JP2003133696A - 金属配線基板および金属配線基板の製造方法 - Google Patents

金属配線基板および金属配線基板の製造方法

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JP2003133696A
JP2003133696A JP2001331770A JP2001331770A JP2003133696A JP 2003133696 A JP2003133696 A JP 2003133696A JP 2001331770 A JP2001331770 A JP 2001331770A JP 2001331770 A JP2001331770 A JP 2001331770A JP 2003133696 A JP2003133696 A JP 2003133696A
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polymer
active energy
energy ray
same
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JP2001331770A
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Masaru Nakagawa
勝 中川
Kunihiro Ichimura
國宏 市村
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Japan Science and Technology Corp
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 安価で簡便かつ生産性に優れる環境低負荷型
の、新規感活性エネルギー高分子と無電解メッキ法によ
る回路形成法を組み合わせたアディティブ型印刷配線基
板の作製法の提供。 【解決手段】 (a)負のζ電位を形成する、または負
電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、前記負
のζ電位または負電荷に解離する極性基による負の電位
の影響下に吸着して形成される感活性エネルギー線高分
子で被覆され、該被覆により正のζ電位を示す表面修飾
基板を作製し、(b)該表面修飾基板に前記活性エネル
ギー線をパターン状に照射して、幹ポリマーの結合を切
断し、(c)該基板を水単独、水を主成分とする有機溶
媒との混合溶液などで、感活性エネルギー線高分子を脱
着させた後、(d)その脱着部に無電解めっき触媒を吸
着させ、次いで無電解めっき液に浸漬する工程を含む金
属配線基板の製造方法、および金属配線基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性エネルギー線
の照射により幹ポリマーを構成する共有結合が切断され
る幹ポリマーの側鎖の一部または全部にオニウム部位を
有するポリシランなどのポリメタル化合物の使用と化学
めっき法により回路を形成する環境低負荷型アディティ
ブ法印刷配線基板の製法および該方法により得られる配
線基板に係わる。さらに詳しくは、本発明は、配線基板
作製時の有機物含有廃液の低減、活性エネルギー線照射
時の揮発性有機物の無発生、主溶剤として水溶液の使用
を可能とするアディティブ法印刷配線基板の製法に関す
る。ここで、幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側鎖
の一部または全部にオニウム部位を有しとは、ホモ幹ポ
リマーの側鎖の全て、または一部にオニウム部位が導入
されている場合、およびヘテロ幹ポリマーの側鎖の全
て、または一部にオニウム部位が導入されている場合を
含む概念である。
【0002】
【従来の技術】印刷技術を利用した回路基板製造技術
は、サブストラクト法とアディティブ法とに大別され
る。サブストラクト法は、基板上に設けた回路形成金属
薄膜表面にポジ型またはネガ型感光性樹脂層などを塗布
し、これを回路パターン状(回路マスクを介してまたは
描画による)に露光してから、露光部あるいは未露光部
を溶媒によって選択的に除去し、ついで、露出した前記
金属薄膜をエッチング処理によって除去する工程からな
る。これに対して、アディティブ法は絶縁体基板上に導
電性のパターンを付加的に形成する方法であり、セラミ
ックスまたは樹脂系基板上に形成された化学還元パター
ンに対応して無電解めっきにより回路パターンを形成す
る方法、あるいはセラミックス基板などにパターン状の
蒸着、焼結などによる回路パターンを形成する方法であ
る。サブストラクト法では、エッチング時に排出される
重金属溶液の回収や再利用が必要となるため、このよう
な金属の排出のない、アディティブ法が広く採用されて
いる(日本特許庁 技術分野別特許マップ 印刷配線板
(平成9年度URL: http://www.jpo.go.jp/index.html)
参照)。
【0003】前記選択的金属化による回路パターン形成
には一般に、感光性有機樹脂組成物などからなるフォト
レジストが採用されている。感光性有機樹脂組成物を使
用した印刷配線基板の製造方法が米国特許第5,15
8,860号(文献1)に開示されている。ここでは、
フォトレジスト層を設けた基板をパターン状に露光して
から現像し、レリーフ像を形成させた後、無電解めっき
触媒と接触させ、該触媒を全表面に吸着させ、ついでレ
リーフ像の凸部表面をさらに露光し、フォトレジストが
残存する凸部表面に吸着された触媒層を表面現像により
除去する。これにより、無電解めっき触媒は、基板が露
出した部分に選択的に残存するから、無電解めっきを施
すことによって基板表面が選択的に金属化される。しか
しながら、この技術においては、基板上にフォトレジス
トの溶液をスピン塗布するために、フォトレジストの物
品利用率が低いうえに、無電解めっき用重金属触媒と現
像処理後のフォトレジスト組成物からなる廃液が多量に
排出されるため、それらの低減が強く望まれている。
【0004】感光性樹脂表面層の改質による回路基板の
製造方法が特開平10−326957号(文献2)に開
示されている。ここでは、有機溶剤に溶解した感光性ポ
リシランの溶液をスピン塗布して、基板上に0.01〜
1,000μmの膜厚を有する疎水性の感光性樹脂層を
形成させ、ついで、パターン状に紫外線を露光して露光
部の表面層を親水性に改質する。その後、親水化した露
光部表面に無電解めっき触媒を選択的に吸着させ、無電
解めっき法によって基板上に金属描画を形成する。この
方法では、感光性ポリシランのスピン塗布膜を調製する
ために、揮発性ならびに引火性の高い芳香族系炭化水素
溶媒やエーテル系溶媒が使用されるため、作業安全上、
これらの有機溶媒の使用量を著しく減ずることが求めら
れている
【0005】基板表面層の改質による選択的金属化への
別の方法が米国特許第5,079,600号明細書(文
献3)、特開平4−326719号公報(文献4)に開
示されている。ここでは、低分子有機シラン化合物類を
含む有機溶剤を基板上に塗布して自己集合性超薄膜(
elf‐ssembled onolayer(S
AM):自己組織化単分子膜、文献3、10欄)を基板
上に形成させる。次いでこの超薄膜を活性エネルギー線
で画像状に照射し、照射領域の化学反応性を変性、例え
ば親水性にさせる。活性エネルギー線が照射され無電解
めっき触媒前駆物質を結合するに十分な反応性を有する
様に変性された前記超薄膜の所定領域だけに前記触媒を
形成させてから、無電解めっき浴に浸漬し、前記触媒で
活性化された領域を選択的に金属めっきすることにより
回路パターンを形成する方法を開示している。
【0006】この方法では、たとえば上記のようなフォ
トレジストを使用する方法と比較すると、製造時におけ
る有機物含有廃液の低減化の問題が克服されるし、ま
た、超薄膜化に伴い活性エネルギー線の膜内、および基
板からの反射や、電子線の散乱により解像度が低下する
といった問題がある高分子系レジスト材料の微細加工の
限界を向上させることが期待される。しかしながら、自
己集合性超薄膜形成のために揮発性のクロロシラン類お
よびアルコキシシラン類を使用すること、さらに、芳香
族系炭化水素等の有機溶剤を使用するため、労働環境の
改善の面で問題が残されている。さらには、パターン形
成のためには、真空脱気雰囲気下または不活性ガス雰囲
気下で波長が200nm未満の遠紫外線を照射する、も
しくは波長が248nmの紫外線を10J・cm 2程度
の大きな露光量で照射する必要があり、高価な露光装置
等が必要となるうえ、生産性向上のためには格段の感度
の向上が望まるなど、克服すべき課題は多い。
【0007】これに対して、有機溶剤を使用せずに静電
気作用(クーロン力)により感光性低分子有機化合物か
らなる吸着膜を基板表面に被覆して、吸着膜のパターン
を形成させる方法、ならびに位置選択的な静電気作用に
よりコロイド状の粒子を基板表面に吸着させる方法を本
発明者らが提案している(文献5;M.Nakagaw
a,S.−K.Oh,K.Ichimura,Adv.
