JP2003138020A - アルコール性水酸基を封鎖した重合体、該重合体を含有してなる組成物及びそれを成形させて得られる成形体 - Google Patents

アルコール性水酸基を封鎖した重合体、該重合体を含有してなる組成物及びそれを成形させて得られる成形体

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JP2003138020A
JP2003138020A JP2001336861A JP2001336861A JP2003138020A JP 2003138020 A JP2003138020 A JP 2003138020A JP 2001336861 A JP2001336861 A JP 2001336861A JP 2001336861 A JP2001336861 A JP 2001336861A JP 2003138020 A JP2003138020 A JP 2003138020A
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polymer
acid
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alcoholic hydroxyl
composition
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JP2001336861A
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English (en)
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Akihiko Fukada
亮彦 深田
Nobuaki Otsuki
信章 大槻
Toshio Awaji
敏夫 淡路
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性や誘電率、粘度等の基本性能が充分に
向上されたアルコール性水酸基を封鎖した重合体、該重
合体を含有してなる組成物並びに該組成物を成形させて
得られる成形体及び塗膜を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が300以上500万以
下でありかつ分子中にアルコール性水酸基を有する重合
体に単官能ビニルエーテルを反応させて得られるアルコ
ール性水酸基を封鎖した重合体、該アルコール性水酸基
を封鎖した重合体を含有してなる組成物、該組成物を成
形させて得られる成形体及び該組成物をフィルム状に成
形して得られる塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコール性水酸
基を封鎖した重合体に関する。より詳しくは、エポキシ
アクリレート、不飽和ポリエステル、フェノキシ樹脂、
水酸基含有ポリマー等においてアルコール性水酸基を封
鎖した重合体、該重合体を含有してなる組成物並びに該
重合体を含有してなる組成物を成形させて得られる成形
体及び塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコール性水酸基を有する重合体とし
ては、例えば、エポキシアクリレートや不飽和ポリエス
テル等が挙げられ、工業的に広く用いられているが、末
端や側鎖等にアルコール性水酸基を有することから、そ
れが耐水性や粘度、誘電率等の基本性能に影響を与え、
粘度が高く、誘電率も高くなる傾向にある。例えば、こ
のような重合体は、住設分野、土木・建設分野、輸送分
野、電子・情報分野等における複合材料用マトリック
ス、注型材料、インキ・コーティング剤、塗料、接着剤
等の各種の用途に用いられ、様々な性能が要求されるこ
とになるが、アルコール性水酸基を封鎖することによ
り、その基本性能を向上させることが検討されている。
【0003】このような重合体において、アルコール性
水酸基を封鎖する方法としては、酸無水物、カルボン酸
含有化合物、イソシアネート化合物等を付加する方法が
挙げられる。しかしながら、酸無水物やカルボン酸含有
化合物による場合には、エステル結合が形成され、これ
が誘電率を高めることとなり、また、イソシアネート化
合物による場合には、ウレタン結合が形成され、これが
粘度を高めることとなる。従って、これらを用いる場合
には、いずれもアルコール性水酸基を封鎖することによ
る効果が充分には得られないことから、アルコール性水
酸基を有する重合体の耐水性や誘電率、粘度等の基本性
能が充分に向上されるように、アルコール性水酸基を封
鎖した重合体を工夫する余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、耐水性や誘電率、粘度等の
基本性能が充分に向上されたアルコール性水酸基を封鎖
した重合体、該重合体を含有してなる組成物並びに該重
合体を含む組成物を成形させて得られる成形体及び塗膜
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アルコー
ル性水酸基を封鎖した重合体について種々検討した結
果、特定の重量平均分子量でありかつ分子中にアルコー
ル性水酸基を有する重合体が各種の用途に用いることが
できることに着目し、このような重合体に単官能ビニル
エーテルを反応させると、アルコール性水酸基と単官能
ビニルエーテルとの結合部分に誘電率、粘度等の基本性
能が損なわれるような結合が形成されることがなく、し
かも、単官能ビニルエーテルが有するエーテル基が末端
や側鎖にある官能基中に存在することに起因して、誘電
率や粘度を低下させて基本性能を向上させることが可能
となることを見いだした。特に低粘度化の効果が大き
く、このような重合体を含有してなる組成物において重
合体の粘度を低下させるために希釈剤を用いる場合、こ
の使用量を低減することができることから、低臭気樹脂
への応用が可能となる。また、分子中にアルコール性水
酸基を有する重合体が重合性二重結合を有していたり、
エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、フェノキ
シ樹脂及び水酸基含有ポリマーからなる群より選択され
る少なくとも一種のものであったりすると、各種の用途
に好適に用いることができることも見いだした。
【0006】更に、このような重合体を含有してなる組
成物を成形させて得られる成形体や、このような重合体
を含有してなる組成物をフィルム状に成形して得られる
塗膜が、耐水性や誘電率等の基本性能に優れるため様々
な用途に用いることができることも見いだし、本発明に
到達した。
【0007】すなわち本発明は、重量平均分子量が30
0以上500万以下でありかつ分子中にアルコール性水
酸基を有する重合体に単官能ビニルエーテルを反応させ
て得られるアルコール性水酸基を封鎖した重合体であ
る。
【0008】本発明はまた、上記アルコール性水酸基を
封鎖した重合体を含有してなる組成物でもある。本発明
は更に、上記組成物を成形させて得られる成形体及び上
記組成物をフィルム状に成形して得られる塗膜でもあ
る。以下に、本発明を詳述する。
【0009】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体は、重量平均分子量が300以上500万以下であ
りかつ分子中にアルコール性水酸基を有する重合体と単
官能ビニルエーテルとにより形成されることになるが、
該重合体が有するアルコール性水酸基を、単官能ビニル
エーテルが有するビニルエーテル基と反応させることに
より封鎖したものである。上記重合体及び単官能ビニル
エーテルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0010】上記アルコール性水酸基を有する重合体が
