JP2003116519A - 人工組織用材料 - Google Patents

人工組織用材料

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JP2003116519A JP2001318503A JP2001318503A JP2003116519A JP 2003116519 A JP2003116519 A JP 2003116519A JP 2001318503 A JP2001318503 A JP 2001318503A JP 2001318503 A JP2001318503 A JP 2001318503A JP 2003116519 A JP2003116519 A JP 2003116519A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一に分布した細胞及び足場材料を含む人工
組織用材料の提供。 【解決手段】 細胞が沈降しない条件下において、細胞
懸濁液と足場材料とを接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞が沈降しない
条件下において、細胞懸濁液と足場材料とを接触させる
ことによって得ることができる、均一に分布した細胞及
び足場材料を含む人工組織用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の細胞工学技術の進展によって、数
々の動物細胞の培養が可能となり、またそれらの細胞か
ら組織・器官を再構築するという試みが行われつつあ
る。このような試みにおいて、最も重要なことは、播種
した細胞が増殖分化して3次元的な生体組織様構造物を
構築するために、足場材料内に細胞を高密度かつ均一に
分布させ、保持することである。
【0003】足場材料として、種々の高分子が開発され
ているが、細胞を高分子に均一に、高密度に、高い生存
率を有して播種し培養することは困難であった。Kimら
は、ポリグリコール酸からなる生体分解性のマトリック
スを用いた平滑筋細胞の播種及び培養方法について報告
している。これは、50mlチューブ内で、細胞及びポリ
グリコール酸マトリックス(幅5mm×長さ5mm×高さ2
mm)を含む培養液0.3mlを、100rpmで攪拌しなが
ら20時間培養する播種方法である(Biotechnol. and
Bioeng., 57, 48-54, 1998)。しかし、この方法による
人工組織用材料には、人工組織用材料の上層と下層又は
外層と内層との間の細胞密度の分布に、偏りがあるとい
う問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、細胞が沈降しない条件下において、細胞懸濁液
と足場材料とを接触させることによって得ることができ
る、均一に分布した細胞及び足場材料を含む人工組織用
材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、人工組織
用材料の播種・培養に関する上記の問題点を解決するた
めに鋭意検討した結果、添加する細胞を分散させた培養
液(細胞懸濁液)の容量と細胞の足場材料の容量(体
積)との比、及び培養条件の組合わせを選択することに
よって、細胞とその足場材料を含む人工組織用材料内部
の細胞分布が均一であり、かつ高い細胞の生存率及び生
理活性を有している細胞を含む人工組織用材料の開発に
成功し、本発明を完成した。
【0006】したがって、本発明は、細胞が沈降しない
条件下において、細胞懸濁液と足場材料とを接触させる
ことによって得ることができる、均一に分布した細胞及
び足場材料を含む人工組織用材料に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の足場材料は、例えば、ポ
リ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε−カプロラクトン、
乳酸とグリコール酸との共重合体、グリコール酸とε−
カプロラクトンとの共重合体、ポリクエン酸、ポリリン
ゴ酸、ポリ−α−シアノアクリレート、ポリ−β−ヒド
ロキシ酪酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテト
ラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオ
ルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリプ
ロピレンカーボネート、ポリ−γ−ベンジル−L−グル
タメート、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、ポリ
−L−アラニンなどの合成高分子、デンプン、アルギン
酸、ヒアルロン酸、キチン、ペクチン酸及びその誘導体
などの多糖、あるいはゼラチン、コラーゲン(コラーゲ
ンのタイプ及びその抽出法はいずれでもよい)、アルブ
ミン、フィブリンなどのタンパク質など種々の高分子及
びその混合物あるいは化学反応によって作製した複合物
などを挙げることができる。本発明の高分子は、好まし
くは、酸、アルカリなどによる単純加水分解あるいは酵
素による加水分解によって生体内で分解吸収されるとい
う、生体吸収性の性質を有し、適当な処理をすることに
よって多孔質状となっており、そして所望の形態に成型
してあるものである。また、本発明の足場材料は、不織
布状、スポンジ状、編物、織物等の任意の形状に成形す
ることができる。
【0008】本発明に用いる不織布は、公知の方法によ
って調製することができる。例えば、短い繊維の層(ウ
ェブ)を多数の針のついたニードルパンチ機に通し繊維
を機械的に絡み合わせてフェルト状にするニードルパン
チ法、繊維になる前の溶けた原料樹脂を多数のノズルか
ら同時に吹き出して細い糸を作りながらその連続した多
数の糸をあらゆる方向にクモの巣状に配置し均一な厚さ
のウェブを作り、自然に又は機械的に糸同士をくっつけ
るメルトブロー法である。
【0009】本発明に用いる不織布を構成する繊維の直
径は、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、5
〜20μmであり、空隙率は、好ましくは、70〜10
0%未満、より好ましくは、85〜100%未満、最も
好ましくは、90〜100%未満である。その形態とし
ては、ディスク状、フィルム状、棒状、粒子状、および
ペースト状、チューブ状などがあるが、これらに限定さ
れない。
【0010】本発明に用いるスポンジは、公知の方法に
よって調製することができる。例えば、重量平均分子量
が1〜50万を有する高分子又は共重合体の溶液を所望
の型枠に入れ、凍結後、真空凍結乾燥することによって
得ることができる。この際、サイズの異なる水溶性固
体、例えば、食塩、デンプンなどを混合して、凍結乾燥
体を得た後、水中にてそれらの水溶性固体を抽出するこ
とによって、また、凍結温度や高分子溶液濃度を変化さ
せることによって、所望の孔サイズを有する多孔質体を
得ることも可能である。この作製されたスポンジを適当
な形にカットすることによって成型することも可能であ
る。
【0011】本発明に用いることができる多孔体セラミ
ックスは、多孔性であること及びその空隙が連通孔構造
を有しており、生体毒性が少なく、生体親和性であるこ
とが好ましい。空隙のサイズ(気孔径)、連通孔(連通
部径)のサイズは10μm以上であることが好ましい。
例えば、ハイドロキシアパタイト(HA)、あるいはF
若しくはMgなどが混合されたHA誘導体及び傾斜材
料、炭酸アパタイト、トリリン酸カルシウム(TC
P)、炭酸カルシウム(サンゴからの天然物も含む)な
どを用いることができる。また、金属材料としては、す
でに生体内で用いられているステンレススチール、チタ
ン、種々の合金などからなる多孔質体も足場材料となり
得る。例えば、チタンなどからなるスポンジ、メッシュ
構造を有する3次元多孔質体などが好ましい。気孔径及
び連通部径は、10μm以上であること、メッシュの場
合には、繊維径は1〜500μmが好ましい。また、そ
の空隙率は、60〜100%である。さらに、高分子、
セラミックス、金属などの2種類以上からなる混合物あ
るいは化学反応によって作製された複合体を用いて、上
述の3次元多孔体を作製して用いることもできる。ま
た、高分子、セラミックス、金属のいずれの足場材料に
対しても、その材料表面を細胞の接着、増殖、分化など
を促進するための物質によって修飾した後に、本発明の
目的に用いることができる。多孔質体を作製した後に、
修飾を行ってもよいし、また、修飾を行ったものを用い
て多孔質体を作製してもよい。修飾方法としては、種々
の足場材料に物質をコーティングなどの物理固定、化学
固定又は材料内への物理的、化学的混合法などの公知の
方法を用いることができる。修飾物質としては、コラー
ゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、
