JP2003089674A - 棚段式蒸留塔の制御方法 - Google Patents
棚段式蒸留塔の制御方法Info
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- JP2003089674A JP2003089674A JP2001281837A JP2001281837A JP2003089674A JP 2003089674 A JP2003089674 A JP 2003089674A JP 2001281837 A JP2001281837 A JP 2001281837A JP 2001281837 A JP2001281837 A JP 2001281837A JP 2003089674 A JP2003089674 A JP 2003089674A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 塔底から所定組成範囲の流出液を確実に得る
ことが可能となる棚段式蒸留塔の制御方法を提供する。 【解決手段】 複数の棚段1〜Nを備えると共に、下部
にリボイラ52を備えた棚段式蒸留塔に原料液を供給し
て分留する。該原料液は、低沸点成分、高沸点成分及び
共沸剤を含んでいる。原料液のフィード量に基づいてリ
ボイラの加熱熱量を設定する。塔頂流出液中の不純物た
る高沸点成分濃度と塔底流出液中の不純物たる低沸点成
分濃度とに基づいて、棚段上の液が2相に分離している
棚段の数を設定し、この棚段が維持されるように塔頂で
の低沸点成分及び共沸剤の総還流量を制御する。塔底流
出液中の不純物たる低沸点成分及び共沸剤の濃度比率に
基づいて塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤との比率を
弁32,42によって制御する。
ことが可能となる棚段式蒸留塔の制御方法を提供する。 【解決手段】 複数の棚段1〜Nを備えると共に、下部
にリボイラ52を備えた棚段式蒸留塔に原料液を供給し
て分留する。該原料液は、低沸点成分、高沸点成分及び
共沸剤を含んでいる。原料液のフィード量に基づいてリ
ボイラの加熱熱量を設定する。塔頂流出液中の不純物た
る高沸点成分濃度と塔底流出液中の不純物たる低沸点成
分濃度とに基づいて、棚段上の液が2相に分離している
棚段の数を設定し、この棚段が維持されるように塔頂で
の低沸点成分及び共沸剤の総還流量を制御する。塔底流
出液中の不純物たる低沸点成分及び共沸剤の濃度比率に
基づいて塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤との比率を
弁32,42によって制御する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高沸点成分、低沸
点成分及び共沸剤を含む液を棚段式蒸留塔で分留して高
沸点成分と低沸点成分及び共沸剤とを分離するための制
御方法に関する。詳しくは、高沸点成分が酢酸、低沸点
成分が水、共沸剤が酢酸ブチルである場合に好適な棚段
式蒸留塔の制御方法に関する。
点成分及び共沸剤を含む液を棚段式蒸留塔で分留して高
沸点成分と低沸点成分及び共沸剤とを分離するための制
御方法に関する。詳しくは、高沸点成分が酢酸、低沸点
成分が水、共沸剤が酢酸ブチルである場合に好適な棚段
式蒸留塔の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酢酸及び水を蒸留して分離する場合、水
の沸点100℃に対して酢酸の沸点118℃が近接して
いるため、水と共沸する共沸剤として酢酸ブチルを加え
て蒸留を行っている。この蒸留では、塔頂から流出する
気相を冷却して水及び酢酸ブチルを凝縮させる。この水
と酢酸ブチルとは不混和であり、比重差で分離される。
分離された水及び酢酸ブチルはそれぞれ個別に塔頂に還
流される。
の沸点100℃に対して酢酸の沸点118℃が近接して
いるため、水と共沸する共沸剤として酢酸ブチルを加え
て蒸留を行っている。この蒸留では、塔頂から流出する
