JP2003127389A - 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法

Info

Publication number
JP2003127389A
JP2003127389A JP2002227415A JP2002227415A JP2003127389A JP 2003127389 A JP2003127389 A JP 2003127389A JP 2002227415 A JP2002227415 A JP 2002227415A JP 2002227415 A JP2002227415 A JP 2002227415A JP 2003127389 A JP2003127389 A JP 2003127389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
heat treatment
liquid ejection
liquid
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002227415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003127389A5 (ja
JP4136523B2 (ja
Inventor
Shuji Koyama
修司 小山
Shingo Nagata
真吾 永田
Teruo Ozaki
照夫 尾崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002227415A priority Critical patent/JP4136523B2/ja
Publication of JP2003127389A publication Critical patent/JP2003127389A/ja
Publication of JP2003127389A5 publication Critical patent/JP2003127389A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4136523B2 publication Critical patent/JP4136523B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si基板を貫通するインク供給口を異方性エ
ッチングによって精度良く開口する。 【解決手段】 インク吐出エネルギー発生素子2が形成
されたSi基板1に、インク吐出エネルギー発生素子2
が形成された面の反対側の面である裏面から異方性エッ
チングを行ってインク供給口9を開口する。異方性エッ
チングを行う際、Si基板1の裏面に、OSF(酸化誘
起積層欠陥)をOSF密度2×104個/cm2以上、か
つOSF長さを2μm以上で存在させておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を噴射し飛翔
液滴を形成して記録を行う液体吐出ヘッドとその製造方
法、および基板加工方法に関し、特に、液体吐出ヘッド
内に液体を受け入れる液体供給口を、Siの異方性エッ
チングによって、液体吐出ヘッドを構成するSi基板を
貫通する貫通口として形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体(インク)を吐出し、被記録媒体に
付着させて記録を行う液体吐出記録装置(インクジェッ
ト記録装置)は、プリンタ、複写機、ファクシミリなど
に代表される多くのオフィス機器に用いられている。イ
ンクジェット記録装置は、通常、液体吐出ヘッド(イン
クジェット記録ヘッド)と、それにインクを供給するイ
ンク供給系とを備えている。インクジェット記録ヘッド
は、通常、インクを吐出させるためのエネルギーを発生
するインク吐出エネルギー発生素子と、インクを吐出さ
せるインク吐出口と、各インク吐出口に連通するインク
流路と、インク供給系から供給されるインクを受け入れ
るインク供給口を備えている。
【0003】このようなインク吐出ヘッドとしては、イ
ンク吐出エネルギー発生素子が形成された基板面に対し
て垂直方向にインク液滴を吐出させる、いわゆるサイド
シューター型のものがある。サイドシューター型のイン
クジェット記録ヘッドにおいて、インク供給口は、基板
に開口された貫通口として形成されるのが一般的であ
る。
【0004】基板に貫通口としてインク供給口を形成す
る方法としては、サンドブラストまたは超音波研削加工
などの機械的な加工によって形成する方法、基板を化学
的にエチングして形成する方法が公知である(特開昭6
2−264957号公報、USP4789425明細書
など参照)。特に、Si基板にSiの異方性エッチング
によって貫通口を形成する方法は、貫通口を精度良く形
成可能であり、優れている。インク供給口を精度良く形
成できることは、インク供給口からインク吐出エネルギ
ー発生素子までの距離を短くできることにつながり、そ
うすることでインクの吐出周波数を飛躍的に高くするこ
とができる(USP4789425号明細書,EP06
09911A2号明細書参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】異方性エッチングによ
る貫通口の形成においては、Si基板内に結晶欠陥が局
所的に存在した場合、結晶欠陥の存在する領域では、結
晶欠陥の存在しない領域と比較してエッチング速度が速
くなる。そのためにエッチング異常が生じ、従来のイン
クジェット記録ヘッドの製造方法では、結果的に貫通口
の形成幅が大きくばらついてしまうことがある。
【0006】さらに、Siの異方性エッチングに際して
は、エッチング開始面の状態、およびエッチング条件
(エッチング液濃度/温度など)によって微妙にエッチ
ングが開始されるまでの時間にばらつきが生じることが
ある。そこで、通常、インク供給口を確実に貫通させる
ためにエッチング時間は長めに設定され、すなわちオー
バーエッチがかけられる。従来のインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法では、上述のようにエッチングが開始さ
れるまでの時間が微妙に異なることに起因して、オーバ
ーエッチによるサイドエッチ量が、基板の各部分間、お
よび各基板間で変化してしまい、結果的に貫通口幅が設
計値から微妙にずれてしまうことがある。
【0007】以上のように、インク供給口となる貫通口
の幅、特に、インク吐出エネルギー発生素子が形成され
た、基板の表面でのインク供給口の開口幅が設計値から
ずれてしまった場合、インク吐出エネルギー発生素子
の、インク供給口からの距離が設計値からずれてしま
い、それによって、インクの吐出特性に悪影響が生じ、
インクジェット記録ヘッドの記録品位が低下してしまう
場合がある。また、インク供給口の、基板表面の開口幅
がさらに大きく設計値からずれてしまった場合には、イ
ンク吐出エネルギー発生素子の駆動回路などに悪影響が
生じる場合もある。このように、インク供給口の、基板
表面の開口幅のずれは、インクジェット記録装置の歩留
り低下の大きな要因となる。
【0008】本発明は、上記に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、Siの異方性エッチングによって開
口されるインク供給口の、基板表面の開口幅を容易に安
定して精度良く所定の幅にできる、インクジェット記録
ヘッドの製造方法を提供することにある。そして本発明
は、インク供給口の、基板表面の開口幅を精度よく所定
の幅にすることによって、製造の歩留まりを向上させ、
また、インク供給口とインク吐出エネルギー発生素子と
の距離が短く、したがってインク吐出周波数を高くする
ことができるインクジェット記録ヘッドの製造を可能と
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、素子形成面
である第1面と、第1面の裏面である第2面を有するS
i基板を用意する工程と、Si基板に加熱を伴う熱処理
を行う工程と、Si基板の、第2面にSiO2膜を形成
する工程と、SiO2膜にSi基板を露出させるエッチ
ング開始開口部を形成する工程と、Si基板の第1面
に、液体を吐出させるためのエネルギーを発生する液体
吐出エネルギー発生素子を形成する工程と、熱処理工程
より後の工程であって、Si基板を貫通し前記第1面に
連通する液体供給口を、SiO2膜をマスクとしてエッ
チング開始開口部からSiの異方性エッチングによって
形成する工程とを有する、液体吐出ヘッドの製造方法で
あって、異方性エッチングを行う前に、Si基板の、S
iO2膜との界面に存在する酸化誘起積層欠陥の密度を
2×104個/cm2以上とすることを特徴とする。
【0010】また、Si基板の、SiO2膜との界面に
存在する酸化誘起積層欠陥の長さを2μm以上とするこ
とがさらに好ましい。
【0011】本発明者らは、Si基板の異方性エッチン
グを行う際、エッチングを開始する面に存在する酸化誘
起積層欠陥をコントロールすることによって、サイドエ
ッチングのスピードをコントロールできることを見出し
た。すなわち、酸化誘起積層欠陥の密度を高くし、長さ
を長くすることによって、サイドエッチングのスピード
を速くすることができる。そして、酸化誘起積層欠陥を
コントロールし、サイドエッチングのスピードを速くす
ることによって、Si基板内の結晶欠陥に起因してエッ
チング速度が部分的に速くなるエッチング異常の発生を
抑えることができることを見出した。
【0012】すなわち、Si基板の、SiO2膜との界
面に存在する酸化誘起積層欠陥の密度を2×104個/
cm2以上とすることによって、異方性エッチングを行
う際にエッチング異常が生じるの抑えることができる。
この際、酸化誘起積層欠陥の長さを2μm以上とするこ
とがさらに好ましい。また、エッチングのスピードを、
Si基板の各部間、および複数のSi基板間で揃えるこ
