JP2003128887A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JP2003128887A
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一之 中田
Seiya Shichijukari
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性や耐油性に優れ、強靭で柔軟性、
風合い、手触り、耐傷付性、耐屈曲性等に優れたポリエ
ステル系熱可塑性エラストマー組成物を提供する。 【解決手段】 ポリエステル系熱可塑性エラストマー6
0〜99.5重量部とエチレン・一酸化炭素共重合体、
好ましくはエチレン・不飽和カルボン酸エステル・一酸
化炭素共重合体のゲル分率が20〜80%である部分架
橋物40〜0.5重量部と、任意にフタル酸エステルの
ような可塑剤を配合して得られる熱可塑性エラストマー
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系熱
可塑性エラストマーの耐熱性や耐油性を大きく損なうこ
となく耐屈曲性、柔軟性等を改善する処方を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル・ポリエーテルブロック共
重合体やポリエステル・ポリエステルブロック共重合体
などのポリエステル系熱可塑性エラストマーは、強靭で
耐熱性、耐油性、低温特性などが良好な熱可塑性エラス
トマーであり、ホース、チューブ、ベルト、電線被覆、
自動車部品材料など種々の分野で使用されている。ポリ
エステル系熱可塑性エラストマーは、重合組成、分子
量、分子量分布などによってその性質が左右され、耐屈
曲性や柔軟性が良好なものもあるが、耐熱性や耐油性に
優れるものは一般に柔軟性が充分でなく、また比較的柔
軟性に優れるものは耐屈曲性が充分でないため、その使
用分野が限定されていた。またポリエステル系エラスト
マーの柔軟化では、重合組成、分子量、分子量分布を制
御する以外にも、良好な耐熱性、屈曲性、耐油性を有す
るポリエステル系エラストマーに可塑剤を始めとする添
加剤や柔軟なゴムあるいは樹脂を配合することで柔軟な
エラストマー組成物を調製する方法が知られているが
(例えば特開平7−126500号、特開平8−277
359号、特開2001−207046号などの各公
報)、耐熱性や耐油性が著しく悪化してしまい、満足す
べきものは得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの優れた耐熱
性、耐油性、風合い、手触り、耐傷付性を大きく損なう
ことなく、耐屈曲性や柔軟性を改良する処方を提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー60〜99.
5重量部とエチレンと一酸化炭素を含む共重合体の部分
架橋物40〜0.5重量部とからなる熱可塑性エラスト
マー組成物が提供される。
【0005】本発明の好適態様によれば、上記ポリエス
テル系熱可塑性エラストマーとエチレンと一酸化炭素を
含む共重合体の部分架橋物の合計量100重量部に対
し、20重量部以下の可塑剤が配合された熱可塑性エラ
ストマー組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるポリエステル
系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフト
セグメントからなるブロック共重合体であって、分子鎖
中にポリエステル結合を有するものである。その代表的
なものが、ハードセグメントとして高融点のポリエステ
ルセグメントを、ソフトセグメントとして低融点重合体
セグメントを有するブロック共重合体である。ここに高
融点のポリエステルセグメントとは、高融点のポリエス
テルセグメント構成成分のみで高分子量重合体を形成し
た場合の融点が150℃以上のものであり、低融点重合
体セグメントとは、低融点重合体セグメント構成成分の
みで測定した場合の融点乃至軟化点が80℃以下となる
ものであり、通常分子量が400〜6000程度のもの
である。
【0007】高融点ポリエステルセグメントを構成する
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ビフェニルジカルボン酸、ビス(p−カルボキシ
フェニル)メタン、4,4’−スルホニルジ安息香酸な
どの芳香族ジカルボン酸残基と、エチレングリコール、
トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、
ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメ
チレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、p−キシリレングリコールなどの
ジオール残基とからなるポリエステル、あるいはこれら
2種以上のジカルボン酸あるいは2種以上のジオールを
用いたコポリエステル、あるいはp−オキシ安息香酸、
p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのオキシ
酸及びそれらの残基から誘導されるポリエステル、1,
2−ビス(4,4’−ジカルボキシメチルフェノキシ)
エタン、ジ(4−カルボキシフェノキシ)エタンなどの
芳香族エーテルジカルボン酸の残基と前述のジオール残
基とからなるポリエーテルエステル、さらに上述のジカ
ルボン酸、オキシ酸、ジオール類を組み合わせたコポリ
エステルなどを挙げることができる。このようなコポリ
エステルにおいて、少量であれば脂肪族ジカルボン酸残
基や脂肪族オキシ酸残基が含まれるものであってもよ
い。いずれにしてもこのような高融点セグメントとし
て、融点が150℃以上のものが使用される。好ましい
のは、ポリテトラメチレンテレフタレート又はポリエチ
レンテレフタレートであり、とくに好ましいのはポリテ
トラメチレンテレフタレートである。
【0008】ポリエステル系熱可塑性エラストマーを構
成する低融点重合体セグメントは、融点ないしは軟化点
が80℃以下のものであり、実質的に非晶状態を示すも
のが好ましい。低融点重合体セグメントの分子量は40
0〜6000程度、とくに600〜5000程度のもの
がよい。低融点重合体セグメントとして具体的には、ポ
リオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ
オキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールなど
のポリオキシアルキレングリコールあるいはこれらの混
合物などを例示することができる。
【0009】上記低融点重合体セグメントとしてはま
た、炭素数2〜12の脂肪族又は脂環族ジカルボン酸と
炭素数2〜10の脂肪族又は脂環族ジオールとのポリエ
ステル又はコポリエステル、炭素数4〜10の脂肪族ラ
クトンのポリエステル又はコポリエステル、脂肪族又は
脂環族ジカルボン酸、脂肪族又は脂環族ジオール及び脂
肪族ラクトンのコポリエステルなどの脂肪族ポリエステ
ルを挙げることができる。より具体的には、ポリエチレ
ンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエ
チレンセバケート、ポチネオペンチルセバケート、ポリ
テトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼ
レート、ポリヘキサメチレンアゼレート、ポリ−ε−カ
プロラクトンなどを挙げることができる。
【0010】低融点重合体セグメントとしては、上記ポ
リオキシアルキレングリコールと脂肪族ポリエステルを
併用することもできる。
【0011】低融点重合体セグメントとしてポリオキシ
アルキレングリコールを使用したポリエステル・ポリエ
ーテルブロック共重合体や低融点重合体セグメントとし
て脂肪族ポリエステルを使用したポリエステル・ポリエ
ステルブロック共重合体などの上記ポリエステル系熱可
塑性エラストマーとしては、ポリオキシアルキレングリ
コールや脂肪族ポリエステルなどの低融点重合体セグメ
ントの含有量が5〜80重量%、とくに15〜70重量
%含まれるものが好ましい。またショアA硬度が90以
下、とくに70〜85のものが好ましい。さらに230
℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.
1〜1000g/10分、とくに1〜100g/10分
のものを用いるのが好ましい。
【0012】上記ポリエステル系熱可塑性エラストマー
は、通常の重縮合法によって製造することができる。例
えば、芳香族ジカルボン酸又はそのジメチルエステル
と、低融点セグメント形成性ジオールと、低分子量ジオ
ールとを、触媒の存在下に150〜260℃程度に加熱
してエステル化反応又はエステル交換反応を行い、次い
で真空下に過剰の低分子量ジオールを除去しつつ重縮合
反応を行うことによりポリエステル系ブロック共重合体
を得る方法、あらかじめ調製した高融点ポリエステルセ
グメント形成性プレポリマー及び低融点重合体セグメン
ト形成性プレポリマーに、それらのプレポリマー末端基
と反応する2官能性の鎖延長剤を混合して反応させた
後、系を高真空に保ち、揮発成分を除去することにより
ポリエステル系ブロック共重合体を得る方法、高重合度
の高融点ポリエステルとラクトン類を加熱混合し、ラク
