JP2003114440A - 液晶素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶素子およびその製造方法

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JP2003114440A
JP2003114440A JP2001308964A JP2001308964A JP2003114440A JP 2003114440 A JP2003114440 A JP 2003114440A JP 2001308964 A JP2001308964 A JP 2001308964A JP 2001308964 A JP2001308964 A JP 2001308964A JP 2003114440 A JP2003114440 A JP 2003114440A
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ferroelectric
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ferroelectric liquid
electrodes
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JP2001308964A
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Makoto Gomyo
誠 五明
Kazuhiro Suzuki
一広 鈴木
Masaaki Araki
雅昭 荒木
Yasunori Saito
泰則 斎藤
Eiji Nishikawa
英二 西川
Tsunemasa Mita
恒正 三田
Toshihiro Iwakuma
俊裕 岩隈
Hitoshi Kuma
均 熊
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶素子の機械的強度を向上させることがで
きると共に、表示むらの発生を十分防止できる液晶素子
及びその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、少なくとも一方が透明な2枚
の電極付プラスチック基板間に強誘電性液晶層を挟持し
た液晶素子において、前記強誘電性液晶層が、未硬化時
25℃におけるバルク粘度が3,000〜1,500,
000cpsである粘性樹脂、および25℃において固
体であり数平均分子量が1,000〜10,000であ
る熱可塑性樹脂の混合物からなる非液晶性高分子物質を
含む強誘電性液晶組成物と、スペーサとを含むことを特
徴とする。この発明によれば、液晶素子の機械的強度を
向上させることが可能となり、また、経時的な表示欠陥
発生及び急激な温度変化による表示むらを十分に防止す
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶素子およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】2枚の基板の間に液晶層を挟持した液晶素
子には様々な外力が加えられることがあるため、その機
械的強度の向上が求められている。液晶素子の機械的強
度を向上させることについては、生産ラインの歩留り向
上のため様々な検討がなされている。例えばプラスチッ
ク基板を用いた強誘電性液晶素子については、液晶素子
の機械的強度を保つために、強誘電性高分子液晶に接着
剤(硬化型樹脂)を添加した後にその接着剤をUV等で
硬化する方法(例えば特開平2−219861号公報)
や、硬化型樹脂の代わりに熱可塑性樹脂を用い、その熱
可塑性樹脂を強誘電性液晶組成物に添加して液晶素子の
機械的強度の向上を図る方法(例えば特開平2−188
719号公報、特開平8−320470号公報)が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た特開平2−219861号公報に記載の方法では、硬
化型樹脂は、硬化前は粘ちょうな液体であるため、電界
を印加しながら強誘電性液晶を配向した後UV等で硬化
させるまで機械的強度を保つことができず、製造中に強
誘電性液晶の配向を乱すことがあった。従って、UV等
で硬化型樹脂を硬化させて機械的強度を向上させること
ができても、液晶素子に表示むらが発生する場合があっ
た。
【0004】また、上記特開平2−188719号公
報、特開平8−320470号公報に記載の方法では、
電界印加時の剪断応力により強誘電性液晶分子を配向さ
せる過程において、硬い熱可塑性樹脂と液晶組成物との
間の応力による移動差が生じ、空隙を発生させる。この
空隙は、できた当初は真空に近い状態であるが、経時的
に空気が混入し、表示むらの原因となるため、液晶素子
の耐久性能が十分でない。
【0005】更に、上記3つの公報に記載の方法には、
共通する問題点として、液晶素子の熱的な耐久性に劣る
という問題点があった。すなわち、液晶素子に対しては
通常、急激な温度変化に対する耐久性があるかどうかを
調べるため、熱衝撃試験が行われる。上記公報に記載の
発明によって得られる液晶素子について熱衝撃試験を行
うと、表示面内にコントラストのむら、即ち表示むらが
発生する場合があった。
【0006】本発明の目的は、液晶素子の機械的強度を
向上させることができると共に、表示むらの発生を十分
に防止できる液晶素子及びその製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の電極付プ
ラスチック基板間に強誘電性液晶層を挟持した液晶素子
において、前記強誘電性液晶層が、未硬化時25℃にお
けるバルク粘度が3,000〜1,500,000cp
sである粘性樹脂、および25℃において固体であり数
平均分子量が1,000〜10,000である熱可塑性
樹脂の混合物からなる非液晶性高分子物質を含む強誘電
性液晶組成物と、前記2枚の電極付きプラスチック基板
の間隔を一定に保つスペーサとを含むことを特徴とす
る。
【0008】この発明によれば、液晶素子の機械的強度
を向上させることが可能となり、また、経時的な表示欠