1分子中に有するアルコール性水酸基の数としては特に
限定されるものではない。また、アルコール性水酸基を
複数有する重合体を用いる場合、本発明のアルコール性
水酸基を封鎖した重合体は、全てのアルコール性水酸基
が封鎖されてなるものであってもよく、一部のアルコー
ル性水酸基が封鎖されてなるものであってもよい。すな
わち本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重合体は、
封鎖されていないアルコール性水酸基を有していてもよ
い。
【0011】上記重量平均分子量が300以上500万
以下でありかつアルコール性水酸基を有する重合体の好
ましい形態としては、重量平均分子量が500以上10
0万以下であるものである。より好ましくは、800以
上20万以下である。また、重合性二重結合を有するこ
とが好ましい。これにより、生成するアルコール性水酸
基を封鎖した重合体が重合性二重結合を有するものとな
るため、硬化性に優れたものとなる。
【0012】上記アルコール性水酸基を有する重合体と
してはまた、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステ
ル、フェノキシ樹脂及び水酸基含有ポリマーからなる群
より選択される少なくとも一種のものであることが好適
である。これらの中でも、エポキシアクリレートがより
好ましい。
【0013】上記エポキシアクリレートとしては、(メ
タ)アクリロイル基を有するエポキシアクリレートであ
れば特に限定されず、例えば、ビスフェノール型やノボ
ラック型等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を開環
付加させて得ることができる。
【0014】上記エポキシアクリレートは、エポキシ樹
脂と不飽和一塩基酸とを開環付加反応させて得られる。
上記不飽和一塩基酸としては、例えば、後述する不飽和
一塩基酸が挙げられ、1種又は2種以上を用いることが
できる。更に、必要に応じて、飽和一塩基酸及び/又は
多塩基酸を、不飽和一塩基酸と併用することもできる。
【0015】上記エポキシ樹脂としては、特に限定され
ず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエ
ポキシ樹脂であればいずれも用いることができ、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;
脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニ
ルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフ
ェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジ
ルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂
やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、
o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェ
ノール化合物と、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳
香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノ
ール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;フェノ
ール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン
等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポ
リフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応
物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環
重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイ
ソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;フェ
ノールアラルキル型エポキシ樹脂;等が挙げられる。ま
た、これらのエポキシ樹脂の2分子以上を、多塩基酸、
ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物、多価チオ
ール等の鎖延長剤との反応によって結合して鎖延長した
ものも使用できる。これらは、1種又は2種以上を用い
ることができる。
【0016】また、エポキシアクリレートに含有される
アルコール性水酸基を部分的に多価イソシアネート化合
物と反応させ、高分子量化したエポキシアクリレート、
あるいは、エポキシアクリレートに含有されるアルコー
ル性水酸基に部分的に酸無水物を付加させ、生成したカ
ルボキシル基を、多官能エポキシ化合物と反応させ、高
分子量化したエポキシアクリレート等も用いることがで
きる。
【0017】上記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを開
環付加反応させてエポキシアクリレートを製造する際の
反応温度や反応時間等の反応条件としては特に限定され
ず、例えば、公知の反応条件を採用することができる。
すなわち、エポキシアクリレートの製造方法は、特に限
定されるものではない。
【0018】上記不飽和ポリエステルとしては、エステ
ル結合と不飽和二重結合とを有する重合体であれば特に
限定されず、例えば、不飽和ジカルボン酸と、多価アル
コールとを縮合させて得ることができる。
【0019】上記不飽和ポリエステルは、不飽和多塩基
酸を主成分とする酸成分と、多価アルコール及び/又は
エポキシ化合物を主成分とする多価アルコール成分とを
縮重合させて得られる、不飽和結合を有する重合体であ
る。
【0020】上記酸成分は、必要に応じて、脂肪族飽和
多塩基酸や芳香族飽和多塩基酸等の飽和多塩基酸を更に
含んでいてもよく、又は、アクリル酸、メタクリル酸、
ケイ皮酸、これらカルボン酸の誘導体等の不飽和一塩基
酸(不飽和モノカルボン酸)や、飽和一塩基酸(飽和モ
ノカルボン酸)等の一塩基酸を更に含んでいてもよい。
上記多価アルコール成分は、必要に応じて、ヒドロキシ
ジシクロペンタジエン、ベンジルアルコール、アリルア
ルコール等の一価アルコールを更に含んでいてもよい。
一塩基酸及び一価アルコールとしては、特に限定される
ものではない。更には、不飽和ポリエステルの末端カル
ボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートを開環付
加させて得られる(メタ)アクリレート変性不飽和ポリ
エステル等も用いることができる。
【0021】上記酸成分として用いられる不飽和多塩基
酸としては、同一分子内に、ビニル単量体と重合可能な
二重結合を少なくとも1つ有すると共に、多価アルコー
ル成分として用いられる多価アルコール及び/又はエポ
キシ化合物が有する官能基(つまり、ヒドロキシル基及
び/又はエポキシ基)と反応してエステル結合を形成す
ることが可能な置換基(例えば、カルボキシル基)を複
数有する化合物であればよく、特に限定されるものでは
ない。
【0022】上記不飽和多塩基酸としては、例えば、マ
レイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸等の
α,β−不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸等のβ,γ
