JP2003102751A - 上顎の一体型刃物付き人工臼歯(図4)と下顎の一体型人工臼歯(図2−2,4)、及び総義歯製作時に便利な配列具(図7−22、図8−23)。 - Google Patents

上顎の一体型刃物付き人工臼歯(図4)と下顎の一体型人工臼歯(図2−2,4)、及び総義歯製作時に便利な配列具(図7−22、図8−23)。

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JP2003102751A JP2001338671A JP2001338671A JP2003102751A JP 2003102751 A JP2003102751 A JP 2003102751A JP 2001338671 A JP2001338671 A JP 2001338671A JP 2001338671 A JP2001338671 A JP 2001338671A JP 2003102751 A JP2003102751 A JP 2003102751A
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Shinji Hiraiwa
慎次 平岩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 解剖学的形態を尊重しつつ、食物粉砕機能
を優先した人工臼歯を提供し総義歯の製作を容易にす
る。 【解決手段】 上顎人工臼歯の咬合面と頬舌側面を、頬
粘膜や舌を傷をつけない形態で耐磨耗性の金属を用い刃
物状にし、第二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯の三
歯を連結し一体化した形態の刃物付き人工臼歯を発明し
た。下顎の対合臼歯も磨耗に強い硬い樹脂を使用し、第
二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯の三歯を連結し一
体化し義歯製作時の操作を能率的に行えるようにした。
蝋義歯において上顎人工臼歯を咬合平面板上に正確に配
列するため(パレット1)と、咬合関係を再現するため
(パレット2)の二つの配列具を準備し、操作時間を短
縮した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食物粉砕用一体型
刃物付き人工臼歯の上下顎一対。並びに総義歯製作工程
で使用すると便利な配列具(パレット)に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から一般的に使用されている総義歯
用の人工臼歯の形状は、天然歯の代用としての発想か
ら、ヒトの天然歯の解剖的形状を模倣して、設計製作さ
れている。材質は、陶器もあるが殆どはプラスチックで
できており、咬頭、隆線は丸みを帯びており、磨耗もし
やすい。しかも刃物がないので、食物を切ったり粉砕す
る機能はなく、押しつぶすだけであり、硬い食物を始め
多くの食物の粉砕や繊維質の効果的な切断は期待できな
い。
【0003】しかし総義歯は脆弱な歯肉に乗ってるだけ
で、口腔内で動きやすい。このため、義歯床下粘膜には
過大な負担となり、歯肉が痛んだり、歯槽骨の吸収がお
き、緩くなって義歯がはずれたり、義歯床下に食物が介
在して痛くなり、食事が出来なくなる。これらのこと
が、入れ歯を使う人々にとって、毎日毎日、永遠に続く
大変な苦痛となっている。
【0004】また、従来からごく一部で使用される刃物
状の人工臼歯は貫通力、食物粉砕能力ともに不足し、形
態的にも頬や舌が擦れ易く、舌感の悪いものである。
【0005】現在最も評価の高いSAブレードメタルテ
ィースでさえも、天然歯の解剖的形態である粉砕するべ