陥発生や急激な温度変化による表示むらの発生を十分に
防止することも可能となる。
【0009】また、本発明は、上記液晶素子の製造方法
において、上記2枚の電極付きプラスチック基板のうち
少なくとも一方の電極形成面の水接触角の最大値と最小
値との差が10°以下となるように前記電極形成面を洗
浄する洗浄工程と、前記強誘電性液晶組成物および前記
スペーサを溶媒中に含有する液晶溶液を上記2枚の電極
付きプラスチック基板のうち一方の電極付きプラスチッ
ク基板上に塗布し前記液晶溶液から溶媒を蒸発させて前
記強誘電性液晶層を形成する塗布工程と、前記強誘電性
液晶層を熱処理して前記強誘電性液晶組成物中の液晶材
料と非液晶性高分子物質との相分離を促進させる相分離
工程と、前記強誘電性液晶層上に上記2枚の電極付きプ
ラスチック基板のうち他方の電極付きプラスチック基板
を積層する積層工程と、前記強誘電性液晶層に配向処理
を施す配向処理工程と、前記強誘電性液晶層中の前記非
液晶性高分子物質を前記2枚の電極付きプラスチック基
板に接着させる接着工程とを含むことを特徴とする液晶
素子の製造方法である。
【0010】この製造方法によれば、液晶層に配向処理
を施した後、非液晶性高分子物質を2枚の電極付きプラ
スチック基板に接着させるまで機械的強度を保つことが
可能となり、液晶材料と非液晶性高分子物質との相分離
によって得られる非液晶性高分子物質領域の大きさが電
極形成面の場所によらず均一となり、得られる液晶素子
に対して熱衝撃試験を行っても、補強材周辺の液晶の配
向が乱されず、液晶素子の表示面のコントラストのむら
を十分に小さくすることが可能となる。従って、得られ
る液晶素子について、機械的強度の向上及び表示むらの
発生防止を図ることができる。また、強誘電性液晶分子
を配向させる過程において、熱可塑性樹脂と液晶材料と
の間の応力による移動差の発生を防止でき、空隙の発生
を十分に防止できる。従って、時間の経過とともに表示
むらが発生するという事態を十分に防止することができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】まず本発明の液晶素子について説
明する。
【0012】本発明による液晶素子は、少なくとも一方
が透明な2枚の電極付きプラスチック基板と、前記基板
間に挟持された強誘電性液晶層とを備える。
【0013】強誘電性液晶層は、強誘電性液晶組成物と
スペーサとを含んでおり、強誘電性液晶組成物は、強誘
電性液晶材料と、未硬化時25℃におけるバルク粘度が
3,000cps〜1,500,000cpsである粘
性樹脂及び25℃において固体であり数平均分子量が
1,000〜10,000である熱可塑性樹脂の混合物
からなる非液晶性高分子物質とを含む。
【0014】(電極付きプラスチック基板)電極付きプ
ラスチック基板は、光学的異方性が無く透明で可撓性を
有するものであれば、公知の材料を用いることができ、
例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリカーボネート(PC)、ポリエス
テルなどの透明プラスチック基板が利用できる。
【0015】基板の表面には、酸化インジウム、スズド
ープ酸化インジウム、あるいは酸化錫などからなる透明
電極が形成されている。透明電極は、スパッタリング法
やイオンビーム蒸着法など公知の方法を用いて製膜する
ことにより形成することができる。
【0016】透明電極上には、上下基板間の電極短絡防
止のため、絶縁膜が設けられていてもよい。絶縁膜形成
用の材料としては、一般に用いられている電気絶縁材料
を用いることができる。例えば、有機材料からなる電気
絶縁材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリ
イミド樹脂、フッ素系熱硬化型樹脂、シリコーン系熱硬
化型樹脂、シロキサン系熱硬化型樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリフッ化ビニリデン
樹脂、シアノエチル化セルロース、アクリル系紫外線硬
化型樹脂、シリコーン系紫外線硬化型樹脂などを用いる
ことができる。また、無機材料からなる電気絶縁材料の
例としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を挙げることがで
きる。絶縁膜の厚みは、対向する電極間の電気抵抗や液
晶層の配向性、光学的特性、誘電率、電気抵抗や硬度に
応じて、0.005ミクロン〜1ミクロンの範囲から選
定するのが好ましい。
【0017】(強誘電性液晶材料)強誘電性液晶材料
は、液晶膜厚を、そのらせんピッチ以下の大きさに設定
し、曲げせん断法などの公知の方法を用いて配向させる
ことにより、印加電界の極性によって変化する二つのモ
ードのどちらも一軸水平配向性を有する液晶素子を得る
ことができる。
【0018】本発明で用いられる強誘電性液晶材料とし
ては、カイラルスメクチックC相(SmC*)を示す低
分子または高分子の強誘電性液晶材料であれば特に制限
はなく、強誘電性低分子液晶材料、強誘電性高分子液晶
材料、またはこれらの混合物などがある。この強誘電性
低分子液晶材料としては、例えば、一種または二種以上
の強誘電性低分子液晶材料、一種または二種以上の強誘
電性低分子液晶材料と他の低分子液晶材料等の混合物か
らなる強誘電性低分子液晶材料などを挙げることができ
る。
【0019】強誘電性低分子液晶材料には、例えばシッ
フ塩基系強誘電性低分子液晶、アゾ及びアゾキシ系強誘
電性低分子液晶、ビフェニル及びアロマティックスエス
テル系強誘電性低分子液晶、ハロゲン、シアノ基等の環
置換基を導入した強誘電性低分子液晶、複素環を有する
強誘電性低分子液晶が含まれる。
【0020】シッフ塩基系強誘電性低分子液晶として
は、例えば下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】 アゾ及びアゾキシ系強誘電性低分子液晶としては、例え
ば下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】 ビフェニル及びアロマティックスエステル系強誘電性低
