JP2003089897A - 長尺部材の電解メッキ装置 - Google Patents

長尺部材の電解メッキ装置

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JP2003089897A
JP2003089897A JP2001280473A JP2001280473A JP2003089897A JP 2003089897 A JP2003089897 A JP 2003089897A JP 2001280473 A JP2001280473 A JP 2001280473A JP 2001280473 A JP2001280473 A JP 2001280473A JP 2003089897 A JP2003089897 A JP 2003089897A
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JP2001280473A
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Shoichi Nomura
鐘一 野村
Toshihiro Yamamoto
敏博 山本
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Inoac Corp
Original Assignee
Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストおよび環境負荷の低減を容易に可
能とする電解メッキを用いて、単独のおよび多数の部材
における均一なメッキ膜厚分布を達成する長尺部材の電
解メッキ装置を提供する。 【解決手段】 回転軸14を有し、外周側面に多数の貫
通孔16を設けると共に、その内部に棒状長尺部材Sを
収容するバレル12の内周側面12bに突設された桟部
材20と、この桟部材20上に設けられ回転軸14と平
行に延在する少なくとも一つの堤部材22とから構成し

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、長尺部材の電解
メッキ装置に関し、更に詳細には、コピー機等の事務機
器に使用される各種ローラに採用される棒状長尺部材に
対して、電解メッキにより均一かつ均質な被膜を効率的
に形成し得る長尺部材の電解メッキ装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】コピー機やファクスその他事務機器等に
使用される転写ローラまたは静電ローラ等に好適に使用
されるシャフトには、一般にその表面に無電解ニッケル
メッキ等により防錆処理が施されている。前記無電解メ
ッキにより防錆処理を施した場合、電解メッキにより防
錆処理を施した場合に比較して、形成されるメッキ膜厚
を均一化できる、所定の無電解メッキ浴を使用してメッ
キ処理対象物である前記シャフトを一度に大量に処理で
きる、すなわち均一かつ剥離し難いメッキを効率的に大
量生産し得るといった長所があり、これまでのシャフト
のメッキ処理においては無電解メッキによる処理が一般
的であった。
【0003】しかしながら無電解メッキによる防錆処理
は、前述した長所を有する反面でメッキ浴の寿命およ
び環境に対する負荷といった点について問題が指摘さ
れていた。
【0004】すなわち前記無電解ニッケルメッキを実
施すると、該メッキによる主生成物としてのニッケル・
リン合金被膜が被メッキ物であるシャフトに形成される
一方で、副生成物である硫酸銀等のニッケル塩のアニオ
ン成分や亜リン酸イオン等の酸化された還元剤がメッキ
浴中に徐々に蓄積されていく。これら副生成物は、無電
解メッキ反応を阻害する妨害物質でしかなく、該副生成
物の蓄積量に比例してニッケル・リン合金被膜の析出速
度が低下したり、得られる該ニッケル・リン合金被膜の
光沢等が悪化して商品性が低くなってしまうことが知ら
れている。これらの問題については、メッキを実施する
時間を長くしたり、メッキ浴のpHを高くすることで応
急的な対応が可能であるが、該メッキ浴中のニッケル金
属が充分であっても通常は10ターン(ここで1ターン
とは、メッキ浴を作製(建浴)した直後に該メッキ浴中に
含有されるニッケルが全て析出するのに相当するメッキ
処理単位を示す)の経過を待たずに使用が不可能となる
程に劣化が進行してしまう。このような状態となった劣
化メッキ浴は、含有される副生成物を除去することで再
使用が可能となるが、未だ実用化には技術的な知見が不
充分であり実際には廃液として処理するしか選択肢がな
かった。
【0005】実際的な廃液の処理方法として海洋投棄が
挙げられるが、この場合には前述のの如く、該廃液中
のニッケル等の重金属やリン成分による重大な環境負荷
が発生する。このため昨今では前述の海洋投棄は禁止に
至り、更に廃液処理の際に要求される処理の程度も高く
なってきているため処理コストが嵩み、その結果トータ
ルした製造コストの上昇が大きな問題となりつつある。
【0006】無電解メッキにこのような問題がある一方
で電解メッキの場合、基本的に劣化した廃液を排出する
ことがないため、容易に前述した製造コストを安価に保
つと共に、処理の困難なリン成分やキレート錯体を含ま
ず環境負荷を低減し得る利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の電解メッキによ
るメッキ被膜を形成は、被メッキ物を陰極として電気化
学反応によってなされるので、該被メッキ物への通電が
不可欠である。このように被メッキ物に通電を行なう電
解メッキの方法としては、引っかけ治具を使用したラッ
ク法、中空の円筒形状または多角形筒形状のバレル内部
に被メッキ物を収納し、陰極を接触させるバレル法等が
挙げられ、量産性を重視した場合該バレル法が好適であ
る。前記バレル法は、一般的にボルトナットなどの小形
物を大量加工する際に好適であるとして利用される方法
であり、前記バレル内部に被メッキ物を収納した状態で
該バレルを水平軸を中心に回転させて、収納された該被