Mater.,12,2000,pp403−40
7)。ここでは、光二量化反応性部を分子内に2ヶ所、
かつ、オニウム部位を4ヶ所有するカチオン性低分子有
機化合物の水溶液に負電荷に解離するシラノール基を有
するシリカガラス基板を浸漬し、光反応性吸着膜を基板
上にクーロン力を介して形成させる方法により超薄膜を
形成している。次いで、波長313nmの紫外線で所定
領域を露光し、吸着分子の光二量化反応による逐次重合
を引き起こさせる。その後、未露光部の低分子吸着単量
体を電解質水溶液で基板表面から脱着させ、露光領域に
吸着膜のネガ型の潜像を形成させる。前記ネガ像が形成
された表面修飾基板を、負電荷に解離するコロイド状の
シリカ粒子を含む分散水溶液に浸漬させることによっ
て、単層状のシリカ微粒子が紫外線を露光した基板表面
上に堆積される。つまり、この方法は、負電荷に解離す
る基板上にクーロン力を介して吸着したカチオン性低分
子が露光によって高分子化して、電解質水溶液中での前
記感光性低分子化合物の吸着安定性が向上し、さらに、
負電荷に解離するコロイド状のシリカ粒子の吸着性が向
上することを原理としている。しかしながら、前記感光
性低分子の十分な吸着安定性を確保するためには波長3
13nmでの露光エネルギーは10J・cm 2程度と
大きく、生産性ならびにエネルギー効率に欠ける。ま
た、前記コロイド状のシリカ粒子ならびに無電解めっき
に使用するコロイド状の触媒粒子に対する吸着に対し位
置選択性が低いため、化学めっきによる選択的な金属化
ができないという問題点があった。
【0008】このように、有機溶媒を用いることなく、
かつ、生産性に優れた金属配線された基板を製造する技
術開発が強く望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
事情に鑑みなされたもので、回路基板作製時に有機溶媒
を使用することなく、生産工程における労働環境を著し
く改善し、かつ、廃棄物の排出量を低減化させるととも
に、生産性に優れる印刷配線板の製造方法および該方法
による印刷配線板を提供することにある。前記課題を解
決するために、有機溶媒を使用することなく比較的小さ
な活性エネルギー線のパターンにより、回路パターンを
形成できる材料、および該材料を用いて、有機溶剤など
を用いることなく、かつ回路パターンを形成できる方法
を検討する中で、材料そのものはとしては公知である
〔特開平5−295118号公報(文献6)、特公平6
−55822号公報(文献7)〕側鎖にカチオン性のア
ンモニウム基またはピリジニウム基を持つポリシラン
が、該ポリシランを溶解する溶液中で負のζ電位を生成
するまたは負電荷に解離する表面修飾基板を、前記ポリ
シラン溶液に浸漬することにより、該カチオン性基によ
る静電気作用により吸着されて該表面修飾基板上に感活
性エネルギー線高分子吸着膜が形成され、該吸着膜は活
性エネルギー線の照射により幹結合が切断され、幹結合
が切断された該高分子が溶液により容易に脱着しポジ型
の該高分子吸着膜のパターンを形成できること、かつ、
該感活性エネルギー線高分子が残存する未照射領域と該
高分子が脱着した照射領域からなる表面修飾基板を無電
解めっきなどの処理と組み合わせることによりアディテ
ィブ型の金属回路パターンを形成できることを発見し、
本発明の前記課題を解決できることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、基本的
には、(a)負のζ電位を形成するまたは負電荷に解離
する極性基を有する表面修飾基板に、幹ポリマーを構成
する繰り返し単位の側鎖の一部または全部にオニウム部
位を有し、かつ、活性エネルギー線の作用によって幹ポ
リマーの結合が切断される感活性エネルギー線高分子を
前記負のζ電位または負電荷に解離する極性基による負
の電位の影響下に吸着して形成される前記感活性エネル
ギー線高分子で被覆され、該被覆により正のζ電位を示
す表面修飾基板を作製し、(b)該表面修飾基板に前記
活性エネルギー線をパターン状に照射して、幹ポリマー
の結合を切断し、(c)該基板を水単独、水を主成分と
する水と相溶性の有機溶媒との混合溶液、またはこれら
に電解質を溶解させた溶液により活性エネルギー線照射
部の切断された感活性エネルギー線高分子を脱着させた
後、(d)前記感活性エネルギー線高分子の脱着部に無
電解めっき触媒を吸着させ、次いで無電解めっき液に浸
漬する工程を含む製造方法により得られたことを特徴と
する金属配線基板である。
【0011】好ましくは、活性エネルギー線照射部の切
断された感活性エネルギー線高分子を脱着した後の前記
表面修飾基板が、前記高分子が残存する正のζ電位を有
する領域と前記感活性エネルギー線高分子が脱着した基
板の負のζ電位または負電荷に解離する極性基による負
の電位を有する領域から構成されるパターン状の表面修
飾基板であることを特徴とする、また、幹ポリマーを構
成する繰り返し単位の側鎖の一部または全部にオニウム
部位を有し、かつ、活性エネルギー線の作用によって幹
ポリマーの結合が切断される感活性エネルギー線高分子
を前記負の電位の影響下に吸着させる工程において、前
記高分子が修飾基板表面の負のζ電位または負電荷に解
離する極性基により該基板表面に吸着する状態で、か
つ、水、極性溶媒、水−水可溶性溶媒の混合溶液、また
はこれらの溶液に電解質を添加した溶媒から選択される
溶媒中に存在することを特徴とする前記各金属配線基板
であり、より好ましくは、前記幹ポリマーを構成する繰
り返し単位の側鎖の一部または全部にオニウム部位を有
し、かつ、活性エネルギー線の作用によって幹ポリマー
の結合が切断される感活性エネルギー線高分子を前記負
のζ電位または負電荷に解離する極性基による負の電位
の影響下に吸着させる工程が浸漬法によるものであるこ
とを特徴とする前記各金属配線基板である。
【0012】更に、前記金属配線基板を製造する際に使
用される前記感活性エネルギー線高分子が前記一般式A
で表される幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側鎖の
一部または全部にオニウム基を有し、かつ、Si、G
e、Snから選択される14族元素の幹結合の繰り返し
単位を含有するものあることを特徴とする前記金属配線
基板である。好ましくは、前記一般式Aで表されるポリ
メタル化合物においてMがSiである前記の一般式Bで
表されるポリシランであることを特徴とする前記金属配
線基板である。より好ましくは、前記一般式Bで表され
る繰り返し単位を含有する感活性エネルギー線高分子が
前記一般式C〜Pで表されるXがNである化合物、前記
一般式Q〜Tで表されるXがPである化合物、前記一般
式U〜Wで表されるXがSである化合物または前記一般
式X〜Yで表されるXがI(ヨウ素)である化合物から
選択されるものであることを特徴とする前記金属配線基
板である。
【0013】また、本発明の第2は、(a)負のζ電位
を形成する、または負電荷に解離する極性基を有する表
面修飾基板に、幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側
鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活性
エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断さ
れる感活性エネルギー線高分子を前記負のζ電位または
負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に吸着
して形成される前記感活性エネルギー線高分子で被覆さ
れ、該被覆により正のζ電位を示す表面修飾基板を作製
し、(b)該表面修飾基板に前記活性エネルギー線をパ
ターン状に照射して、幹ポリマーの結合を切断し、
(c)該基板を水単独、水を主成分とする水と相溶性の
有機溶媒との混合溶液、またはこれらに電解質を溶解さ
せた溶液により活性エネルギー線照射部の切断された感
活性エネルギー線高分子を脱着させた後、(d)前記感
活性エネルギー線高分子の脱着部に無電解めっき触媒を
吸着させ、次いで無電解めっき液に浸漬する工程を含む
金属配線基板の製造方法である。
【0014】好ましくは、活性エネルギー線照射部の切
断された感活性エネルギー線高分子を脱着した後の前記
表面修飾基板が、前記高分子が残存する正のζ電位を有
する領域と前記感活性エネルギー線高分子が脱着した基
板の負のζ電位または負電荷に解離する極性基による負
の電位を有する領域から構成されるパターン状の表面修
飾基板であることを特徴とする前記金属配線基板の製造
