JP2003140196A - エレクトロクロミック調光素子 - Google Patents

エレクトロクロミック調光素子

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JP2003140196A
JP2003140196A JP2001340505A JP2001340505A JP2003140196A JP 2003140196 A JP2003140196 A JP 2003140196A JP 2001340505 A JP2001340505 A JP 2001340505A JP 2001340505 A JP2001340505 A JP 2001340505A JP 2003140196 A JP2003140196 A JP 2003140196A
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light control
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substrates
electrolyte
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JP2001340505A
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English (en)
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Shigeyuki Ozawa
茂幸 小澤
Shogo Kodera
省吾 小寺
Tomohiro Totani
智博 戸谷
Yukio Kobayashi
幸雄 小林
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AGC Inc
Eneos Corp
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐熱耐久性に優れ、しかもその耐久性が長期に
渡って維持され、素子内部に白濁等の外観上の欠陥が発
生したり、応答速度等の素子性能が変化せず、信頼性が
高いエレクトロクロミック調光素子の提供。 【解決手段】2枚の基板11,12間に挟入された電解
質材料16を取り囲むように、基板の周縁部間隙に配設
されたシーリング材によって電解質材料16が封止さ
れ、前記シーリング材がポリイソブチレン系材料とエチ
レン−プロピレン系共重合体とを含む熱可塑性シーリン
グ材からなる内側一次シール19と、硬化型シーリング
材からなる外側二次シール20とを有する、エレクトロ
クロミック調光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエレクトロクロミッ
ク(EC)現象を利用したエレクトロクロミック調光素
子(以下、「EC調光素子」という)に関する。
【0002】
【従来の技術】EC調光素子は、外部からの電圧の印加
により、容易に光の透過または反射を制御できる機能を
有する。 そのため、自動車、車両、船舶、航空機、建築
物の開口部、あるいは屋内間仕切りにおいて、透過・反
射光による眩しさや暑さの低減、省エネルギー、またプ
ライバシーの確保が必要な場所に用いられる調光素子と
して現に利用または利用が期待されている。
【0003】このEC調光素子は、内側に電極等を配設
した、少なくとも一部または全部が透明な2枚の基板間
に、機能性材料として液状または湿潤なゲル状の電解質
材料を挟入し、該電解質材料の周辺をシーリング材で封
止した構造を有する。シーリング材は、基板同士を強固
に接着するとともに、素子内部からの水分等の液成分の
揮発防止、外部空気等のガスの侵入抑制などの役割を有
する。
【0004】ところで、こうした役割を有するシーリン
グ材として、特開2000−17956号公報には、ポ
リイソブチレン、ブチルゴムおよびイソプレンから選択
される熱可塑性シーリング材からなる第1シールと、シ
リコーン系シーリング材からなる第2シールとの2層構
成を採用することが提案されている。
【0005】ポリイソブチレン、ブチルゴム、およびイ
ソプレンから選択される熱可塑性シーリング材は、常温
で粘着性が高いため、素子を作製する際、基板を仮接着
(粘着)させて素子を容易に組立てられる等好ましい特
性を有するとともに、外部からの空気などガスの侵入の
抑制、素子内部の溶剤に対する耐性が優れるなどの特徴
を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記熱可塑性シーリン
グ材は、通常ポリイソブチレンを主成分とするが、その
