JP2003140379A - 静電潜像現像用トナーとその製造方法、現像剤、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

静電潜像現像用トナーとその製造方法、現像剤、画像形成方法及び画像形成装置

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JP2003140379A
JP2003140379A JP2001334568A JP2001334568A JP2003140379A JP 2003140379 A JP2003140379 A JP 2003140379A JP 2001334568 A JP2001334568 A JP 2001334568A JP 2001334568 A JP2001334568 A JP 2001334568A JP 2003140379 A JP2003140379 A JP 2003140379A
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史朗 平野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノンビジュアルオフセット性に優れ、長期使
用に伴い処理の累積枚数が増加しても画像汚れを発生さ
せない静電潜像現像用トナーとその製造方法、現像剤、
画像形成方法及び画像形成装置を提供する。 【解決手段】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、トナー粒
子が特定の海島構造を有し、結晶性化合物が特定のn
(ノルマル)−パラフィンであることを特徴とする静電
潜像現像用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
等に用いられる静電潜像現像用トナーとその製造方法、
それを用いた現像剤、画像形成方法及び画像形成装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式による画像形成方法
では、デジタル技術の進展により、デジタル方式の画像
形成が主流となりつつある。デジタル方式の画像形成方
法は、1200dpi(dpiとは1インチ即ち2.5
4cmあたりのドット数)等の1画素の小さなドット画
像を顕像化することを基本としており、これらの小さな
ドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求され、こ
の様な高画質化の観点から静電潜像現像用トナー(単に
トナーということがある)の小粒径化が進められてい
る。
【0003】トナーの小粒径化、粒度分布及び形状の均
一化を達成する手段として、懸濁重合法や乳化重合法に
より得られた重合トナーが注目されつつあり、特願平1
1−304004号等には重合法により得られるトナー
ではその形状や丸み、粒径分布を制御できる旨が開示さ
れている。
【0004】また、紙等の画像支持体(転写材、転写紙
等ともいう)上に形成されたトナー像を定着する方式と
して、当該トナー像が形成された画像支持体を加熱ロー
ラと加圧ローラとの間を通過させて定着させる熱ローラ
定着方式が広く採用されているが、熱ローラ定着方式で
は、溶融したトナーが加熱ローラに付着するオフセット
現象を発生させ、画像汚れを発生させ易いという欠点を
有している。
【0005】そこで、オフセット現象の発生を防止する
ための手段として、定着装置の加熱ローラにシリコーン
オイルを塗布し、当該加熱ローラにトナーに対する離型
性を付与することが知られている。この方法は、トナー
の種類が制限されない点で有利であるが、転写紙上にシ
リコーンオイルが付着するためにボールペン等の筆記具
での書き込みが困難になる等ビジネス文書に不向きであ
った。市場ではコピー文書を即時にビジネス文書として
用い、文書中への書き込みはごく通常に行われているこ
とであり、シリコーンオイルを塗布する方法は時代の要
請に応えることのできないものになっている。
【0006】この様な要請に対して、トナー中にワック
ス等の離型剤を添加することによってトナー自体に離型
性を付与する技術が採用されており、特開平3−296
067号公報ではトナー断面において結着樹脂中に離型
剤であるポリプロピレンが分散した海島構造を形成し、
該ポリプロピレンの島部分の長軸方向の最大直径と島と
島との平均間隔を特定したものが開示され、特開平10
−161338号公報には海島構造のトナーの離型剤成
分について、熱定着前の離型剤成分の粒径を特定し、熱
定着後は海島構造が消失するものが開示されている。
【0007】しかしながら、この様にトナー中に離型剤
を導入させても、なお定着ローラの清掃機構を設置する
必要があった。その理由は、離型剤を導入したトナーで
は、数枚単位の印字を行う程度の画像形成ではオフセッ
ト発生しないものの、この様な画像形成でも1万〜2万
という枚数の画像形成を経ると徐々に定着ローラにトナ
ーが蓄積し、いわゆるノンビジュアルオフセットと呼ば
れるオフセットを発生させる。ノンビジュアルオフセッ
トの発生防止の観点からも定着装置の清掃部材は数万枚
の処理毎に交換する必要がある。
【0008】また、画像形成装置の処理能力も向上し、
毎分50枚以上の出力を有する高速機が登場している
が、この様な高速機では定着工程において、トナー中の
離型剤がトナー表面に十分に滲出する前に定着工程が完
了してしまうためトナー中に含有された離型剤が十分に
機能することができないために、ノンビジュアルオフセ
ットが発生し易いばかりか、少ない処理枚数の段階でオ
フセット発生を招いてしまう。
【0009】また、前述の文献に開示されたトナーは粉
砕法によるものであり、混練工程を経ることによって、
生成されるトナー中において離型剤の島形状が一方向に
向く、いわゆる配向をおこしてしてしまう。離型剤がト
ナー中で配向すると、定着工程におけるトナー表面への
離型剤成分の滲出が配向方向に従ってしまうために、ト
ナーの全方向への等方的な滲出が行われなくなるため、
更に定着ローラと転写紙との間での離型剤の効果を発揮
することが困難になる。この様に、粉砕トナーでは高速
機への使用に耐え得るものがないのである。
【0010】高画質化の観点よりトナーの小粒径化が進
められ、特開平8−41468号公報等に示される様に
離型剤用化合物の改良やトナー中への添加量を増やす技
術が検討されているが、樹脂粒子と離型剤粒子との会合
粒子から構成されるというトナーの構造上の原因で離型
剤が会合粒子より遊離し、遊離した離型剤が現像剤を劣
化させたり、トナー流動性を低下させたり、感光体への
トナーフィルミングを発生させる問題を有している。
【0011】また、特開平5−88409号公報ではト
ナー粒子構造を特定し、結着樹脂中に球状の大きな離型
剤の島を有する重合トナーが開示されているが、個々の
トナー粒子中への離型剤添加量のばらつきが解消できな
いために、トナー粒子中に離型剤の島が存在しないもの
もあることが見出されている。また、トナー粒子中で離
型剤の形状が球状であるために離型剤と樹脂との間の接
触面積が小さくなり、離型剤のトナー粒子からの脱離に
より、トナーの帯電性不良を招くと云ったトナー劣化を
発生させている。
【0012】更に、上記文献のものは、大きな径の離型
剤の島がトナー粒子中央付近に1〜2個存在する構造か
ら定着工程で離型剤がトナー表面に浸み出してくるまで
に時間を要するために定着ローラとトナーとの間に十分
な離型剤の層を形成できない問題もあり、これまでの技
術では高速機への使用に十分耐えられるトナーはなお開
発されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の第
1の目的は、ノンビジュアルオフセット性に優れ、長期
使用に伴い処理の累積枚数が増加しても画像汚れを発生
させない静電潜像現像用トナーとその製造方法を提供す
ることにある。
【0014】本発明の第2の目的は、高速機に使用して
も、離型剤のトナー表面への滲出が効果的に行われ、離
型性不足による定着巻付きジャム等の発生のない溶融
性、流動性の優れた静電潜像現像用トナーとその製造方
法を提供することにある。
【0015】本発明の第3の目的は、トナー中からの離
型剤の脱離を発生させない耐久性を有する静電潜像現像
用トナーとその製造方法を提供することにある。
【0016】本発明の第4の目的は、オイルレス或いは
クリーニングレスの定着工程を有した高速画像形成装置
に使用可能な静電潜像現像用トナーとその製造方法を提
供することにある。
【0017】更に、本発明の第5の目的は、上記トナー
を用いた現像剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の末、本発明の樹脂粒子と結晶性化合物の粒子を会合さ
せて得られる海島構造を有する重合トナーに着目して、
トナー粒子中の結晶性化合物領域の形状とその分散状態
を特定することで本発明の課題が達成されることを見出
した。
【0019】即ち、本発明では、トナー粒子中の結晶性
化合物の形状を楕円状のものとするとともに、楕円形状
の結晶性化合物のトナー粒子中における分散状態が無配
向なランダムなものとするためにある角度への粒子の分
布に着目することによって、本発明の課題を達成するこ
とを見出したのである。
【0020】本発明は以下に示される何れかの構成をと
ることにより達成されるものである。
【0021】〔1〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下
記、の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像
用トナー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
の長短軸比の平均値が1.15〜2.50である。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
℃以下、且つ針入度が4以下である。
【0022】〔2〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下
記、の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像
用トナー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
の長軸と電子写真顕微鏡写真上で任意に設定されたX軸
との間で形成される角度の分布が2つ以上のピークを有
する。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
℃以下、且つ針入度が4以下である。
【0023】〔3〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下
記、の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像
用トナー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
の長軸と電子写真顕微鏡写真上で任意に設定されたX軸
との間で形成される角度の分布が、ピークを有しない。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
℃以下、且つ針入度が4以下である。
【0024】〔4〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、該
トナー粒子は、海島構造を有するもので、該樹脂が海の
部分を構成し、着色剤の島と結晶性化合物の島からなる
ことを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の
静電潜像現像用トナー。
【0025】〔5〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、該
トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性化合物
の遊離抽出液の分光透過率が70.0〜99.5%であ
ることを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1項に記載
の静電潜像現像用トナー。
【0026】〔6〕 前記トナーは、個数平均粒径が3
〜9μmであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れ
か1項に記載の静電潜像現像用トナー。
【0027】〔7〕 〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記
載の静電潜像現像用トナーの製造方法において、少なく
とも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られる
ことを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
【0028】〔8〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記載
の静電潜像現像用トナーの製造方法において、少なくと
も樹脂粒子を水系媒体中で凝集/融着させて得られるこ
とを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
【0029】
〔9〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性
化合物とを含有する〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記載
の静電潜像現像用トナーの製造方法において、該トナー
は、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色
剤粒子とを凝集/融着させて得られることを特徴とする
静電潜像現像用トナーの製造方法。
【0030】〔10〕 〔7〕〜
〔9〕の何れか1項に
記載の静電潜像現像用トナーの製造方法により造られた
ことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0031】〔11〕 少なくとも樹脂と着色剤と結晶
性化合物とを含有する静電潜像現像用トナーとキャリア
を混合した2成分現像剤において、〔1〕〜〔6〕及び
〔10〕の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナーを
含有していることを特徴とする静電潜像現像用2成分現
像剤。
【0032】〔12〕 感光体上に形成された静電潜像
を可視画像化し、該可視画像を画像支持体上に転写し、
加熱定着させる工程を有する画像形成方法において、前
記加熱定着は線速230〜900mm/secで行わ
れ、該可視画像化を〔1〕〜〔6〕及び〔10〕の何れ
か1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いて行うこと
を特徴とする画像形成方法。
【0033】〔13〕 感光体上に形成された静電潜像
を可視画像化し、該可視画像を画像支持体上に転写し、
加熱定着させる工程を有する〔12〕に記載の画像形成