方法、より好ましくは、幹ポリマーを構成する繰り返し
単位の側鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、か
つ、活性エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合
が切断される感活性エネルギー線高分子を前記負の電位
の影響下に吸着させる工程において、前記高分子が修飾
基板表面の負のζ電位または負電荷に解離する極性基に
より該基板表面に吸着する状態で、かつ、水、極性溶
媒、水−水可溶性溶媒の混合溶液、またはこれらの溶液
に電解質を添加した溶媒から選択される溶媒中に存在す
ることを特徴とする前記各金属配線基板の製造方法であ
り、一層好ましくは、幹ポリマーを構成する繰り返し単
位の側鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、か
つ、活性エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合
が切断される感活性エネルギー線高分子を前記負のζ電
位または負電荷に解離する極性基による負の電位の影響
下に吸着させる工程が浸漬法によるものであることを特
徴とする前記各金属配線基板の製造方法である。
【0015】更に、前記感活性エネルギー線高分子を構
成する繰り返し単位の一部または全部が前記一般式Aで
表される14族元素の幹ポリマーの繰り返し単位を含有
するポリメタル化合物であることを特徴とする前記各金
属配線基板の製造方法である。好ましくは、前記一般式
Aで表されるポリメタル化合物においてMがSiである
前記一般式Bで表されるポリシランであることを特徴と
する前記金属配線基板の製造方法であり、より好ましく
は、前記一般式Bで表される繰り返し単位を含有する感
活性エネルギー線高分子が前記一般式C〜Pで表される
XがNである化合物、前記一般式Q〜Tで表されるXが
Pである化合物、前記一般式U〜Wで表されるXがSであ
る化合物または前記一般式X〜Yで表されるXがI(ヨ
ウ素)である化合物から選択されるものであることを特
徴とする前記金属配線基板の製造方法である。
【0016】
【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。 A.本発明の基本は、少なくとも前記の正の電荷を有す
るオニウム部位を側鎖の一部または全部に有する高分子
を溶解させた溶液に、負のζ電位を形成するまたは負電
荷を解離する極性基を有する被表面修飾基板を浸漬する
ことにより、該基板表面に負の電荷を生成させることが
でき、該負の電荷と前記高分子に含まれるオニウム基が
示す該正電荷の間で静電気作用(クーロン力)が働き、
吸着により前記高分子により該基板が被覆され、吸着し
た該高分子が紫外線、電子線などの活性エネルギー線を
照射することにより、該高分子の幹結合を構成するSi
−Si結合が該活性エネルギー線により切断され、この
結果、照射部の切断された高分子の吸着安定性は著しく
低下するので、パターン状に活性エネルギー線に露出
後、該基板を水単独、水を主成分とする水溶性溶液、ま
たはこれらに電解質を溶解させた溶液により、活性エネ
ルギー線照射部の前記切断された高分子は基板表面から
脱着される。その結果、正電荷を有する高分子吸着膜が
残存する未照射部領域と負電荷を形成する基板表面から
なる照射部領域が形成され、異なった電荷を形成するパ
ターン状の潜像が基板表面に形成されることを見出した
ことである。
【0017】B.前記電荷の潜像を形成した基板を、例
えば、銀イオンを含む水溶液に還元剤を添加すると、前
記感活性エネルギー線高分子が脱着した照射領域の基板
表面上に選択的に銀微粒子が生成し、金属薄膜が形成さ
れることを見出したことである。更には、この処理基板
を無電解めっき浴で処理して、初期の金属核像を増幅す
ることによって、該金属銀微粒子を核にして無電解めっ
き液から金属を還元析出させ所望の金属配線が得られる
のである。
【0018】本発明によれば、金属配線基板を製造する
ために要する感活性エネルギー線高分子の重量は、表面
修飾基板に吸着して少なくともその表面を被覆するため
の極微量で十分であるため、金属配線基板の作製時に排
出される廃棄有機物量は著しく低減される。また、この
感活性エネルギー線高分子の吸着および活性エネルギー
線照射後の脱着工程は、いずれも主溶剤として水を使用
することが可能であるため、環境保全の面できわめて優
れている。さらには、イオン性の感活性エネルギー線高
分子は不揮発性であり、活性エネルギー線照射後の切断
された高分子もイオン性化合物であることから不揮発性
であり、活性エネルギー線露出時の揮発性有機物の無発
生を可能とし、環境保全に寄与する製造工程法を含む。
【0019】本発明に用いられる感活性エネルギー線の
高分子は前記一般式で記載したとおりであるが、一般式
Aにおける、Mとしては、有機ポリメタル化合物を形成
する14元素のSi、Ge、Snを挙げることができ
る。好ましくは、前記一般式Aで表されるポリメタル化
合物において、MがSiである前記一般式Bで表される
ポリシランを挙げることができる。
【0020】一般式AならびにBにおける、オニウム部
位X+としては、脂肪族系4級アンモニウム基、芳香族
系オニウム基、脂肪族系4級ホスホニウム基、脂肪族系
3級スルホニウム基、芳香族系ヨードニウム基を挙げる
ことができる。(R)p中のRは異なる基から構成され
ていても良い、または(R)pは前記Xと前記Xを環員
異種原子として含む複素環または縮合複素環を形成する
原子団であっても良い。 脂肪族系4級アンモニウム基
としては、例えば、トリメチルアンモニウム基、トリエ
チルアンモニウム基、ジメチルエチルアンモニウム、ジ
メチルプロピルアンモニウム、ブチルジメチルアンモニ
ウム、ジメチルペンチルアンモニウム、ジメチルヘキシ
ルアンモニウム、ジメチルオクチルアンモニウム、デシ
ルジメチルアンモニウム、ドデシルジメチルアンモニウ
ム、ベンジルジメチルアンモニウム、(2-ヒドロキシ
エチル)ジメチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシ
エチル)メチルアンモニウムなどをあげることができ
る。芳香族系オニウム基としては、ピリジニウム、3−
ピコリニウム、4−ピコリニウム、3−エチルピリジニ
ウム、4−メチルピリジニウム、キノリニウム、チアゾ
リウム、ベンゾチアゾリウム、イミダゾリウム、ベンゾ
イミダゾリウムなどを挙げることができる。脂肪族系4
級ホスホニウム基としては、例えば、トリメチルホスホ
ニウム基、トリエチルホスホニウム基、ジメチルエチル
ホスホニウム、ジメチルプロピルホスホニウム、ブチル
ジメチルホスホニウム、ジメチルペンチルホスホニウ
ム、ジメチルヘキシルホスホニウム、ジメチルオクチル
ホスホニウム、デシルジメチルホスホニウム、ドデシル
ジメチルホスホニウム、ベンジルジメチルホスホニウ
ム、(2−ヒドロキシエチル)ジメチルホスホニウム、
ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルホスホニウム、な
どをあげることができる。脂肪族系3級スルホニウム基
+としては、例えば、ジメチルスルホニウム、ジエチ
ルスルホニウム、テトラメチレンスルホニウムなどのス
ルホニウム塩を挙げることができる。芳香族系ヨードニ
ウム基としては、ジフェニルヨードニウム基、(4‘−
トリル)フェニルヨードニウム基などをあげることがで
きる。R1は水素原子又は一価の置換又は非置換の脂肪
族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基
が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、フ
ェニル基などを挙げることができる。Rzとしては、一
般式CからYに示される直鎖または分岐鎖からなる炭素
数2から10の脂肪族アルキレン基あるいはエーテル結
合を含んでもよい炭素数7から20の芳香族炭化水素残
基が挙げられる。一価のアニオンY-としては、Cl-
Br、I-、F-、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3CO
-、CH3SO3 -、OH-、HCO3 -、H2PO3 -などか
ら選ばれた少なくとも1種類の一価の陰イオンである
か、または、2種類以上の混合物であってもよい。
【0021】一般式F〜Iならびに一般式M〜Pならび
に一般式Tおよび一般式Xで表されるポリシランは、公
知のフェノール誘導体〔R.Horiguchi,Y.