分子液晶としては、例えば下記構造式で表されるものが
挙げられる。
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】 ハロゲン、シアノ基等の環置換基を導入した強誘電性低
分子液晶としては、例えば下記構造式で表されるものが
挙げられる。
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】 複素環を有する強誘電性低分子液晶としては、例えば下
記構造式で表されるものが挙げられる。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】 なお、上記化合物は強誘電性低分子液晶の代表的な化合
物であり、上記の強誘電性低分子液晶はなんら、これら
の構造式に限定されるものではない。
【0035】前記強誘電性高分子液晶材料としては、例
えば一種または二種以上の強誘電性高分子液晶材料、一
種又は二種以上の強誘電性低分子液晶材料と一種または
二種以上の他の高分子液晶材料等からなる強誘電性高分
子液晶材料などを挙げることができる。すなわち、前記
強誘電性高分子液晶材料としては、ポリマー分子自体が
強誘電性の液晶特性を示す強誘電性高分子液晶材料(ホ
モポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合
物)、強誘電性高分子液晶材料と他の高分子液晶材料お
よび/または通常のポリマーとの混合物、強誘電性高分
子液晶材料と強誘電性低分子液晶材料との混合物、強誘
電性高分子液晶材料と強誘電性低分子液晶材料と高分子
液晶材料および/または通常のポリマーとの混合物、ま
たはこれらと通常の低分子液晶材料との混合物などの、
強誘電性を示すいかなる高分子液晶材料を使用すること
ができる。前記強誘電性高分子液晶材料の中でも、例え
ば、側鎖型強誘電性高分子液晶材料を好適に使用するこ
とができ、特にカイラルスメクチックC相をとる側鎖型
強誘電性高分子液晶材料を好適に使用することができ
る。強誘電性高分子液晶材料には、例えばアクリレート
主鎖系高分子液晶、メタクリレート主鎖系高分子液晶、
クロロアクリレート主鎖系高分子液晶、オキシラン主鎖
系高分子液晶、シロキサン主鎖系高分子液晶、エステル
主鎖系高分子液晶、シロキサン−オレフィン主鎖系高分
子液晶などが含まれる。
【0036】アクリレート主鎖系高分子液晶としては、
下記構造式で表されるものが挙げられる。
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】 メタクリレート主鎖系高分子液晶としては、下記構造式
で表されるものが挙げられる。
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】 クロロアクリレート主鎖系高分子液晶としては、下記構
造式で表されるものが挙げられる。
【0041】
【化19】 オキシラン主鎖系高分子液晶としては、下記構造式で表
されるものが挙げられる。
【0042】
【化20】 シロキサン主鎖系高分子液晶としては、下記構造式で表
されるものが挙げられる。
【0043】
【化21】 エステル主鎖系高分子液晶としては、下記構造式で表さ
れるものが挙げられる。
【0044】
【化22】
【0045】
【化23】
【0046】
【化24】 シロキサン−オレフィン主鎖系高分子液晶としては、下
記構造式で表されるものが挙げられる。
【0047】
【化25】
【0048】
【化26】 強誘電性液晶材料としては、強誘電性液晶材料中の強誘
電性高分子液晶の割合が好ましくは3〜99wt%、更
に好ましくは10〜70wt%である強誘電性液晶材料
が好適に用いられる。
【0049】なお、上記の強誘電性高分子液晶の繰り返
し単位においては、側鎖の骨格がビフェニル骨格、フェ
ニルベンゾエイト骨格、ビフェニルベンゾエイト骨格、
フェニル4−フェニルベンゾェイト骨格で置き換えられ
てもよく、これらの骨格中のベンゼン環が、ピリミジン
環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、テトラジ
ン環シクロヘキサン環、ジオキサン環、ジオキサボリナ
ン環で置換されてもよく、フッ素、塩素などのハロゲン
基またはシアノ基で置換されてもよく、1−メチルアル
キル基、2−フルオロアルキル基、2−クロロアルキル
基、2−クロロ−3−メチルアルキル基、2−トリフル
オロメチルアルキル基、1−アルコキシカルボニルエチ
ル基、2−アルコキシ−1−メチルエチル基、2−アル
コキシプロピル基、2−クロロ−1−メチルアルキル
基、2−アルコキシカルボニル−1−トリフルオロメチ
ルプロピル基などの光学活性基で置き換えられてもよ
く、またスペーサの長さは、メチレン鎖長が炭素数2〜
30の範囲で変化してもよい。また、上記強誘電性高分
子液晶は数平均分子量が1,000〜200,000の
ものが好ましい。
【0050】また、本発明においては、ゲストホスト型
の液晶素子を得るために二色性色素を混入させても良
い。二色性色素としては、アントラキノン系、アゾ系、
ジアゾ系、メロシアニン系等の色素を挙げることができ
る。
【0051】(熱可塑性樹脂)熱可塑性樹脂としては、
下記の数平均分子量、種類およびガラス転移温度を有す
るものを挙げることができる。
【0052】即ち熱可塑性樹脂の数平均分子量は1,0
00〜10,000の範囲にある。数平均分子量が1,
000未満であると液晶材料に対する溶解性が上がって
しまい、液晶材料の相転移温度の変化を招き、また、一
対の基板を固定する力も弱いため液晶材料の配向を安定
させることが難しくなる。また、数平均分子量が10,
000を超えると、ガラス転移温度が高くなり、基板へ
の密着性が悪くなる。
【0053】熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系、
ポリイソプレン系、ポリメチルメタクリレート系、ロジ
ン系樹脂、マクロモノマー樹脂等を挙げることができ
る。
【0054】熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好まし
くは40〜150℃であり、更に好ましくは60〜12