気相を冷却して水及び酢酸ブチルを凝縮させる。この水
と酢酸ブチルとは不混和であり、比重差で分離される。
分離された水及び酢酸ブチルはそれぞれ個別に塔頂に還
流される。
【0003】この蒸留においては、この原料液のフィー
ド量に基づいて塔下部の加熱装置(例えばリボイラ)か
らの加熱熱量を設定している。そして、塔底から取り出
される塔底流出液中の不純物(水及び酢酸ブチル)濃度
及び水、酢酸ブチル比、並びに塔頂流出液中の不純物
(酢酸)濃度に基づいて、塔頂への水及び酢酸ブチルの
還流量を制御している。
ド量に基づいて塔下部の加熱装置(例えばリボイラ)か
らの加熱熱量を設定している。そして、塔底から取り出
される塔底流出液中の不純物(水及び酢酸ブチル)濃度
及び水、酢酸ブチル比、並びに塔頂流出液中の不純物
(酢酸)濃度に基づいて、塔頂への水及び酢酸ブチルの
還流量を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来は、塔頂流出液中
の酢酸濃度と、塔底流出液中の水濃度及び酢酸ブチル濃
度とを検出しながら、この検出値が目標範囲内に納まる
ように塔頂への水及び酢酸ブチル還流量を制御している
のであるが、この制御に具体的な指針が無く、検出値に
基づいて熟練オペレータの個人的な経験、勘に基づいて
各還流量が制御されているのが実情である。
の酢酸濃度と、塔底流出液中の水濃度及び酢酸ブチル濃
度とを検出しながら、この検出値が目標範囲内に納まる
ように塔頂への水及び酢酸ブチル還流量を制御している
のであるが、この制御に具体的な指針が無く、検出値に
基づいて熟練オペレータの個人的な経験、勘に基づいて
各還流量が制御されているのが実情である。
【0005】このため、オペレータが交替した場合には
塔頂流出液組成及び塔底流出液組成が変動しがちであ
る。また、熟練オペレータといえども、勘の乱れなどに
より流出液組成を目標範囲から逸脱させてしまうことが
ある。
塔頂流出液組成及び塔底流出液組成が変動しがちであ
る。また、熟練オペレータといえども、勘の乱れなどに
より流出液組成を目標範囲から逸脱させてしまうことが
ある。
【0006】本発明は、このような問題点を解決し、塔
頂及び塔底の流出液がそれぞれ確実に目標範囲内の組成
にすることができる棚段式蒸留塔の制御方法を提供する
ことを目的とする。
頂及び塔底の流出液がそれぞれ確実に目標範囲内の組成
にすることができる棚段式蒸留塔の制御方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の棚段式蒸留塔の
制御方法は、複数の棚段を備えると共に、下部に加熱装
置を備えた棚段式蒸留塔に原料液を供給して分留する方
法であって、該原料液は、低沸点成分と、高沸点成分
と、該低沸点成分の共沸剤とを含んでおり、塔頂から低
沸点成分及び共沸剤を取り出すと共に、低沸点成分及び
共沸剤の一部を塔頂に還流させ、塔底から高沸点成分を
取り出す棚段式蒸留塔の制御方法において、原料液のフ
ィード量に基づいて前記加熱装置の加熱熱量を設定し、
塔頂流出液中の不純物たる高沸点成分濃度と塔底流出液
中の不純物たる低沸点成分濃度とに基づいて、棚段上の
液が2相に分離している棚段の数を設定し、この棚段の
数が維持されるように塔頂での低沸点成分及び共沸剤の
合計の還流量(総還流量)を制御すると共に、塔底流出
液中の不純物たる低沸点成分及び共沸剤の濃度比率に基
づいて塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤との比率を制
御するものである。
制御方法は、複数の棚段を備えると共に、下部に加熱装
置を備えた棚段式蒸留塔に原料液を供給して分留する方
法であって、該原料液は、低沸点成分と、高沸点成分
と、該低沸点成分の共沸剤とを含んでおり、塔頂から低
沸点成分及び共沸剤を取り出すと共に、低沸点成分及び
共沸剤の一部を塔頂に還流させ、塔底から高沸点成分を
取り出す棚段式蒸留塔の制御方法において、原料液のフ