Onishi,S.Hayase,Macromole
cules,21,1988,p304(文献8)〕に
炭酸カリウムあるいは炭酸セシウムの存在下、適当なω
−ハロゲン化アルキルトリアルキルアンモニウム、ω−
ハロゲン化アルキルピリジニウム、ω−ハロゲン化アル
キルトリアルキルホスホニウム、4−(ω−ハロゲン化
アルキルオキシフェニル)フェニルヨードニウムなどを
作用して得ることができる。
【0022】つぎに、オニウム部位を側鎖に有し、か
つ、活性エネルギー線の作用によって幹結合の繰り返し
単位が切断される感活性エネルギー線高分子を用いる金
属配線基板の製造方法を図1にしたがって説明する。工
程(a)は、前記感活性エネルギー線高分子を表面修飾
基板に吸着させて被覆する工程である。先ず、水、水―
水溶性有機溶媒の混合溶媒、水溶性有機溶媒あるいはこ
れらに電解質を溶解した溶液に前記感活性エネルギー線
高分子を溶解し、溶液を調製する。該溶液を調製するた
めの、水溶性有機溶媒としては、メチルアルコール、エ
チルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコールなどの低級アルコール、テトラヒドロフラン、
ジオキサンなどのエーテル系溶媒、あるいはアセトンな
どが好適に用いられる。溶媒の選択は、用いられるオニ
ウム部位を有する高分子の化学構造に依存する。より好
ましくは、水単独、水と低級アルコールとの混合溶媒、
またはそれらに電解質を溶解した溶液である。
【0023】溶解させる前記感活性エネルギー線高分子
の濃度は、0.01〜10重量%、より好ましくは0.
1〜5重量%である。これ以下の濃度では、該高分子が
吸着しても表面修飾基板が緻密に被覆されないし、これ
以上の濃度では、該高分子により被覆された表面修飾基
板を洗浄する際に、高濃度の該高分子を含有する溶液が
排出され、物品利用率が低下する。表面修飾基板のζ電
位ならびに基板表面に存在する極性官能基の負電荷への
解離を促進するために、電解質を溶解することもでき
る。電解質としては、種々の無機電解質や有機電解質を
挙げることができる。より好ましくは、塩化ナトリウム
などのハロゲン化アルカリ金属塩、塩化カルシウムなど
のハロゲン化アルカリ金属土類塩、水酸化ナトリウム、
または水酸化カリウムが挙げられる。これらの電解質な
らびに誘電率の異なる有機溶媒を該高分子溶液に共存さ
せることによって、溶存状態での該高分子のストークス
半径が制御されうるので、高分子を吸着させて基板を被
覆する際に、前記電解質ならびに誘電率の異なる有機溶
媒は膜厚調整剤として使用することもできる。
【0024】こうして調製した溶液に表面修飾基板を配
置して、該高分子を該基板上に吸着させ被覆する。この
操作によって、修飾基板表面に形成させた負のζ電位ま
たは負電荷と該高分子に含まれるオニウム部位の正電荷
の間にクーロン力が作用し、該高分子が基板上に効率よ
く吸着される。吸着する該高分子の幾何学的な構造は乱
れているために、前記高分子に含まれる正電荷を有する
オニウム部位は、前記基板表面の負電荷とクーロン力に
よる吸着に関与するオニウム部位と関与しないオニウム
部位が存在するので、結果として、前記高分子を被覆し
た表面修飾基板は、正の電荷のオニウム部位が最表面層
に露出し、正のζ電位を示す。このクーロン力による吸
着に関与するオニウム部位は前記高分子1本鎖あたり複
数個存在するため、前記高分子は前記表面修飾基板に非
可逆吸着をする。ここで、非可逆吸着とは、該高分子の
媒質を含まない溶液を作用しても脱着しない吸着現象を
示す。これに対し、一つのオニウム部位と長鎖アルキル
基からなる低分子、例えばセチルトリメチルアンモニウ
ムなどは、可逆吸着をする。ここで、可逆吸着とは、該
低分子の媒質を含まない溶液を作用することによって、
基板表面から定量的に脱着する吸着現象を示す。
【0025】吸着に要する浸漬時間は、該高分子および
表面修飾基板の種類によって異なるが、5秒〜5時間、
好ましくは10秒〜1時間、より好ましくは30秒から
30分である。これ以下の時間範囲では、該高分子の吸
着が不十分であるし、これ以上の時間をかけても吸着層
形成に変化はない。溶液の温度範囲は、0℃から水溶性
有機溶媒の沸点、より好ましくは、室温から60℃の範
囲である。該溶液に浸漬した後の基板は、脱イオン水、
あるいは該高分子の溶質を含まない水溶性有機溶媒また
は同じ体積比で混合した水溶性有機溶媒と脱イオン水と
の混合溶液を用いて洗浄し、次いで基板を風乾させる。
前記高分子が吸着して基板上に形成する膜の膜厚は1〜
20nm、より好ましくは2〜10nm、換言すれば超
薄膜である。
【0026】表面修飾基板の前記高分子による被覆法に
は、基板を該溶液に浸漬する方法の他に、基板上に該溶
液をスピン塗布、流延塗布、スクリーン印刷する方法な
どが用いられる。これらの方法によって調製される被覆
膜は、表面修飾基板との界面でのクーロン力により自発
的に吸着膜となる。工業的に好ましくは、該溶液を基板
上にスピン塗布した後に、前記高分子の媒質を含まない
溶液で洗浄する方法が用いられる。より好ましくは、該
高分子の損失なく基板上に被覆でき、かつ、実質的に使
用する溶媒を最小限に抑えられる浸漬法が用いられる。
【0027】本発明で用いられる表面修飾基板として
は、該高分子側鎖のオニウム部位の正電荷とクーロン力
による吸着を起こしうる基板を使用することができる。
負電荷に解離する極性官能基を潜在的に基板表面に有し
ているまたは負のζ電位を形成しうる基板を使用するこ
とができる。また、表面処理によって与えられた前記特
徴を示す基板を使用することができる。ここでいう基板
とは、自己支持性を有する平面状固体であり、前記感活
性エネルギー線高分子を溶解する溶液との接触により負
のζ電位(ゼータポテンシャル;界面動電電位)を示す
基板または基板表面に負電荷に解離する極性官能基を有
する基板を指す。負のζ電位としては、0(ゼロを含ま
ない)から−100mV未満の範囲である。負のζ電位
を形成する基板としては、基板そのものが金属酸化物か
らなる基板を例示すれば、シリカガラス、溶融石英ガラ
ス、アルミナからなる板状基板が挙げられる。負電荷に
解離する極性官能基としては、シラノール基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、スルフィン酸基が挙げられる。
【0028】また、前記感活性エネルギー線高分子の側
鎖に含まれる正電荷を有するオニウム部位は負のζ電位
を形成する基板表面にクーロン力により吸着するので、
多種多様な基板表面を金属酸化物で被覆した基板が好適
に用いられる。金属酸化物で被覆した基板としては、半
導体シリコン基板(ドープ及び非ドープ)の他に、ポリ
イミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレ
フィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、アセタール樹脂、ポリエーテルスルホン樹
脂、セルロース樹脂などの樹脂バルク層の上に、二酸化
ケイ素、二酸化チタン、アルミナなどの金属酸化物層を
設けた基板が例示される。さらには、前記高分子は負電
荷に解離する極性官能基を有する基板表面にもクーロン
力を介して吸着するので、前記化学官能基を有するシラ
ンカップリング剤で前記多種多様な基板を化学的に表面
処理した表面修飾基板でもよい。また、正のζ電位を形
成するまたは正の電荷を有する極性官能基を有する基板
表面に、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)などの
高分子を吸着させて被覆した基板が用いられる。
【0029】また、前記有機系樹脂のバルク層表面また
は前記金属酸化物表面に物理的表面処理あるいは化学的
表面処理を施した樹脂基板を使用することができる。物
理的表面処理としては、プラズマ処理、オゾン/紫外線
処理、コロナ放電処理、電子線照射処理などが挙げられ
る。また、化学的表面処理としては、過酸化水素―硫
酸、濃硝酸、発煙硝酸、発煙硫酸、過マンガン酸カリウ
ム溶液、水酸化ナトリウム溶液などの溶液で処理を施し
た前記樹脂基板を使用することができる。
【0030】つぎに、活性エネルギー線の照射工程
(b)を説明する。工程(b)では、工程(a)で調製
された前記感活性エネルギー線高分子を吸着して被覆し
た修飾基板表面に、金属回路パターンを形成する特性を
持ったパターンを形成するために、前記回路パターンに
対応する活性エネルギー線を照射する。本発明に用いら
れる活性エネルギー線には、可視光線、近紫外線、紫外
