JP2003123231A - 磁気記録媒体及びその製造方法、それを用いた磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法、それを用いた磁気記憶装置

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JP2003123231A
JP2003123231A JP2001314716A JP2001314716A JP2003123231A JP 2003123231 A JP2003123231 A JP 2003123231A JP 2001314716 A JP2001314716 A JP 2001314716A JP 2001314716 A JP2001314716 A JP 2001314716A JP 2003123231 A JP2003123231 A JP 2003123231A
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JP2001314716A
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Toshinori Ono
俊典 大野
Shigehiko Fujimaki
成彦 藤巻
Yuichi Kokado
雄一 小角
Mitsuhiro Shoda
光広 正田
Koji Sonoda
幸司 園田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気記録媒体のDLC保護膜層の内部応力を緩
和し、磁性膜との密着力を向上させることで耐摺動性に
優れた磁気記録媒体、その製造方法及びそれを用いた磁
気記録装置を提供する。 【解決手段】非磁性基板上に少なくとも磁性膜と該磁性
膜を保護する炭素を主成分とする保護膜及び少なくとも
一つの官能基を有するパーフルオロポリエーテルの潤滑
膜とを設けた磁気記録媒体において、該保護膜のイオン
寄与による成膜成分を10〜30%、ラジカル寄与によ
る成膜成分を70〜90%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた信頼性を有
し、高密度に磁気記録が可能な磁気記録媒体、及びその
製造方法、コンピュータの補助記憶装置に用いられる磁
気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大型コンピュータ、ワークステーショ
ン、パーソナルコンピュータ等の記憶装置に用いられる
磁気ディスク装置は年々その重要性が高まり、大容量小
型化へと発展を遂げている。磁気ディスク装置の大容量
小型化には高密度化が不可欠であり、これを実現するた
めの技術としては磁気記録媒体の磁気記録層と磁気ヘッ
ドの距離を小さくするということが挙げられる。
【0003】従来より、スパッタリングを用いて作製さ
れる磁気記録媒体は磁性膜を磁気ヘッドによる摺動から
保護する目的で保護膜が設けられている。そして、この
保護膜を薄膜化することと、保護膜表面と磁気ヘッドの
距離を小さくすることが磁気記録層と磁気ヘッドの距離
をより小さくする為の最も有効な手段である。この保護
膜には、DCスパッタリング、RFスパッタリング(特
開平5−174369号公報)、CVD(特開平4−90
125号公報)で作製されるカーボン膜が最も一般的に
用いられており、より強度に優れた保護膜を得るために
膜中に窒素原子や水素原子等を混入させる方法(特開昭
62−246129号公報)が一般的に採用されてき
た。また、磁気ヘッドと磁気記録媒体の摩擦を低減する
目的で保護膜の上にはパーフルオロポリエーテル液体潤
滑剤を用いるのが一般的である。
【0004】薄膜化の一般的方法として保護膜をイオン
ビームデポジション(IBD)やケミカルベーパーデポジ
ション(CVD)を用いたダイヤモンドライクカーボン
(DLC)にする事が挙げられる。DLC膜は一般的にス
パッタによって成膜されたカーボン膜より硬度が大きく
強度的に優れている。これらDLCは一般的に磁性膜の
形成された基板に負の電圧を印加して主に炭化水素のプ
ラスイオンを基板に引き寄せ堆積させることによって得
られる。ところがこの場合、磁性膜上に堆積したDLC
膜は内部応力が大きく、また磁性膜との密着性が希薄で
あるため磁気ヘッドの衝突により破壊されてしまうとい
う問題が付きまとう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
着眼してなされたものである。
【0006】本発明の第1の目的は、DLC保護膜層の
内部応力を緩和しまた磁性層との密着力を強化すること
で耐摺動性に優れた磁気記録媒体を提供することであ
る。
【0007】本発明の第2の目的は、第1の目的を達成
できる磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0008】第3の目的は、前記第1の目的を達成した