−不飽和多塩基酸等が挙げられる。また、不飽和多塩基
酸の代わりに、不飽和多塩基酸の誘導体を用いることも
できる。該誘導体としては、例えば、上記不飽和多塩基
酸の無水物;上記不飽和多塩基酸のハロゲン化物;上記
不飽和多塩基酸のアルキルエステル等が挙げられる。こ
れら不飽和多塩基酸や誘導体は、単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0023】上記酸成分として必要に応じて用いられる
飽和多塩基酸としては特に限定されず、例えば、マロン
酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハ
ク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、
グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタ
ル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチル
グルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸等の脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳
香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフ
タル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、5−ノル
ボルネン−2,3−ジカルボン酸、trans−1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族飽和多塩基酸
等が挙げられる。また、飽和多塩基酸の代わりに、飽和
多塩基酸の誘導体を用いることもできる。上記誘導体と
しては、例えば、上記飽和多塩基酸の無水物;上記飽和
多塩基酸のハロゲン化物;上記飽和多塩基酸のアルキル
エステル等が挙げられる。これら飽和多塩基酸や誘導体
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】上記多価アルコール成分として用いられる
多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール
(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,4−ブ
タンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オ
クタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−
デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチ
ル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,4−
ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタン
ジオール、4,5−ノナンジオール、トリエチレングリ
コール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール、水素化ビス
フェノールA、水素化ビスフェノールAのアルキレンオ
キサイド付加物、ビスフェノールAのアルキレンオキサ
イド付加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0025】上記多価アルコール成分として用いられる
エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、エチ
レンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシ
ド、スチレンオキシド、グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジ
ルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0026】上記多価アルコール成分として多価アルコ
ールとエポキシ化合物とを併用する場合における両者の
割合は、多価アルコールの種類やエポキシ化合物の種類
等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではな
い。また、多価アルコール成分における上記一価アルコ
ールの割合は、50重量%未満であることが好ましい。
【0027】上記酸成分と多価アルコール成分とを縮重
合させて不飽和ポリエステルを製造する際の反応温度や
反応時間等の反応条件は、特に限定されるものではな
く、例えば、公知の反応条件を採用することができる。
すなわち不飽和ポリエステルの製造方法は、特に限定さ
れるものではない。
【0028】上記フェノキシ樹脂としては、下記一般
式;
【0029】
【化1】
【0030】(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々個
別に水素原子、ハロゲン又はC1〜5のアルキル基を表
す。)で表されるフェノキシ構造を有し、分子内にアル
コール性水酸基を有する重合体であれば特に限定され
ず、例えば、ビスフェノールAやテトラブロムビスフェ
ノールAとビスフェノールA型エポキシ樹脂やテトラブ
ロムビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させて得
ることができる。
【0031】上記水酸基含有ポリマーとしては、アルコ
ール性水酸基を有する重合体であれば特に限定されるも
のではない。例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマル酸等のカルボキシル基含有単量体を単量体成
分として用い、重合後、グリシジル(メタ)アクリレー
トと反応させて得られるポリマー、あるいは、グリシジ
ル(メタ)アクリレートを単量体成分として用い、重合
後、(メタ)アクリル酸と反応させて得られるポリマー
等が挙げられる。もちろん、これらの方法により得られ
たポリマーに限定されるものではなく、重合性二重結合
を有したアルコール性水酸基含有ポリマーであれば特に
好適に使用することができる。
【0032】上記のポリマーは単独重合体でも共重合体
でもよく、共重合体に用いられる単量体としては、例え
ば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチ
レン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アクリロ
ニトリル、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N
−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、マレイン酸ジメチ
ル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0033】本発明における単官能ビニルエーテルは、
分子中にビニルエーテル基を1個有する化合物であり、
ビニルエーテル基以外の官能基を有していてもよく、有
していなくてもよいが、得られるアルコール性水酸基を
封鎖した重合体の硬化性が向上することから、例えば、
(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
【0034】本発明で用いる単官能ビニルエーテルとし
ては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビ
ニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチ
ルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エ
チルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニ
ルエーテル、アリルビニルエーテル、(メタ)アクリル
酸ビニロキシエトキシエチル等が挙げられる。
【0035】上記アルコール性水酸基を有する重合体と
単官能ビニルエーテルとの反応モル比としては特に限定
されず、アルコール性水酸基を封鎖した重合体の用途や
所望する物性等により適宜設定すればよいが、例えば、
重合体が有する水酸基1モルに対して単官能ビニルエー
テル類が0.02〜50モルとなるようにすることが好
ましい。より好ましくは、0.1〜10モルである。更
に好ましくは、0.5〜2モルである。
【0036】本発明においてはまた、本発明の作用効果
を奏する限り、単官能ビニルエーテルと共に、分子中に
ビニルエーテル基を2個以上有する多官能ビニルエーテ
ルを併用してもよい。多官能ビニルエーテルとしては特
に限定されず、1種又は2種以上を用いることができ
る。
【0037】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体は、重量平均分子量が300以上500万以下であ
りかつ分子中にアルコール性水酸基を有する重合体に単
官能ビニルエーテルを反応させる工程を含んでなる製造
方法により得られることになるが、このような製造方法
は、本発明の好ましい実施形態の1つである。上記工程
では、単官能ビニルエーテルにより重合体が有するアル
コール性水酸基の一部又は全部を封鎖することになる。
【0038】上記製造方法における反応方法としては特
に限定されず、例えば、アルコール性水酸基を有する重
合体と、単官能ビニルエーテルとを反応させる際の添加
方法としては、反応初期に一括して仕込んでもよく、ど
ちらか又は両方を連続又は断続的に反応系中に添加して
もよい。また、上記反応は、触媒の存在下に行われるこ
とが好ましく、触媒としては、酸が好適である。酸とし
ては特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、ブタン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ピルビ
ン酸、グリコール酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ
酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、マロン酸、フマル酸、
酒石酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;安息香
酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;ベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸キノリニ
ウム塩等の芳香族スルホン酸又はその塩;硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸ジルコニウム等の硫酸
塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水
素塩;硫酸、塩酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸;リン
バナドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、ケ
イタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸;酸性ゼオ
ライト;ベースレジンがフェノール系樹脂又はスチレン
系樹脂であり、ゲル型、ポーラス型又はマクロポーラス
型の何れかの形態を示し、かつ、スルホン酸基及びアル
キルスルホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一
種のイオン交換基を有する酸性イオン交換樹脂等が挙げ
られる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。これらの中でも、シュウ酸、マレイン酸、
硫酸水素カリウム、塩酸が好ましい。他の酸触媒の場
合、付加反応の触媒として作用するほか、ビニルエーテ
ルのカチオン重合開始剤として作用することがある。し
たがって狭い範囲での温度コントロールが必要になる
が、塩酸の場合、カチオン重合開始剤としては作用せ
ず、付加反応にのみ選択的に効くため、かなり広い範囲
での温度コントロールが採用でき、製造面で非常に有利
である。
【0039】上記触媒の使用量としては、反応に用いる
アルコール性水酸基を有する重合体及び単官能ビニルエ
ーテルの種類や組み合わせ等により適宜設定すればよい
が、収率、触蝶の安定性、生産性及び経済性の点から、
例えば、単官能ビニルエーテル100重量部に対して
0.0005〜1重量部とすることが好ましい。より好
ましくは、0.001〜0.5重量部である。
【0040】上記製造方法においてはまた、単官能ビニ
ルエーテルが重合性化合物であることから、重合禁止剤
の存在下で反応を行うことが好ましく、重合を抑制し、
収率を向上することができることになる。
【0041】上記重合禁止剤としては特に限定されず、
例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾ
キノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系
重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−t
ert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6
−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,
4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキ
ルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミ
ン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、
フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤;ジメチルジチ
オカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジ
ブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅
系重合禁止剤等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、キ
ノン系重合禁止剤が好ましく、ヒドロキノン、メトキシ
ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカ
テコール、フェノチアジンが好適に用いられる。
【0042】上記重合禁止剤の添加量としては、単官能
ビニルエーテルの種類等に応じて適宜設定すればよい
が、重合抑制効果、収率、生産性及び経済性の点から、
例えば、該単官能ビニルエーテル100重量部に対して
0.001〜5重量部とすることが好ましい。より好ま
しくは、0.005〜1重量部であり、特に好ましくは
0.01〜0.1重量部である。