き頬側咬頭及び舌側咬頭がなく、刃物の尖頭は皿を半分
にして立てたように歯の中央に位置しているため、対咬
する下顎人工臼歯の中央の一点のみで接触するので、人
工歯配列時に人工臼歯の位置が遠心的、頬舌的に歯槽骨
との位置がはずれ不調和になりやすく、義歯が転覆しや
すく、舌及び頬粘膜が傷つきやすく、咀嚼運動の障害の
原因になりやすい。
【0006】なぜならヒトの臼歯は解剖的、機能的に尖
った頬側咬頭及び舌側咬頭の間の歯の中央部が谷のよう
に凹みとなっており、咀嚼運動時において上下顎の歯は
歯車のように、咬頭と凹みの関係で咬合し機能してい
る。
【0007】このSAブレードメタルティースは解剖学
的には全く逆になっていて、凹みのあるべき部位が尖頭
で、尖っているべき頬側咬頭及び舌側咬頭がない。また
機能重視のため、形態が既存の人工歯の概念とあまりに
も異なるので、本人である患者ばかりでなく歯科医師、
歯科技工士にとっても、心情的になじみにくい形態の
為、広く普及するのが困難になっている。
【0008】その他には、天然歯形態の人工歯の舌側咬
頭にピラミッド状の一個の2mmほどの刃物を接合した
もの、波形針金状のものを僅か0,5mm程平らな咬合
面から出したもの、歯列中央に沿って一本の金属が突出
して対合の平らな咬合面で咬合させたものもあるが、い
ずれも食物の貫通力が少なく、通常の咬合様式の両側性
咬合平衡を再現できず、機能的にも劣る。以上のよう
に、現在のところ刃物付き人工歯には改善すべき問題点
が多数ある。
【0009】また従来の蝋義歯作製においては、咬合平
面板を利用しても上下顎臼歯部を、三次元的に正確に配
列するのは、不正確になりやすく時間も要し、大変に困
難であった。患者の歯槽骨のX線写真や口腔内の形状を
観察し、咬合面の形状や全体的な寸法を計測して、製作
者が経験に基づいて義歯床に人工歯を植え付ける位置を
決めていた。そのため術者により義歯の完成度は多くの
ばらつきがあり、患者の最も嫌う痛みの大きな原因とな
るので、このたび刃物付き人工歯と三次元的に正確に配
列する器具を考案した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】歯は、消化器官として
重要な役割を果たさなければならない。食物粉砕能力の
高い人工臼歯の使用は、義歯床下の歯肉への負担を無く
すことにもなり、『痛みのない、良く噛める義歯』の製
作を実現させる。
【0011】脆弱な歯肉に乗っているだけの義歯でも、
鋭い刃物をつけた人工臼歯によって、食物粉砕効率を向
上し、歯肉の痛みを防止できる。そのために、人の咀嚼
運動と一致するように天然歯の解剖学的形態を尊重しつ
つ、食物粉砕機能を優先した人工臼歯を提供しようとす
るものである。
【0012】入れ歯を使用する人の場合、脆弱な床下組
織によって咀嚼圧が負担される。このため総義歯の咀嚼
機能は、歯槽骨に強固に埋没している天然生歯の咀嚼機
能と比較して顕著に劣っている。
【0013】この問題を解決するためには、小さい咀嚼
圧で食物を容易に切断し粉砕しうる、咬合面形態を発明
しなければならない。そうする事で咀嚼圧を健全に保持
する事ができて、入れ歯による痛みと歯槽堤の吸収を極
力抑える事が可能である。
【0014】総義歯の床下粘膜が負担できる咬合圧は、
約10kg程である。この範囲内で天然生歯と同じく約
50kg以上の咬合咀嚼力を得るためには、上下顎の人
工臼歯の接触面積を天然生歯の1/5、もしくはそれ以
下にする必要がある。そのために、口腔内でも安全に使
える刃物状の人工臼歯が必要となる。
【0015】そして、本発明の人工臼歯の咬合力を最大
限に発揮させるには、義歯製作時に上下顎人工臼歯の咬
合位置が忠実に再現されるような装置が必要となる。本
発明の精密な人工臼歯を蝋義歯上に配列するにあたり、