磁気記録媒体を用いて高速回転と高い信頼性を両立する
のに適した磁気記憶装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、主として次のような構成を採用する。
【0010】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に
少なくとも下地層を介して磁性膜を有する磁気記録媒体
の、該磁性膜を保護する炭素を主成分とするダイヤモン
ドライクカーボン保護膜が、イオン寄与による成膜成分
が10〜30%、ラジカル寄与による成膜成分が70〜
90%であることを特徴とする。
【0011】イオン寄与による成膜成分が10〜30
%、ラジカル寄与による成膜成分が70〜90%とする
ことで膜応力が小さく磁性膜との密着性に優れた膜とな
る。
【0012】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性基板上に少なくとも下地層を介して磁性膜及び保護膜
を有する磁気記録媒体の製造方法において、該保護膜は
炭素を主成分とする保護膜であり、イオンビーム法もし
くはケミカルベーパーデポジション法で成膜する際に、
基板上へ突入するイオン数を制御することを特徴とす
る。
【0013】前記イオンビーム法もしくはケミカルベー
パーデポジション法で保護膜を成膜する際には、N
Ne、Ar、Kr、Xe の内の少なくとも一つと炭化
水素ガス、または炭化水素ガスを用いることが好まし
い。
【0014】本発明の磁気記憶装置は、前述の磁気記録
媒体と、該磁気記録媒体を駆動する駆動部と、記録部と
再生部とを有する磁気ヘッドと、該磁気ヘッドとの間で
信号授受を行なう記録再生信号処理部とを備えたことを
特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の構成と機能並びに
作用についての概略を以下に説明する。基板上に磁性膜
とこれを保護する炭素(カーボン)を主成分とする保護
膜、及び少なくとも一つの官能基を有するパーフルオロ
ポリエーテルの潤滑膜とを設けた磁気記録媒体におい
て、前記保護膜をN、Ne、Ar、Kr、Xe の内
少なくとも一つと炭化水素ガス、または炭化水素ガスの
みを用いたイオンビーム法もしくはCVD法で成膜する
際に、イオン寄与による成膜成分を10〜30%、ラジ
カル寄与による成膜成分を70〜90%とする。上記手
法により供される磁気記録媒体は、膜応力が小さく磁性
膜との密着性の良い耐摺動性に優れた媒体にすることが
できる。
【0016】また、本発明の磁気記憶装置は、磁気記録
媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する駆動部と、記録部
と再生部からなる磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを上記
磁気記録媒体に対して相対運動させる手段と、前記磁気
ヘッドへの信号入力手段と前記磁気ヘッドからの出力信
号再生を行なうための記録再生信号処理手段とを有する
磁気記憶装置において、磁気ヘッドの再生部が磁気抵抗
効果型磁気ヘッドで構成され、かつ磁気記録媒体が上述
したような特徴を有する、保護膜の膜質、密着性、硬
度、膜厚を備えた磁気記録媒体によって構成することに
より実現される。
【0017】更に、前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドの磁
気抵抗センサ部が、互いに0.2μm以下の距離だけ隔
てられた軟磁性体からなる2枚のシールド層の間に形成
されており、かつ上述した構成をとる磁気記録媒体の磁
性層の厚さtと記録時における前記磁気記録媒体に対す
る前記磁気ヘッドの相対的な走行方向に磁界を印加して
測定した残留磁束密度Brとの積Br×tが3.2mA
(40ガウス・マイクロメートル)以上9.6mA(120
ガウス・マイクロメートル)以下であるようにして構成
される。
【0018】前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドの磁気抵抗
センサ部が、互いに0.2μm以下の距離だけ隔てられ
た軟磁性体からなる2枚のシールド層の間に形成されな
ければならないのは、最高線記録密度が220kFCI
を超える磁気記憶装置において十分な再生出力が得られ
ないことによる。軟磁性体からなる2枚のシールド層の
距離は工作上の容易さから0.12μm以上とすること
が好ましい。
【0019】上述した構成をとる磁気記録媒体の磁性層
の厚さtと記録時における前記磁気記録媒体に対する前
記磁気ヘッドの相対的な走行方向に磁界を印加して測定
した残留磁束密度Brとの積Br×tが3.2mA(40
ガウス・マイクロメートル)以上9.6mA(120ガウ
ス・マイクロメートル)以下であるのは、Br×tが3.