トンを開環重合させつつエステル交換反応させることに
より、ポリエステル系ブロック共重合体を得る方法など
である。
【0013】ポリエステル系熱可塑性エラストマーの他
の例として、ハードセグメントとしてジヒドロキシ−p
−クォーターフェニルのような低分子液晶化合物を使用
し、ソフトセグメントとして上記のような脂肪族ポリエ
ステルを用いたマルチブロック共重合体を挙げることが
できる。このようなポリエステル系熱可塑性エラストマ
ーにおいても、ショアA硬度が90以下、とくに85以
下のものを使用するのが好ましい。
【0014】本発明で使用されるエチレンと一酸化炭素
を含む共重合体は、エチレンと一酸化炭素を必須構成成
分とし、任意に他のモノマーを共重合成分とする共重合
体である。上記他のモノマーとしては、酢酸ビニルのよ
うなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和
カルボン酸エステルなどの不飽和エステルを挙げること
ができる。とくに好適な共重合体は、耐熱性、柔軟性に
優れるところから、アクリル酸エステル又はメタクリル
酸エステルを共重合した多元共重合体である。
【0015】エチレンと一酸化炭素を含む共重合体にお
いては、エチレン成分が50〜98重量%、とくに60
〜94重量%、一酸化炭素成分が2〜20重量%、とく
に4〜15重量%、他のモノマー成分が0〜40重量
%、とくに2〜35重量%の割合で共重合されているも
のを使用するのが好ましい。これら共重合体としてはま
た、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレ
ートが0.1〜500g/10分、とくに0.5〜10
0g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0016】エチレンと一酸化炭素を含む共重合体は、
エチレン、一酸化炭素、任意に他のモノマーを、ラジカ
ル開始剤を用い、高温、高圧下で共重合することによっ
て得ることができる。
【0017】本発明においては、上記のようなエチレン
と一酸化炭素を含む共重合体を部分架橋したものが使用
される。部分架橋物としては、ゲル分率が20〜80
%、とくに30〜70%のものを使用するのが好まし
い。すなわちゲル分率があまり低いものを使用すると、
目的とする熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性及び耐
油性が悪化するので好ましくなく、一方ゲル分率があま
り高いものを使用すると溶融流動性が損なわれるので、
ポリエステル系熱可塑性エラストマーと均一に混合させ
ることが難しくなり、所望の効果を得ることが難しくな
る。
【0018】尚、ゲル分率の測定は、次のようにして行
うことができる。すなわち約1gの上記共重合体部分架
橋物試料を精秤し、300mlナス型フラスコに100
mlのメチルエチルケトンと共に入れ、3時間還流す
る。冷却後、約25mlのメチルエイチルケトンを取り
出し、遠心分離後(8000/分、20分間)上澄み1
0mlをボールピペットにて取り、予め重量を測ったシ
ャーレに移す。サンプルをドラフト中に一晩置いた後、
真空乾燥機中、100〜110℃で1時間乾燥し、これ
をデシケーター中で冷却し、シャーレに残った残留物の
重量を測定する。ゲル分率は次式により求める。 ゲル分率(%)=100−[残留物(mg)/サンプル
重量(g)]
【0019】エチレンと一酸化炭素を含む共重合体を部
分架橋するには、架橋剤の存在下に該共重合体を動的に
熱処理(溶融状態で混練)すればよい。架橋剤として
は、パーオキサイド、ポリアミン等を挙げることができ
るが、とくにパーオキサイドを使用することが好まし
い。パーオキサイドとして具体的には、ジクミルパーオ
キサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,
5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t
ert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビ
ス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−
4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレラー
ト、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパ
ーオキシベンゾエートなどを挙げることができる。
【0020】エチレンと一酸化炭素を含む共重合体の動
的な熱処理においては、共重合体100重量部に対し、
パーオキサイドを0.05〜2重量部程度、とくに0.