性能特性、成形加工性、施工作業性等の面からの要求性
能に適応させるため、ブチルゴム系材料を所定量添加す
ることが必須とされている。
【0007】しかし、ブチルゴム系材料を配合したシー
リング材をEC調光素子の一次シール材として使用した
場合、耐熱性試験等の耐久試験において素子内部に白濁
等の外観上の欠陥が発生したり、応答速度等の素子性能
が変化するという問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、以上の問題を解
消し、長期の耐久性に優れた信頼性の高いEC調光素子
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ところで、 EC調光素子
等のシーリング材に用いられるブチルゴム系材料は、イ
ソブチレンモノマーを主体としこれとイソプレンモノマ
ーとを共重合させたもの或いはさらにゴム弾性の向上等
のため、一部を架橋させて変性されたものが主体であ
る。このブチルゴム系材料は、昇温下でも著しく粘着性
が高く高粘性な材料であるため、種々の工程でのハンド
リング性・作業性等を向上させるため、通常、ステアリ
ン酸金属塩等の滑剤、離型剤が数%程度添加されてい
る。
【0010】これらの材料を配合したシーリング材が、
EC調光素子において極性溶剤を含む電解質材料に高温
下で接触すると、前記の滑剤、離型剤等が電解質材料中
に抽出され、さらには電解質材料と化学反応を起こして
白濁・析出物等の外観上の欠陥が発生することが判明し
た。したがって、ステアリン酸金属塩等の滑剤、離型剤
はブチルゴム系材料には本質的に必須の添加物であり、
このブチルゴム系材料を使用する限り、前記の問題を解
決することは困難であることがわかった。
【0011】そこで、EC調光素子におけるシーリング
材として、従来のブチルゴム系材料に代わる新材料につ
いて鋭意検討した結果、種々のゴム系材料の中でも特に
エチレン−プロピレン系共重合体ゴム系材料が、ポリイ
ソブチレン系材料との相溶性が良好で、かつ耐久性等の
点でブチルゴム系材料と同等以上の特長を有しながら、
前記の問題を発生させないことを知見した。
【0012】本発明は、前記知見に基づいて、対向して
配設された、少なくとも一方の一部または全部が透明な
2枚の基板間に、電解質材料を挟入し、該電解質材料を
取り囲むように2枚の基板の周縁部間隙に配設されたシ
ーリング材によって電解質材料を封止してなるEC調光
素子であって、前記シーリング材が、内側に配設された
一次シールと、外側に配設された二次シールとを有し、
一次シールがポリイソブチレン系シーリング材と、エチ
レン−プロピレン系共重合体とを含む熱可塑性シーリン
グ材からなり、二次シールが硬化型シーリング材からな
るEC調光素子を提供する。
【0013】本発明のEC調光素子は、少なくとも一方
の一部または全部が透明な2枚の基板と、該基板間に挟
入された電解質材料と、2枚の基板のそれぞれの内側に
配設された電極とを有し、さらに、その電極のいずれか
一方または両方に還元発色または酸化発色EC固体層が
積層、あるいは電解質材料中に還元または酸化発色EC
剤が含有されている構成を有するものであり、基板、電
解質材料、電極、還元発色または酸化発色EC層は特に
限定されない。例えば、後記の図1に示す還元または酸
化発色EC層を有する構成、および図2に示す電解質材
料自体に還元または酸化発色EC剤を含み、還元または
酸化発色EC層を有しない構成、あるいは一方の基板の
電極上に還元発色EC層を有し、他方の電極上に酸化発
色EC層を有し、該還元発色EC層と酸化発色EC層の
間に電解質材料が挟持される構成を有するものでもよ
い。2枚の基板は、同種のものでも異種のものでよく、
本発明のEC調光素子を調光素子として使用するとき
は、2枚の基板は、通常は透明に構成されるが、一部が
不透明であってもよい。調光性の反射板または表示素子
として使用するときは、一方を透明とし、他方を不透明
または光反射性素材あるいは光反射性膜を積層した構成
としてもよい。また、必要に応じて、模様等を配した構
成としてもよく、形状も曲面形状、異形形状等の各種の
形状としてもよい。
【0014】本発明のEC調光素子において、電解質材
料を取り囲むように2枚の基板の周縁部間隙に配設され
るシーリング材は、内側に配設された一次シールと、外
側に配設された二次シールの少なくとも2つのシール層
を有する。一次シールと二次シールは必ずしも密着して
配置されている必要はないが、密着させた方が素子組立
工程上、望ましい。
【0015】一次シールは、ポリイソブチレン系材料
と、エチレン−プロピレン系共重合体とを含む熱可塑性
シーリング材からなる。この熱可塑性シーリング材は、
常温での粘着性を保持しながら空気等のガス透過性が極
