JP2003102830A - 移動透析車輌 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 慢性腎不全を罹患し人工透析が必要な患者に
対し、人工透析施設以外の場所で透析治療を受けられる
手段の一つとして自動車に設備を搭載した移動透析車を
得る。 【解決手段】 自動車の車内に単身用透析装置１６およ
びこれにより人工透析を施行するために必要な器材・資
材等を搭載する。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、人工透析治療を施
行するために必要な器材、資材一式を搭載した移動透析
車輌並びに該装置の搭載方法、運用方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、人工透析を施行するにあたって、
透析患者は、人工透析の設備を備えた医療施設に自ら出
向くか、あるいは入院して、その医療施設内において１
週間当たり数回の頻度で人工透析の治療を受けていた。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】近年、高齢化および合
併症の多様化などの理由により、自立生活が困難な透析
患者が増加している。このため、医療施設においても、
送迎車を差し向ける等の手段を講じているものの、患
者、医療双方の負担は少なくないという問題点を有して
いた。 【０００４】また短時間かつ頻回の人工透析治療が慢性
腎不全患者の長期予後に良好な影響を与えるため、これ
を在宅で行うことにより透析患者の社会復帰の機会を大
幅にに向上させることから、在宅透析を研究する団体が
発足したが、現状では未だごく一部の医療機関が試験的
に在宅透析を行っているのみであり、透析の設備が出向
いてゆくという観点での実施がなされたことがないとい
う問題点も有していた。 【０００５】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、移動先において人工透析治療の施行を可能
とし、これにより通院が困難な患者の治療を容易ならし
めると同時に、透析患者の社会復帰を促す在宅透析の普
及に寄与する移動透析車輌とその運用方法の提供を目的
とする。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における移動透析車輌においては、自動車の
車内に単身用人工透析装置を搭載し、稼動に必須な電力
及び清浄水のサプライとして電力供給装置および給排水
装置、ならびに周辺機器、資材一式を搭載したものであ
る。 【０００７】単身用人工透析装置ほか各種装置は既存の
ものを利用するので、これらを駆動するのに必要な電力
は、多くは１００Ｖ、５０／６０Ｈｚの商用交流であ
る。このため、移動透析車輌における電源装置は、外部
コンセントの取込み機構、予備蓄電池ならびにインバー
ター、および小型発電機からなる。 【０００８】人工透析は、患者の血液と透析液を透析器
を介して接触させ行う。透析液は濃縮された透析原液
（２剤）を、水処理装置によって上水道水を清浄化およ
び軟水化処理を行い得られた清浄水により透析装置内で
希釈する。この清浄水を得るため上水道水の外部取込み
機構、水処理装置、処理済みの清浄水タンクを装備す
る。清浄水タンクには、清潔を保つために紫外線殺菌灯
を循環する機構を持つことが望ましい。 【０００９】同時に、清浄水タンクと同容量の排水タン
クを装備し、人工透析装置から排出された排液はこれに
貯留され、然るのちに排水タンク下部に設けた排出口に
より外部下水道に排水される。 【００１０】移動先に上水道の設備が無い場合、予め上
水道を給水し、水処理装置により得られた清浄水を清浄
水タンクに貯留してもよい。同様に下水道の設備を利用
できない場合、排水は排水タンクに貯留し、下水道設備
のある場所まで移動して排水してもよい。 【００１１】移動先において必要な電力は、移動透析車
輌に装備した各種電源装置より賄うが、移動先において
商用電源のコンセントを利用できる場合は、延長コード
を用いてこれを利用してもよい。 【００１２】また、実施場所において患者が移動透析車
に乗車して人工透析を施行することが困難あるいは不可
能な場合は、単身用人工透析装置および透析原液を取外
し、患者の待つ場所へ移動させ、移動透析車輌からは給
排水の延長ホースを繋げて施行してもよい。 【００１３】 【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもと
づき図面を参照して説明する。図１の移動透析車輌にお
