JP2003105401A - 貴金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

貴金属ナノ粒子の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貴金属ナノ粒子の製造方法であって、
任意の貴金属塩類に対して還元剤を作用させないで、界
面活性剤自体の還元力で金属イオンを効果的に還元する
ことによって、粒子径の均一な金属ナノ粒子が得られる
とともに、製造工程を簡略化して製造コストを節減する
ことができる製造方法を提供する。 【解決手段】 貴金属ナノ粒子の化学的製造方法であ
って、無機貴金属塩類をカルボキシル基(-COOH)、
硫酸イオン(SO4 --)及びスルホ基(-SO3 H)からな
る群より選択される少なくとも一種の基又はイオンを含
む界面活性剤の水溶液に溶解し、50℃から140℃に
回流加熱して反応させ、かかる製造工程において前記界
面活性剤の炭素鎖の長さ及び/又は反応時間を調節する
ことを特徴とする、粒子径及び該粒子径の分布が制御さ
れ、かつ極性及び非極性の溶剤に安定して分散可能な貴
金属ナノ粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、貴金属ナノ粒子
の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、カル
ボキシル基(-COOH )、硫酸イオン(SO4 --)又は
スルホ基(-SO3H)を有する陰イオン界面活性剤を還
元剤とし、安定した貴金属ナノ粒子を合成する独特の方
法によって、極性と非極性溶剤に分散する貴金属ナノ粒
子を製造するとともに、界面活性剤の炭素鎖の長さを調
節することにより、貴金属の粒子の粒子径のサイズを制
御する製造方法であって、電子回路を作成する場合の無
電解メッキを応用する工程、又は白金触媒、パラジウム
触媒などを使用した触媒反応などに広く応用される貴金
属のナノメートル粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナノ粒子は、一般金属のミュー粒子、金
属ナノ粒子に比して表面積の比率が大きく(surface-to
-volume)、表面エネルギーを高めることができ、圧力を
受けた場合の展開性が高く、硬度が高く、また比熱が高
いなどの優れた特性を有する(C.Suryanarayana, F. H.
Froes, Metallugial Transaction A,23, 1071(199
2))。このため、特にこの十年来ナノ粒子の応用性が、
材料の選択を重視する工業界及び科学界で特に注目を集
めている。例えば、近年は各種タイプの金属ナノ粒子を
主要成分とする触媒が、多種多様な触媒反応に応用され
ていて、不飽和炭水化合物の触媒反応に対して高転化率
を有するといった長所を備えている(L.N.Lewis, Chem.
Rev. 1993,93,2693)。
【0003】ナノ粒子は異なるサイズによって、異なる
電子エネルギー帯グループ(size−dependent propert
y)を有するものであり、このため物理的、化学的性質に
影響を与える。これはナノ粒子を工業に応用する上で非
常に重要なことである。例えば、無電解メッキのニッケ
ル反応において白金(Pt)ナノ粒子を触媒とした場
合、図1に開示するように異なる粒子の大きさによっ
て、異なる無電解メッキ反応速度が発生する(Hamilton
J.F.; Baetzold R.C., Science,1979,205, 1213)。従っ
て、如何にして製造工程を制御して、異なる粒径の金属
ナノ粒子を製造するかが、目下業界で注目されている。
【0004】現在のナノ粒子の製造方法は、製造工程の
相違から化学合成法と、物理合成法に分けられる。その
内、化学合成法に属する化学還元法は、生産量が高く、
製造工程が単純で、コストが低いことから業界で常用さ
れている。一般的に化学還元法は、化合物無機金属塩類
を高分子化合物溶液、又は界面活性剤の溶液に溶解さ
せ、さらに、例えばヒドラジド(hydrazide)、NaBH4
エタノール又は水素などの還元剤を添加し、無機金属塩
類を還元してナノ金属粒子を形成させるものである。
【0005】上述の製造方法において、還元剤を添加す
ることは、粒子の大きさに影響を与えるものであり、添
加量が多すぎると還元力が強くなり、核の形成速度が速
くなりすぎて、合成されるナノ金属粒子は大きくなりす
ぎ、かつ粒子の大きさが不均一になる。逆に添加量が少
なすぎると、還元速度が遅くなりすぎ、粒子の合成に数