線、遠紫外線、X線などの電磁波、電子線が含まれ、使
用する前記感活性エネルギー線高分子との関係で決定さ
れる。照射光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超
高圧水銀灯、キセノン灯、水銀キセノン灯、ハロゲンラ
ンプ、タングステンランプ、各種レーザー、X線照射装
置、電子線照射装置などが使用できる。パターン形成を
行うためには、活性エネルギー線が電磁波の場合には、
金属製のフォトマスク越しにこれらの電磁波を照射すれ
ばよい。各種レーザーや電子線照射装置を用いる場合に
は、走査露光によって回路パターンを形成することがで
きる。これらの照射により、露光部分のみにおいて前記
感活性エネルギー線高分子の幹結合が結合解裂し、該高
分子1本鎖あたりの吸着安定性に寄与する正電荷を有す
るオニウム部位の数が減少した潜像が前記修飾基板の照
射部領域に形成される。
【0031】前記感活性エネルギー線高分子が一般式B
で表されるポリシランである場合には、遠紫外線、紫外
線、近紫外線から選択される電磁波照射(波長領域15
0nm〜400nm)により該高分子の幹結合に対応す
るSi−Si結合が酸化的に切断される。
【0032】波長200nm未満の遠紫外線を照射する
には、真空脱気下または不活性ガス雰囲気下で照射する
必要があるので、安価な製造法を提供するには、波長2
00nmから300nmの紫外線を用いることが好まし
い。紫外線の場合には、その照射光量は、0.001J
・cm 2〜10J・cm 2、好ましくは0.01J・
cm-2〜5J・cm-2、さらに好ましくは、0.05J
・cm-2〜1J・cm -2の光量範囲が好適に用いられ
る。これ以下の照射光量では幹結合の切断は不十分であ
り、明瞭なパターンが形成されないし、これ以上の光量
を照射しても、切断の効率は飽和するために意味がな
い。
【0033】つぎに、活性エネルギー線の照射により幹
結合が切断された前記感活性エネルギー線高分子を修飾
基板表面から脱着させる工程(c)を説明する。複数個
のオニウム部位とクーロン力を介して非可逆吸着した前
記高分子は、活性エネルギー線の照射によって該高分子
の幹結合が切断された状態となる。この結果、該高分子
の分子量は減少し、切断された高分子鎖一本あたりの基
板表面との吸着に関与するオニウム部位数は減少するた
めに、前記切断された高分子の吸着安定性は著しく低下
し、前記切断された高分子は、脱着しやすくなる。前記
活性エネルギー線を照射した前記高分子被覆基板を、水
単独、水を主成分とする水溶性溶液、またはこれらに電
解質を溶解させた溶液に配置すると、活性エネルギー線
照射部の該基板表面で溶剤分子の可逆吸着または電解質
を構成するイオンによるイオン交換が引き起こされ、前
記切断された高分子は表面修飾基板から脱着すると推定
される。このようにして、工程(c)により、前記切断
させた高分子を脱着すると、負のζ電位を形成するまた
は負電荷に解離する極性官能基を有する修飾基板が形成
される。この結果、活性エネルギー線照射部の切断され
た感活性エネルギー線高分子を脱着した後の前記表面修
飾基板が、前記高分子が残存する正のζ電位を形成する
領域と前記感活性エネルギー線高分子が脱着した負のζ
電位を形成する領域から構成されるパターン状の表面修
飾基板が得られる。
【0034】前記感活性エネルギー線で切断された高分
子を前記表面修飾基板から脱着させるための溶媒とし
て、脱イオン水、水を主成分とする水と相溶性の有機溶
媒との混合溶液、またはこれらに電解質を溶解させた溶
液が挙げられる。水と相溶性の有機溶媒としては、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、
あるいはアセトンなどが好適に用いられる。溶媒の選択
は、用いられるオニウム部位を有する高分子の化学構造
に依存する。より好ましくは、水単独、水と低級アルコ
ールとの混合溶媒、またはそれらに電解質を溶解した溶
液である。
【0035】前記感活性エネルギー線で切断された高分
子を前記表面修飾基板から脱着させるために添加する電
解質は、一般式Zで表される。 MXn 一般式Z (ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオン、アンモニウムイオン、脂肪族4級アンモニウム
イオン、ピリジニウムイオンを示し、Xはハロゲン化物
イオン、窒素酸化物イオン、硫黄酸化物イオン、炭酸物
イオン、水酸化物イオンである)で示される無機または
有機塩である。本発明に好適に用いられる塩として、塩
化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カ
リウム、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化テ
トラメチルアンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、N−メチルピリジ
ニウムクロリドなどを挙げることができる。電解質の濃
度は、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.0
01〜5重量%である。より好ましくは、0.01〜1
重量%である。これ以下の濃度では、露光部の脱着が不
十分にしか起こらないし、これ以上の濃度の溶液を用い
ても、脱着効率には変化がなく、意味がない。
【0036】浸漬時間は前記高分子や前記溶液の種類に
依存するが、0.1秒〜1時間、好ましくは、1秒〜1
0分、より好ましくは、10秒〜5分の範囲である。こ
れ以下の浸漬時間では脱着が不十分であり、これ以上浸
漬を続けても、脱着効率には変化がなく、意味がない。
前記溶液に前記表面修飾基板を配置した後、脱イオン水
で洗浄することが好ましい。前記溶液の温度は、0℃〜
70℃、好ましくは、10℃〜50℃、より好ましく
は、室温を含む20℃〜40℃である。これ以下では脱
着が不十分であり、これ以上の高温では、未照射部の吸
着高分子の剥離が起こり始まる。
【0037】このように静電気作用(クーロン力)によ
り基板表面に安定に吸着した感活性エネルギー線高分子
が、活性エネルギー線で幹結合が切断され、切断された
高分子が水単独、水溶性溶液、またはこれらに電解質を
含む溶液に浸漬するという簡便な操作で明瞭なζ電位の
異なる潜像を与えることは意外なことであった。また、
吸着させた高分子の繰り返し単位当たりの分子占有面積
が1nm2である場合、厚さ1mmの1m2の基板を修飾
し、本工程で排出される光反応生成物の物質量は数1μ
molに過ぎず、従来の方法と比べると、現像工程
(c)での排出物の量は著しく低減される。
【0038】つぎに、選択的に金属化する工程(d)を
説明する。この工程では、前記表面修飾基板における前
記感活性エネルギー線高分子の脱着部に無電解めっき触
媒を吸着させ、次いで無電解めっき液に浸漬し、金属回
路パターンを作製する工程である。例えば、金属銀の配
線パターンを形成するために、工程(c)で得た前記感
光性高分子が残存する未照射領域と活性エネルギー線で
切断され脱着した照射領域から構成される前記表面修基
板を、硝酸銀を含む水溶液に浸漬し、ついで、公知の方
法によりハイドロキノンなどの還元剤を添加する。これ
により、露光部の前記切断された高分子が脱着した基板
上にコロイド状の金属銀微粒子が沈着され、導電性の金
属配線パターンが得られる。
【0039】さらに、工程(d)では、前記銀粒子を吸
着させて潜像(還元を促進する核)とし、これにさら
に、無電解めっきによって任意の金属配線パターンを形
成させることができる。本発明で好適に用いられる貴金
属粒子としては、前記銀の他に、パラジウム、白金が挙
げられる。銀の潜像を形成するためには、前記方法が好
適に用いられる。
【0040】他の方法として、パラジウム金属粒子を付
着させる公知の方法が用いられる(金属表面技術協会
編、金属表面技術便覧 改訂新版、日刊工業、1977
年、参照)。すなわち、コロイド状に分散したスズイオ
ンを付着させた後にパラジウムイオンを還元させる方法
が用いられる。工程(c)で得た前記感活性エネルギー
線高分子が残存する未照射領域と活性エネルギー線で切
断され前記高分子が脱着した照射領域から構成される前
記表面修基板を、コロイド状に分散したスズイオンを含
む水溶液に浸漬して、コロイド状のスズイオンを吸着さ
せる。次いで、パラジウムイオンを含む水溶液に前記ス
ズイオンで処理した基板を浸漬し、スズイオンとパラジ
ウムイオンとの酸化還元反応により、金属パラジウムの
潜像を形成させる。さらに、金属パラジウムの潜像を形
成させた前記表面修飾基板を無電解めっき液に配置する
