラントの運転を1入力1出力のフィード
    バック制御方式によって制御することを特徴とする請求
    項1乃至7のうちいずれか1項に記載の水処理プラント
    制御システム。
  9. 【請求項9】各水処理プラントの現在の運転状態を運転
    員に知らせる運転状態報知手段をさらに備え、 運転状態報知手段は、上位レベル制御系の統計データ作
    成機能、運転状態識別機能、および制御量演算機能のう
    ち少なくともいずれか一つの機能に基づいて、現在の水
    処理プラント制御システムの状態を運転員に知らせるこ
    とを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記
    載の水処理プラント制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008194559A (ja) * 2007-02-08 2008-08-28 Toshiba Corp 凝集剤注入制御装置
WO2017037835A1 (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 株式会社日立製作所 計算機システム及びシステム制御方法
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