JP2003105437A - 鋳鉄製部材の製造方法 - Google Patents

鋳鉄製部材の製造方法

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好男 磯部
Yuji Imamura
祐二 今村
Fushimi Hatanaka
節美 畑中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐摩耗性が良好な部位と旋削加工等を比較的容
易に施すことが可能な部位とを有する鋳鉄製部材を同一
の溶湯から製造する。 【解決手段】鋳造作業により作製された成形品5の温度
がA1変態点を通過する前に該成形品5に対して熱処理
を施し、鋳造作業時に該成形品5に生成したチル組織を
分解する。この成形品5のジャーナル部2をパーライト
組織が生成する条件下で冷却する一方で、シャフト部3
等の残余の部位をフェライト組織が生成する条件下で冷
却する。最後に、シャフト部3等に対して旋削加工等の
機械加工を施し、完成製品であるバランサシャフト1と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳鉄製部材の製造
方法に関し、一層詳細には、特性が互いに異なる部位を
有する鋳鉄製部材を容易かつ簡便に製造することが可能
な鋳鉄製部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3に、自動車等の車輌用内燃機関を構
成するFCD450(球状黒鉛鋳鉄のJIS規格。以下
同じ)製のバランサシャフト1を示す。このバランサシ
ャフト1は、例えば、以下のようにして製造されてい
る。すなわち、まず、FCD450に相当する組成の原
材料を溶解して溶湯とする。原材料としては、鋼屑、返
り材(湯口等の方案部あるいは押湯のスクラップや、不
良品として生産された鋳鉄製部材等)、銑鉄等が使用さ
れる。
【0003】次に、この溶湯を、砂型や金型等の鋳型に
注湯した後に冷却固化する。この冷却固化により、バラ
ンサシャフト1に略対応してジャーナル部2と長軸なシ
ャフト部3とを有する形状の成形品が得られる。なお、
この際の冷却速度は、鋳型の種類にもよるが、一般的に
は、砂型で240℃/分程度、金型で1000℃/分程
度である。
【0004】このことから諒解されるように、金型を使
用することにより、溶湯の冷却速度を著しく高めること
ができる。換言すれば、金型を使用することには、成形
品、ひいては完成製品であるバランサシャフト1を効率
よく製造することができるという利点がある。
【0005】しかしながら、このように冷却速度が高い
状態で溶湯を冷却固化させると、成形品の表層部に、セ
メンタイト(Fe3C)からなるチル組織が形成され
る。このチル組織は高硬度であり、したがって、該成形
品の表層部の耐摩耗性が過度に向上してしまう。成形品
をバランサシャフト1とするためには、該成形体におけ
るシャフト部3等の表層部に対し、旋削加工等の機械加
工処理を施して所定の寸法に仕上げることが必要である
が、表層部の耐摩耗性が向上した結果、この旋削加工を
施すことが困難となってしまう。
【0006】そこで、次に、図4に示す熱処理炉4の内
部にて、成形品5に対してチル組織を消失させるための
熱処理を施す。
【0007】この熱処理炉において、チル組織を消失さ
せるための熱処理は、第1および第2加熱域6a、6b
にて施される。具体的には、第1および第2加熱域6
a、6bの各温度は約980℃に設定され、これら第1
および第2加熱域6a、6b内を成形品5が通過するこ
とに伴い、チル組織がオーステナイト(γ−Fe)と黒
鉛とに分解されて消失する。なお、コンベア7の速度
は、1本の成形品5が第1および第2加熱域6a、6b
内をおよそ30分で通過するように設定される。
【0008】第1および第2加熱域6a、6bを通過し
た成形品5に対し、次に、温度が約920℃、約850
℃、約820℃にそれぞれ設定された第3〜第5加熱域
6c〜6eにてフェライト化処理が施される。すなわ
ち、成形品5は、第3〜第5加熱域6c〜6eにて徐々
に冷却され、最終的に第5加熱域6e内でA1変態点を
通過する。これにより、成形品5にフェライト組織が生
成する。
【0009】ここで、A1変態点とは、以下の反応式
(1)で示される共析反応の開始温度として定義され、
ハンセンのFe−C系平衡状態図によれば、その値は7
23℃である。
【0010】
【数1】
【0011】なお、反応式(1)において、γ、αは、
それぞれ、γ−Fe(オーステナイト)、α−Fe(フ