ラミニン、種々のムコ多糖類などの細胞接着性を有する
物質、細胞増殖因子、分化因子、サイトカイン、ケモカ
インなどの生理活性物質、及びそれらの誘導体、並びに
それらの細胞接着(細胞接着物質)、増殖、分化などの
作用を有する天然ペプチド、合成ペプチドなどが挙げら
れる。これらの物質は、単独又は2種類以上の混合物と
して、この目的に用いることができる。
【0012】本発明に用いる細胞としては、培養するこ
とができる正常細胞、癌細胞、胚性及び成体(組織)幹
細胞、造血系幹細胞などの細胞であれば、あらゆる種類
の細胞を用いることができる。
【0013】本発明に用いる培養液は、組織培養で従来
用いられている動物細胞用の培養液例えば、mediu
m199、MEM、DMEM、RPMI1640、ある
いは幹細胞の培養に調製された培地及び細胞の分化培地
などを用いることができる。細胞懸濁液は、かかる培養
液に細胞を加えて調製する。
【0014】本発明に用いる培養容器は、あらゆる細胞
培養のために通常に用いられる培養容器を用いることが
できる。例えば、試験管、びん、フラスコ、シャーレの
形態であることができる。素材は、プラスチック又はガ
ラスであることができ、プラスチック製品の場合には、
表面処理をしてあるかどうかを問わない。
【0015】本発明において振盪培養とは、細胞懸濁液
中での細胞の均一性を保持したまま培養することをい
う。振盪方法は、細胞懸濁液中の細胞の均一性を保持す
ることができるものであれば何でもよく、往復、回転、
八の字等であることができ、振盪は、振盪培養器によっ
て容器の外部から与えることができる。また、培養液を
機械的に攪拌しながら培養するスピンナーフラスコ(sp
inner flask)、フラスコ自体を回転させるタイプの培
養器、回転容器(rotary vessel)・微小重力培養器、
培地流動型の培養器(perfused culture system)など
を用いることもできる。
【0016】本発明の人工組織用材料の調製方法として
は、細胞懸濁液の流動が生じ得る条件下、すなわち、人
工組織用材料の容量当たりの細胞懸濁液量が、1を超え
ること、好ましくは、1を超えて50以下、より好まし
くは、1を超えて20以下、最も好ましくは、1を超え
て10以下である条件下において、振盪培養することに
よって調製することができる。
【0017】細胞懸濁液における細胞密度は、細胞懸濁
液の中での細胞の偏りのない均質流動が生じ得る条件、
すなわち、101〜109細胞/ml、好ましくは、105
〜108細胞/mlである。
【0018】培養は、細胞の生存率を低下させることな
く、細胞の高分子への接着が促進され、そして細胞密度
の分布が均一となる条件、すなわち、37℃、5%CO
2雰囲気下にて、6〜12時間、振盪回転数250rpm以
上、好ましくは250〜300rpmで行う。培養期間中
において、培養液交換は不要である。
【0019】本発明の人工組織用材料は、より長期間、
より高機能な人工組織を開発するために用いることがで
きる。
【0020】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明について説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0021】実施例1:細胞接着試験 異なる培養容器に、あらかじめ培養液で馴化したPET
不織布(直径6mm、厚さ3mm、空隙率94%)を置き、
次いで、50μl又は200μlの骨髄から採取した未分
化間葉系幹細胞(以下、断りがない限り本細胞種を用い
た。)懸濁液(細胞数:105、106又は107細胞)
を加え、静置培養又は振盪培養(Bellco社製回転式振盪
機、300rpm)条件下で培養した。用いた培養条件を
下記に示す。 培養容器 培養液量 培養条件 細胞懸濁液量/ (μl) 人工組織用材料容量 a 96穴マイクロプレート 50 静置培養 0.59 b 96穴マイクロプレート 50 振盪培養 0.59 c 96穴マイクロプレート 200 静置培養 2.35 d 96穴マイクロプレート 200 振盪培養 2.35 e 50mlチューブ 200 静置培養 2.35 f 50mlチューブ 200 振盪培養 2.35
【0022】培養は、37℃、5%CO2条件下で6時
間行った。
【0023】接着細胞数の定量は、DNAアッセイ法を
用いた。細胞培養後、細胞が接着した不織布をCa2+
2+不含リン酸緩衝食塩水(PBS−)で3回洗浄し、
−30℃で1晩凍結させた。次に、凍結サンプルに0.
