JP2003114487A - ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料

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JP2003114487A JP2002192373A JP2002192373A JP2003114487A JP 2003114487 A JP2003114487 A JP 2003114487A JP 2002192373 A JP2002192373 A JP 2002192373A JP 2002192373 A JP2002192373 A JP 2002192373A JP 2003114487 A JP2003114487 A JP 2003114487A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真感度を高めつつ、高感度化に伴い発生す
るカブリを抑え、高温、高湿下および自動車の排気ガス
等の燃焼時に発生する有害ガスに晒される等過酷な条件
で保存されても、カブリの上昇が少ないハロゲン化銀写
真感光材料を提供すること。 【解決手段】 電子酸化されて生成する1電子酸化体
が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上
の電子を放出し得る化合物を、少なくとも1つ含むこと
を特徴とするハロゲン化銀乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真感度を高めた感
光性ハロゲン化銀乳剤、およびこれを含む写真要素に関
する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料の感光性を改
善するために、種々の技法が用いられている。ハロゲン
化銀の固有の感度を高めるためには、例えば、イオウ、
金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤が用いら
れている。またシアニンおよび他のポリメチン色素類を
用いた分光増感も、当該技術分野においては周知の技術
である。分光増感色素を最適量を超えて乳剤に添加する
と、写真感度が著しく減少する現象が、色素減感として
知られている。これを改善する方法として、強色増感剤
による強色増感効果を利用する技術が知られている。こ
れは、それ自体は分光増感効果を示さない、通常無色の
有機化合物で、増感色素(あるいは励起された増感色
素)に作用して、色素減感を抑制する効果を発揮する。
この様な化合物の例は、例えば以下の特許に示されてい
る。米国特許第2,937,089号、同3,706,
567号、同2,875,058号、同3,695,8
88号、同3,457,078号、同3,458,31
8号、3,615,632号、同5,192,654
号、同5,306,612号、同2,419,975
号、同5,459,052号、同4,971,890
号、欧州特許第554856号。またハロゲン化銀写真
感光材料の分光感度を高めるために、増感色素と共に種
々の電子供与性化合物も用いられている。これらの例
は、米国特許第3,695,588号、3,809,5
61号、英国特許255084号、同1064193号
に記載されている。さらにこれらの電子供与性化合物
を、増感色素に共有結合で連結した化合物も用いられて
いる。これらの例は、米国特許第5,436,121号
および同5,478,719号(モノメチン色素に結合
した電子供与スチリル塩基を有する化合物)、米国特許
第4,607,006号(フェノチアジンフェノキサジ
ン、カルバゾール、ジベンゾフェノチアジン、フェロセ
ン、トリス−2,2’−ビピリジル−ルテニウムから誘
導される電子供与性基、もしくはハロゲン化銀吸着基に
結合したトリアリールアミン骨格を有する化合物)に示
されている。しかし、以上の様な工夫によっても、未だ
理想的に高い写真感度を実現するには至っていない。特
に高感度化に伴って発生するカブリの問題や、ハロゲン
化銀写真感光材料が高温、高湿下および自動車の排気ガ
ス等の燃焼時に発生する有害ガスに晒される等、過酷な
条件で保存されることにより発生する保存カブリの問題
と両立して高感度化を達成しうる化合物は、未だ極めて
少ないのが現状である。
【0003】一方、最近になって、米国特許第5,74
7,235号、同5,747,236号、欧州特許第7
86692A1号、同893731A1号、同8937
32A1号、WO99/05570号、および米国化学
会誌に記載の論文:"Two-Electron Sensitization: A N
ew Concept for Silver Halide Photography", J. Am.
Chem. Soc.,122,11934-11943 (2000)に、「2電子増感
剤」として、1電子酸化された後にフラグメント化(結
合開裂)し、さらにもう1電子を放出できる化合物を用
いた増感技術が報告されている。これらの化合物は、色
素正孔(励起された増感色素から、ハロゲン化銀の伝導
帯へ電子が注入された後、電子を1個失った増感色素分
子)もしくはハロゲン化銀が励起されて生成する正孔に
よって酸化された後、フラグメント化の反応を経てはじ
めてもう1電子が放出され、これが高感度化を引き起こ
す点に特徴があると明細書に明記されている。しかしな
がらこれらの化合物によっても、未だ感度/カブリ比が
高く、かつ保存性に優れた感光材料を与えうる、理想的
な高感度化技術は達成出来なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は写真用乳剤の
写真感度を高めつつ、高感度化に伴い発生するカブリを
抑え、高温、高湿下および自動車の排気ガス等の燃焼時
に発生する有害ガスに晒される等過酷な条件で保存され
ても、カブリの上昇が少ないハロゲン化銀写真感光材料
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は下記の構成1
〜12によって達成された。 <構成1>1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、
引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電
子を放出し得る化合物を、少なくとも1つ含むことを特
徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0006】<構成2>構成1に記載の化合物により化
学増感されたハロゲン化銀乳剤。
【0007】<構成3>構成1または2に記載のハロゲ
ン化銀乳剤を、少なくとも1つ含むことを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0008】<構成4>構成1〜3のハロゲン化銀写真
感光材料またはハロゲン化銀乳剤が露光されることを引
き金に、構成1に記載の化合物が1電子酸化されること
を特徴とする、構成1〜3のいずれかに記載のハロゲン
化銀写真感光材料またはハロゲン化銀乳剤。
【0009】<構成5>構成1に記載の化合物が、下記
一般式(1)で表されることを特徴とする、構成1〜4
のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料またはハ
ロゲン化銀乳剤。
【0010】一般式(1)
【化3】
【0011】式中RED1は1電子酸化され得る還元性
基を表し、L1は脱離基を表す。R2は水素原子または置
換基を表す。R1は炭素原子(C)およびRED1と共
に、特定の5員もしくは6員の環状構造を形成し得る非
金属原子団を表す。ここにR1が形成する特定の5員も
しくは6員の環状構造とは、5員もしくは6員の芳香族
環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサ
ヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造を
意味する。
【0012】<構成6>構成1に記載の化合物が、下記
一般式(2)で表されることを特徴とする、構成1〜4
のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料またはハ
ロゲン化銀乳剤。
【0013】一般式(2)
【化4】
【0014】式中RED2およびL2は、それぞれ一般式
(1)のRED1およびL1と同義の基を表す。R20およ
びR21は、それぞれに水素原子または置換基を表し、こ
れは一般式(1)のR2と同義の基である。ED2は電子
供与性基を表す。一般式(2)においてR21とRE
2、R21とR20、またはED2とRED2とは、互いに
結合して環状構造を形成していてもよい。
【0015】<構成7>前記一般式(1)又は一般式
(2)で表わされる化合物が分子内にハロゲン化銀への
吸着性基を有することを特徴とする上記構成のハロゲン
化銀乳剤またはハロゲン化銀写真感光材料。
【0016】<構成8>構成7に記載の分子内にハロゲ
ン化銀への吸着性基を有する化合物が、部分構造として
メルカプト基を分子内に2つ以上有する化合物であるこ
とを特徴とする、構成7に記載のハロゲン化銀写真感光
材料またはハロゲン化銀乳剤。
【0017】<構成9>構成1〜8に記載の化合物が、
分子内に、分光増感色素の部分構造を有することを特徴
とする構成1〜8のいずれかに記載のハロゲン化銀写真
感光材料またはハロゲン化銀乳剤。
【0018】<構成10>1電子酸化されて生成する1
電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに
2電子以上の電子を放出し得る化合物を、少なくとも1
つ含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0019】<構成11>前記一般式(1)または
(2)で表される化合物。
【0020】<構成12>構成11に記載の化合物がハ
ロゲン化銀への吸着性基を有することを特徴とする化合
物。
【0021】<構成13>構成5に記載の一般式(1)
で表される化合物において、L1が水素原子を表す時、該
化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有し、ま
た同時に分子内に内在する塩基部位を有することを特徴
とする、構成1〜10のいずれかに記載のハロゲン化銀
乳剤またはハロゲン化銀写真感光材料。
【0022】<構成14>構成5に記載の一般式(1)
で表される化合物において、L1が水素原子を表し、RED1
がアニリン類を表し、かつその窒素原子がR1と6員の単
環の飽和の環構造を形成する時、該化合物は分子内にハ
ロゲン化銀への吸着性基を有することを特徴とし、また
同時に分子内に内在する塩基部位を有し、その塩基部位
と該水素原子とが8個以下の原子団で連結されているこ
とを特徴とする、構成1〜10のいずれかに記載のハロ
ゲン化銀乳剤またはハロゲン化銀写真感光材料。
【0023】<構成15>構成5に記載の一般式(1)
で表される化合物および構成6に記載の一般式(2)で
表される化合物において、それぞれL1およびL2が、カル
ボキシ基もしくはその塩であることを特徴とする、構成
1〜10のいずれかに記載のハロゲン化銀乳剤またはハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0024】
【発明の実施の形態】次に本発明の化合物について詳し
く説明する。本発明の化合物は1電子酸化されて1電子
酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴なって、
さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)の電子を放
出し得る化合物である。言いかえれば、さらに2電子以
上(好ましくは3電子以上)酸化され得る化合物であ
る。ここに結合開裂反応とは、炭素−炭素、炭素−ケイ
素、炭素−水素、炭素−ホウ素、炭素−スズ、炭素−ゲ
ルマニウムの各元素間の結合の開裂を意味し、炭素−水
素結合の開裂がさらにこれらに付随してもよい。
【0025】本発明の化合物のうち好ましい化合物は、
一般式(1)または一般式(2)で表されるが、ここで
RED1またはRED2で表される還元性基が1電子酸化
された後、自発的にL1またはL2を結合開裂反応により
離脱することで、即ちC(炭素原子)−L1結合、または
C(炭素原子)−L2結合が開裂することで、これに伴な
いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得
る化合物である。
【0026】既に従来技術の説明で述べたとおり、米国
特許第5,747,235号、同5,747,236
号、欧州特許第786692A1号、同893731A
1号、同893732A1号、WO99/05570
号、および、米国化学会誌に記載の論文:"Two-Electro
n Sensitization: A New Concept for Silver Halide P
hotography", J. Am. Chem. Soc.,122,11934-11943 (20
00)には、「2電子増感剤」として、1電子酸化された
後にフラグメント化(結合開裂)し、さらにもう1電子
を放出できる化合物が記載されている。これは本発明の
化合物と構造および機能が比較的似ている化合物である
が、しかしながら本発明の化合物は、1電子酸化後に放
出される電子数が、先の「2電子増感剤」とは明確に異
なっており、またこの点にこそ、本発明の化合物の最大
の特徴がある。即ち本発明の化合物は1電子酸化後に放
出される電子数が1つではなく、2つ以上(好ましくは
3つ以上)であるがゆえに、特異的で、予期出来ない高
い増感効果を発現することを、我々は新たに独自に見出
した。
【0027】以下、先ず本発明の一般式(1)で表され
る化合物について、詳しく説明する。一般式(1)にお
いてRED1で表される1電子酸化され得る還元性基
は、後述するR1と共に特定の環形成をする基であり、
具体的には、次の1価基から環形成をするのに適切な箇
所の水素原子1個を除いた2価基が挙げられる。例えば
アルキルアミノ基、アリールアミノ基(アニリノ基、ナ
フチルアミノ基など)、ヘテロ環アミノ基(ベンズチア
ゾリルアミノ基、ピロリルアミノ基など)、アルキルチ
オ基、アリールチオ基(フェニルチオ基など)、ヘテロ
環チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基(フェノキ
シ基など)、ヘテロ環オキシ基、アリール基(フェニル
基、ナフチル基、アントラニル基など)、芳香族または
非芳香族のヘテロ環基(5員〜7員の、単環もしくは縮
合環の、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子の
うち少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環で、そ
の具体例としては、例えばテトラヒドロキノリン環、テ
トラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン
環、テトラヒドロキナゾリン環、インドリン環、インド
ール環、インダゾール環、カルバゾール環、フェノキサ
ジン環、フェノチアジン環、ベンゾチアゾリン環、ピロ
ール環、イミダゾール環、チアゾリン環、ピペリジン
環、ピロリジン環、モルホリン環、ベンゾイミダゾール
環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、メ
チレンジオキシフェニル環などが挙げられる)である。
これらは置換基を有していてもよい。以後RED1は、
便宜上、水素原子除去前の1価基として記述する。
【0028】置換基としては、例えばハロゲン原子(フ
ッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、
アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メ
チン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリ
ール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級
化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモ
イル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル
基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボ
ンイミドイル基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、
アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオ
キシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ
基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ
もしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバ
モイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(ア
ルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシル
アミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイ
ド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキ
シ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セ
ミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ
基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、
(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基
またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイ
ル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン
酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙
げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換
されていてもよい。
【0029】一般式(1)においてL1は、RED1で表
される還元性基が1電子酸化された後に初めて結合開裂
により脱離し得る脱離基を表し、具体的にはカルボキシ
基もしくはその塩、シリル基、水素原子、トリアリール
ホウ素アニオン、トリアルキルスタニル基、トリアルキ
ルゲルミル基、または−CRC1C2C3基を表す。
【0030】L1がカルボキシ基の塩を表すとき、塩を
形成するカウンターイオンとしては具体的に、アルカリ
金属イオン(Li+、Na+、K+など)、アルカリ土類
金属イオン(Mg2+、Ca2+など)、重金属イオン(A
+、Cu2+など)、アンモニウムイオン(テトラメチ
ルアンモニウムイオン、ジメチルベンジルアンモニウム
イオン、トリエチルヒドロアンモニウムイオンなど)、
ホスホニウムイオン(トリフェニルベンジルホスホニウ
ムイオンなど)などが挙げられる。L1がシリル基を表
す時、シリル基とは具体的にトリアルキルシリル基、ア
リールジアルキルシリル基、トリアリールシリル基など
を表し、ここにアルキル基とは、メチル、エチル、ベン
ジル、t−ブチル基等が、またアリール基とはフェニル
基などが挙げられる。
【0031】L1がトリアリールホウ素アニオンを表す
時、アリール基として好ましくは、置換もしくは無置換
のフェニル基で、置換基としてはRED1が有していても良
い置換基と同じものが挙げられる。L1がトリアルキル
スタニル基またはトリアルキルゲルミル基を表す時、こ
こにアルキル基とは炭素数1〜24の、直鎖、分岐、ま
たは環状のアルキル基で、置換基を有していてもよく、
置換基としてはRED1が有していても良い置換基と同じも
のが挙げられる。
【0032】L1が−CRC1C2C3基を表す時、ここ
にRC1、RC2、RC3はそれぞれ独立に、水素原子、アル
キル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、
ヘテロ環アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヒドロキシ基を表し、これらが互いに結合して環状構造
を形成していてもよく、さらに置換基を有していてもよ
い。置換基としてはRED1が有していても良い置換基と同
じものが挙げられる。但し、RC1、RC2、RC3のうち1
つが水素原子もしくはアルキル基を表す時、残る2つが
水素原子もしくはアルキル基を表すことはない。RC1
C2、RC3として好ましくは、それぞれ独立に、アルキ
ル基(メチル、エチル、ベンジル)、アリール基(特に
フェニル基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アル
キルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環基、アルコ
キシ基、ヒドロキシ基で、具体的にその例を挙げると、
フェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メト
キシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、p−
ヒドロキシフェニル基、メチルチオ基、フェニルチオ
基、フェノキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチル
アミノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ
基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ヒドロキシ基な
どが挙げられる。またこれらが互いに結合して環状構造
を形成する場合の例としては1,3−ジチオラン−2−
イル基、1,3−ジチアン−2−イル基、N−メチル−
1,3−チアゾリジン−2−イル基、N−ベンジル−ベ
ンゾチアゾリジン−2−イル基などが挙げられる。
【0033】−CRC1C2C3基として好ましくは、ト
リチル基、トリ−(p−ヒドロキシフェニル)メチル
基、1,1−ジフェニル−1−(p−ジメチルアミノフ
ェニル)メチル基、1,1−ジフェニル−1−(メチル
チオ)メチル基、1−フェニル−1,1−(ジメチルチ
オ)メチル基、1,3−ジチオラン−2−イル基、2−
フェニル−1,3−ジチオラン−2−イル基、1,3−
ジチアン−2−イル基、2−フェニル−1,3−ジチア
ン−2−イル基、2−メチル−1,3−ジチアン−2−
イル基、N−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル
基、2−メチル−3−メチル−1,3−チアゾリジン−
2−イル基、N−ベンジル−ベンゾチアゾリジン−2−
イル基、1,1−ジフェニル−1−ジメチルアミノメチ
ル基、1,1−ジフェニル−1−モルホリノメチル基等
が挙げられる。また−CRC1C2 C3基が、RC1
C2、RC3についてそれぞれ上述した範囲内で選択され
た結果として、一般式(1)からL1を除いた残基と同
じ基を表す場合もまた好ましい。
【0034】一般式(1)においてR2は水素原子また
は炭素原子に置換可能な置換基を表す。R2が炭素原子
に置換可能な置換基を表す時、ここに置換基とは具体的
に、例えばハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素
数1〜18、より好ましくは1〜10)、アルケニル基
(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは2〜1
0)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜18、より
好ましくは2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数
6〜18、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(置
換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボ
ニル基(好ましくは炭素数2〜19、より好ましくは2
〜11)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭
素数7〜19、より好ましくは7〜19)、カルバモイ
ル基、オキサリル基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコ
キシ基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1
〜10)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜1
8、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環オキシ基、ア
シルオキシ基、{アルコキシ(好ましくは炭素数1〜1
8、より好ましくは1〜10)もしくはアリールオキシ
(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜1
0)}カルボニルオキシ基、アミノ基、{アルキル(好
ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)、
アリール(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは
6〜10)、またはヘテロ環}アミノ基、アシルアミノ
基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、
イミド基、{アルコキシ(好ましくは炭素数1〜18、
より好ましくは1〜10)もしくはアリールオキシ(好
ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)}
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカ
プト基、{アルキル(好ましくは炭素数1〜18、より
好ましくは1〜10)、アリール(好ましくは炭素数6
〜18、より好ましくは6〜10)、またはヘテロ環}
チオ基、{アルキル(好ましくは炭素数1〜18、より
好ましくは1〜10)またはアリール(好ましくは炭素
数6〜18、より好ましくは6〜10)}スルホニル
基、スルファモイル基、リン酸エステル構造を含む基、
等が挙げられる。これら置換基はさらに任意の置換基で
置換されていてもよい。任意の置換基としてはRED1
が置換基を有する時の置換基の例と同じものが挙げられ
る。
【0035】一般式(1)においてR1は炭素原子(C)
およびRED1と共に、特定の5員もしくは6員の環状
構造を形成し得る非金属原子団を表す。ここにR1が形
成する特定の5員もしくは6員の環状構造とは、5員も
しくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテト
ラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に
相当する環構造を意味する。ここにヒドロ体とは、芳香
族環(芳香族ヘテロ環を含む)に内在する炭素−炭素2
重結合(または炭素−窒素2重結合)が部分的に水素化
された環構造を意味し、テトラヒドロ体とは2つの炭素
−炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化
された構造を意味し、ヘキサヒドロ体とは3つの炭素−
炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化さ
れた構造を意味し、オクタヒドロ体とは4つの炭素−炭
素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化され
た構造を意味する。水素化されることで芳香族環は、部
分的に水素化された非芳香族の環構造となる。具体的に
は、単環の5員環の場合の例としては、ピロール環、イ
ミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾ
ール環等の芳香族環のテトラヒドロ体に相当する、ピロ
リジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾ
リジン環およびオキサゾリジン環等が挙げられる。6員
環の単環の場合の例としては、ピリジン環、ピリダジン
環、ピリミジン環、ピラジン環等の芳香族環のテトラヒ
ドロ体もしくはヘキサヒドロ体が挙げられ、例えばピペ
リジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリ
ミジン環、ピペラジン環等が挙げられる。6員環の縮合
環の場合の例としては、ナフタレン環、キノリン環、イ
ソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環等の芳香
族環のテトラヒドロ体に相当する、テトラリン環、テト
ラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テ
トラヒドロキナゾリン環、およびテトラヒドロキノキサ
リン環等が挙げられる。3環性化合物の場合の例として
は、カルバゾール環のテトラヒドロ体のテトラヒドロカ
ルバゾール環やフェナントリジン環のオクタヒドロ体で
あるオクタヒドロフェナントリジン環等が挙げられる。
【0036】これらの環構造は、さらに置換されていて
もよく、その置換基の例としては、RED1が有してい
てもよい置換基について説明したものと同じものが挙げ
られる。なお、これらの環構造の置換基どおしがさらに
連結して、環を形成していてもよい。この場合新たに形
成される環は、非芳香族の炭素環またはヘテロ環であ
る。
【0037】次に本発明の一般式(1)で表される化合
物の好ましい範囲を説明する。一般式(1)においてL
1は好ましくはカルボキシ基またはその塩、および水素
原子である。
【0038】より好ましくはカルボキシ基またはその塩
である。
【0039】カルボキシ基の塩のカウンターイオンとし
て好ましくはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイ
オンであり、アルカリ金属イオン(特にLi+、Na+
+イオン)が最も好ましい。
【0040】L1が水素原子を表す時、一般式(1)で表さ
れる化合物は、分子内に内在する塩基部位を有している
ことが好ましい。この塩基部位の作用により、一般式
(1)で表される化合物が酸化された後、L1で表される水
素原子が脱プロトン化されて、ここからさらに電子が放
出されるのである。
【0041】ここに塩基とは、具体的に約1〜約10の
pKaを示す酸の共役塩基である。例えば含窒素ヘテロ環
類(ピリジン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール
類、チアゾール類など)、アニリン類、トリアルキルア
ミン類、アミノ基、炭素酸類(活性メチレンアニオンな
ど)、チオ酢酸アニオン、カルボキシレート(−CO
-)、サルフェート(−SO3 -)、またはアミンオキシ
ド(>N(O-)−)などが挙げられる。好ましくは約1〜
約8のpKaを示す酸の共役塩基であり、カルボキシレー
ト、サルフェート、またはアミンオキシドがより好まし
く、カルボキシレートが特に好ましい。これらの塩基が
アニオンを有する時、対カチオンを有していてもよく、
その例としてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニ
ウムイオンなどが挙げられる。
【0042】これら塩基は、任意の位置で一般式(1)で
表される化合物に連結される。これら塩基部位が結合す
る位置としては、一般式(1)のRED1、R1、R2の何れで
もよく、またこれらの基の置換基に連結していてもよ
い。
【0043】L1が水素原子を表す時、該水素原子と塩基
部位は8個以下の原子団で連結されていることが好まし
い。さらには5個以上、8個以下の原子団で連結されて
いることがより好ましい。ここで連結原子団としてカウ
ントされるのは、塩基部位の中心的原子(すなわちアニ
オンを有する原子または孤立電子対を有する原子)と該
水素原子とを共有結合で連結する原子団であり、例えば
カルボキシレートの場合には−C−O-の2原子がカウ
ントされ、サルフェートの場合にはS−Oの2原子が
カウントされる。また一般式(1)のCで表される炭素
原子も、その数に加えられる。
【0044】一般式(1)において、L1が水素原子を表
し、RED1がアニリン類を表し、かつその窒素原子がR1
6員の単環の飽和の環構造(ピペリジン環、ピペラジン
環、モルホリン環、チオモルホリン環、セレノモルホリ
ン環など)を形成する時、該化合物は分子内にハロゲン
化銀への吸着性基を有することが好ましく、また同時に
該化合物は分子内に内在する塩基部位を有し、その塩基
部位と該水素原子とが8個以下の原子団で連結されてい
ることがより好ましい。
【0045】一般式(1)においてRED1は、好まし
くはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環ア
ミノ基、アリール基、芳香族または非芳香族のヘテロ環
基であり、このうちヘテロ環基に関しては、テトラヒド
ロキノリニル基、テトラヒドロキノキサリニル基、テト
ラヒドロキナゾリニル基、インドリル基、インドレニル
基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチア
ジニル基、ベンゾチアゾリニル基、ピロリル基、イミダ
ゾリル基、チアゾリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、
ベンゾイミダゾリニル基、3,4-メチレンジオキシフェニ
ル-1-イル基などが好ましい。RED1としてさらに好ま
しくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール
基(特にフェニル基)である。ここでRED1がアリー
ル基を表す時、アリール基は少なくとも1つの電子供与
性基を有していることが好ましい。ここに電子供与性基
とは、即ち、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは
炭素数1〜10)、メルカプト基、スルホンアミド基、
アシルアミノ基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数
1〜10)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜
10)、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、電子過剰な
芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロリル基、
インダゾリル基)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素
ヘテロ環基(ピロリジニル基、インドリニル基、ピペリ
ジニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基など)であ
る。
【0046】ここで活性メチン基とは、2つの電子求引
性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性
基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリ
フルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミ
ドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互い
に結合して環状構造をとっていてもよい。RED1がア
リール基を表す時、そのアリール基の置換基としてより
好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキ
シ基、メルカプト基、スルホンアミド基、活性メチン
基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であ
り、さらに好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ
基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素
ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基、
窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0047】一般式(1)においてR2は、好ましくは
水素原子、アルキル基、アリール基(フェニル基な
ど)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ベンジ
ルオキシ基など)、ヒドロキシ基、アルキルチオ基(メ
チルチオ基、ブチルチオ基など)、アミノ基、アルキル
アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であ
り、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキ
シ基、フェニル基、アルキルアミノ基、ヒドロキシ基で
ある。
【0048】一般式(1)においてR1は好ましくは、