めて低いばかりでなく、耐熱試験等の高温下で電解質材
料に直接接触しても内容物が抽出されて白濁等素子外観
上有害な問題を発生させることがない。従って、電解質
材料のシール性に優れしかも外部からの水分あるいは空
気などの侵入を強固に抑制することができる。さらに耐
候性、耐熱性等の耐久性にも比較的優れた材料である。
これらの熱可塑性シーリング材は、加熱下、既存の押出
成形装置あるいは塗布装置を用いて基板上に付着させて
一次シールを形成することができる。また、予めテープ
状あるいはヒモ状に成形加工されたものを直接基板上に
必要な変形を施しながら付着させることもできる。
【0016】熱可塑性シーリング材の成分であるポリイ
ソブチレン系材料は、イソブチレン単独重合体、イソブ
チレンと他の成分を共重合させたものの単独或いはそれ
らの混合物が使用される。
【0017】一次シールを構成する熱可塑性シーリング
材の必須成分であるエチレン−プロピレン系共重合体は
一般にエチレン−プロピレンラバーと称して市販されて
いるものが使用できる。特にエチレンとプロピレンとを
質量比で85/15〜20/80の割合で共重合させて
なるものが好ましく、さらに80/20〜40/60の
割合で共重合させたものが、より高いゴム弾性を有して
おり、特に好ましくは80/20〜50/50である。
【0018】また、エチレン−プロピレン共重合体は、
第3成分としてジシクロペンタジンなどのジエン系化合
物を必要に応じて0〜10質量%の範囲で共重合されて
いてもよい。
【0019】一次シール材として用いられる熱可塑性シ
ーリング材におけるポリイソブチレン系材料とエチレン
−プロピレン系共重合体の配合比は、質量比で90/1
0〜30/70、さらに好ましくは80/20〜40/
60の範囲にあることが好ましい。この配合比の範囲で
は、適度にしてかつ過剰でないゴム弾性のものが安定に
得られ、特にシーリング材を予めヒモ状体、テープ状体
等に賦形する必要がある場合には良好な成形加工性が付
与されるとともに、電解質材料に対する耐性についても
高いレベルのものを得ることができる。
【0020】本発明のEC調光素子においては、一次シ
ールの外側にさらに二次シールが配置され、2層構造の
シーリング材による封止が施される。一次シールのみで
は、基板との接着力が乏しく、特に高温時に熱膨張など
による応力により、基板とシーリング材との間に剥離が
発生しやすいため、一次シールの外側に基板との接着性
が良好な硬化型シーリング材が二次シールとして使用さ
れる。このため、基本的に熱可塑的である一次シールが
高温時に基板との密着性の低下を来たしても、空気、水
分等のガスの侵入、溶剤による膨潤等を二次シールによ
り抑制できる。
【0021】使用される硬化型シーリング材としては、
硬化型シリコーン系シーリング材または硬化型ポリイソ
ブチレン系シーリング材が、基板への接着性も比較的高
く、耐候性も良好である点で、好ましい。さらに硬化型
ポリイソブチレン系シーリング材は、水分、空気等のガ
ス透過性が低く、特に好ましいシーリング材である。
【0022】この硬化型シーリング材は1成分系あるい
は2成分系どちらでも使用可能であり、素子構成・製造
プロセス等によって適宜選択することができる。また、
これらの硬化型シーリング材は、常温或いは低温硬化が
可能であること、比較的入手が容易であること、作業性
が良いこと等の観点から、湿気硬化型であるものがより
好ましい。この硬化型シーリング材としては、分子構造
中に硬化性官能基を含有するポリシロキサンあるいはポ
リイソブチレン系重合体を主成分とするものが通常使用
される。
【0023】硬化性官能基を含有するポリシロキサンと
しては種々の官能基を有するものが使用できるが、特に
好ましいものは、加水分解性湿気硬化型シリル基を含有
する重合体である。この加水分解性湿気硬化型シリル基
を含有する重合体を主成分とし、各種フィラー類を配合
した主剤に対し、硬化触媒を主体とする硬化剤を適当な
比率で配合する方式の2成分系は速硬化性の点から特に
有利である。2成分系のシーリング材は、硬化剤中に予
め水分を配合させておくことが容易であり、実用的に十
分な速度で硬化させることができる。硬化触媒として
は、加水分解性湿気硬化型シリル基を含有する重合体の
硬化剤として公知のものが使用できるが、酸、アルカリ
あるいは有機金属化合物等が適当である。特に有機スズ
系化合物が好ましい。
【0024】また、硬化型シーリング材は、特に規定さ
れるものではないが、熱膨張等による二次シールの変形
があまりにも大きすぎると、素子の安定性、耐久性等に
悪影響を及ぼす危険性があるため、その硬化体の弾性率
が、JIS A5758で規定された50%引張応力が