メッキ物を攪拌させて該バレル内部に設けられる陰極へ
接触・通電させメッキを実施するものである。
【0008】前記バレル法により電解メッキを施す電解
メッキ装置80は、図15に示す如く、内部に陰極18
を備える多角形筒形状のバレル12と、このバレル12
を回転軸14を介して回転させる図示しない駆動源と陽
極とを備えると共に、該バレル12を充分に浸漬するに
足る容量を有するメッキ浴50とから基本的に構成され
る。前記バレル12の外周側面12a全体に多数の貫通
孔16が穿設されており、該バレル12がメッキ浴50
に浸漬された際にはメッキ液を介して前記陽極および陰
極18が通電可能に構成されている。前記陰極18は先
端部分を除いて絶縁被覆が施されており、該先端部分に
は前記バレル12が回転による被メッキ物の移動に伴っ
て動かない程度の重しがかけられており、中空になって
いる回転軸14端からバレル12内部へ挿入されてい
る。
【0009】前記電解メッキ装置80を使用して断面形
状が円柱または円筒状のシャフト等の被メッキ物にメッ
キを施す場合、該被メッキ物を前記回転軸14に平行に
収納することで、前記バレル12の回転運動により該被
メッキ物を回転させつつ作業を実施し得る。そのため電
解メッキであっても、被メッキ物の外周面に均一なメッ
キ被膜を形成し易い利点がある。しかし前述のようにバ
レル法は、バレル12内部に収納される被メッキ物を、
該バレルの回転によって自由に回転移動させることが可
能な小形品に好適なメッキ法であり、前述のシャフトの
ように軸方向に位置を固定される長尺部品に対しての使
用には、以下のような問題が指摘される。すなわち、
陰極18の構造に起因して、該陰極18と被メッキ物と
の接触状態が安定せず、その結果通電量が大きく変動し
てしまい安定的なメッキ作業には難があること、メッ
キ浴中の金属成分の変動が大きいこと、バレル12内
に収納される個々のメッキ製品毎のメッキ被膜厚さや、
外観に大きなバラツキが生じること、陽極19からの
通電は前記貫通孔16を介されるため、メッキ製品に該
貫通孔16のメッキ跡が付き易く、所謂まだら模様とな
ってしまうこと、メッキ製品に傷が付きやすいこと、
等が挙げられる。
【0010】このような問題を解決すべく、電解メッキ
により円筒または円柱状の棒状部品をメッキする方法と
して、バレル両端壁面から所定位置までを貫通孔を設け
ず、中心側から所定距離だけ離れた位置から多数の貫通
孔を設けることにより、長尺の被メッキ物の軸方向に均
一なメッキを施す技術が特開2000−1798号公報
に開示されている。しかしながら、このような電流密度
の制御によりメッキ被膜厚を制御する技術は電解メッキ
においては一般的であると共に、前述のおよびに係
る問題に関しては解決が困難である。
【0011】また陰極をバレル内周面に沿って設置する
ことで、被メッキ物である棒状長尺部材の回転を妨げる
と共に、該陰極自体の破壊を回避し得る構造が特公昭6
2−61680号公報に開示されている。しかしなが
ら、この方法においても前述のに係る問題、すなわち
同時にメッキを施す被メッキ物間のバラツキを低減する
ことは困難である。
【0012】
【発明の目的】この発明は、従来の技術に係る棒状長尺
部材用の電解メッキ装置に内在していた問題に鑑み、こ
れを好適に解決するべく提案されたものであって、製造
コストおよび環境負荷の低減を容易に可能とする電解メ
ッキを用いて、単独のおよび多数の部材における均一な
メッキ膜厚分布を達成する長尺部材の電解メッキ装置を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明に係る長尺部材の電解メッ
キ装置は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多
数の貫通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒
状長尺部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置におい
て、前記バレルの内周側面に突設される桟部材と、前記
桟部材上に設けられて前記回転軸と平行に延在する少な
くとも一つの堤部材から構成したことを特徴とする。
【0014】前記課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本願の別の発明に係る長尺部材の電解メッキ装置
は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多数の貫
通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒状長尺
部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置において、前
記バレルの回転軸方向に離間して対向的に位置する両端
側面(12e,12e)に、該バレル内に収容される前記棒状長
尺部材の通過を阻止し得る径の側方貫通孔を穿設したこ
とを特徴とする。
【0015】前記課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本願の更に別の発明に係る長尺部材の電解メッキ装
置は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多数の
貫通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒状長
尺部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置において、
前記陰極の先端部を弾性導電物質で構成すると共に、該
先端部を前記回転軸を貫通する内部空間から支持パイプ
を介して該バレル内へ垂下させたことを特徴とする。
【0016】前記課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本願の更に別の発明に係る長尺部材の電解メッキ装