方法を用い、該感光体上への像露光照射をデジタル露光
によって行うことを特徴とする画像形成装置。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明のトナーはトナー粒子が海
島構造を有する重合トナーであり、そのトナー粒子中の
結晶性化合物の島は、その形状が楕円状のものであり、
ある特定の偏った方向に配向性を有するものではなく、
粒子中でランダムに配置されたものであり、また、島は
トナー粒子中において偏在せずに均一に分散した状態を
有するものである。本発明で見出された島の形状や分散
性を有するトナー粒子はこれまで得ることができなかっ
たのである。
【0035】本発明のトナー粒子は、海島構造を有する
ものであるが、海島構造とは、連続相中に、閉じた界面
(相と相との境界)を有する島状の相が存在している構
造のものをいう。すなわち、本発明のトナーでは、トナ
ー粒子を構成する樹脂、着色剤、結晶性化合物の各成分
は、お互いに相溶せずに、それぞれが独立して相を形成
するため、トナー粒子は海島構造を有するものとなる。
そして、本発明のトナーは、海である樹脂の連続相中
に、結晶性化合物の島と着色剤の島とが存在している構
造をとるものである。
【0036】この様に、本発明のトナー粒子は、連続相
中に結晶性化合物の構成成分の相と着色剤の構成成分の
相が島状に存在している構造を採るものであり、該トナ
ー粒子を構成する結晶性化合物の島部分を楕円に置き換
え、その楕円の長軸と短軸との比を特定範囲のものとす
ることで、トナー粒子中より遊離する結晶性化合物の量
を激減させることを見出し、その結果トナー粒子に添加
された結晶性化合物が画像形成時に効果的にその機能を
発揮することにより、ノンビジュアルオフセット性等の
定着性能の改良や感光体のフィルミング発生を抑制する
等の上記課題を達成したものである。
【0037】すなわち、従来の技術においては、重合ト
ナーに添加された結晶性化合物は、トナー粒子より遊離
しやすい傾向にあったが、本発明はこの問題を解決した
のである。本発明において、結晶性化合物の遊離を効果
的に防ぐことを達成させた理由は必ずしも解明されてい
るものではない。おそらく、従来技術のものは添加され
た結晶性化合物の形状が球形、もしくは球形に近い形状
のため添加された結晶性化合物の粒子がトナー粒子中を
容易に移動し、又、トナー粒子中における接触面積が小
さいために結晶性化合物がトナー粒子中で堅固に保持さ
れず、粒子中より脱離してしまうものと推測される。
【0038】これに対し、本発明のトナー粒子は、トナ
ー粒子中の結晶性化合物の島が、粒子中で堅固に保持さ
れる形態をとっているため、加熱定着工程時以外ではト
ナー粒子中より遊離することなく安定かつ堅固に保持さ
れることによって感光体フィルミングの問題が解消さ
れ、加熱定着の際に迅速かつ確実にトナー粒子外に滲出
させる機能が付与させられたものと推測される。また、
トナー粒子外に効果的に滲出する離型機能を有する結晶
性化合物により、定着像表面にも摩擦係数の低い結晶性
化合物による保護層が形成される。この結晶性化合物の
保護層の形成により画像形成装置への汚れの蓄積の問題
が解消され、特に、ノンビジュアルオフセット性の防止
等の定着性能を飛躍的に向上させることを達成した。
【0039】本発明のトナー粒子は、その構造が海島構
造を有するものであることは、透過型電子顕微鏡で撮影
されたトナー粒子の断面写真により、トナー粒子中に輝
度の異なる領域を有しているものであることで確認でき
る。すなわち、本発明のトナー粒子は、上記透過型電子
顕微鏡により、連続相中(結着樹脂の相)に輝度の異な
る粒状の島(結晶性化合物の相、及び着色剤の相)が存
在することが確認される。更に、電子顕微鏡の観察結果
より得られた結果に基づいて、トナー粒子1個中に存在
する島を楕円に置き換えて、その楕円の長軸と短軸の比
や断面写真の任意の方向と楕円の長軸との間で形成され
る角度を得るものである。
【0040】透過電子顕微鏡写真における輝度とは、ト
ナー粒子を構成する各要素、すなわち結着樹脂、着色
剤、及び結晶性化合物の結晶状態の差に起因して発生す
る電子線透過率の差を可視化することにより生ずるもの
であり、一般に着色剤は結着樹脂よりも電子線の透過率
が低いため低輝度に撮影され、結晶性化合物は結着樹脂
よりも高輝度寄りに撮影される。
【0041】電子顕微鏡写真において、低輝度とは画素
(ピクセル)の輝度信号を256階調に分割した時に0
〜99階調にあるものを言い、中輝度とは80〜160
階調の範囲にあるもの、高輝度とは127〜255階調
にあるものをいうが、本発明では相対的なもの、すなわ
ち前述のトナー粒子の構成要素を写真によりそれぞれ判
別できるものであればよく必ずしも上記の範囲に限定さ
れるものではない。例えば、結晶性化合物の島につい
て、透過型電子顕微鏡観察用の切片を80〜120℃の
環境下に置くと流出し空孔として観察されるため、着色
剤の島と容易に識別が可能である。
【0042】この様にして、本発明ではトナー粒子中の
各構成要素を輝度を基に識別することにより、海は海と
して、島は島として電子顕微鏡写真によって目視判定、
識別することを可能にしているものであり、電子顕微鏡
装置に設置されている画像解析装置によって輝度の情報
を目視により識別可能なイメージ情報に変換させている
ものである。
【0043】また、図1のトナー粒子(a)、(b)
は、ともに海島構造を有するトナー粒子の一例として示
す模式図であり、電子顕微鏡写真においては、本発明の
トナー粒子は、この模式図に示す様に連続相と輝度の異
なる島部とから構成されるものであることが観察され
る。また、トナー粒子の外周に沿って長さa、深さbの
島部を有しない領域が存在するものである。
【0044】なお、本発明のトナーにおいて、島部を構
成する結晶性化合物が融点を有することを確認する方法
としては示差走査熱量計(DSC)によって確認するこ
とができるものであり、結晶性を有するものであること
はX線回折装置等の手段によって確認できるものであ
る。また、本発明のトナー中に含有される結晶性化合物
は、画像形成時において離型剤としての機能を発揮する
ものである。
【0045】かかる結晶性化合物の融点は70〜120
℃である。70〜120℃の範囲に融点を有する結晶性
化合物を含有したトナーでは、その溶融粘度を下げるこ
とが可能となり、紙等に対する接着性の向上を図ること
ができ、しかも、当該結晶性化合物が存在しても、高温
側の弾性率が好ましい範囲に維持されるため、良好な耐
オフセット性が発揮される。
【0046】結晶性化合物の融点が70℃未満の場合に
は、定着性自体は向上するものの、保存性が低下し実用
性に問題を生じる。一方、融点が120℃を超える場合
には、溶融開始温度が高くなるために、定着性の向上に
対する寄与が低く、定着性改良の効果が少なくなる。
【0047】ここで、結晶性化合物の融点は示差走査熱
量計(DSC)にて測定された値を云い、具体的には、
0℃から200℃まで10℃/minの条件で昇温(第
一昇温過程)したときに測定される吸熱ピークの最大ピ
ークを示す温度を融点とする。そして、この融点は、後
述する「DSCによる第一昇温過程での吸熱ピーク(P
1)」と一致するものである。
【0048】融点の具体的な測定装置としては、パーキ
ンエルマー社製のDSC−7等を挙げることができる。
DSCによる融点の具体的な測定方法は、昇温・冷却条
件としては、0℃にて1分間放置した後、10℃/mi
nの条件で200℃まで昇温し、その際に測定される最
大の吸熱ピークを示す温度を第一昇温過程での吸熱ピー
クP1とする。その後、200℃にて1分間放置後、1
0℃/minの条件で降温し、その際に測定される最大
の発熱ピークを示す温度を第一冷却過程での発熱ピーク
P2とする。
【0049】本発明のトナーに用いられる結晶性化合物
は、DSCによる第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)
が70〜120℃、特に80〜110℃に存在すること
が好ましい。また、DSCによる第一冷却過程での発熱
ピーク(P2)が30〜110℃、特に40〜100℃
に存在することが好ましい。ここに、吸熱ピーク(P
1)と、発熱ピーク(P2)とは、P1≧P2の関係が
成立する。温度差(P1−P2)は、特に制限されるも
のではないが、50℃以下であることが好ましい。
【0050】上記のような熱的特性を有する結晶性化合
物を含有させることにより、優れたオフセット防止効果
(広い定着可能温度域)および優れた定着性(高い定着
率)を発揮させることができる。本発明の効果を発揮さ
せるためには、結着樹脂と結晶性化合物とが互いに相分
離した状態で存在していることが好ましい。
【0051】すなわち、結晶性化合物はシャープに溶解
し、結果としてトナー全体の溶融粘度を下げることがで
き、定着性を向上することができるものである。また、
互いに相分離して存在することにより、高温側での弾性
率の低下を抑えることが可能となるため、耐オフセット
性も損なうことがない。
【0052】吸熱ピーク(P1)が70℃未満に存在す
る場合には、融解温度が低いために、定着性は向上する
ものの、保存安定性が低下する。また、吸熱ピーク(P
1)が120℃を超える範囲に存在する場合には、融解
温度が高いために、結果として定着性の向上及び耐オフ
セット性の向上を図ることができない。
【0053】再結晶化の状態を示す発熱ピーク(P2)
が30℃未満に存在する場合には、かなり低い温度まで
冷却しないと再結晶化することができず、そのような物
質は、結晶性が低い状態でトナー中に存在することにな
り、定着性の向上に寄与することができない。また、発
熱ピーク(P2)が110℃を超える範囲に存在する場
合には、再結晶化する温度が高過ぎて、いわゆる溶融温
度も高くなり、低温定着性が損なわれる。
【0054】本発明では、トナー粒子中の島にあたる部
分を楕円の置き換え、該楕円の長短軸比及び楕円の角度
によりトナー粒子中の島の形状や分散状態を特定するも
のである。本発明のトナー粒子中の島を特定する基準と
なるのは、トナー粒子の透過型電子顕微鏡によって撮影
された画像情報に基づくものである。
【0055】すなわち、本発明では、透過型電子顕微鏡
「LEM−2000」(トプコン社製)を用い、1万倍
の倍率で50視野の撮影を行い、1000個以上のトナ
ー粒子の測定結果に基づいてトナー粒子中の島部の形状
や分散状態を特定したものである。以下その手順を詳細
に説明する。
【0056】トナー粒子の電子顕微鏡写真の撮影は、先
ず撮影するトナー粒子を光硬化性樹脂で包埋し、ミクロ
トーム「ウルトラカットE」(Reichert−Ju
ng社製)により薄片を作製し、得られた薄片を透過型
電子顕微鏡「LEM−2000」(トプコン社製)を用
いて写真撮影を行うものである。撮影された写真より島
部の形状や分散状態は目視によって定性的に確認するこ
とができるが、該透過型電子顕微鏡に併設されている画
像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ社製)により島
部すなわち結晶性化合物の形状を楕円に置き換えること
により、楕円長短軸比、及び楕円の角度分布を算出さ
れ、トナー粒子中における島部の分布状況を数値化する
ことが可能である。
【0057】前記画像処理装置により、トナー粒子中の
島部の形状は楕円形に換算され、楕円長短軸比が求めら
れるが、前記画像処理装置中には、以下の手順により、
島部の形状を楕円に置き換えるものである。
【0058】まず、透過電子顕微鏡写真上に直交するX
軸とY軸を任意に定め、トナー粒子中の島の座標を算出
する。
【0059】前記X軸とY軸に対する画像上の明暗、す
なわち輝度を画像モーメントに換算する。ここで画像モ
ーメントとは、画像の輝度を質量に対応させて考えたも
のである。すなわち、図2に示す様に、画像中の微小面
積dA(そのX、Y軸上の大きさをdx、dyで表す)
を有する座標(x,y)における画像の輝度をf(x,
y)とするとf(x,y)dAは力学で用いられる質量
に対応するものと考えられる。このf(x,y)dA
に、ある軸からの距離(例えばX軸からの距離ならば
y)のn乗を乗じ、これを面積Aについて積分した値∫
f(x,y)yndAをX軸についてのn次モーメント
という。
【0060】X軸、Y軸の1次モーメントm01、m10
0次モーメントm00は以下の様に定義され、この値より
島の重心座標が算出される。
【0061】X軸についての1次モーメント m01=Σ
Σy・f(x,y) Y軸についての1次モーメント m10=ΣΣx・f
(x,y) 0次のモーメント m00=ΣΣf(x,y) ここで、0次のモーメントは画像濃度の総和を表すもの
で、2値画像の場合対象物(本発明では島)の面積を表
す。
【0062】上記定義より、島の重心座標Xg、Ygは、
以下の様に定義される。 重心座標Xgg=m10/m00=1次モーメントY 重心座標Ygg=m01/m00=1次モーメントX 更に、島の重心周りに作用する2次の画像モーメントM
02、M20と慣性相乗モーメントM11より楕円の長軸長と
短軸長を求めるが、慣性相乗モーメントは重心における
画像濃度の総和を表すものである。重心周りに作用する
2次の画像モーメントと慣性相乗モーメントは以下のと
おりである。
【0063】X軸についての2次モーメント M02=Σ
Σ(y−Yg2・f(x,y) Y軸についての2次モーメント M20=ΣΣ(x−
g2・f(x,y) 慣性相乗モーメント M11=ΣΣ(x−Xg)(y−
g)・f(x,y) 本発明のトナー粒子中の島を2次元平面上の楕円体とす
ると以下の様に定義される。
【0064】楕円の方程式 AX´2+BY´2=1 ここで、A、BはX´、Y´に関する慣性モーメント、
すなわち、楕円の長軸及び短軸としての慣性モーメント
を表し、X´、Y´は慣性の主軸、すなわち楕円の主軸
を表すものである。
【0065】以上より楕円体の長軸としての慣性モーメ
ントAは以下の様に定義され、 A=Mθmax=〔1/2(M02+M20)±1/2
{(M02−M202+4M2 111/2〕max なお、上記式中、Mは重心の周りのモーメントを表し、
θは楕円の長軸とX軸とのなす角度を表すものである。
【0066】楕円の長軸2aは以下の様に定義される。 A=1/a2=Mθmax a2=1/Mθmax a=(1/Mθmax)1/2 また、楕円体の短軸としての慣性モーメントBは、 B=Mθmin=〔1/2(M02+M20)±1/2
{(M02−M202+4M2 111/2〕min 楕円の短軸2bは以下の様に定義される。
【0067】B=1/b2=Mθmin b2=1/Mθmin b=(1/Mθmin)1/2 前記透過型電子顕微鏡装置に併設された画像処理装置で
は以上の様な演算処理によりトナー粒子中の島を楕円変
換するとともに島の分散状態を特定する手段として角度
により特定しているのである。更に、本発明の楕円に置
き換えた島について、楕円の長短軸比a/bとすると、 楕円長短軸比a/b(%)={(楕円化処理したときの
長軸a)/(楕円化処理したときの短軸b)}×100
(%) にて楕円の長短軸比を定義するのである。
【0068】上記の様にして得られた楕円長短軸比につ
いて、本発明のトナーでは、その平均値が1.15〜
2.5の範囲にあるもので、好ましくは1.35〜2.