とができる。これらのことから、この方法によれば、液
体吐出エネルギー発生素子が形成された面の、液体供給
口の開口幅を安定して所望の均一な幅にすることができ
る。
【0013】Si基板の裏面へのSiO2の形成は、熱
処理時に熱酸化によって行うことが好ましい。熱酸化を
行うことによって、Si基板の裏面に酸化誘起積層欠陥
が形成されるのを促進することができる。
【0014】上記のように熱酸化などを行うことによっ
て、Si基板の裏面に酸化誘起積層欠陥を生じさせるこ
とができるが、Si基板上に半導体素子を形成する工程
などで、Si基板を加熱した場合、酸化誘起積層欠陥が
収縮、消失してしまう場合がある。そこで、Si基板の
加熱を伴う熱処理を行う場合、熱処理は、1100℃以
下の処理温度で行うことが好ましい。このようにするこ
とによって、酸化誘起積層欠陥が消失してしまうのを防
止し、異方性エッチングを行う際に、Si基板の裏面に
十分な酸化誘起積層欠陥を残しておくことができる。
【0015】また、Si基板の加熱に伴う、酸化誘起積
層欠陥の収縮、消失は、熱処理を行うのにつれて進行し
ていく。そこで、1100℃を超える高温での熱処理の
前に、該熱処理と同様の処理をより低い処理温度行い、
それによって、高温での熱処理の時間を短くすることに
よっても、誘起積層欠陥の消失を低減できる。この際、
高温での熱処理の処理温度A℃と、その前工程での処理
温度B℃との温度差(A−B)℃は200℃以下とする
ことが好ましい。
【0016】また、1100℃以上の高温での熱処理
を、酸素を混合したガス雰囲気中で行ってもよい。この
ようにすることによって、熱処理に伴って、Si基板の
裏面が熱酸化され、それに伴って酸化誘起積層欠陥が形
成される。このため、加熱によって消失する分を熱酸化
に伴って生じる分が補い、結果として、酸化誘起積層欠
陥の消失を抑えることができる。
【0017】上記のような熱処理としては、ウエルドラ
イブがあり、上記のような熱処理の調整は、ウエルドラ
イブに対して好適に実施可能である。
【0018】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法におい
て用いるSi基板としては、酸素濃度が1.3×1018
(atoms/cm3)以下であるものを用いることが好まし
い。このように酸素濃度の低いSi基板では、エッチン
グ異常の発生を抑えることができ、またエッチングのス
ピードを安定化できることが知られており、このような
基板を用いることによって、液体供給口の開口幅のばら
つきを抑える作用を相乗的に得ることができる。酸素濃
度の低いSi基板としては、MCZ(magnetic field ap
plied Czochralski method)基板が好適である。
【0019】また、本発明において用いるSi基板とし
ては、液体吐出エネルギー発生素子が形成される面のS
i結晶面方位が<100>または<110>であるもの
を好適に用いることができる。このようなSi基板を用
いることによって、異方性エッチングによって、基板裏
面に対して所定の角度で傾斜した壁面を有する所定の形
状の液体供給口を開口することができる。
【0020】本発明による液体吐出ヘッド用基板は、S
i基板と、Si基板上に形成された、液体を吐出するた
めのエネルギーを発生する液体吐出エネルギー発生素子
と、半導体素子と、Si基板を貫通し液体吐出エネルギ
ー発生素子の周辺に液体を供給するために用いられる異
方性エッチングで形成された開口とを有する液体吐出ヘ
ッド用基板であって、Si基板の、液体吐出エネルギー
発生素子が形成された面の反対側の面に存在する酸化誘
起積層欠陥の密度が2×104個/cm2以上であり、か
つ該酸化誘起積層欠陥の長さが2μm以上であることを
特徴とする。
【0021】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法におけ
る、液体供給口の形成方法は、一般にSi基板に精度良
く貫通口を形成する基板加工方法に応用できる。すなわ
ち、本発明による基板加工方法は、Si基板の加熱を伴
う熱処理を行う工程と、Si基板の、少なくとも一面に
SiO2膜を形成する工程と、該SiO2膜に、Si基板
を露出させるエッチング開始開口部を形成する工程と、
前記熱処理の後にSi基板を貫通する貫通口を、SiO
2膜をマスクとしてエッチング開始開口部からSiの異
方性エッチングによって形成する工程とを有する基板加
工方法であって、異方性エッチングを行う前に、Si基
板の、SiO2膜との界面に存在する酸化誘起積層欠陥
の密度を2×104個/cm2以上とすることを特徴とす
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図2〜4に、本実施形態にお
いて製造するインクジェット記録ヘッドの模式図を示
す。図2は、このインクジェット記録装置の一部を破断
して示す斜視図、図3(a)は吐出口側から見た平面
図、図3(b)は図3(a)のA−A線に沿って切断し
た断面図、図4はインク供給口側から見た平面図であ
る。
【0023】このインクジェット記録ヘッド(液体吐出
ヘッド)は、インク吐出エネルギー発生素子(液体吐出
エネルギー発生素子)2が所定のピッチで2列並んで形
成されたSi基板1を有している。Si基板1には、後
述するように、SiO2膜7をマスクとしてSiの異方
性エッチングによって形成されたインク供給口(液体供
給口)9が、インク吐出エネルギー発生素子2の2つの
列の間に開口されている。Si基板1上には、オリフィ
スプレート材4によって、各インク吐出エネルギー発生
素子2の上方に開口するインク吐出口(液体吐出口)5
と、インク供給口9から各インク吐出口5に連通するイ
ンク流路(液体流路)が形成されている。
【0024】なお、図3では、分かりやすくするため
に、インク吐出エネルギー発生素子2およびインク吐出
口5が、インク供給口9を挟んで対称に配置されている
ように記載しているが、通常、インク供給口9を挟んだ
2列のインク吐出エネルギー発生素子2およびインク吐
出口5は、半ピッチずれて配置されている。
【0025】このインクジェット記録ヘッドは、インク
供給口9が形成された面が被記録媒体の記録面に対面す
るように配置される。そしてこのインクジェット記録ヘ
ッドは、インク供給口9を介してインク流路内に充填さ
れたインク(液体)に、インク吐出エネルギー発生素子
2によって発生する圧力を加えることによって、インク
吐出口5からインク液滴6を吐出させ、被記録媒体に付
着させることによって記録を行う。本実施形態のインク
ジェット記録ヘッドでは、インク液滴6は、図3(b)
の矢印で示すように、インク吐出エネルギー発生素子2
の形成面に実質的に垂直な方向に吐出される。
【0026】さらに、図2〜4に示すインクジェット記
録ヘッドの基板部分について図7を用いて説明する。本
実施形態の記録ヘッドは、インク吐出エネルギー発生素
子としての電気熱変換素子とこの電気熱変換素子をスイ
ッチする素子(以下、スイッチ素子)、およびそのスイ
ッチ素子を駆動するための回路が同一基体上に搭載され
ている。
【0027】図7は、本実施形態の記録ヘッドの一部分
を示す模式的な断面図である。901は単結晶シリコン
からなる半導体基体である。912はp型のウエル領
域、908は高不純物濃度のn型のドレイン領域、91
6は低不純物濃度のn型の電界緩和ドレイン領域、90
7は高不純物濃度のn型のソース領域、914はゲート
電極であり、これらによって、MIS型電界効果トラン
ジスタを用いたスイッチ素子930が形成されている。
917は蓄熱層、および絶縁層としての酸化シリコン
層、918は熱抵抗層としての窒化タンタル膜、919
は配線としてのアルミニウム合金膜、および920は保
護層としての窒化シリコン膜であり、以上の構成によっ
て記録ヘッドの基体940が形成されている。したがっ
て、インク吐出エネルギー発生素子2を構成する熱抵抗
層918は、スイッチ素子930が接続された配線91
9に接続されている。ここでは、熱抵抗層918の上方
の950が発熱部となり、インク吐出口5に相当する9
60からインクが吐出される。また、オリフィスプレー
ト材4に相当する天板970は基体940と協働して液
路980を形成している。
【0028】このインクジェット記録ヘッドは、プリン
タ,複写機,通信システムを有するファクシミリ、プリ
ンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには
各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭
載可能である。そして、このインクジェット記録ヘッド
を用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金
属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど種
々の被記録媒体に記録を行うことができる。なお、本発
明において、『記録』とは、文字や図形などの意味を持
つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、
パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意
味する。
【0029】次に、図2〜4に示すインクジェット記録
ヘッドの製造方法について、図1を参照して説明する。
図1は、インクジェット記録ヘッドの各製造工程におけ
る模式的断面図を示している。なお、ここでは、インク
吐出エネルギー発生素子2として、発熱抵抗素子を用い
た、いわゆるバブルジェット(登録商標)記録方式のイ
ンクジェット記録ヘッドを製造する例を示す。
【0030】本実施形態においてSi基板1としては、
インク吐出エネルギー発生素子2を形成する面のSi結
晶面方位が<100>のものを用いる。また、Si結晶
面方位が<110>のものを用いてもよい。このSi基
板1上に、まず、図1(a)に示すように、一般的な半