0℃である。ガラス転移温度が40℃未満では、機械的
強度が足りず、液晶の配向を安定させることが難しくな
る傾向があり、150℃を超えると、ガラス転移温度が
高くなり、基板への密着性が悪くなる傾向がある。
【0055】(粘性樹脂)粘性樹脂としては、オレフィ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート
系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体、塩化ビニリ
デン−アクリロニトリル共重合体などの樹脂であって一
定の粘度を持った樹脂であればどれでも用いることがで
きる。また、用いる樹脂はUV、EB、熱等によって硬
化する反応性を有する樹脂、すなわち光硬化性樹脂、E
B硬化型樹脂、熱硬化型樹脂も利用することができる。
これらの樹脂を用いると、プラスチック液晶素子の配向
工程の途中ではねんちょうな液体のため、空隙の発生を
防止することができる。また、その後の硬化処理により
硬化させれば、熱可塑性樹脂との併用により得られる液
晶素子の機械的強度を向上させることができる。粘性樹
脂の未硬化時25℃におけるバルク粘度は3,000〜
1,500,000cpsであり、その中でも10,0
00〜1,000,000cpsの範囲がより好まし
い。
【0056】粘度が3000cps未満であると、樹脂
が柔らかすぎるため、上下のプラスチック基板に剪断応
力をかけて液晶分子を配向させる際、液晶素子中の流動
が激しく、特に透明電極がエッチング加工された素子に
おいては、電極間のギャップに樹脂が落ち込んでしま
い、熱可塑性樹脂と液晶との間に発生する空隙を埋める
作用が発現せず、経時的な表示むらが発生する。逆に粘
性樹脂のバルク粘度が1,500,000cpsを超え
ると、樹脂が硬すぎて前述の空隙を埋めるだけの流動効
果が無く、この場合も経時的な表示むらが発生する。
【0057】(スペーサ)スペーサは、基板間の距離を
一定に保つために用いられる。スペーサの材質として
は、シリカなどの無機材料スペーサや、アクリル系樹脂
ビーズなどの樹脂スペーサを用いることができる。この
中で、基板としてプラスチツクを用いる場合には、樹脂
スペーサが特に望ましい。
【0058】樹脂スペーサが望ましい理由としては、液
晶素子に対し外力が加わったとき、プラスチック基板へ
のダメージが少ないこと、熱可塑性樹脂や粘性樹脂との
親和性が液晶材料よりも大きいことが挙げられる。
【0059】(補強材)熱可塑性樹脂および粘性樹脂
(即ち非液晶性高分子物質)は、液晶層内で液晶材料と
相分離し、液晶層を貫くように、即ち柱状形状をなして
上下のプラスチック基板表面に接着し、補強材となって
いる。ここで、スペーサが、液晶材料よりも粘性樹脂及
び熱可塑性樹脂と親和性の大きい樹脂スペーサである場
合、樹脂スペーサは、熱可塑性樹脂および粘性樹脂が液
晶材料と相分離する際、その核となるため、補強材は樹
脂スペーサを核として内部に包含する。これにより補強
材の機械的強度が増し、その結果、液晶素子に外力が加
わったとき、上下プラスチック基板間がずれにくくな
る。
【0060】補強材の密度は、液晶層において、5×1
5〜5×106個/cm2の割合で存在していることが
好ましい。5×105個/cm2未満では、基板間のずれ
が十分に防止できなくなる傾向があり、5×106個/
cm2を超えると、液晶と補強材界面の面積が増えるた
めに、補強材周辺の配向欠陥が増えるため、液晶素子の
コントラスト比を低下させる傾向がある。
【0061】補強材の密度を上記の範囲内とするため、
強誘電性液晶組成物中の熱可塑性樹脂の割合は、1〜3
0重量%とし、強誘電性液晶組成物中の粘性樹脂の割合
は1〜30重量%の範囲内とすることが好ましい。
【0062】次に、本発明の液晶素子の製造方法につい
て説明する。
【0063】(基板の準備)まず少なくとも一方が透明
な2枚の電極付きプラスチック基板を準備する。
【0064】(電極パターニング)ドットマトリクス方
式の液晶素子を製造する場合には、上記電極付きプラス
チック基板表面に対して電極のパターニングを行う。こ
れは通常、次の工程からなる。即ちレジスト層の形成工
程、露光工程、現像工程、エッチング工程、剥離工程か
らなる。
【0065】レジスト層の形成工程は、レジスト剤の塗
布又はドライフィルムの貼合などを行う工程である。
【0066】露光工程は、所望の電極パターンに相当す
るマスクを介してレジスト層に紫外線を照射する工程で
ある。
【0067】現像工程は、用いるレジスト層のレジスト
材料に応じた現像液に基板を浸し、レジスト層のうち紫
外線照射された部分を溶解する工程である。
【0068】エッチング工程は、電極材料に応じたエッ
チング液に基板を浸し、現像工程でレジスト層の一部の
溶解により露出された電極を除去する工程である。
【0069】剥離工程は、用いるレジスト材料に応じた
剥離液に基板を浸し、電極上に残っているレジスト材料
を剥離する工程である。
【0070】(基板電極面の洗浄)次に、透明電極製膜
時の汚染有機物や、パターニング時のレジスト残渣を除
去するため、上記基板を洗浄する。洗浄は、図1に示す
ように、基板1の透明電極が形成されている面(以下、
「電極形成面」という)2上に水滴Wを滴下したときに
水滴Wの接触角θの最大値と最小値との差Δθが10°
以下となるように行う。
【0071】ここで、Δθを10°以下にする理由を次
に述べる。即ちΔθが10°を超えると、液晶材料と非
液晶性高分子物質との相分離によって得られる非液晶性
高分子物質領域の大きさが電極形成面の場所により大き
く異なってしまう。そして、このような液晶素子に対
し、例えば−10℃〜50℃の温度範囲での熱衝撃試験
を行うと、液晶材料と非液晶性高分子物質である補強材
との熱膨張係数の差によって、補強材周辺の液晶の配向
が乱され、結果として液晶層の見かけのリタデーション
にばらつきが生じ、液晶素子の表示面のコントラストの
むらが目視で見分けられるレベルになる。
【0072】電極形成面における接触角θの平均値は特
に制限はなく、液晶材料や熱可塑性樹脂、粘性樹脂の表
面張力に応じて適宜選定すればよい。