日の時間を必要とするようになり、甚だしくは無機金属
塩類を還元することが困難となる。従って、還元剤の添
加量と、攪拌方式と、還元剤の種類の選択は、いずれも
主要な要素となり、製造工程上の複雑性を増加させる要
因となる。
【0006】米国特許第453016号には、塩化パラジウム
と第一錫とをそれぞれ HCI水溶液に溶解し、両液体を混
合して 100℃の温度に加熱して、第一錫によりパラジウ
ムイオンに還元できるようにして、錫パラジウム合金の
ナノコロイド粒子を形成する技術が開示されている。
【0007】米国特許第5187209号には、5mlの 1.1×10
-2 mol/l Na2[PtC14]・4H2O を 1.1gのヒドラジド(hyd
razide)官能基共重合体(copolymer)の50ml等比混合水
とエタノールの溶液に溶解させ、さらに500wの高圧水銀
灯(high pressure mercurylamp)で2時間照射してPt
溶液を還元し、約3nmのPtナノ粒子を合成する技術が開
示されている。
【0008】米国特許第 5147841号には、Na2[PtC14]・6
H2O又は Na2[PdC14] を陽イオン界面活性剤であるジド
デシルジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)(d
idodecyl dimethyl ammonium bromide(DDAB))のn−オ
クタン溶液に溶解し、NaBH4又はヒドラジドを添加して
溶液中のPt2+ 又はPd2+を還元して粒子径が10−20nmの
Pt又はPdナノ粒子を形成する技術が開示されている。
【0009】米国特許第 5759230号には PdCl2 又は Ag
NO3をエタノール溶液に溶解し、エタノールを還元剤と
して120℃〜200℃に1〜3時間回流加熱して10nmのPdナノ
粒子及び40nmのAgナノ粒子を合成する技術が開示されて
いる。
【0010】米国特許第 5332646号には、水素を利用し
て、界面活性剤を含む有機溶剤中のPd、Pt有機金属塩類
を還元して、効果的に分散された 2〜50nmのPd、Pt金属
ナノ粒子を合成する技術が開示されている。
【0011】米国特許第 5620584号には、0.1Mのテトラ
オクチルアンモニウムブロマイド(tetraoctylammonium
bromide)のテトラヒドロフラン(THF)溶液90mlを電解
液として、 2枚のパラジウム金属チップをそれぞれ陰、
陽電極とし、陽極で酸化を行い、陰極でイオンの電気化
学方式によって還元を行い、溶液中でPdナノ粒子を合成
し、かつ電流の密度を変化させることによって異なる粒
子径のPdナノ粒子を合成する方法が開示されている。
【0012】米国特許第 6103868号には、150mgの HAuC
l4・4H2O をイオンを除去した水25mlに溶解して黄色の水
溶液を形成し、さらに0.365gのN(C8H17)4 Br をトルエ
ン25mlに溶解し、該水溶液とトルエン溶液とを攪拌し、
0.151gのNaBH4 を添加してナノ粒子を還元する方法が開
示されている。
【0013】従来の技術において、界面活性剤は、溶媒
に溶解してミセル(micelle)を形成するため、粒子の保
護剤として用いられている。また、仮に水性の界面活性
剤を含む水溶液中で金属ナノ粒子を合成しようとすれ
ば、界面活性剤の分子が水溶液中で、ミセルの構造内に
おいて親水基を外向きにし、親油基を内向きにする特性
を有するため、粒子が水溶液によって再度分散され、ま
た有機溶媒中にあっては粒子を不安定にして沈殿物を形
成して効果的に分散させることができない。同様の原理
によって、有機溶媒中において金属ナノ粒子を合成しよ
うとすれば、界面活性剤の分子が有機溶媒中において逆
方向のミセル構造を構成するため、親油基が外向きとな
り、親水基が内向きとなり、有機溶媒中においてのみ安
定して分散する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明の課
題は、陰イオン界面活性剤を利用した貴金属ナノ粒子の
製造方法であって、適宜選択される無機貴金属塩類から
粒子径の均一な金属ナノ粒子を得る貴金属ナノ粒子の製
造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、貴金
属塩類に対し、還元剤を作用させることなく界面活性剤
自体の還元力により金属イオンを効果的に還元すること
により粒子径の均一な貴金属ナノ粒子が得られることを
見い出し、これらの知見に基づいてこの発明を完成し
た。
【0016】すなわち、この発明は、貴金属ナノ粒子の