ィード量に基づいて前記加熱装置の加熱熱量を設定し、
塔頂流出液中の不純物たる高沸点成分濃度と塔底流出液
中の不純物たる低沸点成分濃度とに基づいて、棚段上の
液が2相に分離している棚段の数を設定し、この棚段の
数が維持されるように塔頂での低沸点成分及び共沸剤の
合計の還流量(総還流量)を制御すると共に、塔底流出
液中の不純物たる低沸点成分及び共沸剤の濃度比率に基
づいて塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤との比率を制
御するものである。
【0008】本発明者は、特に酢酸、水及び共沸剤とし
ての酢酸ブチルの混合液の蒸留塔の挙動について十分に
検討を加えたところ、棚段上の液が高沸点成分液相と低
沸点成分液相との2相に分離している棚段の数と、塔頂
及び塔底流出液中の各不純物濃度とが関係を有している
こと;塔頂への総還流量がこの2相分離棚段の数に関係
を有していること;塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤
との比が塔底流出液中の低沸点成分と共沸剤との比に関
連していることを見出した。
ての酢酸ブチルの混合液の蒸留塔の挙動について十分に
検討を加えたところ、棚段上の液が高沸点成分液相と低
沸点成分液相との2相に分離している棚段の数と、塔頂
及び塔底流出液中の各不純物濃度とが関係を有している
こと;塔頂への総還流量がこの2相分離棚段の数に関係
を有していること;塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤
との比が塔底流出液中の低沸点成分と共沸剤との比に関
連していることを見出した。
【0009】本発明は、かかる知見に基づくものであ
る。本発明方法によると、目標範囲内の組成の塔頂流出
液及び塔底流出液を確実に得ることができる。
る。本発明方法によると、目標範囲内の組成の塔頂流出
液及び塔底流出液を確実に得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して説明する。
【0011】図1は棚段蒸留装置の模式的な縦断面図で
ある。蒸留塔10内に上方から下方に向って多数の棚段
1,2,3,4,………………,Nが設けられている。
各棚段の端縁には堰が立設され、この堰を液が乗り越え
て下段側の棚段に落下する。
ある。蒸留塔10内に上方から下方に向って多数の棚段
1,2,3,4,………………,Nが設けられている。
各棚段の端縁には堰が立設され、この堰を液が乗り越え
て下段側の棚段に落下する。
【0012】原料液は、フィードライン11,12から
蒸留塔1の上下方向の途中の棚段上に供給される。
蒸留塔1の上下方向の途中の棚段上に供給される。
【0013】この実施の形態では、塔の直径は約150
cm、塔高約20mであり、実棚段数は40段、理論段
数は27段である。フィードライン11は理論段数第9
段の棚段に第1の原料液を供給し、フィードライン12
は理論段数第20段の棚段に第2の原料液を供給する。
第1及び第2の原料液は、いずれも水、酢酸及び酢酸ブ
チルの混合液である。
cm、塔高約20mであり、実棚段数は40段、理論段
数は27段である。フィードライン11は理論段数第9
段の棚段に第1の原料液を供給し、フィードライン12
は理論段数第20段の棚段に第2の原料液を供給する。
第1及び第2の原料液は、いずれも水、酢酸及び酢酸ブ
チルの混合液である。
【0014】第1の原料液の概略の組成は、
水 45重量%
酢酸 90重量%
酢酸ブチル 5重量%
であり、そのフィード量は11T/Hrである。第2の
原料液の概略の組成は 水 2重量% 酢酸 90重量% 酢酸ブチル 8重量% であり、フィード量は39T/Hrである。塔頂流出分
は、ライン21からデカンタ22に導入される。塔頂か
らの流出液量は平均して5.5T/Hrである。
原料液の概略の組成は 水 2重量% 酢酸 90重量% 酢酸ブチル 8重量% であり、フィード量は39T/Hrである。塔頂流出分