05であり、特に好ましくは1.5〜1.7である。な
お、楕円長短軸比の値は、1000個のトナー粒子中に
存在する島より算出されたものである。楕円長短軸比
が、1.15に満たないものは、球状に近い形状のもの
となるので、トナー粒子中における島の安定性が低下し
てしまう。また、2.5を超えると結晶性化合物の滲出
性が逆に劣ってくるために好ましくない。
【0069】更に楕円の角度θは、上記の手順で置き換
えた島部に相当する楕円の長軸と電子顕微鏡写真上で任
意に決めたX軸との間でなす角度を表すものである。楕
円の長軸とX軸との間でなす角度は、慣性の主軸の方向
を表すもので、θは下記式によって定義される。
【0070】θ=1/2〔tan-1(2M11/M20−M
02)〕−π/2≦θ≦π/2 なお、慣性の主軸には最大、最小の2通りあるが、ここ
では慣性モーメントが最大となる軸の方向を長軸とし、
上記θをX軸の正方向とするように重心の周りに軸を回
転させた後の慣性モーメントをM′20とすると、 M′20=1/2〔(M20+M02)+(M20−M02)×
{(2M11 2/M20−M02)+1}1/2〕 となる。慣性の主軸をX軸としたときの慣性のモーメン
トは前述の楕円体の長軸あるいは短軸としての慣性モー
メントと全く同一になる。
【0071】なお、慣性モーメントが最小となる軸の方
向である楕円の短軸方向の慣性モーメントM′02は、 M′02=M20+M02−M′20 となり、このとき慣性相乗モーメントのX軸方向の慣性
モーメントM′11は、重心の周りの軸を回転させること
から0となる。
【0072】以上の結果より、慣性モーメントが最大と
なる軸の方向である長軸の方向としてのθは、この慣性
モーメントの値により、 M′20≧M′02 ならば 0 M′20<M′02 ならば θ+π/2 となり、これによって得られるθの表す角度は、 (1)X軸を基準とした角度の場合 M20−M02≧0、M11≧0であれば、 0≦θ≦π/4 M20−M02≧0、M11<0であれば、 −π/4≦θ≦0 (2)Y軸を基準とした角度の場合 M20−M02<0、M11<0であれば、 0≦θ≦π/4 M20−M02<0、M11≧0であれば、 −π/4≦θ≦0 となる。
【0073】本発明では上記結晶性化合物の島を楕円化
処理して得られた楕円の長軸と電子顕微鏡写真上で任意
に設定されたX軸との間でなされる角度θの分布がピー
クを2つ以上有するものであるか、またはピークを有さ
ないものであることを特徴とするものである。なお、本
発明のトナー粒子中の島部のピークとは、前記楕円の角
度θを−90°〜90°の範囲内で5°刻みの階級に分
けて36階級に分けてヒストグラムを作成し、最頻階級
と次に頻度の高い階級の間に角度にして10°以上の開
きのある場合をピークという。
【0074】楕円の長軸と電子顕微鏡写真上で任意に設
定されたX軸との間でなされる角度のピークが1つの場
合は、特定の角度に島が配向する傾向にあるものとな
り、本発明で見出された効果が再現されなくなり好まし
くない。
【0075】本発明では、海島構造を有するトナー粒子
中の島部を構成する結晶性化合物の量を特定する手段と
して、結晶性化合物をトナー粒子より遊離させ、遊離し
た結晶性化合物の抽出液の分光透過率を測定することに
よって、トナー粒子中における結晶性化合物の量を特定
することができる。以下に結晶性化合物を遊離させ、そ
の抽出液を得るまでの手順を説明する。なお、トナー粒
子より遊離した結晶性化合物を遊離結晶性化合物とい
い、遊離結晶性化合物を含有した抽出液を遊離抽出液と
いい、分光透過率によって測定された遊離結晶性化合物
の量を遊離結晶性化合物量という。
【0076】遊離結晶性化合物量の測定方法ここで遊離
結晶性化合物量は、トナー粒子を以下に記載の手順で液
中に分散させて懸濁液を生成し、この懸濁液を遠心分離
して得られる上澄み液の吸光度(濁度)を測定したもの
である。具体的には、下記(1)〜(4)の手順に従っ
て上澄み液を生成し、分光光度計により、波長500n
mのランプを用いて測定して得られた吸光度をいう。 (1)活性剤溶液の調製:100mlメスフラスコに約
90mlのイオン交換水を投入後、12質量%のドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液1mlを加え、
その後再びイオン交換水を静かに加えて100mlにす
ることにより活性剤溶液を調製する。 (2)トナーの懸濁:トナー15gを50mlのガラス
製スクリュー瓶に投入後、上記(1)で得られた活性剤
溶液30mlをスクリュー瓶内に静かに注ぎ、蓋を閉め
た後、1分間シェイクすることによりトナー懸濁液を調
製する。 (3)遠心分離:上記(2)で得られたトナー懸濁液を
50ml遠心管に入れ、回転半径70mmのアングルロ
ーターにセットし、5000rpmにて20分間遠心分
離する。 (4)上澄み液の分離:遠心分離によって、遠心管内壁
に付着した低分子量結晶性化合物粒子にピペットで上澄
み液をかけて洗い落とした後、得られた上澄み液を採取
する。
【0077】このときに、一度沈殿したトナーが上澄み
液に混入した場合には、サンプル管を放置してトナーを
再沈殿させるか、上澄み液だけをもう一度遠心分離して
トナーを除去する。
【0078】以上の手順で得られた上澄み液を分光光度
計によりその吸光度を測定し、分光透過率によりトナー
粒子中に含有される結晶性化合物の量を特定する。本発
明では、トナー粒子中に含有される遊離結晶性化合物量
は、分光透過率で70〜99.5%であることが好まし
く、より好ましくは、84〜99%である。なお、分光
透過率が70%に満たないものは結晶性化合物の含有量
が少なすぎるために、本発明で見出された効果を再現す
ることができにくい。また、分光透過率が99.5%を
超えてしまうと結晶性化合物の量が多すぎるためにやは
り本発明で見出された効果を再現しにくくなる。
【0079】本発明の海島構造を有するトナー粒子は、
島部を構成するものはこれまで述べてきた結晶性化合物
成分の他に、着色剤成分もトナー粒子中で着色剤の島を
形成するものもある。着色剤成分の島は、図1において
島Bで示されるものである。これらの結晶性化合物の島
と着色剤成分の島とは、双方の輝度が異なるので電子顕
微鏡写真において容易に識別できるものである。なお、
本発明でこれまで述べてきた各種パラメータは、結晶性
化合物の島部を特定するために用いるものであって、本
発明の着色剤の島を特定するものではない。
【0080】次に本発明のトナーの粒径について説明す
る。本発明で用いられるトナーの粒径は、個数平均粒径
で3〜9μmで、4.5〜8.5μmであることが好ま
しく、更に好ましくは5〜8μmである。この粒径は、
トナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や
有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制
御することができる。
【0081】個数平均粒径が3〜9μmであることによ
り、転写効率を高めハーフトーンの画質が向上し、細線
やドット等の画質が向上する。トナーの粒度分布の算
出、個数平均粒径の測定は、コールターカウンターTA
−II、コールターマルチサイザー(いずれもコールター
社製)、SLAD1100(島津製作所社製レーザ回折
式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。本
発明においては、コールターマルチサイザーを用い、粒
度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パ
ーソナルコンピュータを接続し測定、算出したものであ
る。
【0082】次に本発明のトナーの製造方法について説
明する。本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を
水系媒体中で重合せしめて得られるものが好ましい。こ
の製造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合し
て樹脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液
を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合を行
って微粒の樹脂粒子を調製し、必要に応じて荷電制御性
樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等
を添加して当該樹脂粒子を凝集/融着する方法で製造す
るものである。
【0083】〈懸濁重合法〉本発明のトナーを製造する
方法の一例としては、重合性単量体中に荷電制御性樹脂
を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合
開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サ
ンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重
合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。
この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量
体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーや
ホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大き
さの油滴に分散させる。その後、反応装置(撹拌装置)
へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終
了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥
することで本発明のトナーを調製する。なお、本発明で
いうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質
量%以上含有されたものを示す。
【0084】〈乳化重合法〉また、本発明のトナーを製
造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で凝集/融着さ
せて調製する方法も挙げることができる。この方法とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平
5−265252号公報や特開平6−329947号公
報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げるこ
とができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材
料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成さ
れる微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特
に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界
凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成
された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着さ
せて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的
の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停
止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして
形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加
熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成すること
ができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコー
ルなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0085】本発明のトナーの製造方法においては、少
なくとも重合性単量体に結晶性化合物を溶かした後、重
合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂
微粒子と着色剤粒子とを凝集/融着させて得られるもの
である。本発明のトナーは、重合性単量体に結晶性化合
物を溶かすものであるが、これは溶解させて溶かすもの
でも、溶融して溶かすものであってもよい。
【0086】また、本発明のトナーの製造方法は、好ま
しくは多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着
色剤粒子とを凝集/融着させるものであるが、多段重合
法について以下に説明する。
【0087】〈多段重合法により得られる複合樹脂粒子
の製造方法〉本発明のトナーの製造方法は、以下に示す
工程より構成されるものである。
【0088】1:多段重合工程 2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集/融着させてト
ナー粒子を得る凝集/融着工程 3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、
当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗
浄工程 4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、 5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程 から構成される。
【0089】以下、各工程について、詳細に説明する。 〔多段重合工程〕多段重合工程とは、オフセット発生防
止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大さ
せるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂
粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するた
めに重合反応を多段階に分けて行うものであって、得ら
れた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子
量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例え
ば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新た
に重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低
分子量の表層を形成する方法が採られている。
【0090】本発明においては、製造の安定性および得
られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段
重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法
の代表例である二段重合法および三段重合法について説
明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナ
ーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ま
しい。
【0091】〈二段重合法〉二段重合法は、結晶性化合
物を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)
と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構
成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0092】この方法を具体的に説明すると、先ず、結
晶性化合物を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、
この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶
液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第一段
重合)することにより、結晶性化合物を含む高分子量の
樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0093】次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開
始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹
脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第二段重合)を行
うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単
量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0094】〈三段重合法〉三段重合法は、高分子量樹
脂から形成される中心部(核)、結晶性化合物を含有す
る中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)と
により構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
本発明のトナーでは上記の様な複合樹脂粒子として存在
するものである。
【0095】この方法を具体的に説明すると、先ず、常
法に従った重合処理(第一段重合)により得られた樹脂
粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶
液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、結晶性化
合物を単量体に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散さ
せた後、この系を重合処理(第二段重合)することによ
り、樹脂粒子(核粒子)の表面に、結晶性化合物を含有
する樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)
を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量
樹脂)の分散液を調製する。
【0096】次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液
に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを
添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第
三段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低
分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成
する。上記方法において、中間層を組み入れることによ
り、結晶性化合物を微細かつ均一に分散することができ
好ましい。
【0097】本発明に係るトナーの製造方法において
は、重合性単量体を水系媒体中で重合することが好まし
い。すなわち、結晶性化合物を含有する樹脂粒子(核粒
子)または被覆層(中間層)を形成する際に、結晶性化
合物を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒
体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重
合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法
である。
【0098】本発明でいう水系媒体とは、水50〜10
0質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる
媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等
を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアル
コール系有機溶媒が好ましい。
【0099】ここで、機械的エネルギーによる油滴分散
を行うための分散機としては、特に限定されるものでは
なく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置
「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テク
ニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、
マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙
げることができる。また、分散粒子径としては、10〜
1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、
更に好ましくは30〜300nmである。ここで分散粒
子径に分布を持たせることで、トナー粒子中における結
晶性化合物の相分離構造、すなわちフェレ径、形状係数
及びこれらの変動係数を制御してもよい。
【0100】この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒
子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大
塚電子社製)を用いて測定される重量平均粒径で10〜
1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0101】また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(T
g)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に
好ましくは52〜64℃である。
【0102】また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜14
0℃の範囲にあることが好ましい。本発明のトナーは、
好ましくは樹脂および着色粒子の表面に、凝集/融着に
よって樹脂粒子を融着させてなる樹脂層を形成させて得
られるものであるが、このことについて以下に説明す
る。
【0103】〔凝集/融着工程〕この凝集/融着工程
は、例えば前記多段重合工程によって得られた複合樹脂
粒子と着色剤粒子とを凝集/融着させる(塩析と融着と
を同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)
のトナー粒子を得る工程である。
【0104】本発明でいう凝集/融着とは、塩析(粒子
の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こる
こと、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為を
いう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹
脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の
温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)
を凝集させる必要がある。
【0105】この凝集/融着工程では、複合樹脂粒子お
よび着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子
(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒
子)を凝集/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、
表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来
公知のものを使用することができる。
【0106】着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状
態で凝集/融着処理が施される。着色剤粒子が分散され
る水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で
界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0107】着色剤粒子の分散処理に使用する分散機
は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するロ
ーターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEAR
MIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、
機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモ
ジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモ
ンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0108】複合樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集/融着
させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散
している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集
剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子
のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要で
ある。
【0109】凝集/融着させるために好適な温度範囲と
しては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特
に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされ
る。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限
溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0110】〔熟成工程〕熟成工程は、凝集/融着工程
に後続する工程であり、樹脂粒子の融着後も温度を結晶
性化合物の融点近傍、好ましくは融点±20℃に保ち、
一定の強度で撹拌を継続することにより、結晶性化合物
を相分離させる工程である。この工程において結晶性化
合物のフェレ径、形状係数及びこれらの変動係数を制御
することが可能である。
【0111】また、本発明においては樹脂粒子と着色剤
を水系媒体中において塩析、凝集、融着させて着色粒子
(本発明では、トナー粒子とも呼ぶ)を得た後、前記ト
ナー粒子を水系媒体から分離するときに、水系媒体中に
存在している界面活性剤のクラフト点以上の温度で行う
ことが好ましく、更に好ましくは、クラフト点〜(クラ
フト点+20℃)の温度範囲で行うことである。
【0112】上記のクラフト点とは、界面活性剤を含有
した水溶液が白濁化しはじめる温度であり、クラフト点
の測定は下記のように行われる。
【0113】《クラフト点の測定》塩析、凝集、融着す
る工程で用いる水系媒体すなわち界面活性剤溶液に、実
際に使用する量の凝集剤を加えた溶液を調製し、この溶
液を1℃で5日間貯蔵した。次いで、この溶液を撹拌し
ながら透明になるまで徐々に加熱した。溶液が透明にな
った温度をクラフト点として定義する。
【0114】トナー粒子への過剰帯電を抑え、均一な帯
電性を付与するという観点から、特に環境に対して帯電
性を安定化し、維持する為に、本発明の静電潜像現像用
トナーは、上記に記載の金属元素(形態として、金属、
金属イオン等が挙げられる)をトナー中に250〜20
000ppm含有することが好ましく、更に好ましくは
800〜5000ppmである。
【0115】また、本発明においては、凝集剤に用いる
2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加
える1価の金属元素の合計値が350〜35000pp
mであることが好ましい。
【0116】トナー中の金属イオン残存量の測定は、蛍
光X線分析装置「システム3270型」〔理学電気工業
社製〕を用いて、凝集剤として用いられる金属塩の金属
種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)
から発する蛍光X線強度を測定することによって求める
ことができる。具体的な測定法としては、凝集剤金属塩
の含有割合が既知のトナーを複数用意し、各トナー5g
をペレット化し、凝集剤金属塩の含有割合(質量pp
m)と、当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピー
ク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、凝集
剤金属塩の含有割合を測定すべきトナー(試料)を同様
にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線
強度を測定し、含有割合すなわち「トナー中の金属イオ
ン残存量」を求めることができる。
【0117】〔濾過・洗浄工程〕この濾過・洗浄工程で
は、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該
トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒
子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの
付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過
処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して
行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾
過法など特に限定されるものではない。
【0118】〔乾燥工程〕この工程は、洗浄処理された
トナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0119】この工程で使用される乾燥機としては、ス
プレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを
挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流
動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用す
ることが好ましい。
【0120】乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質
量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量
%以下とされる。
【0121】なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、
弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を
解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、
ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フ
ードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用すること
ができる。
【0122】本発明のトナーは、着色剤の不存在下にお
いて複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液
に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色
剤粒子とを凝集/融着させることにより調製されること
が好ましい。
【0123】このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤
の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得る
ための重合反応が阻害されることない。このため、本発
明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれ
ることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画
像汚れを発生させることはない。
【0124】また、複合樹脂粒子を得るための重合反応
が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体
やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナー
を使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を
発生させることはない。
【0125】更に、得られるトナー粒子の表面特性は均
質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に
優れた画像を長期にわたり形成することができる。この
ようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が
均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工
程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良
好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセ
ット性および巻き付き防止特性の向上を図ることがで
き、適度の光沢を有する画像を得ることができる。
【0126】次に、トナー製造工程で用いられる各構成
因子について、詳細に説明する。 (重合性単量体)本発明に用いられる樹脂(バインダ
ー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体
を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用
いられる。また、下記の様に構造中に酸性極性基を有す
る単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも
1種類含有するのが望ましい。 (1)疎水性単量体 単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定
されるものではなく従来公知の単量体を用いることがで
きる。また、要求される特性を満たすように、1種また
は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0127】具体的には、モノビニル芳香族系単量体、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル
系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系
単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン
系単量体等を用いることができる。
【0128】ビニル芳香族系単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェ
ニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルス
チレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル
スチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルス
チレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単
量体およびその誘導体が挙げられる。
【0129】(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル
酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアク
リル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル
酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノ
エチル等が挙げられる。
【0130】ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げ
られ、ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0131】又、モノオレフィン系単量体としては、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ジ
オレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン等が挙げられる。
【0132】(2)架橋性単量体 樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加し
ても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエ
チレングリコールメタクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有
するものが挙げられる。
【0133】(3)酸性極性基を有する単量体 酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシ
ル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和
化合物、及び、(b)スルホン基(−SO3H)を有す
るα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができ
る。
【0134】(a)のカルボキシル基を有するα,β−
エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メ
タアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、
ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸
モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の
金属塩類等を挙げることができる。
【0135】(b)のスルホン基を有するα,β−エチ
レン性不飽和化合物の例としては、スルホン化スチレ
ン、及びそのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルス
ルホコハク酸オクチル、及びこれらのNa塩等を挙げる
ことができる。
【0136】(4)塩基性極性基を有する単量体 塩基性極性基を有する単量体としては、(i)アミン基
或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜1
2、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アル
コールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)
アクリル酸アミドあるいは、随意N上で炭素原子数1〜
18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アク
リル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基
で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリ
ル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例
示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは
四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メ
タ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体
として好ましい。
【0137】(i)のアミン基或いは四級アンモニウム
基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エス
テルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジ
メチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−
3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム
塩等を挙げることができる。
【0138】(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いは
N上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アク
リル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルア
クリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペ
リジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチル
メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができ
る。
【0139】(iii)のNを環員として有する複素環基
で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、
ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムク
ロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を
挙げることができる。
【0140】(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミ
ンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウム
クロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリ
ド等を挙げることができる。
【0141】(重合開始剤)本発明に用いられるラジカ
ル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能であ
る。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′
−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド
化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル重合開始剤
は、必要に応じて還元剤と組み合せレドックス系開始剤
とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いるこ
とにより、重合活性を上昇させ、重合温度の低下が図
れ、更に、重合時間の短縮が達成できる等好ましい面を
有している。
【0142】重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生
成温度以上であれば、特に限定されるものではないが例
えば50℃から90℃の範囲である。但し、過酸化水素
−還元剤(アスコルビン酸等)を組み合わせた常温開始
の重合開始剤を用いることで、室温またはそれ以上の温
度で重合することも可能である。
【0143】(連鎖移動剤)分子量を調整することを目
的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連
鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例
えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、
tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有
する化合物が用いられる。特に、下記化合物は、分子量
分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強
度、耐オフセット性に優れることから好ましく用いられ
る。例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール
酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコー
ル酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコ
ール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチ
ル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシ
ル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合
物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化
合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合
物を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時
の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプ
トプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0144】(界面活性剤)前述の重合性単量体を使用
して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒
体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用す
ることのできる界面活性剤としては、特に限定されるも
のでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合
物の例として挙げることができる。
【0145】イオン性界面活性剤としては、例えば、ス
ルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、
3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−
ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリ
ウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルア
ニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニル
メタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−
スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル
硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタ
デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、
脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウ
ム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カ
プロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン
酸カルシウム等)が挙げられる。
【0146】本発明は、下記一般式(1)、(2)の界
面活性剤が特に好ましく用いられる。 一般式(1) R1(OR2nOSO4M 一般式(2) R1(OR2nSO3M 一般式(1)、(2)において、R1は炭素数6〜22
のアルキル基またはアリールアルキル基を表すが、好ま
しくは炭素数8〜20のアルキル基またはアリールアル
キル基であり、更に好ましくは炭素数9〜16のアルキ
ル基またはアリールアルキル基である。
【0147】R1で表される炭素数6〜22のアルキル
基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル
基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、R1で表さ
れるアリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェ
ニルメチル基、シンナミル基、スチリル基、トリチル
基、フェネチル基等が挙げられる。
【0148】一般式(1)、(2)において、R2は炭
素数2〜6のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数
2〜3のアルキレン基である。R2で表される炭素数2
〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレ
ン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレ
ン基等が挙げられる。
【0149】一般式(1)、(2)において、nは1〜
11の整数であるが、好ましくは2〜10、更に好まし
くは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
【0150】一般式(1)、(2)において、Mで表さ
れる1価の金属元素としてはナトリウム、カリウム、リ
チウムが挙げられる。中でも、ナトリウムが好ましく用
いられる。
【0151】以下に、一般式(1)、(2)で表される
界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0152】 化合物(101):C1021(OCH2CH22OSO3
Na 化合物(102):C1021(OCH2CH23OSO3
Na 化合物(103):C1021(OCH2CH22SO3
a 化合物(104):C1021(OCH2CH23SO3
a 化合物(105):C817(OCH2CH(CH3))2
OSO3Na 化合物(106):C1837(OCH2CH22OSO3
Na 本発明においては、トナーの帯電保持機能を良好な状態
に保ち、高温高湿下でのカブリ発生を抑え、転写性を向
上させる観点から、また、低温低湿下での帯電量上昇を
抑え、現像量を安定化させる観点から、上記記載の一般
式(1)、(2)で表される界面活性剤の静電潜像現像
用トナー中の含有量は、1〜1000ppmが好まし
く、更に好ましくは5〜500ppmであり、特に好ま
しくは7〜100ppmである。
【0153】本発明において、トナーに含有させる界面
活性剤の量を上記記載範囲とすることで、本発明の静電
潜像現像用トナーの帯電性は、環境の影響に左右される
ことなく、常に、均一で安定な状態で付与され維持され
ることが可能である。
【0154】また、本発明の静電潜像現像用トナー中に
含有される上記記載の一般式(1)、(2)で表される
界面活性剤の含有量は以下に示す方法によって算出され
る。
【0155】トナー1gを50mlのクロロホルムに溶
解させ、100mlのイオン交換水でクロロホルム層よ
り界面活性剤を抽出する。更に抽出を行ったクロロホル
ム層を100mlのイオン交換水でもう一度抽出を行い
合計200mlの抽出液(水層)を得、この抽出液を5
00mlまで希釈する。
【0156】この希釈液を試験液として、JIS 33
636項に規定された方法に従い、メチレンブルーで呈
色させ、吸光度を測定し、別途作成した検量線より、ト
ナー中の界面活性剤の含有量を測定するものである。
【0157】また、一般式(1)、(2)で表される界
面活性剤の構造は、上記の抽出物を1H−NMRを用い
て分析し、構造決定した。
【0158】また、本発明では、ノニオン性界面活性剤
を使用することもでき、具体的には、ポリエチレンオキ
サイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオ
キサイドとポリエチレンオキサイドの組合せ、ポリエチ
レングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフ
ェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエ
チレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピ
レンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙
げられる。
【0159】本発明では、これらの界面活性剤は、主に
乳化重合時の乳化剤として使用されるが他の工程または
他の目的で使用してもよい。
【0160】(樹脂粒子、トナーの分子量分布)本発明
のトナーは、その分子量分布のピーク又は肩が、10
0,000〜1,000,000、及び1,000〜5
0,000に存在することが好ましく、更に分子量分布
のピーク又は肩が、100,000〜1,000,00
0、25,000〜150,000及び1,000〜5
0,000に存在するものであることが好ましい。
【0161】樹脂粒子の分子量は、100,000〜
1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する
高分子量成分と、1,000から50,000未満の領
域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を
少なくとも含有する樹脂が好ましく、更に好ましくは、
15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を
有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0162】前述のトナーあるいは樹脂の分子量測定方
法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGP
C(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による
測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より
具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室
温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行
い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜
0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、
GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカ
ラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流
し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して
測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラム
を組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和
電工社製のShodex GPC KF−801、80
2、803、804、805、806、807の組合せ
や、東ソー社製のTSKgel G1000H、G20
00H、G3000H、G4000H、G5000H、
G6000H、G7000H、TSK guard c
olumnの組合せなどを挙げることができる。又、検
出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいは
UV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試
料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子
を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成
用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0163】(凝集剤)本発明では、水系媒体中で調製
した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融
着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用
いることができるが、2価または3価の金属塩を凝集剤
として用いることが更に好ましい。その理由は、1価の
金属塩よりも2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度
(凝析値あるいは凝析点)が小さいため好ましい。
【0164】本発明で用いられる凝集剤は、例えばナト
リウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩であ
る1価の金属塩、例えばカルシウム、マグネシウム等の
アルカリ土類金属の塩やマンガン、銅等の2価の金属
塩、鉄やアルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられ
る。
【0165】これら金属塩の具体的な例を以下に示す。
1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化リチウム、2価の金属塩としては、塩化カルシ
ウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マン
ガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミ
ニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じ
て適宜選択されるが臨界凝集濃度の小さい2価や3価の
金属塩が好ましい。
【0166】本発明で云う臨界凝集濃度とは、水性分散
液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添
加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すもの
である。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散
剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分
子化学17,601(1960)等に記述されており、
これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。
又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩
を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、
ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とするこ
とも可能である。
【0167】本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度
以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理す
る。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、
水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択
される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散
液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属
塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0168】本発明では、金属塩の濃度は、臨界凝集濃
度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.