ェライト)を表す。
【0012】A1変態点を通過してフェライト組織が生
成した成形品5は、ブロア8からの送風により強制的に
冷却される。
【0013】次に、このような熱処理が施された成形品
5のシャフト部3等に対し、旋削加工等の機械加工処理
を施す。これにより、寸法精度を有するバランサシャフ
ト1(図3参照)が製造されるに至る。
【0014】最後に、バランサシャフト1の硬度を確保
するため、該バランサシャフト1に対して軟窒化(LC
N)処理やガス窒化(GCN)処理等の窒化処理を施
し、充分な強度や硬度を有する完成製品とする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におけ
る環境保護の観点から、自動車等には燃費が良好なこと
が求められている。そして、これを達成するために、各
部材の軽量化が図られている。
【0016】バランサシャフト1を軽量化する場合に
は、より耐摩耗性に優れかつ高強度な材質、例えば、F
CD700からバランサシャフト1を構成することが想
起される。この場合、略同等の強度・耐摩耗性を有する
ものであれば、FCD450からなるバランサシャフト
1に比して断面積を小さくすることができるからであ
る。
【0017】FCD700からなるバランサシャフト1
を製造するためには、FCD700相当の組成の原材料
を溶解して溶湯とした上で鋳造作業を行う。しかしなが
ら、このようにして製造されたFCD700からなるバ
ランサシャフト1の成形品5は、耐摩耗性が著しく高い
ため、シャフト部3等に対して旋削加工を施すことが困
難であるという不具合がある。
【0018】また、FCD450の原材料とFCD70
0の原材料とでは、組成が互いに相違する。具体的に
は、FCD450においては、フェライト組織を生成さ
せるためにSiが添加される。これに対し、FCD70
0においては、パーライト組織を生成させるためにCu
やSnが添加される。したがって、FCD450からな
るバランサシャフト1を製造した後に同一の鋳造装置を
使用してFCD700からなるバランサシャフト1を製
造すると、鋳型のキャビティに残留したSiによってフ
ェライト組織が生成してしまうことが懸念される。この
ような事態が生じると、バランサシャフト1の強度・耐
摩耗性を向上させることが困難となる。
【0019】このような事態を回避するためには、別の
鋳造装置を使用すればよい。しかしながら、この場合、
鋳造装置に対する高額の設備投資が必要となるという不
都合を招く。
【0020】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、耐摩耗性が良好な部位と各種の機械加工
を比較的容易に施すことができる部位とを有する鋳鉄製
部材を同一の溶湯から製造することが可能な鋳鉄製部材
の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、パーライト組織を含む第1の部位とフ
ェライト組織を含む第2の部位とを具備する鋳鉄製部材
の製造方法であって、鋳鉄の溶湯を鋳型内で冷却固化し
て成形品とする第1工程と、前記成形品の温度がA1
態点を通過する前に該成形品に対して熱処理を施すこと
によって、前記第1工程において該成形品に生成したチ
ル組織を分解する第2工程と、チル組織が分解された前
記成形品の少なくとも一部位をパーライト組織が生成す
る条件下で冷却して第1の部位を設ける一方で、残余の
部位をフェライト組織が生成する条件下で冷却して第2
の部位を設ける第3工程と、前記第2の部位に対して機
械加工を施すことによって完成製品である鋳鉄製部材と
する第4工程と、を有することを特徴とする。
【0022】本発明によれば、チル組織を消失させた後
の冷却速度が個別に設定され、これにより高硬度で耐摩
耗性が良好な第1の部位と、旋削加工等の機械加工を施
すことが比較的容易な第2の部位とを設けるようにして
いる。このため、特性が互いに異なる部位を有する鋳鉄
製部材を組成を特に調整することなく同一の溶湯から容
易かつ簡便に製造することができる。
【0023】また、主にパーライト組織を含む第1の部
位は、実用に際して充分な強度・耐摩耗性を有する。こ
のため、該第1の部位等に対して各種の窒化処理を行う
必要も特にない。したがって、鋳鉄製部材を効率よく製
造することができる上、窒化処理を行うためのコストを
削減することもできる。
【0024】なお、上記のようにして製造されるフェラ
イト組織とパーライト組織とを有する鋳鉄製部材の好適