【0073】洗浄方法としては、例えば次の二種類の溶
液を用いる方法を挙げることができる。
【0074】〈水/アルコール系溶液での洗浄〉一つ
は、水とアルコールとの混合溶液を用いる方法である
(以下、この洗浄方法を「洗浄1」と称する)。
【0075】アルコールとしては、例えばイソプロピル
アルコール(IPA)、エタノールなどが挙げられる。
また、混合溶液中のアルコールの体積比は、10%〜6
0%である。また、混合溶液の温度は、30〜50℃と
する。基板を溶液中に浸漬する時間は2分以上にする。
【0076】〈アルコール/アミン水溶液での洗浄〉も
う一つの方法は、アルコールとアミンとの混合溶液を用
いる方法である(以下、この洗浄方法を「洗浄2」と称
する)。アミンの例としては、ジエタノールアミンなど
が挙げられる。アルコールの例としては、IPA、エタ
ノール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。溶液
の温度は20℃〜50℃にする。基板を溶液中に浸漬す
る時間は1分〜5分とする。
【0077】なお、上記二種類の方法はそれぞれ単独で
用いてもよく、併用してもよい。また、いずれの方法
も、上記のような基板を溶液中に浸す浸漬法のほか、基
板に溶液を吹き付ける方法、グラビアロールなどで溶液
を基板にこすり付ける方法などを用いることができる。
【0078】(絶縁膜の形成)所望により、電極上に絶
縁膜を形成する。絶縁膜形成用材料として有機材料から
なる電気絶縁材料を用いる場合は、有機溶媒に有機材料
を溶解させた絶縁膜形成溶液を、グラビアコーティング
や印刷法などの手法で電極上に塗布したのち、乾燥させ
ることにより、絶縁膜を形成することができる。無機材
料からなる電気絶縁材料の場合には、スパッタなどの方
法により電極上に絶縁膜を堆積、形成することができ
る。
【0079】(強誘電性液晶層の形成)強誘電性液晶材
料、熱可塑性樹脂及び粘性樹脂を混合した強誘電性液晶
組成物にスペーサを加えたのちに、有機溶媒を加えて溶
解させたものを液晶溶液とする。有機溶媒としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、テトラヒド
ロフラン、またはこれらの混合物を好適に用いることが
できる。こうして準備した液晶溶液を用い、次の手順で
強誘電性液晶層を形成する。 (1)グラビアコータなどの塗布法により、液晶溶液を
2枚の電極付きプラスチック基板のうち一方の電極付き
プラスチック基板の電極上に塗布する(塗布工程)。 (2)次に、液晶溶液を塗布した基板を、例えば50℃
〜100℃程度の温度で乾燥する。このときに非液晶性
高分子物質、すなわち熱可塑性樹脂と粘性樹脂は、熱物
性の違いにより、液晶材料と相分離する(相分離工
程)。乾燥温度が50℃より低い場合、非液晶性高分子
物質と液晶材料との相分離が不十分となる場合がある。
また、100℃より高い場合、乾燥中の液晶材料の粘度
が下がりすぎるため、塗布面に流れむらが生じる場合が
ある。 (3)次に、対向基板(他方の電極付きプラスチック基
板)を積層する(積層工程)。このとき、積層時の気泡
噛み込みを防止するため、基板を加熱しながら対向基板
の積層を行ってもよい。加熱温度としては、塗布時の乾
燥温度と同程度の温度範囲から適宜選定すればよい。 (4)さらに、熱可塑性樹脂と粘性樹脂の相分離を促進
するため、得られた積層体に対し、例えば60℃程度の
温度で5分〜60分程度の熱処理を施しても良い。
【0080】(液晶材料の配向処理)得られた積層体を
曲げながら電極間に電圧を印加することにより、液晶材
料を配向させる(配向処理工程)。電圧としては、液晶
層の厚みが2ミクロン程度の場合、通常10〜100V
程度の範囲で電圧を印加する。強誘電性液晶の有する自
発分極値と粘性にもよるが、10Vよりも低いと、強誘
電性液晶分子の電界応答が不十分なために十分な配向が
得られないことがある。また100Vを超えると、液晶
層が高電界に耐えられず絶縁破壊を起こし、破壊された
部分が表示欠陥となることがある。
【0081】さらに、配向を安定化させ電極表面への熱
可塑性樹脂の接着強度を上げるため、配向処理を行った
後に、電圧を印加しながら熱処理を施してもよい。加え
る電圧としては、5V〜50V、温度としては、強誘電
性液晶材料がスメクチックC相を示す温度範囲内である
ことが好ましい。スメクチックC相を示す温度範囲を超
えた温度では、配向処理で得られた液晶配向が再び乱れ
ることがある。
【0082】(粘性樹脂の硬化処理)更に液晶素子の機
械的強度を増すため、粘性樹脂を硬化させ、粘性樹脂を
電極表面に接着させる(接着工程)。粘性樹脂の硬化手
法としては、粘性樹脂の硬化性に応じて選択すればよい
が、液晶素子への熱的負荷が小さいという観点で、紫外
線硬化やEB硬化を利用することが好ましい。
【0083】例えば、粘性樹脂として、紫外線硬化型樹
脂を用いた場合、照射する紫外線量は、用いる樹脂にも
よるが、100〜3000mJ/cm2の範囲であるこ
とが好ましい。100mJ/cm2を下回ると紫外線硬
化樹脂の硬化が不十分な場合があり、また3000mJ
/cm2を超えると、発生する熱により液晶の配向が乱
されたり、特に、プラスチック基板を使用する場合は、
基板が黄変するなどの問題が発生することがある。
【0084】次に、実施例を用いて、本発明の内容を具
体的に説明する。
【0085】
【実施例】(実施例1) (基板の準備)厚さ100μm、長さ200mm、幅1
50mmで一面に厚み50nmのITO電極が形成され
たPES基板を2枚準備した。
【0086】これら2枚のPES基板のITO電極に対
し以下のようにして、電極幅900μm、ギャップ10
0μmでパターニングを行った。
【0087】即ちまずニチゴーモートン製ドライフィル
ム(厚み15μm)をITO電極上にラミネートし、次
に水銀ショートアーク灯を用いて60mJ/cm2の強
度の紫外線で露光を行った。そして、炭酸ソーダ濃度
0.5wt%水溶液を用い、温度30℃にて90秒の現
像処理を行い、ドライフィルムのうち紫外線照射された
部分を溶解した。その後、エッチング液として塩酸(濃
度12wt%)を用い、上記現像処理で露出されたIT
