JP2003119557A - 耐食性部材、耐食性部材の製造方法およびメチオニンの製造装置 - Google Patents
耐食性部材、耐食性部材の製造方法およびメチオニンの製造装置Info
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Abstract
プトエチル)ヒダントインを炭酸カリウム存在下に加水
分解してメチオニンを製造する工程に使用される装置内
の腐食雰囲気下であっても、耐食性に優れる耐食性部
材、耐食性部材の製造方法および前記耐食性部材からな
るメチオニンの製造装置を提供することである。 【解決手段】 本発明の耐食性部材は、ステンレス鋼基
材上にアンダーコートとして形成された中間皮膜と、こ
の中間皮膜上に形成され封孔処理されたZrO 2皮膜と
を備えている。この耐食性部材の製造方法は、ステンレ
ス鋼基材上に溶射によりアンダーコートとして中間皮膜
を形成する工程と、この中間皮膜上に溶射によりZrO
2皮膜を形成する工程と、このZrO2皮膜を封孔処理す
る工程とからなる。
Description
に5−(β−メチルメルカプトエチル)ヒダントインを
炭酸カリウムの存在下で加水分解してメチオニンを製造
する工程に使用される装置内の腐食雰囲気下で使用する
のに適した耐食性部材、耐食性部材の製造方法および前
記耐食性部材からなるメチオニンの製造装置に関する。
される材料には、ステンレス鋼が用いられることが多
い。しかしながら、激しい腐食を受ける雰囲気下、例え
ばメチオニンの製造工程の一部である加水分解工程など
においては、厚み3mm程度のSUS304を使用した
加水分解反応器が腐食により数ヶ月で貫通してしまうこ
ともある。
程は、5−(β−メチルメルカプトエチル)ヒダントイ
ンを炭酸カリウム存在下に加水分解してメチオニンを製
造するものである。この加水分解反応は、一般に圧力が
約5〜15kg/cm2G、温度が約150〜200℃
の反応条件下で行われている。この加水分解条件におい
ては、使用される装置が、雰囲気中の液相、気相を問わ
ず極めて激しい腐食を受ける。
るために、本出願人は先に、装置材料としてCr元素2
1.0〜30.0%、Ni元素4.5〜11.0%、M
o元素2.5〜5.0%、N元素0.05〜0.35%
を含有するステンレス鋼を使用するメチオニンの製造方
法を提案した(特開平11−217370号公報)。
合であっても、徐々にではあるが、0.1〜0.2(m
m/年)程度の腐食速度で腐食が進行する。特に装置材
料の溶接部分が腐食を受けやすい傾向にある。したがっ
て、長期の使用期間中には、定期点検などを頻繁に行う
ことが必要であり、また、一定期間ごとに腐食部分の溶
接補修などを行う必要があった。
雰囲気下、特に5−(β−メチルメルカプトエチル)ヒ
ダントインを炭酸カリウム存在下に加水分解してメチオ
ニンを製造する工程に使用される装置内の腐食雰囲気下
であっても、耐食性に優れる耐食性部材、耐食性部材の
製造方法および前記耐食性部材からなるメチオニンの製
造装置を提供することである。
特に高腐食雰囲気下で使用するのに適した耐食性部材で
あって、ステンレス鋼基材上にアンダーコートとして形
成された中間皮膜と、この中間皮膜上に形成され封孔処
理されたZrO2皮膜とを備えたことを特徴とする。こ
こで、アンダーコートとして形成された前記中間皮膜
は、基材とZrO 2皮膜の両方に対して密着性を有する
ものが使用される。これにより、ステンレス鋼基材に、
封孔処理されたZrO2皮膜による優れた耐食性を付与
することができ、しかも前記中間皮膜により基材とZr
O2皮膜との高い密着性を得ることができる。
合金であるのが好ましい。このFe−Cr合金は、基材
であるステンレス鋼とZrO2皮膜の両方に対して密着
性が優れるだけでなく、Fe−Cr合金自体が耐食性に
優れているので、これにより得られる耐食性部材は、よ
り耐食性が優れたものとなる。
r元素21.0〜30.0%、Ni元素4.5〜11.
0%、Mo元素2.5〜5.0%、N元素0.05〜
0.35%を含有するものであるのが好ましい。この組
成のステンレス鋼は耐食性が優れているので、本発明に
より得られる耐食性部材の耐久性がより向上する。
腐食雰囲気下で使用するのに適した耐食性部材の製造方
法であって、ステンレス鋼基材上に溶射によりアンダー
コートとして中間皮膜を形成する工程と、この中間皮膜
上に溶射によりZrO2皮膜を形成する工程と、このZ
rO2皮膜を封孔処理する工程とからなることを特徴と
する。
(β−メチルメルカプトエチル)ヒダントインを炭酸カ
リウムの存在下で加水分解してメチオニンを製造する工
程に使用される装置であって、この装置が前記耐食性部
材からなることを特徴とする。
オニン製造装置の一部または全部のことをいい、例えば
加水分解処理を行う処理槽、この処理槽に付属する配
管、弁などを含む。
に説明する。本発明の耐食性部材は、高腐食雰囲気下で
使用するのに適した耐食性部材であって、ステンレス鋼
基材上にアンダーコートとして形成された中間皮膜と、
この中間皮膜上に形成され封孔処理されたZrO2皮膜
とを備えたものである。
のように一般に耐食性部材として使用されるステンレス
鋼がこの雰囲気中に曝されると激しい腐食を受けるよう
な雰囲気のことをいい、具体的には、例えば前記した5
−(β−メチルメルカプトエチル)ヒダントインを炭酸
カリウム存在下に加水分解してメチオニンを製造する工
程に使用される装置内雰囲気などのことをいう。
特に限定されないが、好ましくはCr元素21.0〜3
0.0%、Ni元素4.5〜11.0%、Mo元素2.