な例としては、球状黒鉛鋳鉄からなるものを挙げること
ができる。
【0025】そして、鋳鉄製部材の好適な例としては、
自動車等の車輌に搭載される内燃機関用のバランサシャ
フトを挙げることができる。この場合、強度・耐摩耗性
が良好な第1の部位としてジャーナル部を設け、かつ研
削加工等を施すことが比較的容易な第2の部位としてシ
ャフト部を設けるようにすればよい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る鋳鉄製部材の
製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を
参照して詳細に説明する。
【0027】本実施の形態に係る鋳鉄製部材の製造方法
のフローチャートを図1に示す。この製造方法は、鋳鉄
の溶湯を鋳型内(キャビティ)で冷却固化して成形品と
する第1工程S1と、前記成形品に対して熱処理を施し
て該成形品に生成したチル組織を分解する第2工程S2
と、前記成形品にパーライト組織を含む第1の部位およ
びフェライト組織を含む第2の部位を設ける第3工程S
3と、前記第2の部位に機械加工を施すことによって完
成製品である鋳鉄製部材とする第4工程S4とを有す
る。
【0028】この製造方法につき、それを遂行する鋳造
装置との関係で、鋳鉄製部材として図3に示すバランサ
シャフト1を製造する場合を例示して具体的に説明す
る。
【0029】鋳造装置10は、図2に示すように、注湯
ステーション12と、固定金型14および可動金型16
を有する金型成形装置18と、矯正・切断装置20と、
熱処理炉22とを備える。なお、可動金型16は、金型
成形装置18を構成するシリンダ23の作用下に固定金
型14に対して接近または離間自在である。
【0030】金型成形装置18の上方には、ブロースモ
ーク装置28が上下方向に変位自在に設けられている。
また、金型成形装置18の下流側上方には、ワーク取出
ロボット30が水平方向に移動自在に設けられている。
これらブロースモーク装置28およびワーク取出ロボッ
ト30は、支持台31によって支持されている。
【0031】注湯ステーション12は、溶解炉32と、
加圧注湯炉34と、該加圧注湯炉34から導出された溶
湯を受け取って金型成形装置18のキャビティに導入す
る取り鍋24とを有し、このうち、溶解炉32は、架台
36上に設置されている。
【0032】本実施の形態に係る製造方法を行うに際し
ては、まず、原材料を溶解して溶湯とする。すなわち、
原材料として鋼屑や返り材、銑鉄等を溶解炉32に収容
した後、該溶解炉32を周囲から加熱してこれらを溶解
させる。
【0033】ここで、原材料の組成は、FCD450に
相当する組成とFCD700に相当する組成との中間、
すなわち、FCD500やFCD600に相当する組成
とすることが好ましい。この場合、成形品5を冷却させ
る際にパーライト組織およびフェライト組織を容易に生
成させることができるからである。しかしながら、特に
これに限定されるものではなく、FCD700に相当す
る組成であってもよいし、FCD450に相当する組成
であってもよい。この場合、成形品5にフェライト組織
およびパーライト組織を生成させるには、冷却速度をよ
り厳密に制御するようにすればよい。
【0034】溶解炉32は、傾動動作させることが可能
である。すなわち、溶解炉32の上方に突出形成された
湯口部38の下端部には、シリンダ40のロッド42が
連結されている。また、溶解炉32の底部には、該底部
の中央から湯口部38の方に偏在して支軸44が連結さ
れている。このため、溶解炉32は、ロッド42が上下
動することに追従して、支軸44との連結箇所を支点と
して傾動動作する。溶湯を搬送取り鍋46内に注湯する
場合には、ロッド42を下降動作させることにより湯口
部38を搬送取り鍋46に指向して傾動動作させればよ
い。
【0035】図示しないクレーンのフック48に支持さ
れた搬送取り鍋46は、前記クレーンの作用下に加圧注
湯炉34に指向して搬送される。そして、搬送取り鍋4
6が図示しない第1傾動機構によって傾動動作すること
により、該搬送取り鍋46内の溶湯が漏斗50を介して
加圧注湯炉34の内室52に注湯・貯留される。
【0036】加圧注湯炉34には、内室52の圧力を上
昇させるガスを導入するためのガス供給管54が連結さ
れている。すなわち、このガス供給管54からAr等の
不活性ガスが供給されることに伴って内室52内の圧力
が上昇し、その結果、該内室52に貯留されていた溶湯
が、加圧注湯炉34の出湯部56に設けられた湯路58
に導入され、最終的に出湯部56の出湯口59から導出