1〜1.5重量部程度使用するのが好ましい。また動的
熱処理においては、パーオキサイドの分解温度によって
も異なるが、100〜250℃、とくに120〜200
℃の範囲で、1〜20分、とくに1〜10分程度混練を
行うのが好ましい。動的熱処理に使用される装置として
は、一般の溶融混練装置であれば如何なるものでも使用
することができるが、工業的には押出機を使用するのが
有利である。
【0021】上記共重合体の動的熱処理は、通常は上記
共重合体とパーオキサイドを溶融混練することによって
行われるが、望むならばポリエステル系熱可塑性エラス
トマーの一部又は全部を共存させて行ってもよく、ある
いは後述の可塑剤を共存させて行ってもよい。
【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー60〜9
9.5重量部、好ましくは70〜95重量部に対し、エ
チレンと一酸化炭素を含有する共重合体40〜0.5重
量部、好ましくは30〜5重量部の割合で配合する。上
記共重合体の使用量が少なすぎると、柔軟性や耐屈曲性
の改善効果が充分でなく、またその使用量が多くなりす
ぎると機械的強度、耐熱性、耐油性等の低下が無視でき
なくなってくる。
【0023】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、柔軟性、耐屈曲性を一層改善するために可塑剤
を配合することが効果的である。可塑剤として具体的に
は、プロセスオイルやエクステンダー油等の鉱油系ゴム
用軟化剤;ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、
ジn−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)
フタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフ
タレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレ
ート、ブチルラウリルフタレート、ブチルベンジルフタ
レートなどのフタル酸エステル、トリメリット酸オクチ
ルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリ
メリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エ
ステル、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロメ
リット酸エステルのような芳香族エステル系可塑剤;ジ
メチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジn−ブ
チルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ(2−エチ
ルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
オクチルアゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アアゼ
レート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、メチル
アセチルリシノレート、ジペンタエリスリトールエステ
ルのような脂肪族エステル系可塑剤;ポリエチレングリ
コールエステルのようなグリコールエステル系可塑剤;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂
肪酸アルキルエステルのようなエポキシ系可塑剤、トリ
メチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブ
チルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフ
ェート、トリラウリルホスフェート、トリセチルホスフ
ェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホ
スフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス
−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピ
ルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、
キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシ
ルジフェニルホスフェート、縮合リン酸エステルなどの
リン酸エステル系可塑剤などを例示することができる。
これらの中では芳香族ポリエステル系可塑剤の使用が最
も好ましい。
【0024】可塑剤の有効な配合量は、ポリエステル系
熱可塑性エラストマーとエチレンと一酸化炭素を含む共
重合体の部分架橋物の合計量100重量部に対し、20
重量部以下、好ましくは0.05重量部以上、一層好ま
しくは1〜10重量部の範囲である。
【0025】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
本発明の目的を損なわない範囲において、他の重合体や
添加剤を配合することができる。このような添加剤の例
としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔
料、染料、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、発泡剤、発泡
助剤、無機充填剤、繊維強化材などを挙げることができ
る。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
単軸押出機、二軸押出機、バンバリ−ミキサー、ロー
ル、ニーダーなどを用いてポリエステル系熱可塑性エラ
ストマー、エチレンと一酸化炭素を含む共重合体の部分
架橋物、及び可塑剤などの任意に配合される成分を溶融
混練することによって調製することができる。このよう
にして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、良好な
加工性、風合い、手触り、耐傷付性を有しており、押出
成形、射出成形、インサート成形、中空成形、プレス成
形、真空成形などの各種成形方法によって、フイルム、
シート、棒状物、管状物などの単純な形状の成形品から
複雑な形状の成形品まで種々の形状の成形品を製造する
ことができる。とくに自動車用途(例えばCVJブー
ツ)、家電、工業部品、繊維、クッション材、緩衝材、
グリーップ、スイッチカバー、滑り止め等の用途に好適
である。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。尚、実施例及び比較例で用いた原料及び得られ
た組成物等の物性評価方法は、以下の通りである。
【0028】1.原料 (1)ポリエステル系熱可塑性エラストマー A−1:商品名 ペルプレン30B(ショアA硬度7