置は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多数の
貫通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒状長
尺部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置において、
前記外周側面に略L字形状をなすパドル部材を配設して
前記バレルの半径方向外側へ突出させ、その先端は該バ
レルの回転方向を指向していることを特徴とする。
【0017】前記課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本願の更に別の発明に係る長尺部材の電解メッキ装
置は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多数の
貫通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒状長
尺部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置において、
前記回転軸を水平面に対し所定の仰角をもって傾斜させ
るように構成されることを特徴とする。
【0018】前記課題を克服し、所期の目的を達成する
ため本願の更に別の発明に係る長尺部材の電解メッキ装
置は、回転軸に回転可能に軸支され、外周側面に多数の
貫通孔を設けたバレルを備え、該バレルの内部に棒状長
尺部材を収容する長尺部材の電解メッキ装置において、
前記バレルの内周側面に突設され、前記長尺部材の該内
周側面に対する接触を回避するための底上げ用の桟部材
と、前記桟部材上に設けられて前記回転軸と平行に延在
し、前記バレル中に収納した多数の棒状長尺部材におけ
るバレル回転中の動きを部分的に規制する少なくとも一
つの堤部材と、前記バレルの回転軸方向に離間して対向
的に位置する両端側面(12b,12b)に多数穿設され、前記
棒状長尺部材の通過を阻止し得る径に設定した側方貫通
孔と、その先端部を弾性導電物質で構成し、該先端部を
前記回転軸を貫通する内部空間から支持パイプを介して
垂下する陰極と、前記外周側面において前記バレルの半
径方向外側に突設され、該バレルの回転方向を指向する
略L字形状をなる先端を備えるパドル部材とからなり、
前記回転軸を水平面に対し所定の仰角をもって傾斜させ
たことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】次に本発明の好適な実施例に係る
長尺部材の電解メッキ装置につき、好適な実施例を挙げ
て、以下説明する。本実施例に係る電解メッキ装置10
は、図1、図2および図3に示す如く、バレル12内に
収納される被メッキ物である中実または中空の棒状長尺
部材Sを陰極18と常時接触させると共に、該バレル1
2を回転させることで該棒状長尺部材Sを攪拌させつつ
電気化学反応によりメッキ被膜を形成する、所謂バレル
形式の電解メッキ装置であって、回転軸14により回転
可能に軸支されると共に、該棒状長尺部材Sを多数収納
し得る中空の円筒形状または多角形筒形状のバレル12
と、該バレル12全体を浸漬することで内部に収められ
た長尺部材Sに電解メッキを施すメッキ浴50と、該バ
レル12をメッキ浴50に浸漬するよう制御下に上下方
向に移動自在な支持装置52とから基本的に構成され
る。
【0020】前記メッキ浴50は、回転運動する前記バ
レル12全体の浸漬を許容する容量を有するものであ
り、必要に応じて温度等の諸条件を任意に制御し得るよ
うになっている。また前記支持装置52は、前記バレル
12だけでなく、該バレル12を回転させるモータ等の
駆動源54および該駆動源54からの駆動力を該バレル
12に伝達する駆動ギア56も支持している。そして前
記駆動ギア56からの駆動力は、前記回転軸14とその
中心を整列させて固定的に配置される回転ギア58を介
して前記バレル12に伝達される。また前記バレル12
に関しては、その回転軸14が水平面に対して15°の
仰角をもって傾斜されるように取り付けられている(図
1参照)。なおこの実施例では、前記回転ギア58が前
記バレル12と別体の構成となっているが、後述する何
れかの側端面12eの外周面に、前記駆動ギア56に対
応した歯を形成して歯車とすることで前記駆動源54か
らの駆動力を該バレル12に伝達するようにしてもよ
い。
【0021】前記バレル12は、図2に示す如く、前記
回転軸14により回転可能に軸支された断面六角形状の
筒状体であり、その側面を構成する外周側面12aと、
該回転軸14方向に離間して対向的に位置する両端側面
12e,12eとから構成され、その内部に被メッキ物
である前記棒状長尺部材Sを収納する収納空間13が画
成されている。そして前記外周側面12aおよび両端側
面12e,12eには、前記バレル12をメッキ浴50
に浸漬した際に、メッキ液を前記収納空間13内に導く
ための貫通孔16および側方貫通孔17が夫々規則性を
もって多数穿設されている。なお前記収納空間13内に
棒状長尺部材Sを収納させるべく、前記外周側面12a
の一部は、開閉自在に構成されている。
【0022】(桟部材について)前記バレル12の内周側
面12bには、図4に示す如く、該バレル12内の収納
空間13に収納される棒状長尺部材Sが、該内周側面1
2bに対して接触しないように所定距離底上げさせる桟
部材20が突設されている。前記桟部材20は、前記内
周側面12bに沿って螺旋状となるように設けられてい
る。前記桟部材20は、前述の螺旋形状とする際に前記
バレル12の長手方向に対して略直交するようにするこ
とで、製造持および電解メッキ時のコストや効率を向上
させ得る。なお螺旋状にされた前記桟部材20の前記バ
レル12の長手方向の間隔は、収納されるべき前記棒状
長尺部材Sの長さを考慮して決定する。この間隔が短け
れば大きなバレル12で小さな棒状長尺部材Sへの対応
が可能となる一方で、該桟部材20により閉塞してしま