化学的製造方法であって、無機貴金属塩類をカルボキシ
ル基(-COOH)、硫酸イオン(SO4 --)及びスルホ基
(-SO3 H)からなる群より選択される少なくとも一種
の基又はイオンを含む界面活性剤の水溶液に溶解し、5
0℃から140℃に回流加熱して反応させ、かかる製造
工程において界面活性剤の炭素鎖の長さ及び/又は反応
時間を調節することを特徴とする、粒子径及び粒子径分
布が制御され、かつ極性及び非極性の溶剤に安定して分
散可能な貴金属ナノ粒子の製造方法に関するものであ
る。
【0017】以下、この発明について具体的に説明す
る。この発明による貴金属ナノ粉末の化学合成方法は、
カルボキシル基(-COOH)、硫酸イオン(SO4 --)又
はスルホ基(-SO3 H)含む界面活性剤を利用して還
元剤としての作用を行わせ、かつ界面性を調整すること
によって界面活性剤の炭素鎖の長さ、又は合成時間の長
さ、さらには炭素鎖長及び合成時間の両者の制御により
異なる粒子径の貴金属ナノ粉末を合成できるように調節
することを特徴とする。
【0018】従って、この発明による貴金属ナノ粒子の
製造方法は、以下の効果を奏する。 1.界面活性剤を直接還元剤として使用するので、配合
の複雑性が減少して制御が簡易化される。 2.反応装置(reactor)の大きさの制限を受けることが
なく、規模の大きな大量生産に適する。 3.多種の元素による貴金属ナノ粒子の製造に利用する
ことができる。 4.簡単な原料を使用するため原料の取得が容易であ
り、粒子の合成方法が簡易である。よって製造コストを
低減することができる。 5.界面活性剤の炭素鎖の長さによって異なる粒子径の
金属ナノ粒子の合成が得られるように制御することがで
きる。 6.合成した製品が極性及び非極性溶液中に効果的、か
つ長時間分散し、安定した性質が得られる。
【0019】この発明による製造方法で製造されたナノ
粒子粉末は、合成された貴金属ナノ粒子の粒径と元素成
分とを電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散スペクトルー
(energy dispersion spectra-EDX)、及び紫外線可視光
線スペクトルー(UV−Visblespectra)などで鑑定した
結果、従来の文献に記載される貴金属ナノ粒子に比し
て、この発明による方法で合成した粒子は粒子径が均一
であることが判明した。よって、反応原料が簡単であ
り、工業的な大量生産に適する製造方法といえる。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明による貴金属ナノ粒子の
製造方法について、その特徴などをさらに詳述するため
に、図面を参照して以下に具体的な説明を加える。
【0021】
【実施例】実施例1 純水に溶解しにくい0.042gの酢酸パラジウム〔Pd(OA
c)2〕を100mlの0.1Mドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水
溶液に溶解し、如何なる還元剤をも添加することなく、
オイルバスによって回流加熱し、温度の範囲を 110℃〜
120℃に制御するとともに、反応時間を 6時間とし
た。反応時間が 1時間を経過した時点で反応液は澄ん
だ橙黄色を呈し、反応時間が経過するにつれて反応液は
褐色になり、反応時間が3時間を経過した時点において
黒味を帯びた褐色になった。反応を終了した後、15000r
pm×20分の高速遠心分離を行なった。その結果上層液と
遠心分離沈殿物(ppt)とに分離され、該上層液は無色で
澄んだ水溶液であった。Pd(OAc)2は水溶液に溶解すると
黄色を呈した。原子吸収スペクトル(Atom absorption
spectrum)によって測定した結果、生成率は98%であっ
た。これは、この発明による製造方法は、生成率が極め
て高いことを示すものである。また、反応液から取り出
して電子顕微鏡(TEM)で測定した結果、得られたPdナノ
粒子は粒子径が均一していた。
【0022】図2に開示するように、 SDS界面活性剤に
よって合成したナノ粒子の平均粒子径は3.35nmであっ
た。図3に開示するように、合成されたナノ粒子の粒子
径は、かなりの程度、平均化されていた。また、エネル
ギー分散スペクトル(energy dispersion spectra-ED
X)を利用し、粒子に電子ビームの照準を合わせ、電子
ビームを励起して X-ray測定を行った結果、その化学成
分は純粋なPdであった。SDS 反応時間が1/2経過した時
点、即ち約3時間経過した時点においてサンプルとして
粒子を抽出し、電子顕微鏡(TEM)で測定した結果、得ら