その製作工程を簡便にする必要がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案における上顎の一体型刃物付き人工臼歯は、
食物粉砕能力を高める為に金属等で製作し、舌側咬頭の
先端を尖らせ、そこから連なる各隆線を刃物状にした。
材質として耐磨耗性、耐久性に優れたセラミックスやチ
タン系、白金加金系、コバルトクロム系等の金属が好ま
しい。
【0017】蝋義歯製作時に、従来のバラバラの人工歯
を一歯ずつ三次元的に配列する複雑な操作を、簡便に一
回で効率的に行うために、上顎の第二小臼歯と第一大臼
歯及び第二大臼歯の三歯を連結し一体化した。
【0018】一体化した人工臼歯の裏側には義歯からの
脱落防止の為に、棒状の維持部をつけた。
【0019】上記の人工臼歯と対をなす下顎人工臼歯は
第二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯を一体化し、総
義歯の製作工程を簡便にした。上顎の咬頭及び刃物面
は、下顎人工臼歯の咬合面と対応するよう製作した。
【0020】この事により、義歯の両側性平衡咬合のバ
ランスがよく、床下粘膜の痛みなく、義歯も安定し顎堤
の吸収は少なくなる。全体には天然歯と似た形のため違
和感はなく、咬合面には上顎臼歯と十分に咬合力を発揮
できる咬合小面を付与した。
【0021】人工歯の配列具(パレット)を咬合器上で
使う。蝋義歯製作時に上顎人工臼歯を咬合平面板上に正
確に配列するためと、上下顎人工臼歯の咬合関係を再現
するための配列具(パレット)をそれぞれ準備する。こ
れには、シリコンゴムのような弾性材料でできたものが
好ましい。
【0022】下顎人工臼歯は、耐磨耗性と耐腐食性を持
つ合成樹脂、MMA等を使用する。
【0023】
【発明の実施の形態】図1の1と3にあるように上顎人
工臼歯の第二小臼と第一大臼歯及び第二大臼歯を一体化
した。
【0024】図4の5に示すように、上顎の人工臼歯の
近遠心的に舌側咬頭頂をつなぐように彫刻して、リンガ
ルメジャーブレードを形成し、また、人工臼歯咬合面の
隆線は鋭い刃物状に彫刻してシャーリングブレードを形
成した。
【0025】上顎人工臼歯の幅、高さ、長さ等の大きさ
は平均的な天然歯に近くした。
【0026】義歯が咬合時に安定するように上顎人工臼
歯の舌側の咬頭を4点、左右側で8点にした。下顎第二
大臼歯部の歯槽骨が大きく吸収して、その部分がスキー
ゾーン(第二大臼歯部歯槽の吸収が大きいと、臼歯部の
後方斜面は遠心部の臼後三角との間の角度が急になる
所)になっている症例では噛み合う力がかかると、義歯
が不安定で滑りやすく推進運動が起こりやすい。
【0027】そこで、上顎の機能咬頭を第二小臼歯舌側
咬頭、第一大臼歯の近心舌側咬頭と遠心舌側咬頭、第二
大臼歯近心舌側咬頭の4点、左右側で8点にしておく
と、スキーゾーンがある場合には、第二大臼歯の近心舌
側咬頭を少し隙間を空けて咬合させないようにしても、
第二小臼歯、第一大臼歯の近心咬頭と遠心咬頭の3点、
左右側で6点を咬合させる事ができるので、義歯の咬合
の安定は失われないので、滑らず、痛みもない。
【0028】従来のものは、咬合接触部は3点、左右側
でも6点であり、スキーゾーンのある場合、後部の第二
大臼歯部を咬合させない様にした時、近心の2点、左右
側で4点のみで総義歯は不安定になり、咀嚼力も低下
し、動きやすく、痛みも出やすい。
【0029】本発明の上顎人工臼歯の舌面は、天然歯の
豊隆に近い形態にしたので舌感がよく、刃物は舌側咬頭
の最大豊隆部の咬合面よりの上部につけてあるので食物
の粉砕能率が高く、また刃物間の溝の底面が丸く仕上げ
られているので粉砕された食物は頬側や咽頭にスムース
に流れ、咀嚼、嚥下がしやすい。