2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0169】(着色剤)本発明のトナーは、上記の複合
樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集/融着して得られるもの
である。本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒
子との凝集/融着に供される着色剤粒子)としては、各
種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができ
る。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0170】黒色の顔料としては、例えば、ファーネス
ブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、
サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラッ
ク、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いら
れる。
【0171】これらの無機顔料は所望に応じて単独また
は複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加
量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは
3〜15質量%が選択される。
【0172】磁性トナーとして使用する際には、前述の
マグネタイトを添加することができる。この場合には所
定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜6
0質量%添加することが好ましい。
【0173】有機顔料及び染料も従来公知のものを用い
ることができ、具体的な有機顔料及び染料を以下に例示
する。
【0174】マゼンタまたはレッド用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメ
ントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.
ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、
C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレ
ッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.
I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレ
ッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.
I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッ
ド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.
ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド1
66、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグ
メントレッド178、C.I.ピグメントレッド222
等が挙げられる。
【0175】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.
I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエ
ロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.
ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー
15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグ
メントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー9
4、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグ
メントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー1
85、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピ
グメントイエロー156等が挙げられる。
【0176】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグ
メントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグ
メントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が
挙げられる。
【0177】また、染料としては、例えば、C.I.ソ
ルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、
同111、同122、C.I.ソルベントイエロー1
9、同44、同77、同79、同81、同82、同9
3、同98、同103、同104、同112、同16
2、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、
同70、同93、同95等を用いることができ、またこ
れらの混合物も用いることができる。
【0178】これらの有機顔料及び染料は、所望に応じ
て、単独または複数を選択併用することが可能である。
また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%
であり、好ましくは3〜15質量%である。
【0179】本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤
粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤とし
ては、従来公知のものを使用することができ、具体的に
はシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アル
ミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができ
る。シランカップリング剤としては、例えば、メチルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチ
ルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ
ラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン
等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社
製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されている
TTS、9S、38S、41B、46B、55、138
S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−
1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TO
G、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、
B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TO
A−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げら
れる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、
味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられ
る。
【0180】これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に
対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更
に好ましくは0.1〜5質量%である。また、着色剤粒
子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面
改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法が挙
げられる。この様にして表面改質された着色剤粒子は、
濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過
処理が繰り返された後、乾燥処理されて得られるもので
ある。
【0181】(結晶性化合物)本発明のトナーは、DS
Cで測定される吸熱曲線において最大吸熱ピークのピー
クトップ温度が70〜120℃である結晶性化合物を含
有する。該結晶性化合物を含有させることにより、大き
な可塑効果が得られるために大幅に定着性が向上する。
このような結晶性化合物は溶融粘度が低いことと、結着
樹脂成分と相分離する作用が働く為にトナー粒子表面近
傍に存在しやすいことなどから、トナー粒子表面の可塑
効果が、大きく、トナー保存性、トナー流動性、トナー
融着、現像耐久性、クリーニング安定性に影響を有す
る。そして70℃未満になると耐ブロッキング性や保存
性が低下し、120℃を超えると大きな定着性向上効果
が望めない。
【0182】また、構造的に分岐構造があるi(イソ)
−パラフィン構造あるいはナフテン構造(シクロパラフ
ィン構造)炭化水素や芳香族炭化水素が存在すると、よ
り可塑作用が大きくなってしまうので、本発明に係る結
晶性化合物は、直鎖構造であるn(ノルマル)−パラフ
ィン構造をとる炭化水素の含有率が92質量%以上であ
ることを特徴とし、保存性、流動性、耐融着性、現像耐
久性、クリーニング安定性に影響を与えることなく、定
着性向上を図ることができる。n−パラフィン含有率は
好ましくは93質量%以上であり、更に好ましくは94
質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であ
って、弊害を生ずることなくより優れた定着性向上効果
が得られる。92質量%未満であると流動性、保存性、
耐融着性、現像耐久性のいずれかに影響が出て、定着性
向上効果を十分に享受することができなくなる。
【0183】本発明に係る結晶性化合物は、DSCで測
定される吸熱曲線の最大吸熱ピークの半値幅が12℃以
下であることを特徴とし、トナーの保存性と定着性のバ
ランスをとることができる。好ましくはこの半値幅が1
0℃以下で、更に好ましくは8℃以下である。この半値
幅を持つ結晶性化合物により可塑効果が効率的に発揮さ
れるので、少量の添加量でも優れた定着性向上効果を得
ることが出来る。また結晶性化合物の添加量を増加する
ことによる現像性の低下や、耐ブロッキング性の低下、
流動性悪化から生じるクリーニングトラブル、ドラム融
着等の発生が抑制されているため、結晶性化合物成分を
増量することで更なる定着性向上が望める。半値幅が1
2℃を超えると、保存性あるいは定着性のいずれかに影
響が出て、保存性と定着性とが両立されたトナーを得る
ことが困難になる。
【0184】また、DSCで測定される吸熱ピークにお
いて始点オンセット温度が50℃以上で、終点オンセッ
ト温度が100℃以下であることが、これらの効果を高
くする上で好ましい。始点オンセット温度が50℃未満
であると、保存性に劣るようになり、終点オンセット温
度が100℃を超えると定着性向上効果が小さくなる。
【0185】上述のような効果をより強く発揮するには
始点オンセット温度が55℃以上、終点オンセット温度
が95℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、
始点オンセット温度が60℃以上、終点オンセット温度
が90℃以下である。
【0186】本発明における可塑効果は、トナーの溶融
粘度を下げ、トナーの定着性を上げるのは勿論のこと、
本発明では、トナー表面近傍の可塑効果がより大きいの
で、表面近傍のトナーの溶融粘度はより下がり、記録媒
体へのアンカー効果が働き、定着性向上に大きく貢献す
る。その一方で過剰な可塑作用は発生しないため、耐ブ
ロッキング性に優れ、保存性に優れた、使いこなしやす
いトナーとすることができるのである。
【0187】また、従来の低温定着性に優れたトナーで
は、トナーがクリーニング器のクリーニングブレードあ
るいはスリーブ上でドクターブレードで摩擦されると一
部が溶け、トナー融着を起こすことがあった。この様な
場合においても、本発明のトナーは、可塑効果をある程
度でセーブできるため融着の発生を抑さえることができ
る。
【0188】更に本発明のトナーは流動性が良好である
ため、クリーニング器中でのトナーの動きが安定し、ク
リーニング器中にトナーが詰まりクリーニング器を破損
したり、特定部位のトナーの滞留量が増加しクリーニン
グ不良等が発生したりすることなく、しかも定着性の優
れたトナーとすることができる。また現像器、トナーホ
ッパー中でのトナーの動きが安定し、トナーの補給、補
給前後のトナーの混合が良好で現像性の安定化がもたら
される。このように、クリーニング器、現像器での安定
性が増すので、定着性の向上と相まって高速機などにお
ける耐久安定性が向上するのである。
【0189】本発明に用いられる結晶性化合物として
は、次のようなものが利用できる。好ましく用いられる
結晶性化合物としては、高分子量ポリオレフィン重合時
に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィ
ン;チーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用い
て重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、フィ
ッシャートロプシュワックス;石炭、天然ガス等を原料
としてジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等によ
り合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合
物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシ
ル基などの官能基を有する炭化水素系ワックス;炭化水
素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの
混合物がある。
【0190】また、これらの結晶性化合物を、プレス発
汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出
法、融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたも
のや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低
分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものが好
ましく用いられる。
【0191】更に好ましく用いられるのは、パラフィン
ワックス、フィッシャートロプシュワックス、メタロセ
ン触媒を用いて合成されたポリエチレン、ポリエチレン
重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物である。
【0192】分散性の観点からパラフィンワックス、フ
ィッシャートロプシュワックスが特に好ましく用いら
れ、顕著な定着性向上効果が得られ、現像性に優れる様
になる。
【0193】また、n−パラフィンの平均炭素数が30
〜55個であることが好ましく、更に好ましくは32〜
50個であり、特に34〜45個であることで、定着性
向上と、保存性、流動性のバランスをとることができ
る。30個未満では、保存性、流動性に劣り、55個を
超えると定着性向上効果が減少する様になる。
【0194】本発明においては、プレス発汗法、溶剤
法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶
析法等を利用し精製、分留を精度よく行うことでn−パ
ラフィン率の高い結晶性化合物とすることができる。な
かでも、結晶性化合物に対する貧溶剤を用いて精製を行
う溶剤法を応用した方法が好ましい。たとえば、ベンゼ
ンもしくはトルエンとケトン(アセトンまたはメチルエ
チルケトン);メチルイソブチルケトン;液化プロパ
ン;トリクロロエチレンとベンゼン;ジクロロエタンと
ジクロロメタンの如き溶剤が用いられる。