炭素原子(C)およびRED1と共に、以下の特定の5員
もしくは6員の環状構造を形成し得る非金属原子団であ
る。即ち、単環の5員環の芳香族環であるピロール環、
イミダゾール環のテトラヒドロ体に相当するピロリジン
環、イミダゾリジン環など。単環の6員環の芳香族環で
あるピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジ
ン環のテトラヒドロ体もしくはヘキサヒドロ体。例え
ば、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒ
ドロピリミジン環、ピペラジン環など。縮合環の6員環
の芳香族環であるナフタレン環、キノリン環、イソキノ
リン環、キナゾリン環、キノキサリン環のテトラヒドロ
体に相当する、テトラリン環、テトラヒドロキノリン
環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾ
リン環,およびテトラヒドロキノキサリン環など。3環
性の芳香族環であるカルバゾール環のテトラヒドロ体で
あるテトラヒドロカルバゾール環や、フェナントリジン
環のオクタヒドロ体であるオクタヒドロフェナントリジ
ン環などが挙げられる。
【0049】R1が形成する環状構造としてさらに好ま
しくは、ピロリジン環,イミダゾリジン環、ピペリジン
環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン
環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒ
ドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テト
ラヒドロカルバゾール環であり、特に好ましくは、ピロ
リジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロ
キノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロ
キノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環であり、
最も好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒ
ドロキノリン環である。
【0050】次に一般式(2)について詳しく説明す
る。
【0051】一般式(2)
【化5】
【0052】一般式(2)においてRED2およびL
2は、それぞれ一般式(1)のRED1およびL1と同義
の基を表す。R20およびR21は、それぞれ水素原子また
は炭素原子に置換可能な置換基を表し、これは一般式
(1)のR2と同義の基である。
【0053】ED2は電子供与性基を表す。一般式
(2)においてR21とRED2、R21とR 20、またはE
2とRED2とは、互いに結合して環状構造を形成して
いてもよい。
【0054】一般式(2)においてRED2は一般式
(1)のRED1に同義の基であり、その好ましい範囲
もまた同じである。一般式(2)においてL2は一般式
(1)のL1に同義の基であり、その好ましい範囲もま
た同じである。
【0055】一般式(2)においてED2で表される電
子供与性基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好まし
くは炭素数1〜10)、メルカプト基、アルキルチオ基
(好ましくは炭素数1〜10)、アリールチオ基(好ま
しくは炭素数6〜10)、ヘテロ環チオ基、スルホンア
ミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基(好ましく
は炭素数1〜10)、アリールアミノ基(好ましくは炭
素数6〜10)、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、電
子過剰な芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロ
リル基、インダゾリル基)、窒素原子で置換する非芳香
族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、ピペリジニル
基、インドリニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基な
ど)、およびこれら電子供与性基で置換されたアリール
基((好ましくは炭素数1〜10、例えばp-ヒドロキシ
フェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、o,p-ジア
ルコキシフェニル基、4-ヒドロキシナフチル基)であ
る。ここで活性メチン基とは、RED1がアリール基を
表すときの置換基として説明したものに同じである。
【0056】ED2で表される電子供与性基として好ま
しくは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、
スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ
基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素
原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれ
ら電子供与性基で置換されたフェニル基であり、さらに
好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基、スルホンアミ
ド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチ
ン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、
およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基(例
えばp-ヒドロキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェ
ニル基、o,p-ジアルコキシフェニル基など)である。
【0057】一般式(2)においてR20およびR21は水
素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、これ
は一般式(1)のR2と同義の基であり、その好ましい
範囲もまた同じである。
【0058】一般式(2)においてR21とRED2、R
21とR20、またはED2とRED2とは、互いに結合して
環状構造を形成していてもよい。ここで形成される環状
構造とは、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であっ
て、5員〜7員環の単環または縮合環で、置換もしくは
無置換の環状構造である。R21とRED2とが環構造を
形成するとき、その具体例としては、ピロリジン環、ピ
ロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、チアゾ
リジン環、チアゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン
環、オキサゾリジン環、オキサゾリン環、インダン環、
ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒ
ドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、インドリ
ン環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラ
ヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、
テトラヒドロ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-
1,4-オキサジン環、テトラヒドロ-1,4-チアジン環、2,3
-ジヒドロベンゾ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾ
フラン環、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン環、等が挙げ
られる。ED2とRED2とが環構造を形成するとき、E
2は好ましくはアミノ基、アルキルアミノ基、アリー
ルアミノ基を表し、形成される環構造の具体例として
は、テトラヒドロピラジン環、ピペラジン環、テトラヒ
ドロキノキサリン環、テトラヒドロイソキノリン環、な
どが挙げられる。R21とR20とが環構造を形成すると
き、その具体例としては、シクロヘキサン環、シクロペ
ンタン環などが挙げられる。
【0059】本発明の一般式(1)で表される化合物の
うちさらに好ましいものは、以下の一般式(10)〜
(12)で、また一般式(2)で表される化合物のうち
さらに好ましいものは、以下の一般式(13)および
(14)で表される。
【0060】
【化6】
【0061】一般式(10)〜(14)において、
10、L11、L12、L13、L14は一般式(1)のL1
同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。
100とR 101、R110とR111、R120とR121、R130
131、R140とR141は、それぞれ一般式(2)のR20
とR21に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じ
である。ED13、ED14はそれぞれ一般式(2)のED
2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じであ
る。X10、X11、X12、X13、X14はそれぞれベンゼン
環に置換可能な置換基を表し、m10、m11、m12、m13、m
14はそれぞれ0〜3の整数を表し、これらが複数の時、
複数のX10、X11、X12、X13、X14は同じでも異なっ
ていてもよい。Y12およびY14はアミノ基、アルキルア
ミノ基、アリールアミノ基、窒素原子で置換する非芳香
族の含窒素ヘテロ環基(ピロリル基、ピペリジニル基、
インドリニル基、ピペラジノ基、モルホリノ基など)、
ヒドロキシ基、アルコキシ基を表す。
【0062】Z10、Z11、Z12は、特定の環構造を形成
しうる非金属原子団を表す。Z10が形成する特定の環構
造とは、5員または6員の、単環もしくは縮合環の、含
窒素芳香族ヘテロ環のテトラヒドロ体もしくはヘキサヒ
ドロ体にあたる環構造で、具体的にはピロリジン環、イ
ミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾリジン環、ピ
ペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピ
リミジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、
テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン
環、テトラヒドロキノキサリン環、などが例として挙げ
られる。
【0063】Z11が形成する特定の環構造とは、テトラ
ヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環であ
る。Z12が形成する特定の環構造とは、テトラリン環、
テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環
である。
【0064】RN11、RN13はそれぞれ水素原子、または
窒素原子に置換可能な置換基である。置換基としては具
体的に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より
好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましく
は炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜10)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜18、より好まし
くは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数
6〜18、より好ましくは炭素数6〜10)、ヘテロ環
基、アシル基であり、好ましくはアルキル基、アリール
基である。
【0065】X10、X11、X12、X13、X14で表される
ベンゼン環に置換可能な置換基としては、一般式(1)
のRED1が有していてもよい置換基の例と同じものが
具体例として挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、
アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カ
ルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基(エチレンオキ
シ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基
を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ア
ミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド
基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくは
アリールオキシ)カルボニルアミノ基、ニトロ基、(ア
ルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキ
ルまたはアリール)スルホニル基、スルファモイル基等
である。m10、m11、m12、m13、m14は好ましくは0〜2
であり、さらに好ましくは0または1である。
【0066】Y12およびY14は好ましくはアルキルアミ
ノ基、アリールアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族
の含窒素ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であ
り、さらに好ましくはアルキルアミノ基、窒素原子で置
換する5〜6員の非芳香族含窒素ヘテロ環基、ヒドロキ
シ基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基(特にジ
アルキルアミノ基)または窒素原子で置換する5〜6員
の非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0067】一般式(13)においてR131とX13、R
131とRN13、R130とX13、またはR 130とRN13とが結
合して、環状構造を形成していてもよい。また一般式
(14)においてR141とX14、R141とR140、ED14
とX14、またはR140とX14とが結合して、環状構造を
形成していてもよい。ここで形成される環状構造とは、
非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、5員〜7
員環の単環または縮合環で、置換もしくは無置換の環状
構造である。一般式(13)においてR131とX13とが
結合して環状構造を形成する場合、およびR131とRN13
とが結合して環状構造を形成する場合は、環構造を形成
しない場合と同様に、一般式(13)で表される化合物
の好ましい例である。一般式(13)においてR131
13とで形成される環構造としては具体的に、インドリ
ン環(この場合、R131は単結合を表すことになる)、
テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン
環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒ
ドロベンゾ-1,4-チアジン環、などが挙げられる。特に
好ましくはインドリン環、テトラヒドロキノリン環、テ
トラヒドロキノキサリン環である。一般式(13)にお
いてR131とRN13とで形成される環構造としては具体的
に、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イ
ミダゾリン環、チアゾリジン環、チアゾリン環、ピラゾ
リジン環、ピラゾリン環、オキサゾリジン環、オキサゾ
リン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、
テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、
インドリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロ
イソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラ
ヒドロ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-オ
キサジン環、テトラヒドロ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒ
ドロベンゾ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾフラ
ン環、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン環、等が挙げられ
る。特に好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テト
ラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環であ
る。
【0068】一般式(14)においてR141とX14とが
結合して環状構造を形成する場合、およびED14とX14
とが結合して環状構造を形成する場合は、環構造を形成
しない場合と同様に、一般式(14)で表される化合物
の好ましい例である。一般式(14)においてR141
14とが結合して形成する環状構造としては、インダン
環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒ
ドロイソキノリン環、インドリン環などが挙げられる。
ED14とX14とが結合して形成する環状構造としては、
テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロシンノリン
環などが挙げられる。
【0069】本発明の化合物は分子内の何れかの位置
に、ハロゲン化銀に対して吸着するもしくは吸着を促進
する吸着性基を少なくとも1つ有しているか、あるいは
また分光増感色素の部分構造を有していることが好まし
い。
【0070】ハロゲン化銀に対する吸着性基としては、
チオアミド基、メルカプト基、または窒素原子、硫黄原
子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくと
も1つの原子を含むヘテロ環基が挙げられる。またハロ
ゲン化銀に対して比較的弱い吸着性を示す吸着性基とし
てスルフィド基(−S−)、カチオン性基、またはエチ
ニル基が挙げられる。
【0071】チオアミド吸着性基としては、
【化7】
【0072】で表される二価の基であり、環構造の一部
であってもよいし、また好ましくは非環式チオアミド基
であることができる。有用なチオアミド吸着性基は、例
えば米国特許4,030,925号、同4,031,1
27号、同4,080,207号、同4,245,03
7号、同4,255,511号、同4,266,013
号及び同4,276,364号、ならびにリサーチ・デ
ィスクロージャー(Research Disclosure) 第151
巻、1976年11月、15162項、及び同第176
巻、1978年12月、17626項に開示されている
ものから選ぶことができる。特に好ましいチオアミド基
は式(A)で示されるものである。
【0073】式(A)
【化8】
【0074】〔式中、E及びE’の一方は−N(R62
−を表わし、他方は−O−、−S−または−N
(R62’)−を表わす。R61は水素原子、脂肪族基、ア
リール基もしくはヘテロ環基を表わすか、またはEもし
くはE’と互いに結合して5員もしくは6員ヘテロ環を
形成する(すなわち、環形成チオアミド基となる)。R
62及びR 62’はそれぞれ水素原子、脂肪族基、アリール
基もしくはヘテロ環基である。〕。
【0075】式(A)で表わされるチオアミドとして
は、チオ尿素、チオウレタン、ジチオカルバミン酸エス
テルである。またEまたはE’とR61とが互いに結合し
て環を形成する場合の例としては、メロシアニン色素の
酸性核としてみられるものがあげられ、例えば4−チア
ゾリン−2−チオン、チアゾリジン−2−チオン、4−
オキサゾリン−2−チオン、オキサゾリジン−2−チオ
ン、2−ピラゾリン−5−チオン、4−イミダゾリン−
2−チオン、2−チオヒダントイン、ローダニン、イソ
ローダニン、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオ
ン、チオバルビツール酸、テトラゾリン−5−チオン、
1,2,4−トリアゾリン−3−チオン、1,3,4−
チアジアゾリン−2−チオン、1,3,4−オキサジア
ゾリン−2−チオン、ベンズイミダゾリン−2−チオ
ン、ベンズオキサゾリン−2−チオン及びベンゾチアゾ
リン−2−チオンなどであり、これらはさらに置換され
ていてもよい。
【0076】メルカプト吸着性基としては、脂肪族メル
カプト基、アリールメルカプト基、またはヘテロ環メル
カプト基(SH基が結合する炭素の隣りが窒素原子の場
合は、互変異性体である環形成チオアミド基としてすで
に述べた)があげられる。脂肪族メルカプト基として
は、例えばメルカプトアルキル基(例えばメルカプトエ
チル基やメルカプトプロピル基など)、メルカプトアル
ケニル基(例えばメルカプトプロペニル基など)及びメ
ルカプトアルキニル基(例えばメルカプトブチニル基な
ど)があげられる。アリールメルカプト基としては、例
えばメルカプトフェニル基やメルカプトナフチル基があ
げられる。ヘテロ環メルカプト基としては芳香族へテロ
環メルカプト基または非芳香族へテロ環メルカプト基で
あって、その例としては、環形成チオアミド基で述べた
ものに加え、例えば4−メルカプトピリジン環基、5−
メルカプトキノリン環基、6−メルカプトベンゾチアゾ
ール環基、2,4−ジメルカプトピリミジン環基、2,
4−ジメルカプトトリアジン環基、3,5−ジメルカプ
ト−1,2,4−トリアゾール環基、2,5−ジメルカ
プト−1,3−チアゾール環基、6−メルカプトプリン
環基などがあげられる。
【0077】ヘテロ環メルカプト基が解離して形成され
るメソイオン化合物もまた吸着性基として挙げられる。
ここで言うメソイオン化合物とは、共役した正電荷を有
する5員もしくは6員の不飽和ヘテロ環に、スルフィド
基(sulfido基、−S(イオン))が置換したもので、こ
こに共役した正電荷を有する5員もしくは6員の不飽和
ヘテロ環とは、例えばイミダゾリウム類、ピラゾリウム
類、オキサゾリウム類、チアゾリウム類、トリアゾリウ
ム類、テトラゾリウム類、チアジアゾリウム類、オキサ
ジアゾリウム類、チアトリアゾリウム類、オキサトリア
ゾリウム類、ジチアニウム類、ピリダジニウム類、ピリ
ミジニウム類、トリアジニウム類、テトラジニウム類、
オキサチアニウム類、チアジニウム類、オキサジニウム
類、オキサジアジニウム類、チアジアジニウム類等が挙
げられる。好ましくは5員の不飽和ヘテロ環であり、中
でも好ましくはチアジアゾリウム類、オキサジアゾリウ
ム類、トリアゾリウム類であり、最も好ましくはトリア
ゾリウム類である。この場合メソイオン化合物として
は、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート類が
最も好ましい。
【0078】吸着性基として窒素原子、硫黄原子、セレ
ン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの
原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形
成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する
含窒素ヘテロ環基、または配位結合で銀イオンに配位し
得る、“−S−”基または“−Se−”基または“−Te
−”基または“=N−”基をヘテロ環の部分構造として
有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾ
ール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール
基、テトラゾール基、ベンズイミダゾール基、イミダゾ
ール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン
基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチアゾール
基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサ
ジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベン
ズセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンズテルル
アゾール基などが挙げられる。好ましくは前者である。
【0079】吸着性基としてスルフィド基とは、−S−
の部分構造を有する基すべてが挙げられるが、好ましく
はアルキル(またはアルキレン)−S−アルキル(また
はアルキレン)、アリール(またはアリーレン)−S−
アルキル(またはアルキレン)、アリール(またはアリ
ーレン)−S−アリール(またはアリーレン)の部分構
造を有する基である。さらにこれらのスルフィド基は、
環状構造を形成していてもよく、また−S−S−基とな
っていてもよい。環状構造を形成する場合の具体例とし
てはチオラン環、ジチアン環、1,3−ジチオラン環ま
たは1,2−ジチオラン環、チアン環、テトラヒドロ−
1,4−チアジン環(チオモルホリン環)などを含む基
が挙げられる。スルフィド基として特に好ましくはアル
キル(またはアルキレン)−S−アルキル(またはアル
キレン)の部分構造を有する基である。
【0080】吸着性基としてカチオン性基とは、4級化
された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニ
オ基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環
基を含む基である。但し、該カチオン性基が色素構造を
形成する原子団(例えばシアニン発色団)の一部となる
ことはない。ここにアンモニオ基とは、トリアルキルア
ンモニオ基、ジアルキルアリールアンモニオ基、アルキ
ルジアリールアンモニオ基などで、例えばベンジルジメ
チルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、フェニ
ルジエチルアンモニオ基などが挙げられる。4級化され
た窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジ
ニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリ
オ基などが挙げられる。好ましくはピリジニオ基および
イミダゾリオ基であり、特に好ましくはピリジニオ基で
ある。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ
環基は任意の置換基を有していてもよいが、ピリジニオ
基およびイミダゾリオ基の場合、置換基として好ましく
はアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原
子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などが挙
げられ、ピリジニオ基の場合、置換基として特に好まし
くはフェニル基である。吸着性基としてエチニル基と
は、−C≡CH基を意味し、水素原子は置換されていて
もよい。
【0081】上記の吸着性基は任意の置換基を有してい
てもよい。なお吸着性基の具体例としては、さらに特開
平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されて
いるものが挙げられる。
【0082】本発明において吸着性基として好ましいも
のは、環形成チオアミド基(すなわちメルカプト置換含
窒素ヘテロ環基で、例えば2−メルカプトチアジアゾー
ル基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、
5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,
3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオ
キサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、
1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−
チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成
しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含
窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベン
ズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に
好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メル
カプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾト
リアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプ
ト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプ
トテトラゾール基である。
【0083】本発明の化合物のうち、分子内に2つ以上
のメルカプト基を部分構造として有する化合物もまた特
に好ましい化合物である。ここにメルカプト基(−S
H)は、互変異性化できる場合にはチオン基となってい
てもよい。この様な化合物の例としては、以上述べてき
たメルカプト基もしくはチオン基を部分構造として有す
る吸着性基(例えば環形成チオアミド基、アルキルメル
カプト基、アリールメルカプト基、ヘテロ環メルカプト
基など)を分子内に2つ以上有する化合物であってもよ
いし、また吸着性基の中で、2つ以上のメルカプト基ま
たはチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えば
ジメルカプト置換含窒素テロ環基)を、1つ以上有して
いてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として
有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基な
ど)の例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン
基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメ
ルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメ
ルカプト−1,3−チアゾール基、2,5−ジメルカプ
ト−1,3−オキサゾール基、2,7−ジメルカプト−
5−メチル−s−トリアゾロ(1,5−A)−ピリミジ
ン、2,6,8ートリメルカプトプリン、6,8−ジメ
ルカプトプリン、3,5,7−トリメルカプト−s−ト
リアゾロ(4,3−A)−S−トリアジン、4,6−ジ
メルカプトピラゾロ(3,4−D)−ピリミジン、2,
5−ジメルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられ、
2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカ
プトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4
−トリアゾール基が特に好ましい。
【0084】なお本発明においては、吸着性基として挙
げた基(例えば環状チオアミド基や含窒素ヘテロ環基)
は、アリール基(例えばフェニル基)と結合しているの
が好ましいが、一般式(1)のRED1または一般式
(2)のRED2がアリール基、アリールアミノ基、ア
リールオキシ基などアリール基を含む基である場合に、
このアリール基に吸着性基が直接結合しないことが好ま
しい。すなわち、吸着性基が結合したアリール基とRE
1またはRED2のアリール基とが単結合または任意の
二価有機基(例えば、アミド結合、スルホンアミド結
合、エーテル結合、アルキレン、カルボニル、イミノ、
スルホニル、もしくはこれらを組合わせてできる二価
基、具体的には−NHCO−、−NHSO2−、−NH
CONH−等)によって連結されるのが好ましい。
【0085】分光増感色素の部分構造とは、分光増感色
素の発色団を含む基であり、分光増感色素から任意の水
素原子または置換基を除いた残基である。この分光増感
色素残基が好ましく結合する位置は、RED1またはR
ED2、あるいはR1またはR2 1である。好ましい分光増
感色素は、典型的にカラー増感技法で用いられる分光増
感色素であり、例えばシアニン色素類、複合シアニン色
素類、メロシアニン色素類、複合メロシアニン色素類、
同極のシアニン色素類、スチリル色素類、ヘミシアニン
色素類を含む。代表的な分光増感色素は、リサーチディ
スクロージャー、アイテム36544、1994年9月
に開示されている。前記リサーチディスクロージャー、
もしくはF.M.HamerのThe Cyanine dyes and Related Co
mpounds(Interscience Publishers, New york, 1964)
に記載される手順によって当業者は、これらの色素を合
成することができる。さらに特開平11−95355号
(US特許6,054,260号)の明細書p7〜p14
に記載された色素類が全てそのまま当てはまる。
【0086】本発明の化合物は、これを用いたハロゲン
化銀写真感光材料が露光されることを引き金に1電子酸
化され、引き続く結合開裂を伴なって、さらに2電子以
上の電子が放出され、酸化されるが、その1電子目の酸
化電位は、約1.4V以下が好ましく、さらには1.0
V以下が好ましい。この酸化電位は好ましくは0Vより
高く、より好ましくは0.3Vより高い。従って酸化電
位は好ましくは約0〜約1.4V、より好ましくは約
0.3〜約1.0Vの範囲である。
【0087】ここに酸化電位はサイクリックボルタンメ
トリーの技法で測定でき、具体的には試料をアセトニト
リル:水(0.1Mの過塩素酸リチウムを含む)=80
%:20%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガ
スを通気した後、ガラス状のカーボンディスクを動作電
極に用い、プラチナ線を対電極に用い、そしてカロメル
電極(SCE)を参照電極に用いて、25℃で、0.1
V/秒の電位走査速度で測定したものである。サイクリ
ックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対
SCEをとる。
【0088】本発明の化合物は1電子酸化され、引き続
く結合開裂を伴なって、さらに2電子以上の電子が放出
され、酸化されるが、この後段の酸化電位については、
特に制限はない。2電子目の酸化電位と3電子目以降の
酸化電位が明確に区別できない点で、これらを実際に正
確に測定し区別することは困難な場合が多いためであ
る。本発明の化合物は1電子酸化され、引き続く結合開
裂を伴なって、さらに2電子以上の電子が放出され、酸
化されるが、好ましくは結合開裂の後、3電子以上の電
子が放出され、酸化される化合物である。さらには結合
開裂の後、3電子放出されるか、または5電子放出され
て酸化される化合物が特に好ましい。以下に本発明の具
体的化合物例を列挙するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0089】
【化9】
【0090】
【化10】
【0091】
【化11】
【0092】
【化12】
【0093】
【化13】
【0094】
【化14】
【0095】
【化15】
【0096】
【化16】
【0097】
【化17】
【0098】
【化18】
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
【化21】
【0102】
【化22】
【0103】
【化23】
【0104】
【化24】
【0105】
【化25】
【0106】
【化26】
【0107】
【化27】
【0108】
【化28】
【0109】
【化29】
【0110】合成例 本発明の化合物は公知の方法によって容易に合成するこ
とが可能であるが、以下にその具体例を記載する。 例示化合物1の合成 例示化合物1は以下の合成スキーム1に従って合成し
た。
【0111】
【化30】
【0112】合成中間体3の合成 合成スキーム1に記載の合成中間体1(10.2g、36.5mmo
l)および合成中間体2(9.1g、40mmol)と、アセトニ
トリル(100ミリリットル(以下、「mL」とも表記す
る。))、K2CO3(10g、72mmol)、Bu4NI(1g、2.7mmo
l)とを混合し、8時間過熱還流した。反応混合物を希塩
酸で処理後、酢酸エチルで抽出し、油層を乾燥濃縮して
粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、合成中間体3(6.2g、50%)を得