35N/cm2 以上、特には50N/cm2 以上である
ことが好ましい。
【0025】本発明において、一次シールまたは二次シ
ールには、その物性、成形性、作業性等種々の特性を改
良するために、有効量の有機系または無機系フィラーを
添加することが特に好ましい。有機系フィラーとして
は、前記のような問題を発生させない範囲内の添加量で
ブチルゴム系材料、ポリエチレンパウダー等、無機フィ
ラーとしては炭酸カルシウム、タルク、シリカ、雲母等
が使用できる。
【0026】二次シールと基板との接触部分を、基板の
特性に応じて選択されたプライマーで基板を予め処理す
ることが好ましい。このプライマー処理によって、基板
と二次シールを構成する硬化型シーリング材との間の接
着力はより強固なものとなり、信頼性、耐久性をさらに
向上させることが可能となる。用いられるプライマーと
しては、例えば、シランカップリング剤、チタンアルコ
キシド系化合物等が挙げられる。
【0027】本発明のEC調光素子においては、電解質
材料、一次シールおよび二次シールの少なくとも一部
に、2枚の基板の間隔を規定するスペーサーを設けるこ
とが好ましい。このスペーサーによって、EC調光素子
に外力が加わった際にも、基板の間隔が維持され、EC
調光素子の外観、信頼性等の維持・向上が可能となる。
スペーサーの形状、材質は、EC調光素子の外観、耐久
性等から球状ガラスビーズが最も好ましい。
【0028】スペーサーの設置箇所は、特に限定され
ず、EC調光素子の種類、構成等により種々の選択が可
能であるが、外観上からEC調光素子の周辺部近傍に設
置することが特に好ましい。また、スペーサーは、基板
に固定材で固定させる、一次シールあるいは二次シール
に混合する等の種々の方法によってその移動、脱落等を
抑制することができる。
【0029】電解質材料あるいはシーリング材の耐候性
向上のために、素子基板上の外面あるいは内面に紫外線
吸収層を形成することが好ましい。基板が樹脂材料であ
る場合は紫外線吸収剤を基板自体に含有させて一体化さ
せた構成も可能である。使用される紫外線吸収剤とし
て、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化
合物等の公知のものが挙げられる。
【0030】本発明のEC調光素子の製造において、電
解質材料は種々の公知の方法で封入することが可能であ
る。例えば、1枚の基板上に最初に一次シール材を内側
に施した後、その外側に二次シールを施し、次に、上か
らもう1枚の基板を載せ、一次シールおよび二次シール
からなるシーリング材を押圧により変形させながら圧着
して2枚の基板の間にシーリング材で取り囲まれた空セ
ルを作成する。次に、この空セル内に電解質材料を導入
するのであるが、セル内を真空状態にしながらセル内に
電解質材料を充填する方法は最も有効な封入方法であ
る。一方、高粘調液体やゲル等の高粘度の電解質材料
は、空セル化前に一方の基板上に直接塗布する方法がよ
り好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】図1に、本発明のEC調光素子の
基本的構成例の模式断面図を示す。図1に示すEC調光
素子は、対向する2枚の基板11および12と、該二枚
の基板11および12の内側表面にそれぞれ積層された
電極13および14を有し、電極13の表面にEC層1
5が積層されている。このEC層15と、基板12上の
電極14との間に電解質材料16が挟持されている。基
板11と12の間の間隙外周縁17に沿って、電解質材
料16を取り囲むように、シーリング材18が周設さ
れ、電解質材料16を封止している。シーリング材18
は、内側に周設された一次シール19と、その一次シー
ルの外側に周設された二次シール20とからなる。この
図1に示すEC調光素子の電極13と14には、電源
(図示せず)が接続され、必要な電圧が印加される。
【0032】また、図2は、本発明のEC調光素子の別
の構成例を示す模式断面図である。この図2に示すEC
調光素子は、対向する2枚の基板21と22のそれぞれ
内側表面に電極23および24が積層され、電極23と
24の間には、EC材と電解質材料を混合した混合材料
25が充填されている。混合材料25は、図1と同様
に、内側に周設された一次シール26と、外側に周設さ
れた二次シール27とからなるシーリング材28によっ
て、基板21と22の間の間隙外周縁26に沿って、該
混合材料25を取り囲むように封止される。
【0033】基板の材質、厚さ、寸法、形状等は、目的
に応じて適宜選択される。具体的には、ガラス、金属、
セラミック、あるいはポリエステル、ポリスルホン、ポ
リカーボネート等のプラスチックからなる透明または不
透明の板、フィルム等が用途、目的、要求特性等に応じ