【0043】上記製造方法では、反応時に特に溶剤を使
用する必要はないが、有機溶剤1種又は2種以上を使用
することもできる。有機溶剤としては特に限定されず、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等の極性溶媒類:クロロホルム、塩化メ
チレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン
化炭化水素類等が挙げられる。
【0044】上記有機溶剤の使用量としては、アルコー
ル性水酸基を有する重合体や単官能ビニルエーテルの種
類や組み合わせ等にもよるが、収率、生産性及び経済性
の点から、これらの合計重量100重量部に対して0〜
200重量部とすることが好ましい。より好ましくは、
0〜100重量部であり、特に好ましくは、0〜70重
量部である。
【0045】上記製造方法における反応条件としては、
例えば、反応温度は、収率、生産性及び経済性の点から
−40〜150℃とすることが好ましい。より好ましく
は、−30〜100℃であり、特に好ましくは、−20
〜70℃である。反応時間は、上記反応が完結するよう
に、アルコール性水酸基を有する重合体や単官能ビニル
エーテル、触媒や用いる有機溶剤の種類や組み合わせ、
使用量等に応じて適宜設定すればよい。反応圧力は、ア
ルコール性水酸基を有する重合体や単官能ビニルエーテ
ルの種類、反応温度等にもよるが、反応系が液体状態に
保たれる圧力であれば特に限定されず、常圧(大気
圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0046】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体は、例えば、エポキシアクリレート、不飽和ポリエ
ステル、二重結合含有ポリマー等と単官能ビニルエーテ
ルとを反応させて得られるものである場合は、熱硬化性
や光硬化性を有することになり、架橋剤を用いずに
(1)熱硬化及び/又は(2)光硬化させて使用しても
よいし、架橋剤を併用して(1)熱硬化及び/又は
(2)光硬化させて使用してもよい。この場合、上記
(1)では、複合材料のマトリックス、塗料、接着剤、
注型品等に好適に用いることができ、上記(2)では、
複合材料のマトリックス、塗料、接着剤、注型品、イン
キ、コーティング等に好適に用いることができる。
【0047】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体はまた、例えば、フェノキシ樹脂等と単官能ビニル
エーテルとを反応させて得られるものである場合は、熱
可塑性を有することになり、(1)他の重合体と併用せ
ずに単独で用いてもよく、(2)改質剤として用いても
よい。この場合、上記(1)では、溶剤に溶解させた
り、あるいは加熱溶融して塗料、接着剤、コーティング
等に好適に用いることができ、上記(2)では、複合材
料のマトリックス、塗料、接着剤、インキ、コーティン
グ等に好適に用いることができる。
【0048】また、上記アルコール性水酸基を封鎖した
重合体を含有してなる組成物も本発明の1つであり、該
重合体を含有することにより耐水性や誘電率等の基本性
能に優れた成形体や塗膜を形成することができ、様々な
用途に用いることができるものである。更に本発明のア
ルコール性水酸基を封鎖した重合体を含有してなる組成
物を成形させて得られる成形体や、本発明のアルコール
性水酸基を封鎖した重合体を含有してなる組成物をフィ
ルム状に成形して得られる塗膜もまた本発明の1つであ
る。
【0049】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体を含有してなる組成物は、アルコール性水酸基を封
鎖した重合体を必須とし、必要に応じてその他の成分を
1種又は2種以上を含有することになる。例えば、アル
コール性水酸基を封鎖した重合体が熱硬化性や光硬化性
を有するものである場合、架橋剤を含有してもよい。
【0050】上記架橋剤としては特に限定されず、例え
ば、反応性希釈剤等が好適である。反応性希釈剤として
は、例えば、ラジカル重合性モノマーが挙げられ、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレ
ン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニ
ルモノマー;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニル
エステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メチル
(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
トのトリ(メタ)アクリレー卜等の(メタ)アクリル系
モノマー;トリアリルシアヌレート等が使用可能であ
る。これらは、用途に応じ適宜1種又は2種以上選択し
て使用することができる。
【0051】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体を含有してなる組成物はまた、必要に応じて各種添
加剤や強化材を含有してもよい。添加剤や強化材として
は、例えば、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、充填剤、増粘剤、熱
(又は光)重合開始剤、増感剤、顔料、消泡剤、カップ
リング剤、レベリング剤、その他の公知の添加剤等が挙
げられる。また、目的とする用途によっては、特性を低
下させない範囲で、不飽和ポリエステル、エポキシアク
リレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステ
ル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂を添加してもよ
い。更に、各種強化繊維を補強用繊維として用い、繊維
強化複合材料とすることができる。
【0052】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体を含有してなる組成物を熱や光により硬化させる場
合、(熱又は光)重合開始剤が用いられる。上記熱重合
開始剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、
メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t
−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエー卜、ラウロイルパーオキサイド等の有機過
酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物
等が挙げられる。また、熱重合時には硬化促進剤を混合
して使用してもよく、硬化促進剤としては、例えば、ナ
フテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等あるいは3級
アミンが代表例として挙げられる。熱重合開始剤は、上
記組成物100重量部に対し、0.05〜5重量部の使
用が好ましい。
【0053】上記光重合開始剤としては、公知のものを
使用でき、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインと
そのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジク
ロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−
1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン
類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキ
ノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアン
トラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチ
オキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサント
ン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;
アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケ
タール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t
−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノ
ン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオ
キシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン
類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]
−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル
−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニ
ル)−ブタノン−1;アシルホスフインオキサイド類及
びキサントン類等が挙げられる。光重合開始剤は1種又
は2種以上の混合物として使用され、上記組成物100
重量部に対し、0.5〜30重量部の使用が好ましい。
【0054】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した重
合体は、耐水性や誘電率、粘度等の基本性能が充分に向
上されたものである。特に低粘度化の効果が大きく、重
合体の粘度を低下させるために希釈剤を用いる場合、こ
の使用量を低減することができることから、低臭気樹脂
への応用が可能であり、住設分野、土木・建設分野、輸
送分野、電子・情報分野等における複合材料用マトリッ
クス、注型材料、インキ・コーティング剤、塗料、接着
剤等の各種の用途に好適に用いることができるものであ
る。
【0055】
【実施例】以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、
「重量部」を意味するものとする。
【0056】実施例1 攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備
えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂(東都化成社製、YD−127)183.5g
とトリエチルベンジルアンモニウムクロリド0.734
gを入れ、アクリル酸72gを2時間かけて滴下しなが
ら115℃で5時間かけて反応を行った。得られたエポ
キシアクリレート255.5g(水酸基=1mol)に
対して、塩酸0.729gと、溶媒としての2−ブタノ
ン441.7gを入れて攪拌し、氷浴で10℃に冷却し
た。続いてn−ブチルビニルエーテル100g(1mo
l)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反
応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで
中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈して
ろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質につい
て、IR分析を行ったところ水酸基に起因する3500
cm-1付近のピークはほぼ消失していた。また、得られ
た物質65重量部に対してプロピレングリコールメチル
エーテルアセテート35部を添加し、E型粘度計にて2
5℃での粘度を測定した。更にこの溶液100重量部に
対して光重合開始剤イルガーキュアー184(チバ・ス
ペシャリティ・ケミカルズ社製)1.75重量部を添加
し、ガラス板上に塗布して溶剤を揮散させた後、UVを
照射して硬化塗膜を得た。この硬化塗膜の周波数50H
zにおける誘電率を測定した。以上の結果をまとめて表
1に示した。
【0057】実施例2 攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備
えた0.5リットルのフラスコに、無水マレイン酸5
3.9g(0.55mol)、無水フタル酸66.7g
(0.45mol)、エチレングリコール18.6g
(0.30mol)とプロピレングリコール57.1g
(0.75mol)を入れ、十分窒素置換して210℃
で6時間かけて縮合を行って酸価30の不飽和ポリエス
テルを得た。得られた不飽和ポリエステル100gに塩
酸0.078gと2−ブタノン120gを入れ、氷浴で
10℃に冷却した。続いてn−ブチルビニルエーテル1
0.7gを1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時
間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウ
ムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈
してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質に
ついて、IR分析を行ったところ水酸基に起因する35
00cm-1付近のピークはほぼ消失していた。また、得
られた物質について粘度と誘電率を実施例1と同様の方
法で測定した。それらの結果をまとめて表1に示した。
【0058】実施例3 攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備
えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂(東都化成社製、YD−127)256.9
g、ビスフェノールA177.3gとトリエチルベンジ
ルアンモニウムクロリド0.217gを入れ、120℃
で5時間かけて反応を行った。得られたフェノキシ樹脂
434.2gに対して、塩酸1.13gと、溶媒として
の2−ブタノン270gを入れて攪拌し、氷浴で10℃
に冷却した。続いてシクロヘキシルビニルエーテル19
4.4gを1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時
間反応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウ
ムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈
してろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質に
ついて、IR分析を行ったところ水酸基に起因する35
00cm-1付近のピークはほぼ消失していた。また、得
られた物質について粘度と誘電率を実施例1と同様の方
法で測定した。それらの結果をまとめて表1に示した。
【0059】実施例4 攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備
えた0.5リットルのフラスコに、メタクリル酸メチル
90g(0.9mol)、メタクリル酸8.6g(0.