た。 合成中間体4の合成 合成中間体3(5.1g、15mmol)、パラジウム黒(50%含
水、10%、5g)、メタノール(50mL)の混合物を40℃に
加熱しながら、ギ酸(10mL)を数回に分けて添加した。
薄層クロマトグラフィーで合成中間体3の消失を確認し
た後、触媒をろ過して除去しろ液を濃縮して粗生成物を
得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製し、合成中間体4(3.6g、90%)を得た。 合成中間体6の合成 合成中間体4(2.68g、10mmol)のクロロホルム(30m
L)の混合物に、オキザリルクロリド(5mL)、ジメチル
ホルムアミド(2滴)を添加し1時間加熱還流した。減圧
下濃縮して得られた酸クロリドをクロロホルム(30mL)
に溶解し、合成中間体5(3.0g、10mmol)、トリエチル
アミン(1.4mL、10mmol)を添加し、室温で5時間攪拌し
た。反応混合物を希塩酸で処理後、酢酸エチルで抽出
し、油層を乾燥濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、合成中間
体6(4.4g、81%)を得た。
【0113】例示化合物1の合成 合成中間体6(2.7g、5mmol)のメタノール(10mL)溶
液に水酸化バリウム8水和物(3.2g、10mmol)を添加
し、室温で8時間攪拌した。得られた白色個体をろ取
し、メタノールで洗浄後、希塩酸に加えた。酢酸エチル
で抽出し油層を乾燥・濃縮後、クロロホルムで洗浄し白
色固体として例示化合物1(0.4g、20%)を得た。1 H NMR(DMSO d6);δ=2.0-2.2(m, 2H), 2.2-2.4(m,
1H), 3.4(m, 1H), 4.25(m, 1H), 6.7(m, 1H), 7.03(s,
1H), 7.1-7.4(m, 2H), 7.5-7.7(m, 2H), 7.91(d, J=8.4
Hz), 8.35(s, 1H), 10.46(s, 1H)
【0114】例示化合物12の合成 例示化合物1の合成において合成中間体2の代わりに4‐
ベンジルオキシカルボニルアニリンを用い、合成中間体
5の代わりに2‐メルカプト‐5‐アミノベンゾイミダゾ
ールを用いる以外は例示化合物1の合成と同じ操作によ
って例示化合物12を合成することが出来た。
【0115】例示化合物118の合成 例示化合物118は合成スキーム2に従って合成した。
【0116】
【化31】
【0117】合成中間体8の合成 合成スキーム2に記載の出発原料7(18.7g、0.1mol)、
K2CO3(15.2g、0.11mol)、ジメチルアセトアミド(100
mL)を混合し、ベンジルブロミド(18.7g、0.11mol)を
添加後、3時間加熱、還流した。反応混合物を水に加え
酢酸エチルで抽出後、油層を濃塩酸で処理し生成物を水
層に抽出した。水層を炭酸水素ナトリウムで中和すると
結晶が析出し、得られた粗結晶をろ取後ヘキサンで再結
晶することにより合成中間体8(20g、収率72%)で得
た。 合成中間体9の合成 合成中間体8(20g、72mmol)、ベンズアルデヒド(23.6
g、223mmol)、無水酢酸(17g、167mmol)を混合し、17
0℃で4時間加熱、攪拌した。反応混合物を冷却後エタノ
ールに加え、少量の水を添加すると結晶が析出した。こ
の結晶をろ取し、得られた粗結晶をエタノールから再結
晶し合成中間体9(21g、80%)を得た。 合成中間体10の合成 合成中間体9(21g、57.5mmol)、ピリジン(114mL)、
水(26mL)を混合し、氷冷下攪拌しながら過マンガン酸
カリウム(24.6g、156mmol)を少しずつ添加した。途
中攪拌不能になるため水(74mL)を添加し、過マンガン
酸カリウムの添加を続行した。添加終了後1時間攪拌
後、得られた反応混合物を多量の水で希釈し、硫酸を用
いてpHを4に調節すると黒褐色固体が析出した。NaS2O5
を添加し脱色した後、ろ過、水洗し淡黄色粉末として合
成中間体9(19g、含水物)を得た。これは乾燥させずに
次工程に用いた。
【0118】合成中間体11の合成 合成中間体10(19g、含水物)、ジメチルアセトアミド
(50mL)、炭酸カリウム(8g、58mmol)の混合物を80℃
の油浴にいれ、ヨウ化メチル(30mL)を3回に分けて分
割添加した。反応混合物を水にあけ、酢酸エチルで抽出
し濃縮、乾燥後メタノールで再結晶を行い、合成中間体
11(10g、合成中間体9からの収率として54%)で得た。 合成中間体12の合成 合成中間体11(10g、31.1mmol)、パラジウム黒(50%
含水、10%、10g)、メタノール(50mL)の混合物に、
ギ酸アンモニウム(30g、0.48mol)を5〜6回に分けて添
加した。反応混合物をろ過しろ液を濃縮後、水を加え塩
酸でpH3に調節した。析出した白色固体をろ過し水洗、
乾燥し合成中間体12(5g、68%)を得た。 合成中間体13の合成 合成中間体12(2.1g、8.9mmol)、アセトニトリル(30m
L)の混合物を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド
(0.69mL、8.9mmol)を添加したのち、トリエチルアミ
ン(1.26mL、8.9mmol)を滴下した。10分間攪拌後、合
成中間体5(2.4g、8.2mmol)を添加し、室温で3時間攪
拌した。反応混合物を希塩酸で処理後、酢酸エチルで抽
出、乾燥、濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーで精製し、合成中間体13
(3g、66%)を得た。
【0119】例示化合物118の合成 合成中間体13(3g、5.9mmol)のメタノール溶液に水酸
化バリウム8水和物(3.7g、11.7mmol)を加え、室温で
一晩攪拌した。得られた白色個体をろ過しメタノールで
洗浄後、希塩酸で処理した。酢酸エチルで抽出、乾燥、
濃縮後、クロロホルムで洗浄し、例示化合物118(0.5
g、20%)を得た。1 H NMR(DMSO d6);δ=1.9-2.1(m, 2H), 2.5-2.9(m,
2H), 4.0(m, 1H), 6.6-6.8(m, 2H), 7.0(m,1H), 7.5-7.
7(m, 2H), 7.8-7.9(m, 1H), 8.35(s, 1H), 10.5(s, 1H)
【0120】例示化合物13の合成 例示化合物118の合成において合成中間体7の代わりに5
‐カルボキシル‐2‐メチルキノリンを用い、合成中間
体5の代わりに3,5‐ジメルカプト‐4‐(3‐アミノフェ
ニル)‐1,2,4‐トリアゾールを用いる事以外は例示化
合物118の合成と同様の操作で例示化合物13を合成する
ことができた。
【0121】例示化合物34の合成 例示化合物34は以下の合成スキーム3に従って合成し
た。
【0122】
【化32】
【0123】合成中間体15の合成 合成スキーム3に記載の合成中間体14(9.1g、33mmo
l)、ヨウ化カリウム(27.7g、167mmol)、アセトン(1
00mL)の混合物を加熱還流し、6時間攪拌した。冷却後
固体をろ別し、ろ液を濃縮後水を加え酢酸エチルで抽出
した。抽出液を乾燥、濃縮し合成中間体15(10g、95
%)で得た。 合成中間体16の合成 合成中間体15(9.6g、30mmol)、合成中間体2(8.8g、3
9mmol)、炭酸カリウム(4.2g、30mmol)、ジメチルア
セトアミド(10mL)の混合物を80℃に加熱し、5時間攪
拌した。得られた反応混合物を希塩酸で処理し酢酸エチ
ルで抽出した。抽出液を乾燥、濃縮して得られた粗生成
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、合
成中間体16(10g、79%)で得た。
【0124】合成中間体17の合成 合成中間体16(10g、23.8mmol)、パラジウム黒(50%
含水、10%、10g)、メタノールの混合物に、ギ酸アン
モニウム(10g、159mmol)を加え、室温で2時間攪拌し
た。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮後酢酸エチルに溶
解し希塩酸で洗浄した。油層を乾燥、濃縮した後、得ら
れた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製し、合成中間体17(5g、65%)で得た。 合成中間体18の合成 合成中間体17(5g、15.2mmol)のアセトニトリル(20m
L)溶液を0℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(2.1g、
15.2mmol)を加え、さらにトリエチルアミン(1.54g、1
5.2mmol)を滴下した。20分間攪拌したのち、合成中間
体5(4.4g、15.2mmol)を添加し、室温で2時間攪拌し
た。反応混合物を希塩酸で処理し酢酸エチルで抽出し、
抽出液を乾燥、濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、合成中間体
18(3g、33%)で得た。
【0125】例示化合物34の合成 合成中間体18(3g、5mmol)の塩化メチレン溶液にBBr3
(塩化メチレン溶液、1M、10mL)を0℃で滴下し、2時
間攪拌した。反応混合物を水にあけ分液し、油層を乾
燥、濃縮した。濃縮物にメタノール(10mL)を添加し、
NaOH水溶液(5M、3mL)を添加し、6時間加熱還流した。
反応混合物を濃縮し、pH2の塩酸と酢酸エチルを加え反
応生成物を油層に抽出した。油層を乾燥、濃縮後得られ
た粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製し、例示化合物34(0.2g、10%)で得た。1 H NMR(DMSO d6);δ= 3.84(dd, J=9.4Hz, 3.8Hz, 1
H), 3.91(dd, J=9.4,3.9Hz, 1H), 4.31(m, 1H), 4.77
(d, J=9.0Hz, 1H), 6.80(m, 1H), 7.1-7.4(m, 4H), 7.5
3(dd, J=8.1, 8.1Hz, 1H), 7.81(m, 1H), 7.90(s, 1H),
7.97(m, 1H)
【0126】例示化合物39の合成 例示化合物34の合成において合成中間体14の代わりに3
‐ジメチルアミノ‐2‐ブロモプロピオン酸メチルを用
い、合成中間体5の代わりに3‐メルカプト‐4‐(3‐
アミノフェニル)‐1,2,4‐トリアゾールを用いる事以
外は例示化合物34の合成と同様の操作で例示化合物39を
合成することができた。
【0127】一般式(1)で表される本発明の化合物
は、乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使
用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感
時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に
分けて添加することも出来る。
【0128】一般式(1)で表される本発明の化合物の
添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工
程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直
後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布
前である。本発明の化合物は、水、メタノール、エタノ
ールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解
して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pH
を高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物につい
ては、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加し
ても良い。
【0129】一般式(1)で表される本発明の化合物
は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に
保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させても
よい。
【0130】本発明の化合物の添加時期は増感色素の前
後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当
り、1×10-9〜5×10-2モル、より好ましくは1×
10 -8〜2×10-3モル、更に好ましくは1×10-7
1×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有す
る。
【0131】写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、
八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regu
lar)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのよ
うな変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の
面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶
形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状
粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に記述す
る。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging
Science誌、第30巻(1986年)の247頁から2
54頁を参照することができる。
【0132】本発明の感光材料は、平板状粒子(2つの
対向する平行な主平面を有するハロゲン化銀粒子、以下
「平板粒子」と言う)からなる感光性ハロゲン化銀乳剤
を含有することが好ましい。以下に平板粒子について詳
細に説明する。本発明における平板粒子のアスペクト比
は、2つの対向する平行な主平面の円相当直径(該主平
面と同じ投影面積を有する円の直径)を主平面の距離
(すなわち粒子の厚み)で割った値として定義される。
【0133】平板粒子のアスペクト比は、5以上100
以下が好ましい。本発明の効果を発現するためには、8
以上60以下であることがより好ましく、10以上30
以下であることが特に好ましい。平均アスペクト比が比
が2未満では平板粒子のメリット(感度および画質の向
上)を活かし切れず、100を超えると圧力耐性が悪化
するため好ましくない。また、本発明における平板粒子
は、平板粒子の占める割合が全投影面積の60%以上で
あることが好ましく、80%以上であることがより好ま
しく、90%以上であることが特に好ましい。50%未
満では平板粒子のメリットを活かし切れないため好まし
くない。本発明における平均粒子厚みとは全平板粒子の
粒子厚みの算術平均である。本発明の平板粒子の平均粒
子厚みとしては0.01〜0.3μmであることが好ま
しく、より好ましくは0.01〜0.12μm、特に好
ましくは0.01〜0.07μmである。平均粒子厚み
が0.01μm未満では圧力耐性が悪化し、0.3μm
を超えると本発明の効果が得られにくくなるため好まし
くない。本発明では上記の範囲の粒子厚みとアスペクト
比を目的に応じて選んで良いが、粒子厚みが薄くアスペ
クト比の高い平板粒子を用いることが好ましい。
【0134】本発明における平板粒子の直径(円相当
径)は任意に選ぶことができるが、好ましくは0.3〜
20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。全
平板粒子の円相当径の算術平均である平均円相当径が
0.3μm未満では本発明の効果が得られにくく、20
μmを超えると圧力耐性が悪化するので好ましくない。
粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4,434,22
6号に記載の方法の如く粒子の電子顕微鏡写真より求め
ることができる。アスペクト比の測定法の一例として
は、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個
々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円
相当径)と厚みを求める方法がある。この場合、厚みは
レプリカの影(シャドー)の長さから算出することがで
きる。
【0135】本発明の平板粒子は単分散であることが好
ましい。全ハロゲン化銀粒子の粒径分布の変動係数が3
5%以下であることが好ましく、より好ましくは25%
以下、特に好ましくは20%以下である。35%を超え
ると粒子間の均質性の点で好ましくない。ここで粒径分
布の変動係数とは、個々のハロゲン化銀粒子の球相当直
径のばらつき(標準偏差)を平均球相当直径で割った値
に100を乗じた値である。ハロゲン化銀粒子の粒子形
態が揃い、かつ粒子サイズのバラツキが小さい粒子群か
らなるハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ分布はほとんど正
規分布を示し、標準偏差を容易に求めることができる。
単分散平板粒子の調製については、特開昭63−119
28号に記載がある。単分散六角形平板粒子について
は、特開昭63−151618号に記載がある。円形単
分散平板粒子乳剤については、特開平1−131541
号に記載がある。また、特開平2−838号には、全投
影面積の95%以上が主平面に平行な二枚の双晶面を持
つ平板粒子で占められており、かつ該平板粒子のサイズ
分布が単分散である乳剤が開示されている。欧州特許第
514,742A1号には、ポリアルキレンオキサイド
ブロックコポリマーを用いて調製された粒子サイズの変
動係数が10%以下の平板粒子乳剤が開示されている。
【0136】平板粒子は、その主表面が(100)と
(111)のものが知られており、本発明の技術は両方
に適用できる。前者については、臭化銀に関して米国特
許第4,063,951号および特開平5−281640
号に記載があり、塩化銀に関して欧州特許第534,3
95A1号および米国特許第5,264,337号に記載
がある。後者の平板粒子は、上記の双晶面を一枚以上有
する種々の形状を有する粒子であり、塩化銀に関して
は、米国特許第4,399,215号、同第4,983,5
08号、同第5,183,732号、特開平3−1376
32号および同3−116113号に記載がある。
【0137】平板粒子の形成方法としては種々の方法を
用いることができるが、例えば米国特許第5,494,7
89号に記載の粒子形成法を用いることができる。高ア
スペクト比の平板粒子を形成するには、小サイズの双晶
核を生成させることが重要である。そのために低温、高
pBr、低PH、低ゼラチン量で短時間のうちに核形成
を行うことが好ましく、ゼラチンの種類としては低分子
量のものやメチオニン含有量の少ないもの、フタル化を
施したものなどが好ましい。核形成後は物理熟成により
平板粒子核(平行多重双晶核)のみ成長させ、他の正常
晶の核、一重双晶の核、非平行多重双晶核を消失させ
て、選択的に平行多重双晶の核を残す。その後、可溶性
銀塩と可溶性ハロゲン塩を添加し粒子成長を行って平板
粒子からなる乳剤が調製される。あらかじめ別に調製し
た、あるいは別の反応容器で同時に調製したハロゲン化
銀微粒子を添加することで銀とハライドを供給し粒子を
成長させることも好ましい。
【0138】本発明における平板粒子は転位線を有して
いても良い。転位線とは結晶のすべり面上で、すでにす
べった領域とまだすべらない領域の境界にある線状の格
子欠陥のことである。本発明における平板粒子が転位線
を有する場合、その位置は例えば粒子の頂点部、フリン
ジ部あるいは粒子の主平面上に転位線が形成されていて
もよい。ここでフリンジ部とは平板粒子の外周のことを
指し、詳しくは平板粒子の辺から中心にかけての沃化銀
の分布において、辺側から見て初めてある点の沃化銀含
有率が粒子全体の平均沃化銀含有率を超えた点、もしく
は下回った点の外側を指す。
【0139】本発明における平板粒子が転位線を有する
場合、その転位線の密度は任意であり、1粒子当たり1
0本以上、30本以上、50本以上などを選ぶことがで
きる。本発明に用いられる平板粒子は、転位線を粒子内
に有してもよい。ハロゲン化銀粒子中に転位をコントロ
ールして導入する技術に関しては、特開昭63−220
238号に記載がある。転位線を導入した平板粒子は転
位線のない平板粒子と比較して、感度、相反則等の写真
特性の向上、保存性の改善、潜像安定性の向上、圧力カ
ブリの減少などの効果が得られることが示されている。
この公報記載の発明によれば、転位は主に平板粒子のエ
ッジ部に導入される。また、中心部に転位が導入された
平板状粒子については、米国特許第5,238,796号
に記載がある。
【0140】ハロゲン化銀粒子中の転位線は、例えば、
J.F.Hamilton, Photo.Sci.Eng., 11, 57(1967)や、T.Sh
iozawa, J.Soc.Photo.Sci.Japan, 35, 213(1972)に記載
の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接法により観
察することができる。すなわち、乳剤から転位が発生す
るほどの圧力をかけないように注意して取り出したハロ
ゲン化銀粒子を、電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、
電子線による損傷(プリントアウト)を防ぐように試料
を冷却した状態で透過法により観察を行なう。この時、
粒子の厚みが厚いほど、電子線が通過しにくくなるの
で、高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対し200k
v以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察する
ことができる。このような方法により得られた粒子の写
真により、主平面に対し垂直な面から見た場合の各粒子
についての転位線の位置と本数を求めることができる。
【0141】本発明における平板粒子としては臭化銀、
塩臭化銀、沃臭化銀、沃塩化銀、塩化銀、塩沃臭化銀等
を用いることができるが、臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化
銀を用いることが好ましい。また、塩化銀を50モル%
以上含有するアスペクト比2以上の塩臭化銀、塩沃化
銀、塩沃臭化銀もしくは塩化銀を用いることも迅速処理
適性の点で好ましい。塩化銀含有率の上限に特に制限は
ないが、99.6モル%以下が好ましい。沃化物、ある
いは塩化物を含む相を有する場合、これらの相は粒子内
に均一に分布させても良いし、局在させても良い。その
他の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸
銀、リン酸銀、有機酸銀が別粒子として、あるいはハロ
ゲン化銀粒子の一部分として含まれていても良い。
【0142】本発明における平板粒子の好ましい沃化銀
含有率の範囲は0.1〜20モル%であり、より好まし
くは0.1〜15モル%、特に好ましくは0.2〜10
モル%である。0.1モル%未満では色素吸着の強化、
固有感度の上昇などの効果が得にくく、20モル%を超
えると一般に現像速度が遅れるため好ましくない。塩化
銀を50モル%以上含有するアスペクト比2以上の平板
粒子の場合は、沃化銀を含んでも良いが、沃化銀含有率
は好ましくは6モル%以下、より好ましくは2モル%以
下である。本発明における平板粒子の好ましい粒子間沃
化銀含有率分布の変動係数は30%以下であり、より好
ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下であ
る。30%を超えると粒子間の均質性の点で好ましくな
い。個々の平板粒子の沃化銀含有率はX線マイクロアナ
ライザーを用いて、1個1個の粒子の組成を分析するこ
とにより測定できる。ここで沃化銀含有率分布の変動係
数とは個々の粒子の沃化銀含有率の標準偏差を平均沃化
銀含有率で割った値である。
【0143】本発明における平板粒子はホスト平板粒子
表面上に少なくとも1種の銀塩エピタキシーを形成した
エピタキシャルハロゲン化銀粒子であっても良い。本発
明においては銀塩エピタキシーをホスト平板粒子の表面
の選択された部位に形成しても良く、ホスト平板粒子の
コーナーやエッジ(平板粒子を上から見た時、粒子の側
面および各辺の辺上の部位)に限定しても良い。銀塩エ
ピタキシーを形成する場合、粒子内および粒子間で均質
にホスト平板粒子の表面の選択された部位に銀塩エピタ
キシーを形成することが好ましい。具体的な銀塩エピタ
キシーのサイトダイレクトの方法には米国特許4,43
5,501号に記載の銀塩エピタキシー形成前にホスト
粒子に分光増感色素(例えばシアニン色素)やアミノア
ザインデン類(例えばアデニン)を吸着させる方法ある
いはホスト粒子に沃化銀を含有させる方法などがありこ
れらの方法を用いても良い。また、銀塩エピタキシー形
成前に沃化物イオンを添加しホスト粒子に沈積させても
よい。これらのサイトダイレクト方法は場合に応じて選
んで良く、また複数組み合わせて用いても良い。
【0144】銀塩エピタキシーを形成する場合、銀塩エ
ピタキシーがホスト平板粒子表面積に対して占有する割
合は1〜50%であることが好ましく、より好ましくは
2〜40%、特に好ましくは3〜30%である。銀塩エ
ピタキシーを形成する場合、銀塩エピタキシーの銀量は
ハロゲン化銀平板粒子の総銀量に対して0.3〜50モ
ル%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜2
5モル%、特に好ましくは0.5〜15モル%である。
銀塩エピタキシーの組成は場合に応じて選ぶことがで
き、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオンのいず
れかを含むハロゲン化銀であってもよいが、少なくとも
塩化物イオンを含むハロゲン化銀であることが好まし
い。塩化銀はホスト平板粒子である臭化銀、沃臭化銀と
同じ面心立方格子構造を形成するのでエピタキシー形成
は容易である。しかしながら、2種のハロゲン化銀によ
り形成される格子間隔に差があり、この差により写真感
度増加に寄与するエピタキシー接合が形成される。ハロ
ゲン化銀エピタキシーに含まれる塩化銀含有率はホスト
平板粒子に含まれる塩化銀含有率よりも少なくとも10
モル%高いことが好ましく、15モル%以上高いことが
より好ましく、20モル%以上高いことが特に好まし
い。両者の差が10モル%未満では効果が得られにくく
好ましくない。
【0145】ハロゲン化銀エピタキシーにハロゲン化物
イオンを導入する際、その導入量を増やすために、エピ
タキシーの組成に応じた順序でハロゲン化物イオンを導
入することが好ましい。例えば、内部に塩化銀が多く含
まれ、中間部に臭化銀が多く含まれ、外部に沃化銀が多
く含まれるエピタキシーを形成する場合には、塩化物イ
オン、臭化物イオン、沃化物イオンの順にこれらのハロ
ゲン化物を添加して、添加されたハロゲン化物イオンを
含むハロゲン化銀の溶解度を他のハロゲン化銀の溶解度
より低下させて、そのハロゲン化銀を沈殿させ、該ハロ
ゲン化銀に富んだ層を形成する。ハロゲン化銀以外の銀
塩、例えばロダン銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸銀、リ
ン酸銀、有機酸銀が銀塩エピタキシーに含まれていても
良い。
【0146】銀塩エピタキシーを形成する方法はハロゲ
ン化物イオンを添加する方法、硝酸銀水溶液とハロゲン
化物水溶液をダブルジェット法で添加する方法、ハロゲ
ン化銀微粒子を添加する方法などがあり、これらの方法
は場合に応じて選んで良く、また複数組み合わせて用い
ても良い。銀塩エピタキシーを形成する時の系の温度、
pH、pAg、ゼラチンなど保護コロイド剤の種類、濃
度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類および濃度などは広
範に選択し得る。
【0147】エピタキシャルハロゲン化銀粒子の場合、
ホスト平板粒子の形態保持あるいは銀塩エピタキシーの
粒子エッジ/コーナー部へのサイトダイレクトの為に、
ホスト平板粒子の外側領域(最後に沈殿する部分であ
り、粒子のエッジ/コーナー部を形成する)は中央領域
の沃化銀含有率より少なくとも1モル%高い沃化銀含有
率であることが好ましい。その時の外側領域の沃化銀含
有率は1〜20モル%であることが好ましく、より好ま
しくは5〜15モル%である。1モル%未満では上記の
効果が得られにくく、20モル%超えると現像速度が遅
れるので好ましくない。この場合、ホスト平板粒子の総
銀量に対する沃化銀を含有する外側領域の総銀量の割合
は10〜30%であることが好ましく、10〜25%で
あることがより好ましい。10%未満または30%を超
えると上記の効果が得られにくく好ましくない。また、
その時の中央領域の沃化銀含有率は0〜10モル%が好
ましく、より好ましくは1〜8モル%、特に好ましくは
1〜6モル%である。10モル%を超えると現像速度が
遅れるため好ましくない。本発明に用いられる平板粒子
は、ハロゲン化銀面心立方結晶格子構造に有用であるこ
とが知られている通常のドーパントはいずれも用いるこ
とができる。通常のドーパントには、Fe、Co、N
i、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、A
u、Hg、Pb、Tlなどがある。これらのドーパント
はホスト乳剤および/または粒子表面上にエピタキシャ
ル配置された銀塩中に存在させることができる。
【0148】本発明における上記乳剤およびこれと併用
する他の写真乳剤について以下に述べる。本発明で用い
られるその他の乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、
八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、
球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶
面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合
形でもよい。本発明におけるハロゲン化銀の粒径は、約
0.2μm以下の微粒子でも球相当直径が約3μmに至
る大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤で
もよい。具体的には、米国特許第4,500,626号第
50欄、同4,628,021号、リサーチ・ディスクロ
ージャー誌(以下RDと略記する)No.17029(1
978年)、同No.17643(1978年)22〜2
3頁、同No.18716(1979年)648頁、同No.
307105(1989年)863〜865頁、特開昭
62−253159号、同64−13546号、特開平
2−236546号、同3−110555号およびグラ
フキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.
Glafkides, Chemie et Phisque Photographique, Paul
Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォー
カルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion
Chemistry, Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写
真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Ze
likman et al., Making andCoating Photographic Emul
usion, Focal Press, 1964)等に記載されている方法を
用いて調製したハロゲン化銀乳剤の中から選ぶことがで
きる。
【0149】本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化
銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、
粒子の形状、感度などの少なくとも1つの特性が異なる
2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用すること
ができる。また、本発明に好ましく用いられる塩化銀含
有率50モル%以上かつアスペクト比2以上の平板粒子
からなる乳剤とそれとは異なる乳剤とをそれぞれ別層中
で使用する、あるいは同一層中で混合して使用すること
もできる。本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤を調
製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行う
ことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲ
ル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また多
価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウ
ム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例
えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼ
ラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族
アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンな
ど)を利用した沈降法を用いても良く、沈降法が最も好
ましく用いられる。
【0150】本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤
は、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミ
ウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウムなどの重金
属を含有させても良い。これらの化合物は、単独で用い
ても良いしまた2種以上組み合わせて用いてもよい。添
加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化
銀1モルあたり10-9〜10-3モル程度である。また含
有させる時には、粒子は均一に入れてもよいし、また粒
子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開
平2−236542号、同1−116637号等に記載
の乳剤が好ましく用いられる。本発明における感光性ハ
ロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀
溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオ尿素化合
物や特公昭47−11386号記載の有機チオエーテル
誘導体または特開昭53−144319号に記載されて
いる含硫黄化合物等を用いることができる。
【0151】その他の条件については、前記のグラフキ
デ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glaf
kides, Chemie et Phisque Photographique, Paul Mont
el,1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカル
プレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chem
istry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳
剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikm
an et al., Making and Coating Photographic Emulusi
on, Focal Press, 1964)等の記載を参照すれば良い。す
なわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよ
く、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形
式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わ
せのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るために
は、同時混合法が好ましく用いられる。
【0152】粒子を銀イオン過剰の下において形成させ
る逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの
形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを
一定に保つ、いわゆるコントロールドダブルジェット法
も用いることができる。
【0153】また、粒子成長を速めるために、添加する
銀塩およびハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を
上昇させてもよい(特開昭55−142329号、同5
5−158124号、米国特許第3,650,757号
等)。更に反応液の撹拌方法は、公知のいずれの撹拌方
法でもよい。またハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温