て適宜選択される。
【0034】建築物、自動車等の通常の開口部に用いる
調光素子としては、2枚の基板がともに透明であること
が特に好ましい。この場合、スリガラス、白色のプラス
チックフィルムのような半透明のものも使用できる。ま
た、調光鏡の場合には、金属や不透明セラミック等の不
透明基板を使用でき、金属やセラミックスあるいは金属
で被覆したプラスチックフィルム等を用いることもでき
る。また、電極を兼用する導電基板の場合には、アルミ
ニウム膜、ステンレス膜、銅膜、銀膜等であってもよ
い。
【0035】また、基板には、必要に応じて、ガスバリ
ヤ膜、ハードコート膜、反射防止膜、アルカリ溶出防止
膜、電極を構成する導電膜との接着性向上のための膜な
どを積層することもできる。この基板の厚さは、用途、
目的、要求特性等に応じて適宜選択される。
【0036】電極は、非透明性、透明性のいずれも使用
できるが、透明性のものが好ましく、具体的にはITO
(In2 3 −SnO2 )、SnO2 、ZnO等が挙げ
られる。これらは、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着
法、スパッタリング法等公知の方法で基板上に成膜でき
る。調光鏡の場合にはアルミニウム、ステンレス、銅ま
たは銀からなる金属の反射性膜とすることもできる。
【0037】図1に示すEC調光素子のEC層15は、
2 5 、Nb2 5 、TiO2 、WO3 等の還元発色
型材料や、NiO、Cr2 3 、MnO2 、CoO等の
酸化発色型材料等からなるものが好適であり、これら
は、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリン
グ法等公知の方法で成膜できる。膜厚は、特に限定され
ないが、通常10〜2000nm程度の範囲であり、2
0から1000nm程度が特に好ましい。このような範
囲であれば、十分な着色効果が得られ、応答速度が遅れ
るという問題もない。
【0038】電解質材料としては、極性溶媒に支持電解
質を混合・溶解させた組成物が通常用いられる。必要に
応じて、電解質材料の粘度を増加させてゲル状にするた
めに溶媒に可溶な高分子量ポリマーを添加したり、ある
いは電解質材料を固体状化させるために重合性化合物を
混合後、UV光等で後硬化させて網目状構造にさせても
よい。さらに必要に応じて他の添加物を共存させること
も可能である。
【0039】電解質材料に用いる極性溶媒としては、有
機非水溶液が用いられる。具体的には、プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、スルホラン、γ−ブ
チロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド等またはこれらの混合物等が挙げられる。
【0040】支持電解質としては、特に限定されない
が、例えば、アルカリ金属塩や4級アンモニウム塩等が
挙げられる。アルカリ金属塩としては、過塩素酸リチウ
ム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、テトラフ
ルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウ
ム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ヘキサフルオロリ
ン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキ
サフルオロリン酸カリウム、トリフルオロ酢酸リチウ
ム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等が挙げら
れる。
【0041】4級アンモニウム塩としては、過塩素酸テ
トラエチルアンモニウム、過塩素酸テトライソプロピル
アンモニウム、過塩素酸テトラn-ブチルアンモニウム等
の過塩素酸の4級アンモニウム塩、またはテトラフルオ
ロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホ
ウ酸テトラn-ブチルアンモニウム等のテトラフルオロホ
ウ酸の4級アンモニウム塩、またはヘキサフルオロリン
酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テ
トラn-ブチルアンモニウム等のヘキサフルオロリン酸の
4級アンモニウム塩、またはトリフルオロメタンスルホ
ン酸テトラn-ブチルアンモニウム等のトリフルオロメタ
ンスルホン酸の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0042】図2に示す別の構成例のように、電解質材