【0195】例えば、次のような方法が応用できる。原
料結晶性化合物に溶剤を加えて加熱し、結晶性化合物成
分を完全に溶解した後、冷却機で冷却して結晶性化合物
を結晶化させる。目的とする結晶性化合物のDSC最大
級熱ピークのピークトップ温度に応じて、所定の温度ま
で冷却し、ろ過する。このとき、温度制御を厳密に行
い、冷却速度に時間をかけることでイソパラフィン、ナ
フテン、芳香族等を分離して、n−パラフィン率を高め
ることができる。さらに、結晶性化合物のケークを溶剤
で洗い、油分、イソパラフィン、ナフテン、芳香族等を
分離する。この工程を繰り返し、n−パラフィン率を高
くすることができる。最終的に、溶剤回収装置で溶剤を
分離して、結晶性化合物を得る。さらにこのあと、必要
に応じて、水素精製、活性白土処理、脱臭処理を行う。
また原料結晶性化合物は、真空蒸留、ガス抽出、融液晶
析を用いて、予め分子量分布を狭くしたものが、n−パ
ラフィン率を高める上で好ましい。
【0196】従来より、DSC最大級ピークのピークト
ップ温度が65℃未満であるような低融点の結晶性化合
物は従来の溶剤法においてもn−パラフィン率を高める
ことができたが、70℃以上のものは困難であり、特に
75℃以上の高融点のものは困難であった。従来の蒸留
等の方法のみでは、分子量に関して分留できるが、イソ
パラフィン、ナフテン分を十分に減らすことが難しかっ
た。
【0197】この溶剤法に好ましく用いられる原料結晶
性化合物としては、石油ワックスから得られるスラック
ワックスやパラフィンワックス、エチレン重合時に得ら
れる重合副生成物、メタロセンを触媒として重合される
低分子量のポリエチレン、石炭や天然ガスを原料として
得られるフィッシャートロプシュワックスなどがある。
【0198】また本発明の結晶性化合物は、JIS K
2283−3.8で測定される100℃における動粘
度において20mm2/s以下であることが好ましく、
更に好ましくは1〜10mm2/s以下で好ましい可塑
効果が得られる。
【0199】また本発明の結晶性化合物は、JIS K
2235−5.4で測定される25℃における針入度
において4以下であり、更に好ましくは3以下であるこ
とで、過剰な可塑効果を防止できる。
【0200】本発明のトナーにおいては、これらの結晶
性化合物の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、
0.2〜20質量部で用いられ、中でも0.5〜10質
量部で用いるのが効果的である。
【0201】本発明におけるDSC測定では、例えば、
パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0202】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回
昇温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで
降温、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
各温度の定義は次のように定める。 ・最大吸熱ピークのピークトップ温度 ベースラインからの高さが最も高いピークのピークトッ
プ温度 ・最大吸熱ピークの半値幅 最大吸熱ピークの、ベースラインからピークトップまで
の高さの2分の1の高さにおけるピークの温度幅 ・吸熱ピークの始点オンセット温度 昇温時曲線の微分値が最大となる点における曲線の接線
とベースラインとの交点の温度 ・吸熱ピークの終点オンセット温度 昇温時曲線の微分値が最小となる点における曲線の接線
とベースラインとの交点の温度 n−パラフィン含有率はガスクロマトグラフの定量分析
により求めることができる。例えば島津製作所製のGC
−17Aが利用でき、カラムは液相:ジメチルシロキサ
ン、膜厚:0.25μm、内径×長さ=0.25mm×
15mを、検出器はFIDを使用する。
【0203】測定条件としては、キャリアガスとしてヘ
リウムを用いる。温度条件はカラム恒温槽はイニシャル
60℃で40℃/minで昇温し、160℃にし、その
後15℃/minで昇温し、350℃とし、その後7℃
/minで昇温し445℃として4分ホールドする。気
化室はイニシャル70℃で250℃/minで昇温し、
445℃として0.1分ホールドする。検出器は445
℃にホールドする。試料はヘプタンを溶媒とし、0.1
質量%の濃度に調整する。
【0204】標準物質として炭素数20,24,28,
30,32,36,40,44のn−パラフィンを用
い、リテンションタイムの内挿、外挿により、n−パラ
フィン成分の各炭素数別のピーク面積を求める。これが
各炭素数別含有量で試料全体に対し含有率をもとめ質量
%で表すことができる。各ノルマル成分ピーク間の他の
ピークは非ノルマル成分(例えばイソパラフィン)とし
て扱う。n−パラフィン率は試料全成分中のn−パラフ
ィン含有率で質量%で表示し、全ピーク面積中における
n−パラフィン成分の面積率に相当する。
【0205】平均炭素数は、n−パラフィンの分布で質
量平均により次式から算出される。 平均炭素数C=(1/100)×Σ Ci・Fi (Ciは炭素数、Fiは炭素数Ciの含有量の百分率を
表す。) またn−パラフィンの炭素数分布の標準偏差Sが0.5
〜10であることが好ましく、さらには1.0〜8.0
であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜6.0
でバランスのとれた可塑効果が得られる。標準偏差が
0.5未満であるn−パラフィン、特に成分が単一の純
パラフィンに近いものは結晶性が高くなり、トナー中に
微分散させるのが難しくなる。また標準偏差が10を超
える場合は可塑作用が大きくなり耐ブロッキング性に影
響を及ぼす様になる。
【0206】更に本発明では、炭素数の増減に伴い、含
有量が連続的に変化する(炭素数の一つおきに含有量の
多寡が現われず、炭素数の連続増減とともに含有量がス
ムーズに推移する様態)炭化水素ワックスが好ましく、
常温時の硬さと溶融時の低粘度を同時に高度に実現で
き、優れた保存性,粉体特性と定着性を両立できる。
【0207】また本発明においては離型作用を補うため
に他の結晶性化合物を併用して用いてもよい。これらの
併用する結晶性化合物としては、好ましくは最大吸熱ピ
ークのピークトップ温度が90〜150℃である。例え
ば次のような結晶性化合物があげられる。モンタンワッ
クス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及
びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びそ
の誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カ
ルナウバワックス及びその誘導体の如きワックスで、誘
導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重
合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコールワッ
クス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワ
ックス、ケトンワックス、硬化ひまし油及びその誘導
体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワック
ス、ペトロラクタムである。
【0208】中でも好ましく用いられる併用する結晶性
化合物は、オレフィンを高圧下でラジカル重合あるいは
チーグラー触媒・メタロセン触媒を用いて重合した低分
子量のポリオレフィン及びこの時の副生成物、高分子量
のポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量のポリ
オレフィン、一酸化炭素・水素からなる合成ガスから触
媒を用いて得られる炭化水素の蒸留残分、あるいはこれ
らを水素添加して得られる合成炭化水素などから得られ
る結晶性化合物が用いられ、酸化防止剤が添加されてい
てもよい。あるいは、直鎖状のアルコールワックス、脂
肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックスあ
るいは、モンタン系誘導体である。また、脂肪酸等の不
純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0209】これらのワックスから、プレス発汗法、溶
剤法、真空蒸留、超臨界ガス抽出法、分別結晶化(例え
ば、融液晶析及び結晶ろ別)等を利用して、ワックスを
分子量により分別した併用する結晶性化合物も本発明に
好ましく用いられる。また分別後に、酸化やブロック共
重合、グラフト変性を行なってもよい。
【0210】これらの併用する結晶性化合物の含有量
は、結着樹脂100質量部に対し、前述の結晶性化合物
と併せて総量で0.5〜20質量部で用いることがで
き、好ましくは1.0〜15質量部で用いるのが効果的
である。
【0211】(現像剤)本発明のトナーは、一成分現像
剤でも二成分現像剤として用いてもよく、一成分現像剤
として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはト
ナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ
た磁性一成分現像剤が挙げられいずれも使用できる。
【0212】また、キャリアと混合して二成分現像剤と
して用いることもでき、この場合は、キャリアの磁性粒
子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、そ
れらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従
来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライ
ト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径
としては15〜100μm、より好ましくは25〜80
μmのものがよい。
【0213】キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的
には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置
「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMP
ATEC)社製)により測定することができる。
【0214】キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被
覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散さ
せたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティ
ング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例え
ば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ア
クリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或い
はフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂
分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限
定されず公知のものを使用することができ、例えば、ス
チレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系
樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0215】これらの樹脂の中で、特にフッ素含有重合
体系の樹脂が好ましく、中でもフッ素化アリレート樹脂
が好ましい。例えば1,1−ジヒドロパーフルオロアル
コールもしくはトリヒドロパーフルオロアルコール、テ
トラヒドロパーフルオロアルコール、その他のフルオロ
アルコール、フルオロアセチルアルコール、N−フルオ
ロアルキルスルホニル−N−アルキルアミノアルコール
等とアクリル酸、又はメタアクリル酸とのエステル化反
応物(例えば、1,1,1−トリフルオロエチルメタク
リレート)を重合した樹脂、或いはこれらと脂肪族オレ
フィン、ハロゲン化脂肪族オレフィン、共役ジエン系脂
肪族ジオレフィン、芳香族ビニル系化合物、含窒素ビニ
ル系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの
共重合体樹脂が挙げられる。
【0216】(画像形成方法と画像形成装置) 定着装置(定着器)本発明のトナーは、発熱する部材も
しくは加熱した部材を接触させることで該トナーを溶融
し、画像保持部材に定着させる定着装置を含む画像形成
装置において使用できる。
【0217】図3は、本発明において使用する定着装置
の一例を示す断面図であり、図3に示す定着装置は、加
熱ローラ10と、これに当接する加圧ローラ20とを備
えている。図3において、Tは画像支持体8(転写材、
転写紙ともいう)上に形成されたトナー画像である。加
熱ローラ10は、芯金11の表面にシリコーンゴムから
なる被覆層12が形成されてなり、線状ヒーターよりな
る加熱部材13を内包している。芯金11は、アルミニ
ウム、鉄および銅より選択された金属あるいはそれらの
合金から構成され、その内径は10〜50mmとされ
る。芯金11の肉厚は0.1〜2.0mmとされ、省エ
ネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)
とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57
mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよ
りなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mm
とする必要がある。
【0218】被覆層12を構成するシリコーンゴムは、
例えばLTV、RTV、HTVの各シリコーンゴムをあ
げることができる。被覆層12の厚みは0.2mm以上
である。好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましく
は1.0〜5.0mmである。厚みが0.2mm未満で
あると定着のニップを大きくすることができず、十分な
定着性能を発揮できない場合がある。
【0219】加熱部材13としては、ハロゲンヒーター
を好適に使用することができる。なお、発熱部材は1本
のみでなく、図4に示すように、複数の発熱部材を内包
させて、通過する紙のサイズ(幅)に応じて配熱領域を
変更できるような構成としてもよい。図4に示す加熱ロ
ーラ10には、ローラ表面の中央領域を加熱するための
ハロゲンヒーター16Aと、ローラ表面の端部領域を加
熱するためのハロゲンヒーター16B、ハロゲンヒータ
ー16Cとが配設されている。図4に示すような加熱ロ
ーラ10によれば、幅狭の紙を通過させる場合には、ハ
ロゲンヒーター16Aにのみ通電し、幅広の紙を通過さ
せる場合には、更にハロゲンヒーター16Bおよびハロ
ゲンヒーター16Cにも通電させればよい。
【0220】加圧ローラ20は、芯金21の表面にゴム
からなる被覆層22が形成されてなる。なお、被覆層の
ゴムは特に限定されるものでは無く、ウレタンゴム、シ
リコーンゴムなどを使用することができるが、より好ま
しくは耐熱性のシリコーンゴムである。シリコーンゴム
としては、被覆層12と同様の素材を使用することがで
きる。芯金21は、アルミニウム、鉄、銅などの金属ま
たはそれらの合金から構成されている。
【0221】被覆層22の厚みは0.2mm以上であ
る。好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましくは
1.0〜5mmである。厚みが0.2mm未満であると
定着のニップを大きくすることができず、十分な定着性
能を発揮できない場合がある。被覆層12及び22を構
成するシリコーンゴムあるいはゴムのアスカーC硬度は
35〜75、好ましくは40〜50とされ、シリコーン
スポンジゴムを好ましく使用することができる。
【0222】加熱ローラ10と加圧ローラ20との当接
荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nとされ、
好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜2
50Nとされる。この当接荷重は、加熱ローラ10の強
度(芯金11の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.