ことにより、前記表面修飾基板の活性エネルギー線で照
射された領域が選択的に無電解めっきされ、金属配線基
板を得ることができる。この方法の他に、予めスズイオ
ンで還元したパラジウム金属粒子を付着させる方法も挙
げることができる。
【0041】ここでのスズイオン源として、例えば、S
nCl2などが挙げられる。パラジウムイオン源として
は、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOC
3 2、Pd(SO42、Pd(NO32などが挙げら
れる。こうして調製したパラジウムの潜像パターンが吸
着された表面修飾基板を金属めっきするために必要な無
電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、パラジ
ウム、金、白金、ロジウム等の金属イオンを含む溶液が
挙げられる。これらの無電解めっき液として、水溶性金
属塩に次亜リン酸ナトリウムや水素化ホウ素ナトリウム
などの還元剤、酒石酸ナトリウムカリウムなどの錯化剤
を配合して調製した市販品を用いることができる。金属
めっきに要する浸漬時間は、1分〜60分、より好まし
くは、5分〜30分である。めっき浴の温度としては、
0℃〜80℃、より好ましくは、20℃〜60℃であ
る。この操作によって、金属配線パターンを形成させた
印刷配線基板が製造される。
【0042】このように、前記感活性エネルギー線高分
子が残存しオニウム部位に由来する正の電荷を有するま
たは正のζ電位を形成する未照射領域と前記切断された
高分子が脱着した負電荷に解離する極性官能基を有する
または負のζ電位を形成する照射領域から構成される前
記表面修飾基板を、貴金属コロイド分散水溶液に浸漬
し、次いで無電解めっき溶液に浸漬するという簡便な操
作で、金属回路パターンを形成できることを発見したこ
とは意外なことであった。化学めっき触媒を含む溶液に
該基板を浸漬することにより、基板表面上でパターン状
の正ならびに負のζ電位が形成され、負のζ電位を示す
該基板表面には静電引力が作用し正のζ電位を形成する
該触媒粒子の吸着が促進される。一方、正のζ電位を示
す該基板表面には反対に静電斥力が作用し正のζ電位を
形成する該触媒粒子の吸着が阻害される。この結果、前
記触媒粒子の位置選択的な吸着がおこり、さらに化学め
っきを施すことにより、解像度に優れた金属配線基板が
形成されることが推定される。
【0043】以下、この実施例を示して本発明を具体的
に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。
【0044】本実施例に記載される基板のζ電位の測定
は、以下の測定方法による。平板状の基板のζ電位の測
定には、大塚電子株式会社製、レーザーゼータ電位計E
LSS−600ならびに平板試料用セルを用いた。電気
移動度の測定には、平均粒径520nmのポリスチレン
製微粒子を用いた。前記セル内に前記微粒子を分散させ
たpH7で25ーCの1mmol塩化カリウム水溶液を
入れ、2つの白金電極間に40−80Vの範囲で電圧を
印加した。セル内での電気浸透流の分布を森・岡本の式
(文献9)に基づき測定器で解析し、ζ電位を求めた。
電解質溶液により、異なる値を示すが、本発明でのζ電
位は、特にことわらない限り前記方法による。
【0045】
【実施例】実施例1 体積比7:3の濃硫酸と30%過酸化水素水溶液からな
る混合液に表面酸化シリコン基板を1時間浸漬し、次い
で脱イオン水による洗浄、乾燥を経て、洗浄した表面酸
化シリコン基板を得た。この洗浄した表面酸化シリコン
基板は、−5.39mVのゼータ電位を有していた。ポ
リメチル〔2−(4−(N−ドデシル−N,N−ジメチ
ルアザニアメチル)フェニル)エチル〕シラン(重量平
均分子量=21,000;分散度=1.23)を20重
量%のエタノールを含む脱イオン水に溶解させ、1重量
%の水溶液とした。この溶液に洗浄した表面酸化シリコ
ン基板を30分浸漬し、洗浄、乾燥空気による乾燥を行
い、該感活性エネルギー線高分子で表面被覆した基板と
した。該高分子被覆基板は、+34.17mVのゼータ
電位を有していた〔前記図1の工程(a)に対応。〕。
この基板上にフォトマスクを重ねてから、波長254n
m、200mJ・cm 2の露光量で500Wの高圧水
銀灯からの紫外線を照射し(図1の工程(b)に対
応)、次いで、0.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液
に1分間浸漬し、脱イオン水で洗浄後、乾燥空気で乾燥
した。このように露光後、水酸化ナトリウム水溶液で処
理された基板は、−7.03mVのゼータ電位を有して
いた〔図1の工程(c)に対応〕。このパターン状に露
光された基板を0.1重量%の硝酸銀水溶液100mL
に配置してから、65mgのハイドロキノンを溶解させ
た水溶液10mLを加えた。2分放置後、基板を取り出
して脱イオン水で洗浄、乾燥させ、光学顕微鏡観察によ
り、3μmのパターン精細度を有する金属画像からなる
厚み1μmの銀の導電性配線として形成されていること
が観察された。図2は前記導電性配線の反射型光学顕微
鏡写真である。
【0046】実施例2 実施例1と同様にして洗浄した表面酸化シリコン基板を
用いて、工程(a)に対応する前記感活性エネルギー線
高分子で前記基板を被覆する工程を行わずに、実施例1
と同様に工程(b)から(d)まで進めた結果、該基板
上全面に金属銀粒子が吸着し、金属画像は形成されなか
った。
【0047】実施例3 実施例1と同様にして洗浄した石英ガラス基板を、前記
正電荷を有するポリシランの水溶液に浸漬し、洗浄し、
風乾して、ポリシラン吸着石英ガラス基板を作製した。
この基板の紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、波
長298nmでの吸光度は0.007であった。同ポリ
シランを気−水界面に展開してLangmuir−Bl
odgett膜を石英ガラス上に形成させた超薄膜の吸
光度は波長290nmにおいて0.006であることよ
り、浸漬法により同等の光学膜厚を有する2nmのポリ
シラン吸着膜が形成していることがわかった。
【0048】実施例4 厚さ120μmのポリエチレンテレフタレート樹脂シー
ト(以下、PET樹脂)にオゾン/紫外線処理を2時間
施し、表面処理されたPET樹脂(水の接触角18ー)
を得た。実施例1と同様にして、前記感活性エネルギー
線ポリシラン水溶液に前記表面処理したPET樹脂を1
0分間浸漬し、洗浄、乾燥空気による乾燥を行い、該感
光性高分子で被覆したPET樹脂基板とした。(工程
(a))。この基板にフォトマスクを重ねてから、波長
254nm、100mJ・cm-2の露光量で200Wの
水銀キセノンランプからの紫外線を照射し(工程
(b))、次いで、0.1重量%の水酸化カリウム水溶
液に1分間浸漬し、脱イオン水による洗浄、乾燥空気に
よる乾燥を行った(工程(c))。得られたPET樹脂
基板を0.5重量%の塩化錫(II)の白濁した水溶液
に3分間浸漬し、脱イオン水による洗浄を行った。次い
で、0.01重量%の塩化パラジウム(II)の水溶液
に3分間浸漬し、脱イオン水による洗浄を施し、金属パ
ラジウムに還元し、PET樹脂表面に金属パラジウムの
潜像を得た。さらに、このPET樹脂基板を1.45重
量%の次亜リン酸ニッケル(II)、1.16重量%の
ホウ酸、0.243重量%の酢酸ナトリウム、0.12
6重量%の硫酸アンモニウムを含む20ーCの無電解め
っき液に浸漬し、所定時間10分間放置後、基板を取り
出して脱イオン水で洗浄、乾燥させた。オゾン/紫外線
処理を施した時の紫外線照射面に、ニッケルの金属画像
が形成された。透過型光学顕微鏡により、3μmのパタ
ーン精度を有する金属画像からなるニッケルの導電性配
線が形成されていることが観察された。図3は前記ニッ
ケルの導電性配線の透過型光学顕微鏡写真である。
【0049】実施例5 工程(a)に対応する前記感活性エネルギー線高分子で
前記基板を被覆する工程を行わない以外、実施例4と同
様にした結果、オゾン/紫外線処理を施した時の紫外線
照射面に対応するPET樹脂の片側の全面にニッケルめ
っきされ、金属画像は形成されなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明のオニウム部位を有する感活性エ
ネルギー線高分子と負電荷を解離する極性官能基を有す
るまたは負のζ電位を形成する基板を使用してなる選択
的金属化法により製造される金属配線基板は、排出され
る有機系含有廃液が著しく低減化される工程で製造され