料の別の態様として、有機系EC剤が極性溶媒および支
持電解質等と混合された組成物として使用されることが
ある。この場合、有機系EC剤が酸化還元反応により発
色するため、前述のWO3 等のEC層は不要となる。有
機EC剤の例として、ビオロゲン構造を有するビピリジ
ニウム塩化合物、アルキル置換ベンジジン化合物、フェ
ナジン誘導体等の含窒素芳香族系化合物等、さらにはこ
れらの組合せからなるレドックス系材料等が挙げられ
る。
【0043】レドックス材料が添加されそれ自体が支持
電解質として機能する場合は別途の支持電解質を加えな
いこともある。レドックス材料としては、電解質材料中
において安定に酸化還元可能なものが好ましく、ビオロ
ゲン構造を有するビピリジニウム塩化合物、アルキル置
換ベンジジン化合物、フェナジン誘導体等の含窒素芳香
族系化合物等、さらにはこれらの組合せからなるレドッ
クス系材料以外に、例えば、フェロセン、ヨウ化リチウ
ム、塩化銅等が挙げられる。このとき、支持電解質を併
用することも特に好ましい。
【0044】支持電解質であるアルカリ金属塩や4級ア
ンモニウム塩あるいはレドックス材料の含有量は、特に
限定されないが、通常、全電解質組成物(支持電界質の
他にEC剤、溶媒等を含む組成物)において0.5〜3
0質量%、特に1〜20質量%が好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例1〜6および比較例1
〜4により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0046】(1)電極基板の作製 膜厚0.5μmのITO膜を有するガラス基板(縦10
cm×横10cm×3mm)上に、高真空条件(1.3
3×10-3Pa(1×10-5mmHg))下、2nm/
秒の成膜速度でWO3 を蒸着し、500nmの厚みのW
3 からなる還元発色EC層を有する電極基板(以下E
C基板という)を作製した。一方、膜厚0.5μmのI
TO膜のみを有するガラス基板(縦10cm×横10c
m×3mm)を対向基板として用意した。
【0047】(2)EC調光素子の作製(図1の素子構
成) 還元発色EC層を上にしてEC基板を水平に置き、下記
表1に組成を示す一次シール材A〜Eを内側に、その外
側に、スペーサとして外径400μmの球状ガラスビー
ズを混合した2成分混合湿気硬化型シリコーン系シーリ
ング材を、基板の内側を取り囲むように基板の外周縁に
沿って敷設し、シーリング部を形成した。このとき、シ
ーリング部の1箇所に電解質材料の注入口となる開口部
を設けておいた。次に、上から対向基板を載せて押圧し
シーリング部とEC基板および対向基板とを接着させた
後、注入口からγ−ブチロラクトン/ヨウ化リチウム
(6ml/0.1g混合物)系電解質材料を真空注入し
て注入口をブチルゴムで封止した。続いてEC基板およ
び対向基板のITO膜からなる電極の各々にリード線を
接続してEC調光素子を作製し、その性能評価を行っ
た。
【0048】使用した一次シール材の基本組成(質量
部)を表1に示す。 エチレン−プロピレン共重合体ゴム: EPR−1(エチレン/プロピレンの質量比=75/2
5) EPR−2(エチレン/プロピレンの質量比=60/4
0)
【0049】
【表1】
【0050】(3)耐熱放置試験 90℃の恒温槽内において500時間放置し、耐熱試験
を行った。表2に示すように、一次シール材としてEP
R系材料を含むシーリング材を使用した本発明の実施例
1〜3のEC調光素子は、いずれも極めて良好な耐熱性
を示した。一方、一次シール材としてブチルゴム系材料
を含むシーリング材を使用した比較例1および2では素
子内部に白濁が発生した。赤外線スペクトル分析の結
果、ブチル材料に添加されているものと考えられるステ
アリン酸金属塩の侵入による欠点と思われる。
【0051】(4)耐熱駆動試験 90℃の恒温槽内において着色状態と消色状態を繰り返
す試験を100000回行った。
【0052】EC基板側が負極、対向基板側が正極とな
るように両基板の電極間に1.5Vの電圧を10秒間印
加した後、EC基板側が正極、対向基板側が負極となる
ように1Vの電圧を印加し、透過率が25%から50%
まで変化するのに要する時間を測定した。
【0053】表2に示すように、本発明の実施例1〜3
では、試験後でも外観上の欠点の発生は見られなかっ
た。一方、一次シール材としてブチルゴム系シーリング
材を使用した比較例1および2では、シール周辺での白
色物質の析出が発生するとともに、消色速度の遅延が見
られた。
【0054】
【表2】
【0055】(5)EC調光素子の作製(図2の素子構
成) 膜厚0.4μmのITO膜を有するガラス基板(縦10