【0030】発明の実施の形態について図面を参照して
説明する。図3〜図6においてそれぞれの機能を説明す
る。5、6、7、のスタンプカスプは食物を一撃で貫通
し粉砕する。8、9、10、のシャーリングカスプは貫
通力とともに食物を抱え込む。
【0031】11のリンガルメジャーブレードは食物を
切断すると共に反芻することで、食物を粥状にする。1
2、13、14、のシャーリングブレードは反芻するこ
とで、食物を切断し粥状にする。
【0032】15、16、17、のオープンスピルウエ
イは食物の遁路として、これを頬側から咽頭へ落とし込
む。以上の機能によりにより、食物は十分に咀嚼され
る。
【0033】上顎の一体型刃物付き人工臼歯の舌側面は
天然歯の豊隆に似ていて、その最大豊隆部より咬合面よ
りに刃物がつけてあるので舌感も良く、粉砕効率が高
く、食物の流れが良いので咀嚼しやすい。
【0034】咬合面側から見たシャーリングブレードの
方向は、下顎運動に合わせてあり、この刃物が下顎臼歯
の溝に入り込むようにする。
【0035】咬合面側から見た上顎第二小臼歯シャーリ
ングブレードの方向は下顎作業側顆頭を中心とする円周
上にある。
【0036】咬合面側から見た上顎第一大臼歯シャーリ
ングブレードの方向は下顎作業側顆頭を中心とする円周
上にある。咬合面側から見た上顎第二大臼歯のシャーリ
ングブレードの方向は下顎作業側顆頭を中心とする円周
上にある。
【0037】頬側面から見た時(図3)刃物の角度は、
咀嚼運動に合わせて咬合平面に対して100−110度
にし、食物をよく切断し粉砕できるようにした。
【0038】咀嚼運動時、下顎は作業側の外側下方から
入ってくるので、上顎人工臼歯の頬側隆線に刃物をつ
け、下顎の咬頭の食物粉砕能率を向上させた。
【0039】総義歯製作時の正確な作業と時間短縮のた
め、上下顎とも第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯は
それぞれ一体型にした。これにより上顎舌側咬頭の刃物
を一連につなぐ事ができ、丁度、包丁のような大きな刃
物の効果を期待出来る。
【0040】上顎人工臼歯の刃物と刃物の間の溝の底部
にまるみをもたせ、食物が停滞しないようにした。
【0041】上顎第二小臼歯の近心頬側面部には、審美
的要望に応じて、人工歯を接合できるようにした。
【0042】図3の18,19,20、のように、上顎
の第二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯頬側刃物部が
頬の粘膜面を傷つけないように厚みを持たせプロテクト
フェースとした。
【0043】本発明の一体型刃物付き人工臼歯を噛み合
わせが不安定な人の治療用義歯に使用する場合は、頬側
刃物部の削除が容易に出来るようにした。これにより、
時間を要する最終義歯が完成するまでの間、痛くなく食
事が出来るようになる。
【0044】下顎人工臼歯は第二小臼歯と第一大臼歯及
び第二大臼歯を一体型にし、上顎の咬頭と刃物面が対と
なるよう製作した。下顎の一体型人工臼歯は上顎の刃物
に対する磨耗を防ぐため合成樹脂、主としてMMAで製
作される。咬合面には上顎の咬頭を受け止めて咬合する
ように、前後左右1〜2mmの平坦なワイドセントリッ
クエリアを付与し、許容範囲を広げ、高齢者の使用に対
応できるようにした。
【0045】下顎の一体型人工臼歯は、あらゆる顎運動
要素に適応できるように咬合傾斜を備えた咬合面を有
し、咬合小面は湾曲した凹面であり、上顎の一体型人工
臼歯は下顎の平坦なワイドセントリックエリアに中心位
で咬合し、側方運動では両側性の平衡咬合を与えられる
ようにした。これにより、咀嚼時、唾液の嚥下時、会話
時、睡眠時等のあらゆる姿勢における、咬合に対応でき
るので、床下粘膜の痛みも負担もない。
【0046】下顎一体型人工臼歯は一般的な天然歯の幅
と高さにして、頬側咬頭と舌側咬頭との間に上顎の咬頭
及び刃物が噛みこむ溝をつくり、咬合平衡と食物粉砕能
率の向上と入れ歯の安定をはかった。頬側面と舌側面に
は溝と凹みと豊隆をつけ、舌と頬粘膜が傷つかず、食物
が口蓋及び咽頭に流れるようにした。咬合調整に際して
は、下顎人工臼歯のみを微調整する事で両側性咬合平衡
が、容易で、短時間に与えられるようにした。
【0047】図7で人工歯配列具(パレット)について
説明する。パレット1(図7−22)は上顎人工臼歯の
咬合面の歯型を、シリコンの塊に付けたものを咬合平面
板上において使用する。
【0048】パレット2(図8−23)は上下顎人工臼
歯の咬合状態の歯型を、シリコンの塊の上面と下面に付
けたもので、固定された上顎の一体型刃物付き人工臼歯
と下顎の一体型人工臼歯の間にパレット2を噛ませ後、
下顎の一体型人工臼歯を下顎蝋義歯に固定する器具であ
る。この二つのパレットにより、上下顎人工臼歯の正確
な咬合関係を容易に再現できる。
【0049】蝋義歯上で上顎の一体型刃物付き人工臼歯
を咬合平面板(図7−24)上に正確に、配列する為に
はパレット1が必要である。このパレットに刃物付き人
工臼歯をかみ込ませセットして(図7)、咬合平面板上
の所定の位置におき、頬舌的、矢状的、捻転的、水平的
にずれることなく正確な位置に並べることが出来る。頬
舌的には舌側咬頭が基準になり、水平的に安定する。そ
の状態で上顎歯列の蝋堤に蝋を盛り上げ、人工臼歯を正
確に固定できる。
【0050】下顎人工臼歯を配列する際は、図8のよう
に上顎蝋堤に固定された人工臼歯にパレット2をかみ込
ませセットして、これをはさむように、対合する下顎の
人工臼歯をかみ込ませる。その後、下顎の人工臼歯を下
顎の蝋堤に固定すれば、短時間で対をなす上下顎人工臼
歯を正確に配列できる。
【0051】本発明の人工臼歯を長期間に渡り使用し
て、総義歯の下顎の一体型人工臼歯が磨耗し、その人工
臼歯を取り替える時、下顎の磨耗した一体型人工臼歯を
除去した後、パレット2を使用して新しい下顎一体型人
工臼歯を咬合させ合成樹脂で義歯床に固定すればれば、
短時間に新しい人工臼歯を、今までの同位置に再現する
事が出来る。
【0052】パレットの素材としてはシリコンゴムが好
適である。
【0053】次に本発明の人工歯及びパレットを用いて
義歯を製作し、食物のせん断力、貫通力が向上したこと
と、リンガライズドオクルージョンをさせる事によりに
より、義歯による痛み、咀嚼障害、下顎の不安定、噛み
合わせの不全を改善した例について説明する。
【0054】
【実施例】(症例1) (対象者) 61歳 男性 上下顎総義歯 (主訴) 十数年来の入れ歯の痛み、入れ歯が浮く、
咀嚼不全、 (現状) 上顎は前歯、臼歯を含む全歯が欠損 下顎は前歯、臼歯を含む全歯が欠損で、歯槽骨の吸収が
大きい。歯槽堤は平坦である。
【0055】義歯の製作は、上下顎前歯及び第一小臼歯
は通常用いられている人工歯を用い、上下臼歯部は、請
求項1、2、3、4の上顎の連結型刃物付き人工臼歯一
対の下顎の一体型人工臼歯である対合臼歯を使用した。
咬合平面は、通常用いられるカンペル平面に平行に設定
し、製作方法は通常の方法に準じた。この請求項5のパ
レット1に本発明の一体型刃物付き人工臼歯をはめ込
み、咬合平面板上に固定し蝋にて上顎咬合床に固定し
た。
【0056】上顎人工臼歯固定後、上顎人工臼歯と対を
なす下顎一体型人工臼歯を、請求項5のパレット2の中
にはめ込んで下顎咬合床に蝋にて固定した。以上で人工
臼歯の配列は、いとも簡単に終了できる。
【0057】中心咬合位においては、上顎の第二小臼歯
と第一大臼歯及び第二大臼歯の支持咬頭頂が、下顎の第