5〜5.0%、N元素0.05〜0.35%を含有する
ものが良い。このような組成を有する市販のステンレス
鋼としては、例えばSUS329J4L、SCS10、
UNS S39274、UNS S32750などが挙
げられ、これらの使用が経済的である。
皮膜は、基材とZrO2皮膜の両方に対して密着性を有
するものであれば特に限定されないが、好ましくはFe
−Cr合金であるのが良い。Fe−Cr合金は、それ自
体が優れた耐食性を有しているからである。このFe−
Cr合金に含まれるFeとCrの比率は、Fe/Crが
20/80〜30/70程度であるのが好ましい。
O2皮膜は例えば溶射により形成することができる。こ
の溶射方法としては、特に限定されず、例えば大気プラ
ズマ溶射、フレーム溶射などを使用することができる。
また、溶射前には、基材と中間被膜との密着性を向上さ
せるために、ステンレス鋼基材にブラスト法などによっ
て前処理を行うのが好ましい。
る場合、熱源の温度は5000〜8000℃程度、粒子
速度は150〜200m/秒程度とするのが一般的であ
る。また、中間被膜およびZrO2皮膜のそれぞれの厚
みは、溶射時間などにより調節することができ、特に限
定されないが、好ましくは前記中間皮膜の厚みが約50
〜100μmで、前記ZrO2皮膜の厚みが約50〜1
50μmであるのがよい。これらの膜厚が過度に薄いと
十分な耐食性が得られず、過度に厚いと皮膜の密着性が
低下するので好ましくない。
皮膜は、通常、多くの気孔部分が存在するため、このま
までは優れた耐食性は得られない。そこで、ZrO2皮
膜上に残存する気孔部分を封孔剤により封孔処理する。
この封孔剤としては、ZrO 2皮膜に良く浸透し、Zr
O2皮膜に悪影響を及ぼさず、耐食性を有するものであ
れば特に限定されない。これらの条件を満足する有機系
封孔剤としては、例えば主成分が、アクリル樹脂、フッ
素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシメラミン樹
脂、パラフィン、グリースなどを使用することができ
る。また、無機系の封孔剤としては、例えばシリコーン
樹脂などを使用することができる。封孔処理の方法とし
ては、例えば、上記封孔剤を適当な溶剤で溶解させたも
のを刷毛塗り、スプレーなどにより塗布する方法が使用
できる。これにより、極めて優れた耐食性部材が得られ
る。
前記したように、5−(β−メチルメルカプトエチル)
ヒダントインを炭酸カリウム存在下に加水分解してメチ
オニンを製造する工程に使用される装置に好適に使用す
ることができる。このような高腐食雰囲気下で長期間に
わたり使用した場合であっても、優れた耐食性を維持す
ることができる。
上記一実施形態で示したメチオニンを製造する工程に使
用される装置内雰囲気に限定されず、その他の腐食雰囲
気、例えばSUS304などの一般的な耐食性部材が腐
食を受けるような雰囲気なども含む。
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは
ない。
(a)、(b)に示す耐食性部材を供試材料として用い
た。図1(a)は耐食性部材の平面図であり、(b)は
側面図である。ステンレス鋼基材1としては、SUS3
29J4L(厚み2mm)を用いた。この基材1を2枚
用意し、溶接部2において溶接した。ついで、溶接され
た基材1、1表面に、アルミナ系グリッドでブラスト法
による前処理を行った(空気圧:約10kg/c
m2)。ついで、大気プラズマ溶射により基材1、1上
に中間皮膜3を形成した。中間皮膜3の材料としては、
Fe−Cr合金(Fe含有量20〜30重量%、Cr含
有量80〜70重量%)を用いた。ついで、大気プラズ
マ溶射により前記中間被膜3上にZrO2皮膜4を形成
した。最後に、封孔剤(フッ素樹脂であるポリテトラフ
ルオロエチレンを使用)を常温でZrO2皮膜4上に適
量刷毛塗りし乾燥させることによって封孔処理し、耐食
性部材サンプルを得た。
ンプルの耐食性を確認するために、5−(β−メチルメ
ルカプトエチル)ヒダントインを炭酸カリウムの存在下
で加水分解してメチオニンを製造する工程に使用される
加水分解装置内において、耐食試験(腐食速度の測定)
を行った。すなわち、前記加水分解装置内の液相部に前
記耐食性部材サンプルを浸漬した状態でメチオニンの製
造を1年間継続して実施した。試験前と1年後の溶射皮
膜の厚みを測定し、その差を腐食による皮膜減量とし、
1年あたりの皮膜減量を腐食速度として算出した。な
お、試験前の溶射皮膜の厚みは、予め皮膜形成前の基材
1の厚みをマイクロメータで測定しておき、皮膜形成後
に再度マイクロメータで基材1と皮膜との合計厚みを測
定し、その差を求めることにより測定した。また、試験
後の溶射皮膜の厚みは、サンプルの断面を顕微鏡観察す
ることにより測定した。測定結果を表1に示す。
を用いた他は、実施例1と同様にして腐食速度の測定を
行った。測定結果を表1に示す。
よる皮膜を形成した。ついで、封孔剤(フッ素樹脂であ
るポリテトラフルオロエチレンを使用)を常温で前記皮
膜上に適量刷毛塗りし乾燥させることによって封孔処理
し、耐食性部材サンプルを得た。この耐食性部材サンプ
ルを用いて実施例1と同様の耐食試験方法により腐食速
度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
を用いた他は、比較例1と同様にしてFe−Cr合金に
よる皮膜を形成した。この耐食性部材サンプルを用いて
実施例1と同様の耐食試験方法により腐食速度の測定を
行った。測定結果を表1に示す。
形成していない)を用いた他は、実施例1と同様の耐食
試験方法により腐食速度の測定を行った。測定結果を表
1に示す。
2は1年経過後も腐食が認められなかったことから、比
較例1〜3と比較して、極めて優れた耐食性を有するこ
とが確認できた。
材上にアンダーコートとして中間皮膜を有し、この中間
皮膜上に封孔処理されたZrO2皮膜を有しているの
で、たとえ高腐食雰囲気下で使用される場合であって
も、優れた耐食性を有するという効果がある。
れば、腐食雰囲気下で使用できる優れた耐食性部材を得
ることができるという効果がある。