1mol)とトルエン230gを入れ、十分窒素置換し
た後、70℃に昇温した。次に2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.986gを2
−ブタノンに溶解して1時間かけて系内に投入し、70
℃で5時間かけて重合を行った。重合禁止剤としてp−
メトキシフェノール0.0493gを入れ、空気を系中
に吹き込むことによって重合を完全に停止させた後、メ
タクリル酸グリシジル14.2g、テトラフェニルホス
ホニウムブロマイド0.45gを投入して110℃で5
時間エステル化反応を行った。得られたメタクリル系重
合体112.8gに塩酸0.0017gを入れ、氷浴で
10℃に冷却した。続いてn−ブチルビニルエーテル1
0g(0.1mol)を1時間かけて滴下し、室温に戻
して更に2時間反応させた。反応液を1mol/Lの水
酸化ナトリウムで中和してろ過した後、n−ヘキサンで
反応物を再沈して、ろ過、乾燥を行った。以上のように
して得た物質について、IR分析を行ったところ水酸基
に起因する3500cm-1付近のピークはほぼ消失して
いた。
【0060】また、得られた物質35重量部に対してプ
ロピレングリコールメチルエーテルアセテート65部を
添加し、E型粘度計にて25℃での粘度を測定した。更
にこの溶液100重量部に対して光重合開始剤イルガー
キュアー184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社
製)1.75重量部を添加し、ガラス板上に塗布して溶
剤を揮散させた後、UVを照射して硬化塗膜を得た。こ
の硬化塗膜の周波数50Hzにおける誘電率を測定し
た。以上の結果をまとめて表1に示した。
【0061】実施例5 攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備
えた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂(東都化成社製、YD−127)183.5g
とトリエチルベンジルアンモニウムクロリド2.14g
とヒドロキノン0.427gを入れ、アクリル酸72g
を2時間かけて滴下しながら115℃で5時間かけて反
応を行った。得られたエポキシアクリレート255.5
g(水酸基=1mol)に対して、テトラヒドロ無水フ
タル酸76.1gを添加し、100℃で3時間かけてハ
ーフエステル化を行った。続いて溶媒としてプロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート230gを入
れて攪拌し、更にビスフェノールA型エポキシ樹脂(東
都化成社製、YD−127)91.8gを添加して11
5gで5時間かけてエステル化反応を行った。更にこれ
を氷浴で10℃に冷却し、塩酸1.46gを添加した
後、シクロヘキシルビニルエーテル250g(2mo
l)を1時間かけて滴下し、室温に戻して更に2時間反
応させた。反応液を1mol/Lの水酸化ナトリウムで
中和してろ過した後、n−ヘキサンで反応物を再沈し
て、ろ過、乾燥を行った。以上のようにして得た物質に
ついて、IR分析を行ったところ水酸基に起因する35
00cm-1付近のピークはほぼ消失していた。また、得
られた物質65重量部に対してプロピレングリコールメ
チルエーテルアセテート35部を添加し、E型粘度計に
て25℃での粘度を測定した。更にこの溶液100重量
部に対して光重合開始剤イルガーキュアー184(チバ
・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.75重量部を
添加し、ガラス板上に塗布して溶剤を揮散させた後、U
Vを照射して硬化塗膜を得た。この硬化塗膜の周波数5
0Hzにおける誘電率を測定した。以上の結果をまとめ
て表1に示した。
【0062】比較例1〜3 実施例1〜3で用いたビニルエーテル化合物を付加する
前の化合物について粘度と誘電率を実施例1と同様の方
法で測定した。それらの結果をまとめて表2に示した。
【0063】比較例4 実施例4で用いたビニルエーテル化合物を付加する前の
化合物について粘度と誘電率を実施例4と同様の方法で
測定した。それらの結果をまとめて表2に示した。
【0064】比較例5 実施例5で用いたビニルエーテル化合物を付加する前の
化合物について粘度と誘電率を実施例5と同様の方法で
測定した。それらの結果をまとめて表2に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】表1及び表2中、誘電率とは、周波数50
Hzにおける誘電率である。
【0068】実施例6 実施例1で得られた物質75重量部に対してスチレン2
5部を添加し、E型粘度計で25℃での粘度を測定した
ところ、40mPa・sであった。この組成物100重
量部に対してオクテン酸コバルト0.2重量部と硬化剤
328E(化薬アクゾ社製)1重量部を添加した液体
を、厚さ1mmのシリコンゴムパッキンを2枚のガラス
板で挟んで作成したセル内へすばやく流し込み、室温で
24時間放置して硬化させた。更に110℃で2時間ポ
ストキュアーを行った後、脱型して5cm×5cmの試
験片を切り出した。この試験片を40℃のイオン交換水
に24時間浸漬し、浸漬前後の重量変化を調べたとこ
ろ、0.28%の重量増加が測定された。
【0069】次に上記組成物の硬化時のスチレン揮散量
を測定した。まず、25℃に調温した上記組成物100
重量部に対してオクテン酸コバルト0.2重量部と硬化
剤328E(化薬アクゾ社製)1重量部を添加した液体
100gを直径145mm、深さ10mmの容器に入
れ、初期重量を測定した。組成物が硬化し始めたらその