二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯の咬合面の接触域
の底部にちょうど接触するように製作した。
【0058】下顎前方運動時及び下顎側方運動時におい
ても上顎の第二小臼歯と第一大臼歯及び第二大臼歯の支
持咬頭頂が、対合する下顎の第二小臼歯と第一大臼歯及
び第第二大臼歯の咬合面中の接触域中の底部から頂部に
移行的に、接触するように製作した。
【0059】総義歯を装着後、数回の咬合調整で、主訴
であった、入れ歯が痛い、入れ歯が浮く、咀嚼不全等の
症状はすべて改善された。食物の貫通力及び粉砕力を持
つ一体型刃物付き人工臼歯の使用により、ステーキ、ト
ンカツ等の肉類、烏賊、あわび、スルメまで、今まで考
えられなかった食べ物をバリバリ食べる事が出来、家族
友人と食卓を囲め大変喜んでいただく事が出来た。
【0060】(症例2) (対象者) 65歳 女性 上下顎総義歯 (主訴) 数年来の上下総義歯の痛み、咀嚼不全、上
顎の入れ歯が落ちる (現状) 上下顎の全歯が欠損 上下顎の骨吸収は大きく、歯槽は低く平らである。
【0061】来院されたときは、入れ歯による痛みと、
咀嚼不全と、上の入れ歯が落ちるので、不自由な食生活
をされていた。義歯は滑りやすく安定していなかった。
使用したのは、上下前歯及び第一小臼歯は通常の人工
歯、上下顎左右臼歯部は請求項1、2、3、4の一体型
刃物付き人工臼歯と一対の下顎の一体型人工臼歯である
対合臼歯を使用した。この一体型刃物付き人工臼歯をは
め込む請求項5のパレット1、2などの製作方法及び咬
合接触は症例1と同様の方で行った。
【0062】製作した総義歯を、口腔内に入れ食べ物を
噛んだところ、数年来の入れ歯の痛み、咀嚼不全、上の
入れ歯が落ちるのが解消された。これは、一体型刃物付
き人工臼歯の舌側咬頭の4点、左右で8点の刃物を付け
る事により瞬時に食物を貫通するので、良く噛め、入れ
歯が痛くなく、蛸の吸盤のように吸着現象が発生して動
かず、安定するからである。
【0063】上記の総義歯を装着後に主訴は全て改善す
る事ができた。本症例においても、本発明のパレット
1,2を使用して上下人工臼歯を正確に咬合させる事が
できたので、咬合調整は殆ど不要であった。また食物の
貫通力及び粉砕力を持つ一体型刃物付き人工臼歯を使用
したためすばらしい効果が得られ、肉類、野菜類、貝類
まで、今まであきらめていた食べ物をバリバリ食べら
れ、体調も良くなり、海外旅行まで楽しまれることがで
きた。
【0064】(症例3) (対象者) 72歳 女性 上顎遊離端義歯 下顎総義
歯 (主訴) 顎関節痛、入れ歯による痛み、咀嚼筋肉の
疲労、咀嚼不全 (現状) 上顎は左右の第二小臼歯と第一大臼歯及び
第二大臼歯が欠損 下顎は前歯、臼歯を含む全歯が欠損
【0065】来院されたときは不適合な入れ歯の為、顎
関節痛、入れ歯の痛み、咀嚼筋肉の疲労、咀嚼不全によ
り殆ど何も食べられなく、体力、気力共かなり衰えてお
られた。上顎左右の天然前歯と第一小臼歯は鈎歯として
活用した。使用した人工歯は、下顎前歯と第一小臼歯は
通常の人工歯、上下顎左右臼歯部は請求項1、2、3、
4の一体型刃物付き人工臼歯とを使用した。一体型刃物
付き人工臼歯をはめ込む請求項5のパレット1、2など
の製作方法及び咬合接触は症例1と同様の方法を行っ
た。
【0066】製作した義歯を、口腔内に入れて食事をし
たところ、顎関節痛、入れ歯の痛み、咀嚼筋肉の疲労及
び咀嚼不全が消失した。一体型刃物付き人工臼歯を使用
した事により、食物を貫通、破砕する力が大きく、瞬時
に上下顎の義歯が咬合安定位置におさまり易いため、義
歯がゆれにくく、鈎歯への負担が少ないので、鈎歯は保
護され、痛くなく、顎の骨の吸収も防止される。このた