導体製造技術によって、インク吐出エネルギー発生素子
2とそれを駆動するための、半導体素子を含む不図示の
駆動回路を形成する。また、駆動回路を形成した後、イ
ンク吐出エネルギー発生素子2をインクジェット記録ヘ
ッド外に設けられる制御機器に接続するための、不図示
の電気的取り出し電極を形成する。
【0031】この際、Si基板1の、インク吐出エネル
ギー発生素子2を形成した面の反対側の面、すなわち裏
面には、酸化膜、すなわちSiO2膜7を形成する。こ
のSiO2膜7は、Si基板1上に半導体素子を形成す
る際に、素子分離に使用するために形成される熱酸化膜
である。このSiO2膜7を、後の工程でインク供給口
9を開口する際のエッチングマスクとして使用するため
にSi基板1の裏面に残しておく。SiO2膜7の膜厚
は0.7μm以上であることが望ましい。
【0032】次に、図1(b)に示すように、Si基板
1の、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された面
上に型材3を形成する。この型材3は、後の工程で溶解
して、それが設けられた部分をインク流路とするために
形成するものであり、所望の高さおよび平面パターンの
インク流路を形成するために、相応の高さ、平面パター
ンに形成する。このような型材3の形成は、例えば以下
のようにして行うことができる。
【0033】まず、型材3の材料として例えば、ポジ型
フォトレジストODUR1010(東京応化工業(株)
製、商品名)を用い、これをドライフィルムのラミネー
ト、スピンコートなどによってSi基板1上に所定の厚
みで塗布する。次に、紫外線、Deep UV光などに
よって露光、現像を行うフォトリソグラフィー技術を用
いてパターニングする。これによって、所望の厚み、平
面パターンを有する型材3が得られる。
【0034】次に、図1(c)に示すように、Si基板
1上に、前の工程で形成した型材3を被覆するように、
オリフィスプレート材4をスピンコートなどによって塗
布し、フォトリソグラフィー技術によって、所定の形状
にパターニングする。そして、インク吐出エネルギー発
生素子2上の所定の位置にインク吐出口5をフォトリソ
グラフィー技術によって開口する。また、オリフィスプ
レート材4の、インク吐出口5が開口する面には、ドラ
イフィルムのラミネートなどによって不図示の撥水層を
形成する。
【0035】オリフィスプレート材4の材料としては、
感光性エポキシ樹脂、感光性アクリル樹脂などを用いる
ことができる。オリフィスプレート材4は、インク流路
を構成するものであり、インクジェット記録ヘッドを使
用している時には常にインクと接触することになるの
で、その材料としては、特に、光反応によるカチオン重
合性化合物が適している。また、オリフィスプレート材
4の材料としては、使用するインクの種類、特性によっ
て耐久性などが大きく左右されるので、使用するインク
によっては、上記の材料以外の相応の化合物を選択して
もよい。
【0036】次に、図1(d)に示すように、Si基板
1の裏面のSiO2膜7上に、耐アルカリ性を有するマ
スク剤であるSiO2膜パターニングマスク13を形成
する。SiO2膜パターニングマスク13は、例えば以
下のようにして形成する。
【0037】まず、SiO2膜パターニングマスク13
となるマスク剤をスピンコートなどによってSi基板1
の裏面に全面塗布し、熱硬化させる。そして、さらにそ
の上にポジ型レジストをスピンコートなどによって塗布
し、乾燥させる。次に、このポジ型レジストを、フォト
リソグラフィー技術を用いてパターニングし、このポジ
型レジストをマスクとして、SiO2膜パターニングマ
スク13となるマスク剤の露出された部分をドライエッ
チングなどによって除去する。最後にポジ型レジストを
剥離して、所定のパターンのSiO2膜パターニングマ
スク13が得られる。
【0038】そして次に、SiO2膜パターニングマス
ク13をマスクとして、SiO2膜7をウェットエッチ
ングなどによってパターニングし、Si基板1の裏面を
露出するエッチング開始開口部8を開口する。
【0039】次に、図1(e)に示すように、Si基板
1を貫通する貫通口であるインク供給口9を、SiO2
膜7をマスクとした異方性エッチングによって開口す
る。この際、インクジェット記録ヘッドの機能素子が形
成された面やSi基板1の側面にエッチング液が触れな
いように、これらの部分を覆う、樹脂からなる保護材1
5をスピンコートなどによって塗布して予め形成してお
く。保護材15の材料としては、異方性エッチングを行
う際に使用する強アルカリ溶液に対して十分な耐性を有
する材料を用いる。このような保護材15によってオリ
フィスプレート材4をも覆っておくことによって、前述
した撥水層の劣化も防ぐことが可能である。
【0040】異方性エッチングに用いるエッチング液と
しては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニュウ
ムハイドロオキサイド)溶液などの強アルカリ溶液を用
いる。そして、例えば、TMAH22wt%溶液を、そ
の温度を80℃にして、所定の時間(十数時間)、エッ
チング開始開口部8からSi基板1に付与することによ
って貫通口を開口する。
【0041】最後に、図1(f)に示すように、SiO
2膜パターニングマスク13と保護材15を除去する。
そしてさらに、型材3を溶解させ、インク吐出口5とイ
ンク供給口7から溶出させて除去し、乾燥させる。型材
3の溶出は、Deep UV光によって全面露光を行っ
た後、現像を行うことによって実施でき、必要に応じて
現像の際、超音波浸漬すれば、実質的に完全に型材3を
除去することができる。
【0042】以上で、インクジェット記録ヘッドの主要
な製造工程が完了する。このようにして形成されたチッ
プには、吐出エネルギー発生素子2を駆動するための接
続部や、インク供給のためのチップタンクなどを必要に
応じて取り付けられる。なお、図1では、1つのインク
ジェット記録ヘッドを図示しているが、一般的な半導体
製造技術として用いられる、いわゆる多数個取りの手法
を用いることが可能であることは言うまでもない。この
多数個取りの手法では、1枚の基板上に同様の構成を有
する素子(ここではインクジェット記録ヘッド)が並行
して形成される。そして、基板上に多数個配列して形成
された素子は、その後、ダイソーシングなどによって、
1つ1つに分離してチップ化される。
【0043】以上説明したインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、インク供給口9の開口では、Si基
板1の、<100>面である裏面から異方性エッチング
を行うことによって、図3(b)に示すように、この裏
面に対して54.7゜の角度を有するインク供給口壁面
11(面方位<111>)が形成される。したがって、
異方性エッチングを実施する際に、Si基板1の裏面の
SiO2膜に開口するエッチング開始開口部8の開口幅
X2を所定の幅にすることによって、インク供給口9
の、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された基板
表面での開口幅X1を所定の幅にすることができる。す
なわち、Si基板1の厚みをtとした時、X1=X2−
2t/tan54.7゜の一般式が成立する。
【0044】また、異方性エッチングでは、実際には、
Si基板1に貫通口が形成されるまでの時間よりも余裕
をとった、少し長めの時間にわたってエッチングを行
う、オーバーエチングが行われる。このようにオーバー
エッチングを行った場合、貫通口が形成された後、図3
(b)に示すように、エッチング開始開口部8よりも側
方に向かって、矢印16で示す方向にサイドエッチが生
じる。したがって、インク供給口9の、表面側の開口
は、このサイドエッチによって両側で一定量(X3)だ
け広くなり、実際の開口幅は(X1+2X3)となる。
【0045】これらから、エッチング開始開口部8を精
度よく開口幅X2で形成することによって、異方性エッ
チングが良好に行われれば、インク供給口9の、Si基
板1の表面での開口幅を高い精度で正確に規定すること
ができる。したがって、インク供給口9の開口からイン
ク吐出エネルギー発生素子2までの距離を高い精度で正
確に規定することができる。
【0046】しかしながら、Si基板1には、例えば、
半導体の拡散工程の影響など、様々な要因に起因して結
晶欠陥が生じる場合がある。Si基板1の、インク供給
口9を形成する部分に結晶欠陥がある場合、異方性エッ
チングを行う際に、結晶欠陥部分で他の部分よりもエッ
チング速度が速くなってエッチング異常が発生し、従来
の製造方法では、インク供給口9の、Si基板1の表面
での開口幅が部分的に大きく設計値から外れてしまうこ
とがある。図5,6に、このようなエッチング異常が発
生した場合のインク供給口9の状態を模式的に示す。図
5はSi基板1の裏面側から見た平面図、図6は断面図
である。図5,6に示すように、結晶欠陥18がある部
分では、局所的に他の部分よりもエッチングが進み、エ
ッチング異常17として示すように、この部分に凹部が
形成されて、インク供給口9の開口幅が部分的に大きく
なってしまう。
【0047】また、従来の製造方法では、エッチング開
始面の状態、およびエッチング条件(エッチング液濃度
/温度など)によって微妙にエッチングが開始される時
間がばらつく場合がある。これに起因して、サイドエッ
チ量X3は、Si基板1内で部分的に変化したり、複数
のSi基板1間で変化したりする場合があり、それによ
って、インク供給口9の開口幅がずれてしまうことがあ
る。
【0048】このようにインク供給口9の、基板表面側
の開口の幅が設計値からずれ、大きくなってしまうと、
インク吐出エネルギー発生素子2の、インク供給口9か
らの距離が設計値からずれて短くなる。それによって、
インク吐出時に、インク吐出エネルギー発生素子2によ
って発生した圧力がインク供給口9側に逃げやすくな