2mA(40ガウス・マイクロメートル)未満では記録後
の長時間放置による再生出力の低下により、誤った情報
が再生される危険性が高くなり、また9.6mA(120
ガウス・マイクロメートル)を超えると、記録時の重ね
書きが難しくなるためである。
【0020】更に、前記磁気記録媒体の下地層を少なく
とも2層形成することにより、磁性層の結晶配向性を制
御することも可能である。この多層下地層を形成するこ
とにより下地層から磁性層への原子拡散の影響を大幅に
低減でき、同時に磁性層に近接する下地層の結晶性を向
上でき、磁性層と下地層の密着性も強くなり、高い耐摺
動性能が得られる。
【0021】更に、磁性層に近接する下地層の表面が長
距離に亘る原子の周期的な配列を持たないので、その上
に形成される磁性層の結晶粒を微細化でき、かつ、結晶
配向性も制御可能となる。これにより磁性層を構成する
結晶の平均粒径を低ノイズ化に適した15nm以下の微
細なサイズに制御し、同時に、その磁化容易軸の方向を
面内磁気記録に適した膜面に平行な方向に制御すること
ができる。
【0022】また、本発明の磁気記憶装置に用いる磁気
抵抗効果型磁気ヘッドが、互いの磁化方向が外部磁界に
よって相対的に変化することによって大きな抵抗変化を
生じる複数の導電性磁性層と、前記導電性磁性層の間に
配置された導電性非磁性層を含む磁気抵抗センサによっ
て構成される。このような再生ヘッドを用いるのは30
0kFCIを超える最高線記録密度で記録した信号を安
定して再生し信号出力を得るために用いられる。
【0023】更に、磁気抵抗効果型磁気ヘッドが、浮上
面レールの面積が100mm以下であり、質量が2m
g以下の磁気ヘッドスライダ上に形成されることにより
本発明は達成される。浮上面レールの面積が100mm
以下であるのは、前述した突起と衝突する確率を低減
し、同時に質量が2mg以下とすることにより、耐衝撃
信頼性を向上できるためである。これにより、1平方イ
ンチ当たり50ギガビット以上の記録密度と高い衝撃性
を両立させることができる。
【0024】次に、本発明の実施形態について詳細に説
明する。図1に本発明の実施形態の一例を示す。 <実施形態1>まず、用いるソーダライムガラス基体1
(外径84mm、内径25mm、厚さ1.1mm)の洗浄
を十分行なった。これを約1.3×10E−5Pa(10
×10E−7Torr)まで排気された真空層内に導入
した。最初に、第1シード層形成室に搬送しAr雰囲気
約0.8Pa(6mTorr)の条件下でDCマグネトロ
ンスパッタリング法によりNi−25at% Cr−1
5at% Zr第1シード層2を20nm形成した。続
いて、第2シード層形成室に搬送しAr雰囲気約0.8
Pa(6mTorr)の条件下でDCマグネトロンスパッ
タリング法によりCo−40at% Cr−5at%
Zr第2シード層3を10nm形成した。次に真空層内
の加熱室に搬送し、IRヒータ(赤外線ヒータ)により基
板温度を280℃に加熱した。
【0025】続いて、下地層形成室に搬送し、Ar雰囲
気約0.8Pa(6mTorr)の条件下でDCマグネト
ロンスパッタリング法によりCr−10at% Mo−
7.5at% Ti合金下地層4を30nm成膜した。
続いて磁気記録層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.9
Pa(7mTorr)の条件下でDCマグネトロンスパッ
タリング法により、Co−20at% Cr−8at%
Pt−4at% B合金層5(磁性層を形成する)を2
2nm形成した。この、Cr−10at% Mo−7.