5、東洋紡(株)製) A−2:商品名 ペルプレン40B(ショアA硬度8
1、東洋紡(株)製) A−3:商品名 ハイトレル3046(ショアA硬度8
2、東レ・デュポン(株)製) (2)エチレンと一酸化炭素を含む共重合体及びその部
分架橋物 B−1:エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル
共重合体(一酸化炭素10重量%、アクリル酸n−ブチ
ル30重量%、メルトフローレート8g/10分) B−2:B−1の部分架橋物(ゲル分率40%) (3)可塑剤 C−1:ジイソノニルフタレート(DINP)
【0029】2.物性評価方法 (1)硬度(ショアA):JIS K6301 (2)引張特性(伸び、破断点強度):ASTM D6
38 (3)曲げ剛性率:ASTM D790
【0030】(4)耐屈曲性 試験片:JIS K−6301(ASTM D430−
59)準拠 屈曲試験:デマッチャ屈曲試験機 屈曲ストローク:最長チャック間75mm、最短チャッ
ク間19mm 屈曲サイクル:300サイクル/分 測定温度:23℃ 評価 ◎:5万回の屈曲の後、ノッチ幅が5mm以下 ○:5万回の屈曲の後、ノッチ幅が15mm以下 ×:5万回の屈曲の後、ノッチ幅が15mm以上
【0031】(5)耐油性 引張試験用試験片及び30×30×2mmに裁断した試
験片を100℃の3号膨潤油に70時間浸漬したものに
つき、引張特性及び重量変化率を測定した。重量変化率
は次の式により求めた。 重量変化率(%)=(浸漬後重量/浸漬前重量)×10
【0032】(6)耐熱性 引張試験用及びデマッチャ屈曲試験用の試験片並びに3
0×30×2mmに裁断した試験片を100℃に設定し
たオーブン中に100時間放置し、引張特性、耐屈曲
性、重量変化率を測定した。
【0033】[実施例1]ポリエステル系エラストマー
としてヘルプレン30B(A−1)80重量部及びエチ
レン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体の部
分架橋物(B−2)20重量部を溶融混合して得られた
熱可塑性エラストマー組成物の物性評価を行った。その
結果を表1に示す。
【0034】[比較例1]比較のため、ヘルプレン30
B(A−1)の物性評価を行った結果を表1に示す。
【0035】[比較例2]実施例1において、部分架橋
物(B−2)の代りに、部分架橋していないエチレン・
一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体(B−1)
を使用して得た熱可塑性エラストマー組成物の物性評価
結果を表1に示す。
【0036】[実施例2]実施例1において、部分架橋
物(B−2)20重量部の代りに、部分架橋物(B−
2)17重量部及びジノニルフタレート(C−1)3重
量部を使用した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性
エラストマー組成物を得た。その物性評価結果を表1に
示す。
【0037】[比較例3]実施例2において、部分架橋
物(B−2)の代りに、部分架橋していないエチレン・
一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体(B−1)
を使用して得た熱可塑性エラストマー組成物の物性評価
結果を表1に示す。
【0038】[比較例4]ポリエステル系熱可塑性エラ
ストマーのヘルプレン30B(A−1)を97重量部と
ジノニルフタレート(C−1)3重量部を溶融混合して
得た熱可塑性エラストマー組成物の物性評価結果を表1
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】[実施例3]実施例2において、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマーとしてヘルプレン30B
(A−1)の代りに、ヘルプレン40B(A−2)を使
用した以外は、実施例2と同様にして熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。その物性評価結果を表2に示す。
【0041】[比較例5]ヘルプレン40B(A−2)
の物性評価結果を表2に示す。
【0042】[実施例4]実施例2において、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマーとしてヘルプレン30B
(A−1)の代りに、ハイトレル3046(A−3)を
使用した以外は、実施例2と同様にして熱可塑性エラス
トマー組成物を得た。その物性評価結果を表2に示す。
【0043】[比較例6]ハイトレル3046(A−
3)の物性評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、耐油性に優
れ、強靭で柔軟性、風合い、手触り、耐傷付性、耐屈曲
性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA52 GA06 GA08 GB03 GC07 4J002 AE053 CD163 CF001 CF091 CJ002 EH046 EH086 EH146 EW046 FD023 FD026 GK01 GN00 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系熱可塑性エラストマー6
    0〜99.5重量部とエチレンと一酸化炭素を含む共重
    合体の部分架橋物40〜0.5重量部とからなる熱可塑
    性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系熱可塑性エラストマー
    が、ショアA硬度90以下のものである請求項1記載の
    熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 エチレンと一酸化炭素を含む共重合体
    が、エチレン・不飽和カルボン酸エステル・一酸化炭素
    共重合体である請求項1又は2記載の熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  4. 【請求項4】 エチレンと一酸化炭素を含む共重合体の
    部分架橋物が、ゲル分率20〜80%のものである請求
    項1〜3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 エチレンと一酸化炭素を含む共重合体の
    部分架橋物が、押出機中、パーオキサイドの存在下で、
    エチレンと一酸化炭素を含む共重合体を動的に熱処理し
    たものである請求項1〜4記載の熱可塑性エラストマー
    組成物。
  6. 【請求項6】 ポリエステル系熱可塑性エラストマーと
    エチレンと一酸化炭素を含む共重合体の部分架橋物の合
    計量100重量部に対し、20重量部以下の可塑剤を配
    合してなる請求項1〜5記載の熱可塑性エラストマー組
    成物。
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