度、pHは目的に応じてどのように選定してもよい。好
ましいpH範囲は2.2〜7.0、より好ましくは2.
5〜6.0である。
【0154】感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感
(本発明に規定する「1電子酸化されて生成する1電子
酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電
子以上の電子を放出し得る化合物」による化学増感を除
く)されたハロゲン化銀乳剤である。本発明における感
光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料
用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感
法などのカルコゲン増感法、金、白金、パラジウムなど
を用いる貴金属増感法および還元増感法などを単独また
は組合せて用いることができる(特開平3−11055
5号)。これら通常の化学増感を行う際に、本発明に関
わる化合物(特に、一般式(1)または(2)で表わさ
れる化合物)を存在させ、本発明の増感を行うのも好ま
しい態様である。この場合の本発明に関わる化合物の添
加時期は、通常の化学増感中、化学増感直前、化学増感
終了直後のいずれでもよい。これらの化学増感を含窒素
ヘテロ環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭6
2−253159号)。また後掲するかぶり防止剤を化
学増感終了後に添加することができる。具体的には、特
開平5−45833号、特開昭62−40446号記載
の方法を用いることができる。化学増感時のpHは好ま
しくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.
5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より
好ましくは6.8〜9.0である。本発明において使用
される感光性ハロゲン化銀の塗設量は、銀換算0.01
〜10g/m2の範囲が好ましく、6g/m2以下が特に
好ましい。
【0155】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に
緑感性、赤感性等の感色性を持たせるためには、感光性
ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増
感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分
光増感を施してもよい。用いられる色素には、シアニン
色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニ
ン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包
含される。具体的には、米国特許第4,617,257
号、特開昭59−180550号、同64−13546
号、特開平5−45828号、同5−45834号など
に記載の増感色素が挙げられる。
【0156】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感や分光増感の波長調節の目的でしばし
ば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作
用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない
化合物であって、強色増感を示す化合物を乳剤中に含ん
でもよい(例えば米国特許第3,615,641号、特開
昭63−23145号等に記載のものなど)。これらの
増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時もしくは
その前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、
同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形
成前後でもよい。またこれらの増感色素や強色増感剤
は、メタノールなどの有機溶媒の溶液、ゼラチンなどの
分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。添
加量は一般にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2
ル程度である。
【0157】更に、本発明は分光増感色素で光吸収率を
向上させる技術と併用することが好ましい。例えば、分
子間力を利用することで増感色素をハロゲン化銀粒子表
面へ単層飽和吸着(すなわち1層吸着)より多く吸着さ
せたり、2つ以上の別々に共役しておらず共有結合で連結
された発色団を有する、いわゆる連結色素を吸着させる
ことである。その中でも、以下に示した特許に記載され
ている技術と併用することが好ましい。特開平10-23978
9号、特開平11-133531号、特開2000-267216号、特開200
0-275772号、特開2001-75222号、特開2001-75247号、特
開2001-75221号、特開2001-75226号、特開2001-75223
号、特開2001-255615号、特開2002-23294号、特開平10-
171058号、特開平10-186559号、特開平10-197980号、特
開2000-81678号、特開2001-5132号、特開2001-166413
号、特開2002-49113号、特開昭64-91134号、特開平10-1
10107号、特開平10-171058号、特開平10-226758号、特
開平10-307358号、特開平10-307359号、特開平10-31071
5号、特開2000-231174号、特開2000-231172号、特開200
0-231173号、特開2001-356442号、欧州特許第985965A
号、欧州特許第985964A号、欧州特許第985966A号、欧州
特許第985967A号、欧州特許第1085372A号、欧州特許第1
085373A号、欧州特許第1172688A号、欧州特許第1199595
A号、欧州特許第887700A1号。特に以下に示した特許に
記載されている技術と併用することが好ましい。特開平
10-239789号、特開2001-75222号、特開平10-171058号。
【0158】本発明に使用できる写真用添加剤はRDに
記載されており、以下に関連する記載箇所を示した。 RD No.17643 No.18716 No.307105 添加剤の種類 (1978年12月) (1979年11月) (1989年11月) 1.化学増感剤 23頁 648頁右欄 866頁 2.感度上昇剤 648頁右欄 3.分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄 866〜868頁 強色増感剤 〜649頁右欄 4.増 白 剤 24頁 647頁右欄 868頁 5.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄 873頁 フィルター染料、 〜650頁左欄 紫外線吸収剤 6.バインダー 26頁 651頁左欄 873〜874頁 7.可塑剤,潤滑剤 27頁 650頁右欄 876頁 8.塗布助剤, 26〜27頁 650頁右欄 875〜876頁 表面活性剤 9.スタチツク 27頁 650頁右欄 876〜877頁 防止剤 10.マット剤 878〜879頁
【0159】本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳
剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することも好
ましい。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は特に
好ましく用いられる。本発明に用いることのできる有機
銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光
触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の
存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に
銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還
元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸
の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜
28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子
が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機
または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ま
しくは画像形成層の約5〜30質量%を構成することが
できる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有
機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン
酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれら
に限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好
ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレ
イン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸
銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石
酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの
混合物などを含む。
【0160】メルカプト基またはチオン基を含む化合物
の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。
これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト
−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2
−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプ
ト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグ
リコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、s−アルキ
ルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12
〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、
ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオ
アミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フ
ェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジ
ンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、
米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3
−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾール
の銀塩などの1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体
の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3−
(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリ
ン−2−チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含
む。さらに、イミノ基を含む化合物も使用することがで
きる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾト
リアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチル
ベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀
塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置
換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,7
09号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは
1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミ
ダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第
4,761,361号および同4,775,613号に記載
のような種々の銀アセチリド化合物をも使用することも
できる。また、有機銀塩は2種以上を併用してもよい。
【0161】本発明では、上記の有機化合物を適当な反
応媒体中で硝酸銀と混合することにより該化合物の銀塩
(以下有機銀塩という)を形成する。硝酸銀の一部を他
の銀イオン供給体(例えば塩化銀、酢酸銀)に置き換え
ることもできる。これら反応試薬の添加方法は任意であ
る。あらかじめ該化合物を反応容器に入れておき、これ
に硝酸銀を添加してもよいし、あるいは逆に硝酸銀を反
応容器に入れておき、これに該化合物を添加してもよ
い。また、該化合物の一部を反応容器に入れておき、硝
酸銀の一部を添加した後、残りの該化合物と硝酸銀を順
次添加することもできる。更に硝酸銀と有機化合物を同
時に反応容器に添加することもできる。反応中は攪拌を
行なうのが好ましい。上記の有機化合物は銀1モルに対
して0.8〜100モルの比率で硝酸銀と混合するのが
通常であるが、化合物の種類によってはこの範囲外で用
いることもできる。反応中の銀イオン濃度を制御するよ
うに硝酸銀もしくは化合物の添加速度を加減してもよ
い。
【0162】上記の有機銀塩は、いずれの層に添加して
も良く、一つの層に添加しても複数の層に添加しても良
い。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側に設けられる
親水性コロイド層で保護層、中間層、支持体と乳剤層の
間のいわゆる下塗り層などの感光性ハロゲン化銀乳剤を
含有しない層に添加することも保存性改良の点で好まし
い。上記の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあた
り0.01〜10モル、好ましくは0.05〜1モルを
併用することができる。感光性ハロゲン化銀と有機銀塩
の塗布量合計は銀換算で0.02〜20g/m2、好ま
しくは0.1〜12g/m2、特に好ましくは6g/m2
以上である。本発明におけるハロゲン化銀乳剤および/
または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤
前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して保護さ
れ、在庫貯蔵中における感度の変動に対して安定化する
ことができる。単独または組合せて使用することができ
る適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、
米国特許第2,131,038号および同2,694,71
6号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,4
37号および同2,444,605号に記載のアザインデ
ン、米国特許第2,728,663号に記載の水銀塩、米
国特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国
特許第3,235,652号に記載のスルホカテコール、
英国特許第623,448号に記載のオキシム、ニトロ
ン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405
号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号
に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,56
6,263号および同2,597,915号に記載のパラ
ジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665
号および同4,442,202号に記載のハロゲン置換有
機化合物、米国特許第4,128,557号および同4,
137,079号、同第4,138,365号および同4,
459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許
第4,411,985号に記載のリン化合物などがある。
【0163】本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤
は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−11
9624号、同50−120328号、同51−121
332号、同54−58022号、同56−70543
号、同56−99335号、同59−90842号、同
61−129642号、同62−129845号、特開
平6−208191号、同7−5621号、同7−27
81号、同8−15809号、米国特許第5,340,7
12号、同第5,369,000号、同第5,464,73
7号に開示されているような化合物が挙げられる。本発
明のカブリ防止剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物な
どいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公
知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際
に分散助剤を用いてもよい。
【0164】本発明における感光材料は高感度化やカブ
リ防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。本発
明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、
好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,93
9号、同第4,152,160号などに記載の化合物が挙
げられる。本発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部
位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有す
る面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に
添加することがさらに好ましい。本発明の安息香酸類の
添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても
良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時
から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調
製後から塗布直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添
加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方
法で行っても良い。また、増感色素、還元剤など他の添
加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安
息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、感光
性ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜2モルが好ま
しく、1×10-3〜0.5モルがさらに好ましい。
【0165】本発明では現像を抑制あるいは促進させて
現像を制御する、分光増感効率を向上させる、現像前後
の保存性を向上させるなどの目的のために、メルカプト
化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させ
ることができる。本発明にメルカプト化合物を使用する
場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、A
r−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、M
は水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個
以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムもしくはテルリ
ウム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。
好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフト
イミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、
ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレ
ナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサ
ゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、
テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、
ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリ
ノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例
えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボ
キシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好まし
くは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキ
シ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個
の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択さ
れるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化
合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイ
ミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチア
ゾール、2,2’−ジチオビス−ベンゾチアゾール、3
−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジ
フェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプト
イミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミ
ダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプ
リン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7
−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,
3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4
−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン
モノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,
3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト
−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メ
ルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,
6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカ
プト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メル
カプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2
−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げら
れるが、本発明はこれらに限定されない。これらのメル
カプト化合物の添加量としては乳剤層中に感光性ハロゲ
ン化銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好
ましく、さらに好ましくは、感光性ハロゲン化銀1モル
当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0166】本発明の感光材料は、ハロゲン化銀溶剤を
使用することも好ましい。例えば、チオ硫酸塩、亜硫酸
塩、チオシアン酸塩、特公昭47−11386記載のチ
オエーテル化合物、特開平8−179458号記載のウ
ラシル、ヒダントインの如き5ないし6員環のイミド基
を有する化合物、特開昭53−144319記載の炭素
−硫黄の2重結合を有する化合物、アナリティカ・ケミ
カ・アクタ(Analytica Chimica Acta),248巻,6
04〜614頁(1991年)記載のトリメチルトリア
ゾリウムチオレート等のメソイオンチオレート化合物が
好ましく用いられる。また、特開平8−69097号記
載のハロゲン化銀を定着して安定化しうる化合物もハロ
ゲン化銀溶剤として使用しうる。感材中に含有するハロ
ゲン化銀溶剤の量は、0.01〜100mmol/m2
であり、好ましくは0.1〜50mmol/m2、より
好ましくは10〜50mmol/m2である。感光材料
の感光性ハロゲン化銀の塗布銀量に対しては、モル比で
1/20〜20倍で、好ましくは1/10〜10倍、よ
り好ましくは1/3〜3倍である。ハロゲン化銀溶剤
は、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチル
ホルムアミド、メチルプロピルグリコール等の溶媒或い
はアルカリまたは酸性水溶液に添加してもよいし、固体
微粒子分散させて塗布液に添加してもよい。ハロゲン化
銀溶剤は、単独で使用してもよいし、複数のハロゲン化
銀溶剤を併用することも好ましい。
【0167】本発明における感光材料中の構成層のバイ
ンダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例
としては前述のRDおよび特開昭64−13546号7
1〜75頁に記載されたものが挙げられる。具体的に
は、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例え
ばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロー
ス誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラ
ン等の多糖類のような天然化合物とポリビニルアルコー
ル、変性ポリビニルアルコール(例えば、(株)クラレ
製の末端アルキル変性ポバールMP103,MP203
等)、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等
の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第
4,960,681号、特開昭62−245260号等に
記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−
SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有する
ビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー
同士もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えば
メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、
住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用され
る。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いる
こともできる。特にゼラチンと上記バインダーの組合せ
が好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰
処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有
量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良
く、組合せて用いる事も好ましい。
【0168】本発明におけるバインダーとしては、ポリ
マーラテックスを用いることも好ましい。ここでポリマ
ーラテックスとは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子
として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状
態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、
乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいは
ポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自
身が分子状分散したものなどいずれでもよい。本発明の
ポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン
(奥田平,稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、
「合成ラテックスの応用(杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡
一,笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合
成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(19
70))」などに記載されている。
【0169】分散粒子の平均粒径は1〜50000n
m、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ま
しい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はない。
ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはア
クリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ポリオレフィン樹脂などがある。ポリマー
としては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーで
も、また架橋されたポリマーでも良い。また、ポリマー
としては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマ
ーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマ
ーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
もブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数
平均分子量Mnで0.5〜100万、好ましくは1〜5
0万程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは感光層
の力学強度不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪
く好ましくない。
【0170】本発明に用いられるポリマーラテックスの
ポリマーは25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%
以下、より好ましくは1質量%以下のものが好ましい。
平衡含水率の下限には特に制限はないが、好ましくは
0.01質量%であり、より好ましくは0.03質量%
である。平衡含水率の定義と測定法については、例えば
「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会
編、地人書館)」などを参考にすることができる。具体
的には、25℃60%RHにおける平衡含水率は、25
℃60%RHの雰囲気で調湿平衡に達したポリマーの質
量W1と25℃での絶乾状態にあるポリマーの質量W0
用いて次式のように表すことができる。「25℃60%RHに
おける平衡含水率」={(W1−W0)/W0}×100(質量
%)
【0171】このようなポリマーは市販もされていて、
以下のようなポリマーがポリマーラテックスとして利用
できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA-46
35、46583、4601(以上ダイセル化学工業(株))、Nipol
Lx811,814,821,820,857(以上日本ゼオン(株)製)
など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650,61
1,675,850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-siz
e,WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタ
ン樹脂としてはHYDRAN AP10,20,30,40(以上大日本イ
ンキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7
310K,3307B,4700H,7132C,DS206(以上大日本インキ
化学(株)製)、Nipol Lx416,433,410,438C,2507,
(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂として
はG351,G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニ
リデン樹脂としてはL502,L513(以上旭化成工業(株)
製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120,SA1
00(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができ
る。これらのポリマーは単独でポリマーラテックスとし
て用いてもよいし、必要に応じて2種以上をブレンドし
て用いても良い。
【0172】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン−ブタジエン共重体のラテック
スが好ましい。スチレン−ブタジエン共重体におけるス
チレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との
質量比は50:50〜95:5であることが好ましい。
また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー
単位との共重合体に占める割合は50〜99質量%であ
ることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様
である。本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタ
ジエン共重合体のラテックスとしては、市販品であるLA
CSTAR 3307B,7132C,DS206、Nipol Lx416,Lx433等が
挙げられる。本発明において、バインダーの塗布量は1
〜20g/m2、好ましくは2〜15g/m2、更に好ま
しくは3〜12g/m2が適当である。この中でゼラチ
ンは50〜100%、好ましくは70〜100%の割合
で用いることができる。
【0173】本発明の感光材料は色素形成カプラーを含