って実際上使用し得ない前記貫通孔16の数が増加して
しまうので留意が必要である。
【0023】前述した螺旋状構造を有する桟部材20に
より前記棒状長尺部材Sは、少なくとも該桟部材20の
高さ分だけ前記内周側面12bから離間し、該内周側面
12bへの接触が回避されることになる。このような状
態で前記棒状長尺部材Sを収納空間13内に収納するこ
とで、図5に示す如く、該棒状長尺部材Sが該貫通孔1
6の直上に位置して閉塞させないようにして、その結果
多数の貫通孔16を介して該収納空間13内に入ってく
る電解メッキの電界場が該収納空間13内全体に拡散し
て均一に行き渡る(図5(a)参照)、すなわち均一な電界
メッキが該収納空間13内の何れの位置でも可能なよう
になっている。本桟部材20がない場合、前記棒状長尺
部材Sが前記貫通孔16を閉塞させてしまい、該貫通孔
16の部分から他の部分に電界場が拡散せず集中してし
まい、該貫通孔16を閉塞的に覆う該棒状長尺部材Sに
電界場が集中、該貫通孔16の形状が転写されたような
電解メッキ跡ができてしまう(図5(b)参照)。
【0024】また前記桟部材20で底上げされる距離
は、例えば前記貫通孔16の穿設間隔距離が一般的な5
〜10mmの場合には、3〜15mmの間に設定され
る。この距離が3mmに達しないと、前述した電界場の
拡散が不充分となり、殊に電界メッキの均一性を考えた
場合、好適には5mm程度必要となる。そして前記底上
げ距離が15mmを越える場合には、前述の電界場の拡
散は殆ど変化せず電解メッキの均一性には変動が見られ
ない一方、底上げにより前記収納空間13の有効収納体
積の減少が問題となり、一回当たりの電解メッキ処理本
数、すなわち量産性が低下するだけだからである。
【0025】なお本実施例で前記桟部材20は、一本の
部材を加工して螺旋状の桟部材20としたが、図6に示
す如く、前記内周側面12bに対応した複数のの桟部材
60を、前記バレル12の長手方向に略直交するよう、
かつ均等または不均等に配置するようにしてもよい。
【0026】(堤部材について)そして、図2に示す如
く、前記桟部材20の上で、六角筒形状の前記バレル1
2の6つの内側角部12cには、前記回転軸14ど平行
に延在するように前記収納空間13の略全長に亘って所
定高さの堤部材22が該バレル12の半径方向内側に突
設されている。
【0027】前記堤部材22は、図7および図8に示す
如く、前記バレル12の回転に際して該バレル12内の
収納空間13に収納されている多数の棒状長尺部材S
(図7(a)参照)が、該収納空間13を内周側面12bに
沿って滑るように移動してしまい(図7(b)参照)、個々
の該棒状長尺部材Sの相対位置が変化しなくなること
で、一部の該棒状長尺部材Sの電解メッキ層だけが選択
的に厚くなるのを防止するものである。すなわち前記バ
レル12の回転に際する内部に収納された前記棒状長尺
部材Sの移動が、前記堤部材22により部分的に規制さ
れ(図8(a)参照)、該堤部材22を乗り越える際にその
個々の相対位置が容易に変化する(図8(b)参照)ように
するためのものである。このように個々の棒状長尺部材
Sの相対的な移動がなされることにより、多数の該棒状
長尺部材Sが積み上がった外側(殊にバレル12の内周
側面12b側)または内側に位置する該棒状長尺部材S
間における電解メッキ膜厚の差を殆どなくすことができ
る。
【0028】前述の相対位置の変化を効率的に行なうた
めに前記堤部材22の高さすなわち突出距離は、収納さ
れるべき棒状長尺部材Sの外径(直径)の1/2〜略同等
に設定される。この高さが前記棒状長尺部材Sの外径の
1/2未満であると、多数の該棒状長尺部材Sが前記バ
レル12の回転運動に伴って移動する際に、該堤部材2
2を単に乗り越えてしまい、その結果個々の棒状長尺部
材Sの相対位置が変化しない場合が考えられるからであ
る。また略同等の高さを超えた場合には、前記棒状長尺
部材Sが堤部材22を乗り越える際に、その振動および
陰極18との接触程度の変動によりバイポーラ現象のよ
うな状態となってパルス的に変動してしまい、その結果
かえって個々の該棒状長尺部材Sの電解メッキ膜厚分布
を不均一としてしまうためである。
【0029】なお、本実施例においてはバレル12の形
状が断面形状六角筒形状であるので前記堤部材22の配
置位置は前述の如く、内周に等角度間隔位置となる内側
角部12cであるが、この時の配設本数および配設位置
については棒状長尺部材Sに対する前述の効果があれば
殊に限定はされない。またバレル形状が、例えば円筒形
状であれば前述の効果が期待できるよう、適当な本数が
適当な位置に配置される。一般には等間隔に6本程度が
よいとされる(後述[0040])。
【0030】(側方貫通孔について)前記バレル12の回
転軸14方向に離間して対向的に位置する両端側面12
e,12eには、図2に示す如く、前記貫通孔16と同
様の側方貫通孔17が多数穿設されている。前記側方貫
通孔17により、前記収納空間13内に対流するメッキ
液を効率的に攪拌可能として、該収納空間13内におけ
る該メッキ液濃度等の偏在を解消すると共に、前記バレ
ル12外部から前記棒状長尺部材Sの各部分、例えば円
周部および両端部に該メッキ液が至る距離、すなわちメ
ッキ電流が流れるべき距離を該貫通孔16だけの場合に
較べて平滑化し得る。これは前述のメッキ電流が、その
特性上電流流通距離を最短とするように流れる性質によ
り生じてしまう前記円周部と両端部との電解メッキ膜厚
差をなくすものである。なお前記側方貫通孔17が穿設
されていない構成の場合、前記棒状長尺部材Sの両端部
には殆ど電解メッキ膜は形成されず、耐蝕、防錆性大き
く劣る欠陥品が製造される危険性が高い。
【0031】また前記側方貫通孔17の開口径について
は、前記収納空間13内の棒状長尺部材Sがバレル12
外に出てしまわないように、該棒状長尺部材Sの通過を
阻止し得る径とされ、またその配置については、全体と
してより大きな開口面積を達成すべく、例えば千鳥状に
設けられる。なおその間隔距離については、前記棒状長