り、インクの吐出特性に悪影響が生じて、インクジェッ
ト記録ヘッドの記録品位が低下してしまう場合がある。
また、インク供給口9の、表面側の開口幅がさらに大き
く設計値からずれてしまった場合には、インク吐出エネ
ルギー発生素子の駆動回路などに悪影響が生じ、インク
ジェット記録ヘッドの電気的な信頼性が低下してしまう
場合もある。このように、インク供給口9の、表面側の
開口幅のずれは、インクジェット記録装置の歩留り低下
の大きな要因となる。
【0049】このようなインク供給口9の、基板表面側
の開口幅の形成精度を向上させる方法としては、特開平
11−078029号公報に、Si基板中の酸素濃度が
低いMCZ基板を用いる方法が開示されている。同公報
に記載されているように、Si基板中の酸素濃度が1.
4×1018(atoms/cm3)以下の基板を用いた場合、上記
のようなエッチング異常が激減することが確認されてい
る。さらに、Si基板中の酸素濃度が1.3×1018(a
toms/cm3)以下の基板を用いた場合には、オーバーエッ
チングによって生じるサイドエッチ量を安定化できるこ
とが確認されている。サイドエッチ量を安定化すること
によって、上述のようなサイドエッチ量の差による開口
幅のばらつきを小さく抑えることができる。
【0050】しかしながら、本発明者らは、酸素濃度の
低いSi基板を用いた場合でも、Si基板の加熱を伴う
処理を行った場合、処理条件によっては再びエッチング
異常が発生する場合があることを見出した。Si基板の
加熱を伴う処理としては、具体的には、例えばSi基板
上にトランジスタなどの半導体素子を形成する際のウエ
ルドライブなどがある。このような処理は、インクジェ
ット記録ヘッドの機能素子を形成する上で、欠かせない
処理である。
【0051】そこで本発明者らは、このようにインク供
給口9の基板表面側の開口幅がずれてしまうのを防止す
べく鋭意検討を行った。その結果、以下の見解を得るに
至った。
【0052】まず、Si基板1の裏面の、SiO2膜7
との界面部分にエッチングレートの大きい層が存在する
場合があり、この場合、異方性エッチングのエッチング
スピードがその層の特性に支配されることがわかった。
そして、このエッチングレートの大きい層の特性に支配
されるエッチングスピードが、ある程度以上大きい場合
には、エッチング異常の発生を抑えられることを見出し
た。また、ある程度の熱処理(1100℃以上)を、酸
素濃度が1.3×1018(atoms/cm3)以下の基板に加え
た場合、このエッチングレートの大きい層が消失し、エ
ッチングスピードが遅くなり、この場合にエッチング異
常が見られるようになることを見出した。
【0053】このエッチングレートが大きい層を表面欠
陥調査した結果、熱処理を加えていないものには105
/cm2程度の密度でOSF(酸化誘起積層欠陥)が観
察された。一方、熱処理を加え、エッチングレートが大
きい層が消失したものについては、OSFが消失してい
ることを見出した。すなわち、エッチングレートの大き
い理由はOSFの存在のためであると考えられる。
【0054】そこで本発明者らは、図1、図3(b)に
模式的に示すように、Si基板1の裏面の、SiO2
7との界面部分にOSF14を存在させ、それを適切に
コントロールすることによって、インク供給口9の表面
側の開口幅を所定の均一な幅にできるのではないかと考
えるに至った。以下に、このOSFの、具体的なコント
ロール方法について、検討を行って得られた結果を示す
実施例を示す。
【0055】(第1の実施例)本発明者らは、実験を繰
り返し行った結果、Si基板1の裏面のOSFの密度と
長さが、Si結晶面方位が<111>の、インク供給口
壁面11のエッチングレートと相関することを見出し
た。具体的には、Si基板1の裏面のOSFの密度が小
さく、OSFの長さが短い場合には、エッチングレート
が小さい。そして、このようにOSF密度が小さく、O
SF長さが短い場合には、インク供給口壁面11の形成
への、Si基板1内部の結晶欠陥の影響が大きくなるこ
とを見出した。
【0056】そこで、本発明者らは、Si基板1の裏面
のOSF密度を大きくし、OSF長さを長くして、エッ
チングレートを大きくすることによって、速いサイドエ
ッチにより結晶欠陥の影響を吸収でき、それによって結
晶欠陥の影響を低減できるのではないかと考えた。
【0057】このようにした場合、サイドエッチ量は大
きくなるが、Si基板1の裏面のOSF密度、OSF長
さを適切に規定することによって、サイドエッチ量を所
定の均一な量にすることができる。したがって、前述の
ようなサイドエッチ量のばらつきに起因する、インク供
給口9の、表面側の開口幅のばらつきも抑えることがで
きると考えられる。
【0058】ここで、実際に、Si基板1裏面のOSF
密度を変化させて、インク供給口9を異方性エッチング
によって開口した例を示す。OSFは、様々な要因で生
じるものであるが、その1つの要因としては、Si基板
1を熱酸化してSiO2膜を形成することが挙げられ
る。そこで、OSF密度、OSF長さは、SiO2膜7
を形成する条件を変化させることによって変化させるこ
とができ、本実施例ではこのようにしてOSF密度、O
SF長さを変化させたSi基板1を作成した。このよう
にして得られた各Si基板1に異方性エッチングによっ
てインク供給口9を開口した際の、インク供給口9の表
面側の開口幅のばらつきを評価した結果を表1に示す。
この際、インク供給口9の表面側の開口幅のばらつき
は、形成されたインク供給口9の表面側の開口幅の最大
値と最小値の差によって評価し、差が40μm以上であ
った場合を「×」、40〜30μmであった場合を
「△」、30μm以下であった場合を「○」として表記
した。
【0059】
【表1】
【0060】表1から明らかなように、OSF密度が2
×104個/cm2以上であり、かつOSF長さが2μm
以上である場合、インク供給口9の表面側の開口幅のば
らつきは、30μm以下と小さく抑えられている。
【0061】以上説明したように、本実施例によって、
インク供給口9を形成する際に、Si基板1の裏面のO
SF密度を2×104個/cm2以上とし、OSF長さを
2μm以上とすることによって、形成するインク供給口
9の表面側の開口幅のばらつきを小さく抑えることがで
きることが分かった。
【0062】インク供給口9の表面側の開口幅のばらつ
きを小さく抑えることによって、インク供給口9とイン
ク吐出エネルギー発生素子2との距離を高精度に規定す
ることができ、信頼性良く、高品位な記録を行うことが
できるインクジェット記録ヘッドを製造することが可能
になる。また、インク供給口9の表面側の開口の一部が
インク吐出エネルギー発生素子2のすぐ近くにまで達し
て、駆動回路に悪影響が生じるなどすることを防止でき
る。また、結果としてインク供給口9とインク吐出エネ
ルギー発生素子3との距離を短く設定することが可能と
なり、インクの吐出周波数の高いインクジェット記録ヘ
ッドを高い歩留まりで製造することが可能となる。
【0063】(第2の実施例)本発明者らは、Si基板
1の裏面のOSFをコントロールする方法について検討
を行った結果、OSF密度やOSF長さは、Si基板1
上に半導体素子を形成することに関連して変化すること
を見出した。このことについて以下に説明する。
【0064】Si基板1上に半導体素子が形成されるの
は、通常、基板表面からせいぜい数μmのごく浅い領域
である。この基板表面近くの領域で、Siの結晶性をい
かに完全なものにできるかが、半導体素子の歩留まり、
性能、信頼性を向上させる上で重要になる。基板表面近
傍に無欠陥層を作製し、その部分での結晶性を完全なも
のにする方法の1つとして、ゲッタリングが挙げられ
る。このゲッタリングは、半導体素子を作製する上で有
害な金属などの汚染物質を捕獲、固定する働きをするゲ
ッタリングサイトを故意に設ける手法である。ゲッタリ
ングはIG(内部ゲッタリング)とEG(外部ゲッタリ
ング)の2種類に大別できる。EG処理の1つとしてB
D(Backside Damage)が挙げられる。これは基板裏面
に機械的ダメージ層を作り、これをゲッタリングサイト
として利用する方法である。
【0065】この機械的なダメージは、OSFの核生成
に影響する因子の1つである。そこで、BDを行った場
合、そのSi基板の裏面には、OSFがある程度以上の
密度で存在している。この状態のSi基板裏面のOSF
密度は、第1の実施例において示したように、異方性エ
ッチングを行った場合に、Si基板内に結晶欠陥が有っ
たとしても、エッチング不良の発生を抑えて、貫通口の
開口幅を均一な所定の幅にするのに十分な密度である。
【0066】ここでOSFの成長と収縮、消失について
説明すると、これには、格子間Siと空孔が大きく関係
している。熱酸化によってSi基板上にSiO2を形成
する際、SiO2−Si基板界面に過飽和な格子間Si
が発生し、この格子間SiがOSFの周囲の部分転移に
拡散し、その一部が取り込まれてOSFが成長する。一
方SiO2−Si基板界面近くの狭い領域で、この格子
間Siは空孔濃度を熱平衡以下に減少させる。その結
果、Si基板のバルク部分からSiO2―Si基板界面
への空孔の拡散が起こり、OSFが収縮、消失する。一
般的に、OSFは高温の熱処理によって消失することが
ある。これは、高温の熱処理によって空孔密度が増大
し、格子間Siと結合するためである。
【0067】そこで、上述のようにEGによって基板裏
面に一定の密度のOSFが形成されたとしても、その後
の半導体素子形成工程における高温の熱処理時にOSF
が消失してしまう場合がある。本実施例は、インクジェ
ット記録ヘッドの製造過程で、このような高温の熱処理
によってOSFが消失してしまうのを防止しようとする
ものである。
【0068】インクジェット記録ヘッドの製造過程にお
いて、Si基板に高温の熱処理を行う工程としては、半
導体素子を形成する際のウエルのドライブがある。Si
基板上に形成される半導体素子としては種々のものがあ