有することができる。本発明に好ましく使用されるカプ
ラーとしては、活性メチレン、5−ピラゾロン、ピラゾ
ロアゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾ
ールと総称される化合物である。これらのカプラーはR
DNo.38957(1996年9月) ,616 〜624
頁,“X.Dye image formers and modifiers ”に引用
されている化合物を好ましく使用することができる。こ
れらのカプラーはいわゆる2当量カプラーと4当量カプ
ラーとに分けることができる。
【0174】2当量カプラーのアニオン性離脱基として
作用する基としては、ハロゲン原子(例えばクロル原
子、ブロム原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エ
トキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、4−
シアノフェノキシ、4−アルコキシカルボニルフェニ
ル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチ
オ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチ
オ、トリルチオ)、アルキルカルバモイル基(例えばメ
チルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカル
バモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイ
ル)、ヘテロ環カルバモイル基(例えばピペリジルカル
バモイル、モルホリルカルバモイル)、アリールカルバ
モイル基(例えばフェニルカルバモイル、メチルフェニ
ルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジ
ルフェニルカルバモイル)、カルバモイル基、アルキル
スルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、ジメ
チルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチル
スルファモイル、ジブチルスルファモイル)、ヘテロ環
スルファモイル基(例えばピペリジルスルファモイル、
モルホリルスルファモイル)、アリールスルファモイル
基(例えばフェニルスルファモイル、メチルフェニルス
ルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジ
ルフェニルスルファモイル)、スルファモイル基、シア
ノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニ
ル、エタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例え
ばフェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニ
ル、p−トルエンスルホニル)、アルキルカルボニルオ
キシ基(例えばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、
ブチロイルオキシ)、アリールカルボニルオキシ基(例
えばベンゾイルオキシ、トルイルオキシ、アニシルオキ
シ)、含窒素ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ベンゾ
トリアゾリル)等が挙げられる。
【0175】また、4当量カプラーのカチオン性離脱基
として作用する基としては、水素原子、ホルミル基、カ
ルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基とし
ては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル
基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、
スルホニル基等が挙げられる。上記RDNo.38957
に記載の化合物以外にも、以下に記載のカプラーを好ま
しく用いることができる。
【0176】活性メチレン系カプラーとしては、EP5
02,424Aの式(I)、(II)で表わされるカプラ
ー;EP513,496Aの式(1)、(2)で表わさ
れるカプラー;欧州特許第568,037A号のクレー
ム1の式(I)で表わされるカプラー;米国特許第5,
066,576号のカラム1の45〜55行の一般式
(I)で表わされるカプラー;特開平4−274425
号の段落番号0008の一般式(I)で表わされるカプ
ラー;欧州特許第498,381A1号の40頁のクレ
ーム1に記載のカプラー;欧州特許第447,969A
1号の4頁の式(Y)で表わされるカプラー;米国特許
第4,476,219号カラム7の36〜58行の式(I
I)〜(IV)で表わされるカプラーを用いることができ
る。5−ピラゾロン系カプラーとしては、特開昭57−
35858号および特開昭51−20826号に記載の
化合物が好ましい。
【0177】ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米
国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2
−b〕ピラゾール類、米国特許第4,540,654号に
記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾ
ール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾ
ロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ま
しく、光堅牢性の点で、これらのうちピラゾロ〔1,5
−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましい。ま
た、特開昭61−65245号に記載されているような
分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2、3また
は6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭6
1−65245号に記載されている分子内にスルホンア
ミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61
−147254号に記載されるアルコキシフェニルスル
ホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラ
ー、特開昭62−209457号もしくは同63−30
7453号に記載されている6位にアルコキシ基やアリ
ールオキシ基を持つピラゾロトリアゾールカプラー、お
よび特開平2−201443号に記載される分子内にカ
ルボンアミド基を持つピラゾロトリアゾールカプラーも
好ましく用いることができる。
【0178】フェノール系カプラーの好ましい例として
は、米国特許第2,369,929号、同第2,801,1
71号、同第2,772,162号、同第2,895,82
6号、同第3,772,002号等に記載の2−アルキル
アミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,7
72,162号、同第3,758,308号、同第4,12
6,396号、同第4,334,011号、同第4,32
7,173号、西独特許公開第3,329,729号、特
開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシル
アミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、
同第4,333,999号、同第4,451,559号、同
第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド
−5−アシルアミノフェノール系等を挙げることができ
る。ナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特
許第2,474,293号、同第4,052,212号、同
第4,146,396号、同第4,228,233号、同第
4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−
ナフトール系および米国特許第4,690,889号等に
記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール
系等を挙げることができる。
【0179】ピロロトリアゾール系カプラーの好ましい
例としては、欧州特許第488,248A1号、同第4
91,197A1号、同第545,300号に記載のカプ
ラーが挙げられる。その他、縮環フェノール、イミダゾ
ール、ピロール、3−ヒドロキシピリジン、活性メチ
ン、5,5−縮環ヘテロ環、5,6−縮環ヘテロ環とい
った構造を有するカプラーが使用できる。縮環フェノー
ル系カプラーとしては、米国特許第4,327,173
号、同第4,564,586号、同第4,904,575号
等に記載のカプラーが使用できる。
【0180】イミダゾール系カプラーとしては、米国特
許第4,818,672号、同第5,051,347号等に
記載のカプラーが使用できる。ピロール系カプラーとし
ては、特開平4−188137号、同4−190347
号等に記載のカプラーが使用できる。3−ヒドロキシピ
リジン系カプラーとしては、特開平1−315736号
等に記載のカプラーが使用できる。活性メチン系カプラ
ーとしては、米国特許第5,104,783号、同第5,
162,196号等に記載のカプラーが使用できる。
【0181】5,5−縮環ヘテロ環系カプラーとして
は、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラ
ゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載の
ピロロイミダゾール系カプラー等が使用できる。5,6
−縮環ヘテロ環系カプラーとしては、米国特許第4,9
50,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラ
ー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジ
ン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカ
プラー等が使用できる。
【0182】本発明には前述のカプラー以外に、西独特
許第3,819,051A号、同第3,823,049号、
米国特許第4,840,883号、同第5,024,93
0号、同第5,051,347号、同第4,481,268
号、欧州特許第304,856A2号、同第329,03
6号、同第354,549A2号、同第374,781A
2号、同第379,110A2号、同第386,930A
1号、特開昭63−141055号、同64−3226
0号、同64−32261号、特開平2−297547
号、同2−44340号、同2−110555号、同3
−7938号、同3−160440号、同3−1728
39号、同4−172447号、同4−179949
号、同4−182645号、同4−184437号、同
4−188138号、同4−188139号、同4−1
94847号、同4−204532号、同4−2047
31号、同4−204732号等に記載されているカプ
ラーも使用できる。これらのカプラーは各色0.05〜
10mmol/m2、好ましくは0.1〜5mmol/
2を用いることができる。
【0183】また、下記のような機能性カプラーを含有
しても良い。発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、米国特許第4,366,237号、英国特許第
2,125,570号、欧州特許第96,873B号、独
国特許第3,234,533号に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーとして
は、欧州特許第456,257A1号5頁に記載の式
(CI),(CII),(CIII),(CIV)で表わされ
るイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC
−86)、該欧州特許に記載のイエローカラードマゼン
タカプラーExM−7(202頁),EX−1(249
頁),EX−7(251頁)、米国特許第4,833,0
69号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−
9(カラム8),CC−13(カラム10)、米国特許
第4,837,136号の(2)(カラム8)、国際特許
第92/11575号のクレーム1の式(A)で表わさ
れる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例
示化合物)が好ましい。
【0184】現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な
化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)として
は、以下のものが挙げられる。 現像抑制剤放出化合物:欧州特許第378,236A1
号11頁に記載の式(I)〜(IV)で表わされる化合物
(特にT−101(30頁),T−104(31頁),
T−113(36頁),T−131(45頁),T−1
44(51頁),T−158(58頁)),欧州特許第
436,938A2号7頁に記載の式(I)で表わされ
る化合物(特にD−49(51頁))、欧州特許第56
8,037A号の式(I)で表わされる化合物(特に
(23)(11頁))、欧州特許第440,195A2
号5〜6頁に記載の式(I),(II),(III)で表わ
される化合物(特に29頁のI−(1))。
【0185】漂白促進剤放出化合物:欧州特許第31
0,125A2号5頁の式(I),(I’)で表わされ
る化合物(特に61頁の(60),(61))および特
開平6−59411号請求項1の式(I)で表わされる
化合物(特に(7)(7頁))。 リガンド放出化合物:米国特許第4,555,478号の
クレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物(特
にカラム12の21〜41行目化合物)。 ロイコ色素放出化合物:米国特許第4,749,641号
のカラム3〜8の化合物1〜6。 蛍光色素放出化合物:米国特許第4,774,181号の
クレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物(特
にカラム7〜10の化合物1〜11)。
【0186】現像促進剤またはカブラセ剤放出化合物:
米国特許第4,656,123号カラム3の式(1),
(2),(3)で表わされる化合物(特にカラム25の
(I−22))および欧州特許第450,637A2号
75頁36〜38行目のExZK−2。 離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:米国特
許第4,857,447号のクレーム1の式(I)で表わ
される化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−1
9)。
【0187】カプラー以外の添加剤としては、以下のも
のが好ましい。 油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272
号のP−3,5,16,19,25,30,42,4
9,54,55,66,81,85,86,93(14
0〜144頁)。 油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:米国特許第4,
199,363号に記載のラテックス。 現像主薬酸化体スカベンジャー:米国特許第4,978,
606号カラム2の54〜62行の式(I)で表わされ
る化合物(特にI−(1),(2),(6),(12)
(カラム4〜5))、米国特許第4,923,787号カ
ラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3)。 ステイン防止剤:欧州特許第298,321A号4頁3
0〜33行の式(I)〜(III),特にI−47,7
2,III−1,27(24〜48頁)。 褪色防止剤:欧州特許第298,321A号のA−6,
7,20,21,23,24,25,26,30,3
7,40,42,48,63,90,92,94,16
4(69〜118頁),米国特許第5,122,444号
カラム25〜38のII−1〜III−23,特にIII−1
0、EP471,347A8〜12頁のI−1〜III−
4,特にII−2、米国特許第5,139,931号カラム
32〜40のA−1〜48,特にA−39,42。
【0188】発色増強剤または混色防止剤の使用量を低
減させる素材:欧州特許第41,132A号5〜24頁
のI−1〜II−15,特にI−46。 ホルマリンスカベンジャー:欧州特許第477,932
A号24〜29頁のSCV−1〜28,特にSCV−
8。 硬膜剤:特開平1−214845号17頁のH−1,
4,6,8,14,米国特許第4,618,573号カラ
ム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物
(H−1〜54)、特開平2−214852号8頁右下
の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特に
H−14、米国特許第3,325,287号のクレーム1
に記載の化合物。 現像抑制剤プレカーサー;特開昭62−168139号
のP−24,37,39(6〜7頁)、米国特許第5,
019,492号のクレーム1に記載の化合物,特にカ
ラム7の28,29. 防腐剤、防黴剤:米国特許第4,923,790号カラム
3〜15のI−1〜III−43,特にII−1,9,1
0,18,III−25。 安定剤、かぶり防止剤:米国特許第4,923,793号
カラム6〜16のI−1〜(14),特にI−1,6
0,(2),(13)、米国特許第4,952,483号
カラム25〜32の化合物1〜65,特に36。 化学増感剤:トリフェニルホスフィンセレニド,特開平
5−40324号の化合物50。
【0189】染料:特開平3−156450号15〜1
8頁のa−1〜b−20,特にa−1,12,18,2
7,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜2
3,特にV−1、欧州特許第445,627A号33〜
55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−1
1,F−II−8、EP457,153A17〜28頁のI
II−1〜36,特にIII−1,3、国際特許第88/0
4794号8〜26頁のDye−1〜124の微結晶分
散体、欧州特許第319,999A号6〜11頁の化合
物1〜22,特に化合物1、欧州特許第519,306
A号の式(1)〜(3)で表わされる化合物D−1〜8
7(3〜28頁)、米国特許第4,268,622号の式
(I)で表わされる化合物1〜22(カラム3〜1
0)、米国特許第4,923,788号の式(I)で表わ
される化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0190】UV吸収剤:特開昭46−3335号の式
(1)で表わされる化合物(18b)〜(18r),1
01〜427(6〜9頁)、欧州特許第520,938
A号の式(I)で表わされる化合物(3)〜(66)
(10〜44頁)および式(III)で表わされる化合物
HBT−1〜10(14頁)、欧州特許第521,82
3A号の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)
(カラム2〜9)。このような機能性カプラーや添加剤
は、先に述べた発色に寄与するカプラーの0.05〜1
0倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル用いることが好
ましい。
【0191】カプラー、発色現像主薬などの疎水性添加
剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの公
知の方法により感光材料の層中に導入することができ
る。この場合には、米国特許第4,555,470号、同
4,536,466号、同4,536,467号、同4,5
87,206号、同4,555,476号、同4,599,
296号、特公平3−62256号などに記載のような
高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃
の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。また
これら色素供与性カプラー、高沸点有機溶媒などは2種
以上併用することができる。高沸点有機溶媒の量は用い
られる疎水性添加剤1gに対して10g以下、好ましく
は5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。ま
た、バインダー1gに対して1mL以下、更には0.5mL
以下、特に0.3mL以下が適当である。
【0192】特公昭51−39853号、特開昭51−
59943号に記載されている重合物による分散法や特
開昭62−30242号等に記載されている微粒子分散
物にして添加する方法も使用できる。水に実質的に不溶
な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微
粒子にして分散含有させることができる。疎水性化合物
を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤
を用いることができる。例えば特開昭59−15763
6号37〜38頁、前記のRDに記載の界面活性剤とし
て挙げたものを使うことができる。また、特開平7−5
6267号、同7−228589号、西独公開特許第
1,932,299A号記載のリン酸エステル型界面活性
剤も使用することができる。
【0193】本発明の感光材料は、種々のカブリ防止剤
または写真安定剤を使用することができる。その例とし
ては、RDNo.17643(1978年)24〜25頁
に記載のアゾールやアザインデン類、特開昭59−16
8442号記載の窒素を含むカルボン酸類およびリン酸
類、あるいは特開昭59−111636号記載のメルカ
プト化合物およびその金属塩、特開昭62−87957
号に記載されているアセチレン化合物類などが用いられ
る。本発明の感光材料は、耐拡散性の還元剤または発色
現像主薬を使用する場合には、耐拡散性還元剤または発
色現像主薬と現像可能なハロゲン化銀との間の電子移動
を促進するために、必要に応じて電子伝達剤および/ま
たは電子伝達剤プレカーサーを組合せて用いることがで
きる。電子伝達剤またはそのプレカーサーはその移動性
が耐拡散性の還元剤(電子供与体)より大きいことが望
ましい。特に有用な電子伝達剤は1−フェニル−3−ピ
ラゾリドン類またはアミノフェノール類である。
【0194】本発明の感光材料は、支持体上に少なくと
も1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例
としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが
感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光
性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料
である。該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の
何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロ
ゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感
光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色
性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じ
て上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異
なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上
記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層に
は非感光性層を設けてもよい。これらには、前述のカプ
ラー、現像主薬およびDIR化合物、混色防止剤、染料
等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複
数のハロゲン化銀乳剤層は、独国特許第1,121,47
0号あるいは英国特許第923,045号に記載されて
いるように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持
体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好
ましい。また、各ハロゲン乳剤層の間には非感光性層が
設けられていてもよい。また、特開昭57−11275
1号、同62−200350号、同62−206541
号、62−206543号に記載されているように支持
体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感
度乳剤層を設置することもできる。
【0195】具体例として支持体から最も遠い側から、
低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)
/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(G
L)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層
(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/
RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RH
の順等に設置することができる。また特公昭55−34
932号に記載されているように、支持体から最も遠い
側から、青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配
列することもできる。また特開昭56−25738号、
同62−63936号に記載されているように、支持体
から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/R
Hの順に配列することもできる。
【0196】また特公昭49−15495号に記載され
ているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤
層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤
層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳
剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められ
た感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられ
る。このような感光度の異なる3層から構成される場合
でも、特開昭59−202464号に記載されているよ
うに、同一感光性層中において支持体より離れた側から
中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置
されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/
中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/
高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。また、
4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。色
再現性を改良するために、米国特許第4,663,271
号、同第4,705,744号、同第4,707,436
号、特開昭62−160448号、同63−89850
号の明細書に記載の、BL、GL、RLなどの主感光性
層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)
を主感光性層に隣接もしくは近接して配置することも好
ましい。上記の通り、それぞれの感光材料の目的に応じ
て種々の層構成・配列を選択することができる。本発明
の乳剤は、いずれの乳剤層に用いることもできるが、特
に高感度乳剤層に用いるのが好ましい。
【0197】本発明においては、ハロゲン化銀乳剤と色
素形成カプラー並びに発色現像主薬および/またはその
前駆体は同一層に含まれていても良いが、反応可能な状
態であれば別層に分割して添加することもできる。例え
ば発色現像主薬を含む層とハロゲン化銀乳剤を含む層と
を別層にすると感材の生保存性の向上が図れる。各層の
分光感度およびカプラーの色相の関係は任意であるが、
赤色感光性層にシアンカプラー、緑色感光性層にマゼン
タカプラー、青色感光性層にイエローカプラーを用いる
と、従来のカラーペーパー等に直接投影露光できる。感
光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間および最上
層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、黄色フィ
ルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性
層を設けても良く、支持体の反対側にはバック層などの
種々の補助層を設けることができる。
【0198】具体的には、上記特許記載のような層構
成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り
層、特開平1−167838号、特開昭61−2094
3号記載のような固体顔料を有する中間層、特開平1−
120553号、同5−34884号、同2−6463
4号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間
層、米国特許第5,017,454号、同5,139,91
9号、特開平2−235044号記載のような電子伝達
剤を有する中間層、特開平4−249245号記載のよ
うな還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた
層などを設けることができる。黄色フィルター層、アン
チハレーション層に用いる事の出来る染料としては、現
像時に消色あるいは除去され、処理後の濃度に寄与しな
いものが好ましい。黄色フィルター層、アンチハレーシ
ョン層の染料が現像時に消色あるいは除去されるとは、
処理後に残存する染料の量が塗布時の1/3以下、好ま
しくは1/10以下となることであり、現像時に染料の
成分が感光材料から処理材料に転写しても良いし現像時
に反応して無色の化合物に変わっても良い。具体的に
は、欧州特許第549,489A号記載の染料や、特開
平7−152129号のExF2〜6の染料が挙げられ
る。特開平8−101487号に記載されているような
固体分散した染料を用いることもできる。また、媒染剤
とバインダーに染料を媒染させておくこともできる。こ
の場合媒染剤と染料は写真分野で公知のものを用いるこ
とができ、米国特許第4,500,626号第58〜59
欄や、特開昭61−88256号32〜41頁、特開昭
62−244043号、同62−244036号等に記
載の媒染剤を挙げることができる。
【0199】また、還元剤と反応して拡散性色素を放出
する化合物と還元剤を用い、現像時のアルカリで可働性
色素を放出させ、処理材料に転写除去させることもでき
る。具体的には、米国特許第4,559,290号、同
4,783,396号、欧州特許第220,746A2
号、公開技報87−6119号に記載されている。消色
するロイコ染料などを用いることもでき、具体的には特
開平1−150132号に有機酸金属塩の顕色剤により
あらかじめ発色させておいたロイコ染料を含むハロゲン
化銀感光材料が開示されている。ロイコ染料と顕色剤錯
体は熱あるいはアルカリ剤と反応して消色する。ロイコ
染料は、公知のものが利用でき、森賀、吉田「染料と薬
品」9,84頁(化成品工業協会)、「新版染料便覧」
242頁(丸善,1970),R. Garner「Reports on
the Progress of Appl. Chem 」56,199頁(19
71)、「染料と薬品」19,230頁(化成品工業協
会、1974)、「色材」62,288頁(198
9)、「染色工業」32,208等に記載がある。顕色
剤としては、酸性白土系顕色剤、フェノールホルムアル
デヒドレジンの他、有機酸の金属塩が好ましく用いられ
る。有機酸の金属塩としてはサリチル酸類の金属塩、フ
ェノール−サリチル酸−ホルムアルデヒドレジンの金属
塩、ロダン塩、キサントゲン酸塩の金属塩等が有用であ
り、金属としては特に亜鉛が好ましい。上記の顕色剤の
うち、油溶性のサリチル酸亜鉛塩については、米国特許
第3,864,146号、同4,046,941号各明細書
および特公昭52−1327号公報等に記載されたもの
を用いることができる。
【0200】本発明の感光材料の塗布層は硬膜剤で硬膜
されていることが好ましい。硬膜剤の例としては米国特
許第4,678,739号第41欄、同4,791,042
号、特開昭59−116655号、同62−24526
1号、同61−18942号、特開平4−218044
号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、ア
ルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジ
ン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜
剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセ
タミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメ
チロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分
子硬膜剤(特開昭62−234157号などに記載の化
合物)が挙げられる。これらの硬膜剤は、親水性バイン
ダー1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.00
5〜0.5gが用いられる。
【0201】感光材料には、種々のカブリ防止剤または
写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用すること
ができる。その具体例としては、前記RD、米国特許第
5,089,378号、同4,500,627号、同4,6
14,702号、特開昭64−13564号(7)〜
(9)頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(9
7)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,
500号、同4,983,494号、特開昭62−174
747号、同62−239148号、特開平1−150
135号、同2−110557号、同2−178650
号、RDNo.17643(1978年)24〜25頁な
どに記載の化合物が挙げられる。これらの化合物は、銀
1モルあたり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、
さらに1×10-5〜1×10-2モルが好ましく用いられ
る。
【0202】感光材料には、塗布助剤、剥離性改良、ス
ベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面
活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は
公知技術第5号(1991年3月22日、アズテック有
限会社発行)136〜138頁、特開昭62−1734
63号、同62−183457号等に記載されている。
感光材料には、スベリ性防止、帯電防止、剥離性改良等
の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フ
ルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053
号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−
135826号等に記載されているフッ素系界面活性
剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もし
くは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹
脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。感光材料の
ぬれ性と帯電防止を両立する目的で親水性基を有するフ
ッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。
【0203】感光材料には滑り性がある事が好ましい。
滑り剤含有層は感光性層面、バック面ともに用いること
が好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.