れた粒子は、平均粒径が1.6nmのPdナノ粒子であった。
【0023】実施例2 0.052 グラムのPd(OAc)2を0.1gの六塩化白金酸(H2[PtC
l6]・6H2O)に代えたこと以外すべて実施例1と同様の方
法により黒褐色のPtナノ粒子の溶液を得た。また、前記
Pd(OAc)2 はPdCl2 に置き換えても同様の結果とな
った。
【0024】実施例3 1.2gの酢酸銀Ag(OAc) を0.1 Mのn-オクチル硫酸ナトリ
ウム(SOS)の水溶液50mlに溶解し、オイルバスで回流加
熱した。オイルバスの温度を 120℃とし、加熱時間を18
時間とした。Ag(OAc) が SOSを含む水溶液に溶解する
と、溶液は無色の澄んだ状態を呈し、反応時間が経過す
るにつれて反応液の色はだんだん鮮やかな黄色になっ
た。紫外線可視光線スペクトル(UV−vis)で測定したと
ころ約418nmの時点で吸収バンドが発見された。これは
銀ナノ粒子の特性吸収バンドである。電子顕微鏡(TEM)
で反応液を測定した結果、図4に開示するように粒子径
が相当均一なAgナノ粒子を得た。また、エネルギー分散
スペクトル(energy dispersion spectra-EDX)を利用
し、粒子に電子ビームの照準を合わせ、電子ビームを励
起して X-ray測定を行なった結果、その化学成分はAgで
あった。また、前記Ag(OAc)はAgNO3 に置き換えても同
様の結果となった。
【0025】実施例4 1.2 グラムの酢酸銀を 500ミリグラムの四塩化金酸(HA
uCl4 3H2O)に代えたこと以外すべて実施例3と同様の方
法で行ないルビーに近い赤色の金ナノ粒子の溶液を得
た。
【0026】実施例5 この実施例においては異なる濃度の無機塩類の合成反応
速度及び金属ナノ粉末粒子径の大きさに対する影響を把
握することを目的とした。従って、界面活性剤の種類と
濃度を一定とし、無機金属塩類の濃度を表1に示すよう
に変更した。また、回流反応温度はいずれも 110℃に制
御した。
【0027】
【表1】
【0028】実験の結果を紫外線可視光線スペクトルと
電子顕微鏡で測定した結果、Pd(OAC)2の濃度が 0.02g/1
00mlに低下し、また1.02g/100mlに増加しても、いずれ
も粒子を合成することができ、かつ粒子を合成する反応
速度に対する影響は大きくないことを把握した。Pd(OA
C)2の濃度を変化させて、合成されたナノ粒子溶液を得
る場合、システム内の界面活性剤がPd2+を還元するた
め、その反応は、別途還元剤を添加する場合に比して温
和である。故に金属イオン濃度の粒子径に対する影響は
大きくない。但し金属イオンの濃度が大幅に増加する
と、得られるナノ粒子の濃度も相対的に高まり、一部の
小粒の粒子は容易に集合して大粒の粒子になり易いこと
が判明した。
【0029】実施例6 この実施例は界面活性剤の親油基の炭素鎖長の合成反応
速度及び金属ナノ粉末粒子径に対する影響を把握するた
めのものである。界面活性剤の親油基の炭素鎖の長さを
変化させ、無機金属塩類の濃度及び界面活性剤の濃度を
一定にした。
【0030】
【表2】
【0031】実験の結果、界面活性剤の親油基炭素鎖の
長さを変化させると無機金属塩類に対する還元力を明ら
かに変化させることができた。しかも還元力の変化を制
御することによって異なる大きさの金属ナノ粉末を合成
することができた。電子顕微鏡によって測定した結果、
炭素鎖の長さが長くなるにつれてナノ粒子の粒子径が縮
小することを見い出した。よって、かかる方法によって
異なる粒子径の金属ナノ粉末を合成することができるこ
とが判明した。
【0032】実施例7 Esumi らの指摘に拠れば、Pd(OAC)2を有機溶液に溶解
し、 110℃〜 116℃に加熱し、熱分解することによって
Pdナノ粒子を生成することができるとの報告があある
(K. Esumi, T. Tano, K.Meguro, Langmuir 1989,5,26
8)。よって、Pd(OAC)2が SDS系列の水溶液中にあってPd
ナノ粒子を形成するのは、Pd(OAC)2が熱分解を受けるか
らであって、化学的還元ではないのかどうかについて証
明するために、次の二通りの対照実験を行なった。 第1の実験:n-オクチル硫酸ナトリウム(SOS) 1.16gを
水 50mlに溶解した水溶液にPd(OAc)2 0.052gを添加し、
オイルバス上にて温度70℃で4時間加熱した。 第2の実験:水50mlにPd(OAc) 0.052gを添加し、オイル
バス上にて温度 120℃で4時間加熱した。
【0033】前記の SOS界面活性剤を添加した第1の実
