JP2003128783A - ポリアミノ酸 - Google Patents
ポリアミノ酸Info
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Abstract
供すること。 【解決手段】 本発明のポリアミノ酸は、一般式 【化1】 で表されるユニットA又はBのいずれかを少なくとも1
つ含むペプチド同士が、少なくとも一部のフェノール部
位で酸化カップリングしていることを特徴とする。(式
中、A及びBユニットはフェノール性基を含むユニット
を示す。A及びBユニットに関し、Rはメチレンあるい
はエチレン基を示し、mは0〜5の整数、フェノール性
水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、あるいはパラ
位に結合し、nは1〜4の整数を示す)
Description
類を有する高分子量ポリアミノ酸及びその製造方法に関
するものである。
ルアラニン(ドーパ)はフェノール基を有するアミノ酸
であり、これらを含むタンパク質が多く知られている。
生体内では酸化還元酵素により、タンパク質のチロシン
間の酸化カップリングが生じ、生体機能維持に重要な役
割を果たす。また、貝の産出するタンパクの接着や昆虫
の外皮形成は、チロシナーゼ触媒によるタンパク質に含
まれるドーパの酸化反応が重要な関与をしている。この
ような自然界の優れた機能を模倣する材料開発は、より
精密な機能制御や未来型新材料設計に必要である。
酵素を用いて硬化させることにより、タンパク質の物性
を改良する研究が報告されている。(例えば、J.Fo
odSci.,59,1332(1994)やBiot
echnol.Bioeng.,63,449(199
9))。これらは高分子量タンパク質の分子間架橋を検
討したものであり、不溶性の架橋系高分子材料が合成さ
れていることが特徴である。
法として、アミノ酸N−カルボキシ無水物の開環重合が
知られている。
パク質の物性を改良する研究は、より広範な用途、特に
生医学用途への応用に必要な溶解性、加工性において問
題があった。また、自然界でのタンパク質のチロシン間
架橋は非常に低い濃度での反応であり、物質生産に適し
たものでなく、ドーパの酸化反応は不溶性構造骨格を生
じるものであることから、可溶性タンパク質は合成され
ないという問題もある。
方法は、モノマー合成に極めて毒性の高いホスゲンまた
はその誘導体の使用が必須であることから、一般性が欠
如している。また、単独重合では多くの場合に不溶性ポ
リマーしか得られない。
溶性タンパク質は得られていない。したがって、実用的
な可溶性タンパク質、及びそのような可溶性タンパク質
を一般性、汎用性が高く、効率的に得る方法が望まれて
いた。
を提供することを目的とする。さらに可溶性の高分子量
ポリアミノ酸の製造方法を提供することを目的とする。
に着目し、生体内の酸化反応が重要な役割を有している
ことから、酸化触媒について鋭意検討した結果、可溶性
の高分子量ポリアミノ酸及びその製造方法を見出し、本
発明を完成するに至った。
A又はBのいずれかのユニットを少なくとも1つ含むペ
プチド同士が、少なくとも一部のフェノール部位で酸化
カップリングしていることを特徴とする。
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)
おいて、前記酸化カップリングが、下記式
おいて、重合度が3〜300であることを特徴とする。
おいて、数平均分子量が5,000〜10,000,0
00の範囲であることを特徴とする。
式、
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)で表されるA又はBのいずれかのユニットを少な
くとも1つ含むオリゴアミノ酸を酸化触媒を用いて酸化
カップリングすることを特徴とする。
実施態様において、酸化触媒が酸化還元酵素または遷移
金属錯体であることを特徴とする。
実施態様において、酸化還元酵素がペルオキシダーゼま
たはオキシダーゼであること特徴とする。
実施態様において、遷移金属錯体が、一般式
6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水
素基、O−、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ
基、アミノ基または置換アミノ基を表し、R2、R5はそ
れぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、
炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オ
キシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、
シアノ基、ニトロ基またはハロゲン基を表し、R3、R4
はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素
基またはO−を表す。R7は二価の炭化水素基または置
換炭化水素基を表す。R1とR2とがおよび/またはR5
とR6とが環を形成してもよい)で表されることを特徴
とする。
実施態様において、さらに、助触媒としてアミンを用い
ることを特徴とする。
ノ酸を出発物質とする可溶性ポリアミノ酸の製造方法を
説明する。
[化11]で表されるA又はBのいずれかのユニットを少
なくとも1つ含む、アミノ酸、オリゴアミノ酸、又はポ