るが、CMOS型トランジスタを作製する場合について
説明すると、ウエルのドライブとしては、具体的には、
シングルウエル(Nウエルのみ)タイプの場合はNウエ
ルドライブ、ツインウエル(Nウエル、Pウエル)タイ
プの場合はNウエルドライブ、Pウエルドライブがあ
る。ウエルとしては、比較的深いNまたはPの導電型領
域が必要であり、このウエルの深さはウエルのドライブ
時の熱処理温度や処理時間などに大きく影響される。そ
こで、ウエルのドライブ時の熱処理温度を変化させて
も、具体的には熱処理温度を下げても、処理時間の調
整、具体的には処理時間を長くすることによって、同等
のウエルの深さ、言い換えれば同等の電気特性を得るこ
とが可能である。したがって、ウエルのドライブ時の熱
処理温度は、形成される半導体素子の電気特性を損なう
ことなく、ある程度の幅で変化させることが可能であ
る。
【0069】そこで、Si基板上に半導体素子を形成す
る半導体製造工程のうち最高温度での熱処理であるウエ
ルドライブ時の熱処理温度を1100℃、1150℃、
1200℃と変化させてSi基板上に半導体素子を形成
した。この際、それぞれの場合について、同等のウエル
深さが得られるように処理時間を調整した。Si基板と
しては、EG処理を行った、基板表面のSi結晶面方位
が<100>である6インチMCZ基板を用いた。した
がって、少なくとも熱処理前には、Si基板の裏面には
ある値以上の密度でOSFが存在している。
【0070】このようにして半導体素子を形成した各S
i基板について、異方性エッチングによってインク供給
口を開口した。そして、異方性エッチングが終了した状
態のSi基板をセコエッチングしてOSFの有無を調べ
た。また、サイドエッチング速度を、異方性エッチング
後のSi基板1の裏面での、インク供給口9の開口幅と
SiO2膜7の開口幅と、エッチングの処理時間から、 サイドエッチング速度=(Si基板の開口幅−SiO2
の開口幅)/処理時間 として評価した。このサイドエッチング速度に関して
は、1つの基板について最大値と最小値を求めた。結果
を、SiO2膜のみを形成したSi基板にインク供給口
を開口した比較例についての同様の評価と共に、表2に
示す。なお、SiO 2膜の開口幅にはほとんどばらつき
がなかったので、サイドエッチング速度の最大値と最小
値は、Si基板の開口幅が最大の部分と最小の部分につ
いての速度にそれぞれ対応している。また、表2に示
す、サイドエッチング速度の値は、複数の基板について
の平均値である。
【0071】
【表2】
【0072】表2の結果から、OSFは、1100℃を
超える高温処理を行った場合には、ほとんど消失してし
まうが、半導体製造工程における最高温度での熱処理の
処理温度を1100℃以下に抑えることによって、OS
Fの消失を抑え、OSFを残しておくことが可能である
ことがわかる。OSFが消失してしまっている場合に
は、サイドエッチング速度は、結晶欠陥が有る部分と無
い部分とで大きく変化し、3〜8μm/hrと大きくば
らついている。これに対して、OSFが十分に確保され
ている比較例の場合、および最高温度での熱処理温度を
1100℃以下に抑えた場合には、サイドエッチング速
度は、全体にわたって約12μm/hrで安定してい
る。すなわち、OSFが十分に確保されている場合に
は、サイドエッチング速度が速くなり、それによって結
晶欠陥の有無によるエッチング速度のばらつきを吸収で
きているものと考えられる。
【0073】次に、上述のような各処理条件で半導体素
子を形成したSi基板に異方性エッチングによってイン
ク供給口を開口したものを複数作成した際に、各処理条
件の場合について、インク供給口の開口幅が所定の範囲
以上にずれたものが生じる率をエチング不良率として評
価した。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】表3の結果から明らかなように、半導体製
造工程における最高温度での熱処理の処理温度を110
0℃以下にした場合には、エッチンッグ不良の発生率が
激減することが分かる。
【0076】以上のように、本実施例によって、Si基
板上に半導体素子を形成する半導体製造工程について、
その最高温度での熱処理の処理温度を1100℃以下に
抑えることによって、異方性エッチングによって開口さ
れるインク供給口の開口幅を安定して所定の均一な幅に
することができることが分かった。
【0077】(第3の実施例)第2の実施例において説
明したように、Si基板を高温で熱処理した場合には、
OSFが収縮、消失することがある。これは、高温の熱
処理によって空孔密度が増大し、格子間Siと結合する
ためであるが、詳しく見ると、格子間Siの流れが空孔
の流れよりも小さくなるまではOSFは成長し、小さく
なった途端に収縮を始める。そして温度が高くなるほ
ど、このOSFが収縮を始めるまでの時間は短くなる。
【0078】前述のように、インクジェット記録ヘッド
の製造工程において、Si基板に高温の熱処理を行うウ
エルのドライブでは、高い温度での熱処理では、短時間
で深いウエルを得ることができる。しかし、高い温度で
の熱処理では、短時間でOSFが消失してしまう。一
方、熱処理温度が低い場合には、OSFの消失を防ぐこ
とは可能であるが、適当なウエルの深さを得るためには
長時間の熱処理が必要になる。そこで、比較的低い温度
での熱処理でウエルの深さをある程度稼いだ後、比較的
高い温度での熱処理を、OSFの収縮が始まるまでの時
間内の短時間だけ行えば、OSFを消失させることな
く、より短時間で適当なウエルの深さを得ることが可能
となる。本実施例は、このような方法を示すものであ
る。この方法では、半導体製造工程における最高温度で
の熱処理温度とその前に行う熱処理温度との温度差を過
剰にしないことが重要である。
【0079】Si基板上に半導体素子を形成する半導体
製造工程のうち最高温度での熱処理であるウエルドライ
ブを、最初にある程度低温(温度B℃)で実施し、続い
て高温(温度A℃)で実施する方法で、最初の比較的低
温の処理温度と、後の最高温度となる処理温度を変化さ
せてSi基板上に半導体素子を形成した。温度の変化の
バリエーションについては、Bを900℃とし、Aを1
100℃、1150℃、1200℃とした場合、Aを1
200℃とし、Bを1100℃とした場合の4通りにつ
いて比較を行った。この際、それぞれの場合について、
同等のウエル深さが得られるように処理時間を調整し
た。Si基板としては、EG処理を行った、基板表面の
Si結晶面方位が<100>である6インチMCZ基板
を用いた。したがって、少なくとも熱処理前には、Si
基板の裏面にはある値以上の密度でOSFが存在してい
る。
【0080】このようにして半導体素子を形成した各S
i基板について、異方性エッチングによってインク供給
口を開口した。そして、第2の実施例と同様に、基板裏
面のOSFの有無とサイドエッチング速度を調べた。結
果を、SiO2膜のみを形成したSi基板にインク供給
口を開口した比較例についての同様の評価と共に、表4
に示す。
【0081】
【表4】
【0082】表4から明らかなように、A−B>200
の場合には、基板裏面のOSFが消失してしまい、その
結果、結晶欠陥の影響によってサイドエッチング時間が
約3〜8μm/hrと大きくばらついている。これに対
して、A−B≦200の場合には、基板裏面に十分なO
SFを残すことができ、サイドエッチング速度は約12
μm/hrで安定している。すなわち、A−B≦200
とすることによって、基板裏面にOSFを十分に残すこ
とができ、十分なサイドエッチング速度を確保して、結
晶欠陥の有無によるエッチング速度のばらつきを吸収さ
せることができ、サイドエッチング速度を安定させるこ
とができた。
【0083】実施例2では、1200℃の高温でウエル
のドライブを行った場合には、OSFが消失してしまっ
ていた。しかし、本実施例では、1200℃という高温
でウエルのドライブを行う場合であっても、ウエルのド
ライブを1100℃での処理と1200℃での処理の2
段階に分けて行うことによって、OSFの消失を防ぎ、
十分なOSFを残すことができた。
【0084】次に、上述のような各処理条件で半導体素
子を形成したSi基板に異方性エッチングによってイン
ク供給口を開口したものを複数作成した際に、各処理条
件の場合について、インク供給口の開口幅が所定の範囲
以上にずれたものが生じる率をエッチング不良率として
評価した。結果を表5に示す。
【0085】
【表5】
【0086】表5の結果から明らかなように、半導体製
造工程における最高温度での熱処理の処理温度Aとその
前工程での熱処理温度Bとの温度差(A−B)を200
℃以下にした場合には、エッチンッグ不良の発生率が激
減していることが分かる。
【0087】以上のように、本実施例によって、A−B
≦200℃とすることによって、異方性エッチングによ
って開口されるインク供給口の開口幅を安定して所定の
均一な幅にすることができることが分かった。
【0088】(第4の実施例)第2、第3の実施例で
は、Si基板への高温、特に1100℃以上での熱処
理、具体的には、特に、ウエルのドライブ処理の温度を
適宜規定することによって、OSFの消失を防ぐことが
できることを示した。本発明者らは、さらに検討を行っ
た結果、高温の熱処理を行う場合でも、酸素を混合した
ガス雰囲気中で熱処理を行うことによって、OSFの消
失を防ぐことができることを見出した。本実施例は、こ
のような方法を示すものである。
【0089】まず、本実施例において実施したSi基板
1上への半導体素子形成について説明する。本実施例で
は、厚さ約625μm、酸素濃度1.2〜1.3×10
18(atoms/cm2)、基板表面のSi結晶面方位<10
0>のSi基板を用いた。半導体素子形成前の、Si基
板裏面のOSF密度は1×105/cm2であった。ここ
では、半導体素子としてMOS構造の素子を形成する例
を示すが、半導体素子として他の構造、例えばBiCM
