JP2003134765A - 車両用回転電機 - Google Patents
車両用回転電機Info
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Abstract
と高速時の出力特性をともに向上させることができる車
両用回転電機を提供すること。 【解決手段】 車両用交流発電機に含まれる回転子2
は、それぞれが6極の爪状磁極を有する2個の界磁鉄心
21と、界磁鉄心21のボス部に巻装された界磁巻線2
2と、界磁鉄心21のそれぞれの爪状磁極の一部に巻装
された短絡巻線23とを有する。短絡巻線23が巻装さ
れた第2磁極には、界磁巻線22が巻装された第1磁極
に対して、電気角でπ/2だけ位相が遅れた起磁力が発
生する。このため、第1磁極から第2磁極の方向に向け
た移動磁界が発生し、界磁巻線22に対する通電の周波
数に応じた回転磁界が発生する。
Description
等に搭載される車両用回転電機に関する。
要する動力を極小とするために軽量高性能であることが
特に望まれているが、回転速度を変化させて使うために
その性能を向上させることが困難であるという問題があ
る。例えば、発電機動作について考えると、1500r
pm前後のアイドリング回転数から15000rpm前
後の高速走行時の回転数まで連続的に回転数が変化し、
回転数の上限値と下限値とでは約一桁異なっており、使
用回転数の範囲が非常に広いという特徴がある。
車両用回転電機の使用回転数の範囲は非常に広いため、
低いアイドリング回転で出力電流を増加させようとして
固定子巻線の巻数を増やすと、固定子巻線のインダクタ
ンスが増えて高速回転域での内部抵抗の増大により出力
電流が減少する。反対に、固定子巻線の巻数を減らすと
高速回転域で出力電流は増加するが、低速回転域で誘導
電圧が低くなって出力電流が減少してしまう。
子巻線の巻数が少ないと高速回転域では逆起電力が小さ
いため大きなトルクが出るが、低速回転域では起磁力が
小さいためにトルクが小さくなってしまう。また、固定
子巻線の巻数が多いと、その逆の関係となるため、発電
機動作の場合と同じジレンマがある。
作を行う車両用回転電機は、広い範囲で回転数が変化す
るため、低速時と高速時の両方の出力特性を向上させる
ことが難しいという問題があった。本発明は、このよう
な点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、広い
範囲で回転数が変化する場合に、低速時と高速時の出力
特性をともに向上させることができる車両用回転電機を
提供することにある。
は、発電機や電動機においては、固定子巻線の誘起電圧
やリアクタンスが、速度に一意的に比例する関係にある
ことが原因になっていることに気がついた。これらの誘
起電圧やリアクタンスを回転子の回転速度に無関係に制
御することが課題を解決する着眼点であると考えた。
する固定子と界磁巻線を具備する回転子とを有し、回転
子が車両原動機あるいは車両走行駆動軸によって回転駆
動される場合に、回転子の形成する磁界を、界磁巻線の
通電電流を変化させて回転子と異なる速度で回転させて
いる。回転磁界の速度を変えることにより、従来では回
転子の速度に依存していたNS磁極の交番周波数を、実
際の回転子の速度と無関係に変化させることができるの
で、交番磁界周波数に依存した誘起電圧を実際の回転子
回転数に依存せず変化させることができる。また、固定
子巻線のリアクタンスについても、固定子巻線に交番す
る磁界の周波数に依存するので、これについても、実際
の回転子回転数に依存せず変化させることができるよう
になる。この構成と基本原理によって、例えば発電機の
場合、低速回転数では回転子の回転方向に磁界を加速し
て回転磁界速度を増すことにより、低速回転数でも高い
電圧を発生して高出力を発生することができ、また、回
転子が高速回転する際には、回転磁界を回転子に対して
静止または逆回転させることで、固定子電機子と回転磁
界の相対速度を低減でき、電機子反作用すなわちリアク