め、義歯の長期的な使用が可能となる。
【0067】このように、一体型刃物付き人工歯を遊離
端部分義歯に使用すると、咬合圧が最小限に抑えられる
ので床下粘膜への負荷が少なく、痛くなく、咀嚼しやす
い。
【0068】上記の上顎遊離端部分義歯と下顎総義歯を
装着後、主訴である、咀嚼筋肉の疲労、咀嚼不全、入れ
歯の痛みの症状は著しく改善され、体力も気力も充実し
て元気になり、本発明の一体型刃物付き人工臼歯のバリ
バリ噛める驚異的効果が証明された。またよく切れる為
に咀嚼力の負担がかからず、顎関節の痛みや咀嚼筋肉の
疲労に対しても有効であった。本症例においても、パレ
ット1,2を使用する事により人工歯配列、咬合調整
は、短時間で、かつ容易に行う事が出来た。
【0069】
【発明の効果】現在、世界中の高齢者の多くが、歯の喪
失のために健康、食の楽しみ、会話の楽しみ、自己の尊
厳、ひいては生きる希望まで失っておられる。本発明
は、上記のように構成されているので、食の楽しみを確
保し、健康を維持し、クオリティオブライフを向上さ
せ、次のようの効果を奏する。
【0070】本発明の一体型刃物付き人工臼歯と下顎一
体型人工臼歯は総義歯はもちろんの事、遊離端部分義歯
においても咬合圧を受けた時、その貫通力と粉砕能力が
優れる為、義歯が色々な方向に向けて三次元的に動揺す
る事が殆どない。そのため、鈎歯(支台歯)に対する負
荷が最小限となり、義歯を支える鈎歯及び天然歯、並び
に歯肉が痛くなくなり、よって義歯を長期的に維持する
事が出来る。
【0071】本発明の一体型刃物付き人工臼歯と一対の
下顎一体型人工臼歯を総義歯に使用する事で、舌感も良
く、痛くなく、唾液も増加させ、胃腸の消化も良く、大
切な顎骨の吸収をも防止する。また人の生きる根源であ
るバリバリと安心して噛める食の満足感と共に、体力、
気力、姿勢、表情をも含む健康を回復させる。さらに家
族、友人関係、旅行など社会生活的な健康をも回復させ
る。
【0072】この豊かに成熟した社会の中で、歯を失っ
てしまった多くの高齢者が毎日の食事や日常生活におい
て、最もつらい口の痛みに苦悩されている。
【0073】本発明の一体型刃物付き人工臼歯は、毎日
続くこの耐えがたい痛みと苦しみを取りさり、さらに食
べる楽しみを実現することが可能であり、その志を大切
にした私の28年間の研究の成果は、悩める高齢者の方
々に、暖かい安らぎと生きる希望をもたらすことができ
ると確信している。
【図面の簡単な説明】
【図1】上顎総義歯の左右臼歯部に使用された一体型刃
物付き人工臼歯の咬合面図である。
【図2】下顎総義歯の左右臼歯部に使用された一体型人
工臼歯の咬合面図である。
【図3】左側上顎の一体型刃物付き人工臼歯の頬側面図
である。
【図4】左側上顎の一体型刃物付き人工臼歯の斜視図で
ある。
【図5】左側上顎の一体型刃物付き人工臼歯の舌側面図
である。
【図6】左側上顎の一体型刃物付き人工臼歯の基底面図
である。
【図7】左側上顎の一体型刃物付き人工臼歯を、配列具
(パレット1)にセットして、咬合平面板に乗せた図で
ある。
【図8】左側の一体型人工臼歯部の上下顎を配列具(パ
レット2)で噛ませた図である。
【符号の説明】
1,2、 上顎の一体型刃物付き人工臼歯を咬合面から
見た図 3,4、 下顎一体型人工臼歯を咬合面から見た図 5、 上顎第二小臼歯のスタンプカスプ 6、 上顎第一大臼歯のスタンプカスプ 7、 上顎第二大臼歯のスタンプカスプ 8、 上顎第二小臼歯のシャーリングカスプ 9、 上顎第一大臼歯のシャーリングカスプ 10、 顎第二大臼歯のシャーリングカスプ 11、 上顎のリンガルメジャーブレード 12、 上顎第二小臼歯のシャーリングブレード 13、 上顎第一大臼歯のシャーリングブレード 14 上顎第二大臼歯のシャーリングブレード 15 上顎第二小臼歯の開放式食物遁路 16、 上顎第一大臼歯の開放式食物遁路 17、 上顎第一大臼歯の開放式食物遁路 18,19,20 頬粘膜保護の為のプロテクトフェー