O電極に対し、温度50℃にて100秒のエッチング処
理を行った。次に、苛性ソーダ2wt%水溶液を用い
て、温度30℃にて70秒の処理を行い、電極上に残っ
ているフィルムを剥離した。次に、イソプロピルアルコ
ールと水(1/1の体積比率)の混合溶液を用いて、温
度30℃にて180秒の処理を行い(洗浄1)、続い
て、アミン水溶液(商品名CD−2000(富士フィル
ムオーリン製)とイソプロピルアルコールとを1/4の
体積比で混合した溶液を用いて、温度25℃で120秒
の処理を行った(洗浄2)。
【0088】(基板の電極面上の水接触角測定)こうし
て得られた基板について、その電極面上の水接触角を測
定した。測定は、200mm×150mmの面内を10
mm毎に、合計20×15=300点の測定点に水を滴
下し、水接触角測定器(協和界面科学製CA−S)を用
いることにより行った。結果を表1に示す。表1に示す
ように、水接触角の最大値は29°であり、最小値は2
2°であり、最大値と最小値との差△θは7°であっ
た。
【0089】(絶縁膜の形成)シアノエチル化プルラン
(商品名CR−S(信越化学製))を溶解させた0.5
wt%シクロヘキサノン溶液を、グラビアコーティング
により塗布した後、130℃×5分の乾燥処理を行っ
た。その結果、電極面上に厚み0.05μmの絶縁膜を
得た。
【0090】(液晶溶液の調製)まず下記構造式で表さ
れる強誘電性高分子液晶A、強誘電性低分子液晶B、低
分子液晶C、低分子液晶D、低分子液晶Eを重量比で
5:2:1:1:1で混合したものを強誘電性液晶とし
た。
【0091】
【化27】
【0092】
【化28】
【0093】
【化29】
【0094】
【化30】
【0095】
【化31】 上記強誘電性液晶100部に対し、25℃での粘度が
1,000,000cpsであるエポキシアクリレート
系紫外線硬化型樹脂(SP−1509(昭和高分子
製))を6部配合し、さらに硬化剤としてイルガキュア
369(チバスペシャリティーケミカルズ製)を0.3
部配合した。更に、非硬化型樹脂として、ポリスチレン
(数平均分子量3460)を強誘電性液晶100部に対
し11部配合した。こうして強誘電性液晶組成物を得
た。
【0096】次に、1.9μm径の樹脂スペーサ(商品
名SXS−190HG(総研化学製))を強誘電性液晶
100部に対して2部配合した。
【0097】こうして得られた強誘電性液晶組成物と樹
脂スペーサの混合物を、メチルエチルケトンに溶解させ
て30wt%液晶溶液を調製した。
【0098】そして、この液晶溶液を、グラビアコータ
ーを用いて上記PES基板の電極面上に塗布した後、6
0℃×2分の乾燥処理により厚み2.0μmの強誘電性
液晶層を得た。
【0099】(液晶素子の作製)上記強誘電性液晶層に
対し、上記と同様にして製膜された絶縁膜を有する対向
基板を室温で積層した。そして、対向する電極間に±4
0Vの矩形波電圧を印加しながらたわみ変形を与えて、
強誘電性液晶を配向させた。
【0100】次に、対向する電極間に±5Vの矩形波電
圧を印加しながら、50℃×20分の熱処理を実施し
た。
【0101】続いて、PES基板に対して、メタルハラ
イドランプを用いて1200mJ/cm2だけ紫外線照
射を行い、紫外線硬化樹脂の硬化を実施した。
【0102】以上により液晶素子を得た。
【0103】(補強材の密度測定)こうして得られた液
晶素子を、クロスニコル配置の2枚の偏光板間に挟み、
上下電極間に10Vの交流電圧を印加しながら、光源の
前におき、透過での表示状態を顕微鏡観察した。このと
き、補強材は光を透過しないため、黒い島として認識さ
れた。この黒い島の個数を計測することにより補強材の
密度を得た。結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】(液晶素子の機械的強度)図2に示すよう
に治具3を用い、液晶の配向が破壊されない最小の長さ
Xを曲げ強度とした。すなわち、載置面4上に液晶素子
5を載置すると共に、この載置面4上に設けられた平板
状の立上部6の上面6Aに液晶素子5の一方の端部を乗
せた。この状態で、加圧片7により液晶素子5の他方の
端部を上方から押圧し、この加圧位置と立上部6との間
の距離をXとして、加圧により液晶の配向が破壊されな
い位置を求めた。その結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、曲げ強度は、X=12mmであり、液晶素子の機
械的強度は実用上十分であることが分かった。
【0106】(液晶素子の視認性)液晶素子の視認性を
評価するためには、一般的にはコントラスト比、すなわ
ち、上記液晶素子を2枚の偏光板間に挟んで、明状態と
暗状態の間でスイッチングさせたときの表示面明るさの
比が用いられるが、コントラスト比は、用いる偏光板の
偏光度や反射板の種類に左右される。そこで、コントラ
スト比に代え、液晶の配向均一性を表す指標としてリタ
デーションを、水接触角の測定個所と対応させるように
300点測定した。
【0107】まず、液晶素子作製直後のリタデーション
を測定し、次に、常温→−10℃(30分)→常温(3
分)→50℃(30分)を1サイクルとする熱衝撃試験
を10サイクル実施した後でのリタデーションを測定
し、両者を比較した。リタデーションは、複屈折計(王
子計測器製COBRA)を用いて測定した。結果を表1
に示す。表1に示すように、リタデーションの平均値±
3σは、試験前は246nm±17nmであり、試験後
は238nm±18nmであり、熱衝撃試験の前後でリ
タデーションのばらつきがほとんど変わらないことが分
かった。
【0108】更に、偏光反射板と偏光板の間に液晶素子
を挟み、表示状態を目視で確認したところ、表示むらは
認められなかった。
【0109】(実施例2)粘性樹脂の種類、および粘性
樹脂と熱可塑性樹脂の配合割合を変えたこと以外は、実
施例1と同様にして液晶素子を作製した。
【0110】すなわち、粘性樹脂として、未硬化時25
℃での粘度が6500cpsである硬化型樹脂(商品名
M400(東亜合成製))を強誘電性液晶100部に対
し20部添加し、非硬化型樹脂としてのポリスチレン
