JP2003104291A - 自動操舵装置及び方法 - Google Patents
自動操舵装置及び方法Info
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Abstract
路偏差とすると共に操作変数を舵角とする制御型多次元
自己回帰モデルにおける運動特性行列A(m),B(m)を固
定値として予め記憶し、所定周期の各時刻について時々
刻々と取得される船体の横揺れ角速度、方位角及び舵角
に関する各測定値並びに目標方位角及び上記運動特性行
列A(m),B(m)を制御型多次元自己回帰モデルに適用す
ることにより、各時刻における外乱U(n)の推定値を算
出し、複数の時刻からなる各バッチ区間の各推定値に対
して局所定常過程に対するOzaki-Tong法を適用すること
により各バッチ区間に対して最適な外乱自己回帰モデル
を順次当てはめ、外乱自己回帰モデルに基づく外乱適応
制御型多次元自己回帰モデルによって船体の横揺れ及び
針路偏差を抑制する最適操舵量Ysnを算出し舵を制御す
る。
Description
能をも加味した自動操舵装置及び方法に関する。
舶の制御モデルとして制御型多次元自己回帰モデルを用
いた減揺装置が開示されている。この減揺装置は、過去
の測定データである舵角(制御量)並びに針路偏差(被
制御量)及び横揺角速度(被制御量)を制御型多次元自
己回帰モデルに代入することにより目標方位及び目標横
揺角速度(0rad/sec)を実現し得る最適制御ゲインを
予測し、該最適制御ゲインに基づいて最適舵角を算出す
るものである。このような減揺装置によれば、針路偏差
を十分に抑制した状態で船体の横揺れを大幅に減少させ
ることができる。なお、以下の説明では、上述した制御
型多次元自己回帰モデルを自己回帰モデルと略記する。
固定的な自己回帰モデルを用いるため、船体に外乱とし
て作用する風や波等の長期的な特性変化に対して十分な
性能を有しない。このような事情から、航行中に自己回
帰モデルを更新しつつ最適制御ゲインを求める適応型の
減揺装置が提案されている。この適応型減揺装置は、隣
接する2つの一定期間(バッチ区間)について、最初の
バッチ期間1の測定データに対して現行の自己回帰モデ
ルAR0をあてはめ、また次のバッチ区間2の測定デー
タに対しては別の自己回帰モデルAR2をあてはめる。
そして、バッチ期間1の測定データとバッチ区間2の測
定データとの同質/異質をMAICE法に基づいて比較
検討し、異質である場合は自己回帰モデルAR0を破棄
して自己回帰モデルAR2を採用し、同質である場合に
は、自己回帰モデルAR0と自己回帰モデルAR2とを併
合して得られた自己回帰モデルAR1を採用する。
応型減揺装置では、バッチ期間1の測定データとバッチ
区間2の測定データと同質である場合に採用する自己回
帰モデルAR1を演算上求めることができない場合があ
る。したがって、従来の適応型減揺装置は、実用上極め
て重大な問題を含んでいる。
たもので、実用的な外乱適応型減揺機能を備えた自動操
舵装置及び方法を提供することを目的とする。
に、本発明では、自動操舵装置に係わる第1の手段とし
て、船舶の舵を最適制御することにより目標方位角に対
する方位角の針路偏差のみならず船体の横揺れをも抑制
するように船舶を自動操舵する装置であって、被制御変
数を船体の横揺れ角速度及び針路偏差とすると共に操作
変数を舵角とする制御型多次元自己回帰モデルにおける
運動特性行列A(m),B(m)を固定値として予め記憶し、
所定周期の各時刻について時々刻々と取得される船体の
横揺れ角速度、方位角及び舵角に関する各測定値並びに
目標方位角及び前記運動特性行列A(m),B(m)を前記制
御型多次元自己回帰モデルに適用することにより、各時
刻における外乱U(n)の推定値を算出し、複数の時刻か
らなる各バッチ区間の前記各推定値に対して局所定常過
程に対するOzaki-Tong法を適用することにより、各バッ
チ区間に対して外乱U(n)の特性に応じた最適な外乱自
己回帰モデルを順次当てはめ、当該外乱自己回帰モデル
と前記制御型多次元自己回帰モデルとから構築される外
乱適応制御型多次元自己回帰モデルに基づいて船体の横
揺れ及び針路偏差を抑制する最適操舵量Ysnを算出し、
該最適操舵量Ysnに基づいて舵を制御するという手段を
採用する。
して、上記第1の手段において、主機能である針路偏差
の抑制機能に対して船体の横揺れ抑制機能が追加自在と
なるように、当該横揺れ抑制機能を追加ユニットとして
構成するという手段を採用する。
上記第2の手段において、追加ユニットは、船体の横揺
れ角速度を検出する横揺れ検出器と、該横揺れ検出器か
ら取得した横揺れ角速度、主機能を構成する本体から取
得した方位角、舵角及び目標方位角に基づいて最適操舵
量Ysnを算出して本体に出力する拡張演算装置とから構
成されるという手段を採用する。
上記第1〜第3いずれかの手段において、バッチ区間の
時間幅を航海開始後の時間経過にしたがって順次長くす
るという手段を採用する。
る第1の手段として、船舶の舵を最適制御することによ
り目標方位角に対する方位角の針路偏差のみならず船体
の横揺れをも抑制するように船舶を自動操舵する方法に
おいて、被制御変数を船体の横揺れ角速度及び針路偏差
とすると共に操作変数を舵角とする制御型多次元自己回
帰モデルにおける運動特性行列A(m),B(m)を固定値と
して予め記憶し、所定周期の各時刻について時々刻々と
取得される船体の横揺れ角速度、方位角及び舵角に関す
る各測定値並びに目標方位角及び前記運動特性行列A
(m),B(m)を前記制御型多次元自己回帰モデルに適用す
ることにより、各時刻における外乱U(n)の推定値を算
出し、複数の時刻からなる各バッチ区間の前記各推定値
に対して局所定常過程に対するOzaki-Tong法を適用する
ことにより、各バッチ区間に対して外乱U(n)の特性に
応じた最適な外乱自己回帰モデルを順次当てはめ、当該
外乱自己回帰モデルと前記制御型多次元自己回帰モデル
とから構築される外乱適応制御型多次元自己回帰モデル
に基づいて船体の横揺れ及び針路偏差を抑制する最適操
舵量Ysnを算出し、該最適操舵量Ysnに基づいて舵を制
御するという手段を採用する。
て、上記第1の手段において、バッチ区間の時間幅を航
海開始後の時間経過にしたがって順次長くするという手
段を採用する。
る。定常F次元時系列システムを予測する自己回帰モデ
ルは、下式(1)によって表される。この式(1)にお
いて、X(n)は、f個の変量x1(n),x2(n),……,xf
(n)からなるf次元変量ベクトル、A(m)は、自己回帰係
数aij(m)を(i,j)成分とするf×f行列(自己回
帰係数行列)、またU(n)は外乱であり、f個の雑音要
素u1(n),u2(n),……,uf(n)からなるf次元白色雑
音である。
ける各変量x1(n),x2(n),……,xf(n)は、(n−
1)〜(n−M)に亘るM個の各変量x1(n-m),x2(n-
m),……,xf(n-m)に自己回帰係数aij(m)を乗算した
値に雑音要素u1(n),u2(n),……,uf(n)を加味した
値の総和として予測演算される。
の設計に適用した制御型多次元自己回帰モデルは、上式
(1)を変形して下式(2)のように表される。この式
(2)におけるX(n)はr個(r=f−h)の被制御変
数x1(n),x2(n),……,xr(n)からなるr次元状態ベ
クトル、Y(n)は、h個の操作変数y1(n),y2(n),…
…,yh(n)からなるh次元状態ベクトル、またA(m)
は、船体の運動特性を示す係数aij(m)を(i,j)成
分とするr×r行列、B(m)は、船体の運動特性を示す
係数bij(m)を(i,j)成分とするr×h行列、さら
に外乱U(n)は、r個の雑音要素u1(n),u2(n),…
…,ur(n)からなる雑音過程(すなわちr次元白色雑音
過程)である。なお、以下の説明では、r次元状態ベク
トルX(n)を被制御変数ベクトル、h次元状態ベクトル
Y(n)を操作変数ベクトル、また行列A(m),B(m)を運
動特性行列と記す。
デルを船舶に作用する外乱に良好に適用するモデル、す
なわち外乱適応制御型多次元自己回帰モデルとするため
に、以下の2つの仮定を導入する。 (1)運動特性行列A(m),B(m)を低次数に抑え、また
既知かつ不変とする。 (2)外乱U(n)を局所的に定常な有色雑音過程とする
と共に、下式(3)に示すように自己回帰モデル(外乱
自己回帰モデル)として表現する。
雑音過程の特性を示す雑音係数行列、またV(n)は白色
雑音過程である。この式(3)を上式(2)に代入して
変形すると、下式(4)が得られる。ただし、運動特性
行列A(m),B(m)は、低次数に抑える(上記仮定
(1))ために、m>Mの範囲において「0」、つまり
A(m)=B(m)=0である。
目標方位角と実際の方位角との偏差である針路偏差と船
体の横揺れとを抑制するので、上記式(4)によって表
される外乱適応制御型多次元自己回帰モデルを用いる。
そして、被制御変数ベクトルX(n)を2次元(r=2)
状態ベクトルとし、当該被制御変数ベクトルX(n)の各
要素である被制御変数x1(n)に針路偏差、また被制御変
数x2(n)に横揺れ角速度を割り当てると共に、操作変数
ベクトルY(n)を1次元(h=1)状態ベクトルとし、
操作変数y1(n)に舵角を割り当てる。すなわち、上述し
た各ベクトルや行列は、下式(a)〜(e)のように表
される。
て、式(2)によって表される制御型多次元自己回帰モ
デルは下式(2)’のように表され、さらに式(3)に
よって表される外乱自己回帰モデルは式(3)’のよう
に表され、また式(4)によって表される外乱適応制御
型多次元自己回帰モデルは、下式(4)’のように表さ
れる。
記仮定(1)で「既知かつ不変」としているので、現在
時刻nにおける被制御変数ベクトルX(n)の各測定値及
び当該被制御変数ベクトルX(n)の推定値との差として
式(5)によって与えられる。上記推定値は、上記式
(2)において外乱U(n)を考慮しない形態の下式
(6)によって与えられる。
より、各時刻nにおける外乱U(n)を運動特性行列A
(m),B(m)並びに被制御変数ベクトルX(n)の各測定値
及び操作変数ベクトルY(n)の各測定値から算出するこ
とができる。したがって、上記仮定(2)において、式
(3)と置いた外乱自己回帰モデル、つまり外乱係数行
列C(k)を外乱U(n)の特性をより正確に反映させたもの
として当てはめる必要がある。
てはめ方法として、AIC(Akaike's Information Cri
terion)を用いた局所定常過程に対するOzaki-Tong法を
用いる。このOzaki-Tong法は、長い期間の時系列データ
を適当な長さの小区間(バッチ区間)に区切り、MAI
CE法(Minimum Akaike's Information Criterion Est
imation Method)を用いることにより各バッチ区間につ
いて最適な統計モデルを当てはめるものである。
制御変数ベクトルX(n)とし、バッチ区間1に測定取得
されたN1個の被制御変数ベクトルX(1),X(2)、…
…,X(N1)に対してMAICE法に基づいて外乱自己回
帰モデルAR0が当てはめられており、このバッチ区間
1に続く次のバッチ区間2に新たに測定取得されたN2
個の被制御変数ベクトルX(N1+1),X(N1+2)、……,
X(N1+N2)に対しては同じくMAICE法により外乱自
己回帰モデルAR2が当てはめられたとする。
御変数ベクトルX(1),X(2)、……,X(N1)とバッチ区
間2の新たな各被制御変数ベクトルX(N1+1),X(N1+
2)、……,X(N1+N2)との間で時系列データとしての性
質、すなわち局所的に定常な有色雑音過程の特性を示す
外乱係数行列C(k)が変化しているか否かを、下式
(7),(8)によって得られる情報量基準AIC2,
AIC1の大小関係によって判断する。
すようにバッチ区間2に当てはめた外乱自己回帰モデル
AR2の良さを示す値であり、情報量基準AIC1は、バ
ッチ区間1の外乱自己回帰モデルAR0とバッチ区間2
の外乱自己回帰モデルAR2とを併合して得られる併合
外乱自己回帰モデルAR1の値である。また、M0は外乱
自己回帰モデルAR0の次数、M1は外乱自己回帰モデル
AR1の次数、M2は外乱自己回帰モデルAR2の次数、
σ0は外乱自己回帰モデルAR0の残差過程の分散、σ1
は外乱自己回帰モデルAR1の残差過程の分散、σ2は外
乱自己回帰モデルAR2の残差過程の分散である。
IC2の場合は、バッチ区間1とバッチ区間2とでは外
乱特性が変化していると見なし、バッチ区間2の外乱自
己回帰モデルAR2を採用する一方、AIC1<AIC2
の場合には、バッチ区間1とバッチ区間2とでは外乱特
性が変化していないと見なし、併合外乱自己回帰モデル
AR1を採用する。
ッチ区間を順次割り当て、各バッチ区間についてOzaki-
Tong法を適用することにより、各バッチ区間の外乱特性
に応じた最適な外乱自己回帰モデルを当てはめる。そし
て、被制御変数x1(n),x2(n)として船舶の進行方位に
関する方位偏差と船体の横揺れの程度を示す横揺れ角速
度を、また操作変数y1(n)として操舵量を採用した外乱
適応制御型多次元自己回帰モデルに、上記最適な外乱自
己回帰モデルを適用することにより、現在時刻nにおけ
る針路偏差と横揺れ角速度とを最小化する最適ゲインG
を算出し、この最適ゲインGを以下の制御式(9)に代
入することにより最適操舵量Ysnを算出する。 Ysn=G・Zn (9)
(n),……,ZM-1(n)}として状態空間表現したシステ
ムについて求められる最適制御則である。Znは、下式
(10),(11)によって被制御変数ベクトルX(n)
と対応付けられる状態変数行列である。
は観測ベクトル、Φが状態遷移マトリクス、Γは制御ベ
クトル、Wnは外乱である。状態空間表現されたシステ
ムにおいて、制御入力Ynの良さJIは、下式(12)に
よって示される2次評価関数によって評価する場合、良
さJIを最小にする制御入力Ynは上式(9)によって与
えられる。
はr×r,l×lの非負行列であり、このうちQ(n)は
針路偏差に対する重み係数と横揺れに対する重み係数と
を要素とする重み行列であり、R(n)は操舵量に対する
重み行列(正直行列)である。また、Eは確率論的な平
均を示す関数である。すなわち、制御入力Ynの良さJI
が最小となるときに制御入力Ynは、最適制御を実現す
る最適操舵量Ysnとなる。このような最適操舵量Ysnに
対して、上記最適ゲインGは、式(13)によって与え
られる。
係わる自動操舵装置及び方法の一実施形態について説明
する。
ステムである。この図において、符号1は本自動操舵装
置、2は方位検出器、3は船速検出器、4は舵角検出
器、5は切替器、6はマニュアル操舵装置、7はアクチ
ュエータ、8は舵である。また、本自動操舵装置1にお
いて、1aは演算装置、1bは針路設定器、1cは操作
パネル、1dは表示装置、1eは拡張演算装置、1fは
横揺れ検出器である。
1fは、本自動操舵装置1に拡張機能(減揺機能)を追
加する追加ユニットEXを構成している。この追加ユニ
ットEXは、本自動操舵装置1の主機能を構成する本体
MAに対して追加自在(着脱自在)に構成されている。
て航行させるように舵8を自動制御する自動操舵機能に
加えて、船体の減揺機能、より具体的には横揺れ低減機
能を有する。本自動操舵装置1では、この減揺機能が追
加ユニットEXによって実現されるようになっている。
れていない状態では、主に演算装置1a及び針路設定器
1bから出力される目標方位並びに方位検出器2、船速
検出器3及び舵角検出器4からそれぞれ入力される検出
値(測定値)に基づいて自動操舵機能が実現される一
方、追加ユニットEXが装着された状態においては、拡
張演算装置1e及び横揺れ検出器1fの測定値、並びに
演算装置1aを経由して拡張演算装置1eに入力される
針路設定器1bから出力される目標方位、及び方位検出
器2、船速検出器3及び舵角検出器4の各測定値に基づ
いて自動操舵機能と減揺機能とが実現される。
り、船舶の進行に関する方位角を検出して演算装置1a
に出力する。船速検出器3は、例えば電磁ログであり、
船舶の進行速度(船速)を検出して演算装置1aに出力
する。舵角検出器4は、舵8の舵角を検出して演算装置
1aに出力する。切替器5は、本自動操舵装置1による
船舶の自動操舵とマニュアル操舵装置6によるマニュア
ル操舵(航海士による手動操舵)とを切り替える。マニ
ュアル操舵装置6は、舵輪等によって船舶を手動操舵す
るためのものである。
ように操作された場合は、自動操舵装置1から出力され
た舵角制御量に基づいてアクチュエータ7が駆動され、
一方、切替器5が手動操舵を選択するように操作された
場合には、アクチュエータ7は、マニュアル操舵装置6
から出力された舵角制御量に基づいて駆動される。当該
アクチュエータ7は、このようにして切替器5から入力
された各舵角制御量に基づいて舵8の舵角を設定する。
舵8は、周知のように、この舵角によって船舶の方位角
を規定するものである。
置1aは、上記追加ユニットEXが装着された状態と非
装着状態とでは機能が異なる。この演算装置1aは、追
加ユニットEXの非装着状態では、針路設定器1bから
出力される目標方位及び方位検出器2、船速検出器3及
び舵角検出器4の各測定値に基づいて、針路設定器1b
から入力される目標方位に対する進行方位の偏差(針路
偏差)を抑制する舵角制御量を算出して切替器5に出力
する。一方、演算装置1aは、追加ユニットEXの装着
状態では、上記目標方位及び各測定値の拡張演算装置1
eへの受け渡し、並びに拡張演算装置1eから出力され
た舵角制御量を切替器5に受け渡す。
所(緯度・経度)での目標方位を演算装置1aに出力す
る。操作パネル1cは、上記計画航路等の各種情報を演
算装置1aに入力するためのものである。表示装置1d
は、上記計画航路やこれに対する船舶の航海状態等を画
面表示する。
1eは、横揺れ検出器1fから入力される船体の横揺れ
角速度並びに演算装置1aを介して入力される目標方位
及び方位検出器2、船速検出器3及び舵角検出器4の各
測定値に基づいて、船体の横揺れ及び上記針路偏差を抑
制する舵角制御量を算出して演算装置1aに出力する。
横揺れ検出器1fは、上記船体の横揺れ角速度を検出し
て拡張演算装置1eに出力する。
置1の動作、つまり舵角制御量の生成動作について詳し
く説明する。なお、演算装置1aにおける舵角制御量の
生成処理には特に特徴点はないので、以下では、拡張演
算装置1eによる舵角制御量の生成処理について、図3
に示すフローチャートに沿って詳説する。
御量の生成処理に使われる各種データを初期化する(ス
テップS1)。この初期化では、バッチ区間の個数を示
すバッチ数が「1」に初期設定されると共に、目標方位
並びに方位検出器2、船速検出器3、舵角検出器4及び
横揺れ検出器1fの各測定値の取込回数を示す取込数が
「0」に初期設定され、さらにバッチ区間の長さや各種
重み係数等が所定値に初期設定される。拡張演算装置1
eは、このような初期設定処理に引き続いて予め記憶さ
れた基本モデルつまり船体の運動特性行列A(m),B(m)
と当該基本モデルに対する最適ゲインを取り込む(ステ
ップS2)。
被制御変数を方位偏差及び船体の横揺れ角速度とすると
共に舵角を操作変数とする次数Mが比較的低い制御型多
次元自己回帰モデルであり、外乱が作用しない(つまり
U(n)=0)穏やかな洋上で舵8をランダム操舵した際
に得られたものである。すなわち、このようにして得ら
れた基本モデルは、低次数で構築されたモデルあるもの
の、船体の運動特性行列A(m),B(m)をある程度的確に
表現するものである。
位並びに方位検出器2、船速検出器3、舵角検出器4及
び横揺れ検出器1fの各測定値を取り込んで記憶し(ス
テップS3)、さらに方位検出器2の測定値である方位
角と目標方位との差として針路偏差を算出する(ステッ
プS4)。なお、拡張演算装置1eは、各測定値を取込
・記憶する度に上記取込数を順次インクリメントする。
そして、ステップS5においては、この針路偏差、横揺
れ検出器1fの測定値である横揺れ角速度及び舵角検出
器4の測定値である舵角並びにゲインGの初期設定値を
制御式Ysn=G・Znに代入することにより、最適操舵
量Ysnを舵角制御量として算出する。
eから演算装置1aに出力され、さらに演算装置1aか
ら切替器5を介してアクチュエータ7に入力されて舵8
が針路偏差を抑制するように操作される。さらにステッ
プS6では、各測定値の取込回数を示す取込数が既定値
Nに達したか否かが張演算装置1eによって判断され
る。そして、この判断が「No」の場合はステップS3
〜S5の処理が繰り返され、「Yes」の場合には、次
のステップS7において上記バッチ数が「1」であるか
否かが判断される。すなわち、取込回数が既定値Nに達
するまでの初期状態では、基本モデルに基づいて操舵が
制御される。
であるので、ステップS7の判断は「Yes」となり、
拡張演算装置1eは、以下のステップS8〜S13の処理
を行う。すなわち、拡張演算装置1eは、まず最初に上
式(5),(6)に基づいて外乱U(n)の推定値を算出
し(ステップS8)、この推定値に基づいて式(3)’
によって表される外乱モデル(外乱自己回帰モデル)つ
まり外乱係数行列C(k)を同定する。そして、このよう
にして得られた外乱係数行列C(k)と基本モデルから得
られる運動特性行列A(m),B(m)とに基づいて、式
(4)’で表される外乱適応制御型多次元自己回帰モデ
ルを同定する。
型多次元自己回帰モデルを同定すると、ゲインに関する
重み係数つまり2次評価関数(12)の行列Q(n),R
(n)の各要素の変更指示が入力されているか否かを判断
する(ステップS11)。そして、この判断が「Yes」
の場合は、上記各重み係数の値を設定し直した上で(ス
テップS12)、上式(14)に基づいて最適ゲインGs
を算出し(ステップS13)、さらに処理をステップS5
に戻して、当該最適ゲインGsを用いることにより次の
バッチ区間(バッチ数=2,3,……)の舵角制御量を
順次算出する。なお、各重み係数は、航海士によって操
作パネル1cから演算装置1aに入力され、演算装置1
aから拡張演算装置1に取り込まれる。
合には、ステップS12を処理することなく、ステップS
13において最適ゲインGsを算出する。なお、上述した
ステップS13の処理が完了すると、取込回数は「0」に
順次リセットされると共に、バッチ数は順次インクリメ
ントされる。
o」の場合、つまりバッチ数が2以上の場合について、
図4のフローチャートに沿って説明する。この場合は、
少なくとも2つのバッチ区間について各測定値が拡張演
算装置1eに取り込まれて記憶されている状態である。
の規定値)の測定値の取得期間に該当する最新のバッチ
区間について、上記N個の測定値及び上式(5),
(6)に基づいて外乱U(n)の推定値が算出され、さら
にステップS15では、当該推定値等に基づいて外乱モデ
ル及び併合外乱モデルの各外乱係数行列C(k)が同定さ
れる。そして、最新のバッチ区間及び1つ前のバッチ区
間に関する外乱U(n)に特性変化が生じているか否かが
上式(7),(8)の各情報量基準AIC2,AIC1の
大小関係に基づいて判断される(ステップS16)。
り外乱U(n)に特性変化が生じたと判断すると、拡張演
算装置1eは、ステップS15で得られた外乱係数行列C
(k)と予め記憶された運動特性行列A(m),B(m)及び最
新の測定値(つまり横揺れ角速度,針路偏差及び舵角)
に基づいて、式(4)’によって表される制御型多次元
自己回帰モデルを同定する(ステップS17)。なお、バ
ッチ区間の時間幅については、洋上の風や波の変化に適
切に対応するために、船舶の大きさに応じて決定するこ