ス 21、 上顎人工臼歯の基底部(裏面)の維持装置 22、 咬合平面板用パレット1の頬側面図 23、 上下咬合用パレット2の頬側面図 24、 咬合平面板の頬側面図 25、 スピー湾曲

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上顎の第二小臼歯と第一大臼歯及び第二
    大臼歯を連結し一体化した事(図4)を特徴とし、耐磨
    耗性と耐腐食性を持つセラミックスやチタン系、白金加
    金系などの金属製でできた一体型人工臼歯。
  2. 【請求項2】 請求項1の一体型人工臼歯の咬合面の隆
    線は刃物状(図4−11,12,13,14)に、舌側
    面溝、頬側面溝は丸みを帯びた深い溝状(図3−15,
    16,17)に、また咬合面と舌側面および頬側面は、
    舌及び頬粘膜を傷つけない形態を持つ、上顎の一体型刃
    物付き人工臼歯。
  3. 【請求項3】 請求項1、請求項2の人工臼歯を、側面
    から見た場合、図3−25のようにスピー湾曲(近遠心
    的な咬合平面の平均的湾曲)を持つことを特徴とする、
    上顎の一体型刃物付き人工臼歯。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2および請求項3の上
    顎の一体型刃物付き人工臼歯と対をなす下顎の第二小臼
    歯と第一大臼歯及び第二大臼歯を一体化した事(図2−
    2と4)を特徴とし、耐磨耗性と耐腐食性を持つ合成樹
    脂でできた下顎の一体型人工臼歯。
  5. 【請求項5】 一体型刃物付き人工臼歯を使用して総義
    歯を製作する時、技工操作を容易にする為の配列具であ
    るシリコンゴムでできたパレット1(図7−22)と、
    パレット2(図8−23)。パレット1は上顎人工臼歯
    の咬合面の歯型を、シリコンの塊に付けたものを咬合平
    面板上に置いて使用する。パレット2は上下顎人工臼歯
    の咬合状態の歯型をシリコンの塊に付けたもの。この二
    つのパレットにより、上下顎人工臼歯の正確な咬合関係
    を容易に再現できる。
JP2001338671A 2001-09-27 2001-09-27 上顎の一体型刃物付き人工臼歯(図4)と下顎の一体型人工臼歯(図2−2,4)、及び総義歯製作時に便利な配列具(図7−22、図8−23)。 Pending JP2003102751A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009106686A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Jiro Onozuka 蝋義歯の製造方法、ならびにそれに用いる人工歯列用標準陰型および咬合嵌合位決定用陰型
JP2011024904A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Tamio Omae 治療用義歯
JP2012217529A (ja) * 2011-04-06 2012-11-12 Motoo Muronoi 歯列模型調節器
JP2016533222A (ja) * 2013-10-17 2016-10-27 イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト 歯科用トランスファーテンプレート

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