25以下0.01以上である。この時の測定は直径5m
mのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の
値を表す(25℃60%RH)。この評価においては相
手材として感光性層面に置き換えてもほぼ同レベルの値
となる。使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロ
キサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂
肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガ
ノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリ
ジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、
ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができ
る。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好まし
い。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有
するエステルが好ましい。ハロゲン化銀の圧力カブリや
減感を防止するために、シリコンオイルや塩化パラフィ
ンは好ましく用いられる。
【0204】また本発明においては、帯電防止剤が好ま
しく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボ
ン酸およびカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、
カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げる
ことができる。帯電防止剤として最も好ましいものは、
ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、Si
2、MgO、BaO、MoO3、V25の中から選ばれ
た少くとも1種の体積抵抗率が107Ω・cm以下、よ
り好ましくは105Ω・cm以下である粒子サイズ0.
001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれら
の複合酸化物(Sb、P、B、In、S、Si、Cな
ど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれ
らの複合酸化物の微粒子である。感材への含有量として
は5〜500mg/m2が好ましく、特に好ましくは1
0〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物ま
たはその複合酸化物とバインダーの量の比は1:300
〜100:1が好ましく、より好ましくは1:100〜
100:5である。感光材料の支持体の裏面には、特開
平8−292514号に記載された耐水性のポリマーを
塗布することも好ましい。感光材料または後述する処理
材料の構成(バック層を含む)には、寸度安定化、カー
ル防止、接着防止、膜のヒビ割れ防止、圧力増減感防止
等の膜物性改良の目的で種々のポリマーラテックスを含
有させることができる。具体的には、特開昭62−24
5258号、同62−136648号、同62−110
066号等に記載のポリマーラテックスのいずれも使用
できる。特に、ガラス転移点の低い(40℃以下)ポリ
マーラテックスを媒染層に用いると媒染層のヒビ割れを
防止することができ、またガラス転移点が高いポリマー
ラテックスをバック層に用いるとカール防止効果が得ら
れる。
【0205】本発明の感光材料にはマット剤を用いるこ
ともできる。マット剤の添加位置としては乳剤面、バッ
ク面のどちらでもよいが、支持体上の乳剤面の最外層ま
たはバック面の最外層に添加するのが好ましい。マット
剤は処理液可溶性でも不溶性でもよく、両者を併用する
こともできる。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ
(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1〜5/
5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒
径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布
も狭い方が好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間
に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。
また、マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子
を同時に添加することも好ましく、例えばポリメチルメ
タクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレ
ート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μ
m))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダ
ルシリカ(0.03μm)が挙げられる。具体的には、
特開昭61−88256号29頁に記載されている。そ
の他、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート
樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274
944号、同63−274952号記載の化合物があ
る。その他前記RDに記載の化合物が使用できる。
【0206】これらのマット剤は、必要に応じて前記バ
インダーの項に記載の各種バインダーで分散して、分散
物として使用することができる。特に各種のゼラチン、
例えば、酸処理ゼラチン分散物は安定な塗布液を調製し
やすく、このとき、pH、イオン強度、バインダー濃度
を必要に応じて最適化する事が好ましい。
【0207】本発明において感光材料の支持体として
は、透明かつ処理温度に耐えることのできるものが用い
られる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎
−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)2
23〜240頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の
写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカー
ボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピ
レン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチル
セルロース)等が挙げられる。この他に、特開昭62−
253159号29〜31頁、特開平1−161236
号14〜17頁、特開昭63−316848号、特開平
2−22651号、同3−56955号、米国特許第
5,001,033号等に記載の支持体を用いることがで
きる。これらの支持体は、光学的特性、物理的特性を改
良するために、熱処理(結晶化度や配向制御)、一軸お
よび二軸延伸(配向制御)、各種ポリマーのブレンド、
表面処理等を行うことができる。特に耐熱性やカール特
性の要求が厳しい場合、感光材料の支持体として特開平
6−41281号、同6−43581号、同6−514
26号、同6−51437号、同6−51442号に記
載の支持体が好ましく用いることができる。また、主と
してシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
である支持体も好ましく用いることができる。支持体の
厚みは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは4
0〜120μmである。
【0208】次に本発明に好ましく用いられるポリエス
テル支持体について記すが、上記以外の感材、処理、カ
ートリッジおよび実施例なども含め詳細については、公
開技報、公技番号94−6023(発明協会;199
4.3.15.)に記載されている。本発明に用いられ
るポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須
成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6
−、1,5−、1,4−および2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジ
オールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール
A、ビスフェノール等が挙げられる。この重合体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレー
ト等のホモポリマーを挙げることができる。特に好まし
いのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50〜100
モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいの
はポリエチレン−2,6−ナフタレートである。平均分
子量の範囲は約0.5〜20万である。本発明で用い得
るポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90
℃以上が好ましい。
【0209】次にポリエステル支持体は、巻き癖をつき
にくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、よ
り好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行
う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよ
く、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間
は、0.1〜1500時間、さらに好ましくは0.5〜
200時間である。支持体の熱処理は、ロール状で実施
してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよ
い。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb2 5
の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図っても
よい。また端部にローレットを付与し端部のみ少し高く
することで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を
行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、
表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤
等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好
ましいのは帯電防止剤塗布後である。このポリエステル
には紫外線吸収剤を練り込んでも良い。またライトパイ
ピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製
のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料
または顔料を練り込むことにより目的を達成することが
可能である。支持体と感材構成層を接着させるために
は、支持体を表面処理することが好ましい。薬品処理、
機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、
高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レー
ザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性
化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、
紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理で
ある。
【0210】次に下塗層について述べる。下塗層は、単
層でもよく2層以上であってもよい。下塗層用バインダ
ーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエ
ン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレ
イン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共
重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹
脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチ
ン、ポリビニルアルコールおよびこれらの変性ポリマー
が挙げられる。支持体を膨潤させる化合物としてレゾル
シンとp−クロルフェノールがある。下塗層にはゼラチ
ン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アル
デヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドな
ど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4
−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、
エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物な
どを挙げることができる。SiO2、TiO2、無機物微
粒子またはポリメチルメタクリレート共重合体微粒子
(0.01〜10μm)をマット剤として含有させても
よい。また、支持体として例えば、特開平4−1246
45号、同5−40321号、同6−35092号、同
6−317875号記載の磁気記録層を有する支持体を
用い、撮影情報などを記録することが好ましい。
【0211】磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー
中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上
に塗設したものである。磁性体粒子は、γFe23など
の強磁性酸化鉄、Co被着γFe23、Co被着マグネ
タイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、
強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、
Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなど
を使用できる。Co被着γFe23などのCo被着強磁
性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球
状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積ではS
BETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が
特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好まし
くは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に
好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mであ
る。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや
有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性
体粒子は特開平6−161032号に記載された如くそ
の表面にシランカップリング剤またはチタンカップリン
グ剤で処理されてもよい。また特開平4−259911
号、同5−81652号に記載の表面に無機、有機物を
被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0212】磁性体粒子に用いられるバインダーは、特
開平4−219569号に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ
または生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘
導体、糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用する
ことができる。上記の樹脂のTgは−40〜300℃、
質量平均分子量は0.2〜100万である。具体的には
ビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルロー
ストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレート、セルローストリ
プロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼ
ラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテー
トが好ましい。
【0213】バインダーは、エポキシ系、アジリジン
系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理する
ことができる。イソシアネート系の架橋剤としては、ト
リレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート
類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反
応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3モルと
トリメチロールプロパン1モルの反応生成物)およびこ
れらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソ
シアネートなどが挙げられ、例えば特開平6−5935
7号に記載されている。前述の磁性体を上記バインダー
中に分散する方法は、特開平6−35092号に記載さ
れている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュ
ラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−
088283号記載の分散剤や、その他の公知の分散剤
が使用できる。磁気記録層の厚みは0.1〜10μm、
好ましくは0.2〜5μm、より好ましくは0.3〜3
μmである。磁性体粒子とバインダーの質量比は好まし
くは0.5:100〜60:100からなり、より好ま
しくは1:100〜30:100である。磁性体粒子の
塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01
〜2g/m2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/
2である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.0
1〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好
ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。
【0214】磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布
または印刷によって全面またはストライプ状に設けるこ
とができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアー
ドクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リ
バースロール、トランスファロール、グラビヤ、キス、
キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュー
ジョン等が利用でき、特開平5−341436号等に記
載の塗布液が好ましい。磁気記録層に、潤滑性向上、カ
ール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能
を併せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これ
らの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以
上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好
ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニ
ウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコ
ンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭
化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研
磨剤は、その表面をシランカップリング剤またはチタン
カップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁
気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバ
ーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)しても良い。
この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好
ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁
気記録層を有する感材については、米国特許第5,33
6,589号、同5,250,404号、同5,229,2
59号、同5,215,874号、欧州特許第466,1
30号に記載されている。
【0215】次に、感光材料を装填することのできるフ
ィルムパトローネについて記す。本発明で使用されるパ
トローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよ
い。好ましいプラスチック材料はポリスチレン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどで
ある。更にパトローネは、各種の帯電防止剤を含有して
もよくカーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、
アニオン、カチオンおよびベタイン系界面活性剤または
ポリマー等を好ましく用いることができる。これらの帯
電防止されたパトローネは特開平1−312537号、
同1−312538号に記載されている。特に25℃2
5%RHでの抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラ
スチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボ
ンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使っ
て製作される。パトローネのサイズは現在の135サイ
ズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の13
5サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下
とすることも有効である。パトローネのケースの容積
は、30cm3以下好ましくは25cm3以下とすること
が好ましい。パトローネおよびパトローネケースに使用
されるプラスチックの質量は5〜15gが好ましい。更
にスプールを回転してフィルムを送り出すパトローネで
もよい。またフィルム先端がパトローネ本体内に収納さ
れ、スプール軸をフィルム送り出し方向に回転させるこ
とによってフィルム先端をパトローネのポート部から外
部に送り出す構造でもよい。これらは米国特許第4,8
34,306号、同5,226,613号に開示されてい
る。
【0216】以上に述べた本発明の感光材料は特公平2
−32615号、実公平3−39784号に記載されて
いるレンズ付フィルムユニットにも好ましく用いること
ができる。レンズ付きフィルムユニットとは、撮影レン
ズおよびシャッターをあらかじめ備えた包装ユニット本
体に、未露光のカラー感光材料を、シート状またはロー
ル状に、直接または容器に入れて収納し、光密接合した
方法ユニットであって更に外装してなるものをいう。さ
らに包装ケース本体には、ファインダー、感光材料のコ
マ送り機構、撮影済みカラー感光材料の収納および取り
出し機構などを備え、ファインダーにはパララックス修
正支持を、また撮影機構には、例えば、実開平1−93
723号、同1−57738号、同1−57740号、
特開平1−93723および同1−152437号に記
載の補助照明機構を設けることができる。
【0217】本発明における包装ユニット本体は、感光
材料が収納されているので、包装ユニット内の湿度は2
5℃において相対湿度40〜70%、好ましくは50〜
65%になるように調湿することが望ましい。外装用材
料には、不透湿性材料または例えば、ASTM試験法D
−570で0.1%以下の非吸水性材料を用い、特にア
ルミニウム箔ラミネート・シートまたはアルミニウム箔
を用いることが好ましい。包装ユニット本体内に設けら
れる撮影済み感光材料の収納容器は、外装ユニット用カ
ートリッジ、常用のパトローネ、例えば、特開昭54−
111822号、同63−194255号、米国特許第
4,832,275号、同4,834,306号に記載され
る容器が用いられる。用いられる感光材料のフィルムと
しては110サイズ、135サイズ、そのハーフサイズ
や126サイズが挙げられる。本発明における包装ユニ
ットの構成に用いるプラスチック材料は、炭素−炭素の
二重結合をもつオレフィンの不可重合、小員環化合物の
開環重合、2種以上の多官能化合物間の重縮合(縮合重
合)、重付加およびフェノール誘導体、尿素誘導体、メ
ラミン誘導体とアルデヒドをもつ化合物との付加縮合な
どの方法を用いて製造することができる。
【0218】本発明の感光材料は、前述のRDNo.17
643の28〜29頁、同No.18716の651左欄
〜右欄、および同No.307105の880〜881頁
に記載された通常の方法によって現像処理することがで
きる。本発明に使用されるカラーネガフィルム用の現像
処理としてはイーストマンコダック社のC−41処理お
よび富士写真フイルム(株)のCN−16処理をあげる
ことができる。本発明に使用されるカラー反転フィルム
用の現像処理については、アズテック有限会社発行の公
知技術第6号(1991年4月1日)第1頁5行〜第1
0頁5行および第15頁8行〜第24頁2行に詳細に記
載されており、その内容はいずれも好ましく適用するこ
とができる。上記の内容を含む好ましい現像処理とし
て、イーストマンコダック社のE−6処理および富士写
真フイルム(株)のCR−56処理をあげることができ
る。本発明の感光材料は、アクチベーター処理、現像主
薬/塩基を含む処理液で現像することで画像を形成する
ことも可能である。アクチベーター処理とは、発色現像
主薬を感光材料の中に内蔵させておき、発色現像主薬を
含まない処理液で現像処理を行う処理方法をさしてい
る。この場合の処理液は通常の現像処理液成分に含まれ
ている発色現像主薬を含まないことが特徴で、その他の
成分(例えばアルカリ、補助現像主薬など)を含んでい
ても良い。アクチベーター処理については欧州特許第5
45,491A1号、同第565,165A1号などの公
知文献に例示されている。
【0219】本発明の感光材料は、画像露光後、熱現像
することで画像形成することも好ましい。感光材料の加
熱処理は当該技術分野では公知であり、熱現像感光材料
とそのプロセスについては、例えば、写真工学の基礎
(1970年、コロナ社発行)の553頁〜555頁、
1978年4月発行映像情報40頁、Nabletts Handboo
k ofPhotography and Reprography 7th Ed.(Vna Nostr
and and Reinhold Company)32〜33頁、米国特許第
3,152,904号、同第3,301,678号、同第
3,392,020号、同第3,457,075号、英国特
許第1,131,108号、同第1,167,777号およ
びRDNo.17029(1978年)9〜15頁に記載
されている。熱現像工程の加熱温度は、約50〜250
℃であるが、特に60〜180℃が有用である。現像工
程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプ
レートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ロ
ーラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外およ
び遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり高温の雰囲
気中を通過させる方法などがある。本発明の感光材料の
処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例
えば、特開昭59−75247号、同59−17754
7号、同59−181353号、同60−18951
号、実開昭62−25944号等に記載されている装置
などが好ましく用いられる。
【0220】次に、本発明において、熱現像処理の場合
に用いられる処理素材および処理方法について詳細に説
明する。本発明の感光材料には銀現像および色素形成反
応を促進する目的で塩基または塩基プレカーサーを用い
ることができる。塩基プレカーサーとしては、熱により
脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロ
ッセン転移またはベックマン転移によりアミン類を放出
する化合物などがある。その具体例は、米国特許第4,
514,493号、同4,657,848号および公知技
術第5号(1991年3月22日、アズテック有限会社
発行)55頁〜86頁等に記載されている。また、欧州
特許第210,660号、米国特許第4,740,445
号に記載されているような、水に難溶な塩基性金属化合
物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと
水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物
という)の組合せで塩基を発生させる方法でも良い。塩
基はたは塩基プレカーサーの使用量は0.1〜20g/
2、好ましくは1〜10g/m2である。塩基を供給す
るために、塩基または塩基プレカーサーを含有する処理
層を有する処理部材を用いることができる。処理部材に
はこの他に加熱現像時に空気を遮断したり、感材からの
素材の揮散を防止したり、塩基以外の処理用の素材を感
光材料に供給したり、現像後に不要になる感光材料中の
素材(YF染料、AH染料等)あるいは現像時に生成す
る不要成分を除去したりする機能を持たせても良い。処
理部材の支持体とバインダーには、感光材料と同様のも
のを用いることが出来る。処理部材には、前述の染料の
除去その他の目的で、媒染剤を添加しても良い。媒染剤
は写真分野で公知のものを用いることができ、米国特許
第4,50,626号第58〜59欄や、特開昭61−8
8256号32〜41頁、特開昭62−244043
号、同62−244036号等に記載の媒染剤を挙げる
ことができる。また、米国特許第4,463,079号記
載の色素受容性の高分子化合物を用いても良い。また後
述の熱溶剤を含有させてもよい。
【0221】処理部材を用いて熱現像するのに際し、現
像促進あるいは、処理用素材の転写促進、不要物の拡散
促進の目的で少量の水を用いることも好ましい。具体的
には、米国特許第4,704,245号、同4,470,4
45号、特開昭61−238056号等に記載されてい
る。水には無機のアルカリ金属塩や有機の塩基、低沸点
溶媒、界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯
形成化合物、防黴剤、防菌剤を含ませてもよい。水とし
ては一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具
体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウォーター
等を用いることができる。また本発明の感光材料および
処理部材を用いる熱現像装置においては水を使い切りで
使用しても良いし、循環し繰り返し使用してもよい。後
者の場合、材料から溶出した成分を含む水を使用するこ
とになる。また特開昭63−144354号、同63−
144355号、同62−38460号、特開平3−2
10555号等に記載の装置や水を用いても良い。水は
感光材料、処理部材またはその両者に付与する方法を用
いることができる。その使用量は感光材料および処理部
材の(バック層を除く)全塗布膜を最大膨潤させるに要
する量の1/10〜1倍に相当する量であることが好ま
しい。この水を付与する方法としては、例えば特開昭6
2−253159号5頁、特開昭63−85544号等
に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイ
クロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め感光材
料もくしは処理部材またはその両者に内蔵させて用いる
こともできる。付与する水の温度は前記特開昭63−8
5544号等に記載のように30〜60℃程度が好まし
い。
【0222】少量の水の存在下に熱現像を行う場合、欧
州特許第210660号、米国特許第4,740,445
号に記載されているように、水に難溶な塩基性金属化合
物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと
水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物
という)の組合せで塩基を発生させる方法を採用するの
が効果的である。この場合、水に難溶な塩基性金属化合
物は感光材料に、錯形成化合物は処理部材に添加するの
が、感材の保存安定性の点で望ましい。
【0223】感光材料と処理部材を感光層と処理層が向
かい合う形で重ね合わせる方法は特開昭62−2531
59号、同61−147244号27頁記載の方法が適
用できる。加熱温度としては70〜100℃が好まし
く、加熱時間としては5〜60秒が好ましい。本発明の
感光材料およびまたは処理シートは加熱現像のための加
熱手段としての導電性の発熱体層を有する形態であって
も良い。この発熱の発熱要素には、特開昭61−145
544号等に記載のものを利用できる。
【0224】本発明の感光材料には、熱現像を促進する
目的で熱溶剤を添加することができる。ここで熱溶剤と
は、周囲温度において固体であるが、使用される熱処理
温度またはそれ以下の温度において他の成分と一緒にな
つて混合融点を示し、熱現像時に液状化し熱現像や色素
の熱転写を促進する作用を有する有機材料である。熱溶
剤には、現像薬の溶媒となりうる化合物、高誘電率の物
質で銀塩の物理現像を促進することが知られている化合
物、バインダーと相溶しバインダーを膨潤させる作用の
ある化合物などが有用である。
【0225】本発明で用いることのできる熱溶剤は、例
えば米国特許第3,347,675号、同3,667,