尺部材Sの通過を阻止し得るよう、該棒状長尺部材Sの
外径および前述の開口径にもよるが、一般的には5〜1
0mmに設定される。
【0032】(陰極構造について)本実施例において、バ
レル12内に収納される多数の棒状長尺部材Sに対して
電解メッキに必要とされる電気を給電する陰極18は、
図1および図9に示す如く、前記バレル12外部の図示
しない電源から該バレル12内の収納空間13までを接
続する陰極線18aと、この陰極線18aの先に別途ジ
ョイント18c等で多数取り付けられる先端部18bと
からなる。前記陰極線18aは、前記回転軸14を貫通
する内部空間14aからビニールパイプ等の絶縁性材料
を材質とした支持パイプ15を介して収納空間13内に
対して、バレル12の長手方向に所定間隔毎に分岐され
て短冊状に垂下され前記棒状長尺部材Sへの安定的な接
触が確保されるようになっている。前記ジョイント18
c近傍については、構造的に微細な突起が多く、通電し
た際に過剰に電解メッキが析出して棒状長尺部材Sへの
電解メッキを阻害する畏れがあるため、非導電性のビニ
ールチューブ等で被覆されるようになっている。
【0033】また前記陰極18の先端であり、前記棒状
長尺部材Sに対して接触することで電気を給電する先端
部18bの構造および材質には、以下の点を考慮して、
例えばピアノ線の如き弾性を有する極細の金属材料が好
適に採用される。 前記陰極18を太くして、その先端部に金属部分を付
けた構造の場合、バレル12の回転中に該陰極18が前
記棒状長尺部材Sの移動等を規制したり、逆に該棒状長
尺部材Sが強く当たる等して、弾性変形してしまうと元
の形状に容易に復元せず、その結果該先端部自体に電解
メッキ膜が形成されてしまい以後の通電が困難となる。 前記陰極18を細い電線とし、その先端部に金属重り
を付けた場合、の弊害ば防止されるが、前記棒状長尺
部材Sの同一箇所に常時接触してしまうことが考えられ
電解メッキ膜に傷が付いてしまう畏れがある。 また前記重りを軽くする等した場合、その細さ故に陰
極18が前記棒状長尺部材Sの運動により曲がり該棒状
長尺部材Sとの接触が不安定となる。なお前記陰極線1
8aに取り付けられる先端部18bの数としては、3本
から10本程度が好適であり、この範囲未満であると良
好かつ安定的な給電が望めず、逆の場合には接触・非接
触等の変動を原因とするバイポーラ現象が発生し易くな
るので注意が必要である。また前記先端部18の本数、
前記陰極線18aの分岐本数および分岐位置について
は、電解メッキを施すべき前記棒状長尺部材Sの長さお
よび太さ等の形状や、一度に収納する本数等によって適
宜決定するものである。
【0034】前記先端部18bについては、前記支持パ
イプ15を介して外部に続いている陰極線18aと接続
されており、図10に示すように該支持パイプ15ごと
該陰極線18aを前記回転軸14の内部空間14aから
引き抜けば、容易に外部に取り出しが可能である。この
ような構造とすることで、電気的および物理的な接触が
なされ消耗が激しい前記先端部18bの交換および点検
等を容易に行ない得る。
【0035】(パドル部材について)前記バレル12の外
周側面12aにおける6つの頂点となる外側角部12d
には、図2に示す如く、略L字形状をなすパドル部材3
0が配設されている。前記パドル部材30は、前記外周
角部12dにおいて前記バレル12の半径方向外側に所
要距離突設され、その先端が該バレル12の回転方向が
矢印L方向を指向して略L字形状となるよう構成され
る。
【0036】前記パドル部材30により、前記バレル1
2の回転中に貫通孔16を介してメッキ浴50から収納
空間13に入り込むメッキ液(矢印Fで示す)が量的に増
大、入れ替わりが良好となり、その結果該バレル12の
内外におけるメッキ液濃度の差違が小さくなる(図2参
照)。すなわち電解メッキ開始後に、前記バレル12内
でメッキ膜形成に伴って発生するニッケルイオン濃度の
減少を原因とする電導率の低下を防止し得ると共に、金
属イオン濃度減少を原因とするpH低下を抑制し得る。
その結果、前記バレル12内に電導度が維持され常に良
好な電解メッキ膜形成がなされ、該電解メッキ膜のバラ
つきを小さくできる。そしてpH低下の抑制に伴って、
水素ガスピットによる腐食を低減させて耐食性能を維持
できる(図2参照)。
【0037】なお、本実施例においてはバレル12の形
状が断面形状六角筒形状であるので前記パドル部材30
の配置位置は前述の如く、内周に等角度間隔位置となる
外側角部12dとされたが、この時の配設本数および配
設位置についてはメッキ液の導入効果があれば殊に限定
はされない。またバレル形状が、例えば円筒形状であれ
ば前述の効果が期待できるよう、適当な本数が適当な位
置に配置される。一般には等間隔に6本程度がよいとさ
れる(後述[0040])。
【0038】(回転軸について)前記バレル12を回転可
能に軸支する回転軸14は、図1に示す如く、水平面に
対し所定の仰角をもって傾斜させられている。この傾斜
により、前記バレル12内の収納空間13に収納される
前記棒状長尺部材Sの一端は、該バレル12の下側とな
る端側面12eに常に接触するようになり、該棒状長尺
部材Sがその長さ方向について乱雑となることが抑制さ
れて常に揃えられた状態を維持するようになる。すなわ
ち一部の棒状長尺部材Sだけが前記バレル12の長手方
向に突出する状態をなくすことで、該棒状長尺部材Sの
突出部分に過剰な電解メッキ膜が形成されないようにす
るものである。殊に前述の作用は、前記棒状長尺部材S
の長さがバレル12に長さに較べて短いほど顕著に表面
化するため、該バレル12として大きく長いものを使用
し、多様な長さの棒状長尺部材Sに対応し得るように構
成した電解メッキ装置ほど大きな効果が期待できる。
【0039】前記回転軸14の仰角については、3〜4
5°、好ましくは5〜30°の範囲に設定される。前記
仰角が3°以下であると前記棒状長尺部材Sの高さ方向
の整列効果が弱く、逆に45°を越えると該棒状長尺部
材Sの外周面が内周側面12bに対して常に摺接しなく