OS構造の素子を形成する場合についても、本発明は適
用可能である。
【0090】まず、Si基板を900℃の温度条件下
で、H2とO2の混合ガス中で約30分処理し、約50n
mの厚さだけ酸化膜を形成する。この膜は後の工程のイ
オン注入時に、ダメージ緩和膜として用いる。次に、フ
ォトリソグラフィー技術によって約1μmの厚さのレジ
ストを所定の厚さに形成し、次工程でのイオン注入のマ
スクとして用いる。次に、リンイオンをイオン注入し、
Nウエル層を形成する。続いてレジストを除去し、基板
両面に減圧CVD法によってSiN膜を約150nmの
厚さに形成する。続いて裏面に形成されたSiN膜をケ
ミカルドライエッチングによって除去する。次に、11
50℃の温度条件でNウエルドライブを実施する。
【0091】続いて、一般的なLOCOS(local oxid
ation of silicon)構造をとるためにフォトリソフラフ
ィー技術を用いて表面のSiN膜のパターニングを行
い、さらにフォトリソグラフィーとイオン注入を用いて
P+およびN+チャネル層を形成した後、LOCOS酸
化を行い、酸化膜を形成する。続いて、再びボロンのイ
オン注入によって表面濃度を調整した後、1000℃の
温度条件でゲート酸化を行い、約70nmの厚さでゲー
ト酸化膜を形成する。その後、約400nmの厚さのポ
リシリコンを、SiH4ガスを用いた約600℃の熱分
解法によって形成する。そして、リン拡散によってリン
をポリシリコンにドーピングさせてゲートポリ膜を形成
し、フォトリソグラフィーとリアクテブイオンエッチン
グによって所定の形状にする。続いて、フォトリソフラ
フィーとイオン注入とを繰り返して、各々P+およびN
+ソース/ドレイン層を形成する。続いて、BPSG(b
oronphosphorous silicate glass)膜をCVD法によっ
て形成し、半導体形成工程の最後として、1000℃窒
素雰囲気条件で、1000℃15分のソース/ドレイン
ドライブを実施する。
【0092】半導体形成工程終了後、さらに、例えば、
以下のような処理を行う。まず、半導体層と、後の工程
で形成する配線Alとをコンタクトするために、フォト
リソグラフィーとBHFを用いたウェットエッチングに
よってコンタクトフォールを形成し、続いて配線Alを
スパッタリングによって約500nmの厚さで形成し、
フォトリソグラフィーとリアクテブイオンエッチングに
よって所定のパターンとする。次に、Al多層配線の層
間膜としてUSG膜を約400℃のCVD法によって形
成し、フォトリソグラフィーとリアクテブイオンエッチ
ングによってUSGにスルーホールを形成する。次に、
スパッタリングによってヒーター(インク吐出エネルギ
ー発生素子)となるTaSiN抵抗体約40nmと上層
の配線となるAl約200nmを形成し、フォトリソグ
ラフィーとドライエッチングおよびウェットエッチング
によってパターニングし、配線部とヒーター部を形成す
る。
【0093】次に、ヒーターおよび配線を保護するため
の保護膜としてSiNをCVD法によって約300nm
の厚さに形成し、続いてヒーター部分をインク消泡時の
キャビテーションから保護する耐キャビテーション膜と
してTaを約230nmの厚さにスパッタリングによっ
て形成する。最後にフォトリソグラフィーとドライエッ
チングによってTaを所定の形状とし、基板に電気的な
接続をとるための電極パッド部上の保護膜を取り去る。
【0094】以上で、ヒーター(インク吐出エネルギー
発生素子)とそれを電気的に駆動するための電気回路素
子の作り込みが完了する。以下は、図1を参照して前に
説明したように、オリフィスプレート材4を形成し、S
i基板にインク供給口9を開口する処理に進む。Si基
板にインク供給口9を開口する際には、上記のLOCO
S酸化工程で熱酸化して形成したSiO2膜をエッチン
グマスクとして用いる。
【0095】以上のように、本実施例の、Si基板への
半導体素子の形成において、最高温度での熱処理は、N
ウエルドライブ処理である。本実施例では、このNウエ
ルドライブ処理は、前述のように1150℃の温度条件
で実施した。この際、Nウエルドライブ処理を、N2
みのガス雰囲気中で行った場合と、N2にO2を混入した
ガス雰囲気中で行った場合について、その後異方性エッ
チングを行った際の、基板裏面のOSF密度と、インク
供給口の開口幅のばらつきについて評価を行った。N2
にO2を混入し場合については、全処理時間(約540
分)にわたって、N2:O2を95:5とした場合と、2
0分間は、N2:O2を1:1とし、残りの520分間
は、N2:O2を95:5とした場合について、評価を行
った。結果を表6に示す。
【0096】
【表6】
【0097】表6の結果から明らかなように、高温で処
理を行うNウエルドライブ処理において、酸素を混合し
たガス雰囲気下で処理を行うことによって、OSFが消
失するのを防ぐことができ、それによって、インク供給
口の開口幅のばらつきを抑えることができた。
【0098】このようにNウエルドライブ処理を、酸素
を混合したガス雰囲気中で行うことによって、OSFの
消失を防ぐことができるのは以下の理由によると考えら
れる。酸素を混合したガス雰囲気中でNウエルドライブ
処理を行った場合、基板裏面にはSiO2膜が形成され
る。N2:O2=95:5のガス雰囲気中で540分処理
を行った場合、形成されるSiO2膜は約300nmで
ある。このSiO2膜が形成される際に、基板裏面の、
Si−SiO2界面では、SiO2の体積膨張に起因して
生じる歪によってOSFが形成される。このように、元
からあるOSFが高温処理によって消失するのを補うよ
うにOSFが形成されるため、結果として、ある程度、
上記の例では2×104個/cm2以上のOSFを残すこ
とができるものと考えられる。
【0099】以上のように、本実施例によって、Si基
板に高温処理を行う場合、その処理を、酸素を混合した
ガス雰囲気中で実施することによって、Si基板の裏面
のOSFが消失するのを防止し、一定のOSFを残すこ
とができることが分かった。それによって、異方性エッ
チングによって開口されるインク供給口の開口幅を安定
して所定の均一な幅にすることができる。
【0100】なお、上述の各実施例では、Si基板の高
温処理としてウエルドライブを行う場合について説明し
たが、高温処理としてはこれに限られることはなく、種
々の高温処理を行う場合について、本発明は適用可能で
ある。また、各実施例において示した、インク吐出エネ
ルギー発生素子やその駆動回路の製造方法は、本発明を
限定するものではない。
【0101】また、各実施例において、酸素濃度が1.
3×1018以下のSi基板、特にMCZ基板を用いるこ
とは、本発明の目的を達成する上で好適である。すなわ
ち、酸素濃度の低いSi基板を用いることにより、前述
のように、エッチング異常の発生を抑制することがで
き、またエッチングの速度を安定化することができ、本
発明のインクジェット記録ヘッドの製造において、この
ようなSi基板を用いることによって、インク供給口の
開口幅のばらつきを抑える作用を相乗的に得ることがで
きる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Siの異方性エッチングによってインク供給口を開口す
る工程を有するインクジェット記録方法において、異方
性エッチングを行う際、基板裏面のOSFを適切にコン
トロールすることによって、エッチング異常の発生を抑
え、インク供給口の、基板表面上の開口幅を安定して所
定の均一な幅にすることができる。
【0103】それによって、インクジェット記録ヘッド
の製造の歩留まりを高くすることができ、またインクジ
ェット記録ヘッドの吐出性能の信頼性を向上させること
ができる。さらに、インク供給口とインク吐出エネルギ
ー発生素子との距離を短く設定することを可能とし、吐
出周波数の高いインクジェット記録ヘッドを高い歩留ま
りで製造することを可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のインクジェット記録ヘッド
の各製造工程における模式的断面図である。
【図2】本発明の実施形態のインクジェット記録ヘッド
の一部を破断して示す模式的斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2のインクジェット記録ヘッ
ドの吐出口側から見た平面図、図3(b)は、図3
(a)のA−A線に沿って切断した断面図である。
【図4】図2のインクジェット記録ヘッドのインク供給
口側から見た平面図である。
【図5】エッチング異常が発生した場合のインク供給口
の状態を示す、インクジェット記録ヘッドのインク供給
口側から見た平面図である。
【図6】エッチング異常が発生した場合のインク供給口
の状態を示す、インク供給口部分の断面図である。
【図7】本発明の実施形態の記録ヘッドの一部分を示す
模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 インク吐出エネルギー発生素子 3 型材 4 オリフィスプレート材 5 インク吐出口 6 インク液滴 7 SiO2膜 8 エッチング開始開口部 9 インク供給口 11 インク供給口壁面 12 エッチング異常 14 OSF 15 保護材 17 エッチング異常 18 結晶欠陥 901 p型の半導体基体 907 n型のソース領域 908 n型のドレイン領域 912 p型のウエル領域 914 ゲート電極 916 n型の電界緩和ドレイン領域 917 蓄熱層 918 熱抵抗層 919 配線 920 保護層 930 スイッチ素子 940 記録ヘッドの基体 950 発熱部 960 インク吐出部 970 天板 980 液路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 照夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AP34 AP53 AP56 AQ02 BA13