5at% Ti合金下地層2、Co−20at% Cr
−8at% Pt−4at% B 合金層5まで形成し
た基板を用い、以下に述べる本発明に関わるカーボンを
主成分とする保護膜層を形成した。
【0026】前記基板1としては、ソーダライムガラス
の他に、化学強化したアルミノシリケート、Ni−Pを
無電解めっきしたAl−Mg合金基板、シリコン、硼珪
酸ガラス等からなるセラミックス、または、ガラスグレ
ージングを施したセラミックス等からなる非磁性の剛体
基板等を用いることができる。
【0027】第1及び第2シード層はソーダライムガラ
スからのアルカリ金属の電気化学的析出を防ぐために設
けてあるもので、厚さは任意でありどちらか片方でもか
まわない。また、特に用いる必要がなければ省略するこ
ともできる。下地層4はその上に形成する磁性層の結晶
配向性を制御する下地膜として用いられる。下地層とし
ては、磁性膜と結晶整合性の良い(100)配向させるこ
とも可能な不規則固溶体を形成する非磁性のCr−V、
Cr−Ti、Cr−Mo、Cr−Si、Cr−Mo−T
i合金等のCr基合金の薄膜を用いることもできる。ス
パッタで用いる放電用のガスに0.5体積%から50体
積%の窒素を同時に添加して下地層を形成すると下地層
の結晶粒が微細化した。その結果、連続して形成する磁
性層の結晶粒も微細化し、媒体ノイズを低減できた。
【0028】磁性層5としては、Co−Cr−Pt−B
合金だけでなく、Coを主成分とし、保磁力を高めるた
めにPtを含有し、さらに媒体ノイズを低減するためC
r、Ta、SiO2、Nb等を添加した多元の合金系を
用いることができる。特にTa、Nb、V、Tiを添加
するとターゲットの融点が下がり、Crを含有した磁性
膜の組成分離が進行し易くなり好ましかった。
【0029】Pt、NiあるいはMnを添加したCo基
合金系では、磁気異方性エネルギの低下が他の添加元素
に比べて少なく実用的である。具体的には、Co−Cr
−Pt−Bの他に、Co−Cr−Pt−Ta、Co−C
r−Pt−SiO2、Co−Cr−Pt−Mn、Co−
Cr−Nb−Pt、Co−Cr−V−Pt、Co−Cr
−Ti−Pt、Co−Cr−Nb−Ta−Pt、Co−
Pt−Ni−SiO2等の合金を用いることができる。
【0030】強磁性の部分を占めるCo合金層の組成に
関し、Crの固溶限は5〜10at%、Taの固溶限は
約2at%であると考えられ、これらの固溶限を超えて
Co合金磁性層を形成することにより、磁性層における
磁気的な分離が進行し、媒体ノイズが低減する。
【0031】前記基板を真空層内から出すことなく図2
に示す保護膜層形成室21に搬送した。この保護膜層形
成室21は熱フィラメント22とアノード23からなる
イオンガンからなる。この保護膜層形成室21をターボ
モレキュラポンプで排気しながら、アノード後方からA
rガスを5sccm(Standard Cubic centimeter permi
nutes)とエチレン(C)ガスを65sccmマスフ
ローコントローラを介し導入した。この時の圧力はバラ
トロンゲージで約0.5Pa(4.2mTorr)であっ
た。
【0032】次いで、基板の両サイドに位置したイオン
ガンの熱フィラメントに30A、アノードに直流+90
Vを印加しプラズマを誘引した。更に、基板には端面に
アルミニウム合金からなる電極を接触し、電位はグラン