(数平均分子量3460)を強誘電性液晶に対し8部配
合した以外は実施例1と同様にして液晶素子を作製し
た。
【0111】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角については実施例1と同じ結果が得られ
た。
【0112】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、液晶層中の補強材の密度、曲げ強度、お
よび熱衝撃試験前後でのリタデーションを測定した。結
果を表1に示す。表1に示すように、曲げ強度は、実施
例1と同様、X=12mmであり、液晶素子の機械的強
度は実用上十分であることが分かった。
【0113】更に、偏光反射板と偏光板との間に液晶素
子を挟み、実施例1と同様にして表示状態を目視確認し
たところ、表示むらは認められなかった。
【0114】(比較例1)粘性樹脂を全く配合しなかっ
たこと以外は、実施例1と同様にして液晶素子を作製し
た。
【0115】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角については実施例1と同じ結果が得られ
た。
【0116】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、液晶層中の補強材の密度、曲げ強度を測
定した。結果を表1に示す。表1に示すように、曲げ強
度は、X=25mmであり、液晶素子を手で持つと簡単
に配向が乱れた。このことから、液晶素子の機械的強度
は実用上十分でないことが分かった。
【0117】(比較例2)熱可塑性樹脂を全く配合しな
かったこと以外は、実施例1と同様にして液晶素子を作
製した。
【0118】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角については実施例1と同じ結果が得られ
た。
【0119】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、液晶層中の補強材の密度、曲げ強度、お
よび熱衝撃試験前のリタデーションを測定した。結果を
表1に示す。表1に示すように、熱衝撃試験前のリタデ
ーションは229nm±35nmであり、大きくばらつ
くことが分かった。
【0120】更に、偏光反射板と偏光板の間に液晶素子
を挟み、実施例1と同様にして表示状態を目視確認した
ところ、大きな表示むらが認められた。配向から粘性樹
脂の硬化に至る工程にて、曲げ強度が十分でないため、
外力により液晶配向が乱された。
【0121】(比較例3)熱可塑性樹脂として、ポリス
チレン(数平均分子量50,000)を用いた以外は実
施例1と同様にして液晶素子を作製した。
【0122】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角については実施例1と同じ結果が得られ
た。
【0123】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、液晶層中の補強材の密度、曲げ強度、お
よび熱衝撃試験前のリタデーションを測定した。結果を
表1に示す。表1に示すように、曲げ強度は、X=20
mmであり、実用的な曲げ強度を有していなかった。
【0124】また、熱衝撃試験前のリタデーションは、
206nm±19nmであり、平均値が低いものとな
り、コントラスト比(C/R比)も低かった。このと
き、液晶素子を偏光顕微鏡にセットし、15Vの直流電
圧を印加した状態でリタデーションが低い部分を観察し
たところ、補強材周辺に配向欠陥が多数存在しているこ
とが分かった。このことから、液晶素子において表示む
らが発生すると考えられる。
【0125】(実施例3)実施例1の洗浄2にて、アミ
ン水溶液およびイソプロピルアルコールをそれぞれモノ
エタノールアミン(MEA)およびジエチレングリコー
ル(DEG)に代え、処理温度を30℃に変えたこと以
外は実施例1と同様にして液晶素子を作製した。
【0126】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角の最大値は79°であり、最小値は71
°であり、最大値と最小値との差△θは8°であった。
【0127】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、液晶層中の補強材の密度、曲げ強度、お
よび熱衝撃試験前後でのリタデーションを測定した。結
果を表1に示す。表1に示すように、曲げ強度は、実用
上十分なものであり、また、リタデーション値について
は熱衝撃試験の前後でばらつきが変わらないことが分か
った。
【0128】更に、偏光反射板と偏光板との間に液晶素
子を挟み、実施例1と同様にして表示状態を目視確認し
たところ、表示むらは認められなかった。
【0129】(比較例4)洗浄2を行わなかったこと以
外は実施例1と同様にして液晶素子を作製した。
【0130】PES基板について実施例1と同様にして
水接触角を測定した。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、水接触角の最大値は55°であり、最小値は42
°であり、最大値と最小値との差Δθは13°であっ
た。
【0131】また、得られた液晶素子について実施例1
と同様にして、熱衝撃試験前後でのリタデーションを測
定した。結果を表1に示す。表1に示すように、試験前
のリタデーションは242nm±9nm、試験後のリタ
デーションは211nm±30nmであり、試験後では
リタデーションの平均値が大きく低下し、なおかつ3σ
が3倍以上に増大した。
【0132】更に、偏光反射板と偏光板との間に液晶素
子を挟み、実施例1と同様にして表示状態を目視で確認
したところ、特にリタデーションの小さくなっている個
所のコントラストが落ちていることを確認した。
【0133】また、熱衝撃試験後の液晶素子から、リタ
デーション値が240nmである部分と、190nmで
ある部分をそれぞれ切り出し、基板を剥がし、IPA中
で超音波洗浄して液晶材料のみ洗い流すことで、電極面
に接着した補強材のみ露出させた試料を準備した。次
に、この試料表面のAFM(原子間力顕微鏡)観察を行