いて、スタッフは運転席１において同車輌を運転し、あ
るいは助手席２２に同乗し、患者の自宅など人工透析の
実施場所に移動する。 【００１４】実施場所に駐車後、上水道取入れ口３に上
水道のホースを接続し、水処理装置３でもって清浄化
し、清浄水タンク４に貯留する。実施場所において上水
道の設備を利用できない場合は、予め上記行程を済ませ
ておくことができる。 【００１５】清浄水タンク４に貯留された清浄水は、循
環ポンプ７により紫外線殺菌灯５を常時循環し清潔を保
つ。 【００１６】透析患者は出入口２０または後部扉１２よ
り乗車し、患者用寝台１５に臥床し、人工透析治療を受
ける。治療の前後では体重計２３において体重を測定す
る。 【００１７】単身用人工透析装置１６は、清浄水配管８
を通り送水ポンプ６で圧送された清浄水でもって透析原
液Ａ剤１７と透析原液Ｂ剤１８を希釈し、透析液を作成
し、人工透析を行う。 【００１８】透析器を通し治療に供された排液は、配水
管９を通り床下に固定された排水タンク１０に貯留され
た後、外部排水口１１に接続されたホースにより下水道
に廃棄されるが、実施場所において下水道の利用ができ
ない場合はそのまま貯留し、下水道設備のある場所まで
移動して廃棄することもできる。 【００１９】上記行程を実施するために必要な電力は、
床下に固定された発電機１４または予備蓄電池に接続さ
れたインバーター２１より供給される。外部コンセント
が利用可能な場合は、延長コードによりこれを利用する
こともできる。 【００２０】治療に必要な器材、薬品等は備品庫１９な
どに収納される。 【００２１】人工透析においては患者血液がスタッフの
手指に付着することが多いため、手洗い用にギャレー１
３を装備する。これは清浄水とは別系統の各々２０ｌ程
度の給排水タンクを備え、感染防止に寄与する。 【００２２】 【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。 【００２３】医療機関、訪問看護ステーションとの連係
により、僻地に居住し、高齢、障害等で通院が困難な透
析患者の治療を容易ならしむる。 【００２４】都市部においても、高齢、障害等で通院が
極めて困難な症例に対しては、医療機関、訪問看護ステ
ーションとの連係により、上記と同様にこれを活用しう
る。 【００２５】また、上記の他、仕事の都合等の理由によ
り、自宅や職場等での透析を希望する患者のニーズに応
えることが容易になる。 【００２６】僻地居住の透析患者が、近傍の集落に複数
居住せるような場合、移動透析車を集落の公民館、学校
等の敷地まで派遣し、その場所まで家族等の介護あるい
は患者自身で来てもらい、治療を施行することにより患
者の通院負担を大幅に軽減できる。 【００２７】自宅にて透析を施行するならば短時間連日
透析が可能な症例に対しては、患者宅まで出向いて人工
透析を施行することができる。また移動巡回することに
よりこのような患者に対し１日に２〜３名の透析施行が
可能になる。 【００２８】透析患者の国内旅行に随伴あるいは現地合
流し、透析施設のない観光地等において透析を行うこと
により旅行期間の延長を得、以て患者ＱＯＬの向上に寄
与することができる。 【００２９】大規模災害発生時、被災地近隣透析施設が
稼動不能状態に陥った場合、移動透析車輌を避難所近傍
まで出動させ、被災者である透析患者の治療施行を支援
することができる。 【００３０】必要に応じて車輌を大型化することにより
１度に複数人数の患者に対しての透析治療の施行が可能
になる。逆に、設備の簡略化により車輌を小型化し、住
宅密集地や山間部などでの透析治療施行を容易にするこ
ともできる。

【図面の簡単な説明】 【図１】患者１名に対し透析治療施行可能な移動透析車
輌の見取図である。 【符号の説明】 １ 運転席 ２ 水処理装置 ３ 上水道取入れ口 ４ 清浄水タンク ５ 紫外線殺菌灯 ６ 送水ポンプ ７ 循環ポンプ ８ 清浄水配管 ９ 排水管 １０ 排水タンク（床下） １１ 外部排水口 １２ 後部扉 １３ ギャレー １４ 発電機（床下） １５ 患者用寝台 １６ 単身用人工透析装置 １７ 透析原液Ａ剤 １８ 透析原液Ｂ剤 １９ 備品庫 ２０ 出入口 ２１ 予備蓄電池およびインバーター兼収納庫 ２２ 助手席 ２３ 体重計

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 自動車の車内に単身用人工透析装置およ
   びこれを稼動させるための電源供給装置、給排水装置な
   らびに患者用寝台、周辺機器、資材を搭載した移動透析
   車輌。