cm×横10cm×3mm)を2枚用意し、ITO膜を
上にして1枚のガラス基板を水平に置き、前記表1に組
成を示す一次シール材A〜Eを内側に、その外側に、外
径400μmの球状ガラスビーズを混合した2成分混合
湿気硬化型シリコーン系シーリング材を、基板の内側を
取り囲むように基板の外周縁に沿って敷設し、シーリン
グ部を形成した。このとき、シーリング部の2箇所に電
解質材料の注入口となる開口部を設けておいた。次に、
上から対向基板を載せて押圧しシーリング部と2枚のガ
ラスとを接着させた後、注入口からプロピレンカーボネ
ート/ジフェニルプロピル−ビピリジニウムテトラフル
オロホウ酸塩/ジメチルフェナジン:10ml/0.2
g/0.1g混合物を真空注入して注入口をブチルゴム
で封止した。続いて両ガラス基板のITO膜からなる電
極の各々にリード線を接続してEC調光素子を作製し
た。得られたEC調光素子は、有機レドックス剤をEC
剤として用いた図2に示す構成を有する。
【0056】(6)EC調光素子の性能評価 このEC調光素子について、実施例1〜3、ならびに比
較例1および2と同様にして、性能評価を行った。結果
を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表2および3から明らかなように、ポリイ
ソブチレン系材料とエチレン−プロピレン共重合体ゴム
系材料とを含む熱可塑性シーリング材を一次シール材と
して用いた場合、耐熱耐久性に極めて優れるEC調光素
子が得られることが判る。
【0059】
【発明の効果】本発明のEC調光素子は、耐熱耐久性に
優れ、しかもその耐久性が長期に渡って維持され、素子
内部に白濁等の外観上の欠陥が発生したり、応答速度等
の素子性能が変化せず、信頼性が高い。そのため、本発
明のEC調光素子は、窓、間仕切り、天窓、ドア等の建
築物の開口部、自動車、船舶、列車、航空機等の窓に適
用して、必要なときに電圧を印加して駆動し不透明にま
たは着色して透過光量を可変して、入射・透過光による
眩しさ、暑さを低減でき、さらに省エネルギーに有効で
あり、プライバシーの確保に有効な不透明な遮光体を形
成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のEC調光素子の構成例を示す模式断
面図である。
【図2】 本発明のEC調光素子の別の構成例を示す模
式断面図である。
【符号の説明】
11、12 基板 13、14 電極 15 EC層 16 電解質層 17 外周縁 18 シーリング部 19 一次シール 20 二次シール 21、22 基板 23、24 電極 25 混合材料 26 一次シール 27 二次シール 28 シーリング材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小寺 省吾 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 戸谷 智博 神奈川県横浜市泉区新橋町1178 (72)発明者 小林 幸雄 東京都江東区南砂4−5−5−403 Fターム(参考) 2K001 AA08 CA19 CA20 DA02 DA03 DA21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向して配設された、少なくとも一方の一
    部または全部が透明な2枚の基板間に、電解質材料を挟
    入し、該電解質材料を取り囲むように2枚の基板の周縁
    部間隙に配設されたシーリング材によって電解質材料を
    封止してなるエレクトロクロミック調光素子であって、 前記シーリング材が、内側に配設された一次シールと、
    外側に配設された二次シールとを有し、一次シールがポ
    リイソブチレン系材料と、エチレン−プロピレン系共重
    合体とを含む熱可塑性シーリング材からなり、二次シー
    ルが硬化型シーリング材からなるエレクトロクロミック
    調光素子。
  2. 【請求項2】一次シールにおけるポリイソブチレン系材
    料/エチレン−プロピレン系共重合体の配合比が質量比
    で90/10〜30/70である請求項1に記載のエレ
    クトロクロミック調光素子。
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WO2009041183A1 (ja) * 2007-09-26 2009-04-02 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha 電気泳動表示パネル及び画像表示装置
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