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素子形成面である第1面と、第1面の裏
    面である第2面を有するSi基板を用意する工程と、 前記Si基板に加熱を伴う熱処理を行う工程と、 前記Si基板の、前記第2面にSiO2膜を形成する工
    程と、 前記SiO2膜に前記Si基板を露出させるエッチング
    開始開口部を形成する工程と、 前記Si基板の第1面に、液体を吐出させるためのエネ
    ルギーを発生する液体吐出エネルギー発生素子を形成す
    る工程と、 前記熱処理工程より後の工程であって、前記Si基板を
    貫通し前記第1面に連通する液体供給口を、前記SiO
    2膜をマスクとして前記エッチング開始開口部からSi
    の異方性エッチングによって形成する工程とを有する、
    液体吐出ヘッドの製造方法であって、 前記異方性エッチングを行う前に、前記Si基板の、前
    記SiO2膜との界面に存在する酸化誘起積層欠陥の密
    度を2×104個/cm2以上とする、液体吐出ヘッドの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Si基板の、前記液体吐出エネルギ
    ー発生素子が形成された面上に、前記液体を吐出する液
    体吐出口と、該液体吐出口に連通する液体流路とを構成
    する部材を形成する工程をさらに有する、請求項1に記
    載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記異方性エッチングを行う前に、前記
    Si基板の、前記SiO2膜との界面に存在する前記酸
    化誘起積層欠陥の長さを2μm以上とする、請求項1も
    しくは請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記SiO2膜は、前記熱処理時に熱酸
    化によって形成する、請求項1から3のいずれか1項に
    記載の、液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理は1100℃以下の処理温度
    で行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の、液体
    吐出ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 処理温度A℃での前記熱処理の前に、該
    熱処理と同様の処理を、A−B≦200℃を満たす、よ
    り低い処理温度B℃で行う、請求項1から5のいずれか
    1項に記載の、液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱処理のうち処理温度が1100℃
    以上の処理は、酸素を混合したガス雰囲気中で行う、請
    求項1から6のいずれか1項に記載の、液体吐出ヘッド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液体吐出ヘッドはSi基板に半導体
    素子を有するとともに、前記熱処理は該半導体素子の形
    成工程で行われる、請求項1から7のいずれか1項に記
    載の、液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記半導体素子形成工程はウエルドライ
    ブである、請求項8に記載の、液体吐出ヘッドの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記異方性エッチング工程より前に、
    前記Si基板が、前記Si基板の前記第2面に機械的ダ
    メージを与えることで形成されたゲッタリングサイトを
    有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1
    項に記載の、液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記Si基板として、酸素濃度が1.
    3×1018(atoms/cm3)以下であるものを用いる、請
    求項1から10のいずれか1項に記載の、液体吐出ヘッ
    ドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記Si基板として、MCZ基板を用
    いる、請求項1から11のいずれか1項に記載の、液体
    吐出ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記Si基板として、前記液体吐出エ
    ネルギー発生素子が形成される面のSi結晶面方位が<
    100>または<110>であるものを用いる、請求項
    1から12のいずれか1項に記載の、液体吐出ヘッドの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 Si基板と、該Si基板上に形成され
    た、液体を吐出するためのエネルギーを発生する液体吐
    出エネルギー発生素子と、半導体素子と、前記Si基板
    を貫通し前記液体吐出エネルギー発生素子の周辺に液体
    を供給するために用いられる異方性エッチングで形成さ
    れた開口を有する液体吐出ヘッド用基板であって、 前記Si基板は、前記Si基板の、前記液体吐出エネル
    ギー発生素子が形成された面の反対側の面に存在する酸
    化誘起積層欠陥の密度が2×104個/cm2以上であ
    り、かつ該酸化誘起積層欠陥の長さが2μm以上である
    液体吐出ヘッド用基板。
  15. 【請求項15】 前記Si基板の酸素濃度が1.3×1
    18(atoms/cm3)以下である、請求項14に記載の液
    体吐出ヘッド用基板。
  16. 【請求項16】 前記Si基板はMCZ基板である、請
    求項14または15に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  17. 【請求項17】 前記Si基板の、前記液体吐出エネル
    ギー発生素子が形成された面のSi結晶面方位が<10
    0>または<110>である、請求項14から16のい
    ずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  18. 【請求項18】 Si基板の加熱を伴う熱処理を行う工
    程と、 前記Si基板の、少なくとも一面にSiO2膜を形成す
    る工程と、 該SiO2膜に、前記Si基板を露出させるエッチング
    開始開口部を形成する工程と、 前記熱処理の後に前記Si基板を貫通する貫通口を、前
    記SiO2膜をマスクとして前記エッチング開始開口部
    からSiの異方性エッチングによって形成する工程とを
    有する基板加工方法であって、 前記異方性エッチングを行う前に、前記Si基板の、前
    記SiO2膜との界面に存在する酸化誘起積層欠陥の密
    度を2×104個/cm2以上とする基板加工方法。
  19. 【請求項19】 前記異方性エッチングを行う前に、前
    記Si基板の、前記SiO2膜との界面に存在する前記
    酸化誘起積層欠陥の長さを2μm以上とする、請求項1
    8に記載の基板加工方法。
  20. 【請求項20】 前記SiO2膜は、前記熱処理時に熱
    酸化によって形成する、請求項18または19に記載の
    基板加工方法。
  21. 【請求項21】 前記熱処理は1100℃以下の処理温
    度で行う、請求項18から20のいずれか1項に記載の
    基板加工方法。
  22. 【請求項22】 処理温度A℃での前記熱処理の前に、
    該熱処理と同様の処理を、A−B≦200℃を満たす、
    より低い処理温度B℃で行う、請求項18から21のい
    ずれか1項に記載の基板加工方法。
  23. 【請求項23】 前記熱処理のうち処理温度が1100
    ℃以上の処理は、酸素を混合したガス雰囲気中で行う、
    請求項18から22のいずれか1項に記載の基板加工方
    法。
  24. 【請求項24】 前記熱処理はウエルドライブである、
    請求項18から23のいずれか1項に記載の基板加工方
    法。
  25. 【請求項25】 前記Si基板として、酸素濃度が1.
    3×1018(atoms/cm3)以下であるものを用いる、請
    求項18から24のいずれか1項に記載の基板加工方
    法。
  26. 【請求項26】 前記Si基板として、MCZ基板を用
    いる、請求項18から25のいずれか1項に記載の基板
    加工方法。
JP2002227415A 2001-08-10 2002-08-05 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法 Expired - Fee Related JP4136523B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002227415A JP4136523B2 (ja) 2001-08-10 2002-08-05 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001244235 2001-08-10
JP2001-244235 2001-08-10
JP2002227415A JP4136523B2 (ja) 2001-08-10 2002-08-05 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003127389A true JP2003127389A (ja) 2003-05-08
JP2003127389A5 JP2003127389A5 (ja) 2007-05-24
JP4136523B2 JP4136523B2 (ja) 2008-08-20