タンスを低下させることができ、出力を向上させること
ができる。
する界磁巻線と、磁極の一部に設けられた短絡巻線とを
有しており、界磁巻線に対する通電を単相交流で行うこ
とにより、回転子の励磁を行っている。上述した回転磁
界を得るには、通常三相や2相の交流を位相差をつけて
与えることが必要であり、それには半導体スイッチを多
く必要とするが、それを単相とすれば半導体スイッチが
少なくてすむ。ところが、単相励磁だと交番磁界になる
だけで移動磁界にならない。そこで、磁極の一部に短絡
コイルを設けて、単相交番磁界に対して90°遅れた位
相の磁界を新たに形成させることにより、移動磁界すな
わち回転磁界を形成することができる。これにより、三
相交流や位相差を有する2相の交流を用いて回転磁界を
生成する場合に比べて制御が容易となるとともに、半導
体スイッチ等の部品点数の削減が可能になる。
切り替えるHブリッジ回路と、Hブリッジ回路の切り替
え動作を制御する界磁制御器とをさらに備えることが望
ましい。これにより、界磁巻線に対して交流電流を通電
することができ、単相励磁を行うことができる。
部分巻線からなっている場合に、2つの部分巻線に対す
る単方向通電を交互に行うことが望ましい。上述したH
ブリッジ回路を用いた場合に比べて、スイッチング素子
の数を減らすことができる。また、界磁巻線と並列接続
されたコンデンサをさらに備えるとともに、界磁巻線と
コンデンサからなる並列回路の共振周波数に同期した通
電を行うことが望ましい。共振によって界磁巻線に対す
る通電方向を周期的に変化させることができ、しかもス
イッチング素子の数をさらに減らすことが可能になる。
流発電機について、図面を参照しながら説明する。図1
は、本実施形態の車両用交流発電機の基本原理を示す図
である。また、図2は本実施形態の車両用交流発電機の
構成を示す図である。これらの図に示す本実施形態の車
両用交流発電機は、固定子1、回転子2、整流器3、H
ブリッジ回路4、界磁制御器5を含んで構成されてい
る。
装された多相巻線としての三相の固定子巻線11を有す
る。この固定子巻線11の巻回数は、従来の車両用交流
発電機に含まれる固定子巻線の巻回数よりも少なく、例
えば約半分に設定されている。
有する2個の界磁鉄心21と、界磁鉄心21のボス部に
巻装された界磁巻線22と、界磁鉄心21のそれぞれの
爪状磁極の一部に巻装された短絡巻線23とを有する。
爪状磁極の一部が界磁巻線22による磁化に依存した第
1磁極24を形成し、爪状磁極の残りの一部が短絡巻線
23による磁化に依存した第2磁極25を形成する。ま
た、この回転子2は、図示しない車両原動機あるいは車
両走行駆動軸によって回転駆動される。
3の具体例を示す図であり、隣接する一対の爪状磁極の
みが示されている。ランデル型の界磁鉄心21では、爪
状磁極とこれに対向して配置される固定子1の固定子鉄
心との間に磁束が通るため、この磁束がほぼ垂直に鎖交
するように短絡巻線23が爪状磁極の一部に巻装されて
いる。各爪状磁極において、短絡巻線23が巻装された
領域が第2磁極25を形成し、それ以外の領域が第1磁
極24を形成する。
接続されており、固定子巻線11に誘起される交流電圧
を整流する。この整流器3の出力端子(B端子)は、外
部の電気負荷やバッテリに接続されており、出力端子を
介して電力が供給される。Hブリッジ回路4は、4つの
スイッチング素子としてのトランジスタ41〜44を有
しており、界磁巻線22に流す電流の向きを可変する。
界磁巻線22の一方端に、2つのトランジスタ41、4
2が、他方端に他の2つのトランジスタ43、44がそ
れぞれ接続されている。これらの各トランジスタのベー
スは、界磁制御器5に接続されている。
〜44の中の2つを選択的にオン状態に制御することに
より、界磁巻線22に交流電圧を印加する。具体的に
は、図2において、対角線上に配置された2つのトラン
ジスタ41、44をオン状態に、それ以外のトランジス
タ43、42をオフ状態に制御することにより、界磁巻
線22に同図において実線で示した方向の励磁電流を流