は、ライン21からデカンタ22に導入される。塔頂か
らの流出液量は平均して5.5T/Hrである。
【0015】デカンタ内の液は実質的に水と酢酸ブチル
とからなり、不純物として酢酸を微量含んでいる。デカ
ンタ22内において水と酢酸ブチルとは分離しており、
酢酸ブチル相が水相の上に存在する。デカンタ22内の
酢酸ブチルは、ライン31から取り出され、一部が還流
弁32を介して塔頂に還流され、他部が取出ライン33
を介して取り出される。取出ライン33からは、デカン
タ22内の酢酸ブチル液位が所定範囲となるように酢酸
ブチルが間欠的に取り出される。水はライン41から取
り出され、一部が還流弁42を介して塔頂に還流され、
他部が取出ライン43を介して連続的に取り出される。
とからなり、不純物として酢酸を微量含んでいる。デカ
ンタ22内において水と酢酸ブチルとは分離しており、
酢酸ブチル相が水相の上に存在する。デカンタ22内の
酢酸ブチルは、ライン31から取り出され、一部が還流
弁32を介して塔頂に還流され、他部が取出ライン33
を介して取り出される。取出ライン33からは、デカン
タ22内の酢酸ブチル液位が所定範囲となるように酢酸
ブチルが間欠的に取り出される。水はライン41から取
り出され、一部が還流弁42を介して塔頂に還流され、
他部が取出ライン43を介して連続的に取り出される。
【0016】塔底流出液は、酢酸を主体とするものであ
るが、不純物として少量の酢酸ブチルと微量の水を含
む。塔底流出液量は平均44.5T/Hrである。塔底
流出液の一部は、ライン51,53を介して塔底に循環
され、且つ該ライン51,53間に設置されたリボイラ
52によって加熱される。このリボイラ52には、水蒸
気ライン56と流調弁55を介して熱源としての水蒸気
が供給される。
るが、不純物として少量の酢酸ブチルと微量の水を含
む。塔底流出液量は平均44.5T/Hrである。塔底
流出液の一部は、ライン51,53を介して塔底に循環
され、且つ該ライン51,53間に設置されたリボイラ
52によって加熱される。このリボイラ52には、水蒸
気ライン56と流調弁55を介して熱源としての水蒸気
が供給される。
【0017】塔頂の温度は平均して約90℃であり、塔
底の温度は平均して約126℃である。フィードライン
11,12から原料液が連続的に塔内に導入され、蒸留
が行われる。
底の温度は平均して約126℃である。フィードライン
11,12から原料液が連続的に塔内に導入され、蒸留
が行われる。
【0018】原料液中の低沸点成分は上段側の棚段に蒸
留、凝縮を繰り返して移動し、高沸点成分は下段側の棚
段に落下していく。
留、凝縮を繰り返して移動し、高沸点成分は下段側の棚
段に落下していく。
【0019】この蒸留塔10を運転する場合、フィード
ライン11,12からの原料液のフィード量によってリ
ボイラ52への供給水蒸気量が設定される。仮に、フィ
ードライン11,12からの原料液フィード量が正確に
一定であり、各原料液組成や温度が正確に一定であり、
またその他の外乱因子(例えば気温)も一定であるなら
ば、この蒸留塔10の蒸留状況は不変であり、一定組成
の塔底流出液及び塔頂流出液が流出することになる。
ライン11,12からの原料液のフィード量によってリ
ボイラ52への供給水蒸気量が設定される。仮に、フィ
ードライン11,12からの原料液フィード量が正確に
一定であり、各原料液組成や温度が正確に一定であり、
またその他の外乱因子(例えば気温)も一定であるなら
ば、この蒸留塔10の蒸留状況は不変であり、一定組成
の塔底流出液及び塔頂流出液が流出することになる。
【0020】しかしながら、実際には、フィード量が変
動してそれに伴ってリボイラ蒸気量が変動したり、原料
液組成も変動するため、塔底及び塔頂の各流出液組成が
変動し、目標範囲を逸脱する可能性がある。
動してそれに伴ってリボイラ蒸気量が変動したり、原料
液組成も変動するため、塔底及び塔頂の各流出液組成が
変動し、目標範囲を逸脱する可能性がある。
【0021】そこで、塔底及び塔頂の流出液組成が目標