2mg/mlラウリル硫酸ナトリウム(SDS)/0.5mg/
mlプロテナーゼKクエン酸3ナトリウム溶液の1mlを加
え、55℃で12時間緩やかに攪拌しながら細胞成分を
消化した。消化した細胞懸濁液100μl、1μg/mlの
ヘキスト33258溶液500μl、及び0.2mg/mlS
DS溶液400μlを混合し、混合液の蛍光強度を測定
した(励起波長355nm、蛍光波長460nm)。
【0024】表1に示すように、a〜cでは、不織布断
面の細胞分布が上層に偏っているのに対し、d〜fで
は、不織布断面の細胞分布が各層で均一であった。ま
た、a,c,eに対してb、d、fでは、不織布全体の
接着細胞数の増加が認められた。したがって、振盪培養
を行うことによって細胞を高密度かつ均一に不織布に接
着させることできることが分かった。これは、振盪によ
って細胞懸濁液の均一性が保持されているためと思われ
た。
【0025】実施例2:細胞分布試験 上記、a〜fの6種類の培養条件のそれぞれについて、
培養後、細胞接着不織布をヘマトキシンエオジン染色
し、不織布断面の上層、中層、下層について、接着細胞
数を測定し、中層について走査型電子顕微鏡(SEM)
による観察を行った(図1)。
【0026】a〜fいずれのサンプルにおいても接着細
胞数は、静置培養よりも振盪培養で多くなっていた。特
に、培養液量の多いd及びfに関しては接着細胞数の向
上割合が大きく、振盪培養における培養液の流動が必要
条件であることが示唆された。c及びdとe及びfとの
接着細胞数に差が認められないことから、不織布の大き
さと培養容器の大きさが同じである必要がないことも明
らかとなった。すなわち、不織布容量に対する培養液量
が多ければ、振盪による細胞懸濁液の流動により、細胞
懸濁液と不織布との接触機会が増加し、不織布の大きさ
及び形には制限されずに、組織再生に必要とされる希望
形状の足場材料に対して多くの細胞を効率よく接着させ
ることができることが明らかとなった(図2)。
【0027】
【表1】
【0028】実施例3:細胞代謝活性測定 静置培養と振盪培養における細胞の代謝活性を測定する
ために、乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定した。L
DH活性は、細胞障害の増加に伴って高くなることが知
られている。
【0029】細胞接着試験と同様に、a〜fの6種類の
条件について、静置培養及び振盪培養を適用した。培養
時間は、それぞれ6及び24時間とした。
【0030】LHD活性の測定は、LDH−UVテスト
ワコー(和光純薬)を用いて行った。LDH基質緩衝液
(NADH/50mmol/mlリン酸緩衝液+0.62mmol/
lピルビン酸リチウム)2mlに培養器中の培養液50μl
((a)の場合には、培養液量を200μlに調整した
もの)を加え、軽く混和した。この混合液の波長340
nmにおける、0分後及び2分後の吸光度を測定し、吸光
度の減少量からLDH活性の量を算出した。
【0031】LDH活性は、6時間培養では、いずれの
培養条件においても有意差は認められないが、24時間
培養時には、静置培養で高いのに対して振盪培養では低
かった(図3)。したがって、振盪培養では静置培養に
比べて細胞障害が抑制されており、振盪培養は、細胞の
不織布への接着効率の向上、細胞分布の均一化のみなら
ず、細胞障害を低減させることが明らかとなった。
【0032】実施例4:培養容器の形状の細胞分布への
影響 振盪培養を行う際の、培養容器の形状による細胞分布へ
の影響を調べるために、種々の形状の培養容器を用いて
細胞接着試験を行った。
【0033】培養容器として、台形底50mlチューブ、
24穴マイクロプレート及び丸底チューブ(φ12mm×
長さ75mm)を用いた。それぞれの容器の底にあらかじ
め培養液で馴化させたPET不織布(直径6mm、厚さ3
mm、空隙率94%)を置き、その不織布に間葉系幹細胞