される。上記したように、導出された溶湯は、取り鍋2
4内に注湯される。
【0037】取り鍋24はロードセル60上に載置され
ており、該取り鍋24内の溶湯量はロードセル60の作
用下に所定量に制御される。すなわち、取り鍋24内に
注湯された溶湯の重量の測定値がロードセル60に予め
設定された設定値に一致したとき、該ロードセル60と
電気的に接続された図示しない制御部からの制御信号に
より、ガス供給管54に介装されたバルブ(図示せず)
が閉止される。これに伴い加圧注湯炉34の内室52へ
のガスの供給が停止され、その結果、加圧注湯炉34の
出湯口59から溶湯の導出が停止される。
【0038】この取り鍋24は、図示しない第2傾動機
構によって傾動動作させることが可能である。この傾動
動作に伴い、金型成形装置18を構成する湯口64を介
して、取り鍋24内に導入された所定量の溶湯が金型成
形装置18のキャビティに注湯され、第1工程S1が開
始される。なお、金型成形装置18の固定金型14と可
動金型16とが型締めされる前には、ブロースモーク装
置28によって、キャビティ面に離型剤が予め塗布され
る。
【0039】金型成形装置18のキャビティに導入され
た溶湯は、1000℃/分程度の冷却速度で冷却され、
最終的に表層部のみが固化して成形品5となる。この成
形品5における固化した表層部には、セメンタイト(F
3C)からなるチル組織が形成されている。
【0040】得られた成形品5は、可動金型16が固定
金型14から離間して型開きが行われた後、ワーク取出
ロボット30に把持される。このワーク取出ロボット3
0が水平方向に移動することに伴い、成形品5が矯正・
切断装置20に搬送される。この矯正・切断装置20で
は、成形品5に対してトリミング等が施される。
【0041】その後、成形品5は、移載ロボット66の
作用下に搬送され、熱処理炉22内に導入される。この
熱処理炉22において、第2工程S2、すなわち、成形
品5に対する熱処理が施される。
【0042】以上の過程において、成形品5の内部が未
凝固で高温の溶湯であるため、成形品5の温度がA1
態点を下回ることはない。換言すれば、成形品5は、該
成形品5の温度がA1変態点を通過する前に金型成形装
置18のキャビティから取り出され、かつ熱処理炉22
内に導入される。
【0043】この熱処理は、成形品5の表層部に生成し
たチル組織(Fe3C)をパーライト組織に変態させる
ためのものである。すなわち、成形品5の表層部に存在
するチル組織に対して熱を加えると、チル組織がオース
テナイト(γ−Fe)および黒鉛へと分解する。なお、
熱処理の温度や時間は、チル組織が分解するような条件
に設定すればよく、例えば、930℃で30分間保持と
いう条件に設定することができる。
【0044】このようにしてチル組織が分解された成形
品5を熱処理炉22から取り出した後、第3工程S3に
おいて、パーライト組織を主に含み高硬度で耐摩耗性が
良好なジャーナル部2(第1の部位)と、フェライト組
織を主に含み旋削加工を施すことが比較的容易なシャフ
ト部3(第2の部位)とが設けられるように冷却処理を
施す。すなわち、例えば、成形品5のジャーナル部2の
みに冷却速度が200℃/分以上となるような流量で圧
縮エアを吹き付け、該ジャーナル部2を強制的に冷却す
る。その一方で、ジャーナル部2以外の箇所には圧縮エ
アの吹き付けを行わず、大気中で空冷する。なお、未凝
固の状態であった成形品5の内部の溶湯は、この冷却処
理が施される最中に完全に冷却固化する。
【0045】以上から諒解されるように、本実施の形態
においては、チル組織を消失させた後の冷却速度を部位
に応じて個別に設定することにより、原材料(溶湯)の
組成を特に調整することなく、高硬度で耐摩耗性に優れ
るジャーナル部2と旋削加工等を施すことが比較的容易
なシャフト部3とを設けるようにしている。このため、
溶湯の組成に応じて金型成形装置18を個別に用意する
必要がない。したがって、高額の設備投資が必要となる
こともない。
【0046】最後に、第4工程S4において、シャフト
部等に対して旋削加工等の機械加工を施すことにより、
寸法精度を有する完成製品としてのバランサシャフト1
が得られるに至る。
【0047】このバランサシャフト1においては、ジャ
ーナル部2がパーライト組織を含むので充分な強度・耐
摩耗性を有する。このため、該ジャーナル部2に対して
LCN処理やGCN処理を行う必要も特にない。したが
って、バランサシャフト1を効率よく製造することがで
きるとともに、LCN処理やGCN処理を行うためのコ