範囲内に納まるように還流ライン31,41からの酢酸
ブチル及び水の還流量を還流弁32,42によって制御
する。
範囲内に納まるように還流ライン31,41からの酢酸
ブチル及び水の還流量を還流弁32,42によって制御
する。
【0022】具体的には、塔頂流出液中の不純物濃度及
び塔底流出液中の不純物濃度をそれぞれ目標範囲とする
ための分相棚段数jを決定する。この分相棚段とは、棚
段上の液が2相に分離している棚段のことである。図1
において、分相棚段がjであるとは、上側から1〜jの
j個の棚段にあっては、その棚段上の液は比重差により
水と酢酸ブチルとの2相に分離しており、第(j+1)
段から第N段までの(N−j)個の棚段上の液は1相の
みからなる。
び塔底流出液中の不純物濃度をそれぞれ目標範囲とする
ための分相棚段数jを決定する。この分相棚段とは、棚
段上の液が2相に分離している棚段のことである。図1
において、分相棚段がjであるとは、上側から1〜jの
j個の棚段にあっては、その棚段上の液は比重差により
水と酢酸ブチルとの2相に分離しており、第(j+1)
段から第N段までの(N−j)個の棚段上の液は1相の
みからなる。
【0023】本発明者の種々の検討の結果、図2に示す
ように、分相棚段数が少なくなるほど塔頂流出液中の酢
酸濃度が高くなり、塔頂流出液中の酢酸濃度を目標濃度
範囲にするためには所定数(この実施の形態では3)以
上の分相棚段数とする必要があることが認められた。
ように、分相棚段数が少なくなるほど塔頂流出液中の酢
酸濃度が高くなり、塔頂流出液中の酢酸濃度を目標濃度
範囲にするためには所定数(この実施の形態では3)以
上の分相棚段数とする必要があることが認められた。
【0024】一方、図3,4の通り、目標棚段数が多く
なるほど塔底流出液中の不純物としての水及び酢酸ブチ
ル濃度が高くなり、ある数(この実施の形態では13)
を超えると塔底流出液中の水濃度が目標範囲を超え、1
5を超えると塔底流出液中の酢酸ブチル(BUA)濃度
を目標範囲が超えることが認められた。
なるほど塔底流出液中の不純物としての水及び酢酸ブチ
ル濃度が高くなり、ある数(この実施の形態では13)
を超えると塔底流出液中の水濃度が目標範囲を超え、1
5を超えると塔底流出液中の酢酸ブチル(BUA)濃度
を目標範囲が超えることが認められた。
【0025】従って、塔頂流出液及び塔底流出液の不純
物濃度を目標範囲内に納めるためには分相棚段数を所定
範囲(この実施の形態では3〜13)内にすることが必
要である。
物濃度を目標範囲内に納めるためには分相棚段数を所定
範囲(この実施の形態では3〜13)内にすることが必
要である。
【0026】加えて、消費エネルギー量をなるべく少な
くすることが蒸留処理コスト低減のために必要となる。
そのためには、リボイラ蒸気量をなるべく少なくすべき
であるので、上記範囲内において分相棚段数はなるべく
多いことが好ましい。この結果、この実施の形態では、
分相棚段数jは13と設定される。そして、塔頂から第
13番目の棚段上では、液は2相分離状態となり、第1
4番目の棚段上では液は1相のみ(混和相のみ)からな
るように塔頂への水及び酢酸ブチルの還流量を制御す
る。なお、以下水及び酢酸ブチルの還流量の合計を総還
流量という。
くすることが蒸留処理コスト低減のために必要となる。
そのためには、リボイラ蒸気量をなるべく少なくすべき
であるので、上記範囲内において分相棚段数はなるべく
多いことが好ましい。この結果、この実施の形態では、
分相棚段数jは13と設定される。そして、塔頂から第
13番目の棚段上では、液は2相分離状態となり、第1
4番目の棚段上では液は1相のみ(混和相のみ)からな
るように塔頂への水及び酢酸ブチルの還流量を制御す
る。なお、以下水及び酢酸ブチルの還流量の合計を総還
流量という。
【0027】還流液の温度は低いから、この総還流量を
減少させると、蒸留塔10内の温度は全体として高くな
り、分相棚段数が減少しようとする。逆に、総還流量を