った。その結果を図3及び図4に示す。図3は、リタデ
ーションが240nmの部分を示す図、図4はリタデー
ションが190nmの部分を示す図である。図4に示す
ように、リタデーション値が大きく低下した部分には、
補強材が多量に集まっていることが分かった。
【0134】
【発明の効果】以上説明したように本発明の液晶素子に
よれば、液晶素子の機械的強度を向上させることが可能
となり、また、経時的な表示欠陥発生及び急激な温度変
化による表示むらを十分に防止することも可能となる。
【0135】また、本発明の液晶素子の製造方法によれ
ば、液晶層に配向処理を施した後、非液晶性高分子物質
を2枚の電極付きプラスチック基板に接着させるまで機
械的強度を保つことが可能となり、製造中における強誘
電性液晶の配向の乱れを防止することが可能となり、得
られる液晶素子において表示むらの発生を防止すること
ができる。また、強誘電性液晶分子を配向させる過程に
おいて、熱可塑性樹脂と液晶材料との間の応力による移
動差の発生を防止でき、空隙の発生を十分に防止できる
ため、得られる液晶素子において空隙に空気が混入する
ことによる経時的な表示欠陥の発生を防止することもで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明プラスチック基板上に水滴を滴下した状態
を示す図である。
【図2】液晶素子の曲げ強度を測定する様子を示す図で
ある。
【図3】比較例4に係る強誘電性液晶層中の補強材の像
を示す図であってリタデーションが240nmの部分を
示す図である。
【図4】比較例4に係る強誘電性液晶層中の補強材の像
を示す図であってリタデーションが190nmの部分を
示す図である。
【符号の説明】
1…電極付プラスチック基板、2…電極形成面、4…液
晶素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 一広 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 荒木 雅昭 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 斎藤 泰則 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 西川 英二 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 三田 恒正 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 岩隈 俊裕 千葉県袖ヶ浦市上泉1280番地 出光興産株 式会社内 (72)発明者 熊 均 千葉県袖ヶ浦市上泉1280番地 出光興産株 式会社内 Fターム(参考) 2H088 FA02 FA21 HA01 JA17 KA07 KA09 MA02 MA04 MA17 MA18 2H089 LA09 LA20 QA14 QA15 RA13 SA04 SA17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明な2枚の電極付プ
    ラスチック基板間に強誘電性液晶層を挟持した液晶素子
    において、 前記強誘電性液晶層が、 未硬化時25℃におけるバルク粘度が3,000〜1,
    500,000cpsである粘性樹脂、および25℃に
    おいて固体であり数平均分子量が1,000〜10,0
    00である熱可塑性樹脂の混合物からなる非液晶性高分
    子物質を含む強誘電性液晶組成物と、 前記2枚の電極付きプラスチック基板の間隔を一定に保
    つスペーサと、を含むことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記スペーサは、前記強誘電性液晶組成
    物中の強誘電性液晶材料よりも前記粘性樹脂および前記
    熱可塑性樹脂と大きな親和力を有する樹脂スペーサであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記非液晶性高分子物質は、前記樹脂ス
    ペーサを包含し、かつ前記2枚の電極付きプラスチック
    基板同士を接着する柱状形状の補強材となっていること
    を特徴とする請求項2に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記柱状形状の補強材が、1平方cm当
    り5×105〜5×106個の割合で存在していることを
    特徴とする請求項3に記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記粘性樹脂は、光硬化型樹脂、EB硬
    化型樹脂又は熱硬化型樹脂のいずれかであることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液
    晶素子の製造方法において、 前記2枚の電極付きプラスチック基板のうち少なくとも
    一方の電極形成面の水接触角の最大値と最小値との差が
    10°以下となるように前記電極形成面を洗浄する洗浄
    工程と、 前記強誘電性液晶組成物および前記スペーサを溶媒中に
    含有する液晶溶液を前記2枚の電極付きプラスチック基
    板のうち一方の電極付きプラスチック基板上に塗布し前
    記液晶溶液から溶媒を蒸発させて前記強誘電性液晶層を
    形成する塗布工程と、 前記強誘電性液晶層を熱処理して前記強誘電性液晶組成
    物中の強誘電性液晶材料と非液晶性高分子物質との相分
    離を促進させる相分離工程と、 前記強誘電性液晶層上に前記2枚の電極付きプラスチッ
    ク基板のうち他方の電極付きプラスチック基板を積層す
    る積層工程と、 前記強誘電性液晶層に配向処理を施す配向処理工程と、 前記強誘電性液晶層中の前記非液晶性高分子物質を前記
    2枚の電極付きプラスチック基板に接着させる接着工程
    と、を含むことを特徴とする液晶素子の製造方法。
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