リアミノ酸を用いることができる。以下では、オリゴア
ミノ酸を例に説明するがこれに限定される意図ではな
い。
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)[化11]で表される。
含む場合が多いが、本発明では光学活性体を用いても良
いし、ラセミ体を用いてもよい。
結合位置及びその数に特に制限はないが、フェノール部
位として例えば4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキ
シフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3,4−ジヒド
ロキシフェニル等を示すことができる。
例として、N−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチ
ル)−L−グルタミン、N−(2−(4−ヒドロキシフ
ェニル)エチル)−L−アスパラギン、N−(2−(3
−ヒドロキシフェニル)エチル)−L−グルタミン、N
−(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチル)−
L−グルタミン、N−(2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)エチル)−L−グルタミン、N−(2−(3−ヒド
ロキシフェニル)エチル)−L−グルタミン、N−(2
−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)−L−アスパラ
ギン、N−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)
−D−グルタミン、N−(2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)エチル)−D−アスパラギン、N−(2−(3−ヒ
ドロキシフェニル)エチル)−D−グルタミン等のペプ
チドユニットが挙げられる。効率的に反応を進行させる
ためのスペーサー導入という観点から、Aユニットとし
ては、N−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)
−L−グルタミン、N−(2−(3−ヒドロキシフェニ
ル)エチル)−L−グルタミン、N−(2−(4−ヒド
ロキシフェニル)エチル)−L−アスパラギン等が好ま
しい。
を含むポリアミノ酸は、特に制限はなく、A又はBユニ
ット以外にフェノール性基を含んでいてもよい。ポリア
ミノ酸を構成するアミノ酸は限定されず、たとえば、L
−アラニン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイ
シン、L−メチオニン、L−トリプトファン、L−フェ
ニルアラニン、L−プロリン、グリシン、L−セリン、
L−トレオニン、L−システイン、L−アスパラギン、
L−グルタミン、L−リシン、L−ヒスチジン、L−ア
ルギニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L
−グルタミン酸−γ−エチルエステル、L−グルタミン
酸−γ−メチルエステル、L−グルタミン酸−γ−フェ
ニルエステル、L−グルタミン酸−γ−ベンジルエステ
ル、L−アスパラギン酸−β−エチルエステル、L−ア
スパラギン酸−β−メチルエステル、L−アスパラギン
酸−β−フェニルエステル、L−アスパラギン酸−β−
ベンジルエステル、D−アスパラギン酸、D−グルタミ
ン酸、D−グルタミン酸−γ−エチルエステル、D−グ
ルタミン酸−γ−メチルエステル、D−アスパラギン酸
−β−エチルエステル、D−アスパラギン酸−β−メチ
ルエステル、D−アスパラギン酸−β−フェニルエステ
ル、D−アスパラギン酸−β−ベンジルエステル等のペ
プチドが挙げられる。溶解性付与という観点から、ペプ
チドとしては、L−グルタミン酸−γ−エチルエステ
ル、L−グルタミン酸−γ−ベンジルエステル、L−ア
スパラギン酸−β−エチルエステル等が好ましい。
あれば、特に制限はない。重合度の範囲をこのようにし
たのは、ゲル化を伴わないで高分子量の可溶性ポリマー
を得るという理由からである。
か含むポリアミノ酸中において、フェノール基を含むユ
ニットの割合に特に制限はない。好ましくは5〜100
モル%、特に好ましくは10〜100モル%である。
ノール基を酸化できるものであればよく、従来既知なも
の、例えばペルオキシダーゼやオキシダーゼを含む。本
発明で使用されるペルオキシダーゼは種々の起源のもの
が使用でき、特に制限はない。ペルオキシダーゼとして
は、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のペルオ
キシダーゼを挙げることができる。これらの中で、西洋
ワサビペルオキシダーゼは酸化能が高く、しかも量産さ
れて安価であり、好ましく使用することができる。
ッカーゼを挙げることができる。ラッカーゼは種々の起
源のものが使用でき、特に制限はないが、例えば植物由
来、細菌由来、坦子菌類由来のラッカーゼを挙げること
ができる。これらの例としては、漆の木から得られるラ
ッカーゼ、Pyricularia、Pleurotu
s、Pycnoporus、Polystictus、
Mycelopthora、Neurospora属の
微生物ラッカーゼを挙げることができる。特にPycn