3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラにあって
は、250N以下とすることが好ましい。
【0223】また、耐オフセット性および定着性の観点
から、ニップ幅としては4〜8mmであることが好まし
く、当該ニップの面圧は0.6〜1.5×105Paで
あることが好ましい。
【0224】図3に示した定着装置による定着条件の一
例を示せば、定着温度(加熱ローラ10の表面温度)が
130〜180℃とされ、定着線速が230〜900m
m/secとされる。
【0225】本発明において使用する定着装置には、必
要に応じて定着器のクリーニング機構を付与してもよ
い。この場合には、シリコーンオイルを定着器の熱ロー
ラに供給する方式として、シリコーンオイルを含浸した
パッド、ローラ、ウェッブ等で供給し、クリーニングす
る方法が使用できる。
【0226】シリコーンオイルとしては耐熱性の高いも
のが使用され、ポリジメチルシリコーン、ポリフェニル
メチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン等が使用
される。粘度の低いものは使用時に流出量が大きくなる
ことから、20℃における粘度が1〜100Pa・sの
ものが好適に使用される。特に、本発明はシリコーンオ
イルを一定量使用する方式で顕著に効果が発揮される。
この場合、シリコーンオイルの供給量は特に限定される
ものではないが、0.1〜5.0μg/cm2程度が定
着した後の紙などに対するシリコーンオイルの付着量が
少なくてすむ。且つ、紙へ付着したシリコーンオイルに
よるボールペン等の油性ペンでの記入しずらさが無く、
一方で定着オフセットの問題が発生しない領域として好
ましい。
【0227】また、ローラ表面の端部領域が過熱される
ことを抑制するために、定着装置には、当該端部領域の
冷却ファンなどが設けられていてもよい。
【0228】また、上記は加熱ローラと加圧ローラを用
いた定着器について説明したが、本発明においては、加
熱部材が熱ベルトタイプの定着器、あるいは予備加熱機
構を備えたもの等でも好ましく用いることができる。こ
れらの例を本発明において使用される定着装置の他の例
として断面図を示す。
【0229】図5(a)は熱ベルトタイプの定着装置、
(b)、(c)は発熱部材を加熱ローラ表面近傍に設け
た定着装置の例である。これらの定着装置において、図
3、4と共通の付番がつけられているものは、同様の機
能形状を持つ部材であり、定着装置を画像支持体8が通
過する方向も図1と同様で右から左へと通る。
【0230】図5(a)の熱ベルトタイプの定着装置に
おいて、31は薄層のベルトであり、通常は耐熱性樹脂
または金属が用いられる。32は熱ベルトの駆動ロー
ラ、33は支持従動ローラである。トナー画像Tを担持
した画像支持体8は、加圧ローラ20と薄層ベルト31
の間を通るが、その狭持部分には薄層ベルトの背面側に
発熱部材35が設けられており、加熱、定着される。な
お、34は加熱温度制御用センサである。
【0231】図5(b)は、加熱ローラ表面近傍に発熱
部材37を備えた定着装置の例である。この場合も、ト
ナー画像Tを担持した画像支持体8は、加熱ローラ10
と加圧ローラ20の間を通過し、その狭持部分において
加熱定着される。
【0232】図5(c)は図5(b)と同様に加熱ロー
ラ表面近傍に発熱部材37を備えているが、発熱部材3
7が加熱ローラと一体となっている例である。加熱ロー
ラと発熱部材を一体化することで、加熱温度の制御を精
密に行うことができる利点がある。
【0233】何れの方式においても加熱ローラあるいは
熱ベルトの表面粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲で
あることが好ましく、ここにおいてRaとはJISで規
定した方法によって求めた表面粗さである。又、その熱
ローラあるいは熱ベルト等の最表面はフッ素樹脂、特に
ポリパーフルオロアルキルエーテルを主成分とする厚さ
10〜200μmの離型保護層38で被覆されているの
が好ましい。なお、前記したように、その表面に被覆層
がすでに塗設されている場合においても、さらにその上
にこの層は設けられる。
【0234】画像形成装置 次に本発明の画像形成方法及び画像形成装置の一例を説
明する。
【0235】図6は本発明の一実施態様例を示した画像
形成装置の概略構成図である。4は感光体であり、本発
明における静電潜像形成体の代表例である。アルミニウ
ム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電
体(OPC)を形成してなるもので、矢印方向に所定の
速度で回転する。本実施態様例において、感光体4は外
径60mmである。
【0236】図6において、図示しない原稿読み取り装
置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源1か
ら露光光が発せられる。これをポリゴンミラー2によ
り、図6の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補
正するfθレンズ3を介して、感光体面上に照射され静
電潜像を作る。感光体は、あらかじめ帯電器5により一
様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に
回転を開始している。
【0237】感光体面上の静電潜像は、現像器6により
現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬
送されてきた画像支持体8に転写器7の作用により転写
される。さらに感光体4と画像支持体8は分離器(分離
極)9により分離されるが、トナー画像は画像支持体8
に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0238】感光体面に残留した未転写のトナー等は、
クリーニングブレード方式のクリーニング器25にて清
掃され、帯電前露光(PCL)26にて残留電荷を除
き、次の画像形成のため再び帯電器5により、一様帯電
される。
【0239】又、クリーニングブレード27は、厚さ1
〜30mm程度のゴム状弾性体からなり、ウレタンゴム
が最もよく用いられる。
【0240】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0241】〔1〕結晶性化合物の調製 結晶性化合物1〜4 天然ガスを原料とした市販のフィッシャートロプシュワ
ックスを真空蒸留し、蒸留条件を変更して異なる留分の
ものを用い溶解した状態でメチルブチルケトンで洗浄を
繰り返したのち徐冷し結晶性化合物1〜4を得た。
【0242】結晶性化合物5〜6 メタロセンを触媒にして得られたポリエチレンを原料
に、結晶性化合物1〜4と同様に洗浄を行い結晶性化合
物5〜6を得た。
【0243】結晶性化合物7 溶剤にはトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤を用
い、80℃にて原料ワックスを溶解し、0.2℃/mi
nで68℃まで冷却し1時間保持した後、濾過した。濾
別したワックスを新しい混合溶剤で2回洗浄した後、ワ
ックスを取り出し、溶剤を溶剤回収装置にて分離し、水
素化精製を行って結晶性化合物7を得た。
【0244】結晶性化合物8 溶剤にはキシレンを用い、134℃にて原料ワックスを
溶解し、0.2℃/minで98℃まで冷却し1時間保
持した後、濾過した。濾別したワックスを新しい溶剤で
2回洗浄した後、ワックスを取り出し、溶剤を溶剤回収
装置にて分離し、水素化精製を行って結晶性化合物8を
得た。
【0245】結晶性化合物1〜8の特性を下記表1に示
す。
【0246】
【表1】
【0247】 〔2〕結晶性化合物分散液の調製 結晶性化合物分散液1 結晶性化合物1 50質量部 アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製) 5質量部 イオン交換水 200質量部 前記成分を96℃に加熱してホモジナイザー(IKA社
製、ウルトラタラックスT50)で分散した後、圧力吐
出型ホモジナイザーで分散処理し、結晶性化合物分散液
1を得た。
【0248】結晶性化合物分散液2〜8 結晶性化合物1を結晶性化合物2〜8に変えた以外は、
結晶性化合物分散液1と同様にして結晶性化合物分散液
2〜8を得た。
【0249】 〔3〕トナー用樹脂の調製 〔ラテックス1HML〕 (1)核粒子の調製(第一段重合) 撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlの セパラブルフラスコにアニオン系界面活性剤 (101) C1021(OCH2CH22OSO3Na 7.08g をイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液
(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌
速度で撹拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温
させた。
【0250】この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫
酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200g
に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした
後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート1
9.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合
液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間に
わたり加熱、撹拌することにより重合(第一段重合)を
行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分
散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とす
る。
【0251】(2)中間層の形成(第二段重合) 撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン1
05.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタ
クリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロ
ピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液を90
℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0252】一方、アニオン系界面活性剤(上記(10
1))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させ
た界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶
液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を
固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械
式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エ
ム−テクニック社製)により、乳化粒子(油滴)を含む
分散液(乳化液)を調製した。
【0253】次いで、この分散液(乳化液)に、重合開
始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶
解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添
加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌す
ることにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス
(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹
脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得
た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0254】(3)外層の形成(第三段重合) 上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合
開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに
溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下
に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95
g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メル
カプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体
混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間に
わたり加熱撹拌することにより重合(第三段重合)を行
った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂か
らなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低
分子量樹脂からなる外層とを有する複合樹脂粒子の分散
液)を得た。
【0255】このラテックスを「ラテックス(1HM
L)」とする。このラテックス(1HML)を構成する
複合樹脂粒子は、138,000、80,000および
13,000にピーク分子量を有するものであり、ま
た、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであ
った。
【0256】〔ラテックス2HML〕界面活性剤(10
1)に代えて、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08gを使用し
たこと以外は、ラテックス(1HML)と同様にして、
ラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子
量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層と
を有する複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテック
スを「ラテックス(2HML)」とする。
【0257】このラテックス(2HML)を構成する複
合樹脂粒子は、138,000、80,000および1
2,000にピーク分子量を有するものであり、また、
この複合樹脂粒子の重量平均粒径は110nmであっ
た。
【0258】〔着色粒子1〜10及び比較用着色粒子1
〜4の製造〕アニオン系界面活性剤(101)59.0
gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解し、この溶液
を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」
(キャボット社製)420.0gを徐々に添加し、次い
で「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用い
て分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下
「着色剤分散液1」という。)を調製した。この着色剤
分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱
光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測
定したところ、重量平均粒径で89nmであった。
【0259】ラテックス1HML420.7g(固形分
換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液1を
166gと結晶性化合物1〜8を表2の組み合わせで各
210g、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌
装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ撹
拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液
に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを
8〜10.0に調整した。
【0260】次いで、塩化マグネシウム・6水和物1
2.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液
を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分
間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜60分間か
けて90℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その
状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒
子の粒径を測定し、個数平均粒径が4〜7μmになった
時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水10
00mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止さ
せ、更に熟成処理として液温度85〜98℃にて2〜1
2時間にわたり加熱撹拌することにより、粒子の融着及
び結晶性化合物の相分離を継続させた(熟成工程)。
【0261】その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加し
てpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会
合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄
を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、
着色粒子を得た。
【0262】前記凝集工程のpH、熟成処理工程の温
度、熟成時間、撹拌強度を制御することにより、表2に
示す楕円の長短軸比の平均値、楕円の角度及び遊離抽出
液の分光透過率(%)の特性を有する着色粒子1〜10
および比較用着色粒子1〜4を得た(これらを各々実施
例1〜10および比較例1〜4として示した)。
【0263】
【表2】
【0264】以上の様にして得られた着色粒子1〜10
及び比較用着色粒子1〜4の各々に、平均一次粒子径3
5nmの疎水性シリカ0.8質量部、平均一次粒子径2
5nmの疎水性酸化チタン1.0質量部を添加し、10
Lヘンシェルミキサーの回転翼周速を30m/sに設定
し25分間混合した。なお、これらの着色粒子につい
て、外部添加剤の添加によってその形状や粒径は変化し
ないものである。
【0265】キャリアの製造 フェライト芯材の製造 MnOを18mol%、MgOを4mol%、Fe23
を78mol%を湿式ボールミルで2時間粉砕、混合し
乾燥させた後に、900℃で2時間保持することにより
仮焼成し、これをボールミルで3時間粉砕しスラリー化
した。分散剤およびバインダーを添加し、スプレードラ
イヤーにより造粒、乾燥し、その後1200℃m3時間
本焼成を行い、抵抗値4.3×108Ω・cmのフェラ
イト芯材粒子を得た。
【0266】被覆用樹脂の製造 先ず、界面活性剤として炭素数12のアルキル基を有す
るベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた水溶液媒体中
の濃度を0.3質量%とした乳化重合法により1,1,
1−トリフルオロエチルメタクリレート/メチルメタク
リレート(共重合比2/8)の共重合体を合成し、体積
平均一次粒径0.1μm、重量平均分子量(Mw)20
0,000、数平均分子量(Mn)91,000、Mw
/Mn=2.2、軟化点温度(Tsp)230℃および
ガラス転移温度(Tg)110℃の樹脂微粒子を得た。
なお、前記樹脂微粒子は、乳化状態において、水と共沸
し、残存モノマー量を510ppmとした。
【0267】次に、フェライト芯材粒子100質量部と
前記樹脂微粒子2質量部とを撹拌羽根付き高速撹拌混合
機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝
撃力の作用を利用して体積平均粒径61μmの樹脂被覆
キャリアを得た。
【0268】現像剤の製造 外部添加剤が添加された着色粒子の各々と、キャリアと
を混合し、トナー濃度が6質量%の現像剤を調製した。
【0269】感光体P1の製造 長さ380mm、直径60mmの円筒状導電性支持体上
に下記の塗布液を塗布し、感光体P1を作製した。
【0270】 〈下引き層〉 チタンキレート化合物(TC−750 松本製薬社製) 30g シランカップリング剤(KBM−503 信越化学社製) 17g 2−プロパノール 150ml 上記塗布液を用いて円筒状導電性支持体上に、膜厚0.