験において、溶液の色は30分内に黄色から黄色い褐色に
変化した。30分を経過した時点において溶液は黒褐色に
変化し、Pdナノ粒子のスペクトルが出現した。
【0034】一方、前記の界面活性剤を添加しない第2
の実験において、Pd(OAc)2は水に対して溶解しにくく、
一部が溶解しただけであった。オイルバスによって 120
℃に加熱し、4時間を経過した時点においてもPd(OAc)2
は水に溶けなかった。
【0035】以上の第1及び第2の実験の結果から分か
るようにナノ粒子の合成はPd(OAc)2が熱分解を受けてPd
ナノ粒子を形成するのではなく、界面活性剤が無機金属
塩類を還元して形成するものと考えられる。
【0036】実施例8 実施例1において生成したPdナノ粒子の沈殿物を水、ク
ロロフォルム(CHCl3)及びn-ヘキサンの溶液に分散さ
せ、長時間観察する実験を行なった結果、この発明によ
って製造された金属ナノ粒子は、例えば水と非極性溶媒
であるクロロフォルム、n-ヘキサン等を混合した極性溶
媒に長期間、かつ効果的に分散することが分かった。こ
のような特徴は、この発明の方法によって合成された粒
子は異なる領域の工業に利用できることを意味する。例
えばハラジウム触媒及び白金触媒の不飽和炭水化合物に
よる触媒反応、又は電池の電極添加剤などがあげられ
る。また、水溶液に溶解した状態において、電子回路を
作成する化学メッキの触媒とすることができる。
【0037】
【発明の効果】この発明は、陰イオン界面活性剤を利用
した貴金属族ナノ粒子の製造方法であって、任意の貴金
属塩類に対して還元剤を作用させないで、界面活性剤自
体の還元力で金属イオンを効果的に還元することによっ
て、粒子径の均一な金属ナノ粒子が得られるとともに、
製造工程を簡略化して製造コストを節減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無電解方式によるニッケルメッキの速度と、
ナノ粒子粉末触媒との関係図である(Hamilton J.
F.,1979)。
【図2】 パラジウムナノ粒子/SDS のTEM図である
(拡大率は30万倍である。図中の0.5cmは20n
mに相当する)。
【図3】 パラジウムナノ粒子/SDS の粒子径統計図
である。
【図4】 銀ナノ粒子/SOSのTEM図である(拡大率は4
0万倍である。図中の0.5cmは20nmに相当す
る)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属ナノ粒子の化学的製造方法で
    あって、無機貴金属塩類をカルボキシル基(-COO
    H)、硫酸イオン(SO4 --)及びスルホ基(-SO3 H)
    からなる群より選択される少なくとも一種の基又はイオ
    ンを含む界面活性剤の水溶液に溶解し、50℃から14
    0℃に回流加熱して反応させ、 かかる製造工程において前記界面活性剤の炭素鎖の長さ
    及び/又は反応時間を調節することを特徴とする、粒子
    径及び該粒子径の分布が制御され、かつ極性及び非極性
    の溶剤に安定して分散可能な貴金属ナノ粒子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記界面活性剤が、n-テトラデシ
    ル硫酸ナトリウム(sodium n-tetradecyl sulphate)、
    ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulphate)、
    デシル硫酸ナトリウム(sodium decyl sulphate)、n-
    ノニル硫酸ナトリウム(sodium n-nonyl sulphate)及び
    n-オクチル硫酸ナトリウム(sodium n-octylsulphate)
    からなる群より選択された少なくとも一種の硫酸アルキ
    ル塩であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属ナ
    ノ粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記無機貴金属塩類が、Pd(OA
    c)2 、PdCl2、H2[PtCl6]・6H2 、Ag(O
    Ac)、AgNO3 又はH[AuCl4]・4H2Oであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の貴金属ナノ粒子の製造
    方法。
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