oporus、Mycelopthora属のラッカー
ゼを好ましく使用できる。なお使用する酵素の状態は、
精製・未精製を問わない。酵素量はオリゴアミノ酸1g
に対して0.001mg〜10g、好ましくは0.00
5mg〜5g、さらに好ましくは0.01mg〜3gで
ある。
しくは下記[化12]で表されるものである。
6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水
素基、O−、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ
基、アミノ基または置換アミノ基を表し、R2、R5はそ
れぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、
炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オ
キシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、
シアノ基、ニトロ基またはハロゲン基を表し、R3、R4
はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素
基またはO−を表す。R7は二価の炭化水素基または置
換炭化水素基を表す。R1とR2とがおよび/またはR5
とR6とが環を形成してもよい)
基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基等で置換
された炭化水素オキシ基であり、具体例としては、トリ
フルオロメトキシ基、2−t−ブチルオキシエトキシ
基、3−ジフェニルアミノプロポキシ基等が挙げられ
る。なお、ハロゲン原子として好ましくは、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、さらに好
ましくは塩素原子、臭素原子である。
は、炭素原子数1〜20の置換アミノ基が好ましく、具
体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピル
アミノ基、ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチ
ルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、
メチルエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げら
れる。
ボニル基としては、炭素数1〜20の炭化水素オキシカ
ルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニ
ル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル
基、t−ブチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボ
ニル基等が挙げられる。
カルボニル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ
基等で置換された炭化水素オキシカルボニル基であり、
具体例としては、トリフルオロメトキシカルボニル基、
2−t−ブチルオキシエトキシカルボニル基、3−ジフ
ェニルアミノプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、ハロゲン原子として好ましくは、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、さらに好ましく
は塩素原子、臭素原子である。
換炭化水素基として、具体例としては、メチレン基、
1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−
ブチレン基等のアルキレン基、1,2−シクロペンチレ
ン基、1,2−シクロヘキシレン基等のシクロアルキレ
ン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基等
を挙げることができ、好ましくは、メチレン基、エチレ
ン基、1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレ
ン基である。
ける具体例四座配位子として、N,N’−ジサリシリデ
ンエチレンジアミン、N−(3−オキソペンチリデン)
−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ビ
ス(3−オキソブチリデン)―1,2−フェニルエチレ
ンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)
―1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(1−メ
チル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,
N’−ビス(3−オキソペンチリデン)エチレンジアミ
ン、N,N’−ビス(3−オキソヘキシリデン)エチレ
ンジアミン、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチル
−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’
−ビス(2−シアノ−3−オキソブチリデン)エチレン