るうえ、露光時における揮発性有機物が発生することな
く、しかも主溶剤として水を使用することから、環境保
全の面で極めて優れている。さらには、本発明により製
造されるアディティブ法印刷金属配線基板は、高度なパ
ターン精細度を持つ高解像度の導電部と絶縁部とからな
るパターンが形成されたものであり、各種表示装置、バ
ッテリー電極、太陽電池、集積回路素子、電磁波シール
ド材料、各種微小なマイクロ発熱体等に応用可能であ
る。
【0051】文献リスト 文献1 米国特許第5,158,860号 文献2 特開平10−326957号 文献3 米国特許第5,079,600号 文献4 特開平4−326719号 文献5 Adv.Mater.,12,2000,pp
403−407 文献6 特開平5−295118号 文献7 特公平6−55822号 文献8 Macromolecules,21,198
8,pp304−309 文献9 Fusen,27,1980,p117
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の感活性エネルギー線高分子を用いて
金属配線基板を製造する工程図
【図2】 酸化シリコン基板上の金属(銀)配線基板の
反射型光学顕微鏡写真
【図3】 ポリエチレンテレフタレート樹脂上の金属
(Ni)配線基板の透過型光学顕微鏡写真
【符号の説明】
BA −ζ電位を形成または負電荷に解離する極性基
を有する表面修飾基板 SL 感活性エネルギー線高分子吸着膜 PM マス
ク +ζP パターン状高分子吸着膜 MC 金属配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA04 AB15 AB17 AC01 AD03 BE07 BF00 BF30 BG00 CA48 CB32 CB41 CB48 FA17 FA43 2H097 CA11 GA00 LA10 5E343 AA22 BB25 BB71 CC61 DD33 DD34 ER11 ER43 GG06 GG11

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)負のζ電位を形成する、または負
    電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、幹ポリ
    マーを構成する繰り返し単位の側鎖の一部または全部に
    オニウム部位を有し、かつ、活性エネルギー線の作用に
    よって幹ポリマーの結合が切断される感活性エネルギー
    線高分子を前記負のζ電位または負電荷に解離する極性
    基による負の電位の影響下に吸着して形成される前記感
    活性エネルギー線高分子で被覆され、該被覆により正の
    ζ電位を示す表面修飾基板を作製し、(b)該表面修飾
    基板に前記活性エネルギー線をパターン状に照射して、
    幹ポリマーの結合を切断し、(c)該基板を水単独、水
    を主成分とする水と相溶性の有機溶媒との混合溶液、ま
    たはこれらに電解質を溶解させた溶液により活性エネル
    ギー線照射部の切断された感活性エネルギー線高分子を
    脱着させた後、(d)前記感活性エネルギー線高分子の
    脱着部に無電解めっき触媒を吸着させ、次いで無電解め
    っき液に浸漬する工程を含む製造方法により得られたこ
    とを特徴とする金属配線基板。
  2. 【請求項2】 活性エネルギー線照射部の切断された感
    活性エネルギー線高分子を脱着した後の前記表面修飾基
    板が、前記高分子が残存する正のζ電位を有する領域と
    前記感活性エネルギー線高分子が脱着した基板の負のζ
    電位または負電荷に解離する極性基による負の電位を有
    する領域から構成されるパターン状の表面修飾基板であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の金属配線基板。
  3. 【請求項3】 幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側
    鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活性
    エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断さ
    れる感活性エネルギー線高分子を前記負の電位の影響下
    に吸着させる工程において、前記高分子が修飾基板表面
    の負のζ電位または負電荷に解離する極性基により該基
    板表面に吸着する状態で、かつ、水、極性溶媒、水−水
    可溶性溶媒の混合溶液、またはこれらの溶液に電解質を
    添加した溶媒から選択される溶媒中に存在することを特
    徴とする請求項1または2に記載の金属配線基板。
  4. 【請求項4】 幹ポリマーを構成する繰り返し単位の側
    鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活性
    エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断さ
    れる感活性エネルギー線高分子を前記負のζ電位または
    負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に吸着
    させる工程が浸漬法によるものであることを特徴とする
    請求項1、2または3に記載の金属配線基板。
  5. 【請求項5】 前記感活性エネルギー線高分子を構成す
    る繰り返し単位の一部または全部が一般式Aで表される
    14族元素の幹ポリマーの繰り返し単位を含有するポリ
    メタル化合物 【化1】 (ここで、Mは、Si、Ge、Snである。R1は水素
    原子又は一価の置換又は非置換の脂肪族炭化水素基、脂
    環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、Rzは、
    直鎖または分岐鎖からなる炭素数2から10の脂肪族ア
    ルキレン基あるいはエーテル結合を含んでもよい炭素数
    7から20の芳香族炭化水素残基であり、Xは、N、
    P、S、Iであり、pは1、2または3であり、Rは一
    価の置換又は非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水
    素基、芳香族炭化水素基であり、(R)p中のRは異な
    る基から構成されていても良い、または(R)pは前記
    Xと前記Xを環員異種原子として含む複素環または縮合
    複素環を形成する原子団であっても良い。nは重合度、
    -は有機または無機の陰イオンである。)であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属配線
    基板。
  6. 【請求項6】 前記一般式Aで表されるポリメタル化合
    物においてMがSiである下記の一般式Bで表されるポ
    リシランであることを特徴とする請求項5に記載の金属
    配線基板。 【化2】 (一般式B中、R1、Rz、R、X+、Y-、p、nは一
    般式Aと同じ。)
  7. 【請求項7】 前記一般式Bで表される繰り返し単位を
    含有する感活性エネルギー線高分子が一般式C〜Pで表
    されるXがNである化合物から選択されるものであるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の金属配線基板。 【化3】 (一般式C中、R1、n、Y-は一般式Bと同じ。R2
    3およびR4は一般式BにおけるRと同じ。mは3から
    10までの整数。) 【化4】 (一般式D中、R1、n、Y-、R2、R3、およびR4は一
    般式Cと同じ。mは1から6までの整数であり、qは1
    から6までの整数。) 【化5】 (一般式E中、R1、R2、R3、R4、Y-、n、mおよび
    qは一般式Dと同じ。) 【化6】 (一般式F中、R1、R2、R3、R4、Y-およびnは一
    般式Dと同じ。qは1から10までの整数。) 【化7】 (一般式G中、R1、R2、R3、R4、Y-およびnは一般
    式Dと同じ。qは一般式Fと同じ。) 【化8】 (一般式H中、R1、R2、R3、R4、Y-およびnは一般
    式Dと同じ。qは一般式Fと同じ。) 【化9】 (一般式I中、R1、R2、R3、R4、Y-およびnは一般
    式Dと同じ。qは一般式Fと同じ。) 【化10】 (一般式J中、R1、Y-、mおよびnは一般式Bと同
