JP2003099109A - 組立工程設計システム - Google Patents

組立工程設計システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人の経験と勘に依存することなく改善の方向
を示唆できる組立工程設計システムを提供する。多項目
の設計結果を一元的に定量評価できる組立工程設計シス
テムを提供する。 【解決手段】 製品情報を入力情報として、製品構造情
報を適正化した改良製品情報を出力する製品構造設計手
段と、改良製品情報を入力情報として、工程情報に変換
した基本工程情報を出力する基本工程設計手段と、基本
工程情報を入力情報として、工程情報を適正化した改良
工程情報を出力する組立工法設計手段とを備える。製品
構造情報では、部品およびその結合関係は記号と記号を
結ぶ線により表される。工程情報では、記号で組立工程
が表され、方向性を持った線で組立工程の順序が表され
る。製品構造設計手段、基本工程設計手段および組立工
法設計手段では、情報エントロピーを用いた定量的評価
が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の部品からな
る製品を組み立てる組立工程を設計するための組立工程
設計システムに関する。
【0002】
【従来の技術】生産準備の迅速化のためには、人の経験
と勘を頼りに試行錯誤で進められている組立工程設計を
迅速かつ的確に進めることが重要である。組立工程設計
とは、製品図面および生産情報(製品の生産量や生産時
期等の情報)をもとに、主に生産技術者によって品質、
コスト目標を満足するための組立工程の要件を仕様書に
まとめ上げる作業を意味している。
【0003】図22は、代表的な自動車部品の組立工程
設計手順を示している。組立工程設計では、図22中左
側から右側の項目の順に検討が行われる。図22に示す
ように、組立工程設計では様々な項目について検討する
必要がある。また、全体を通した工程設計手順そのもの
が、シンプルに整理され体系化されているわけではな
い。このため、現状の組立工程設計の進め方は、人の経
験と勘をベースにした判断に委ねられている。
【0004】また、個々の検討項目に着目すると、定量
的な判断基準が存在する項目と存在しない項目がある。
定量的な判断基準が存在する項目についても、例えば生
産性の検討は部品点数で、部品供給形態の検討は部品供
給用容器の収容効率で、というように、それぞれの項目
で評価基準が異なっている。このため、検討項目全体を
考慮したトータル評価は難しく、組立工程全体としての
最適解は得られにくいのが実情である。
【0005】以上のことから、現状ではよりよい組立工
程設計を行うために試行錯誤を繰り返しており、検討済
みの項目に戻って再検討を行う必要が生じる場合があ
る。この結果、作業の前戻りが生じるため、組立工程設
計作業を迅速かつ的確に行うことは容易ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するための手法研究が従来より行われており、例えば対
象部品の組立方向の割り出し(特開平4−2481号公
報)、部品の組立順序の割り出し(特開平5−1818
73号公報)、あるいは実装部品の組み付け順序の割り
出し(特開平7−141438号公報)等が提案されて
いる。
【0007】しかしながら、これらはいずれも組立工程
設計作業のある断面的な部分を対象としたものである。
上述のように多項目の設計作業を要する工程設計を迅速
化するには、作業全体を捉えた効率的な工程設計手法が
必要である。
【0008】さらに、作業全体を捉えた設計法として、
例えば組立ライン設計方式(特開平5−111835号
公報)、製造工程の設計支援装置(特開平6−2149
99号公報)、あるいは組立ライン工程設計支援システ
ム(特開平7−160779号公報)が提案されてい
る。
【0009】しかしながら、これらの設計法における設
計結果の評価は、各々、過去の類似の工程設計案との類
似度合いの評価、部品間の結合関係と工程ステップ数の
評価、人手中心のラインにおける作業の難易度、汚れ
度、重筋度等の平準化評価というように、ある一面的な
評価に留まっているのが実情であり、様々な設計項目の
良し悪しを総合的に評価しているものではない。
【0010】本発明は、上記点に鑑み、人の経験と勘に
依存することなく改善の方向を示唆できる組立工程設計
システムを提供することを目的とする。また、多項目の
設計結果を一元的に定量評価できる組立工程設計システ
ムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、複数の部品からなる製
品を組み立てる組立工程を設計するための組立工程設計
システムであって、複数の部品の結合関係を示す製品構
造情報からなる製品情報を入力情報として、組立易さの
観点から製品構造情報を適正化した改良製品情報を出力
する製品構造設計手段と、改良製品情報を入力情報とし
て、製品構造情報を部品を組み立てる組立工程の順序を
示す工程情報に変換した基本工程情報を出力する基本工
程設計手段と、基本工程情報を入力情報として、製品構
造情報により適した組立工法を導入して、工程情報を適
正化した改良工程情報を出力する組立工法設計手段とを
備えている。