ジアミン、N,N’−ビス(2−ニトロ−3−オキソブ
チリデン)エチレンジアミン、N,N’−(1,2−エ
チレン)−ビス(マロン酸モノメチルモノアミド)等、
あるいはそれらからプロトンを一つまたはそれ以上取り
去って得られる陰イオンを挙げることができる。
配位子と遷移金属錯体以外の構造は、触媒能を失活させ
ないならば特に限定されるものではない。例えば、配位
子としてN,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン
(以下サレンと表記することがある)を、遷移金属とし
て鉄を用いた、N,N’−ジサリシリデンエチレンジア
ミナト鉄(II)(以下、Fe−サレンと表記することが
ある)遷移金属錯体は、酸素下において容易に酸素架橋
体であるμ−オキソ−ビス(N,N’−ジサリシリデエ
チレンジアミナト鉄(III))を形成することが知られ
ているが、このものを用いても何ら問題はない。
に中性を保たせるようなカウンターイオンが必要な場合
がある。カウンターアニオンとしては、通常ブレンステ
ッド酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化
物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ素イオ
ン、硫酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、メタン
スルホン酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。また、
カウンターカチオンとしては、アルカリ金属やアルカリ
土類金属等のカチオンを適宜用いることができる。ま
た、本発明の遷移金属錯体には、錯体の原料、合成過程
および/または酸化カップリング過程で、溶媒などが配
位しても良い。
用いる触媒の酸化カップリング活性により適宜加減すれ
ばよいが、触媒量はオリゴアミノ酸1gに対して0.0
01mg〜10g、好ましくは0.005mg〜5g、
さらに好ましくは0.01mg〜3gである。
るために、助触媒としてアミンを用いても良い。用いる
アミン種としては、遷移金属錯体の活性に影響を及ぼさ
ないものであれば特に制限はなく、公知のものが使用で
きる。具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、2,
6−ルチジン等の第三級アミンを用いることができ、反
応収率の向上という観点から、アミノ酸オリゴマー1g
に対して0.01mg〜1gの範囲で用いることが好ま
しい。
用できるが、好ましくはペルオキシドまたは酸素が使用
できる。ペルオキシドの例としては、過酸化水素、t−
ブチルハイドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキ
シド、クメンハイドロペルオキシド、過酢酸、過安息香
酸等を示すことができる。触媒にペルオキシダーゼまた
はFe−サレンを用いる場合には、特に過酸化水素が好
ましい。ペルオキシドを用いる場合には、オリゴアミノ
酸に含まれるフェノール基に対して、通常0.5当量以
上5当量以下を使用するが、当量以上3当量以下を使用
するのが好ましい。触媒にラッカーゼを用いる場合に
は、特に酸素が望ましく、この場合の酸素としては、純
酸素のほか、空気あるいは酸素と不活性ガスの混合物の
形で用いることができる。これらは、反応混合物中に吹
き込んでも良いが、単に重合雰囲気中に存在させるだけ
でも良い。
酸と触媒が共に溶解するものが好ましい。遷移金属錯体
を触媒に用いる場合は、オリゴアミノ酸と遷移金属錯体
に対して不活性でかつ反応温度において液体であれば、
特に限定されるものではない。溶媒例を示すと、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオ
ロエタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロ
リドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトン、テ
トラヒドロフラン、ピリジン等が挙げられる。これらは
単独あるいは混合物として使用される。
の混合溶媒が好ましく、有機溶媒として水と相溶する溶
媒がより好ましい。水と相溶する有機溶媒として、メタ
ノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノ
ール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピ
ロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリジン、
1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン等
が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用
される。
代わりに緩衝液を用いてもよい。緩衝液を用いる場合は
pH2〜12の範囲が望ましい。緩衝液の種類として
は、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等が望まし
いが、これらに限定されるものではない。また、有機溶
媒−水の混合比はオリゴアミノ酸と酵素が溶解する場合
には任意の量を用いることができる。好ましくは5:9