重量が0.05g以内で一致するまで15分ごとに重量
を測定し、初期重量(g)から最終重量(g)を差し引
いてサンプル面積(m)で除した値をスチレン揮散量
(g/m)とした。この様にして測定したこの組成物
におけるスチレン揮散量は35g/mであった。実際
の積層作業におけるスチレン臭を調べるため、上記組成
物100重量部に対してオクテン酸コバルト0.2重量
部と硬化剤328E(化薬アクゾ社製)1重量部を添加
した液体を450g/mのガラスマット3プライに含
浸ローラーを用いて積層してみたところ、スチレン臭は
余り気にならないレベルであった。
【0070】比較例6 実施例1で得られたビニルエ−テル付加前の物質から溶
媒を除去したもの60重量部に対してスチレン40部を
添加し、E型粘度計で25℃での粘度を測定したとこ
ろ、70mPa・sであった。この組成物100重量部
に対してオクテン酸コバルト0.2重量部と硬化剤32
8E(化薬アクゾ社製)1重量部を添加した液体を、実
施例6と同様の方法で硬化させ、試験片を得て40℃の
イオン交換水での浸漬前後の重量変化を調べたところ、
1.70%の重量増加が測定された。
【0071】次に上記組成物の硬化時のスチレン揮散量
を実施例6と同様の方法で測定したところ、スチレン揮
散量は140g/mであった。更に実際の積層作業に
おけるスチレン臭を調べるため、実施例6と同様の方法
で積層してみたところ、かなりのスチレン臭があった。
【0072】
【発明の効果】本発明のアルコール性水酸基を封鎖した
重合体は、上述のような構成からなり、耐水性や誘電
率、粘度等の基本性能が充分に向上されたものである。
特に低粘度化の効果が大きく、重合体の粘度を低下させ
るために希釈剤を用いる場合、この使用量を低減するこ
とができることから、低臭気樹脂への応用が可能であ
り、住設分野、土木・建設分野、輸送分野、電子・情報
分野等における複合材料用マトリックス、注型材料、イ
ンキ・コーティング剤、塗料、接着剤等の各種の用途に
好適に用いることができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 淡路 敏夫 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J005 AA26 BD03 4J029 AA07 AB07 AE01 AE11 BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA09 BA10 BD04A BD07A BD10 BF09 BF10 BF18 BF26 BF30 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CA09 CB04A CB05A CB06A CD03 FA06 FA07 FC03 FC05 FC08 FC29 FC35 FC36 GA12 GA13 GA14 GA17 GA24 GA32 GA41 GA42 GA43 GA67 HA01 HB01 JB142 4J031 CD10 4J036 AA01 AC03 AD01 AD07 AE05 AE07 AF06 AF08 AF36 AH07 AJ08 AJ18 CA18 CA19 CA21 CA30 CB20 CD10 JA01 4J038 CG141 CH171 DB061 DB071 DB081 DB091 DB391 DB451 DD061 DD071 DD181 DF061 GA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が300以上500万以
    下でありかつ分子中にアルコール性水酸基を有する重合
    体に単官能ビニルエーテルを反応させて得られることを
    特徴とするアルコール性水酸基を封鎖した重合体。
  2. 【請求項2】 前記分子中にアルコール性水酸基を有す
    る重合体は、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステ
    ル、フェノキシ樹脂及び水酸基含有ポリマーからなる群
    より選択される少なくとも一種のものであることを特徴
    とする請求項1記載のアルコール性水酸基を封鎖した重
    合体。
  3. 【請求項3】 前記分子中にアルコール性水酸基を有す
    る重合体は、重合性二重結合を有することを特徴とする
    請求項1又は2記載のアルコール性水酸基を封鎖した重
    合体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のアルコール性
    水酸基を封鎖した重合体を含有してなることを特徴とす
    る組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の組成物を成形させて得ら
    れることを特徴とする成形体。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の組成物をフィルム状に成
    形して得られることを特徴とする塗膜。
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JP (1) JP2003138020A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004037726A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Nippon Shokubai Co Ltd 画像形成用感光性樹脂組成物

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