959号、同3,438,776号、同3,666,4
77号、RDNo. 17,643号、特開昭51−195
25号、同53−24829号、同53−60223
号、同58−118640号、同58−198038
号、同59−229556号、同59−68730号、
同59−84236号、同60−191251号、同6
0−232547号、同60−14241号、同61−
52643号、同62−78554号、同62−421
53号、同62−44737号、同63−53548
号、同63−161446号、特開平1−224751
号、同2−863号、同2−120739号、同2−1
23354号等の各公報に記載された化合物が挙げられ
る。具体的には、尿素誘導体(フェニルメチル尿素
等)、アミド誘導体(例えばアセトアミド、ステアリル
アミド、p−トルアミド、p−プロパノイルオキシエト
キシベンズアミド等)、スルホンアミド誘導体(例え
ば、p−トルエンスルホンアミド等)、多価アルコール
類(例えば高分子のポリエチレングリコール等)などか
ら、微結晶分散に好ましい水溶性の低い素材を選択して
用いることができる。本発明で用いる熱溶剤の水溶性
は、微結晶分散物の分散安定性を高めるために、1g/
立方メートル以下であることが好ましく、10-3g/立
方メートル以下であることが更に好ましい。本発明に用
いられる熱溶剤の使用量としては、バインダーの塗布量
の1〜200質量%が適当であり、5〜50質量%が好
ましい。添加する層は目的に応じ、感光層、非感光性層
のいずれでも良い。本発明に使用することができる熱溶
剤の具体例を示すが、本発明は、これらの具体例によっ
て限定されるものではない。
【0226】
【化33】
【0227】
【化34】
【0228】本発明においては、現像によって生じた現
像銀や未現像のハロゲン化銀を除去することなく画像情
報を取り込むこともできるが、除去後に画像を取り込む
こともできる。後者の場合には、現像と同時あるいは現
像後にこれらを除去する手段を適用することができる。
現像と同時に感光部材中の現像銀を除去したり、ハロゲ
ン化銀を錯化ないし可溶化せしめるには、処理部材に漂
白剤として作用する銀の酸化剤や再ハロゲン化剤、ある
いは定着剤として作用するハロゲン化銀溶剤を含有させ
ておき、熱現像時にこれらの反応を生じさせることがで
きる。また、画像形成の現像終了後に銀の酸化剤、再ハ
ロゲン化剤あるいはハロゲン化銀溶剤を含有させた第二
の部材を感光材料と貼り合わせて現像銀の除去あるいは
ハロゲン化銀の錯化ないし可溶化を生じさせることもで
きる。本発明においては、撮影とそれに続く画像形成現
像の後で画像情報を読み取る障害とならない程度にこれ
らの処理を施すことが好ましい。特に未現像のハロゲン
化銀はゼラチン膜中では高いヘイズを生じ、画像のバッ
クグラウンドの濃度を上昇させるため、上記のような錯
化剤を用いてヘイズを減少させたり、可溶化させて膜中
から全量あるいはその一部を除去することが好ましい。
また、ハロゲン化銀自身のヘイズを減少させる目的で高
アスペクト比の平板状粒子を用いたり、塩化銀含有率の
高い平板状粒子を用いたりすることも好ましい。
【0229】本発明の処理部材において使用できる漂白
剤としては、常用されている銀漂白剤を任意に使用でき
る。このような漂白剤は米国特許第1,315,464号
および同1,946,640号およびPhotographic Chemi
stry, vol.2, chapter30, Foundation Press, London,
England に記載されている。これらの漂白剤は写真銀像
を効果的に酸化しそして可溶化する。有用な銀漂白剤の
例には、アルカリ金属重クロム酸塩、アルカリ金属フェ
リシアン化物がある。好ましい漂白剤は水に可溶な物で
あり、そしてニンヒドリン、インダンジオン、ヘキサケ
トシキロヘキサン、2,4−ジニトロ安息香酸、ベンゾ
キノン、ベンゼンスルホン酸、2,5−ジニトロ安息香
酸を包含する。また、金属有機錯体、たとえばシキロヘ
キシルジアルキルアミノ4酢酸の第2鉄塩およびエチレ
ンジアミン4酢酸の第2鉄塩、クエン酸の第2鉄塩があ
る。定着剤としては、前記の感光部材を現像する処理部
材(第一の処理部材)に含ませることの出来るハロゲン
化銀溶剤をする事が出来る。第二の処理部材に用いうる
バインダー、支持体、その他の添加剤に関しても、第一
の処理部材と同じ物を用いることが出来る。漂白剤の塗
布量は、張り合わせられる感光部材の含有銀量に応じて
変えられるべきであるが、感光部材の単位面積当たりの
感光性ハロゲン化銀の塗布銀量の0.01〜10モル/
感光部材の範囲で使用される。好ましくは0.1〜3モ
ル/感光部材の塗布銀モルであり、さらに好ましくは
0.1〜2モル/感光部材の塗布銀モルである。
【0230】本発明では、熱現像によって感光材料上に
形成された画像を光電的に読み取り、デジタル信号に変
換することも好ましい。画像読み取り装置としては、一
般に知られている画像入力デバイスを用いることが出来
る。画像入力デバイスの詳細は安藤隆男ら著「デジタル
画像入力の基礎」コロナ社(1998年)58頁〜98
頁に記述されている。画像入力デバイスは膨大な画像情
報を効率よく取り込む必要があり、微少なポイントセン
サーの配置において、リニアセンサーとエリアセンサー
に大別される。前者はポイントセンサーを線上に多数配
列したものであり、面状に形成された画像を取り込むた
めには、感材側かセンサー側かいずれかを走査させる必
要がある。このため、読み取りにやや時間がかかるがセ
ンサーを安価に作れるメリットがある。エリアセンサー
の場合、基本的に感材やセンサーを走査せずに読み取る
ことが出来るので、読み取りが速いが大きなセンサーを
使う必要があるため、コストは割高になる。これらのセ
ンサーはその目的に応じて使い分けることができ、どち
らも好ましく使用できる。
【0231】センサーの種類としては、撮像管やイメー
ジ管などの電子管式と、CCD形やMOS形などの固体
撮像系があるが、コストや取り扱いの簡便さから固体撮
像系、特にCCD形が好ましい。これらの画像入力デバ
イスを搭載している装置として、市販されているデジタ
ルスチルカメラ、ドラムスキャナー、フラットベッドス
キャナー、フィルムスキャナー等を用いることが出来る
が、高画質な画像を簡便に読み取るためには、フィルム
スキャナーを用いるのが好ましい。市販の代表的なフィ
ルムスキャナーとしては、リニアCCDを用いたニコン
・フィルムスキャナーLS−1000、アグファ・デュ
オスキャンHiD、イマコン・フレックスタイトフォト
等があり、更にエリアCCDを用いたコダック・RFS
3570等が好ましく使用できる。また、富士写真フイ
ルムのディジタルプリントシステム・フロンティアに搭
載されているエリアCCDを用いた画像入力装置も好ま
しく使用できる。更に、小沢良夫ら著・富士写真フイル
ム研究報告第45号、35〜41頁に記述されているフ
ロンティアF350の画像入力装置は、リニアCCDセ
ンサーを用いながら高速高画質読み取りを実現したもの
で、本発明の感材の読み取りに特に適したものである。
【0232】本発明の画像形成方法に好ましく用いるこ
とができる画像処理方法としては、例えば以下のような
ものがある。特開平6−139323号には、カラーネ
ガに被写体像を作り、この像をスキャナー等で対応画像
データに変換した後、復調された色情報から被写体と同
一色を出力する、ネガフィルムから被写体の色を忠実に
再現できる画像処理システムおよび画像処理方法が述べ
られており、これを用いても良い。また、デジタル化さ
れた画像の粒状あるいはノイズを抑制し、且つ、シャー
プネスを強調する画像処理方法としては、特開平10−
243238号に記載の、シャープネス強調画像デー
タ、平滑化画像データ及びエッジ検出データをもとにエ
ッジとノイズに重み付け及び細分化処理等を行う方法、
または特開平10−243239号に記載の、シャープ
ネス強調画像データと平滑化画像データをもとにエッジ
成分をもとめ、重み付け、細分化処理等を行う画像処理
方法を用いても良い。また、撮影材料の保管条件、現像
条件等の違いによる、最終プリントにおける色再現性の
変動をデジタルカラープリントシステムにおいて補正す
るためには、特開平10−255037号に記載の、撮
影材料の未露光部に4段もしくは4色以上のパッチを露光
し、現像後、パッチ濃度を測定し、補正に必要なルック
アップテーブル及び色変換マトリクスを求め、ルックア
ップテーブル変換やマトリクス演算を用いて写真画像の
色補正を行う方法を用いることができる。
【0233】画像データの色再現域を変換する方法とし
ては、例えば特開平10−229502号に記載されて
いる、各成分の数値が揃った時に視覚的に中性色と認め
られる色になる色信号で表された画像データに対して、
色信号を有彩色成分と無彩色成分とに分解し、それぞれ
を個別に処理する方法を用いることができる。また、カ
メラで撮影された画像における、カメラレンズに起因す
る収差や周辺光量の低下等の画質劣化を除去する画像処
理方法としては、特開平11−69277号に記載の、
フィルムに予め画像劣化の補正データを作成するため
の、格子状の補正パターンを記録しておき、撮影後に画
像と補正パターンをフィルムスキャナー等で読み取り、
カメラのレンズに基づく劣化要因を補正するデータを作
成し、その画像劣化補正データを用いて、デジタル画像
データを補正する画像処理方法および装置を用いても良
い。
【0234】また、肌色と青空は、シャープネスを強調
し過ぎると、粒状(ノイズ)が強調されて不快な印象を
与えるため、肌色と青空に対するシャープネス強調の程
度を抑制することが望ましいが、その方法としては、例
えば特開平11−103393号に記載されている、ア
ンシャープマスキング(USM)を用いたシャープネス
強調処理において、USM係数を(B−A)(R−A)の関
数とする方法を用いても良い。また、肌色、草緑色、青
空色は色再現上重要色と呼ばれ、選択的な色再現処理が
要求される。このうち明度再現に関しては、肌色は明る
く、青空は濃く仕上げるのが視覚的に好ましいと云われ
ている。重要色を視覚的に好ましい明るさに再現する方
法としては、例えば特開平11−177835号に、画
素毎の色信号を、(R−G)や(R−B)のように、対応す
る色相が黄赤の時に小さな値を取り、シアンブルーの時
に大きな値を取るような係数を用いて変換する方法が記
載されており、これを採用しても良い。また、色信号を
圧縮する方法として、例えば特開平11−113023
号に記載されている、画素毎の色信号を明度成分と色度
成分とに分離し、色度成分に対して、予め用意された複
数の色相テンプレートの中から数値パターンが最も適合
するテンプレートを選択することにより、色相情報を符
号化する方法を用いても良い。また、彩度アップ、また
はシャープネスアップ等の処理の際に、色めくら、ハイ
ライトのとび、高濃度部のつぶれ等の不具合や、定義域
外のデータの発生を抑え、自然な強調処理を行うには、
特開平11−177832号に記載の、カラー画像デー
タの各色濃度データを特性曲線を用いて露光濃度データ
とし、これに色強調を含む画像処理をし、更に特性曲線
で濃度データとする、画像処理方法および装置を用いる
ことができる。
【0235】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。但し、本発明
はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−
A1からA20を調製した。 (Em−A1)フタル化率97%のフタル化した分子量
15000の低分子量ゼラチン31.7g,KBr3
1.7gを含む水溶液42.2Lを35℃に保ち激しく
攪拌した。AgNO3,316.7gを含む水溶液15
83mLとKBr,221.5g、分子量15000の低
分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1583mLをダ
ブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了後、
直ちにKBr52.8gを加えて、AgNO3,39
8.2gを含む水溶液2485mLとKBr,291.1
gを含む水溶液2581mLをダブルジェット法で2分間
に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr,47.8
gを添加した。その後、40℃に昇温し、充分熟成し
た。熟成終了後、フタル化率97%のフタル化した分子
量100000のゼラチン923gとKBr,79.2
gを添加し、AgNO3,5103gを含む水溶液15
947mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量
が初期流量の1.4倍になるように流量加速して12分
間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極
に対して−60mVに保った。水洗した後、ゼラチンを
加えpH,5.7、pAg,8.8,乳剤1kg当たり
の銀換算の質量131.8g、ゼラチン質量64.1g
に調整し、種乳剤とした。
【0236】フタル化率97%のフタル化ゼラチン46
g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃に
保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加えた
後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,
L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加して
pHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含
む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法
で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速
して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロ
メル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオス
ルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、AgN
3,144.5gを含む水溶液,410mLとKIを7
mol%含むKBrとKIの混合水溶液をダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量
加速して56分間に渡り添加した。この時,銀電位を飽
和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO
3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶
液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この
時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保
った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−8
0mVに調整した後、0.037μmの粒子サイズのA
gI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。
添加終了後、直ちに、AgNO3,66.4gを含む水
溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期
の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保っ
た。水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量2
8万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃で
pH,5.8、pAg,8.7に調整した。化合物11
および12を添加した後、60℃に昇温した。増感色素
11および12を添加した後に、チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム,N,N−ジメチル
セレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終
了時に化合物13および化合物14を添加した。ここ
で、最適に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合
物をハロゲン化銀1molあたり10-1から10-8mo
lの添加量範囲から選択したことを意味する。
【0237】
【化35】
【0238】
【化36】
【0239】
【化37】
【0240】
【化38】
【0241】
【化39】
【0242】
【化40】
【0243】
【化41】
【0244】得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透
過電子顕微鏡で観察した結果、粒子周辺部には一粒子当
たり10本以上の転位線が観察された。(得られたハロ
ゲン化銀乳剤Em-A1〜A20の特性は実施例3の(表5)
に示した。)。
【0245】(Em−A2〜A7)化学増感時、化合物
11および12を添加する前(添加パターンAとする)
に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量
に対して(表1)の如き含有量になるように添加した以
外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A2〜A
7を得た。
【0246】(Em−A8〜A13)化学増感終了後、
化合物13および14を添加する前(添加パターンBと
する)に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中
の銀量に対して(表1)の如き含有量になるように添加
した以外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A
8〜A13を得た。
【0247】(Em−A14〜A20)化合物13およ
び14を添加後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで
降温した後(添加パターンCとする)に本発明の化合物
あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表1)
の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−A
1)と同様にして乳剤Em−A14〜A20を得た。
【0248】
【表1−1】
【0249】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記表Aに示すような塗布条件で、前記
の乳剤A1〜A20の塗布を行い、試料101〜120を作成し
た。
【0250】
【表1−2】
【0251】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオ
フ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現
像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定する
ことにより写真性能の評価を行った。また、各試料を5
0℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の
処理を施した。
【0252】富士写真フイルム(株)製ネガプロセサー
FP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補
充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理し
た。 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分45秒 38℃ 45mL 漂 白 1分00秒 38℃ 20mL 漂白液オーバーフローは 漂白定着タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30mL 水洗 (1) 40秒 35℃ (2) から(1) への 向流配管方式 水洗 (2) 1分00秒 35℃ 30mL 安 定 40秒 38℃ 20mL 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)
【0253】次に、処理液の組成を記す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10
【0254】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH3)2N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH3)2・2HCl アンモニア水(27%) 15.0mL 水を加えて 1.0L pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3
【0255】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/L) 240.0mL 400.0mL アンモニア水(27%) 6.0mL − 水を加えて 1.0L 1.0L pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3
【0256】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化
イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウ
ム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.5〜
7.5の範囲にあった。
【0257】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5
【0258】写真性能の結果を、下記の表2に示す。感
度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要
な露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試料101
を基準:100とした)。
【0259】
【表2】
【0260】表2から、本発明の化合物は比較化合物に
対し、少ない使用量にもかかわらずA、B、Cいずれの添
加パターンにおいても感度上昇効果が大きく、かつ未露
光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃
80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本
発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下
が小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0261】(実施例2)以下の製法によりハロゲン化
銀乳剤Em−Q1からQ15を調製した。 (Em−Q1)フタル化率97%の分子量100000
のフタル化ゼラチン,0.38g、KBr,0.99g
を含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調
整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水
溶液とKBr,1.97g、KI,0.172gを含む
水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。
熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含
有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸
で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添
加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99
g、NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.
3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジ
ェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を
飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgN
3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブル
ジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるよう
に流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em
−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含
有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して
添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。AgN
3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液
をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終
了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の
添加を調整した。
【0262】ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2m
gを添加した後、KBrを添加して銀電位を−100m
Vに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算
で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3
88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡り添加し
た。添加終了時の電位が+60mVになるようにKBr
水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチンを添加
し40℃でpH6.5,pAg、8.2に調整した。化
合物11および12を添加した後、61℃に昇温した。
増感色素15、16および17を添加した後、K2Ir
Cl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナ
トリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適
に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および1
4を添加した。
【0263】
【化42】
【0264】
【化43】
【0265】
【化44】
【0266】(Em−Q2〜Q15)化合物13および1
4を添加後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで降温
した後(実施例1同様、添加パターンCとする)に本発
明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対し
て(表3)の如き含有量になるように添加した以外は、
(Em−Q1)と同様にして乳剤Em−Q2〜Q15を得
た。(得られたハロゲン化銀乳剤Em-Q1〜Q15の特性
は実施例3の(表5)に示した。)
【表3】
【0267】実施例1と同様な方法で前期の乳剤Q1〜Q1
5の塗布を行い、試料201〜215を作成した。これらの試
料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処
理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフ
ィルターSC−50(カットオフ波長が500nmである長
波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100
秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行なった
試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性
能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの
条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。写
真性能の結果を、下記の表4に示す。感度はかぶり濃度
プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数
の対数の相対値で表示した(試料201を基準:100
とした)。
【0268】
【表4】
【0269】表4から、緑感性ハロゲン化銀写真乳剤に
おいても本発明の化合物は比較化合物に対し、少ない使
用量にもかかわらず感度上昇効果が大きく、かつ未露光
部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃8
0%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発
明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が
小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0270】(実施例3) (Em−A1)(高感度青感性層用乳剤) 実施例1で調
製した。 (Em−B)(低感度青感性層用乳剤) 低分子量ゼラチン0.96g、KBr,0.9gを含む
水溶液1192mLを40℃に保ち、激しく攪拌した。A
gNO3,1.49gを含む水溶液37.5mLとKBr
を1.5g含む水溶液37.5mLをダブルジェット法で
30秒間に渡り添加した。KBrを1.2g添加した
後、75℃に昇温し熟成した。充分熟成した後、アミノ
基をトリメリット酸で化学修飾した分子量100000
のトリメリット化ゼラチン,30gを添加し、pHを7
に調整した。二酸化チオ尿素6mgを添加した。AgN
3,29gを含む水溶液116mLとKBr水溶液をダ
ブルジェット法で最終流量が初期流量の3倍になるよう
に流量加速して添加した。この時、銀電位を飽和カロメ
ル電極に対して−20mVに保った。AgNO3,11
0.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダ
ブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になる
ように流量加速して30分間に渡り添加した。この時、
Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化
銀含有率が15.8mol%になるように同時に流量加
速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して
0mVに保った。AgNO3,24.1gを含む水溶液
96.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間
に渡り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エ
チルチオスルホン酸ナトリウム,26mgを添加した
後、55℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−
90mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI
質量換算で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAg
NO3,57gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添
加した。この時、添加終了時の電位が+20mVになる
ようにKBr水溶液で調整した。Em−A1とほぼ同様
に水洗し、化学増感した。
【0271】(Em−C)(低感度青感性層用乳剤) 1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量
100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン
1.02g、KBr0.97gを含む水溶液1192mL
を35℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO3,4.4
7gを含む水溶液,42mLとKBr,3.16g含む水
溶液,42mLをダブルジェット法で9秒間に渡り添加し
た。KBrを2.6g添加した後、66℃に昇温し、充
分熟成した。熟成終了後、Em−Bの調製で使用した分
子量100000のトリメリット化ゼラチン41.2g
とNaCl,18.5gを添加した。pHを7.2に調
整した後、ジメチルアミンボラン,8mgを添加した。
AgNO3,26gを含む水溶液203mLとKBr水溶
液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.8倍
になるように添加した。この時、銀電位を飽和カロメル
電極に対して−30mVに保った。
【0272】AgNO3,110.2gを含む水溶液4
40.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24
分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用
したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol
%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位
を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1N
のチオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した
後、AgNO3,24.1gを含む水溶液153.5mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡
り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KB
r水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前
述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加
した。添加終了後、直ちにAgNO3,57gを含む水
溶液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加
終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で
調整した。Em−A1とほぼ同様に水洗し、化学増感し
た。
【0273】(Em−D)(低感度青感性層乳剤) Em−Cの調製において核形成時のAgNO3添加量を
2.0倍に変更した。そして,最終のAgNO3,57
gを含む水溶液404mLの添加終了時の電位が+90m
VになるようにKBr水溶液で調整するように変更し
た。それ以外はEm−Cとほぼ同様にして調製した。
【0274】(Em−E)(480〜550nmに分光感度
ピークを有するマゼンタ発色層) (赤感性層に重層効果を与える層)分子量15000の
低分子量ゼラチン,0.71g、KBr,0.92g,
Em−A1の調製で使用した変成シリコンオイル0.2
gを含む水溶液1200mLを39℃に保ち、pHを1.