5〜95:5、特に好ましくは20:80〜80:20
の範囲である。
化が起こらない任意の量を用いることができる。ゲル化
が起こらない条件は用いるアミノ酸オリゴマーによって
異なるが、アミノ酸オリゴマー濃度が0.5〜200g
/Lがより好ましい。
て、上記[化11]に示すオリゴアミノ酸を酸化触媒を用
いて酸化カップリングさせる場合の反応温度は、触媒が
不活性化しない温度が望ましい。好ましくは0〜100
℃の範囲であり、より好ましくは10〜60℃の範囲で
ある。反応温度が高い場合は、一般に酵素は失活する
が、溶媒系によっては酵素を安定化するので、その場合
は高い反応温度も採用可能となる。
化触媒との反応には多くの異なる方法を利用することが
できる。例えば、アミノ酸オリゴマー、酸化触媒の溶液
を個々に調製した後に同一容器中に注入してもよいし、
アミノ酸オリゴマーの溶液に触媒を添加してもよい。こ
の他にも種々の組合せが可能であるが、触媒が失活(不
活性化)するような方法でない限り、各種の方法を採用
できる。
酸の数平均分子量は5,000〜10,000,000
の範囲であるが、好ましくは8,000〜5,000,
000、より好ましくは10,000〜3,000,0
00の範囲である。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒に可溶で
ある。そのため、該ポリマーを生分解性材料、生体適合
性材料、ドラッグキャリヤー、抗菌材料、酸化防止剤と
して使用する場合、成形加工を容易に行うことが可能で
あり、オリゴアミノ酸の使用では得られない様々な効果
を期待することができる。例えば、オリゴアミノ酸では
困難な薄膜形成能は生分解性材料や生体適合性材料に必
須の物性である。
[化13]で表されるA又はBのいずれかのユニットを少
なくとも1つ含むポリアミノ酸同士が、少なくとも一部
のフェノール部位で酸化カップリングしている。
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)
ドとしては特に限定される事はない。ペプチドとして
は、たとえば、上述のポリアミノ酸の製造方法において
説明したようなペプチドを用いる事ができる。
ペプチド同士が結合していれば良く、ペプチドの側鎖に
存在するフェノール部位の全てが結合している必要はな
い。本発明のポリアミノ酸の好適な実施態様において、
前記酸化カップリングが、下記式
であることが好ましい。これは、ゲル化を伴わないで高
分子量の可溶性ポリマーを得るという理由からである。
さらにポリアミノ酸の数平均分子量は5,000〜1
0,000,000の範囲であることが好ましい。これ
は、高分子材料としての用途開発に望ましい加工性付与
という理由からである。
発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではな
い。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更
することが可能であることは言うまでもない。
リゴ(N−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)
−L−グルタミン)(分子量1,200)と3.2ミリ
グラムのFe−サレンを取り、2.5ミリリットルの
N,N−ジメチルホルムアミドを加えて室温で攪拌し、
溶解させた。10マイクロリットルのピリジンを加え、
30%過酸化水素5.7マイクロリットルを15分毎に
4回加えた。3時間後、反応液のGPC測定を行ったと
ころ、オリゴアミノ酸が77%転化し、分子量33万の
ポリアミノ酸が生成した。また、NMR、IR分析によ
り、フェノール部位が反応したことが推測された。NM
Rの結果を図1及び下記に示す。1 H NMR(DMSO-d6, ppm) 1.2 (br, CH 3CH2), 1.9 (br, CH
CH 2CH2), 2.3 (br, C(=O)CH2), 2.5 (br, ArCH2), 3.2
(br, NHCH 2), 4.0 (br, OCH2), 4.3 (br, NHCH),6.7
(d, Ar), 7.0 (d, Ar), 8.0 (br, NH), 9.3 (br, ArOH) IR (KBr, cm-1) 3300 (br, O-H, N-Hの伸縮振動), 1730
(s, エステル基カルボニルの伸縮振動)、1630 (s, ア
ミド基カルボニルの伸縮振動)
反応を行ったところ、オリゴアミノ酸が未反応で回収さ
れた。
の構造、Fe−サレンとN,N−ジメチルホルムアミド
の使用量を変えて実験を行った。フェノール基の導入率
を変化させたペプチドを合成した。ペプチドの合成は、
Glu γ−Etオリゴぺプチドとチラミンとを反応させて行
なった。具体的に、溶媒としてDMSOを用いて、10
0℃で24時間、Glu γ−Etオリゴぺプチドとチラミン
とを反応させた。使用したフェノール部位を有するペプ
チドは、以下式[化16]の通りである。
発物質として3種類のペプチドを合成した。すなわち、
式中、A、Bの比率を変化させたペプチドを用いた。具
体的には、ペプチド1aは、A:B = 80:20であ
り、ペプチド1bは、A:B=50:50であり、ペプ
チド1cは、A:Bは、20:80である。
の結果を表1に示す。
錯体と過酸化水素(0.2mmol)を用いて、ピリジン(1
0μL)存在下、溶媒DMF中、室温で3時間大気圧下で、
オリゴペプチド1a(49.6mg)を反応させた。a)は溶