(1×107個)をマイクロピペットを用いて加えた。
培養液量は、台形底50mlチューブでは200μl、2
4穴マイクロプレート及び丸底チューブでは500μl
とした。これらを静置培養又は振盪培養(Bellco社製回
転式振盪機、300rpm)条件下で6時間培養(37
℃、5%CO2)した。培養終了後、細胞接着不織布の
断面「中層」のSEM観察を行った。
【0034】3種類の培養容器ともに、静置培養では細
胞接着数が少ないが、振盪培養では細胞接着数が多く、
不織布断面のどの層においても高密度に細胞が接着した
(図4)。この結果より、培養容器の形状にかかわら
ず、細胞は不織布に均一に付着することが明らかとなっ
た。
【0035】実施例5 細胞分布に対する空隙率の影響 細胞分布に対する空隙率の影響を調べるために、種々の
空隙率を有する不織布を作製し、この不織布に対する細
胞接着試験を実施した。PET不織布に加温(150
℃)圧縮を行うことによって、種々の空隙率(93.5
〜80.7%)を有する不織布を作製した。これらのP
ET不織布(直径6mm、厚さ3mm、空隙率94%)を培
養液で馴化させ、50ml遠心管の底に置き、その不織布
に間葉系幹細胞(1×107個)をマイクロピペットを
用いて加えた。培養液量は、500μlとした。これら
を静置培養又は振盪培養(Bellco社製回転式振盪機、3
00rpm)条件下で6時間培養(37℃、5%CO2)し
た。培養終了後、細胞接着不織布の断面「中層」のSE
M観察を行った。
【0036】図5に示すように、より空隙率の低い不織
布ほど接着細胞密度は高かったが、4種類の空隙率の異
なる不織布の細胞分布は均一であった。また、広範囲の
空隙率において振盪培養が有効であることが示唆され
た。
【0037】実施例6 細胞懸濁液の均一性を保持する
ために必要な振盪条件の検討 実施例2の結果より、不織布内で均一な細胞分布を達成
するためには、細胞を不織布に付着させるための培養期
間中に細胞懸濁液の均一性を保持することが重要である
ことが示された。そこで、細胞懸濁液の均一性を保持す
るために必要な振盪条件の検討を行った。 下記の条件下: 培養容器:12/75チューブ、24穴マイクロプレー
ト、96穴マイクロプレート及び50mlチューブ、 播種細胞数:1×106個及び1×107個、 振盪回転数:100及び300rpm、 振盪時間:0.5、1、3及び6時間 で振盪培養を行い、上層から経時的に細胞懸濁液を採取
し、その570nmにおける吸光度を測定し懸濁液の濁り
の変化を評価した。コントロール値(0時間)の値に対
する割合(%C:percent of control)を算出した。
【0038】振盪回転数が300rpmにおいては、12
/75チューブ、24穴マイクロプレート、96穴マイ
クロプレート及び50mlチューブなどのいずれの培養容
器、播種細胞数、振盪時間においても吸光度に変化は認
められず、細胞懸濁液が均一であることが証明された。
それに対して、100rpmにおいては、培養容器の種類
又は播種細胞数にかかわらず、振盪培養30分後には、
上層部から採取された細胞懸濁液の吸光度は測定限界ま
で減少し、上層部には細胞が存在しないこと、すなわ
ち、細胞が底部に沈降し、細胞懸濁液が不均一であるこ
とが証明された。したがって、細胞懸濁液の細胞の分散
均一性を保持するためには、250〜300rpmの振盪
回転数における振盪培養が必要であることが明らかとな
った(図6、図7)。
【0039】実施例7 異なる細胞種における細胞懸濁
液の均一性を保持するために必要な振盪条件の検討 異なる細胞種(異なる直径)における細胞懸濁液の均一
性を保持するために必要な振盪条件を検討した。 下記の条件下: 細胞種:赤血球(直径8μm)、肝細胞(直径20μm) 培養容器:12/75チューブ 播種細胞数:1×106個 振盪回転数:100、150、200、250、300