8に調整し激しく攪拌した。AgNO3,0.45gを
含む水溶液と1.5mol%のKIを含むKBr水溶液
をダブルジェット法で17秒間に渡り添加した。この
時、KBrの過剰濃度を一定に保った。56℃に昇温し
熟成した。充分熟成した後、1g当たり35μmolの
メチオニンを含有する分子量100000のフタル化率
97%のフタル化ゼラチン20gを添加した。pHを
5.9に調整した後、KBr,2.9gを添加した。A
gNO3,28.8gを含む水溶液288mLとKBr水
溶液をダブルジェット法で53分間に渡り添加した。こ
の時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤を
ヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添
加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60m
Vに保った。KBr,2.5gを添加した後、AgNO
3,87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジ
ェット法で最終流量が初期流量の1.2倍になるように
流量加速して63分間に渡り添加した。この時、上述の
AgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が10.5mol%
になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を
−70mVに保った。二酸化チオ尿素,1mgを添加し
た後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLと
KBr水溶液をダブルジェット法で25分間に渡り添加
した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKB
r水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナ
トリウム,2mgを添加した後、pHを7.3に調整し
た。KBrを添加して銀電位を−70mVに調整した
後、上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73
g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,66.4
gを含む水溶液609mLを10分間に渡り添加した。添
加初期の6分間はKBr水溶液で銀電位を−70mVに
保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH
6.5,pAg,8.2に調整した。化合物11および
12を添加した後、56℃に昇温した。上述したAgI
微粒子乳剤を銀1molに対して0.0004mol添
加した後、増感色素13および14を添加した。チオシ
アン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,
N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感し
た。化学増感終了時に化合物13および14を添加し
た。
【0275】
【化45】
【0276】
【化46】
【0277】(Em−F)(中感度緑感性層用乳剤) Em−Eの調製において核形成時のAgNO3添加量を
3.1倍に変更した以外はEm−Eとほぼ同様にして調
製した。但しEm−Eの増感色素を増感色素15,16
および17に変更した。
【0278】
【化47】
【0279】
【化48】
【0280】
【化49】
【0281】(Em−G)(低感度緑感性層用乳剤) 分子量15000の低分子量ゼラチン0.70g,KB
r,0.9g,KI,0.175g,Em−A1の調製
で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1
200mLを33℃に保ち,pHを1.8に調製し激しく
攪拌した。AgNO3,1.8gを含む水溶液と3.2
mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法
で9秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を
一定に保った。69℃に昇温し熟成した。熟成終了後、
1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量
100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾し
たトリメリット化ゼラチン27.8gを添加した。pH
を6.3に調製した後、KBr,2.9gを添加した。
AgNO3,27.58gを含む水溶液270mLとKB
r水溶液をダブルジェット法で37分間に渡り添加し
た。この時、分子量15000の低分子量ゼラチン水溶
液とAgNO3水溶液とKI水溶液を特開平10−43
570号に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有す
る別のチャンバ−内で添加前直前混合して調製した粒子
サイズ0.008μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含
有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ
銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保っ
た。KBr,2.6gを添加した後、AgNO3,8
7.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット
法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量加
速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加前
直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有
率が7.9mol%になるように同時に流量加速し、か
つ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素,1m
gを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液
132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分間
に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになる
ようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温
し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位
を−60mVにした。Em−A1の調製で使用したAg
I微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添
加終了後、直ちにAgNO3,66.4gを含む水溶液
321mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間は
KBr水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−F
とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0282】(Em−H)(低感度緑感性層用乳剤) イオン交換した分子量100000のゼラチン17.8
g,KBr,6.2g,KI,0.46gを含む水溶液
を45℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,11.8
5gを含む水溶液とKBrを3.8g含む水溶液をダブ
ルジェット法で47秒間に渡り添加した。63℃に昇温
後、イオン交換した分子量100000のゼラチン2
4.1gを添加し、熟成した。充分熟成した後、AgN
3,133.4gを含む水溶液とKBr水溶液をダブ
ルジェット法で最終流量が初期流量の2.6倍になるよ
うに20分間に渡って添加した。この時、銀電位を飽和
カロメル電極に対して+40mVに保った。また添加開
始10分後にK2IrCl6を0.1mg添加した。Na
Clを7g添加した後、AgNO3を45.6g含む水
溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で12分間に渡
って添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。
また添加開始から6分間に渡って黄血塩を29mg含む
水溶液100mLを添加した。KBrを14.4g添加し
た後、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤を
KI質量換算で6.3g添加した。添加終了後、直ちに
AgNO3,42.7gを含む水溶液とKBr水溶液を
ダブルジェット法で11分間に渡り添加した。この時、
銀電位を+90mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水
洗し、化学増感した。
【0283】(Em−I)(低感度緑感性層用乳剤) Em−Hの調製において核形成時の温度を38℃に変更
した以外はほぼ同様にして調製した。
【0284】(Em−J1)(高感度赤感性層用乳剤) フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラ
チン,0.38g,KBr,0.99gを含む水溶液1
200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌
した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,
1.97g,KI,0.172gを含む水溶液をダブル
ジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1
g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量1
00000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾した
トリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを
5.9に調整した後、KBr,2.99g,NaCl
6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水
溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3
5分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル
電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.
6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で
最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速し
て37分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製
で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5
mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ
銀電位を−50mVに保った。
【0285】二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した
後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとK
Br水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加し
た。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKB
r水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナ
トリウム,2mgを添加した後、KBrを添加して銀電
位を−100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤
をKI質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ち
にAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを8分
間に渡り添加した。添加終了時の電位が+60mVにな
るようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、
ゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg,8.2
に調整した。化合物11および12を添加した後、61
℃に昇温した。増感色素18、19、20、21および
22を添加した後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチル
セレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終
了時に化合物13および14を添加した。
【0286】
【化50】
【0287】
【化51】
【0288】
【化52】
【0289】
【化53】
【0290】(Em−K)(中感度赤感性層用乳剤) 分子量15000の低分子量ゼラチン4.9g、KB
r,5.3gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち激
しく攪拌した。AgNO3,8.75gを含む水溶液2
7mLとKBr,6.45gを含む水溶液36mLを1分間
に渡りダブルジェット法で添加した。77℃に昇温した
後、AgNO3,6.9gを含む水溶液21mLを2.5
分間に渡り添加した。NH4NO3,26g、1N,Na
OH,56mLを順次、添加した後、熟成した。熟成終了
後pHを4.8に調製した。AgNO3,141gを含
む水溶液438mLとKBrを102.6g含む水溶液4
58mLをダブルジェット法で最終流量が初期流量の4倍
になるように添加した。55℃に降温した後、AgNO
3,7.1gを含む水溶液240mLとKIを6.46g
含む水溶液をダブルジェット法で5分間に渡り添加し
た。KBrを7.1g添加した後、ベンゼンチオスルホ
ン酸ナトリウム,4mgとK2IrCl6,0.05mg
添加した。AgNO3,57.2gを含む水溶液177m
LとKBr,40.2gを含む水溶液,223mLを8分
間に渡ってダブルジェット法で添加した。Em−J1と
ほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0291】(Em−L)(中感度赤感性層用乳剤) Em−Kの調製において核形成時の温度を42℃に変更
した以外は、ほぼ同様にして調製した。 (Em−M、N、O)(低感度赤感性層用乳剤) Em−HまたはEm−Iとほぼ同様にして調製した。但
し化学増感はEm−J1とほぼ同様の方法で行った。 (Em-P1)(高感度緑感性層用乳剤) Em-J1に対して、増感色素を15、16および17に変
更して化学増感を最適に行ってEm-P1を得た。このよう
にして得られたハロゲン化銀乳剤Em-A1〜Q15の特
性を(表5)に示す。
【0292】
【表5】
【0293】また、本発明の乳化物の調製処方の概略を
以下に示す。10%のゼラチン溶液に、カプラーを酢酸
エチルに溶解した溶液、高沸点有機溶媒、および界面活
性剤を添加し、混合したホモジナイザー(日本精機)を
用いて乳化し、乳化物を得る。 1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー10
0質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.3
26(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2質
量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイか
ら押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、続い
て130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃
で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポリエチレ
ンナフタレート)フィルムを得た。なおこのPENフィ
ルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロー染料
(公開技法:公技番号94−6023号記載のI−1、
I−4、I−6、I−24、I−26、I−27、II−
5)を適当量添加した。さらに、直径20cmのステン
レス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間の熱履歴
を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0294】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2、ソウジウムα−スルホジ−2−
エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチ
ル酸0.04g/m2、p−クロロフェノール0.2g
/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH
20.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリ
ン重縮合物0.02g/m2の下塗液を塗布して(10m
L/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面側
に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーン
のローラーや搬送装置はすべて115℃となってい
る)。
【0295】3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。 3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次
凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチ
ン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2
HCO)2CH20.02g/m2、ポリ(重合度10)
オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005g/
2及びレゾルシンと塗布した。 3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキ
シトリメトキシシラン(15質量%)で被覆処理された
コバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸
0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89Am2
/kg、Fe+2/Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ
酸化珪素で酸化鉄の2質量%で処理されている)0.0
6g/m2をジアセチルセルロース1.2g/m2(酸化
鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施し
た)、硬化剤としてC25C(CH2OCONH−C6
3(CH3)NCO)30.3g/m2を、溶媒としてアセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いて
バーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層を
得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3−
ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシト
リメトキシシラン(15質量%)で処理被覆された研磨
剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg/
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実施
した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層
のDBの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の飽
和磁化モーメントは4.2Am2/kg、保磁力7.3
×104A/m、角形比は65%であった。
【0296】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/
2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,
9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物
は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/
1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチ
ルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、ア
セトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから
添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と
研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆され
た酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った
(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステ
ンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静
摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面
と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であっ
た。
【0297】4)感光層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料30
1を作成した。また乳剤A1をA2〜A20に置き換えた試料を
それぞれ試料302〜320とする。 (感光層の組成)各層に使用する素材の主なものは下記
のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている) 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示
す。
【0298】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.155 0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2) 銀 0.01 ゼラチン 0.87 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 HBS−1 0.004 HBS−2 0.002
【0299】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.066 ゼラチン 0.407 ExM−1 0.050 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.074 固体分散染料 ExF−2 0.015 固体分散染料 ExF−3 0.020
【0300】 第3層(中間層) 0.07μmのAgBrI(2) 0.020 ExC−2 0.022 HBS−1 0.068 Cpd−1 0.075 ポリエチルアクリレートラテックス 0.085 ゼラチン 0.294
【0301】 第4層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.065 沃臭化銀乳剤N 銀 0.100 沃臭化銀乳剤O 銀 0.158 ExC−1 0.109 ExC−3 0.044 ExC−4 0.072 ExC−5 0.011 ExC−6 0.003 ExC−8 0.052 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.17 ゼラチン 0.80
【0302】 第5層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤K 銀 0.21 沃臭化銀乳剤L 銀 0.62 ExC−1 0.14 ExC−2 0.026 ExC−3 0.020 ExC−4 0.12 ExC−5 0.016 ExC−6 0.007 ExC−8 0.007 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.16 ゼラチン 1.18
【0303】 第6層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤J1 銀 1.67 ExC−1 0.18 ExC−3 0.07 ExC−6 0.047 Cpd−2 0.046 Cpd−4 0.077 HBS−1 0.25 HBS−2 0.12 ゼラチン 2.12
【0304】 第7層(中間層) Cpd−1 0.089 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.83 ゼラチン 0.84
【0305】 第8層(重層効果ドナー層(赤感層へ重層効果を与える層)) 沃臭化銀乳剤E 銀 0.560 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.096 ExM−3 0.028 ExY−1 0.031 ExG−1 0.006 HBS−1 0.085 HBS−3 0.003 ゼラチン 0.58
【0306】 第9層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤G 銀 0.39 沃臭化銀乳剤H 銀 0.28 沃臭化銀乳剤I 銀 0.35 ExM−2 0.36 ExM−3 0.045 ExC−9 0.008 ExG−1 0.005 HBS−1 0.28 HBS−3 0.01 HBS−4 0.27 ゼラチン 1.39
【0307】 第10層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤F 銀 0.20 沃臭化銀乳剤G 銀 0.25 ExC−6 0.005 ExC−9 0.004 ExC−8 0.005 ExM−2 0.031 ExM−3 0.029 ExY−1 0.006 ExM−4 0.028 ExG−1 0.005 HBS−1 0.064 HBS−3 2.1×10-3 ゼラチン 0.44
【0308】 第11層(高感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤P1 銀 1.200 ExC−6 0.003 ExC−9 0.002 ExC−8 0.007 ExM−1 0.016 ExM−3 0.036 ExM−4 0.020 ExM−5 0.004 ExY−5 0.008 ExM−2 0.013 Cpd−4 0.007 HBS−1 0.18 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 1.11
【0309】 第12層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.047 Cpd−1 0.16 染料ExF−5 0.010 固体分散染料ExF−6 0.010 HBS−1 0.082 ゼラチン 1.057
【0310】 第13層(低感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤B 銀 0.18 沃臭化銀乳剤C 銀 0.20 沃臭化銀乳剤D 銀 0.07 ExC−1 0.041 ExC−7 0.012 ExY−1 0.035 ExY−2 0.71 ExY−3 0.10 ExY−4 0.005 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.24 ゼラチン 1.41
【0311】 第14層(高感度青感乳剤層) 実施例1の乳剤A1 銀 0.75 ExC−1 0.013 ExY−2 0.31 ExY−3 0.05 ExY−6 0.062 Cpd−2 0.075 Cpd−3 1.0×10-3 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.91
【0312】 第15層(第1保護層) 0.07μmのAgBrI(2) 銀 0.30 UV−1 0.21 UV−2 0.10 UV−3 0.18 UV−4 0.025 UV−5 0.07 F−18 0.009 F−19 0.005 HBS−1 0.12 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 2.3
【0313】 第16層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径1.7μm) 0.15 B−3 0.05 S−1 0.20 ゼラチン 0.75
【0314】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、B−4ないしB−6、F−1ない
しF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウ
ム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム塩が含有
されている。また、第8層の塗布液にハロゲン化銀1モ
ル当たり8.5×10-3グラム、第11層に7.9×1
-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水溶液で添加
し、試料を作製した。更に帯電防止性を良くするために
W−1、W−6、W−7、W−8を少なくとも1種含有
しており、塗布性を良くするためW−2、W−5を少な
くとも1種含有している。
【0315】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエト
キシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水
溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエー
テル(重合度10)0.5gとを700mLのポットミル
に入れ、染料ExF−2を5.0gと酸化ジルコニウム
ビーズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時
間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボー
ルミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5
%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除
き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒
径は0.44μmであった。
【0316】同様にして、ExF−4の固体分散物を得
た。染料微粒子の平均粒径は0.45μmであった。E
xF−3は欧州特許出願公開(EP)第549,489
A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microp
recipitation)分散方法により分散した。
平均粒径は0.06μmであった。
【0317】ExF−6の固体分散物を以下の方法で分
散した。水を18%含むExF−6のウェットケーキ2
800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を37
6g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラリー
とした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコミル
(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビー
ズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m
/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕した。
上記各層の形成に用いた化合物は、以下に示すとおりで
ある。
【0318】
【化54】
【0319】
【化55】
【0320】
【化56】
【0321】
【化57】
【0322】
【化58】
【0323】
【化59】
【0324】
【化60】
【0325】
【化61】
【0326】
【化62】
【0327】
【化63】
【0328】
【化64】
【0329】
【化65】
【0330】
【化66】
【0331】
【化67】
【0332】試料の評価法は以下の通り。富士フイルム
(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波
長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続
ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士写真
フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下に
より行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流
さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行った。こ
のFP−360Bは発明協会公開技法94−4992号
に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0333】処理工程及び処理液組成を以下に示す。 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5L 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3L 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当) 安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であ
り、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導
入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液
の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への
持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞ
れ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。また、クロ
スオーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前
工程の処理時間に包含される。上記処理機の開口面積は
発色現像液で100cm2、漂白液で120cm2、その
他の処理液は約100cm2であった。
【0334】以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18
【0335】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0
【0336】 (定着(1)タンク液) 上記漂白タンク液と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液 (pH6.8)。
【0337】 (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL (750g/L) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45
【0338】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3m
g/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナ
トリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/L
を添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあ
った。
【0339】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5
【0340】試料301〜320に対して前記処理を施
した。また、試料を50℃80%RHの条件下で3日間
経時したものも同様の処理を施した。処理済の試料を青
色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価
を行った。得られた結果を(表6)に示す。得られた結
果を(表6)に示す(試料301を基準:100とし
た)。
【0341】
【表6】
【0342】表6から、フルカラーハロゲン化銀写真材
料においても本発明の化合物は比較化合物に対し、少な
い添加量にもかかわらずA、B、Cいずれの添加パターン
においても感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度
(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの
条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物
は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、か
つ低被りであることがわかる。
【0343】以上の結果から、本発明の化合物を使用す
ることにより高感度かつ低かぶり、および生保存後の減
感が少なく、被り増加が少ないハロゲン化銀写真感光材
料が得られることが分かる。
【0344】(実施例4)以下の製法によりハロゲン化
銀乳剤Em-R1からR10を調製した。 (Em-R1)特開2001−228572の実施例1に記載の乳剤1
−Gに対し、以下の変更を行い、乳剤Em-R1を調製した。 増感色素を増感色素11と増感色素23に変更する。 化学増感において塩化金酸の代わりに化合物15を、
チオ硫酸ナトリウムの代わりに1,3-ジメチル-1,3-ジカ
ルボキシメチルチオ尿素を用いる。
【0345】
【化68】
【0346】
【化69】
【0347】乳剤Em-R1は特開2001−228572の実施例1
に記載の乳剤1−Gと同様、平均円相当径は1.28μm、平
均粒子厚みは0.088μm、平均アスペクト比14.5の平板粒
子であった。また、全投影面積の50%以上が円相当径
1.0μm以上、粒子厚み0.10μm以下であり、粒子フリン
ジ部に1粒子当たり30本以上の転位線を含む粒子で占
められていた。
【0348】(Em-R2〜R10)化合物MER-1とMER-2を添加
後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで降温した後に
本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に
対して(表7)の如き含有量になるように添加した以外
は、(Em-R1)と同様にして乳剤Em-R2〜R10を得た。
【0349】
【化70】
【0350】実施例1と同様な方法で前記の乳剤Em-R1〜
R10の塗布を行い、試料401〜410を作成した。これらの
試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜
処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチン
フィルターSC−39(カットオフ波長が390nmで
ある長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して
1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行
なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより
写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%
RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施し
た。写真性能の結果を、下記の表7に示す。感度はかぶ
り濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量
の逆数の対数の相対値で表示した(試料401を基準:
100とした)。
【0351】
【表7】
【0352】表7から、反応容器外部に設けた混合機で
調製したハロゲン化銀微粒子を添加することにより粒子
成長させ製造したハロゲン化銀写真乳剤においても本発
明の化合物は比較化合物に対し、少ない使用量にもかか
わらず感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被
り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条
件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は
比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ
低被りであることがわかる。
【0353】(実施例5)以下の製法によりハロゲン化
銀乳剤Em-S1からS11を調製した。 (Em-S1)特開2001−159799の実施例1に記載の乳剤b
に対し、以下の変更を行い、乳剤Em-S1を調製した。 増感色素を増感色素11に変更する。 化学増感において塩化金酸の代わりに化合物15を、
チオ硫酸ナトリウムの代わりに1,3,3-トリメチル-1-カ
ルボキシメチルチオ尿素を用いる。
【0354】乳剤Em-S1は特開2001−159799の実施例1
に記載の乳剤bと同様、平均円相当径 4.1μm、円相当
系の変動係数21%、平均厚み0.090μm、平均アスペクト
比46の平板粒子であった。また、全投影面積の70%以
上が円相当径4.1μm以上、粒子厚み0.090μm以下の粒子
で占められていた。
【0355】(Em-S2〜S11)化学増感終了後、乳剤の温
度を40℃まで降温した後に本発明の化合物あるいは比較
例化合物を乳剤中の銀量に対して(表8)の如き含有量
になるように添加した以外は、(Em-S1)と同様にして
乳剤Em-S2〜S11を得た。
【0356】実施例1と同様な方法で前記の乳剤Em-S1〜
S11の塗布を行い、試料501〜511を作成した。これらの
試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜
処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチン
フィルターSC−39(カットオフ波長が390nmで
ある長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して
1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行
なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより
写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%
RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施し
た。
【0357】写真性能の結果を、下記の表8に示す。感
度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要
な露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試料501
を基準:100とした)。
【0358】
【表8】
【0359】表8から、反応容器外部に設けた混合機で
調製したヨウ化銀微粒子を添加することによりヨウ化物
イオンを供給して製造したハロゲン化銀写真乳剤において
も本発明の化合物は比較化合物に対し、感度上昇効果が
大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわか
る。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した
試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生
保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわ
かる。
【0360】実施例6 以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em-T1からT15を調製
した。 (Em-T1)特開2001−235821の実施例1に記載のホスト
乳剤eを同特許実施例1記載のエピタキシャル沈着方法
によりエピタキシャル沈着、調製した乳剤に対し、以
下の変更を行い乳剤Em-T1を調製した。 エピタキシャル沈着において使用する増感色素を増感
色素11と23に変更する。
【0361】乳剤Em-T1は特開2001−235821の実施例1
に記載の乳剤eと同様のホスト粒子、すなわち、平均円
相当径は4.2μm、円相当径の変動係数19%、平均粒子厚
み0.062μm、平均アスペクト比68の平板粒子であった。
また、全投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺
の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が1.4
以下である六角形平板粒子で占められていた。エピタキ
シャル沈着した乳剤の平均ヨウ化銀含有率は4.5mol%、
平均塩化銀含有率は1.2mol%であった。
【0362】(Em-T2〜T15)化学増感終了後、乳剤の温
度を40℃まで降温した後に本発明の化合物あるいは比較
例化合物を乳剤中の銀量に対して(表9)の如き含有量
になるように添加した以外は、(Em-T1)と同様にして
乳剤Em-T2〜T15を得た。実施例1と同様な方法で前記の
乳剤Em-T1〜T15の塗布を行い、試料601〜615を作成し
た。
【0363】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオ
フ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、実施例1
と同様な現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃
度測定することにより写真性能の評価を行った。また、
各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したも
のも同様の処理を施した。写真性能の結果を、下記の表
9に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達
するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した
(試料601を基準:100とした)。
【0364】
【表9】
【0365】表9から、エピタキシャル接合を有する平
板粒子からなる乳剤においても本発明の化合物は比較化
合物に対し、感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃
度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%R
Hの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化
合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さ
く、かつ低被りでであることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅沼 直樹 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 水野 雅文 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H023 CA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1電子酸化されて生成する1電子酸化体
    が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上
    の電子を放出し得る化合物を、少なくとも1つ含むこと
    を特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】 1電子酸化されて生成する1電子酸化体
    が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上
    の電子を放出し得る化合物により化学増感されたハロゲ
    ン化銀乳剤。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化銀乳剤が露光されることを引
    き金に、請求項1または2に記載の化合物が1電子酸化
    されることを特徴とする、請求項1または2に記載のハ
    ロゲン化銀乳剤。
  4. 【請求項4】 前記化合物が、下記一般式(1)で表さ
    れることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載
    のハロゲン化銀乳剤。 一般式(1) 【化1】 式中RED1は1電子酸化され得る還元性基を表し、L1
    は脱離基を表す。R2は水素原子または置換基を表す。
    1は炭素原子(C)およびRED1と共に、特定の5員もし
    くは6員の環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。
    ここに特定の5員もしくは6員の環状構造とは、5員も
    しくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテト
    ラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体
    に相当する環構造を意味する。
  5. 【請求項5】 前記化合物が、下記一般式(2)で表さ
    れることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載
    のハロゲン化銀乳剤。 一般式(2) 【化2】 式中RED2は1電子酸化され得る還元性基を表し、L2
    は、脱離基を表す。R20およびR21は、それぞれ水素原
    子または置換基を表す。ED2は電子供与性基を表す。
    一般式(2)においてR21とRED2、R21とR20、ま
    たはED2とRED 2とは、互いに結合して環状構造を形
    成していてもよい。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の化合物が、分子内
    にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物であること
    を特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲ
    ン化銀乳剤。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の化合物が、部分構造と
    してメルカプト基を分子内に2つ以上有する化合物であ
    ることを特徴とする、請求項6に記載のハロゲン化銀乳
    剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7に記載の化合物が、分子内
    に分光増感色素の部分構造を有することを特徴とする請
    求項1〜7に記載のハロゲン化銀乳剤。
  9. 【請求項9】 1電子酸化されて生成する1電子酸化体
    が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上
    の電子を放出し得る化合物を、少なくとも1つ含むこと
    を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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