Family

ID=26620399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002227415A Expired - Fee Related JP4136523B2 (ja) 2001-08-10 2002-08-05 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4136523B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004077922A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Ricoh Opt Ind Co Ltd 三次元構造物品及びその製造方法、並びにアレー型多心光コネクタ
US7757397B2 (en) * 2004-07-16 2010-07-20 Canon Kabushiki Kaisha Method for forming an element substrate
JP2014088011A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Canon Inc 液体記録ヘッド及びにその製造方法
JP2015164179A (ja) * 2014-01-29 2015-09-10 三菱マテリアル株式会社 プラズマ処理装置用電極板及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004077922A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Ricoh Opt Ind Co Ltd 三次元構造物品及びその製造方法、並びにアレー型多心光コネクタ
US7757397B2 (en) * 2004-07-16 2010-07-20 Canon Kabushiki Kaisha Method for forming an element substrate
JP2014088011A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Canon Inc 液体記録ヘッド及びにその製造方法
JP2015164179A (ja) * 2014-01-29 2015-09-10 三菱マテリアル株式会社 プラズマ処理装置用電極板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4136523B2 (ja) 2008-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7255418B2 (en) Method for manufacturing liquid discharge head, substrate for liquid discharge head and method for working substrate
JP2000225708A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
US9102145B2 (en) Liquid ejecting head and method for producing the same
US6875365B2 (en) Method for producing liquid discharge head
US7270759B2 (en) Structure with through hole, production method thereof, and liquid discharge head
US8012773B2 (en) Method for manufacturing liquid discharge head
JP4136523B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板および基板加工方法
JP2003136492A (ja) 貫通孔を有する構造体、その製造方法及び液体吐出ヘッド
JP2005067164A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
US7470375B2 (en) Method for manufacturing liquid ejection head, substrate for liquid ejection head, and liquid ejection head
JP3695530B2 (ja) プリンタヘッドの製造方法
KR101158916B1 (ko) 액체 토출 헤드, 액체 토출 장치 및 액체 토출 헤드의제조 방법
JP2004276511A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
US10632754B2 (en) Perforated substrate processing method and liquid ejection head manufacturing method
JP2000153613A (ja) インクジェット機能を有する半導体装置およびその製造方法、該半導体装置を使用するインクジェットヘッド、インクジェット記録装置、および情報処理システム
JP2002172776A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2008119957A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2005041177A (ja) 発熱抵抗体の製造方法、インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2006142810A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド用基板、及び液体吐出ヘッド
JP2004074603A (ja) 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
JP2004174792A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2005178398A (ja) プリンタヘッド及びプリンタ
JP2004276378A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
JP2004017567A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
JP2003127376A (ja) プリンタヘッド、プリンタ及びプリンタヘッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050620

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050620

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070328

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080528

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4136523

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120613

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120613

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130613

Year of fee payment: 5

S802 Written request for registration of partial abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311802

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees