JP2003103689A - ガスバリアフィルム - Google Patents
ガスバリアフィルムInfo
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Abstract
した場合であっても、基材がエッチングされることがな
く、ガスバリア性にムラが生じたり、基材と積層体との
密着性が低下することがなく、さらに、従来のガスバリ
アフィルムと比べて、極めて優れたガスバリア性を有す
るガスバリアフィルムを提供することを課題とする。 【解決手段】 基材と、基材の片面または両面にイオン
プレーティング法によって形成された積層体と、を有す
るガスバリアフィルムであって前記基材は、1Pa〜9
0Paの圧力下において酸素ガス、または酸素ガスと不
活性ガスとの混合ガスを導入し、当該ガスにより基材を
エッチングした場合のエッチングレートが0.001μ
m/min〜0.15μm/minであり、ガラス転移
温度が90℃以上の高分子樹脂であることを特徴とする
ガスバリアフィルムを提供する。
Description
等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料として
用いられるガスバリアフィルムに関し、更に詳しくは、
エッチングレートが小さな基材を用い、イオンプレーテ
ィング法により積層体が形成されるガスバリアフィルム
に関する。
容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影
響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用い
られたり、(ロ)液晶表示パネルやEL表示パネル等に
形成されている素子が、酸素、水蒸気に触れて性能劣化
するの避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料
として用いられている。ガスバリアフィルムには、ガス
バリア性を有するフィルムを貼り合わせるものや、ガス
バリア性を有する層を含む積層体を湿式成層または乾式
成層するものが従来より知られている。
オンプレーティング法は、高エネルギーのプラズマを利
用するので、緻密なガスバリア層を形成することが可能
であることが知られている。
プレーティング法によってガスバリアフィルムの積層体
を形成した場合、当該ガスバリアフィルムの基材は、高
エネルギーのプラズマに長時間曝されることとなるた
め、いわゆるプラズマダメージをうけることがあり、基
材表面がエッチングされることがあった。このように、
基材表面がエッチングされた場合には、フィルム全体の
ガスバリア性にムラが生じる原因となったり、当該基材
上に形成される積層体との密着性が低下する原因とな
る。
体を形成する場合には、基材が高温となるため、積層体
形成時に基材が変形してしまう場合があった。したがっ
て、従来のイオンプレーティング法においては、耐熱性
を有する基材を選定する必要があり、これは製造コスト
の削減等の障害となっていた。
た積層体を有する従来のガスバリアフィルムは、2cc
/m2/day程度の酸素透過率(OTR)や、2g/
m2/day程度の水蒸気透過率(WVTR)を有する
にすぎず、より高いガスバリア性を有する用途、例えば
有機ELの包装用に使用される場合には、未だ不十分な
ものであった。
あり、イオンプレーティング法により積層体を形成した
場合であっても、基材がエッチングされたり、熱により
変形することがなく、ガスバリア性にムラが生じたり、
基材と積層体との密着性が低下することがなく、さら
に、従来のガスバリアフィルムと比べて極めて優れたガ
スバリア性を有するガスバリアフィルムを提供すること
を課題とする。
決するために、請求項1に記載するように、基材と、基
材の片面または両面にイオンプレーティング法によって
形成された積層体と、を有するガスバリアフィルムであ
って、前記基材は、1Pa〜90Paの圧力下において
酸素ガス、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを
導入し、当該ガスにより基材をエッチングした場合のエ
ッチングレートが0.001μm/min〜0.15μ
m/minであり、ガラス転移温度が90℃以上の高分
子樹脂であることを特徴とするガスバリアフィルムを提
供する。
たは両面にイオンプレーティング法によって形成された
積層体と、を有するガスバリアフィルムにおいて、当該
基材は、前記基材は、1Pa〜90Paの圧力下におい
て酸素ガス、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス
を導入し、当該ガスにより基材をエッチングした場合の
エッチングレートが0.001μm/min〜0.15
μm/minである高分子樹脂であるため、積層体を形
成する際に当該基材が高エネルギーを有するプラズマに
曝されても、基材表面がエッチングされることがない。
その結果、従来のエッチングされやすい基材に比べて、
基材の厚さを薄くすることができるので、よりフレキシ
ブルなガスバリアフィルムとすることができる。また、
エッチングされないので、ガスバリア性にムラがなく、
基材と積層体との密着性が低下することもない。
る基材は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂で
あるので、イオンプレーティング法によりガスバリア層
を形成する際に、基材が高温に曝された場合であって
も、基材が変形したり、劣化することがない。したがっ
て、高エネルギーのプラズマを利用して緻密なガスバリ
ア層を形成することが可能なイオンプレーティング法を
用いて形成したガスバリア層を有していても、積層体を
構成する層同士の密着性が低下することはなく、ガスバ
リア性に優れたガスバリアフィルムとすることができ
る。
に、請求項2に記載するように、請求項1に記載のガス
バリアフィルムにおいて、前記基材が、ポリアリレート
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレー
ト樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、又はベース
となる任意に選択された樹脂上の少なくとも一方に、ポ
リアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレ
ンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポ
リエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹
脂、のうちから任意に選択される1又は2以上の樹脂が
接着されてなる複合樹脂、のいずれかであることを特徴
とするガスバリアフィルムを提供する。
基材が、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォ
ン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ
イミド樹脂、又はベースとなる任意に選択された樹脂上
の少なくとも一方に、ポリアリレート樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエー
テルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド樹脂、ポリイミド樹脂、のうちから任意に選択され
る1又は2以上の樹脂が接着されてなる複合樹脂、のい
ずれかであるので、1Pa〜90Paの圧力下において
酸素ガス、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを
導入し、当該ガスにより基材をエッチングした場合のエ
ッチングレートが0.001μm/min〜0.15μ
m/minの範囲内であり、さらにガラス転移温度が9
0℃以上の高分子樹脂であるので、上記請求項1と同様
の作用効果を有するガスバリアフィルムを提供すること
ができる。
うに、請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィル
ムにおいて、前記積層体が、ガスバリア層と、撥水性を
有する撥水層により構成されていることを特徴とするガ
スバリアフィルムを提供する。
積層体がガスバリア層と、撥水性を有する撥水層により
構成されているので、積層体の表面の水等に対する吸着
性を低下させることができ、これにより全体としてガス
バリア性を向上させることができる。
ルムの層構成の一例を示す断面図である。
の片面または両面に、イオンプレーティング法によって
形成された積層体3を有するものである。
成する基材2および積層体3についてそれぞれ説明す
る。
a〜90Paの圧力下において酸素ガス、または酸素ガ
スと不活性ガスとの混合ガスを導入し、当該ガスにより
基材をエッチングした場合のエッチングレートが0.0
01μm/min〜0.15μm/minの高分子樹脂
であることに特徴を有している。このように、基材2と
しての高分子樹脂のエッチングレートが上記範囲内であ
ることによって、イオンプレーティング法によりガスバ
リア層4を形成した場合、つまり高エネルギーのプラズ
マに基材2の表面が曝された場合であっても、エッチン
グされることがなく、その結果、当該基材2の厚さを従
来のそれよりも薄くすることができる。また、エッチン
グされないので、ガスバリア性にムラがなく、基材とガ
スバリア層4を有する積層体3との密着性が低下するこ
ともない。さらに、基材自体のガスバリア性が低下する
こともない。
とは、基材を、1Pa〜90Paの圧力にした密閉容器
に載置し、当該容器内に酸素ガス、又は酸素ガスと不活
性ガスとの混合ガスを導入した場合において、当該基材
が導入されたガスによって単位時間当たりにエッチング
される層厚を測定した際の値である。したがって、例え
ば、エッチングレートが0.001μm/minの基材
とは、上記条件下において1分間に0.001μm(層
厚)エッチングされる基材のことを意味する。当該エッ
チングレートを測定する際に用いられるガスとしては、
酸素ガスや酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを挙げる
ことができ、不活性ガスとしては、例えばヘリウムガ
ス、アルゴンガス、キセノンガスなどを挙げることがで
きる。なお、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガ
スを混合して不活性ガスとして用いることもできる。
下限(0.001μm/min)については、基材がほ
とんどエッチングされないことを意味し、必ずしも0.
001μm/min以上のエッチングレートが要求され
るものではなく、それ以下で合ってもよい。しかしなが
ら、通常の測定機器を用いた場合においては、その検出
限界が0.001μm/min程度であるため、本発明
においては、エッチングレートの下限をこのように規定
している。
おける基材2は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子
樹脂であることに特徴を有している。このように、基材
2としての高分子樹脂のガラス転移温度が90℃以上で
あることにより、当該高分子樹脂は、耐熱性に優れてお
り、ガスバリア層をイオンプレーティング法によって形
成する際の熱の影響を受けることがない。
材2に好適に用いられる高分子樹脂としては、具体的に
は、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイ
ミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミ
ド樹脂、又はベースとなる任意に選択された樹脂上の少
なくとも一方に、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテル
スルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポ
リエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリイミド樹脂、のうちから任意に選択される1又
は2以上の樹脂が接着されてなる複合樹脂、を挙げるこ
とができる。
意に選択された樹脂とは、従来公知の樹脂全てを意味
し、本発明において特に限定されるものではない。ま
た、ベースとなる任意に選択された樹脂と、上述のエッ
チングレートを有する高分子樹脂(具体的には、ポリア
リレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナ
フタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエ
ーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂)と
の接着方法については、本発明は特に限定することはな
く、従来公知のいかなる接着方法であってもよい。本発
明においては、前記基材の中でも特にポリアリレート樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、又はベースとなる
樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂を用いこれ
にポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエ
チレンナフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂
を接着せしめた複合樹脂は、透明性を有しており、比較
的に入手が容易であることから好ましい。
ものではないが、本発明における基材2は、エッチング
レートが上記範囲内であり、ガラス転移温度が90℃以
上であることから、高エネルギーのプラズマに曝された
場合であってもエッチングされることがなく、高熱によ
り基材が変形することもないため、従来のガスバリアフ
ィルムにおける基材に比べ、基材2の厚さを薄くするこ
とが可能であり、具体的には6〜100μmとすること
が可能である。
前述した基材2の片面又は両面にイオンプレーティング
法により形成されなり、当該ガスバリアフィルムにガス
バリア性を付与するためのものである。したがって、積
層体3は、少なくともガスバリア層を有していることが
必要であるが、その具体的な層構成については特に限定
されることはない。したがって、例えば、ガスバリア層
やその他の作用を奏する薄層などを複数に積層したもの
であってもよく、一層のガスバリア層のみを積層体3と
してもよい。
おける積層体3の層構成の一例を示す概略断面図でもあ
る。
体3は、ガスバリア層4と、このガスバリア層4上に形
成された撥水層5とから構成されている。以下、このガ
スバリア層4および撥水層5、さらには、このガスバリ
アフィルム1の製造方法に分けて、それぞれ説明する。
スバリア層4は、ガスバリア性を付与するためにイオン
プレーティング法によって基材上に形成された薄層であ
り、積層体3に必須の構成である。このガスバリア層4
は、ガスバリア性を有していれば特に限定されるものは
なく、透明なものであっても不透明なものであってもよ
い。
層の種類としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化
アンチモン、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化カル
シウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロ
ム、酸化珪素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化
スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸
化白金、酸化パラジウム・酸化ビスマス、酸化マグネシ
ウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウ
ム、酸化バリウム、等を挙げることができる。また、I
TO層なども本発明のガスバリア層として用いることが
できる。本発明のガスバリアフィルムにおけるガスバリ
ア層としては、前記酸化物を2種類以上から構成される
層でもよい。
としては、アルミニウム、シリコン等を挙げることがで
き、また金属の薄層は全て、本発明のガスバリア層とし
て用いることができる。さらに、前記透明なガスバリア
層としての酸化物と、不透明なガスバリア層としての金
属薄膜とを合わせて用いてもよい。
いる場合等のようにガスバリアフィルムに透明性が要求
される用途が多い。したがって、本発明においてはガス
バリア層が透明なものであることが好ましく、具体的に
は上述したような金属酸化物の薄層であることが好まし
い。
ンプレーティング法(装置)で形成する場合の原料とし
ては、Si、SiO、SiO2、Al、ITO等を挙げ
ることができ、形成するガスバリア層に合わせて任意に
選択することができる。
スバリア層4として用いることが好ましい。酸化珪素層
は、層を構成する珪素原子の数や酸素原子の数をコント
ロールすることによりガスバリア性を向上することがで
きるとともに、酸化珪素層中に炭素原子やC−H結合を
有する有機物などを含有せしめることにより、さらにガ
スバリア性を向上することができるからである。
いて説明する。本発明に用いられる撥水層は、ガスバリ
ア層4上に形成され、かつ撥水性を有する層であれば特
に限定されるものではなく、積層体に必ずしも必要な層
でははい。撥水層5を設けることにより、表面に吸着す
る水や酸素の量を低下させることができ、その結果、ガ
スバリア性を向上させることができる。
の撥水性が、撥水層5表面における水との接触角が測定
温度23℃において、60°以上、特に80°以上とな
るような撥水性であることが好ましい。水との接触角が
この程度以上あれば、表面に水等が吸着することによる
ガスバリア性の低下を防止することができるからであ
る。
協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用い
て求めた値である。すなわち、被測定対象物の表面上
に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、顕
微鏡やCCDカメラを用い水滴形状を観察し、物理的に
接触角を求める方法を用い、この方法により測定された
水との接触角を本発明における水との接触角とすること
とする。
水性を有する層であればどのような方法により形成され
たものであってもよい。具体的には、蒸着法により形成
されたものであってもよいし、撥水層形成材料を溶媒に
溶解もしくは懸濁させた撥水層形成用塗工液を塗布する
ことにより形成したものであってもよい。また熱可塑性
樹脂を用い、この樹脂を溶融させて塗布することにより
形成したものや、ドライフィルムを貼り合せる方法等に
より形成されたものであってもよい。
たガスバリア層4はイオンプレーティング法により形成
されるものであり、したがって、同一の真空装置内で連
続してガスバリア層4と撥水層5とを形成することが好
ましい。同一の真空装置内で上述したガスバリア層4と
連続して撥水層5を形成する方法としては、プラズマC
VD法(プラズマ重合法)が特に好ましい。なお、撥水
層5は、イオンプレーティング法により形成することも
可能である。
ことができる点などを考慮すると、上述したような撥水
層形成用塗工液を塗布する方法、もしくは熱可塑性樹脂
を溶融塗布する方法により形成された撥水層であっても
よい。
は、上述したような撥水層の形成方法により大きく異な
るものである。具体的には、イオンプレーティング法に
より撥水層を形成する場合の撥水層を構成する材料とし
ては、PTFEやCTFEのようなフッ素系樹脂を用い
ることができる。
ることにより撥水層を形成する場合の材料としては、ポ
リエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオ
レフィン系樹脂等のオレフィン系樹脂等を挙げることが
できる。
エチレンフィルム等ポリオレフィンフィルムを接着剤を
用いたドライラミネーション法による貼り合わせること
もできる。
その製造方法により大きく異なる。具体的には、イオン
プレーティング法により撥水層を形成した場合における
好ましい層厚としては、1〜1000nmの範囲内、特
に5〜100nmの範囲内が好ましい。一方、他の方
法、すなわち撥水層形成用塗工液を塗布することにより
形成する方法や、熱可塑性樹脂を溶融させて塗布する方
法等における好ましい層厚は、1〜100μmの範囲内
であり、特に1μm〜50μmの範囲内であることが好
ましい。
は、例えば撥水層が形成されない部分が生じる等の撥水
層としての機能を発揮できない可能性が生じることから
好ましくなく、上記範囲より層厚を厚くしても、撥水性
に影響を与えないことからコスト面で問題となる可能性
があるため好ましくない。
途によって透明性を要求される場合がある。したがっ
て、上述した撥水層も透明であることが好ましい。
の実施形態を示す図である。図2に示す本発明のガスバ
リアフィルム1は、基材2と、この基材2上に形成され
た積層体3とからなり、当該積層体3は、ガスバリア層
4および撥水層5がこの順序にそれぞれ4層づつ積層さ
れて形成されて構成されているものである。このように
ガスバリア層4と撥水層とを複数層積層することによ
り、さらにガスバリア性を向上させることができる。
層4および撥水層5の積層が、それぞれ少なくとも2層
以上20層以下であることが好ましく、特に2層以上1
0層以下であることがガスバリア性および製造効率等の
観点から好ましいといえる。
は、酸素透過率が0.5cc/m2/day以下で水蒸
気透過率が0.5g/m2/day以下、より好ましく
は酸素透過率が0.1cc/m2/day以下で水蒸気
透過率が0.1g/m2/day以下の極めて優れたガ
スバリア性を発揮する。本発明のガスバリアフィルム
は、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気
をほとんど透過させないので、高いガスバリア性が要求
される用途、例えば食品や医薬品等の包装材料や電子デ
バイス等のパッケージ材料用に好ましく用いることがで
きる。また、その高度なガスバリア性および耐衝撃性を
共に有する点から、例えば各種ディスプレイ用の基材と
して用いることが可能である。また、太陽電池のカバー
フィルム等にも用いることができる。
方法について説明する。本発明のガスバリアフィルム1
は、上述した基材2の片面または両面にイオンプレーテ
ィング法により積層体3を形成することにより製造され
る。
示すようなイオンプレーティング装置を用いることによ
り行われる。
は、圧力勾配型プラズマガン11(以下、プラズマガン
という)により真空チャンバー12内にプラズマを発生
させて真空チャンバー12内の基材ホルダー13上に配
置した基材40上に蒸着により薄層を形成するものであ
る。
ナス側に接続された環状の陰極15と放電電源14のプ
ラス側に抵抗を介して接続された環状の第1中間電極1
6、第2中間電極17を備え、陰極15側から放電ガス
の供給を受け、前記放電ガスをプラズマ状態にして第2
中間電極17から真空チャンバー12内に向けて流出さ
せるように配置されている。真空チャンバー12は、図
示しない真空ポンプに接続され、その内部は所定の減圧
状態に保たれている。また、真空チャンバー12の第2
中間電極17に向けて突出した短管部12Aの外側に
は、この短管部12Aを包囲するように収束コイル18
が設けられている。
源14のプラス側に接続された導電性材料からなるハー
ス19が蔵置されており、このハース19上の凹所に薄
層の材料となる導電性あるいは絶縁性の蒸着原料20が
収められている。さらに、ハース19の内部にはハース
用磁石21が設けられている。
0に向けてプラズマビーム22が形成され、蒸着原料2
0が蒸発させられ、基材40の下面に付着し、薄層が形
成される。なお、収束コイル18はプラズマビーム22
の横断面を収縮させる作用を、またハース用磁石21は
プラズマビーム22をハース19に導く作用をしてい
る。
を用いることにより、基材40上に緻密なガスバリア層
を形成することができる。また、プラズマガン11から
発生されるプラズマは非常に高エネルギーであるため、
従来の基材を用いた場合には、基材がプラズマダメージ
を受ける場合があったが、本発明のガスバリアフィルム
における基材は、エッチングレートが0.001μm/
min〜0.15μm/minであり、ガラス転移温度
が90℃以上であるため、プラズマダメージをうけるこ
とはなく、また熱により変形することもない。
酸化珪素層を用いる場合においては、イオンプレーティ
ング装置のハース19上の凹所に蒸着原料20として
は、上述した各原料の中でも、特に、Si、SiO、S
iO2、を載置するのが好ましい。
をさらに具体的に説明する。
施例および比較例とは別に、エッチングレート試験を行
った。
す樹脂をそれぞれ試料として用い、これらの試料(試料
No.1〜9)について、図3に示すイオンプレーティ
ング装置10を用いて以下のような手順で行った。
m×30cm)を装置10の真空チャンバー12内に装
着した。次に装置10の真空チャンバー12内を、真空
排気ポンプ30(油回転ポンプおよび油拡散ポンプ)に
より、到達真空度1.0×10-3Pa以下まで減圧し
た。真空チャンバー12内に酸素ガス(太陽東洋酸素
(株)、純度99.9999%以上)20sccmを導入
し、真空ポンプ30と真空チャンバー12との間にある
バルブ31の開閉度を制御することで圧力を6.7×1
0-2Paに保ち、アルゴンガス(太陽東洋酸素(株)、純
度99.999%以上)20sccmを導入した。この
状態で、プラズマガン11にプラズマ生成のための電力
9kWを投入し、陽極(ハース)19上にプラズマ流を
収束させて、高密度プラズマにより真空チャンバー12
内のガス分子をイオン化させて、試料40に照射した。
なお、これはエッチングレート試験であるため、陽極
(ハース)19上には原料は載置しなかった。一定時間
試料40をこの状態で放置し、エッチング処理をした。
ガスの供給と真空排気を停止し、大気開放し、エッチン
グ処理された試料20を取り出した。一定時間にエッチ
ングされた試料の厚みをデジタルマイクロメーター(ソ
ニー株式会社製:μ−mate M−30)によって測
定し、処理前後の厚みを差し引きすることにより、以下
の式でエッチングレートを算出した。 (エッチングレート)=((処理前の基材厚み)−(処
理後の基材厚み))/(基材処理時間)
実施例および比較例とは別に、ガラス転移温度試験を行
った。なお、ガラス転移温度試験は、従来公知の示差走
査型熱量計(DSC)で測定した。
ラス転移温度試験の結果を示す。
〜4についてはエッチングレートがいずれも0.001
〜0.15μm/minの間であって、ガラス転移温度
も90℃以上であるので、優れた耐エッチング性、耐熱
性を有していることがわかる。一方、試料No.5につ
いては、エッチングレートは0.15μm/min以下
であり、優れた耐エッチング性を有しているが、ガラス
転移温度が70℃と低く、したがって耐熱性に問題があ
ることが分かる。さらに、試料No.6〜7について
は、ガラス転移温度は90℃以上であるので、優れた耐
熱性を有しているが、エッチングレートは0.15μm
/minより大きく、試料の表面がエッチングされてい
ることが分かった。さらにまた、試料No.8について
は、エッチングレートが0.15μm/minより大き
く、ガラス転移温度も90℃以下であり、耐エッチング
性、耐熱性ともに劣っていることが分かった。
体的に説明する。
ング装置10を用い、基材として上記試料No.1の樹
脂を準備し、イオンプレーティング装置10の真空チャ
ンバー12内に装着した。次に、ガスバリア層の原料と
なる蒸発源として二酸化珪素(メルクジャパン株式会社
製:純度99%、粒径2.5〜4mm)を準備し、陽極
(ハース)19上に載置した。次に、イオンプレーティ
ング装置10の真空チャンバー12内を、油回転ポンプ
および油拡散ポンプにより、到達真空度1.0×10-3
Pa以下まで減圧した。
99.9999%以上)20sccmを導入し、真空ポ
ンプ30と真空チャンバー12との間にあるバルブ31
の開閉度を制御することで圧力を6.7×10-2Paに
保ち、アルゴンガス(太陽東洋酸素(株)、純度99.9
99%以上)20sccmを導入した。この状態で、プ
ラズマガン11にプラズマ生成のための電力9kWを投
入し、陽極(ハース)19上にプラズマ流を収束させて
照射することによりガスバリア層の原料である二酸化珪
素を蒸発させ、高密度プラズマにより真空チャンバー1
2内のガス分子をイオン化させて、基材としての試料N
o.1の樹脂上にガスバリア層(酸化珪素層)を100
nmの厚みで形成し、実施例1のガスバリアフィルムを
得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして実施
例2のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして実施
例3のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして実施
例4のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして比較
例1のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして比較
例2のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして比較
例3のガスバリアフィルムを得た。
の樹脂を用いた以外は、上記実施例1と同様にして比較
例4のガスバリアフィルムを得た。
は、上記実施例1〜4及び比較例1〜5のガスバリアフ
ィルムについて酸素透過率(OTR)試験と水蒸気透過
率(WVTR)試験の結果を示したものである。
装置(MOCON社製:OX−TRAN 2/20)を
用い、23℃、90%Rhの条件で測定した値である。
また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOC
ON社製:PERMATRAN−W 3/31)を用
い、37.8℃、100%Rhの条件で測定した値であ
る。
判断する場合には、酸素透過率が0.5cc/m2/d
ay、水蒸気透過率が0.5g/m2/dayを基準と
し、これらの基準以下の場合には、ガスバリア性が優れ
ていると判断される。そうすると、表3からも明らかな
ように、実施例1〜4のガスバリアフィルムは共に酸素
透過率が0.5cc/m2/day以下であり、水蒸気
透過率が0.5g/m2/day以下であるのでいずれ
も優れたガスバリア性を有していることが分かった。
アフィルムは、水蒸気透過率も0.5g/m2/day
より大きいことが明らかとなった。また、比較例2及び
比較例3のガスバリアフィルムは、酸素透過率が0.5
cc/m2/dayより大きく、水蒸気透過率も0.5
g/m2/dayより大きく、いずれの比較例も本発明
の実施例に比べガスバリア性が劣っていることが分かっ
た。
材は、1Pa〜90Paの圧力下において酸素ガス、ま
たは酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを導入し、当該
ガスにより基材をエッチングした場合のエッチングレー
トが0.001μm/min〜0.15μm/minの
高分子樹脂であるので、イオンプレーティング法により
ガスバリア層を形成した場合、つまり高エネルギーのプ
ラズマに基材の表面が曝された場合であっても、エッチ
ングされることがなく、その結果、当該基材の厚さを従
来のそれよりも薄くすることができる。また、エッチン
グされないので、ガスバリア性にムラがなく、基材とガ
スバリア層4を有する積層体との密着性が低下すること
もない。さらに、基材自体のガスバリア性が低下するこ
ともない。
おける基材2は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子
樹脂であることに特徴を有している。このように、基材
2としての高分子樹脂のガラス転移温度が90℃以上で
あることにより、当該高分子樹脂は、耐熱性に優れてお
り、ガスバリア層をイオンプレーティング法によって形
成する際の熱の影響を受けることがない。
構成図である。
断面構成図である。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 基材と、 当該基材の片面または両面に位置し、少なくともイオン
プレーティング法によって形成されたガスバリア層を有
する積層体と、からなるガスバリアフィルムであって、 前記基材は、1Pa〜90Paの圧力下において酸素ガ
ス、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを導入
し、当該ガスにより基材をエッチングした場合のエッチ
ングレートが0.001μm/min〜0.15μm/
minであり、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹
脂であることを特徴とするガスバリアフィルム。 - 【請求項2】 前記基材が、ポリアリレート樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポ
リエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケト
ン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂、ポリイミド樹脂、又はベースとなる任意
に選択された樹脂上の少なくとも一方に、ポリアリレー
ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレ
ート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテル
エーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、のうちか
ら任意に選択される1又は2以上の樹脂が接着されてな
る複合樹脂、のいずれかであることを特徴とする請求項
1に記載のガスバリアフィルム。 - 【請求項3】 前記積層体が、ガスバリア層と、撥水性
を有する撥水層により構成されていることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009024255A (ja) * | 2007-06-20 | 2009-02-05 | Dainippon Printing Co Ltd | イオンプレーティング用蒸発源材料の原料粉末、イオンプレーティング用蒸発源材料及びその製造方法、ガスバリア性シート及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-09-28 JP JP2001304263A patent/JP3872669B2/ja not_active Expired - Fee Related
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