す動作と、反対に2つのトランジスタ43、42をオン
状態に、それ以外のトランジスタ41、44をオフ状態
に制御することにより、界磁巻線22に同図において点
線で示した方向の励磁電流を流す動作とが交互に行われ
る。また、界磁制御器5は、固定子巻線11のいずれか
の相電圧に基づいて発電周波数を検出する周波数検知部
を有しており、この周波数検知部で検出した発電周波数
に基づいて界磁巻線22に印加する交流電圧の周波数を
設定する。
な構成を有しており、次にその動作を説明する。図4
は、第1磁極24に現れる起磁力F1と第2磁極25に
現れる起磁力F2の関係を示す図である。図4に示すよ
うに、短絡巻線23が巻装された第2磁極25には、界
磁巻線22が巻装された第1磁極24に対して、電気角
でπ/2だけ位相が遅れた起磁力が発生する。このた
め、第1磁極24から第2磁極25の方向に向けた移動
磁界が発生する。
ングにおける合成起磁力の角度変化を示す図である。図
5(a)は時刻t1に、図5(b)は時刻t2に、図5
(c)は時刻t3に、図5(d)は時刻t4に、図5
(e)は時刻t5にそれぞれ対応した合成起磁力Fの状
態が示されている。なお、図5には、合成起磁力Fの角
速度と同じ角速度で界磁鉄心21が回転している場合が
示されている。
らt5まで変化する間に、第1磁極24に現れる起磁力
F1は、ピーク値を1とすると、1→0.71→0→−
0.71→−1と変化する。一方、第2磁極25に現れ
る起磁力F2は、0→0.71→1→0.71→0と変
化する。したがって、これら2つの起磁力F1、F2を
合成して得られる合成起磁力Fは、図5に示すように変
化し、界磁巻線22に印加される交流電圧の周波数と同
じ角速度で回転する移動磁界が発生する。
ジスタを一つずつ交互にオンすることにより、界磁巻線
22に交流電流を通電することができる。本実施形態で
は、その周波数を発電機回転数に対して回転範囲毎に変
化させるようにしている。図6は、発電機回転数と励磁
角速度の関係を示す図である。図6において、実線aは
励磁角速度を、一点鎖線bは回転子2に対する相対的な
励磁角速度を、点線cは回転子2の角速度をそれぞれ示
している。
流発電機は、アイドリングを含む低速回転時には、回転
子2の角速度に対する相対的な励磁角速度を大きく設定
する。例えば、この相対的な励磁角速度を150Hz
(150rev/s)に設定する。ところが、1500
rpmのアイドリング時には界磁鉄心21自身も150
Hz(150rev/s)の力学的回転をしているの
で、固定子巻線11からみた界磁鉄心21の形成する回
転磁界は150+150=300Hzとなり、界磁鉄心
21の回転数があたかも2倍であるように発電すること
となる。すなわち、本実施形態の固定子巻線11の巻数
は、従来の固定子の固定子巻線の約半分であるが、界磁
鉄心21の同一回転数において、ほぼ同じ出力電圧を発
生することができることになる。
り検出した発電周波数に基づいて、界磁鉄心21の相対
的な励磁角速度を段階的(図6に示す例では3段階)に
低下させ、高速回転時には交流通電でなく直流通電を行
っている。これにより、励磁角速度は、界磁鉄心21の
力学回転の約2倍から、同一速度にまで段階的に低下す
る。そのため、励磁角速度が低下した分、あるいは従来
より固定子巻線11の巻数が少ない分は、固定子巻線1
1のリアクタンスが少なくなり、内部抵抗が少なくなる
のでより大きな出力が可能となる。
出力特性を示す図である。図7において、実線Aは本実
施形態の車両用交流発電機の出力特性を、点線Bは本実
施形態の車両用交流発電機で直流励磁を行った場合の出
力特性を、一点鎖線Cは本実施形態の車両用交流発電機
と立ち上がり回転数が同じになるように固定子巻線の巻
回数を多くした従来の車両用交流発電機の出力特性をそ
れぞれ示している。
流発電機では、アイドリング時等の低速回転時には、回
転子2の実際の回転数よりも回転子2によって発生する
回転磁界の周波数を大きく設定しているため、十分な出