ストを削減することができるという利点もある。
【0048】なお、上記した実施の形態では、鋳鉄製部
材としてバランサシャフト1を製造する場合を例示して
説明したが、それ以外のものであってもよいことはいう
までもない。
【0049】また、本実施の形態に係る製造方法におい
ては、鋳造時に金型が使用されているが、成形品にチル
組織が生成する条件下で鋳造が行われるのであれば、特
にこれに限定されるものではない。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る鋳鉄
製部材の製造方法によれば、部位に応じて互いに異なる
冷却速度を設定することにより、パーライト組織を含む
部位とフェライト組織を含む部位とが混在する鋳鉄製部
材を得るようにしている。このため、組成を特に調整す
ることなく、耐摩耗性が良好な部位を有する一方で、旋
削加工等の機械加工を比較的容易に施すことが可能な部
位を有する鋳鉄製部材が得られるという効果が達成され
る。したがって、組成に応じて鋳造装置を個別に用意す
る必要がないので、高額な設備投資が必要となることも
ない。
【0051】また、パーライト組織を含む部位は高硬度
で耐摩耗性が良好であるので、窒化処理を行う必要は特
にない。このため、窒化処理を行うためのコストを削減
することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る鋳鉄製部材の製造方法のフ
ローチャートである。
【図2】本実施の形態に係る鋳鉄製部材を遂行する鋳造
装置の概略全体構成図である。
【図3】バランサシャフトの概略全体斜視図である。
【図4】熱処理炉にて成形品に熱処理を施している状態
を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1…バランサシャフト 2…ジャーナル部
(第1の部位) 3…シャフト部(第2の部位) 4、22…熱処理
炉 5…成形品 6a〜6e…加熱
域 8…ブロア 10…鋳造装置 12…注湯ステーション 14…固定金型 16…可動金型 18…金型成形装
置 20…矯正・切断装置 24…取り鍋 32…溶解炉 34…加圧注湯炉 46…搬送取り鍋 52…内室 54…ガス供給管 60…ロードセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 祐二 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 畑中 節美 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3J033 AA10 AB03 4K042 AA14 BA13 DA06 DE07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パーライト組織を含む第1の部位とフェラ
    イト組織を含む第2の部位とを具備する鋳鉄製部材の製
    造方法であって、 鋳鉄の溶湯を鋳型内で冷却固化して成形品とする第1工
    程と、 前記成形品の温度がA1変態点を通過する前に該成形品
    に対して熱処理を施すことによって、前記第1工程にお
    いて該成形品に生成したチル組織を分解する第2工程
    と、 チル組織が分解された前記成形品の少なくとも一部位を
    パーライト組織が生成する条件下で冷却して第1の部位
    を設ける一方で、残余の部位をフェライト組織が生成す
    る条件下で冷却して第2の部位を設ける第3工程と、 前記第2の部位に対して機械加工を施すことによって完
    成製品である鋳鉄製部材とする第4工程と、 を有することを特徴とする鋳鉄製部材の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法において、前記鋳
    鉄製部材として球状黒鉛鋳鉄からなるものを製造するこ
    とを特徴とする鋳鉄製部材の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の製造方法において、前記鋳
    鉄製部材として車輌に搭載される内燃機関用のバランサ
    シャフトを製造するとともに、該バランサシャフトのジ
    ャーナル部を前記第1の部位として形成し、かつシャフ
    ト部を前記第2の部位として形成することを特徴とする
    鋳鉄製部材の製造方法。
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