    じ。R5は一般式BのRと同じ。) 【化11】 (一般式K中、R1、Y-およびnは一般式Bと同じ。R5
    は一般式BのRと同じ。mおよびqは1から6までの整
    数。) 【化12】 (一般式L中、R1、R5、Y-、m、nおよびqは一般式
    Kと同じ。) 【化13】 (一般式M中、R1、R5、Y-、nおよびqは一般式Kと
    同じ。) 【化14】 (一般式N中、R1、R5、Y-、nおよびqは一般式K
    と同じ。) 【化15】 (一般式O中、R1、R5、Y-、nおよびqは一般式K
    と同じ。) 【化16】 (一般式P中、R1、R5、Y-、nおよびqは一般式K
    と同じ。)
  8. 【請求項8】 前記一般式Bで表される繰り返し単位を
    含有する感活性エネルギー線高分子が一般式Q〜Tで表さ
    れるXがPである化合物から選択されるものであること
    を特徴とする請求項6に記載の金属配線基板。 【化17】 (一般式Q中、R1、Y-およびnは一般式Bと同じ。
    6、R7およびR8は一般式BにおけるRと同じ。mは
    一般式Cと同じ。) 【化18】 (一般式R中、R1、R6、R7、R8、Y-およびnは一般
    式Qと同じ。mおよびqは一般式Dと同じ。) 【化19】 (一般式S中、R1、R6、R7、R8、Y-およびnは一般
    式Qと同じ。mおよびqは一般式Dと同じ。) 【化20】 (一般式T中、R1、R6、R7、R8、Y-およびnは一般
    式Qと同じ。qは一般式Dと同じ。)
  9. 【請求項9】 前記一般式Bで表される繰り返し単位を
    含有する感活性エネルギー線高分子が一般式U〜Wで表さ
    れるXがSである化合物から選択されるものであること
    を特徴とする請求項6に記載の金属配線基板。 【化21】 (一般式U中、R1、Y-、mおよびnは一般式Bと同
    じ。R9およびR10は一般式BにおけるRと同じ。mは
    3から10までの整数。) 【化22】 (一般式V中、R1、R9、R10、Y-およびnは一般式U
    と同じ。mおよびqは一般式Dと同じ。) 【化23】 (一般式W中、R1、R9、R10、Y-およびnは一般式U
    と同じ。mおよびqは一般式Dと同じ。)
  10. 【請求項10】 前記一般式Bで表される繰り返し単位
    を含有する感活性エネルギー線高分子が一般式X〜Yで
    表されるXがIである化合物から選択されるものである
    ことを特徴とする請求項6に記載の金属配線基板。 【化24】 (一般式X中、R1、Y-およびnは一般式Bと同じ。R
    11は一般式BにおけるRと同じ。qは1から6までの整
    数。) 【化25】 (一般式Y中、R1、R11、Y-、nおよびqは一般式X
    と同じ。)
  11. 【請求項11】 (a)負のζ電位を形成する、または
    負電荷に解離する極性基を有する表面修飾基板に、幹ポ
    リマーを構成する繰り返し単位の側鎖の一部または全部
    にオニウム部位を有し、かつ、活性エネルギー線の作用
    によって幹ポリマーの結合が切断される感活性エネルギ
    ー線高分子を前記負のζ電位または負電荷に解離する極
    性基による負の電位の影響下に吸着して形成される前記
    感活性エネルギー線高分子で被覆され、該被覆により正
    のζ電位を示す表面修飾基板を作製し、(b)該表面修
    飾基板に前記活性エネルギー線をパターン状に照射し
    て、幹ポリマーの結合を切断し、(c)該基板を水単
    独、水を主成分とする水と相溶性の有機溶媒との混合溶
    液、またはこれらに電解質を溶解させた溶液により活性
    エネルギー線照射部の切断された感活性エネルギー線高
    分子を脱着させた後、(d)前記感活性エネルギー線高
    分子の脱着部に無電解めっき触媒を吸着させ、次いで無
    電解めっき液に浸漬する工程を含む金属配線基板の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 活性エネルギー線照射部の切断された
    感活性エネルギー線高分子を脱着した後の前記表面修飾
    基板が、前記高分子が残存する正のζ電位を有する領域
    と前記感活性エネルギー線高分子が脱着した基板の負の
    ζ電位または負電荷に解離する極性基による負の電位を
    有する領域から構成されるパターン状の表面修飾基板で
    あることを特徴とする請求項11に記載の金属配線基板
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 幹ポリマーを構成する繰り返し単位の
    側鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活
    性エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断
    される感活性エネルギー線高分子を前記負の電位の影響
    下に吸着させる工程において、前記高分子が修飾基板表
    面の負のζ電位または負電荷に解離する極性基により該
    基板表面に吸着する状態で、かつ、水、極性溶媒、水−
    水可溶性溶媒の混合溶液、またはこれらの溶液に電解質
    を添加した溶媒から選択される溶媒中に存在することを
    特徴とする請求項11または12に記載の金属配線基板
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 幹ポリマーを構成する繰り返し単位の
    側鎖の一部または全部にオニウム部位を有し、かつ、活
    性エネルギー線の作用によって幹ポリマーの結合が切断
    される感活性エネルギー線高分子を前記負のζ電位また
    は負電荷に解離する極性基による負の電位の影響下に吸
    着させる工程が浸漬法によるものであることを特徴とす
    る請求項11、12または13に記載の金属配線基板の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記感活性エネルギー線高分子を構成
    する繰り返し単位の一部または全部が前記一般式Aで表
    される14族元素の幹ポリマーの繰り返し単位を含有す
    るポリメタル化合物であることを特徴とする請求項11
    〜14のいずれかに記載の金属配線基板の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記一般式Aで表されるポリメタル化
    合物においてMがSiである前記一般式Bで表されるポ
    リシランであることを特徴とする請求項15に記載の金
    属配線基板の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記一般式Bで表される繰り返し単位
    を含有する感活性エネルギー線高分子が前記一般式C〜
    Pで表されるXがNである化合物、前記一般式Q〜Tで
    表されるXがPである化合物、前記一般式U〜Wで表さ
    れるXがSである化合物または前記一般式X〜Yで表さ
    れるXがI(ヨウ素)である化合物から選択されるもの
    であることを特徴とする請求項16に記載の金属配線基
    板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100594434C (zh) * 2007-12-27 2010-03-17 中国科学院物理研究所 制具有纳米尺度的大面积由金属膜覆盖的金属结构的方法
US8187664B2 (en) * 2005-02-08 2012-05-29 Fujifilm Corporation Metallic pattern forming method, metallic pattern obtained thereby, printed wiring board using the same, and TFT wiring board using the same
JP2015190056A (ja) * 2014-03-31 2015-11-02 株式会社サーテックカリヤ 無電解めっき方法および無電解めっき物
JP2016121375A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 キヤノン・コンポーネンツ株式会社 めっき皮膜付樹脂製品及びその製造方法

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