なってしまい、その結果電解メッキ膜厚分布が変動する
ことが考えられるためである。
【0040】
【別の実施例】前述の実施例では、バレル12の形状が
六角筒形状、すなわち多角型柱状体の場合を説明した
が、図11に示す如く、円筒形状のバレル72でも採用
可能である。またこの別の実施例の場合、桟部材74と
して3つのリング状の部材を採用しているが、前述の実
施例の如く螺旋状としてもよい。そして堤部材76は、
内周を六等分して60°毎に一つ、すなわち計6個の堤
部材76を前記桟部材74上に設けている。この堤部材
76についても、殊にこの数および配設位置には限定さ
れず、内周を4等分または5等分するように、或いは不
等に4、5または6分した位置に該堤部材76を設ける
ようにしてよい。
【0041】
【実験】次に、長尺部材の電解メッキ装置を使用して得
られた棒状長尺部材の電解メッキ膜形成の状態や、該メ
ッキ膜の厚さ分布等について以下の実験を行なった。
【0042】(実験に使用した棒状長尺部材および電解
メッキ方法)バレルとして長さ360mmでかつ断面六
角筒形状物を使用し、棒状長尺部材として外径6mm、
長さ355mmの快削鋼を材質とするシャフトを使用
し、100本の試験体一本一本夫々に番号を刻み、重量
を測定し、うち30本は長手方向40mm間隔で9点の
平均外径を測定してから本発明に係る電解メッキ装置に
一度に100本投入することで電解メッキを施した。電
解メッキに当たっては、温度60℃のアルカリ浸漬脱脂
浴に浸漬して20分間脱脂し、水洗し、次いで15重量
%塩酸に30秒程度浸漬して活性化を行ない、水洗後、
ウッド浴にて、1.5A/dm2、2分間の条件でストラ
イクニッケルメッキを施した。そして温度60℃のスル
ファミン酸ニッケルメッキ浴(組成:スルファミン酸ニ
ッケル450g/L、塩化ニッケル5g/L、ホウ酸40
g/L、界面活性剤(商品名 NP−A;ムラタ製)10c
c/L、pH:4.2)を使用して、時間35分間、電流
密度が0.5A/dm2となるように全電流値36Aに制
御し、バレル回転数を9回転/分、回転軸仰角10°に
設定した条件で電解メッキを実施した。電解メッキ終了
後、水洗、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に約10秒
分間浸漬による中和処理および再度水洗を施して、バレ
ルから取り出し、温度100℃、時間10分の条件で熱
風循環炉により乾燥させた。
【0043】(測定項目および測定方法) 重量測定(重量換算平均メッキ膜厚測定) 電解メッキ前後の棒状長尺部材の重量を、1mgの桁ま
で電子天秤(商品名 BP410S;ザルトリウス製)で夫
々測定し、以下の式により、重量換算平均メッキ膜厚を
求めた。 △W=△t×8.9×π(d×L十0.5×d2) ここで、 △W:重量増加(g) △t:電解メッキ膜厚(cm) d:棒状長尺部材の外径(cm) L:棒状長尺部材長さ(cm) なお、定数8.9は、ニッケル金属の密度(8.9g/cm
3)である。 軸方向の電解メッキ膜厚測定 モーターにより回転する棒状長尺部材を、レーザースキ
ャンマイクロメータ(商品名 LSM-3100;ミツトヨ
製)により軸方向の決まった位置の外径を、電解メッキ
前後で夫々測定して、外径の変化量の半分を平均電解メ
ッキ膜厚として採用した。 電解メッキ膜の多孔性評価 JIS H 8645:1999準拠の「無電解ニッケル−
リンめっき附属書5(規定)めっき皮膜の多孔性試験方法
における3.1項記載のフェロキシル試験法」に従って多
孔性を評価した。具体的には、ヘキサシアノ鉄(III)酸
カリウム(関東化学製、1級試薬)25gと、塩化ナトリ
ウム(イヌイ製、日本薬局方)15gとを純水1リットル
に溶解させて室温とした試験液に対し、電解メッキを施
した棒状長尺部材を約30秒浸漬し、取り出して水道水
を入れた浴に浸した後、所定の拭き布上に乗せて室温下
で完全に乾燥させた。評価は棒状長尺部材全体を目視に
より観察した。具体的には多孔部を示す、肉眼で見える
青い斑点およびその現れ方を観察した。
【0044】(重量測定(重量換算平均メッキ膜厚)を
使用した評価)前述の各条件を満たすよう製造された棒
状長尺部材を実験例として、パドル部材だけを有しない
電解メッキ装置により製造された棒状長尺部材を比較例
1として、堤部材だけを有しない電解メッキ装置により
製造された棒状長尺部材を比較例2として、そして回転
軸を水平として仰角0とした電解メッキ装置により製造
された棒状長尺部材を比較例3として、夫々重量(重
量換算平均メッキ膜厚)を測定した。下記の表1に測定
結果を記す。
【0045】
【表1】
【0046】表1のデータから分かる通り、実験例の重
量換算平均メッキ膜厚に係るSN比が22.4に対し、
比較例1=17.9、比較例2=18.2および比較例3
=17.3と、実験例が最もバラつきが小さいと、すな
わち実験例で製造した多数の棒状長尺部材毎の電解メッ
キ膜厚分布が最も均一であることが確認された。このS
N比は、品質工学上重要なパラメータの1つであり、バ
ラつきが大きいほど小さく、小さいほど大きな値を示
し、複数の要因によるバラつきに対して加法性がある指
標であり、バラつきの評価に多用される。なおSN比の
計算は、以下の式による。 SN比=10log(m22) ここで m=平均値 σ=標準偏差
【0047】(軸方向の電解メッキ膜厚を使用した評
価)前述の各条件を満たすよう製造された棒状長尺部材
を実験例として、側方貫通孔だけを有しない電解メッキ
装置により製造された棒状長尺部材を比較例4として、
そして回転軸を水平として仰角0とすると共に、バレル
の長さを405mmとした電解メッキ装置により製造さ
れた棒状長尺部材を比較例5として、夫々軸方向の電
解メッキ膜厚を測定し、実験例、比較例4および比較例
5に係る軸方向の電解メッキ膜厚分布グラフ図を、夫々
図12、図13および図14に示す。
【0048】その結果、実験例、比較例4および比較例
5に係るSN比は、夫々15.5、11.4および13.