及び350rpm 振盪時間:0.5、1、3及び6時間 で振盪培養を行い、上層から経時的に細胞懸濁液を採取
し、その570nmにおける吸光度を測定し懸濁液の濁り
の変化を評価した。コントロール値(0時間)の値に対
する割合(%C)を算出した。
【0040】赤血球では、200rpm以下の振盪回転数
で濁度が緩やかに減少し、250rpmを超える振盪回転
数で細胞懸濁液の均一性が保持された。それに対して、
より直径の大きい肝細胞では、250rpm以下の振盪回
転数で濁度の急速な減少が認めれた。赤血球や間葉系幹
細胞とは異なり、細胞懸濁液の均一性が保持されたのは
振盪回転数が300rpm以上の場合のみであった。した
がって、本発明の方法において、振盪回転数が250rp
mであれば、直径の異なる細胞種においても細胞懸濁液
の均一性が保持されることが明らかとなった(図8)。
【0041】
【発明の効果】再生医学を目指した生体組織様構造物を
構築するために必要とされる足場材料への細胞播種の際
に、細胞が沈降しない条件下で細胞懸濁液と足場材料と
を接着させ、足場内に均一にしかも高密度で細胞が分
布、またその生存率も高い人工組織材料を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞接着不織布のSEM観察。a:96穴マイ
クロプレート、50μl、静置培養;b:96穴マイク
ロプレート、50μl、振盪培養;c:96穴マイクロ
プレート、200μl、静置培養;d:96穴マイクロ
プレート、200μl、振盪培養;e:50mlチュー
ブ、200μl、静置培養;f:50mlチューブ、20
0μl、振盪培養。
【図2】異なる培養条件による接着細胞数。
【図3】細胞代謝活性測定。
【図4】培養基材による細胞分布効果(不織布断面中層
のSEM観察)。
【図5】細胞分布に対する空隙率の影響。
【図6】異なる振盪条件による細胞懸濁液の均一性への
影響。
【図7】異なる振盪速度による細胞懸濁液の均一性への
影響。
【図8】異なる細胞種による細胞懸濁液の均一性への影
響。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 真一郎 京都府綾部市井倉新町石風呂1番地 グン ゼ株式会社内 (72)発明者 高橋 佳丈 京都府綾部市井倉新町石風呂1番地 グン ゼ株式会社内 Fターム(参考) 4B029 AA02 BB11 CC02 CC10 DF06 4C081 AC16 BA12 CD34 DA16 DB06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞が沈降しない条件下において、細胞
    懸濁液と足場材料とを接触させることによって得ること
    ができる、均一に分布した細胞及び足場材料を含む人工
    組織用材料。
  2. 【請求項2】 細胞が沈降しない手段として振盪を用い
    ることを特徴とする請求項1記載の材料。
  3. 【請求項3】 細胞が沈降しない条件が、 1)人工組織用材料の容量当たりの細胞懸濁液量が、1
    を超えること、及び 2)250rpmを超える回転数で振盪しながら細胞懸濁
    液と足場材料とを接触させること である、請求項1記載の材料。
  4. 【請求項4】 足場材料が、高分子、セラミックス、金
    属及びその複合体からなる群より選択される、請求項1
    〜3いずれか1項記載の人工組織用材料。
  5. 【請求項5】 足場材料が、不織布、織物、メッシュ、
    スポンジ、編物又は多孔質体の形状である、請求項1〜
    4いずれか1項記載の人工組織用材料。
JP2001318503A 2001-10-16 2001-10-16 人工組織用材料 Expired - Lifetime JP4102557B2 (ja)

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