増加させると、蒸留塔10内の温度は全体として低くな
り、分相棚段数が増加しようとする。
減少させると、蒸留塔10内の温度は全体として高くな
り、分相棚段数が減少しようとする。逆に、総還流量を
増加させると、蒸留塔10内の温度は全体として低くな
り、分相棚段数が増加しようとする。
【0028】そこで、分相棚段数が上記の13となるよ
うに、総還流量を制御する。この分相棚段数の変動を極
力押えることが重要であり、第13番目の棚段の液温度
ができる限り一定となるように、好ましくは±1℃の範
囲内となるように制御することにより、塔内の温度分布
が一定化し、各流出液組成の変動が抑制される。
うに、総還流量を制御する。この分相棚段数の変動を極
力押えることが重要であり、第13番目の棚段の液温度
ができる限り一定となるように、好ましくは±1℃の範
囲内となるように制御することにより、塔内の温度分布
が一定化し、各流出液組成の変動が抑制される。
【0029】このように、第13番目の棚段の液温度変
動を±1℃の範囲に納めることにより、各流出液の不純
物濃度は所定範囲に納まるのであるが、総還流だけで
は、塔底流出液の不純物に占める水と酢酸ブチルとの比
率は制御できない。
動を±1℃の範囲に納めることにより、各流出液の不純
物濃度は所定範囲に納まるのであるが、総還流だけで
は、塔底流出液の不純物に占める水と酢酸ブチルとの比
率は制御できない。
【0030】種々の検討の結果、この塔底流出液中に含
まれる水と酢酸ブチルとの比率は、塔頂に還流させる水
と酢酸ブチルの量の比に影響されることが認められた。
即ち、総還流量は一定としておき、この総還流量中の水
と酢酸ブチルとの比率を制御することにより、塔底流出
液の不純物濃度は変えずに不純物中の水と酢酸ブチルと
の比率を制御できることが認められた。
まれる水と酢酸ブチルとの比率は、塔頂に還流させる水
と酢酸ブチルの量の比に影響されることが認められた。
即ち、総還流量は一定としておき、この総還流量中の水
と酢酸ブチルとの比率を制御することにより、塔底流出
液の不純物濃度は変えずに不純物中の水と酢酸ブチルと
の比率を制御できることが認められた。
【0031】従って、塔頂総還流量毎に塔頂還流液中の
水、酢酸ブチル比と、塔底流出液中の水、酢酸ブチル比
との相関関係を求めておき、目標範囲内の塔底流出液組
成とするための塔頂還流液中の水、酢酸ブチル比にて塔
頂還流を行うのである。
水、酢酸ブチル比と、塔底流出液中の水、酢酸ブチル比
との相関関係を求めておき、目標範囲内の塔底流出液組
成とするための塔頂還流液中の水、酢酸ブチル比にて塔
頂還流を行うのである。
【0032】これにより、塔底から所定組成範囲の流出
口を確実に得ることが可能となる。なお、前記の通り、
水、酢酸ブチルの還流量はそれぞれ弁32,42によっ
て制御される。
口を確実に得ることが可能となる。なお、前記の通り、
水、酢酸ブチルの還流量はそれぞれ弁32,42によっ
て制御される。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、本発明によると、塔底から
所定組成範囲の流出を確実に得ることが可能となる。
所定組成範囲の流出を確実に得ることが可能となる。
【図1】実施の形態に係る制御方法が適用される蒸留装
置の断面図である。
置の断面図である。
【図2】分相棚段数と塔頂流出液中の酢酸濃度との関係
図である。
図である。
【図3】分相棚段数と塔底流出液中の水濃度との関係図
である。
である。
【図4】分相棚段数と塔底流出液中の酢酸ブチル濃度と
の関係図である。
の関係図である。
1、2,3,4,……………N 棚段
j 分相棚段
10 蒸留塔
11,12 フィードライン
22 デカンタ
32,42 還流弁
52 リボイラ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4D076 AA16 AA22 AA23 AA24 BB05
BB08 CC10 EA12Z EA17Y
HA11
4H006 AA02 AD12 BC50 BC51 BD40