とが好ましいが、航海開始後の時間経過にしたがって順
次長くすることも考えられる。
テップS11と同様にゲインに関する重み係数の変更指示
が入力されているか否かを判断し(ステップS18)、こ
の判断が「Yes」の場合は、上述した2次評価関数
(12)の行列Q(n),R(n)の各要素値を設定し直した
上で(ステップS19)、上式(13)に基づいて最適ゲ
インGsを算出し(ステップS20)、さらに処理をステ
ップS5に戻して、当該最適ゲインGsを用いることによ
り次のバッチ区間の舵角制御量を順次算出する。一方、
ステップS18の判断が「No」の場合には、引き続いて
ステップS20において最適ゲインGsを算出する。な
お、上述したステップS20の処理が完了すると、上述し
たステップS13の場合と同様に、取込回数は「0」に順
次リセットされ、またバッチ数は順次インクリメントさ
れる。
(n)に特性変化が生じていないと判断すると、拡張演算
装置1eは、ステップS15で同定した併合外乱モデルの
外乱係数行列C(k)並びに運動特性行列A(m),B(m)及
び最新の測定値(つまり横揺れ角速度,針路偏差及び舵
角)に基づいて、式(4)’によって表される制御型多
次元自己回帰モデルを同定する(ステップS21)。
テップS18と同様にゲインに関する重み係数の変更指示
が入力されているか否かを判断し(ステップS22)、こ
の判断が「Yes」の場合は、上述した2次評価関数
(12)の行列Q(n),R(n)の各要素値を設定し直した
上で(ステップS23)、上式(13)に基づいて最適ゲ
インGsを算出する(ステップS20)。
して柔軟に適応する制御型多次元自己回帰モデルを確実
に構築することが可能であり、したがった実用的な外乱
適応型減揺機能を有する自動操舵装置を実現することが
できる。さらに、上記外乱適応型減揺機能を追加ユニッ
トEXとして構成しているので、自動操舵装置への外乱
適応型減揺機能の追加/削除を柔軟に行うことが可能で
ある。
船舶の舵を最適制御することにより目標方位角に対する
方位角の針路偏差のみならず船体の横揺れをも抑制する
ように船舶を自動操舵するに当たり、被制御変数を船体
の横揺れ角速度及び針路偏差とすると共に操作変数を舵
角とする制御型多次元自己回帰モデルにおける運動特性
行列A(m),B(m)を固定値として予め記憶し、所定周期
の各時刻について時々刻々と取得される船体の横揺れ角
速度、方位角及び舵角に関する各測定値並びに目標方位
角及び上記運動特性行列A(m),B(m)を前記制御型多次
元自己回帰モデルに適用することにより、各時刻におけ
る外乱U(n)の推定値を算出し、複数の時刻からなる各
バッチ区間の前記各推定値に対して局所定常過程に対す
るOzaki-Tong法を適用することにより、各バッチ区間に
対して外乱U(n)の特性に応じた最適な外乱自己回帰モ
デルを順次当てはめ、当該外乱自己回帰モデルと前記制
御型多次元自己回帰モデルとから構築される外乱適応制
御型多次元自己回帰モデルに基づいて船体の横揺れ及び
針路偏差を抑制する最適操舵量Ysnを算出し、該最適操
舵量Ysnに基づいて舵を制御するので、実用的な外乱適
応型減揺機能を備えた自動操舵装置及び方法を提供する
ことができる。
帰モデルの当てはめ方法を示す説明図である。
テムの機能構成を示すブロック図である。
ーチャートである。
ーチャートである。
Claims (6)
- 【請求項1】 船舶の舵(8)を最適制御することに
より目標方位角に対する方位角の針路偏差のみならず船
体の横揺れをも抑制するように船舶を自動操舵する装置
(1)であって、 被制御変数を船体の横揺れ角速度及び針路偏差とすると
共に操作変数を舵角とする制御型多次元自己回帰モデル
における運動特性行列A(m),B(m)を固定値として予め
記憶し、 所定周期の各時刻について時々刻々と取得される船体の
横揺れ角速度、方位角及び舵角に関する各測定値並びに
目標方位角及び前記運動特性行列A(m),B(m)を前記制
御型多次元自己回帰モデルに適用することにより、各時