離剤として0.MLiCL/DMFを使用してGPCによって決定し
た。b)は、ゲル化が生じたことを表す。
錯体と過酸化水素(0.2mmol)を用いて、ピリジン(1
0μL)存在下、溶媒DMF中、室温で3時間大気圧下で、
オリゴペプチド1a(81.0mg)を反応させた。a)は溶
離剤として0.MLiCL/DMFを使用してGPCによって決定し
た。b)は、ゲル化が生じたことを表す。
錯体と過酸化水素(0.2mmol)を用いて、ピリジン(1
0μL)存在下、溶媒DMF中、室温で3時間大気圧下で、
オリゴペプチド1a(175.2mg)を反応させた。a)は
溶離剤として0.MLiCL/DMFを使用してGPCによって決定
した。b)は、ゲル化が生じたことを表す。
グの追跡結果を図2に示す。触媒を加えないコントロー
ル系では低分子量領域にしかピークが見られないが、触
媒を添加することにより、高分子量領域にピークがみら
れ、触媒量が多いほど分子間カップリングポリマーの割
合が増加した。
ミノ酸を得ることが判明した。
ル)−L−グルタミン)(分子量1,200) 248
ミリグラム 西洋ワサビペルオキシダーゼ 3ミリグラム メタノール 17.5ミリリットル リン酸緩衝液(pH7) 7.5ミリリットル 30%過酸化水素 114マイクロリットル を用いて実施例1と同様の操作を行い、3時間反応を行
った。反応液の溶媒を減圧下留去し、残査のGPC測定
を行ったところ、オリゴアミノ酸が52%転化してい
た。ポリマー部分には三分岐のピークが見られ、おのお
のの数平均分子量は31万(17%)、2万8千(68
%)、1700(15%)であった(括弧内はポリマー
部分のピーク面積比)。
ル)−L−グルタミン)(分子量1,200) 248
ミリグラム Mycelopthoraラッカーゼ 1ミリリットル メタノール 17.5ミリリットル リン酸緩衝液(pH7) 7.5ミリリットル を用いて実施例1と同様の操作を行い、24時間反応を
行った。反応液の溶媒を減圧下留去し、残査のGPC測
定を行ったところ、オリゴアミノ酸が44%転化してい
た。ポリマー部分には三分岐のピークが見られ、おのお
のの数平均分子量は16万(18%)、1万3千(40
%)、1800(42%)であった(括弧内はポリマー
部分のピーク面積比)。
ヒドロキシフェニル)エチル)−α/β−アスパラギ
ン)を用いた。これは、ポリ(スクシイミド)とチラミ
ンの反応をDMF中、60℃で24時間行い、蒸留水か
らの再沈殿により単離・精製した。GPC測定により求
めた数平均分子量は3万4千、分子量分布は2.6であ
った。次にポリアミノ酸合成は以下のものを用いて実施
例1と同様の操作を行い、3時間反応を行った。 ポリ(N−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)
−α/β−アスパラギン)47ミリグラム Fe−サレン 1.6ミリグラム DMF 5ミリリットル ピリジン 20マイクロリットル 30%過酸化水素 23マイクロリットル
は全て消失し、新たに数平均分子量19万、分子量分布
1.4のピークが見られ、高分子量ポリアミノ酸が得ら
れたことがわかった。これの構造はNMR、IRにより
確認した。NMRの結果を以下に示す。1 H NMR(DMSO-d6, ppm) 2.5 (br, ArCH2), 3.2 (br, NHC
H 2), 3.3 (br, CH 2CH),4.5 (br, CH2CH), 6.7 (d, Ar),
7.0 (d, Ar), 8.3 (br, NH), 9.2 (br, ArOH)IR (KBr,
cm-1) 3500 (br, O-H, N-Hの伸縮振動), 1650 (s, ア
ミド基カルボニルの伸縮振動)
をもつ可溶性ポリアミノ酸が製造された。また、オリゴ
アミノ酸の構造や反応条件により可溶性アミノ酸の分子
量が異なることが明らかとなった。
ノ酸がオリゴアミノ酸の酸化カップリングにより製造さ
れた。このようにして得られたポリアミノ酸は材料加工
性が改良され、生分解性材料、生体適合性材料、ドラッ
グキャリヤー、抗菌材料、酸化防止剤等の用途として極
めて有用である。
てのNMRの結果を示す図である。
酸化カップリングの変動を示す図である。
21)
チド同士が、少なくとも一部のフェノール部位で酸化カ
ップリングしていることを特徴とするポリアミノ酸。
(但し、[化1]中、A及びBユニットは、フェノール性
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)で表されるA又はBのいずれかのユニットのうち
少なくとも1つ含むオリゴアミノ酸を酸化触媒を用いて
酸化カップリングすることを特徴とするポリアミノ酸の
製造方法。
A又はBのいずれかのユニットを少なくとも1つ含むヘ゜
フ゜チト゛同士が、少なくとも一部のフェノール部位で酸化
カップリングしていることを特徴とする。
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)
式、
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)で表されるA又はBのいずれかのユニットを少な
くとも1つ含むオリゴアミノ酸を酸化触媒を用いて酸化
カップリングすることを特徴とする。
含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、Rはメ
チレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整数、
フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ位、
あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)[化11]で表される。
[化13]で表されるA又はBのいずれかのユニットを少
なくとも1つ含むポリアミノ酸同士が、少なくとも一部
のフェノール部位で酸化カップリングしている。
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 で表されるA又はBユニットを少なくとも1つ含むペプ
チド同士が、少なくとも一部のフェノール部位で酸化カ
ップリングしていることを特徴とするポリアミノ酸。
(但し、[化1]中、A及びBユニットは、フェノール性
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。) - 【請求項2】 前記酸化カップリングが、下記式 【化2】 又は、 【化3】 で表されることを特徴とする請求項1記載のポリアミノ
酸。 - 【請求項3】 重合度が3〜300であることを特徴と
する請求項1又は2項に記載のポリアミノ酸。 - 【請求項4】 数平均分子量が5,000〜10,00
0,000の範囲である請求項1〜3項のいずれか1項
に記載のポリアミノ酸。 - 【請求項5】一般式 【化4】 (但し、[化4]中、A及びBユニットは、フェノール性
基を含むユニットを示す。A及びBユニットに関し、R
はメチレンあるいはエチレン基を示し、mは0〜5の整
数、フェノール性水酸基はベンゼン環のオルト位、メタ
位、あるいはパラ位に結合し、nは 1〜4の整数を示
す。)で表されるA又はBのいずれかのユニットのうち
少なくとも1つ含むオリゴアミノ酸を酸化触媒を用いて
酸化カップリングすることを特徴とするポリアミノ酸の
製造方法。 - 【請求項6】 酸化触媒が酸化還元酵素または遷移金属
錯体である請求項5記載の方法。 - 【請求項7】 酸化還元酵素がペルオキシダーゼまたは
オキシダーゼである請求項5又は6項に記載の方法。 - 【請求項8】 遷移金属錯体が、一般式 【化5】 (式中、Mは遷移金属原子を含む残基を示す。R1、R
6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水
素基、O−、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ
基、アミノ基または置換アミノ基を表し、R2、R5はそ
れぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、
炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オ
キシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、
シアノ基、ニトロ基またはハロゲン基を表し、R3、R4
はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素
基またはO−を表す。R7は二価の炭化水素基または置
換炭化水素基を表す。R1とR2とがおよび/またはR5
とR6とが環を形成してもよい)で表されることを特徴
とする請求項6記載の方法。 - 【請求項9】 さらに、助触媒としてアミンを用いるこ
とを特徴とする請求項5〜8項のいずれか1項に記載の
方法。
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JP2001327791A JP3627015B2 (ja) | 2001-10-25 | 2001-10-25 | ポリアミノ酸 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003128783A true JP2003128783A (ja) | 2003-05-08 |
JP3627015B2 JP3627015B2 (ja) | 2005-03-09 |
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JP (1) | JP3627015B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007023079A (ja) * | 2005-07-12 | 2007-02-01 | Osaka Univ | 架橋性タンパク質およびその製造方法 |
WO2012029630A1 (ja) * | 2010-08-31 | 2012-03-08 | Jsr株式会社 | 新規重合体及び新規n-カルボキシアミノ酸無水物、ならびにそれらの製造方法 |
JP2012211308A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-11-01 | Kochi Univ | 生分解性ハイドロゲルおよびその製造方法 |
-
2001
- 2001-10-25 JP JP2001327791A patent/JP3627015B2/ja not_active Expired - Fee Related
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