5μmとなるよう塗布した。
【0271】 〈電荷発生層〉 Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、 ブラッグ角2θ(±0.2°)の27.2°に最大ピークを有する チタニルフタロシアニン) 60g シリコーン変性ブチラール樹脂(X−40−1211M:信越化学社製) 700g 2−ブタノン 2000ml を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発
生層塗布液を調製した。この塗布液を前記下引き層の上
に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を
形成した。
【0272】 〈電荷輸送層〉 電荷輸送物質 N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β− フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン 225g ポリカーボネート(粘度平均分子量30,000) 300g 酸化防止剤(例示化合物1−3) 6g ジクロロメタン 2000ml を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この
塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾
燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0273】 〈保護層〉 メチルトリメトキシシラン 150g ジメチルジメトキシシラン 30g 反応性電荷輸送性化合物(例示化合物B−1) 15g ポリフッ化ビニリデン粒子(体積平均粒径0.2μm) 10g 酸化防止剤(例示化合物2−1) 0.75g 2−プロパノール 75g 3%酢酸 5g を混合し、保護層用の塗布液を調製した。この塗布液を
前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により厚さ
2μmの樹脂層を形成し、120℃、1時間の加熱硬化
を行い、シロキサンの保護層を形成した。
【0274】
【化1】
【0275】評価機として、図6に記載の画像形成プロ
セスを有するデジタル複写機(コロナ帯電、レーザ露
光、反転現像、静電転写、爪分離、クリーニングブレー
ドを有する)に、感光体P1及び各現像剤を搭載し評価
した。上記デジタル複写機は以下の条件に設定し評価を
行った。
【0276】帯電条件 帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750
V 露光条件 露光部電位を−50Vにする露光量に設定 現像条件 DCバイアス;−550V 転写極;コロナ帯電方式 また、定着装置としては、芯金として鉄を使用し、表面
を厚さ25μmのPFA(テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で被覆さ
れた表面粗さRaが0.8μmの加熱ローラを使用し、
加圧ローラとして鉄の芯金を使用し、HTVシリコーン
ゴムの上に厚み120μmのPFAチューブを被覆した
表面粗さRaが0.8μmの加圧ローラを用いた。な
お、ニップ幅は3.8mmであり、線速は420mm/
secである。
【0277】なお、定着装置のクリーニング機構及びシ
リコーンオイル供給機構は装着していない。定着の温度
は加熱ローラの表面温度で制御し、165℃の設定温度
とした。
【0278】複写条件は最も厳しいと思われる低温低湿
環境(10℃、20%RH)にて連続50万コピー行
い、ノンビジュアルオフセット、高速定着性、定着ロー
ラ寿命、感光体のフィルミング、感光体の減耗、感光体
寿命、ハーフトーン均一性、微細ドットのチリ、現像剤
寿命について以下の評価基準にて評価を行った。
【0279】評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔
写真画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等
分にあるオリジナル画像をA4中性紙での複写を行い、
10000枚毎にハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画
像、細線画像を評価した。
【0280】〈ノンビジュアルオフセット〉面積10m
m×50mm、厚さ5mmのフェルトパッドを50g/
cm2(5×10-5Pa)の荷重で当接させ、実写50
万枚印字後の汚れを観察した。 評価基準 ◎:フェルトパッドに汚れの発生が無い ○:フェルトパッドに極軽微な汚れが発生(実用上問題
無し) ×:コピー画像上に汚れが発生(実用上問題有り) 〈高速定着時の巻き付き〉熱ローラの温度設定を165
℃としたままラインスピードの設定を340mm/se
c、から920mm/secに改造し、ベタ画像を形成
し20000枚印字した。
【0281】定着分離不良による紙詰まり発生が無く、
定着分離爪痕も観察されない:◎(優良)、定着分離不
良による紙詰まり発生は無いが、定着分離爪痕が若干認
められる:○(実用可能)、定着分離不良による紙詰ま
り発生:×(不良)と判断した。
【0282】なお定着率の測定は、A4サイズの普通紙
(坪量65g/m2)を使用した。 〈定着ローラ寿命〉定着ローラ上についた傷による画像
汚れが発生した枚数で評価した。
【0283】〈感光体フィルミング〉目視観察でフィル
ミングの有無を判定した。フィルミングなし:◎、ある
が軽微:○、明確にあり:×、として判定した。×以外
は実用可能である。
【0284】〈感光体の減耗量〉実写前の感光体外径と
実写後の感光体外径の差より感光体の減耗量を算出し
た。減耗量がA;0〜3μm未満、B;3μm〜5μm
未満、C;5μm〜8μm未満、D;8μm以上として
表記した。
【0285】〈感光体の寿命〉露光量を最大にしたとき
のカブリ濃度(転写紙に対する非画像部の相対濃度)が
0.01を超えた時点の枚数で評価した。カブリ濃度は
デンシトメーターPDA−65(コニカ社製)で測定し
た。
【0286】〈ハーフトーンの均一性〉感光体フィルミ
ングから、転写性変動によるによるハーフトーン画像の
均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0287】 ランクA:ムラの無い均一な画像 ランクB:スジ状の薄いムラが存在 ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在 ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在 〈微細ドットのチリ〉画像全面に10%網点画像を形成
し、ルーペにてドット周辺のチリを観察した。チリがほ
とんど検知できないモノを「◎」、微かにチリがある
が、注視しなければ気づかない程度を「○」、チリが容
易に検知できるものを「×」とした。
【0288】尚、「◎」「○」は合格、「×」は不合格
とした。 〈現像剤寿命〉非画像部のカブリ濃度(マクベス濃度計
で測定した転写紙に対する相対濃度)が500枚以上連
続で0.006以上になった枚数で評価した。
【0289】評価結果を表3に示した。
【0290】
【表3】
【0291】本発明内の実施例1〜10は、何れも実用
上問題のない特性を有するが、本発明外の比較例1〜4
は、実用上問題がある特性であることが明らかである。
【0292】
【発明の効果】本発明により、第1に、ノンビジュアル
オフセット性に優れ、長期使用に伴い処理の累積枚数が
増加しても画像汚れを発生させない静電潜像現像用トナ
ーとその製造方法を提供することが出来る。
【0293】第2には、高速機に使用しても、離型剤の
トナー表面への滲出が効果的に行われ、離型性不足によ
る定着巻付きジャム等の発生のない溶融性、流動性の優
れた静電潜像現像用トナーとその製造方法を提供するこ
とが出来る。
【0294】第3には、トナー中からの離型剤の脱離を
発生させない耐久性を有する静電潜像現像用トナーとそ
の製造方法を提供することが出来る。
【0295】第4には、オイルレス或いはクリーニング
レスの定着工程を有した高速画像形成装置に使用可能な
静電潜像現像用トナーとその製造方法を提供することが
出来る。
【0296】更に、第5には、上記トナーを用いた現像
剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供することが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】海島構造を有するトナー粒子を説明する模式
図。
【図2】トナー粒子の島成分を楕円に置き換える際の画
像モーメントを説明する図。
【図3】本発明において使用される定着装置(定着器)
の一例を示す断面図。
【図4】複数の発熱部材を内包させた加熱ローラのヒー
ター配設概要図。
【図5】本発明において使用される定着装置の他の例の
断面図。
【図6】本発明の一実施態様例を示した画像形成装置の
概略構成図。
【符号の説明】
1 半導体レーザ光源 2 ポリゴンミラー 3 fθレンズ 6 現像器 8 画像支持体 10 加熱ローラ 11 加熱ローラの芯金 12 加熱ローラの被覆層 13 加熱部材 20 加圧ローラ 21 加圧ローラの芯金 22 加圧ローラの被覆層 T トナー画像
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 381 (72)発明者 西森 芳樹 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AA15 AB03 AB06 CA13 CA14 EA03 EA05 EA07 EA10 FA01 FB01 2H033 AA09 AA23 BA11 BA25 BA27 BA42 BA46 BA49 BA51 BA52 BA58 BB05 BB19 BB23 BE03 CA13 CA36

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下記、
    の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像用トナ
    ー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
    化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
    の長短軸比の平均値が1.15〜2.50である。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
    2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
    ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
    において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
    20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
    ℃以下、且つ針入度が4以下である。
  2. 【請求項2】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下記、
    の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像用トナ
    ー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
    化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
    の長軸と電子写真顕微鏡写真上で任意に設定されたX軸
    との間で形成される角度の分布が2つ以上のピークを有
    する。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
    2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
    ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
    において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
    20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
    ℃以下、且つ針入度が4以下である。
  3. 【請求項3】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、下記、
    の条件を充たすことを特徴とする静電潜像現像用トナ
    ー。 該トナー粒子は海島構造を有するもので、該結晶性
    化合物の島にあたる部分を楕円に置き換えた時の該楕円
    の長軸と電子写真顕微鏡写真上で任意に設定されたX軸
    との間で形成される角度の分布が、ピークを有しない。 結晶性化合物が、n(ノルマル)−パラフィンを9
    2質量%以上含有し、炭素数の異なる複数のn−パラフ
    ィン成分を含有しており、DSCで測定される吸熱曲線
    において最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜1
    20℃であり、該最大吸熱ピークのピーク半値幅が12
    ℃以下、且つ針入度が4以下である。
  4. 【請求項4】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、該トナー
    粒子は、海島構造を有するもので、該樹脂が海の部分を
    構成し、着色剤の島と結晶性化合物の島からなることを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像
    現像用トナー。
  5. 【請求項5】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する静電潜像現像用トナーにおいて、該トナー
    粒子は海島構造を有するもので、該結晶性化合物の遊離
    抽出液の分光透過率が70.0〜99.5%であること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の静電潜
    像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 前記トナーは、個数平均粒径が3〜9μ
    mであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に
    記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか1項に記載の静電
    潜像現像用トナーの製造方法において、少なくとも重合
    性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られることを特
    徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜
    像現像用トナーの製造方法において、少なくとも樹脂粒
    子を水系媒体中で凝集/融着させて得られることを特徴
    とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合物
    とを含有する請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜
    像現像用トナーの製造方法において、該トナーは、多段
    重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色剤粒子と
    を凝集/融着させて得られることを特徴とする静電潜像
    現像用トナーの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9の何れか1項に記載の静
    電潜像現像用トナーの製造方法により造られたことを特
    徴とする静電潜像現像用トナー。
  11. 【請求項11】 少なくとも樹脂と着色剤と結晶性化合
    物とを含有する静電潜像現像用トナーとキャリアを混合
    した2成分現像剤において、請求項1〜6及び10の何
    れか1項に記載の静電潜像現像用トナーを含有している
    ことを特徴とする静電潜像現像用2成分現像剤。
  12. 【請求項12】 感光体上に形成された静電潜像を可視
    画像化し、該可視画像を画像支持体上に転写し、加熱定
    着させる工程を有する画像形成方法において、前記加熱
    定着は線速230〜900mm/secで行われ、該可
    視画像化を請求項1〜6及び10の何れか1項に記載の
    静電潜像現像用トナーを用いて行うことを特徴とする画
    像形成方法。
  13. 【請求項13】 感光体上に形成された静電潜像を可視
    画像化し、該可視画像を画像支持体上に転写し、加熱定
    着させる工程を有する請求項12に記載の画像形成方法
    を用い、該感光体上への像露光照射をデジタル露光によ
    って行うことを特徴とする画像形成装置。
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