刻における外乱U(n)の推定値を算出し、 複数の時刻からなる各バッチ区間の前記各推定値に対し
て局所定常過程に対するOzaki-Tong法を適用することに
より、各バッチ区間に対して外乱U(n)の特性に応じた
最適な外乱自己回帰モデルを順次当てはめ、 当該外乱自己回帰モデルと前記制御型多次元自己回帰モ
デルとから構築される外乱適応制御型多次元自己回帰モ
デルに基づいて船体の横揺れ及び針路偏差を抑制する最
適操舵量Ysnを算出し、該最適操舵量Ysnに基づいて舵
を制御することを特徴とする自動操舵装置。 - 【請求項2】 主機能である針路偏差の抑制機能に対
して船体の横揺れ抑制機能が追加自在となるように、当
該横揺れ抑制機能を追加ユニット(EX)として構成す
ることを特徴とする請求項1記載の自動操舵装置。 - 【請求項3】 追加ユニット(EX)は、船体の横揺
れ角速度を検出する横揺れ検出器(1f)と、該横揺れ
検出器(1f)から取得した横揺れ角速度、主機能を構
成する本体(MA)から取得した方位角、舵角及び目標
方位角に基づいて最適操舵量Ysnを算出して前記本体
(MA)に出力する拡張演算装置(1e)とから構成さ
れる、ことを特徴とする請求項2記載の自動操舵装置。 - 【請求項4】 バッチ区間の時間幅を航海開始後の時
間経過にしたがって順次長くすることを特徴とする請求
項1〜3いずれかに記載の自動操舵装置。 - 【請求項5】 船舶の舵(8)を最適制御することに
より目標方位角に対する方位角の針路偏差のみならず船
体の横揺れをも抑制するように船舶を自動操舵する方法
であって、 被制御変数を船体の横揺れ角速度及び針路偏差とすると
共に操作変数を舵角とする制御型多次元自己回帰モデル
における運動特性行列A(m),B(m)を固定値として予め
記憶し、 所定周期の各時刻について時々刻々と取得される船体の
横揺れ角速度、方位角及び舵角に関する各測定値並びに
目標方位角及び前記運動特性行列A(m),B(m)を前記制
御型多次元自己回帰モデルに適用することにより、各時
刻における外乱U(n)の推定値を算出し、 複数の時刻からなる各バッチ区間の前記各推定値に対し
て局所定常過程に対するOzaki-Tong法を適用することに
より、各バッチ区間に対して外乱U(n)の特性に応じた
最適な外乱自己回帰モデルを順次当てはめ、 当該外乱自己回帰モデルと前記制御型多次元自己回帰モ
デルとから構築される外乱適応制御型多次元自己回帰モ
デルに基づいて船体の横揺れ及び針路偏差を抑制する最
適操舵量Ysnを算出し、該最適操舵量Ysnに基づいて舵
を制御することを特徴とする自動操舵方法。 - 【請求項6】 バッチ区間の時間幅を航海開始後の時
間経過にしたがって順次長くすることを特徴とする請求
項5記載の自動操舵方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001302745A JP3751239B2 (ja) | 2001-09-28 | 2001-09-28 | 自動操舵装置及び方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003104291A true JP2003104291A (ja) | 2003-04-09 |
JP3751239B2 JP3751239B2 (ja) | 2006-03-01 |
Family
ID=19122936
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-
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- 2001-09-28 JP JP2001302745A patent/JP3751239B2/ja not_active Expired - Lifetime
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