力特性を得ることができる。また、固定子巻線11の巻
回数が少なく設定されているため、高速回転時にも十分
な出力特性を得ることができる。すなわち、本実施形態
の車両用交流発電機では、低速から高速まで広い範囲で
回転数が変化する場合であっても、低速時と高速時の両
方の出力特性を向上させることが可能になる。
ものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変
形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、
Hブリッジ回路4を用いて界磁巻線22に交流電圧を印
加して交番磁界を発生させたが、他の方法を用いて交番
磁界を発生させるようにしてもよい。
車両用交流発電機の他の例を示す図である。図8に示し
た車両用交流発電機では、Hブリッジを用いる代わり
に、巻き方向が互いに逆の2つの界磁巻線22A、22
Bを備え、それぞれの通電を単方向にて2つのトランジ
スタ45、46を交互にオン状態にすることにより行っ
ている。この場合には、スイッチング素子としてトラン
ジスタの数を半分に減らすことができ、コスト的に有利
となる。なお、ダイオード47、48は還流ダイオード
であり、トランジスタ45、46のそれぞれがオフ状態
のときにこれらのダイオード47、48を通して還流電
流が流れる。
車両用交流発電機の他の例を示す図である。図9に示し
た車両用交流発電機では、Hブリッジを用いる代わり
に、界磁巻線22と並列にコンデンサ143を接続し、
これらの並列回路の共振周波数に同期してトランジスタ
141をオン状態に制御することにより、界磁巻線22
に交流電流を通電している。この場合には、スイッチン
グ素子としてのトランジスタの数が1個になるため、さ
らにコスト的に有利となる。また、部品点数の低減によ
り組み立てが容易であるだけでなく、オンオフ制御する
トランジスタが1つになるため、制御も容易となる。な
お、ダイオード142は還流ダイオードであり、トラン
ジスタ141がオフ状態のときに発生する還流電流がこ
のダイオード142を通して流れる。
電機として車両用交流発電機について説明したが、車両
用電動機についても本発明を適用することができる。
す図である。
である。
図である。
る起磁力F2の関係を示す図である。
合成起磁力の角度変化を示す図である。
る。
す図である。
機の他の例を示す図である。
機の他の例を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 多相巻線を有する固定子と界磁巻線を具
備する回転子とを有し、前記回転子が車両原動機あるい
は車両走行駆動軸によって回転駆動される車両用回転電
機において、 前記回転子の形成する磁界を、前記界磁巻線の通電電流
を変化させて前記回転子と異なる速度で回転させること
を特徴とする車両用回転電機。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記回転子は、励磁電流を通電する前記界磁巻線と、磁
極の一部に設けられた短絡巻線とを有しており、 前記界磁巻線に対する通電を単相交流で行うことによ
り、前記回転子の励磁を行うことを特徴とする車両用回
転電機。 - 【請求項3】 請求項2において、 前記界磁巻線に対する通電方向を交互に切り替えるHブ
リッジ回路と、 前記Hブリッジ回路の切り替え動作を制御する界磁制御
器と、 をさらに備えることを特徴とする車両用回転電機。 - 【請求項4】 請求項2において、 前記界磁巻線は、通電方向が異なる2つの部分巻線から
なっており、 前記2つの部分巻線に対する単方向通電を交互に行うこ
とを特徴とする車両用回転電機。 - 【請求項5】 請求項2において、 前記界磁巻線と並列接続されたコンデンサをさらに備
え、 前記界磁巻線と前記コンデンサからなる並列回路の共振
周波数に同期した通電を行うことを特徴とする車両用回
転電機。
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