装置材料として前記耐食性部材を使用しているため、た
とえ5−(β−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン
を炭酸カリウム存在下に加水分解してメチオニンを製造
する雰囲気下、すなわち高腐食雰囲気下であっても、装
置が腐食することがないので、長期間、安定して連続運
転ができるという効果がある。
プルを示す平面図であり、(b)は実施例において用い
た耐食性部材サンプルを示す側面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】ステンレス鋼基材上にアンダーコートとし
て形成された中間皮膜と、この中間皮膜上に形成され封
孔処理されたZrO2皮膜とを備えたことを特徴とする
耐食性部材。 - 【請求項2】前記中間皮膜がFe−Cr合金である請求
項1記載の耐食性部材。 - 【請求項3】前記ステンレスがCr元素21.0〜3
0.0%、Ni元素4.5〜11.0%、Mo元素2.
5〜5.0%、N元素0.05〜0.35%を含有する
ものである請求項1または2記載の耐食性部材。 - 【請求項4】ステンレス鋼基材上に溶射によりアンダー
コートとして中間皮膜を形成する工程と、この中間皮膜
上に溶射によりZrO2皮膜を形成する工程と、このZ
rO2皮膜を封孔処理する工程とからなることを特徴と
する耐食性部材の製造方法。 - 【請求項5】5−(β−メチルメルカプトエチル)ヒダ
ントインを炭酸カリウムの存在下で加水分解してメチオ
ニンを製造する工程に使用される装置であって、この装
置が請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性部材からな
ることを特徴とするメチオニンの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001314859A JP2003119557A (ja) | 2001-10-12 | 2001-10-12 | 耐食性部材、耐食性部材の製造方法およびメチオニンの製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2001314859A JP2003119557A (ja) | 2001-10-12 | 2001-10-12 | 耐食性部材、耐食性部材の製造方法およびメチオニンの製造装置 |
Publications (1)
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---|---|
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ID=19133107
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001314859A Pending JP2003119557A (ja) | 2001-10-12 | 2001-10-12 | 耐食性部材、耐食性部材の製造方法およびメチオニンの製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003119557A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254442A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-04 | Sumitomo Chemical Co Ltd | メチオニンの製造方法 |
EP2186796A1 (en) | 2008-11-07 | 2010-05-19 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Process for producing methionine |
JP2010111663A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-05-20 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸の製造方法 |
JP2014529616A (ja) * | 2011-08-30 | 2014-11-13 | エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH | 粗製アクロレインおよび粗製メチルメルカプタンからメチルメルカプトプロピオンアルデヒドを反応させる方法 |
-
2001
- 2001-10-12 JP JP2001314859A patent/JP2003119557A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010111663A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-05-20 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸の製造方法 |
EP2186796A1 (en) | 2008-11-07 | 2010-05-19 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Process for producing methionine |
US8119837B2 (en) | 2008-11-07 | 2012-02-21 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Process for producing methionine |
JP2014529616A (ja) * | 2011-08-30 | 2014-11-13 | エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH | 粗製アクロレインおよび粗製メチルメルカプタンからメチルメルカプトプロピオンアルデヒドを反応させる方法 |
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