ド及びアノード電位から絶縁した。基板へのバイアス電
圧は付与していない。この時のアノード電流は1.2
A、基板のバイアス電流は25mAであった。また、フ
ィラメントから発せられるエミッション電流は計算上
0.5Aであった。このイオンビームデポジション法(I
BD)により、Co−Cr−Pt−B 合金層5の上に炭
素と水素を主成分とするDLC保護膜層6を2.5nm
形成した。このときの膜の堆積速度は0.9nm/sで
あった。
【0033】上述した手法によりディスクを複数枚作製
し、あるものは薄膜の分析を行い、あるものはフルオロ
カーボン系の潤滑剤層7を設けた。この厚みはフーリエ
トランスファー赤外分光分析装置(FT−IR)で定量し
たところ1.8nmであった。その後浮上チェックを行
ない単板での摺動試験、もしくは磁気ディスク装置に組
み込み信頼性試験を行った。
【0034】上記手法により作製したディスクの保護膜
を以下の手法より分析し保護膜中の水素原子量及び面密
度を定量した。すなわち、保護膜中の水素量及び面密度
の定量にはHFS(Hydrogen Forward scattering)を用
いた。測定装置は神戸製鋼所製高分解能RBS分析装置
HRBS500を用い、ビームエネルギー480Ke
V、イオン種N2+、散乱角30度、ビーム入射角は試
料法線に対し70度、試料電流約1.5nA、ビーム照
射量約310nC、測定エネルギ範囲60〜95KeV
とした。上記測定条件により窒素イオンにより反跳され
た水素イオンを磁場型検出器により検出した。また、水
素の含まれていない既知のサンプルをバックグランドと
して用いた。面密度測定に必要な膜厚はX線反射率測定
法により求めた。
【0035】膜成分のイオン寄与率、ラジカル寄与率の
計算には上記分析結果と次式を用いた。 イオン寄与率:X=f ion / F1、ラジカル寄与
率:1−X f ion= j / e、f ion:イオン束(個/cm
/s)、j:空間制限電流密度、e:電荷 F1=A・Tk(r)、F1:カーボン堆積レート(at
oms/cm/s) A:面密度(atoms/cm) Tk(r)=r/a、Tk(r):1層あたりの堆積スピー
ド(layers/s) r:デポジションレート(nm/s) a:面間隔(nm) a=N^(−1/3) N=ρ・Wc・Na/m、N:カーボン密度(atom
s/cm) 、ρ:カーボン密度(g/cm)、Na:
アボガドロナンバー、m:原子量、Wc:カーボン原子
の膜中重量比率 この結果、本発明によって得られた磁気記録媒体の保護
膜生成に対するイオンの寄与率は17%、ラジカル寄与
率は83%であった。
【0036】一方、潤滑剤まで設けたディスクをヘッド
のロード/アンロード機構を備えた評価装置に装着し試
験を行なった。10枚のディスクを回転数15,000
rpmでロードアンロード試験 50,000回行ったと
ころ、10枚ともクラッシュすることなく試験を終了し
た。この結果、本発明による磁気記録媒体は保護膜の厚
さが2.5nmと極めて薄い場合においても耐摺動信頼
性が十分であることが証明された。以上の評価結果はサ
ンプルNo.1として、表1に記載する。 <実施形態2>保護膜層6を形成する際に基板にバイア
ス電圧を80V印加、エチレン(C)ガスを100
sccmマスフローコントローラを介し導入したしたこ
とを除いては実施形態1と略同一の製法でサンプルNo.