【0012】このように、組立工程設計項目を3つの段
階に分類して行うことにより、適切な設計手順が定義付
けられる。これにより、人の経験やノウハウに基づいて
進められている組立工程設計の作業内容や手順を再整
理、体系化することができ、試行錯誤による再設計を抑
制することができる。例えば、製品構造設計手段では、
組立易さの観点から部品点数の削減や品番数の削減等を
行い、製品構造の簡素化を行うことができ、基本工程設
計手段では、組立易さの観点から部品を組立順序を適正
化することができる。
【0013】また、請求項2に記載の発明のように、基
本工程設計手段では、部品の組立工程のうち既存の組立
技術を適用できない組立工程を抽出し、組立工法設計手
段では、既存の組立技術を適用できない組立工程に、新
たな組立技術を導入することができる。
【0014】また、請求項3に記載の発明では、製品構
造情報は、部品を表す記号と部品の結合関係を表すよう
に記号を結ぶ線とを備えており、工程情報では、記号に
より部品の組立工程が表されるとともに、線が方向性を
持って表されることにより、部品の組立工程の順序が表
されることを特徴としている。
【0015】これにより、組立工程設計の設計状況、適
正化のための改善状況等が、形および形の変化で図示さ
れるため、設計者は適正化の対象となる部品や工程、適
正化後の変化を容易に把握でき、迅速かつ的確な組立工
程設計を実現できる。
【0016】また、請求項4に記載の発明では、部品が
複数の種類を有する場合には、記号により部品の種類の
数が表示されることを特徴としている。これにより、設
計者は、各部品における品番発生の複雑さを容易に把握
することができ、的確な設計を行うことができる。
【0017】また、請求項5に記載の発明では、工程情
報において、記号により部品の組立工程に対する既存の
組立技術の適用可否状況が表示されることを特徴として
いる。これにより、既存組立技術の適用可否状況を容易
に把握して、組立工程設計を的確に進めることができ
る。
【0018】また、請求項6に記載の発明では、製品構
造設計手段、基本工程設計手段および組立工法設計手段
では、情報エントロピーを用いた定量的評価が行われる
ことを特徴としている。
【0019】このように組立工程設計における設計項目
の評価に情報エントロピーを導入することにより、組立
工程設計の設計対象となる製品、製造ライン、工法等に
関する多項目の設計結果を一元的に定量評価することが
可能となる。
【0020】具体的には、請求項7に記載の発明のよう
に、製品構造設計手段、基本工程設計手段あるいは組立
工法設計手段のいずれかにおいて、複数の設計案が存在
する場合には、それぞれの設計案の情報エントロピーを
算出して比較することができる。これにより、設計作業
全体を通じて共通の評価基準を用いて評価することがで
きる。
【0021】また、請求項8に記載の発明では、情報エ
ントロピーは、製品構造に関する情報エントロピーと、
製造工程に関する情報エントロピーとを含んでいること
を特徴としている。
【0022】これにより、製品面の適正化作業あるいは
製造面の適正化作業のどちらを優先して改善すべきかを
容易に把握することができる。
【0023】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図1〜図21に基づいて説明する。本実施形態の組立
工程設計システムは、入出力装置、記憶装置、演算処理
装置等を備えた一般的なパーソナルコンピュータ等を用
いて実現される。
【0025】まず、図1、図2に基づいて本実施形態の
組立工程設計システムにおける組立工程設計モデルの考
え方について説明する。
【0026】組立設計作業本来の特徴に着目すると、イ
ンプット、アウトプットの関係から、組立工程設計を、
1)作り易さの視点から製品図面情報を適正化する作
業、2)この図面情報を、ものの流し方、作り方といっ
た工程情報に適切な変換を行う作業、3)工法設計を通
じて、よりよい工程を実現するべく、工程情報を適正化
する作業の3つの作業に分類することができる。
【0027】図1は、これらの組立工程設計における工
程情報を適正化する作業をIDEFO(Integration Def
inition for Function Modeling)にて示している。上記
3つの作業は、図1に示す3つの形態で表される。形態
1は、製品図面をインプット情報として、作り易さの視
点から、製品構造を再設計し、アウトプットとして改良
図面を出力する作業を意味している。形態2は、改良図
面をインプット情報として、この製品情報を工程情報に
変換、つまり基本工程を設計し、アウトプットとして基
本工程仕様を出力する作業を意味する。形態3は、基本
工程仕様をインプット情報として、よりよい工程を実現
するため、組立工法の設計を行い、アウトプットとして
改良された工程仕様を出力する作業を意味している。
【0028】これらの3つの形態の入出力情報に着目す
ると、形態1の出力情報が形態2の入力情報となってお
り、形態2の出力情報が形態3の入力情報となってい
る。従って、工程設計本来の役割通り、すべての設計作
業が形態1〜3に層別でき、かつ、形態1→2→3の順
に確実に作業を進めることができれば、入出力情報に重
複がない、つまり作業の後戻りを生じさせない工程設計
手順を構築することができる。
【0029】図2は、上記形態1〜3に従った設計手順
を示している。図2に示す設計手順の第1〜第3段階
が、上記形態1〜形態3にそれぞれ対応している。本実
施形態では、設計手順の第1段階を製品構造設計段階、
第2段階を基本工程設計段階、第3段階を組立工法設計
段階とそれぞれ定義する。
【0030】次に、本実施形態の組立工程設計システム
における組立工程設計モデルの記述手法について図3、
図4に基づいて説明する。上記図2に示す設計手順に従
い迅速かつ的確に組立工程設計を進め、作業の後戻りを
なくすために、実際の設計内容から判断して以下の4つ
の要件が設計過程において把握できることが重要であ
る。
【0031】まず、上記第1段階の製品構造設計を的確
に進めるために、(要件1)製品構造や品番発生の複雑
さが容易に把握できること。また、複雑部分の改善によ
る構造の変化が容易に把握できること。
【0032】上記第2段階の基本工程設計を的確に進め
るために、(要件2)組立作業の流れが形成できたか容
易に把握できること。また、組立順序の改善により作業
の流れの変化が容易に把握できること。(要件3)各工
程において、既に実用化されている既存技術の適用可否
状況が容易に把握できること。また、組立性の改善によ
り既存技術の適用範囲の変化が容易に把握できること。
【0033】上記第3段階の組立工法設計を的確に進め
るために、(要件4)新技術の導入による工程の変化が
容易に把握できること。
【0034】以上の4つの要件を実現するために、本実
施形態の組立工程設計モデルでは、設計状況もしくはそ
の適正化のための改善状況、さらには適正化すべきポイ
ントを、すべて「形」と「形の変化」として把握可能な
記述手法を提案している。
【0035】図3は、本実施形態における組立工程設計
モデルの記述手法のルールを示している。図3(a)に
示すように、組立部品、供給、組み付け、チェック、搬
送作業で構成される組立作業は記号名称「工程オブジェ
クト」で示され、部品同士が接触もしくは結合される関
係は「結合線」で示され、工程の流れが形成されている
状態は方向性を有する「流れ線」で示される。図3
(b)に示すように、工程オブジェクトを結合線で結ん
だものは「ダイヤグラム」を意味し、工程オブジェクト
を流れ線で結んだものは「工程図」を意味している。
【0036】また、本記述法では、工程オブジェクトの
意味は、その作業段階と表現されるべき内容によって変
化する。工程の流れまで設計されていない第1段階の製
品構造設計段階では、工程オブジェクトは部品を意味す
る。製品構造をもとに工程の流れを形成した第2段階の
基本工程設計段階では、工程オブジェクトはその部品を
組み立てるための工程を意味するものになる。図3
(b)に示すように、工程オブジェクトの内容の切り替
えと並行して、結合線が工程順を示す流れ線に変わる。
【0037】また、工程オブジェクトが工程を表現する
場合には、「○」と「◎」の2種類の記号が用いられ
る。既に実用化されている公知の組立工法にて組立可能
な場合には「○」で表され、公知の組立工法で組立がで
きない場合には「◎」で表される。この既に実用化され
ている公知の組立技術にて組立可能であるかどうかは、
その判断基準がチャート化されたものを用いることによ
り判断できる。
【0038】また、第3段階の工法検討にて新技術が導
入され、見かけ上現状技術で対応したのと同等の工程を
実現できる場合は、工程オブジェクトを示す「◎」の内
側の小円が実線から破線に変化することで示される。さ
らに、複数の品番が存在する多種部品は、工程オブジェ
クト内に品番数nを示す数字が記される。
【0039】図4は、図3で定義した組立工程設計モデ
ルの記述手法の概要を示している。上記図2で示したよ
うに、組立工程設計作業は基本的に3つの段階に整理す
ることができる。図4に示す組立工程設計モデルでは、
これら3つの段階におけるそれぞれの作業を的確に表現
し、かつ、作業間の関係付けが容易に記述できることを
特徴としている。
【0040】図4に示すように、本実施形態の組立工程
設計モデルは、製品、部品や工程、工法を表現するシン
ボルと、それらの接続関係や順序関係を表現する線とに
よって構成されている。本実施形態の組立工程設計モデ
ルにより、上述した設計過程における4つの要件は、以
下のように満たされる。
【0041】まず、製品製造設計段階において、要件1
である製品構造や品番発生の複雑さおよびその変化は、
ダイヤグラムに類似した記述法により表現することがで
きる。
【0042】次に、基本工程設計段階において、要件2
である作業の流れの形成状況およびその変化は、ダイヤ
グラム上で示される部品の結合関係を示す直線をベクト
ル表現に変えることにより作業の流れや順序を形成し、
さらにその流れが変更される様子を表現する。同じく基
本工程設計段階において、要件3である既存技術の適用
可否およびその変化の表現については、既存技術を適用
可能な工程と不可工程を、工程図上で異なるシンボルに
よって表現する。この記述に基づき、組立易さの向上に
よって既存技術がどの程度変化したかについて表現でき
る。
【0043】次に、組立工法設計段階において、要件4
である新技術の導入状況およびその変化については、既
存技術の適用可否の表現と同様に、工程図上での記号の
表現を変えることにより、新技術導入によってどの程度
工程を適正化できたかを表現できる。
【0044】以上のように、図3、図4で示した組立工
程設計モデルの記述手法は、上記1〜4の要件のすべて
に対応している。また、適正化作業の対象となる注力部
品および工程と、適正化作業後の部品および工程の変化
とを、すべて形とその形の変化により図示するので、的
確な組立工程設計を促進することができる。
【0045】次に、本実施形態の組立工程設計モデルの
記述手法を用いた新たな組立工程設計モデルの構築につ
いて図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態の組
立設計工程モデルを示している。図5において工程オブ
ジェクトと結合線からなる図形を組立工程設計ダイヤグ
ラムとし、以下、第1〜第3段階の組立工程設計の流れ
を組立工程設計ダイヤグラムの形の変化に基づいて説明
する。
【0046】1)第1段階:製品構造設計段階 第1段階は、製品の必要機能を満たす範囲で、製品構造
を極力簡素化させることを目的としている。第1段階で
は、製品図面を入力情報として、製品図面に従って描か
れる製品情報を部品及び部品間の結合関係に着目して見
直し、改良図面を出力する。具体的には、製品図面に基
づいて部品関係の複雑さや品番の多さをチェックし、こ
れらを改善することにより部品点数や品番の低減を行
う。
【0047】図5の製品図面によれば、部品構造や品番
の複雑さを一見して把握することができる。製品図面に
おいて、結合線が多い部品は他の多くの部品と結合され
部品関係を複雑にしている。従って、このような部品を
削減検討対象とすることで、製品構造を効率よく簡素化
することができる。
【0048】また、工程オブジェクト中に記された品番
数m、n、pにより、各部品の品番数を直ちに把握する
ことができ、品番の削減検討を行うことができる。特
に、組立の際にベースとなる部品の品番は極力少ない方
が組立工程を簡素化することができる。
【0049】以上の結果、第1段階では、初期段階の製
品図面より円や線の減少した工程設計ダイヤグラムが描
かれた改良図面が得られる。
【0050】2)第2段階:基本工程設計段階 第2段階は、適正化すべき製品構造とレベルアップを要
する既存の組立技術の抽出を目的としている。この第2
段階では、部品の組立順序の検討や、既存の組立工法の
適用検討により、部品間の結合関係を表す改良図面が、
基本工程仕様を示した工程図に置き換えられ、部品の組
立順序を表される。この設計により基本工程が構築さ
れ、公知の組立工法を用いた場合の組立容易さが明確化
される。
【0051】3)第3段階:組立工法設計段階 第3段階では、組立が難しい部品や複数品番を有する部
品に対しても、あたかも易しい組立や単一品番を扱うの
と同様の工程を実現させることを目的としている。この
第3段階では、第1段階で検討された製品構造と第2段
階で検討された基本工程をベースに、対象とする製品構
造により適した新たな組立工法が導入される。この導入
により、第2段階で描かれた工程系統図が簡素化され
る。
【0052】以上のように、図5で示す組立工程設計モ
デルは、組立工程設計ダイヤグラムの3段階の簡素化で
記述される。この組立工程設計モデルでは、組立工程設
計の進捗が「形の変化」で示されるので設計手順が明確
化され、試行錯誤による再設計が繰り返されることを防
止できるとともに改善を促進することができる。これに
より、迅速かつ的確な組立工程設計を実現することがで
きる。
【0053】次に、本実施形態の組立工程設計システム
における定量評価手法の導入について説明する。本実施
形態では、組立工程設計で扱われる多項目の設計結果を
一元的に定量評価する手法として、情報エントロピーを
用いている。情報エントロピーHは、ものごとの不確か
さを表す評価値である。情報エントロピーHは、単位を
ビットで表され、事象Xiが起こるときの確率をP(X
i)として、以下の数式1で表される。
【0054】
【数1】H=−ΣP(Xi)log2P(Xi) さらに、状態1にあるシステムが状態2に遷移すると
き、両者の情報エントロピーをそれぞれH1、H2とす
ると、不確かさの減少量Hiは数式2で表され、この値
が小さいほど、無駄のない効率的なシステムと見なされ
る。
【0055】
【数2】Hi=H1−H2 この理論は、設計公理の1つである情報公理「情報量
(本実施形態における情報エントロピー)を最小にせ
よ」に基づくものであり、システム構成法の評価等、い
くつかの分野で活用されている。しかし、本実施形態の
ように組立工程設計に適用するためには、互いに影響し
あう製品、工程、工法案のすべてが的確に評価できなけ
ればならない。さらに、評価者によって結果が変わって
はならないという難しさがあるため、算出方法および算
出結果に対する評価の考え方を明確に定義する必要があ
る。
【0056】本実施形態では、情報エントロピーの理論
を組立工程設計モデルに適用するために、以下のように
情報エントロピーの新たな定義を導入する。組立工程設
計では、1)製品構造を表す図面情報がどの程度の情報
エントロピーに相当するかという視点と、2)そのうち
どの程度の情報エントロピーが組立の際に実際用いられ
るかという視点の2つに着目する必要がある。両者の情
報エントロピーは、必ずしも一致せず、例えば複雑な構
造の部品でも効率的な組立工法を活用すれば、前者に対
して後者の情報エントロピーを大幅に減少させることが
できる。
【0057】そこで、本実施形態では、図面情報から算
出される「対象とするエントロピーHp」と、実際に組
立に必要な図面情報から算出される「処理される情報エ
ントロピーHt」の2種類の情報エントロピーを用いて
いる。前者の情報エントロピーHpは、製品サイドの視
点に立ち、製品構造のシンプルさを評価するものであ
る。一方、後者の情報エントロピーHtは、生産技術サ
イドの視点に立ち、組立工法のよしあしを評価するもの
である。上述のように同一の製品構造でも、効率のよい
組立工法を活用することによりHtを小さくすることが
できる。
【0058】製品構造の簡素化に関する情報エントロピ
ーHpは、第1段階の製品構造設計と第2段階の基本工
程設計に対応し、工程の簡素化に関する情報エントロピ
ーHtは第3段階の組立工法設計に対応している。この
ように、2種類の情報エントロピーHp、Htに層別し
た評価手法を用いることにより、製品面あるいは生産技
術面のどちらを優先して改善すべきかを適宜把握しなが
ら組立工程設計を進めることができる。
【0059】次に、情報エントロピーを用いた定量評価
を導入した組立工程設計モデルについて図6に基づいて
説明する。図6は、組立工程設計モデルの設計、改善の
サイクルを示している。
【0060】図6に示すように、第1段階の製品構造設
計段階では、1)製品構造を組立工程設計ダイヤグラム
にて記述し、改善を要する注力部品、工程を明確にす
る。次に、2)この注力部品、工程に対して複数の適正
化案A〜Cを抽出する。3)適正化案A〜Cそれぞれの
優劣を情報エントロピーにて定量評価する。4)この評
価に基づき的確な適正化案を選定する。選定された適正
化案を用いて再度、組立工程設計ダイヤグラムにて記述
し、設計、改善、再設計のサイクルを繰り返す。
【0061】以上のサイクルを第1段階で完結させた
後、同様に第2、第3段階においても順次完結させる。
このように各段階で設計、改善、再設計のサイクルを完
結させることにより、作業の戻りをなくすことができ、
再設計の最小化を実現することができる。
【0062】次に、本実施形態の組立工程設計システム
による組立工程設計の流れを図7〜図21に基づいて詳
細に説明する。
【0063】図7は、組立構成設計の対象となる製品の
分解斜視図である。図7に示すように、対象となる組立
製品は、初期の構成部品点数がa〜eの5点であり、ハ
ウジングbの上面にシャフトaが挿入され、ハウジング
bの側面にブラケットcがボルトd、eによって組み付
けられる構造となっている。
【0064】図8、図9は組立工程設計の流れを示すフ
ローチャートである。ステップS10〜S15が第1段
階の製品構造設計段階に対応し、ステップS16〜S2
3が第2段階の基本工程設計段階に対応し、ステップS
24〜S30が第3段階の組立工法設計段階に対応して
いる。
【0065】まず、組立工程設計で必要となる対象部品
の寸法、公差、クリアランス、結合関係およびその他部
品の属性(材質、剛性、脆性等)に関する図面情報を抽
出するとともに、情報エントロピー算出のために、必要
位置決め精度と組み付け前の部品位置、姿勢のバラツキ
量を抽出する(ステップS10)。必要位置決め精度
は、図面情報の公差、クリアランスから割り出される。
組み付け前の部品の位置・姿勢のバラツキ量は、過去の
実績に基づいて一般的になっている部品の納入形態から
求められる。
【0066】図10は、構成部品a〜eの品番数、必要
位置決め精度、組み付け前の部品の位置・姿勢のバラツ
キ量を示している。これらの必要位置決め精度、バラツ
キ量は、X、Y、Z、Xθ、Yθ、Zθの6成分の把握
が必要であるが、本実施形態では簡略化してX成分のみ
を表示している。
【0067】次に、図面情報をもとに、組立工程設計ダ
イヤグラムにより製品構造の記述を行う(ステップS1
1)。図11は、組立工程設計ダイヤグラムにより製品
構造を記述した結果を示している。
【0068】次に、情報エントロピーによる製品構造全
体の評価を行う(ステップS12)。図12は、各構成
部品a〜eについて情報エントロピーによる評価を行っ
た結果を示している。
【0069】ここで各構成部品の情報エントロピーの算
出方法について説明する。情報エントロピーHpの算出
は、図10で示した必要位置決め精度とバラツキ量をも
とにして計算することができる。まず、シャフトaを組
み付けるための情報エントロピーを算出する。シャフト
aをハウジングbに組み付けるためには、シャフトaと
ハウジングbの両方を位置決めする必要があるので、両
者の情報エントロピーを加算する必要がある。
【0070】シャフトaのみの情報エントロピー算出に
は、シャフトaをハウジングbに組み付けるための必要
位置決め精度±0.5mmが適用される。また、ハウジ
ングbのみの情報エントロピー算出には、シャフトaを
組み付ける前に、ハウジングbをパレットや治具等にセ
ットするための位置決め精度±3mmが適用される。
【0071】従って、シャフトaを対象とする情報エン
トロピーHp(a)は、第1項をシャフトa自身の情報
エントロピー、第2項をハウジングbの情報エントロピ
ーとして、以下の数式3で表される。
【0072】
【数3】Hp(a)=log2(150/0.5)+l
og2(150/3)=39 このケースではハウジングbを治具にセットすることに
しているが、2部品のうちいずれを治具にセットすべき
かは、後工程の第2段階の基本工程設計段階にて詳細に
検討されるため、第1段階の製品構造設計段階では仮に
設定して情報エントロピーを算出している。
【0073】同様の考え方に基づき、ボルトdを組み付
けるための情報エントロピーは、ボルトd自身の情報エ
ントロピーに、ブラケットcとハウジングbの情報エン
トロピーを加算する必要がある。以上の手順で、すべて
の構成部品に対して情報エントロピーを算出する。本実
施形態では、すべての構成部品a〜eを組み付けるため
の情報エントロピーは180ビットとなっている。
【0074】次に、組立工程設計ダイヤグラムから、工
程オブジェクトや結合線が複雑に交錯している部分があ
るか否かを検討する(ステップS13)。この結果、複
雑に交錯している部分があれば、製品構造を簡易化する
必要があるため、ステップS14に進み、製品構造簡易
化案を考案する。一方、交錯している部分がなければ、
ステップS16の基本工程設計段階に進む。
【0075】ここで、図11の組立工程設計ダイヤグラ
ムから製品構造を見ると、ブラケットcおよびボルト
d、eが製品構造を複雑化していることが分かる。これ
らの部品は図12で示した情報エントロピーでも高い値
となっており、組立が難しいことを示している。
【0076】次に、工程オブジェクトや結合線が複雑に
交錯している箇所に着目し、製品構造簡易化案を複数抽
出する(ステップS14)。図13は、ステップS13
の評価結果に基づいた複数の製品構造簡易化案A〜Cを
示している。図13に示すA案では、ブラケットcをハ
ウジングaに新設した突起部に軽圧入する構造にするこ
とによりボルトeを削減している。これにより、ハウジ
ングbの品番も削減され、製品構造設計段階での設計結
果は、図14に示す簡素化された組立工程設計ダイヤグ
ラムにて表現できる。
【0077】次に、製品構造簡易化案を情報エントロピ
ーにより評価することで、簡易化効果の大きい案の絞り
込みを行う(ステップS15)。図15は、それぞれの
製品構造簡易化案A〜Cおける情報エントロピーを示し
ている。複数の製品構造簡易化案A〜Cを情報エントロ
ピーにより比較することで、どの案がよりよい案かを容
易に判断することができる。本実施形態では、A案が最
も情報エントロピーの低減効果が高くなっている。
【0078】次に、基本工程設計が開始される(ステッ
プS16)。基本工程設計は、部品(i)単位で行われ
る。
【0079】次に、基本工程設計結果を組立工程設計ダ
イヤグラムで表現し、工程の流れを明確化する(ステッ
プS17)。
【0080】次に、i番目の部品に対して組立工程設計
ダイヤグラムに基づいて、ベース部品候補を複数抽出す
る(ステップS18)。ベース部品の抽出は、多数の部
品の組立基準になっているかを判断するため、結合線が
集中している部品オブジェクトに着目して行う。さらに
ステップS18では、組立工程設計ダイヤグラムと製品
情報に基づいて、組立・把持基準、組立順序、部品供給
方法に関する案を複数抽出する。
【0081】図17は、組立順序、部品供給方法等に関
する工程設計案の具体例を示し、図18は、図17の工
程設計案による組立順序を示している。この例では、ハ
ウジングbをベース部品としてパレットfに位置決め
し、シャフトa→ブラケットc→ボルトdの順に組み付
けられる。
【0082】以上のベース部品、組立順序、把持基準、
部品供給方法の明確化が基本工程設計であり、ステップ
S18では工程設計案を複数する。
【0083】次に、ステップS18で複数抽出した工程
設計案を、情報エントロピーにて評価し、情報エントロ
ピーがより小さくなる案を絞り込む(ステップS1
9)。図19は、図17の工程設計案の情報エントロピ
ーを示している。
【0084】第1段階の製品製造設計に対して、第2段
階の基本工程設計では、ベース部品を位置決めした状態
で、シャフトa、ブラケットc、ボルトdが組み付けら
れることから、ハウジングを位置決めする情報エントロ
ピーを他の部品に加算する必要がなくなる。この結果、
図19に示すように情報エントロピーが低減する。この
例では、108ビット−96ビット=12ビット減少し
ている。
【0085】同様の手順で、ステップS18で抽出した
すべての工程設計案に対して、情報エントロピーを算出
し、各案の情報エントロピー減少量を比較し、最も情報
エントロピー減少量の大きい案を選択する。
【0086】次に、既に実用化されている公知の既存技
術で組立可能かどうか層別する(ステップS20)。こ
の判断は、予めチャート化された判断基準を用いて行
う。この結果は、図16の工程ダイヤグラムに反映され
る。
【0087】例えば3品番を有するブラケットcは、3
つの形状それぞれのブラケットを保持しながらねじ締め
する必要がある。このため、既存技術では対応困難と判
断され、工程オブジェクトは「◎」で表される。この
「◎」で示される部品は、既存組立技術を適用可能なよ
うに製品構造を見直すか、あるいは組立工法設計にて新
たな組立技術を開発する必要がある。
【0088】次に、すべての対象部品に対して、基本工
程設計を行ったか否かを判定する(ステップS21)。
この結果、基本工程設計を行っていない部品がある場合
には、上記ステップS16に戻り、ステップS16〜S
20を繰り返して基本構成設計を行う。
【0089】一方、対象部品すべてに対して基本工程設
計が終わっている場合には、実用化技術で対応できる工
程に変更する目的で、再度上記ステップS14で製品構
造簡易化を検討する必要があるか否かを判定する(ステ
ップS22)。この判断は、過去の類似ライン情報等を
参考にして行う。本実施形態では、納入先の要望により
製品構造の再設計は不可能と判断している。
【0090】次に、組立工法設計を開始する(ステップ
S23)。この組立工法設計は、工程(j)単位で行
う。
【0091】次に、j番目の工程に対して、基本工程設
計で作成したダイヤグラムおよび情報エントロピー評価
結果から、組立技術開発、部品供給技術開発、多種対応
技術開発を優先すべき工程を明確化する(ステップS2
4)。ここでは、情報エントロピーの高い工程や、機械
と機械との間に人が孤立した状態で作業を行う工程など
が優先される。
【0092】次に、対象工程の組立技術案、部品供給技
術案および多種対応技術案を複数抽出する(ステップS
25)。本実施形態では、例えば3品番を有するブラケ
ットcに対応した新たな組立ツールを開発した。
【0093】図20は、ブラケットcをハウジングbに
組み付ける際に用いる組立ツールを示している。この組
立ツールは、ブラケットcの3品番に共通する形状であ
るブラケット両端をブラケット保持部gにより保持した
状態で、ねじ締め部hによりねじ締めできるように構成
されている。
【0094】次に、抽出した複数案に対して情報エント
ロピーの評価を行い、情報エントロピーのより小さい案
を絞り込む(ステップS26)。ここでは、情報エント
ロピー評価を既存技術の改善案に適用するだけでなく、
新発想のアイデアの評価や、人の作業と機械の作業との
違いの分析にも適用し、技術開発の促進に役立てる。
【0095】図20に示す組立ツールを用いることで、
3種類の異なる形状のブラケットに対応できるので、見
かけ上1品番を扱うのと同等の工程を実現できる。従っ
て、この組立ツールを用いた場合には、36ビットの情
報エントロピーHtを低減することができる。同様の作
業を上記ステップS25で抽出した複数の案のすべてに
ついて行い、情報エントロピー評価を行う。
【0096】次に、新たな組立工法の開発が必要な工程
が残っていないか否かをチェックする(ステップS2
7)。この結果、組立工法設計が必要な工程がある場合
には、上記ステップS23に戻り、ステップS23〜S
26を繰り返して基本構成設計を行う。
【0097】一方、組立工法設計が必要な工程が残って
いない場合には、組立工程設計ダイヤグラムに技術開発
結果を盛り込み、組立工程設計ダイヤグラムの簡素化状
況を確認する(ステップS28)。新技術を導入した工
程は、「◎」の内側の小さな円が破線で表示される。
【0098】図21は、組立工程設計ダイヤグラムと情
報エントロピーの変化を示している。図21に示すよう
に、製品構造設計、基本構造設計、組立工法設計の3段
階の設計により、組立工程設計ダイヤグラムが簡素化さ
れたとともに、情報エントロピーが低減され、よりよい
工程設計が確実に行われたことが分かる。
【0099】以上の工程設計の結果、製品構造をどの程
度簡素化できたかについては、対象とする情報エントロ
ピーHpで表され、84ビット低減できたことがわか
る。一方、製造面の工夫によりどの程度工程を簡略化で
きたかについては、処理される情報エントロピーHtで
評価され、36ビット低減できたことが分かる。
【0100】以上、本実施形態によれば、組立工程設計
モデルに基づき、各設計項目を3つの段階に明確に分類
することで、適切な設計手段が定義付けられるため、組
立工程設計における試行錯誤を抑制することができる。
【0101】また、組立工程設計モデルにより、設計の
ポイントや新たな組立工法開発の妥当性を形および形の
変化により図式的に明示するので、工程設計者の経験や
ノウハウに依存することなく、迅速かつ的確に設計を進
めることができる。
【0102】また、情報エントロピーにより設計結果を
定量評価することにより、工程設計者の経験やノウハウ
に依存することなく、迅速かつ的確に設計を進めること
ができる。さらに、情報エントロピーを用いた定量評価
法は、全設計項目に対して一貫して活用できるので、設
計全体の最適性を考慮して各設計作業の適正化を図るこ
とができる。
【0103】また、製品面の評価に着目した情報エント
ロピー(Hp)と、製造面の評価に着目した情報エント
ロピー(Ht)とに層別した分析を行うため、製品面あ
るいは製造面のいずれの適正化作業に注力して設計を行
っているかを容易に把握できる。さらに、よりよい工程
仕様を作成するには、製品面あるいは製造面のどちらを
優先した設計を行うべきかの方向付けができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】組立工程設計の基本作業を示す説明図である。
【図2】図1の形態1〜3に従った組立工程設計の手順
を示す説明図である。
【図3】組立工程設計モデルの記述ルールを示す図表で
ある。
【図4】図4は、図3で定義した組立工程設計モデルの
概要を示す説明図である。
【図5】組立工程設計モデルを示す説明図である。
【図6】組立工程設計の流れを示す説明図である。
【図7】組立工程設計の対象となる組立製品の分解斜視
図である。
【図8】組立構成設計の手順を示すフローチャートであ
る。
【図9】図8に続くフローチャートである。
【図10】組立工程設計に必要な図面情報を示す図表で
ある。
【図11】組立製品とその組立工程設計ダイヤグラムを
示す説明図である。
【図12】組立製品の各構成部品の情報エントロピーを
示す説明図である。
【図13】製品構造設計段階における製品構造簡易化案
A〜Cを示す説明図である。
【図14】製品構造設計後の組立工程設計ダイヤグラム
を示す説明図である。
【図15】製品構造設計段階における製品構造簡易化案
A〜Cの情報エントロピーの比較を示す説明図である。
【図16】基本工程設計段階における組立工程設計ダイ
ヤグラムを示す説明図である。
【図17】基本工程設計段階における基本工程設計案の
具体例を示す図表である。
【図18】基本工程設計段階における組立製品の組立順
序を示す説明図である。
【図19】基本工程設計段階における情報エントロピー
の評価例を示す説明図である。
【図20】組立工法設計段階における新たな組立ツール
を示す斜視図である。
【図21】上記実施形態の組立工程設計における組立工
程設計ダイヤグラムおよび情報エントロピーの変化を示
す説明図である。
【図22】従来の組立工程設計の流れを示す説明図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花井 嶺郎 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3C100 AA43 AA65 BB12 EE02 5B046 AA00 DA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の部品からなる製品を組み立てる組
    立工程を設計するための組立工程設計システムであっ
    て、 前記複数の部品の結合関係を示す製品構造情報からなる
    製品情報を入力情報として、組立易さの観点から前記製
    品構造情報を適正化した改良製品情報を出力する製品構
    造設計手段と、 前記改良製品情報を入力情報として、前記製品構造情報
    を前記部品を組み立てる組立工程の順序を示す工程情報
    に変換した基本工程情報を出力する基本工程設計手段
    と、 前記基本工程情報を入力情報として、前記製品構造情報
    により適した組立工法を導入して、前記工程情報を適正
    化した改良工程情報を出力する組立工法設計手段とを備
    えることを特徴とする組立工程設計システム。
  2. 【請求項2】 前記基本工程設計手段では、前記部品の
    組立工程のうち既存の組立技術を適用できない組立工程
    を抽出し、前記組立工法設計手段では、前記既存の組立
    技術を適用できない組立工程に、新たな組立技術を導入
    することを特徴とする請求項1に記載の組立工程設計シ
    ステム。
  3. 【請求項3】 前記製品構造情報は、前記部品を表す記
    号と前記部品の結合関係を表すように前記記号を結ぶ線
    とを備えており、 前記工程情報では、前記記号により前記部品の組立工程
    が表されるとともに、前記線が方向性を持って表される
    ことにより、前記部品の組立工程の順序が表されること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の組立工程
    設計システム。
  4. 【請求項4】 前記部品が複数の種類を有する場合に
    は、前記記号により前記部品の種類の数が表示されるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の組立工程設計システ
    ム。
  5. 【請求項5】 前記工程情報において、前記記号により
    前記部品の組立工程に対する既存の組立技術の適用可否
    状況が表示されることを特徴とする請求項3または請求
    項4に記載の組立工程設計システム。
  6. 【請求項6】 前記製品構造設計手段、前記基本工程設
    計手段および前記組立工法設計手段では、情報エントロ
    ピーを用いた定量的評価が行われることを特徴とする請
    求項1ないし5のいずれか1つに記載の組立工程設計シ
    ステム。
  7. 【請求項7】 前記製品構造設計手段、前記基本工程設
    計手段あるいは前記組立工法設計手段のいずれかにおい
    て、複数の設計案が存在する場合には、それぞれの設計
    案の情報エントロピーを算出して比較することを特徴と
    する請求項6に記載の組立工程設計システム。
  8. 【請求項8】 前記情報エントロピーは、前記製品構造
    に関する情報エントロピーと、前記製造工程に関する情
    報エントロピーとを含んでいることを特徴とする請求項
    6または請求項7に記載の組立工程設計システム。
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