4と算出され、実験例の棒状長尺部材に係る軸方向の電
解メッキ膜厚のバラつきが最も小さく、従って同じ棒状
長尺部材の部位による電解メッキ膜厚分布は実験例によ
るものが最も均一であることが確認された。
【0049】(電解メッキ膜の多孔性評価)前述の各条
件を満たすよう製造された棒状長尺部材を実験例とし
て、本発明に係る電解メッキ装置を使用せずに、無電解
ニッケル−リンメッキによりメッキ膜厚5μmの無電解
メッキを施したφ12、長さ330mmの棒状長尺部材
を比較例6として、夫々電解メッキ膜の多孔性評価を
行なった。
【0050】実験例、すなわち電解メッキに係る棒状長
尺部材については、平均斑点数=7点が平均的に出現し
ているのに対し、比較例6、すなわち無電解メッキに係
る棒状長尺部材については、平均斑点数=15点が平均
的に出現していることが分かった。従って本発明に係る
電解メッキ装置で形成されるメッキ膜は、無電解メッキ
で得られるメッキ膜に比較しても同等以上に安定的な多
孔性を有することが確認された。
【0051】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る長尺
部材の電解メッキ装置によれば、様々な構成を採用した
ので、良好な一つの部材の異なる部位および多数の部材
における被膜厚均一性を有する電解メッキを用いて形成
可能となった。またバレル形式の装置を使用した電解メ
ッキであるので、一度に多量の部材に対して、低コスト
かつ低環境負荷でメッキを施し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る電解メッキ装置の
全体と、メッキ浴に浸漬する様子を示す概略図である。
【図2】実施例に係る電解メッキ装置のバレルの構造を
示す縦断側面図である。
【図3】図2に示すバレルを概略的に示す斜視図であ
る。
【図4】図3に示すバレルの内部を示す概略斜視図であ
る。
【図5】桟部材があることにより形成されるメッキ膜
(a)と、桟部材がない場合に生じてしまうメッキ跡(b)
を示す概略図である。
【図6】実施例とは異なる形状の桟部材を採用したバレ
ルの内部を示す概略斜視図である。
【図7】堤部材を有しないバレルを回転させた際の棒状
長尺部材の動きを示す概略図である。
【図8】堤部材を有するバレルを回転させた際の棒状長
尺部材の動きを示す概略図である。
【図9】陰極の構造を示す概略図である。
【図10】図9に示す陰極および支持パイプをバレル内
部から抜き出す様子を示す概略図である。
【図11】別の実施例に係る円筒形状のバレルの内部を
示す概略斜視図である。
【図12】実験における「軸方向の電解メッキ膜厚」を
測定した実験例の結果を示すグラフ図である。
【図13】実験における「軸方向の電解メッキ膜厚」を
測定した比較例4の結果を示すグラフ図である。
【図14】実験における「軸方向の電解メッキ膜厚」を
測定した比較例5の結果を示すグラフ図である。
【図15】従来の技術に係る電解メッキ装置を示す概略
図である。
【符号の説明】
12 バレル 12a 外周側面 12b 内周側面 12c 内側角部 12d 外側角部 14 回転軸 14a 内部空間 15 支持パイプ 16 貫通孔 17 側方貫通孔 18 陰極 18b 先端部 20 桟部材 22 堤部材 30 パドル部材 50 メッキ浴 S 棒状長尺部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 敏博 愛知県名古屋市熱田区千年1丁目16番30号 株式会社イノアックコーポレーション船 方事業所内 Fターム(参考) 4K024 AA03 BB16 BC10 CA01 CA06 CB01 CB02 CB06 CB08

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側面
    に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バレ
    ル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材の
    電解メッキ装置において、 前記バレル(12)の内周側面(12b)に突設される桟部材(2
    0)と、 前記桟部材(20)上に設けられて前記回転軸(14)と平行に
    延在する少なくとも一つの堤部材(22)から構成したこと
    を特徴とする長尺部材の電解メッキ装置。
  2. 【請求項2】 前記桟部材(20)は、前記バレル(12)の長
    手方向側面(12a)にあって螺旋状に位置するよう設けら
    れる請求項1記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  3. 【請求項3】 前記棒状長尺部材(S)は桟部材(20)によ
    り前記バレル内周面側(12b)に対し底上げされ、その底
    上げ距離は3〜15mmの範囲に設定される請求項1ま
    たは2記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  4. 【請求項4】 前記堤部材(22)は、回転軸(14)と平行に
    全長に亘って設けられる請求項1〜3の何れかに記載の
    長尺部材の電解メッキ装置。
  5. 【請求項5】 前記堤部材(22)は前記バレル(12)の半径
    方向内側に突出し、その突出距離は前記棒状長尺部材
    (S)における外径の1/2〜略同等に設定される請求項
    1〜4の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  6. 【請求項6】 前記堤部材(22)は、前記回転軸(14)の軸
    心の周りに等角度毎に設けられる請求項1〜5の何れか
    に記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  7. 【請求項7】 前記バレル(12)は多角形状をなし、前記
    堤部材(22)は該バレル(12)の内側角部(12c)に設けられ
    る請求項1〜5の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ
    装置。
  8. 【請求項8】 前記堤部材(22)は、その設置間隔角度が
    60度毎の等間隔で6本設けられる請求項6または7記
    載の長尺部材の電解メッキ装置。
  9. 【請求項9】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側面
    に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バレ
    ル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材の
    電解メッキ装置において、 前記バレル(12)の回転軸(14)方向に離間して対向的に位
    置する両端側面(12e,12e)に、該バレル(12)内に収容さ
    れる前記棒状長尺部材(S)の通過を阻止し得る径の側方
    貫通孔(17)を穿設したことを特徴とする長尺部材の電解
    メッキ装置。
  10. 【請求項10】 前記側方貫通孔(17)は、千鳥状に設け
    られる請求項9記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  11. 【請求項11】 前記側方貫通孔(17)は、その間隔距離
    が5〜10mmに設定される請求項9または10記載の
    長尺部材の電解メッキ装置。
  12. 【請求項12】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側
    面に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バ
    レル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材
    の電解メッキ装置において、 前記陰極(18)の先端部(18b)を弾性導電物質で構成する
    と共に、該先端部(18b)を前記回転軸(14)を貫通する内
    部空間(14a)から支持パイプ(15)を介して該バレル(12)
    内へ垂下させたことを特徴とする長尺部材の電解メッキ
    装置。
  13. 【請求項13】 前記先端部(18b)として、例えばピア
    ノ線の如き弾性を有する極細の金属材料が採用される請
    求項12記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  14. 【請求項14】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側
    面に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バ
    レル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材
    の電解メッキ装置において、 前記外周側面(12a)に略L字形状をなすパドル部材(30)
    を配設して前記バレル(12)の半径方向外側へ突出させ、
    その先端は該バレル(12)の回転方向を指向していること
    を特徴とする長尺部材の電解メッキ装置。
  15. 【請求項15】 前記パドル部材(30)は、前記回転軸(1
    4)の軸心の周りに等角度毎に設けられる請求項14記載
    の長尺部材の電解メッキ装置。
  16. 【請求項16】 前記パドル部材(30)は、前記バレル(1
    2)が多角形の場合にはその形状に対応させ、該バレル(1
    2)の外側角部(12d)に設けられる請求項14記載の長尺
    部材の電解メッキ装置。
  17. 【請求項17】 前記パドル部材(30)は、その設置間隔
    角度が60度毎の等間隔で6本設けられる請求項15ま
    たは16記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  18. 【請求項18】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側
    面に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バ
    レル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材
    の電解メッキ装置において、 前記回転軸(14)を水平面に対し所定の仰角をもって傾斜
    させるように構成されることを特徴とする長尺部材の電
    解メッキ装置。
  19. 【請求項19】 前記仰角は、3〜45°、好ましくは
    5〜30°の範囲に設定される請求項18記載の長尺部
    材の電解メッキ装置。
  20. 【請求項20】 回転軸に回転可能に軸支され、外周側
    面に多数の貫通孔(16)を設けたバレル(12)を備え、該バ
    レル(12)の内部に棒状長尺部材(S)を収容する長尺部材
    の電解メッキ装置において、 前記バレル(12)の内周側面(12b)に突設され、前記長尺
    部材(S)の該内周側面(12b)に対する接触を回避するため
    の底上げ用の桟部材(20)と、 前記桟部材(20)上に設けられて前記回転軸(14)と平行に
    延在し、前記バレル(12)中に収納した多数の棒状長尺部
    材(S)におけるバレル回転中の動きを部分的に規制する
    少なくとも一つの堤部材(22)と、 前記バレル(12)の回転軸(14)方向に離間して対向的に位
    置する両端側面(12b,12b)に多数穿設され、前記棒状長
    尺部材(S)の通過を阻止し得る径に設定した側方貫通孔
    (17)と、 その先端部(18b)を弾性導電物質で構成し、該先端部(18
    b)を前記回転軸(14)を貫通する内部空間(14a)から支持
    パイプ(15)を介して垂下する陰極(18)と、 前記外周側面(12a)において前記バレル(12)の半径方向
    外側に突設され、該バレル(12)の回転方向を指向する略
    L字形状をなる先端を備えるパドル部材(30)とからな
    り、 前記回転軸(14)を水平面に対し所定の仰角をもって傾斜
    させたことを特徴とする長尺部材の電解メッキ装置。
  21. 【請求項21】 前記桟部材(20)は、前記バレル(12)の
    長手方向側面(12a)にあって螺旋状に位置するよう設け
    られる請求項20記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  22. 【請求項22】 前記棒状長尺部材(S)は桟部材(20)に
    より前記バレル内周面側(12b)に対し底上げされ、その
    底上げ距離は3〜15mmの範囲に設定される請求項2
    0または21記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  23. 【請求項23】 前記堤部材(22)は、回転軸(14)と平行
    に全長に亘って設けられる請求項20〜22の何れかに
    記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  24. 【請求項24】 前記堤部材(22)は前記バレル(12)の半
    径方向内側に突出し、その突出距離は前記棒状長尺部材
    (S)における外径の1/2〜略同等に設定される請求項
    20〜23の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ装
    置。
  25. 【請求項25】 前記堤部材(22)は、前記回転軸(14)の
    軸心の周りに等角度毎に設けられる請求項20〜24の
    何れかに記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  26. 【請求項26】 前記バレル(12)は多角形状をなし、前
    記堤部材(22)は該バレル(12)の内側角部(12c)に設けら
    れる請求項20〜24の何れかに記載の長尺部材の電解
    メッキ装置。
  27. 【請求項27】 前記堤部材(22)は、その設置間隔角度
    が60度毎の等間隔で6本設けられる請求項25または
    26記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  28. 【請求項28】 前記側方貫通孔(17)は、千鳥状に設け
    られる請求項20〜27の何れかに記載の長尺部材の電
    解メッキ装置。
  29. 【請求項29】 前記側方貫通孔(17)は、その間隔距離
    が5〜10mmに設定される請求項20〜28の何れか
    に記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  30. 【請求項30】 前記先端部(18b)として、例えばピア
    ノ線の如き弾性を有する極細の金属材料が採用される請
    求項20〜29の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ
    装置。
  31. 【請求項31】 前記パドル部材(30)は、前記回転軸(1
    4)の軸心の周りに等角度毎に設けられる請求項20〜3
    0の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  32. 【請求項32】 前記パドル部材(30)は、前記バレル(1
    2)が多角形の場合にはその形状に対応させ、該バレル(1
    2)の外側角部(12d)に設けられる請求項20〜30の何
    れかに記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  33. 【請求項33】 前記パドル部材(30)は、その設置間隔
    角度が60度毎の等間隔で6本設けられる請求項31ま
    たは32記載の長尺部材の電解メッキ装置。
  34. 【請求項34】 前記回転軸(14)の仰角は、3〜45
    °、好ましくは5〜30°の範囲に設定される請求項2
    0〜33の何れかに記載の長尺部材の電解メッキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101268548B1 (ko) 2011-05-11 2013-05-28 주식회사 피아트 바렐 도금장치
CN103527718A (zh) * 2013-10-21 2014-01-22 沈阳化工大学 一种对零散件表面镀锌的滚筒装置
WO2018221195A1 (ja) * 2017-06-02 2018-12-06 住友電装株式会社 雄端子

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