2を作製した。保護膜層6の厚みは実施形態1と同様の
2.5nm、潤滑層7の厚みも同様に1.8nmであっ
た。このようにして作成したディスクを実施形態1と同
様の手法で評価を行なった。
【0037】その結果、保護膜生成に対するイオンの寄
与率は25%、ラジカル寄与率は75%であった。ま
た、10枚のディスクを回転数15,000rpmでロ
ードアンロード試験を行ったところ、10枚ともクラッ
シュすることなく試験を終了した。この結果、本発明に
よる磁気記録媒体は保護膜の厚さが2.5nmと極めて
薄い場合においても耐摺動信頼性が十分であることが証
明された。以上の評価結果はサンプルNo.2として、表
1に記載する。
【0038】
【表1】 <比較例1>保護膜層6を形成する際に基板にバイアス
電圧を120V印加したことを除いては実施形態1と略
同一の製法でサンプルNo.3を作製した。保護膜層6の
厚みは実施形態1と同様の2.5nm、潤滑層7の厚み
も同様に1.8nmであった。このようにして作成した
ディスクを実施形態1と同様の手法で評価を行なった。
【0039】その結果、保護膜生成に対するイオンの寄
与率は55%、ラジカル寄与率は45%であった。ま
た、10枚のディスクを回転数15,000rpmでロ
ードアンロード試験を行ったところ、全てのディスクが
1,000回から8,000回の間でクラッシュに至っ
た。この結果、比較例1の作成方法によって得られる磁
気記録媒体は保護膜厚2.5nmにて使用に耐えないこ
とが判明した。 <比較例2>保護膜層6を形成する際にアノードに直流
+90Vを印加したことを除いては実施形態1と略同一
の製法でサンプルNo.4を作製した。保護膜層6の厚み
は実施形態1と同様の2.5nm、潤滑層7の厚みも同
様に1.8nmであった。このようにして作成したディ
スクを実施形態1と同様の手法で評価を行なった。
【0040】その結果、保護膜生成に対するイオンの寄
与率は7%、ラジカル寄与率は93%であった。また、
10枚のディスクを回転数15,000rpmでロード
アンロード試験を行ったところ、全てのディスクが1,
000回から3,000回の間でクラッシュに至った。
この結果、比較例2の作成方法によって得られる磁気記
録媒体は保護膜厚2.5nmにて使用に耐えないことが
判明した。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、DLC保護膜のイオン
寄与率を10〜30%、ラジカル寄与率を70〜90%
にすることで、2.5nmと非常に薄い膜厚においても
十分な耐力を有する磁気記録媒体を供給することができ
る。
【0042】更には本磁気記録媒体と磁気ヘッドを組み
合わせることにより大容量高信頼性の磁気ディスク装置
を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の断面模
式図である。
【図2】保護膜形成室(IBD)の概略図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…Ni合金シード層、3…Co合金
シード層、4…Cr合金下地層、5…Co合金磁性層、
6…保護膜層、7…潤滑層、21…保護膜形成室、22
…熱フィラメント、23…アノード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小角 雄一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージ事業部内 (72)発明者 正田 光広 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージ事業部内 (72)発明者 園田 幸司 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージ事業部内 Fターム(参考) 5D006 AA01 AA02 AA05 AA06 EA03 5D112 AA07 BC01 BC05 FA09 FB27

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板上に少なくとも下地層を介して
    磁性膜を有する磁気記録媒体において、該磁性膜上に当
    該磁性膜を保護する炭素を主成分とするダイヤモンドラ
    イクカーボン保護膜を設け、該保護幕はイオン寄与によ
    る成膜成分が10〜30%、ラジカル寄与による成膜成
    分が70〜90%であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】前記保護膜上に少なくとも一つの官能基を
    有するパーフルオロポリエーテルの潤滑膜を設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】非磁性基板上に少なくとも下地膜を介して
    磁性膜及び保護膜を形成する磁気記録媒体の製造方法に
    おいて、前記保護膜は炭素を主成分とし、イオンビーム
    法もしくはケミカルベーパーデポジション法で成膜する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の磁気記録媒体と、該磁気
    記録媒体を駆動する駆動部と、記録部と再生部とを有す
    る磁気ヘッドと、該磁気ヘッドとの間で信号授受を行な
    う記録再生信号処理部とを具備することを特徴とする磁
    気記憶装置。
JP2001314716A 2001-10-12 2001-10-12 磁気記録媒体及びその製造方法、それを用いた磁気記憶装置 Pending JP2003123231A (ja)

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