BD53 BD82 BS10
Claims (3)
- 【請求項1】 複数の棚段を備えると共に、下部に加熱
装置を備えた棚段式蒸留塔に原料液を供給して分留する
方法であって、 該原料液は、低沸点成分と、高沸点成分と、該低沸点成
分の共沸剤とを含んでおり、 塔頂から低沸点成分及び共沸剤を取り出すと共に、低沸
点成分及び共沸剤の一部を塔頂に還流させ、塔底から高
沸点成分を取り出す棚段式蒸留塔の制御方法において、 原料液のフィード量に基づいて前記加熱装置の加熱熱量
を設定し、 塔頂流出液中の不純物たる高沸点成分濃度と塔底流出液
中の不純物たる低沸点成分濃度とに基づいて、棚段上の
液が2相に分離している棚段の数を設定し、 この棚段の数が維持されるように塔頂での低沸点成分及
び共沸剤の合計の還流量(総還流量)を制御すると共
に、 塔底流出液中の不純物たる低沸点成分及び共沸剤の濃度
比率に基づいて塔頂還流液中の低沸点成分と共沸剤との
比率を制御することを特徴とする棚段式蒸留塔の制御方
法。 - 【請求項2】 請求項1において、高沸点成分は酢酸で
あり、低沸点成分は水であり、共沸剤は酢酸ブチルであ
ることを特徴とする棚段式蒸留塔の制御方法。 - 【請求項3】 請求項2において、棚段上の液が2相に
分離している棚段のうち最下段の棚段を検出し、この棚
段の温度が±1℃の範囲に納まるように塔頂への総還流
量を制御することを特徴とする棚段式蒸留塔の制御方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001281837A JP2003089674A (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 棚段式蒸留塔の制御方法 |
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JP2001281837A JP2003089674A (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 棚段式蒸留塔の制御方法 |
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ID=19105587
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003089674A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010537806A (ja) * | 2007-08-29 | 2010-12-09 | フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン | 蒸留塔の水を除去するための装置および方法 |
CN105833560A (zh) * | 2016-03-29 | 2016-08-10 | 天津大学 | 一种分离热敏性油脂的塔内泵吸式高真空精馏方法与装置 |
JP2021041381A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | 三井E&S環境エンジニアリング株式会社 | 蒸留安定化法 |
CN116147286A (zh) * | 2022-12-05 | 2023-05-23 | 广钢气体(广州)有限公司 | 一种高纯氧精馏控制方法及其装置 |
-
2001
- 2001-09-17 JP JP2001281837A patent/JP2003089674A/ja active Pending
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CN116147286B (zh) * | 2022-12-05 | 2024-01-12 | 广钢气体(广州)有限公司 | 一种高纯氧精馏控制方法及其装置 |
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